説明

帯電防止ポリウレタン

本発明は、イオン液体を含む帯電防止添加剤を含む帯電防止ポリウレタンに関し、及びこのような帯電防止ポリマーを製造する方法に関する。更に本発明は、本発明に従う帯電防止ポリウレタンを含む帯電防止靴ソールに関し、及びポリウレタンのために、イオン液体を帯電防止添加剤として使用する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン液体を含むポリウレタンに関する。本発明は更に、このようなポリウレタン、ローラ、フロアカバリング(床仕上げ剤)、自動車室内要素、フィルム及び本発明に従うポリウレタンを含む帯電防止靴ソールに関し、及びイオン液体を帯電防止添加剤として使用する方法に関する。
【0002】
本発明の更なる実施の形態は、請求項、発明の詳細な説明、及び実施例に見出すことができる。上述した特徴及び更に本発明について以下に更に説明する特徴は、記載した特定の組合せに使用可能であるばかりでなく、本発明の範囲から出ることなく、他の如何なる組合せにおいてでも使用可能である。
【背景技術】
【0003】
静電荷は、電気絶縁体又はこのような絶縁体によって絶縁された物品又は人物に発生し得るものであり、そしてしばしば望ましくない損傷が発生し及び時として危険である。例えば、医学上のある適用例又は電子部品の製造では、ダストを低減させた雰囲気内で作業する必要性が発生し得る。しかしながら、人物又は物品に静電荷があると、これら人物又は物品に付着するダストの範囲は増加し、そして、これらダスト粒子は、これらの場合、面倒(厄介)になる。更に、電荷は、突然の放電をもたらし得るもので、この結果、例えば、電子部品(電子要素)がダメージを受け得る。爆発の危険が存在する場所では、電気放電は、爆発の原因ともなり得る。従って、これら物品又は人物をアースすることによって、帯電する危険性を低減させる試みがなされている。
【0004】
多くの場合、電気絶縁体はポリマーである。通常、これらポリマーは、導電性材料によって替えることができないので、帯電防止添加剤を点加することによりポリマーの導電性を増し、そして物品又は材料をアースしている。以降、帯電防止添加剤を含むポリマーは、帯電防止ポリマー(antistatic)ポリマーと称される。
【0005】
このような帯電防止ポリマーは公知である。例えば、特許文献1(DE3531660)には、帯電防止ポリウレタン靴ソールが記載されている。帯電防止効果は、0.01〜0.3質量%の化学的に化合したスルホン酸基を使用して達成されている。達成された体積抵抗は、<108Ω/cmである。
【0006】
更に、特許文献2(EP270009)には、ナトリウムトリフェニルホウ酸塩が帯電防止添加剤として存在する、帯電防止ポリウレタン靴が記載されている。
【0007】
種々の第4級のアンモニウム塩を、ポリマーの導電性を増すために使用することが特許文献3(EP1134268)に記載されている。これらは、RhodiaからのCatafor(登録商標)又はCatafor PU(登録商標)等の市販の帯電防止剤の改質(変性:modification)である。これにより107Ω/cmの体積抵抗が達成される。特許文献3(EP1134268)中の実施例では、体積抵抗の雰囲気中湿度への重要な依存性が実証されている。
【0008】
特許文献4(DE3528597)には、導電性改良剤としてカーボンブラックを使用する方法が記載されている。<109Ω/cmの体積抵抗が達成されている。不利な点は、製品が黒色であることであり、そして比較的大量に使用された場合には、機械的性質が低下することである。
【0009】
【特許文献1】DE3531660
【特許文献2】EP270009
【特許文献3】EP1134268
【特許文献4】DE3528597
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術の不利な点は、しばしば107Ω/cm以上のポリマー等は、体積抵抗がまだなお非常に高いことであり、そして体積抵抗が大気中の湿度に依存することである。この結果、静電荷は、導電性添加剤(の添加)にもかかわらず発生し得る。
【0011】
従来技術で提案されている帯電防止添加剤の更なる不利な点は、長期間の作用がしばしば不十分であることで、この結果、特定のケースでは、ポリマーの体積抵抗は、わずか数日後には増加する。
【0012】
最後に、公知の帯電防止添加剤の大量の添加は、材料特性の劣化をもたらす。
【0013】
従って、本発明の目的は、体積抵抗が107Ω/cm以下であり、そして上述した不利な点を有していない帯電防止ポリウレタンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的は、イオン液体を含むポリウレタンによって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の目的のために、イオン液体は、
(A)好ましくは一般式(I)の塩、

[A]+n[Y]n- (I)

(但し、nは、1、2、3又は4であり、[A]+は、第4級アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン又はホスホニウムカチオンであり、そして[Y]n-は、一価、二価、三価又は四価のアニオンである);
【0016】
(B)一般式(II)の混合塩

[A1+[A2+[Y]n- (IIa)、但し n=2;
[A1+[A2+[A3+[Y]n- (IIb)、但し n=3;又は
[A1+[A2+[A3+[A4+[Y]n- (IIb)、但し n=4;

(但し、[A1+、[A2+、[A3+及び[A4+は、[A]+のために記載した群から独立して選択され、そして[Y]n-は、(A)で定義したものである);又は
【0017】
(C)一般式(III)の混合塩

[A1+[A2+[A3+[M1+[Y]n- (IIIa)、但し n=4;
[A1+[A2+[M1+[M2+[Y]n- (IIIb)、但し n=4;
[A1+[M1+[M2+[M3+[Y]n- (IIIc)、但し n=4;
[A1+[A2+[M1+[Y]n- (IIId)、但し n=3;
[A1+[M1+[M2+[Y]n- (IIIe)、但し n=3;
[A1+[M1+[Y]n- (IIIf)、但し n=2;
[A1+[A2+[M42+[Y]n- (IIIg)、但し n=4;
[A1+[M1+[M42+[Y]n- (IIIh)、但し n=4;
[A1+[M53+[Y]n- (IIIi)、但し n=4;又は
[A1+[M42+[Y]n- (IIIj)、但し n=3;

(但し、[A1+、[A2+及び[A3+は、[A]+のために記載した群から独立して選択され、そして[Y]n-は、(A)で定義したものであり、そして[M1+、[M2+、[M3+は、一価の金属カチオンであり、[M42+は、二価の金属カチオンであり、そして[M53+は、三価の金属カチオンである。)である。
【0018】
イオン液体は、融点(メルティングポイント)が−50℃〜150℃の範囲であり、より好ましくは−20℃から100℃以下の範囲、更に好ましくは−20℃から80℃以下の範囲である。イオン液体の融点は、好ましくは50℃以下であり、特に、本発明に従い使用されるイオン液体は、室温で液体である。室温で液体のイオン液体は、加工が容易であり、そして卓越した帯電防止作用を有している。
【0019】
イオン液体のカチオン[A]+を形成するのに適切な化合物は、例えば、DE10202838A1により公知である。従って、このような化合物は、酸素、リン、硫黄又は特に窒素原子、例えば少なくとも1個の窒素原子、好ましくは1〜10個の窒素原子、特に好ましくは1〜5個の窒素原子、極めて好ましくは1〜3個の窒素原子、及び特に1〜2個の窒素原子を含むことができる。適切であれば、酸素、硫黄又はリン原子等の更なるヘテロ原子も存在可能である。窒素原子は、イオン液体のカチオン中の正電荷の適切なキャリヤであり、キャリヤからプロトン又はアルキル基が釣り合って(平衡して)アニオンに移行し、電気的に中性の分子を生成する。
【0020】
窒素原子がイオン液体のカチオン中の正電荷のキャリヤである場合、窒素原子(例えばイオン液体の合成物中のアミン又は窒素ヘテロ環の窒素)の4級化によってカチオンが最初に生成され得る。4級化は、窒素原子のアルキル化によって行うことができる。使用するアルキル化試薬に依存して、異なるアニオンを有する塩が得られる。4級化で直接的に所望のアニオンを形成することができない場合には、窒素原子(キャリヤ)は、合成の更なる工程(段階)に導入される。例えば、ハロゲン化アンモニウムから出発して、このハロゲン化物はルイス酸と反応し、そしてハロゲン化物とルイス酸とから錯アニオン(錯陰イオン)を形成する。この代わりに、ハロゲン化物イオンを所望のアニオンによって替えることも可能である。このことは、イオン交換器の使用下に金属塩を添加し、生成した金属ハロゲン化物を沈殿させることによって達成可能であり、又は強酸によって(ハロゲン化水素の解放下)ハロゲン化物イオンを排除(置換)することによって達成可能である。適切な方法は、例えばAngew.Chem.2000,112,pp.3926−3945に記載されており、そしてこの文献はここに導入される。
【0021】
アミン又は窒素ヘテロ環中の窒素を4級化することができる適切なアルキル基は、例えば、C1−C18−アルキル、好ましくはC1−C10−アルキル、特に好ましくはC1−C6−アルキルが可能であり、そして極めて好ましくはメチルである。アルキル基は無置換であることが可能であり、又は1個又は2個以上の同一又は異なる置換基を有することができる。
【0022】
少なくとも5員又は6員のヘテロ環、特に5員のヘテロ環(ヘテロ環は、少なくとも1個の窒素原子、及び適切であれば酸素又は硫黄原子をカチオンとして有する)を含む化合物を使用することが好ましく;特に好ましい化合物は、1個、2個又は3個の窒素原子及び硫黄又は酸素原子を有する、少なくとも1種の5員又は6員のヘテロ環を含むものであり、極めて好ましくは、2個の窒素原子を有するものである。更に好ましくは、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、イミダゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、ピロロリジニウム、及びイミダゾリウム等の芳香族ヘテロ環である。
【0023】
これら化合物の中で、分子量が1000g/mol未満のカチオンを使用することが好ましく、この分子量は、極めて好ましくは500g/mol未満、特に250g/mol未満である。
【0024】
更に、式(IVa)〜(IVw)の化合物及びこれらの構造を含むオリゴマーの中から選ばれるカチオンが好ましい。
【0025】
【化1】

