説明

広域分散型電力系統監視制御システム、その装置運転状態検出方法およびシステム監視装置

【課題】電力系統の監視制御システムにおいて、被災時のシステムの信頼性・可用性の向上と、業務量に応じた運用体制変更への柔軟な対応ができるシステムを提供することである。
【解決手段】電力系統に係る複数の拠点が地理的に広域に分散配置されている広域分散型電力系統監視制御システムであって、電力系統の監視制御処理を行うサーバ計算機と監視制御処理に付帯する業務を行うサーバ計算機からなる処理装置群を有する複数のシステム拠点と、操作卓や系統監視盤などのユーザインターフェース装置群を有する1または2以上のHMI拠点と、を備え、前記複数のシステム拠点と前記HMI拠点の各拠点にシステム監視装置を配備し、前記システム監視装置が取得した自拠点の装置群の運転状態と他拠点の装置群の運転状態、及び他拠点のシステム監視装置が取得した運転状態を元に、システム全体の各装置の運転状態を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統の監視制御処理を行うサーバ計算機と操作卓等のユーザインターフェース装置群を備えた電力系統の監視制御システム、および、その装置運転状態検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電力系統の監視制御システムは、1拠点に多重系サーバ計算機や操作卓等を設置し、多重系サーバ間の相互監視を行い、各装置の運転状態を把握しながら監視制御処理を行う集中型システム形態(特許文献1参照)が採用されてきた。しかし近年のIP(Internet Protocol)技術の発展に伴い、電力系統の監視制御システムにおいてもIP技術を用いたシステム構築が可能となり、制御所の被災時等に地理的に離れた箇所でのバックアップ運転ができるシステム構成や、サーバ計算機を増設せずに運用拠点を増設することができる柔軟なシステム構築が可能な監視制御システムの要求が高まってきた。このように、IP技術の発達により、集中型システム形態から、システム拠点を広域に分散して設置する広域分散型システム形態への移行が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−299658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にみられるような集中型システム形態は、1拠点の制御所に集中して設置された多重系サーバ計算機や操作卓等が災害などにより、装置故障が発生した場合、あるいは通信ネットワークの障害等が発生した場合には、充分な対応ができなかった。
また、電力系統が拡充や統合がされ、運用体制の変更がなされる場合には、集中型システム形態は、システムの管理体制を根本的に見直し、再構築する必要性が生ずる場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、前記の事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、被災時のシステムの信頼性・可用性の向上と、業務量に応じた運用体制変更への柔軟な対応ができるシステムなどを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明を以下のように構成した。
すなわち、本発明の広域分散型電力系統監視制御システムは、電力系統に係る複数の拠点が地理的に広域に分散配置されている広域分散型電力系統監視制御システムであって、電力系統の監視制御処理と監視制御処理に付帯する業務を行う処理装置群を有する複数のシステム拠点と、操作卓や系統監視盤などのユーザインターフェース装置群を有する1または2以上のHMI(Human Machine Interface)拠点と、を備え、前記システム拠点と前記HMI拠点の各拠点に前記電力系統の監視制御処理を行うシステム監視装置を配備し、前記システム監視装置が取得した自拠点の装置群の運転状態情報と他拠点の装置群の運転状態情報、及び他拠点のシステム監視装置が取得した自拠点および他拠点の装置群の運転状態情報を元に、前記システム拠点と前記HMI拠点を含むシステム全体の各装置の運転状態を作成することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の装置運転状態検出方法は、前記広域分散型電力系統監視制御システムに設置された前記システム監視装置の装置運転状態検出方法であって、前記各拠点の前記システム監視装置が取得した前記各拠点の装置運転状態情報を集約し、前記システム拠点と前記HMI拠点を含むシステム全体の装置運転状態を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上、本発明によれば、被災時のシステムの信頼性・可用性の向上と、業務量に応じた運用体制変更への柔軟な対応ができるシステムなどを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のシステム拠点、HMI拠点をそれぞれ2箇所設けた、広域分散における異常検出をするシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の広域分散型電力系統監視制御システムによるシステム全体の装置状態の作成方法について示す図である。
【図3A】本発明の実施形態において、第1システム拠点のシステム監視装置がシステム全体の装置運転状態を集約するときの判定フローの一部を示す図である。
【図3B】本発明の実施形態において、第1システム拠点のシステム監視装置がシステム全体の装置運転状態を集約するときの判定フローの別の一部を示す図である。
【図3C】本発明の実施形態において、第1システム拠点のシステム監視装置がシステム全体の装置運転状態を集約するときの判定フローのさらに別の一部を示す図である。
【図4】本発明の実施形態において、第1システム拠点のシステム監視装置がシステム全体の装置運転状態を集約するときの判定フローの第2の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<システム構成>
図1は、システム拠点、HMI拠点をそれぞれ2箇所設けた、本発明の広域分散における異常検出を示すシステム構成図である。
なお、各システム拠点、HMI拠点は、それぞれ別の離れた地域に設置されても、ほぼ同一地点に設置されてもよい。
【0011】
