説明

平面表示装置等の電子・電気製品の製造方法、及びこのための収納体

【課題】平面表示装置その他の電子・電気製品を収納するための収納体の製造方法及び梱包方法において、電子・電気製品の寸法の変化に対して迅速かつ低コストにて対処できるとともに、電子・電気製品の損傷や粉塵の発生を防止でき、収納体の梱包等のためのコストを低減できるものを提供する。
【解決手段】例えば、携帯電話用の表示パネルモジュール2を、順次、平坦な帯状の樹脂シート1の間に挟み込む。一方、樹脂シート1の表側シート部1Aと裏側シート部1Bとを融着して接合することにより、各表示パネルモジュール2を所定個所に位置決めしつつ保持する。このようにして帯状収納体10を得た後、芯材45に巻きつけて梱包ユニット100とする。次いで、芯材45の四隅からの突起451を内箱46のスリット468に差し込みつつ、梱包ユニット100を内箱46に収納する。そして、仕切り壁46及びスペーサ47を介して外箱4中に収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面表示装置その他の電子・電気製品の製造方法、及び、このための収納体に関する。ここで、電子・電気製品の語は、最終製品のみならず、中間製品もしくは半製品、及び、各種の電子・電気部品を含むこととする。例えば、小型(パネル対角寸法1〜3インチ)または中型(パネル対角寸法4〜10インチ)の表示パネルや導光板、薄型の半導体チップ、プリント配線基板等を含む。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置をはじめとする平面表示装置の市場が急速に拡大しつつある。中でも、携帯電話や携帯情報端末(PDA)、カーナビゲーション装置等に用いられる中小型の平面表示装置の市場が急激に拡大している。
【0003】
このような平面表示装置を製造するにあたり、表示パネル本体の作成後、フレキシブルプリント基板(FPC)等の接続基板を装着することにより接続基板付きの表示パネルの作成が行われ、さらにこの後で、面光源装置等を組み合わせることにより表示パネルモジュールの作成が行われる。そして、この表示パネルモジュールが、携帯電話等の最終消費製品に組み込まれる。表示パネルの作成と、表示パネルモジュールの作成と、表示パネルモジュールからの最終消費製品の作成とは、それぞれが別個の製造設備または敷地内で行われることが多い。また、接続基板装着前の表示パネル(表示パネル本体)の作成と、接続基板の装着も、しばしば、別個の設備や敷地内で行われる。したがって、これらの間で表示パネルまたは表示パネルモジュールの輸送が行われている。
【0004】
表示パネル等の移送には、一般に、複数の収納部を形成した搬送用トレーが用いられている(特許文献1〜3)。例えば、弾性を有する平形の搬送用トレーの上面に、マトリクス状に収納用凹部が形成され、これら凹部中に、各1個の表示パネルが安定に嵌め込まれて保持される(特許文献1)。このようにして、トラック、鉄道または航空機により輸送される際にも、振動や衝撃による表示パネルの破損が防止されている。また、収納用凹部から、表示パネル等が振動や衝撃により外れ出ることも防止されている(例えば特許文献2)。
【0005】
一方、半導体パッケージといった、より微細な部品については、帯状のキャリアテープを用いる収納・搬送方法が種々検討されている(特許文献4〜5)。キャリアテープは、帯状のプラスチックフィルム上に、一列で等間隔に収納用凹部を設けたものである。必要に応じて、カバーフィルムが用いられ、キャリアテープの縁部と各収納用凹部に保持された半導体パッケージ等の微細な部品を密封している(特許文献4)。収納用凹部は、エンボス加工により設けられるか(特許文献4)、または、ベースフィルムを打ち抜いて凹部を形成後、裏打ちフィルムを貼り合わせることにより設けられる(特許文献5)。
【0006】
また、キャリアテープは、リールに巻かれた状態で搬送され、キャリアテープへの部品の搭載は、エンボステープ等の各ポケット部に部品を挿入した後、カバーフィルムを貼り付けることにより行われている(特許文献6)。
【0007】
他方、表示パネルやガラス基板といった半製品を工場の同一建家内または同一敷地内といった近隣の処理設備や加工ラインにまで搬送するするためには、セルカセットまたはセルラックと呼ばれる収納具が用いられていた(特許文献7)。セルカセットは、矩形の筐体の前面が開口し、左右の側壁から、表示パネルを係止するための前後方向に延びる突起が突き出し、これにより多数の表示パネルを上下に並べて収納可能となっているものである。表示パネル等に対して減圧や加熱等の処理を行う際に、多くの場合、セルカセットごと、減圧室や加熱室に入れられる(特許文献7)。
【0008】
さらには、平形の電子・電気製品を梱包または搬送するにあたり、段ボール紙からなる分解及び折りたたみが可能な収納材が種々考案されている(特許文献8〜9)。これらは、段ボール紙を折り曲げるか組み合わせて作製した収納材により、平形の電子・電気製品を保持・梱包するものである。特には、ケーシング部分と一体に形成された部分が、樹脂発泡体に代わる緩衝材及び保持構造として役割を果たす。
【特許文献1】特開2002−332023
【特許文献2】特開2004−018094
【特許文献3】特開2002−337951
【特許文献4】特開2003−095216
【特許文献5】特開2001−348008
【特許文献6】特開2004−231257
【特許文献7】特開2000−310785
【特許文献8】特開2004−106907
【特許文献9】特開2005−153888
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
搬送トレーやキャリアテープを用いる従来の技術によると、収納凹部の寸法が電子・電気製品の寸法とほぼ一致する必要がある。そのため、電子・電気製品の品種等が切り替わるごとに収納凹部の寸法の異なるものを用意する必要があった。
【0010】
また、キャリアテープはもっぱら微細な部品に適用可能なように設計されており、緩衝作用等を持たせるのは困難である。したがって、表示パネルのような比較的寸法が大きく、破損の可能性も大きい電子・電気製品については、搬送トレーを用いるより他に適当な方法が全く考えられなかった。
【0011】
