説明

店舗管理システム

【課題】レジスタッフのキャッシュレジスタ操作を監視するカメラから得られる膨大な撮像データから、必要な部分を適切に取り出して、限られた容量の記憶装置に効率的に保存可能な技術を提供する。
【解決手段】注意操作リストLには、キャッシュレジスタに対して行われる操作のうち、互いに異なる複数の抽出条件a1,a2,a3の組み合わせにより注意操作が規定されている。レジスタ操作監視システムの監視サーバには、レジスタを操作するレジスタッフの手元を常時撮影しているビデオカメラから、撮像データが送られてくる。監視サーバは、レジスタの操作ログから注意操作リストLに挙げられている注意操作を抽出し、撮像データから当該注意操作が撮像されている撮像データ部分のみを取り出して、保存データとして保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャッシュレジスタに対して行われる操作の様子を撮像した撮像データを取得し、これを店舗の管理に用いる店舗管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの店舗では、レジスタッフの不正行為(例えば、レジスタッフがキャッシュレジスタから現金を不正に抜き取る、お客と共謀して商品の価格を入力せずにキャッシュレジスタを通してしまう、といった不正行為)や、金銭授受に関するお客とのトラブル(例えば、お客は1万円を渡したといい、レジスタッフは5千円を受け取ったという、といった預金の取り違えトラブル)など、キャッシュレジスタ操作に関するトラブルが頻繁に生じている。このようなトラブルは店舗管理上深刻な問題であり、適切に対処する必要がある。
【0003】
そこで、レジスタッフのキャッシュレジスタ操作をビデオカメラで監視してその撮像データを記憶装置に蓄積しておくシステムが実用化されている。このシステムを採用しておけば、何らかのトラブルが発生した場合に、この撮像データを再生して事実を検証し、トラブルをスムーズに解決することが可能となる。
【0004】
ところで、このシステムにおいては、レジスタッフの操作が常時監視されており、ビデオカメラからは毎時間大量の撮像データが取得される。したがって、この撮像データを蓄積するための大容量の記憶装置が必要となってくる。特に、大きな店舗になると店舗内に配置されるキャッシュレジスタの個数も多くなるため、記憶装置には毎時間膨大な量の撮像データが送られてくる。したがって、特に大容量の記憶装置が必要とされる。
【0005】
また、いかに大容量の記憶装置を設けたとしても、そこに保存できる撮像データの量には限りがあるため、古い撮像データから順に消去していかなければならない。すなわち、一定期間を経過した撮像データは古いものから順に破棄されてしまうので、古い映像については必要なときに再生できない場合がある。
【0006】
したがって、このシステムにおいては、大量の撮像データをいかに適切に選別して限られた容量の記憶装置に格納できるかが重要となってくる。例えば、特許文献1には、記憶装置の空き容量が少なくなってくると、オペレータが予め設定した重要度順位を参照して、記憶装置に格納された撮像データのうち重要度が低いとされる部分を削除して記憶装置の残り空き容量を大きくする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−346546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示の技術からは、記憶装置の空き容量を効率的に利用するという点において一定の効果が得られるものの、刻一刻膨大な量の撮像データが取得されてくるという実際の状況を考えると、さらに効率的に撮像データを管理する技術が求められていた。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、レジスタッフのキャッシュレジスタ操作を監視するカメラから得られる膨大な撮像データから、必要な部分を適切に選別して、限られた容量の記憶装置に効率的に保存可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、キャッシュレジスタに対して行われる操作の様子を撮像して撮像データを取得する撮像手段と、前記撮像データを一時的に記憶する第1記憶手段と、前記キャッシュレジスタに対して行われた操作内容を記録した操作ログを取得する操作ログ取得手段と、前記キャッシュレジスタに対して行われる操作のうち、互いに異なる複数の抽出条件の組み合わせにより規定される特定の操作を注意操作とし、前記操作ログから前記複数の抽出条件の全てに合致する操作を前記注意操作として抽出する注意操作抽出手段と、前記第1メモリに記憶された前記撮像データのうち、前記注意操作が撮像されている撮像データ部分を、保存データとして取得する保存データ取得手段と、前記保存データを記憶する第2記憶手段と、を備える。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1に記載の店舗管理システムであって、前記注意操作が、前記キャッシュレジスタの操作キーの種類から規定される第1の抽出条件と、前記キャッシュレジスタの操作者の識別情報から規定される第2の抽出条件との組み合わせにより規定される。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1に記載の店舗管理システムであって、前記注意操作が、前記キャッシュレジスタの操作キーの種類から規定される第1の抽出条件と、前記キャッシュレジスタを用いた取引の対象者の識別情報から規定される第3の抽出条件との組み合わせにより規定される。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1に記載の店舗管理システムであって、前記注意操作が、前記キャッシュレジスタの操作キーの種類から規定される第1の抽出条件と、前記キャッシュレジスタの操作者の識別情報から規定される第2の抽出条件と、前記キャッシュレジスタを用いた取引の対象者の識別情報から規定される第3の抽出条件との組み合わせにより規定される。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の店舗管理システムであって、前記注意操作の種類に応じて個別に保存時間が設定されており、前記保存データ取得手段が、前記注意操作が撮像されている前記保存データを取得する場合に、当該注意操作について設定された前記保存時間分の撮像データ部分を前記保存データとして取得する。
