説明

帯電装置および画像形成装置

【課題】 高い耐久性を有し、錆などが発生することがなく、またトナーなどの汚染物質が多少付着しても、その帯電電位の制御性がほとんど損なわれることがなく、長期間にわたって感光体の帯電電位を適切な範囲に安定的に制御でき、かつ安価な帯電装置を提供する。
【解決手段】 針状電極2と、保持部材3と、2枚の清掃部材4a,4bと、支持部材5と、移動用部材6と、シールドケース7と、グリッド電極8とを含む帯電装置1において、グリッド電極8の表面に、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層を形成し、該ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層に含まれるポリテトラフルオロエチレンの2次凝集体の短径長さを、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層の層厚の2倍以下にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体として表面に光導電性物質を含む感光層を形成した感光体を用い、感光体表面に電荷を付与して均一に帯電させた後、種々の作像プロセスにて画像情報に対応する静電潜像を形成し、この静電潜像を、現像手段から供給されかつトナーを含む現像剤により現像して可視像とし、この可視像を紙などの記録材に転写した後、定着ローラによって加熱および加圧し、記録材に定着させることにより、記録紙上に画像が形成される。このような画像形成装置では、感光体表面を帯電させるには、帯電装置が用いられる。帯電装置は、たとえば、感光体に対してコロナ放電を行う電極である帯電ワイヤ(放電ワイヤ)と、適切な電圧が印加され、帯電ワイヤにより感光体表面に付与される電荷量ひいては感光体表面の帯電電位を制御するグリッド電極と、帯電ワイヤおよびグリッド電極を支持する支持部材とを含む。そして、グリッド電極としては、ステンレス鋼、タングステンなどからなるワイヤグリッド電極、ステンレス鋼などからなる金属板(グリッド基材)に多数の貫通孔が形成された多孔性板状グリッド電極などが使用される。なお、多孔性板状グリット電極を製造するに際し、金属板に貫通孔を開けるのには、エッチングなどの方法が採用できる。エッチングにより作製される多孔性板状グリッド電極は、エッチンググリッドと呼ばれる。これらグリッド電極のうち、ワイヤグリッド電極にはトナーなどの汚染物質が付着し易く、汚染物質の付着により、感光体表面の帯電電位を制御する機能が不充分になり、感光体表面の帯電電位が不均一になるという解決すべき課題がある。
【0003】
一方、多孔性板状グリッド電極は、ワイヤグリッド電極に比べて相対的に大きな面積を有することから、感光体表面の帯電電位を適正な範囲に制御でき、加えて、汚染物質が多少付着しても、帯電電位の制御性の低下が少ない。また、多孔性板状グリッド電極は、前述のように、ステンレス鋼などの鉄系金属材料によって形成されることから、高い耐久性を有し、長期間使用しても変形などの不都合を起こさず、変形などに伴う帯電電位の制御性の変化も非常に少ない。したがって、このような多孔性板状グリッド電極は、長期間にわたって、感光体表面の帯電電位をほぼ一定に制御することができる筈である。しかしながら、多孔性板状グリッド電極の材料になるステンレス鋼などの鉄系金属材料は、通常は高い耐久性を有するものの、高湿環境下での水分、帯電動作時のコロナ放電により発生するオゾンなどによって酸化され易いという欠点を有する。多孔性板状グリッド電極を長期間にわたって使用する上では、高湿環境下での使用、オゾンとの接触などは避けることができない。このため、ステンレス鋼などの金属材料からなる多孔性板状グリッド電極では、空気中の水分、オゾンなどによって錆など腐蝕が発生し、窒素酸化物がその表面に付着することによって、その耐久性が低下する。それとともに、感光体上での帯電電位の制御能力が不充分になり、感光体表面の帯電電位が不均一になり、所望の帯電電位を常に安定して感光体表面に付与できないという解決すべき課題がある。多孔性板状グリッド電極のこのような課題に鑑み、ステンレス鋼からなる金属板(グリッド基材)の表面に、ニッケルめっき層と金めっき層とを順次被覆してなるグリッド電極を有するコロナ帯電装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このグリッド電極は、確かに、耐腐蝕性の点ではある程度の向上が認められるものの、耐腐食性を高める主因になる金めっき層が剥がれ易いという欠点を有する。特許文献1では、金めっき層の剥離を防止するために、金属板と金めっき層との間にニッケルめっき層を形成するけれども、その効果は充分ではない。
【0004】
また、ステンレス鋼製の金属板(グリッド基材)の表面に、ニッケルめっき層を介することなく、パルス電流を用いる電解めっき法により、直接金めっき層を形成したグリッド電極を有する帯電装置が提案されている(たとえば、特許文献2参照)。この帯電装置は、静電荷像が形成される有機感光体と、有機感光体を帯電させる帯電装置と、有機感光体上に形成される静電潜像をトナー像に現像する現像器と、トナー像を記録材に転写する転写部と、記録材に転写されるトナー像を記録材に定着させる定着装置とを含む画像形成装置において用いられる。この帯電装置において、グリッド電極は、金めっき層が剥離し難いので、耐腐蝕性および感光体表面の帯電電位の制御性が良好である。ところで、このグリッド電極に前述のような好ましい特性を充分に発揮させるためには、金めっき層の厚みを0.3μm以上とすることが必要である。加えて、グリッド電極は感光体とほぼ同じ寸法を有する比較的大きな部材であるから、めっき層を厚くしなければならないことも相俟って、金の使用量は必然的に増加する。しかしながら、そのような金の多用は、帯電装置ひいては画像形成装置の価格を必要以上に上昇させ、画像形成装置の長所の一つである、比較的低価格であることに基因する汎用性を損なうものである。したがって、金などの高価な材料を用いることなく、耐久性および感光体表面での帯電電位の制御性に優れるグリッド電極を有する帯電装置が望まれている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−40316号公報
【特許文献2】特開2001−166569号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、高い耐久性を有し、トナーなどの汚染物質が多少付着しても、その帯電電位の制御性がほとんど損なわれることがなく、長期間にわたって感光体の帯電電位を適切な範囲に安定的に制御でき、かつ安価な帯電装置、および該帯電装置を含み、長期間にわたって高画質画像を記録できる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
感光体を含む電子写真方式の画像形成装置に、感光体表面を臨むように装着される帯電装置において、
複数の先鋭状突起部を有し、感光体表面に電圧を印加して該表面を帯電させる針状電極と、
針状電極と感光体との間に設けられ、多孔性板状基材とその表面の一部または全面に形成されるポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層とを備えるグリッド電極とを含み、
ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層に含まれるポリテトラフルオロエチレンの2次凝集体の短径長さがポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層の層厚の2倍以下であることを特徴とする帯電装置である。
【0008】
また本発明の帯電装置は、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層がグリッド電極またはグリッド電極の表面に形成されるニッケル層の表面に形成され、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層によって被覆されるグリッド電極またはニッケル層表面における欠陥部分の短径長さが、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層の層厚の2倍以下であることを特徴とする。
【0009】
さらに本発明の帯電装置は、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層が、無電解めっき法により形成されることを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の帯電装置は、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層に含まれるポリテトラフルオロエチレンの1次粒子径が0.7μm以上であることを特徴とする。
【0011】
さらに本発明の帯電装置は、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層の層厚がポリテトラフルオロエチレンの1次粒子径よりも大きいことを特徴とする。
【0012】
さらに本発明の帯電装置は、多孔性板状基材とポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層との間に、さらにニッケル層が形成されてなることを特徴とする。
【0013】
さらに本発明の帯電装置は、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層が、ニッケルとともにリンを含むことを特徴とする。
【0014】
