帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置
【課題】 電子写真方式のローラ帯電において、部品の寸法精度を上げることなく、ギャップ変動による画像濃度ムラを低減することができ、かつその電位を簡単に高精度で制御でき、部品コストを抑制することができ、更にオゾン発生の極端な低減が可能であるようにする。
【解決手段】 移動する像担持体面に対向し非接触近接配置された帯電部材に、直流電圧のみを印加して前記帯電部材と前記像担持体面との間に放電を生じさせて当該像担持体を帯電する帯電装置において、出力画像が所定の濃度差となる感光体電位差を△V、ギャップ間隔(μm)に対する感光体帯電電位の変化量をd(V/μm)とし、帯電部材と像担持体の空隙変動をIとした時、△V≧I・dの関係を満たすようにする。
【解決手段】 移動する像担持体面に対向し非接触近接配置された帯電部材に、直流電圧のみを印加して前記帯電部材と前記像担持体面との間に放電を生じさせて当該像担持体を帯電する帯電装置において、出力画像が所定の濃度差となる感光体電位差を△V、ギャップ間隔(μm)に対する感光体帯電電位の変化量をd(V/μm)とし、帯電部材と像担持体の空隙変動をIとした時、△V≧I・dの関係を満たすようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に使用可能な帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置では、静電潜像形成のため、露光前に感光体や誘電体等の静電像担持体表面を帯電することが行われている。
帯電装置としては、タングステンワイヤーに高電圧を印加して発生するコロナ放電により帯電を行なうスコロトロン方式、コロトロン方式を用いたものが広く採用されている。しかし、この帯電方式では、大電力を要する上に、高電圧印加による大気中でのコロナ放電により多量のオゾンや窒素酸化物(NOx)が発生するという問題があった。
【0003】
そこで、近年は、コロナ放電を利用しないで帯電部材を像担持体に接触させる接触型の帯電手段が多く提案されている(例えば特許文献1参照)。
この帯電方式では、帯電ローラに印加する電圧が低いので、オゾンの発生量が非常に少ないという利点があり、近年、複写機、プリンタで採用が進められている。
この接触型の帯電手段では、上記コロナ放電を用いた帯電手段の場合に挙げた多くの問題点が解消される。
【0004】
しかしながら、この接触型の接触ローラ帯電方式の場合には、感光体との接触を安定化させるため、帯電ローラはゴムや樹脂で構成されるが、そのゴムや樹脂中の低分子量成分の染み出しによる感光体への汚染や、帯電ローラと感光体との接触部の歪みなどにより、画像に感光体ピッチや帯電ローラピッチの横スジが生じるといった問題があった。
また帯電ローラを接触させているため、感光体上に残ったトナーや紙紛等が帯電ローラへ付着し帯電ローラを汚染するという問題があった。
さらに、像流れと呼ばれる異常画像の発生や像担持体の摩耗量が増大するなどの問題も発生している。
【0005】
そこで、最近、帯電部材(実質的な帯電を行う部分)と像担持体表面との間に微小ギャップを設けることにより、帯電部材が像担持体表面に接触して帯電部材が汚れる不具合を抑制し、或いは像担持体表面が早期に劣化する不具合を防止することが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
またギャップ距離の変化で帯電電位が変化し、異常画像となってしまうという課題を解決するために、帯電器の放電面に微小な凹凸を設けることで、安定放電を行うことが提案されている(例えば特許文献3参照)。
これにより、ギャップ幅(ギャップ距離)の変動があった場合でも異常画像の生じない均一帯電を可能としている。
しかし、特許文献3に記載の発明は、放電の安定性のために微小な凹凸を必要としている。この凹凸は、放電という過酷な条件にさらされているなど、経時的に変化し、凹凸が消滅することがある。凹凸がなくなると、初期の効果を得ることができず、均一帯電が出来なくなる。つまり、長期にわたって均一な帯電を行うことが難しいという問題がある。さらに、均一帯電可能な微小な凹凸の範囲が限定されているため、生産工程が難しく、コストがかかる。
【0007】
また、帯電バイアス印加方式には、DC電圧印加方式と、DCとAC電圧の重畳印加方式(以下「DC+AC重畳方式」または「DC+AC重畳タイプ」ということがある)とがある。
DC電圧印加方式は、ギャップ変動による帯電電位のばらつき、放電の安定性などの問題により、実用化が難しい。
DCとAC電圧の重畳印加方式は、DC電圧方式に比べギャップ変動に対して帯電電位の安定性、放電の安定性に関して強いことが知られている。
このため、DC+AC重畳方式が、非接触帯電の場合には、適した方式だと考えられている。
【0008】
しかしながら、感光体へのダメージに関しては、AC電圧印加方式の方が大きいことが知られている。また、帯電部での放電によりコロナチャージャと同様に放電生成物が多く生成される。これは、DC+AC重畳タイプがDC放電より放電回数が格段に多いためだと考えられる。
また、印加電圧に交流を用いるDC+AC重畳タイプの場合には、騒音の発生も問題になっている。
【0009】
このギャップ変動に対し、DC電圧印加方式では、このギャップ変動を低減するために、帯電ローラの端部の部材と感光体とを接触させることでギャップを安定させる手段も提案されている。しかし、帯電ローラ及び感光体の寸法誤差を抑えるには製造上限界があり、また、部品コストも増大する。
【特許文献1】特開昭63−7380号公報
【特許文献2】特開2002−55508号公報
【特許文献3】特開平7−287433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、非接触DC帯電方式では帯電部材と感光体とのギャップ変動(ギャップ間距離変動)により帯電電位に差が発生する。この電位差が現像プロセスで画像を形成したときにトナーの付着量に差を生じ、これによって画像ムラが発生する。また、帯電ローラや感光体の偏芯による周期的なギャップムラが顕著に現れ、これが画像ムラとなる。この偏芯を抑えるために、帯電ローラや感光体等の寸法精度が厳しく求められることになり、部品コストの増大を引き起こすという問題が発生する。
【0011】
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、部品の寸法精度を上げることなく、ギャップ変動による画像濃度ムラを低減することができ、かつその電位を簡単に高精度で制御でき、部品コストを抑制することができ、更にオゾン発生の極端な低減が可能である帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、移動する像担持体面に対向し非接触近接配置された帯電部材に、直流電圧のみを印加して上記帯電部材と上記像担持体面との間に放電を生じさせて当該像担持体を帯電する帯電装置において、出力画像が所定の濃度差となる感光体電位差を△V、ギャップ間隔(μm)に対する感光体帯電電位の変化量をd(V/μm)とし、帯電部材と像担持体の空隙変動をIとした時、下記式(1)
△V≧I・d ・・・(1)
の関係を満たすことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の帯電装置であって、上記出力画像の濃度差に上記式(1)の関係を満たした感光体電位差△Vでの像担持体への書き込みにより所望の画像を得ることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の帯電装置であって、得られる上記画像はデジタル画像であり、上記出力画像の濃度差は、解像度を調整することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載に記載の帯電装置であって、上記帯電ローラと像担持体を有する画像形成装置は、複数の潜像解像度を可変とする画像モードを備え、上記帯電ローラと像担持体との距離を該解像度に応じて変更することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4記載の帯電装置であって、上記帯電部材と像担持体の距離を変化させることで、形成する画像を調整可能であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の帯電装置を備えた作像ユニットであって、少なくとも当該帯電装置と像担持体とが一体的に組まれて画像形成装置本体に着脱自在に構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の作像ユニットであって、さらに上記像担持体に接触部材が一体化され、画像形成装置本体に着脱自在に構成されている作像ユニットを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の作像ユニットであって、上記像担持体が、アモルファスシリコン系表面層を有する感光体またはフィラーを分散した表面層を有する感光体であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、請求項6から8のいずれか1項に記載の作像ユニットを備えた画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、部品の寸法精度を上げることなく、ギャップ変動による画像濃度ムラを低減することができ、かつその電位を簡単に高精度で制御でき、部品コストを抑制することができ、更にオゾン発生の極端な低減が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明に係る帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置を適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る帯電装置の一例を備える画像形成装置の作像部を中心に説明するための概略構成図である。この図において、感光体ドラム1の周囲には、帯電ローラ2と、現像手段3と、転写手段4と、クリーニングユニット6と、除電ランプ(QL)7等が配設されている。
