説明

帯電ローラ装置

【課題】感光体に形成されるコート層の異常磨耗を防止することのできる帯電ローラ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】感光体200は、アルミシリンダの軸体210に例えば有機系材料により構成された感光体のコート層220が形成されている。感光体のコート層220は、所定の膜厚に達していない感光体の第1のコート層221および所定の膜厚に達している感光体の第2のコート層222で形成されている。帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体は、感光体200に圧接したときに、感光体200の感光体の第1のコート層221に対する荷重を、感光体200の感光体の第2のコート層222に対する荷重よりも低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用したプリンタ、複写機、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられ感光体に接触して該感光体を帯電させる帯電ローラ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンの低価格化と汎用化に伴い、電子写真方式等のレーザプリンタ、複写機といった印刷装置も広く使用されるようになってきている。この印刷装置では、高速化、小型化、高画質化が求められている。また、環境保護の観点からは、印刷装置に関し、低消費電力、定着器のウォーミングアップ時間の短縮、廃トナーレス、高圧帯電時のオゾンレスが追及されている。
【0003】
印刷装置、特にレーザプリンタは、インターフェース部を含むコントローラ部と記録部とを備え、この記録部はレーザ走査露光部と電子写真プロセス部とを備えている。
【0004】
図12は従来の画像形成装置の構成を示す図である。
【0005】
電子写真プロセス部は、図12に示すように、感光体10の表面に電子を付着させ、一定電位にかつ均一に帯電させる帯電装置(帯電プロセス)11と、レーザ光を感光体10に照射することにより、露光部分の電位を低下させて静電潜像を形成する露光装置(露光プロセス)12と、帯電した微小粉体であるトナーを静電潜像に対応させて感光体10へ付着させる現像装置(現像プロセス)13と、感光体10上に形成されたトナー像を中間転写体9に転写する転写ローラ(第1次転写プロセス)14−1と、中間転写体9に転写されたトナー像を紙などの記録媒体に転写する転写ローラ(第2次転写プロセス)14−2と、中間転写体9に転写されずに感光体10に残ったトナーを回収するクリーニング装置(クリーニングプロセス)15−1と、用紙に転写されずに中間転写体9に残ったトナーを回収するクリーニング装置(クリーニングプロセス)15−2と、光を照射することで、感光体10の残留電位を除去して感光体10の表面電位を初期化する除電装置(除電プロセス)16と、記録媒体上のトナーを、熱と圧力をかけて完全に溶融することにより発色させて用紙上に定着させる定着装置(定着プロセス)17と、を有している。
【0006】
なお、感光体10、帯電装置11、露光装置12、現像装置13、転写ローラ14−1、クリーニング装置15−1および除電装置16は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の各々の色(のトナー像)に対応して設けられる。
【0007】
帯電方式としては、放電によるスコロトロン帯電、ファーブラシによる直接帯電等が知られているが、小型、高画質、且つ環境保護の観点から感光体に直接接触して直流電圧と交流電圧とが重畳される帯電ローラによる直接帯電方式が主流になってきている。
【0008】
図13は、従来の帯電ローラの構成を示す図である。
【0009】
帯電ローラ20は、軸体21の外周面上に所定の厚さの導電基層22が設けられているとともに、該導電基層22の外周面上にコーティング層23が設けられている。導電基層22は、弾性体で構成されているので、加工上、両端部がはね上がる。また、コーティング層23の端部にはコート溶液の液溜りが発生し易い。このため、帯電ローラ20の両端部(長手方向の両端部)の最端部24が他の部分よりも大きくなる傾向にある。
【0010】
図14は、電子写真方式等のレーザプリンタ、複写機等の画像形成装置に設けられる感
光体の製法の概略を説明する図である。図15は従来の帯電ローラと感光体との関係を説明する図である。図16は従来の帯電ローラと感光体との関係を説明する図である。
【0011】
図14に示すように、画像形成装置に設けられる感光体30としては、軸体31の外周上に有機系材料により構成されたコート層32が形成されている有機系感光体が用いられる。この有機系感光体30にあっては、コート層32がディッピングにて形成されるために、コーティング液中40に浸漬した軸体31の引き上げ時において、コート層32を与えるコーティング液が自重により下方へ流動し、感光体30の軸方向の上部端部におけるコート層32の膜厚が必然的に下端部側のコート層32の膜厚よりも薄くなる部分(以下、端部薄膜部という)33が発生する。
【0012】
このようなコート層32の膜厚が変化している感光体30に対して、上述したように両端部の最端部24が他の部分よりも大きくなっている構造を有する帯電ローラ20(図13参照)を押圧して接触させた状態で電圧を印加した場合、とくに交流電圧を重畳した状態では、図15に示すように、感光体30の上端部側におけるコート層32の端部薄膜部33において微小空隙34が生じる。そして、この微小空隙34の間で放電現象が発生して、コート層32の端部薄膜部33において異常磨耗が生じる。
【0013】
また、帯電ローラ20のゴム硬度が高く、かつ押圧が高い場合は、押圧と帯電ローラ20の交流重畳による振動による相乗効果によって、感光体30の端部薄膜部33においては、図15に示すように、帯電ローラ20の最端部24との接触に起因して、端部薄膜部33における最端部24に対応する押圧上昇部35の膜厚が画像保障膜厚以下まで他の部分よりも早く磨耗が進行し、その結果、押圧上昇部35の表面電位が低下してカブリが生じるという問題が発生する。
【0014】
このようなコート層32の異常磨耗および押圧上昇部35におけるカブリが生じるという問題の解決策としては、図16に示すように、ディッピング法にてコート層32が形成される感光体30の軸方向の長さを長くして、コート層32の端部薄膜部33を帯電ローラ20との接触領域外になるように形成する方法が考えられる。
【0015】
また、感光体30のコート層32の端部薄膜部33に流れる電流を帯電ローラの導電材料の電極層によって規制して、端部薄膜部33の削れを抑制する帯電ローラもある(特許文献1)。
