説明

広温度範囲で制御可能な周波数安定化He−Neレーザ

【目的】 高精度の安定化レーザ装置には制御回路にコンパレータと積分器から構成される補正装置がついていた。この補正装置は積分器による大きな遅れ要素のため必ず発振を起こすので信号のラインに交流やランダムノイズを重ね発振を抑えていたが重ね方が難しく、発振を止めるための素子の選定などに多大の時間を要していた。さらに重ね方に不合理性がありそのため、制御の目的値の誤差および誤差の分散(ばらつき)が大きかった。発振を止めるに要する時間を短縮すると共に、上記制御の目的値の誤差および誤差の分散を小さくする。
【構成】 上記補正装置を振幅が可変である正弦波発振器とオフセットが小さい演算増幅器と正確な限界電圧を持つ電圧リミッターとを組み合わせて合成増幅器を作りこの合成増幅器の出力を積分する構成とした。高精度の安定化レーザ装置が耐えられる環境温度の範囲を拡げるため、同じような補正装置を二個用いた。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は広く用いられている周波数安定化レーザの高安定度化、使用温度範囲の拡大、高精度安定化の実現の簡易化を行った周波数安定化レーザ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周波数安定化レーザの高安定度化はレーザの制御回路にコンパレータと積分器からなる補正装置で制御信号を補正して実現、実用されている。しかし、該積分器の非常に大きい遅れ要素に起因するいくつかの問題をもっている。大きい遅れ要素には自己発振が付き物であるあることはよく知られており、上記補正装置はまさに大きい遅れ要素をもつ制御であり必ず自己発振がおこる。この自己発振を止めるには工夫が必要であり、ここでも信号にランダムノイズや交流ノイズを重ねて発振の防止を行なっている。交流ノイズを重ねるのは一法である。唯一の方法かもしれない。しかし上記のコンパレータの入力に交流ノイズを重ねるのは簡単であるが、問題が二つ有る。その一つは発振を止めるための常数の決定、調整に多大の時間と労力を要することや自己発振がどうしても止らない場合もあること、いま一つはコンパレータは演算増幅器ではないので、交流ノイズの電圧と制御信号電圧の重ね方は正式の正確な加算は出来でないことと交流ノイズが、たとえ正弦波や正弦波の一部であるとしても線型増幅と言えるような忠実な増幅はおこなはれずその結果、交流ノイズの波形の歪やレベルの変動があり、補正装置のオフセット電圧が高く、また装置ごとの再現性がなく、制御の高精度化に限界を与えていたことである。
【0003】
レーザの2つの直交した偏光の強度の差は波の形となる、この波形の周期は共振器の半波長の伸びに対応するが、徐々に長くなる。しかし、波の昇りと降りが対称的な形である場合は全然問題がないが、なかには波の形が単純ではないレーザ管がある。ポーラリゼーションフリップのあるものであり、そのため波形が鋸歯状になるものである。さらに鋸歯の向きが突然反転したり、また突然対称な波形になったりするので周期の測定が困難になったり、測定が出来なくなる場合もあるので廃棄にするレーザ管が少なくなかった。
レーザ管は円筒に収納されるが、この時シリコンゴムが使用される。シリコンゴムは温度が高くなると蒸気を出しプリズムのように熱容量が大きい低温部に凝集されレーザ光を散乱し偏光の強度の検出を不正確にする。
また高い電流の断続、信号の切り替え等についての機械的リレーは信頼性が高くまた、自己保持が容易であるという利点を持っているが寿命が有限であること、高価であることという決点を持っていた。アナログリレーも比較の問題であるが高価であった。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
制限された加熱ヒータの電源条件、即ち、電圧は市販の電源電圧、電流はケーブルの線の太さで制限されるという条件で、安定化動作が耐えられ得る、環境温度の変化の範囲を広くすること。