帯電ローラ2には、クリーニングブラシ(ブラシローラ)8が付設されている。また符号9は定着装置である。
本例では、クリーニングユニット6はクリーニングローラにブラシローラを付設したものを示したが、このクリーニングユニットとして、ブレードタイプであってもよい。
【0023】
図2は、帯電ローラ2近傍の拡大図である。この図に示すように、帯電ローラ2は、感光体ドラム1に対して微小ギャップgを持たせて帯電ローラ2は対向配置されている。帯電ローラ2には、直流電圧(一例として−1.5kV)の帯電バイアスが印加されている。
通常、帯電ローラ2の回転方向は、ギヤ等の駆動機構(不図示)により感光体ドラム1の回転方向(図中時計回り)と逆方向の回転(図中反時計回り)となるように設けられるが、感光体ドラム1と同方向に回転させても構わない。また、ここではギヤを介しているが駆動伝達はどのような手段を介してもよく、またどちらを従動としてもよい。
帯電ローラ2の回転速度は、感光体ドラム1の線速と同じにするのが感光体との磨耗を考慮すると望ましいが、感光体線速より遅くしてもよく、速くすると帯電ローラの振動によるギャップ変動により帯電が不安定になる場合が生じるので注意が必要である。
本例では、帯電ローラ2にクリーニングブラシ8を付設しており、帯電ローラ2に付いたトナー等の汚れを除去するようにしている。またこの汚れはギャップ量により異なるためクリーニングブラシ8を不要としてもよい。
【0024】
図3は、帯電ローラ2の構成を示す断面図である。
本実施形態における帯電手段は、像担持体(感光体)表面に対向配置される帯電部材を有するものである。その帯電部材は適宜な形態に構成できるものであるが、本実施例では当該帯電部材が帯電ローラとして構成されている。
【0025】
このような帯電部材は、図3に示すように、円柱状に形成された導電性の芯金2aと、その芯金2aに固定された円筒状の中抵抗層2bと、帯電ローラの外周面に積層された表層2cとを有している。
芯金2aは、例えば、直径が4〜20mm程度のステンレス鋼やアルミニウムなどの高い剛性と導電性を有する金属材料や、1×103Ω・cm以下、好ましくは1×102Ω・cm以下の体積抵抗率を有する高剛性の導電性樹脂などによって構成される。本例では芯金2aが帯電ローラ2の芯軸を構成している。
中抵抗層2bの体積抵抗率は104〜109Ω・cm程度に設定され、その厚さは例えば1〜2mm程度に設定される。
表層2cの体積抵抗率は106〜1011Ω・cm程度に設定され、この表層の体積抵抗率は中抵抗層2bの体積抵抗率よりも多少高くなっていることが好ましい。表層2cの厚さは、例えば10μm程度である。
【0026】
図4は帯電ローラ2と感光体ドラム1のギャップを形成する構成を示す側面図である。この図に示すように、帯電ローラ2の軸方向両端部近傍の位置で、帯電ローラ2の周面にスペーサ部材2dを巻装することで微小ギャップを形成している。ここでは、スペーサ部材としてテープ状のものを用いているが、コロ等によりギャップを形成しても構わない。
【0027】
帯電ローラ2の各部を構成する材料の具体例を列挙する。
スペーサ部材2dを構成するテープの材料としては、無機材料または有機材料が挙げられ、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属及びその酸化物、Fe―Ni合金、ステンレス鋼、Co―Al合金、Ni鋼、ジュラルミン、モネル、インコネルなどの金属合金、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びその共重合体(例えばPFA、FEP)などのフッ素樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂などを挙げることができる。
特にトナーが固着し難い離型性の高い材料を用いることが好ましい。また、テープ状にして導電材料を用いるときは、その表面に絶縁層又は半抵抗体層をコートするなどして、テープと像担持体との間を絶縁する。
【0028】
中抵抗層2bは、ベース材とこれに分散された導電剤により構成され、そのベース材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)及びその共重合体(AS、ABS)などのスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル系樹脂など、加工性のよい汎用樹脂を用いることができる。
【0029】
中抵抗層2bの導電剤としては、過酸化リチウムなどのアルカリ金属塩、過塩素酸ナトリウムなどの過塩素酸塩、テトラブチルアンモニウム塩などの4級アンモニウム塩、高分子型導電剤などのイオン系導電剤を用いることができ、またケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックを用いることもできる。
【0030】
表層2cもベース材に導電剤を分散した材料から構成でき、そのベース材としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂などの適宜な材料を用いることができ、特にトナーが固着し難い材料を選択することが好ましい。
表層2cの導電材としては、ケッチェンブラックやアセチレンブラックなどのカーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズなどの金属酸化物などから成る電子伝導性導電剤、またはその他の適宜な導電剤を用いることができる。ただし、帯電ローラ2の材料を上述の各材料に限定するものではない。
【0031】
ここで、本実施形態を、具体的な実施例により、さらに説明する。
【実施例1】
【0032】
リコー株式会社製複写機商品名CX9000を用いて、像担持体の線速を185mm/secで、ギャップと帯電電位の関係を測定した。
帯電ローラと感光体のギャップとを、帯電ローラ端部のギャップ規制材を変更しながら帯電ローラへ直流電圧を印加した。そのときの感光体電位との関係を測定した。
【0033】
図5は各ギャップにおける印加電圧と感光体帯電電位の関係を示す。
図5に示すように、印加電圧を大きくするとギャップ間隔の変動に対する感光体帯電電位の変化量である傾きが小さくなる。この値をギャップ依存率dと定義する。
また、所定の感光体の帯電電位を得るにはギャップ幅が大きいほど高電圧を要することを示す。
図6は印加電圧別のギャップと感光体電位の関係から、所定の感光体電位となるギャップとギャップ依存率の関係をしめす。図6には、感光体電位が700Vとなる場合のギャップとギャップ依存率との関係を示す。
図6に示すように、ギャップ間隔が大きくなると、このギャップ間隔の変動に対して感光体電位の変化が小さくなる。
【0034】
また図7は、この装置を用いて印刷工程を実行して印刷した画像内の濃度差と、その印刷工程の際の感光体電位差との関係を示す。
出力画像はアナログ方式と解像度の異なるデジタル方式で出力した画像を評価した。
各チャートは、共に画像濃度はX−Rite社製のX−Rite938で測定した濃度が約0.3とした。
【0035】
この結果から画像濃度差が0.1以内であれば、知覚的にその差を認識しないため、許容可能な画像濃度差が0.1であるとした範囲内が、感光体電位の許容電位差であることがわかる。
また図7により、デジタル画像はアナログ方式より感光体帯電電位の濃度差を許容できる電位差が大きいことがわかる。
これは、ギャップ間隔の変動による感光体の帯電電位の変化量が同等の場合には、デジタル画像はアナログ画像よりも濃度変化が小さいことを示している。
また、同じデジタル方式でも解像度によって電位差の画像濃度差への影響が異なり、解像度を小さくすると許容電位差が大きくなることがわかる。
これは、レーザービームでドット形成し潜像とするデジタル方式の特性であり、その形成されたドットが解像度の大きさに反比例し、解像度の小さいデジタル方式のドットはその大きさが大きいため影響を受けにくいためと考えられる。
【0036】
例えば、アナログ方式での許容濃度差を満足する感光体の許容電位差△Vは約30Vとなり、前述したギャップ依存率dで割ると、濃度差0.1を許容できるギャップ変動を算出できる。
また、製造上、一般的な寸法精度の場合、ギャップ変動lは100μmの変動をもつ。この時のギャップ変動100μmを限界とした場合、下記式のようになる。
感光体許容電位差30V/100μm=ギャップ依存率0.3V/μm
よって、ギャップ変動を100μmとすると、ギャップ依存率dは、0.3V/μmが必要となる。なお寸法精度をギャップ変動50μmと向上させた場合には、ギャップ依存率dは0.6V/μmとなり、ギャップ余裕度は大きくなる。
【0037】
デジタル方式においては同様に以下のようになる。
600dpi:
60V/100μm=ギャップ依存率0.6V/μm、対応ギャップ間隔は約4mm
300dpi:
80V/100μm=ギャップ依存率0.8V/μm、対応ギャップ間隔は約3mm
150dpi:
120V/100μm=ギャップ依存率1.2V/μm、対応ギャップ間隔は約2.2mm
