帯域可変フィルタ
【課題】遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる帯域可変フィルタを得る。
【解決手段】一端が接地されている可変容量素子3aの他端と一端が接地されている伝送線路2aの他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されている可変容量素子3bの他端と一端が接地されている伝送線路2bの他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されているインダクタ6aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されているインダクタ6bとを備える。
【解決手段】一端が接地されている可変容量素子3aの他端と一端が接地されている伝送線路2aの他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されている可変容量素子3bの他端と一端が接地されている伝送線路2bの他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されているインダクタ6aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されているインダクタ6bとを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遮断帯域で良好な遮断特性が得られる帯域可変フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14は以下の特許文献1に開示されている従来の帯域可変フィルタを示す構成図である。
この帯域可変フィルタでは、結合回路の通過端子に片側が接地されている可変容量素子が接続されるとともに、その結合回路のアイソレーション端子に片側が接地されている可変容量素子が接続されており、これらの可変容量素子に印加するバイアス電圧を制御することで、通過帯域を制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−94453号公報(段落番号[0018]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の帯域可変フィルタは以上のように構成されているので、可変容量素子に印加するバイアス電圧を制御することで、通過帯域を制御することができる。しかし、結合回路の周波数選択性のみで、遮断帯域の特性が決まるため、大きな遮断特性が得られないなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる帯域可変フィルタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る帯域可変フィルタは、一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1のインダクタと、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2のインダクタとを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1のインダクタと、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2のインダクタとを備えるように構成したので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図2】図1の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図4】図3の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態3による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図6】図5の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態4による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図8】図7の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態5による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態5による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態5による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態5による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態5による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図14】特許文献1に開示されている従来の帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図15】インダクタが接続されていない従来の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による帯域可変フィルタを示す構成図である。
図1において、入出力端子1aは信号を入出力する端子であり、第1の入出力端子を構成している。
入出力端子1bは信号を入出力する端子であり、第2の入出力端子を構成している。
制御端子1cはバイアス電圧を入力する端子である。
【0010】
第1の可変共振器は伝送線路2a及び可変容量素子3aから構成されている。
第1の可変共振器を構成している伝送線路2aは一端が接地されており、他端がキャパシタ4aを介して可変容量素子3aと接続されている。
第1の可変共振器を構成している可変容量素子3aは一端が接地されており、他端がキャパシタ4aを介して伝送線路2aと接続されている。
【0011】
第2の可変共振器は第1の可変共振器と隣接配置されており、伝送線路2b及び可変容量素子3bから構成されている。
第2の可変共振器を構成している伝送線路2bは一端が接地されており、他端がキャパシタ4bを介して可変容量素子3bと接続されている。
第2の可変共振器を構成している可変容量素子3bは一端が接地されており、他端がキャパシタ4bを介して伝送線路2bと接続されている。
なお、第1の可変共振器と第2の可変共振器から結合回路が構成されている。
【0012】
抵抗5aは一端が制御端子1cと接続され、他端が可変容量素子3a及びキャパシタ4aの接続点と接続されており、制御端子1cから抵抗5aを介してバイアス電圧が第1の可変共振器が供給されて、可変容量素子3aの容量値が制御される。