【0015】
請求項6の発明は、請求項5に記載の店舗管理システムであって、前記注意操作が行われた時刻を基準として、当該注意操作の前後のそれぞれについて前記保存時間が設定されている。
【0016】
請求項7の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の店舗管理システムであって、前記保存データ取得手段が、前記注意操作が撮像されている前記保存データを取得する場合に、当該注意操作が行われた取引が開始されてから終了するまでの撮像データ部分を前記保存データとして取得する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によると、撮像データのうち、注意操作が撮像されているデータ部分を、保存データとして取得する。ここで、注意操作は、互いに異なる複数の抽出条件の組み合わせにより規定されるので、キャッシュレジスタに対して行われる膨大な種類の操作からトラブルの原因となる可能性が高い注意操作を適切に抽出することが可能となる。したがって、撮像手段から得られる膨大な撮像データから、後に必要となる可能性が高いデータ部分のみを適切に選別し、限られた容量の記憶装置に効率的に保存することが可能となる。
【0018】
請求項2の発明によると、注意操作が、キャッシュレジスタの操作キーの種類から規定される第1の抽出条件と、キャッシュレジスタの操作者の識別情報から規定される第2の抽出条件との組み合わせにより規定される。トラブルの発生は、特定のレジスタッフが特定のキーを操作した場合に集中する傾向があるところ、この構成によると、このような操作を注意操作として適切に抽出できる。
【0019】
請求項3の発明によると、注意操作が、キャッシュレジスタの操作キーの種類から規定される第1の抽出条件と、キャッシュレジスタを用いた取引の対象者の識別情報から規定される第3の抽出条件との組み合わせにより規定される。トラブルの発生は、特定のお客との取引の間で特定のキーが操作された場合にも集中する傾向があるところ、この構成によると、このような操作を注意操作として適切に抽出できる。
【0020】
請求項4の発明によると、注意操作が、キャッシュレジスタの操作キーの種類から規定される第1の抽出条件と、キャッシュレジスタの操作者の識別情報から規定される第2の抽出条件と、キャッシュレジスタを用いた取引の対象者の識別情報から規定される第3の抽出条件との組み合わせにより規定される。トラブルの発生は、特定のレジスタッフと特定のお客との間で行われる取引において特定のキーが操作された場合に集中することも考えられるところ、この構成によると、このような操作を注意操作として適切に抽出できる。
【0021】
請求項5、6の発明によると、注意操作が撮像されている保存データを取得する場合に、当該注意操作について設定された保存時間分の撮像データ部分を前記保存データとして取得する。この構成によると、保存データとして取り出される時間範囲を注意操作の種類に応じて個別に設定することができるので、柔軟かつ効率的に必要なデータ部分を保存することができる。
【0022】
請求項7の発明によると、注意操作が撮像されている保存データを取得する場合に、当該注意操作が行われた取引が開始されてから終了するまでの撮像データ部分を前記保存データとして取得する。この構成によると、注意操作が行われた取引全体の撮像データ部分を保存しておくことができるので、これを利用して、トラブルが発生した場合の対処を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】店舗管理システムが適用された店舗内のレジカウンター付近の様子を示す図である。
【図2】店舗管理システムの構成を示すブロック図である。
【図3】操作ログの構成例を示す図である。
【図4】監視サーバの主たるハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】注意操作リストの構成例を示す図である。
【図6】監視サーバの備える機能構成を示すブロック図である。
【図7】撮像データの取得処理の流れを示す図である。
【図8】保存データの取得処理の流れを示す図である。
【図9】撮像データの消去処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〈1.レジカウンター付近の様子〉
図1は、本発明の実施の形態に係る店舗管理システム1が適用された店舗内のレジカウンター付近の様子を示す図である。レジカウンターには、キャッシュレジスタ32が配置されており、レジスタッフはレジカウンターの内側からキャッシュレジスタ32のレジ操作を行う。また、レジカウンターの付近には、ビデオカメラ42が配置されている。ビデオカメラ42は、キャッシュレジスタ32を操作するレジスタッフの手元を撮影可能な位置に配置されており、キャッシュレジスタ32を操作するレジスタッフの手元を常時撮影している。
【0025】
〈2.店舗管理システムの構成〉
図2は、店舗に適用される店舗管理システム1の構成を示すブロック図である。店舗管理システム1は、ストアコントローラ2、POSシステム3、および、キャッシュレジスタ操作監視システム4を備えている。ストアコントローラ2、POSシステム3のサーバ(POSサーバ31)、および、キャッシュレジスタ操作監視システム4のサーバ(監視サーバ41)は、LAN等を介して互いに接続されており、互いにデータ通信が可能とされている。
【0026】
〈ストアコントローラ〉
ストアコントローラ2は一般的なコンピュータで構成され、店舗管理システム1を統括的に管理する装置として機能する。また、ストアコントローラ2はインターネットなどの外部ネットワークに接続されており、外部ネットワークを介して、店舗を統括管理する本部センターに配置されたサーバ装置等のコンピュータと通信可能とされている。
