説明

廃棄物からの有機溶剤の回収方法及び回収装置

【課題】有機溶剤を含む廃棄物から有機溶剤を、エネルギ消費量が少なく効率良く回収する。
【解決手段】有機溶剤13を含む廃棄物と液体二酸化炭素12とが混合機14で混合されて、廃棄物中の有機溶剤13が液体二酸化炭素12に溶解される。この有機溶剤13を溶解した液体二酸化炭素12と廃棄物の残渣17とが第1分離槽21でこれらの比重差により分離される。廃棄物の残渣17から分離され有機溶剤13を溶解した液体二酸化炭素12が減圧弁18により減圧されて気化する。この減圧弁18により減圧されて気化された二酸化炭素ガスから有機溶剤13が第2分離槽22で分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料工場から排出される廃塗料スラリーや廃溶剤等の廃棄物から有機溶剤を回収する方法と、上記廃棄物から有機溶剤を回収する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、塗料工場から排出される廃塗料スラリーや廃溶剤は、塗料製造工程における色や品種を変更するために、塗料製造設備を溶剤で洗浄するときに大量に発生し、これらの廃塗料スラリーや廃溶剤には樹脂、顔料、添加剤などが含まれている。これらの廃塗料スラリーや廃溶剤は、高温真空蒸留法で溶剤を回収し、洗浄用溶剤として再利用していた(例えば、特許文献1及び2参照。)。特許文献1に示された塗料中有機溶剤の回収方法では、廃塗料又は塗料スラッジを密閉式タンク内に投入し、このタンク内を吸引減圧しながら間接加熱して、発生したガスを冷却回収するように構成される。この回収方法では、密閉タンク内を吸引減圧しながらゆっくり加熱すると、廃塗料や塗料スラッジ中に含まれていた低沸点成分から蒸発し、冷却手段にて冷却することにより液化回収できる。またタンク内を減圧することにより、比較的高沸点の溶剤も効率良く回収できるとともに、密閉式タンク内を間接加熱するので、引火の危険性もない。この結果、廃塗料や塗料スラッジ中の溶剤成分を短時間で効率良く回収でき、特に高沸点成分の回収率を高くすることができる。
【0003】
一方、特許文献2に示された廃棄物処理装置では、液状の廃棄物が乾燥用中空円盤ディスクにより有機溶剤と固形物に分離させ、この廃棄物がフィードによりディスク表面に供給され、ディスクにより濃縮された固形物がスクレーパにより回収されるように構成される。このスクレーパにより回収された固形物は粉砕装置により粉砕され、分離された有機溶剤はコンデンサにより液化される。また廃棄物を有機溶剤と固形物に分離を行うための雰囲気及び粉砕を行うための雰囲気がそれぞれ減圧装置により減圧され、上記粉砕された固形物を排出する際に減圧を保持するための減圧保持用ダンパが粉砕装置と排出口の間に設けられる。
このように構成された廃棄物処理装置を用いて固形分5〜70重量%の有機溶剤系塗料廃棄物を有機溶剤と固形物に分離するには、先ず表面温度が100〜250℃に加熱されかつ回転する円盤ディスクの側面に、上記有機溶剤系塗料廃棄物をフィードにて供給することにより、固形分90%以上に濃縮して固形物とし、この固形物をスクレーパで掻き取って粉砕機により廃棄物処理に適した大きさに裁断する。また上記有機溶剤系廃棄物を有機溶剤と固形物に分離を行うための雰囲気及び粉砕を行うために、廃棄物処理の雰囲気を真空度20〜150Torrの範囲内で行う。
上記のように構成された廃棄物処理装置では、装置全体を減圧状態とすることにより、有機溶剤を容易に回収できるとともに、被処理液を容易に固形化できる。また濃縮された固形物を適当な大きさに粉砕し、この粉砕された固形物を取出す際に装置の減圧状態が減圧保持用ダンパにより保持されるので、廃棄物処理液においても十分に固形分と有機溶剤とに分離して安定に処理できるようになっている。
【特許文献1】特開2004−263107号公報(請求項1、段落[0010]、段落[0025])
【特許文献2】特開2000−256500号公報(請求項1及び2、段落[0025])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の特許文献1に示された塗料中有機溶剤の回収方法や、従来の特許文献2に示された廃棄物処理装置では、廃塗料や有機溶剤系廃棄物を高温加熱する必要であるため、処理に多くのエネルギが消費されてしまう不具合があった。
