説明

広スペクトルの2−アミノ−ベンゾチアゾールスルホンアミドHIVプロテアーゼ阻害剤

【化1】


本発明は、変異体HIVプロテアーゼに感染した哺乳動物における該変異体HIVプロテアーゼを阻害するために有用な薬剤の製造における式(I)を有する2−アミノ−ベンゾチアゾールの使用に関し:式中、Rはヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、またはC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1以上の置換基で場合により置換されたフェニルであり;Rは、水素またはC1−6アルキルであり;Lは、直接結合、−O−、C1−6アルカンジイル−O−または−O−C1−6アルカンジイルであり;Rは、フェニルC1−4アルキルであり;Rは、C1−6アルキルであり;Rは、水素またはC1−6アルキルであり;Rは、水素またはC1−6アルキルである。本発明はまた式(I)の新規化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年8月2日に出願された欧州特許出願第02078231.4号および2002年11月20日に出願された米国仮出願第60/427,862号の優先権を主張し、それらの内容は引用を以て明らかに本明細書に編入される。
【0002】
本発明は2−アミノ−ベンゾチアゾールスルホンアミド、それらの広スペクトル(broadspectrum)HIVプロテアーゼ阻害剤としての使用、それらの製造法ならびにそれらを含んでなる製薬学的組成物および診断用キットに関する。また、本発明はこの2−アミノベンゾキサゾールスルホンアミドと別の抗レトロウイルス剤との組み合わせ物に関する。さらに、アッセイにおける参照化合物としてまたは試薬としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
後天的免疫不全症候群(AIDS)を引き起こすウイルスは、T−リンパ球ウイルスIII(HTLV−III)またはリンパ節症随伴ウイルス(LAV)またはAIDS−関連ウイルス(ARV)またはヒト免疫不全ウイルス(HIV)を含む様々な名前で知られている。今まで、2つの明確なファミリー、すなわちHIV−1およびHIV−2が同定された。今後、HIVはこれらのウイルスを包括的に表すために使用する。
【0004】
レトロウイルスの生活環において重要な経路の1つは、アスパラギン酸プロテアーゼによるポリタンパク質前駆体のプロセッシングである。例えばHIVウイルスではgag−polタンパク質はHIVプロテアーゼによりプロセッシングされる。アスパラギン酸プロテアーゼによる前駆体ポリタンパク質の正確なプロセッシングには感染性ビリオンの集成が必要であり、かくしてアスパラギン酸プロテアーゼを抗ウイルス療法の魅力的な標的とする。特にHIV処置に関して、HIVプロテアーゼは魅力的な標的である。
【0005】
HIVプロテアーゼ阻害剤(PI)は、通常、例えばヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非−ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NtRTI)または他のプロテアーゼ阻害剤のような他の抗−HIV化合物と組み合わせてAIDS患者に投与される。これらの抗レトロウイルス剤は大変有用であるという事実にもかかわらず、それらは共通する限界、すなわちHIVウイルス中の標的とする酵素は既知の薬剤の効果が低くなるように、さらにはこれら突然変異したHIVウイルスに対しては効果が無くなるように突然変異することができるという限界を有する。すなわち換言すると、HIVウイルスは利用可能な薬剤に対して永遠に増加する耐性を生じる。
【0006】
レトロウイルスそして特にHIVウイルスの阻害剤に対する耐性は、治療の失敗の主要な理由である。例えば抗−HIV併用療法(combination therapy)を受けた患者の半分は、主に使用した1以上の薬剤に対するウイルスの耐性により処置に完全には応答しない。さらに耐性ウイルスは新たに感染した個体に伝搬することが示され、これらの薬剤を受けていない(drug−native)患者の治療の選択は極めて限られる。2003年7月にパリで開かれた国際AIDS会議で研究者は、AIDS薬剤に対する耐性のこれまでに最大の実験では、ヨーロッパにおいてすべての新たに感染した人の約10パーセントが薬剤耐性株を有することが見いだされたと発表した。耐性の広がりを決定する、より小規模の試験が高い危険にあるサンフランシスコ市の中心で行われた。この試験では27パーセントの最高レベルの耐性が示された。それゆえに当該技術分野ではレトロウイルス療法、より詳細にはAIDS療法のための新規化合物が必要である。当該技術分野における必要性は、野生型HIVウイルスに活性であるだけでなく益々増えるより多くの耐性HIVウイルスにも活性である化合物について特に急がれる。
【0007】
併用療法で投与されることが多い既知の抗レトロウイルス剤は、最終的には上記の耐性を生じるだろう。このことはしばしば、突然変異したHIVウイルスに対して該抗レトロウイルス剤を効果的に処方するために、活性薬剤の血漿レベルを追加刺激(boost)することを医師に強いるかもしれない。この結果、薬剤負荷量(pill burden)は望ましくない程高く上昇する。血漿レベルを追加刺激することも、処方された治療に従わない危険性の上昇を導くかもしれない。すなわち広範囲のHIV変異体に関する活性を表す化合物を有することが重要であるだけではなく、広い範囲の変異体HIV株について変異体HIVウイルスに対する活性と野生型HIVウイルスに対する活性との間の比(ホールドレジスタンス(fold resistance)またはFRとも定義される)に変動がほとんど無いか、または無いことも重要である。このように変異体HIVウイルスは有効成分に対して感受性となる機会が上昇するので、患者は同じ併用療法を長期間受けることができる。
【0008】
野生型および広い多様な変異体に対して高い効力を有する化合物を見いだすことも、治療的レベルが最少に維持されるならば、薬剤負荷量を下げることができるので重要である。この薬剤負荷量を下げる1つの方法は、毎日の用量を最少にすることができ、そして結果として摂取する薬剤の数も最少にすることができるように、良好な生物学的利用性、すなわち好ましい薬物動態学的および代謝的プロフィールをもつ抗−HIV化合物を見いだすことである。
【0009】
抗−HIV化合物の別の好ましい特徴は、阻害剤の血漿タンパク質への結合が最少であるか、または阻害剤の効力に影響を及ぼさないことである。
【0010】
このようにホールドレジスタンスにおける変動がほとんど無く、広スペクトルのHIVウイルスの変異体を防除することができるプロテアーゼ阻害剤について高度な医学的必要性が存在する。良好な生物学的利用性、および血漿タンパク質の結合により阻害剤の効力に影響を及ぼすことがほとんど無いか、または無いそれら阻害剤は、さらなる利点を有する。
【0011】
今まで幾つかのプロテアーゼ阻害剤が市場に出ているか、または開発中である。1つの特定の中心構造(以下に示す)が特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6および特許文献7のような多数の参考文献に開示された。それらに開示されている化合物は、レトロウイルスプロテアーゼ阻害剤として記載されている。
【0012】
【化1】

【0013】
特許文献8は多剤耐性(multi−drug resistant)レトロウイルスプロテアーゼを阻害することができる4−置換−フェニルスルホンアミドを開示する。
【0014】
【化2】

【特許文献1】国際公開第95/06030号パンフレット
【特許文献2】国際公開第96/22287号パンフレット
【特許文献3】国際公開第96/28418号パンフレット
【特許文献4】国際公開第96/28463号パンフレット
【特許文献5】国際公開第96/28464号パンフレット
【特許文献6】国際公開第96/28465号パンフレット
【特許文献7】国際公開第97/18205号パンフレット
【特許文献8】国際公開第99/67254号パンフレット
【発明の開示】
【0015】
驚くべきことに、本発明の2−アミノ−ベンゾチアゾールスルホンアミドは好ましいウイルス学的プロフィールを有することが見いだされた。それらは野生型HIVウイルスに対して活性であるだけでなく、既知のプロテアーゼ阻害剤に対して耐性を現す種々の変異体HIVウイルスに対しても広いスペクトル活性を示す。
【0016】
本発明は、変異体HIVプロテアーゼに感染した哺乳動物において該変異体HIVプロテアーゼを阻害するために有用な薬剤の製造における、式
【0017】
【化3】

