説明

希土類酸化物、アルミナ、およびドーパントとしてのジルコニアを含有するガラスの光導波路における使用

本発明は、基板の表面上に希土類ドーパントがドーピングされたガラスを含む光導波路を提供する。このガラスは、(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含むか;(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつ該ガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または(c)該ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、該ガラスの少なくとも80重量パーセントを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路における希土類酸化物および酸化アルミニウムを含有するガラスの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
光導波路は、当技術分野で公知であり、所望の経路に沿って光信号を搬送するために使用される。導波路は、プレーナー形状であってもファイバー形態であってもよい。これらの光導波路は、典型的には、基板上に堆積された薄膜材料またはクラッドに取り囲まれたコア材料のいずれかを有する。材料は、光信号用の導波経路を形成するための形状および光学特性を有する。いくつかのタイプの光導波路はまた、導波路中に入力された光信号の増幅をも行いうる。一般的には、導波路増幅器は、外部コヒーレント光源(すなわちレーザー)によりポンピングされて、電子をより高いエネルギーバンドに導入する。より高いエネルギーバンドに導入された後、導波路を通る光信号が増幅されるように、より低いエネルギーバンドへの遷移が起こる。
【0003】
小型の高パワー密度デバイスの製造では、均一媒体中に大量のドーパントを溶解する材料が必要とされる。ドーパントイオンのクラスター化が原因で、シリカ系ガラスの使用は、低ドーパント濃度が使用可能である用途(すなわち比較的大型のデバイス)に制限される。光信号処理、光信号増幅、および高パワー密度レーザー適用に供されるコンパクトなデバイスが継続して望まれてきたため、現用のガラスよりも高濃度のドーパントを担持しうる新しい光導波路材料の開発に拍車がかかっている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一つの面において、本発明は、光導波路を提供する。光導波路は、基板と、基板上の希土類ドープガラスとを含み、ガラスが、(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含むか;(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または(c)ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、ガラスの少なくとも80重量パーセントを含む;ことを特徴とする。
【0005】
他の面において、本発明は、コア材料とコア材料を取り囲むクラッドとを有するガラスファイバーを含む光導波路を提供する。この光導波路は、コア材料が、希土類ドーパントがドーピングされたガラスを含み、ガラスが、(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含むか;(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または(c)ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、ガラスの少なくとも80重量パーセントを含む;ことを特徴とする。
【0006】
他の面において、本発明は、光ポンプ光を提供する光ポンプ源と、光ポンプ源からの該光ポンプ光を受け取るように結合された光導波路と、を含む光増幅器を提供する。この光増幅器は、該光導波路が、希土類ドーパントがドーピングされたガラスを含み、ガラスが、(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含むか;(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または(c)ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、ガラスの少なくとも80重量パーセントを含む;ことを特徴とする。
【0007】
他の面において、本発明は、希土類ドーパントがドーピングされたガラスを含む光導波路に有用なガラスを提供する。このガラスは、(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含むか;(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または(c)ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、ガラスの少なくとも80重量パーセントを含む;ことを特徴とする。
【0008】
他の面において、本発明は、光信号を増幅する方法を提供する。この方法は、(1)希土類ドーパントがドーピングされたガラスを含む光導波路に光信号を入力するステップであって、該ガラスは、(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含むか;(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または(c)ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、ガラスの少なくとも80重量パーセントを含むようなステップ;そして(2)該光導波路にポンプ光を適用して、該導波路が光入力信号に光利得を提供するようにするステップ;を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