抵抗5bは一端が制御端子1cと接続され、他端が可変容量素子3b及びキャパシタ4bの接続点と接続されており、制御端子1cから抵抗5bを介してバイアス電圧が第2の可変共振器が供給されて、可変容量素子3bの容量値が制御される。
【0013】
インダクタ6aは一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されており、第1のインダクタを構成している。
インダクタ6bは一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されており、第2のインダクタを構成している。
【0014】
次に動作について説明する。
第1の可変共振器は、可変容量素子3aの呈する容量値に応じて共振周波数が変化し、
第2の可変共振器は、可変容量素子3bの呈する容量値に応じて共振周波数が変化する。
第1の可変共振器及び第2の可変共振器の共振周波数が変化することで、入出力端子1aと入出力端子1b間の通過周波数が変化する。
図1の帯域可変フィルタでは、制御端子1cから供給されるバイアス電圧によって、可変容量素子3a及び可変容量素子3bの容量値を変化させることができるので、入出力端子1aと入出力端子1b間の通過周波数を変化させることができる。
【0015】
また、図1の帯域可変フィルタでは、入出力端子1aと第1の可変共振器の伝送線路2aの間にインダクタ6aが接続され、入出力端子1bと第2の可変共振器の伝送線路2bの間にインダクタ6bが接続されており、そのインダクタ6a,6bの接続点が第1及び第2の可変共振器の接地点近傍であるため、高周波数において高い遮断特性を得ることができる。
【0016】
ここで、図2は図1の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
図2において、S11は反射振幅を示し、S21は通過振幅を示している。
S11,S21の線が3本ずつあるのは、可変容量素子3a,3bの容量値を変化させているためである。
この計算例では、通過帯域が約380〜440MHzまで変化している。
一方、図15はインダクタ6a,6bが接続されていない従来の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
双方の電気特性を比べると、この実施の形態1による帯域可変フィルタは、従来の帯域可変フィルタより、遮断帯域(通過帯域以外の周波数)での遮断特性が優れていることが分かる。
【0017】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、一端が接地されている可変容量素子3aの他端と一端が接地されている伝送線路2aの他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されている可変容量素子3bの他端と一端が接地されている伝送線路2bの他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されているインダクタ6aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されているインダクタ6bとを備えるように構成したので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる効果を奏する。
【0018】
即ち、図1の帯域可変フィルタでは、入出力端子1aと第1の可変共振器の伝送線路2aの間にインダクタ6aを接続するとともに、入出力端子1bと第2の可変共振器の伝送線路2bの間にインダクタ6bを接続することで、高周波数での遮断特性を高めることができる効果を奏する。
これにより、高周波数からの干渉信号を抑圧することが可能となる。また、インダクタ6a,6bと可変共振器の接続を接地点から物理的に離すことができるため、ばらつきの少ない回路を得ることが可能となる。
【0019】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による帯域可変フィルタを示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
第1の可変共振器は伝送線路2a及びキャパシタ11aから構成されている。
第1の可変共振器を構成している伝送線路2aは一端が接地されており、他端がキャパシタ11aと接続されている。
第1の可変共振器を構成しているキャパシタ11aは一端が接地されており、他端が伝送線路2aと接続されている。
【0020】
第2の可変共振器は伝送線路2b及びキャパシタ11bから構成されている。
第2の可変共振器を構成している伝送線路2bは一端が接地されており、他端がキャパシタ11bと接続されている。
第2の可変共振器を構成しているキャパシタ11bは一端が接地されており、他端が伝送線路2bと接続されている。
【0021】
可変容量素子12aは一端が入出力端子1aと接続されている。
可変容量素子12bは一端が入出力端子1bと接続され、他端が可変容量素子12aの他端と接続されている。
抵抗5は一端が制御端子1cと接続され、他端が可変容量素子12a,12bの他端と接続されており、制御端子1cから抵抗5を介してバイアス電圧が供給されて、可変容量素子12a,12bの容量値が制御される。
【0022】
次に動作について説明する。
図3の帯域可変フィルタでは、入出力端子1aと入出力端子1b間の通過帯域が、第1の可変共振器及び第2の可変共振器の共振周波数によって決定される。
また、図3の帯域可変フィルタでは、入力信号が可変共振器側の経路を通る成分と、その入力信号が分岐されて可変容量素子12a,12b側の経路を通る成分との打ち消し合いによって、通過帯域近傍の遮断帯域での遮断量にピークを持たせることができる。
この遮断帯域の周波数は、可変容量素子12a,12bの容量値によって変化させることができる。
【0023】
ここで、図4は図3の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
この計算例では、通過帯域が約420MHzである。
図4より、通過帯域近傍の遮断帯域において、遮断量のピークが生じることが分かる。
図4において、重ね書きしている線は、可変容量素子12a,12bの容量値を変えたときの特性であり、ピークの生じる周波数を変化できることが分かる。
以上のことから、図3の帯域可変フィルタでは、遮断帯域で良好な遮断特性が得られる。
【0024】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、一端が接地されているキャパシタ11aの他端と一端が接地されている伝送線路2aの他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタ11bの他端と一端が接地されている伝送線路2bの他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されているインダクタ6aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されているインダクタ6bと、一端が入出力端子1aと接続されている可変容量素子12aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が可変容量素子12aの他端と接続されている可変容量素子12bとを備えるように構成したので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる効果を奏する。