【0018】
[式中、
はヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、または場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
Lは直接結合、−O−、C1−6アルカンジイル−O−または−O−C1−6アルカンジイルであり;
はフェニルC1−4アルキルであり;
はC1−6アルキルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
は水素またはC1−6アルキルである]
を有する2−アミノ−ベンゾチアゾールプロテアーゼ阻害剤、およびそのN−オキシド、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルおよび代謝物の使用に関する。本発明の化合物は広範囲の変異体HIVプロテアーゼを阻害するために有用な薬剤の製造において特に有用である。
【0019】
特に興味深いのは、式(I)の化合物の遊離塩基、塩またはN−オキシド形、およびそれらの立体異性体である。
【0020】
また特に興味深いのは、Rがテトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、または場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルである本化合物の、該変異体HIVプロテアーゼに感染した哺乳動物の変異体HIVプロテアーゼを阻害するために有用な薬剤の製造における使用である。
【0021】
HIVプロテアーゼ酵素の変異体は、野生型HIVプロテアーゼのアミノ酸配列に関して、アミノ酸配列中に少なくとも1つの突然変異を有するHIVプロテアーゼ酵素と定義する。本明細書を通して変異体を示す目的で、配列をNIHのGeneBankに見いだすことができるHXB2野生型の参照(HIV IIIB LAI野生型)を使用する。
【0022】
HIVプロテアーゼ酵素の薬剤に対する「感受性」または「耐性」の標準は、市販されているHIVプロテアーゼ阻害剤により設定される。上で説明したように、既存の市販されているHIVプロテアーゼ阻害剤は、患者内のHIVウイルス群に対して、時間経過に伴い効力を失う可能性がある。この理由は、特定のHIVプロテアーゼ阻害剤の存在圧下で、既存のHIVウイルス群(主に野生型HIVプロテアーゼ酵素であることが多い)は同じHIVプロテアーゼ阻害剤に対して感度が低下し得る種々の変異体に突然変異するからである。この現象が起こった場合、耐性変異体について検討する。これらの変異体がその1つの特定のHIVプロテアーゼ阻害剤に耐性であるだけでなく、他の市販されているHIVプロテアーゼ阻害剤の1つ、または多くにも耐性である場合、多剤耐性HIVプロテアーゼについて検討する。特定のHIVプロテアーゼ阻害剤に対する変異体の耐性を表す方法は、野生型HIVプロテアーゼに対する該HIVプロテアーゼ阻害剤のEC50と、変異体HIVプロテアーゼに対する該HIVプロテアーゼ阻害剤のEC50との間の比を作成することである。該比はホールドレジスタンス(FR)とも呼ばれる。
【0023】
病院で発生する変異体の多くが、サキナビル(saquinavir)、インジナビル(indinavir)、リトナビル(ritonavir)およびネルフィナビル(nelfinavir)のような市販のHIVプロテアーゼ阻害剤に対して、100以上のホールドレジスタンスを有する。HIVプロテアーゼ酵素の臨床的に関連する変異体は、例えばアミノ酸位10、71および/または84での突然変異を特徴とする。そのような臨床的に関連する変異体HIVプロテアーゼ阻害剤の例を、表1に列挙する。
【0024】
本発明の化合物は、臨床的に関連するHIVプロテアーゼの少なくとも1つ、しばしば広い範囲に対して0.01から100の間のホールドレジスタンスを示す。式(I)の化合物の特定群は、少なくとも1つの変異体HIVプロテアーゼに対して0.1から100の間、適当には0.1から50の間の範囲、そしてさらに適当には0.1から30の間の範囲のホールドレジスタンスを示す式(I)のそれら化合物である。特に興味深いのは、少なくとも1つの変異体HIVプロテアーゼに対して0.1から20の間の範囲のホールドレジスタンスを示す式(I)の化合物、そしてさらに一層興味深いのは少なくとも1つの変異体HIVプロテアーゼに対して0.1から10の間の範囲のホールドレジスタンスを示す式(I)のそれら化合物である。
【0025】
このように本発明は、変異体HIVプロテアーゼ、特に多剤耐性変異体HIVプロテアーゼを有するHIVウイルスの複製の阻害するために有用な薬剤の製造における式(I)の化合物の使用に関する。また本発明はHIVウイルスのプロテアーゼが変異体である、特に多剤耐性変異体HIVプロテアーゼであるHIVウイルス感染に関連する疾患を処置または防御するために有用な薬剤の製造における式(I)の化合物の使用に関する。
【0026】
換言すると、本発明は変異体HIVプロテアーゼに感染した哺乳動物における該変異体HIVプロテアーゼ、特に多剤耐性変異体HIVプロテアーゼを阻害する方法に関し、該方法は哺乳動物中の該変異体HIVプロテアーゼを、有効量の式(I)の化合物に接触させることを含んでなる。また本発明は哺乳動物中で、変異体HIVプロテアーゼ、特に多剤耐性変異体HIVプロテアーゼを有するHIVウイルスの複製を阻害する方法に関し、該方法は哺乳動物中で変異体HIVプロテアーゼを有する該HIVウイルスを、有効量の式(I)の化合物に接触させることを含んでなる。さらに本発明は、HIVウイルスのプロテアーゼが変異体である、特に多剤耐性変異体HIVプロテアーゼであるHIVウイルス感染に伴う哺乳動物の疾患を処置または防御する方法に関し、該方法はHIVウイルスのプロテアーゼが該哺乳動物に感染する変異体であるHIVウイルスを、有効量の式(I)の化合物に接触させることを含んでなる。
【0027】
特に興味深いのは、アミノ酸位10、71または84の少なくとも1つ、または少なくともこれら位置の2つの組み合わせ、または少なくとも3つすべての組み合わせの突然変異を有する変異体HIVプロテアーゼに感染した個体を処置するための薬剤の製造に使用できる本発明の化合物である。
【0028】
本発明の化合物中に存在する塩基性窒素は例えば低級アルキルハライド、ジアルキルスルフェート、長鎖ハライドおよびアラルキルハライドを含む当業者に既知の任意の試薬で四級化することができる。
【0029】
式(I)の化合物の定義に用語「置換された」を使用する時はいつでも、「置換された」を使用した表現で示す原子(1つまたは複数)上の1以上の水素が示した基から選択される基に置き換えられることを示すことを意味するが、ただし示した原子の基準の原子価を越えず、そして置換は化学的に安定な化合物、すなわち反応混合物から有用な程度の純度までの単離、そして治療薬への配合で残存する(survive)ために十分に強固な化合物をもたらす。
【0030】
本明細書で使用するように、基または基の一部として用語「ハロ」または「ハロゲン」は、フロオロ、クロロ、ブロモまたはヨードの総称である。
【0031】
基または基の一部として用語「C1−4アルキル」は、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチルおよび2−メチル−プロピル等のような1〜4個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基と定義する。
【0032】
基または基の一部として用語「C1−6アルキル」は、C1−4アルキルについて定めた基およびペンチル、ヘキシル、2−メチルブチル、3−メチルペンチル等のような1〜6個の炭素原子を有する直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基と定義する。
【0033】
基または基の一部として用語「C1−6アルカンジイル」は、例えばメチレン、エタン−1,2−ジイル、プロパン−1,3−ジイル、プロパン−1,2−ジイル、ブタン−1,4−ジイル、ペンタン−1,5−ジイル、ヘキサン−1,6−ジイル、2−メチルブタン−1,4−ジイル、3−メチルペンタン−1,5−ジイル等のような1〜6個の炭素原子を有する二価の直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基と定義する。
【0034】
本明細書中で使用する用語「1以上」は、すべての利用可能な原子の可能性を網羅し、適当ならば好ましくは1、2または3回置換される。
【0035】
本明細書を通して使用する用語「プロドラッグ」は、インビボで生じる誘導体の生物変換産物(biotransformation product)が式(I)の化合物で定義する活性薬剤となるようなエステル、アミドおよびホスフェートのような薬理学的に許容されうる誘導体を意味する。プロドラッグを記載するグッドマン アンド ギルマン(Goodman and Gilman)による参考文献[治療薬の薬理学的基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)、第8版、マグローヒル(McGraw−Hill)社編集、1992、「薬剤の生物変換(Biotransformation of Drugs)、第13〜15頁]は引用により包括的に本明細書に編入する。本発明の化合物のプロドラッグは、修飾が日常的な操作により、またはインビボで元の化合物に開裂するように、化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグには、ヒドロキシ基、例えば不斉炭素原子上のヒドロキシ基、またはプロドラッグが患者に投与された時にアミノ基が開裂して遊離ヒドロキシルまたは遊離アミノをそれぞれ形成する任意の基に結合している本発明の化合物を含む。
【0036】
プロドラッグの典型的な例は例えば国際公開第99/33795号、同第99/33815号、同第99/33793号および同第99/33792号パンフレットに記載され、すべて引用により本明細書に編入する。
【0037】
プロドラッグは典型的には優れた水溶性、上昇した生物学的利用性およびインビボで活性な阻害剤に容易に代謝されることが特徴である。
【0038】
治療的使用には、式(I)の化合物の塩は対イオンが製薬学的または生理学的に許容され得る化合物である。しかし製薬学的に許容されない対イオンを有する塩も、例えば式(I)の製薬学的に許容され得る化合物の調製または精製に用途を見いだすことができる。製薬学的に許容されてもされなくてもすべての塩が本発明の範囲に含まれる。
【0039】
本発明の化合物が形成することができる製薬学的に許容され、または生理学的に耐性の付加塩形態は、例えばハロ化水素酸、例えば塩酸または臭化水素酸;ヘミ硫酸(hemisulphuric acid)、硝酸;リン酸等のような無機酸;あるいは例えば酢酸、アスパラギン酸、ドデシル硫酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ニコチン酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノ−サリチル酸、パモ酸等の酸の有機酸のような適当な酸を使用して都合よく調製することができる。
【0040】
逆に該酸の付加塩形態は適当な塩基を用いた処理により遊離塩基形態に転換することができる。
【0041】
酸性プロトンを含む式(I)の化合物は適当な有機および無機塩基を用いた処理により、それらの非毒性金属またはアミン付加塩形態に転換することもできる。適当な塩基の塩形態は例えば、アンモニウム塩、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩等、有機塩基との塩、例えばベンザチン、N−メチル、−D−グルカミン、ヒドラバミン塩、および例えばアルギニン、リシン等のようなアミノ酸との塩を含んでなる。
【0042】
逆に該塩基付加塩形態は、適当な酸を用いた処理により遊離酸形態に転換することができる。
【0043】
用語「塩」には、本発明の化合物が形成することができる水和物および溶媒付加形態も含んでなる。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラート等である。
【0044】
本発明の化合物のN−オキシド形態は、1または幾つかの窒素原子がいわゆるN−オキシドに酸化された式(I)の化合物を含んでなることを意味する。
【0045】
本化合物はそれらの互変異性体形で存在することもできる。上記式では具体的に示さないが、そのような形態も本発明の範囲内に含まれることを意図する。
【0046】
これまで使用した本発明の化合物の立体化学的異性体という用語は、同じ結合の配列により結合した同じ原子により作られているが、相互変換することができない異なる三次元的構造を有する本発明の化合物が保有し得るすべての可能な化合物と定義する。特に言及または示さない限り、化合物の化学的名称は該化合物が保有し得るすべての可能な立体異性体の混合物を包含する。該混合物は該化合物の基本的分子構造のすべてのジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーを含むことができる。本発明の化合物のすべての立体化学的異性体は、純粋な形態または互いの混合物の両方で本発明の範囲内に入るものとする。
【0047】
本明細書で挙げた化合物および中間体の純粋な立体化学的異性体は、該化合物または中間体と同じ基本的分子構造の他のエナンチオマーまたはジアステレオマーを実質的に含まない異性体と定義する。特に用語「立体化学的に純粋」とは少なくとも80%の立体異性体過剰率(すなわち最低90%の1つの異性体と最大10%のもう1つの可能な異性体)から100%の立体異性体過剰率(すなわち100%の1つの異性体ともう1つの異性体無し)を有する化合物または中間体、より詳細には90%〜100%の立体異性体過剰率、さらにより特別には94%〜100%の立体異性体過剰率、そして最も特別には97%〜100%の立体異性体過剰率を有する化合物または中間体に関する。「エナンチオマー的に純粋」および「ジアステレオマー的に純粋」という用語も同様に理解されるべきであるが、それぞれ問題の混合物中にエナンチオマー過剰率、ジアステレオマー過剰率の関係がある。
【0048】
本発明の化合物および中間体の純粋な立体化学的異性体は、技術的に知られている手順を応用することにより得ることができる。例えばエナンチオマーはそれらのジアステレオマー塩を光学的に活性な酸または塩基を用いて選択的に晶出することにより互いに分離することができる。それらの例は酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトルオイル酒石酸およびショウノウスルホン酸である。あるいはエナンチオマーはキラルな固定相を使用したクロマトグラフィー技法により分離することができる。このような純粋な立体化学的異性体は、反応が立体特異的に起こるならば、適当な出発材料の対応する純粋な立体化学的異性体から誘導することもできる。好ましくは特別な立体異性体を望む場合、該化合物は立体特異的な調製法により合成される。これらの方法にはエナンチオマー的に純粋な出発材料を有利に使用する。
【0049】
式(I)のジアステレオマーラセミ体は、常法により分離して得ることができる。有利に採用できる適当な物理的分離法は、例えば選択的晶出法およびクロマトグラフィー、例えばカラムクロマトグラフィーである。
【0050】
当業者には式(I)の化合物が少なくとも2つの不斉中心を含み、そしてこれにより異なる立体異性体として存在できることが明白である。これら2つの不斉中心は以下の図で星印(*)を用いて示す。
【0051】
【化4】

