説明

帯電防止剤及び帯電防止コート剤並びにび帯電防止フィルム

【課題】 多官能(メタ)アクリレートに添加し、表面硬度を低下させることなく帯電防止性能を付与できる帯電防止剤を提供する。
【解決手段】 化1で示されるカチオン性単量体40〜80重量%、及び2−エチルヘキシルアクリレート20〜60重量%を構成単位として含むカチオン性共重合体(A)を含有することを特徴とする帯電防止剤。
【化1】











[R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数2〜8のアルキレン基、R3およびRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基、R4は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリールアルキル基または炭素数6〜12の脂環アルキル基、Xは陰イオンを示す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電防止剤及び帯電防止コート剤並びにび帯電防止フィルムに属する。
【背景技術】
【0002】
一般に高分子材料は帯電しやすく静電気による様々なトラブルが発生する。この問題を解決するため種々の帯電防止剤が用いられている。大別するとイオン伝導タイプと電子伝導タイプに分けられる。イオン伝導タイプとしては、界面活性剤、あるいはアルカリ金属塩、及びアンモニウム塩などの塩を添加する方法がある。電子伝導タイプとしては、種々の金属酸化物を樹脂に分散させる方法がある。
【特許文献1】特開2004−149755
【特許文献2】特開2002−60735
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、界面活性剤を塗布する方法では、水拭きなどで容易に帯電防止性能が失われてしまう。また、帯電防止剤としてアンモニウム塩を添加する方法では、十分な帯電防止性を得るためには相当量添加する必要があり、この場合、十分な耐擦傷性が得られないという問題が発生する。一方、金属酸化物を樹脂に分散させる方法では、帯電防止性を発現させるために必要な量を添加すると透明性が低下してしまうことが問題となっている。十分な帯電防止性を発現し、且つ透明性および耐擦傷性を低下させない帯電防止剤が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明はかかる状況に鑑み検討されたもので、化1で表されるカチオン性単量体と、2−エチルヘキシルアクリレートを構成単位として含むカチオン性共重合体(A)を含有することを特徴とする帯電防止剤、及びこれを(メタ)アクリレートに添加した帯電防止コート剤を提供する。さらに、該帯電防止コート剤を塗付し硬化させたフィルムも提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の帯電防止剤は、紫外線硬化物の透明性及び耐擦傷性を低下させることなく高い帯電防止性能を付与することができ、各種分野の添加剤として優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明で用いる化1で示されるカチオン性(メタ)アクリレートは4級アンモニウム塩含有(メタ)アクリレートであり、1分子中に1個以上の4級アンモニウム塩の基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有し、具体的には(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムアセテート、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルヒドロキシブチルアンモニウムアセテート、〔ジメチル(メタ)アクリロイルアミドプロピルグリシン〕ベタイン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムメチルスルファイト、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウム−p−トルエンスルファイト、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルアンモニウムエチルスルファイト、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルエチルスルファイトなどが示される。これらの4級アンモニウム塩含有(メタ)アクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートの比率が重量比で40%〜80%となる割合で共重合するのが好ましく、40%未満では十分な帯電防止性能が得られず、80%を越えると親水/疎水性のバランスが悪く、汎用性が高い多官能(メタ)アクリレートに溶解しないためコストアップに繋がり、また十分な耐スチールウール性が得られない。
【0007】
【化1】







