説明

干渉計用コリメータ光学系、干渉計および分光器

【課題】点光源とはみなせない光源を用いた場合でも、光学系の全長を小さく抑えながら、軸外光束が軸上光束に対して傾くのを抑える。
【解決手段】干渉計2に適用されるコリメータ光学系11は、光出射面31aを有する光源31と、平凹レンズ32と、コリメータレンズ33とを備えている。コリメータレンズ33は、正の光学パワーを持ち、光源31の光出射面31aの1点から射出される光束を平行光に変換する。平凹レンズ32は、負の光学パワーを持ち、一方の面が平面32aで他方の面が凹面32bからなる。平凹レンズ32の倍率の絶対値は、1よりも小さい。また、平凹レンズ32は、光源31の光出射面31aに平面32aを密着させて、光源31とコリメータレンズ33との間に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉計用コリメータ光学系と、そのコリメータ光学系を備えた干渉計と、その干渉計を備えた分光器とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイケルソン型の干渉計を用いたフーリエ変換分光分析装置(以下、分光器と称する)では、光源からの光をコリメータレンズにて平行光に変換した後、ビームスプリッタ(以下、BSとも称する)で2光束に分離し、各光束をそれぞれ移動鏡および反射鏡で反射させて光路を折り返し、再度BSに入射させて合成し、干渉させる。移動鏡の位置が変化すると、移動鏡で反射される光束と固定鏡で反射される光束とで光路差が生じ、入射光のうちで特定波長の光が干渉する。したがって、移動鏡の位置を変化させながら、干渉光の強度変化を光検出器で検出し、光検出器からの出力信号をフーリエ変換することにより、各波長ごとの強度を検知することができ、これによって入射光の分光分析を行うことができる。
【0003】
ところで、従来、干渉計に用いられる光源は、コリメータレンズの焦点距離に対して十分小さく、実質的に点光源と見なせるものが多かった。この場合、光路長の変動は、BSにて分離される2光束の光路に置かれた反射鏡(固定鏡、移動鏡)による光路長の変動だけを考えればよく、分光の後処理が簡単になる。
【0004】
このような点光源を用いた構成で、装置全体の小型化を図る技術がこれまで提案されている。例えば、特許文献1では、コリメータ光学系を、負の焦点距離を持つ第1のレンズ群と、正の焦点距離を持つ第2のレンズ群とで構成している。このように、コリメータ光学系をいわゆるテレフォトタイプで構成することにより、点光源からレンズ最終面までの距離が焦点距離よりも短くなり、これによって装置全体のコンパクト化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−304103号公報(請求項1、段落〔0010〕、〔0030〕、図6等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、分光器の小型化、高性能化が益々要求されており、用いられる光学系の小型化がさらに必要となったり、明るくて大きな光源、すなわち、光出射面を持ち、点光源とみなせない光源を用いることが必要となってきている。
【0007】
しかし、点光源とはみなせない光源を用いた干渉計では、どのようなコリメータレンズを用いても、軸上光束に対して軸外光束が傾く。なお、軸上光束とは、光源の光出射面におけるコリメータレンズの光軸と交わる点(軸上の1点)から射出されてコリメータレンズで平行光に変換された光束を指す。また、軸外光束とは、光源の光出射面における光軸外の1点から射出されてコリメータレンズで平行光に変換された光束を指す。このように軸外光束が軸上光束に対して傾くと、軸上光束と軸外光束とで光路長に差が生じるため、干渉計では干渉光のコントラストが低下し、分光器では分光性能が低下する。
【0008】
したがって、小型で高性能の干渉計および分光器を実現するためには、点光源とはみなせない光源を用いた構成で、軸上光束に対する軸外光束の傾きを小さく抑えることが必要となるが、このような技術は未だ提案されていない。
【0009】
なお、点光源とはみなせない光源を用いた場合でも、例えば焦点距離の長いコリメータレンズを用いることにより、上記光源を点光源とみなして、軸外光束の傾きを小さく抑えるようにすることも可能である。しかし、これではレンズ全長が長くなってしまい、小型の干渉計ひいては分光器を実現することができない。
【0010】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、点光源とはみなせない光源を用いた場合でも、光学系の全長の増加を抑えながら、軸外光束が軸上光束に対して傾くのを抑えることができ、これによって小型で高性能の干渉計や分光器を実現することができるコリメータ光学系と、それを備えた干渉計および分光器とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の干渉計用コリメータ光学系は、光出射面を有する光源と、正の光学パワーを持ち、前記光源の前記光出射面の1点から射出される光束を平行光に変換するコリメータレンズとを備えた、干渉計に用いられる干渉計用コリメータ光学系であって、負の光学パワーを持ち、一方の面が平面で他方の面が凹面からなる平凹レンズをさらに備え、前記光源を物体としたときの前記平凹レンズの倍率の絶対値は、1よりも小さく、前記平凹レンズは、前記光源の前記光出射面に前記平面を密着させて、前記光源と前記コリメータレンズとの間に配置されていることを特徴としている。
【0012】
光出射面を持つ光源(点光源とはみなせない光源)とコリメータレンズとの間に、負の光学パワーを持つ平凹レンズを配置した構成では、この平凹レンズにより光源の虚像が作られ、見かけ上、光源の虚像の位置からコリメータレンズに光を射出しているのと等価な状態となる。