【0052】
式(I)の化合物に存在し得る各不斉中心の絶対配置は、立体異性体の表示RおよびSにより示すことができ、このRおよびS表記はPure Appl.Chem.1976,45,11−30に記載された法則に対応する。ヒドロキシ基を持ち、そして星印(*)を用いて示した炭素原子は好ましくはRの立体配置を有する。R基を持ち、そして星印(*)を用いて示した炭素原子は、好ましくはSの立体配置を有する。
【0053】
また本発明は本発明の化合物について存在する原子のすべての同位体を含むことも意図する。同位体には同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子を含む。一般例として限定するわけではないが水素の同位体にはトリチウムおよびジュウテリウムを含む。炭素の同位体にはC−13およびC−14を含む。
【0054】
今後使用する時はいつでも、用語「式(I)の化合物」または「本発明の化合物」または類似の用語は一般式(I)の化合物、それらのN−オキシド、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルおよび代謝物ならびにそれらの四級化窒素類似体を含むことを意味する。
【0055】
式(I)の化合物の幾つか、すなわち
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ベンジルエステル;
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ピリジン−3−イルメチルエステル;
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸チアゾール−5−イルメチルエステル;
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
3−アミノ−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
4−アミノ−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
5−アミノ−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
N−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
N−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−4−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;および
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸(S)−(テトラヒドロフラン−3−イル)エステル
はすでに国際公開第95/06030号パンフレットに開示されている。
【0056】
かくして、に本発明は式(I)
【0057】
【化5】

【0058】
[式中、
はヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、または場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
Lは直接結合、−O−、C1−6アルカンジイル−O−または−O−C1−6アルカンジイルであり;
はフェニルC1−4アルキルであり;
はC1−6アルキルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
は水素またはC1−6アルキルである]
の化合物、そのN−オキシド、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルまたは代謝物にも関し、ただし該化合物は:
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ベンジルエステル;
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ピリジン−3−イルメチルエステル;
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸チアゾール−5−イルメチルエステル;
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
3−アミノ−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
4−アミノ−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
5−アミノ−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
N−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
N−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−4−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;および
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸(S)−(テトラヒドロフラン−3−イル)エステル
以外である。
【0059】
興味深い化合物は、Rがヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニルまたはオキサゾリルである式(I)のそれら化合物である。
【0060】
他の興味深い化合物は、Rがヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリルであり、そしてLが直接結合である式(I)のそれら化合物またはそれらの任意のサブグループに属するそれら化合物である。
【0061】
さらに別の興味深い化合物は、Rがヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、または場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;そしてLが−O−である式(I)のそれら化合物またはそれらの任意のサブグループに属するそれら化合物である。
【0062】
さらに別の興味深い化合物は、Rがヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、または場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;そしてLがC1−6アルカンジイル−O−であり、これにより−O−がアミドの窒素に結合している式(I)のそれら化合物またはそれらの任意のサブグループに属するそれら化合物である。
【0063】
また興味深い化合物は、Rがヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、または場合によりヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;そしてLが−O−C1−6アルカンジイルであり、これにより−O−がR基に結合している式(I)のそれら化合物またはそれらの任意のサブグループに属するそれら化合物である。
【0064】
化合物の適切なグループは、RおよびRの少なくとも1つがC1−6アルキルであり、特にRがメチルであり、そしてRが水素またはメチルであり、さらに特別にはRがメチルであを、そしてRが水素である式(I)のそれら化合物またはそれらの任意のサブグループに属するそれら化合物である。
【0065】
特定の興味深い化合物は、−L−Rが−O−(ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル)、−O−テトラヒドロフラニル、−O−メチル(場合により置換されていてもよいフェニル)、−O−メチル−ピリジニル、−O−メチル−チアゾリル、−O−メチル−オキサゾリル、−メチル−O−(場合により置換されていてもよいフェニル)または場合により置換されていてもよいフェニルである式(I)のそれら化合物またはそれらの任意のサブグループに属するそれら化合物である。好ましくは、フェニル基上の場合による置換基はメチル、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、アミノメチルである。
【0066】
特別に興味深い化合物は、Rがヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、または場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、クロロ、ブロモ、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルである式(I)のそれら化合物またはそれらの任意のサブグループに属するそれら化合物である。
【0067】
適切には、1つ以上の以下の制限が式(I)の化合物の上に挙げた興味深いサブグループまたは特定のもしくは特別に興味深いサブグループに適用される。
【0068】
が水素であり;
がフェニルメチルであり;
がC1−4アルキル、好ましくはイソブチルであり;
が水素またはメチルであり;
が水素またはメチルである。
【0069】
式(I)の化合物またはその任意のサブグループの化合物に関する興味深い組み合わせは、水素であるR;フェニルメチルであるRおよびC1−4アルキル、好ましくはイソブチルであるRにより形成される。
【0070】
式(I)の化合物の具体的なサブグループは、RおよびRが両方とも水素である式(I)の化合物を包含すると定義される。
【0071】
式(I)の化合物の別の具体的サブグループまたはその任意のサブグループに属する化合物は、−L−Rが−O−(ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル)、−O−テトラヒドロフラニル、−O−メチル−チアゾリル、−O−メチル−オキサゾリル、−メチル−O−(2,6−ジメチルフェニル)、−メチル−O−(4−アミノメチル)−2,6−ジメチルフェニル)、−メチル−O−(4−アミノ−2,6−ジメチルフェニル)、3−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルまたは3−アミノ−2−メチル−フェニル−であり;そしてRがメチルまたは水素であり、そしてRが水素である化合物である。
【0072】
好適な化合物は、
{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル;
{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸チアゾール−5−イルメチルエステル;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル;
{1−ベンジル−3−[(2−ジメチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル;
{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ベンジルエステル;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ピリジン−3−イルメチルエステル;
3−アミノ−N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−2−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−3−フルオロ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(4−アミノメチル−2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸チアゾール−5−イルメチルエステル;
3−アミノ−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(4−ヨード−2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
2−(4−アミノメチル−2,6−ジメチル−フェノキシ)−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−アセトアミド;
2−(4−アミノ−2,6−ジメチル−フェノキシ)−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−4−ブロモ−2−メチル−ベンズアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸オキサゾール−5−イルメチル エステル;
4−アミノ−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
それらのN−オキシドおよび塩、およびそれらの立体異性体である。
【0073】
興味深い別のグループには、
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル;
{1−ベンジル−3−[(2−ジメチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−2−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
N−{3[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−3−フルオロ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{3[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(4−アミノメチル−2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸チアゾール−5−イルメチルエステル;
3−アミノ−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{3[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(4−ヨード−2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
2−(4−アミノメチル−2,6−ジメチル−フェノキシ)−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−アセトアミド;
2−(4−アミノ−2,6−ジメチル−フェノキシ)−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−4−ブロモ−2−メチル−ベンズアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸オキサゾール−5−イルメチルエステル;
4−アミノ−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
それらのN−オキシドおよび塩およびそれらの立体異性体を含む。
【0074】
最も好適な化合物は、(1S、2R)−1−ベンジル−2−ヒドロキシ−プロピルの立体配置を有する式(I)の化合物のそれらエナンチオマー形またはその任意のサブグループに属する化合物である。
【0075】
カルバミン酸誘導体のヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル形である式(I)のそれら化合物またはそれらの任意のサブグループに属するそれら化合物は、好ましくは、例えば{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸のような(3R,3aS,6aR)形で存在する
【0076】
【化6】