図1において、第1HMI拠点11は、系統監視盤111、操作卓112、システム監視装置(処理装置)113から構成されている。
また、第2HMI拠点12は、系統監視盤121、操作卓122、システム監視装置123から構成されている。
なお、第1HMI拠点11、第2HMI拠点12における系統監視盤111、121と操作卓112、122は、拠点の管理者や操作員が電力系統の状態を監視したり、保全の操作をしたりする設備である。
システム監視装置113、123については、第1システム拠点13、第2システム拠点14のシステム監視装置133、143と概ね同じ機能、動作、役目を有するので、詳しくは後記する。
【0012】
また、第1システム拠点13は、3重系サーバ(多重系サーバ、処理装置)A系135、3重系サーバC系137、2重系サーバ(多重系サーバ、処理装置)A系134、システム監視装置133から構成されている。
また、第2システム拠点14は、3重系サーバB系146、2重系サーバB系144、システム監視装置143から構成されている。
【0013】
なお、2重系サーバA系134と2重系サーバB系144は、それぞれ第1システム拠点13と第2システム拠点14において、2重(A系、B系)に同一のデータを重複して処理、管理、保存しており、その状況を「2重系サーバA系」、「2重系サーバB系」という表記で示している。
通常はA系と表記した2重系サーバA系134がメイン(主)であり、第1HMI拠点11、第2HMI拠点12、第1システム拠点13、第2システム拠点14のサーバとして使用される。
そして2重系サーバB系144も処理は行っているが待機(待機モード)の状態であって、2重系サーバA系134のバックアップとして待機している。そして、2重系サーバA系134に障害(装置、通信網)が発生した場合に、2重系サーバB系144が第1HMI拠点11、第2HMI拠点12、第1システム拠点13、第2システム拠点14のサーバとして使用される。
【0014】
また、同様に、3重系サーバA系135、3重系サーバC系137、3重系サーバB系146は、第1システム拠点13にA系、C系があり、第2システム拠点14にB系があって、3重(A系、B系、C系)に同一のデータを重複して処理、管理、保存しており、その状況を「3重系サーバA系」、「3重系サーバC系」、「3重系サーバB系」という表記で示している。
通常はA系と表記した3重系サーバA系135がメイン(主)として使用される。そして3重系サーバB系146も処理は行っているが待機(待機モード)の状態であって、3重系サーバA系135のバックアップとして待機している。また、3重系サーバC系137も処理は行っているが待機(待機・待機モード)の状態、もしくは試験時に使用され(試験モード)、3重系サーバA系135と3重系サーバB系146のさらなるバックアップの役目をしている。
【0015】
第1HMI拠点11において、系統監視盤111、操作卓112、システム監視装置113は、a系LAN(Local Area Network)81aとb系LAN81bに接続され、また、これらのLANを介してIP網91、92に接続されている。
第2HMI拠点12において、系統監視盤121、操作卓122、システム監視装置123は、a系LAN82aとb系LAN82bに接続され、また、これらのLANを介してIP網91、92に接続されている。
第1HMI拠点11におけるa系LAN81aとb系LAN81bは、前記したように、系統監視盤111、操作卓112、システム監視装置113に、ともに接続されているので、a系LAN81aとb系LAN81bが互いに、補完、あるいはバックアップする機能を果たす。第2HMI拠点12におけるa系LAN82aとb系LAN82bにおける関係も同様である。
なお、3重系サーバA系135における「A系」とa系LAN81aにおける「a系」とは、格別な関連はない。
【0016】
第1システム拠点13において、システム監視装置133、2重系サーバA系134、3重系サーバA系135、3重系サーバC系137は、a系LAN83aとb系LAN83bに接続され、また、これらのLANを介してIP網91、92に接続されている。
第2システム拠点14において、システム監視装置143、2重系サーバB系144、3重系サーバB系146は、a系LAN84aとb系LAN84bに接続され、また、これらのLANを介してIP網91、92に接続されている。
【0017】
前記した各拠点(11、12、13、14)は、IP網91、92を介して広域ネットワーク経由で多重系接続されていることにより、一対一の拠点間相互監視ではなく一対多(一拠点対多数拠点)の拠点間相互監視を行うことができる。そのため、各拠点に設置したシステム監視装置(113、123、133、143)は、全ての拠点から直接、システム監視情報を取得することができる。
なお、I12は、第1HMI拠点11と第2HMI拠点12とのシステム監視情報のルートを模式的に表現したものである。また、I13、I14、I23、I24、I34について拠点間のシステム監視情報のルートを模式的に表現したものである。これらのルートは前記したLANとIP網で行う。
【0018】
以上のように、システム拠点(第1システム拠点13、第2システム拠点14)は、電力系統の監視制御処理を行うサーバ計算機(システム監視装置133、143)と、監視制御処理に付帯する業務を行うサーバ計算機(2重系サーバA系134、3重系サーバA系135、3重系サーバC系137、2重系サーバB系144、3重系サーバB系146)からなる処理装置群を備えている。
また、HMI拠点(第1HMI拠点11、第2HMI拠点12)は、操作卓(操作卓112、操作卓122)や系統監視盤(系統監視盤111、系統監視盤121)などのユーザインターフェース装置群を備えている。
【0019】
これらのシステム拠点(第1システム拠点13、第2システム拠点14)とHMI拠点(第1HMI拠点11、第2HMI拠点12)が、地理的に広域に分散配置されている広域分散型電力系統監視制御システムを構成している。
また、これらのシステム拠点(第1システム拠点13、第2システム拠点14)とHMI拠点(第1HMI拠点11、第2HMI拠点12)は、それぞれの拠点にシステム監視装置(133、143、113、123)を設置し、各拠点のシステム監視装置が自拠点の装置の接点情報、ネットワーク通信状態を取得し、各装置の故障状態、LAN接続状態から自拠点の装置群の運転状態(情報)を取得する。