【0013】
このとき、光源に対する平凹レンズの倍率の絶対値が1よりも小さいので、コリメータレンズに対する見かけの光源の大きさ(虚像の大きさ)を元の光源よりも小さくすることができ、コリメータレンズにて平行光に変換された軸外光束が軸上光束に対して傾くのを抑えることができる。しかも、光源の光出射面に平面を密着させて平凹レンズを配置しているため、コリメータレンズの焦点距離を長くすることなく、上記の効果を得ることができる。したがって、光出射面を持つ光源を用いた場合でも、光学系の全長の増加を抑えながら、軸外光束の傾きを抑えることができる。
【0014】
よって、本発明のコリメータ光学系を干渉計や分光器に適用した場合には、軸上光束と軸外光束とで光路長に差が生じるのを抑えて、干渉光のコントラストが低下するのを抑えることができ、分光性能の低下を抑えることができる。その結果、小型で高性能の干渉計ひいては分光器を実現することができる。
【0015】
本発明の干渉計用コリメータ光学系は、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。すなわち、
f/B>FL ・・・(1)
ただし、
f:コリメータレンズの焦点距離
B:平凹レンズの倍率の絶対値
FL:平凹レンズおよびコリメータレンズを含む全系の焦点距離
である。
【0016】
光源の見かけの大きさ(平凹レンズによって作られる虚像の大きさ)を小さくする効果は、負の光学パワーを持つ平凹レンズの倍率で決まり、実際の焦点距離(全系の焦点距離)にはよらない。つまり、光源の見かけの大きさを小さくする実際の効果は、コリメータレンズ単独での焦点距離を負レンズの倍率で割った値で評価することができる。以下、この値のことを、実効果を得るための焦点距離、すなわち、実効果の焦点距離と称する。
【0017】
一方、光源と平凹レンズ(特に負の光学パワーを与える凹面)との距離が増大するほど、決められた倍率を与える平凹レンズの焦点距離は長くなり、これによって実際の焦点距離が長くなるとともに、光学系の全長が長くなる。したがって、光学系の全長の増加を確実に抑えるためには、平凹レンズの凹面を光源に十分に近づけることが必要であり、このことは、実際の焦点距離を実効果の焦点距離よりも短くすることで実現できる。
【0018】
つまり、条件式(1)を満足することにより、平凹レンズの凹面を光源に十分に近づけた状態で、光源の見かけの大きさを小さくすることができ、芯厚の薄い平凹レンズを用いて、光学系の全長をあまり長くすることなく、軸外光束の傾きを小さく抑えることができる。
【0019】
本発明の干渉計用コリメータ光学系は、以下の条件式(2)をさらに満足することが望ましい。すなわち、
f/B−f>t*n−t ・・・(2)
ただし、
t:平凹レンズの芯厚
n:平凹レンズの材料の設計波長での屈折率
である。
【0020】
平凹レンズの配置による光学系の全長の増加を抑える効果は、平凹レンズを配置することによるレンズ全長(光学長)の伸びと、平凹レンズによる実際の光学長の伸びとによって評価することができる。レンズ全長の伸びは、実効果の焦点距離とコリメータレンズ単独の焦点距離との差に相当し、f/B−fで表される。一方、実際の光学長の伸びは、t*n−tで表される。
【0021】
レンズ全長の伸びに対して、実際の光学長の伸びが大きいと、光源からコリメータレンズまでの距離が伸びることになり、光学系の全長の増加を抑える効果が小さくなる。条件式(2)を満足することにより、光学系の全長の増加を確実に抑えながら、軸外光束の傾きを抑えることができる。つまり、条件式(2)を満足することにより、平凹レンズの配置による光学系の全長の増加を抑える効果を高めることができる。
【0022】
本発明の干渉計用コリメータ光学系において、前記光源の前記光出射面は、発光面で発光された光束を取り込んで導光する導光部材の光束射出側の端面で構成されていることが望ましい。
【0023】
発光面で発光された光束を導光部材で導光する構成とすることで、導光部材よりも後段の光学系に対する、光源(特に発光面)で発生する熱の影響を低減することができるともに、光源(特に発光面)の配置の自由度を増大させることができる。
【0024】
本発明の干渉計は、上述した本発明の干渉計用コリメータ光学系と、前記コリメータ光学系にて平行光に変換された光束を分離して固定鏡および移動鏡に導く一方、前記固定鏡および前記移動鏡にて反射された各光束を合成して干渉させるビームスプリッタとを備えていることが望ましい。
【0025】
この構成では、コリメータ光学系にて、軸上光束と軸外光束とで光路長に差が生じるのを抑えることができるので、干渉光のコントラストが低下するのを抑えることができる。
【0026】
本発明の分光器は、上述した本発明の干渉計と、前記干渉計から出力される干渉光の検知信号に基づいて、波長ごとの光の強度を示すスペクトルを生成するスペクトル生成部とを備えていることが望ましい。
【0027】
本発明の干渉計によれば、軸上光束と軸外光束とで光路長に差が生じるのを抑えて、干渉光のコントラストが低下するのを抑えることができるので、その干渉計を分光器が備えていることにより、波長ごとの光の強度を示すスペクトルに基づく分光分析を精度よく行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、光出射面を持つ光源を用いた場合でも、光学系の全長の増加を抑えながら、コリメータレンズに対する見かけの光源の大きさを小さくして、軸外光束が傾くのを抑えることができる。これにより、小型で高性能の干渉計ひいては分光器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の一形態に係る分光器の概略の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】上記分光器の干渉計が備える駆動機構の概略の構成を示す説明図である。