【0026】
【化2】

【0027】
【化3】

【0028】
更に適切なカチオンは、一般式(IVx)及び(IVy)の
化合物及びこれらの構造を有するオリゴマーである。
【0029】
【化4】

【0030】
上述した式(IVa)〜(IVy)の中で、
・基Rは、水素、炭素含有有機、飽和又は不飽和の、非環式又は環式、脂肪族、芳香族又はアラリファチックの基(これらの基は、1〜20個の炭素原子を有し、そして無置換であって良く又は1〜5個のヘテロ原子又は官能基によって中断又は置換されていて良い)であり;そして
・基R1〜R9は、それぞれ互いに独立して、水素、スルホ基又は有機、飽和又は不飽和の、非環式又は環式、脂肪族、芳香族又はアラリファチックの基(これらの基は、1〜20個の炭素原子を有し、そして無置換であって良く又は1〜5個のヘテロ原子又は官能基によって中断又は置換されていて良い)であり、但し、上述した式(IV)中の炭素原子と結合した(そしてヘテロ原子とは結合していない)基R1〜R9は、ハロゲン又は官能基であっても良い;又は
1〜R9で構成される群からの2個の隣接する基が、一緒に、2価の炭素含有有機、飽和又は不飽和の、非環式又は環式、脂肪族、芳香族又はアラリファチックの基(これらの基は、1〜30個の炭素原子を有し、そして無置換であって良く又は1〜5個のヘテロ原子又は官能基によって中断又は置換されていて良い)を形成しても良い。
【0031】
基R及びR1〜R9の定義中で、ヘテロ原子は、原則として、式的に−CH2−、−CH=、−C≡又は=C=基を置換することができる全てのヘテロ原子である。炭素含有基がヘテロ原子(heteroatom)を含む場合、酸素、窒素、硫黄、リン及びシリコンが好ましい。好ましい基として、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR’−、−N=、−PR’2及び−SiR’2 (但し、基R’はそれぞれの場合、炭素含有基の残りの部分である。)が特に挙げられて良い。上述した式(IV)中で、基R1〜R9が炭素原子と結合している(そしてヘテロ原子と結合していない)場合には、基R1〜R9は、ヘテロ原子を介して直接的に結合されていても良い。
【0032】
適切な官能基は、原則として、炭素原子又はヘテロ原子と結合可能な全ての官能基である。記載して良い例は、−OH(ヒドロキシ)、=O(特にカルボニル基)、−NH2(アミノ)、=NH(イミノ)、−COOH(カルボキシ)、−CONH2(カルボキシアミド)、−SO3H(スルホ)及び−CN(シアノ)である。官能基及びヘテロ原子は、直接的に隣接していても良く、これにより、複数の原子との組合せ、例えば、−O−(エーテル)、−S−(チオエーテル)、−COO−(エステル)、−CONH−(第2アミド)又は−CONR’−(第3アミド)等の隣接する複数原子、例えば、ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、C1−C4−アルキルカルボニル、又はC1−C4−アルキルオキシも含まれる。
【0033】
ハロゲンとして、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられて良い。
【0034】
基Rは、好ましくは、
・非分岐又は分岐したC1−C18−アルキルであり、そして、無置換であって良く、又は1個以上のヒドロキシ、ハロゲン、フェニル、シアノ、C1−C6−アルコキシカルボニル、及び/又はスルホン酸基によって置換されていて良く、及び合計で1〜20個の炭素原子を有するもので、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、3−フェニルプロピル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル、ウンデシルフルオロペンチル、6−ヒドロキシヘキシル、及びプロピルスルホン酸;
・グリコール、ブチレングリコールから誘導される基、及び1〜100単位を有し、及び末端基として水素又はC1−C8−アルキル基を有する、これらのオリゴマー、例えば、RAO−(CHRB−CH2−O)n−CHRB−CH2−又はRAO−(CH2CH2CH2CH2O)n−CH2CH2CH2CH2O−、(但し、RA及びRBが、好ましくは、水素、メチル又はエチルであり、そしてnが、好ましくは0〜3である)、特に3−オキサブチル、3−オキサペンチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル;
・ビニル;及び
・N,N−ジメチルアミノ及びN,N−ジエチルアミノ等のN,N−ジ−C1−C6−アルキルアミノ、
である。
【0035】
基Rは、特に好ましくは、非分岐及び無置換の、メチル、エチル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−デシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル等のC1−C18−アルキル、特にメチル、エチル、1−ブチル及び1−オクチル又はCH3O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−及びCH3CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−(但し、nが、0〜3である)である。
【0036】
好ましい基R1〜R9は、それぞれ互いに独立して、
・水素;
・ハロゲン;
・官能基、特に上述したもの;
・任意に、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換された、及び/又は1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は無置換のイミノ基で中断された(interrupted)C1−C18−アルキル;
・任意に、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換された、及び/又は1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は無置換のイミノ基で中断されたC2−C18−アルキル;
・任意に、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換されたC6−C12−アルキル;
・任意に、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換されたC5−C12−シクロアルキル;
・任意に、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換されたC5−C12−シクロアルケニル;
・任意に、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換された、5員又は6員の酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を含むヘテロ環;であるか、又は
2個の隣接する基が互いに、
・不飽和、飽和の、又は芳香族の、任意に官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換された、及び任意に1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は無置換のイミノ基で中断された環を形成するものである。
・任意に官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換されたC1−C18−アルキルは、好ましくは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−トリデシル、1−テトラデシル、1−ペンタデシル、1−ヘキサデシル、1−ヘプタデシル、1−オクタデシル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、ベンジル(フェニルメチル)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル)、トリフェニルメチル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、α,α−ジメチルベンジル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)エチル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミニヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェニキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、6−エトキシヘキシル、アセチル、Cn2(n-a)+(1-b)2a+b、但し、nが1〜30、0≦a≦n及びb=0又は1である、(例えば、CF3、C25、CH2CH2−C(n-2)2(n-2)+1、C613、C817、C1021、C1225)、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、メトキシメチル、2−ブチルエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、2−メトキシイソプロピル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサノニル、14−ヒドロキシ−5,10−ジオキサテトラデシル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オクサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−ジオキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニル又は14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルである。
【0037】
任意に、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換された、及び/又は1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は無置換のイミノ基で中断されたC2−C18−アルケニルは、好ましくは、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、シス−2−ブテニル、トランス−2−ブテニル又はCn2(n-a)-(1-b)2a-b、(但し、n≦30、0≦a≦n及びb=0又は1である。)である。
【0038】
任意に官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換されたC6−C12−アリールは、好ましくは、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニルイル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、エトキシメチルフェニル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル又はtert−ブチルチオフェニル又はC6(5-a)a(但し、0≦a≦5である)である。
【0039】
任意に官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換されたC5−C12−シクロアルキルは、好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、Cn2(n-a)-(1-b)2a-b、(但し、n≦30、0≦a≦n及びb=0又は1である。)又はノルボルニル又はノルボルネリル等の飽和又は不飽和した二環式組成物(system)である。
【0040】
任意に官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換されたC5−C12−シクロアルケニルは、好ましくは、3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル又はCn2(n-a)-3(1-b)2a-3b、(但し、n≦30、0≦a≦n及びb=0又は1である。)である。
【0041】
任意に官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換された、5員又は6員の酸素原子、窒素原子及び/又は硫黄原子を含むヘテロ環は、好ましくは、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンズオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル又はジフルオロピリジルである。
【0042】
2個の隣接する基が一緒に、不飽和、飽和の、又は芳香族の、任意に官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換された、及び任意に1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は無置換のイミノ基で中断された環を形成する場合、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロペニレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C1−C4−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレン又は2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンが好ましい。
【0043】
上述した基が酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は置換された又は無置換のイミノ基を含む場合、酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は、特に限定されない。通常、基中に5個以下、好ましくは4個以下、及び極めて好ましくは3個以下である。
【0044】
上述した基が複数のヘテロ原子を含む場合、通常、少なくとも1個の炭素原子、好ましくは少なくとも2個の炭素原子が、2個のヘテロ原子の間に存在する。
【0045】
特に好ましい基R1〜R9は、それぞれ互いに独立して、
・水素;
・非分岐の又は分岐した、無置換又は水素、ハロゲン、フェニル、シアノ、C1−C6−アルコキシカルボニル及び/又はスルホン酸基で一回以上置換された、及び合計で1〜20個の炭素原子を有するC1−C18−アルキル、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、3−フェニルプロピル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル、ウンデシルフルオロイソペンチル、6−ヒドロキシヘキシル及びプロピルスルホン酸;
・グリコール、ブチレングリコール、及び1〜100単位を有し、及び末端基として水素又はC1−C8−アルキル基を有する、これらのオリゴマー、例えば、RAO−(CHRB−CH2−O)n−CHRB−CH2−又はRAO−(CH2CH2CH2CH2O)n−CH2CH2CH2CH2O−、(但し、RA及びRBが、それぞれ好ましくは、水素、メチル又はエチルであり、そしてnが、好ましくは0〜3である)、特に3−オキサブチル、3−オキサペンチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル及び3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル;
・ビニル;及び
・N,N−ジメチルアミノ及びN,N−ジエチルアミノ等のN,N−ジ−C1−C6−アルキルアミノ、
である。
【0046】
極めて好ましい基R1〜R9は、それぞれ互いに独立して、水素、又はメチル、エチル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、フェニル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ等のC1−C18−アルキル、塩素又はCH3O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−及びCH3CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−(但し、nは0〜3である。)である。
【0047】
極めて好ましいピリジニウムイオン(IVa)は、
・基R1〜R5の一つは、メチル、エチル又は塩素であり、そして残りの基R1〜R5は、水素である;
・R3がジメチルアミノであり、そして残りの基R1、R2、R4及びR5は水素である;
・全ての基R1〜R5が水素である;
・R2がカルボキシ又はカルボキシアミドであり、そして残りの基R1、R2、R4及びR5は水素である;又は、
・R1とR2、又はR2とR3が一緒に、1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであり、そして残りの基R1、R2、R4及びR5は水素である;