【0038】
このように、各画像形成方式で前述した図6に示すようなギャップ依存率dに対応したギャップ間隔で、所定の感光体電位となる印加電圧を決定することによって、許容濃度差を満足する画像を得ることが可能となる。
【0039】
すなわち、高解像度の画像形成装置および画像形成方法では、ギャップ間隔を広くすることによってギャップ間隔に対する感光体電位の変化量dを小さくし、帯電ローラと感光体とのギャップ間隔の変動による濃度ムラを抑制することができる。
また、低解像度の画像形成装置および画像形成方法では、ギャップ間隔に対する感光体の帯電量の変化量dを小さくする必要がなく、部品の精度によるギャップ間隔の変動を小さくしなくてすむ。換言すれば、ギャップ間隔を大きくしたり、または部品精度を高くする必要がない。
【0040】
よって、出力画像内で所定の濃度差となる感光体電位差△Vとし、ギャップ間隔に対する感光体帯電電位の変化量をd(V/μm)とし、帯電部材と像担持体の空隙変動をl(μm)とした時、△V≧l・dの関係を満足するギャップ間隔とすることによって、発生するギャップ間隔の変動による感光体の帯電電位の変化量内で画像を形成でき、所定の濃度差を満足する画像を得ることができる。
ここでは帯電ローラを用いた場合について説明したが、ブレード方式等を用いた他の帯電装置を用いても同様の効果が得られることは明らかである。
【0041】
図8は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す断面図である。図8において、装置本体のほぼ中央部には、図1で説明したものとほぼ同様の作像ユニットが配置されている。図1の構成と異なる点は、転写チャージャ4及び分離チャージャ5に代えて転写搬送ベルトユニット14を用いていることである。図1の構成と同部材あるいは同機能のものには同じ符号を付してある。なお、図8においては、帯電ローラ2に付設されたクリーニングブラシ8及び除電ランプ7は図示を省略している。
【0042】
装置上部には、露光手段の一例として、レーザ書込みユニット11があり、また、装置下部には、給紙手段として、カセット12が配設されている。感光体ドラム1の右斜め下方には、レジストローラ10がある。また、図8において、装置の外部の左側面には、排紙トレイ13が設けられている。
【0043】
図8の例に示す画像形成装置において、帯電ローラ2には、図1の構成と同様、直流電圧の帯電バイアスが印加されている。
また、図8に示す画像形成装置において、装置本体内に、像担持体を有している。この像担持体は円筒状の導電性ベースの外周面に感光層を有するドラム状の感光体1により構成されているが、複数のローラに巻き掛けられて回転駆動される無端ベルト状の像担持体を用いることもできる。
【0044】
図8に示した感光体ドラム1は、画像形成の動作時に図中、時計回りに回転駆動され、このとき感光体ドラム1が帯電手段2によって所定の極性に帯電される。帯電手段2によって帯電された感光体ドラム1は、レーザ書き込みユニット11から出射する光変調されたレーザ光Lが照射されて、感光体ドラム1に静電潜像が形成される。図示した例では、レーザ光が照射された像担持体表面部分の電位の絶対値が低下して、ここが静電潜像(画像部)となり、レーザ光が照射されずに電位の絶対値が高く保たれた部分が地肌部となる。次いで、この静電潜像は、現像手段3を通るとき、所定の極性に帯電されたトナーによって、トナー像として可視化される。LEDアレイを有する露光手段や、原稿面を照明し、その原稿画像を像担持体上に結像する露光手段(アナログ方式)などを用いることもできる。
【0045】
一方、給紙カセット12から、記録媒体として、例えば転写紙が送り出され、感光体ドラム1と転写搬送ベルトユニット14が対向する転写領域に向けて、レジストローラ10により転写紙が所定のタイミングで送り込まれる。そして、感光体ドラム1上に形成されたトナー像が転写紙上に静電的に転写される。トナー像が転写された転写紙は、転写搬送ベルトユニット14によって定着装置9に送られ、定着装置9によって熱と圧力が印加されてトナー像が転写紙上に定着される。定着装置9を通った転写紙は排紙トレイ13上に排出される。転写紙に転写されずに感光体表面に残された転写残トナーは、クリーニング手段6によって除去される。
【0046】
現像手段3は、現像ケース内に乾式の現像剤(トナーなど)を収容している。現像ローラ15はその現像剤を担持しながら搬送する現像部材である。現像剤としては、例えばトナーとキャリアを有する2成分現像剤や、キャリアを有さない1成分系現像剤を用いることができる。また液状の現像剤を用いる現像手段を採用することもできる。現像ローラ15が図8中、反時計方向に回転駆動され、このとき現像ローラ15の周面に現像剤が担持されて搬送され、現像ローラ15と感光体ドラム1の間の現像領域に運ばれた現像剤のトナーが静電潜像に静電的に移行して、その静電潜像がトナー像として可視化される。
【0047】
転写搬送ベルトユニット14は、感光体ドラム1上のトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧が印加される転写ローラを有している。なお、転写ローラに限らず、転写ブラシ、転写ブレード或いはコロナワイヤを有するコロナ放電器より成る転写手段などを用いることもできる。また、感光体ドラム1上のトナー像を直接的に最終記録媒体としての転写紙に転写する代りに、中間転写体を介してトナー像を最終記録媒体に転写するように構成することもできる。
【0048】
またクリーニングユニット16は、基端部がクリーニングケース16aに支持されたクリーニングブレード17と、クリーニングケース16aに回転自在に支持されたファーブラシ18より成るクリーニング部材を有し、これらのクリーニング部材が感光体ドラム1の表面に当接してその表面に付着する転写残トナーを清掃する。かかるクリーニング手段以外の適宜な形態のクリーニング手段を用いることもできる。
【0049】
図1に示す画像形成装置では、トナー像転写後に像担持体表面に付着する転写残トナーを除去するクリーニング手段6を有しているが、クリーニング手段を省略し、転写残トナーを例えば現像手段により除去するように構成することもできる。
図1に示す画像形成装置では、たとえば、帯電ローラ2を回転自在に支持するケーシング(図示せず)と、クリーニングユニット16のクリーニングケース16aが一体のユニットケース(図示せず)として構成され、このユニットに感光体ドラム1が回転自在に組み付けられるようにしてもよい。このようにして、帯電ローラ2と感光体ドラム1とが一体的に組み付けられて成る作像ユニットが構成され、その作像ユニットが画像形成装置本体に着脱可能に装着されている。
【0050】
帯電ローラ2と感光体ドラム1とは、微小ギャップが一定に保たれた状態でユニットケースに組み込まれていて、そのギャップを一定に保ったまま作像ユニットを画像形成装置本体に対して着脱できるように構成している。このため、作像ユニットを着脱する際に、ギャップの大きさが大きく変動してしまう不具合を防止できる。感光体ドラム1と帯電ローラ2とを画像形成装置本体に別々に着脱できるように構成してもよく、この構成によると、感光体ドラム1や帯電ローラ2の着脱時にギャップが大きく変化するおそれがあり、均一な帯電が出来なくなる可能性がある。
【0051】
また、図1に示す作像ユニットは、帯電ローラ2の他に、感光体ドラム1に接触する接触部材を有している。図8に示した例では、前述のように、クリーニングケース16aにクリーニングブレード17とファーブラシ18が組み付けられていて、これらの部材が像担持体に接触する接触部材を構成している。クリーニングケース16aは上述の如く帯電ローラ2を支持するケーシングと一体のユニットケース(図示せず)として構成されている。したがって、作像ユニットを着脱する際に、クリーニングブレード17とファーブラシ18の感光体ドラム1に接触する部材も一体的に着脱される。
これらの接触部材(本例ではクリーニングブレード17とファーブラシ18)を帯電ローラ2とは別々に画像形成装置本体に着脱できるように構成してもよい。そのように構成すると、その接触部材の着脱時にこれらの部材が像担持体に接触して移動する(像担持体を押圧することもある)ので、像担持体に大きな外力が加えられ、これによって帯電ローラ2と感光体ドラム1のギャップが変動してしまう可能性がある。これに対し、クリーニングブレード17とファーブラシ18等の接触部材も作像ユニットの要素にすれば(一体的に着脱する部材に含めれば)、作像ユニットを画像形成装置本体に対して着脱するとき、クリーニングブレード17とファーブラシ18より成る接触部材も共に着脱されるので、これらの部材が像担持体に対して相対的に動くことはなく、これにより上記ギャップが大きく変動するおそれはない。
【0052】
図8に示した画像形成装置では、上述の如く構成された帯電ローラ2と感光体ドラム1を有し、ギャップ間隔の変動を抑えているが、さらにギャップ間隔の変動を抑えるためには、感光体ドラム1をアモルファスシリコン系表面層を有する感光体として構成することが好ましい。かかる像担持体は硬度上すぐれているので容易にその表面を平滑に仕上げることができ、その像担持体の回転時に帯電ローラとのギャップ間隔が変動することを効果的に抑え、前述した構成を取ることによって得られる効果をより確実なものにすることができる。硬度の点で優れているので部品の寸法精度が向上しギャップ間隔の変動量の抑制に従い、ギャップ量(ギャップ間距離)が小さくなるので帯電部材への印加電圧が小さくて済み、よってオゾン発生をさらに少なくする効果が得られる。
【0053】
