説明

帯状部材のガイド装置

【課題】端末部を柔軟なエッジテープでフレアー貼りされたエッジテープ付き帯状部材を精度良く位置決めできるガイド装置を提供する。
【解決手段】本発明のガイド装置は、帯状部材の端部にエッジテープを上下から挟むようにして被せて貼り合わせたエッジテープ付き帯状部材において、帯状部材の端部を被うエッジテープの貼り合わせ部の段差部で、エッジテープ同士の貼り合わせ部をエッジテープの上下に配置したガイドローラーで挟みこむとともに、段差部の端部を帯状部材の中心側幅方向に押さえることにより位置決めすることができる。また、エッジテープの上下に配置したガイドローラーは、帯状部材の移動方向に複数配置されるとともに帯状部材の移動方向に回転自在であり、上下のガイドローラーの間の隙間および傾斜角度をエッジテープ付帯状部材の段差部に合わせて調整することができることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状スチール部材等の帯状部材の端末処理に用いられるエッジテープを貼りつけたエッジテープ付き帯状部材の位置決めを精度良く行ない、センタリング可能なガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤにおいて、ベルト層、カーカス層、サイド補強層、フィニッシング部材(ビード補強層など)のようにゴム被覆された複数本のスチールコード等を含む帯状のタイヤ補強部材(スチール部材等)が使用されている。これらタイヤ補強部材は、一般に、複数本のスチールコードや有機繊維コード等を引き揃えた状態でゴム被覆してカレンダー材を形成し、該カレンダー材を長手方向に対して所定の角度で切断した後、複数枚の切断片をスチールコード等の切断端がエッジ部に位置するように継ぎ合わせることによって加工されている。
【0003】
このようなタイヤ補強部材はエッジ部にスチールコード等の切断端が存在するためゴムとコードとのセパレーションを生じ易いという欠点がある。そこで、タイヤ補強部材のエッジ部に該タイヤ補強部材のコートゴムと同種の材料からなるエッジテープやゴムシートを貼り合わせ、エッジ部でのセパレーションの発生を抑制し、空気入りタイヤの耐久性を向上するようにしている。
【0004】
このような帯状スチール部材等の帯状部材の端末処理としてエッジテープと呼ばれる薄いゴムシートを貼りつける方法として、Uターン貼りおよびフレアー貼りの2種類の方法がある。図3は、Uターン貼りおよびフレアー貼りの構造を模式的に示した図である。Uターン貼りは、図3(a)に示すように、スチールベルト(スチール部材)111のエッジ部を覆い隠すようにゴム製のエッジテープ112をU字状に折り曲げて貼り合わせる。このUターン貼りにおいては、ゴム製のエッジテープ112を含んだスチールベルト材111の剛性が高いため、この部材の位置決め(センタリング)方法として部材のエッジ方向(縦状)に配した板状のガイド板あるいは縦状に配置したフリーローラーで矯正する方法が一般に用いられている。たとえば、図3(a)に示すように、板状のガイド板115(115−1、115−2)をエッジテープ112(112−1、112−2)の外側から押し当てスチールベルト111の位置決めおよびセンタリングを行なうことができる。(特許文献1)
【0005】
一方、フレアー貼りは、図3(b)に示すように、スチールベルトのエッジ部に2枚の薄いゴムシートであるエッジテープ113および114を上下から貼り合わせる方法であり、Uターン貼りのような折り曲げる工程および装置が不要であるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−041254号公報
【特許文献2】特開2003−181949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、フレアー貼りは、スチールベルトの端末部(エッジ部)が柔軟な薄いゴムシートとなるため、Uターン貼りに使用されるような板状のガイド板を使用する方法では精度良くガイドすることができない。すなわち、図3(b)に示すように、フレアー貼りの場合、フレアー貼りしたエッジテープの外側端部115(115−1、115−2)は柔軟な薄いゴムシートが存在しているので、図3(a)に示すような板状ガイドでエッジテープ113(113−1、113−2)および114(114−1、114−2)の外側から押さえつけてもこれらのエッジテープが折り曲がったりして変形して正確な位置出しができない。
【0008】
そこで、部材の端部(エッジテープ)をフォトセンサーやカメラ等によって検出し位置決めを行なう方法がある。たとえば、特許文献2において、搬送コンベヤ上を流れるトレッドの状態を撮影するCCDカメラと、撮影された画像データからトレッドの両端部の位置を検出してトレッドのセンター位置を算出してトレッドのセンタリングを行うことが開示されているが、これを応用して、フレアー貼りしたエッジテープ付きのスチール部材の端部(エッジテープ)をフォトセンサーやカメラ等によって検出し位置決めを行なう方法が考えられる。しかし、この方法では、タイヤの特性上重要なスチール部材端末部を検出していないので、エッジテープの貼り精度に大きく影響するという問題があり、正確な位置決めやセンタリングが困難である。さらに、この問題を解決するための装置や特別の方法が必要になり、結局作製時間や手間や費用がさらに必要になり、総コストが高くなるという問題がある。また、これまでの先行文献においては、フレアー貼りしたエッジテープ付きの帯状部材についての位置決めやセンタリング方法や装置に関する開示は殆どない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フレアー貼りのようなスチールベルト等の端末部(エッジ部)が柔軟な薄いゴムシートで被覆されているエッジテープ付きの帯状部材であっても、精度良く位置合わせができるガイド方法およびガイド装置を提供する。上記問題点を解決するために、本発明は具体的に以下に示す特徴を有する。
(1)本発明は、帯状部材の端部にエッジテープを上下から挟むように被せて貼り合わせたエッジテープ付き帯状部材において、帯状部材端部を被うエッジテープの貼り合わせ部の段差部で、エッジテープ同士の貼り合わせ部を、エッジテープの上下に配置したガイドローラーで挟みこむことにより位置決めすることを特徴とするガイド装置である。
(2)本発明は、さらに、エッジテープの貼り合わせ部において、エッジテープの上下に配置したガイドローラーで段差部の端部を帯状部材の幅方向の中心側方向に押さえることにより位置決めすることを特徴とするガイド装置である。
【0010】
