説明

巻上機の荷重落下防止方法、及び運転制御装置

【課題】巻上下用の電動機(誘導電動機)の脱調兆候を検出して、落下を未然に防止することができる巻上機の荷重落下防止方法、及び荷重の落下防止手段を備えた巻上機の運転制御装置を提供する。
【解決手段】巻上下用の電動機6、インバータ4、インバータ制御部を備え、操作ボックス2の操作指令によりインバータ制御部でインバータ4を制御して電動機6の上昇運転及び下降運転を行う巻上機の運転制御装置であって、電動機6の脱調兆候を検出する脱調兆候検出手段を備え、インバータ制御部は、脱調兆候検出手段が脱調兆候を検出したら、電磁ブレーキ7を作動させると共に、インバータ4から電動機6に供給する電力を遮断する。電動機6はベクトル制御されており、トルク発生電流成分又は1次電流を監視し脱調兆候を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻上下用の電動機(誘導電動機)をインバータで駆動する巻上機の荷重の落下(荷重のずり落ち)を未然に検知して荷重の落下を防止する巻上機の荷重落下防止方法、及び荷重の落下防止手段を備えた巻上機の運転制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、巻上機の巻上下用の電動機(誘導電動機)をインバータからの出力電力で駆動する、所謂インバータ駆動の電気チェーンブロックや電動ホイスト等の巻上機が多く使用されている。この種の巻上機は、通常上昇用押釦スイッチ及び下降用押釦スイッチを有する操作ボックスからの上昇指令及び下降指令でインバータから電動機に上昇用駆動電力及び下降用駆動電力を供給し、該電動機を上昇方向(正回転)及び下降方向(逆回転)に回転させ、更に加減速させて運転している。また、操作ボックスの上昇用押釦スイッチ及び下降用押釦スイッチは、2段押し込み構成で、1段目低速、2段目は高速と2段階の速度指示ができるようになっている場合が多い。また、上昇及び下降用の押釦スイッチの押し込み量により無段速で制御できるようになっているものもある。
【0003】
上記インバータ駆動の巻上機において、過荷重運転時や低電圧運転時に電動機が脱調する場合がある。電動機が脱調すると荷重が落下(ずり落ち)するという問題がある。従来この荷重落下に対する技術として、下記に示すものがあった。
(a)ブレーキ開放時のみ電動機トルクを検出し、運転中は電動機の回転をエンコーダで検出する方法(特許文献1)。
(b)インバータの出力電圧又は電流を確認し、電圧又は電流が異常になったら、ブレーキを掛ける方法(特許文献2)。
(c)インバータから電動機に供給される電流を検出し、該電動機におけるオーバトルクの有無を判定する。その際減速停止時の判定電流レベルを高くし、それ以外の判定電流レベルを低くする方法(特許文献3)。
【特許文献1】特開平6−199493号公報
【特許文献2】特開昭61−162493号公報
【特許文献3】特開2000−272874号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に記載のものはいずれも荷重の落下が開始してから落下を検出するものであり、落下防止対策が遅れがちとなり、安全性に問題があった。また、エンコーダと、該エンコーダからの信号を取り込み回転数を算出する回路機器が必要になり、コスト高となるという問題がある。また、別途ブレーキの追加が必要となったり、その取付けスペース等が必要になるという問題もある。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、従来の巻上機に別途構成部品を追加することなく簡単な構成で、巻上下用の電動機(誘導電動機)の脱調兆候を検出して、落下を未然に防止することができる巻上機の荷重落下防止方法、及び荷重の落下防止手段を備えた巻上機の運転制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明は、巻上下用の誘導電動機、該誘導電動機に駆動電力を供給するインバータ、該インバータを制御するインバータ制御部を備え、操作部の操作指令によりインバータ制御部でインバータを制御して誘導電動機の上昇運転及び下降運転を行う巻上機の荷重落下防止方法であって、誘導電動機の脱調兆候を検出して荷重の落下を未然に検知し、荷重落下防止の対策をとることを特徴とする。
【0007】