なお、各拠点のシステム監視装置が、自ら自拠点の運転状態の情報を取得するのみならず、他拠点からも自拠点の装置群の運転状態の情報を取得するのは、自拠点のLAN、あるいは、装置とLANの間の接続において、不具合が発生している可能性があるからである。
【0020】
さらに、それぞれのシステム監視装置(133、143、113、123)は、各拠点(13、14、11、12)を接続するIP網(91、92)を介した他拠点(13、14、11、12)の装置とのネットワーク通信状態から、他拠点(13、14、11、12)の装置群の運転状態(情報)を取得する。
各拠点のシステム監視装置(133、143、113、123)は、IP網(91、92)を介して他拠点(13、14、11、12)のシステム監視装置(133、143、113、123)が作成した装置群の運転状態(情報)を収集し、その運転状態(情報)を集約することでシステム全体の運転状態を作成(検出)する。
【0021】
<システム全体の装置状態の作成方法>
図2は、本実施形態の広域分散型電力系統監視制御システムによるシステム全体の装置状態の作成方法について示す図である。
図1に示すような、2つのシステム拠点(13、14)と2つのHMI拠点(11、12)を備える広域分散型電力系統監視制御システムを例に、本発明によるシステム全体の装置状態の作成方法を、図2を参照して述べる。
【0022】
図2において、第1装置状態21は、(他拠点のシステム監視装置による)集約情報および他拠点の情報なしに、第1システム拠点13(図1)のシステム監視装置(システム監視サーバ)133(図1)がLAN、IPを介して得た情報によって作成したシステム全体の状態を示している。
各拠点における各装置とLANの間、またLANそのもの、あるいは拠点間のIP網に異常、故障がなければ、前記の第1装置状態21の示すシステム監視装置133が作成したシステム全体の状態は、正しいシステム全体の状態を反映している。
しかし、災害などにより、各装置やLAN、IP網に障害が発生した場合、前記した第1装置状態21の示すシステム監視装置133が作成したシステム全体の状態は、正しいシステム全体の状態を反映しているとは限らない。
したがって、後記するような、第2装置状態22、第3装置状態23、第4装置状態24が相当する各拠点の各システム監視装置が作成したシステム全体の状態の情報が必要となる。
【0023】
なお、第1装置状態21において、4つのブロックは、第1システム拠点13の状態13S、第2システム拠点14(図1)の状態14T1、第1HMI拠点11(図1)の状態11T1、第2HMI拠点12(図1)の状態12T1をそれぞれ表している。そして、前記したように、第1システム拠点13のシステム監視装置133が作成した状態図であるので、第1システム拠点13の状態13Sは、自拠点(第1システム拠点13)からみた状態であって、その自拠点であることを示すために、第1システム拠点のブロック内に(自拠点)の用語を付加し、かつブロックの枠を相対的に太枠とし、また第1システム拠点の状態の符号「13S」において「自拠点」を示す「S」の符号を添えている。
また、第2システム拠点14の状態14T1、第1HMI拠点11の状態11T1、第2HMI拠点12の状態12T1は、それぞれが他拠点であることを示すために、各拠点のブロック内に(他拠点)の用語を付加し、かつブロックの枠を相対的に細枠とし、また各拠点の状態の符号「14T1」、「11T1」、「12T1」、において「他拠点」を示す「T」の符号を添えている。なお、Tの後の末尾の「1」は第1装置状態21であることを表している。
【0024】
また、第2装置状態22は、(他拠点のシステム監視装置による)集約情報および他拠点の情報なしに、第2システム拠点14のシステム監視装置(システム監視サーバ)143(図1)がLAN、IPを介して得た情報によって作成したシステム全体の状態を示している。
【0025】
なお、第2装置状態22において、4つのブロックは、第2システム拠点14の状態14S、第1システム拠点13の状態13T2、第1HMI拠点11の状態11T2、第2HMI拠点12の状態12T2を表している。そして、前記したように、第2システム拠点14のシステム監視装置143が作成した状態図であるので、第2システム拠点14の状態14Sは、自拠点からみた状態であって、その自拠点であることを示すために、第2システム拠点14のブロック内に(自拠点)の用語を付加し、かつブロックの枠を相対的に太枠とし、また第2システム拠点の状態の符号「14S」において「自拠点」を示す「S」の符号を添えている。
また、第1システム拠点13の状態13T2、第1HMI拠点11の状態11T2、第2HMI拠点12の状態12T2は、他拠点であることを示すために、各拠点のブロック内に(他拠点)の用語を付加し、かつブロックの枠を相対的に細枠とし、また各拠点の状態の符号「13T2」、「11T2」、「12T2」、において「他拠点」を示す「T」の符号を添えている。なお、Tの後の末尾の「2」は第2装置状態22であることを表している。
【0026】
また、第3装置状態23は、(他拠点のシステム監視装置による)集約情報および他拠点の情報なしに、第1HMI拠点11のシステム監視装置(システム監視サーバ)113(図1)がLAN、IPを介して得た情報によって作成したシステム全体の状態を示している。
【0027】
なお、第3装置状態23において、4つのブロックは、第1HMI拠点11の状態11S、第2HMI拠点12の状態12T3、第1システム拠点13の状態13T3、第2システム拠点14の状態14T3を表している。
なお、「自拠点」、「他拠点」、「太枠」、「細枠」、「S」、「T」に関する説明は重複するので省略する。
【0028】
また、第4装置状態24は、(他拠点のシステム監視装置による)集約情報および他拠点の情報なしに、第2HMI拠点12のシステム監視装置(システム監視サーバ)123(図1)がLAN、IPを介して得た情報によって作成したシステム全体の状態を示している。
【0029】
なお、第4装置状態24において、4つのブロックは、第2HMI拠点12の状態12S、第1HMI拠点11の状態11T4、第1システム拠点13の状態13T4、第2システム拠点14の状態14T4を表している。
なお、「自拠点」、「他拠点」、「太枠」、「細枠」、「S」、「T」に関する説明は重複するので省略する。
【0030】