【0016】
この(特許文献1)に記載された帯電ローラについて図17を参照して説明する。
【0017】
図17は従来の帯電ローラと感光体との関係を説明する図である。
【0018】
帯電ローラ41は、軸体42の外周面上に所定の厚さの導電基層43が設けられており、導電基層43の外周面上に、ロール径方向の内側から外側に、薄肉の電極層44、抵抗調整層45および保護層46が順次、積層形成されている。導電基層43の体積抵抗率は106〜109Ωcmであり、また、電極層44の体積抵抗率は104Ωcm以下である。さらに、帯電ローラ41の軸方向の両側の端部における所定の長さに亘って電極層44が設けられていない部分47が存在している。
【0019】
そして、上記部分47から感光体30のコート層32の端部薄膜部33に流れこむ電流を制限して、端部薄膜部33の削れを抑制する。
【特許文献1】特開平8−137192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、上述した従来の帯電ローラでは、コート層32の製法上の過程で生じた端部薄膜部33が形成されている感光体に当接したときに、その端部薄膜部33との間に生じた微小空隙34での放電や押圧によって端部薄膜部33に異常磨耗が発生し、これにより、この異常磨耗に起因して帯電不良が発生し、さらにこの帯電不良による画像不良が生じるという問題点があった。
【0021】
また、上述した従来の帯電ローラでは、感光体30のコート層32の異常磨耗および押圧上昇部35におけるカブリを防止するために、図16に示したように、感光体30の軸方向の長さを長くして、コート層32の膜厚が薄くなる部分つまり端部薄膜部33を帯電ローラ20との接触領域外になるように形成しなければならず、そのため、長くなった部材分がコストアップの要因となるとともに、感光体30が大きくなる要因となっていた。そのため、従来の帯電ローラでは、感光体の小型化(短尺化)およびコストダウン化、並びにレーザプリンタや複写機等の装置全体の小型化を図ることができないという問題点があった。
【0022】
さらに、上記(特許文献1)に記載された帯電ローラ41では、軸体42上に導電基層43、電極層44、抵抗調整層45および保護層46の積層を形成し、しかも導電基層43とは抵抗値の異なる電極層44を入れて積層を形成しなければならず、帯電ローラ自体が高価なものになるという問題点を有していた。また、帯電ローラ41の端部の形状(図15の最端部24に相当する形状)や押圧によっては、帯電ローラ41の軸方向の両側の端部の部分(電極層44が設けられていない部分)47から感光体30のコート層32の端部薄膜部33に流れこむ電流を制限して、端部薄膜部33の削れ(磨耗)を十分に抑制することができないという問題点を有していた。
【0023】
そこで、本発明は、感光体に形成されるコート層の異常磨耗を防止することのできる帯電ローラ装置を提供することを目的とする。
【0024】
また、本発明は、感光体に形成されるコート層の異常磨耗に起因する帯電不良による画像不良を防止することのできる帯電ローラ装置を提供することを目的とする。
【0025】
さらに、本発明は、感光体の小型化、コストダウン化および長寿命化に寄与することのできる帯電ローラ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
この課題を解決するために、本発明の帯電ローラ装置は、所定の材料による所定の膜厚に達していない第1のコート層および所定の膜厚に達している第2のコート層が表面に形成される感光体に圧接して、該感光体を帯電させる帯電ローラ本体を有する帯電ローラ装置であって、前記帯電ローラ本体は、前記感光体に圧接したときに、前記感光体の前記第1のコート層に対する荷重を、前記感光体の前記第2のコート層に対する荷重よりも低減させる構成としたものである。
【0027】
本発明の好ましい形態において、前記帯電ローラ本体は、前記感光体の前記第1のコート層に当接する部位の径の寸法が前記第1のコート層の傾きに基づく所定の値に設定されている。
【0028】
本発明のさらに好ましい形態において、前記帯電ローラ本体は、前記感光体の前記第1のコート層に当接する部位の硬度が前記感光体の前記第2のコート層に当接する部位の硬度と比較して小さく設定されている。
【0029】
本発明のさらに好ましい形態において、前記帯電ローラ本体は、前記第1のコート層に当接する部位と前記第2のコート層に当接する部位とは異なる部材で形成されている。
【0030】
本発明のさらに好ましい形態において、前記帯電ローラ本体は、前記第1のコート層に当接する部位の部材と前記第2のコート層に当接する部位の部材とは異なる厚さで形成されている。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、帯電ローラ本体と感光体の所定の膜厚に達していない第1のコート層および所定の膜厚に達している第2のコート層との密着性を向上させることができるので、帯電ローラ本体の端部と感光体の第1のコート層との間の微小空隙を無くして当該微小空隙において発生していた放電による第1のコート層の異常磨耗、および帯電ローラ本体の端部による第1のコート層の異常磨耗を防止することができるという有効な効果が得られる。
【0032】
また、本発明によれば、感光体に形成されるコート層の異常磨耗に起因する帯電不良による画像不良を防止することができるという有効な効果が得られる。
【0033】
さらに、本発明によれば、感光体の小型化、コストダウン化および長寿命化に寄与することができるという有効な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明の請求項1に記載の発明は、所定の材料による所定の膜厚に達していない第1のコート層および所定の膜厚に達している第2のコート層が表面に形成される感光体に圧接して、該感光体を帯電させる帯電ローラ本体を有する帯電ローラ装置であって、帯電ローラ本体は、感光体に圧接したときに、感光体の第1のコート層に対する荷重を、感光体の第2のコート層に対する荷重よりも低減させる帯電ローラ装置であり、帯電ローラ本体と感光体の第1のコート層および第2のコート層との密着性を向上させることができるので、帯電ローラ本体の端部と感光体の第1のコート層との間の微小空隙を無くして当該微小空隙において発生していた放電による第1のコート層の異常磨耗、および帯電ローラ本体の端部による第1のコート層の異常磨耗を防止することができるという作用を有する。これにより、感光体に形成されるコート層の異常磨耗に起因する帯電不良による画像不良を防止することができるという作用を有する。また、感光体に形成されるコート層の異常磨耗を防止することができるので、感光体の長寿命化に寄与することができるという作用を有する。さらに、感光体の長手方向の長さを帯電ローラ装置の帯電ローラ本体の長手方向の長さと同等に設定することが可能なので、感光体の小型化およびコストダウン化に寄与することができるという作用を有する。