及び特に、
・基R1〜R5の全てが水素である;又は
・基R1〜R5の一つは、メチル、又はエチルであり、そして残りの基R1〜R5は、水素である;
ものである。
【0048】
極めて好ましいピリジニウムイオン(IVa)としては、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ドデシル)ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)ピリジニウム、1−(ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2−ジメチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム及び1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、及び1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウムを挙げて良い(例示)。
【0049】
極めて好ましいピリダジニウムイオン(IVb)は、
・R1〜R4がそれぞれ水素である;又は
・基R1〜R4の一つがメチル又はエチルであり、残りの基R1〜R4は水素である、
ものである。
【0050】
極めて好ましいピリミジニウムイオン(IVc)は、
・R1が水素、メチル又はエチルであり、そしてR2〜R4は、それぞれ互いに独立して、水素又はメチルである;又は
・R1が水素、メチル又はエチルであり、R2とR4は、それぞれメチルであり、そしてR3が水素である、
ものである。
【0051】
極めて好ましいピラジニウムイオン(IVd)は、
・R1が水素、メチル又はエチルであり、そしてR2〜R4は、それぞれ互いに独立して、水素又はメチルである;
・R1が水素、メチル又はエチルであり、R2〜R4は、それぞれメチルであり、そしてR3が水素である;
・R1〜R4は、それぞれメチルである;又は、
・R1〜R4は、それぞれメチル又は水素である、
ものである。
【0052】
極めて好ましいイミダゾリウムイオン(IVe)は、
・R1が水素、メチル、エチル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−オクチル、2−ヒドロキシエチル又は2−シアノエチルであり、そしてR2〜R4は、それぞれ互いに独立して、水素、メチル又はエチルであるものである。
【0053】
極めて好ましいイミダゾリウムイオン(IVe)として、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)イミダゾリウム、1−(1−オクチル)−イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチル−イミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム及び1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムを挙げて良い。
【0054】
極めて好ましいピラゾリウムイオン(IVf)、(IVg)及び(IVg’)は、
・R1が水素、メチル又はエチル及びR2〜R4が、それぞれ、互いに独立して水素又はメチルであるものである。
【0055】
極めて好ましいピラゾリウムイオン(IVh)は、
・R1〜R4が、それぞれ互いに独立して、水素又はメチルであるものである。
【0056】
極めて好ましい1−ピラゾリウムイオン(IVi)は、
・R1〜R6が、それぞれ互いに独立して、水素又はメチルであるものである。
【0057】
極めて好ましい2−ピラゾリウムイオン(IVi)及び(IVj’)は、
・R1が、水素、メチル、エチル又はフェニル及びR2〜R6が、それぞれ互いに独立して、水素又はメチルであるものである。
【0058】
極めて好ましい3−ピラゾリウムイオン(IVk)及び(IVk’)は、
・R1及びR2が、それぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニル及びR3〜R6が、それぞれ互いに独立して、水素又はメチルであるものである。
【0059】
極めて好ましいイミダゾリウムイオン(IVI)は、
・R1及びR2が、それぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル、1−ブチル又はフェニルであり、R3及びR4が、それぞれ互いに独立して、水素、メチル、又はエチルであり、及びR5及びR6が、それぞれ互いに独立して、水素又はメチルであるものである。
【0060】
極めて好ましいイミダゾリウムイオン(IVm)及び(IVm’)は、
・R1及びR2が、それぞれ互いに独立して、水素、メチル又はエチルであり、及びR3〜R6が、それぞれ互いに独立して、水素又はメチルであるものである。
【0061】
極めて好ましいイミダゾリウムイオン(IVn)及び(IVn’)は、
・R1〜R3が、それぞれ互いに独立して、水素、メチル又はエチルであり、及びR4〜R6が、それぞれ互いに独立して、水素又はメチルであるものである。
【0062】
極めて好ましいチアゾリウムイオン(IVo)及び(IVo’)及びオキサゾリウムイオン(IVp)は、
・R1が、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、そしてR2及びR3が、それぞれ互いに独立して、水素又はメチルであるものである。
【0063】
極めて好ましい1,2,4−トリアゾリウムイオン(IVq)及び(IVq’)及び(IVq”)は、
・R1及びR2が、互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、そしてR3が、水素、メチル又はフェニルであるものである。
【0064】
極めて好ましい1,2,3−トリアゾリウムイオン(IVr)及び(IVr’)及び(IVr”)は、
・R1が、水素、メチル、エチルであり、そしてR2及びR3が、互いに独立して、水素、メチル又はフェニルであるか、又はR2とR3とが一緒に1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであるものである。
【0065】
極めて好ましいピロリジニウムイオン(IVs)は、
・R1が、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、そしてR2〜R9が、それぞれ互いに独立して、水素、メチルであるものである。
【0066】
極めて好ましいイミダゾリウムイオン(IVt)は、
・R1及びR4が、それぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル又はフェニルであり、そしてR2及びR3、及びR5〜R8がそれぞれ互いに独立して、水素、メチルであるものである。
【0067】
極めて好ましいアンモニウムイオン(IVu)は、
・R1〜R3が、それぞれ互いに独立して、C1−C18−アルキルである;又は
・R1及びR2が、一緒に、1,5−ペンチレン又は3−オキサ−1,5−ペンタレンであり、及びR3が、C1−C18−アルキル、2−ヒドロキシルエチル又は2−シアノエチルであるものである。
【0068】
極めて好ましいアンモニウムイオン(IVu)として、メチルトリ(1−ブチル)アンモニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム及びN,N−ジメチルモルホリニウムを挙げて良い。
【0069】
第3級アミン(この第3級アミンから、上述した基Rを使用して、一般式(IVu)の第4級アンモニウムイオンが誘導(derive)される。)の例として、ジエチル−n−ブチルアミン、ジエチル−tert−ブチルアミン、ジエチル−n−ペンチルアミン、ジエチルヘキシルアミン、ジエチルオクチルアミン、ジエチル(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−n−プロピルブチルアミン、ジ−n−プロピル−n−ペンチルアミン、ジ−n−プロピルヘキシルアミン、ジ−n−プロピルオクチルアミン、ジ−n−プロピル(2−エチルヘキシル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピル−n−プロピルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、ジイソプロピルヘキシルアミン、ジイソプロピルオクチルアミン、ジイソプロピル(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−n−ブチルエチルアミン、ジ−n−ブチル−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン、ジ−n−ブチルヘキシルアミン、ジ−n−ブチルオクチルアミン、ジ−n−ブチル(2−エチルヘキシル)アミン、N−n−ブチルピロリジン、N−sec−ブチルピロリジン、N−tert−ブチルピロリジン、N−n−ペンチルピロリジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジ−n−ブチルシクロヘキシルアミン、N−n−プロピルピペリジン、N−イソプロピルピペリジン、N−n−ブチルピペリジン、N−sec−ブチルピペリジン、N−tert−ブチルピペリジン、N−n−ペンチルピペリジン、N−n−ブチルモルホリン、N−sec−ブチルモルホリン、N−tert−ブチルモルホリン、N−n−ペンチルモルホリン、N−ベンジル−N−エチルアニリン、N−ベンジル−N−n−プロピルアニリン、N−ベンジル−N−イソプロピルアニリン、N−ベンジル−N−n−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ−n−ブチル−p−トルイジン、ジエチルベンジルアミン、ジ−n−プロピルベンジルアミン、ジ−n−ブチルベンジルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジ−n−プロピルフェニルアミン及びジ−n−ブチルフェニルアミンである。
【0070】
好ましい第3級アミン(IVu)は、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチル−tert−ブチルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジ−n−ブチル−ペンチルアミン、N,N−ジ−n−ブチルシクロヘキシルアミン及びペンチル異性体から誘導される第3級アミンである。
【0071】
特に好ましい第3級アミンは、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン及びペンチル異性体から誘導される第3級アミンである。トリアリルアミンが、3個の同一の基を有する、更に好ましい第3級アミンである。
【0072】
極めて好ましいグアニジニウムイオン(IVv)は、
・R1〜R5が、それぞれメチルであるものである。
【0073】
極めて好ましいグアニジニウムイオン(IVv)として、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサメチルグアニジニウムを挙げて良い。
【0074】
極めて好ましいクロムイオン(IVw)は、
・R1及びR2がそれぞれ、互いに独立して、メチル、エチル、1−ブチル又は1−オクチルであり、及びR3が、水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OH、又は−PO(OH)2である;
・R1が、メチル、エチル、1−ブチル又は1−オクチルであり、R2が、−CH2−CH2−OR4基であり、及びR3及びR4が、それぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OH又は−PO(OH)2である;又は
・R1が、−CH2−CH2−OR4基、R2が、−CH2−CH2−OR5基、及びR3〜R5が、それぞれ互いに独立して、水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OH又は−PO(OH)2であるものである。
【0075】
特に好ましいクロムイオン(IVw)は、R3が、水素、メチル、エチル、アセチル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8、12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニル又は14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルの中から選ばれるものである。
【0076】
極めて好ましいホスホニウムイオン(IVx)は、
・R1〜R3が、それぞれ互いに独立して、C1−C18−アルキル、特にブチル、イソブチル、1−ヘキシル又は1−オクチルであるものである。
【0077】
上述したヘテロ環カチオンの中で、ピリジニウムイオン、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオン及びイミダゾリニウム及びイミダゾリウムイオンが好ましい。更に、アンモニウムイオンが好ましい。
【0078】
特に好ましくは、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)−ピリジニウム、1−(1−ドデシル)ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチル−ピリジニウム、1,2−ジメチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−メチル−イミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)イミダゾリウム、1−(1−オクチル)イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチル−イミダゾリウム及び1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチル−イミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム及び1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムである。
【0079】
式(IIIa)〜(IIIj)中、金属カチオン[M1+、[M2+、[M3+、[M42+、及び[M53+、は、通常、元素周期表の1、2、6、7、8、9、10、11、12及び13族の金属カチオンである。適切な金属カチオンは、例えば、Li+、Na+、K+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Cr3+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Ag+、Zn2+及びAl3+である。
【0080】
アニオンとして、原則として、全てのアニオンを使用することができる。
【0081】
イオン液体のアニオン[Y]n-は、例えば、以下のもの;
・式:
-、Cl-、Br-、I-、BF4-、PF6-、AlCl4-、Al2Cl7-、Al3Cl10-、AlBr4-、FeCl4-、BCl4-、SbF6-、AsF6-、ZnCl3-、SnCl3-、CuCl2-、CF3SO3-、(CF3SO32-、CF3CO2-、CCl3CO2-、CN-、SCN-、OCN-
のハロゲン化物の基及びハロゲン含有化合物、
・一般式:
SO42-、HSO4-、SO32-、HSO3-、RaOSO3-、RaSO3-
の硫酸塩、亜硫酸塩及びスルホン酸塩の基、
・一般式:
PO43-、HPO42-、H2PO4-、RaPO42-、HRaPO4-、RabPO4-
のリン酸塩の基、
・一般式:
aHPO3-、RabPO2-、RabPO3-
のホスホネート、及びホスフィン酸塩の基、
・PO33-、HPO32-、H2PO3-、RaPO32-、RaHPO3-、RabPO3-
のホスファイト(亜リン酸塩)の基、
・一般式:
abPO2-、RaHPO2-、RabPO-、RaHPO-
のホスホナイト(phosphonite) 及びホスフィナイト(phosphinite)の基、
・一般式:
aCOO-
のカルボン酸の基、
・一般式:
BO33-、HBO32-、H2BO3-、RabBO3-、RaHBO3-、RaBO32-、B(ORa)(ORb)(ORc)(ORd-、B(HSO4-、B(RaSO4-
のボレート(ホウ酸塩)の基、
・一般式:
aBO22-、RabBO-
のボロネート(boronate)の基、
・一般式:
HCO3-、CO32-、RaCO3-
のカーボネート(炭酸塩)及び炭酸エステルの基、
・一般式:
SiO44-、HSiO43-、H2SiO42-、H3SiO4-、RaSiO43-、RabSiO42-、RabcSiO4-、HRaSiO42-、H2aSiO4-、HRabSiO4-
のシリケート、及びシリシックエステル(silicic ester)の基、
・一般式:
aSiO33-、RabSiO22-、RabcSiO-、RabcSiO3-、RabcSiO2-、RabSiO32-
のアルキルシラン及びアリールシラン塩の基、
・一般式:
【0082】
【化5】