また像担持体としては、例えば0.1μm以下のアルミナ粉などのフィラーを分散した表面層を有する感光体として構成することもできる。その場合、感光体の表面硬度が高められるので容易に部品の寸法精度が向上し、ギャップ間隔の変動量の抑制に従い、ギャップ量が小さくなるので帯電部材への印加電圧が小さくて済み、オゾン発生をさらに少なくする効果が得られる。また、DC帯電方式による像担持体の表面破壊への低減効果とともに耐摩耗性が向上するので、その使用寿命を大きく伸ばすことが可能となる。
【0054】
以上の説明ではトナーの色素については言及せずに画像を形成する装置について説明したが図9のような、像担持体としての感光体ドラム1を複数個(本例では4つ)有するカラー画像形成装置の作像部を有するカラー画像形成装置においても感光体と帯電ローラとの構成を前述したような構成と同様にすることによって、前記同様な効果が得られる。
【実施例2】
【0055】
図10は帯電ローラと感光体とのギャップを可変可能に取り付けてギャップを形成した構成を示す側面図である。
スペース部材5aはカム形状で、これに帯電ローラ2の両端部に芯金中心からスペース部材5aの沿面までの距離が異なる位置で回転自在に取り付けられている。
ベアリング32に感光体1の芯金を両端部に回転自在に取り付けられている。
スペース部材5aとベアリング32とは両端部で互いに接触する位置にある。
【0056】
図11は、図10の断面図を示す。
ベアリング32は感光体1を支持し、支持板33に嵌め込まれている。
スペース部材5aの帯電ローラを支持する位置と異なる位置に駆動軸31を回転自在に取り付けられている。駆動軸31は不図示の駆動源により矢印方向に駆動される。
帯電ローラ2は不図示の押圧手段により感光体1方向に押圧されている。駆動軸31により駆動されたスペース部材5aはベアリング32の表面上をすべり、不図示の側板により感光体1に対し垂直方向に移動するよう規制されている。
図8で説明したような画像形成装置にこのような帯電装置を用いた画像形成装置の動作を説明する。帯電装置以外は同様な構成なので説明を省略する。
概略、選択された画像解像度に対応したギャップへ変更する動作となる。
【0057】
画像形成装置は高品位(高解像度)、高速(低解像度)等の画質の選択がモード選択として可能となっている。
外部(ドライバー)もしくは操作パネルからの操作により、選択されたジョブは、レーザ書き込みユニット11から出射する光変調されたレーザ光Lを照射する強度や時間を制御し潜像の大きさの変更や、感光体の回転速度を変更して所定の解像度となるよう制御部により制御され選択されたジョブが実行される。
高解像度を選択し画像を出力する信号が制御部に入力された場合、制御部からの信号により帯電装置のスペース部材5aを動作させる駆動軸31の駆動源を制御し帯電ローラ2と感光体1のギャップ間隔とが所定の距離となるようにスペース部材5aを回転させ、感光体への作像が開始される。
【0058】
前述したように高解像時はギャップ間隔を広くすることでギャップ変動による感光体の帯電電位の変化量を低減し、濃度ムラを防止できるようになる。また、高解像時はトナーの付着量が多くなるため記録紙へ転写せず感光体へ残るトナー量も相対的に多くなるため、帯電ローラへ運ばれるトナー量も多くなる。しかしギャップ間隔を広くしているので帯電ローラへのトナー付着を防止する効果もある。
【0059】
前記したのとは逆に低解像度を選択された場合にはギャップを小さくして濃度ムラを防止でき、帯電ローラへの印加電圧を小さくできることで放電によるオゾンの発生を少なくする効果が得られる。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、移動する像担持体面に対向し非接触近接配置された帯電部材に、直流電圧のみを印加して帯電部材と像担持体面との間に放電を生じさせて当該像担持体を帯電する帯電装置において、出力画像が所定の濃度差となる感光体電位差を△Vとし、ギャップ間隔(μm)に対する感光体帯電電位の変化量をd(V/μm)、帯電部材と像担持体の空隙変動をIとした時、
△V≧I・d
の関係を満たすことを特徴とする帯電装置により、ギャップを広くするとギャップ変動による感光体帯電電位への影響が小さくなり、ギャップ変動による感光体帯電電位変動に起因する画像濃度ムラを低減させ、ローラ寸法の精度を高くする必要がなく、通常の寸法精度でギャップ変動による画像濃度ムラを満足する画像を提供でき、部品コストを低減することが可能となる。
特に、デジタル方式で出力したデジタル(処理)画像にあって、上述した効果を顕著に得ることができる。
【0061】
また、このように、非接触DC帯電方式のギャップ変動に対する効果的な対策を施した帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置を提供することができる。
このため、非接触DC帯電方式を用いた本実施形態により、静電潜像担持体の長寿命化に寄与ができ、又帯電を安定的に行うことができ、かつその電位を簡単に高精度で制御でき、更にオゾン発生の極端な低減が可能で、又製作が容易であり、かつそれ自体高耐久性をもつ帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置を提供することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を図を参照しながら説明したが、上述した実施形態は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つの像担持体の周囲に複数個(例えば4つ)の現像装置を配置したカラー画像形成装置の像担持体を帯電する帯電装置にも、本発明を同様に適用することができる。また、各実施例における像担持体の線速や帯電バイアスの大きさ等も一例であり、本発明の効果を得る限りにおいての範囲内で適宜変更できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態としての帯電装置を備える画像形成装置の概略断面図である。
【図2】本実施形態の帯電ローラ付近の概略拡大構成断面図である。
【図3】本実施形態の帯電ローラの構成を示す断面図である。
【図4】本実施形態の帯電ローラと感光体とのギャップを説明する断面図である。
【図5】本実施形態における印加電圧と感光体帯電電位の関係を示す説明図である。
【図6】本実施形態による感光体電位のギャップ依存率を示す説明図である。
【図7】本実施形態による画像濃度差と感光体電位差の関係の説明図である。
【図8】本実施形態としての画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図9】本実施形態の帯電装置を備えるカラー画像形成装置の断面図である。
【図10】本実施形態のギャップを可変に取り付けた構成を示す側面図である。
【図11】本実施形態のギャップを可変に取り付けた構成の断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 感光体ドラム
2 帯電ローラ
2a 芯金
2b 中抵抗層
2c 表層
2d スペーサ部材
3 現像手段
3a 現像ローラ
4 転写手段
5 分離チャージャ
5a スペース部材
6 クリーニングユニット
7 除電ランプ
8 クリーニングブラシ
9 定着装置
10 レジストローラ
11 レーザ書込みユニット
12 カセット
13 排紙トレイ
14 転写搬送ベルトユニット
15 現像ローラ
16 クリーニングユニット
16a クリーニングケース
17 クリーニングブレード
18 ファーブラシ
31 駆動軸
32 ベアリング
33 支持板
L レーザ光
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に使用可能な帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置や静電記録装置などの画像形成装置では、静電潜像形成のため、露光前に感光体や誘電体等の静電像担持体表面を帯電することが行われている。
帯電装置としては、タングステンワイヤーに高電圧を印加して発生するコロナ放電により帯電を行なうスコロトロン方式、コロトロン方式を用いたものが広く採用されている。しかし、この帯電方式では、大電力を要する上に、高電圧印加による大気中でのコロナ放電により多量のオゾンや窒素酸化物(NOx)が発生するという問題があった。
【0003】
そこで、近年は、コロナ放電を利用しないで帯電部材を像担持体に接触させる接触型の帯電手段が多く提案されている(例えば特許文献1参照)。
この帯電方式では、帯電ローラに印加する電圧が低いので、オゾンの発生量が非常に少ないという利点があり、近年、複写機、プリンタで採用が進められている。
この接触型の帯電手段では、上記コロナ放電を用いた帯電手段の場合に挙げた多くの問題点が解消される。
【0004】
しかしながら、この接触型の接触ローラ帯電方式の場合には、感光体との接触を安定化させるため、帯電ローラはゴムや樹脂で構成されるが、そのゴムや樹脂中の低分子量成分の染み出しによる感光体への汚染や、帯電ローラと感光体との接触部の歪みなどにより、画像に感光体ピッチや帯電ローラピッチの横スジが生じるといった問題があった。
また帯電ローラを接触させているため、感光体上に残ったトナーや紙紛等が帯電ローラへ付着し帯電ローラを汚染するという問題があった。
さらに、像流れと呼ばれる異常画像の発生や像担持体の摩耗量が増大するなどの問題も発生している。
【0005】
そこで、最近、帯電部材(実質的な帯電を行う部分)と像担持体表面との間に微小ギャップを設けることにより、帯電部材が像担持体表面に接触して帯電部材が汚れる不具合を抑制し、或いは像担持体表面が早期に劣化する不具合を防止することが提案されている(例えば特許文献2参照)。