上記巻上機において、巻上下用の誘導電動機が脱調すると荷重が落下する。よって、脱調兆候を検出して荷重落下防止の対策を行うことにより、荷重の落下が始まる前に落下防止対策をとることができ、より安全で信頼性の高い荷重落下防止方法を提供できる。
【0008】
また、本発明は上記巻上機の荷重落下防止方法において、インバータ制御部は誘導電動機の1次電流の大きさとその位相を制御するようにインバータを制御するベクトル制御を行っており、1次電流の大きさと、該1次電流のトルク発生電流成分の大きさを監視し、1次電流値とトルク発生電流成分値がそれぞれの所定値より大きい場合に脱調兆候とする。
【0009】
誘導電動機をベクトル制御した場合、該誘導電動機のトルク発生電流成分の方が1次電流に比べて過荷重(過負荷トルク)を正確に検出できるから、トルク発生電流成分が所定値より大きい場合、例えばトルク発生電流成分が定格の180%以上になったら脱調の兆候があるとして、ブレーキを作動させる等の荷重落下防止対策を行うことにより、信頼性の高い荷重落下防止方法となる。
【0010】
また、本発明は巻上下用の誘導電動機、該誘導電動機に駆動電力を供給するインバータ、該インバータを制御するインバータ制御部を備え、操作部の操作指令によりインバータ制御部でインバータを制御して誘導電動機の上昇運転及び下降運転を行う巻上機の運転制御装置であって、誘導電動機の脱調兆候を検出する脱調兆候検出手段を備え、インバータ制御部は、脱調兆候検出手段が脱調兆候を検出したら、ブレーキを作動させると共に、インバータから誘導電動機に供給する電力を遮断することを特徴とする。
【0011】
上記のように巻上機において、巻上下用の誘導電動機が脱調すると荷重が落下する。よって、脱調兆候検出手段が脱調兆候を検出したら、ブレーキを作動させると共に、インバータから誘導電動機に供給する電力を遮断することにより、荷重の落下を未然に検知し、より安全で信頼性の高い荷重落下防止が実行できる。
【0012】
また、本願発明は上記巻上機の運転制御装置において、インバータ制御は、脱調兆候検出手段が脱調兆候を検出したら、先ずブレーキを作動させ、該ブレーキがブレーキ力を発揮する所定時間経過後にインバータから誘導電動機に供給する電力を遮断する。
【0013】
上記のように脱調兆候検出手段が脱調兆候を検出したら、先ずブレーキを作動させ、所定時間経過後にインバータから誘導電動機に供給する電力を遮断するので、ブレーキを作動してブレーキ力が作用してから、電力を遮断させることになる。よって、電力が遮断されてから、ブレーキが作動するのと異なり、ブレーキ力が作用するまでの間に荷重が自由落下することを防ぐことができる。
【0014】
また、本発明は上記巻上機の運転制御装置において、インバータ制御部は誘導電動機の1次電流の大きさとその位相を制御するようにインバータを制御するベクトル制御を行っており、脱調兆候検出手段は、前記誘導電動機の1次電流の大きさと、該1次電流のトルク発生電流成分の大きさを監視し、1次電流値とトルク発生電流成分値がそれぞれの所定値より大きい場合に脱調兆候とする。
【0015】
誘導電動機をベクトル制御した場合、該誘導電動機のトルク発生電流成分の方が1次電流に比べて過荷重(過負荷トルク)を正確に検出できるから、トルク発生電流成分が所定値より大きい場合、例えばトルク発生電流成分が定格の180%以上になったら脱調の兆候があるとして、ブレーキを作動させる等の荷重落下防止対策をとることにより、信頼性の高い荷重落下防止方法となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る巻上機の荷重落下防止方法によれば、脱調兆候を検出して荷重落下防止の対策を行うことにより、荷重の落下が始まる前に荷重落下防止対策をとることにより、より安全で信頼性の高い荷重落下防止ができる。
【0017】
また、本発明に係る巻上機の運転制御装置によれば、誘導電動機の脱調兆候を検出する脱調兆候検出手段を備え、インバータ制御部は、脱調兆候検出手段が脱調兆候を検出したら、ブレーキを作動させると共に、インバータから誘導電動機に供給する電力を遮断するので、荷重の落下が始まる前に荷重落下対策をとることにより、より安全で信頼性の高い荷重落下防止ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態例を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る巻上機の運転制御装置の構成例を示すブロック図である。