ところが、搬送トレーを用いて搬送を行う場合、輸送中の振動や衝撃等により、表示パネルのエッジ部が搬送トレーの保持面を摩耗させて粉塵発生の原因となっていた。また、搬送トレーを用いて、例えば表示パネルモジュールを表示パネル生産地から最終消費製品の生産地へと輸送する場合、搬送トレーを廃棄せずに再利用するためには、空になった搬送トレーを表示パネルモジュールの生産地へと送り返す必要があった。特に、搬送トレーは、折り畳んだり圧縮したりすることができないため、返送の際、荷積みの際に占めるスペースが大きく、輸送コストがかさむこととなっていた。
【0012】
さらには、搬送トレーを用いる場合に、密封が比較的困難であり、微細な粉塵や湿気の浸入を防止することは必ずしも容易でなかった。例えば、搬送トレーを積み重ねたものについて、厚手の樹脂シートで包み込んで密封するという操作を行う必要があった。
【0013】
電子・電気製品を搬送トレー上に積み込んで収納する個所では、積み込み前及び、積み込み後の搬送トレーを積んで置くスペースが必要となっていた。また、搬送トレーに順次、積み込むためには、積み込みの位置を順次変化させる必要がある他、空の搬送トレーを上に積んで重ねるといった作業を要するため、積み込み作業の手数・労力が大きくなっていた。ロボットアーム等により積み込みを行う際にも、その位置制御の設定が複雑となり、コスト増加の原因となる。また、搬送トレーから取り出す際にも全く同様に搬送トレーを積んで置くスペースが必要である他、取り出し作業の手数・労力が大きく、ロボットアームによる処理も複雑なものとなっていた。
【0014】
他方、セルカセットを用いて近隣個所へと搬送する場合、積み込み及び取り出しの手数・労力は、比較的少ないが、セルカセットを配置するスペースが必要となっていた。また、表示パネル等の寸法が変化した場合、セルカセットを交換するか、または、セルカセットを組み立て直して左右の側壁間の間隔または突起の突出寸法を変更する必要があった。多数のセルカセットを互いに交換して用いるのでは、必要なセルカセットの数が多くなり、セルカセットそのものまたはその保管場所のためにコストが増大してしまう。また、セルカセットの組立直し等には、かなりの作業時間がとられる他、精密な調整のために熟練を要していた。さらに、ガラス基板または、これからなる表示パネルと、樹脂からなるセルカセットの壁面または突起とが衝突したり、または擦(す)れ合って、ガラス基板に割れや欠けが生じたり、削れクズによるゴミ(異物)が発生するなどの問題の原因にもなっていた。
【0015】
なお、段ボール紙から構成した前述の緩衝・保持構造では、折り畳みやリサイクルが容易であるが、密封が難しい他、削れクズ等によるゴミ(異物)が発生しやすく、ゴミの付着が問題になる用途には用い難いものであった。また、緩衝・保持作用を行う部分を構成するための組み立て作業が比較的複雑となっていた。
【0016】
本件発明者は、上記問題点に鑑み鋭意検討する中で、搬送トレーやセルカセットに代わる収納材の探索を種々試みた。特には、表示パネルに割れや欠けが発生しないように、緩衝材を配置するとともに、表示パネルを位置ズレ不能に保持するという困難な要求を満たすべく、発泡材料や積層複合シート等の利用を検討した。
【0017】
鋭意検討を続けるなかで、偶然にも、平坦な汎用樹脂シートの間に表示パネルを挟み込んで適宜にシート間を熱シールするという単純な方法を試みるに至った。すると、全く意外にも、条件により、表示パネルの保持と衝撃等からの保護が可能となった。また、キャリアテープと同様に、帯状の収納体を作製し、リールに巻き付けたり、リールから繰り出しつつ供給するという方法も可能であることが知られた。
【0018】
そして、本件発明者は、さらに検討を行った結果、新規な帯状の収納体は、必ずしもリールに巻き付けることを要さず、適宜に折り曲げるか折り返しつつ、畳み込んで収納することができた。また、このような帯状の収納体を作製して電子・電気製品を収納する場合には、キャリアテープの作製及び収納よりも簡便な方法及び装置でもって収納及び梱包を行うことが可能であることを見出した。
【0019】
本件発明者は、さらに検討する中で、新規な帯状収納体を、段ボールからなるシンプルなマトリクス構造中に、安定かつ容易に収納できることを見出した。特には、井桁(いげた)状ないしは格子状の仕切り構造を有する通常の段ボール箱に収納できることを見出した。さらには、帯状の収納体を芯材に巻きつけた上で、単純な構造の内箱に収納し、これを上記のいげた状ないし格子状の仕切り構造中に収納するという新規な収納構造を開発するに至った。
【0020】
以上のように、本発明は、平面表示装置その他の電子・電気製品を収納するための収納体の製造方法及び梱包装置において、電子・電気製品の寸法の変化に対して迅速かつ低コストにて対処できるとともに、電子・電気製品の損傷や粉塵の発生を防止でき、電子・電気製品の収納や収納体の回収等のためのコストを低減できるものを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の電子・電気製品の製造方法は、平形の第1の電子・電気製品について、順次、平坦な帯状の樹脂シートの間に挟み込むとともに、該樹脂シートの長手方向に沿って配置し、また、各個ごとに一つの収納部を形成するように前記樹脂シート同士を融着または接着して接合部を設け、これにより、多数の前記第1の電子・電気製品が長手方向に列をなして収納された帯状収納体を作成し、前記帯状収納体を緩衝性の芯材に巻き付けてから内箱に収納し、さらに外箱中に収納した状態で前記第1の電子・電気製品を保管または搬送して第2の電子・電気製品の製造に供する電子・電気製品の製造方法であって、前記保管または搬送の際、前記内箱は、前記外箱中に配置された仕切り壁またはスペーサー、及びこれらにより形成される空隙を介して前記外箱の各内壁面から支持され、前記芯材は、該内箱により位置ズレ不能に保持され、また、前記帯状収納体のシート面が実質上垂直方向を向くように配置されることを特徴とする。
【0022】
ここで、電子・電気製品の語は、本明細書の技術分野の項で述べたとおり、電子・電気分野に含まれる各種製品及び中間品、及び、これらに組み込まれる各種の部品、装置及び部材を含むものとする。また、樹脂シートの語は、厚みの大きいもののみならず、樹脂製である限り、一般にフィルムまたはシートと呼ばれるものを全て含むものとする。
【0023】