さらに本発明の帯電装置は、多孔性板状基材が、多孔性ステンレス鋼板または多孔性銅板であることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、
その表面に静電荷像が形成される感光体と、感光体の表面を帯電させるための帯電手段と、帯電状態にある感光体表面に画像情報に基づく信号光を照射して静電荷像を形成する露光手段と、感光体表面の静電荷像にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録材に転写させる転写手段と、記録材に転写されるトナー像を定着させる定着手段とを含む画像形成装置において、
帯電手段が、前述のいずれか1つの帯電装置であることを特徴とする画像形成装置である。
【0016】
さらに本発明の画像形成装置は、トナーが外添剤として疎水性シリカを含有することを特徴とする。
【0017】
さらに本発明の画像形成装置は、
トナー像を記録材に転写した後に感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段をさらに含み、
帯電手段が、
現像手段またはクリーニング手段よりも鉛直方向下方に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の先鋭状突起部を有する針状電極と、多孔性板状基板とその表面の一部または全面に形成されるポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層(以後特に断らない限り「ニッケルPTFE複合層」と称す)とを備えるグリッド電極、とを含む帯電装置において、さらに、ニッケルPEFE複合層に含まれるポリテトラフルオロエチレンの2次凝集体の短径長さをニッケルPTFE複合層の層厚の2倍以下にすることによって、主にPTFE2次凝集体の欠落によって生じるニッケルPTFE複合層表面のピンホールがグリッド電極の帯電制御性能に悪影響を及ぼすことがほとんどなくなるので、グリッド電極の感光体表面に対する帯電制御性が著しく向上する。このため、グリッド電極による感光体表面の帯電電位の制御が円滑にかつ安定的に行われ、感光体表面の帯電電位を長期間にわたって適正な範囲に維持できる。また、前述のようなグリッド電極を用いると、針状電極の先鋭状突起部にトナーなどの異物が付着するのを一層確実に防止できる。特に、画像形成速度の高速化に対応するために汎用される、外添剤として疎水性シリカを含むトナー(以後「疎水性トナー」と称す)は針状電極の先鋭状突起部に付着し易く、針状電極の放電性能を徐々に低下させることが多い。ところが、前述の構成を有するグリッド電極を用いることによって、疎水性トナーを用いてもトナーの付着が防止され、針状電極の放電性能が高い水準で長期的に安定に保持される。さらに、該グリッド電極は、グリッド基材の表面に、従来技術のような金めっき層ではなく、ニッケルPTFE複合層を形成しただけなので、従来技術のグリッド電極に比べて安価であるという利点を有する。したがって、前述のようなグリッド電極を有する帯電装置を備える画像形成装置は、製造コストの大幅な上昇を伴うことなく、長期間にわたって、高画質画像を記録できる。
【0019】
前述の構成によって、優れた効果が得られる理由は、次のように推測される。たとえば、ニッケルPTFE複合層を無電解めっきによって形成する場合について考察する。無電解めっきはめっき層の成長に方向性を有しないので、PTFE1次粒子またはPTFE2次凝集体表面に覆い被さるように成長する。ところが、PTFE2次凝集体の短径長さがニッケルPTFE複合層の層厚の2倍より大きいと、該2次凝集体がニッケルPTFE複合層表面に露出し、水洗処理などによりPTFE2次凝集体が欠落してピンホールが発生するとともに、PTFE含有量が減少してPTFEの含有効果が半減する。また、2次凝集体の短径長さがニッケルPTFE複合層の2倍に近い場合、2次凝集体表面に覆い被さっても、2次凝集体の中央部分のニッケルPTFE複合層は層厚が小さく、機械的強度が低いので、水洗処理などによってPTFE2次凝集体が容易に欠落し、グリッド電極の帯電制御性能に悪影響を及ぼすピンホールが発生するとともに、PTFE含有量が減少してPTFEを含有させることによって得られる効果が半減される。
【0020】
本発明によれば、ニッケルPTFE複合層がグリッド電極またはグリッド電極の表面に形成されるニッケル層の表面に形成され、ニッケルPTFE複合層によって被覆されるグリッド電極またはニッケル層表面における欠陥部分の短径長さを、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層の層厚の2倍以下にすることによって、グリッド電極の感光体表面に対する帯電制御性能が一層向上し、帯電制御性能が単に高くなるだけでなく、長期にわたって高い水準に保持される。したがって、高速下での画像形成が長時間にわたって連続的に行われても、感光体表面の帯電電位の変動幅が小さくなる。その結果、たとえば、同じ画像について数百枚の連続複写を行っても、一定またはそれ以上の高画質を有する画像が安定的に得られる。本明細書において、「欠陥部分」とは、他の物体との接触などによって生ずる凹所、洗浄不良などによって残存する付着物、酸化膜などが付着する部分を意味する。このような構成によって優れた効果が得られるのは、次のような理由によるものと推測される。通常、めっきによって欠陥部分に充分な層厚と機械的強度とを有するめっき層を形成することは困難である。そして、欠陥部分に隣接する良好な被めっき面には、充分な層厚と機械的強度とを有するめっき層が形成される。無電解めっきはめっき層の成長に方向性を有しないので、欠陥部分に隣接する良好な被めっき面のめっき層は欠陥部分の上部にオーバーハング状に成長する。ここで欠陥部分の短径長さがめっき厚の2倍よりも充分に小さいと、オーバーハング状に成長するめっき層が欠陥部分をドーム状に覆い、めっき層の表面は均一になる。ところが、欠陥部分の短径長さがめっき層の層厚よりも2倍を超えて大きいと、オーバーハング状に成長しても欠陥部分を覆うことが出来ず、ピンホールとして残り、欠陥部分がめっき層表面に露出する。また、欠陥部分の短径長さがめっき層の層厚の2倍付近であっても、2倍より大きい場合には、たとえオーバーハング部分がドーム状に覆い被さっても、欠陥部分中央のめっき層は薄く強度が低いので、水洗処理などにより剥離してピンホールになり、欠陥部分が露出する。このようなピンホールが形成されると、ピンホールを核として酸化による腐食が進行するとともに、その部分は微細な凹凸を有することから、トナー、窒素酸化物などが強固に付着し易くなり、帯電むらの原因になる。
【0021】
本発明によれば、グリッド電極のニッケルPTFE複合層を無電解めっき法にて形成することによって、直流電流による通常の電解めっき法により得られるニッケルPTFE複合層に比べて組織が緻密で硬く、ピンホールが少なく、層厚が薄くても均一で、多孔性板状基板に対して高い密着性を有するニッケルPTFE複合層が得られ、グリッド電極の帯電電位制御性および耐久性が一層向上する。さらに、針状電極への疎水性トナーの付着が防止される。無電解めっき法を用いれば、めっき条件を選択することによって、ニッケルPTFE複合層におけるPTFE2次凝集体の粒子径を上記規定範囲内に収めることも容易である。
【0022】
本発明によれば、ニッケルPTFE複合層に含まれるポリテトラフルオロエチレンの1次粒子径を0.7μm以上にすることによって、ニッケルPTFE複合層表面からのPTFE1次粒子および/またはPTFE2次凝集体の欠落によるピンホールの発生が防止される。それによって、グリッド電極の感光体表面に対する帯電制御性能および耐用性がさらに向上し、感光体表面における帯電電位のばらつきが非常に少なくなる。その結果、感光体表面の帯電電位が常に安定し、数百枚以上の連続画像形成を行っても、形成される画像の画質がばらつくことなく、高画質画像が得られる。
【0023】
本発明によれば、多孔性板状基材とニッケルPTFE複合層との間に、ニッケル層を形成することによって、ニッケルPTFE複合層の多孔性板状基材からの剥離が確実に防止され、グリッド電極の長期的な耐用性がさらに向上する。したがって、一層長期間にわたって、感光体表面の帯電電位を安定的に制御できる帯電装置が得られる。
【0024】
本発明によれば、ニッケルPTFE複合層がニッケルおよびPTFEとともにリンを含むことによって、該層の多孔性板状基材に対する密着性が向上し、グリッド電極の耐用性が一層向上する。
【0025】
本発明によれば、多孔性板状基材としては、多孔性ステンレス鋼板および多孔性銅板が好ましい。多孔性ステンレス鋼板を用いれば、感光体表面における帯電電位の制御性が極めて良好であり、また錆などの腐食の発生および窒素酸化物の付着も非常に少ないので、耐久性がさらに高くなる。一方、多孔性銅板は安価であるけれども、耐腐蝕性が不充分であるという欠点を持つ。ところが、ニッケルPTFE複合層を形成することによって、耐腐蝕性が満足できる程度に向上する。しかも多孔性銅板はニッケルPTFE複合層との密着性が非常に良好で、ニッケル層を介してニッケルPTFE複合層を形成する必要がないので、製造の際の工程数を減らし、製造コストの削減を図り得る。したがって、多孔性銅板を用いると、錆などの腐食の発生および窒素酸化物の付着が少なく、耐久性に優れ、感光体表面における帯電電位の制御性が良好でかつ安価なグリッド電極を得ることができる。
【0026】
本発明によれば、感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを含む画像形成装置において、帯電手段として、多孔性板状基材の表面にニッケルPTFE複合層を形成してなるグリッド電極を有する本発明の帯電装置を用いることによって、静電潜像を形成する際の、感光体表面の帯電電位を適正な範囲に安定的に維持できるので、長期間にわたって高画質画像を記録することができ、かつ従来技術のように金めっき層を有しないので、価格の低い画像形成装置が得られる。