【図3】上記干渉計のコリメータ光学系の平凹レンズを拡大して示す断面図である。
【図4】(a)は、上記コリメータ光学系において、上記平凹レンズを配置していない場合の軸外光束の光路を示す説明図であり、(b)は、上記コリメータ光学系において、上記平凹レンズを配置した場合の軸外光束の光路を示す説明図である。
【図5】(a)は、上記コリメータ光学系を模式的に示す説明図であり、(b)は、参考例のコリメータ光学系を模式的に示す説明図である。
【図6】(a)は、上記平凹レンズの芯厚が薄いコリメータ光学系を模式的に示す説明図であり、(b)は、上記平凹レンズの芯厚が厚いコリメータ光学系を模式的に示す説明図である。
【図7】(a)は、上記干渉計における固定鏡側の光路を示す説明図であり、(b)は、上記干渉計における移動鏡側の光路を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の一形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0031】
(干渉計および分光器について)
図1は、本実施形態の分光器の概略の構成を模式的に示す説明図である。分光器1は、フーリエ変換分光分析装置(FTIR;Fourier Transform Infrared Spectroscopy )であり、干渉計2と、演算部3と、出力部4とを有している。
【0032】
演算部3は、干渉計2から出力される信号(干渉光の検知信号)をA/D変換およびフーリエ変換することにより、各波長(波数(=1/波長))の光の強度を示すスペクトルを生成するスペクトル生成部である。出力部4は、演算部3にて生成されたスペクトルを出力(例えば表示)する。
【0033】
干渉計2は、マイケルソン型の干渉計で構成されており、コリメータ光学系11と、BS(ビームスプリッタ)12と、補償板13と、移動鏡14と、固定鏡15と、光検出器16と、駆動機構21(図2参照)とを備えている。なお、BS12と光検出器16との間の光路中に集光光学系が配置されていてもよい。また、移動鏡14と固定鏡15の位置関係は、逆であってもよい。
【0034】
コリメータ光学系11は、光源31から出射される光を平行光に変換してBS12に導く光学系であるが、その詳細については後述する。
【0035】
BS12は、コリメータ光学系12から出射される光束を2光束に分離して、それぞれを移動鏡14および固定鏡15に導く一方、移動鏡14および固定鏡15にて反射された各光束を合成して干渉させるビームスプリッタである。このBS12は、平板型のビームスプリッタで構成されている。補償板13は、BS12の厚み分の光路長、および光がBS12を透過する際の屈折による光路シフトを補正するための基板(例えばガラス基板)である。
【0036】
移動鏡14および固定鏡15は、BS12で分離された各光束を反射させる反射鏡であり、移動鏡14は駆動機構21によって並進駆動され、固定鏡15は固定されている。光検出器16は、BS12から出射される干渉光を受光して検出し、演算部3に出力する。
【0037】
駆動機構21は、BS12と移動鏡14との間の光路長が変化するように移動鏡14を平行移動させる機構である。図2は、駆動機構21の概略の構成を示す説明図である。駆動機構21は、2つの板ばね22・23を剛体24・25を介して平行に配置し、一方の板ばね22上に形成した圧電素子26の伸縮によって共振する平行板ばねで構成されている。移動鏡14は、例えば板ばね22上に形成されており、駆動機構21による共振によって並進駆動される。例えば、水平方向に伸びるような電圧を圧電素子26に印加することにより、板ばね22・23は同図の実線のように変形し、その結果、移動鏡14は下方に(BS12から遠ざかる方向に)変位する。一方、水平方向に縮むような電圧を圧電素子26に印加することにより、板ばね22・23は同図の破線のように変形し、その結果、移動鏡14は上方に(BS12に近づく方向に)変位する。
【0038】
このように、圧電素子26の伸縮によって共振する平行板ばねで駆動機構21を構成することにより、圧電素子26を駆動する際の駆動電圧が小さくても、小型の構成で移動鏡14を大きく変位させることができ、干渉計2の分解能を向上させる点で有利となる。
【0039】
なお、駆動機構21は、VCM(ボイスコイルモータ)や静電アクチュエータを用いて、移動鏡14を並進駆動する構成であってもよい。また、定常状態(静止状態)が移動ストロークの中点付近にある別の駆動方法(レールによる平行移動など)を用いてもよい。さらに、4本のばねを用いて移動鏡14を共振させる構成であってもよい。
【0040】
上記の構成において、コリメータ光学系11から出射される光束は、BS12での透過および反射によって2光束に分離される。分離された一方の光束は移動鏡14で反射され、他方の光束は固定鏡15で反射され、それぞれ元の光路を逆戻りしてBS12で重ね合わせられ、干渉光として試料(図示せず)に照射される。このとき、駆動機構21によって移動鏡14を連続的に移動させながら試料に光が照射されるが、BS12から各反射鏡(移動鏡14、固定鏡15)までの光路長の差が波長の整数倍のときは、重ね合わされた光の強度は最大となる。一方、移動鏡14の移動によって2つの光路長に差が生じている場合には、重ね合わされた光の強度に変化が生じる。試料を透過した光は、光検出器16に入射し、そこで時間的インターフェログラムとして検出される。
【0041】
干渉計2の光検出器16から出力される信号は、演算部3にてA/D変換およびフーリエ変換され、スペクトルとして出力部4で出力される。したがって、このスペクトルに基づき、試料の特性(材料、構造、成分量など)を知ることができる。
【0042】
(コリメータ光学系について)
次に、上述したコリメータ光学系11について説明する。コリメータ光学系11は、光源31と、平凹レンズ32と、コリメータレンズ33とを有して構成されている。