のカルボキシイミド、ビス(スルホニル)イミド及びスルホニルイミドの基、
一般式:
【0083】
【化6】

のメチド(methide)の基、
・一般式:
a-
のアルコキシド及びアリールオキシドの基、
・一般式:
[MqHalrs-
(但し、Mが、金属であり、及びHalが、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素であり、q及びrが、正の整数であり、及び錯体の化学量論を表し、そしてsが正の整数であり、及び錯体の電荷を表す。)
のハロメタレート(halometalate)の基、
・一般式:
2-、HS-、[Sv2-、[HSv-、[RaS]-
(但し、vは、2〜10の正の整数である)
の硫化物、硫化水素、多硫化物、ポリ硫化水素及びチオレートの基、
・Fe(CN)63-、Fe(CN)64-、MnO4-、Fe(CO)4-
等の錯体金属(complex metal)の基、
の中から選ばれる。
【0084】
ここで、Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ互いに独立して、水素、C1−C30−アルキル、任意に1個以上の非隣接の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1回以上置換された又は無置換のイミノ基によって中断されたC2−C18−アルキル、C6−C14−アリール、C5−C12−シクロアルキル、又は、5員〜6員の、酸素原子、窒素原子、及び/又は硫黄原子を含むヘテロ環であり、ここで、その中の2個が、共同して、不飽和の、飽和した、又は芳香族の、任意に1個以上の酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の無置換の、又は置換されたイミノ基で中断された環を形成可能であり、またここで、上述した基は、それぞれ追加的に、官能基、アリール、アルキル、アルコキシ、ハロゲン、ヘテロアトム及び/又はヘテロ環によって置換が可能である。
【0085】
ここで、任意に、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又はヘテロ環で置換されても良いC1−C18−アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデデシル、テトラデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、クロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルシオエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、又は6−エトキシヘキシルである。
【0086】
任意に1個以上の非隣接酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又は1個以上の置換された又は無置換のイミノ基で中断されて良いC2−C18−アルキルは、例えば、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサノニル、14−ヒドロキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニル又は14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルである。
【0087】
2個の基が、1個の環を形成する場合、これら基は一緒に、例えば縮合構造体(fused-on building block)として、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−アザ−1,3−プロピレン、1−C1−C4−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、又は2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンを形成可能である。
【0088】
非隣接酸素原子及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は、原則として制限されるものではなく、又は基又は縮合構造体のサイズによって自動的に制限される。通常、各基に5個以下、好ましくは4個以下、及び極めて好ましくは3個以下である。更に、通常少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個の炭素原子が、2個のヘテロ原子の間に存在する。
【0089】
置換された、又は無置換のイミノ基は、例えば、イミノ、メチルイミノ、イソプロピルイミノ、n−ブチルイミノ又はtert−ブチルイミノが可能である。
【0090】
本発明の目的のために、「官能基(functional group)」は、例えば以下のものと理解される:カルボキシル、カルボキシアミド、ヒドロキシ、ジ(C1−C4−アルキル)アミノ、C1−C4−アルコキシカルボニル、シアノ又はC1−C4−アルコキシ。ここで、C1−C4−アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル又はtert−ブチルである。
【0091】
任意に官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換して良いC6−C14−アリールは、例えば、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシルオキシフェニル、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−又は4−ニトロフェニル、2,4−又は2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル又はエトキシメチルフェニルである。
【0092】
任意に官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子、及び/又はヘテロ環で置換して良いC5−C12−シクロアルキルは、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、又は、ノルボニル又はノルボルネリル等の飽和又は不飽和の二環系(二環組成物)である。
【0093】
5員又は6員の、酸素原子、窒素原子、及び/又は硫黄原子を含むヘテロ環は、例えば、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンゾキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンゾティアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル、又はtert−ブチルチオフェニルである。
【0094】
本発明の目的のためのイオン液体として、ソフトカチオン及び/又はソフトアニオンを有する物質を使用することが好ましい。このことは、カチオン及び/又はアニオンが、例えば、導電効果及び/又はメソメリック効果によって、良好に安定化されていることを意味する。カチオンは、主に電子押出基(electron-pushing substituent)を含んでいることが好ましい。アニオンは、電子引込基(electron-pulling substituent)を有していることが好ましい。カチオンの電荷、アニオンの電荷、又はカチオンとアニオンの電荷が、メソメリック効果によって、非局在化されているイオン液体を使用することが特に好ましい。従って、カチオンとして、イミダゾリウム、グアニジニウム、又はピラゾリウム誘導体が好ましい。本発明に従って使用されるイオン液体は、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,3,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,3−ジブチル−2−メチルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−エチル−5−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1−ブチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−4−メチルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−メチルイミダゾリウム、1−ペンチル−3−メチルイミダゾリウム、1−フェニルプロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウム、2,3−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、3,4−ジメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルピリジニウム、グアニジウム、ヘキサメチルグアニジニウム、N,N,N’,N’−テトラメチル−N”−エチルグアニジニウム、N−ペンタメチル−N−イソプロピルグアニジニウム、N−ペンタメチル−N−プロピルグアジニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム及びトリイソブチル(メチル)ホスホニウムから成る群から選ばれるカチオンを有していることが特に好ましい。
【0095】
更に、極めて好ましいカチオンは、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−4−メチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−メチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム、グアニジニウム、N,N,N’,N’−テトラメチル−N”−エチルグアニジニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム及びテトラブチルホスホニウムから成る群から選ばれる。
【0096】
特に好ましくは、カチオンは、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム及び1−メチルイミダゾリウムからなる群から選ばれる。
【0097】
本発明の方法のために、アニオンは、好ましくは、酢酸塩、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸塩、ビス(マルネート)ホウ酸塩、ビス(オキサレート)ホウ酸塩、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸塩、ビス(フタラート)ホウ酸塩、ビス(サリシラート)ホウ酸塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデート、ビス(トリフルオロメチル)イミデート、ホウ酸塩、臭化物、臭素アルミン酸塩、炭酸塩、クロロアルミン酸塩、デシルベンゼンスルホン酸塩、ジクロロカプレート、ジシアナミド、ジデシルベンゼンスルホン酸塩、ジドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルリン酸塩、リン酸二水素塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、エチル硫酸塩、スルホン酸エチル、フッ化物、ヘキサフルオロリン酸塩、炭酸水素塩、リン酸水素塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、ヨウ化物、メチル硫酸塩、スルホン酸メチル、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜硫酸塩、テトラシランホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、テトラキス(水素スルファト)ホウ酸塩、テトラキス(スルホン酸メチル)ホウ酸塩、チオシアネート、トシレート、トリクロロ亜鉛酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロスルホン酸メチル、トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロリン酸塩、トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロリン酸塩、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸塩、トリス(ペンタフルオロエチルスルホニル)トリフルオロリン酸塩から成る群から選ばれる。
【0098】
特に好ましいアニオンは、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、チオシアネート及びジシアナミド、エチル硫酸塩、ジエチルリン酸塩、メチル硫酸塩、臭化物、ヨウ化物、p−トルエンスルホン酸塩及びメタンスルホン酸塩である。
【0099】
本発明の目的のために、使用されるイオン液体は、特に好ましくは、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムスルホン酸メチル、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチル硫酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムウテトラフルオロホウ酸塩、及び1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルリン酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム臭化物、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホン酸塩、及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホン酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムエチル硫酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジメチルリン酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム臭化物、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホン酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩である。