【0027】
本発明によれば、本発明の画像形成装置において、疎水性トナーを用いることによって、帯電装置における針状電極のコロナ放電性能を長期間わたって損なうことなく、画像形成速度の高速化を図り得る。
【0028】
本発明によれば、本発明の画像形成装置が感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段をさらに含む場合に、帯電手段を現像手段またはクリーニング手段よりも鉛直方向下方に配置することによって、感光体表面における帯電不良の発生が著しく低減される。たとえば、帯電手段を現像手段およびクリーニング手段の両方よりも鉛直方向下方に配置すると、感光体の帯電不良が起こり易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、本発明の他の実施形態である画像形成装置20の構成を概略的に示す断面図である。図2は、本発明の実施の第1形態である帯電装置1の構成を概略的に示す斜視図である。画像形成装置20は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録紙などの記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置20においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータなどの外部ホスト装置からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。画像形成装置20は、トナー像形成手段21と、転写手段22と、定着手段23と、記録媒体供給手段24と、排出手段25とを含む。トナー像形成手段21を構成する各部材および中間転写手段22に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
【0030】
トナー像形成手段21は、感光体ドラム30と、帯電装置1と、露光ユニット31と、現像手段32と、クリーニングユニット33とを含む。帯電装置1、現像手段32およびクリーニングユニット33は、感光体ドラム30まわりに、この順序で配置される。帯電装置1はクリーニングユニット33よりも鉛直方向下方に配置される。
【0031】
感光体ドラム30は、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルム、紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、導電性粒子および/または導電性ポリマーを含有する樹脂組成物などが挙げられる。なお、導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
【0032】
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けるのが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して、感光層表面を平滑化する、繰り返し使用時における感光層の帯電性の劣化を防止する、低温および/または低湿環境下における感光層の帯電特性の向上させるといった利点が得られる。
【0033】
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結着剤樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フローレン環および/またはフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないけれども、電荷発生層中の結着剤樹脂100重量部に対して好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜200重量部である。電荷発生層用の結着剤樹脂としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。結着剤樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。電荷発生層は、電荷発生物質および結着剤樹脂ならびに必要に応じて可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2.5μmである。
【0034】
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着剤樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは電荷輸送物質中の結着剤樹脂100重量部に対して10〜300重量部、さらに好ましくは30〜150重量部である。電荷輸送層用の結着剤樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、これらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物などが好ましい。結着剤樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着剤樹脂と共に、酸化防止剤が含まれるのが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないけれども、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着剤樹脂ならびに必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。
【0035】
なお、1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着剤樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いるけれども、それに代えて、シリコンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いることもできる。
【0036】
帯電装置1は、図2および図3に示す帯電装置1である。帯電装置1は、感光体ドムラ30を臨み、感光体ドラム30の長手方向に沿って配置される。図2は、帯電装置1の構成を概略的に示す斜視図である。図3は、図2に示す帯電装置1の正面図である。帯電装置1は、トナー像形成手段21において、感光体ドラム30を臨み感光体ドラム30の長手方向に沿って配置され、複数の先鋭状突起部10を有する針状電極である板状電極2(以後「針状電極2」と称す)と、保持部材3と、清掃部材4a,4bと、支持部材5と、移動用部材6と、シールドケース7と、グリッド電極8とを含む。なお、帯電装置1は、現像手段32、クリーニングユニット33などとともに、感光体ドラム30の周囲に配置されるけれども、画像形成装置1においては、主に感光体ドラム30の帯電不良の発生を確実に防止するために、帯電装置1が現像手段32またはクリーニングユニット33のいずれか一方または両方よりも鉛直方向下方に位置するように配置されるのが好ましい。本実施の形態では、帯電装置1はクリーニングユニット33よりも鉛直方向下方に配置される。
【0037】
針状電極2は、平板部9と、先鋭状突起部10とを含む薄板状部材である。平板部9は一方向に長く延びるように形成される。先鋭状突起部10は、平板部9の短手方向の一端面から短手方向に突出するように形成される。針状電極2は、たとえば、ステンレス鋼により形成される。本実施の形態では、平板部9の短手方向の長さL1は10mm、先鋭状突起部10の突出方向の長さL2は2mm、先鋭状突起部10の先端の曲率半径Rは40μm、先鋭状突起部10の形成されるピッチTPは2mmである。針状電極2には図示しない電源が接続される。針状電極2は電源からの電圧の印加を受けて、先鋭状突起部10が感光体ドラム30表面に向けてコロナ放電を行い、感光体ドラム30表面を帯電させる。本実施の形態では、針状電極2には5kVの電圧が印加される。
【0038】
保持部材3は、針状電極2と同様に一方向に長く延び、長手方向に直交する断面が逆T字状の部材であり、針状電極2を保持する。保持部材3はたとえば合成樹脂により形成される。ねじ部材11によって、保持部材3の突出部分の一側面に、針状電極2の長手方向の両端部付近がねじ止めされる。
【0039】
清掃部材4a,4bは、針状電極2に対して相対的に移動可能に設けられ、移動時に針状電極2を擦過することによって針状電極2の表面を清掃する板状部材である。より詳しくは、清掃部材4a,4bは、平面投影形状がT字状を有し、厚さtが20〜40μmの金属素材または高分子材料の弾性体からなる。厚さtが20μm未満では、針状電極2に当接する際に容易に変形するけれども、変形に伴う反力である針状電極2に対する押圧力が弱くなるので、針状電極2に付着する汚染物質を充分に除去できない。厚さtが40μmを超えると、針状電極2に付着する汚染物質を充分に除去できるけれども、剛性が高くなって針状電極2に対する押圧力が強くなり過ぎるので、針状電極2の突起部10先端を変形破損するおそれがある。この結果、厚さtが20〜40μmの範囲を外れると、帯電不良による画像むらなどが発生する可能性がある。清掃部材4a,4bを構成する金属素材には、りん青銅、普通鋼、ステンレス鋼などを使用できる。これらの中でも、清掃部材4a,4bがコロナ放電によって発生するオゾン雰囲気中で使用されることを考慮すると、耐酸化性に基づく耐久寿命の観点から、ステンレス鋼が好ましい。ステンレス鋼としては公知のものを使用できるけれども、たとえば、日本工業規格(JIS)G4305に規定されるオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304、フェライト系ステンレス鋼であるSUS430などが挙げられる。清掃部材4a,4bは、針状電極2に対して相対的に移動する方向において間隔L3を有するように設けられる。間隔L3は、一方の清掃部材4aが針状電極2に当接して変形するとき、他方の清掃部材4bが変形している清掃部材4aに当たることのない距離に選ばれ、装着される支持部材5の梁状部分の厚みで調整できる。この間隔L3は、清掃部材4a,4bを構成する素材によって変形状態が変化するので、該素材の変形状態を事前に試験して定めるのが望ましい。清掃部材4a,4bが、たとえば厚さt=30μmのステンレス鋼からなるとき、間隔L3は2mmが好ましい。2枚の清掃部材4a,4bに間隔L3を設けることによって、一方の清掃部材4aが針状電極2を擦過する間中、他方の清掃部材4bによってその変形を阻害されることなく好適範囲の押圧力を維持できるので、針状電極2の先端部を変形損傷させることなく充分に清掃できる。