本発明の収納体は、平坦な帯状の樹脂シートの間に、平形の電子・電気製品が所定の間隔で一列に配置され、該各電子・電気製品をそれぞれ収納する収納部が、前記樹脂シート間を融着または接着によって接合する接合部により形成され、該接合部により各電子・電気製品が所定位置にて保持され、また、前記収納部の列の両側に樹脂シートからなる耳部が形成され、前記帯状収納体が緩衝性の芯材に巻き付けられて内箱に収納され、この内箱は、外箱中に収納されるとともに、該外箱中に配置された仕切り壁またはスペーサー、及びこれらにより形成される空隙を介して該外箱の各内壁面から支持され、前記芯材が、該内箱により位置ずれ不能に支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
電子・電気製品の寸法の変化に対して迅速かつ低コストにて対処できるとともに、電子・電気製品の損傷や粉塵の発生を防止でき、電子・電気製品の収納や収納体の回収等のためのコストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
帯状収納体を形成する樹脂シートとしては、ある程度の引っ張り強さ(tensile strength)、靱性(toughness)、耐久性(durability)及び柔軟性(flexibility)があり、かつ、融着または接着が可能なものであれば、いずれも使用可能である。融着可能であるためには、熱可塑性樹脂からなるのが好ましいが、熱可塑性の融着層を含む積層シートであっても良い。また、接着剤を用いて接合する場合には適当な接着性を備えたシートであれば良い。例えば、表面処理により粗面化または極性化を行ったシートを用いることができる。なお、樹脂シートは、場合によっては、エラストマー樹脂または可撓性の発泡樹脂からなるものであっても良い。
【0026】
樹脂シートは、好ましくは、帯状収納体における少なくとも一方の面のシート部が透明である。また、より好ましくは両面のシート部が共に透明である。これにより、包装された電気・電子製品の種類や性状を容易に確認することができる。例えば、電気・電子製品に刻印された製造ロット番号や品種名等を、開封せずに読み取ることができる。また、外形部の破損といった不良を容易に捉えることもできる。樹脂シートの一方の面の側のみを透明なシートとする場合に、他方の面を発泡性のシートとすることもできる。
【0027】
樹脂シートは、好ましくは、帯状収納体における少なくとも一方の面のシート部が、帯電防止性を有する。該シート部をなす樹脂層の全体に帯電防止性の材料がブレンドされたものでも良く、また、表面に帯電防止層が形成されたものであっても良い。このように帯電防止性を付与することにより、包装、搬送及び取り出しの各工程において、不所望の静電気の発生と、これによる、電子・電気製品の損傷を防ぐことができる。帯電防止性の付与は、例えば、アンチモン復酸化物や、インジウムをドープした酸化スズ(ITO)または酸化亜鉛(IZO)からなる導電性微粒子を分散させた透明導電層を設けることによって行うこともできる。また、場合によっては、導電性カーボン粒子といった非透明性の粒子により帯電防止層を形成することもできる。
【0028】
帯状収納体を形成する樹脂シートの具体例としては、特開平9−175592に記載のものを挙げることができる。すなわち、低密度ポリエチレンまたはエチレン・不飽和エステル共重合体をベース層として、エチレン・不飽和エステル共重合体のカリウム・アイオノマーの層を一方の表面に設けたものを用いることができる。このアイオノマーは、融着及び剥離の容易なシール層をなすとともに、帯電防止の役割を果たす。
【0029】
接合部を設けるための融着は、超音波融着(=超音波シール(ultrasonic sealing)または超音波溶接(ultrasonic welding))、インパルスシール(impulse heat sealing)等の一般的な方法により行うことができる。また、接着により接合を行う場合には、反応性や非反応性のホットメルト接着剤、または、各種の一般的なプラスチック用接着剤を用いることができる。
【0030】
帯状収納体の表側の面、及び裏側の面をなすシート部は、好ましい態様において、同一の素材からなり、特に好ましい内容においては、一枚の帯状の樹脂シートが、中央線付近の個所に沿って折り曲げられて構成される。このようであると、融着性を付与しやすい他、樹脂シートの供給や回収その他の操作が、より容易となる。
【0031】
樹脂シートの厚みは、非発泡性のシートである場合、典型的には10〜300μmである、特には約30〜80μmである。
【0032】
帯状収納体に収納される電子・電気製品は、平形のものである。すなわち、縦方向及び横方向の寸法に対する厚みの比が、かなり小さく、少なくとも1/5以下であり、通常は約1/10〜1/100である。平板や可撓性シートの形態に限らず、例えば、基板上に小型部品を多数装着したものでも良く、場合によっては、多少の湾曲を有する板状の物品であっても良い。
【0033】
帯状収納体には、好ましくは、同一種類の電子・電気製品が、ほぼ等間隔で配列されて、1個ずつが対応する収納部中に収納されて保持される。しかし、場合によっては、2種類またはそれ以上の電子・電気製品を一定の順序で収納することもでき、間隔も適宜調整することができる。例えば、製造ロットが切り替わるところで、収納部間の間隔を大きくすることもできる。
【0034】
帯状収納体の各収納部が接合により形成される際、好ましくは、収納される電子・電気製品についての位置決めが行われる。すなわち、樹脂シート上に配置された電子・電気製品について、さらに所定の位置へと位置調整を行いつつ、その所定位置で保持されるようにする。例えば、電子・電気製品の稜部や角部に対して樹脂シートによる張力が加わることにより、電子・電気製品が樹脂シートに対して位置ズレ不能に保持される。樹脂シートの幅方向に対する多少の位置ズレが許容される場合、接合の際に、樹脂シートの長手方向について、位置決め、及び位置ズレ不能な保持とを行うようにすることもできる。
【0035】