【0035】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、帯電ローラ本体は、感光体の第1のコート層に当接する部位の径の寸法が第1のコート層の傾きに基づく所定の値に設定されている帯電ローラ装置であり、帯電ローラ本体は、感光体に圧接したときに、感光体の第1のコート層に当接する部位に対する荷重を感光体の第2のコート層に当接する部位に対する荷重よりも低減させることができ、これにより、帯電ローラ本体と感光体の第1のコート層および第2のコート層との密着性を向上させることができるので、帯電ローラ本体の端部と感光体の第1のコート層との間の微小空隙を無くして当該微小空隙において発生していた放電による第1のコート層の異常磨耗、および帯電ローラ本体の端部による第1のコート層の異常磨耗を防止することができるという作用を有する。
【0036】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、帯電ローラ本体は、感光体の第1のコート層に当接する部位の硬度が感光体の第2のコート層に当接する部位
の硬度と比較して小さく設定されている帯電ローラ装置であり、帯電ローラ本体は、感光体に圧接したときに、感光体の第1のコート層に当接する部位に対する荷重を感光体の第2のコート層に当接する部位に対する荷重よりも低減させることができるという作用を有する。これにより、帯電ローラ本体と感光体の第1のコート層および第2のコート層との密着性を向上させることができるので、帯電ローラ本体の端部と感光体の第1のコート層との間の微小空隙を無くして当該微小空隙において発生していた放電による第1のコート層の異常磨耗、および帯電ローラ本体の端部による第1のコート層の異常磨耗を防止することができるという作用を有する。
【0037】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3記載の発明において、帯電ローラ本体は、第1のコート層に当接する部位と第2のコート層に当接する部位とは異なる部材で形成されている帯電ローラ装置であり、帯電ローラ本体が、第1のコート層に当接する部位の部材の硬度が第2のコート層に当接する部位の部材の硬度よりも小さくなるように、当該2つの部位の部材で形成されているときは、帯電ローラ本体は、感光体に圧接したときに、感光体の第1のコート層に当接する部位に対する荷重を感光体の第2のコート層に当接する部位に対する荷重よりも低減させることができるという作用を有する。これにより、帯電ローラ本体と感光体の第1のコート層および第2のコート層との密着性を向上させることができるので、帯電ローラ本体の端部と感光体の第1のコート層との間の微小空隙を無くして当該微小空隙において発生していた放電による第1のコート層の異常磨耗、および帯電ローラ本体の端部による第1のコート層の異常磨耗を防止することができるという作用を有する。
【0038】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項3記載の発明において、帯電ローラ本体は、第1のコート層に当接する部位の部材と第2のコート層に当接する部位の部材とは異なる厚さで形成されている帯電ローラ装置であり、帯電ローラ本体が、第1のコート層に当接する部位の部材の硬度が第2のコート層に当接する部位の部材の硬度よりも小さくなるように、当該2つの部位の部材が異なる厚さで形成されているときは、帯電ローラ本体は、感光体に圧接したときに、感光体の第1のコート層に当接する部位に対する荷重を感光体の第2のコート層に当接する部位に対する荷重よりも低減させることができるという作用を有する。これにより、帯電ローラ本体と感光体の第1のコート層および第2のコート層との密着性を向上させることができるので、帯電ローラ本体の端部と感光体の第1のコート層との間の微小空隙を無くして当該微小空隙において発生していた放電による第1のコート層の異常磨耗、および帯電ローラ本体の端部による第1のコート層の異常磨耗を防止することができるという作用を有する。
【0039】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しつつさらに具体的に説明する。ここで、添付図面において同一の部材には同一の符号を付しており、また、重複した説明は省略されている。なお、ここでの説明は本発明が実施される最良の形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【0040】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における帯電ローラ装置の周辺を示す図、図2は本発明の実施の形態1における帯電ローラ装置の原理を説明する図、図3は図2に示した帯電ローラ装置および感光体の詳細を説明する図、図4は図3に示した帯電ローラ装置および感光体の一部を拡大した図、図5は帯電ローラ本体の外径稜線の傾きを説明する図、図6は帯電ローラ本体の外径稜線の傾きの変化に対する感光体の第1のコート層の磨耗量と印刷枚数との関係を示す図である。
【0041】
図1において、帯電ローラ装置100は、軸体110の外周面上に所定の厚さの弾性体である導電基層120が形成されているとともに、導電基層120の外周面上にコーティ
ング層130が形成されている。また、軸体110にはバネ等の押圧手段140が設けられている。帯電ローラ装置100は、押圧手段140の押圧により感光体200に圧接するように配設されている。
【0042】
感光体200は、アルミシリンダの軸体210に例えば有機系材料により構成された感光体のコート層220が形成されている。この感光体200は、図14を参照して説明した感光体の製法により製作される。
【0043】
感光体200への帯電は、感光体200の軸体210と帯電ローラ装置100の軸体110との間に、電源300により交流電圧を重畳した直流バイアスを印加することにより行われる。
【0044】
ここで、帯電ローラ装置100は、例えば図12に示した従来の印刷装置に設けられる帯電装置11として使用されるものであり、また感光体200は、例えば図12に示した従来の印刷装置に設けられる感光体10として使用されるものである。
【0045】
なお、本明細書においては、導電基層120およびコーティング層130、すなわち導電基層120の外周面上にコーティング層130が形成されている状態のものを帯電ローラ本体と定義する。
【0046】