【0025】
即ち、図3の帯域可変フィルタでは、入出力端子1aと入出力端子1bを可変容量素子12a,12bで直結することによって、通過帯域近傍での遮断特性を高めることができる効果を奏する。
これにより、通過帯域近傍における干渉信号を抑圧することが可能となる。
【0026】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3による帯域可変フィルタを示す構成図であり、図において、図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
伝送線路21aは一端が入出力端子1aと接続され、他端がキャパシタ23aを介して可変容量素子22aと接続されている。
可変容量素子22aは一端が接地されており、他端がキャパシタ23aを介して伝送線路21aと接続されている。なお、伝送線路21aと可変容量素子22aから第1の可変反射回路が構成されている。
【0027】
伝送線路21bは一端が入出力端子1bと接続され、他端がキャパシタ23bを介して可変容量素子22bと接続されている。
可変容量素子22bは一端が接地されており、他端がキャパシタ23bを介して伝送線路21bと接続されている。なお、伝送線路21bと可変容量素子22bから第2の可変反射回路が構成されている。
【0028】
図5の帯域可変フィルタでは、入出力端子1a,1bの双方に可変反射回路が接続されている例を示しているが、入出力端子1a,1bの少なくとも一方に可変反射回路が接続されていればよい。
【0029】
次に動作について説明する。
図5の帯域可変フィルタでは、第1の可変共振器及び第2の可変共振器が通過帯域を形成し、第1の可変反射回路及び第2の可変反射回路が減衰特性を形成している。
ここで、図6は図5の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
この計算例では、通過帯域が約420MHzであり、220MHz付近と670MHz付近の遮断帯域において、遮断量のピークが生じることが分かる。
図6において、重ね書きしている線は、可変容量素子22a,22bの容量値を変えたときの特性であり、ピークの生じる周波数を変化できることが分かる。
【0030】
図5の帯域可変フィルタでは、220MHz付近の遮断特性が第1の可変反射回路によって形成され、670MHz付近の遮断特性が第2の可変反射回路によって形成されている。
なお、可変反射回路を片方だけにすれば、ピークを1つにすることができ、このような可変反射回路を増やすことによって、減衰特性のピークを増やすことも可能である。
【0031】
以上のことから、図5の帯域可変フィルタでは、遮断帯域で良好な遮断特性が得られる。
なお、インダクタ6a,6bは、高周波数での減衰特性を良好にするとともに、可変反射回路と可変共振器とを分離する役割を果たしている。
これにより、遮断特性にピークを持たせた場合でも、通過帯域内の特性に与える影響を軽減することができる。
【0032】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、一端が接地されているキャパシタ11aの他端と一端が接地されている伝送線路2aの他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタ11bの他端と一端が接地されている伝送線路2bの他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されているインダクタ6aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されているインダクタ6bとを備え、一端が接地されている可変容量素子22と伝送線路21が接続されている可変反射回路が、入出力端子1a,1bの少なくとも一方に接続されているように構成したので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる効果を奏する。
【0033】
即ち、図5の帯域可変フィルタでは、通過帯域よりも低周波数あるいは高周波数の少なくとも一方での遮断特性を高めることができる効果を奏する。
これにより、当該遮断帯域における干渉信号を抑圧することが可能となる。
【0034】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4による帯域可変フィルタを示す構成図であり、図において、図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
可変容量素子31aは一端がキャパシタ32aを介して入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されており、第1の可変容量素子を構成している。
可変容量素子31bは一端がキャパシタ32bを介して入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されており、第2の可変容量素子を構成している。
【0035】
次に動作について説明する。
図7の帯域可変フィルタでは、第1の可変共振器及び第2の可変共振器が通過帯域を形成し、可変容量素子31aが入出力端子1aと第1の可変共振器間の結合量を変え、可変容量素子31bが入出力端子1bと第2の可変共振器間の結合量を変える。
これにより、通過帯域の帯域幅を変化させることができる。
【0036】
ここで、図8は図7の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
この計算例では、通過帯域が約380MHzである。
図8において、重ね書きしている線は、可変容量素子31a,31bの容量値を変えたときの特性であり、通過帯域の帯域幅を変化できることが分かる。
以上のことから、図7の帯域可変フィルタでは、遮断帯域で良好な遮断特性が得られる。
【0037】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、一端が接地されているキャパシタ11aの他端と一端が接地されている伝送線路2aの他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタ11bの他端と一端が接地されている伝送線路2bの他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されている可変容量素子31aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されている可変容量素子31bとを備えるように構成したので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる効果を奏する。