【0043】
光源31は、一定の面積を有する光出射面31aから光を射出するものである。本実施形態では、光源31は、例えば近赤外光(波長900〜2600nm)を出射する光源34と、光ファイバ35(導光部材)とを有して構成されており、光源34の発光面34aで発光された光束を光ファイバ35が取り込んで導光し、光ファイバ35の光束射出側の端面35aから射出する。したがって、光源31の光出射面31aは、光ファイバ35の光束射出側の端面35aで構成されていることになり、光源34(発光面34a)を1次光源とすると、光出射面31a(端面35a)は2次光源を構成することになる。
【0044】
このように、発光面34aで発光された光束を光ファイバ35で導光する構成とすることにより、光源34(発光面34a)をコリメータレンズ33以降の光学系から離して配置することができる。これにより、光源34(発光面34a)で発生する熱が光学系の各構成部品に与える影響を低減できるとともに、光源34(発光面34a)の配置の自由度を増大させることができる。
【0045】
コリメータレンズ33は、正の光学パワーを持つ正レンズであり、光源31の光出射面31aの1点から射出される光束を平行光に変換する。なお、光学パワーとは屈折力とも言い、焦点距離の逆数で表される。コリメータレンズ33は、例えば非球面単レンズで構成されているが、色収差を少なくした複数レンズからなるコリメータで構成されてもよいし、回転楕円鏡を用いたコリメータで構成されてもよい。
【0046】
平凹レンズ32は、負の光学パワーを持つ負レンズである。ここで、図3は、平凹レンズ32を拡大して示す断面図である。同図に示すように、平凹レンズ32は、一方の面が平面32aで他方の面が凹面32bからなり、光源31の光出射面31aに平面32aを密着させて、光源31とコリメータレンズ33との間に配置されている。光源31を物体としたときの平凹レンズ32の倍率の絶対値は、1よりも小さい。
【0047】
なお、負レンズの倍率は、通常、負の値で表現されるが、正の値で表現されることもある。例えば、負レンズの倍率を(射出距離/入射距離)で表す場合は、射出距離も入射距離も正の値であるため、倍率は正の値となる。本実施形態では、負レンズの倍率を正の値で表した場合、負の値で表した場合の両方に対応するため、上記のように負レンズの倍率の絶対値を考えることにする。
【0048】
本実施形態のように、光出射面31aを持つ、点光源とはみなせない光源31と、コリメータレンズ33との間に、負レンズである平凹レンズ32を配置すると、平凹レンズ32により光源31の虚像Qが作られ、見かけ上、光源31の虚像Qの位置からコリメータレンズ33に光を射出しているのと等価な状態となる。
【0049】
このとき、光源31に対する平凹レンズ32の倍率の絶対値が1よりも小さいので、コリメータレンズ33に対する見かけの光源31の大きさ(虚像Qの大きさ)を、元の光源31よりも小さくすることができ、コリメータレンズ33にて平行光に変換された軸外光束が軸上光束に対して傾くのを抑えることができる。しかも、光源31の光出射面31aに平面32aを密着させて平凹レンズ32を配置しているため、コリメータレンズ33の焦点距離を長くすることなく、上記の効果を得ることができる。したがって、光出射面31aを持つ光源31を用いた場合でも、平凹レンズ32を配置することによるコリメータ光学系11の全長の増加を抑えながら、軸外光束の傾きを抑えることができる。
【0050】
ここで、図4(a)は、コリメータ光学系11において、平凹レンズ32を配置していない場合の軸外光束の光路を示しており、図4(b)は、コリメータ光学系11において、平凹レンズ32を配置した場合の軸外光束の光路を示している。これらの光路図より、平凹レンズ32を配置することによって、コリメータレンズ33の光軸外から出射された軸外光束の傾きが小さく抑えられていることがわかる。
【0051】
したがって、干渉計2においては、軸上光束と軸外光束とで光路長に差が生じるのを抑えることができ、これらの光束の干渉によって、本来の干渉光(移動鏡での反射光と固定鏡での反射光との干渉光)のコントラストが低下するのを抑えることができる。その結果、分光器1においては、分光性能の低下を抑えることができる。つまり、小型で高性能の干渉計2ひいては分光器1を実現することができる。
【0052】
なお、従来の特許文献1の構成では、光源とコリメータレンズ(正レンズ)との間に配置される負レンズは、光源側に凸面を向けたメニスカス形状で、光源から比較的遠くに配置されており(特許文献1の表4参照)、ほとんど正レンズと一体になっている。このため、レンズ系の全長がほぼ焦点距離と等しくなり、大きな光学系となってしまっている。
【0053】
また、例えば光源に近いところに負レンズを配置しても、光源側に凸面を向けている場合、光源の大きさを無視できないような系では、光源近くの凸面の影響で、軸外光ほど集光方向(光軸に近づく方向)に曲げられる。このため、負レンズの光源に対する倍率を1倍より小さくしても、見かけの光源の大きさ(虚像の大きさ)は倍率比ほど小さくならず、軸外光の角度が緩くなる効果が少ない。また、負レンズが光源側に凸のメニスカス形状では、負レンズを光源と密着して配置することができないので、正レンズ(コリメータレンズ)を単独で配置するよりも、レンズ全長がかなり長くなる。
【0054】
この点、本実施形態の構成では、光源31とコリメータレンズ33との間に配置される負レンズは、光源31側が平面32aの平凹レンズ32であり、しかも、平面32aを光源31の光出射面31aに密着させて平凹レンズ32を配置しているため、特許文献1のようにレンズ全長が長くなることなく、軸外光の傾きを小さく抑えることができる。したがって、本実施形態の構成は、従来の構成に比べて、コリメータ光学系11、干渉計2および分光器1の小型化、高性能化に非常に有利なものとなる。