(3)本発明は、(1)および(2)に加えて、エッジテープの上方に配置した上側ガイドローラーは帯状部材の移動方向に複数配置されるとともに回転自在であり、またエッジテープの下方に配置した下側ガイドローラーは帯状部材の移動方向に複数配置されるとともに回転自在であり、さらに上側ガイドローラーおよび下側ガイドローラーの隙間および傾斜角度を、前記帯状部材および前記エッジテープに合わせて調整可能であることを特徴とし、特にエッジテープの厚みおよびエッジテープの貼り合わせ部における段差部に合わせて調整可能であることを特徴とするガイド装置である。
(4)本発明は、(1)〜(3)に加えて、エッジテープ付き帯状部材のエッジテープの貼り合わせ部における段差部にガイドローラーが当接して、帯状部材の移動に従いガイドローラーが回転しながら位置決めをすることを特徴とし、さらに、上側ガイドローラーおよび/または下側ガイドローラーは帯状部材に対して垂直方向に昇降可能であり、これにより上側ガイドローラーおよび下側ガイドローラーの間の隙間間隔を調整できることを特徴とするガイド装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガイド装置によれば、帯状部材の端部における帯状部材およびエッジテープの貼り合わせ部の段差において、貼着したエッジテープの上下からエッジテープをガイドローラーで挟み込みこみ、さらに帯状部材の幅方向において、帯状部材の両側または片側の端末部に配置されたガイドローラーによって段差部における帯状部材の端部を被うエッジテープを幅方向に押さえるので、帯状部材の位置決めを精度良く行なうことができる。さらに、帯状部材の上下左右に配置されたガイドローラーは、ガイドローラー間の隙間を調整できるので、異なった厚みや幅を有するエッジテープや帯状部材に対しても対応して位置決めすることができる。フレアー貼りを用いて作製したエッジテープ付帯状部材においては、帯状部材の両端部を覆うエッジテープが柔軟なため充分な位置決めガイドができなかったが、本発明のガイド装置を用いることにより精度の良い位置決めを行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の位置決めガイド装置の一例を示す図である。
【図2】図2は、円錐台形状のガイドローラーを有するガイド装置を示す図である。
【図3】図3は、Uターン貼りおよびフレアー貼りの構造を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、タイヤ製造時に用いられる帯状のスチール部材等の帯状部材の端末処理として使用されるエッジテープと呼ばれる薄いゴムシートを貼り付けたフレアー貼りしたエッジテープ付き帯状部材を精度よく位置決めするガイド装置に関する。図1は、本発明の位置決めガイド装置の一例を示す図である。図1に示す本発明のガイド装置20は、帯状部材11の両側端部にエッジテープ(12、13および14、15)を上下から挟むようにして被せて貼り合わせた(いわゆるフレアー貼りを行なった)上下2枚のエッジテープ付き帯状部材11において、帯状部材11の両側の端部を被うエッジテープ(12、13および14、15)の貼り合わせ部の段差部で、エッジテープ同士の貼り合わせ部をエッジテープの上下に配置したガイドローラー(21および22、並びに23および24)で挟みこむとともに段差部の端部を帯状部材11の中心側幅方向に押さえることにより位置決めすることを特徴とする。
【0014】
また、図1に示す本発明のガイド装置20において、エッジテープ(12、14)の上方に配置した上側ガイドローラー(21、23)は、帯状部材11の移動方向(図1において紙面に垂直方向)に複数配置されるとともに帯状部材11の移動方向に回転自在であり、エッジテープ(13、15)の下方に配置した下側ガイドローラー(22、24)は帯状部材11の移動方向に複数配置されるとともに帯状部材11の移動方向に回転自在であり、上側ガイドローラー(21、23)および下側ガイドローラー(22、24)の間の隙間および傾斜角度をエッジテープ付帯状部材11の段差部に合わせて調整することができることを特徴とする。
【0015】
また、図1に示す本発明のガイド装置20において、帯状部材11は、搬送台16上にセットされ、帯状部材11の幅方向と垂直な方向(図1において紙面に垂直方向で奥側から表面側への方向)に移動し、当該移動に従い上側ガイドローラー(21、23)および下側ガイドローラー(22、24)が当該移動方向へ回転しながら、帯状部材11のセンタリングが行なわれることを特徴とする。さらに、図1に示す本発明のガイド装置において、上側ガイドローラー(21、23)および/または下側ガイドローラー(22、24)は帯状部材11に対して垂直方向に昇降可能であり、これにより上側ガイドローラー(21、23)および下側ガイドローラー(22、24)の間の隙間を調整できることを特徴とする。
【0016】
図1に示すように、本発明の帯状部材11の位置決め用ガイド装置20において、上下1対のガイドローラー21および22を帯状部材11の幅方向における一方の端部側(図1の左側)に配置し、上下1対のガイドローラー23および24を帯状部材11の幅方向における他方の端部側(図1の右側)に配置している。帯状部材11は搬送台16上に載置され、搬送台16の送り機構により帯状部材の幅方向と略直角方向に(図1では、紙面と垂直方向で表面側に)移動するようになっている。搬送台の送り機構としては、回転ローラー、ベルトコンベア、回転ベアリング、搬送ボール等種々選択できる。帯状部材11の幅方向の一方の端部側(図1の左側)は、エッジテープ12および13が貼着され、帯状部材11のエッジ(側面)を被覆している。帯状部材のエッジ(側面)より内側上面にエッジテープ12が貼着し、帯状部材のエッジ(側面)より内側下面にエッジテープ13が貼着している。また帯状部材のエッジ(側面)より外側ではエッジテープ12(上側)とエッジテープ13(下側)が直接貼着している。
【0017】
従って、帯状部材11のエッジ(側面)では段差部(上側エッジテープ12はエッジ(側面)で段差部43、下側エッジテープ13はエッジ(側面)で段差部44)が形成される。帯状部材11の幅方向の他方の端部側(図1の右側)は、エッジテープ14および15が貼着され、帯状部材11のエッジ(側面)を被覆している。それらの状態は左側と同様であり、帯状部材11のエッジ(側面)では段差部(上側エッジテープ14はエッジ(側面)で段差部31、下側エッジテープ15はエッジ(側面)で段差部32)が形成される。以上のエッジテープ貼り付け法はフレアー貼りである。
【0018】