【0100】
本発明に従う帯電防止添加剤として使用するために、このイオン液体は、単独ででも、また別の帯電防止添加剤と一緒にでも使用することができる。例えば、イオン液体の組合せ、又はイオン液体とRhodiaからのCatafor F(登録商標)又はCatafor PU(登録商標)等の他の公知の帯電防止添加剤との組合せを挙げて良い。
【0101】
帯電防止剤は、帯電防止ポリウレタン中に、ポリウレタンの合計質量に対して、好ましくは、0.001〜30質量%、特に好ましくは0.01〜20質量%、極めて好ましくは0.1〜10質量%、及び特に0.1〜7質量%含まれる。この結果、(特に、イオン液体を10質量%の量で添加することにより)帯電防止ポリウレタンの体積抵抗は大きく増加する。帯電防止ポリマーの合計質量は、ポリマー鎖の質量と、含まれる触媒、充填剤及び添加剤を加えたものである。イオン液体は、帯電防止ポリマーのポリマー鎖と共有結合していないことが好ましい。
【0102】
イオン液体を含んだポリウレタンとして、公知の全てのポリイソシアネート重付加生成物を使用することができる。これらは、特に、熱可塑性のポリウレタン、及びエラストマー性のポリウレタン及びこれらポリウレタンに基づくフォームを含む。本発明の目的のために、ポリウレタンは、ポリウレタン及び更なるポリマーを含むポリマーブレンド及びこれらポリマーブレンドを含むフォームを含む。イオン液体は、ポリウレタンフォーム(特に、一体フォームとして公知の密な領域を有する成形フォーム)の中に含まれることが極めて好ましい。
【0103】
ポリウレタンの製造、特にポリウレタンに基づいた一体フォーム(integral foam)は、公知である。本発明に従う帯電防止ポリウレタンは、a)有機及び/又は改質ポリイソシアネートを、(b)反応性水素原子を少なくとも2個有し、比較的分子量が高い、少なくとも1種の化合物、c)適切であれば、低分子量の鎖増量剤、及び/又は架橋剤、d)イオン液体を含む帯電防止添加剤、e)触媒、f)適切であれば、発泡剤、及びg)適切であれば、他の添加剤と反応させることによって製造することができる。本発明の目的のために、「反応(react)」とは、上述した成分が混合され、そしてこの混合物からポリウレタンが製造されることを意味する。反応する成分と反応しない成分を区別することは意図されていない。
【0104】
本発明のポリイソシアネート重付加生成物を製造するために使用されるポリイソシアネート成分(a)は、従来技術から公知の脂肪族、脂環式、及び芳香族の2価の又は多価のイソシアネート(成分a−1)、及びその混合物を含む。例は、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、モノマー性ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物、及び2個以上の環を有するジフェニルメタンジイソシアネート(ポリマー性MDI)、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)の同相物(homologue)及びこれらの混合物である。
【0105】
4,4’−MDI及び/又はHDIを使用することが好ましい。4,4’−MDIを使用することが特に好ましいが、4,4’−MDIは、アロファネート改質又はウレトンイミン改質のポリイソシアネートを、約10質量%以下の量で含むことができる。ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート(ポリマー性MDI)も使用することができる。これら高官能性ポリイソシアネートの合計量は、使用するイソシアネートの5質量%を超えるべきではない。
【0106】
ポリイソシアネート成分(a)は、ポリイソシアネートプレポリマーの状態で使用することが好ましい。これらポリイソシアネートプレポリマーは、上述したポリイソシアネート(a−1)を、ポリオール(a−2)と、例えば、30〜100℃、好ましくは約80℃で反応させ、プレポリマーを生成することによって得ることができる。本発明に従い使用されるプレポリマーを製造するために、4,4’−MDIを、ウレトンイミン−改質MDI、及び例えばアジピン酸から誘導されるポリエステルに基づいた市販のポリマーポリオール、又は例えば、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドから誘導されるポリエーテルと一緒に使用することが好ましい。
【0107】
ポリオール(a−2)は、この技術分野の当業者にとって公知であり、そして例えば、“Kunststoffhandbuch,7,Polyurethane”,Carl hanser Verlag,3rd Edition 1993,chapter 3.1に記載されている。
【0108】
エーテルに基づくプレポリマーは、ポリイソシアネート(a−1)を、2官能性〜3官能性のポリオキシプロピレンポリオール及びポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオールと反応させることによって得ることが好ましい。これらは通常、H−官能性の、特にOH−官能性の出発材料に、プロピレンオキシドを単独で、又はエチレンオキシドとの混合物の状態で、(公知の)塩基−触媒作用付加(base-catalyzed addition)することによって製造される。使用される出発材料(starter substance)は、例えば、水、エチレングリコール又はプロピレングリコール又はグリセロール又はトリメチルプロパンである。例えば、以下の(b)で記載されているポリエーテルを成分(a−2)として使用することができる。
【0109】
エチレンオキシド/プロピレンオキシド混合物が使用された場合、エチレンオキシドは、アルキレンオキシドの合計量に対して、10〜50質量%の量で使用されることが好ましい。アルキレンオキシドは、ブロック中に導入可能であり、又ランダム混合物として導入可能である。高反応性の第1OH末端基(primary OH end group)の含有量を増すために、エチレンオキシド末端ブロック(“EO”キャップ)を導入(組込)することが特に好ましい。
【0110】
鎖の末端に、約20質量%のポリオキシエチレン単位を有し、OH基の80%以上が第1OH基である、ポリオキソプロピレンに基づいたジオールを使用することが好ましい。これらジオールの分子量は、2000〜4500の範囲が好ましい。
【0111】
エステルに基づくプレポリマーは、4,4’−MDIをウレトンイミン−改質MDI及び、例えば、アジピン酸から誘導されるポリエステルに基づいた市販のポリマーポリオールと一緒に反応させることによって得られることが好ましい。ここで、改質MDIは、プレポリマーを製造するために使用されるMDIの合計量の、好ましくは0〜25質量%、特に好ましくは1〜20質量%である。ポリオール/ポリイソシアネート割合は、プレポリマーのNO含有量が、8〜28質量%、好ましくは、14〜26質量%、特に好ましくは16〜22質量%になるように選ばれる。大気中酸素に起因する二次反応を除外するために、反応を、不活性ガス、好ましくは窒素下に行うことができる。使用されるポリエステルオールは、OH価(OH number)が、好ましくは10〜100であり、より好ましくは20〜60である。更に、これらは通常、理論官能価(theoretical functionality)が、1.9〜4、好ましくは1.9〜3である。
【0112】
1実施の形態では、以下の、成分(b)の記載において記載されるポリエステルオールは、成分(a−2)として使用可能である。ここで、成分(a−2)は、成分(a−2)の合計質量に対して、10質量%以下のポリエーテルオールを含む。特に、成分(a−2)は、如何なるポリエーテルオールも含まず、そして、全てがポリエステルオールでなることが特に好ましい。
【0113】
更なる実施の形態では、分岐したポリエステルオールが、成分(a−2)として使用される。この分岐したポリエステルオールは、官能価が>2〜3であることが好ましく、特に、2.2〜2.8であることが好ましい。更に、分岐したポリエステルオールは、数平均分子量が、500〜5000g/molであることが好ましく、2000〜3000g/molであることが特に好ましい。分岐したポリエステル(a−2)を製造するために使用される出発材料(酸とアルコール)に関し、成分(b)についての以下の記載が参照される。
【0114】
ポリエーテル及びポリエステル系の両方の場合において、適切であれば、鎖増量剤(a−3)を反応に添加して、ポリイソシアネートプレポリマーを形成することができる。二価アルコール又は三価アルコール、好ましくは、分子量が450g/mol未満、特に好ましくは400g/mol未満の分岐した二価又は三価アルコールが、プレポリマー(a−3)のための鎖増量剤として適切である。ジプロピレングリコール及び/又はトリプロピレングリコールを使用することが好ましい。ジプロピレングリコール及び/又はトリプロピレングリコールのアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドとの付加化合物(adduct)も適切である。
【0115】
反応性水素原子を少なくとも2個有する、比較的高分子量の化合物(b)として、官能価(functionality)が2〜8、及び分子量が400〜12000の化合物を使用することが有利である。有用であることがわかった化合物は、例えば、ポリエーテルポリアミン及び/又は、好ましくはポリエーテルポリオール、(アルカンジカルボン酸と多価アルコールから製造される)ポリエステルポリオール、ポリチオエーテルポリオールから成る群から選ばれるポリオール、ポリエステルアミド、ヒドロキシル−含有ポリアセタール、及び脂肪族ポリカーボネート、又は上述したポリオールの少なくとも2種の混合物である。ポリエステルポリオール及び/又はポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。対称的に、アルキド樹脂又は反応性の、オレフィン不飽和の二重結合を有するポリエステル成形材料は、反応性水素原子を少なくとも2個有する、比較的高分子量の化合物(b)としては、不適切である。
【0116】
適切なポリエステルポリオールは、例えば、2〜12個の炭素原子を有するアルカンジカルボン酸、好ましくは4〜6個の炭素原子を有するアルカンジカルボン酸、又はアルカンジカルボン酸と芳香族カルボン酸の混合物、及び多価アルコール、好ましくは、2〜12個の炭素原子、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するジオール、及び/又はアルケングリコールから製造することができる。可能なアルカンジカルボン酸の例は:コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及びデカンジカルボン酸である。適切な芳香族ポリカルボン酸は、例えば、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸である。アルカンカルボン酸が、個々に(単独で)、又は相互の混合物中に使用可能である。1〜4個の炭素原子を有するアルコールのジカルボンエステル又はジカルボン酸無水等の対応するジカルボン酸誘導体も、遊離ジカルボン酸(free dicarboxylic acid)の替わりに使用することができる。コハク酸、グルタル酸、及びアジピン酸のジカルボン酸混合物を、例えば、20〜35:35〜50:20〜32の割合で使用することが好ましく、そして特にアジピン酸を使用することが好ましい。二価及び多価アルコールの例、特にジオール又はアルキレングリコールの例は:エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、グリセロール、及びトリメチロールプロパンである。エタンジオール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、又は上述したジオールの少なくとも2種の混合物、特に1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールの混合物を使用することが好ましい。ラクトン、例えば、ε−カプロラクトン、又はヒドロキシカルボン酸、例えばω−ヒドロキシカプロン酸から誘導されたポリエステルポリオールを使用することも可能である。
【0117】
ポリエステルポリオールを製造するために、芳香族と脂肪族のジカルボン酸及び、好ましくは、アルカンジカルボン酸及び/又はその誘導体及び多価アルコールの混合物を、触媒を使用せずに、又は好ましくはエステル化触媒の使用下に、重縮合することができ、この重縮合は、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下で、150〜250℃の温度、好ましくは180〜220℃の溶融物中で、適切であれば、減圧下に行うことが有利であり、この場合、重縮合で、所望の酸価(酸価は、10未満が有利であり、特に好ましくは2未満である)にされる。好ましい実施の形態では、エステル化混合物は、上述した温度で、80〜30、好ましくは40〜30の酸価(acid number)まで、大気圧下で重縮合され、そして次に500hPa未満、好ましくは50〜150hPaの圧力で重縮合される。可能なエステル化触媒は、例えば、鉄、カドミウム、コバルト、鉛、亜鉛、アンチモン、マグネシウム、チタン及びスズ触媒であり、これらの触媒は、金属、酸化金属、又は金属塩の状態である。しかしながら、重縮合は、(縮合の水を、共沸的に取り出す(蒸留する)ことを可能にする)ベンゼン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼン等の希釈剤及び/又は添加溶剤の存在下に、液相中でも行うことができる。
【0118】
ポリエステルポリオールを製造するために、有機ポリカルボン酸及び/又はこれらの誘導体、及び多価アルコールを、1:1〜1:1.8のモル割合、好ましくは1:1.05〜1:1.2のモル割合で重縮合することが有利である。