【0027】
〈POSシステム〉
POSシステム3は、店舗内に配置される商品の販売に係る情報をその販売時点において収集して分析するシステムであり、POSシステム3を統括的に管理するPOSサーバ31と、商品の精算を行う複数のキャッシュレジスタ32を備えている。POSサーバ31とキャッシュレジスタ32とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【0028】
POSサーバ31は一般的なコンピュータで構成され、そのハードディスクには、売価などの商品に係る各種の情報を示す商品マスタ301が記憶されている。店舗内の全商品に係る情報は、この商品マスタ301により一元的に管理されている。商品マスタ301に記載される情報には、商品を識別するための商品コード、商品の名称である商品名、通常の売価である通常価格、特売における売価である特売価格、特売を実施する期間である特売期間、販売数、在庫数、1回の発注で納品される数である発注数などが含まれている。
【0029】
複数のキャッシュレジスタ32のそれぞれは、店舗内のレジカウンターに配置され、レジスタッフからのレジ操作に応じて、商品マスタ301に記載される売価に基づいて商品の精算を行う。
【0030】
各キャッシュレジスタ32に対して行われた操作内容は、POSサーバ31に通知され、POSサーバ31において操作ログMとして記録される。操作ログMについて、図3を参照しながら説明する。図3は、操作ログMの構成例を示す図である。
【0031】
操作ログMには、各キャッシュレジスタ32に対して行われた操作の内容および当該操作が行われた時刻が記述されている。お客とレジスタッフとの間でキャッシュレジスタ32を用いて行われる取引(以下単に「取引」という)は、例えば次のようなものである。すなわち、お客が購入する商品を持ってレジカウンターにやってくると、レジスタッフはお客が持ってきた商品の商品コードをスキャナ等で1つずつ全て読み取る。商品コードが読み込まれると、キャッシュレジスタ32はPOSサーバ31に備える商品マスタを参照して当該商品の価格を取得する。全商品の読み取りが完了するとキャッシュレジスタ32は全商品の合計金額を算出して表示部に表示し、レジスタッフがその金額を客に伝える。これに応じてお客から現金が手渡されると、レジスタッフはこれを受け取ってキャッシュレジスタ32の「預/現計キー」を操作する。当該操作に応じてキャッシュレジスタ32のドロワがオープンされ、店舗スタッフはキャッシュレジスタ32のドロワに客から受け取った現金をしまい入れる。操作ログMには、このような一連のやりとり(取引)においてレジスタッフがキャッシュレジスタ32に対して行った各種操作(各商品の読み取り操作、「預/現計キー」のキー操作等)が、当該操作を行った時刻とともに記録されることになる。
【0032】
また、操作ログMには、キャッシュレジスタ32に対して行われた各操作が属する取引の識別情報(レシート番号)が記録される。レシート番号は、所定の操作(1つの取引が終了する際になされる操作であり、例えば、「預/現計キー」のキー操作、顧客番号や責任者番号の「登録キー」のキー操作)がされる度に、その番号が1つ繰り上げられて記録されていく通し番号である。
【0033】
また、操作ログMには、各取引の対象者(お客)の識別情報(顧客番号)が記録される。顧客番号は、例えば、取引開始前(もしくは取引中、取引後)にお客が会員カードを提示した場合に、レジスタッフがこれをスキャナなどで読み取ることによってキャッシュレジスタ32に入力される情報である。お客が会員カードを提示しなかった場合、当該取引に係る顧客番号は記録されない。
【0034】
また、操作ログMには、各操作を行っているレジスタッフの識別情報(責任者番号)が記録される。責任者番号は、レジスタッフがレジ操作を開始する前にキャッシュレジスタ32に入力する情報である。
【0035】
〈キャッシュレジスタ操作監視システム〉
再び図2を参照する。キャッシュレジスタ操作監視システム4は、店舗内に配置される複数のキャッシュレジスタ32に対してなされるレジスタッフのレジ操作を監視するシステムであり、キャッシュレジスタ操作監視システム4を統括的に管理する監視サーバ41と、複数のビデオカメラ42とを備えている。監視サーバ41とビデオカメラ42とは専用の通信ケーブルで接続されている。
【0036】
複数のビデオカメラ42のそれぞれは、店舗に配置された複数のキャッシュレジスタ32のいずれかと対応付けられており、当該対応付けられたキャッシュレジスタ32付近に配置されて、当該キャッシュレジスタ32を操作するレジスタッフの手元を常時撮影している(図1参照)。撮影により取得されたデータは、通信ケーブルを介して監視サーバ41に送信される。
【0037】
監視サーバ41は一般的なコンピュータで構成される。監視サーバ41は、各ビデオカメラ42が取得したデータ(後述する「撮像データD1」)から保存用のデータ(後述する「保存データD2」)を取得する。保存用のデータは監視サーバ41のハードディスクに蓄積され、レジトラブル等が生じた場合に適宜利用可能な状態とされている。
【0038】
〈3.監視サーバ41〉
〈3−1.ハードウェア構成〉
監視サーバ41のハードウェア構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、監視サーバ41の主たるハードウェア構成を示すブロック図である。
【0039】
監視サーバ41は、各種演算処理を行うCPU411、主記憶装置であるメインメモリ412、および、副記憶装置であるハードディスク413、LANを介したデータ通信機能を有するデータ通信部414などを備える。また、各種表示を行うディスプレイ415、キーボード及びマウスなどで構成される入力部416を備える。
【0040】
ハードディスク413には、プログラムPがインストールされる。ハードディスク413からメインメモリ412にロードされた動作プログラムPが実行されることによって、監視サーバ41の各種の機能が実現される。なお、プログラムPは、CD−ROM等の記録媒体RMによって提供されたものであってもよいし、ネットワーク等の通信回線を経由して提供されたものであってもよい。