本発明の帯状収納体が特に適した平形の電子・電気製品として、接続基板を装着する前または装着した後の表示パネルが挙げられ、特には表示領域の対角寸法が10インチ以下、好ましくは8インチ以下、より好ましくは4インチ以下の表示パネルが挙げられる。表示パネルは、典型的には、液晶表示パネルであるが、有機ELや無機ELその他のものであっても同様である。表示パネルは、特には、ガラス基板等の比較的破損の容易な基板からなるものである。平形の電子・電気製品の他の例としては、平面表示装置用の面光源装置、導光板、または、駆動回路基板等であって、外形寸法が、上記の表示パネルに略等しいもの、すなわち、中小型の表示パネルに対応した寸法のものを挙げることができる。
【0036】
帯状収納体には、好ましくは、収納部の列の両側に樹脂シートからなる耳部が設けられる。この耳部は、帯状収納体が巻かれるか、または折り畳まれた状態にて、収納部を保護する緩衝材としての役割を果たす。
【0037】
帯状収納体から電子・電気製品を取り出す際には、収納部を開いて行く必要があり、電子・電気製品を順次供給すべく、順次取り出し可能であるのが好ましい。このために、帯状収納体は、ある好ましい態様によると、帯状収納体の表側シート部と裏側シート部を互いに引き離すように適当な応力を加えることにより、容易に剥離可能である。また、他の好ましい態様によると、表側シート部には、帯状収納体の一方の縁に沿って予定破断個所が設けられ、帯状収納体の先端側から順次引き裂いて各収納部を順次開いて行くことができる。
【0038】
剥離可能な接合部により取り出しを容易にする場合、好ましくは、収納部の列の外側に、樹脂シートの縁部同士が非接合状態で重ねられた二重縁の耳部が備えられる。そして、二重縁の耳部をなす樹脂シートの縁部同士を引き離していくことにより、容易に剥離を行うことができる。また、このような二重縁の耳部から、帯状収納体に中途の任意の個所で一つの収納部のみを開くことにより、電子・電気製品を抜き出して、各種の検査を行うことができる。例えば、表示パネルモジュールについて点灯検査と呼ばれる表示性能テストを行うことができる。なお、この二重縁の耳部は、好ましくは、引き離しの操作をより容易にすべく、一方のシート部の縁部が他方のシート部の縁部から外側へと突き出している。
【0039】
予定破断個所により取り出しを容易にする場合、好ましくは、該予定破断個所が、一方のシート部、好ましくは、透明な表側のシート部のみに設けられる。予定破断個所は、好ましくは、帯状収納体の中途の個所で一つの収納部のみ容易に開くことができるように、その両側へと引き離す適当な応力によって破断が可能に形成される。予定破断個所は、例えば、破線状または点線状に開口を設けるか、または、断面ノッチ状に削り取られた部分が線状に延びるようにして設けることができる。
【0040】
なお、上記のように帯状収納体に順次収納し、また、順次取り出す方式を採用することにより、組立個所に近接して搬送トレー等の貯留個所や取り出し機構等を設ける必要がなくなる。また、組立が完了次第に包装し、また、次の組立の直前に取り出すことができるため、ごみの付着等を最小限とすることができる。
【0041】
帯状収納体を形成するにあたっての樹脂シートの間への電子・電気製品の供給は、好ましい一態様によると、樹脂シートが断面V字状に折り曲げられ、かつ上方に向かって開いた状態にて、この断面V字状の間隙中に落とし込まれるか滑り込ますようにして行われる。また、この際、断面V字状の底にまで達しないように、適当な係止作用により、樹脂シートの幅方向の所定位置に配置されるようにする。
【0042】
また、帯状収納体を形成する好ましい一態様によると、平坦な帯状の樹脂シートの表側シート部と裏側シート部との間を適宜融着してポケット部を予め設けておく。帯状収納体を製造するための梱包デバイスは、水平送り部と垂直送り部とを備え、水平送り部では、ポケット部の開口側をシート開き用ガイドにより開きつつ、例えば携帯電話用の表示パネルを、順次ポケット部に挿入する。水平送り部から垂直送り部への移行は、行路長を一定にする曲面が形成され、中央部に抜き部を有する湾曲板を伝って行われる。そして、垂直送り部では、適宜、ヒートシール部によりポケット部を閉じる。
【0043】
このように、水平送り部と垂直送り部を組み合わせることにより、梱包デバイスの設置スペースを小さくすることができる。また、シートを垂直方向に送りつつポケット部を閉じるならば、樹脂シートが充分に伸ばされ、しわや歪みが生じない状態でのシールが可能となる。
【0044】
また、帯状収納体の好ましい一態様によると、所定個数ごとに空き収納部が設けられ、この空き収納部の個所で折り曲げて、ジグザグ状または巻き付け状に折り畳むことが可能となっている。また、帯状収納体の先端には、空き収納部が連続した形態、または表裏のシート部間に接合部を設けない形態でのリード部を設けておくことができる。
【0045】
帯状収納体は、好ましい一態様によると、そのまま、または緩衝性の芯体のまわりに、らせん状に巻かれて、この状態で保管または搬送が行われる。また、他の好ましい一態様によると、波状に交互に折り畳まれた状態で保管または搬送が行われる。これらの収納状態において、各収納部中の空気またはその他の気体が緩衝作用を行うようにすることもできる。
【0046】
波状に交互に折り畳む場合に、好ましい態様によると、段ボール箱等の収納ケースの内側に複数の小室が設けられ、この小室が、外壁及び隣の小室から、緩衝性の空隙または緩衝材層により、隔てられる。
【0047】
帯状収納体を巻き付ける芯体としては、段ボール紙などの板紙の他、樹脂発泡体、不織布、各種の編物や織物、または各種紙製品を用いることもでき、パルプシートを固めたもの等を用いることもできる。また、形状も、略矩形の平板状の他、波板状、袋状などであっても良く、断面が楕円形または円形の管状や中空形状であっても良い。しかし、製造コストや再利用の容易さから、ハニカムコア構造の段ボール紙を特に好ましいものとして挙げることができる。段ボール紙からなる芯材は、大判の原紙から矩形その他の所定形状に打ち抜くか、切り抜くことで容易に得ることができ、不要となった場合には古紙として回収し段ボール紙などの原料として再利用することができる。また、板状などの扁平な芯材に巻き付けて、全体として平形の梱包ユニットとするならば、表示パネルなどの平形の部品を内箱との間に安定して保持し、外部の衝撃や振動から保護する上で好ましい。この際、帯状収納体は、芯材に巻き付けた後、輪ゴム、ひも、粘着テープなどによって巻き付けた状態に固定しておいても良い。
【0048】
帯状収納体を芯材に巻き付けて得られる各梱包ユニットは、それぞれが内箱に収納されてから外箱中に収納されるか、または、仕切り構造を設けた外箱中に直接収納される。梱包ユニットを内箱に収納した上で、外箱の仕切り構造中に収納するならば、衝撃や振動からの保護の観点から好ましい。