「希土類ドーパント」とは、その電子の励起に応じて光放出を提供しかつREOとは異なった材料であるドーパントを意味する。希土類ドーパントとしては、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはそれらの他の化合物、およびそれらの混合物を含むドーパントが挙げられる。
「ガラス」とは、ガラス転移温度を呈するアモルファス物質を意味する。
「希土類酸化物」とは、酸化セリウム(たとえばCeO2)、酸化ジスプロシウム(たとえばDy23)、酸化エルビウム(たとえばEr23)、酸化ユウロピウム(たとえばEu23)、酸化ガドリニウム(たとえばGd23)、酸化ホルミウム(たとえばHo23)、酸化ランタン(たとえばLa23)、酸化ルテチウム(たとえばLu23)、酸化ネオジム(たとえばNd23)、酸化プラセオジム(たとえばPr611)、酸化サマリウム(たとえばSm23)、酸化テルビウム(たとえばTb23)、酸化トリウム(たとえばTh47)、酸化ツリウム(たとえばTm23)、および酸化イッテルビウム(たとえばYb23)、ならびにそれらの組合せを意味する。
「REO」とは、希土類酸化物を意味する。
「Tg」とは、示差熱分析により決定されるガラス転移温度を意味する。
【0010】
導波路および増幅器
図1は、本発明の一実施形態に係る光導波路10の断面図である。光導波路10は、シリコン基板12上に堆積された形で示されており、希土類ドープ層14を含む。希土類ドープ層14は、下側低屈折率層16と上側低屈折率層18の2層のクラッド層間に挟設されている。図1の光導波路は、単に例示を目的としたものにすぎない。本明細書に記載のガラスは、ドープ材料を利用する任意の導波路構成で使用可能である。
【0011】
本発明に係る光導波路は、「チャネル」導波路、「リッジ」導波路、「ストリップ装荷」導波路、および「拡散」または「イオン交換」導波路、ならびにファイバー形態の導波路として知られる構成を包含しうる。図2〜6は、導波路100、200、300、400、および500として示されるそのような実施形態の断面図を示している。図2〜4では、希土類ドープガラス102、202、302、402は、シリコン基板104、204、304、404上に堆積された下側低屈折率層に隣接している。上側低屈折率層206、306は、いくつかの実施形態では、希土類ドープガラス202、302に接触している。図6では、希土類ドープガラスコア502は、低屈折率クラッド504に取り囲まれている。本発明に係る光導波路に使用するのに有用な低屈折率材料の例としては、SiO2、SiON、ならびにたとえば、ランタン、アルミニウム、および/または酸化ジルコニウムを含むガラス(アンドープ)が挙げられる。いくつかの場合には、光導波路のガラスとして、以下に記載されているようなアンドープガラスを使用することが望ましいこともある。
【0012】
図7は、光導波路22を含有する例示的な標準的導波路増幅器構成20を示している。光信号は、光アイソレーター24および導波路分割多重化(WDM)カプラー26を介して光導波路22中に入力される。光ポンプ源28からの光ポンプ信号もまた、WDMカプラー26を介して光導波路22中に入力される。光導波路22からの増幅出力信号は、第2の光アイソレーター30を介して出力される。光アイソレーター24、30は、それぞれ、光導波路22から入力ポートへの逆方向反射および出力ポートからの逆方向反射を回避するために組み込まれている。上記の導波路増幅器構成は、単に例示を目的としたものである。導波路増幅器に関するより詳細な情報は、米国特許第6,490,081号明細書に見いだしうる。本発明に係る光導波路は、光信号を増幅するために使用される任意の構成に有用でありうる。
【0013】
ガラス
本発明に係る導波路に使用されるガラスは、希土類ドーパント用のホスト材料として使用される。「希土類ドーパント」と「REO」が両方とも本発明に係るガラス中に存在する場合、希土類ドーパントとREOは異なる。
【0014】
本発明に係るいくつかの実施形態では、ガラスは、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方とを含み、それぞれ、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも80重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも85、90、95、さらには100重量パーセント)は、それぞれ、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方とを含む。
【0015】
本発明に係るいくつかの実施形態では、ガラスは、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、それぞれ、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも80重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも85、90、95、さらには100重量パーセント)は、それぞれ、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含む。
【0016】
本発明に係るいくつかの実施形態では、ガラスは、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方とを含み、それぞれ、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも60重量パーセント(いくつかの実施形態では、65、70、75、80、85、90、95、さらには少なくとも100重量パーセント)は、それぞれ、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方とを含み、ガラスは、それぞれ、20重量パーセント以下(いくつかの実施形態では、15、10、5重量パーセント以下、さらにはゼロ重量パーセント)のSiO2と、20重量パーセント以下(いくつかの実施形態では、15、10、5重量パーセント以下、さらにはゼロ重量パーセント)のB23と、を含有する。
【0017】