【0006】
またギャップ距離の変化で帯電電位が変化し、異常画像となってしまうという課題を解決するために、帯電器の放電面に微小な凹凸を設けることで、安定放電を行うことが提案されている(例えば特許文献3参照)。
これにより、ギャップ幅(ギャップ距離)の変動があった場合でも異常画像の生じない均一帯電を可能としている。
しかし、特許文献3に記載の発明は、放電の安定性のために微小な凹凸を必要としている。この凹凸は、放電という過酷な条件にさらされているなど、経時的に変化し、凹凸が消滅することがある。凹凸がなくなると、初期の効果を得ることができず、均一帯電が出来なくなる。つまり、長期にわたって均一な帯電を行うことが難しいという問題がある。さらに、均一帯電可能な微小な凹凸の範囲が限定されているため、生産工程が難しく、コストがかかる。
【0007】
また、帯電バイアス印加方式には、DC電圧印加方式と、DCとAC電圧の重畳印加方式(以下「DC+AC重畳方式」または「DC+AC重畳タイプ」ということがある)とがある。
DC電圧印加方式は、ギャップ変動による帯電電位のばらつき、放電の安定性などの問題により、実用化が難しい。
DCとAC電圧の重畳印加方式は、DC電圧方式に比べギャップ変動に対して帯電電位の安定性、放電の安定性に関して強いことが知られている。
このため、DC+AC重畳方式が、非接触帯電の場合には、適した方式だと考えられている。
【0008】
しかしながら、感光体へのダメージに関しては、AC電圧印加方式の方が大きいことが知られている。また、帯電部での放電によりコロナチャージャと同様に放電生成物が多く生成される。これは、DC+AC重畳タイプがDC放電より放電回数が格段に多いためだと考えられる。
また、印加電圧に交流を用いるDC+AC重畳タイプの場合には、騒音の発生も問題になっている。
【0009】
このギャップ変動に対し、DC電圧印加方式では、このギャップ変動を低減するために、帯電ローラの端部の部材と感光体とを接触させることでギャップを安定させる手段も提案されている。しかし、帯電ローラ及び感光体の寸法誤差を抑えるには製造上限界があり、また、部品コストも増大する。
【特許文献1】特開昭63−7380号公報
【特許文献2】特開2002−55508号公報
【特許文献3】特開平7−287433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、非接触DC帯電方式では帯電部材と感光体とのギャップ変動(ギャップ間距離変動)により帯電電位に差が発生する。この電位差が現像プロセスで画像を形成したときにトナーの付着量に差を生じ、これによって画像ムラが発生する。また、帯電ローラや感光体の偏芯による周期的なギャップムラが顕著に現れ、これが画像ムラとなる。この偏芯を抑えるために、帯電ローラや感光体等の寸法精度が厳しく求められることになり、部品コストの増大を引き起こすという問題が発生する。
【0011】
本発明は、上述した実情を考慮してなされたもので、部品の寸法精度を上げることなく、ギャップ変動による画像濃度ムラを低減することができ、かつその電位を簡単に高精度で制御でき、部品コストを抑制することができ、更にオゾン発生の極端な低減が可能である帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、移動する像担持体面に対向し非接触近接配置された帯電部材に、直流電圧のみを印加して上記帯電部材と上記像担持体面との間に放電を生じさせて当該像担持体を帯電する帯電装置において、出力画像が所定の濃度差となる感光体電位差を△V、ギャップ間隔(μm)に対する感光体帯電電位の変化量をd(V/μm)とし、帯電部材と像担持体の空隙変動をIとした時、下記式(1)
△V≧I・d ・・・(1)
の関係を満たすことを特徴とする。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の帯電装置であって、上記出力画像の濃度差に上記式(1)の関係を満たした感光体電位差△Vでの像担持体への書き込みにより所望の画像を得ることを特徴とする。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の帯電装置であって、得られる上記画像はデジタル画像であり、上記出力画像の濃度差は、解像度を調整することを特徴とする。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載に記載の帯電装置であって、上記帯電ローラと像担持体を有する画像形成装置は、複数の潜像解像度を可変とする画像モードを備え、上記帯電ローラと像担持体との距離を該解像度に応じて変更することを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4記載の帯電装置であって、上記帯電部材と像担持体の距離を変化させることで、形成する画像を調整可能であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の帯電装置を備えた作像ユニットであって、少なくとも当該帯電装置と像担持体とが一体的に組まれて画像形成装置本体に着脱自在に構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の作像ユニットであって、さらに上記像担持体に接触部材が一体化され、画像形成装置本体に着脱自在に構成されている作像ユニットを特徴とする。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の作像ユニットであって、上記像担持体が、アモルファスシリコン系表面層を有する感光体またはフィラーを分散した表面層を有する感光体であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項9に記載の発明は、請求項6から8のいずれか1項に記載の作像ユニットを備えた画像形成装置を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
以上のように、本発明によれば、部品の寸法精度を上げることなく、ギャップ変動による画像濃度ムラを低減することができ、かつその電位を簡単に高精度で制御でき、部品コストを抑制することができ、更にオゾン発生の極端な低減が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
次に、本発明に係る帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置を適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る帯電装置の一例を備える画像形成装置の作像部を中心に説明するための概略構成図である。この図において、感光体ドラム1の周囲には、帯電ローラ2と、現像手段3と、転写手段4と、クリーニングユニット6と、除電ランプ(QL)7等が配設されている。
帯電ローラ2には、クリーニングブラシ(ブラシローラ)8が付設されている。また符号9は定着装置である。
本例では、クリーニングユニット6はクリーニングローラにブラシローラを付設したものを示したが、このクリーニングユニットとして、ブレードタイプであってもよい。
【0023】
図2は、帯電ローラ2近傍の拡大図である。この図に示すように、帯電ローラ2は、感光体ドラム1に対して微小ギャップgを持たせて帯電ローラ2は対向配置されている。帯電ローラ2には、直流電圧(一例として−1.5kV)の帯電バイアスが印加されている。
通常、帯電ローラ2の回転方向は、ギヤ等の駆動機構(不図示)により感光体ドラム1の回転方向(図中時計回り)と逆方向の回転(図中反時計回り)となるように設けられるが、感光体ドラム1と同方向に回転させても構わない。また、ここではギヤを介しているが駆動伝達はどのような手段を介してもよく、またどちらを従動としてもよい。
帯電ローラ2の回転速度は、感光体ドラム1の線速と同じにするのが感光体との磨耗を考慮すると望ましいが、感光体線速より遅くしてもよく、速くすると帯電ローラの振動によるギャップ変動により帯電が不安定になる場合が生じるので注意が必要である。
本例では、帯電ローラ2にクリーニングブラシ8を付設しており、帯電ローラ2に付いたトナー等の汚れを除去するようにしている。またこの汚れはギャップ量により異なるためクリーニングブラシ8を不要としてもよい。
【0024】
図3は、帯電ローラ2の構成を示す断面図である。
本実施形態における帯電手段は、像担持体(感光体)表面に対向配置される帯電部材を有するものである。その帯電部材は適宜な形態に構成できるものであるが、本実施例では当該帯電部材が帯電ローラとして構成されている。
【0025】
このような帯電部材は、図3に示すように、円柱状に形成された導電性の芯金2aと、その芯金2aに固定された円筒状の中抵抗層2bと、帯電ローラの外周面に積層された表層2cとを有している。
芯金2aは、例えば、直径が4〜20mm程度のステンレス鋼やアルミニウムなどの高い剛性と導電性を有する金属材料や、1×103Ω・cm以下、好ましくは1×102Ω・cm以下の体積抵抗率を有する高剛性の導電性樹脂などによって構成される。本例では芯金2aが帯電ローラ2の芯軸を構成している。
中抵抗層2bの体積抵抗率は104〜109Ω・cm程度に設定され、その厚さは例えば1〜2mm程度に設定される。
表層2cの体積抵抗率は106〜1011Ω・cm程度に設定され、この表層の体積抵抗率は中抵抗層2bの体積抵抗率よりも多少高くなっていることが好ましい。表層2cの厚さは、例えば10μm程度である。