【0041】
また、ハードディスク413には、後述する「注意操作リストL」が格納されている。さらに、ハードディスク413には、後述する「撮像データD1」を格納する第1メモリ4131、および、後述する「保存データD2」を格納する第2メモリ4132がそれぞれ構築されている。
【0042】
〈3−2.注意操作リストL〉
注意操作リストLについて、図5を参照しながら説明する。図5は、注意操作リストLの構成例を示す図である。注意操作リストLは、監視サーバ41のオペレータ(例えば店舗スタッフ)により予め作成されてハードディスク413に格納されるデータファイルであり、キャッシュレジスタ32に対して行われる操作のうち、トラブルの原因となる蓋然性の高い操作が、注意操作としてリストアップされている。また、各注意操作について保存時間が設定されている。
【0043】
〈注意操作〉
注意操作リストLにおいては、複数の注意操作が、リスト番号を付されてリストアップされている。各注意操作は、互いに異なる複数の抽出条件の組み合わせにより規定される。
【0044】
図5に例示される注意操作リストLにおいては、各注意操作は、キャッシュレジスタ32の操作キーの種類から規定される抽出条件a1と、キャッシュレジスタ32の操作者(レジスタッフ)の識別情報から規定される抽出条件a2と、キャッシュレジスタ32を用いた取引の対象者(お客)の識別情報から規定される抽出条件a3とのうちの2以上の抽出条件の組み合わせにより規定されている。
【0045】
例えば、リスト番号「1」の注意操作は、キャッシュレジスタ32の操作キーの種類から規定される抽出条件a1と、キャッシュレジスタ32の操作者(レジスタッフ)の識別情報である責任者番号から規定される抽出条件a2とから規定されている。すなわち、操作キーが「預/現計」であり、かつ、責任者番号が「0012」もしくは「0049」である場合に、当該操作が注意操作として抽出される。トラブルの発生は、特定のレジスタッフが特定のキーを操作した場合に集中する傾向があるところ、この抽出条件の組み合わせによると、このような操作を注意操作として適切に抽出できる。
【0046】
例えば、リスト番号「5」の注意操作は、キャッシュレジスタ32の操作キーの種類から規定される抽出条件a1と、取引の対象者(お客)の識別情報から規定される抽出条件a3とから規定されている。すなわち、操作キーが「指定訂正」であり、かつ、顧客番号が「71027」である場合に、当該操作が注意操作として抽出される。トラブルの発生は、特定のお客との取引の間で特定のキーが操作された場合にも集中する傾向があるところ、この抽出条件の組み合わせによると、このような操作を注意操作として適切に抽出できる。
【0047】
例えば、リスト番号「3」の注意操作は、キャッシュレジスタ32の操作キーの種類から規定される抽出条件a1と、キャッシュレジスタ32の操作者(レジスタッフ)の識別情報である責任者番号から規定される抽出条件a2と、取引の対象者(お客)の識別情報から規定される抽出条件a3とから規定されている。すなわち、操作キーが「返品」であり、かつ、責任者番号が「0012」であり、かつ、顧客番号が「98665」である場合に、当該操作が注意操作として抽出される。トラブルの発生は、特定のレジスタッフと特定のお客との間で行われる取引において特定のキーが操作された場合に集中することも考えられるところ、この抽出条件の組み合わせによると、このような操作を注意操作として適切に抽出できる。
【0048】
〈保存時間〉
後述するように、注意操作リストLに挙げられた注意操作がキャッシュレジスタ32に対して行われた場合、ビデオカメラ42により撮影されたデータのうち、当該操作の様子が撮影されているデータ部分が保存用のデータ(保存データD2)として取得されることになる。すなわち、1つの注意動作が行われる度に、1つの保存データD2が取得されることになる。
【0049】
注意操作リストLには、リストアップされた各注意操作について、当該注意操作に係る保存データD2を取得する場合に、どの程度の時間幅の撮像データ部分を保存データD2として保存すべきかを規定する情報が記述されている。保存データD2として保存すべき時間(以下「保存時間」という)を規定する方法には、個別設定によるものと、取引単位によるものとの2種類がある。どちらの方法で保存時間が規定されるかについては、注意操作リストLの「区分」の欄に記述されている。
【0050】
図5に例示される注意操作リストLにおいて、例えばリスト番号「1」の注意操作は保存時間が個別設定により規定されている。保存時間が個別設定により規定される注意操作については、店舗スタッフが、任意の保存時間を予め設定している。具体的には、注意操作が行われた時刻を基準として、当該操作の前後のそれぞれについて任意の保存時間を設定している。例えばリスト番号「1」の注意操作の保存時間は、当該注意操作の前「10秒」、当該注意操作の後「20秒」と設定されている。したがって、リスト番号「1」の注意操作に係る保存データD2を取得する場合、当該注意操作が行われる10秒前から、当該注意操作が行われた20秒後までの30秒間の撮像データ部分が保存データD2として取得されることになる。
【0051】
なお、注意操作の種類によっては、当該注意操作が行われる前の操作が特にトラブルの原因となりやすい操作(例えば「直前訂正」等のキー操作)、当該注意操作が行われた後の操作が特にトラブルの原因となりやすい操作(例えば「返品」のキー操作)、等がある。前者の場合は、当該注意操作が行われた時刻の前についての保存時間を長く設定すればよい。また、後者の場合は、当該注意操作が行われた時刻の後についての保存時間を長く設定すればよい。
【0052】
一方、図5に例示される注意操作リストLにおいて、例えばリスト番号「2」の注意操作は取引単位により保存時間が規定されている。保存時間が取引単位により規定される注意操作については、当該注意操作が行われた取引が開始されてから終了するまでの撮像データ部分が保存データD2として取得される。したがって、リスト番号「2」の注意操作に係る保存データD2を取得する場合、当該注意操作が行われた取引が開始されてから終了するまでの撮像データ部分が保存データD2として取得されることになる。