本発明に係るいくつかの実施形態では、ガラスは、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、それぞれ、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも60重量パーセント(いくつかの実施形態では、65、70、75、80、85、90、95、さらには少なくとも100重量パーセント)は、それぞれ、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスは、それぞれ、20重量パーセント以下(いくつかの実施形態では、15、10、5重量パーセント未満、さらにはゼロ重量パーセント)のSiO2と、20重量パーセント以下(いくつかの実施形態では、15、10、5重量パーセント以下、さらにはゼロ重量パーセント)のB23とを含有する。
【0018】
本発明に係るいくつかの実施形態では、ガラスは、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方とを含み、それぞれ、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも60重量パーセント(いくつかの実施形態では、65、70、75、80、85、90、95、さらには少なくとも100重量パーセント)は、それぞれ、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方とを含み、ガラスは、それぞれ、全体として、40重量パーセント以下(いくつかの実施形態では、35、30、25、20、15、10、5重量パーセント以下、さらにはゼロ重量パーセント)のSiO2およびB23を含有する。
【0019】
本発明に係るいくつかの実施形態では、ガラスは、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、それぞれ、ガラスの全重量を基準にして、ガラスの少なくとも60重量パーセント(いくつかの実施形態では、65、70、75、80、85、90、95、さらには少なくとも100重量パーセント)は、それぞれ、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、ガラスは、それぞれ、全体として、40重量パーセント以下(いくつかの実施形態では、35、30、25、20、15、10、5重量パーセント以下、さらにはゼロ重量パーセント)のSiO2およびB23を含有する。
【0020】
本発明に係るいくつかの実施形態では、ガラスは、ガラスの全重量を基準にして、少なくとも35重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも40、45、50、55、60、65、70、さらには少なくとも75重量パーセント)のAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物(たとえば、Y23、REO、MgO、TiO2、Cr23、CuO、NiO、およびFe23)と、場合により、Al23以外の第2(第3など)の異なる金属酸化物(たとえば、Y23、REO、MgO、TiO2、Cr23、CuO、NiO、およびFe23)とを含み、それぞれ、ガラスの全重量を基準にして、Al23、第1の金属酸化物、および第2の金属酸化物は、全体として、ガラスの少なくとも80重量パーセント(いくつかの実施形態では、少なくとも85、90、95、または100重量パーセント)を含み、ガラスは、全体として、20重量パーセント以下(いくつかの実施形態では、15、10、5、4、3、2、1重量パーセント以下、さらにはゼロ重量パーセント)のB23、GeO2、SiO2、TeO2、およびV25を含有する。
【0021】
ガラスおよびドープガラスは、たとえば、適切な金属酸化物源を加熱(火炎中の加熱を含む)して溶融体(望ましくは、均一な溶融体)を形成してから溶融体を急速に冷却させてアモルファス材料を提供することにより、作製可能である。金属酸化物源および他の添加剤は、ガラスの作製に使用される方法および装置に適した任意の形態をとりうる。望ましい冷却速度には、10K/s以上の冷却速度が包含される。アモルファス材料の実施形態は、たとえば、任意の好適な炉(たとえば、誘導加熱炉、ガス燃焼炉、もしくは電気炉)中で、またはたとえばプラズマ中で、金属酸化物源を溶融することにより、作製可能である。得られた溶融体は冷却される(たとえば、冷却媒体(たとえば、高速エアジェット、液体、金属プレート(冷却金属プレートを含む)、金属ロール(冷却金属ロールを含む)、金属ボール(冷却金属ボールを含む)など)中に溶融体を排出する)。
【0022】
さらに、溶融体およびガラスを作製するための他の方法としては、気相急冷法、溶融急冷法、プラズマ溶射法、およびガス噴霧法または遠心噴霧法が挙げられる。プラズマ溶射法に関するさらなる詳細事項については、たとえば、2002年8月2日出願の米国出願番号第10/211,640号である同時係属出願(その開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい。
【0023】
ガス噴霧法には、原料粒子を溶融してそれらを溶融体に変換することが含まれる。そのような溶融体の細いストリームを破壊エアジェットとの接触を介して噴霧する(すなわち、ストリームを微細なドロップレットに分割する)。次に、粒子(たとえば、ビーズ)を構成する得られた実質的に離散した略楕円体状アモルファス材料を回収する。ビーズサイズの例としては、約5マイクロメートル〜約3mmの範囲内の直径を有するものが挙げられる。溶融急冷法は、たとえば、米国特許第5,605,870号明細書(その開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されているように行うことができる。米国特許第6,482,758号明細書(その開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする)などに開示されているようなレーザービーム加熱を利用する無容器ガラス形成法もまた、ガラスを作製するのに有用でありうる。
【0024】