制御を高精度化するための積分器を含んで構成される補正装置の、大きな遅れ要素により発生する極低周波の自己発振を止めるために要していた多大の調整時間を短くし困難な調整操作を簡単化する回路を作成すると共に補正装置のオフセットを小さくし装置の高精度化を実現すること。
一切の電流の断続、信号の切り替えを安価なトランジスタで処理すること。
周波数安定化開始までの準備時間、即ち、ウオーミングアップの時間の決定はレーザ管即ち共振器の伸びの速度、即ち、波の周期を目安にするのが最良の法であるが、共振器の伸びと共に変化する波形が三角波から鋸歯状波へ等色々な形に変っては共振器の伸びが半波長である時間を知ることが不可能になるか難しくなる。この困難な問題の解決すること。
プリズムの表面に於ける蒸気の凝集の防止を行なうこと。
以上の問題点の解決が本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
制限された加熱ヒータの電源条件耐えられる環境温度の変化の範囲を広くすることは第1と第2の2組の加熱ヒータを用いるという手段で解決をおこなう。
制御の高精度化のため近似的な制御電圧値を目的の設定電圧値に正確に一致させるため増幅器と積分器からなる補正用回路を使用しているが、積分器のもつ遅れ要素により必ず自己発振が起こる。従って本発明では正確な加減算および正弦波の増幅を行なうため、線型反転増幅器と限界電圧が±Vzの電圧限界器と振幅が可変である正弦波の発信器を組み合わせて一つの非線型合成増幅器を構成した。振幅がBの正弦波と、制御電圧値と設定電圧値の差の電圧Aとを出力電圧値で±Vzの限界電圧をもつ線型反転増幅器に入力して加算増幅を行なう。
加算と増幅の結果はG(A+Bsinωt)となる。Gは増幅率、ωは正弦波の角周波数である。
ωt=x、と書くと合成増幅器の出力の時間平均値Sは、
<G(A+Bsinx)>=<G[A+B{x−x/6+x/120−‥‥x2n−1/(2n−1)!…}]>
となる。振幅Bの値が小さく、電圧Aの値が正で高くK(A+B)>Vzであるとする。正弦波で変調された信号は限界電圧よりも上にあり、此の時、合成増幅器は線型増幅器として働く。G(A+Bsinωt)の中心値が増幅器の限界値より少し低くなった場合、合成増幅器の出力の平均の値Sは上方に偏った正弦曲線と+Vzの間の面積と、−Vzの間の面積の差であたえられる。この場合の該面積は正弦曲線と直線の差であるから、展開式では高次の項まで用いることになる。以上は一般論であるが本発明の場合は一般論と異なり、該合成増幅器は制御の一翼を担うものであり、原理的に、制御系のループの中では制御電圧値と設定電圧値の差の電圧Aは零になるような方向に動かされる量であり零の値に限りなく近付くべき量である。この条件を考慮すると途中はどうでもよく、二つの場合、一つは本装置部分の動作開始の直後で差の電圧Aが大きく前記のように線型的に動く場合、いま一つは該差の電圧が零に限りなく近い状態へ移行して安定した状態の場合である。この場合、振幅Bの値をBsinωtの座標軸近傍の曲線が±Vzの範囲では直線群と見えるようになる程度に十分大きくするとして、上記展開式の第1項のみで取り扱かう。Nを定数(整数)として平均出力の値Sは、S=NAVz/Bとなり、電圧A〜0に於ける合成増幅器の平均利得NVz/Bの値はVzの値と振幅Bの調整で決めることが出来、平均利特の値を限りなく零に近付けることも出来る。この際、自己発振が起こらない発振器の振幅Bの値は容易に決められる。利得の調整は必要ではあるが、繊細さは不要である。
【0006】
この特殊な補正用合成増幅器の出力を積分器に入力して積分の出力を得る機能を持つ合成した回路を一つのユニットと見做し、本発明では零値化積分ユニットと呼ぶ。上記、請求項1に於ける、第1の加熱ヒータの印加電圧と第2の設定電圧の差が零になるようにするため、単に、線型的な回路と積分回路で構成される回路で第2の加熱ヒータに電圧を印加すると必ず自己発振がおこるが、該零値化積分ユニットの出力を第2の加熱ヒータに印加し、発振器の振幅と増幅器の利得を調整すると容易に自己発振を止めることが出来る。
【0007】