【0040】
清掃部材4a,4bの硬さは、米国材料試験協会(ASTM)規格D785に規定されるロックウェル硬さMスケールで115以上であることが望ましい。ロックウェル硬さが115未満では、軟質にすぎるので、針状電極2に当接させて擦過するとき、清掃部材4a,4bが必要以上に変形し過ぎて清掃効果が得られない。清掃部材4a,4bの硬さが高くても特に機能上の問題が現出しないので上限を設ける必要がないけれども、ロックウェル硬さMスケールの上限値が130であるので、あえて上限を設けるとすれば130である。清掃部材4a,4bの、針状電極2と当接する部分であるT字の縦棒部分における幅寸法w、すなわち清掃部材4a,4bの移動方向に対して垂直方向かつ突起部10が延びる方向に対して垂直方向における清掃部材4a,4bの寸法wは、3.5mm以上に形成するのが望ましい。幅寸法wが3.5mm未満では、針状電極2に押圧されて変形する際に生じる力の単位面積あたりの値が大きくなるので、繰返し変形に対する疲労破壊を起こしやすくなり、耐久寿命が低下する。幅寸法wを3.5mm以上にすることによって、前述した力の単位面積あたりの値を小さくして繰返し変形に対する耐久寿命を長くできるけれども、過度に幅広にすると剛性が強くなり過ぎるとともに、装置が大型化するので、上限は10mm程度に設定されるのが望ましい。なお、清掃部材4a,4bと針状電極2とは、清掃部材4a,4bに対する針状電極2の突起部10の食込み量dが、0.2〜0.8mmになるように配置されるのが好ましい。ここで、食込み量dは、清掃部材4a,4bと突起部10とを、清掃部材4a,4bが針状電極2に対して相対的に移動する方向に垂直な仮想平面に投影させた状態で、清掃部材4a,4bと突起部10とが、突起部10の延びる方向に重なり合う長さを意味する。食込み量dが0.2mm未満では、清掃部材4a,4bの変形に伴う反力である針状電極2に対する押圧力が弱くなるので、針状電極2に付着する汚染物質を充分に除去できない。食込み量dが0.8mmを超えると、針状電極2に付着する汚染物質は充分に除去できるけれども、清掃部材4a,4bの変形に伴う反力(針状電極2に対する押圧力)が強くなり過ぎるので、針状電極2の突起部10先端を変形破損するおそれがある。この結果、食込み量dが0.2〜0.8mmの範囲を外れると、帯電不良による画像むらなどが発生する可能性が生じる。
【0041】
支持部材5は、清掃部材4a,4bを支持する逆L字状の形状を有する部材であり、その梁状部分に、T字状を有する清掃部材4a,4bの腕部分が装着される。支持部材5の柱状部分には、針状電極2の延びる方向と平行に貫通孔12が形成され、貫通孔12を挿通して移動用部材6が設けられる。移動用部材6は、貫通孔12に挿通される部位で支持部材5に固定されるので、移動用部材6を針状電極2の延びる方向に牽引することによって、支持部材5は、溝部14に対して摺動し、かつ溝部14に案内されて針状電極2の延びる方向に移動できる。すなわち、支持部材5に支持される清掃部材4a,4bを針状電極2に当接させて擦過することができる。移動用部材6は糸状またはワイヤ状の部材であり、支持部材5の柱状部分に形成される貫通孔12を挿通し、針状電極2の延びる方向と平行に設けられ、後述のシールドケース7に形成される孔または隙間からシールドケース7の外方に延び、シールドケース7の外面または画像形成装置1の機体に設けられる滑車16a,16bを介してその端部が垂下される。なお、滑車16a,16bと移動用部材6の端部は、図2では省略される。移動用部材6の端部は、画像形成装置1の機体外方にまで延長するのが好ましい。これによって、帯電装置1を画像形成装置1から取外すことなくまたは画像形成装置1を開放することなく、針状電極2の清掃を実施できる。移動用部材6の牽引により清掃部材4a,4bを針状電極2に当接させて清掃するとき、針状電極2に対する清掃部材4a,4bの押圧力は、10〜30gfになるように調整するのが好ましい。押圧力が10gf未満では、針状電極2に付着するトナー、紙粉などの汚染物質を充分に除去できないおそれがあり、30gfを超えると、針状電極2の突起部10の先端が変形破損するおそれがある。また、移動用部材6によって、針状電極2に対する清掃部材4a,4bの押圧力を調整できる。移動用部材6の一方の端部に錘を吊り下げた状態で、清掃部材4aまたは52bに負荷される力の大きさを測定する。測定は、たとえば、清掃部材4aまたは52bにばね秤を接続して行われる。そして、清掃部材4aまたは52bに負荷される力が10〜30gfになる錘を選定し、針状電極2を清掃するに際して、予め選定した錘を移動用部材6の端部に吊り下げることによって、所定の押圧力で清掃できる。また、移動用部材6の端部に回転トルクを調整した電動機を接続し、所定の押圧力を負荷できるようにしてもよい。
【0042】
シールドケース7は、たとえばステンレス鋼製であり、その外観形状が直方体で内部空間を有するとともに、前述の感光体ドラム30を臨む一方の面に開口部を有する容器状の部材である。シールドケース7は、その内部空間に、少なくとも針状電極2、保持部材3、清掃部材4a,4bおよび支持部材5を収容する。またシールドケース7は、針状電極2と同一方向に長く延び、長手方向に直交する方向の断面形状が略U字状を有する。シールドケース7の底面15に保持部材3が装着される。また、シールドケース7の内側面13と保持部材3とによって形成される溝部14には、支持部材5の柱状部分の端部が摺動可能に挿入される。
【0043】
グリッド電極8は針状電極2と感光体ドラム30との間に設けられ、電圧の印加を受けて、感光体ドラム30表面の帯電状態のばらつきを調整し、帯電電位を均一化する。グリッド電極8は、多孔性板状基材と、多孔性板状基材の一部または全面に形成されるニッケルPTFE複合層とを含む。多孔性板状基材は、たとえば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄などの金属から形成される。ニッケルPTFE複合層は、ニッケル層中にPTFEの1次粒子および/またはPTFEの2次凝集体が分散してなる表面被覆層である。ニッケルPTFE複合層の表面には、PTFE1次粒子および/またはPTFE2次凝集体が露出する場合がある。これらがニッケルPTFE複合層表面から欠落することによって、該表面にピンホールが発生し、グリッド電極8の電極下地層(多孔性板状基材)が露出する場合があることが、本発明者の研究によって判明した。電極下地層の露出は、グリッド電極8の帯電制御性能を低下させたり、帯電制御性能にばらつきを生じさせたりする原因になる。そこで、本発明では、ニッケルPTFE複合層に含まれるPTFE2次凝集体の短径長さをニッケルPTFE複合層の層厚の2倍以下、好ましくはニッケルPTFE複合層の層厚の1倍以下にすることによって、電極下地層の露出を防止し、高い帯電制御性能を長期的かつ安定的に示し、帯電制御のばらつきも少ないグリッド電極8が得られる。ニッケルPTFE複合層に含まれるPTFE2次凝集体の短径長さがニッケルPTFE複合層の層厚の2倍よりも大きくなると、PTFE2次凝集体の欠落が多くなって電極下地層を露出させるようなピンホール数が増加する。その結果、グリッド電極8の帯電制御性能にばらつきを生じ易くなり、感光体ドラム30表面の帯電電位の均一化が不充分になるおそれがある。また、ニッケルPTFE複合層の層厚は、PTFE1次粒子の粒子径よりも大きいことが好ましい。ニッケルPTFE複合層におけるPTFE1次粒子の粒子径は0.7μm以上であることが好ましい。ニッケルPTFE複合層には、前述のように、PTFE1次粒子およびPTFE2次凝集体が含まれるので、PTFEとしての粒径は、1次粒子径として0.7μm以上で、2次凝集体の短径長さとしてニッケルPTFE複合層の層厚の2倍以下であることが好ましい。本明細書において、PTFE2次凝集体は、PTFE1次粒子が複数個凝集して形成される粒子であり、PTFE2次凝集粒子と呼ぶこともある。また、PTFE2次凝集体の短径長さは、ニッケルPTFE複合層表面を走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:リアルサーフェスビュー、キーエンス(株)製)により観察することによって求められる。すなわち、走査型電子顕微鏡によって、倍率500倍にてニッケルPTFE複合層表面を観察し、1視野中のPTFE2次凝集体の有無を観察し、PTFE2次凝集体が存在する場合は倍率を3000倍にしてPTFE2次凝集体の短径を測定する。ここで、短径とはPTFE2次凝集体の最も幅が小さい部分である。この観察を20視野について行って平均値を求め、PTFE2次凝集体の短径長さとする。
【0044】