ガラスは、たとえば、米国特許第6,254,981号明細書(その開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されているような火炎融合を利用して作製することができる。この方法では、金属酸化物源材料は、バーナー(たとえば、メタン−空気バーナー、アセチレン−酸素バーナー、水素−酸素バーナーなど)中に直接供給され(たとえば、「原料粒子」と呼ばれることもある粒子の形態で)、次に、たとえば、水、冷却油、空気などで急冷される。原料粒子は、たとえば、金属酸化物源を粉砕、凝集(たとえば、スプレー乾燥)、溶融、または焼結させることにより、形成することができる。火炎に供給される原料粒子のサイズは、一般的には、粒子を構成する得られるアモルファス材料のサイズを決定する。
【0025】
ガラスの実施形態はまた、自由落下冷却を含むレーザースピン溶融法、テイラーワイヤー法、プラズマトロン法、ハンマー・アンド・アンビル法、遠心急冷法、エアガンスプラット冷却法、一本ローラー急冷法および二本ローラー急冷法、ローラー−プレート急冷法、ならびにペンダントドロップ溶融急冷法のような他の方法により得ることもできる(たとえば、セラミックスの急速固化(Rapid Solidification of Ceramics)、ブロックウェイ(Brockway)ら著、金属およびセラミックス情報センター(Metals And Ceramics Information Center)、防衛情報解析センターの一部門(A Department of Defense Information Analysis Center)、オハイオ州コロンバス(Columbus,OH)、1984年1月(その開示内容は、参照として本明細書に組み入れられるものとする)を参照されたい)。ガラスの実施形態はまた、好適な前駆体の熱分解(火炎支援またはレーザー支援またはプラズマ支援を含む)、金属前駆体の物理気相合成(PVS)、スパッタリング(PVD)のような物理気相堆積、および機械化学処理のような他の方法により得ることも可能である。
【0026】
冷却速度は、急冷されるアモルファス材料の特性を変化させると考えられる。たとえば、ガラスのガラス転移温度、密度、および他の特性は、典型的には、冷却速度によって変化する。
【0027】
冷却時に所望の酸化状態などを保持したりかつ/またはそれに影響を及ぼしたりすべく、還元環境、中性環境、または酸化環境のような制御雰囲気の下で急速冷却を行うことも可能である。雰囲気はまた、過冷却液体からの結晶化動力学的挙動に影響を及ぼすことによりアモルファス材料形成に影響を及ぼしうる。たとえば、空気中と比較してアルゴン雰囲気中で結晶化を伴うことなくAl23溶融体の過冷却を増大させることが報告されている。
【0028】
ガラスはまた、ゾル−ゲル法により作製することもできる。ゾル−ゲル法は、水性または有機性の液体媒体中のディスパージョン、ゾル、または溶液の形態で前駆体組成物を形成するステップを含む。これらの方法のさらなる詳細事項は、ゾル−ゲル科学(Sol−Gel Science)、シー・ジェフレイ・ブリンカー(C.Jeffrey Brinker)およびジョージ・ダブリュー・シェーラー(George W.Scherer)著、アカデミック・プレス(Academic Press)刊、1990年(その開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に見いだすことができる。他の粉末作製方法は、揮発性有機溶媒中に溶解された1種以上のグリコラトポリメタロオキサンを含有する前駆体をスプレー熱分解する方法であり;この方法に関する詳細事項は、米国特許第5,958,361号明細書(その開示内容は、参照により本明細書に組み入れられるものとする)に見いだすことができる。
【0029】
Al23(理論酸化物基準)の供給源としては、商業的供給源を含めて、ボーキサイト(天然産ボーキサイトおよび合成製造ボーキサイトの両方を含む)、仮焼ボーキサイト、水和アルミナ(たとえば、ベーマイトおよびギブサイト)、アルミニウム、バイヤー法アルミナ、アルミニウム鉱石、ガンマアルミナ、アルファアルミナ、アルミニウム塩、硝酸アルミニウム、およびそれらの組合せが挙げられる。Al23源は、Al23を含有するものであってもよいし、Al23だけを提供するものであってもよい。他の選択肢として、Al23源は、Al23を含有するかまたはそれを提供するものであってもよいし、Al23以外の1種以上の金属酸化物(複合Al23・金属酸化物(たとえば、Dy3Al512、Y3Al512、CeAl1118など)よりなる材料またはそれを含有する材料を含む)を含有するかまたはそれを提供するものであってもよい。
【0030】
希土類酸化物の供給源としては、商業的供給源を含めて、希土類酸化物粉末、希土類金属、希土類含有鉱石(たとえば、バストネサイトおよびモナザイト)、希土類塩、希土類硝酸塩、および希土類炭酸塩が挙げられる。希土類酸化物源は、希土類酸化物を含有するものであってもよいし、希土類酸化物だけを提供するものであってもよい。他の選択肢として、希土類酸化物源は、希土類酸化物と、さらには希土類酸化物以外の1種以上の金属酸化物(複合希土類酸化物または他の金属酸化物(たとえば、Dy3Al512、CeAl1118など)よりなる材料またはそれを含有する材料を含む)と、を含有するかまたはそれを提供するものであってもよい。
【0031】
23(理論酸化物基準)の供給源としては、商業的供給源を含めて、酸化イットリウム粉末、イットリウム、イットリウム含有鉱石、およびイットリウム塩(たとえば、イットリウムの炭酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、およびそれらの組合せ)が挙げられる。Y23源は、Y23を含有するものであってもよいし、Y23だけを提供するものであってもよい。他の選択肢として、Y23源は、Y23と、さらにはY23以外の1種以上の金属酸化物(複合Y23・金属酸化物(たとえば、Y3Al512)よりなる材料またはそれを含有する材料を含む)と、を含有するかまたはそれを提供するものであってもよい。
【0032】