次に、実施の形態1の帯電ローラ装置100の原理について図2を参照して説明する。
【0047】
帯電ローラ装置100は、感光体200に圧接して、該感光体200を帯電させる帯電ローラ本体(導電基層120およびコーティング層130)を有している。
【0048】
帯電ローラ本体では、導電基層120は、弾性体で形成されているので加工上、両端部がはね上がり、また、コーティング層130の端部にはコート溶液の液溜りが発生し易いので、両端部の最端部が他の部分よりも大きくなる傾向にある。
【0049】
一方、感光体200は、所定の膜厚、例えば少なくとも画像保障膜厚を有する例えば有機系材料により構成された感光体のコート層220が形成されている。なお、感光体の製法により、感光体200の軸方向の一方の側の端部における感光体の第1のコート層221の膜厚は、必然的に他の部分(部位)の感光体の第2のコート層222の膜厚よりも薄くなっている。すなわち、コート層200は、所定の膜厚に達していない感光体の第1のコート層221と所定の膜厚に達している感光体の第2のコート層222とで形成されている。なお、感光体の第1のコート層221は、図12に示した感光体30の端部薄膜部33に対応するものである。
【0050】
そして、上述した帯電ローラ装置100を感光体200に圧接した場合、帯電ローラ本体は、感光体200に圧接したときに、感光体200の所定の膜厚に達していない感光体の第1のコート層221に対する荷重を、感光体200の所定の膜厚に達している感光体の第2のコート層222に対する荷重よりも低減させる。
【0051】
なお、図2において、符号101,102で示される矢印(↓)は、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体が感光体200に圧接したときに帯電ローラ本体から感光体200に加わる荷重を示している。ここで、帯電ローラ装置100は、符号101で示される矢印(↓)の荷重<符号101で示される矢印(↓)の荷重の関係が成立するように設定されている。
【0052】
次に、図2に示した帯電ローラ装置100の感光体200の感光体の第1のコート層2
21に対する荷重の低減について、図3を参照して説明する。なお、図3は、感光体200に帯電ローラ装置100つまり帯電ローラ本体が圧接された状態を示しており、感光体200に圧接される前の帯電ローラの外径陵線160を二点鎖線で表している。
【0053】
帯電ローラ本体における感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する部位(端部)の径(軸体110の中心を基準とする半径)の寸法(以下、帯電ローラの端部外径寸法という)150は、詳細は後述するが、感光体の第1のコート層(端部薄膜部)221の後述する第1のコート層の稜線240の傾きに基づく所定の値に設定されている。これにより、感光体200の感光体の第1のコート層221に対する荷重を感光体200の感光体の第2のコート層222に対する荷重よりも低減させることができる。
【0054】
この場合、感光体200に加わる荷重は、帯電ローラの外径陵線160(図3中の二点鎖線)と感光体200の感光体の外形稜線230との間の距離、すなわち帯電ローラ本体の変形量で表され、感光体200のコート層(感光体の第1のコート層221および感光体の第2のコート層222)220に加わる荷重を反力として表した場合、符号161,162で示される矢印(↑)の方向に作用する力となる。
【0055】
この実施の形態1では、感光体のコート層220における感光体の第1のコート層221に作用する力(符号161で示される矢印(↑)の方向に作用する力)が、感光体の第2のコート層222に作用する力(符号162で示される矢印(↑)の方向に作用する力)よりも小さくなるように、帯電ローラの端部外径寸法150を設定するようにする。
【0056】
すなわち、図4に示すように、感光体のコート層220の感光体の第1のコート層(端部薄膜部)221の第1のコート層の稜線240の傾きと比較して、第1のコート層の稜線240に対応する帯電ローラ本体の外径稜線170の傾きを小さくする。
【0057】
ここで、帯電ローラ本体の外径稜線170の傾きを、図5に示すように、矢印A、矢印Bおよび矢印Cの各々で示される二点鎖線に設定するものとする。この場合、感光体200の感光体の第1のコート層221の第1のコート層の稜線240の傾きと比較して、2倍にした場合の帯電ローラ本体の外径稜線170を矢印Aで示す二点鎖線で示し、また、同一とした場合の帯電ローラ本体の外径稜線170を矢印Bで示す二点鎖線で示し、さらに、1/2倍とした場合の帯電ローラ本体の外径稜線170を矢印Cで示す二点鎖線で示している。
【0058】
矢印A、矢印Bおよび矢印Cの各々で示される二点鎖線の如く設定された傾きの帯電ローラ本体の外径稜線170を有する帯電ローラ本体を感光体200に圧接させて、画像形成処理を行った場合の感光体200の感光体の第1のコート層221の磨耗量(μm)と印刷枚数(枚)との関係(磨耗特性)を、図6に示す。
【0059】
図6において、矢印Aで示される直線は、帯電ローラ本体の外径稜線170の傾きを図5の矢印Aで示される二点鎖線の傾きに設定した場合の磨耗特性を示し、矢印Bで示される直線は、帯電ローラ本体の外径稜線170の傾きを図5の矢印Bで示される二点鎖線の傾きに設定した場合の磨耗特性を示し、矢印Cで示される直線は、帯電ローラ本体の外径稜線170の傾きを図5の矢印Cで示される二点鎖線の傾きに設定した場合の磨耗特性を示している。
【0060】
この図6の矢印Cで示される磨耗特性からは、他の磨耗特性と比較して、感光体200の感光体の第1のコート層221の磨耗量(μm)が少ないことが分かる。
【0061】
すなわち、帯電ローラ本体の外径稜線170の傾きを図5の矢印Cで示される二点鎖線
の傾きに設定した場合に、感光体200の感光体の第1のコート層221の磨耗量(μm)が少ないことは明白である。
【0062】
したがって、実施の形態1では、製作した感光体200の感光体の第1のコート層221の第1のコート層の稜線240の傾きを求め、この感光体の第1のコート層221の第1のコート層の稜線240の傾きに基づいて帯電ローラ装置100の帯電ローラの端部外径寸法150を設定するようにしている。
【0063】
例えば、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体の外径稜線170の傾きを前記求めた第1のコート層の稜線240の傾きの1/2倍の傾きになるように帯電ローラの端部外径寸法150を求め、さらに、この求めた帯電ローラの端部外径寸法150を基に、帯電ローラ本体における感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する部位(帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位)を形成する。