【0055】
(条件式について)
次に、平凹レンズ32を配置することによって軸外光束の傾きを抑えるにあたって、コリメータ光学系11の全長の増加を抑えるための条件式について説明する。
【0056】
本実施形態のコリメータ光学系11は、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。すなわち、
f/B>FL ・・・(1)
ただし、
f:コリメータレンズの焦点距離(mm)
B:平凹レンズの倍率の絶対値
FL:平凹レンズおよびコリメータレンズを含む全系の焦点距離(mm)
である。
【0057】
光源31の見かけの大きさ(虚像Qの大きさ)を小さくする効果は、負レンズ(平凹レンズ32)の倍率で決まり、実際の焦点距離(全系の焦点距離)にはよらない。つまり、光源31の見かけの大きさを小さくする実際の効果は、コリメータレンズ33単独の焦点距離fを負レンズの倍率Bで割った値(f/B)で評価することができる。以下では、f/Bの値のことを、実効果の焦点距離と称する。つまり、負レンズの倍率Bが小さいほど、実効果の焦点距離が長くなり、光源31の見かけの大きさを小さくする効果が高くなる。
【0058】
一方、光源31と平凹レンズ32(特に負の光学パワーを与える凹面32b)との距離が増大するほど、決められた倍率を与える平凹レンズ32の焦点距離は長くなり、実際の焦点距離(全系の焦点距離)が長くなる。したがって、光源31の見かけの大きさを小さくする効果を得る際に、レンズ全長の増加を確実に抑えるためには、平凹レンズ32の凹面32bを光源31に十分に近づけた、芯厚の薄い平凹レンズ32を用いることが必要であり、このためには、実際の焦点距離を実効果の焦点距離よりも短くする必要がある。よって、条件式(1)を満足することにより、平凹レンズ32の凹面32bを光源31側に十分に近づけて、光学系の全長をあまり長くすることなく、光源31の見かけの大きさを小さくして、軸外光束の傾きを小さく抑えることができる。
【0059】
この点について、図面を用いてさらに説明する。図5(a)は、本実施形態のコリメータ光学系11を模式的に示す説明図であり、負レンズ(特に平凹レンズ32の凹面32b)が光源31に近い位置にある場合を示している。また、図5(b)は、参考例のコリメータ光学系11’を模式的に示す説明図であり、負レンズ32’が光源31から離れて配置されている場合を示している。なお、Oは、光源31の位置を示し、O’は、コリメータレンズ33の焦点位置を示し、Lはコリメータレンズ33の位置を示す。
【0060】
コリメータ光学系11の実際の焦点距離(全系の焦点距離FL)は、図中のOL’で表される。なお、実際の焦点距離とは、光源31から出射される光束(拡散光)が平行光になる場合に、光源31からの光線と平行となる光線とが交わる点(位置L’)と、光源31(位置O)との距離である。実効果の焦点距離f/Bを図中のPLとすると(ただしPとOとは一致しない)、図5(a)のように、平凹レンズ32が薄く、負の光学パワーを持つ凹面32bが光源31に十分近い場合には、実際の焦点距離(OL’)のほうが実効果の焦点距離(PL)よりも短くなり、コンパクトな系を実現できる。一方、図5(b)のように、負レンズ32’が光源31から遠かったり、負レンズ32’が光源31側に凸のメニスカスレンズの場合には、実際の焦点距離(OL’)のほうが実効果の焦点距離(PL)よりも長くなり、系は小さくならない。
【0061】
このように、図5(a)(b)の関係からも、実際の焦点距離(OL’)を実効果の焦点距離(PL)よりも短くすることにより、平凹レンズ32を配置する構成であっても、その芯厚を薄くして、光学系の全長の増加を確実に抑えることができると言える。
【0062】
また、本実施形態のコリメータ光学系11は、以下の条件式(2)をさらに満足することが望ましい。すなわち、
f/B−f>t*n−t ・・・(2)
ただし、
t:平凹レンズの芯厚(mm)
n:平凹レンズの材料の設計波長での屈折率
である。なお、設計波長とは、例えば、光源31が出射する近赤外光における最短波長(波長900nm)を考えることができる。また、記号*は積を表す。
【0063】
平凹レンズ32の配置によるコリメータ光学系11の全長の増加を抑える効果は、平凹レンズ32の配置によるレンズ全長(光学系全体)の伸びと、平凹レンズ32による実際の光学長の伸びとによって評価することができる。レンズ全長の伸びは、実効果の焦点距離とコリメータレンズ33単独の焦点距離との差、すなわち、f/B−fに相当する。一方、実際の光学長の伸びは、t*n−tで表され、平凹レンズ32の芯厚tが増大するほど、実際の光学長の伸びは大きくなる。
【0064】
レンズ全長の伸びに対して、実際の光学長の伸びが大きい、すなわち、平凹レンズ32の芯厚tが大きいと、光源31からコリメータレンズ33までの距離が伸びることになり、光学系の全長の増加を抑える効果が小さくなる。条件式(2)を満足するように、平凹レンズ32の芯厚を薄くすることにより、光学系の全長の増加を確実に抑えながら、軸外光束の傾きを抑えることができる。
【0065】
この点について、図面を用いてさらに説明する。図6(a)は、平凹レンズ32の芯厚が薄いコリメータ光学系11を模式的に示す説明図であり、図6(b)は、平凹レンズ32の芯厚が図6(a)よりも厚いコリメータ光学系11を模式的に示す説明図である。なお、ここでは、便宜上、平凹レンズ32を、平行平板41と、負の光学パワーを持つ負レンズ42とに分けて考える。なお、平行平板41の厚さt’は、平凹レンズ32の芯厚tに等しい。
【0066】