【0049】
梱包ユニットを収納する内箱、及び、外箱の仕切り構造を形成する仕切り壁は、いずれも、芯材に関して述べたと同様の各種の緩衝性の材料から設けることができる。また、それ自身緩衝性でなくとも、弾性変形可能な可撓性材料から設けても良い。但し、芯材、内箱、仕切り壁及び外箱を同一の材料から設ければ、繰り返し使用した後の回収等の観点から好ましい。特にはいずれもが同様の厚みの段ボール紙からなるならば、梱包材を組み立てる工程がシンプルで低コストとすることができ、使用後の回収も容易である。例えば、段ボール紙の打ち抜きまたは切り抜きと、その折り畳み及び組み合わせにより、これら梱包材を製作するようにするならば、材料費及び組み立てのコスト及び工数を最小限とすることができ、再利用や回収等も容易になる。また、段ボール紙などの植物繊維系素材を用いることにより、万一焼却する場合にも有毒ガス発生等の問題が生じるのを防ぐことができる。
【0050】
内箱は、梱包ユニットをちょうど収納する形状及び寸法に製作するのが好ましく、典型的には、平形の梱包ユニットに合わせて平形に製作する。平形の内箱は、二枚貝状に開くように設けるのが好ましい。すなわち、一つの端面部分をちょうつがい部分として、これを中心に2つの主面部分が開閉するように構成するならば、梱包ユニットを挟み込む形で、過度のあそびがないようにして梱包ユニットを収納でき、また、梱包ユニットの出し入れも容易になる。このような内箱は、ちょうつがい部分を底部とした場合、上端面または側端面の箇所にて、2つの主面部分から延びる部分が互いに重なり合うかまたは係合するようにする。上端面の箇所でフラップ同士が重なり合う場合、側端面のフラップは省略することができる。
【0051】
このような内箱により上記芯材が直接保持されるようにするためには、芯材が2つの主面部分から延びるフラップ等により挟み込まれるようにすることができる。また、芯材に突起を設けておき、内箱のちょうつがい部分、及び上端面のフラップ部分に設けた孔または切り込みなどと係合するようにすることもできる。
【0052】
一方、外箱中に仕切り壁によって設けられる仕切り構造は、内箱が差し込まれる収納室と、収納室を外箱の内壁から隔離する空隙室とを形成するように設けるのが好ましい。仕切り壁と外箱との間の空隙室は、収納室を側方の四周より囲むように設けるのが一般には好ましいが、収納室と外箱の底面との間、または、収納室と外箱のフタとの間に形成されるようにすることもできる。このような収納室及び空隙室は、緩衝性または可撓性の板材からなる仕切り壁をいげた状ないし格子状に組み合わせることにより、容易に作製することができる。なお、通常は、一つの外箱中に複数の収納用の小室が設けられ、複数の平形の内箱を収容する。
【0053】
例えば、予め切り込みを入れた板材を切り込みの箇所同士で組み合わせて外箱内に配置することにより、複数の収納用の小室と、これらを側方から囲むように位置する空隙室とを簡単に設けることができる。このようにして垂直方向の仕切り壁からなる仕切り構造を設けた場合、内箱と、外箱の底面及びフタとの間には、緩衝材からなるスペーサーを配置することにより、垂直方向での保持及び衝撃からの保護を容易に行うことができる。例えば、断面が口の字状(正方形または直方形)、コの字状、V字状等のスペーサを、内箱の下面と外箱の底面との間、及び、内箱の上面と外箱のフタとの間に来るように配置することができる。また、垂直方向に寸法の短い板材に切り込みを設けておき、上記のような垂直方向の仕切り構造に組み付けるようにすることもできる。
【0054】
なお、場合によっては、仕切り壁によって仕切り構造を設ける代わりに、適当なスペーサーを介して複数の内箱が外箱中に保持されるようにしても良い。例えば、外箱内の底面部だけでなく、内周壁の全体に箇所にスペーサーを配置し、内箱同士の間にもスペーサーを配置するようにすることができる。他方、場合によっては、スペーサーとして、空気を充填したバッグを用いることもできる。このようなバッグは、回収時には、空気を抜いて送り返すこことができる。
【0055】
帯状収納体中の収納部は、ある好ましい態様によると、外気から遮断されて密封され、これにより、ゴミの浸入や湿気の浸入から、内部の電子・電気製品が保護される。接合の際、密封される収納部は、それぞれ独立の密封個所とすることもでき、また、適当な連通部により互いに連通させることもできる。
【0056】
密封の際に、内部を窒素や炭酸ガスといった不活性の気体により置換しておくこともでき、これに代えて、収納部の内部を減圧しておくことで酸素を排除することもできる。例えば、減圧室の中で密封を行い、大気圧下で樹脂シートが収納される電子・電気製品の外面に密着するようにすることもできる。また、帯状収納体の収納部を密封する場合、内部に吸湿剤、脱酸素剤等を配置することもできる。例えば、ポリビニルアルコールの層を樹脂シートの内面に設けることにより、吸湿剤層とすることもできる。
【0057】
帯状収納体中の収納部は、別の好ましい態様によると、電子・電気製品の取り出し及び再挿入を可能にするようにポケット部の開口が開いたままである。すなわち、電子・電気製品を挿入する際の挿入口が開いたままである。このような態様であると、例えば近隣の個所間で電子・電気製品の搬送を行う場合に、収納部付きの帯状シートを繰り返し利用することができる。また、このような帯状収納体のままで、オートクレーブ、反応容器、処理チャンバー等に仕込み、減圧、加圧、加熱、冷却、圧締、温風処理、ガス置換、エージング、クリーニングその他の処理を行うことができる。すなわち、収納部付きの帯状シートをカセットケースに代えて用いることができる。
【0058】
このように電子・電気製品を繰り返し使用したり、加工処理時の保持具とする場合、耐久性または耐熱性の高い樹脂からなるものが望ましい。例えば、上記に例示したポリエチレン(PE)系樹脂の他に、より耐熱性の高いポリプロピレン、ポリメチルペンテン等を用いることもできる。また、より耐久性及び耐熱性の高い樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等を用いることもでき、場合によっては、エチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、フルオロエチレン・プロピレン(FEP)等のフッ素樹脂を用いることもできる。これらの樹脂からなるシートに帯電防止性を付与するためには、導電性の繊維からなるメッシュ層をラミネートしても良い。