【0119】
得られたポリエステルポリオールは、好ましくは、官能価が2〜4、特に2〜3であり、及び分子量が480〜3000、好ましくは1200〜3000及び特に1800〜2500である。
【0120】
適切なポリエーテルポリオールは、公知の方法で製造可能であり、例えば、アルキレン基中に2〜4個の炭素原子を有する1種以上のアルキレンオキシドから、(ナトリウム、カリウムヒドロキシド等のアルカリ金属ヒドロキシド、又はナトリウムメトキシド、ナトリム又はカリウムエトキシド、又はカリウムイソプロポキシド等のアルカリ金属アルコキシドを触媒として使用し、2〜8個の反応性水素原子を結合状態で含む、少なくとも1種の開始分子(starter molecule)を添加して、)アニオン性重合により、又はアンチモンペンタクロリド、フッ化水素エテレート等のルイス酸を又は漂白土(blaching earth)を触媒として使用したカチオン性重合によって製造可能である。
【0121】
適切なアルキレンオキシドは、例えば、テトラヒドロフラン、1,3−プロピレンオキシド、1,2−又は2,3−ブチレンオキシド、スチレンオキシド及び好ましくは、エチレンオキシド及び1,2−プロピレンオキシドである。アルキレンオキシドは、個々に(単独で)使用可能であり、又はこの代わりに、連続して(相次いで)又は混合物として使用可能である。可能な開始分子は、例えば;水、コハク酸、アジピン酸、フタル酸、及びテレフタル酸等のジカルボン酸、脂肪族及び芳香族の、任意にN−モノアルキル−、N,N−及びN’,N’−ジアルキル−置換された、(アルキル基中に1〜4個の炭素原子を有する)ジアミン、例えば、任意にモノアルキル−及びジアルキル−置換された、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、1,3−プロピレンジアミン、1,3−又は1,4−ブチレンジアミン、1,2−、1,3−、1,4−、1,5−及び1,6−ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、2,3−、2,4−及び2,6−トリレンジアミン及び4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジアミノジフェニルメタンである。
【0122】
更なる可能な開始分子は:エタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、及びN−エチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、及びN−エチルジエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアルカノールアミン及びアンモニアである。多価アルコール、特にエタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリチリトール、ソルビトール及びサッカロース等の二価〜八価のアルコールを使用することが好ましい。
【0123】
ポリエーテルポリオール、好ましくはポリオキシプロピレンポリオール及びポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオールは、弾力性又は半硬質の、気泡ポリイソシアネート重付加生成物を製造するためには、官能価が、好ましくは2〜4、及び特に2及び/又は3であり、そして分子量が、好ましくは1800〜6000、及び特に2400〜4000であり、そして適切なポリオキシテトラメチレングリコールは、分子量が約3500以下であり、そして硬質の、気泡ポリイソシアネート重付加生成物(特に、熱硬化性のもの)のためには、官能価が、好ましくは3〜8、及び特に3〜6であり、そして分子量が、好ましくは400〜3200、及び特に600〜2400である。
【0124】
ポリエステルポリオールと同様に、ポリエーテルポリオールは、個々に(単独で)、又は混合物の状態で使用することができる。弾性(エラストマー性)の熱硬化物を製造するために、例えば、分子量が2400以下のポリエーテルポリオールと、分子量が2800〜4000のものとの適切な混合物を使用することが有利であり得る。更に、これらを、グラフトポリマーポリオール、又はポリエステルポリオール、及びヒドロキシル基(水酸基)含有ポリエステルアミド、ポリアセタール、ポリ炭酸塩及び/又はポリエーテルポリアミドと混合することができる。
【0125】
可能なヒドロキシル基含有ポリアセタールは、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール、4,4’−ジヒドロキシエトキシジフェニルジメチルメタン、ヘキサンジオール、及びホルムアルデヒドから製造可能な化合物である。適切なポリアセタールは、環式アセタールの重合によって製造することもできる。
【0126】
可能なヒドロキシル基含有ポリ炭酸塩は、それ自身公知の種類のものである、この公知の種類のものは、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び/又は1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール又はテトラエチレングリコール等のジオールを、ジアルール炭酸塩、例えばジフェニル炭酸塩又はホスゲンと反応させることによって製造可能である。
【0127】
ポリエステルアミドは、例えば、多官能性の、飽和及び/又は不飽和のカルボ酸又はその無水物、及び多官能性の、飽和及び/又は不飽和のアミノアルコール、又は多官能性のアルコールとアミノアルコール及び/又はポリアミンとの混合物から得られる、主として直鎖状(linear)の凝縮物を含む。
【0128】
適切なポリエーテルポリアミンは、公知の方法によって、上述したポリエーテルポリオールから製造することができる。例えば、ポリオキシアルキレンポリオールのシアノアルキル化、及び次の形成されたニトリルの水素化(US3267050)、又は水素と触媒の存在下で、アミン又はアンモニアを使用した、ポリオキシアルキレンポリオールの部分的又は完全なアミノ化(amination)(DE1215373)を例示して良い。
【0129】
更に適切なポリオールは、ポリマー−改質ポリオール、好ましくはポリマー−改質ポリエステルオール又はポリエーテルオール、特に好ましくはグラフトエーテルオール又はグラフトポリエステルオールである。これらは、通常、各場合において、好ましくは熱可塑性ポリマーの含有量が、5〜50質量%、好ましくは10〜45質量%、特に好ましくは15〜25質量%、及び特に18〜22質量%のポリマーポリオールである。これらのポリマーポリエステルオールは、例えば、EP−A−250351に記載されており、そして通常、適切なオレフィン性モノマー、例えばスチレン、アクリロニロリル、アクリレート、及び/又はアクリルアミドを、グラフトベースとして作用するポリエステルオール中で遊離基重合することによって製造される。成長するポリマー鎖の遊離基を、ポリエステルオール又はポリエーテルオールに移動させることによって、通常、側鎖(side chain)が形成される。グラフトコポリマーは別として、ポリマーポリオールは、オレフィンのホモポリマーを、(無変化のポリエステルオール中に分散させ状態で)主として含んでいる。
【0130】
好ましい実施の形態では、アクリロニトリル、スチレン、特に専らスチレンがモノマーとして使用される。モノマーは、適切であれば、更なるモノマー、マクロマー、モデレーター(減速剤)の存在下、及び遊離基開始剤(通常、アゾ又はペルオキシド化合物)を使用して、連続相としてのポリエステルオール中で重合される。
【0131】
遊離基重合の間、マクロマーは、コポリマー鎖中に導入される。この結果、ポリエステルブロック及びポリアクリロニトリル−スチレンブロック(これらは、連続相及び分散層の界面(interface)で、相共存剤(phase compatibilizer)として作用し、そしてポリマーポリエステルオール粒子の塊状化を抑制する。)を有するブロックコポリマーが形成される。マクロマーの割合は、ポリエーテルオールを製造するために使用されるモノマーの合計量に対して、通常、1〜15質量%の量で使用される。
【0132】
ポリマーポリオールの割合は、成分(b)の合計質量に対して、5質量%を超えることが好ましい。ポリマーポリオールは、例えば、成分(b)の合計質量に対して、30〜90質量%の量、又は55〜80質量%の量で含まれることが可能である。ポリマーポリオールは、ポリマーポリエステルオール又はポリエーテルオールであることが特に好ましい。
【0133】
ポリイソシアネート重付加生成物、及び好ましくはウレタン基又はウレタン及びイソシアヌレート基を含む一体フォームは、鎖増量剤及び/又は架橋剤を付随的に使用して、又は使用することなしに製造することができる。しかしながら、鎖増量剤、架橋剤、又は適切であれば、これらの混合物の添加も機械的特性、例えば硬度を改質するのに有利であることが実証可能である。使用する鎖増量剤及び/又は架橋剤は、分子量が400未満、好ましくは60〜300、及び特に60〜150のジオール及び/又はトリオールである。可能なジオール/トリオールは、例えば、2〜14個の炭素原子、好ましくは2〜10個の炭素原子を有する脂肪族、脂環式及び/又はアラリファチックジオール、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、o−、m−、p−ジヒドロキシシクロヘキサン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及び好ましくは1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、及びビス(2−ヒドロキシエチル)ヒドロキノン、1,2,4−、1,3,5−トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール及びトリエチロールプロパン等のトリオール、及びエチレンオキシド及び/又は1,2−プロピレンオキシドに基く低分子量ヒドロキシル基含有ポリアルキレンオキシド、及び上述した開始材料としてのジオール及び/又はトリオールである。
【0134】
気泡ポリウレタン−ポリウレアエラストマーを製造するために、第2級芳香族ジアミン、第1級芳香族ジアミン、3,3’−ジアルキル−及び/又は3,3’,5,5’−テトラアルキル−置換ジアミノジフェニルメタンを、鎖増量剤又は架橋剤として、そして上述したジオール及び/又はトリオールに加え、又はこれらと混合して使用可能である。
【0135】
上述した鎖増量剤及び/又は架橋剤(c)は、個々に(単独で)、又は同一又は異なる種類の化合物の混合物として使用することができる。
【0136】
鎖増量剤、架橋剤又はこれらの混合物が使用された場合、成分(b)及び(c)の質量に対して、1〜60質量%、好ましくは4〜50質量%、及び特に5〜40質量%の量で使用することが有利である。
【0137】
成分a)及び(b)及び適切であれば、成分(c)の反応は、本発明に従い、帯電防止添加剤(d)の存在下に行なわれる。
【0138】
ポリイソシアネート重付加生成物、特に気泡プラスチックを、ポリイソシアネート重付加法により製造するための触媒(e)として、成分(b)のヒドロキシル基含有化合物、及び適切であれば成分(c)の、有機(適切であれば改質された)ポリイソシアネート(a)との反応を大きく加速する化合物を使用することが好ましい。可能な触媒は、有機金属化合物、好ましくは有機カルボン酸のスズ(II)塩等の有機スズ化合物、例えば、スズ(II)酢酸塩、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキサノエート及びスズ(II)ラウレート、及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えばジブチルスズジ酢酸塩、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマーレート、及びジオクチルスズジ酢酸塩、及びビスマス(III)ネオデカノエート、ビスマス2−エチルヘキサノエート、及びビスマスオクタノエート等のビスマスカルボキシレート、又はこれらの混合物である。有機金属化合物は、個々に(単独で)又は好ましくは強塩基性のアミンと組み合わせての何れでも使用される。例えば、2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン等のアミジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−シクロヘキシルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン等の第3級アミン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(ジメチルアミノプロピル)ウレア、ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−アザビシクロ[3.3.0]オクタン、及び好ましくは1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン及びトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン及びN−エチルジエタノールアミン及びジメチルエタノールアミン等のアルカノールアミン化合物を例示して良い。化合物(b)がエステルの場合、専らアミン触媒を使用することが好ましい。
【0139】
特に、比較的大量のポリイソシアネートが過剰に使用される場合、考慮して良い更なる触媒は:トリス(ジアルキルアミノアルキル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、好ましくは、トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシド、ナトリウムヒドロキシド等のアルカリ金属ヒドロキシド、及びナトリウムメトキシド及びカリウムイソプロポキシド等のアルカリ金属アルコキシド、及び10〜20個の炭素原子を有し、及び適切であれば、側部OH基を有する長鎖脂肪酸のアルカリ金属塩である。成分(b)の質量に対して、0.01〜5質量%、特に0.05〜2質量%の触媒又は触媒の組合せを使用することが好ましい。