ZrO2(理論酸化物基準)の供給源としては、商業的供給源を含めて、酸化ジルコニウム粉末、ジルコンサンド、ジルコニウム、ジルコニウム含有鉱石、およびジルコニウム塩(たとえば、ジルコニウムの炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物、およびそれらの組合せ)が挙げられる。これに加えてまたは他の選択肢として、ZrO2源は、ZrO2と、さらにはハフニアのような他の金属酸化物と、を含有するかまたはそれを提供するものであってもよい。HfO2(理論酸化物基準)の供給源としては、商業的供給源を含めて、酸化ハフニウム粉末、ハフニウム、ハフニウム含有鉱石、およびハフニウム塩が挙げられる。これに加えてまたは他の選択肢として、HfO2源は、HfO2と、ZrO2のような他の金属酸化物と、を含有するかまたはそれを提供するものであってもよい。
【0033】
他の有用な金属酸化物としては、理論酸化物基準で、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、Sc23、SiO2、SnO2、SrO、TiO2、ZnO、およびそれらの組合せが挙げられうる。供給源としては、商業的供給源を含めて、酸化物それ自体、複合酸化物、鉱石、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、塩化物、水酸化物などが挙げられる。これらの金属酸化物は、得られるガラスの物理的特性を改変するためにかつ/または処理を改善するために、添加される。これらの金属酸化物は、たとえば、所望の特性に依存して、典型的には、ガラスの0〜50重量パーセントで、いくつかの実施形態では好ましくは0〜25重量パーセントで、より好ましくは0〜20重量パーセントで、任意の位置に添加される。
【0034】
導波路の作製方法
本発明の導波路は、一般的には、当業者に公知の製造手段により作製可能である。たとえば、チャネル導波路(図2参照)は、低屈折率クラッド上にドープガラス層を堆積させてから標準的リソグラフィーまたはフォトリソグラフィーを用いてラインを規定することにより、作製可能である。リソグラフィーに続いて、通常、低屈折率トップクラッドの堆積が行われる。リッジ導波路(図3参照)は、ドープガラス層が完全にはエッチング除去されないこと以外は、チャネル導波路に類似している。ストリップ装荷導波路(図4参照)は、ドープガラスの平面層上に低屈折率クラッドのストリップを配置することにより作製しうる。拡散導波路(図5参照)は、低屈折率基板中にドープガラスを内方拡散させることにより作製しうる。スパッタリングのような当技術分野で公知の方法により、ドープガラスを低屈折率層またはクラッド上に堆積し、続いて、フォトリソグラフィーによりラインまたはリッジを規定しうる。他の選択肢として、スパッタリングのような当技術分野で公知の方法により、ドープガラスを低屈折率層またはクラッド上に堆積し、次に、ドープガラス層を低屈折率層で被覆しうる(図6参照)。ファイバーのコアとして本明細書に記載のドープガラスを用いるガラスファイバーは、「希土類ドープファイバー型のレーザーおよび増幅器(Rare earth doped fiber lasers and amplifiers)」、エム・ジェイ・エフ・ディゴネット(M.J.F.Digonnet)編、1993年、マーセル・デッカー・インコーポレーテッド(Marcel Dekker,Inc.)刊ならびに米国特許第6,484,539B1号明細書および同第6,490,081B1号明細書に記載されているような周知の方法により、作製しうる。
【0035】
本発明の利点および実施形態について以下の実施例によりさらに説明するが、これらの実施例に記載の特定の材料およびその量ならびに他の条件および細目は、本発明を過度に限定するように解釈されるべきものでない。部およびパーセントはすべて、とくに明示されていないかぎり、重量基準である。
【実施例】
【0036】
比較例A〜Eおよび実施例1〜18
100グラム(g)の表1に示される成分をポリエチレンボトルに充填した。約400gのジルコニアミリングメディア(ニュージャージー州ブルックのトソー・セラミックス、ディビジョン・オブ・バウンド(Tosoh Ceramics,Division of Bound,Brook,NJ)から商品名「YTZ」として入手した)を100mLの蒸留脱イオン水と共にボトルに添加した。混合物を120rpmで24時間ミリングした。使用した原材料の供給元を以下の表2に列挙する。約43重量%の酸化物収率を考慮して、Er(NO3)・5H2O(ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company,Milwaukee,WI)から入手した)としてEr源を導入した。ミリング後、ミリングメディアを除去し、スラリーをガラス(「パイレックス(登録商標)(PYREX(登録商標))」)パン上に注ぎ、ヒートガンを用いて乾燥させた。火炎中で溶融する前に、電気加熱炉(カリフォルニア州ピコリベラのケイス・ファーナスズ(Keith Furnaces of Pico Rivera,CA)から商品名「モデルKKSK−666−3100(Model KKSK−666−3100)」として入手した)内、空気中、1300℃で、乾燥粒子を1時間仮焼した。出発成分を65〜70重量パーセントの水性スラリーとしてゼグバリ(Szegvari)アトライターミル(オハイオ州アクロンのユニオン・プロセス(Union Process,Akron,OH))でミリングしたこと以外は比較例Aと類似した手順で、実施例1および2を作製した。ミリング時間は、50%パワーで2時間であった。ビーズ形成後、空気中、990℃で、実施例15を1時間アニーリングした。
【0037】
乳鉢および乳棒で粉砕した後、多相粒子の一部を水素/酸素トーチ炎中に供給した。多相粒子を溶融して溶融ガラスビーズを生成するために使用した水素トーチは、ベスレヘム(Bethlehem)卓上バーナー(ペンシルバニア州ヘラータウンのベスレヘム・アパレイタス・コーポレーション(Bethlehem Apparatus Co.,Hellertown,PA)から入手したPM2DモデルB)であった。内側リングでは、水素流量は8標準リットル毎分(SLPM)であり、酸素流量は3SLPMであった。外側リングでは、水素流量は23SLPMであり、酸素流量は9.8SLPMであった。乾燥された所定サイズの粒子を水素トーチ炎中に直接供給して溶融し、冷水を流しながら傾斜ステンレス鋼表面(幅約20インチ、傾斜角45度)に移した(約2gl/分)。