【0026】
図4は帯電ローラ2と感光体ドラム1のギャップを形成する構成を示す側面図である。この図に示すように、帯電ローラ2の軸方向両端部近傍の位置で、帯電ローラ2の周面にスペーサ部材2dを巻装することで微小ギャップを形成している。ここでは、スペーサ部材としてテープ状のものを用いているが、コロ等によりギャップを形成しても構わない。
【0027】
帯電ローラ2の各部を構成する材料の具体例を列挙する。
スペーサ部材2dを構成するテープの材料としては、無機材料または有機材料が挙げられ、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属及びその酸化物、Fe―Ni合金、ステンレス鋼、Co―Al合金、Ni鋼、ジュラルミン、モネル、インコネルなどの金属合金、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのポリエステル樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)及びその共重合体(例えばPFA、FEP)などのフッ素樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂などを挙げることができる。
特にトナーが固着し難い離型性の高い材料を用いることが好ましい。また、テープ状にして導電材料を用いるときは、その表面に絶縁層又は半抵抗体層をコートするなどして、テープと像担持体との間を絶縁する。
【0028】
中抵抗層2bは、ベース材とこれに分散された導電剤により構成され、そのベース材としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系樹脂、ポリスチレン(PS)及びその共重合体(AS、ABS)などのスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル系樹脂など、加工性のよい汎用樹脂を用いることができる。
【0029】
中抵抗層2bの導電剤としては、過酸化リチウムなどのアルカリ金属塩、過塩素酸ナトリウムなどの過塩素酸塩、テトラブチルアンモニウム塩などの4級アンモニウム塩、高分子型導電剤などのイオン系導電剤を用いることができ、またケッチェンブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックを用いることもできる。
【0030】
表層2cもベース材に導電剤を分散した材料から構成でき、そのベース材としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂などの適宜な材料を用いることができ、特にトナーが固着し難い材料を選択することが好ましい。
表層2cの導電材としては、ケッチェンブラックやアセチレンブラックなどのカーボンブラック、酸化インジウム、酸化スズなどの金属酸化物などから成る電子伝導性導電剤、またはその他の適宜な導電剤を用いることができる。ただし、帯電ローラ2の材料を上述の各材料に限定するものではない。
【0031】
ここで、本実施形態を、具体的な実施例により、さらに説明する。
【実施例1】
【0032】
リコー株式会社製複写機商品名CX9000を用いて、像担持体の線速を185mm/secで、ギャップと帯電電位の関係を測定した。
帯電ローラと感光体のギャップとを、帯電ローラ端部のギャップ規制材を変更しながら帯電ローラへ直流電圧を印加した。そのときの感光体電位との関係を測定した。
【0033】
図5は各ギャップにおける印加電圧と感光体帯電電位の関係を示す。
図5に示すように、印加電圧を大きくするとギャップ間隔の変動に対する感光体帯電電位の変化量である傾きが小さくなる。この値をギャップ依存率dと定義する。
また、所定の感光体の帯電電位を得るにはギャップ幅が大きいほど高電圧を要することを示す。
図6は印加電圧別のギャップと感光体電位の関係から、所定の感光体電位となるギャップとギャップ依存率の関係をしめす。図6には、感光体電位が700Vとなる場合のギャップとギャップ依存率との関係を示す。
図6に示すように、ギャップ間隔が大きくなると、このギャップ間隔の変動に対して感光体電位の変化が小さくなる。
【0034】
また図7は、この装置を用いて印刷工程を実行して印刷した画像内の濃度差と、その印刷工程の際の感光体電位差との関係を示す。
出力画像はアナログ方式と解像度の異なるデジタル方式で出力した画像を評価した。
各チャートは、共に画像濃度はX−Rite社製のX−Rite938で測定した濃度が約0.3とした。
【0035】
この結果から画像濃度差が0.1以内であれば、知覚的にその差を認識しないため、許容可能な画像濃度差が0.1であるとした範囲内が、感光体電位の許容電位差であることがわかる。
また図7により、デジタル画像はアナログ方式より感光体帯電電位の濃度差を許容できる電位差が大きいことがわかる。
これは、ギャップ間隔の変動による感光体の帯電電位の変化量が同等の場合には、デジタル画像はアナログ画像よりも濃度変化が小さいことを示している。
また、同じデジタル方式でも解像度によって電位差の画像濃度差への影響が異なり、解像度を小さくすると許容電位差が大きくなることがわかる。
これは、レーザービームでドット形成し潜像とするデジタル方式の特性であり、その形成されたドットが解像度の大きさに反比例し、解像度の小さいデジタル方式のドットはその大きさが大きいため影響を受けにくいためと考えられる。
【0036】
例えば、アナログ方式での許容濃度差を満足する感光体の許容電位差△Vは約30Vとなり、前述したギャップ依存率dで割ると、濃度差0.1を許容できるギャップ変動を算出できる。
また、製造上、一般的な寸法精度の場合、ギャップ変動lは100μmの変動をもつ。この時のギャップ変動100μmを限界とした場合、下記式のようになる。
感光体許容電位差30V/100μm=ギャップ依存率0.3V/μm
よって、ギャップ変動を100μmとすると、ギャップ依存率dは、0.3V/μmが必要となる。なお寸法精度をギャップ変動50μmと向上させた場合には、ギャップ依存率dは0.6V/μmとなり、ギャップ余裕度は大きくなる。
【0037】
デジタル方式においては同様に以下のようになる。
600dpi:
60V/100μm=ギャップ依存率0.6V/μm、対応ギャップ間隔は約4mm
300dpi:
80V/100μm=ギャップ依存率0.8V/μm、対応ギャップ間隔は約3mm
150dpi:
120V/100μm=ギャップ依存率1.2V/μm、対応ギャップ間隔は約2.2mm
【0038】
このように、各画像形成方式で前述した図6に示すようなギャップ依存率dに対応したギャップ間隔で、所定の感光体電位となる印加電圧を決定することによって、許容濃度差を満足する画像を得ることが可能となる。
【0039】
すなわち、高解像度の画像形成装置および画像形成方法では、ギャップ間隔を広くすることによってギャップ間隔に対する感光体電位の変化量dを小さくし、帯電ローラと感光体とのギャップ間隔の変動による濃度ムラを抑制することができる。
また、低解像度の画像形成装置および画像形成方法では、ギャップ間隔に対する感光体の帯電量の変化量dを小さくする必要がなく、部品の精度によるギャップ間隔の変動を小さくしなくてすむ。換言すれば、ギャップ間隔を大きくしたり、または部品精度を高くする必要がない。
【0040】
よって、出力画像内で所定の濃度差となる感光体電位差△Vとし、ギャップ間隔に対する感光体帯電電位の変化量をd(V/μm)とし、帯電部材と像担持体の空隙変動をl(μm)とした時、△V≧l・dの関係を満足するギャップ間隔とすることによって、発生するギャップ間隔の変動による感光体の帯電電位の変化量内で画像を形成でき、所定の濃度差を満足する画像を得ることができる。
ここでは帯電ローラを用いた場合について説明したが、ブレード方式等を用いた他の帯電装置を用いても同様の効果が得られることは明らかである。
【0041】
図8は、本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す断面図である。図8において、装置本体のほぼ中央部には、図1で説明したものとほぼ同様の作像ユニットが配置されている。図1の構成と異なる点は、転写チャージャ4及び分離チャージャ5に代えて転写搬送ベルトユニット14を用いていることである。図1の構成と同部材あるいは同機能のものには同じ符号を付してある。なお、図8においては、帯電ローラ2に付設されたクリーニングブラシ8及び除電ランプ7は図示を省略している。
【0042】
装置上部には、露光手段の一例として、レーザ書込みユニット11があり、また、装置下部には、給紙手段として、カセット12が配設されている。感光体ドラム1の右斜め下方には、レジストローラ10がある。また、図8において、装置の外部の左側面には、排紙トレイ13が設けられている。
【0043】
図8の例に示す画像形成装置において、帯電ローラ2には、図1の構成と同様、直流電圧の帯電バイアスが印加されている。
また、図8に示す画像形成装置において、装置本体内に、像担持体を有している。この像担持体は円筒状の導電性ベースの外周面に感光層を有するドラム状の感光体1により構成されているが、複数のローラに巻き掛けられて回転駆動される無端ベルト状の像担持体を用いることもできる。
【0044】