【0077】
(3R,3aS,6aR)−ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル
式(I)の化合物は、一般に、国際公開第95/06030号、同第96/22287号、同第96/28418号、同第96/28463号、同第96/28464号、同第96/28465号および同第97/18205号パンフレットに記載されている手順に準じた手順を使用して調製することができる。
【0078】
本発明の化合物を作成するための特定の反応手順を以下に記載する。以下に記載する製造では、反応生成物は媒質から単離することができ、必要ならば例えば抽出、結晶化、トリチュレーションおよびクロマトグラフィーのような当該技術分野で一般に知られている方法論に従いさらに精製することができる。
【0079】
【化7】

【0080】
2−アミノ−6−クロロスルホニルベンゾチアゾール誘導体(中間体a−2)は、欧州特許出願公開第0,445,926号明細書に記載されている手順に従い調製した。中間体a−4は国際公開第97/18205号パンフレットに記載され、そしてスキームBにも表されている手順に従い調製した中間体a−3を、中間体a−2とジクロロメタンのような反応に不活性な溶媒中、そしてトリエチルアミンのような塩基の存在下で、そして低温、例えば0℃で反応させることにより調製した。中間体a−3のBoc基は保護的なtert−ブチルオキシカルボニル基である。これをフタルイミドまたはベンジルオキシカルボニルのような別の適当な保護基に都合よく置き換えることができる。中間体a−4は、塩酸のような酸を用いてイソプロパノール中で、またはベンゾキサゾールの2位のアミノ基の性質に依存してトリフルオロ酢酸を用いてエタノールおよびジオキサンの混合物のような適当な溶媒中で脱保護することができ、このようにして中間体a−5を製造する。該中間体a−5はさらに式R−L−C(=O)−OHの中間体と、トリエチルアミン(カルバメートを生成するためのアルコールに関して)のような塩基の存在下、および場合により1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸(EDC)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)(アミドを生成するためのカルボン酸に関して)またはtert−ブタノールのようなアルコールの存在下、およびジクロロメタンのような適切な溶媒中で反応させることができ:これにより中間体a−6を生成する。
【0081】
およびRが水素である式(I)の化合物の好都合な製造法は、スキームAに記載した手順に準じて調製することができ、この方法によりRまたはRの1つが例えばアセチルまたはアルキルオキシカルボニル基のような適切な保護基により置き換えられる。そのような場合、脱保護は分子の左側の窒素原子の脱保護と同時に起こり得る。
【0082】
前述の調製で使用した多くの中間体および出発材料は既知の化合物であり、一方その他は該および類似化合物の技術的に知られている調製法に従い調製することができる。
【0083】
【化8】