ちなみに、第1システム拠点13のシステム監視装置133がシステム全体の装置状態を把握するとき、各拠点のシステム監視装置は全ての拠点と、集約情報及び、他拠点の情報なしに各拠点のシステム監視装置が作成した自拠点の装置群の運転状態を、IP網を介して共有することでこれらの情報を取得し、取得した情報に確度を与えて集約し、システム全体の装置群の運転状態を作成する。
【0031】
<システム全体の装置運転状態を集約するときの判定フロー(第1例)>
図3Aは、第1システム拠点13(図1)のシステム監視装置133(図1)がシステム全体の装置運転状態を集約するときの判定フローの一部を示す図である。
以下に判定フローの各ステップについて説明する。
【0032】
《ステップS101》
まず、第1システム拠点13のシステム監視装置133は、自拠点である第1システム拠点13の装置群の運転状態を作成する(状態13S、図2)。
また、併せて、第2システム拠点14、第1HMI拠点11、第2HMI拠点12は、それぞれが第1システム拠点13の装置群の運転状態を作成する(状態13T2、状態13T3、状態13T4、図2)。
第1システム拠点13のシステム監視装置133は、第2システム拠点14(図1)、第1HMI拠点11(図1)、第2HMI拠点12(図1)が作成した第1システム拠点13の装置群の運転状態情報を収集する。
なお、図3AのステップS101には、「自拠点の装置群の運転状態を作成」と表記している。
【0033】
《ステップS102》
また、第1システム拠点13のシステム監視装置133は、システム全体の装置状態のうち、第1システム拠点13の装置状態については、自拠点の装置の監視結果、つまり、第1システム拠点13のシステム監視装置133の監視結果(状態13S、図2)を採用する。
なお、図3AのステップS102には、「自拠点装置であるため自拠点装置の監視結果を採用」と表記している。
【0034】
《ステップS103》
次に、第1システム拠点13のシステム監視装置(133、図1)が第2システム拠点14の装置群の運転状態を作成する(状態13T2、図2)。併せて、第2システム拠点14、第1HMI拠点11、第2HMI拠点12の各拠点のシステム監視装置(143、113、123、図1)が第2システム拠点14の装置群の運転状態を作成する(状態14S、状態11T2、状態12T2、図2)。
なお、図3AのステップS103には、「各拠点のシステム監視装置が第2システム拠点の装置群の運転状態を作成」と表記している。
【0035】
《ステップS104》
第1システム拠点13のシステム監視装置133は、前記の第2システム拠点14、第1HMI拠点11、第2HMI拠点12が作成した第2システム拠点14の装置群の運転状態情報(状態14S、状態11T2、状態12T2、図2)を収集する。
なお、図3AのステップS104には、「第1システム拠点が上記情報を取得」と表記している。
【0036】
《ステップS105》
第1システム拠点13のシステム監視装置133は、システム全体の装置状態のうち、第2システム拠点14の装置の運転状態の作成にあたっては、各拠点のシステム監視装置(133、143、113、123)が作成した第2システム拠点14の運転状態の情報に以下のように確度を与える。
(A1)第2システム拠点14のシステム監視装置143から得た情報の確度を最大(拠点数4の場合、3)とする。最大とする理由は、第2システム拠点14の装置状態については、自拠点である第2システム拠点14のシステム監視装置143の情報が最も確からしいからである。
(A2)第1システム拠点13のシステム監視装置133が判定した情報の確度を中(拠点数4の場合、2)とする。中とする理由は、自拠点の装置の情報である第2システム拠点14ほどの確度はないが、システム拠点どうしの情報であるからである。
(A3)第1HMI拠点11及び第2HMI拠点12のシステム監視装置113、123から得た情報の確度を最小(拠点数4の場合、1)とする。最小とする理由は、HMI拠点とシステム拠点はシステム拠点間どうしの情報よりは、情報の信頼度が低減すると推定されるからである。
なお、図3AのステップS105には、「第2システム拠点内の各装置の運転状態情報に重みを付与」と表記している。
【0037】
《ステップS106》
前記した各拠点のシステム監視装置が作成した第2システム拠点14の運転状態の情報を元に、第2システム拠点14の各装置の装置状態が正常であれば、上記で設定した確度に「1」を乗じ、異常であれば「−1」を乗じ、当該情報が取得できない場合は「0」を乗ずる。
なお、図3AのステップS106には、「第2システム拠点内の運転状態情報で確度に1、−1、0を乗ずる」と表記している。
【0038】
《ステップS107》
前記の確度に装置状態によって、1、−1、0を乗じた数値を、拠点内の各装置ごとに加算する。
なお、図3AのステップS107には、「拠点内の各装置ごとに加算」と表記している。
【0039】
《ステップS108》
加算した結果を判定する。加算した結果が正の値であれば(Yes)、ステップS109に進み、負の値または0であれば(No)、ステップS110に進む。
なお、加算した結果が0の場合は、第2システム拠点14の各装置の装置状態の情報が取得できない状況でもあるので、装置が正常か異常かを正確には把握できていない場合に相当する。この場合には、安全サイド(異常装置を正常と誤判定しないように)に判定するために、前記加算した結果が0の場合も(No)として、ステップS110に進む。
また、図3AのステップS108には、「加算した結果が正の値であるか」と表記している。
【0040】
《ステップS109》
ステップS109に到達した場合には、装置は正常であると判定する。そしてステップS111に進む。
なお、図3AのステップS109には、「装置正常」と表記している。
【0041】
《ステップS110》
ステップS110に到達した場合には、装置は異常であると判定する。そしてステップS111に進む。
なお、図3AのステップS110には、「装置異常」と表記している。
【0042】
《ステップS111》
計算すべき装置がある限り、ステップS107に戻り、ステップS107からステップS111までのループの処理を繰り返す。装置の計算がすべて終了したらステップS112に進む。
なお、図3AのステップS111のブロック内には、特に機能が表記されていない。これは、ステップS111がループの末端であるからである。
ステップS107とステップS111のブロックの記号において、それぞれの上端と下端のブロックの角を2ヶ所削って、ループの始点と末端をそれぞれ表記している。
【0043】