【0064】
これにより、帯電ローラ装置100を感光体200に圧接した場合、帯電ローラ本体は、感光体200に圧接したときに、感光体200の所定の膜厚に達していない感光体の第1のコート層221に対する荷重を、感光体200の所定の膜厚に達している感光体の第2のコート層222に対する荷重よりも低減させることができる。
【0065】
なお、本実施の形態1においては、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体における両端部の帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位が存在するときであっても、少なくとも帯電ローラ本体における感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する端部の帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位について、感光体の第1のコート層221の第1のコート層の稜線240の傾きに基づいて帯電ローラ装置100の帯電ローラの端部外径寸法150を設定すれば良い。
【0066】
勿論、帯電ローラ装置100の生産性および帯電ローラ装置100の画像形成装置への取付けの作業性の観点からは、帯電ローラ本体の両端部の帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位について、感光体の第1のコート層221の第1のコート層の稜線240の傾きに基づいて帯電ローラ装置100の帯電ローラの端部外径寸法150を設定する方が好ましい。
【0067】
以上説明したように、実施の形態1によれば、帯電ローラ装置100の帯電ローラの端部外径寸法150を、感光体200の感光体の第1のコート層221の第1のコート層の稜線240の傾きに基づいて設定、例えば、帯電ローラ本体の外径稜線170の傾きが感光体200の感光体の第1のコート層221の第1のコート層の稜線240の傾きの1/2倍の傾きになるように設定するようにしたので、帯電ローラ装置100を感光体200に圧接した場合、帯電ローラ本体は、感光体200に圧接したときに、感光体200の感光体の第1のコート層221に対する荷重を、感光体200の感光体の第2のコート層222に対する荷重よりも低減させることができる。
【0068】
これにより、帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位と感光体200の感光体の第1のコート層221との密着性が向上するので、微小空隙を無くして当該微小空隙において発生していた放電による感光体の第1のコート層221の異常磨耗、および帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位の最端部(図2参照)による感光体の第1のコート層221の異常磨耗を防止することができる。
【0069】
このため、感光体200の感光体の第1のコート層221の異常磨耗に起因して発生する帯電不良を防止することができるので、帯電不良による画像不良を防止することができる。
【0070】
また、帯電ローラ装置100のコストダウンを図ることができ、さらに感光体200の小型化(短尺化)、コストダウン化、長寿命化に寄与することができる。
【0071】
さらに、感光体200を小型化(短尺化)にすることができるので、レーザプリンタや複写機等の画像形成装置の装置全体の小型化を図ることが可能となる。
【0072】
(実施の形態2)
図7は本発明の実施の形態2における帯電ローラ装置を説明する図、図8は図7に示した帯電ローラ装置の帯電ローラ本体の硬度差による感光体の第1のコート層の磨耗量と印刷枚数との関係を示す図である。
【0073】
図7において、帯電ローラ装置100は、図3に示した実施の形態1の帯電ローラ装置100の構成において、導電基層120を削除し、弾性体である導電基層181,182を追加した構成になっている。なお、図7において、図3に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
【0074】
ところで、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体が感光体200に圧接したときに、感光体200の感光体の第1のコート層221に対する荷重を、感光体200の感光体の第2のコート層222に対する荷重よりも低減させる手段として、上述した実施の形態1では帯電ローラの端部外径寸法150を、感光体200の感光体の第1のコート層221の第1のコート層の稜線240の傾きに基づいて所定の値に変更するようにしている(図4参照)。
【0075】
これに対し、実施の形態2では、感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する部材(導電基層)181と感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する部材(導電基層)182とを異なる材料で形成することにより、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体における感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する導電基層181の硬度を、その帯電ローラ本体における感光体200の感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する導電基層181の硬度と比較して小さく設定するようにしている。
【0076】
ここで、帯電ローラ装置100における感光体200の感光体の第1のコート層221の当接する部分のゴム硬度(テストピース)を、中央部(帯電ローラ本体の導電基層182の中央部)の硬度(JIS−A 47°)、この硬度(47°)から±10°振ったときの硬度(57°、37°)としたとき、の各々のゴム硬度(テストピース)の導電基層181を有する帯電ローラ本体を感光体200に圧接させて、画像形成処理を行った場合の感光体200の感光体の第1のコート層221の磨耗量(μm)と印刷枚数(枚)との関係(磨耗特性)を、図8に示す。
【0077】
この場合、帯電ローラ本体の外径稜線170の傾きは、感光体200の感光体の第1のコート層221の第1のコート層の稜線240の傾きと等しくなるように設定されている(図5の矢印Bで示される二点鎖線)。また、帯電ローラ本体の導電基層182のゴム硬度は47°に設定されている。