【0059】
帯状収納体を構成する樹脂シートには、必要に応じて、収納される電子・電気製品についての、機種、品種、製造ロット、製造日、生産地、仕向け地、仕向け機種、または取り扱い上の注意等の上方を示すための文字または記号を印刷しておくことができる。例えば、電子・電気製品自体への刻印やラベル付けに代えて、次の工程の操作にとり、必要な情報や注意点等をバーコードや、注意を促す記号、文字列等により示しておき、電子・電気製品の取り出しの際に読み取るようにすることができる。
【0060】
上記のような帯状収納体及び包装方法は、単に、中間製品または最終製品の出荷のためにも用いることができる。このような包装方法により、製品の完成から間をおかずに順次包装を行うことができ、また、出荷先では、順次に取り出して使用または販売することが可能である。
【実施例】
【0061】
本発明の第1の実施例について図1〜7を用いて説明する。図1〜5は、帯状収納体10を、搬送または保管するための梱包様式について示す。これらのうち、図5は、帯状収納体10を芯材(矩形状段ボール紙)45に巻き付けた状態の梱包ユニット100を示す。また、図1〜4は、順次、この梱包ユニット100を内箱46に収納し、該内箱46を、仕切り壁41付きの外箱4に収納する様子を示す。
【0062】
また、図6は、帯状収納体10中に表示パネル本体21が収納された様子を示し、図7は、帯状収納体10中に表示パネルモジュール2が収納された様子を示す。
【0063】
表示パネルモジュール2は、表示パネル本体21と、この周縁部に接続された接続基板22と、表示パネル本体21の周縁部を保持するフレーム23と、面光源装置とからなる。具体例において、表示パネルモジュール2は、折り畳み型の携帯電話に組み込まれるものであり、接続基板22が、フレキシブルプリント配線(FPC)と、この上に搭載されたコントローラー等からなる。表示パネル本体21は、一対のガラス基板の間の微細な間隙に液晶材料が封入されて保持されたものである。例えば、高精細なカラー表示を行うべくポリシリコン(p-Si)型TFTを各画素ドットのスイッチング素子として用いたものであり、画像表示領域の対角寸法が約3インチである。
【0064】
帯状収納体10をなす樹脂シート1は、具体例において、非架橋の低密度ポリエチレンからなるベース層に、エチレン・不飽和エステル共重合体のカリウム・アイオノマーからなる非帯電性のシール層を設けた透明のシートである。
【0065】
図6〜7中に示すように、帯状収納体10をなす帯状の樹脂シート1は、中央線の近傍に沿って半分に折り畳まれた状態で、各表示パネルモジュール2を挟み込んでいる。すなわち、表側シート部1Aと、裏側へと折り返された裏側シート部1Bとの間に、各表示パネルモジュール2を保持しており、折り曲げ個所1Cが帯状収納体10の一方の縁をなしている。なお、折り畳まれた内側の層が、上記の非帯電性のシール層をなす。
【0066】
帯状収納体10のもう一方の縁、すなわち折り曲げ個所1Cとは逆側の縁の個所では、二重縁になっており、裏側シート部1Bが、表側シート部1Aよりも、シート幅方向外側へと、少し突き出ている。
【0067】
図6〜7に示す例においては、剥離が容易なシール部12Aと、より強固に接合したシール部12Bとが設けられている。剥離が容易なシール部12Aは、表示パネル21を収納する前に、軽度の超音波シールにより予め設けられてポケット部を形成するものであり、本実施例では梨地(なしじ)をなすように設けられる。また、熱シール部12Bは、表示パネル21を挿入した後に、インパルスシール装置を用いた熱シール等によりポケット部を閉じて各収納部15を形成するものである。
【0068】
寸法構成の一具体例を挙げるならば、帯状収納体10の幅が150〜200mm、耳部14,15の幅が10〜30mm、各収納部15のシート長手方向の寸法が50〜100mmである。接合部12Aの幅は例えば5〜15mm、接合部12Bの幅は、例えば1〜10mmであり、樹脂シート1の厚みは、例えば約50μmである。この樹脂シート1は、例えば、インフレーション法により筒状に成形された後、1個所で長手方向に連続的に切断されるとともに所定個所にて半折りにされつつ、ロールに巻き取られたものである。
【0069】
図1〜2の帯状収納体10においては、所定個数ごとに空き収納部15Aが設けられており、先端に、例えば5〜8個程度の収納部に対応する寸法のリード部10Aが設けられている。このリード部10Aは、空き収納部15Aが連続して設けられたものでも良く、また、収納部を区切る接合部12Aを設けずに予定破断線18のみを設けたものでも良い。
【0070】
図5に示す例では、5個の表示パネルが収納される毎に、一つの空き収納部15Aが設けられており、この空き収納部15Aのところで折り曲げて、緩衝性の芯材(具体例では略矩形状の段ボール紙)45のまわりに巻き付けられている。帯状収納体10は、図5の梱包ユニット100の状態で箱詰めして輸送される。そして、リード部10Aが該梱包ユニット100の最表面に位置してクッションの役割を果たすこととなる。
【0071】
上記のように一定の個数の表示パネルを収納するごとに空き収納部15Aを設けることにより、梱包ユニット100等の状態にある帯状収納体10にて、収納された表示パネルの個数を容易に数えることができる。5個が収納されるごとに折り曲げられているならば、その積み重なりの数に5を乗じて表示パネルの個数を容易に把握することができる。
【0072】
なお、図6〜7のように表示パネル等を収納する収納部15の間が一つの線状のシール部12Aのみにより区切られ、所定個数毎に空き収納部15Aが設けられた帯状収納体は、図5のように、空き収納部15Aにて折り曲げる形の梱包形式に適している。
【0073】
以下、図1〜4に示す実施例の収納方式について詳述する。
【0074】
図1は、各1個の梱包ユニット100を収納する内箱46を、開いた状態で、梱包ユニット100とともに示す斜視図である。内箱46は、一枚の矩形状ボール紙を折り畳むことで得られる扁平な矩形筒状の箱であり、前後2つの主面部463,464の長辺同士を結ぶ細長い個所が底部465であり、両主面部463,464の他の長辺から棚状に突き出す部分(フラップ)は、箱を閉じた際に相互に重なり合う蓋(ふた)部466,467である。