《ステップS112》
以上の計算結果を基に、第1システム拠点13のシステム監視装置133は、第2システム拠点14の全体の運転状態を作成する。そして、経由点P1を通って、図3BのステップS113に進む。
なお、図3AのステップS112には、「第2システム拠点の全体の運転状態を作成」と表記している。
【0044】
図3Bは、第1システム拠点13のシステム監視装置133がシステム全体の装置運転状態を集約するときの判定フローの他の一部を示す図である。
図3Bを参照して、ステップS113〜ステップS122について説明する。
【0045】
《ステップS113》
次に、第1システム拠点13のシステム監視装置(133、図1)が第1HMI拠点11の装置群の運転状態を作成する(状態13T3、図2)。併せて、第2システム拠点14、第1HMI拠点11、第2HMI拠点12の各拠点のシステム監視装置(143、113、123、図1)が第1HMI拠点11の装置群の運転状態を作成する(状態14T3、状態11S、状態12T3、図2)。
なお、図3BのステップS113には、「各拠点のシステム監視装置が第1HMI拠点の装置群の運転状態を作成」と表記している。
【0046】
《ステップS114》
第1システム拠点13のシステム監視装置133は、前記の第2システム拠点14、第1HMI拠点11、第2HMI拠点12が作成した第1HMI拠点11の装置群の運転状態情報(状態14T3、状態11S、状態12T3、図2)を収集する。
なお、図3BのステップS114には、「第1システム拠点が上記情報を取得」と表記している。
【0047】
《ステップS115》
第1システム拠点13のシステム監視装置133は、システム全体の装置状態のうち、第1HMI拠点11の装置の運転状態の作成にあたっては、各拠点のシステム監視装置(133、143、113、123)が作成した第1HMI拠点11の運転状態の情報に以下のように確度を与える。
(B1)第1HMI拠点11のシステム監視装置113から得た情報の確度を最大(拠点数4の場合、3)とする。
(B2)第1システム拠点13のシステム監視装置133が判定した情報の確度を中(拠点数4の場合、2)とする。
(B3)第2システム拠点14及び第2HMI拠点12のシステム監視装置143、123から得た情報の確度を最小(拠点数4の場合、1)とする。
なお、図3BのステップS115には、「第1HMI拠点内の各装置の運転状態情報に重みを付与」と表記している。
【0048】
《ステップS116》
前記した各拠点のシステム監視装置が作成した第1HMI拠点11の運転状態の情報を元に、第1HMI拠点11の各装置の装置状態が正常であれば、上記で設定した確度に「1」を乗じ、異常であれば「−1」を乗じ、当該情報が取得できない場合は「0」を乗ずる。
なお、図3BのステップS116には、「第1HMI拠点11内の運転状態情報で確度に1、−1、0の係数を乗ずる」と表記している。
【0049】
《ステップS117》
前記の確度に装置状態によって、1、−1、0を乗じた数値を各装置ごとに加算する。
なお、図3BのステップS117には、「拠点内の各装置ごとに加算」と表記している。
【0050】
《ステップS118》
加算した結果を判定する。加算した結果が正の値であれば(Yes)、ステップS119に進み、負の値または0であれば(No)、ステップS120に進む。
なお、図3BのステップS118には、「加算した結果が正の値であるか」と表記している。
【0051】
《ステップS119》
ステップS119に到達した場合には、装置は正常であると判定する。そしてステップS121に進む。
なお、図3BのステップS119には、「装置正常」と表記している。
【0052】
《ステップS120》
ステップS120に到達した場合には、装置は異常であると判定する。そしてステップS121に進む。
なお、図3BのステップS120には、「装置異常」と表記している。
【0053】
《ステップS121》
計算すべき装置がある限り、ステップS117に戻り、ステップS117からステップS121までのループの処理を繰り返す。装置の計算がすべて終了したらステップS122に進む。
なお、図3BのステップS121のブロック内には、特に機能を表記していない。これは、ステップS121がループの末端であるからである。
ステップS117とステップS121のブロックの記号を、それぞれの上端と下端のブロックの角を2ヶ所削って、ループの始点と末端をそれぞれ表記している。
【0054】
《ステップS122》
以上の計算結果を基に、第1システム拠点13のシステム監視装置133は、第1HMI拠点11の全体の運転状態を作成する。そして、経由点P2を通って、図3CのステップS123に進む。
なお、図3BのステップS122には、「第1HMI拠点の全体の運転状態を作成」と表記している。
【0055】
図3Cは、第1システム拠点13のシステム監視装置133がシステム全体の装置運転状態(情報)を集約するときの判定フローのさらに他の一部を示す図である。
図3Cを参照して、ステップS123〜ステップS133について説明する。
【0056】
《ステップS123》
次に、第1システム拠点13のシステム監視装置(133、図1)が第2HMI拠点12の装置群の運転状態を作成する(状態13T4、図2)。併せて、第2システム拠点14、第1HMI拠点11、第2HMI拠点12の各拠点のシステム監視装置(143、113、123、図1)が第2HMI拠点12の装置群の運転状態を作成する(状態14T4、状態11T4、状態12S、図2)。
なお、図3CのステップS123には、「各拠点のシステム監視装置が第2HMI拠点の装置群の運転状態を作成」と表記している。
【0057】
《ステップS124》
第1システム拠点13のシステム監視装置133は、前記の第2システム拠点14、第1HMI拠点11、第2HMI拠点12が作成した第2HMI拠点12の装置群の運転状態情報(状態14T4、状態11T4、状態12S、図2)を収集する。
なお、図3CのステップS124には、「第1システム拠点が上記情報を取得」と表記している。
【0058】
《ステップS125》
第1システム拠点13のシステム監視装置133は、システム全体の装置状態のうち、第2システム拠点14の装置の運転状態の作成にあたっては、各拠点のシステム監視装置が作成した第2システム拠点14の運転状態の情報に以下のように確度を与える。
(C1)第2HMI拠点12のシステム監視装置123から得た情報の確度を最大(拠点数4の場合、3)とする。