グリッド電極8は、公知の方法に従って製造できる。その一例として、化学研磨工程、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程、純水浸漬工程、ニッケルめっき工程、ニッケルPTFE複合めっき工程、水洗処理および乾燥処理を含む製造法が挙げられる。これらの工程のうち、ニッケルめっき工程は必須の工程ではなく、必要に応じて実施される。化学研磨工程では、板金にマスキングおよびエッチングを行うことにより、板金に複数の貫通孔が形成される。エッチングは公知の方法に従って実施でき、たとえば、塩化第2鉄水溶液などのエッチング液を板金に噴霧する方法などが挙げられる。ここで、板金の材料になる金属としては、グリッド形状の加工が可能でありかつめっき可能なものを使用でき、たとえば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、銅、鉄などが挙げられる。これらの中でも、グリッド電極8の耐久性向上の観点からはステンレス鋼が特に好ましい。ステンレス鋼の具体例としては、たとえば、SUS304、SUS309、SUS316などが挙げられ、これらの中でもSUS304が好ましい。また、ニッケルPTFE複合めっき層との密着性向上、製造コストの低減などの観点からは銅が特に好ましい。銅を用いる場合には、ニッケルPTFE複合めっき層との密着性が非常に高いので、ニッケルめっき層を形成しなくてもかまわない。板金の厚さは特に制限されないけれども、好ましくは0.05〜1mm、さらに好ましくは0.05〜0.3mmである。化学研磨工程で貫通孔が形成される板金は、水洗工程、酸浸漬工程、水洗工程および純水浸漬工程において、水洗、酸洗浄または純水洗浄を施され、その表面から異物が除去され、多孔性板状基材が得られる。ニッケルめっき工程は、前述のように必須の工程ではないけれども、ニッケルPTFE複合めっき層の多孔性板状基材への密着性を高めるために、実施するのが好ましい。ここで、ニッケルめっきは一般的に実施される方法により行うことができるけれども、後にニッケルPTFE複合めっき層を形成することを考慮すると、電気めっきを行うのが好ましい。また、ニッケルめっき層の層厚も特に制限されないけれども、好ましくは0.03〜3μm、さらに好ましくは0.5〜1.5μm、特に好ましくは1μm程度である。なお、多孔性板状基板およびニッケルめっき層の表面には、他の物体との接触によって形成される凹所、エッチング、マスキングなどの際に用いられる化学物質、酸化膜などが付着したまま残存する部分などの欠陥部分が存在する場合がある。このような欠陥部分は、その短径長さが後述のニッケルPTFE複合めっき工程によって形成されるニッケルPTFE複合層の層厚の2倍以下であることが好ましい。ここで、欠陥部分の短径長さとは、欠陥部分を走査型電子顕微鏡(リアルサーフェスビュー)によって3000倍で観察した場合における、欠陥部分の最も小さい幅を意味する。欠陥部分の短径を前述の所定範囲とするためには、水洗、酸洗浄、純水洗浄などを繰り返し実施すればよい。このように構成することによって、最終的に得られるグリッド電極8の帯電制御性能性能が一層向上する。
【0045】
ニッケルPTFE複合めっき工程は、たとえば、多孔性板状基板に触媒ニッケルめっき法(カニゼン法)などの無電解ニッケルめっき法に従って実施できる。ここで、めっき浴としては、たとえば、次亜リン酸またはその塩およびニッケル塩を含む水溶液に、さらにポリテトラフルオロエチレンが添加されてなるめっき浴が使用される。めっき浴のpHは、通常は5〜5.5の範囲に調整される。ここで使用されるポリテトラフルオロエチレンは、粒子状のポリテトラフルオロエチレンであり、その粒子径は、形成しようとするめっき層の厚みより小さければ特に制限はないけれども、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは100〜500nmである。ポリテトラフルオロエチレンのめっき浴への添加量も特に制限されないけれども、好ましくはめっき浴全重量の0.01〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜1.0重量%である。めっき液の具体例としては、たとえば、日本カニゼン(株)製の商品名「カニフロンS」、上村工業(株)製の商品名「ニムフロン」、奥野製薬工業(株)製の商品名「トップニコジット」シリーズなどが挙げられる。前記のような組成およびpHを有するめっき浴に、浴温90℃以上で、多孔性板状基板を浸漬し、無電解めっきを行うことにより、該基板の表面にニッケルPTFE複合めっき層が形成される。形成されるニッケルPTFE複合めっき層中におけるPTFEの含有量は、好ましくは3〜30体積%、さらに好ましくは10〜20体積%である。形成されるニッケルPTFE複合めっき層の層厚は特に制限はないけれども、好ましくはPTFE粒子の粒子径以上、さらに好ましくはPTFE粒子の粒子径2倍〜20μm、特に好ましくはPTFE粒子の粒子径の2倍〜10μmである。厚さがPTFE粒子の粒子径未満では、PTFE粒子の粒子径の欠落によるピンホールが発生しやすく不均一のものとなり、ピンホールを介してグリッド基材が腐食されることにより、感光体の帯電電位が部分的に不安定になりやすい。一方、20μmを大幅に超えると、ストレスによりめっき皮膜が剥離する恐れがある。なお、ニッケルPTFE複合めっき層の厚さは、めっき時間の長さにほぼ比例するので、所望の厚さのめっき層を得るためには、多孔性板状基板のめっき浴への浸漬時間を適宜変更すれば良い。無電解めっきにより形成されるニッケルPTFE複合めっき層は、めっき浴の液剤が多孔性板状基板の表面に均等に付着するので、めっき層の層厚がPTFE粒子の粒子径程度と非常に薄い場合でも、層厚のばらつきがなく均一であるという好ましい特性を有する。さらに、めっき組織が緻密で、多孔性板状基材の表面に対して高い密着性を有し、長期間にわたって使用しても、剥離などを起こすことがない。ニッケルPTFE複合めっき工程において、本発明に規定のニッケルPTFE複合層を得るためには、PTFE粒子の含有量(体積%)、めっき浴の浴温、めっき時間その他のめっき条件を適宜変更すればよい。たとえば、めっき処理直前にめっき浴を減圧し、溶存している酸素などを脱気して、めっき処理中にめっき浴中で気泡の発生を防止するとともに、めっき浴の浴温を90〜92℃に保持し、かつ、めっき時間を5〜60分とすればよい。減圧処理のほか超音波加振、めっき処理での浴温で所定時間の攪拌による脱気処理を行っても良い。また、ニッケルPTFE複合めっき工程は、電気めっきによって実施できる。めっき浴としては、無電解めっきのめっき浴と同様のものを使用できる。電気めっきの条件は、一般的なニッケルの電気めっきと同じである。電気めっきによるニッケルPTFE複合めっきでは、電気めっきに特有の傾向、すなわちエッジ部分にめっきが乗り易く、その一方で、多孔性板状基材の貫通孔が形成される部分にはめっきが乗りにくい傾向がある。このため、めっき層の層厚を均一にするためには、層厚を大きくする必要があり、好ましくは層厚を3μm以上にすることが必要である。なお、ニッケルPTFE複合層を形成する際、無電解めっきまたは電気めっきのいずれを選択するかは、それぞれのめっき法の特徴とコストに応じて決定すればよい。
【0046】
帯電装置1によれば、針状電極2に電圧が印加されることによりコロナ放電が起こり、感光体ドラム30の表面が帯電されるとともに、グリッド電極8に所定のグリッド電圧が印加されることにより、感光体ドラム30の表面の帯電状態が均一化されるので、感光体ドラム30の表面を所定の電位および極性に帯電させることができる。本実施の形態の帯電装置1においては、コロナ放電用電極として針状電極2を用いるけれども、それに限定されず、帯電ワイヤを用いることもできる。帯電ワイヤとしてはこの分野で常用されるものをいずれも使用でき、たとえば、線径0.06mmのタングステンワイヤに金めっきを施したものが挙げられる。
【0047】
ここで図1に戻り、露光ユニット31は、露光ユニット31から出射される各色情報の光が、帯電装置1と現像手段32との間を通過して感光体ドラム30の表面に照射されるように配置される。露光ユニット31は、画像情報を該ユニット内でb,c,m,yの各色情報の光に分岐し、帯電装置1によって一様な電位に帯電された感光体ドラム30表面を各色情報の光で露光し、その表面に静電潜像を形成する。露光ユニット31には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニットを使用できる。
【0048】
現像手段32は、現像槽34とトナーホッパ35とを含む。現像槽34は感光体ドラム30表面を臨むように配置され、感光体ドラム30の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する。現像槽34の内部には、現像槽34の開口部において感光体ドラム30を臨む位置に現像ローラが回転駆動可能に設けられる。現像ローラは感光体ドラム30上の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。また現像ローラとともに、供給ローラおよび攪拌ローラが設けられる。供給ローラは現像ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ周辺にトナーを供給する。攪拌ローラは供給ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ35から現像槽34内に新たに供給されるトナーを供給ローラ周辺に送給する。トナーホッパ35は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口(図示せず)と、現像槽34の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口(図示せず)とが連通するように設けられ、現像槽34のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。ここで使用されるトナーとしては、この分野で常用されるものをいずれも使用できる。たとえば、結着樹脂、着色剤、電荷制御剤、離型剤などを含むものが用いられる。