【0078】
なお、図8において、矢印Aで示される直線は、導電基層181のゴム硬度(テストピース(JIS−A))を57°に設定した場合の磨耗特性を示し、矢印Bで示される直線は、導電基層181のゴム硬度(テストピース(JIS−A))を47°に設定した場合の磨耗特性を示し、矢印Cで示される直線は、導電基層181のゴム硬度(テストピース(JIS−A))を37°に設定した場合の磨耗特性を示している。
【0079】
この図8の矢印Cで示される磨耗特性からは、他の磨耗特性と比較して、感光体200の感光体の第1のコート層221の磨耗量(μm)が少ないことが分かる。
【0080】
すなわち、帯電ローラ本体の導電基層181のゴム硬度(テストピース(JIS−A))を37°に設定した場合に、感光体200の感光体の第1のコート層221の磨耗量(μm)が少ないことは明白である。
【0081】
なお、本実施の形態2においては、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体における両端部の帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位が存在するときであっても、少なくとも帯電ローラ本体における感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する端部の帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位について、導電基層181と導電基層182とを異なる部材で形成するようにすれば良い。
【0082】
勿論、帯電ローラ装置100の生産性および帯電ローラ装置100の画像形成装置への取付けの作業性の観点からは、帯電ローラ本体の両端部の帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位について、導電基層181と導電基層182とを異なる部材で形成する方が好ましい。
【0083】
以上説明したように、実施の形態2によれば、感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する導電基層181と感光体200の感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する導電基層182とを異なる材料で形成することにより、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体の導電基層181の硬度を、その帯電ローラ本体の導電基層182の硬度と比較して小さく設定するようにしているので、帯電ローラ装置100を感光体200に圧接した場合、帯電ローラ本体は、感光体200に圧接したときに、感光体200の感光体の第1のコート層221に対する荷重を、感光体200の感光体の第2のコート層222に対する荷重よりも低減させることができる。
【0084】
これにより、帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位と感光体200の感光体の第1のコート層221との密着性が向上するので、微小空隙を無くして当該微小空隙において発生していた放電による感光体の第1のコート層221の異常磨耗、および帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位の最端部(図2参照)による感光体の第1のコート層221の異常磨耗を防止することができる。
【0085】
このため、感光体200の感光体の第1のコート層221の異常磨耗に起因して発生する帯電不良を防止することができるので、帯電不良による画像不良を防止することができる。
【0086】
また、帯電ローラ装置100のコストダウンを図ることができ、さらに感光体200の小型化(短尺化)、コストダウン化、長寿命化に寄与することができる。
【0087】
さらに、感光体200を小型化(短尺化)にすることができるので、レーザプリンタや複写機等の画像形成装置の装置全体の小型化を図ることが可能となる。
【0088】
(実施の形態3)
図9は本発明の実施の形態3における帯電ローラ装置を説明する図、図10は図9に示した帯電ローラ装置の帯電ローラ本体の硬度差による感光体の第1のコート層の磨耗量と印刷枚数との関係を示す図、図11は本発明の実施の形態3における帯電ローラ装置の他の例を説明する図である。
【0089】
図9において、帯電ローラ装置100は、図3に示した実施の形態1の帯電ローラ装置100の構成において、導電基層120を削除し、導電基層190を追加した構成になっている。なお、図9において、図3に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
【0090】
導電基層190は、導電基層191と導電基層192とで形成されている。導電基層191は、感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する部材であって、中空構造になっている。一方、導電基層192は、感光体200の感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する部材であって、図3に示した実施の形態1の帯電ローラ装置100の場合と同様に軸体110と密着されている。
【0091】
すなわち、導電基層190においては、導電基層191の厚さ<導電基層192の厚さの関係が成立している。
【0092】
この実施の形態3では、感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する部材(導電基層)191と感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する部材(導電基層)192とを異なる厚さで形成することにより、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体における感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する導電基層191の硬度を、その帯電ローラ本体における感光体200の感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する導電基層192の硬度と比較して小さく設定するようにしている。
【0093】
ここで、帯電ローラ装置100における感光体200の感光体の第1のコート層221の当接する部分(弾性体)の製品のゴム硬度(以下、製品ゴム硬度という)を、中央部(帯電ローラ本体の導電基層192の中央部)の硬度(JIS−A 58°)、この硬度(58°)から10°低くした硬度(48°)としたとき、の各々の製品ゴム硬度の導電基層191を有する帯電ローラ本体を感光体200に圧接させて、画像形成処理を行った場合の感光体200の感光体の第1のコート層221の磨耗量(μm)と印刷枚数(枚)との関係(磨耗特性)を、図10に示す。