なお、ここでは巻上機として電気チェーンブロックを例に説明するが、巻上機は電気チェーンブロックに限定されるものではなく、例えば電動ロープホイストでもよい。運転制御装置1は、操作ボックス2、制御装置3、インバータ4を備えている。インバータ4には3相(R相、S相、T相)交流電力(例えば、50Hz又は60Hzの200V商用電力)が電力供給線5を介して入力され、制御装置3からの上昇(低速、高速)指令、下降(低速、高速)指令により、インバータ4が備えるインバータ制御部(図示せず)の制御を介してインバータ4から3相(U相、V相、W相)交流駆動電力が巻上下用の電動機(誘導電動機)6に供給されるようになっている。これにより電動機6は可変速で正回転(上昇方向)及び逆回転(下降方向)するようになっている。7は電動機6を制動する電磁ブレーキ、8は電源用の変圧器であり、1次側は電力供給線5のR相とT相間に接続され、2次側から制御装置3やインバータ4等に低電圧(例えば24V)の電力を供給する。
【0019】
操作ボックス2は非常用押釦スイッチ21、上昇用押釦スイッチ(上昇低・高速2段押釦スイッチ)22、下降用押釦スイッチ(下降低・高速2段押釦スイッチ)23を備えており、その出力信号は制御装置3のインターフェース(IF)回路31に入力されるようになっている。非常用押釦スイッチ21は常時閉じており、電源を投入すると変圧器8の2次側出力が非常用押釦スイッチ21を通ってリレー34に印加され、付勢によりその接点34aが閉じ、インバータ4の端子HI、HCが短絡される。電動機暴走等の異常が発生した場合、非常用押釦スイッチ21を押すとリレー34の付勢は解除され、その接点は開き、インバータ4の端子HI、HCは開放される。なお、操作ボックス2の上昇用押釦スイッチ22、下降用押釦スイッチ23は無段式(押し込み量で巻上下げ速度が設定できる)の押釦スイッチでもよい。
【0020】
また、図1において、51は上限リミットスイッチ、52は下限リミットスイッチである。上限リミットスイッチ51と下限リミットスイッチ52は常時閉じており、図示しない電気チェーンブロックのロードチェーンの一端に取り付けたフックを上昇し続け、上限リミットスイッチ51のレバーを押すとその接点が開放する。また反対に、フックが下降をし続けると、ロードチェーンの他端に取り付けた端末ストッパーが上昇をし続け、下限リミットスイッチ52のレバーを押すとその接点が開放する。インバータ4はそれらを認識し、電動機6の正回転(上昇方向)又は逆回転(下降方向)をそれぞれ停止する(電動機6への駆動電力の供給を停止する)。
【0021】
上記のようにリレー34は電源が投入されると付勢され、その接点34aが閉じるようになっている。インバータ4のV相にダイオードスタック71が直列に挿入されており、V相に流れる電流を整流した直流が電磁ブレーキ7に流れそのブレーキを開放する。電磁ブレーキ7のブレーキ力を作動させるときは、インバータ4がその端子MA、MCを短絡するとリレー36に変圧器8の2次側出力が印加され付勢され、その接点36aが閉じるとダイオードスタック71から電磁ブレーキ7に供給されていた直流電流が絶たれブレーキ力が作動する。なお、図1において、41は巻上機の荷下降時、電動機6にダイナミックブレーキ(発電制動)をかけた時に発電される電力を通電させて熱消費させる抵抗器である。
【0022】
上記運転制御装置1において、インバータ4のインバータ制御部(図示せず)は、誘導電動機である電動機6の電流を図2(a)、(b)に示すように、トルク電流成分I2、励磁電流成分I0に分けて、1次電流I1の大きさとその位相角θを制御するベクトル制御をおこなっている。なお、図2(a)は電動機が定格電圧で運転されている場合のトルク成分電流I2と1次電流I1、励磁電流成分I0の関係を示す図であり、同図(b)は電動機6が低電圧(定格電圧より低い電圧)で運転されている場合のトルク成分電流I2と1次電流I1、励磁電流成分I0の関係を示す図である。このベクトル制御の特徴は電動機6の低速回転から高トルクを出力できることと、電動機トルクが算出できることにある。
【0023】
ここでは、インバータ制御部はインバータ4をベクトル制御、即ち電動機6の1次電流I1、トルク電流成分(トルク発生電流成分)I2、励磁電流成分I0、励磁電流成分I0と1次電流I1との位相角をθとした場合、下記の式が成立するように、1次電流I1の大きさと位相角θを制御していることを条件として、トルク成分電流I2を監視して、該トルク成分電流I2が所定の電流値を超えた場合(例えば定格のトルク発生電流成分の180%以上が0.2秒以上継続した場合)、脱調兆候と判断する。