【0008】
[R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数2〜8のアルキレン基、R3およびRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基、Rは炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリールアルキル基または炭素数6〜12の脂環アルキル基、Xは陰イオンを示す。]
本発明の共重合体は、化1で示される4級アンモニウム塩含有(メタ)アクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートをラジカル重合開始剤の存在下、溶液重合によって得られる。溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールエーテル類などを用いることができる。これらは、重合するモノマーの組成に応じて、単独で用いても、二種類以上の溶媒を混合しても良い。特に水、水酸基を有する溶液中で重合させると分子量が制御しやすく好ましい。具体的には、水;炭素数1〜10程度のアルコール類、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロパノール等の炭素数1〜10程度の1価アルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール等の炭素数2〜5程度の2価アルコール、1,2,3−プロパントリオール等の炭素数3〜6程度の3〜6価アルコール等が挙げられる。
【0009】
ラジカル重合の開始剤としては、油溶性、水溶性いずれの開始剤を用いることもでき、過酸化ベンゾイル(BPO)、過酸化ラウロイル、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤、2,2’―アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’―アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’―アゾビス(2―メチルプロピオンアミジン)・二塩酸塩等を用いることができる。重合開始剤の使用量は、重合性単量体100重量部に対して0.05〜10重量部、好ましくは0.3〜2重量部である。
【0010】
本発明に用いる多官能(メタ)アクリレートとしては、主として多官能(概ね3官能以上)のアクリレート及びメタクリレートが使用できる。2種以上の多官能(メタ)アクリレートを併用してもよく、また粘度調整剤や表面硬度調整剤として低官能基数の不飽和基を持つ樹脂を併用することもできる。
【0011】
多官能(メタ)アクリレートの例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ハイパーブランチ型アクリレート、デンドリマー型アクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0012】
併用できる樹脂の例としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラルリル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、モノアルキルイタコネート、(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジメチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ポリオキシプロピレンジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、その他スチレン等も用いることが出来る。
【0013】
4級アンモニウム塩含有(メタ)アクリレートと2−エチルヘキシルアクリレートの共重合体と多官能(メタ)アクリレートは、有機溶剤に混合され帯電防止ハードコート剤とされる。溶剤の例としては以下のものがあげられるが、これらに限定されるものではない。メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶剤を適宜併用することも出来る。
【0014】
加熱硬化させる際は、開始剤を添加しておく。開始剤としては、過酸化物、アゾビス化合物等を用いることが出来る。過酸化物としては過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、過酸化ラウリロイル、クメンハイドロ化合物、アゾビス化合物としては2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド等を用いることが出来る。
【0015】
光硬化させる際は、光開始剤を添加しておく。光開始剤として、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4’−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド等を用いることができる。市販の光開始剤としてはチバ・スペシャルティーケミカルズ社製、商品名Darocure1116、Darocure1173、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE500、IRGACURE651、IRGACURE754、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE1300、IRGACURE1800、IRGACURE1870、IRGACURE2959、IRGACURE4265、IRGACURE TPO、UCB社製、商品名ユベクリルP36、などを用いることが出来る。電子線により硬化させる場合は、開始剤は必要ない。
【0016】
その他、硬度向上、耐擦傷性向上、密着性向上、レベリング性向上、分散性向上、沈降防止性向上、耐光性向上、耐熱性向上、耐湿性向上等の目的で、適宜添加剤を添加することが出来る。
【0017】
この帯電防止ハードコート剤を各種基材に塗布し、帯電防止ハードコート剤及び各種基材の性状に影響を与えない程度の熱或いは熱風で溶剤を揮発させた後、加熱、光照射、電子線照射等の方法により乾燥皮膜を重合させることで硬化させる。
【0018】
本発明に使用する基材フィルムは、帯電防止フィルムに要求される強度、後処理及び後加工によるが、通常のプラスチックより透明性に優れる材料から選定される。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン66、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、セロファン、ポリスチレン、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルテルペン、ポリエーテルスルフォン、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリシクロオレフィン等からなるフィルムが挙げられる。これらの基材フィルムと帯電防止ハードコート剤の密着性を向上させる目的で、サンドブラスト法、溶剤処理法等による表面の凹凸化処理、易接着処理、コロナ放電処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理、電子線照射処理等の酸化処理により表面処理が施すことができる。
【0019】
帯電防止ハードコート層の形成法としては、ドクターブレード法、グラビアロールコーター法、ディッピング法、カーテンコート法、ナイフコート法、バーコート法、ダイコート法、リップコート法、スクリーン法等の方法により形成することが出来るが、特に制限されるものではない。
【0020】
以下、本発明について、実施例、比較例を挙げてより詳細に説明するが、具体例を示すものであって特にこれらに限定するものではない。
<帯電防止剤の合成>
合成例A
撹拌翼、還流冷却器、ガス導入口を備えたフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(共栄社化学株式会社製 商品名DQ−100)10.0gと2−エチルヘキシルアクリレート(EHA)10.0g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2g及びイソプロピルアルコール(IPA)40gを仕込み、窒素気流下70℃で8時間重合した。得られた共重合体溶液(固形分40%)の粘度は185mPa/sであった。
【0021】
合成例B
撹拌翼、還流冷却器、ガス導入口を備えたフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド8.0gと2−エチルヘキシルアクリレート12.0g、アゾビスイソブチロニトリル0.2g及びイソプロピルアルコール40gを仕込み、窒素気流下70℃で8時間重合した。得られた共重合体溶液(固形分40%)の粘度は150mPa/sであった。
【0022】
合成例C
撹拌翼、還流冷却器、ガス導入口を備えたフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド16.0gと2−エチルヘキシルアクリレート4.0g、アゾビスイソブチロニトリル0.2g及びイソプロピルアルコール40gを仕込み、窒素気流下70℃で8時間重合した。得られた共重合体溶液(固形分40%)の粘度は350mPa/sであった。
【0023】
合成例D
撹拌翼、還流冷却器、ガス導入口を備えたフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド6.0gと2−エチルヘキシルアクリレート14.0g、アゾビスイソブチロニトリル0.2g及びイソプロピルアルコール40gを仕込み、窒素気流下70℃で8時間重合した。得られた共重合体溶液は白濁していた。粘度は65mPa/sであった。
【0024】
合成例E
撹拌翼、還流冷却器、ガス導入口を備えたフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド18.0gと2−エチルヘキシルアクリレート2.0g、アゾビスイソブチロニトリル0.2g及びイソプロピルアルコール40gを仕込み、窒素気流下70℃で8時間重合した。得られた共重合体溶液(固形分40%)の粘度は4000mPa/sであった。
【0025】
合成例F
撹拌翼、還流冷却器、ガス導入口を備えたフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド10.0gとメチルメタクリレート10.0g、アゾビスイソブチロニトリル0.2g及びイソプロピルアルコール40gを仕込み、窒素気流下70℃で8時間重合した。得られた共重合体溶液(固形分40%)の粘度は220mPa/sであった。
【0026】
合成例G
撹拌翼、還流冷却器、ガス導入口を備えたフラスコに、メタクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド10.0gとイソステアリルアクリレート10.0g、アゾビスイソブチロニトリル0.2g及びイソプロピルアルコール40gを仕込み、窒素気流下70℃で8時間重合した。得られた共重合体溶液(固形分40%)の粘度は200mPa/sであった。
<帯電防止フィルムの作製>
【実施例1】
【0027】
多官能(メタ)アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名DPHA 固形分100%)50重量部とペンタエリスリトールトリアクリレート(日本化薬株式会社製、商品名 PET−30 固形分100%)50重量部、帯電防止剤として合成例Aの共重合体4部と、光開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名IRGACURE184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)5重量部をイソプロピルアルコール109重量部に溶解し帯電防止ハードコート剤を得た。
【0028】
次いで、帯電防止ハードコート剤を100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに硬化膜厚が5μmとなるようにバーコート法で塗工(塗工環境:23℃、50%RH)して熱風乾燥機で80℃、2分の条件で乾燥した。しかる後、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製、可変出力UVランプシステムVPS/I600)を用いて紫外線を積算光量約200mJ/cm照射して帯電防止フィルムを得た。
【実施例2】
【0029】
前記実施例1において、合成例Aの共重合体溶液の添加量を12重量部に変更した以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【実施例3】
【0030】
前記実施例1において、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの添加量を100重量部に変更し、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加しないこと以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【実施例4】
【0031】
前記実施例1において、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを添加せず、ペンタエリスリトールトリアクリレートの添加量を100重量部に変更した以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【実施例5】
【0032】
前記実施例1において、帯電防止剤を合成例Bの共重合体に変更した以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【実施例6】
【0033】
前記実施例1において、帯電防止剤を合成例Cの共重合体に変更した以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【0034】
比較例1
前記実施例1において、合成例Aの共重合体溶液の添加量を2重量部に変更した以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【0035】
比較例2
前記実施例1において、合成例Aの共重合体溶液の添加量を16重量部に変更した以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【0036】
比較例3
前記実施例1において、帯電防止剤を合成例Dで合成した共重合体に変更した以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【0037】
比較例4
前記実施例1において、帯電防止剤を合成例Eで合成した共重合体に変更した以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【0038】
比較例5
前記実施例1において、帯電防止剤を合成例Fで合成した共重合体に変更した以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【0039】
比較例6
前記実施例1において、帯電防止剤を合成例Gで合成した共重合体に変更した以外は同様に実施して、帯電防止フィルムを得た。
【0040】
共重合体の合成におけるモノマーの配合比を表1に示す。
【0041】
【表1】