【0140】
更に、通常、発泡剤(f)が気泡ポリウレタン(セル状ポリウレタン:cellular polyurethane)の製造に存在する。これらの発泡剤は、水(成分(f−1)と称される)を含むことが好ましい。発泡剤(f)として水(f−1)に加え、又は水の代わりに、公知の化学的又は物理的に作用する化合物(これらは成分(f−2)と称される)を使用することが可能である。物理的発泡剤の例は、ポリウレタン形成の条件下に蒸発する、4〜8個の炭素原子を有する、不活性の(シクロ)アリファチック炭化水素である。更に、Solkane(登録商標)365mfc等のフッ素化炭化水素も発泡剤として使用することができる。好ましい実施の形態では、水を含むこれら発泡剤の混合物が発泡剤として使用されるが、しかし水を唯一の発泡剤として使用することが特に好ましい。
【0141】
好ましい実施の形態では、成分(b)及び存在する場合成分(c)の合計量に対して、水(f−1)が、0.1〜2質量%の量、好ましくは0.2〜1.5質量%、特に好ましくは0.3〜1.2質量%、特に0.4〜1質量%の量で使用される。
【0142】
更なる好ましい実施の形態では、物理的発泡剤を含むミクロスフェア(高分子微粒子)が、成分(a)、(b)及び適切であれば(c)の反応に、追加的な発泡剤(f−2)として加えられる。ミクロスフェアは、上述した追加的な発泡剤(f−2)との混合物中に使用することもできる。
【0143】
ミクロスフェア(f−2)は、通常、熱可塑性ポリマーのシェルを含み、そしてアルカンに基づく、液体の低沸点物質で満たされたコアを含んでいる。このようなミクロスフェアの製造は、例えばUS3615972に記載されている。ミクロスフェアは、通常5〜50μmの直径を有している。適切なミクロスフェアは、Akzo NobelからのExpancell(登録商標)の登録商標名で市販されている。
【0144】
ミクロスフェアは、通常、成分(b)、存在する場合には成分(c)及び(f)の合計質量に対して0.5〜5%の量で使用することができる。
【0145】
ポリイソシアネート重付加法によって、ポリイソシアネート重付加生成物、特に気泡プラスチックを製造するために、適切であれば、助剤及び/又は添加剤(f)も、反応混合物に加えることができる。記載して良い例は、界面活性物質、フォーム安定剤、セル調整剤、離型剤、充填剤、染料、顔料、難燃剤、加水分解抑制剤、静真菌性物質及び静菌性物質である。
【0146】
可能な界面活性剤は、例えば、出発材料の均一化の補助に作用し、及び適切であれば、セル構造を調整するのにも適切な化合物である。記載して良い例は、以下の乳化剤、すなわち、キャスターオイル硫酸塩のナトリウム塩、又は脂肪酸のナトリウム塩、及び脂肪酸とアミンとの塩、例えば、ジメチルアミンオーレート、ジエタノールアミンステアレート、ジエタノールアミンリシノール酸塩、スルホン酸の塩、例えば、ドデシルベンゼンジスルホン酸又はジナフチルメタンジスルホン酸及びリシノール酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩;シロキサン−オキシアルキレンコポリマー及び他の有機ポリシロキサン、エトキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪アルコール、パラフィンオイル、キャスターオイル、又はリシノール酸のエステル、ターキーレッドオイル及びピーナッツオイル等のフォーム安定剤、及びパラフィン、脂肪アルコール及びジメチルポリシロキサン等のセル調整剤である。ポリオキシアルキレン及びフルオロアルカン基を側基として有するオリゴマー性アクリレートも、乳化作用、セル構造を改良するのに及び/又はフォールの安定化に適切である。界面活性物質は、成分(b)100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の量で使用される。
【0147】
適切な離型剤(mold release agent)として、例えば、以下のものを例示して良い:脂肪酸エステルとポリイソシアネートとの反応生成物、アミノ基含有ポリシロキサンと脂肪酸との塩、炭素原子を少なくとも8個有する、飽和又は不飽和(シクロ)アリファチックカルボン酸と第3級アミンとの塩、及びまた特に、カルボン酸エステル及び/又はカルボキシアミド等の内部離型剤(この内部離型剤は、少なくとも2官能性のアルカノールアミン、分子量が60〜400のポリオール及び/又はポリアミンを使用して、モンタン酸と(少なくとも10個の炭素原子を有する)少なくとも1種の脂肪族カルボン酸の混合物をエステル化又はアミド化することによって製造される(EP−A−153639))、有機アミン、ステアリン酸の金属塩、及び有機モノカルボン酸及び/又はジカルボン酸又はこれらの無水物の混合物(DE−A−3607447)、又は、イミノ化合物、カルボン酸の金属塩、及び適切であれば、カルボン酸の混合物(US4764537)である。
【0148】
本発明の目的のために、充填剤、特に補強充填剤は、公知である通常の、有機及び無機充填剤、補強材料、おもり剤(weighting agent)、塗装、被覆における摩擦特性を改良するための添加剤等である。例示して良い特定の例は:ケイ酸含有無機物等の無機充填剤、例えばアンチゴライト、蛇紋岩、ホルンブレンド、角閃石、クリソタイル(chrisotile)、タルク等のシートシリケート;カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び酸化鉄等の酸化金属、チョーク、バライト等の金属塩、及び硫化カドミウム、硫化亜鉛、及びガラス等の無機顔料である。カオリン(陶土:China clay)、アルミニウムシリケート、及び硫酸バリウムとアルミニウムシリケートの共沈殿物、及び珪石灰、金属ファイバー等の天然及び合成の繊維状無機物、及び特に、(適切であれば陶砂(size)で被覆された)種々の長さのガラスファイバーを使用することが好ましい。可能な有機ファイバーは、例えば:カーボンブラック、メラミン、ロジン、シクロペンタジエニル樹脂、及びグラフトポリマー及びセルロースファイバー、芳香族及び/又は脂肪族ジカルボン酸エステルに基いたポリアミドファイバー、ポリアクリロニトリルファイバー、ポリウレタンファイバー、ポリエステルファイバー、及び特にカーボンファイバーである。
【0149】
無機及び有機充填剤は、個々に(単独で)又は混合物として使用可能であり、そして成分(a)〜(c)の質量に対して、0.5〜50質量%、好ましくは1〜40質量%の量で加えることが有利であり、これに対して、天然及び合成ファイバーのマット、不織布及び織布の含有量は80質量%以下であることが有利である。
【0150】
適切な難燃剤は、例えば、トリクレジルリン酸塩、トリス−2−クロロエチルリン酸塩、トリクロロプロピルリン酸塩、及びトリス−2,3−ジブロモプロイルリン酸塩である。
【0151】
上述したハロゲン置換のリン酸塩(ホスフェート)とは別に、レッドホスホラス(赤リン)、酸化アルミニウムハイドレード(酸化アルミニウム水和化物)、アンモニウムトリオキシド、酸化ヒ素、アンモニウムポリリン酸塩、及び硫酸カルシウム又はメラミン等のシアヌル酸誘導体等の無機難燃剤を使用することができ、又はポリイソシアネート重付加生成物を難燃性にするために、アンモニウムポリリン酸塩、及びメラミン等の少なくとも2種の難燃剤、及び適切であれば、スターチ(糊)例えばメイズスターチの混合物を使用することができる。通常、100質量部の成分(b)につき、難燃剤を5〜50質量部、好ましくは5〜25質量部使用することが有利であることがわかった。
【0152】
ウレア及び/又は好ましくはウレタン基を含有する気泡プラスチックを製造するために、有機ポリイソシアネート(a)、反応性水素原子を少なくとも2個有する、比較的高分子量の化合物(b)、及び適切であれば、鎖増量剤及び/又は架橋剤(c)が、以下の量で反応される、すなわち、ポリイソシアネート(a)のNCOの、成分(b)、及び存在する場合には成分(c)及び成分(f)の反応性水素の合計に対する等量比が、0.85〜1.25:1、好ましくは0.90〜1.15:1の量で反応される。セル状粒子が、少なくとも部分的に結合イソシアヌレート基を含む場合、通常では、ポリイソシアネート(a)のNCOの、成分(b)、及び存在する場合には成分(c)及び成分(f)の反応性水素の合計に対する割合は、1.5〜20:1、好ましくは1.5〜8:1にされる。1:1の割合は、100のイソシアネートインデックスに対応する。
【0153】
ポリイソシアネート重付加生成物を含む気泡プラスチック、好ましくは気泡エラストマー又は特にポリウレタンフォームは、ワンショット法によって製造することが有利であり、ワンショット法は、例えば、反応射出成形技術(インジェクション成形技術)、高圧技術又は低圧技術の補助下に、開放した、又は閉鎖した成形型、例えば、金属成形型、例えばアルミニウム、鋳鉄又はスチール(鋼)成形型内で行なわれる。2成分法を使用し、そして、構成成分(b)、(d)、(e)及び適切であれば、(c)及び(f)を組み合わせて成分(A)を形成し、そして有機ポリイソシアネート、改質ポリイソシアネート(a)又は上述したポリイソシアネート、適切であれば発泡剤(d)の混合物を成分(B)として使用することが特に有利であることがわかった。
【0154】
出発成分は、15〜90℃の温度、好ましくは20〜50℃の温度で混合され、そして開放した成形型内、適切であれば、大気圧以上の閉鎖した成形型内に導入される。上述のように、混合は、攪拌機又は攪拌スクリューを使用して機械的に行うことができ、又は高圧力下に向流インジェクション法によって行うことができる。成形型温度は、20〜90℃が有利であり、30〜60℃が好ましく、そして45〜50℃が特に好ましい。
【0155】
好ましい実施の形態では、気泡ポリウレタン(セル状ポリウレタン)、特に気泡エラストマーは、反応射出成形技術を使用して、閉鎖した成形型内で製造され、そして、密な領域とセル状コア(気泡コア)を有する成形物(この成形物は、圧縮割合(degree of compaction)が1.5〜8.5の範囲、好ましくは2〜6の範囲の圧縮状態になっている。)が閉鎖した成形型内で製造される。
【0156】
本発明により製造される気泡エラストマー及び対応する一体フォームは、約0.45〜1.2g/cm3、好ましくは0.45〜0.85g/cm3の密度を有することが可能であり、一方、充填剤を含む製品は、より高い密度、例えば上限が1.4g/cm3及びそれ以上の上限の密度を有することが可能である。このような帯電防止性気泡エラストマーから成る成形物は、(その間で静電荷の帯電が防止されるべき)2つの固体の間で主に使用され、例えば、ローラ、湿った要素(damping element)等の荷重付加された又は湿った要素、フロアカバリング及びオフィス又は仕事場のフロアマット、フィルム、(フロアマット、ステアリングホイール、肘掛等の)自動車室内要素、外科分野のマットレス、例えば、電子部品の製造に使用される椅子の肘掛、又は靴ソール(靴底)(これらの要素は、静電気の帯電(荷電)を防止することが意図されている。)に使用される。従って、本発明は、本発明に従う帯電防止ポリウレタンを含む、ローラ、湿った要素、フロアカバリング、フィルム、及び自動車室内要素を含む。特に、本発明の成形物は、靴、特に帯電防止安全靴のアウトソール及び/又はスルーソール(throughsole)として使用される。従って、本発明は、スルーソール及び/又はアウトソールとして帯電防止ポリウレタンを含む、靴ソール、及び本発明に従う靴ソールを有し、DINEN20344−1に合致する安全靴を提供する。
【0157】
更に、本発明の方法により製造される柔軟(軟質:flexible)で弾性を有する及び半硬質のフォーム、及び対応する一体フォームが、0.02〜0.45g/cm3の密度で得ることができ、そして、柔軟で弾性を有するフォームの密度は、0.025〜0.24g/cm3であることが好ましく、そして0.03〜0.1g/cm3であることが特に好ましい。半硬質のフォーム及び一体フォームの全体的な密度は、0.2〜0.9g/cm3であることが好ましく、及び0.35〜0.8g/cm3であることが特に好ましい。これらは、例えば、自動車の室内品に使用することができる。
【0158】
帯電防止コンパクトポリウレタン(密な帯電防止ポリウレタン)及び帯電防止熱可塑性ポリウレタンは、靴ソールとして使用することが好ましく、アウトソール、ローラ、フィルム又はフロアカバリングに使用することが特に好ましい。
【0159】
本発明の帯電防止ポリマー、特に気泡ポリイソシアネート付加生成物は、フォームの合計質量に対して、2.5質量%付加されるだけで、107Ω/cm以下の体積抵抗を示し、好ましくは5*106Ω/cm以下、及び特に1*106Ω/cm以下の体積抵抗を示す。通常の処方物を適用することにより、例えば、架橋剤(部分)を適用することにより、成分(a)〜(g)に対してイオン液体を10質量%付加した場合であっても、DIN53512に従う反発弾性(rebound resilience)、DIN53504に従う引っ張り強さ、及び伸長性、DIN53505に従うショアA硬度、DIN53507に従う引裂抵抗(tear propagation resistance)、DIN53543に従う長期間屈曲性(long-term flexural property)、及びDINEN344−1に従う膨潤(膨張)等の機械的パラメータについて、イオン液体を加えない場合に得られるものと実質的に同等のものを得ることが可能である。更に、成分(a)〜(g)の合計質量に対してイオン液体を10質量%以下の量で含む系の、クリーム時間、フルリンス時間、及びバクリング時間(buckling time)等の反応特性パラメータは、この系の適用の後に、帯電防止添加剤を有しない通常の系のパラメータと比較しても、実質的に変化がない。最後に、本発明のポリイソシアネート重付加生成物の体積抵抗が、老朽化(時効)、特にDIN53543又はENISO2440に従う、70℃及び95%の相対湿度における加水分解試験における老朽化に対して独立していたことは、驚くべきことであった。本発明のポリマーの有利な特性について、以下に実施例を使用して説明する。
【実施例】
【0160】
実施例
表1に示した出発材料から出発して、密度が260〜300g/lのフォームを製造した。この目的のために、成分を混合し、そして開放した成形型内に注入(インジェクト)した。
【0161】
【表1】