コリメータレンズ33の正の光学パワーのみによる焦点距離fは、LO’と表される。平凹レンズ32の負レンズ42によって虚像Qが作られる場合における、系全体の実効果の焦点距離f/BをPLとすると、レンズ全長の伸びは、f/B−f=PL−LO’=PO’である。一方、平行平板41を通る光線の長さを光学的に考えた光学長は、実際の平行平板41の厚さt’に使用波長(設計波長)に対する屈折率nを掛けてt’*nと表される。したがって、平行平板41が存在することで、実際にはt’*n−t’だけ光学長が伸びたように見える。この実際の光学長の伸びをOQとすると、OQは、平行平板41の厚さt’が大きいほど大きくなり、実際の系では、光源31からコリメータレンズ33までの距離が伸びる。このような芯厚の大きな負レンズを用いると、焦点距離の長いコリメータレンズ33を用いた場合と同じ結果となる。
【0067】
ここでは、平行平板41の厚さt’は、平凹レンズ32の芯厚tに等しい。したがって、平凹レンズ32の芯厚tが小さく、レンズ全長の伸びに対して実際の光学長の伸びが小さいと、平凹レンズ32を配置しても、実際のレンズ系の全長をあまり伸ばさずに、軸外光束の傾きを抑えることができると言える。つまり、条件式(2)を満足するように、平凹レンズ32の芯厚tを薄くすることにより、平凹レンズ32の配置による光学系の全長の増加を抑える効果が高くなる。
【0068】
(実施例について)
次に、上述したコリメータ光学系11を含む干渉計2の実施例について説明する。実施例1および2は、図1の光学系に対応した数値実施例であり、そのコンストラクションデータは以下の通りである。なお、説明の理解をしやすくするために、固定鏡15側の光路と移動鏡14側の光路とで、コンストラクションデータを分けて記載する。図7(a)は、干渉計2における固定鏡15側の光路およびその光路上に位置する光学部材を示しており、図7(b)は、移動鏡14側の光路およびその光路上に位置する光学部材を示している。
【0069】
以下のコンストラクションデータにおいて、Si(i=0、1、2、・・・)は物体側から数えてi番目の面を指す。具体的には、固定鏡15側の光路では、S0は光源31の光出射面31a(平凹レンズ32の平面32a)、S1は平凹レンズ32の凹面32b、S2およびS3はコリメータレンズ33の光入射面および光出射面、S4は仮想絞り面(STO)、S5はBS12の透過面、S6はBS12の反射透過面、S7はS6と同じ面、S8はS5と同じ面、S9は補償板13のBS12側の面、S10は補償板13のBS12とは反対側の面、S11は固定鏡15の反射面、S12はS10と同じ面、S13はS9と同じ面、S14はS8と同じ面、S15はS6と同じ面、S16はS9と同じ面、S17はS10と同じ面、S18は仮想干渉面、S19は光検出器16の受光面で、S18と同じ面をそれぞれ指す。なお、S9およびS10は、偏芯データを得るためのダミー面である。
【0070】
一方、移動鏡14側の光路では、S0は光源31の光出射面31a(平凹レンズ32の平面32a)、S1は平凹レンズ32の凹面32b、S2およびS3はコリメータレンズ33の光入射面および光出射面、S4は仮想絞り面(STO)、S5はBS12の透過面、S6はBS12の反射透過面、S7はS6と同じ面、S8はS5と同じ面、S9は補償板13のBS12側の面、S10は補償板13のBS12とは反対側の面、S11は移動鏡14の反射面、S12はS10と同じ面、S13はS9と同じ面、S14はS8と同じ面、S15はS6と同じ面、S16はS9と同じ面、S17はS10と同じ面、S18は仮想干渉面、S19は光検出器16の受光面で、S18と同じ面をそれぞれ指す。なお、S7およびS8は、偏芯データを得るためのダミー面である。
【0071】
また、RMDは面の特性を指し、反射面(REFL)または屈折面を指す。なお、RMDの欄においては、反射面のみを表記し、表記がない場合は屈折面を指す。また、屈折率の記載がないところは空気であることを指す。曲率半径および軸上面間隔の単位はmmである。
【0072】
ASPは、以下の光軸対称な式で表される非球面のデータを指す。光軸対称な式は、光源311から光検出器16に向かう光束の中心光線が進行する軸を光軸としたとき、その光軸方向をZ軸、メリディオナル断面内でZ軸に垂直な方向をY軸、サジタル断面内でZ軸に垂直な方向をX軸として、面頂点からの距離を以下のように表したものである。
z=(c*h)/[1+{1−(1+k)*c*h1/2
+A*h+B*h+C*h+D*h10
ここで、zは面のローカルなZ軸方向の面頂点からの位置、cは近軸の曲率で曲率半径の逆数(1/mm)、kは円錐定数、hはZ軸からの高さ(h=x+y)、Aは4次の非球面係数、Bは6次の非球面係数、Cは8次の非球面係数、Dは10次の非球面係数である。なお、非球面データにおいて、E−n=×10−nを指す。
【0073】
また、XDEはX方向の平行偏芯、YDEはY方向の平行偏芯、ZDEはZ方向の平行偏芯の各量(mm)をそれぞれ指し、ADEはX軸周りの回転、BDEはY軸周りの回転、CDEはZ軸周りの回転の角度(°)をそれぞれ指す。GLB GiはSi面を基準とするグローバル偏芯(表記がなければローカルな偏芯)であることを指す。回転中心の座標は、入射光束の中央位置を原点としたときの位置である。なお、BS12は、X軸周りに回転するものとする。
【0074】
また、図7(a)(b)において、最初の光線は、左から右に向かって進行し(+Z軸方向)、反射面があれば光線は右から左に向かって進むものとする(計算の便宜上、角度が付いていても同じように考える)。そして、軸上面間隔および屈折率は、光線が左から右に進むときにはプラスとし、右から左に進むときにはマイナスとする。光線が右から左に進むとき、再び反射面があれば光線は左から右に進み、軸上面間隔および屈折率はプラスとなる。
【0075】
波長900nmにおけるBK7_SCHOTTの屈折率は1.508997である。また、実施例1および2では、光源31からの光は、BS12に対して入射角30°で入射しているものとする。
【0076】
<実施例1>
[固定鏡側光路]
曲率半径 軸上面間隔 RMD 屈折率(900nm)