ガイドローラー21において、ガイドローラー21の回転部25は台座球26に載置され、台座球26は支持台27に固定されている。回転部25および台座球26の中心軸(または中心支柱)28に対して、ガイドローラー21の回転部25は回転自在である。この構造において、台座球26を中心軸28に固定させてガイドローラー21の回転部25が台座球26の周囲を回転する。ガイドローラー21の中心軸28は支持台27に対して移動(回転等)できるようになっていて、ガイドローラー21の中心軸に垂直な回転部25の底面30と帯状部材11の幅方向(水平面)との角度βは台座球26で決まっている。この角度βは可変させる事も可能で、角度βを一定にしながらガイドローラー21の回転部25を中心軸28の周囲に回転できる。
【0019】
支持台27は横移動支持部材33に固定されており、この横移動支持部材33を帯状部材11の幅方向(横方向または水平方向)に移動可能である。この横移動支持部材33の移動によってガイドローラー21も角度βを一定にしながら横移動することができる。横移動支持部材33の移動は、下側の左側横移動支持部材34と、右側の上側横移動支持部材35の移動は、下側の右側横移動支持部材36と連動して横移動させることができる。さらに、これらの横移動支持部材34〜36の連動した移動によりセンタリングすることもできる。たとえば、左側の上側移動部材33と右側の上側移動部材35を連動させて、左側の上側移動部材33がxだけ横に移動したとき、右側の上側移動部材35を−xだけ横に移動させることにより、これらの上側移動部材33および右側の上側移動部材35の中心は移動しないのでセンタリング可能となる。
【0020】
横移動支持部材(左側の上側横移動支持部材)33は縦移動支持部材(左側の上側縦移動支持部材)37につながり、縦移動支持部材37は帯状部材11の幅方向と垂直方向(鉛直方向)に移動することができるので、これと連動して横移動支持部材33は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動することができる。すなわち、ガイドローラー21は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動可能で、言い換えればガイドローラー21は昇降可能である。同様に下側の左側横移動支持部材34は下側の左側縦移動支持部材38につながり、縦移動支持部材38は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動することができるので、これと連動して横移動支持部材34は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動することができる。すなわち、ガイドローラー22は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動可能で、言い換えればガイドローラー22は昇降可能である。
【0021】
右側のガイドローラー23および24も同様である。上側の右側横移動支持部材35は上側の右側縦移動支持部材39につながり、縦移動支持部材39は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動することができるので、これと連動して横移動支持部材35は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動することができ、ガイドローラー23は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動可能で、言い換えればガイドローラー23は昇降可能である。下側の右側横移動支持部材36は下側の右側縦移動支持部材40につながり、縦移動支持部材40は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動することができるので、これと連動して横移動支持部材36は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動することができ、ガイドローラー24は帯状部材11の幅方向と垂直方向に移動可能で、言い換えればガイドローラー24は昇降可能である。
【0022】
以上のように、ガイドローラー21〜24は、帯状部材11の幅方向と垂直方向(縦方向または上下方向)に個別に昇降可能である。従って、ガイドローラー21〜24は個々に昇降距離(高さ)を設定することもできる。たとえば、左右のガイドローラー21および23、あるいは左右のガイドローラー22および24の高さをそろえて同時に移動させることも可能である。また、ガイドローラー21および22、あるいはガイドローラー23および24を互いに逆方向に同距離だけ移動させて、エッジテープ12〜15に同時に接触させたり、同時に離したりすることも可能である。また、決められた間隔で上下のガイドローラー21および22の隙間を設定し保持することができ、この隙間の高さを精度よく設定することができる。
【0023】
たとえば、帯状部材11の厚みの中心の高さからエッジテープ12の厚み分だけガイドローラー21の最下部(回転部25の外周角部29に相当)を降下させてその位置で停止することができ、また帯状部材11の厚みの中心の高さからエッジテープ13の厚み分だけガイドローラー22の最上部(回転部42の外周角部41に相当)を上昇させてその位置で停止することができるので、ガイドローラー21の回転部25の外周角部29とガイドローラー22の回転部42の外周角部41の間にエッジテープ12および13を接触しながら挟んで、しかもエッジテープ12および13には殆ど圧力を与えずに保持することができるとともに、さらにガイドローラー21の回転部25の外周角部29とガイドローラー22の回転部42の外周角部41との中間位置の高さが帯状部材11の厚さの中心高さと一致させることができる。また、ガイドローラー23および24についても同様の動作を行なうことができる。
【0024】
また、搬送台16も帯状部材11の幅方向と垂直方向(縦方向または上下方向)に調整(昇降)可能となっており、搬送台上の帯状部材11を横方向にも上下方向にも移動することができる。さらに、搬送台16は帯状部材11の幅方向に対して角度も変えて傾斜させることが可能で、帯状部材11が水平に対して傾いているときには搬送台16の傾斜を変えて水平状態に修正することができる。
【0025】