【0053】
〈3−3.機能構成〉
監視サーバ41は、上述した通り、各ビデオカメラ42が取得した撮像データから保存用のデータを生成する機能を有している。この機能について、図6を参照しながら説明する。図6は、監視サーバ41の備える機能構成を示すブロック図である。
【0054】
監視サーバ41は、当該機能に関する構成として、撮像データ取得部11と、操作ログ取得部12と、注意操作抽出部13と、保存時刻特定部14と、保存データ取得部15と、撮像データ消去部16とを備える。
【0055】
撮像データ取得部11は、各ビデオカメラ42から撮影データを取得し、それぞれに撮像時刻を付加する。そして、得られたデータ(以下「撮像データD1」という)を第1メモリ4131に格納する。
【0056】
操作ログ取得部12は、POSサーバ31から、店舗内に配置された複数のキャッシュレジスタ32のそれぞれに対して行われた操作を記録した操作ログM(図3参照)を取得する。
【0057】
注意操作抽出部13は、操作ログ取得部12が取得した操作ログMから、注意操作リストLにリストアップされた操作(注意操作)を抽出する。すなわち、注意操作リストLに挙げられた複数の抽出条件の全てに合致する操作を操作ログMから抽出する。
【0058】
例えば、図5に例示される注意操作リストLが与えられているとする。この場合、操作キーが「預/現計」であり、かつ、責任者番号が「0012」である操作が操作ログMに記録されていると、注意操作抽出部13は当該操作L1を注意操作として抽出する(注意操作リストLのリスト番号「1」参照)。また、操作キーが「返品」であり、かつ、責任者番号が「0012」であり、かつ、顧客番号が「98665」である操作が操作ログMに記録されていると、注意操作抽出部13は当該操作L3を注意操作として抽出する(注意操作リストLのリスト番号「3」参照)。
【0059】
保存時刻特定部14は、注意操作抽出部13が操作ログMから注意操作を抽出した場合に、何時から何時までの撮像データ部分を、当該注意操作に係る保存データD2として取得すべきかを特定する。すなわち、保存開始時刻と保存終了時刻とを特定する。
【0060】
操作ログMから抽出された注意操作が、注意操作リストLにおいて個別設定により保存時間が規定されている注意操作の場合、保存時刻特定部14は、当該注意操作について設定された保存時間を注意操作リストLから読み出すとともに、操作ログMを参照して当該注意操作が行われた時刻を特定する。そして、得られた情報に基づいて保存開始時刻と保存終了時刻とを特定する。
【0061】
例えば、時刻「10:20:30」にリスト番号「1」の注意操作L1が行われている場合(図3参照)、保存時刻特定部14は、当該注意操作が行われる時刻「10:20:30」の10秒前「10:20:20」を保存開始時時刻と特定し、当該注意操作が行われる時刻「10:20:30」の20秒後「10:20:50」を保存終了時時刻と特定する。したがって、「10:20:20」から「10:20:50」までの30秒間の撮像データ部分が、当該注意操作に係る保存データD2として取得されることになる。
【0062】
一方、操作ログMから抽出された注意操作が、注意操作リストLにおいて取引単位により保存時間が規定されている注意操作の場合、保存時刻特定部14は、操作ログMを参照して当該注意操作が行われた取引の開始時刻を特定し、これを保存開始時刻として取得する。また、当該取引の終了時刻を特定し、これを保存終了時刻として取得する。
【0063】
例えば、時刻「10:25:43」にリスト番号「3」の注意操作L3が行われている場合、保存時刻特定部14は、当該注意操作が行われる取引(レシート番号「336」の取引)の開始時刻「10:25:24」を保存開始時時刻として取得し、当該取引の終了時刻「10:25:43」を保存終了時時刻として取得する。したがって、「10:25:24」から「10:25:43」までの19秒間の撮像データ部分が、当該注意操作に係る保存データD2として取得されることになる。
【0064】
保存データ取得部15は、第1メモリ4131に格納された撮像データD1から、保存時刻特定部14により特定された保存開始時刻から保存終了時刻までの撮像データ部分を抽出して、保存データD2として取得する。そして、取得した保存データD2を第2メモリ4132に格納する。
【0065】
なお、保存データ取得部15は、例えば、取得した保存データD2に、注意操作の種類毎に通し番号を付与して、第2メモリ4132に格納することが好ましい。例えば、リスト番号「1」の注意操作L1に係る保存データD2については、L1−01,L1−02,L1−03,・・・、リスト番号「2」の注意操作に係る保存データD2については、L2−01,L2−02,L2−03,・・・といった具合である。このような識別情報を各保存データD2に付与しておけば、注意操作リストLを参照することによって、第2メモリ4132から必要な保存データD2を直ちに特定することが可能となる。
【0066】
撮像データ消去部16は、第1メモリ4131に格納された撮像データD1を古いものから順に消去していく。具体的には、最後に取得された保存データD2の保存終了時刻から所定時間前を消去基準時刻とし、この消去基準時刻よりも古い撮像データD1を消去する。なお、最後に取得された保存データD2の保存終了時刻を消去基準時刻としない理由は、ある時刻に行われた注意操作(第1の注意操作)の保存時間よりも、その後に行われた注意操作(第2の注意操作)の保存時間が長い場合に、第2の注意操作の保存終了時刻が第1の注意操作の保存終了時刻より前になる可能性があり、最後に取得された保存データD2の保存終了時刻を消去基準時刻としてしまうと、このような場合に第2の注意操作に係る保存データD2を取得することができなくなってしまうからである。
【0067】
〈3−4.処理の流れ〉
監視サーバ41が、各ビデオカメラ42が取得した撮像データから保存用のデータを生成する処理の流れについて、図7〜図9を参照しながら説明する。
【0068】