次に電源投入時から制御開始までの準備時間、即ち、ウオーミングアップの時間、の決定と制御の前後の信号の切り替えの手段の説明を行なう。制御開始の前の時間内では2つの偏光の強度差を示す電圧は周期的に変化する。上り下りの形が似ている波状かまたは鋸歯状であっても形が変化しなければ波の周期や波の高さが一定である時間を発振器の伸びの速さの目安にすればよいが、困るのは時折突然、波状から鋸歯状に変ったり、鋸歯の向きが変るレーザ管の場合である。この時は波を微分して勾配が変る点のパルスをもとめ、パルスの高低ならびに極性を揃える整形を行い其の間隔を目安にするという手段をもちいる。即ち該パルスの間隔は次第に長くなるが、該パルスの間隔が予め決められた時間になると、即ち共振器の伸びの微分値(伸びの速さ)がある値になると制御が開始される。
【0008】
該準備時間、即ち、ウオーミングアップの時間により第1および第2の加熱ヒータの電流の和の値が決まる。安定化周波数は零値化積分ユニットの働きにより、請求項1の第1の設定電圧のみで決まり、加熱ヒータの電流値の影響は受けない。該パルスの次第に長くなる間隔は次第に高くなる電圧に変換され、時刻決定電圧になると、強い正帰還をもつコンパレータの出力電圧を正の電源電圧から負の電源電圧に遷移させ、エミッターホロワーのパワートランジスターを介して、2組の加熱ヒータに流し制御の準備をすると共に制御動作を妨害している大電流を切り、動作の支配を制御回路に譲る。請求項1に於ける零点積分ユニットの出力電圧を、上記、主制御回路の出力に加算した電圧を第1の加熱ヒータに印加する。第1の加熱ヒータの電流値は第2の加熱ヒータの電流値によって変化するが請求項1に於ける第2の設定電圧の値により第2の加熱ヒータの電流値が決まりその結果、第1の加熱ヒータの電流値が決まる。第1の加熱ヒータの電流値と第2の加熱ヒータの電流値の割合は、該第2の設定電圧を変えることにより自由に決めることが出来る。此の場合、第2の加熱ヒータの電流値が零になるかあるいは飽和しない限り第1の加熱ヒータの電流は一定値を保つ。第2の加熱ヒータの電流値はレーザの環境の温度により変化する。
【0009】
主制御回路に付属した零点積分ユニットは、制御が開始された後、第1の加熱ヒータの印加電圧が安定になるまで動作してはいけない。それで、零点積分ユニット内の積分容量をFETのソースとドレインで短絡して動作を止め、該電圧が安定になると動作を開始させている。
プリズムの表面におけるシリコンゴムの蒸気の凝集の問題は、光路用の孔のあるプリズムの取り付け板の孔の上に、顕微鏡のカバーガラスを乾燥空気の雰囲気中で貼り付けて解決している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下発明の実施の形態を図面を用いて説明する。始めに、レーザの2本の直交した偏光の縦モードのスペクトルの強度の差を一定にする型式について説明する。図1は該He−Neレーザの周波数安定化装置の実施例である。
レーザ光は薄板ガラス4と乾燥空気の孔33を経て偏光の方位がレーザ光の偏光と一致した偏光ビーム分割器6で分割され、検知器7及び8で光電変換された後、共振器の伸びに伴う2つの偏光の周期的変化に対応した電圧の変化量を増幅器9、10で揃え、該電圧の差を差動増幅器11で求め利得調整増幅器12された後、ポテンショメータ29で動作レベルが決められ、さらに動作レベル決定増幅器13を経た後制御出力電圧の極性決定器23を経て出力される。該極性決定器23は図8のような回路から成る場合と手動で切り替える場合がある。以上が主制御回路である。主制御回路の出力はロウパスフィルタ25を透して制御開始のための回路につながる。
準備時間の間、差動増幅器11の出力が図5のAのような周期が徐々に増加する波になっている時には、波が正である時間を徐々に高くなる電圧パルスに変換し該電圧が時刻決定電圧になれば制御の開始をすればよい。さらに、増幅器13の出力を使う方が信号が大きいのでより良い。
【0011】