以上のように、本発明のガイドローラーは横(水平)移動機構、縦(鉛直昇降)移動機構を有しているので、上下のガイドローラーを所望の位置に配置することが可能である。たとえば、左側の上側ガイドローラー21の外周角部29を上側のエッジテープ12に接触させた位置に対して、左側の下側ガイドローラー22の外周角部41を下側のエッジテープ13の同じ位置に接触させることが可能である。図1においては、帯状部材11の周りに上下左右に4つのガイドローラー21〜24が配置されているが、帯状部材の移動方向(紙面と垂直方向)にも上下左右に4つのガイドローラーを1組としたガイドローラー群が複数組配置されている。すなわち、21と同じガイドローラーが上側の左側部において帯状部材の移動方向に複数台配列されている。また、22と同じガイドローラーが下側の左側部において帯状部材の移動方向に複数台配列されている。さらに、23と同じガイドローラーが上側の右側部において帯状部材の移動方向に複数台配列されており、24と同じガイドローラーが下側の右側部において帯状部材の移動方向に複数台配列されている。それぞれの組における4つのガイドローラーを用いてエッジテープ付き帯状部材11の位置決めおよびセンタリングが行なわれて、エッジテープ付き帯状部材11が搬送台16を紙面奥側から表側へ移動する。
【0026】
次にエッジテープ付き帯状部材11の位置決めおよびセンタリングの方法について説明する。フレアー貼りしたエッジテープ付き帯状部材11を搬送台16上に配置し移動させる。フレアー貼りしたエッジテープにおいて、上下のエッジテープ(図1では12および13、あるいは14および15)は、オフセットされて貼り合わされても良いし、オフセット無しで貼り合わされても良い。フレアー貼りしたエッジテープ付き帯状部材11はリールに巻かれた状態の長尺部材として供給される。その場合はリールから巻き離された帯状の長尺部材を搬送台16へ導く。あるいは、フレアー貼りしたエッジテープ付き帯状部材11は個別に切断された短尺状の帯状部材であっても良く、その場合は当該帯状部材の幅方向を搬送台の幅方向と合わせて搬送台に載置して移動させれば良い。帯状部材の幅方向における両側のエッジテープでカバーされている端部は、ガイドローラーで上下から挟むので搬送台16には載置されていない。従って搬送台16の幅は帯状部材11の幅より小さく設計される。種々の幅の帯状部材に対応するには、搬送台の幅を可変にして、帯状部材の端部側が搬送台に載置されないようにすれば良い。
【0027】
帯状部材11を位置決めする前は、搬送台16の所定位置に設置されたガイド装置20において、ガイドローラー21および23は、搬送台16を幅方向に跨いだ場所でガイドローラー22および24と上下に離れた状態になっている。搬送台上を帯状部材11が移動してきて、上側のガイドローラー21および23とガイドローラー22および24との間に、帯状部材11の両サイドに貼りつけたエッジテープ(左側はエッジテープ12および13、右側はエッジテープ14および15)がそれぞれ配置される。逆にガイドローラー21〜24が移動して搬送台16上の帯状部材11の端部に貼着されたエッジテープの上下に配置されても良い。
【0028】
ガイド装置20の左側部において、上側ガイドローラー21は上側のエッジテープ12上に配置され、下側ガイドローラー22は下側のエッジテープ13の下に配置される。この状態では上下のガイドローラー21および22はエッジテープ12および13と接触していない。ガイドローラー21および22が最初に接触する部分である回転部25の外周角部29および(ガイドローラー22の)回転部42の外周角部41の位置(水平方向位置)はほぼ同じ所にある。
【0029】
これらの外周角部29および41の位置を帯状部材11の端面よりも外側におくとき、ガイドローラー21は下降してエッジテープ12および13が直接貼着されている部分でエッジテープ12の上面に接触する。またガイドローラー22は上昇していきエッジテープ12および13が直接貼着されている部分でエッジテープ13の下面に接触する。これらのガイドローラー21および22の動作はほぼ同時に行なわれ各エッジテープに接触するときもほぼ同時になるように制御される。また、エッジテープ12および13を貼着したときの厚みから、ガイドローラー21および22の隙間(外周角部29および41の間隔に等しい)の距離をあらかじめ設定しておけば、接触するタイミングをほぼ正確に把握できる。あるいは接触センサーを用いて接触するタイミングを把握することもできる。
【0030】
また、ガイドローラー21および22の隙間の中間の高さは、好適には、帯状部材の厚さの中間の位置における高さと等しくする。このようにすれば、ガイドローラー21がエッジテープ12の上面に接触し、ガイドローラー22がエッジテープ13の下面に接触してもこれらのエッジテープにガイドローラー21および22で挟んだことによる押圧を殆どかけないようにすることができ、この後にガイドローラー21および22をエッジテープに接触させながら横移動するときにスムーズな移動が可能となり、無理なくエッジテープの段差部側面を押さえることが可能となる。
【0031】
ガイドローラー21および22がエッジテープ12および13にそれぞれ接触したときに、ガイドローラー21の下降およびガイドローラー22の上昇を停止する。次にガイドローラー21を帯状部材11のエッジ端面側に水平移動(帯状部材11の幅方向への横移動)させると、ガイドローラー21の回転部25の外周角部29がエッジテープ12上を接触しながら横移動し、帯状部材11のエッジ端面に貼着したエッジテープ12の段差部43にガイドローラー21の回転部25の外周角部29が接触する。エッジテープ12の段差部43の側面は薄いゴムシートであるから柔らかいが、帯状部材11の端部は、たとえばスチールコードが剥き出しになり帯状部材11の内部で幅方向へ入っているので、帯状部材11の幅方向の剛性はかなり高い。従って、接触したときにガイドローラー21の水平移動に対して抵抗力が大きくなるので、この抵抗力をセンサー等で検知してガイドローラー21がエッジテープ12の段差部43に接触したことを検出することができる。
【0032】
たとえば、右側のガイドローラー23と連動させれば、両方のガイドローラー21および23が段差部に接触して移動に対する抵抗力が大きくなったときに、位置決めが可能となり、センタリングすることができる。尚、ガイドローラー21の回転部25の外周角部29の側面が段差部43の側面部に接触するが、好適には、ガイドローラー21の回転部25の外周角部29の先端部が段差部43の角部(凹部側の)に接触することが望ましい。
【0033】
ガイドローラー22もガイドローラー21の場合と同様に、帯状部材11のエッジ端面側に水平移動(帯状部材11の幅方向への横移動)させると、ガイドローラー42の外周角部41がエッジテープ13の下面を接触しながら横移動し、帯状部材11のエッジ端面に貼着したエッジテープ13の段差部43にガイドローラー21の回転部25の外周角部29が接触する。エッジテープ12の段差部44の側面は薄いゴムシートであるから柔らかいが、帯状部材11の端部は、たとえばスチールコードが剥き出しになり帯状部材11の内部で幅方向へ入っているので、帯状部材11の幅方向の剛性はかなり高い。従って、接触したときにガイドローラー22の水平移動に対して抵抗力が大きくなるので、この抵抗力をセンサーで検知してガイドローラー22がエッジテープ12の段差部44を検出することができる。
