説明

床材

【課題】 本発明の課題は、竹や籐からなる表皮材を有する床材であって、湿気や接着剤に含まれる揮発成分による反りを防止することの出来る床材を提供することにある。
【解決手段】竹または籐からなる複数個の細長形状の表皮片を並列せしめてなる表皮部材と、該表皮部材の底面に設けられる基材からなる床材であって、該床材の底面に、並列された表皮片の長手方向と直交する方向に複数本の条溝を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹または籐からなる表皮部材を有する床材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、竹や籐の天然素材を使用する床材が提案されている。天然素材は温感や触感、および歩行感に優れるので、特に床材の表皮材として使用される。該表皮材は、一般的に、竹や籐の表皮を細長形状に加工して得られる表皮片を複数個並行に配列し、これらの表皮片を相互貼り合わせて製造される。
この種の床材は、通常、床の下地面上に接着剤で固定して使用されるが、該床材を接着剤で固定する際、接着剤に含まれる揮発成分によって床材に反りを生じさせることが問題となっている。
また、天然素材は湿度の影響を受け易く、湿度の高い条件では該天然素材は水分を吸収して膨張し、また湿度の低い条件では、天然素材は水分を放出して収縮する。したがって、天然素材を使用した床材は、湿度によって反り等の変形を生ずることが問題となっている。
そこで、天然素材からなる床材が湿度の影響により変形した場合に、もとの形状に矯正し易くするために底面に条溝を有する床材が提供されている(例えば特許文献1参照)。該床材の底面には表皮材の表皮片の長手方向に並行して複数個の条溝が形成されている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−254903号公報
【0004】
上記床材のように、複数個の細長形状の表皮片を並行に配列して貼り合わせてなる表皮材を有する床材は、湿度の影響により主に表皮片の短手方向に反りを生ずるが、反りと反対方向に力を加えることによって、材をもとの形状に復元することが出来る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記床材をもってしても湿気や接着剤の揮発成分による反り等の変形を防ぐことが出来ず、問題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するための手段として、竹または籐からなる複数個の細長形状の表皮片1を並列せしめてなる表皮部材2と、該表皮部材2の底面に設けられる基材3からなる床材5であって、該床材5の底面には、並列された表皮片1の長手方向と直交する方向に、複数本の条溝4が設けられている床材5を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の床材は、接着剤から発生する揮発成分や、湿気によっても反り等の変形を生じにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明で使用する表皮部材2とは、複数個の細長形状の表皮片1を並行に配列し、該表皮片1同士を結合して得られる板状の部材である(図1〜図3参照)。
該表皮片1の材料として、竹や籐等の天然素材を使用することが望ましい。該表皮片1同士は、通常の公知の接着剤を使用して結合される。なお表皮片1に糸や紐を通して表皮片1相互を固定してもよい。
【0009】
本発明の基材3としては、例えば、ポリエステル繊維、脂肪族または芳香族ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン繊維、ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン、レーヨン、キュプラ、アセテート繊維等の合成繊維、パルプ、木綿、ヤシ繊維、麻繊維、竹繊維、ケナフ繊維等の植物繊維、ガラス繊維、石綿、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機繊維の1種または2種以上の繊維からなる編織物または不織布が使用される。
また、連続気泡構造を有するポリウレタン発泡体(軟質ポリウレタン発泡体、硬質ポリウレタン発泡体を含む)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン発泡体、ポリ塩化ビニル発泡体、ポリスチレン発泡体、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、メラミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ系樹脂発泡体、エポキシ樹脂発泡体、フェノール系樹脂発泡体等の合成樹脂発泡体を本発明の基材3として使用しても良い。
【0010】
上記表皮部材2は上記基材3の表面上に固定される。該表皮部材2と該基材3とは、通常の接着剤、低融点ポリアミド繊維不織布のようなホットメルトシート、ホットメルト接着剤粉末等の接着剤によって固定される。
本発明の床材5の底面には複数本の条溝4が形成されている(図4参照)。該条溝4は、表皮部材2の表皮片1の長手方向と直交する方向に配置されている。該条溝4は、一つの床材5に対して5本〜12本設けられる。条溝4の幅は、0.5mm〜5mmの範囲であることが望ましい。
床材5の条溝4は、基材4および表皮部材2の一部に渡って形成されてもよく(図5参照)、また図6にしめすように、床材5Aの基材3にのみ条溝4が形成されてもよい。
【0011】
本発明の床材5は、表皮部材が竹や籐等の天然素材からなるので触感、温感、歩行感に優れる。本発明の床材5は、床の下地面上に設置して使用されるものであり、例えば、サウナや銭湯、プール等の脱衣室や乾燥室のように湿度の変化が大きな場所で使用することが出来る。また本発明の床材5を壁材として使用することも可能である。
【0012】
本発明の床材5の表皮部材2は、竹や籐等の天然素材からなるので、湿度が変化すると該表皮部材2は水分を吸収して膨張し、あるいは水分を放出して収縮する。しかし、本発明の床材5は、表皮部材2の表皮片1の長手方向と直交する方向に複数本の条溝4を底面に有するので、湿度が変化しても床材5全体としては、殆んど変形しない。また該床材5を接着剤で下地面に接着する際、床材5は接着剤から溶剤等の揮発成分が揮発しても変形しない。
【0013】
以下、本発明を実施例によって説明する。なお本発明は以下に示される実施例のみに限定されるものではない。
【0014】
図3に、竹の表皮部材2を有する床材5(500mm×500mm×5mm)を示す。該床材5の表皮片1同士は、エポキシ系接着剤によって結合されている。基材3は、ポリエステル繊維(目付け600g/m2)からなり、該基材3と表皮部材2はポリアミド系ホットメルト接着剤によって固定されている。床材5の底面には、幅2.3mmの条溝4が6本形成されている。
【0015】
他の実施例として、図7に籐の表皮部材12を有する床材15(500mm×450mm×6mm)を示す。該床材15の表皮片11同士は、エポキシ系接着剤により結合されている。なお該表皮部材12には複数箇所糸が通されている。該床材15の基材13は、ポリエステル繊維(目付け600g/m2)からなり、該基材13と表皮部材12はポリアミド系繊維からなるホットメルトシートによって固定されている。床材15の底面には、幅2.5mmの条溝14が10本形成されている。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の床材は、床の下地面上に設置して使用されるものであり、例えば、サウナや銭湯、プール等の脱衣室や乾燥室等の床材として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、表皮片の一部の斜視図を示す。
【図2】図2は、表皮部材の斜視図を示す。
【図3】図3は、床材の斜視図を示す。
【図4】図4は、床材の底面図を示す。
【図5】図5は、床材の一部の側面図を示す。
【図6】図6は、他の床材の一部の側面図を示す。
【図7】図7は、他の床材の斜視図を示す。
【符号の説明】
【0018】
1 表皮片
2 表皮部材
3 基材
4 条溝
5 床材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
竹または籐からなる複数個の細長形状の表皮片を並列せしめてなる表皮部材と、該表皮部材の底面に設けられる基材からなる床材であって、該床材の底面には、並列された表皮片の長手方向と直交する方向に、複数本の条溝が設けられていることを特徴とする床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−7648(P2006−7648A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189747(P2004−189747)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000106254)サンケミカル株式会社 (6)
【出願人】(504249215)
【Fターム(参考)】