問題は図5のBように突然ポーラリゼーシヨンフリップが起り又突然フリップがとまるレーザ管の場合である。その波形を微分して図5のCのようなパルスを作りDのようなパルスに整形してパルス間隔を積分して図5のEのような徐々に高くなる電圧列をつくり該電圧が時刻決定電圧になれば制御を開始する。パルスの整形には図6のような回路で構成される変形波形用パルス生成器20が用いられる。また該電圧列の出力は図7のような回路で構成され、積分回路および自己保持に必要な強い正帰還をもち正負の電源電圧に近い出力をもつ積分回路つき自己保持コンパレータ21の積分回路の電圧が時刻決定電圧に等しくなると動作して制御が開始される。即ち、図4のように例示される回路からなる制御妨害器22で、積分回路つき強い正帰還コンパレータ21の出力が正の時は正の電源電圧をパワートランジスタのベースに印加して加熱ヒータに一定の高電流を流して制御動作を妨害しているが、該出力が負の電源電圧になれば妨害は除去され制御動作が開始される。開始時点はポテンシヨメータ31の電圧できまる。
また、レーザ管は放電および加熱を開始しても、伸び始めるのに時間を要し電源投入直後はパルス間隔が長い、この間隔を見ないように容量と抵抗で構成された簡単な不感時間作成器17を設けている。
コンパレータ21の出力の電圧を電源電圧と記したが、正しくは「電源電圧に近い電圧」である。略記した。
【0012】
差動増幅器11の出力電圧に図5のBのような鋸歯状波が混在する場合、鋸歯状波の勾配の緩やかな側で制御をおこなう必要がある。制御は上記制御出力回路の出力電圧が下がる時に行なわれるので、勾配に応じて制御回路の出力電圧の極性を反転させる必要がある。本発明では図8の回路から構成される極性反転器23を用い、上記の微分信号のうち鋸歯状波の特徴である高いパルスのみを取り出し該パルスの極性で勾配を判定しRSフリップフロップで2つのFETのどちらかをONにしている。フリップフロップとして、TTLは敏感すぎるので、鈍感にする工夫をした回路をトランジスタ等で作成している。
【0013】
次に、請求項1振幅が可変である正弦波発振器と線型増幅器を組み合わせて得られる第1の合成増幅器および零値化積分ユニットの説明をおこなう。まず請求項1に記された「電圧の差」は正の電圧と負の電圧の和である。従って差と和は同じである。該合成増幅器は外部に設けられた正弦波発信器50を併用して用いるもので、該正弦波発信器の出力電圧と、上記の制御電圧値と設定電圧値の差の電圧との加算を正確におこない、正弦波を忠実に増幅する線型演算増幅器と電圧限界器とから構成され、さらに積分回路を加えて零値化積分ユニットが得られる。該ユニットの具体的な回路を図2に例示する。この回路では上記差動増幅器11の出力と、図10のような回路の正弦波発信器の出力と、第1の設定電圧との三者は加算され反転増幅器で増幅され、ツェナーダイオードで電圧の限界を決め、再び反転増幅された後に積分をおこなって、零値化積分ユニットを形成している。反転増幅器を用いたのは正確に上記三者の加算を行なうためである。
該零値化積分ユニットは周波数の大略の安定化が終わるまでは動作させてはならない。そのため、制御出力電圧の値が決められた範囲で留まっている事を知るための回路から成る制御出力電圧の確認器18で制御出力電圧がほぼ一定になるのを確認した後、図9のような回路の遅延スイッチで積分回路の容量を短絡しているFETの短絡器32の短絡をOFFにして該零値化積分ユニットの動作を開始する。第1の設定電圧はポテンショメータ30で決めるが、本発明ではその電圧は零ボルトであるので接地してもよい。
【0014】
請求項1における第2の合成増幅器の段数は入出力に極性の都合で一段多くなっている。上記の制御出力電圧の値が、予め定められた第2の設定電圧と、差を持つ場合、この電圧の差が零になるように第2の合成増幅器で構成される他の1つの零値化積分ユニット16は働く、制御出力電圧と正弦波発信器50の出力および第2の設定電圧を決めるポテンショメータ24の出力の三者が第2合成増幅器に入力され線型的に増幅された後に積分され、積分された電圧は第の加熱ヒータを駆動するパワートランジスタのベースに印加される。該積分電圧は制御開始までは制御妨害器22の正の電圧出力は正の一定電圧であるので正電圧で充電されるので制御開始時には充分高い正の電圧が第2の加熱ヒータに印加されるが、制御開始後には、徐々に減小する。これと反対に第1の加熱ヒータの印加電圧つまり制御出力電圧の値は徐々に増加を続け、第2の設定電圧と制御出力電圧の値が等しくなればこの動きは止まる。レーザ管の加熱は第1、第2の両加熱ヒータで行なわれ、それぞれの加熱ヒータの電流の割合は、第2の設定電圧の値できまる。