【0075】
図中に示すように、内箱46の蓋(ふた)部466,467、及び底部465には、それぞれ、その両端付近に、スリット468が設けられている。また、図示の例で、これらスリット468は、いずれも同一の寸法及び形状を有しており、内箱46を閉じて立てた場合に上方から見て同一の位置に来るように配置されている。また、スリット468の幅は、ほぼ、芯材45の段ボール紙の厚みとほぼ同一となっている。一方、主面部463,464の各短辺にはフラップが備えられておらず、該短辺がエッジ部分をなしている。すなわち、内箱46は、閉じられた際に、側端面の箇所が開いたままである。
【0076】
芯材45は、内箱46の主面部463,464にほぼ一致する矩形部分からなるが、その四隅の近傍には、両長辺から突き出る矩形小片状の突起451を備える。これら突起451は、該矩形部分の短辺に沿った方向に延びており、内箱46に設けられた各スリット468に差し込まれ、比較的タイトな状態で嵌合する。
【0077】
内箱46中に梱包ユニット100を収納する操作は、次のように行われる。まず、梱包ユニット100の下方に来ることになる2つの突起451が、内箱46の底部465に設けられたスリット468に差し込まれる。次いで、梱包ユニット100の上方に来ることになる2つの突起451が、一方のふた部467のスリット468に差し込まれる。このとき、該ふた部467は、主面部464から直角に折り曲げられた状態、すなわち「閉じられた」状態となる。この後、図2に示すように、他方のふた部466が同様に閉じられるとともに、該ふた部466にあるスリット468にも、上方に来る2つの突起451が差し込まれる。このとき、これら突起451は、少し湾曲しつつスリット468に徐々に差し込まれ、両方のふた部466,467を比較的強固に固定する。
【0078】
このように、内箱46が組み立てられた際には、スリット468及びこれに嵌合する突起451を通じて、梱包ユニット100の芯材45が、内箱46内で位置ずれ不能に保持される。また、内箱46の両主面部463,464が梱包ユニット100を挟み込むことにより、振動や衝撃を受けた際にも、内箱46の中心部付近で、芯材45及び梱包ユニット100が過度にたわむのが防止される。
【0079】
なお、図示の例の梱包ユニット100では、予め、帯状収納体10の幅方向にひも48が巻かれて、巻き付け状態が保持されている。この際、例えば弾性を有するひもを用いることができ、また、ひもに代えて、結束帯、輪ゴム、粘着テープ等により止めておくこともできる。しかし、帯状収納体10を芯材45に巻いた後、直ちに内箱46に収納するのであっても良い。例えば、リード部10Aを、芯材45と一方の主面部464との間に挟みこみつつ、芯材45の突起451を、底部465のスリット468、及び、一方のふた部467のスリット468に差し込むならば、この時点で、巻き付け状態がほぼ固定される。
【0080】
図3は、上記内箱46を収納するための、仕切り壁41付きの外箱4について示す。外箱4の内部には、外箱4、内箱46及び芯材45の素材と同一のハニカムコアのボール紙からなる矩形状の多数の仕切り壁41A,41Bが、略垂直方向を向けられ、かつ、断面井桁(いげた)状に組み合わされている。このようにして、扁平な矩形状の小室42が5つ並列して形成されており、また、外箱4の四周の壁面に沿って多数の空隙室43が形成されている。
【0081】
小室42に沿った方向の各仕切り壁41Aには、コの字状の切り込み411が、上下の各辺にそれぞれ2つずつ設けられており、2つのコの字状の切り込み411に挟まれた箇所が、矩形状に取り残されて突部413をなしている。また、各仕切り壁41Aの四隅にも、矩形状の切り欠き412が設けられている。
【0082】
図4は、図3の外箱4中に内箱46が収納された様子を示す。図4中に示すように、仕切り壁41Aのコの字状の切り込み411の個所には、仕切り壁41等と同様のボール紙を切り込み411に沿って断面コの字状に折り曲げた形の緩衝スペーサ47Aが、それぞれ嵌め込まれている。これら断面コの字状の緩衝スペーサ47Aは、外箱4の底部及び上部に各2個配されて、各内箱46を、外箱の底壁及び蓋(ふた)から隔離して保持するためのものである。また、仕切り壁41Aの角部の切り込み412に対応して、同様のボール紙を断面正方形状に折り込んだ緩衝スペーサ47Bが嵌め込まれている。ここの緩衝スペーサ47Bは、内箱46及び小室42の側端面側にある空隙室43について、断面形状を維持するようにするものであり、外部から振動や衝撃を受けた際にも、内箱46の側端部と、外箱4の壁面とが当接するのを確実に防止する。
【0083】
図4中に示すように、上記に説明した一対のコの字状の緩衝スペーサ47Aの間には、同様のボール紙からなるスリット付きの緩衝スペーサ47Cが組み付けられている。詳しくは、仕切り壁41Aの上下の辺の中央にある突部413が、緩衝スペーサ47Cに設けられた対応する寸法のスリット471に差し込まれている。このようにして、小室42に沿った方向の各仕切り壁41Aは、上下の辺の中央部が、スリット付きの緩衝スペーサ47Cにより固定され、小室42の厚み方向への変形が防止されている。したがって、外部から振動や衝撃を受けたときにも、仕切り壁41Aが中央部で過度にたわもうとするのが防止される。すなわち、内箱46及び帯状収納体10に対して局所的な荷重や衝撃が加わる現象が、さらに確実に防止されている。
【0084】
図示の例において、スリット付きの緩衝スペーサ47Cは、断面がコの字状であり、両側の垂直部分が、上記の断面コの字状の緩衝スペーサ47Aにおける垂直部分に重ねあわされている。なお、図示の例で、各緩衝スペーサ47A,47B及び47Cは、いずれも、段ボール紙のエッジ部が、外箱4の内壁面に当接するように配置されている。
【0085】
以下、変形例の収納方式について、図8〜9を用いて説明する。図8は、内箱及び芯材の構成を示す、図1に対応する斜視図である。また、図9は、図8の内箱を仕切り壁付きの段ボール箱中に収納しスペーサーをはめ込んだ際の様子を示すための、図4と同様の図である。
【0086】