(C2)第1システム拠点13のシステム監視装置133が判定した情報の確度を中(拠点数4の場合、2)とする。
(C3)第2システム拠点14及び第1HMI拠点11のシステム監視装置143、113から得た情報の確度を最小(拠点数4の場合、1)とする。
なお、図3CのステップS125には、「第2システム拠点内の各装置の運転状態情報に重みを付与」と表記している。
【0059】
《ステップS126》
前記した各拠点のシステム監視装置が作成した第1HMI11の運転状態の情報を元に、第2HMI拠点12の各装置の装置状態が正常であれば上記で設定した確度に「1」を乗じ、異常であれば「−1」を乗じ、当該情報が取得できない場合は「0」を乗ずる。
なお、図3CのステップS126には、「第2HMI拠点内の運転状態情報で確度に1、−1、0の係数を乗ずる」と表記している。
【0060】
《ステップS127》
前記の確度に装置状態によって、1、−1、0を乗じた数値を各装置ごとに加算する。
なお、図3CのステップS127には、「拠点内の各装置ごとに加算」と表記している。
【0061】
《ステップS128》
加算した結果を判定する。加算した結果が正の値であれば(Yes)、ステップS129に進み、負の値または0であれば(No)、ステップS130に進む。
なお、図3CのステップS128には、「加算した結果が正の値であるか」と表記している。
【0062】
《ステップS129》
ステップS129に到達した場合には、装置は正常であると判定する。そしてステップS131に進む。
なお、図3CのステップS129には、「装置正常」と表記している。
【0063】
《ステップS130》
ステップS130に到達した場合には、装置は異常であると判定する。そしてステップS121に進む。
なお、図3CのステップS130には、「装置異常」と表記している。
【0064】
《ステップS131》
計算すべき装置がある限り、ステップS127に戻り、ステップS127からステップS131までのループの処理を繰り返す。装置の計算がすべて終了したらステップS132に進む。
なお、図3CのステップS131のブロック内には、特に機能が表記されていない。これは、ステップS131がループの末端であるからである。
ステップS127とステップS131のブロックの記号を、それぞれの上端と下端のブロックの角を2ヶ所削って、ループの始点と末端をそれぞれ表記している。
【0065】
《ステップS132》
以上の計算結果を基に、第2HMI拠点12の全体の運転状態を作成する。そして、ステップS133に進む。
なお、図3CのステップS132には、「第2HMI拠点の全体の運転状態を作成」と表記している。
【0066】
《ステップS133》
第1システム拠点13、第2システム拠点14、第1HMI拠点11、第2HMI拠点12の集約した運転状態(情報)を第1システム拠点13のシステム監視装置113から監視したシステム全体の運転状態とする。
なお、図3CのステップS133には、「第1、第2システム拠点、第1、第2HMI拠点の運転状態(情報)を集約してシステム全体の運転状態とする」と表記している。
また、ステップS133の後は、ENDで終了する。
【0067】
<図3A〜図3Cで示したフローチャート>
図3A〜図3Cで示したフローチャートの例でわかるように、集約したシステム全体の運転状態情報を用いることで、広域分散型システム形態においても各拠点のシステム監視装置が、他拠点の装置を含むシステム全体の各装置の運転状態を作成することができる。
したがって、本実施形態は、地理的に広域に分散配置された各拠点を結合するIP網や各拠点内の通信ネットワーク(LAN)の障害、装置故障などが発生した場合に、各拠点のシステム監視装置がそれぞれシステム全体の運転情報を検出し、集約して、総合的に判定する。このため災害などによって、前記のIP網や各拠点内の通信ネットワーク(LAN)の障害、装置故障などが部分的、地域的に発生した場合においても、システムとしては高い信頼性を有する。
【0068】
また、以上の図3A〜図3Cで示したフローチャートは、前記したように、第1システム拠点13(図1)のシステム監視装置133(図1)がシステム全体の装置運転状態を集約するときの判定フローを示す図であって、第2システム拠点14(図1)のシステム監視装置143(図1)がシステム全体の装置運転状態(情報)を集約するときの判定フローは、第1システム拠点と第2システム拠点の関係を置き換えた判定フローとなる。
また、第1HMI拠点11(図1)、第2HMI拠点12(図1)のそれぞれのシステム監視装置113、123(図1)がシステム全体の装置運転状態(情報)を集約するときの判定フローも、各拠点を入れ換えたほぼ同様の判定フローとなる。
【0069】
<システム全体の装置運転状態を集約するときの判定フロー(第2例)>
次に置運転状態を集約するときの判定のフローチャート(判定フロー)の第2例について述べる。
図4は、第1システム拠点13(図1)のシステム監視装置133(図1)がシステム全体の装置運転状態を集約するときの判定フローの第2例を示す図である。
図3A〜図3Cで示したフローチャートの第1例は、第1システム拠点13、第2システム拠点14(図1)、第1HMI拠点11(図1)、第2HMI拠点12(図1)の各情報の集約を直列に順に進める例であった。
しかしながら、各拠点の各情報の集約を並列(平行)に進めてもよい。
図4は、各拠点の各情報の集約を並列(平行)に進めたフローチャートである。
【0070】
《ステップS101P》
図4において、ステップS101Pで第1システム拠点13の全体の運転状態を作成する。このとき、第1システム拠点13の運転状態は第1システム拠点13の自拠点のシステム監視装置の監視結果を採用する。
この図4のステップS101Pは、図3AにおけるステップS101と概ね同一である。ただし、「自拠点の装置群の運転状態を作成」(S101、図3A)のみならず、「自拠点装置であるための自拠点装置の監視結果を採用」(S102、図3A)することによって、「第1システム拠点の全体の運転状態を作成」している。
なお、図4ではステップS101を「自拠点の装置群の運転状態を作成し、採用して第1システム拠点の全体の運転状態を作成」と表記されている。
【0071】
《ステップS103P〜ステップS112P》
図4において、ステップS103Pの「各拠点のシステム監視装置が第2システム拠点の装置群の運転状態を作成」からステップS112Pの「第2システム拠点の全体の運転状態を作成」まで、図3AにおけるステップS103からステップS112と同一のフローを遂行する。