【0015】
次いでゼーマンレーザの説明をおこなう。図9は本発明のゼーマンレーザの構成を示す図である。
レーザ管には磁場Hが印加され、磁場Hと45の偏光子51を透してレーザ光を検知器52で検出するとゼーマンビートが見られる。ゼーマンビートの周波数は共振器の伸びに従って周期的に変化する。ゼーマンビートを増幅器とコンパレータ構成される高周波処理器53でゼーマンビートを方形波に整形する。一方基準周波数発信器54の出す方形波の周波数と上記ゼーマンビートの方形波の周波数の差を周波数差検出器55で求める。該周波数差は周波数差−電圧変換器56で電圧になる。いま、基準周波数発信器54の周波数を目標のゼーマンビートの周波数に設定しておけば安定化後の該周波数差−電圧変換器の出力電圧は零ボルトとなる。制御以前におけるゼーマンレーザの電圧の描く周期的な波形は複雑である。波形をよく見て制御出力電圧の極性を決める必要がある。極性の切り替えは反転増幅器と手動切り替え回路58でおこなう。その他の装置構成は2本の縦モードのスペクトルの強度の差を一定にする型式の場合と同じである。
【発明の効果】
【0016】
本発明による零値化積分ユニットを制御回路に用いる事により、今まで大きな遅れ要素のため止める事が困難であった自己発振を容易に止める事ができると共に、正確な加算や増幅がおこなわれる結果、制御の目的値と現実の値との差が小さくなりレーザの周波数安定度が向上した。また、今までポーラリゼーションフリップのため廃棄処分にしていた多くのレーザ管が、使用可能となった。さらに、偏光分離プリズムの曇りのために生ずる諸問題が除去された。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】 偏光強度安定化レーザの制御系の図面である。
【図2】 図1の系の14の内容、零値化積分ユニットの回路の図面である。
【図3】 図1の系の21の内容、他の零値化積分ユニットの回路の図面である。
【図4】 図1の系の22の内容、制御妨害回路の図面である。
【図5】 ポーラリゼーションフリップの説明のための図面である。
【図6】 図1の系の20の内容、変形波形用パルス整形の回路の図面である。
【図7】 図1の系の21の内容、制御開始スイッチの回路の図面である。
【図8】 図1の系の23の内容、自動極性切り替え回路の図面である。
【図9】 図1の系の19の内容、遅延スイッチの回路図である。
【図10】 図1の系の50の内容、振幅が可変である発信器の回路図である。
【図11】 ゼーマンレーザの安定化の系の図面である。
【符号の説明】
1 レーザ管
2、3 加熱ヒータ
4 カバーガラス
5 プリズム取り付け板
6 偏光分離プリズム
7、8検知器
9、10 可変利得、可変バイアス増幅器
11 差動増幅器
12 可変利得増幅器
13 反転増幅器
14 零値化積分ユニット
16 他の零値化積分ユニット
17 不感時間作成器
18 電圧確認器
19 遅延スイッチ
20 偏形波用パルス整形器
21 積分回路つき自己保持コンパレータ
22 制御妨害器
23 自動極性切り替え器
24、30、31 電圧設定器
25 ローパスヒルター
26、27 パワートランジスタ
28 反転増幅器の加算部分
31 時刻決定電圧発生器
32 FET短絡器
33 乾燥空気層
50 可変振幅正弦波発振器
51 偏光板
52 高周波検知器
53 高周波処理器
54 基準周波数発振器
55 周波数差検出器
56 周波数一電圧変換器
58 手動極性切り替え器
H 磁場