【0034】
たとえば、右側のガイドローラー24と連動させれば、両方のガイドローラー22および24が段差部に接触して移動に対する抵抗力が大きくなったときに、位置決めが可能となり、センタリングすることができる。尚、ガイドローラー22の回転部42の外周角部41の底面側が段差部44の側面部に接触するが、好適には、ガイドローラー22の回転部42の外周角部41の底面側における先端部が段差部44の角部(凹部側の)に接触することが望ましい。
【0035】
上側の右側ガイドローラー23は、左側ガイドローラー21と同じ形状のガイドローラーを左右対称となるように配置されるので、この右側ガイドローラー23の動作は左側ガイドローラー21と対称関係の動作である。また、下側の右側ガイドローラー24は、左側ガイドローラー22と同じ形状のガイドローラーを左右対称となるように配置されるので、この右側ガイドローラー24の動作は左側ガイドローラー22と対称関係の動作である。すなわち、以下のようになる。
【0036】
上側ガイドローラー23は上側のエッジテープ14上に配置され、下側ガイドローラー24は下側のエッジテープ15の下に配置される。この状態では上下のガイドローラー23および24はエッジテープ14および15と接触していないが、ガイドローラー23および24が最初に接触する部分である回転部46の外周角部47および(ガイドローラー24の)回転部48の外周角部49の位置(水平方向位置)はほぼ同じ所にある。
【0037】
これらの外周角部47および49の位置を帯状部材11の端面よりも外側におくとき、ガイドローラー23は下降してエッジテープ14および15が直接貼着されている部分でエッジテープ14の上面に接触する。またガイドローラー24は上昇していきエッジテープ14および15が直接貼着されている部分でエッジテープ15の下面に接触する。これらのガイドローラー23および24の動作はほぼ同時に(連動して)行なわれ各エッジテープに接触するときもほぼ同時になるように制御される。また、エッジテープ14および15を貼着したときの厚みから、ガイドローラー23および24の隙間(外周角部47および49の間隔に等しい)の距離をあらかじめ設定しておけば、接触するタイミングをほぼ正確に把握できる。あるいは接触センサーを用いて接触するタイミングを把握することもできる。
【0038】
また、ガイドローラー23および24の隙間の中間の高さは、好適には、帯状部材の厚さの中間の位置における高さと等しくする。このようにすれば、ガイドローラー22がエッジテープ14の上面に接触し、ガイドローラー24がエッジテープ15の下面に接触してもこれらのエッジテープにガイドローラー23および24で挟んだことによる押圧を殆どかけないようにすることができ、この後にガイドローラー23および24をエッジテープに接触させながら横移動するときにスムーズな移動が可能となり、無理なくエッジテープの段差部側面を押さえることが可能となる。
【0039】
ガイドローラー23および24がエッジテープ14および15にそれぞれ接触したときに、ガイドローラー23の下降およびガイドローラー24の上昇を停止する。次にガイドローラー23を帯状部材11のエッジ端面側に水平移動(帯状部材11の幅方向への移動)させると、ガイドローラー23の回転部46の外周角部47がエッジテープ14上を接触しながら横移動し、帯状部材11のエッジ端面に貼着したエッジテープ14の段差部31にガイドローラー23の回転部46の外周角部47が接触する。エッジテープ14の段差部31の側面は薄いゴムシートであるから柔らかいが、帯状部材11の端部は、たとえばスチールコードが剥き出しになり帯状部材11の内部で幅方向へ入っているので、帯状部材11の幅方向の剛性はかなり高い。従って、接触したときにガイドローラー23の水平移動に対して抵抗力が大きくなるので、この抵抗力をセンサーで検知してガイドローラー23がエッジテープ14の段差部31に接触したことを検出することができる。
【0040】
たとえば、左側のガイドローラー21と連動させれば、両方のガイドローラー21および23が段差部31に接触して移動に対する抵抗力が大きくなったときに、位置決めが可能となり、センタリングすることができる。尚、ガイドローラー23の回転部46の外周角部47の側面が段差部31に接触するが、好適には、ガイドローラー23の回転部46の外周角部47の先端部が段差部31の角部(凹部側の)接触することが望ましい。
【0041】
ガイドローラー24もガイドローラー23の場合と同様に、帯状部材11のエッジ端面側に水平移動(帯状部材11の幅方向への移動)させると、ガイドローラー48の外周角部49がエッジテープ15の下面を接触しながら横移動し、帯状部材11のエッジ端面に貼着したエッジテープ15の段差部32にガイドローラー24の回転部48の外周角部49が接触する。エッジテープ15の段差部32の側面は薄いゴムシートであるから柔らかいが、帯状部材11の端部は、たとえばスチールコードが剥き出しになり帯状部材11の内部で幅方向へ入っているので、帯状部材11の幅方向の剛性はかなり高い。従って、接触したときにガイドローラー24の水平移動に対する抵抗力が大きくなるので、この抵抗力をセンサーで検知してガイドローラー24がエッジテープ15の段差部32に接触することを検出することができる。
【0042】
たとえば、左側のガイドローラー22と連動させれば、両方のガイドローラー22および24が段差部に接触して移動に対する抵抗力が大きくなったときに、位置決めが可能となり、センタリングすることができる。尚、ガイドローラー24の回転部48の外周角部49の底面側が段差部32の側面部に接触するが、好適には、ガイドローラー24の回転部48の外周角部49の底面側における先端部が段差部32の角部(凹部側の)に接触することが望ましい。
【0043】
左側における上下のガイドローラー21および22がほぼ連動しながら動作を行なうように、右側における上下のガイドローラー23および24もほぼ連動しながら動作を行なう。さらに上側における左右のガイドローラー21および23もほぼ連動しながら対称関係の動作を行なう。すなわち、上側における左右のガイドローラー21および23の下降のタイミングやエッジテープへの接触のタイミングもほぼ同時に行なわれることが望ましい。さらに、左側のガイドローラー21が帯状部材11のセンター側へ水平方向に移動するタイミングも移動スピードも、右側のガイドローラー23が帯状部材11のセンター側へ水平方向に移動するタイミングと移動スピードとほぼ同じであることが望ましい。この結果、左側のガイドローラー21の回転部25の外周角部29がエッジテープ12の側面部43へ接触するタイミングと、右側のガイドローラー23の回転部46の外周角部47がエッジテープ14の段差部31へ接触するタイミングとをほぼ合わせることができる。