なお、図4のステップS103PからステップS112Pの間が破線で示されているのは、図3におけるステップS103からステップS112と同一のフローにおける、その間のブロックの表記を省略していることに対応している。
【0072】
《ステップS113P〜ステップS122P》
図4において、ステップS113Pの「各拠点のシステム監視装置が第1HMI拠点の装置群の運転状態を作成」からステップS122Pの「第1HMI拠点の全体の運転状態を作成」まで、図3BにおけるステップS113からステップS122と同一のフローを遂行する。
なお、図4のステップS113PからステップS122Pの間が破線で示されているのは、図3BにおけるステップS113からステップS122と同一のフローにおける、その間のブロックの表記を省略していることに対応している。
【0073】
《ステップS123P〜ステップS132P》
図4において、ステップS123Pの「各拠点のシステム監視装置が第2HMI拠点の装置群の運転状態を作成」からステップS132Pの「第2HMI拠点の全体の運転状態を作成」まで、図3CにおけるステップS123からステップS132と同一のフローを遂行する。
なお、図4のステップS123PからステップS132Pの間が破線で示されているのは、図3CにおけるステップS113からステップS122と同一のフローにおける、その間のブロックの表記を省略していることに対応している。
【0074】
《ステップS101P、S103P、S113P、S123PのSTART》
前記した、各拠点(第1システム拠点、第2システム拠点、第1HMI拠点、第2HMI拠点)のシステム監視装置が各拠点(第1システム拠点、第2システム拠点、第1HMI拠点、第2HMI拠点)の装置群の運転状態を作成するステップS101P、ステップS103P、ステップS113P、ステップS123Pを、「START」から併せて、並列(並行)に実施を開始する。
【0075】
《ステップS101P、S103P、S113P、S123Pから各ステップ並列進行》
前記した、各拠点(第1システム拠点、第2システム拠点、第1HMI拠点、第2HMI拠点)のシステム監視装置が各拠点(第1システム拠点、第2システム拠点、第1HMI拠点、第2HMI拠点)の装置群の運転状態を作成するステップS101P、ステップS103P、ステップS113P、ステップS123Pからの各ステップが並列(並行)して進行する。
【0076】
そして、ステップS101Pが遂行された段階において、「第1システム拠点の全体の運転状態」が作成される。
また、ステップS112Pが遂行された段階において、「第2システム拠点の全体の運転状態」が作成される。
また、ステップS122Pが遂行された段階において、「第1HMI拠点の全体の運転状態」が作成される。
また、ステップS132Pが遂行された段階において、「第2HMI拠点の全体の運転状態」が作成される。
【0077】
《ステップS133P》
以上の4つの運転状態をステップS133Pで集約する。この第1システム拠点、第2システム拠点、第1HMI拠点、第2HMI拠点のそれぞれの全体の運転状態を集約したものを第1システム拠点13のシステム監視装置113から監視したシステム全体の運転状態とする。
なお、図4のステップS133Pには、「第1システム拠点、第2システム拠点、第1HMI拠点、第2HMI拠点の運転状態を集約してシステム全体の運転状態とする」と表記している。
また、ステップS133Pの後は、ENDで終了する。
【0078】
(その他の実施形態)
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではない。以下に示す他の実施形態もある。
【0079】
≪拠点数、新規拠点≫
図1においては、システム拠点が2ヶ所、HMI拠点が2ヶ所の場合を示したが、これらの拠点の数は、これに限定されない。システム拠点は最低でも2ヶ所が必要であるが、3ヶ所以上でもよい。また、HMI拠点は、1ヶ所でもよく、また3ヶ所以上であってもよい。
また、このように拠点数が増加した場合には、新拠点においてシステム監視装置を設置し、LAN、およびIP網との接続により、関連する拠点と情報を共有する体制を追加することで対応できる。
【0080】
また、追加される拠点がHMI拠点である場合には、システム監視装置は必須であるが、監視制御処理に付帯する業務を行う多重系サーバは不要である。その理由は、既存のシステム拠点の多重系サーバがあるためである。
また、このとき、新規の拠点、装置、通信網の接続を追加するのみで、それ以前の拠点、装置、通信網の接続については、根本的な修正・変更をする必要はない。
また、各拠点が情報を共有化し、概ね対等(集中型システムに比較して)の関係にあり、また拠点の設置箇所に特に制約はなく、前記したように新規拠点の増加にも対応しやすいので、広域に分散配置される場合にも適している。
【0081】
≪運転状態情報の重み付与≫
また、図3AのステップS105、図3BのステップS115、図3CのステップS125において、各拠点内の各装置の運転状態情報に重みを付与するとして、確度を最大(拠点数4の場合、3)、中(拠点数4の場合、2)、最小(拠点数4の場合、1)として、具体的な数値(3、2、1)を示している。この数値は拠点数が増減する場合に変更される。さらに、拠点数が4の場合においても、情報の確かさや、不確かさの実態に応じて、増減したり、整数値以外の値、例えば小数を含む数値であったりしてもよい。
【0082】
(本発明、本実施形態の補足)
本発明は電力系統の監視制御処理を行うサーバ計算機と監視制御処理に付帯する業務を行うサーバ計算機からなる処理装置群を備えたシステム拠点と、操作卓や系統監視盤などのユーザインターフェース装置群を備えたHMI拠点が地理的に広域に分散配置されている広域分散型電力系統監視制御システムであって、それぞれの拠点にシステム監視装置を設置し、各拠点のシステム監視装置が自拠点の装置の接点情報、ネットワーク通信状態を取得し、また、各装置の故障状態、LAN接続状態から自拠点の装置群の運転状態を取得する。
さらにシステム監視装置は、各拠点を接続するIP網を介した他拠点の装置とのネットワーク通信状態から、他拠点の装置群の運転状態を取得する。
そして、各拠点のシステム監視装置は、IP網を介して他拠点のシステム監視装置が作成した装置群の運転状態を収集し、その運転状態を集約することでシステム全体の運転状態を作成する。