【0084】
スキームAの中間体a−3に対応する中間体b−2は、式HN−Rのアミンをイソプロパノールのような適当な溶媒中で中間体b−1に加えることにより調製することができる。
【0085】
スキームBにおいて、式b−2の鏡像異性体的に純粋な化合物は、b−1が鏡像異性体的に純粋である場合にのみ得られる。b−1が立体異性体の混合物である場合、b−2も立体異性体の混合物からなるだろう。
【0086】
式(I)の化合物は、三価の窒素をそのN−オキシドに転換するための技術的に知られている手順に従い対応するN−オキシド形に転換することもできる。該N−オキシド化反応は一般に式(I)の出発材料を適当な有機または無機ペルオキシドと反応させることにより行うことができる。適当な無機ペルオキシドは例えば過酸化水素、アルカリ金属またはアルカリ土類金属ペルオキシド、例えば過酸化ナトリウム、過酸化カリウムを含んでなり;適当な有機ペルオキシドは例えばベンゼンカルボペルオキソ酸またはハロ置換ベンゼンカルボペルオキソ酸、例えば3−クロロ−ベンゼンカルボペルオキソ酸、ペルオキソアルカン酸、例えばペルオキソ酢酸のようなペルオキシ酸、アルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチルヒドロペルオキシドを含んでなることができる。適当な溶媒は、例えば水、低級アルカノール、例えばエタノール等、炭化水素、例えばトルエン、ケトン、例えば2−ブタノン、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタンおよびそのような溶媒の混合物である。
【0087】
本化合物は、このように動物、好ましくは哺乳動物に、そして特にヒトにそれ自体薬として、別の薬との混合物として、または製薬学的調製物の形態で使用することができる。
【0088】
さらに本発明は通例の製薬学的に無害な補形剤および補助剤に加えて、活性成分として少なくとも1つの式(I)の化合物の有効な用量を含む製薬学的調製物に関する。製薬学的調製物は通常、0.1〜90重量%の式(I)の化合物を含む。製薬学的調製物は、それ自体は当業者に既知の様式で調製することができる。この目的のために、少なくとも1つの式(I)の化合物を1以上の固体または液体の製薬学的補形剤および/または補助剤と一緒に、そして所望するならば他の製薬学的に活性な化合物と組み合わせて、ヒトの薬剤または獣医学用薬剤に薬として使用することができる適当な投与形または剤形にする。
【0089】
本発明の化合物を含む薬は、経口で、非経口で、例えば静脈内に、直腸に、吸息により、または局所に投与することができ、好適な投与は個々の症例、例えば処置する障害の特定の経過に依存する。経口投与が好ましい。
【0090】
当業者は専門的知識に基づき、所望する製薬学的製剤に適する補助剤に熟知している。溶媒の他に、ゲル−形成剤、座薬基剤、錠剤補助剤および他の活性化合物担体、酸化防止剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、風味矯正剤、保存剤、可溶化剤、沈積効果を達成する作用剤、緩衝物質または着色剤も有用である。
【0091】
本発明の化合物の好ましい薬理学的特性、特に多剤耐性HIVプロテアーゼ酵素に対するそれらの活性により、本発明の化合物はHIVに感染した個体の処置に、およびこれらの個体の予防に有用である。一般に本発明の化合物は存在がプロテアーゼ酵素に媒介されるか、または依存するウイルスに感染した温血動物の処置に有用となり得る。本発明の化合物で防止または処置され得る状態、特にHIVおよび他の病原性レトロウイルスに関連する状態には、AIDS、AIDS−関連複合体(ARC)、進行性全身性リンパ腫(PGL)、ならびに例えばHIVが媒介する痴呆および多発性硬化症のようなレトロウイルスにより引き起こされる慢性CNS疾患を含む。
【0092】
該処置法は、HIV−感染した個体に多剤耐性プロテアーゼ酵素を持つHIVに関連する状態を防除するために有効な量を全身投与することを含んでなる。
【0093】
本発明の化合物は多剤耐性HIVプロテアーゼを含むか、または多剤耐性HIVプロテアーゼに暴露されたと予測されるサンプルをエクスビボで阻害するための用途も見いだすことができる。したがって本化合物は多剤耐性HIVプロテアーゼを含むか、またはそれを含むか、もしくは暴露されたと疑われる体液サンプル中に存在する多剤耐性HIVプロテアーゼを阻害するために使用することができる。
【0094】
また抗レトロウイルス化合物と本発明の化合物との組み合わせ物も薬剤として使用することができる。すなわち本発明は、レトロウイルス感染の処置、特に多剤耐性HIVプロテアーゼの感染の処置に同時に、別個にまたは順次に使用する組み合わせ調製物として、(a)本発明の化合物、および(b)別の抗レトロウイルス化合物を含む製品に関する。このように多剤耐性HIVプロテアーゼの感染、または後天的免疫不全症候群(AIDS)もしくはAIDS関連複合体(ARC)のようなそのような感染に関係する感染および疾患を防除または処置するために、本発明の化合物は例えば硫酸デキストラン、スラミン、ポリアニオン、可溶性CD4、PRO−542、BMS−806のような結合阻害剤と;例えばT20、T1249、5−ヘリックス、D−ペプチド ADS−11のような融合阻害剤と;例えばAMD3100、AMD−3465、AMD7049、AMD3451(ビシクラムズ:Bicyclams)、TAK779のようなコ−レセプター(co−receptor)結合阻害剤と;例えばホスカルネット(foscarnet)およびプロドラッグのようなSHC−D、PRO−140RT阻害剤と;例えばAZT、3TC、DDC、DDI、D4T、アバカビル(Abacavir)、FTC、DAPD、dOTC、DPC817のようなヌクレオシドRTIと;例えばPMEA、PMPA(テノホビル:tenofovir)のようなヌクレオチドRTIと;例えばネビラピン(nevirapine)、デラビルジン(delavirdine)、エファビレンズ(efavirenz)、8および9−Cl TIBO(チビラピン:tivirapine)、ロビリド(loviride)、TMC−125、ダピビリン(dapivirine)、MKC−442、UC781、UC782、カプラビリン(Capravirine)、DPC961、DPC963、DPC082、DPC083、カラノライド(calanolide)A、SJ−3366、TSAO、4”−脱アミノ化TSAO、MV150、MV026048のようなNNRTIと;例えばSP1093V、PD126338のようなRNAse H阻害剤と;例えばRO−5−3335、K12、K37のようなTAT阻害剤と;例えばL 708906、L 731988、S−1360のようなインテグラーゼ阻害剤と;例えばアンプレナビル(amprenavir)およびプロドラッグGW908、リトナビル(ritonavir)、ネルフィナビル(nelfinavir)、サキナビル(saquinavir)、インジナビル(indinavir)、ロピナビル(lopinavir)、パリナビル(palinavir)、BM 186316、アタザナビル(atazanavir)、DPC 681、DPC 684、チプラナビル(tipranavir)、AG1776、モゼナビル(mozenavir)、GS3333、KNI−413、KNI−272、L754394、L 756425、LG−71350、PD161374、PD173606、PD177298、PD178390、PD178392、PNU 140135、TMC114、マズリン酸のようなプロテアーゼ阻害剤と;例えばカスタノスペルミン(castanospermine)、デオキシノジリマイシン(deoxynojirimycine)のようなグリコシル化阻害剤と組み合わせて同時投与することができる。
【0095】
組み合わせは場合により相乗的効果を提供し、これによりウイルス感染性およびそれに関連する症状が防止され、実質的に減り、または完全に排除され得る。
【0096】
本発明の化合物はHIV感染およびその症状を改善、防除または排除するために、免疫調節物質(immunomodulator)(例えばブロピリミン(bropirimine)、抗−ヒトアルファインターフェロン抗体、IL−2,メチオニンエンケファリン、インターフェロンアルファ、HE−2000およびナルトレキソン(naltrexone))と、抗生物質(例えばペンタミジン イソチオレート)、サイトカイン(例えばTh2)、サイトカインのモジュレーター、ケモカインまたはそれらの受容体(例えばCCR5)またはホルモン(例えば成長ホルモン)と組み合わせて投与することもできる。種々の製剤におけるそのような併用療法は、同時に、別個に、または順次に投与され得る。あるいはそのような組み合わせは1つの製剤として投与されてもよく、これにより有効成分が製剤から同時に、または別個に放出される。
【0097】
本発明の化合物は個体に薬剤を適用した後に、代謝のモジュレーターと組み合わせて投与してもよい。これらのモジュレーターにはシトクロームP450のようなシトクロームでの代謝を妨害する化合物を含む。幾つかのモジュレーターはシトクロームP450を阻害する。シトクロームP450には幾つかのアイソエンザイムが存在することが知れらており、その1つはシトクロームP450 3A4である。リトナビルはシトクロームP450を介する代謝のモジュレーターの1例である。種々の製剤におけるそのような併用療法は、同時に、別個に、または順次に投与され得る。あるいはそのような組み合わせは1つの製剤として投与されてもよく、これにより有効成分が製剤から同時に、または別個に放出される。そのようなモジュレーターは本発明の化合物と同じか、または異なる比率で投与することができる。好ましくはそのようなモジュレーター対本発明の化合物の重量比(モジュレーター:本発明の化合物)は、1:1以下、より好ましくはこの比率は1:3以下、適当にはこの比率は1:10以下、より適切にはこの比率は1:30以下である。
【0098】
経口投与形態には、本発明の化合物を補形剤、安定化剤または不活性な希釈剤のような適当な添加剤と混合し、そして常法の手段により錠剤、コート錠剤、硬質カプセル、水性、アルコール性または油性溶液のような適当な投与形態にする。適当な不活性担体の例は、アラビアガム、マグネシア、炭酸マグネシウム、リン酸カリウム、ラクトース、グルコースまたは澱粉、特にコーンコターチである。この場合、調製は乾燥および浸潤顆粒の両方で行うことができる。適当な油性補形剤または溶媒は、ヒマワリ油またはタラの肝油のような植物または動物油である。水性またはアルコール性溶液の適当な溶媒は水、エタノール、糖溶液またはそれらの混合物である。ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコールも他の投与形態のためのさらなる補助剤として有用である。
【0099】
皮下または静脈内投与には、活性化合物を所望により可溶化剤、乳化剤またはさらなる補助剤のようなそれらのための通例の物質を用いて溶液、懸濁液または乳液とする。式(I)の化合物は凍結乾燥することもでき、そして得られた凍結乾燥物は例えば注射または注入用の調製物の製造に使用される。適当な溶媒は例えば水、生理食塩水またはアルコール、例えばエタノール、プロパノール、グリセロール、加えてまたグルコースまたはマンニトール溶液のような糖溶液、あるいは挙げた種々の溶媒の混合物である。
【0100】
エーロゾルまたはスプレーの形態で投与するために適当な製薬学的製剤は、エタノールまたは水、またはそのような溶媒の混合物のような製薬学的に許容される溶媒中の式(I)の化合物またはそれらの生理学的に耐容される塩の、例えば溶液、懸濁液または乳液である。必要ならば製剤は表面活性剤、乳化剤および安定化剤ならびに噴射剤のような他の製薬学的補助剤をさらに含むこともできる。そのような調製物は通例、約0.1〜50%、特に約0.3〜3重量%の濃度の活性化合物を含む。
【0101】
製薬学的組成物中の式(I)の化合物の溶解性および/または安定性を強化するために、α−、β−またはγ−シクロデキストリンまたはそれらの誘導体を使用することが有利となり得る。アルコールのような補助溶剤も、製薬学的組成物中の式(I)の化合物の溶解性および/または安定性を向上させることができる。水性組成物の調製では、主題の化合物の付加塩がそれらの上昇した水溶性により明らかにより適当である。
【0102】
適当なシクロデキストリンは、α−、β−またはγ−シクロデキストリン(CD)またはそれらのエーテルおよび混合エーテルであり、ここでシクロデキストリンの無水グルコース単位の1以上のヒドロキシ基が、C1−6アルキル、特にメチル、エチルまたはイソプロピル(例えば無作為にメチル化されたβ−CD);ヒドロキシC1−6アルキル、特にヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルもしくはヒドロキシブチル;カルボキシC1−6アルキル、特にカルボキシメチルもしくはカルボキシエチル;C1−6アルキル−カルボニル、特にアセチル;C1−6アルキルオキシカルボニルC1−6アルキルもしくはカルボキシC1−6アルキルオキシC1−6アルキル、特にカルボキシメトキシプロピルもしくはカルボキシエトキシプロピル;C1−6アルキルカルボニルオキシC1−6アルキル、特に2−アセチルオキシプロピルで置換される。コンプレクサント(complexant)および/または可溶化剤として特に注目すべきはβ−CD、無作為にメチル化されたβ−CD、2,6−ジメチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−β−CD、2−ヒドロキシエチル−γ−CD、2−ヒドロキシプロピル−γ−CDおよび(2−カルボキシメトキシ)プロピル−β−CD、そして特に2−ヒドロキシプロピル−β−CD(2−HP−β−CD)である。
【0103】
混合エーテルという用語は、少なくとも2つのシクロデキストリンのヒドロキシ基が、例えばヒドロキシ−プロピルおよびヒドロキシエチルのような異なる基でエーテル化されているシクロデキストリン誘導体を表す。
【0104】
本発明の化合物をシクロデキストリンまたはそれらの誘導体と組み合わせて配合する興味深い方法が、欧州特許出願公開第721,331号明細書に記載された。そこに記載された製剤は抗真菌性の有効成分であるが、それらは本発明の化合物を配合するために等しく興味深い。そこに記載されている製剤は特に経口投与に適し、そして有効成分として抗真菌剤、可溶化剤として十分な量のシクロデキストリンまたはそれらの誘導体、嵩のある(bulk)液体担体として水性の酸性媒質および組成物の調製を大いに容易にするアルコール性補助溶媒を含んでなる。該製剤は製薬学的に許容される甘味剤および/または風味剤を加えることによりさらに味を良くすることもできる。