【0044】
左側のガイドローラー21の回転部25の外周角部29がエッジテープ12の段差部43へ接触すると帯状部材11をセンター方向へ押していく。一方、右側のガイドローラー23の回転部46の外周角部47がエッジテープ14の段差部31へ接触すると帯状部材11をセンター方向へ押していく。従って、左右のガイドローラー21および23の両方で帯状部材11のエッジ端面を、エッジテープを挟んで左右から帯状部材11のセンター側へ帯状部材11を押して挟んだ状態になっている。この結果、左右のガイドローラー21および23の中間が帯状部材の中心となり、エッジテープ12および14の段差部43および31の位置決めができたことになり、センタリングが行なわれた(中心位置を把握できた)ことになる。
【0045】
また、下側における左右のガイドローラー22および24もほぼ連動しながら対称関係の動作を行なう。すなわち、下側における左右のガイドローラー22および24の上昇のタイミングやエッジテープへの接触のタイミングもほぼ同時に行なわれることが望ましい。さらに、左側のガイドローラー22が帯状部材11のセンター側へ水平方向に移動するタイミングも移動スピードも、右側のガイドローラー24が帯状部材11のセンター側へ水平方向に移動するタイミングと移動スピードとほぼ同じであることが望ましい。この結果、左側のガイドローラー22の回転部42の外周角部41がエッジテープ13の側面部44へ接触するタイミングと、右側のガイドローラー24の回転部48の外周角部49がエッジテープ15の段差部32へ接触するタイミングとをほぼ合わせることができる。
【0046】
左側のガイドローラー22の回転部42の外周角部41がエッジテープ13の段差部44へ接触すると帯状部材11をセンター方向へ押していく。一方、右側のガイドローラー24の回転部48の外周角部49がエッジテープ15の段差部32へ接触すると帯状部材11をセンター方向へ押していく。従って、左右のガイドローラー22および24の両方で帯状部材11のエッジ端面を、エッジテープを挟んで左右から帯状部材11のセンター側へ帯状部材11を押して挟んだ状態になっている。この結果、左右のガイドローラー22および24の中間が帯状部材の中心となり、エッジテープ13および15の段差部44および32の位置決めができたことになり、センタリングが行なわれた(中心位置を把握できた)ことになる。
【0047】
上述のように、上側における左右のガイドローラー21および23で帯状部材11の位置決めとセンタリングを行なうことができるし、下側における左右のガイドローラー22および24でも帯状部材11の位置決めとセンタリングを行なうことができる。さらに、これら4つのガイドローラー21〜24をすべて連動させることにより、確実な位置決めとセンタリングを行なうことができる。ただし、上下からの挟み込みは必須なので、たとえば上側のガイドローラーだけをエッジテープに接触して、下側のガイドローラーをエッジテープに接触させなければ、エッジテープは柔らかいゴムシート等で形成されているので、上側のガイドローラーのエッジテープへの接触位置が定まらず、また上側ガイドローラーをエッジテープへ接触させながら水平方向へ移動することも困難となるので、精度の良い位置決めとセンタリングを行なうことができない。すなわち、上側ガイドローラーの外周角部と下側のガイドローラーの外周角部が水平方向における位置がほぼ一致してエッジテープを挟み込むようにすることが望ましい。
【0048】
上記の方法では、左右のガイドローラーの中間が帯状部材のセンター位置にはなるが、センター位置が定まらない場合がある。たとえば、最初に搬送台16に帯状部材11を載置した場合にセンター位置がずれてしまうとそのままずれて位置決めやセンタリングが行なわれる可能性がある。さらに左右のガイドローラーのうちどちらかのガイドローラーが先にエッジテープの段差部に接触した場合、ガイドローラーが帯状部材を押して帯状部材の位置をずらす可能性もある。このようなことを防止するために、左右のガイドローラーの中間位置が常に搬送台16の中心になるように、左右のガイドローラーを同期させて移動すれば良い。すなわち、最初の左右のガイドローラーの中間位置を搬送台16の中心に設定して、左右のガイドローラーの水平方向における移動方向を互いに逆向きになるようにし、かつ移動距離を常に等しくなるようにすれば良い。
【0049】
たとえば、上側における左右のガイドローラー21および23の中間位置を搬送台16の中心位置Cと一致させて、左側のガイドローラー21がエッジテープ12上を帯状部材の中心Cへ向かい水平方向にxだけの距離移動した場合、右側のガイドローラー23がエッジテープ14上を帯状部材の中心Cへ向かい水平方向にxだけの距離を移動するようにする。このようにすれば、左右のガイドローラー21および23の中間位置は常に搬送台16の中心位置Cと一致する。搬送台16の一部にフリーローラーやフリーベアリングを配置しておけば、帯状部材11の中心が搬送台16の中心位置Cに最初載置されていなくとも、左右のガイドローラー21または23のどちらかが最初にエッジテープの段差部に接触して帯状部材11をセンター位置Cの方向へ押して移動させて、結局左右のガイドローラー21およびは23が同時にエッジテープの段差部に接触するので、その同時接触のときに帯状部材の幅方向における中心が搬送台16の中心位置Cになるように載置される。
【0050】
搬送台16がフリーローラー等を用いたものではなくとも帯状部材11が搬送台16を幅方向に自在に移動できるようにすれば帯状部材11の中心をCに一致させることができる。たとえば、ベルト搬送の場合は、ベルト上で帯状部材が横方向に少しの力で滑りやすくしておけば良い。また、下側における左右のガイドローラー22および24についても上記と同様にすることにより、ガイドローラー22および24により帯状部材のセンター位置を搬送台の中心位置にすることができる。このように搬送台16にもセンタリング機構(幅方向への自在移動機構)を備えることにより、ガイドローラー群と連動して帯状部材の位置決めおよびセンタリングを行なうことができる。
【0051】