N 定数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部共振器を有するHe−Neレーザの2本の直交した偏光の縦モードのスペクトルの強度の差を正確に一定とするか、ゼーマン型レーザにおいてゼーマン周波数と基準周波数の差をもとめ、該差の周波数にたいし周波数を電圧に変換した値を正確に一定とする補正回路をもつ安定化He−Neレーザ装置において、レーザ管に第1の加熱ヒータと第2の加熱のヒータから成る2組の加熱ヒータを巻き、制御開始後は、縦モードのスペクトル強度の差やゼーマン周波数に対応した電圧を近似的に零ボルトとなるように該第1の加熱ヒータの印加電圧を制御する主制御回路をもつと共に、第1の設定電圧を正確に零ボルトに設定し該電圧と上記の近似的に零ボルトである電圧との差の電圧を、振幅が可変である正弦波発振器と第1の線型増幅器と電圧の絶対値に限界を与える限界器を組み合わせて得られる第1の合成増幅器で求め、該電圧を積分し該積分電圧を上記主制御回路の増幅器の列中において近似的に零ボルトである電圧を取り出した点に対して後段にあたる増幅器出力の電圧に加算して制御出力電圧を得る手段と、該制御出力電圧と予め定められた第2の設定電圧との差の電圧を上記の第1の合成増幅器と同じ機能をもつ第2の合成増幅器の出力電圧を積分し該積分電圧を上記第2の加熱ヒータに印加する手段と、上記He−Neレーザのレーザ管の温度上昇による伸びの速度を測り、該伸びの速度が一定の値になった時に制御を開始する手段をもつことを特徴とする周波数安定化He−Neレーザ装置。
【請求項2】
請求項1のレーザの制御が始まるまでの上記スペクトル強度の差に対応した電圧の波形および該波形を微分したパルス波形が単調に変化しない特性をもつレーザ管においては、正負の微分パルス列を同形のパルスの列に整形してパルス列をつくる手段と該パルスの間隔の時間を電圧に変え単調に増加する電圧の列をつくる手段をもつか、あるいは上記スペクトル強度の差に対応した電圧波形の周期が単調に増加する単調な波形をもつレーザ管においては上記スペクトル強度の差に対応した電圧が一定電圧を越える時間の間隔を電圧に変え電圧の列をつくる手段をもつことを特徴とする周波数安定化He−Neレーザ。
【請求項3】
制御動作開始までの準備時間を決める時刻決定電圧を設定する機能をもち請求項2によりつくられた単調に増加する電圧が上記時刻決定電圧に達した時、自己保持を可能とするために必要な強い正帰還をもつと共に正負両極性の電源電圧に近い出力電圧をもつコンパレータの出力を正から負に遷移させかつ該状態を保持する手段と、制御動作開始までの準備時間の間、準備の状態を第1および第2の加熱ヒータに一定電流を流し、制御の動作を妨害することによりつくる手段と、上記コンパレータの出力の正から負への遷移および負電圧の保持により該妨害を除去し上記第1および第2の加熱ヒータの印加電圧を一定値から制御出力電圧値に切り替える手段を有することを特徴とする周波数安定化He−Neレーザ。
【請求項4】
請求項1のレーザの制御が始まるまでの準備時間の間、上記スペクトル強度の差に対応した電圧の変化が鋸歯状である場合、鋸歯状の波の勾配が緩やかな側で制御が行われるよう請求項1における制御出力電圧の極性の選定および固定を行なう機能を持つ周波数安定化He−Neレーザ。
【請求項5】
請求項1の合成増幅器で増幅した後の積分器を電源投入時から制御開始後、第1のヒータの印加電圧がほぼ一定の値に留まるまで短絡しておくことを特徴とする周波数安定化He−Neレーザ。
【請求項6】
請求項1の2本の直交した縦モードのスペクトルを得る時、偏光分離プリズムのレーザ側に乾燥空気層を設けることを特徴とする周波数安定化He−Neレーザ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−43025(P2007−43025A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−244991(P2005−244991)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(591231568)
【Fターム(参考)】