【0049】
結着樹脂としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、スチレン系重合体、ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂などが挙げられる。
【0050】
着色剤として、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、イエロートナー用着色剤、マゼンタトナー用着色剤、シアントナー用着色剤、ブラックトナー用着色剤などが挙げられる。イエロートナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー5、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17などのアゾ系顔料、黄色酸化鉄、黄土などの無機系顔料、C.I.アシッドイエロー1などのニトロ系染料、C.I.ソルベントイエロー2、C.I.ソルベントイエロー6、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー19、C.I.ソルベントイエロー21などの油溶性染料などが挙げられる。マゼンタトナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド81、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ソルベントレッド19、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ベーシックレッド10、C.I.ディスパーズレッド15などが挙げられる。シアントナー用着色剤としては、たとえば、カラーインデックスによって分類されるC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ソルベントブルー55、C.I.ソルベントブルー70、C.I.ダイレクトブルー 25、C.I.ダイレクトブルー86などが挙げられる。ブラックトナー用着色剤としては、たとえば、チャンネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。これら各種カーボンブラックの中から、得ようとするトナーの設計特性に応じて、適切なカーボンブラックを適宜選択すればよい。着色剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。また、同色系のものを2種以上用いることができ、異色系のものをそれぞれ1種または2種以上用いることもできる。着色剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは結着樹脂100重量部に対して、5〜20重量部である。着色剤をこの範囲で用いることによって、トナーの各種物性を損なうことなく、高い画像濃度を有し、画質品位の非常に良好な画像を形成することができる。
【0051】
電荷制御剤としてはこの分野で常用される正電荷制御用および負電荷制御用のものを使用できる。正電荷制御用の電荷制御剤としては、たとえば、塩基性染料、第四級アンモニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン、ニグロシン染料などが挙げられる。負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、巣ピロンブラックなどの油溶性染料、含金属アゾ化合物、ナフテン酸金属塩、サリチル酸金属塩、脂肪酸石鹸、樹脂酸石鹸などが挙げられる。電荷制御剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。電荷制御剤の使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.5〜3重量部である。
【0052】
離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスおよびその誘導体、マイクロクリスタリンワックスおよびその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスおよびその誘導体、ポリオレフィンワックスおよびその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスおよびその誘導体、低分子量ポリエチレンワックスおよびその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスおよびその誘導体、ライスワックスおよびその誘導体、キャンデリラワックスおよびその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸およびその誘導体、長鎖アルコールおよびその誘導体などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、結着樹脂100重量部に対して0.2〜20重量部である。
【0053】
さらに、外添剤として流動性改良剤を含むことができる。トナーと流動性改良剤とを混合し、トナー表面に流動性改良剤を付着させることによってその効果を発揮する。流動性改良剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、シリカ、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウムなどが挙げられる。流動性改良剤は疎水化処理を施されたものであってもよい。流動性改良剤の疎水化処理は、たとえば、流動性改良剤と疎水化剤とを混合することによって行われる。疎水化処理を施された流動性改良剤は、主に高速での画像形成に対応するため、トナーの外添剤として用いられる。疎水化処理を施された流動性改良剤の中でも、疎水化処理を施されたシリカが好ましい。疎水化処理されたシリカは、一般に帯電装置の電極などに付着してその感光体ドラム帯電能力を低下させ、帯電不良を発生させることが多い。しかしながら、本発明の帯電装置1を用いれば、疎水化処理されたシリカを含むトナーを用いて画像形成を行っても、帯電不良ひいては画像不良の発生は起こらない。疎水化剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、トリメチルシラン、トリメチルシリルメルカプタン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロムメチルジメチルクロロシラン、α−クロロエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、トリメチルシリル基を有するポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。流動性改良剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。流動性改良剤の使用量は特に制限されないけれども、好ましくは、トナー粒子100重量部に対して0.1〜3.0重量部である。
【0054】
クリーニングユニット33は、中間によって記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム30の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム30の表面を清浄化する。クリーニングユニット33には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。なお、本発明の画像形成装置においては、感光体ドラム30として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるため、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット33よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。
【0055】
トナー像形成手段21によれば、帯電装置1によって均一な帯電状態にある感光体ドラム30の表面に、露光ユニット31から画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成し、これに現像手段32からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を転写ベルト36に転写した後に、感光体ドラム30表面に残留するトナーをクリーニングユニット33で除去する。この一連のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
【0056】