また、好ましくは、上側ガイドローラーを横回転に傾斜させ、下側ガイドローラーは縦回転または縦回転になるように傾斜させる。これにより帯状部材の位置決めやセンタリングや移動がよりスムーズになる。ガイドローラー21における回転部25の底面30は回転部25および台座球26の中心軸28に対して垂直面であるから、回転部25が中心軸28の周りに回転しても底面30と水平面とのなす角度βは一定である。また、ガイドローラー22における回転部42の底面51は、回転部42の中心軸52対して垂直面であるから、回転部42が中心軸52の周りに回転しても底面51と鉛直軸とのなす角度αは一定である。ガイドローラー21の回転部25の外周角部29でエッジテープ12の段差部43を効果的に押さえて位置決めおよびセンタリングを行なうには、βの範囲は35度〜45度の範囲内、好適には40度程度が良い。(外周角部29の角度γは約45度である回転部25を用いたので、β+γの範囲が80度〜90度、好適には約85度が良い。)また、ガイドローラー22の回転部42の外周角部41でエッジテープ13の段差部44を効果的に押さえて位置決めおよびセンタリングを行なうには、αの範囲は0度〜10度の範囲内、好適には5度程度が良い。αおよびβの範囲をこのようにすることにより、ガイドローラーの外周角部の先端部が段差部の角部(凹部側)に効果的に接触する。また、この範囲内にあれば移動する帯状部材に対して、ガイドローラー外周角部の先端部が段差部の角部(凹部側)に当たりながらガイドローラーが回転して、スムーズに帯状部材が移動していくことができる。尚、ガイドローラー23はガイドローラー21と対称関係にあるので、βの範囲が適用される。また、ガイドローラー24はガイドローラー22と対称関係にあるので、αの範囲が適用される。
【0052】
図2は、図1と異なるガイドローラーを用いた実施形態を示す。すなわち、図2は円錐台形状のガイドローラーを有するガイド装置を示す図である。図1と同様の部材は同じ符号を付している。図2に示すガイド装置60には、搬送台16上に配置された帯状部材11の幅方向における両側端末部をフレアー貼りしたエッジテープ(12、13、14、15)付き帯状部材11の上側において左側ガイドローラー61および右側ガイドローラー66、下側において左側ガイドローラー62および右側ガイドローラー64が配置される。ガイドローラー61において、回転部71は円錐台形状をして直接支持台27に半固定または固定されている。円錐台状回転部71は回転部中心軸76の周りに回転自在であり、円錐台状回転部71の底面73は回転部中心軸76に垂直になっているので、円錐台状回転部71の底面73と水平面とのなす角度βは、円錐台状回転部71が回転部中心軸76の周りに回転しても一定となっている。
【0053】
この角度βは、円錐台状回転部71の支持台27における位置を移動させて(たとえば、回転させる)、回転部中心軸76と支持台27との固定角度を変えることにより、変化させることができる。帯状部材11の位置決めに最適な角度を選択して固定すればβは一定となる。あるいは、支持台27が固定されている横移動支持部材33と支持台27との固定角度を変えることによってもβを変化させることができる。円錐台状回転部71の外周角部72は、エッジテープ12の段差部43の凹部において、下側のガイドローラー62の円錐台状回転部74の外周角部75との間でエッジテープ12および13を挟み込み、さらにエッジテープ12の段差部43の側面部(好適には、段差部43の角部(凹部側の))を押さえて、帯状部材11の位置決めおよびセンタリングを行なう。すなわち、円錐台状回転部71の外周角部72の角度γは一定であるから、円錐台状回転部71の外周角部72がエッジテープ12の段差部43に当接し、搬送台16上の帯状部材11の移動に従い図2に示す回転方向へ回転しながら、帯状部材11の位置決めおよびセンタリングを行なうことができる。
【0054】
ガイドローラー62において、回転部74が円錐台形状をして直接支持台53に半固定または固定されている。円錐台状回転部74は回転部中心軸76の周りに回転自在であり、円錐台状回転部71の底面73は回転部中心軸77に垂直になっているので、円錐台状回転部74の底面78と鉛直軸とのなす角度αは、円錐台状回転部74が回転部中心軸77の周りに回転しても一定となっている。
【0055】
この角度αは、円錐台状回転部74の支持台53における位置を移動させて(たとえば、回転させる)、回転部中心軸77と支持台53との固定角度を変えることによって、変化させることができる。帯状部材11の位置決めに最適な角度を選択して固定すればαは一定となる。あるいは、支持台53が固定されている横移動支持部材34と支持台53との固定角度を変えることによってもαを変化させることができる。円錐台状回転部74の外周角部75は、エッジテープ13の段差部44の凹部で上側のガイドローラー61の円錐台状回転部71の外周角部72との間でエッジテープ13および12を挟み込み、さらにエッジテープ13の段差部44の側面部(好適には、段差部44の角部(凹部側の))を押さえて、帯状部材11の位置決めおよびセンタリングを行なう。すなわち、円錐台状回転部74の外周角部75の角度δは一定であるから、円錐台状回転部74の外周角部75がエッジテープ13の段差部44に当接し、搬送台16上の帯状部材11の移動(紙面奥から表面側への移動)に従い図2に示す回転方向へ回転しながら、帯状部材11の位置決めおよびセンタリングを行なうことができる。
【0056】
ガイドローラー63は、ガイドローラー61と左右対称関係にあり、同様の形状および構造であり、その動作もガイドローラー61と対称位置関係で動作する。ガイドローラー63の円錐台状回転部66の外周角部67は、エッジテープ14の段差部31の凹部で下側のガイドローラー64の円錐台状回転部68の外周角部69との間でエッジテープ14および15を挟み込み、さらにエッジテープ14の段差部31の側面部(好適には、段差部31の角部(凹部側の))を押さえて、帯状部材11の位置決めおよびセンタリングを行なう。円錐台状回転部66の外周角部67の角度は一定であるから、円錐台状回転部66の外周角部67がエッジテープ14の段差部31に当接し、搬送台16上の帯状部材11の移動に従い図2に示す回転方向へ回転しながら、帯状部材11の位置決めおよびセンタリングを行なうことができる。
【0057】
ガイドローラー64は、ガイドローラー62と左右対称関係にあり、同様の形状および構造であり、その動作もガイドローラー62と対称位置関係で動作する。ガイドローラー64の円錐台状回転部68の外周角部69は、エッジテープ15の段差部32の凹部で上側のガイドローラー63の円錐台状回転部66の外周角部67との間でエッジテープ15および14を挟み込み、さらにエッジテープ15の段差部32の側面部(好適には、段差部32の角部(凹部側の))を押さえて、帯状部材11の位置決めおよびセンタリングを行なう。円錐台状回転部68の外周角部69の角度は一定であるから、円錐台状回転部68の外周角部69がエッジテープ15の段差部32に当接し、搬送台16上の帯状部材11の移動に従い図2に示す回転方向へ回転しながら、帯状部材11の位置決めおよびセンタリングを行なうことができる。
【0058】