【0038】
得られた溶融急冷粒子をパン中で捕集し、110℃で乾燥させた。粒子の形状は球状であり、サイズは、数十マイクロメートルから250マイクロメートルまでさまざまであった。続いて、−140+230メッシュ画分(米国標準試験篩)を保持するように粒子を等級付けした。
【0039】
次のようにアーク溶融することにより、実施例8を作製した。少量の乾燥粉末をアーク放電炉(モデルNo.5T/A 39420;ニューハンプシャー州ナシュアのセントル・バキューム・インダストリーズ(Centorr Vacuum Industries,Nashua,NH)製)中で溶融した。炉チャンバー内に位置する冷却銅プレート上に約1gの乾燥粉末を配置した。炉チャンバーを減圧し、次に、2psiの(13.8kPa)圧力のアルゴンガスで再充填した。電極とプレートとの間でアークを当てた。アーク放電により生成された温度は、仮焼フレークを急速溶融するのに十分な程度に高かった。溶融が終了した後、溶融体を均一化させるために、材料を溶融状態で約10秒間保持した。アークを遮断し、そのままの状態で溶融体を冷却させることにより、得られた溶融体を急速冷却させた。少量のサンプルおよび水冷銅プレートの大きな熱降下能力により、急速冷却を確保した。炉へのパワー供給を停止した1分後以内に、融合材料を炉から取り出した。水冷銅プレートの表面上の溶融体の冷却速度は100℃/秒を超えていたものと推定される。融合材料は、透明ガラスビーズの形態であった(ビーズの最大直径を測定したところ、2.8mmであった)。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
フォトルミネセンス
ファイバーポンプ/集光スキームを用いて、フォトルミネセンスデータを取得した。試験される組成のビーズを、x−y−zトランスレーター上に取り付けられた第1の光ファイバーの端に垂下させた。トランスレーターを用いることにより、水平方向に向けられかつ軸が第1のファイバーの軸に垂直である第2の光ファイバーの切断端のごく近傍内にビーズを配置した。波長分割マルチプレクサー(WDM)を介して、約980nmの波長の光を放出するポンプレーザーを第2のファイバーの他端に結合させた。ポンプ光は、第2のファイバーの切断端から送出されて、ビーズに入射した。ビーズにより放出された蛍光を第2のファイバーにより集光し、WDMに方向付けた。WDMでは、1450〜1700nmの波長範囲内の光が、測定用の光スペクトルアナライザー(OSA)に方向付けられる。取付け操作および初期アライメント操作を光学顕微鏡下で観察し、最大蛍光が得られるように(OSAでモニターしたとき)、ビーズ位置を最適化した。OSAで記録された蛍光データを解析し、ピーク波長と、半値全幅(FWHM)により測定されるピークの幅と、を求めた。与えられている蛍光データは、類似の組成の3個のビーズの平均から得たものである。
【0043】
発光減衰曲線の解析から、励起状態の寿命を決定した。WDMからの1450〜1700nm光を、デジタイジングオシロスコープに結合された高速フォトダイオードに方向付けた。外部信号ジェネレーターを用いることにより、約10Hzの繰返し数、約25ミリ秒(ms)の継続時間の方形パルスでポンプレーザーを駆動させた。オシロスコープ上の10〜128個の測定値を平均した後、データをコンピューターに転送して解析した。報告された寿命は、ポンプパルスの終了時点から蛍光信号がそのピーク値の36.8%(1/e)に減少する時点までの時間として定義される1/e寿命である。与えられている寿命値は、類似の組成の3個のビーズの平均から得たものである。
【0044】
表3は、すべてのサンプルに対するフォトルミネセンスデータを示している。Lpeakは、ビーズからの発光エネルギーのピーク波長(nm)であり、FWHMは、ピークの半値全幅であり、そして寿命は、発光減衰曲線の解析から決定された励起状態の寿命である。
【0045】
【表3】

【0046】
実施例19−導波路増幅器
267.6gのLa23、207.78gのAl23、118.56gのZrO2、および13.92gのEr(NO3)・5H2Oを、ポリウレタン内張りジャーに充填した(使用した原材料の供給元を表2に列挙する)。約1000gのジルコニアミリングメディア(ニュージャージー州ブルックのトソー・セラミックス,ディビジョン・オブ・バウンド(Tosoh Ceramics,Division of Bound,Brook,NJ)から商品名「YTZ」として入手した)を600mLの蒸留脱イオン水と共にジャーに添加した。混合物を120rpmで24時間ミリングした。ミリング後、ミリングメディアを除去し、スラリーをガラス(「パイレックス(登録商標)(PYREX(登録商標))」)パン上に注ぎ、ヒートガンを用いて乾燥させた。火炎中で溶融する前に、電気加熱炉(カリフォルニア州ピコリベラのケイス・ファーナスズ(Keith Furnaces,Pico Rivera,CA)から商品名「モデルKKSK−666−3100(Model KKSK−666−3100)」として入手した)内、空気中、1300℃で、乾燥粒子を1時間仮焼した。
【0047】
実施例19の球状粒子を実施例1〜18に記載されているように作製した。
【0048】
スパッタード・フィルムズ・インコーポレーテッド(Sputtered Films, Inc.)製のリサーチS−ガン(Research S−Gun)(ターボポンプ式スパッターシステム)に嵌入するように機械加工されたステンレス鋼バッキングに球状粒子をプラズマ溶射することにより(ミネソタ州セントポールのプレシジョン・コーティングス・インコーポレーテッド(Precision Coatings,Inc.,St.Paul,MN)で利用可能なプラズマ溶射サービス)、RFスパッターターゲットを作製した。プラズマ溶射により、光学的顕微鏡法を用いて決定したときに1.1mmの近似厚さを有するターゲット材料のフィルムを作製した。