S0 INFINITY 4.00000 1.508997
(光源)

S1 1.60699 6.23957
(平凹レンズ凹面)

S2 93.21306 3.32461 1.508997
(コリメータレンズ光入射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-2.65511E-03 B: 2.06250E-04 C:-2.32303E-05 D: 0.000000E+00

S3 -4.99769 27.85702
(コリメータレンズ光出射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-4.43198E-04 B: 4.36195E-05 C:-1.95884E-06 D:-0.170634E-06

S4 INFINITY 0.00000
(STO)

S5 INFINITY 0.00000 1.508997
(BS透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE:-1.154701 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S6 INFINITY 0.00000 反射面 -1.508997
(BS反射透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S7 INFINITY -1.00000 -1.508997
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S8 INFINITY 1.10000
(S5と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G5
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S9: INFINITY -1.00000 ダミー
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.10000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S10: INFINITY -8.00000 ダミー
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 1.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S11: INFINITY 8.00000 反射面
(固定鏡)
XDE: 0.00000 YDE:-8.66025 ZDE:-5.00000 GLB G4
ADE:60.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S12: INFINITY 1.00000 AIR
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S13: INFINITY 0.10000
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S14: INFINITY 1.00000 1.508997
(S8と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G8
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S15: INFINITY 0.10000 AIR
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S16: INFINITY 1.00000 1.508997
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S17: INFINITY 8.00000
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S18: INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
XDE: 0.00000 YDE: 8.66025 ZDE: 5.00000 GLB G4
ADE:60.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S19 INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
【0077】
[移動鏡側光路]
曲率半径 軸上面間隔 RMD 屈折率(900nm)

S0 INFINITY 4.00000 1.508997
(光源)

S1 1.60699 6.23957
(平凹レンズ凹面)

S2 93.21306 3.32461 1.508997
(コリメータレンズ光入射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-2.65511E-03 B: 2.06250E-04 C:-2.32303E-05 D: 0.000000E+00

S3 -4.99769 27.85702
(コリメータレンズ光出射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-4.43198E-04 B: 4.36195E-05 C:-1.95884E-06 D:-0.170634E-06

S4 INFINITY 0.00000
(STO)

S5 INFINITY 0.00000 1.508997
(BS透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE:-1.15470 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S6 INFINITY 0.00000 1.508997
(BS反射透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S7: INFINITY 1.00000 ダミー
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S8: INFINITY 1.10000 ダミー
(S5と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G5
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S9: INFINITY 1.00000 1.508997
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.10000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S10: INFINITY 8.00000
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 1.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S11: INFINITY -8.00000 反射面
(移動鏡)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE:10.00000 GLB G4
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S12: INFINITY -1.00000 -1.508997
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S13: INFINITY -0.10000
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S14: INFINITY -1.00000
(S8と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G8
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S15: INFINITY 0.10000 反射面
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S16: INFINITY 1.00000 1.508997
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S17: INFINITY 8.00000
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S18: INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
XDE: 0.00000 YDE: 8.66025 ZDE: 5.00000 GLB G4
ADE:60.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S19 INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
【0078】
[スペック]
コリメータ光学系の焦点距離FL 14.27230mm
物体側NA 0.22000
設計波長 900.00000nm
光源の大きさ φ0.5mm
平凹レンズによる光源の倍率B 0.5436
正レンズ焦点距離f 9.4267mm
平凹レンズの厚みt 4.000mm
平凹レンズ材料の屈折率n 1.508997
f/B−f 7.9145
t*n−t 2.0359
f/B 17.34123638
【0079】
<実施例2>
[固定鏡側光路]
曲率半径 軸上面間隔 RMD 屈折率(900nm)

S0 INFINITY 4.00000 1.817934
(光源)

S1 2.475809 6.23957
(平凹レンズ凹面)

S2 93.21306 3.32461 1.508997
(コリメータレンズ光入射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-2.65511E-03 B: 2.06250E-04 C:-2.32303E-05 D: 0.000000E+00

S3 -4.99769 27.85702
(コリメータレンズ光出射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-4.43198E-04 B: 4.36195E-05 C:-1.95884E-06 D:-0.170634E-06

S4 INFINITY 0.00000
(STO)

S5 INFINITY 0.00000 1.508997
(BS透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE:-1.154701 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S6 INFINITY 0.00000 反射面 -1.508997
(BS反射透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S7 INFINITY -1.00000 -1.508997
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S8 INFINITY 1.10000
(S5と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G5
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S9: INFINITY -1.00000 ダミー
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.10000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S10: INFINITY -8.00000 ダミー
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 1.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S11: INFINITY 8.00000 反射面
(固定鏡)
XDE: 0.00000 YDE:-8.66025 ZDE:-5.00000 GLB G4
ADE:60.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S12: INFINITY 1.00000 AIR
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S13: INFINITY 0.10000
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S14: INFINITY 1.00000 1.508997
(S8と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G8
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S15: INFINITY 0.10000 AIR
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S16: INFINITY 1.00000 1.508997
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S17: INFINITY 8.00000
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S18: INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
XDE: 0.00000 YDE: 8.66025 ZDE: 5.00000 GLB G4
ADE:60.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S19 INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
【0080】
[移動鏡側光路]
曲率半径 軸上面間隔 RMD 屈折率(900nm)

S0 INFINITY 4.00000 1.817934
(光源)

S1 2.475809 6.23957
(平凹レンズ凹面)

S2 93.21306 3.32461 1.508997
(コリメータレンズ光入射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-2.65511E-03 B: 2.06250E-04 C:-2.32303E-05 D: 0.000000E+00

S3 -4.99769 27.85702
(コリメータレンズ光出射面)
ASP: 非球面データ
K: 0.00000
A:-4.43198E-04 B: 4.36195E-05 C:-1.95884E-06 D:-0.170634E-06

S4 INFINITY 0.00000
(STO)