【0038】
即ち、図7の帯域可変フィルタでは、通過帯域近傍での遮断特性を高めることができる効果を奏する。
これにより、当該遮断帯域における干渉信号を抑圧することが可能となる。
【0039】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4に開示している帯域可変フィルタは、適宜組み合わせることが可能である。
例えば、上記実施の形態1による図1の帯域可変フィルタに対して、上記実施の形態2による図3の帯域可変フィルタで用いられる可変容量素子12a,12bを適用させると、図9に示すような帯域可変フィルタになる。
図9の帯域可変フィルタでは、図1及び図3の帯域可変フィルタの特徴である高周波数における良好な遮断特性と、通過帯域近傍における良好な遮断特性とを併せ持つことができる。
【0040】
例えば、上記実施の形態1による図1の帯域可変フィルタに対して、上記実施の形態3による図5の帯域可変フィルタで用いられる第1及び第2の可変反射回路の可変容量素子22a,22bを適用させると、図10に示すような帯域可変フィルタになる。
図10の帯域可変フィルタでは、図1及び図5の帯域可変フィルタの特徴である高周波数における良好な遮断特性と、通過帯域よりも低周波あるいは高周波における良好な遮断特性とを併せ持つことができる。
【0041】
例えば、上記実施の形態1による図1の帯域可変フィルタに対して、上記実施の形態4による図7の帯域可変フィルタで用いられる可変容量素子31a,31bを適用させると、図11に示すような帯域可変フィルタになる。
図11の帯域可変フィルタでは、図1及び図7の帯域可変フィルタの特徴である高周波数における良好な遮断特性と、通過帯域近傍における良好な遮断特性とを併せ持つことができる。
【0042】
ここでは、上記実施の形態1と上記実施の形態2の組み合わせ、上記実施の形態1と上記実施の形態3の組み合わせ、上記実施の形態1と上記実施の形態4の組み合わせについて示したが、他の実施の形態で用いられる可変容量素子を組み合わせることで、各々の特徴を併せ持った帯域可変フィルタを実現することができる。
例えば、図12は上記実施の形態1,2,4で用いられる可変容量素子を組み合わせた帯域可変フィルタであり、図13は上記実施の形態1〜4で用いられる可変容量素子を組み合わせた帯域可変フィルタである。
【0043】
上記のいずれの実施の形態においても、可変容量素子に同一のバイアス電圧を印加することを想定しているが、それぞれの可変容量素子に異なるバイアス電圧を印加することも可能であり、これにより減衰特性のピークの位置や通過帯域での反射特性を任意に調整することができる。
【0044】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1a 入出力端子(第1の入出力端子)、1b 入出力端子(第2の入出力端子)、1c 制御端子、2a,2b 伝送線路、3a,3b 可変容量素子、4a,4b キャパシタ、5,5a,5b 抵抗、6a インダクタ(第1のインダクタ)、6b インダクタ(第2のインダクタ)、11a,11b キャパシタ、12a,12b 可変容量素子、21a,21b 伝送線路(可変反射回路)、22a,22b 可変容量素子(可変反射回路)、23a,23b キャパシタ、31a 可変容量素子(第1の可変容量素子)、31b 可変容量素子(第2の可変容量素子)、32a,32b キャパシタ。
【技術分野】
【0001】
この発明は、遮断帯域で良好な遮断特性が得られる帯域可変フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図14は以下の特許文献1に開示されている従来の帯域可変フィルタを示す構成図である。
この帯域可変フィルタでは、結合回路の通過端子に片側が接地されている可変容量素子が接続されるとともに、その結合回路のアイソレーション端子に片側が接地されている可変容量素子が接続されており、これらの可変容量素子に印加するバイアス電圧を制御することで、通過帯域を制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−94453号公報(段落番号[0018]、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の帯域可変フィルタは以上のように構成されているので、可変容量素子に印加するバイアス電圧を制御することで、通過帯域を制御することができる。しかし、結合回路の周波数選択性のみで、遮断帯域の特性が決まるため、大きな遮断特性が得られないなどの課題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる帯域可変フィルタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る帯域可変フィルタは、一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1のインダクタと、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2のインダクタとを備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1のインダクタと、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2のインダクタとを備えるように構成したので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図2】図1の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図4】図3の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
【図5】この発明の実施の形態3による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図6】図5の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態4による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図8】図7の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態5による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図10】この発明の実施の形態5による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図11】この発明の実施の形態5による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図12】この発明の実施の形態5による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図13】この発明の実施の形態5による帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図14】特許文献1に開示されている従来の帯域可変フィルタを示す構成図である。