転写手段22は、感光体ドラム30の上方に配置され、転写ベルト36と、駆動ローラ37と、従動ローラ38と、中間転写ローラ39(b,c,m,y)と、転写ベルトクリーニングユニット40、転写ローラ41とを含む。転写ベルト36は、駆動ローラ37と従動ローラ38とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向に回転駆動する。転写ベルト36が、感光体ドラム30に接しながら感光体ドラム30を通過する際、転写ベルト36を介して感光体ドラム30に対向配置される中間転写ローラ39から、感光体ドラム30表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム30の表面に形成されたトナー像が転写ベルト36上へ転写される。フルカラー画像の場合、各感光体ドラム30で形成される各色のトナー画像が、転写ベルト36上に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。駆動ローラ37は図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その回転駆動によって、転写ベルト36を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ38は駆動ローラ37の回転駆動に従動回転可能に設けられ、転写ベルト36が弛まないように一定の張力を転写ベルト36に付与する。中間転写ローラ39は、転写ベルト36を介して感光体ドラム30に圧接し、かつ図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。中間転写ローラ39は、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム30表面のトナー像を転写ベルト36に転写する機能を有する。転写ベルトクリーニングユニット40は、転写ベルト36を介して従動ローラ38に対向し、転写ベルト36の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム30との接触によって転写ベルト36に付着するトナーは、記録媒体の裏面を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット40が転写ベルト36表面のトナーを除去し回収する。転写ローラ41は、転写ベルト36を介して駆動ローラ37に圧接し、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。転写ローラ41と駆動ローラ37との圧接部(転写ニップ部)において、転写ベルト36に担持されて搬送されて来るトナー像が、後述する記録媒体供給手段24から送給される記録媒体に転写される。トナー像を担持する記録媒体は、定着手段23に送給される。転写手段22によれば、感光体ドラム30と中間転写ローラ39との圧接部において感光体ドラム30から転写ベルト36に転写されるトナー像が、転写ベルト36の矢符B方向への回転駆動によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。
【0057】
定着手段23は、転写手段22よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、加熱ローラ47と加圧ローラ48とを含み、さらに加熱ローラ47の加熱源、加熱ローラ47の温度を検知するセンサ、加熱ローラ47が所定の温度になるように加熱源の動作を制御する制御部などを含む。加熱ローラ47と加圧ローラ48とは、互いに圧接して図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、その圧接部(定着ニップ部)にて記録媒体を挟圧搬送する。定着手段23は、転写手段22から送給されるトナー像担持記録媒体が定着ニップ部を通過する際、トナー像を加熱および加圧して記録媒体に定着させ、堅牢な記録画像を形成する。定着手段23によれば、トナー像を担持する記録媒体が圧接部を通過する際に加熱および加圧を受け、トナー像が記録媒体に定着されて画像が形成される。
【0058】
記録媒体供給手段24は、自動給紙トレイ42と、ピックアップローラ43と、搬送ローラ44と、レジストローラ45、手差給紙トレイ46とを含む。自動給紙トレイ42は画像形成装置20の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体には、普通紙、カラーコピー専用紙、コート紙、オーバーヘッドプロジェクタ(OHP)用シート、葉書などがある。記録媒体のサイズは、たとえば、JIS P 0138またはJIS P 0202に規定されるA3、A4、B4、B5、さらには葉書サイズなどである。また、これらのサイズに限定されず、不定形の記録媒体を収容することもできる。ピックアップローラ43は、自動給紙トレイ42に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路S1に送給する。搬送ローラ44は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ45に向けて搬送する。レジストローラ45は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、搬送ローラ44から送給される記録媒体を、転写ベルト36に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。手差給紙トレイ46は、手動動作によって記録媒体を画像形成装置20内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ46から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ44によって用紙搬送路S2内を通過し、レジストローラ45に送給される。記録媒体供給手段24によれば、自動給紙トレイ42または手差給紙トレイ46から1枚ずつ供給される記録媒体を、転写ベルト36に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。
【0059】
排出手段25は、搬送ローラ44と、排出ローラ49と、排出トレイ50とを含む。搬送ローラ44は、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着手段23によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ49に向けて搬送する。排出ローラ49は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置20の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ50に排出する。排出トレイ50は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
【0060】
画像形成装置20には、図示しない制御手段が設けられる。制御手段は、たとえば、画像形成装置20の内部空間における上部に設けられ、図示しない、制御部、演算部、記憶部などからなる中央処理装置(CPU)を備えるマイクロコンピュータなどによって実現される処理回路を含む。CPUの記憶部には、画像形成装置20の上面に配置される図示しない操作パネルを介する画像形成命令、画像形成装置20内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力され、入力される各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)に基づいて演算部による判定が行われ、演算部の判定結果に応じて制御部から制御信号が送付され、画像形成装置20の全動作が制御される。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置20に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビ、ビデオレコーダ、DVDレコーダ、ファクシミリ装置などが挙げられる。制御手段は、前述の処理回路とともに電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置20内部における各装置にも電力を供給する。
【0061】
画像形成装置20によれば、トナー像形成手段21で形成されるトナー像を転写手段22の転写ベルト36に転写し、さらに転写ベルト36上のトナー像を記録媒体に転写し、定着手段23によってトナー像を記録媒体に定着させて画像を形成し、この画像形成済記録媒体を排出手段25経由で、排紙トレイ50に排出する。
【実施例】
【0062】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
ステンレス鋼(SUS304)からなるグリッド基材(寸法30mm×370mm×厚さ0.1mm)にエッチング処理を行い、多孔性板状基材を作製した。なお、エッチングは、グリッド基材に30重量%塩化第2鉄水溶液を液温90℃で2時間噴霧することによって行った。エッチング後、グリッド基材の水洗および純水による洗浄を行い、多孔性板状基材を作製した。この多孔性板状基材の表面に、電気めっきにより厚さ0.5μmのNiめっき層を形成した。ついで、このNiめっき層を形成した多孔性板状基材を、仕上がりめっき層としてPTFE粒子含有量が18体積%となるように粒径1μmのPTFE粒子が分散され、脱気処理(減圧:1/10気圧、脱気時間:10分)されたニッケルPTFE複合めっき浴中(浴温90℃)に15分浸漬し、表面に厚さ3μmのニッケルPTFE複合めっき層が形成されたグリッド電極を製造した。なお、ニッケルPTFEめっき浴としては、上村工業(株)製のニムフロン(商品名)に、前記のようにPTFE粒子含有量の調整および脱気処理を施しためっき浴を用いた。形成されたニッケルPTFE複合層の表面を走査型電子顕微鏡(リアルサーフェスビュー)によって倍率500倍および3000倍で観察したところ、短径長さが3μmを超えるPTFE2次凝集体は認められなかった。また、ピンホールも観察されなかった。
【0063】
(比較例1)