S5 INFINITY 0.00000 1.508997
(BS透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE:-1.15470 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S6 INFINITY 0.00000 1.508997
(BS反射透過面)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G4
ADE:30.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S7: INFINITY 1.00000 ダミー
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S8: INFINITY 1.10000 ダミー
(S5と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G5
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S9: INFINITY 1.00000 1.508997
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.10000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S10: INFINITY 8.00000
(補償板)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 1.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S11: INFINITY -8.00000 反射面
(移動鏡)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE:10.00000 GLB G4
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S12: INFINITY -1.00000 -1.508997
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S13: INFINITY -0.10000
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S14: INFINITY -1.00000
(S8と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G8
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S15: INFINITY 0.10000 反射面
(S6と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G6
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S16: INFINITY 1.00000 1.508997
(S9と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G9
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S17: INFINITY 8.00000
(S10と一致)
XDE: 0.00000 YDE: 0.00000 ZDE: 0.00000 GLB G10
ADE: 0.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S18: INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
XDE: 0.00000 YDE: 8.66025 ZDE: 5.00000 GLB G4
ADE:60.00000 BDE: 0.00000 CDE: 0.00000

S19 INFINITY 0.00000
(仮想干渉面)
【0081】
[スペック]
コリメータ光学系の焦点距離FL 14.5952mm
物体側NA 0.22000
設計波長 900.00000nm
光源の大きさ φ0.5mm
平凹レンズによる光源の倍率B 0.5791
正レンズ焦点距離f 9.4267mm
平凹レンズの厚みt 4.000mm
平凹レンズ材料の屈折率n 1.817934
f/B−f 6.8515
t*n−t 3.2717
f/B 16.27818356
【0082】
ここで、従来技術として挙げた特許文献1(特開2007−304103号公報)の構成を比較例としたとき、実施例1、2および比較例のコリメータ光学系における各パラメータをまとめて表1に示す。
【0083】
【表1】

【0084】
上述したように、比較例では、光源とコリメータレンズとの間に配置される負レンズは、光源側に凸のメニスカス形状で、光源から離れて配置されているため、レンズ系の全長がほぼ焦点距離と等しくなり、大きな光学系となってしまっている。それゆえ、比較例1は、レンズ系の全長の増加を抑えるための条件式(1)を満足していない。
【0085】
これに対して、実施例1および2では、光源31とコリメータレンズ33との間に配置される負レンズが平凹レンズ32であり、その平面32aを光源31の光出射面31aに密着させているため、条件式(1)(2)を同時に満足することが容易となり、平凹レンズ32の凹面32bを光源31側に十分に近づけて、コリメータ光学系11の全長の増加を抑えることが可能となる。したがって、実施例1および2は、比較例に比べて、小型でかつ高性能の干渉計2および分光器1を実現できていると言える。
【0086】
(その他)
本実施形態(特に実施例1および2)では、光源31からの光がBS12に対して入射角30°で入射するように、BS12を傾けて配置しているが、例えば入射角が45°となるように、BS12を傾けて配置した場合であっても、上述した本実施形態の構成を適用することができ、これによって本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
また、光源31とコリメータレンズ33との間に配置される負レンズ(平凹レンズ32)を、分散の大きな材料で構成することにより、色収差を低減することも可能である(実施例2参照)。
【0088】
本発明のコリメータ光学系は、本実施形態で説明したマイケルソン干渉計以外にも、ファブリペロー干渉計やコモンパス干渉計などに用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明のコリメータ光学系は、干渉計やフーリエ変換分光分析装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 分光器
2 干渉計
3 演算部(スペクトル生成部)
11 コリメータ光学系
12 BS(ビームスプリッタ)
14 移動鏡
15 固定鏡
31 光源
31a 光出射面
32 平凹レンズ
32a 平面
32b 凹面
33 コリメータレンズ
34a 発光面
35 光ファイバ(導光部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光出射面を有する光源と、
正の光学パワーを持ち、前記光源の前記光出射面の1点から射出される光束を平行光に変換するコリメータレンズとを備えた、干渉計に用いられる干渉計用コリメータ光学系であって、
負の光学パワーを持ち、一方の面が平面で他方の面が凹面からなる平凹レンズをさらに備え、
前記光源を物体としたときの前記平凹レンズの倍率の絶対値は、1よりも小さく、
前記平凹レンズは、前記光源の前記光出射面に前記平面を密着させて、前記光源と前記コリメータレンズとの間に配置されていることを特徴とする干渉計用コリメータ光学系。
【請求項2】
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載の干渉計用コリメータ光学系;
f/B>FL ・・・(1)
ただし、
f:コリメータレンズの焦点距離
B:平凹レンズの倍率の絶対値
FL:平凹レンズおよびコリメータレンズを含む全系の焦点距離
である。
【請求項3】
以下の条件式(2)をさらに満足することを特徴とする請求項2に記載の干渉計用コリメータ光学系;
f/B−f>t*n−t ・・・(2)
ただし、
t:平凹レンズの芯厚
n:平凹レンズの材料の設計波長での屈折率
である。
【請求項4】
前記光源の前記光出射面は、発光面で発光された光束を取り込んで導光する導光部材の光束射出側の端面で構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の干渉計用コリメータ光学系。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の干渉計用コリメータ光学系と、
前記コリメータ光学系にて平行光に変換された光束を分離して固定鏡および移動鏡に導く一方、前記固定鏡および前記移動鏡にて反射された各光束を合成して干渉させるビームスプリッタとを備えていることを特徴とする干渉計。
【請求項6】
請求項5に記載の干渉計と、
前記干渉計から出力される干渉光の検知信号に基づいて、波長ごとの光の強度を示すスペクトルを生成するスペクトル生成部とを備えていることを特徴とする分光器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−220748(P2012−220748A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86930(P2011−86930)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】