【0094】
この場合、帯電ローラ本体の外径稜線170の傾きは、感光体200の感光体の第1のコート層221の第1のコート層の稜線240の傾きと等しくなるように設定されている(図5の矢印Bで示される二点鎖線)。また、帯電ローラ本体の導電基層192の製品ゴム硬度は58°に設定されている。
【0095】
なお、図10において、矢印Aで示される直線は、導電基層(弾性体)191の製品ゴム硬度(JIS−A)を58°に設定した場合の磨耗特性を示している。これは、図3に示した実施の形態1の帯電ローラ装置100の場合の如く、導電基層191を中空構造にしない場合の磨耗特性に相当する。
【0096】
一方、矢印Bで示される直線は、中空構造の導電基層(弾性体)191の製品ゴム硬度(JIS−A)を48°に設定した場合の磨耗特性を示している。
【0097】
この図10の矢印Bで示される磨耗特性からは、他の磨耗特性と比較して、感光体200の感光体の第1のコート層221の磨耗量(μm)が少ないことが分かる。
【0098】
すなわち、帯電ローラ本体の導電基層191を中空構造にして、導電基層191の製品ゴム硬度(JIS−A)を48°に設定した場合に、感光体200の感光体の第1のコート層221の磨耗量(μm)が少ないことは明白である。
【0099】
したがって、図9に示す帯電ローラ装置100の如く、導電基層191の厚さ<導電基層192の厚さの関係が成立するように導電基層190を形成することにより、導電基層191の製品ゴム硬度48°<導電基層192の製品ゴム硬度58°の関係が成立する。
【0100】
次に、実施の形態3の帯電ローラ装置100の他の例について図11を参照して説明する。
【0101】
図11において、帯電ローラ装置100は、図3に示した実施の形態1の帯電ローラ装置100の構成において、軸体110を削除し、軸体193を追加した構成になっている。なお、図11において、図3に示した構成要素と同様の機能を果たす部分には同一の符号を付している。
【0102】
軸体193は、感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する軸体193aと、感光体200の感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する軸体193bとで構成されている。
【0103】
そのため、導電基層120は、軸体193aに対応する導電基層120aと、軸体193bに対応する導電基層120bとで構成されることになる。
【0104】
すなわち、図9に示した帯電ローラ装置100では、その導電基層191を中空構造にすることで、感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する導電基層191と感光体200の感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する導電基層192とを異なる厚さに形成するようにしている。
【0105】
これに対し、図11に示す帯電ローラ装置100では、感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する軸体193aの外径を感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する軸体193bの外径よりも小さくすることで、感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する導電基層120aと感光体200の感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する導電基層120bとを異なる厚さに形成している。
【0106】
すなわち、導電基層120においては、導電基層120aの厚さ>導電基層120bの関係が成立している。
【0107】
これにより、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体の帯電ローラ本体の外径稜線170の部位の帯電ローラの表面硬度を低下させるようにしている。
【0108】
この図11に示す例においても、帯電ローラ装置100における感光体200の感光体の第1のコート層221の当接する部分(帯電ローラ本体の外径稜線170の部位)の帯電ローラの表面硬度を、中央部(帯電ローラ本体の導電基層120bの中央部)の帯電ローラ本体の表面硬度(JIS−A 58°)に設定した場合と、軸体193aの外径を軸体193bの外径よりも小さくすることで、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体の外径稜線170の部位の表面硬度を48°とした場合の、各々の帯電ローラ本体の表面硬度の導電基層120を有する帯電ローラ本体を感光体200に圧接させて、画像形成処理を行った場合の感光体200の感光体の第1のコート層221の磨耗量(μm)と印刷枚数(枚)との関係(磨耗特性)は、図10に示す磨耗特性の結果と同一の結果となった。
【0109】
したがって、図11に示す帯電ローラ装置100の如く、導電基層120aの厚さ>導電基層120bの厚さの関係が成立するように軸体193を形成することにより、導電基層120aに対応する帯電ローラ本体の表面硬度48°<導電基層120bに対応する帯
電ローラ本体の表面硬度58°の関係が成立する。
【0110】
なお、本実施の形態3においては、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体における両端部の帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位が存在するときであっても、少なくとも帯電ローラ本体における感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する端部の帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位について、導電基層191(または導電基層120a)と導電基層192(導電基層120b)とを異なる厚さで形成するようにすれば良い。
【0111】
勿論、帯電ローラ装置100の生産性および帯電ローラ装置100の画像形成装置への取付けの作業性の観点からは、帯電ローラ本体の両端部の帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位について、導電基層191(または導電基層120a)と導電基層192(導電基層120b)とを異なる厚さ形成する方が好ましい。