【図15】インダクタが接続されていない従来の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による帯域可変フィルタを示す構成図である。
図1において、入出力端子1aは信号を入出力する端子であり、第1の入出力端子を構成している。
入出力端子1bは信号を入出力する端子であり、第2の入出力端子を構成している。
制御端子1cはバイアス電圧を入力する端子である。
【0010】
第1の可変共振器は伝送線路2a及び可変容量素子3aから構成されている。
第1の可変共振器を構成している伝送線路2aは一端が接地されており、他端がキャパシタ4aを介して可変容量素子3aと接続されている。
第1の可変共振器を構成している可変容量素子3aは一端が接地されており、他端がキャパシタ4aを介して伝送線路2aと接続されている。
【0011】
第2の可変共振器は第1の可変共振器と隣接配置されており、伝送線路2b及び可変容量素子3bから構成されている。
第2の可変共振器を構成している伝送線路2bは一端が接地されており、他端がキャパシタ4bを介して可変容量素子3bと接続されている。
第2の可変共振器を構成している可変容量素子3bは一端が接地されており、他端がキャパシタ4bを介して伝送線路2bと接続されている。
なお、第1の可変共振器と第2の可変共振器から結合回路が構成されている。
【0012】
抵抗5aは一端が制御端子1cと接続され、他端が可変容量素子3a及びキャパシタ4aの接続点と接続されており、制御端子1cから抵抗5aを介してバイアス電圧が第1の可変共振器が供給されて、可変容量素子3aの容量値が制御される。
抵抗5bは一端が制御端子1cと接続され、他端が可変容量素子3b及びキャパシタ4bの接続点と接続されており、制御端子1cから抵抗5bを介してバイアス電圧が第2の可変共振器が供給されて、可変容量素子3bの容量値が制御される。
【0013】
インダクタ6aは一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されており、第1のインダクタを構成している。
インダクタ6bは一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されており、第2のインダクタを構成している。
【0014】
次に動作について説明する。
第1の可変共振器は、可変容量素子3aの呈する容量値に応じて共振周波数が変化し、
第2の可変共振器は、可変容量素子3bの呈する容量値に応じて共振周波数が変化する。
第1の可変共振器及び第2の可変共振器の共振周波数が変化することで、入出力端子1aと入出力端子1b間の通過周波数が変化する。
図1の帯域可変フィルタでは、制御端子1cから供給されるバイアス電圧によって、可変容量素子3a及び可変容量素子3bの容量値を変化させることができるので、入出力端子1aと入出力端子1b間の通過周波数を変化させることができる。
【0015】
また、図1の帯域可変フィルタでは、入出力端子1aと第1の可変共振器の伝送線路2aの間にインダクタ6aが接続され、入出力端子1bと第2の可変共振器の伝送線路2bの間にインダクタ6bが接続されており、そのインダクタ6a,6bの接続点が第1及び第2の可変共振器の接地点近傍であるため、高周波数において高い遮断特性を得ることができる。
【0016】
ここで、図2は図1の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
図2において、S11は反射振幅を示し、S21は通過振幅を示している。
S11,S21の線が3本ずつあるのは、可変容量素子3a,3bの容量値を変化させているためである。
この計算例では、通過帯域が約380〜440MHzまで変化している。
一方、図15はインダクタ6a,6bが接続されていない従来の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
双方の電気特性を比べると、この実施の形態1による帯域可変フィルタは、従来の帯域可変フィルタより、遮断帯域(通過帯域以外の周波数)での遮断特性が優れていることが分かる。
【0017】
以上で明らかなように、この実施の形態1によれば、一端が接地されている可変容量素子3aの他端と一端が接地されている伝送線路2aの他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されている可変容量素子3bの他端と一端が接地されている伝送線路2bの他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されているインダクタ6aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されているインダクタ6bとを備えるように構成したので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる効果を奏する。
【0018】
即ち、図1の帯域可変フィルタでは、入出力端子1aと第1の可変共振器の伝送線路2aの間にインダクタ6aを接続するとともに、入出力端子1bと第2の可変共振器の伝送線路2bの間にインダクタ6bを接続することで、高周波数での遮断特性を高めることができる効果を奏する。
これにより、高周波数からの干渉信号を抑圧することが可能となる。また、インダクタ6a,6bと可変共振器の接続を接地点から物理的に離すことができるため、ばらつきの少ない回路を得ることが可能となる。
【0019】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2による帯域可変フィルタを示す構成図であり、図において、図1と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
第1の可変共振器は伝送線路2a及びキャパシタ11aから構成されている。
第1の可変共振器を構成している伝送線路2aは一端が接地されており、他端がキャパシタ11aと接続されている。
第1の可変共振器を構成しているキャパシタ11aは一端が接地されており、他端が伝送線路2aと接続されている。
【0020】
第2の可変共振器は伝送線路2b及びキャパシタ11bから構成されている。
第2の可変共振器を構成している伝送線路2bは一端が接地されており、他端がキャパシタ11bと接続されている。