【0105】
製薬学的組成物中の本発明の化合物の溶解性を強化するために他の都合が良い方法は、国際公開第94/05263号、同第98/42318号パンフレット、欧州特許出願公開第499,299号明細書および国際公開第97/44014号パンフレットに記載され、これらはすべて引用により本明細書に編入する。
【0106】
より詳細には本化合物は、(a)式(I)の化合物、および(b)1以上の製薬学的に許容される水溶性ポリマーを含んでなる固体分散物からなる治療に有効量の粒子を含んでなる製薬学的組成物に配合することができる。
【0107】
「固体分散物(solid dispersion)」という用語は、少なくとも2つの成分を含んでなる固体状(液体またはガス状とは異なって)の系と定義し、ここで1つの成分がもう1つの成分(1つまたは複数)全体にわたり事実上均一に分散している。成分の該分散物は系が全体的に化学的および物理的に単一または均質であるか、または熱力学的に定める1相からなるような時、そのような固体分散物を「固体溶液(solid solution)」と称する。固体溶液は、中の成分が通常、それらが投与される生物に対して容易に生物利用可能となることから好適な物理的系である。
【0108】
「固体分散物」という用語は、固体溶液よりも全体的に均一性が低い分散物も含んでなる。そのような分散物は全体的に化学的および物理的に単一ではないか、または1相より多い相を含んでなる。
【0109】
粒子中の水溶性ポリマーは20℃溶液で2%の水溶液に溶解した時、都合良く1〜100mPa.sの見掛粘度を有するポリマーである。
【0110】
好適な水溶性ポリマーはヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはHPMCである。約0.8〜約2.5のメトキシ置換度(methoxy degree of substitution)を有し、そして約0.05〜約3.0のヒドロキシ−プロピルモル置換(hydroxy−propyl molar substituion)を有するHPMCは一般に水溶性である。メトキシ置換度とはセルロース分子中のアンヒドログルコース単位あたりに存在するメチルエーテル基の平均数を称する。ヒドロキシ−プロピルのモル置換とは、セルロース分子中の各アンヒドログルコース単位と反応したプロピレンオキシドの平均モル数を称する。
【0111】
最初に成分の固体分散物を調製し、そして次いで場合によりその分散物を粉砕(grinding)または挽く(milling)ことによる調製で、上記に定める粒子を調製できるようになる。固体分散物を調製するためには、溶融押出し、噴霧乾燥および溶液蒸発を含む種々の技術が存在するが、溶融押出しが好適である。
【0112】
さらに本化合物を、1000nm未満の効果的な平均粒子サイズを維持するために十分な量で、粒子の表面に吸着する表面改質剤(surface modifier)を有するナノ粒子の状態に製剤することが都合がよいかもしれない。有用な表面改質剤は抗レトロウイルス剤の表面に物理的に吸着するが抗レトロウイルス剤に化学的に結合しないものを含むと考えられる。
【0113】
適当な表面改質剤は好ましくは既知の有機および無機の製薬学的補形剤から選択することができる。そのような補形剤には種々のポリマー、低分子量オリゴマー、天然産物および表面活性剤を含む。好適な表面改質剤には非イオン性およびアニオン性表面活性剤を含む。
【0114】
本化合物を配合するためのさらに別の興味深い方法には、本化合物が親水性ポリマーに包含され、そしてこの混合物を多数の小さいビーズ上にコートフィルムとして適用する製薬学的組成物を含み、このようにして都合よく製造することができ、しかも経口投与用の製薬学的剤形を調製するために適する良好な生物学的利用性を持つ組成物を生成する。
【0115】
該ビーズは(a)中央の、丸みがある、または球状の芯、(b)親水性ポリマーのコーティングフィルムおよび抗レトロウイルス剤、および(c)シール−コーティングポリマー層を含んでなる。
【0116】
ビーズ中の芯として使用するために適する材料は、該材料が製薬学的に許容され、そして適当な寸法および堅さを有するならばマニホールド(manifold)である。そのような材料の例は、ポリマー、無機物質、有機物質およびサッカライドおよびそれらの誘導体である。
【0117】
投与経路は、個体の状態、同時投薬法(co−medication)等に依存し得る。
【0118】
本発明の別の観点は、多剤耐性HIVプロテアーゼ、HIV成長またはその両方を阻害するために有力な薬の能力を決定するために、試験またはアッセイに標準または試薬として使用するために有効な量で式(I)の化合物を含んでなるキットまたは容器に関する。本発明のこの観点では、製薬学的研究プログラムにおいて式(I)の化合物の用途を見いだすことができる。
【0119】
本発明の化合物はHIVのような耐性発生疾患の臨床的管理において、既知の組換えアッセイのように表現型の耐性を監視するアッセイに使用することができる。特に有用な耐性監視システムはAntivirogram(商標)として知られている組換えアッセイである。Antivirogram(商標)は本発明の化合物に対する感受性、特にウイルス感受性を測定することができる高度に自動化された高処理量の第2世代の組換えアッセイである。(Hertogs K,de Bethune MP,Miller V et al.,Antimicrob Agents Chemother, 1998;42(2):269−276、引用により本明細書に編入する)。
【0120】
興味深いことには、本発明の化合物は該化合物が上昇した組織滞留(tissue retention)および半減期を有するように、局在化した部位への共有結合を形成することができる化学的に反応性の部分を含んでなることができる。本明細書で使用する用語「化学的に反応性の基」とは、共有結合を形成することができる化学基を称する。反応性の基は一般的に水性の環境で安定であり、そして通常はカルボキシ、ホスホリルまたはエステルもしくは混合無水物のいずれかとして都合の良いアシル基、またはイミデートまたはマレイミデートであり、これらにより例えばアルブミンのような血液成分上の標的部位のアミノ基、ヒドロキシまたはチオールのような官能基と共有結合を形成することができる。
【0121】
投与が必要な個体に投与すると、本発明の該化合物は上昇した組織滞留および半減期を有するように、該化合物は例えば血液成分を用いて局在化部位と共有結合を形成することができる。通常、形成される共有結合はそれを放出部位としない限り、血液成分の存在期間(life−time)中、維持され得る。このような新規化合物の主な利点は有効な効果を提供するために必要な化合物が少量である点である。この利点の理由は、送達の標的化、反応性物体Yと反応性反応基との間の反応の高収率および反応後に形成される結合の不可逆的な性質により説明される。さらにいったん膜または組織に結合すれば、本発明の該化合物は肝臓による代謝、腎臓による濾過および排出を受け難く、そして通常は活性の損失および加速される排除を導くプロテアーゼ(エンドペプチダーゼを含む)活性からも保護され得る。
【0122】
投与すべき本発明の化合物またはそれらの生理学的に許容されうる塩(1つまたは複数)の用量は個々の症例に依存し、そして通例は最適な効果のために個々の症例の条件に適合される。このように用量はもちろん治療または予防について各々の症例で投与頻度および使用する化合物の効力および作用期間に依存するが、感染および症状の性質および重篤度、ならびに性別、年齢、体重、同時投薬法および処置されるヒトまたは動物の個別の応答、および治療が緊急であるかまたは予防的であるかどうかにも依存する。通例は体重約75kgの患者に投与する場合、式(I)の化合物の毎日の用量は1mg〜3g、適当には1mg〜1g、好ましくは3mg〜0.5g以上、さらに好ましくは5mg〜300mgである。用量は1単位用量で、または数回、例えば2、3または4回に分割した1単位の用量の状態で投与することができる。
[実施例]
実施例の部
式(I)の化合物の調製
この記載を通して使用する命名法は、ケミカルアブストラクトサービスノーメンクラチャー(Chemical Abstracts Service Nomenclature)に基づく。
【実施例1】
【0123】
化合物2
825mgの2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホン酸(3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−ブチル)−イソブチルアミドおよび373mgのトリエチルアミンの混合物(ジクロロメタン中)に、452mgの1−[[[[(3R,3as,6aR)−ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジン−ジオン(国際公開第09967417号パンフレットに記載されている)を加えた。この混合物を室温で12時間撹拌した。減圧下でジクロロメタンを蒸発させた後、粗生成物をシリカで精製し、270mg24.8%の化合物2を得た。
【実施例2】
【0124】
化合物4
350mgの2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホン酸(3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−ブチル)−イソブチルアミドおよび200mgのトリエチルアミンの混合物(ジクロロメタン中)に、210mgの1−[[[[ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジン−ジオン(国際公開第09967417号パンフレットに記載されている)を加えた。この混合物を室温で12時間撹拌した。減圧下でジクロロメタンを蒸発させた後、粗生成物をシリカで精製し、260mg(55%)の化合物4を得た。
【実施例3】
【0125】
化合物6
420mgの2−ジメチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホン酸(3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−ブチル)−イソブチルアミドおよび98mgのトリエチルアミンの混合物(ジクロロメタン中)に、230mgの1−[[[[ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラン−3−イル]オキシ]カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオン(国際公開第09967417号パンフレットに記載されている)を加えた。この混合物を室温で12時間撹拌した。減圧下でジクロロメタンを蒸発させた後、粗生成物をシリカで精製し、500mg(90%)の化合物6を得た。
【実施例4】
【0126】
化合物17
800mgの2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホン酸(3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−ブチル)−イソブチルアミド、50mgのHOBT(ヒドロキシベンゾトリアゾール)、420mgのEDCおよび668mgの(3,4,5−トリメチル−ベンジル)カルバミン酸tert−ブチルエステル化合物と、ヒドロキシ酢酸との混合物(80mlのジクロロメタン中)を、室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物を水およびブラインで洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製して、1g(75%)の[4−({3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピルカルバモイル}−メトキシ)−3,5−ジメチル−ベンジル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを得た。この中間体(500mg)をさらにメタノール(20ml)に溶解し、そして10mlのHCl溶液(イソプロパノール中、5〜6N)を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。溶液を蒸発させ、そして残渣をシリカで精製して、190mgの化合物17(43%)を得た。
【実施例5】
【0127】
化合物27
134mgの2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホン酸(3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−ブチル)−イソブチルアミド、4mgのHOBT(ヒドロキシベンゾトリアゾール)、66mgのEDCおよび63mgの4−ブロモ−2−メチル安息香酸の混合物(ジクロロメタン中)を、室温で一晩撹拌した。次いで反応混合物を水およびブラインで洗浄した。有機層を分離し、乾燥させ、そして溶媒を蒸発させた。残渣を調製用HPLCにより精製して、25mg(13%)の化合物27を得た。
【実施例6】
【0128】
化合物28
4.48gの2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホン酸(3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル−ブチル)−イソブチルアミドおよび2.73gのトリエチルアミンの混合物(ジクロロメタン中)に、3.45gのカルボン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステルオキサゾール−5−イルメチルエステルを加えた。この混合物を室温で12時間撹拌した。減圧下でジクロロメタンを蒸発させた後、粗生成物をシリカで精製し、1.02g19%の化合物28を得た。
【0129】
本発明の範囲を限定することを意図せずに、現在特許請求する本発明を支持する表1の化合物が上記実施例の1つに準じて調製され、そして試験された。
【0130】
【表1】