【0112】
以上説明したように、実施の形態3によれば、感光体200の感光体の第1のコート層221に当接する部位に対応する導電基層191(または導電基層120a)と、感光体200の感光体の第2のコート層222に当接する部位に対応する導電基層192(または導電基層120b)とを異なる厚さで形成することにより、帯電ローラ装置100の帯電ローラ本体の導電基層191の製品ゴム硬度(または導電基層120aに対応する帯電ローラ本体の表面硬度)を、その帯電ローラ本体の導電基層192の製品ゴム硬度(または導電基層120bに対応する帯電ローラ本体の表面硬度)と比較して小さく設定するようにしているので、帯電ローラ装置100を感光体200に圧接した場合、帯電ローラ本体は、感光体200に圧接したときに、感光体200の感光体の第1のコート層221に対する荷重を、感光体200の感光体の第2のコート層222に対する荷重よりも低減させることができる。
【0113】
これにより、帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位と感光体200の感光体の第1のコート層221との密着性が向上するので、微小空隙を無くして当該微小空隙において発生していた放電による感光体の第1のコート層221の異常磨耗、および帯電ローラ本体の外径稜線170に対応する部位の最端部(図2参照)による感光体の第1のコート層221の異常磨耗を防止することができる。
【0114】
このため、感光体200の感光体の第1のコート層221の異常磨耗に起因して発生する帯電不良を防止することができるので、帯電不良による画像不良を防止することができる。
【0115】
また、帯電ローラ装置100のコストダウンを図ることができ、さらに感光体200の小型化(短尺化)、コストダウン化、長寿命化に寄与することができる。
【0116】
さらに、感光体200を小型化(短尺化)にすることができるので、レーザプリンタや複写機等の画像形成装置の装置全体の小型化を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、帯電ローラ本体を感光体に圧接したときに、感光体の所定の膜厚に達していない第1のコート層に対する荷重を、感光体の所定の膜厚に達している第2のコート層に対する荷重よりも低減させる帯電ローラ装置としたものであり、帯電ローラ本体を感光体の第2のコート層まで密着させることができるので、感光体の長手方向全体を有効活用することができ、これにより感光体の小型化(短尺化)、コストダウン化、長寿命化を図ることができるという効果を奏し、電子写真等の画像形成装置における感光体に帯電を行う帯電ローラに広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の実施の形態1における帯電ローラ装置の周辺を示す図
【図2】本発明の実施の形態1における帯電ローラ装置の原理を説明する図
【図3】図2に示した帯電ローラ装置および感光体の詳細を説明する図
【図4】図3に示した帯電ローラ装置および感光体の一部を拡大した図
【図5】帯電ローラ本体の外径稜線の傾きを説明する図
【図6】帯電ローラ本体の外径稜線の傾きの変化に対する感光体の第1のコート層の磨耗量と印刷枚数との関係を示す図
【図7】本発明の実施の形態2における帯電ローラ装置を説明する図
【図8】図7に示した帯電ローラ装置の帯電ローラ本体の硬度差による感光体の第1のコート層の磨耗量と印刷枚数との関係を示す図
【図9】本発明の実施の形態3における帯電ローラ装置を説明する図
【図10】図9に示した帯電ローラ装置の帯電ローラ本体の硬度差による感光体の第1のコート層の磨耗量と印刷枚数との関係を示す図
【図11】本発明の実施の形態3における帯電ローラ装置の他の例を説明する図
【図12】従来の画像形成装置の構成を示す図
【図13】従来の帯電ローラの構成を示す図
【図14】従来の感光体の製法を説明する図
【図15】従来の帯電ローラと感光体との関係を説明する図
【図16】従来の帯電ローラと感光体との関係を説明する図
【図17】従来の帯電ローラと感光体との関係を説明する図
【符号の説明】
【0119】
100 帯電ローラ装置
110 軸体
120 導電基層
120a 導電基層
120b 導電基層
130 コーティング層
140 押圧手段
150 帯電ローラの端部外径寸法
160 帯電ローラの外径陵線
170 帯電ローラ本体の外径稜線
181 導電基層
182 導電基層
190 導電基層
191 導電基層
192 導電基層
193 軸体
193a 軸体
193b 軸体
200 感光体
220 感光体のコート層
221 感光体の第1のコート層
222 感光体の第2のコート層
230 感光体の外形稜線
240 第1のコート層の稜線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の材料による所定の膜厚に達していない第1のコート層および所定の膜厚に達している第2のコート層が表面に形成される感光体に圧接して、該感光体を帯電させる帯電ローラ本体を有する帯電ローラ装置であって、
前記帯電ローラ本体は、
前記感光体に圧接したときに、前記感光体の前記第1のコート層に対する荷重を、前記感光体の前記第2のコート層に対する荷重よりも低減させることを特徴とする帯電ローラ装置。
【請求項2】
前記帯電ローラ本体は、
前記感光体の前記第1のコート層に当接する部位の径の寸法が前記第1のコート層の傾きに基づく所定の値に設定されていることを特徴とする請求項1記載の帯電ローラ装置。
【請求項3】
前記帯電ローラ本体は、
前記感光体の前記第1のコート層に当接する部位の硬度が前記感光体の前記第2のコート層に当接する部位の硬度と比較して小さく設定されていることを特徴とする請求項1記載の帯電ローラ装置。
【請求項4】
前記帯電ローラ本体は、
前記第1のコート層に当接する部位と前記第2のコート層に当接する部位とは異なる部材で形成されていることを特徴とする請求項3記載の帯電ローラ装置。
【請求項5】
前記帯電ローラ本体は、
前記第1のコート層に当接する部位の部材と前記第2のコート層に当接する部位の部材とは異なる厚さで形成されていることを特徴とする請求項3記載の帯電ローラ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−126408(P2006−126408A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−313590(P2004−313590)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】