第2の可変共振器を構成しているキャパシタ11bは一端が接地されており、他端が伝送線路2bと接続されている。
【0021】
可変容量素子12aは一端が入出力端子1aと接続されている。
可変容量素子12bは一端が入出力端子1bと接続され、他端が可変容量素子12aの他端と接続されている。
抵抗5は一端が制御端子1cと接続され、他端が可変容量素子12a,12bの他端と接続されており、制御端子1cから抵抗5を介してバイアス電圧が供給されて、可変容量素子12a,12bの容量値が制御される。
【0022】
次に動作について説明する。
図3の帯域可変フィルタでは、入出力端子1aと入出力端子1b間の通過帯域が、第1の可変共振器及び第2の可変共振器の共振周波数によって決定される。
また、図3の帯域可変フィルタでは、入力信号が可変共振器側の経路を通る成分と、その入力信号が分岐されて可変容量素子12a,12b側の経路を通る成分との打ち消し合いによって、通過帯域近傍の遮断帯域での遮断量にピークを持たせることができる。
この遮断帯域の周波数は、可変容量素子12a,12bの容量値によって変化させることができる。
【0023】
ここで、図4は図3の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
この計算例では、通過帯域が約420MHzである。
図4より、通過帯域近傍の遮断帯域において、遮断量のピークが生じることが分かる。
図4において、重ね書きしている線は、可変容量素子12a,12bの容量値を変えたときの特性であり、ピークの生じる周波数を変化できることが分かる。
以上のことから、図3の帯域可変フィルタでは、遮断帯域で良好な遮断特性が得られる。
【0024】
以上で明らかなように、この実施の形態2によれば、一端が接地されているキャパシタ11aの他端と一端が接地されている伝送線路2aの他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタ11bの他端と一端が接地されている伝送線路2bの他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されているインダクタ6aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されているインダクタ6bと、一端が入出力端子1aと接続されている可変容量素子12aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が可変容量素子12aの他端と接続されている可変容量素子12bとを備えるように構成したので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる効果を奏する。
【0025】
即ち、図3の帯域可変フィルタでは、入出力端子1aと入出力端子1bを可変容量素子12a,12bで直結することによって、通過帯域近傍での遮断特性を高めることができる効果を奏する。
これにより、通過帯域近傍における干渉信号を抑圧することが可能となる。
【0026】
実施の形態3.
図5はこの発明の実施の形態3による帯域可変フィルタを示す構成図であり、図において、図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
伝送線路21aは一端が入出力端子1aと接続され、他端がキャパシタ23aを介して可変容量素子22aと接続されている。
可変容量素子22aは一端が接地されており、他端がキャパシタ23aを介して伝送線路21aと接続されている。なお、伝送線路21aと可変容量素子22aから第1の可変反射回路が構成されている。
【0027】
伝送線路21bは一端が入出力端子1bと接続され、他端がキャパシタ23bを介して可変容量素子22bと接続されている。
可変容量素子22bは一端が接地されており、他端がキャパシタ23bを介して伝送線路21bと接続されている。なお、伝送線路21bと可変容量素子22bから第2の可変反射回路が構成されている。
【0028】
図5の帯域可変フィルタでは、入出力端子1a,1bの双方に可変反射回路が接続されている例を示しているが、入出力端子1a,1bの少なくとも一方に可変反射回路が接続されていればよい。
【0029】
次に動作について説明する。
図5の帯域可変フィルタでは、第1の可変共振器及び第2の可変共振器が通過帯域を形成し、第1の可変反射回路及び第2の可変反射回路が減衰特性を形成している。
ここで、図6は図5の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
この計算例では、通過帯域が約420MHzであり、220MHz付近と670MHz付近の遮断帯域において、遮断量のピークが生じることが分かる。
図6において、重ね書きしている線は、可変容量素子22a,22bの容量値を変えたときの特性であり、ピークの生じる周波数を変化できることが分かる。
【0030】
図5の帯域可変フィルタでは、220MHz付近の遮断特性が第1の可変反射回路によって形成され、670MHz付近の遮断特性が第2の可変反射回路によって形成されている。
なお、可変反射回路を片方だけにすれば、ピークを1つにすることができ、このような可変反射回路を増やすことによって、減衰特性のピークを増やすことも可能である。
【0031】
以上のことから、図5の帯域可変フィルタでは、遮断帯域で良好な遮断特性が得られる。
なお、インダクタ6a,6bは、高周波数での減衰特性を良好にするとともに、可変反射回路と可変共振器とを分離する役割を果たしている。
これにより、遮断特性にピークを持たせた場合でも、通過帯域内の特性に与える影響を軽減することができる。
【0032】
以上で明らかなように、この実施の形態3によれば、一端が接地されているキャパシタ11aの他端と一端が接地されている伝送線路2aの他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタ11bの他端と一端が接地されている伝送線路2bの他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されているインダクタ6aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されているインダクタ6bとを備え、一端が接地されている可変容量素子22と伝送線路21が接続されている可変反射回路が、入出力端子1a,1bの少なくとも一方に接続されているように構成したので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる効果を奏する。
【0033】
即ち、図5の帯域可変フィルタでは、通過帯域よりも低周波数あるいは高周波数の少なくとも一方での遮断特性を高めることができる効果を奏する。
これにより、当該遮断帯域における干渉信号を抑圧することが可能となる。
【0034】
実施の形態4.