【0049】
RFスパッタリングチャンバーは、同一バッチで6つまでのウェーハにコーティングを施すことのできる遊星構成を有する。13.56MHzのRFパワー供給出力は、基板にバイアスがかかるようにターゲットと遊星システムとにパワーを割り当てるパワースプリッターに送られる。両電極は、専用のRFマッチング回路を有する。プラズマ溶射ターゲット材料は、0.23Pa(1.7mTorr)の圧力、850ワットのターゲットパワーで、堆積させた。アルゴンおよび酸素を、それぞれ、25標準立法センチメートル毎分(sccm)および5sccmの流量でスパッタリングガスとして使用した。堆積フィルムの緻密化に役立てるべく、約40ワットのパワーで遊星システムにバイアスをかけた。
【0050】
ターゲット材料の0.9マイクロメートルの厚膜を、パターニングされた直径3インチのシリコンウェーハ上にスパッタリングした。このウェーハは、PECVD法を用いてシリコン表面上に直接に堆積された厚さ8マイクロメートルのSiO2クラッド層を有していた。ポジ型フォトレジスト(マサチューセッツ州マールボロのシップレイ・カンパニー(Shipley Company,Marlborough,MA)から入手可能なシップレイS1818(Shipley S1818)を、SiO2クラッドの上にパターニングした。このパターンは、2〜100マイクロメートルの範囲内の種々の幅を有する導波路リッジのネガ画像を有していた。実施例19の材料を堆積させた後、フォトレジストのリフトオフの促進に役立つ緩衝化フッ化水素酸(1:6 HF:NH4F)中でウェットエッチングすることにより、6.5分間かけて露出SiO2クラッド中に0.4マイクロメートルのアンダーカットを設けた。
【0051】
堆積後、フォトレジスト除去剤(シップレイ1165(Shipley 1165))を含有する約50℃の超音波浴中にウェーハを浸漬させた。すぐ上にあるターゲット材料を伴ってフォトレジストをウェーハからリフトオフし、堆積前にフォトレジストパターニングによりチャンネルが設けられていた場所にドープガラスの導波路リッジを残存させた。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本明細書に記載の光導波路の一実施形態の断面図である。
【図2】本明細書に記載の光導波路の他の実施形態の断面図である。
【図3】本明細書に記載の光導波路の他の実施形態の断面図である。
【図4】本明細書に記載の光導波路の他の実施形態の断面図である。
【図5】本明細書に記載の光導波路の他の実施形態の断面図である。
【図6】本明細書に記載の光導波路の他の実施形態の断面図である。
【図7】本発明に係る光導波路増幅器構成の一実施形態の説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と;
該基板の表面上の希土類ドーパントがドーピングされたガラスと;
を含む光導波路であって、該ガラスが、
(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含むか;
(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつ該ガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または
(c)該ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、該ガラスの少なくとも80重量パーセントを含む;
ことを特徴とする、光導波路。
【請求項2】
前記希土類ドーパントが、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはそれらの他の化合物、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項1に記載の光導波路。
【請求項3】
前記希土類ドーパントがエルビウムを含む、請求項1に記載の光導波路。
【請求項4】
REOがLa23を含む、請求項1に記載の光導波路。
【請求項5】
前記第1の金属酸化物が、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、Sc23、SrO、TiO2、ZnO、およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項1に記載の光導波路。
【請求項6】
前記基板がシリコンまたはSiO2を含む、請求項1に記載の光導波路。
【請求項7】
コア材料と該コア材料を取り囲むクラッドとを有するガラスファイバーを含む光導波路であって、該コア材料が、
希土類ドーパントがドーピングされたガラス、
を含み、該ガラスが、
(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含むか;
(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつ該ガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または
(c)該ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、該ガラスの少なくとも80重量パーセントを含む;
ことを特徴とする、光導波路。
【請求項8】
前記希土類ドーパントが、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはそれらの他の化合物、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項7に記載の光導波路。
【請求項9】
前記希土類ドーパントがエルビウムを含む、請求項7に記載の光導波路。
【請求項10】
REOがLa23を含む、請求項7に記載の光導波路。
【請求項11】
前記第1の金属酸化物が、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、Sc23、SiO2、SnO2、SrO、TiO2、ZnO、およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項7に記載の光導波路。