図1で説明したように、帯状部材11の位置決めおよびセンタリングを迅速に精度良く行なうために、βの範囲は35度〜45度(γは約45度)、好適には約40度が良く、あるいはβ+γの範囲は80度〜90度、好適には約85度が良い。また、αの範囲は0〜10度、好適には約5度が良い。図1および図2から分かるように、本発明に用いるガイドローラーの回転部は、回転部の外周角部がエッジテープの段差部の凹部でエッジテープを挟み込み、さらに回転部の外周角部が段差部側面に当接または当接に近い状態で当たることができ、ガイドローラーの回転部が回転したときに回転部の外周角部が常に一定の角度で段差部に接触するような構造を有するものであれば、種々の形状のものを使用することができる。
【0059】
本発明は、フレアー貼りしたエッジテープ付き帯状部材の位置決めおよびセンタリングすることができるガイド装置であるが、帯状部材端面において上下のエッジテープの貼着が不十分で、たとえば上下のエッジテープの間に隙間が生じた場合、あるいは帯状部材端面とエッジテープの間が充分に密着せず隙間が生じている場合などでも、本発明のガイドローラーはエッジテープを挟み込みながら移動し段差部で段差側面部を押さえるので、上下のエッジテープの不十分な貼着を再度密着させ、段差部の帯状端部とエッジテープの不十分な貼着を再度密着させ、これらの密着性を確実に補正することができるという効果もある。また、図1および図2においては帯状部材の両側端部にエッジテープを貼り合わせた(両側)エッジテープ付き帯状部材を示したが、帯状部材の片側だけにエッジテープを貼り合わせた(片側)エッジテープ付き帯状部材にも本発明のガイド装置を適用できる。その場合は、片側のエッジテープに合わせた片側だけにガイドローラーを配置したガイド装置でも良い。
【0060】
尚、明細書のある部分に記載し説明した内容を記載しなかった他の部分においても矛盾なく適用できることに関しては、当該他の部分に当該内容を適用できることも言うまでもない。さらに、上記実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施でき、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことも言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の帯状部材のガイド装置は、フレアー貼りしたエッジテープ付き帯状部材の位置決めやセンタリングに適用することができ、フィニッシングの端部ガイドや長尺帯状部材の端末部ガイド等に使用することができる。
【符号の説明】
【0062】
11・・・帯状部材、12・・・エッジテープ、13・・・エッジテープ、
14・・・エッジテープ、15・・・エッジテープ、16・・・搬送台、
21・・・ガイドローラー、22・・・ガイドローラー、23・・・ガイドローラー、
24・・・ガイドローラー、25・・・回転部、26・・・台座球、
27・・・支持台、28・・・回転部中心軸、29・・・回転部外周角部、
30・・・回転部底面、31・・・エッジテープ段差部、32・・・エッジテープ段差部、
33・・・横移動部材、34・・・左側横移動部材、35・・・上側移動部材、
36・・・横移動部材、37・・・縦移動部材、38・・・縦移動部材、
39・・・縦移動部材、40・・・縦移動部材、41・・・回転部外周角部、
42・・・回転部、43・・・エッジテープ段差部、44・・・エッジテープ段差部、
46・・・回転部、47・・・回転部外周角部、48・・・回転部、
49・・・回転部外周角部、51・・・回転部底面、52・・・回転部中心軸、
61・・・ガイドローラー、62・・・ガイドローラー、63・・・ガイドローラー、
64・・・ガイドローラー、66・・・円錐台状回転部、67・・・回転部外周角部、
68・・・円錐台状回転部、69・・・回転部外周角部、71・・・円錐台状回転部、
72・・・回転部外周角部、73・・・回転部底面、74・・・円錐台状回転部、
75・・・回転部外周角部、76・・・回転部中心軸、77・・・回転部中心軸、
78・・・回転部底面、
111・・・スチールベルト(スチール部材)、112・・・エッジテープ、
113・・・エッジテープ、114・・・エッジテープ、
115・・・エッジテープの外側端部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状部材の端部にエッジテープを上下から挟むように被せて貼り合わせたエッジテープ付き帯状部材において、前記帯状部材端部を被う前記エッジテープの貼り合わせ部の段差部で、前記エッジテープ同士の貼り合わせ部を、前記エッジテープの上下に配置したガイドローラーで挟みこむことにより位置決めすることを特徴とするガイド装置。
【請求項2】
前記エッジテープの貼り合わせ部において、前記エッジテープの上下に配置したガイドローラーで前記段差部の端部を、前記帯状部材の幅方向の中心側方向に押さえることにより位置決めすることを特徴とする、請求項1に記載のガイド装置。
【請求項3】
前記エッジテープの上方に配置した上側ガイドローラーは前記帯状部材の移動方向に複数配置されるとともに回転自在であり、前記エッジテープの下方に配置した下側ガイドローラーは前記帯状部材の移動方向に複数配置されるとともに回転自在であり、前記上側ガイドローラーおよび下側ガイドローラーの隙間および傾斜角度を、前記エッジテープの厚みおよび前記エッジテープの貼り合わせ部における段差部に合わせて調整可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載のガイド装置。
【請求項4】
前記エッジテープ付き帯状部材の前記エッジテープの貼り合わせ部における段差部に前記ガイドローラーが当接して、前記帯状部材の移動に従い前記ガイドローラーが回転しながら位置決めをすることを特徴とする、請求項3に記載のガイド装置。
【請求項5】
前記上側ガイドローラーおよび/または前記下側ガイドローラーは前記帯状部材に対して垂直方向に昇降可能であり、これにより前記上側ガイドローラーおよび下側ガイドローラーの隙間を調整できることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの項に記載のガイド装置。
【請求項6】
センタリング機構を有するとともに帯状部材を載置し移動する搬送台をさらに備えていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの項に記載のガイド装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−43755(P2013−43755A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183143(P2011−183143)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】