【0131】
【表2】

【0132】
【表3】

【0133】
【表4】

【0134】
抗ウイルス分析
本発明の化合物を抗ウイルス活性について細胞アッセイで調査した。このアッセイでは、これらの化合物が野生型の研究用HIV株(HIV−1株LAI)に対して有力な抗HIV活性を表すことが示された。細胞アッセイは以下の手順に従い行った。
細胞アッセイの実験法:
HIV−またはmock−感染したMT4細胞を、種々の濃度の阻害剤の存在下で5日間インキュベーションした。インキュベーション期間の終わりに、対照カルチャー中で複製するウイルスは、すべてのHIV−感染細胞をウイルスを阻害剤の不存在下で殺した。細胞の生存率は、生きている細胞のミトコンドリアでのみ紫色の水不溶性ホルマザンに転換されるMTT、黄色い水溶性のテトラゾリウム色素の濃度を測ることにより測定する。生成したホルマザン結晶をイソプロパノールで可溶化すると、溶液の吸収が540nmで測定される。この値は5日間のインキュベーションの完了時にカルチャー中に残る生きている細胞数と直接相関する。化合物の阻害活性はウイルスが感染した細胞について監視し、そしてEC50およびEC90で表す。これらの値はウイルスの細胞病原性効果から細胞をそれぞれ50%および90%保護するために必要な化合物の量を表す。化合物の毒性はmock−感染した細胞について測定し、そしてCC50として表し、これは細胞の成長を50%まで阻害するために必要な化合物の濃度を表す。選択指数(selectivitiy index:SI)(CC50/EC50比)は、阻害剤の抗−HIV活性の選択性の指標である。結果が例えばpEC50またはpCC50値として報告される場合、この結果はEC50またはCC50としてそれぞれ表される負の対数として表す。
抗ウイルススペクトル:
薬剤耐性HIV株の出現の増加から、本化合物はそれらの効力について、幾つかの突然変異を有する臨床的に単離されたHIV株に対して試験した(表2および3)。これらの突然変異はプロテアーゼ阻害剤に対する耐性に関連し、そして例えばサキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、インジナビルおよびアンプレナビルのような現在市販されている薬剤に対して、様々な程度の表現型の交差耐性を現すウイルスをもたらす。
【0135】
【表5】

【0136】
結果:
本化合物の広いスペクトル活性の測定結果として、表3はpEC50(=EC50の−log)での抗ウイルス試験の結果を表す。FR=EC50(変異体株)/EC50(HIV−1株LAI)と定めたホールドレジスタンス(FR)は、表4に列挙する。ほとんどの化合物についてホールドレジスタンスは0.1から100の間の範囲である。このように、本化合物は広い範囲の変異体株の有効阻害剤である。
【0137】
毒性(Tox)はmockトランスフェクト細胞で定めるpCC50として表し、一方、野生型に関するpEC50はカラムWTに示す。
【0138】
【表6】

【0139】
幾つかの化合物については、さらに広い範囲の変異体HIVプロテアーゼウイルスに関して試験した。例えば化合物Iは20種以上の変異体プロテアーゼのパネルについて試験し、これにより化合物1は最も感受性の変異体について9.13のpIC50値を、そして最も耐性の変異体について8.12のpIC50値を有した。これは20種以上の変異体プロテアーゼの組の中のすべての変異体が、狭いウインドのIC50内、そしてまたホールドレジスタンス値内で感受性であることを示している。
【0140】
【表7】

【0141】
タンパク質結合分析:
アルブミン(HSA)またはアルファ−1酸性 糖タンパク質(AAG)のようなヒト血清タンパク質は、多くの薬剤に結合し、このような化合物の効力の低下をもたらす可能性があることが知られている。本化合物がこの結合により悪影響を受けかどうかを決定するために、数種の本化合物の抗−HIV活性をヒト血清の存在下で測定し、これによりプロテアーゼ阻害剤がこれらタンパク質に結合する効果を評価する。
【0142】
MT4細胞はHIV−1 LAIに0.001〜0.01 CCID50の感染多重度で感染させる(細胞あたり50%の細胞培養物感染投与量(cell culture infective dose)、CCID50)。1時間のインキュベーション後、細胞を洗浄し、そして10%FCS(ウシ胎児血清)、10%FCS+1mg/mlAAG(α−酸性糖タンパク質)、10%FCS+45mg/mlHSA(ヒト血清アルブミン)または50%ヒト血清(HS)の存在下、化合物の連続希釈を含む96ウェルプレートにまく。5または6日間のインキュベーション後、EC50(細胞に基づくアッセイで50%有効濃度)は、細胞生存能を測定することにより、またはHIV複製のレベルを定量することにより算出する。細胞生存能は上記のアッセイを使用して測定する。10%FCSまたは10%FCS+1mg/mlAAG、HIV(野生型または耐性株)およびMT4細胞の存在下に化合物の連続希釈を含有する96ウェルプレートに、200〜250CCID50/ウェルおよび30,000細胞/ウェルの最終濃度となるようにそれぞれ加える。5日間のインキュベーション(37℃、5%CO)後、細胞の生存能はテトラゾリウム発色性MTT(3−[4,5−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)法(Pauwels et al.,J.Virol.Methods 1988,20,309321)により決定する。
薬物動態学的データ
式(I)の数種の化合物の薬物動態学的特性をラットおよびイヌで試験した。化合物はウィスター(Whistar)ラット、イファ クレド(Iffa Credo)供給、体重約350gで評価した。投与前に動物は一晩絶食させた(約12時間の絶食期間)。化合物をDMSOまたはPEG400に溶解した。表に表す結果は化合物の経口または腹腔内投与からの結果に関する。血液は30分、1時間、2時間、3時間に採取し、投与前のサンプルは採取しなかった。生物学的サンプル中の化合物の量は、LC−MSを使用して決定した。以下の表において、“or”は経口投与を意味し、“ip”は腹腔内投与を意味し、“mpk”はキログラムあたりのmgを意味する。結果は表5で具体的に説明する。
【0143】
【表8】