【0083】
したがって、広域分散システム形態においても装置状態(故障有無)、LAN状態(通信可否)、SW状態(接続開閉)、IP網状態の各種情報をシステム監視装置が取得し、自拠点及び、他拠点と相互監視を行ない取得した情報を集約することで、最も確かと思われるシステム全体のシステム監視情報を作成する。これにより、災害などにより拠点間の通信連携が不可となった場合においても装置の異常を検出することができる。
また、集中型システム形態ではなく、広域分散型システム形態であるので、拠点の増加、統合によるシステムの変更が生じた場合でも、各拠点の増減と、各拠点間の連携の変更をすることで集中型システム形態に比較すれば容易に対応できる。
また、拠点数が同一であっても、各拠点の処理業務の分担を変更する場合においても容易に対応できる。
【0084】
このように、本発明によれば、この集中システム形態を広域分散システム形態へと移行することにより、被災時のシステムの信頼性・可用性が向上する。また、後戻り(根本的な再構築)の無いシステム構築、拠点の統合・分散などへの容易な対応、業務量に応じた運用体制変更への柔軟な対応等の効果が得られる。
【符号の説明】
【0085】
11 第1HMI拠点
12 第2HMI拠点
13 第1システム拠点
14 第2システム拠点
111、121 系統監視盤
112、122 操作卓
113、123、133、143 システム監視装置(処理装置)
134 2重系サーバA系(多重系サーバ、処理装置)
135 3重系サーバA系(多重系サーバ、処理装置)
137 3重系サーバC系(多重系サーバ、処理装置)
144 2重系サーバB系(多重系サーバ、処理装置)
146 3重系サーバB系(多重系サーバ、処理装置)
11S 第1HMI拠点の自拠点の装置状態情報
11T1、11T2、11T4 第1HMI拠点の他拠点の装置状態情報
12S 第2HMI拠点の自拠点の装置状態情報
12T1、12T2、12T3 第2HMI拠点の他拠点の装置状態情報
13S 第1システム拠点の自拠点の装置状態情報
13T2、13T3、13T4 第1システム拠点の他拠点の装置状態情報
14S 第2システム拠点の自拠点の装置状態情報
14T1、14T3、14T4 第2システム拠点の他拠点の装置状態情報
21 第1装置状態
22 第2装置状態
23 第3装置状態
24 第4装置状態
81a、82a、83a、84a a系LAN
81b、82b、83b、84b b系LAN
91、92 IP網
I12、I13、I14、I23、I24、I34 システム監視情報の連携ルート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統に係る複数の拠点が地理的に広域に分散配置されている広域分散型電力系統監視制御システムであって、
電力系統の監視制御処理と監視制御処理に付帯する業務を行う処理装置群を有する複数のシステム拠点と、
操作卓や系統監視盤などのユーザインターフェース装置群を有する1または2以上のHMI拠点と、
を備え、
前記システム拠点と前記HMI拠点の各拠点に前記電力系統の監視制御処理を行うシステム監視装置を配備し、
前記システム監視装置が取得した自拠点の装置群の運転状態情報と他拠点の装置群の運転状態情報、及び他拠点のシステム監視装置が取得した自拠点および他拠点の装置群の運転状態情報を元に、前記システム拠点と前記HMI拠点を含むシステム全体の各装置の運転状態を作成することを特徴とする広域分散型電力系統監視制御システム。
【請求項2】
前記システム拠点において、前記電力系統の監視制御処理に付帯する業務を行う処理装置として複数のサーバが同一データを重複して処理する多重系サーバを備えていることを特徴とする請求項1に記載の広域分散型電力系統監視制御システム。
【請求項3】
前記複数のシステム拠点と前記1または2以上のHMI拠点の各拠点間の装置群の運転状態情報を、IP網を介して取得することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の広域分散型電力系統監視制御システム。
【請求項4】
電力系統の監視制御処理と監視制御処理に付帯する業務を行う処理装置群を有する複数のシステム拠点と、
操作卓や系統監視盤などのユーザインターフェース装置群を有する1または2以上のHMI拠点と、
を含む電力系統に係る複数の拠点が地理的に広域に分配配置されてなる、広域分散型電力系統システムにおいて、前記拠点に配備され、前記電力系統の監視処理を行うシステム監視装置の装置運転状態検出方法であって、
前記各拠点の前記システム監視装置が取得した前記各拠点の装置運転状態情報を集約し、前記システム拠点と前記HMI拠点を含むシステム全体の装置運転状態を検出することを特徴とする装置運転状態検出方法。
【請求項5】
電力系統の監視制御処理と監視制御処理に付帯する業務を行う処理装置群を有する複数のシステム拠点と、
操作卓や系統監視盤などのユーザインターフェース装置群を有する1または2以上のHMI拠点と、
を含む電力系統に係る複数の拠点が地理的に広域に分散配置されてなる、広域分散型電力系統システムにおいて、前記拠点に配備され、前記電力系統の監視処理を行うシステム監視装置であって、
前記システム監視装置は、
自身が取得した自拠点の装置群の運転状態情報と他拠点の装置群の運転状態情報に加えて、
前記他拠点に具備されるシステム監視装置が取得したその拠点における装置群の運転状態情報と、前記その拠点からみた他拠点の装置群の運転状態情報を元に、前記システム拠点と前記HMI拠点を含むシステム全体の各装置の運転状態を作成することを特徴とするシステム監視装置。
【請求項6】
前記自身が取得した自拠点の装置群の運転状態情報と他拠点の装置群の運転状態情報における前記他拠点の装置群の運転状態情報は、
前記システム監視装置が、前記他拠点に配備されるシステム監視装置を介さずに、IP網を介して、前記他拠点の装置群から取得したものであることを特徴とする請求項5に記載のシステム監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−33389(P2013−33389A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169245(P2011−169245)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】