図7はこの発明の実施の形態4による帯域可変フィルタを示す構成図であり、図において、図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
可変容量素子31aは一端がキャパシタ32aを介して入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されており、第1の可変容量素子を構成している。
可変容量素子31bは一端がキャパシタ32bを介して入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されており、第2の可変容量素子を構成している。
【0035】
次に動作について説明する。
図7の帯域可変フィルタでは、第1の可変共振器及び第2の可変共振器が通過帯域を形成し、可変容量素子31aが入出力端子1aと第1の可変共振器間の結合量を変え、可変容量素子31bが入出力端子1bと第2の可変共振器間の結合量を変える。
これにより、通過帯域の帯域幅を変化させることができる。
【0036】
ここで、図8は図7の帯域可変フィルタの電気特性の計算例を示す説明図である。
この計算例では、通過帯域が約380MHzである。
図8において、重ね書きしている線は、可変容量素子31a,31bの容量値を変えたときの特性であり、通過帯域の帯域幅を変化できることが分かる。
以上のことから、図7の帯域可変フィルタでは、遮断帯域で良好な遮断特性が得られる。
【0037】
以上で明らかなように、この実施の形態4によれば、一端が接地されているキャパシタ11aの他端と一端が接地されている伝送線路2aの他端とが接続されている第1の可変共振器と、第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタ11bの他端と一端が接地されている伝送線路2bの他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が入出力端子1aと接続され、他端が第1の可変共振器の伝送線路2aと接続されている可変容量素子31aと、一端が入出力端子1bと接続され、他端が第2の可変共振器の伝送線路2bと接続されている可変容量素子31bとを備えるように構成したので、遮断帯域で良好な遮断特性を得ることができる効果を奏する。
【0038】
即ち、図7の帯域可変フィルタでは、通過帯域近傍での遮断特性を高めることができる効果を奏する。
これにより、当該遮断帯域における干渉信号を抑圧することが可能となる。
【0039】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4に開示している帯域可変フィルタは、適宜組み合わせることが可能である。
例えば、上記実施の形態1による図1の帯域可変フィルタに対して、上記実施の形態2による図3の帯域可変フィルタで用いられる可変容量素子12a,12bを適用させると、図9に示すような帯域可変フィルタになる。
図9の帯域可変フィルタでは、図1及び図3の帯域可変フィルタの特徴である高周波数における良好な遮断特性と、通過帯域近傍における良好な遮断特性とを併せ持つことができる。
【0040】
例えば、上記実施の形態1による図1の帯域可変フィルタに対して、上記実施の形態3による図5の帯域可変フィルタで用いられる第1及び第2の可変反射回路の可変容量素子22a,22bを適用させると、図10に示すような帯域可変フィルタになる。
図10の帯域可変フィルタでは、図1及び図5の帯域可変フィルタの特徴である高周波数における良好な遮断特性と、通過帯域よりも低周波あるいは高周波における良好な遮断特性とを併せ持つことができる。
【0041】
例えば、上記実施の形態1による図1の帯域可変フィルタに対して、上記実施の形態4による図7の帯域可変フィルタで用いられる可変容量素子31a,31bを適用させると、図11に示すような帯域可変フィルタになる。
図11の帯域可変フィルタでは、図1及び図7の帯域可変フィルタの特徴である高周波数における良好な遮断特性と、通過帯域近傍における良好な遮断特性とを併せ持つことができる。
【0042】
ここでは、上記実施の形態1と上記実施の形態2の組み合わせ、上記実施の形態1と上記実施の形態3の組み合わせ、上記実施の形態1と上記実施の形態4の組み合わせについて示したが、他の実施の形態で用いられる可変容量素子を組み合わせることで、各々の特徴を併せ持った帯域可変フィルタを実現することができる。
例えば、図12は上記実施の形態1,2,4で用いられる可変容量素子を組み合わせた帯域可変フィルタであり、図13は上記実施の形態1〜4で用いられる可変容量素子を組み合わせた帯域可変フィルタである。
【0043】
上記のいずれの実施の形態においても、可変容量素子に同一のバイアス電圧を印加することを想定しているが、それぞれの可変容量素子に異なるバイアス電圧を印加することも可能であり、これにより減衰特性のピークの位置や通過帯域での反射特性を任意に調整することができる。
【0044】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1a 入出力端子(第1の入出力端子)、1b 入出力端子(第2の入出力端子)、1c 制御端子、2a,2b 伝送線路、3a,3b 可変容量素子、4a,4b キャパシタ、5,5a,5b 抵抗、6a インダクタ(第1のインダクタ)、6b インダクタ(第2のインダクタ)、11a,11b キャパシタ、12a,12b 可変容量素子、21a,21b 伝送線路(可変反射回路)、22a,22b 可変容量素子(可変反射回路)、23a,23b キャパシタ、31a 可変容量素子(第1の可変容量素子)、31b 可変容量素子(第2の可変容量素子)、32a,32b キャパシタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、上記第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が上記第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1のインダクタと、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が上記第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2のインダクタとを備えた帯域可変フィルタ。
【請求項2】
一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、上記第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が上記第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1のインダクタと、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が上記第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2のインダクタと、一端が上記第1の入出力端子と接続され、他端が上記第2の入出力端子と接続されている可変容量素子とを備えた帯域可変フィルタ。