【0162】
表中の記載は以下の意味を有する。
【0163】
ポリオール:アジピン酸(ADA)、1,4−ブタンジオール(B14)及びエチレングリコール(EG)に基くポリエステルポリオール
KV: モノエチレングリコール
安定剤1:Tegostab B8443(登録商標)(Degussa)
安定剤2:Elastotab H01(登録商標)(BASF)
K:アミン触媒、Lupragen N203(登録商標)(BASF)
AS1:Inorganic antistatic Catafor MS/T(登録商標)(Rhodia)
AS2:Organic antistatic Catafor F(登録商標)(Rhodia)
IL1:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムメチルスルホネート
IL2:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアンアミド
IL3:1−ブチル−3−メチルイミダゾールヘキサフルオロリン酸塩
IL4:1−エチル−3−メチルイミダゾリウム硫酸エチル(エチル硫酸塩)
IL5:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート

ISO187/3(登録商標):4,4’−MDI、ポリエステルポリオールに基く、Elastogranからのイソシアネートプレポリマー、及び適切であれば、低分子量のジオールを添加、NCO含有量=16.0%

AS1及び2は、従来技術からの帯電防止添加剤であり、これらは比較試験C1及びC2で試験された。比較試験C3の場合、帯電防止添加剤は添加されなかった。実験1〜5は、帯電防止添加剤としてイオン液体IL1〜IL5の内のひとつを含む、本発明に従うポリウレタンフォームの結果を示している。測定した、体積抵抗及び加水分解試験での老朽化における帯電防止添加剤の長期間作用(long-term action)を表2に示す。加水分解試験では、試験する物品を、70℃及び95%の相対雰囲気湿度で、表に示した時間、保管した。
【0164】
【表2】

【0165】
表2から、帯電防止添加剤を5質量%均一に添加した場合では、公知の帯電防止添加剤を使用した場合(比較実験1及び2)を使用した場合の体積抵抗は、イオン液体を使用した場合(実験1〜5)よりも高いことがわかる。更に、公知の帯電防止添加剤AS1が使用された系(system)の体積抵抗は、本発明に従う系と比較して大きく増加しており、このことは、(公知の場合の)効果が低いことを示している。そして、別の公知の帯電防止添加剤AS2が使用された場合の体積抵抗は、加水分解試験において大きく増加し、そして加水分解試験における14日後、その値は、帯電防止添加剤を使用しないフォームの値にまで(おおよそ)達するものであった。このような挙動(特性)は、イオン液体を帯電防止添加剤として使用した場合には、観察されなかった。
【0166】
実験6、7及び8は、帯電防止添加剤の反応特性及び機械的特性の効果を示している。表3に示した出発材料から出発して、フォームを除いた密度(free-foam density)が260〜300g/lのフォームが製造された。この目的のために、成分を混合し、そして開放した成形型内に注入(インジェクト)した。二重圧縮(doubled compaction)において、テストプレート上で、機械的特性を測定した:
【0167】
【表3】

【0168】
実験6〜8の特性を表4に示す。
【0169】
【表4】

【0170】
表4から、体積抵抗を低減するためにイオン液体を加えた場合に、系の特性及び他の製造特性が、実質的に変わることなく維持されていることがわかる。
【0171】
数値は、以下のように測定した:
DIN53512に従う反発弾性
DIN53504に従う引っ張り強さ、及び伸長性
DIN53505に従うショアA硬度
DIN53507に従う引裂抵抗
DIN53543に従う長期間屈曲性

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン液体を含むポリウレタン。
【請求項2】
イオン液体が、ポリマーマトリックスと共有結合していないことを特徴とする請求項1に記載のポリウレタン。
【請求項3】
イオン液体が室温で液体であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリウレタン。
【請求項4】
イオン液体のために使用されるカチオンが、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,3,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,3−ジブチル−2−メチルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−エチル−5−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1−ブチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−4−メチルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキサデシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−メチルイミダゾリウム、1−ペンチル−3−メチルイミダゾリウム、1−フェニルプロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジエメチルイミダゾリウム、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウム、2,3−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、3,4−ジメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルピリジニウム、グアニジニウム、ヘキサメチルグアニジニウム、N,N,N',N'−テトラメチル−N”−エチルグアニジニウム、N−ペンタメチル−N−イソプロピルグアニジニウム、N−ペンタメチル−N−プロピルグアニジニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム、及びトリイソブチル(メチル)ホスホニウムから成る群から選ばれるカチオンであることを特徴とする請求項3に記載のポリウレタン。
【請求項5】
イオン液体のために使用されるアニオンが、酢酸塩、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸塩、ビス(マロナート)ホウ酸塩、ビス(オキサレート)ホウ酸塩、ビス(ペンタフルオロエチル)ホスフィン酸塩、ビス(フタラート)ホウ酸塩、ビス(サリシラート)ホウ酸塩、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミデート、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、ビス(トリフルオロメチル)イミデート、ホウ酸塩、臭化物、臭素アルミン酸塩、炭酸塩、クロロアルミン酸塩、デシルベンゼンスルホン酸塩、ジクロロカプレート、ジシアナミド、ジデシルベンゼンスルホン酸塩、ジドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルリン酸塩、リン酸二水素塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、エチル硫酸塩、スルホン酸エチル、フッ化物、ヘキサフルオロリン酸塩、炭酸水素塩、リン酸水素塩、硫酸水素塩、亜硫酸水素塩、ヨウ化物、メチル硫酸塩、スルホン酸メチル、硝酸塩、亜硝酸塩、リン酸塩、亜硫酸塩、テトラシアンホウ酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、テトラキス(水素スルファト)ホウ酸塩、テトラキス(メチルスルホネート)ホウ酸塩、チオシアネート、トシレート、トリクロロ亜鉛酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフルオロスルホン酸メチル、トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロリン酸塩、トリス(ノナフルオロブチル)トリフルオロリン酸塩、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸塩、トリス(ペンタフルオロエチルスルホニル)トリフルオロリン酸塩から成る群から選ばれるアニオンであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のポリウレタン。
【請求項6】
イオン液体が、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムスルホン酸メチル、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムエチル硫酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジエチルリン酸塩、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム臭化物、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホン酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムメタンスルホン酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムエチル硫酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムチオシアネート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムジメチルリン酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム臭化物、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムp−トルエンスルホン酸塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、及び1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩から成る群から選ばれることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のポリウレタン。
【請求項7】
イオン液体が、ポリマーの合計質量に対して0.001〜30質量%の量で含まれることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のポリウレタン。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載のポリウレタンを含むことを特徴とするローラー。
【請求項9】
請求項1〜7の何れか1項に記載のポリウレタンを含むことを特徴とするフィルム。
【請求項10】
請求項1〜7の何れか1項に記載のポリウレタンを含むことを特徴とするフロアカバリング。
【請求項11】
気泡ポリウレタンであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のポリウレタン。
【請求項12】
請求項11に記載の気泡ポリウレタンを含むことを特徴とする自動車室内要素。
【請求項13】
請求項1〜7又は請求項11の何れか1項に記載のポリウレタンを含むことを特徴とする帯電防止靴ソール。
【請求項14】
請求項13に記載の帯電防止靴ソールをスルーソール及び/又はアウトソールとして含むことを特徴とする安全靴。
【請求項15】
帯電防止ポリイソシアネート重付加生成物を製造する方法であって、
a)有機及び/又は改質ポリイソシアネートを、
b)反応性水素原子を少なくとも2個有し、分子量が比較的高い少なくとも1種の化合物、及び
c)適切であれば、低分子量鎖増量剤と、以下のd)〜g)
d)イオン液体を含む帯電防止添加剤、
e)触媒、
f)適切であれば、発泡剤、及び
g)適切であれば他の添加剤
の存在下に反応させることを含む方法。
【請求項16】
イオン液体をポリウレタン用の帯電防止添加剤として使用する方法。

【公表番号】特表2009−526109(P2009−526109A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553716(P2008−553716)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050857
【国際公開番号】WO2007/090755
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】