1=(I02+I221/2
θ=tan-1(I2/I1
【0024】
電動機6が定格電圧又はその近傍で運転されている場合は、1次電流I1よりトルク成分電流I2の方が過荷重(過トルク)を正確に検出できるから、上記のようにトルク成分電流I2を監視する方がよい。しかしながら、インバータ4の出力電圧、即ち電動機6の1次力電圧が定格より低い場合、高速でのトルク出力は低下する(トルクは電圧の2乗に比例する)。この場合には、定格トルクが出力されない。そのため、過トルクが検出しにくくなり、反対に電動機6の1次電流が増加するから、電動機6の1次電流を監視する方が脱調兆候を検出しやすい。そこで、電動機6が定格電圧以下で運転されている場合は、電動機6の1次電流を監視し、該電動機6の1次電流が所定電流値以上(例えば定格電流の220%以上)になった場合は、脱調兆候と判断する。
【0025】
インバータ制御部が脱調兆候と判断すると、電動機6に供給する電力を遮断すると共に、インバータ4の端子MA、MCを短絡してリレー36を付勢し、その接点36aを閉じてダイオードスタック71から電磁ブレーキ7に供給されている直流電流を絶ち、ブレーキ力を作動させる。このとき電磁ブレーキ7に供給されている直流電流を絶っても直ちにブレーキ力が作用するわけではなく、ブレーキ力が作用するまでの時間(ブレーキ作動時間)吊り荷が自由落下状態となる。そこで、図3に示すように、脱調兆候検出と同時にブレーキを作動させるが、インバータ出力はブレーキ作動時間I(ブレーキ力の作用が作用するまでの時間)を待って遮断する。これにより吊り荷が自由落下する時間を与えることなく安全に停止させることができる。
【0026】
図4はインバータ制御部が行う脱調兆候監視の処理フローを示す図である。先ず、巻上機の電源が投入され運転が開始されたら、電動機電流(1次電流)が所定値以上(例えば、定格の180%以上)か判断し(ステップST1)、NOであったら続いてトルク発生電流成分が所定値以上(例えば、定格の180%以上)かを判断し(ステップST2)NOであったら前記ステップST1に戻り、電動機電流とトルク発生電流成分の監視を続ける。
【0027】
前記ステップST1で電動機電流が所定値以上であった場合と前記ステップST2でトルク発生電流成分が所定値以上であった場合、脱調兆候があるとして所定の処理(例えば警報を発する等の処理)を行い(ステップST3)、更に電磁ブレーキ7への直流電流を絶って該電磁ブレーキ7を作動させる(ステップST4)。続いてブレーキ作動時間(図3参照)が経過したか否か判断し(ステップST5)、経過したらインバータ4から電動機6へ供給している電力を遮断して(ステップST6)、処理を終了する。このように脱調兆候を検出したら電磁ブレーキ7への直流電流を絶っても直ちにブレーキ力が作用する訳ではないから、ブレーキ力が作用する時間(ブレーキ作動時間(図3参照))を待ってインバータ4から電動機6へ供給される電力を遮断することにより、荷重の自由落下を防止できる。
【0028】
巻上下用の電動機6に脱調が発生する条件は、下記の1〜3である。
1.過荷重を吊り上げるとき(低速、高速とも)
2.過荷重で低速で巻き上がり、高速で巻き上がらないとき(上昇用押釦スイッチ22を1段目から2段目に押しても荷重が高速で巻き上がらないとき)
3.過荷重で減速時の電動機トルクが不足するとき(上昇用押釦スイッチ22を1段目まで押し込み低速で荷重を巻上げ、又は下降用押釦スイッチ23を2段目で押し込んで下降高速巻下げから下降用押釦スイッチ23を1段目まで押し込んで下降低速操作時)
【0029】
上記のようにインバータ制御部の電動機6のベクトル制御のもとで電動機6の1次電流とそのトルク発生電流成分を監視し、該1次電流値とトルク発生電流成分値が所定の値を超えたら、脱調の兆候があるとして巻上機が備えている電磁ブレーキ7を作動させた後、ブレーキ力が作用する時間(ブレーキ作動時間)が経過したら、インバータ4から電動機6への電力を遮断するので、電動機6に脱調が発生し、吊り荷の落下するのを安全に確実に防止できる。また、この脱調兆候の検出、電磁ブレーキ7を作動、電動機6への電力遮断の処理を通常のインバータ駆動の巻上機に何ら別部品の追加なしに、インバータ制御部に組み込まれている制御用コンピュータのソフトウエアを変えるのみで実施可能であるから、安価なコストで達成することができる。