【請求項3】
一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、上記第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が上記第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1のインダクタと、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が上記第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2のインダクタとを備え、一端が接地されている可変容量素子と伝送線路が接続されている可変反射回路が、上記第1の入出力端子及び上記第2の入出力端子のうちの少なくとも一方に接続されていることを特徴とする帯域可変フィルタ。
【請求項4】
一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、上記第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が上記第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1の可変容量素子と、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が上記第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2の可変容量素子とを備えた帯域可変フィルタ。
【請求項5】
一端が第1の入出力端子と接続され、他端が第2の入出力端子と接続されている可変容量素子が設けられていることを特徴とする請求項1、請求項3または請求項4記載の帯域可変フィルタ。
【請求項6】
第1の入出力端子と第1のインダクタの間に第1の可変容量素子が接続され、第2の入出力端子と第2のインダクタの間に第2の可変容量素子が接続されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の帯域可変フィルタ。
【請求項7】
一端が接地されている可変容量素子と伝送線路が接続されている可変反射回路が、第1の入出力端子及び上記第2の入出力端子のうちの少なくとも一方に接続されていることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項4記載の帯域可変フィルタ。
【請求項1】
一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、上記第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されている可変容量素子の他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が上記第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1のインダクタと、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が上記第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2のインダクタとを備えた帯域可変フィルタ。
【請求項2】
一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、上記第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が上記第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1のインダクタと、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が上記第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2のインダクタと、一端が上記第1の入出力端子と接続され、他端が上記第2の入出力端子と接続されている可変容量素子とを備えた帯域可変フィルタ。
【請求項3】
一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、上記第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が上記第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1のインダクタと、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が上記第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2のインダクタとを備え、一端が接地されている可変容量素子と伝送線路が接続されている可変反射回路が、上記第1の入出力端子及び上記第2の入出力端子のうちの少なくとも一方に接続されていることを特徴とする帯域可変フィルタ。
【請求項4】
一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第1の可変共振器と、上記第1の可変共振器と隣接配置されており、一端が接地されているキャパシタの他端と一端が接地されている伝送線路の他端とが接続されている第2の可変共振器と、一端が第1の入出力端子と接続され、他端が上記第1の可変共振器の伝送線路と接続されている第1の可変容量素子と、一端が第2の入出力端子と接続され、他端が上記第2の可変共振器の伝送線路と接続されている第2の可変容量素子とを備えた帯域可変フィルタ。
【請求項5】
一端が第1の入出力端子と接続され、他端が第2の入出力端子と接続されている可変容量素子が設けられていることを特徴とする請求項1、請求項3または請求項4記載の帯域可変フィルタ。
【請求項6】
第1の入出力端子と第1のインダクタの間に第1の可変容量素子が接続され、第2の入出力端子と第2のインダクタの間に第2の可変容量素子が接続されていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の帯域可変フィルタ。
【請求項7】
一端が接地されている可変容量素子と伝送線路が接続されている可変反射回路が、第1の入出力端子及び上記第2の入出力端子のうちの少なくとも一方に接続されていることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項4記載の帯域可変フィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−217089(P2012−217089A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−81973(P2011−81973)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]