〈撮像データD1の取得処理〉
図7を参照する。図7は、撮像データD1の取得処理の流れを示す図である。
【0069】
撮像データ取得部11は、店舗内に配置されたビデオカメラ42のそれぞれから撮影データを取得し(ステップS11)、それぞれに撮像時刻を付加して(ステップS12)、得られたデータを撮像データD1として第1メモリ4131に格納する(ステップS13)。撮像データ取得部11は上記一連の処理を繰り返して行っている。
【0070】
〈保存データD2の取得処理〉
図8を参照する。図8は、保存データD2の取得処理の流れを示す図である。
【0071】
操作ログ取得部12が操作ログMを取得すると(ステップS21)、注意操作抽出部13が、注意操作リストLを参照して、操作ログMから注意操作を抽出する(ステップS22)。注意操作が抽出されると(ステップS22でYES)、保存時刻特定部14が、当該抽出された注意操作に係る保存データD2の保存開始時刻と保存終了時刻とをそれぞれ特定する(ステップS23)。続いて、保存データ取得部15が、第1メモリ4131に格納された撮像データD1から、保存時刻特定部14により特定された保存開始時刻から保存終了時刻までの撮像データ部分を抽出して、保存データD2として取得する(ステップS24)。そして、取得した保存データD2を、第2メモリ4132に格納する(ステップS25)。各機能部12,13,14,15は上記一連の処理を繰り返して行っている。
【0072】
〈撮像データD1の消去処理〉
図9を参照する。図9は、撮像データD1の消去処理の流れを示す図である。
【0073】
撮像データ消去部16は、保存データ取得部15が保存データD2を取得すると、その保存終了時刻に基づいて消去基準時刻を特定する(ステップS31)。そして、タイマ(図示省略)によるカウントで消去終了時刻に到達したか否かを判断し、消去基準時刻に到達したと判断すると(ステップS32でYES)、ステップS31で特定された消去基準時刻よりも古い撮像データD1を第1メモリ4131から消去する(ステップS33)。保存データ取得部15は上記一連の処理を繰り返して行っている。
【0074】
〈4.効果〉
上記の実施の形態によると、撮像データD1うち、注意操作が撮像されているデータ部分を、保存データD2として取得する。ここで、注意操作は、互いに異なる複数の抽出条件a1,a2,a3の組み合わせにより規定されるので、キャッシュレジスタ32に対して行われる膨大な種類の操作からトラブルの原因となる可能性が高い注意操作を適切に抽出することが可能となる。したがって、ビデオカメラ42から得られる膨大な撮像データD1から、後に必要となる可能性が高いデータ部分のみを適切に取り出し、限られた容量の記憶装置に効率的に保存することが可能となる。
【0075】
また、注意操作リストLに挙げられた複数種類の注意操作のうちのいくつか(図5の例においてはリスト番号「1」「2」「4」「6」の注意操作)は、キャッシュレジスタ32の操作キーの種類から規定される抽出条件a1と、キャッシュレジスタ32の操作者の識別情報から規定される抽出条件a2との組み合わせにより規定される。トラブルの発生は、特定のレジスタッフが特定のキーを操作した場合に集中する傾向があるところ、この構成によると、このような操作を注意操作として適切に抽出できる。
【0076】
また、別の注意操作(図5の例においてはリスト番号「5」の注意操作)は、キャッシュレジスタ32の操作キーの種類から規定される抽出条件a1と、取引の対象者の識別情報から規定される抽出条件a3との組み合わせにより規定される。トラブルの発生は、特定のお客との取引の間で特定のキーが操作された場合にも集中する傾向があるところ、この構成によると、このような操作を注意操作として適切に抽出できる。
【0077】
また、別の注意操作(図5の例においてはリスト番号「3」の注意操作)は、キャッシュレジスタ32の操作キーの種類から規定される抽出条件a1と、キャッシュレジスタ32の操作者の識別情報から規定される抽出条件a2と、取引の対象者の識別情報から規定される抽出条件a3との組み合わせにより規定される。トラブルの発生は、特定のレジスタッフと特定のお客との間で行われる取引において特定のキーが操作された場合に集中することも考えられるところ、この構成によると、このような操作を注意操作として適切に抽出できる。
【0078】
また、上記の実施の形態によると、注意操作リストLに挙げられた各注意操作は、個別設定もしくは取引単位によって保存時間が規定されている。
【0079】
個別設定により注意操作の保存時間を規定した場合、当該注意操作について設定された保存時間分の撮像データ部分が保存データD2として取得されることになる(図5の例においてはリスト番号「1」「4」「5」の注意操作)。この構成によると、保存データD2として取り出される時間範囲を注意操作の種類に応じて個別に設定することができるので、柔軟かつ効率的に必要なデータ部分を保存することができる。
【0080】
また、取引単位により注意操作の保存時間を規定した場合、当該注意操作が行われた取引が開始されてから終了するまでの撮像データ部分が保存データD2として取得されることになる(図5の例においてはリスト番号「2」「3」「6」の注意操作)。この構成によると、注意操作が行われた取引全体の撮像データ部分を保存しておくことができるので、これを利用して、トラブルが発生した場合の対処を適切に行うことができる。
【0081】
〈5.変形例〉
上記の実施の形態においては、注意操作リストLにおいて、リストアップされた複数の注意操作の全てが、抽出条件a1,a2,a3のうちの2以上の条件から規定されるものとしたが、1の条件から規定される注意操作が含まれていてもよい。
【0082】
また、上記の実施の形態においては、抽出条件a1,a2,a3の組み合わせから注意操作を規定したが、組み合わせは上記に説明したものに限らない。例えば、キャッシュレジスタ32の操作者(レジスタッフ)の識別情報から規定される抽出条件a2と、取引の対象者(お客)の識別情報から規定される抽出条件a3とから注意操作が規定されてもよい。
【0083】