【0042】
帯電防止コート剤の評価結果を表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
評価方法は以下の通りとした。
試験・評価方法
(1)全光線透過率(Tt):JIS K 7361−1(2000年版)3.2の規定に基づきヘイズメータ(スガ試験機製)により測定した。
(2)表面抵抗率:JIS K 6911−5−13(1995年版)に基づき、デジタル超高抵抗/微小電流計R8340A((株)アドバンテスト)を使用して測定した。
(3)密着性:JIS K 5600−5−6(1999年版)に基づく碁盤目試験に基づき、塗工面に10×10にマス目を作成し、セロハンテープを貼り、上方に引っ張り剥離状況を確認する。剥がれなかったマス目が95〜100を○、95以下を×とした。
(4)耐殺傷性:#0000スチールウールによる表面摩擦試験(荷重1kgf、ストローク幅30mm、10往復)後に傷の有無を目視観察により評価。○:傷0本、×:傷1本以上。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化1で表される構造を有するカチオン性(メタ)アクリレート(a)40〜80重量%と、2−エチルヘキシルアクリレート(b)20〜60重量%を構成単位として含むカチオン性共重合体(A)を含有することを特徴とする帯電防止剤。
【化1】








[R1は水素原子またはメチル基、R2は炭素数2〜8のアルキレン基、R3およびRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基、R4は炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリールアルキル基または炭素数6〜12の脂環アルキル基、Xは陰イオンを示す。]
【請求項2】
水酸基を有する溶液中にて重合させてなることを特徴とする請求項1記載の帯電防止剤。
【請求項3】
多官能(メタ)アクリレート100重量部に対し、請求項1又は2記載の帯電防止剤を4〜12重量部含有してなることを特徴とする帯電防止コート剤。
【請求項4】
該帯電防止コート剤を基材に塗布し、硬化させた帯電防止フィルムであって、全光線透過率が90%以上であり(JIS K7361−1に準拠)、表面抵抗率が1×1010Ω/□以下であり(JIS K6911−5−13に準拠)、耐殺傷性(スチールウール:#0000、1kgf荷重×10往復)で傷が1本も入らないことを特徴とする帯電防止フィルム。

【公開番号】特開2008−231196(P2008−231196A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70508(P2007−70508)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000100698)アイカ工業株式会社 (566)
【Fターム(参考)】