図8に示すように、変形例の内箱46は、一枚の矩形状ボール紙に多数の切り込みを入れてから折ることで得られる扁平な矩形状の箱である。実施例の場合と同様に、前後2つの主面部463,464の長辺同士を結ぶ細長い個所が底部465であり、両主面部463,464の他の長辺から棚状に突き出す部分は、箱を閉じた際に相互に重なり合う蓋(ふた)部466,467である。但し、各主面部463,464の両方の短辺から断面L字状の部分が突き出しており、箱を閉じた際に梱包ユニット100の両端部を挟み込む挟持部461をなしている。すなわち、これら挟持部461は、帯状収納体10の空き収納部15Aの個所を介して、内側にある矩形状ボール紙45を挟み込む。また、内箱46の蓋(ふた)部466,467には、各2個の丸穴462が設けられている。内箱46を閉じた状態で、丸穴462に指を入れて内箱46を持ち上げることができるようになっている。変形例の内箱46は、箱を閉じた状態で固定されるように構成されていないが、必要に応じて、粘着テープその他で固定しておくことができる。
【0087】
一方、変形例の芯材45は、突起などのない単なる矩形であり、その寸法及び形状は、両主面部463,464にほぼ等しい。また、図示の例で、梱包ユニット100は、実施例の場合と同様、ひも48が巻かれて、巻き付け状態が保持されている。
【0088】
変形例において、外箱4内の仕切り壁41及びスペーサー47は、図9に示すように、実施例の場合よりもシンプルな構成となっている。小室42に沿った方向の仕切り壁41Aには、実施例と同様、コの字状の切り込み411が、上下の各辺に2つずつ設けられている。しかし、四隅の切り込みは設けられていない。また、スペーサー47は、コの字状の切り込み411に対応するコの字状のもののみ、上下に2つずつ配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】芯材に帯状収納体を巻きつけた梱包ユニット、及び、閉じる前の内箱について模式的に示す斜視図である。
【図2】梱包ユニットを収納して閉じた状態の内箱を斜め上から見た斜視図である。
【図3】イゲタ(井桁)状の仕切り壁を設けた外箱について、フタを開いた状態で斜め上から見た斜視図である。仕切り壁の厚みは多少誇張されている。
【図4】外箱中の収納用の各小室に内箱を挿入した後、スペーサーをはめ込んだ際の様子を示す、図3と同様の斜視図である。
【図5】帯状収納体を空き収納部のところで折り曲げて、段ボール紙に巻き付けた形の梱包ユニットを示す模式的な断面図である。
【図6】表示パネル本体が収納された場合の帯状収納体の一例を示す平面的な斜視図である。
【図7】表示パネルモジュールが収納された場合の帯状収納体の一例を示す平面的な斜視図である。
【図8】変形例における内箱及び芯材の構成を示す、図1に対応する斜視図である。
【図9】図8の内箱を仕切り壁付きの段ボール箱中に収納しスペーサーをはめ込んだ際の様子を示す、図4に対応する模式的な斜視図である。
【符号の説明】
【0090】
1 樹脂シート 10 帯状収納体 100 梱包ユニット
12 接合部 14,16 耳部 15 収納部
2 表示パネルモジュール 4 段ボール箱(外箱) 41 仕切り壁
411 仕切り壁のコの字状の切り欠き 413 切り欠き間の突起部
42 収納用の小室 43 空隙室 45 略矩形の芯材
451 芯材の四隅の突起 46 二枚貝状の内箱 468 内箱の孔
47A 断面コの字状のスペーサー 47B 断面矩形状のスペーサー
47C スリット付きの断面コの字状スペーサー 471 スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平形の第1の電子・電気製品について、順次、平坦な帯状の樹脂シートの間に挟み込むとともに、該樹脂シートの長手方向に沿って配置し、また、各個ごとに一つの収納部を形成するように前記樹脂シート同士を融着または接着して接合部を設け、これにより、多数の前記第1の電子・電気製品が長手方向に列をなして収納された帯状収納体を作成し、
前記帯状収納体を緩衝性の芯材に巻き付けてから内箱に収納し、さらに外箱中に収納した状態で前記第1の電子・電気製品を保管または搬送して第2の電子・電気製品の製造に供する電子・電気製品の製造方法であって、
前記保管または搬送の際、前記内箱は、前記外箱中に配置された仕切り壁またはスペーサー、及びこれらにより形成される空隙を介して前記外箱の各内壁面から支持され、前記芯材は、該内箱により位置ズレ不能に保持され、また、前記帯状収納体のシート面が実質上垂直方向を向くように配置されることを特徴とする電子・電気製品の製造方法。
【請求項2】
前記保管または搬送の際には、前記芯材に設けられた突起が、前記内箱に設けられた孔に差し込まれていることを特徴とする請求項1に記載の電子・電気製品の製造方法。
【請求項3】
前記芯材が板状であり、前記突起は、該芯材の四隅に設けられ、前記保管または搬送の際に垂直方向を向いて突き出していることを特徴とする請求項2に記載の電子・電気製品の製造方法。
【請求項4】
前記の芯材、内箱、及びスペーサーが、ボール紙の打ち抜きまたは切り抜き、及び折り畳みにより形成されたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子・電気製品の製造方法。
【請求項5】
平坦な帯状の樹脂シートの間に、平形の電子・電気製品が所定の間隔で一列に配置され、該各電子・電気製品をそれぞれ収納する収納部が、前記樹脂シート間を融着または接着によって接合する接合部により形成され、該接合部により各電子・電気製品が所定位置にて保持され、また、前記収納部の列の両側に樹脂シートからなる耳部が形成され、
前記帯状収納体が緩衝性の芯材に巻き付けられて内箱に収納され、この内箱は、外箱中に収納されるとともに、該外箱中に配置された仕切り壁またはスペーサー、及びこれらにより形成される空隙を介して該外箱の各内壁面から支持され、前記芯材が、該内箱により位置ずれ不能に支持されていることを特徴とする電子・電気製品の収納体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−99308(P2007−99308A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−288395(P2005−288395)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】