【請求項12】
前記クラッド層がSiO2を含む、請求項7に記載の光導波路。
【請求項13】
光ポンプ光を提供する光ポンプ源と;
該光ポンプ源からの該光ポンプ光を受け取るように結合された光導波路と;
を含む光増幅器であって、該光導波路が、希土類ドーパントがドーピングされたガラスを含み、該ガラスが、
(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含むか;
(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつ該ガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または
(c)該ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、該ガラスの少なくとも80重量パーセントを含む;
ことを特徴とする、光増幅器。
【請求項14】
前記希土類ドーパントが、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはそれらの他の化合物、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項13に記載の光増幅器。
【請求項15】
前記希土類ドーパントがエルビウムを含む、請求項13に記載の光増幅器。
【請求項16】
REOがLa23を含む、請求項13に記載の光増幅器。
【請求項17】
前記第1の金属酸化物が、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、Sc23、SrO、TiO2、ZnO、およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項13に記載の光増幅器。
【請求項18】
希土類ドーパントがドーピングされたガラスを含む光導波路に有用なガラスであって、該ガラスが、
(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含むか;
(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつ該ガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または
(c)該ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、該ガラスの少なくとも80重量パーセントを含む;
ことを特徴とする、ガラス。
【請求項19】
前記希土類ドーパントが、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、またはそれらの他の化合物、およびそれらの混合物よりなる群から選択される、請求項18に記載のガラス。
【請求項20】
前記希土類ドーパントがエルビウムを含む、請求項18に記載のガラス。
【請求項21】
REOがLa23を含む、請求項18に記載のガラス。
【請求項22】
前記第1の金属酸化物が、BaO、CaO、Cr23、CoO、Fe23、GeO2、Li2O、MgO、MnO、NiO、Na2O、Sc23、SiO2、SnO2、SrO、TiO2、ZnO、およびそれらの組合せよりなる群から選択される、請求項18に記載のガラス。
【請求項23】
前記ガラスが、
(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み;
(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつ該ガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有し;および
(c)Al23、REO、ZrO2又はHfO2以外の他の金属酸化物を含む;
ことを特徴とする、請求項18に記載のガラス。
【請求項24】
前記他の金属酸化物がTiO2を含む、請求項23に記載のガラス。
【請求項25】
光信号を増幅する方法であって、下記のステップ:
(1)希土類ドーパントがドーピングされたガラスを含む光導波路に該光信号を入力するステップであって、該ガラスは、
(a)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも80重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み;
(b)Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、該ガラスの全重量を基準にして、該ガラスの少なくとも70重量パーセントが、全体として、Al23と、REOもしくはY23の少なくとも一方と、ZrO2もしくはHfO2の少なくとも一方とを含み、かつ該ガラスが、20重量パーセント以下のSiO2と20重量パーセント以下のB23とを含有するか;または
(c)該ガラスの全重量を基準にして、少なくとも40重量パーセントのAl23と、Al23以外の第1の金属酸化物とを含み、Al23と第1の金属酸化物とが、全体として、該ガラスの少なくとも80重量パーセントを含む;
ステップ;及び
(2)該光導波路にポンプ光を適用して、該導波路が該光入力信号に光利得を提供するようにするステップ;
を含む、方法。
【請求項26】
前記基板が、下側低屈折率層であり、かつ上側低屈折率層をさらに含む、請求項1に記載の光導波路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−524628(P2006−524628A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509194(P2006−509194)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/006854
【国際公開番号】WO2004/098002
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】