図8に示した感光体ドラム1は、画像形成の動作時に図中、時計回りに回転駆動され、このとき感光体ドラム1が帯電手段2によって所定の極性に帯電される。帯電手段2によって帯電された感光体ドラム1は、レーザ書き込みユニット11から出射する光変調されたレーザ光Lが照射されて、感光体ドラム1に静電潜像が形成される。図示した例では、レーザ光が照射された像担持体表面部分の電位の絶対値が低下して、ここが静電潜像(画像部)となり、レーザ光が照射されずに電位の絶対値が高く保たれた部分が地肌部となる。次いで、この静電潜像は、現像手段3を通るとき、所定の極性に帯電されたトナーによって、トナー像として可視化される。LEDアレイを有する露光手段や、原稿面を照明し、その原稿画像を像担持体上に結像する露光手段(アナログ方式)などを用いることもできる。
【0045】
一方、給紙カセット12から、記録媒体として、例えば転写紙が送り出され、感光体ドラム1と転写搬送ベルトユニット14が対向する転写領域に向けて、レジストローラ10により転写紙が所定のタイミングで送り込まれる。そして、感光体ドラム1上に形成されたトナー像が転写紙上に静電的に転写される。トナー像が転写された転写紙は、転写搬送ベルトユニット14によって定着装置9に送られ、定着装置9によって熱と圧力が印加されてトナー像が転写紙上に定着される。定着装置9を通った転写紙は排紙トレイ13上に排出される。転写紙に転写されずに感光体表面に残された転写残トナーは、クリーニング手段6によって除去される。
【0046】
現像手段3は、現像ケース内に乾式の現像剤(トナーなど)を収容している。現像ローラ15はその現像剤を担持しながら搬送する現像部材である。現像剤としては、例えばトナーとキャリアを有する2成分現像剤や、キャリアを有さない1成分系現像剤を用いることができる。また液状の現像剤を用いる現像手段を採用することもできる。現像ローラ15が図8中、反時計方向に回転駆動され、このとき現像ローラ15の周面に現像剤が担持されて搬送され、現像ローラ15と感光体ドラム1の間の現像領域に運ばれた現像剤のトナーが静電潜像に静電的に移行して、その静電潜像がトナー像として可視化される。
【0047】
転写搬送ベルトユニット14は、感光体ドラム1上のトナーの帯電極性と逆極性の転写電圧が印加される転写ローラを有している。なお、転写ローラに限らず、転写ブラシ、転写ブレード或いはコロナワイヤを有するコロナ放電器より成る転写手段などを用いることもできる。また、感光体ドラム1上のトナー像を直接的に最終記録媒体としての転写紙に転写する代りに、中間転写体を介してトナー像を最終記録媒体に転写するように構成することもできる。
【0048】
またクリーニングユニット16は、基端部がクリーニングケース16aに支持されたクリーニングブレード17と、クリーニングケース16aに回転自在に支持されたファーブラシ18より成るクリーニング部材を有し、これらのクリーニング部材が感光体ドラム1の表面に当接してその表面に付着する転写残トナーを清掃する。かかるクリーニング手段以外の適宜な形態のクリーニング手段を用いることもできる。
【0049】
図1に示す画像形成装置では、トナー像転写後に像担持体表面に付着する転写残トナーを除去するクリーニング手段6を有しているが、クリーニング手段を省略し、転写残トナーを例えば現像手段により除去するように構成することもできる。
図1に示す画像形成装置では、たとえば、帯電ローラ2を回転自在に支持するケーシング(図示せず)と、クリーニングユニット16のクリーニングケース16aが一体のユニットケース(図示せず)として構成され、このユニットに感光体ドラム1が回転自在に組み付けられるようにしてもよい。このようにして、帯電ローラ2と感光体ドラム1とが一体的に組み付けられて成る作像ユニットが構成され、その作像ユニットが画像形成装置本体に着脱可能に装着されている。
【0050】
帯電ローラ2と感光体ドラム1とは、微小ギャップが一定に保たれた状態でユニットケースに組み込まれていて、そのギャップを一定に保ったまま作像ユニットを画像形成装置本体に対して着脱できるように構成している。このため、作像ユニットを着脱する際に、ギャップの大きさが大きく変動してしまう不具合を防止できる。感光体ドラム1と帯電ローラ2とを画像形成装置本体に別々に着脱できるように構成してもよく、この構成によると、感光体ドラム1や帯電ローラ2の着脱時にギャップが大きく変化するおそれがあり、均一な帯電が出来なくなる可能性がある。
【0051】
また、図1に示す作像ユニットは、帯電ローラ2の他に、感光体ドラム1に接触する接触部材を有している。図8に示した例では、前述のように、クリーニングケース16aにクリーニングブレード17とファーブラシ18が組み付けられていて、これらの部材が像担持体に接触する接触部材を構成している。クリーニングケース16aは上述の如く帯電ローラ2を支持するケーシングと一体のユニットケース(図示せず)として構成されている。したがって、作像ユニットを着脱する際に、クリーニングブレード17とファーブラシ18の感光体ドラム1に接触する部材も一体的に着脱される。
これらの接触部材(本例ではクリーニングブレード17とファーブラシ18)を帯電ローラ2とは別々に画像形成装置本体に着脱できるように構成してもよい。そのように構成すると、その接触部材の着脱時にこれらの部材が像担持体に接触して移動する(像担持体を押圧することもある)ので、像担持体に大きな外力が加えられ、これによって帯電ローラ2と感光体ドラム1のギャップが変動してしまう可能性がある。これに対し、クリーニングブレード17とファーブラシ18等の接触部材も作像ユニットの要素にすれば(一体的に着脱する部材に含めれば)、作像ユニットを画像形成装置本体に対して着脱するとき、クリーニングブレード17とファーブラシ18より成る接触部材も共に着脱されるので、これらの部材が像担持体に対して相対的に動くことはなく、これにより上記ギャップが大きく変動するおそれはない。
【0052】
図8に示した画像形成装置では、上述の如く構成された帯電ローラ2と感光体ドラム1を有し、ギャップ間隔の変動を抑えているが、さらにギャップ間隔の変動を抑えるためには、感光体ドラム1をアモルファスシリコン系表面層を有する感光体として構成することが好ましい。かかる像担持体は硬度上すぐれているので容易にその表面を平滑に仕上げることができ、その像担持体の回転時に帯電ローラとのギャップ間隔が変動することを効果的に抑え、前述した構成を取ることによって得られる効果をより確実なものにすることができる。硬度の点で優れているので部品の寸法精度が向上しギャップ間隔の変動量の抑制に従い、ギャップ量(ギャップ間距離)が小さくなるので帯電部材への印加電圧が小さくて済み、よってオゾン発生をさらに少なくする効果が得られる。
【0053】
また像担持体としては、例えば0.1μm以下のアルミナ粉などのフィラーを分散した表面層を有する感光体として構成することもできる。その場合、感光体の表面硬度が高められるので容易に部品の寸法精度が向上し、ギャップ間隔の変動量の抑制に従い、ギャップ量が小さくなるので帯電部材への印加電圧が小さくて済み、オゾン発生をさらに少なくする効果が得られる。また、DC帯電方式による像担持体の表面破壊への低減効果とともに耐摩耗性が向上するので、その使用寿命を大きく伸ばすことが可能となる。
【0054】
以上の説明ではトナーの色素については言及せずに画像を形成する装置について説明したが図9のような、像担持体としての感光体ドラム1を複数個(本例では4つ)有するカラー画像形成装置の作像部を有するカラー画像形成装置においても感光体と帯電ローラとの構成を前述したような構成と同様にすることによって、前記同様な効果が得られる。
【実施例2】
【0055】
図10は帯電ローラと感光体とのギャップを可変可能に取り付けてギャップを形成した構成を示す側面図である。
スペース部材5aはカム形状で、これに帯電ローラ2の両端部に芯金中心からスペース部材5aの沿面までの距離が異なる位置で回転自在に取り付けられている。
ベアリング32に感光体1の芯金を両端部に回転自在に取り付けられている。
スペース部材5aとベアリング32とは両端部で互いに接触する位置にある。
【0056】
図11は、図10の断面図を示す。
ベアリング32は感光体1を支持し、支持板33に嵌め込まれている。
スペース部材5aの帯電ローラを支持する位置と異なる位置に駆動軸31を回転自在に取り付けられている。駆動軸31は不図示の駆動源により矢印方向に駆動される。
帯電ローラ2は不図示の押圧手段により感光体1方向に押圧されている。駆動軸31により駆動されたスペース部材5aはベアリング32の表面上をすべり、不図示の側板により感光体1に対し垂直方向に移動するよう規制されている。
図8で説明したような画像形成装置にこのような帯電装置を用いた画像形成装置の動作を説明する。帯電装置以外は同様な構成なので説明を省略する。
概略、選択された画像解像度に対応したギャップへ変更する動作となる。
【0057】
画像形成装置は高品位(高解像度)、高速(低解像度)等の画質の選択がモード選択として可能となっている。
外部(ドライバー)もしくは操作パネルからの操作により、選択されたジョブは、レーザ書き込みユニット11から出射する光変調されたレーザ光Lを照射する強度や時間を制御し潜像の大きさの変更や、感光体の回転速度を変更して所定の解像度となるよう制御部により制御され選択されたジョブが実行される。
高解像度を選択し画像を出力する信号が制御部に入力された場合、制御部からの信号により帯電装置のスペース部材5aを動作させる駆動軸31の駆動源を制御し帯電ローラ2と感光体1のギャップ間隔とが所定の距離となるようにスペース部材5aを回転させ、感光体への作像が開始される。
【0058】
前述したように高解像時はギャップ間隔を広くすることでギャップ変動による感光体の帯電電位の変化量を低減し、濃度ムラを防止できるようになる。また、高解像時はトナーの付着量が多くなるため記録紙へ転写せず感光体へ残るトナー量も相対的に多くなるため、帯電ローラへ運ばれるトナー量も多くなる。しかしギャップ間隔を広くしているので帯電ローラへのトナー付着を防止する効果もある。