【0144】
製剤
式(I)の化合物の場合、有効成分をエタノール、メタノールまたは塩化メチレン、好ましくはエタノールおよび塩化メチレンの混合物のような有機溶媒に溶解する。ポリビニルピロリドンコポリマーと酢酸ビニル(PVP−VA)またはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)のようなポリマー、典型的には5mPa.sをエタノール、メタノール塩化メチレンのような有機溶媒に溶解する。適当にはポリマーをエタノールに溶解する。ポリマーおよび化合物溶液を混合し、そして続いて噴霧乾燥する。化合物/ポリマーの比率は、1/1〜1/6から選択することができる。中間の範囲は1/1.5および1/3であった。噴霧乾燥した粉末、固体分散物を続いて投与用のカプセルに充填する。1カプセル中の薬剤負荷量は、使用するカプセルサイズに依存する。
フィルムコート錠剤
錠剤芯の調製
式(I)の化合物の場合、100gの有効成分、570gのラクトースおよび200gの澱粉の混合物を十分に混合し、そしてその後、5gのドデシル硫酸ナトリウムおよび10gのポリビニルピロリドンの溶液(200mlの水中)で浸潤化した。湿潤粉末混合物をふるいにかけ、乾燥させ、そして再びふるいにかけた。次いで100gの微晶質セルロースおよび15gの水素化植物油を加えた。全体を十分に混合し、そして錠剤に圧縮し、各々が10mgの有効成分を含んでなる10,000個の錠剤を得た。
コーティング
10gのメチルセルロースの溶液(75mlの変性エタノール中)に、5gのエチルセルロース溶液(150mlのジクロロメタン中)を加えた。次いで75mlのジクロロメタンおよび2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加えた。10gのポリエチレングリコールを溶融し、そして75mlのジクロロメタンに溶解した。この溶液を前の溶液に加え、そして次いで2.5gのオクタデカン酸マグネシウム、5gのポリビニルピロリドンおよび30mlの濃色懸濁液を加え、そして全体を均一化した。錠剤の芯はこのようにして得られた混合物を用いてコーティング装置中でコートした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変異体HIVプロテアーゼに感染した哺乳動物の該変異体HIVプロテアーゼの阻害に有用な薬剤の製造における、式
【化1】

[式中、
はヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、または場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
Lは直接結合、−O−、C1−6アルカンジイル−O−または−O−C1−6アルカンジイルであり;
はフェニルC1−4アルキルであり;
はC1−6アルキルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
は水素またはC1−6アルキルである]
を有する2−アミノ−ベンゾチアゾール、そのN−オキシド、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルまたは代謝物の使用。
【請求項2】
が水素であり;
がフェニルメチルであり;
がC1−4アルキル、好ましくはイソブチルであり;
が水素またはメチルであり;
が水素またはメチルである
請求項1に記載の使用。
【請求項3】
がメチルまたは水素であり、そしてRが水素である請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
およびRの両方が水素である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
−L−Rが−O−(ヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル)、−O−テトラヒドロフラニル、−O−メチル(場合により置換されていてもよいフェニル)、−O−メチル−ピリジニル、−O−メチル−チアゾリル、−O−メチル−チアゾリル、メチル−O−(場合により置換されていてもよいフェニル)または場合により置換されていてもよいフェニルである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
化合物が
{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル;
{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸チアゾール−5−イルメチルエステル;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル;
{1−ベンジル−3−[(2−ジメチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル;
{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ベンジルエステル;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ピリジン−3−イルメチルエステル;
3−アミノ−N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸テトラヒドル−フラン−3−イルエステル;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−2−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−3−フルオロ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(4−アミノメチル−2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸チアゾール−5−イルメチルエステル;
3−アミノ−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸テトラヒドロ−フラン−3−イル エステル;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(4−ヨード−2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
2−(4−アミノメチル−2,6−ジメチル−フェノキシ)−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−アセトアミド;
2−(4−アミノ−2,6−ジメチル−フェノキシ)−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−4−ブロモ−2−メチル−ベンズアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸オキサゾール−5−イルメチルエステル;
4−アミノ−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
またはそれらの塩、または立体異性体である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
変異体HIVプロテアーゼが10、71および84から選択される位置に少なくとも1つの突然変異を有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の化合物に関する変異体HIVプロテアーゼのホールドレジスタンス(fold resistance)が0.01から100の間の範囲である請求項1ないし7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】

【化2】

[式中、
はヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、または場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
Lは直接結合、−O−、C1−6アルカンジイル−O−または−O−C1−6アルカンジイルであり;
はフェニルC1−4アルキルであり;
はC1−6アルキルであり;
は水素またはC1−6アルキルであり;
は水素またはC1−6アルキルである]
を有し、ただし:
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ベンジルエステル;
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ピリジン−3−イルメチルエステル;
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸チアゾール−5−イルメチルエステル;
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
3−アミノ−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
4−アミノ−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
5−アミノ−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
N−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
N−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−4−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;および
{(1S,2R)−3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸(S)−(テトラヒドロフラン−3−イル)エステル
以外である化合物、そのN−オキシド、塩、立体異性体、ラセミ混合物、プロドラッグ、エステルまたは代謝物。
【請求項10】
がヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニルまたはオキサゾリルである請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
がヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトラヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリルであり、そしてLが直接結合である請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
がヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、または場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;そしてLが−O−である請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
がヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトヘヒドロフラニル、オキサゾリル、または場合によりC1−6アルキル、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されていてもよいフェニルであり;そしてLがC1−6アルカンジイル−O−であり、これにより−O−がアミドの窒素に結合している請求項9に記載の化合物。
【請求項14】
がヘキサヒドロフロ[2,3−b]フラニル、テトヘヒドロフラニル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、または場合によりヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、アミノC1−4アルキルおよびモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから独立して選択される1個もしくはそれ以上の置換基で置換されてたフェニルであり;そしてLが−O−C1−6アルカンジイルであり、これにより−O−がR基に結合している請求項9に記載の化合物。
【請求項15】
およびRの少なくとも1つがC1−6アルキルである請求項9ないし14のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
が水素であり;Rがフェニルメチルであり;RがC1−4アルキルである請求項9ないし15のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】

{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル;
{1−ベンジル−3−[(2−ジメチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−2−ヒドロキシ−プロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イルエステル;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−2−(2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−3−フルオロ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(4−アミノメチル−2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸チアゾール−5−イルメチルエステル;
3−アミノ−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−2−メチル−ベンズアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸テトラヒドロ−フラン−3−イルエステル;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド;
N−{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−2−(4−ヨード−2,6−ジメチル−フェノキシ)−アセトアミド;
2−(4−アミノメチル−2,6−ジメチル−フェノキシ)−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−アセトアミド;
2−(4−アミノ−2,6−ジメチル−フェノキシ)−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−アセトアミド;
N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−4−ブロモ−2−メチル−ベンズアミド;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸オキサゾール−5−イルメチルエステル;
4−アミノ−N−{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−3−ヒドロキシ−2−メチル−ベンズアミド
を有する請求項9ないし16のいずれか1項に記載の化合物、それらの塩、または立体異性体。
【請求項18】

{3−[(2−アミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−1−ベンジル−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イル エステル;
{1−ベンジル−2−ヒドロキシ−3−[イソブチル−(2−メチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−アミノ]−プロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イル エステル;
{1−ベンジル−3−[(2−ジメチルアミノ−ベンゾチアゾール−6−スルホニル)−イソブチル−アミノ]−2−ヒドロキシプロピル}−カルバミン酸ヘキサヒドロ−フロ[2,3−b]フラン−3−イル エステル
を有する請求項9または10に記載の化合物、それらの塩、または立体異性体。

【公表番号】特表2006−503815(P2006−503815A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−526916(P2004−526916)
【出願日】平成15年8月4日(2003.8.4)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050359
【国際公開番号】WO2004/014371
【国際公開日】平成16年2月19日(2004.2.19)
【出願人】(504347371)テイボテク・フアーマシユーチカルズ・リミテツド (94)
【Fターム(参考)】