また、注意操作を規定する条件は上記に説明した抽出条件a1,a2,a3に限らない。例えば、抽出条件として、商品の種類から規定される抽出条件(例えば、所定金額以上の高額商品、商品券のように換金性の高い商品を抽出する)や、操作が行われた時間帯から規定される抽出条件を用いて注意操作を規定してもよい。
【0084】
また、上記の実施の形態においては、キャッシュレジスタ操作監視システム4を、POSシステム3と別に設けたが、これらは一体に構成してもよい。すなわち、監視サーバ41の機能は、POSサーバ31にもたせてもよい。
【0085】
〈6.その他の変形例〉
〈6−1.万引き防止システム〉
上記の実施の形態においては、キャッシュレジスタ32に対して行われる一連の操作が撮影された撮像データD1のうち、後に必要となる可能性が高いデータ部分のみを保存データD2として取り出し、限られた容量の記憶装置に効率的に保存していた。したがって、キャッシュレジスタ32付近のトラブルが発生した場合には、この保存データD2を用いて適切に対処することが可能となる。
【0086】
ところで、店舗内において発生するキャッシュレジスタ32付近以外のトラブルの代表例として、万引きがある。万引きロスをどのように排除するかが店舗経営においても重要な課題となっている。万引きの防止策としては、店員による目視や監視カメラの設置が一般的である。万引きが発見された場合、万引き犯人を特定しなければならないが、この判断は、誤ってしまうと人権問題に発展するため、細心の注意をもって慎重に行う必要がある。監視カメラの画像から事後的に犯人を特定することも可能ではあるが、これは事後確認にとどまり、万引きが行われたその時点においてリアルタイムで万引き犯人を特定することは難しかった。また、監視カメラの設置は、事後的に犯人を特定する際には有用であるが、万引きの予防措置としては効果が薄かった。
【0087】
このような問題に応じるべく、店舗内に、以下のシステム(以下「万引き防止システム」という)を導入することが考えられる。すなわち、万引き防止システムにおいては、店舗の入り口に入店者を撮影するカメラ(第1カメラ)を配置する。また、販売エリアの各所に買い物をするお客を撮影するカメラ(第2カメラ)を設置する。また、レジカウンター付近に、レジ精算を行うお客を撮影するカメラ(第3カメラ)を設置する。また、駐車場に、駐車されたお客の車のナンバープレートを撮影するカメラ(第4カメラ)を設置する。各カメラは、万引き防止システムの管理サーバ(一般的なコンピュータにて構成することができる)と通信回線を介して接続されているものとする。
【0088】
万引き防止システムの管理サーバは、顧客データを管理保持している。顧客データにおいては、顧客データの登録時に取得したお客の個人データ(氏名、住所、車のナンバー等)と、当該お客の個人画像データ(具体的には、顔の撮像データ)とが対応付けて格納されている。
【0089】
お客の顔の撮像データは、例えば、第3カメラから取得することができる。すなわち、精算時には会員カード等をレジで読み取ることが一般に行われており、レジの操作ログを参照すれば特定の時刻にレジを通っているお客を特定することができる。したがって、第3カメラから取得された撮像データが、どのお客を撮像したものかを特定することができる。そこで、管理サーバは、第3カメラから取得される撮像データを、当該撮像データが取得された時刻にレジを通っているお客の個人画像データとして顧客データに登録する。これにより、お客の顔の撮像データが顧客データとして取得されることになる。
【0090】
管理サーバは、店舗内に配置された第1カメラ、第2カメラ、および、第4カメラから取得される撮像データを解析して、顧客データとの照合を行う。
【0091】
例えば、第1カメラからの撮像データと、顧客データの個人画像データ(顔の撮像データ)とを照合することによって、店舗に入店したお客をリアルタイムで特定することができる。また、第2カメラからの撮像データと、顧客データの個人画像データ(顔の撮像データ)とを照合することによって、店舗内で買い物を行っているお客をリアルタイムで特定することができる。また、第4カメラからの撮像データと、顧客データの個人画像データ(車のナンバープレートの撮像データ)とを照合することによって、店舗に車で入店したお客をリアルタイムで特定することができる。
【0092】
ここで、注意を要するお客(例えば万引き常習者)を予め管理サーバに登録しておき、当該登録されたお客が来店した場合にはアラームを発生させる。店舗スタッフは、このアラームにより注意を要するお客の来店を察知することができるので、万引きが行われないようにそのお客を注意して監視することができる。これにより、万引きの発生を未然に防止することが可能となる。
【0093】
また、お客が来店した日時を顧客データとして取得しておけば、当該お客が来店した履歴を顧客データとして保持しておくことができる。来店履歴は、万引きが発生した場合の証拠品としても用いることができる。
【0094】
また、店舗内で実際に万引きが発生してしまった場合、管理サーバにおいては、第2カメラのうち万引き現場付近に配置されたカメラからの撮像データと、顧客データの個人画像データ(顔の撮像データ)とを照合して、万引きの犯人を特定することができる。また、これを証拠として活用することができる。
【0095】
以上の通り、この変形例に係る万引き防止システムにおいては、万引きの発生を未然に防止することが可能となるとともに、万引きが発生した場合にもその犯人を特定するための有力な証拠を提示することができるので、万引きの再発防止にも効果がある。
【0096】
〈6−2.顧客動線解析システム〉
上記の実施の形態および上記の変形例においては、店舗内にカメラを配置し、そこから取得されるデータを用いて店舗の管理に用いていた。店舗内に配置したカメラから取得されるデータを用いれば、店舗内におけるお客の動線を把握することも可能となる。
【0097】
この変形例に係るシステム(以下「動線解析システム」という)は、上記の変形例に係る万引き防止システムとほぼ同様の構成を備えている。すなわち、動線解析システムは、店舗の入り口に設置され、入店者を撮影するカメラ(第1カメラ)と、販売エリアの各所に設置され、買い物をするお客を撮影するカメラ(第2カメラ)と、レジカウンター付近に設置され、レジ精算を行うお客を撮影するカメラ(第3カメラ)を備える。各カメラは、動線解析システムの管理サーバ(一般的なコンピュータにて構成することができる)と通信回線を介して接続されているものとする。