【0059】
前記したのとは逆に低解像度を選択された場合にはギャップを小さくして濃度ムラを防止でき、帯電ローラへの印加電圧を小さくできることで放電によるオゾンの発生を少なくする効果が得られる。
【0060】
以上のように、本実施形態によれば、移動する像担持体面に対向し非接触近接配置された帯電部材に、直流電圧のみを印加して帯電部材と像担持体面との間に放電を生じさせて当該像担持体を帯電する帯電装置において、出力画像が所定の濃度差となる感光体電位差を△Vとし、ギャップ間隔(μm)に対する感光体帯電電位の変化量をd(V/μm)、帯電部材と像担持体の空隙変動をIとした時、
△V≧I・d
の関係を満たすことを特徴とする帯電装置により、ギャップを広くするとギャップ変動による感光体帯電電位への影響が小さくなり、ギャップ変動による感光体帯電電位変動に起因する画像濃度ムラを低減させ、ローラ寸法の精度を高くする必要がなく、通常の寸法精度でギャップ変動による画像濃度ムラを満足する画像を提供でき、部品コストを低減することが可能となる。
特に、デジタル方式で出力したデジタル(処理)画像にあって、上述した効果を顕著に得ることができる。
【0061】
また、このように、非接触DC帯電方式のギャップ変動に対する効果的な対策を施した帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置を提供することができる。
このため、非接触DC帯電方式を用いた本実施形態により、静電潜像担持体の長寿命化に寄与ができ、又帯電を安定的に行うことができ、かつその電位を簡単に高精度で制御でき、更にオゾン発生の極端な低減が可能で、又製作が容易であり、かつそれ自体高耐久性をもつ帯電装置、作像ユニットおよび画像形成装置を提供することができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態を図を参照しながら説明したが、上述した実施形態は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、1つの像担持体の周囲に複数個(例えば4つ)の現像装置を配置したカラー画像形成装置の像担持体を帯電する帯電装置にも、本発明を同様に適用することができる。また、各実施例における像担持体の線速や帯電バイアスの大きさ等も一例であり、本発明の効果を得る限りにおいての範囲内で適宜変更できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態としての帯電装置を備える画像形成装置の概略断面図である。
【図2】本実施形態の帯電ローラ付近の概略拡大構成断面図である。
【図3】本実施形態の帯電ローラの構成を示す断面図である。
【図4】本実施形態の帯電ローラと感光体とのギャップを説明する断面図である。
【図5】本実施形態における印加電圧と感光体帯電電位の関係を示す説明図である。
【図6】本実施形態による感光体電位のギャップ依存率を示す説明図である。
【図7】本実施形態による画像濃度差と感光体電位差の関係の説明図である。
【図8】本実施形態としての画像形成装置の全体構成を示す断面図である。
【図9】本実施形態の帯電装置を備えるカラー画像形成装置の断面図である。
【図10】本実施形態のギャップを可変に取り付けた構成を示す側面図である。
【図11】本実施形態のギャップを可変に取り付けた構成の断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 感光体ドラム
2 帯電ローラ
2a 芯金
2b 中抵抗層
2c 表層
2d スペーサ部材
3 現像手段
3a 現像ローラ
4 転写手段
5 分離チャージャ
5a スペース部材
6 クリーニングユニット
7 除電ランプ
8 クリーニングブラシ
9 定着装置
10 レジストローラ
11 レーザ書込みユニット
12 カセット
13 排紙トレイ
14 転写搬送ベルトユニット
15 現像ローラ
16 クリーニングユニット
16a クリーニングケース
17 クリーニングブレード
18 ファーブラシ
31 駆動軸
32 ベアリング
33 支持板
L レーザ光
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する像担持体面に対向し非接触近接配置された帯電部材に直流電圧のみを印加して、前記帯電部材と前記像担持体面との間に放電を生じさせて当該像担持体を帯電する帯電装置において、
出力画像が所定の濃度差となる感光体電位差を△V、ギャップ間隔(μm)に対する感光体帯電電位の変化量をd(V/μm)とし、帯電部材と像担持体の空隙変動をIとした時、下記式(1)
△V≧I・d ・・・(1)
の関係を満たすことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記出力画像の濃度差に前記式(1)の関係を満たした感光体電位差△Vでの像担持体への書き込みにより所望の画像を得ることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
得られる前記画像はデジタル画像であり、前記出力画像の濃度差は、解像度を調整することを特徴とする請求項2記載の帯電装置。
【請求項4】
前記帯電ローラと像担持体を有する画像形成装置は、複数の潜像解像度を可変とする画像モードを備え、前記帯電ローラと像担持体との距離を該解像度に応じて変更することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の帯電装置。
【請求項5】
前記帯電部材と像担持体の距離を変化させることで、形成する画像を調整可能であることを特徴とする請求項4記載の帯電装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の帯電装置を備え、少なくとも当該帯電装置と像担持体とが一体的に組まれて画像形成装置本体に着脱自在に構成されていることを特徴とする作像ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の作像ユニットであって、さらに前記像担持体に接触部材が一体化され、画像形成装置本体に着脱自在に構成されていることを特徴とする作像ユニット。
【請求項8】
前記像担持体が、アモルファスシリコン系表面層を有する感光体またはフィラーを分散した表面層を有する感光体であることを特徴とする請求項6または7に記載の作像ユニット。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1項に記載の作像ユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
移動する像担持体面に対向し非接触近接配置された帯電部材に直流電圧のみを印加して、前記帯電部材と前記像担持体面との間に放電を生じさせて当該像担持体を帯電する帯電装置において、
出力画像が所定の濃度差となる感光体電位差を△V、ギャップ間隔(μm)に対する感光体帯電電位の変化量をd(V/μm)とし、帯電部材と像担持体の空隙変動をIとした時、下記式(1)
△V≧I・d ・・・(1)
の関係を満たすことを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
前記出力画像の濃度差に前記式(1)の関係を満たした感光体電位差△Vでの像担持体への書き込みにより所望の画像を得ることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
得られる前記画像はデジタル画像であり、前記出力画像の濃度差は、解像度を調整することを特徴とする請求項2記載の帯電装置。
【請求項4】
前記帯電ローラと像担持体を有する画像形成装置は、複数の潜像解像度を可変とする画像モードを備え、前記帯電ローラと像担持体との距離を該解像度に応じて変更することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の帯電装置。
【請求項5】
前記帯電部材と像担持体の距離を変化させることで、形成する画像を調整可能であることを特徴とする請求項4記載の帯電装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の帯電装置を備え、少なくとも当該帯電装置と像担持体とが一体的に組まれて画像形成装置本体に着脱自在に構成されていることを特徴とする作像ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の作像ユニットであって、さらに前記像担持体に接触部材が一体化され、画像形成装置本体に着脱自在に構成されていることを特徴とする作像ユニット。
【請求項8】
前記像担持体が、アモルファスシリコン系表面層を有する感光体またはフィラーを分散した表面層を有する感光体であることを特徴とする請求項6または7に記載の作像ユニット。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1項に記載の作像ユニットを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−34021(P2007−34021A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218918(P2005−218918)
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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