【0030】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの構成であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る巻上機の運転制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】電動機のベクトル制御における励磁電流成分I0、2次電量I2、1次電流I1の関係を示す図である。
【図3】本発明に係る巻上機の運転制御装置の脱調兆候検出、ブレーキ作動、インバータ出力遮断のタイミングを示す図である。
【図4】本発明に係る巻上機の運転制御装置の脱調兆候監視処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 運転制御装置
2 操作ボックス
3 制御装置
4 インバータ
5 電力供給線
6 電動機
7 電磁ブレーキ
8 変圧器
21 非常用押釦スイッチ
22 上昇用押釦スイッチ
23 下降用押釦スイッチ
31 インターフェース回路
34 リレー
36 リレー
41 抵抗器
51 上限リミットスイッチ
52 上限リミットスイッチ
71 ダイオードスタック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻上下用の誘導電動機、該誘導電動機に駆動電力を供給するインバータ、該インバータを制御するインバータ制御部を備え、操作部の操作指令により前記インバータ制御部で前記インバータを制御して前記誘導電動機の上昇運転及び下降運転を行う巻上機の荷重落下防止方法であって、
前記誘導電動機の脱調兆候を検出して荷重の落下を未然に検知し、荷重落下防止の対策をとることを特徴とする巻上機の荷重落下防止方法。
【請求項2】
請求項1に記載の巻上機の荷重落下防止方法において、
前記インバータ制御部は前記誘導電動機の1次電流の大きさとその位相を制御するように前記インバータを制御するベクトル制御を行っており、
前記誘導電動機の1次電流の大きさと、該1次電流のトルク発生電流成分の大きさを監視し、
前記1次電流値と前記トルク発生電流成分値がそれぞれの所定値より大きい場合に前記脱調兆候とすることを特徴とする巻上機の荷重落下防止方法。
【請求項3】
巻上下用の誘導電動機、該誘導電動機に駆動電力を供給するインバータ、該インバータを制御するインバータ制御部を備え、操作部の操作指令により前記インバータ制御部で前記インバータを制御して前記誘導電動機の上昇運転及び下降運転を行う巻上機の運転制御装置であって、
前記誘導電動機の脱調兆候を検出する脱調兆候検出手段を備え、
前記インバータ制御部は、前記脱調兆候検出手段が脱調兆候を検出したら、ブレーキを作動させると共に、前記インバータから前記誘導電動機に供給する電力を遮断することを特徴とする巻上機の運転制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の巻上機の運転制御装置において、
前記インバータ制御は、前記脱調兆候検出手段が脱調兆候を検出したら、先ず前記ブレーキを作動させ、該ブレーキがブレーキ力を発揮する所定時間経過後に前記インバータから前記誘導電動機に供給する電力を遮断することを特徴とする巻上機の運転制御装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の巻上機の運転制御装置において、
前記インバータ制御部は前記誘導電動機の1次電流の大きさとその位相を制御するように前記インバータを制御するベクトル制御を行っており、
前記脱調兆候検出手段は、前記誘導電動機の1次電流の大きさと、該1次電流のトルク発生電流成分の大きさを監視し、
前記1次電流値と前記トルク発生電流成分値がそれぞれの所定値より大きい場合に前記脱調兆候とすることを特徴とする巻上機の運転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−29590(P2009−29590A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196431(P2007−196431)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000129367)株式会社キトー (101)
【Fターム(参考)】