【0098】
動線解析システムの管理サーバは、顧客データを管理保持している。顧客データにおいては、顧客データの登録時に取得したお客の個人データと、当該お客の個人画像データ(具体的には、顔の撮像データ)とが対応付けて格納されている。お客の顔の撮像データを顧客データとして取得する態様は、上記の変形例と同様である。
【0099】
管理サーバは、店舗内に配置された各カメラと接続されており、各カメラから取得される撮像データをリアルタイムに解析して(もしくは、記憶装置に蓄積された過去の撮像データを読み出して解析して)、店舗内におけるお客の動線を特定する。すなわち、撮像データにおいて、ある一人のお客(注目客)の動きを追跡し、この注目客の挙動情報を取得する。挙動情報とは、具体的には、どの順序で売り場を見るか、どの商品を取り上げるか、また商品を取り上げる際の挙動(一度手にとってまた棚に戻した、といった挙動)、迷っている時間、等の各種の情報である。そして、取得した挙動情報を、当該注目客の顧客データとして保持しておく。特に、お客の動線については、店舗の平面図にプロットして動線情報として保持しておく。
【0100】
店舗を訪れるお客について、多数の挙動情報が蓄積されてくると、これを統計処理することによって、効果的な陳列や、棚割を行うことができる。また、個々のお客の挙動情報をみれば、当該お客の好みや興味のある商品を特定することができるので、各お客の好みにあった効果的な販売促進を行うことができる。これらにより、売り上げの向上を期待することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 店舗管理システム
2 ストアコントローラ
3 POSシステム
4 キャッシュレジスタ操作監視システム
11 データ取得部
12 操作ログ取得部
13 注意操作抽出部
14 保存時刻特定部
15 保存データ取得部
16 撮像データ消去部
32 キャッシュレジスタ
41 監視サーバ
42 ビデオカメラ
D1 撮像データ
D2 保存データ
L 注意操作リスト
M 操作ログ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャッシュレジスタに対して行われる操作の様子を撮像して撮像データを取得する撮像手段と、
前記撮像データを一時的に記憶する第1記憶手段と、
前記キャッシュレジスタに対して行われた操作内容を記録した操作ログを取得する操作ログ取得手段と、
前記キャッシュレジスタに対して行われる操作のうち、互いに異なる複数の抽出条件の組み合わせにより規定される特定の操作を注意操作とし、前記操作ログから前記複数の抽出条件の全てに合致する操作を前記注意操作として抽出する注意操作抽出手段と、
前記第1メモリに記憶された前記撮像データのうち、前記注意操作が撮像されている撮像データ部分を、保存データとして取得する保存データ取得手段と、
前記保存データを記憶する第2記憶手段と、
を備えることを特徴とする店舗管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の店舗管理システムであって、
前記注意操作が、前記キャッシュレジスタの操作キーの種類から規定される第1の抽出条件と、前記キャッシュレジスタの操作者の識別情報から規定される第2の抽出条件との組み合わせにより規定されることを特徴とする店舗管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の店舗管理システムであって、
前記注意操作が、前記キャッシュレジスタの操作キーの種類から規定される第1の抽出条件と、前記キャッシュレジスタを用いた取引の対象者の識別情報から規定される第3の抽出条件との組み合わせにより規定されることを特徴とする店舗管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の店舗管理システムであって、
前記注意操作が、前記キャッシュレジスタの操作キーの種類から規定される第1の抽出条件と、前記キャッシュレジスタの操作者の識別情報から規定される第2の抽出条件と、前記キャッシュレジスタを用いた取引の対象者の識別情報から規定される第3の抽出条件との組み合わせにより規定されることを特徴とする店舗管理システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の店舗管理システムであって、
前記注意操作の種類に応じて個別に保存時間が設定されており、
前記保存データ取得手段が、
前記注意操作が撮像されている前記保存データを取得する場合に、当該注意操作について設定された前記保存時間分の撮像データ部分を前記保存データとして取得することを特徴とする店舗管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の店舗管理システムであって、
前記注意操作が行われた時刻を基準として、当該注意操作の前後のそれぞれについて前記保存時間が設定されていることを特徴とする店舗管理システム。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の店舗管理システムであって、
前記保存データ取得手段が、
前記注意操作が撮像されている前記保存データを取得する場合に、当該注意操作が行われた取引が開始されてから終了するまでの撮像データ部分を前記保存データとして取得することを特徴とする店舗管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−108169(P2011−108169A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−265169(P2009−265169)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】