粒径1μmのPTFE粒子に代えて粒径0.2μmのPTFE粒子を用い、仕上がりめっき層におけるPTFE粒子含有量を18体積%から23体積%に変更し、脱気処理を行わない以外は実施例1と同様にして、表面に厚さ3μmのニッケルPTFE複合層が形成されたグリッド電極を製造した。形成されたニッケルPTFE複合層表面を、走査型電子顕微鏡(リアルサーフェスビュー)によって倍率500倍および3000倍で観察を行ったところ、短径長さが2μmを超えるPTFE2次凝集体が観察され、PTFE粒子の分散も不均一であった。また、ピンホールも観察された。
【0064】
(比較例2)
ステンレス鋼(SUS304)からなるグリッド基材(寸法30mm×370mm×厚さ0.1mm)にエッチング処理を行い、多孔性板状基材を作製した。なお、エッチングは、グリッド基材に30重量%塩化第2鉄水溶液を液温90℃で2時間噴霧することによって行った。エッチング後、グリッド基材の水洗および純水による洗浄を行い、多孔性板状基材を作製し、これをグリッド電極として用いた。実施例1および比較例1〜2で得られるグリッド電極を、市販の画像形成装置(商品名:AR625、シャープ(株)製)における、帯電装置のグリッド電極と交換し、本発明の帯電装置を含む画像形成装置を製造した。このグリッド電極、帯電装置および画像形成装置を用い下記の試験を実施した。
【0065】
〔放電試験〕
過酷試験として、低湿条件(10%以下)で、通紙を伴わないエージングテストを行った。AR625は70枚機であるため、24時間がコピー枚数(10万枚)に相当する。このテストで感光体表面の帯電電位は、初期は−630Vに設定した。実施例1のグリッド電極を用いると、ハーフトーン画像は10万枚複写後でも画質が均一でむらも発生しなかった。比較例1の針状電極を用いると、10万枚複写後に僅かではあるが画像むらの発生が認められた。比較例2の場合は、5万枚複写の段階で、ハーフトーン画像に白筋、黒筋などの画像不良が発生した。また、実施例1および比較例1のグリッド電極を用いた場合について、感光体表面の帯電電位むら(V)と印刷枚数(複写枚数)との関係を図4に示す。図4は、感光体表面の帯電電位むら(V)と印刷枚数との関係を示すグラフである。図4において、横軸の印刷枚数(枚)における「K」は1000を意味する。したがって、図4において印刷枚数は0〜10万枚になる。図4から、実施例1の針状電極を用いれば、10万枚の印刷を行っても、帯電電位むらの幅が極めて小さいことが明らかである。これに対し、比較例1の針状電極を用いると、4万枚を印刷した後から帯電電位むらの幅が大きくなることがわかる。すなわち、実施例1では10万枚印刷後の帯電電位むらが30V以内に納まっているのに対して、比較例1では5万枚で45Vに上昇し、10万枚で98Vに達した。
【0066】
〔窒素酸化物および錆の検出〕
錆、窒素酸化物の検出は、放電後のグリッド電極表面を顕微鏡観察することによって行った。実施例1のグリッド電極を用いた場合には、錆などの析出が見られなかった。これに対し、比較例2のグリッド電極を用いた場合には、錆などの析出が認められた。また、実施例1および比較例1のグリッド電極を用いることによって、ニッケルPTFE複合層の特徴である表面の滑らかさによって、比較例2のステンレス素材そのままの針状電極に比べて空気中の埃などに由来する付着物が少ないと言う特徴とともに、清掃時に簡単に取り除ける事が判明した。
【0067】
また、1次粒子径1μmのPTFE粒子を用いた実施例1では、ニッケルPTFE複合層の層厚の2倍を超えるような2次凝集体が存在せず、凝集のない良好な分散状態が得られることが判る。これに対し、1次粒子径0.2μmのPTFE粒子を用いた比較例1では、PTFE粒子の顕著な凝集が顕微鏡観察によって確認されている。微細粒子の凝集力には粒子径の2乗に比例するファンデルワールス力が関与することに基づいて、実施例1と比較例1との結果から、1次粒子径0.7μm以上のPTFE粒子を用いることによって、ニッケルPTFE複合層の層厚の2倍を超えるような短径長さを有するPTFE2次凝集体の生成が防止されることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の他の実施形態である画像形成装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の第1形態である帯電装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2に示す帯電装置の正面図である。
【図4】感光体表面の帯電電位むら(V)と印刷枚数との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0069】
1 帯電装置
2 針状電極
3 保持部材
4a,4b 清掃部材
5 支持部材
6 移動用部材
7 シールドケース
8 グリッド電極
20 画像形成装置
21 トナー像形成手段
22 転写手段
23 定着手段
24 記録媒体供給手段
25 排出手段
30 感光体ドラム
31 露光ユニット
32 現像手段
33 クリーニングユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を含む電子写真方式の画像形成装置に、感光体表面を臨むように装着される帯電装置において、
複数の先鋭状突起部を有し、感光体表面に電圧を印加して該表面を帯電させる針状電極と、
針状電極と感光体との間に設けられ、多孔性板状基材とその表面の一部または全面に形成されるポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層とを備えるグリッド電極とを含み、
ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層に含まれるポリテトラフルオロエチレンの2次凝集体の短径長さがポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層の層厚の2倍以下であることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層がグリッド電極またはグリッド電極の表面に形成されるニッケル層の表面に形成され、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層によって被覆されるグリッド電極またはニッケル層表面における欠陥部分の短径長さが、ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層の層厚の2倍以下であることを特徴とする請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層が、無電解めっき法により形成されることを特徴とする請求項1または2記載の帯電装置。
【請求項4】
ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層に含まれるポリテトラフルオロエチレンの1次粒子径が0.7μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の帯電装置。
【請求項5】
ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層の層厚がポリテトラフルオロエチレンの1次粒子径よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の帯電装置。
【請求項6】
多孔性板状基材とポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層との間に、さらにニッケル層が形成されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の帯電装置。
【請求項7】
ポリテトラフルオロエチレン含有ニッケル層が、ニッケルとともにリンを含むことを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載の帯電装置。
【請求項8】
多孔性板状基材が、多孔性ステンレス鋼板または多孔性銅板であることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載の帯電装置。
【請求項9】
その表面に静電荷像が形成される感光体と、感光体の表面を帯電させるための帯電手段と、帯電状態にある感光体表面に画像情報に基づく信号光を照射して静電荷像を形成する露光手段と、感光体表面の静電荷像にトナーを供給してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を記録材に転写させる転写手段と、記録材に転写されるトナー像を定着させる定着手段とを含む画像形成装置において、
帯電手段が、請求項1〜8のいずれか1つの帯電装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
トナーが外添剤として疎水性シリカを含有することを特徴とする請求項9記載の画像形成装置。
【請求項11】
トナー像を記録材に転写した後に感光体表面に残留するトナーを除去するクリーニング手段をさらに含み、
帯電手段は、
現像手段またはクリーニング手段よりも鉛直方向下方に配置されることを特徴とする請求項9または10記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−256397(P2007−256397A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−77805(P2006−77805)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】