【0005】
本発明の目的は、有機溶剤を含む廃棄物から有機溶剤を、エネルギ消費量が少なく効率良く回収できる、廃棄物からの有機溶剤の回収方法及び回収装置を提供することにある。
本発明の別の目的は、液体二酸化炭素又は超臨界二酸化炭素を繰返し利用することにより、二酸化炭素の有効利用を図ることができる、廃棄物からの有機溶剤の回収方法及び回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、有機溶剤13を含む廃棄物から有機溶剤13を回収する方法の改良である。
その特徴ある構成は、廃棄物と液体二酸化炭素12とを混合して廃棄物中の有機溶剤13を液体二酸化炭素12に溶解させる工程と、有機溶剤13を溶解した液体二酸化炭素12と廃棄物の残渣17とをこれらの比重差により分離する工程と、廃塗料の残渣17から分離され有機溶剤13を溶解した液体二酸化炭素12を減圧し気化させて二酸化炭素ガスとすることにより有機溶剤13を二酸化炭素ガスから分離する工程とを含むところにある。
この請求項1に記載された廃棄物からの有機溶剤の回収方法では、廃棄物と液体二酸化炭素12を混合すると、廃棄物中の有機溶剤13は液体二酸化炭素12に溶解するけれども、有機溶剤13が除去された廃棄物の残渣17は液体二酸化炭素12に殆ど溶解しない。このため有機溶剤13が溶解した液体二酸化炭素12と廃棄物の残渣17とはこれらの比重差により分離される。この有機溶剤13が溶解した液体二酸化炭素12を減圧して気化すると、有機溶剤13が二酸化炭素ガスから分離されて回収される。
【0007】
請求項2に係る発明は、図2に示すように、有機溶剤13を含む廃棄物から有機溶剤13を回収する方法の改良である。
その特徴ある構成は、廃棄物と超臨界二酸化炭素72とを混合して廃棄物中の有機溶剤13を超臨界二酸化炭素72に溶解させる工程と、有機溶剤13を溶解した超臨界二酸化炭素72と廃棄物の残渣17とをこれらの比重差により分離する工程と、廃棄物の残渣17から分離され有機溶剤13を溶解した超臨界二酸化炭素72を減圧し気化させて二酸化炭素ガスとすることにより有機溶剤13を二酸化炭素ガスから分離する工程とを含むところにある。
この請求項2に記載された廃棄物からの有機溶剤の回収方法では、廃棄物と超臨界二酸化炭素72を混合すると、廃棄物中の有機溶剤13は高い拡散速度を有する超臨界二酸化炭素72に速やかに溶解するけれども、有機溶剤13が除去された廃棄物の残渣17は超臨界二酸化炭素72に殆ど溶解しない。このため有機溶剤13が溶解した超臨界二酸化炭素72と廃棄物の残渣17とはこれらの比重差により分離される。この有機溶剤13が溶解した超臨界二酸化炭素72を減圧して気化すると、有機溶剤13が二酸化炭素ガスから分離されて回収される。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1に示すように、有機溶剤13を分離した二酸化炭素ガスを圧縮し冷却することにより液化して再び有機溶剤13を含む廃棄物と混合する工程を更に含むことを特徴とする。
この請求項3に記載された廃棄物からの有機溶剤の回収方法では、有機溶剤13を分離した二酸化炭素ガスを圧縮し冷却することにより液化して、再び有機溶剤13を含む廃棄物と混合するので、液体二酸化炭素12を繰返し利用することができ、二酸化炭素の有効利用を図ることができる。
請求項4に係る発明は、請求項2に係る発明であって、更に図2に示すように、有機溶剤13を分離した二酸化炭素ガスを圧縮し冷却することにより液化する工程と、この液体二酸化炭素12をポンプ32で昇圧し再び有機溶剤13を含む廃棄物と混合する前又は混合中に加熱して超臨界二酸化炭素72にする工程とを更に含むことを特徴とする。
この請求項4に記載された廃棄物からの有機溶剤の回収方法では、有機溶剤13を分離した二酸化炭素ガスを圧縮し冷却することにより液化して、この液体二酸化炭素12をポンプ32で昇圧し、再び有機溶剤13を含む廃棄物と混合する前又は混合中に加熱して超臨界二酸化炭素72とするので、超臨界二酸化炭素72を繰返し利用することができ、二酸化炭素の有効利用を図ることができる。
【0009】
請求項5に係る発明は、図1に示すように、有機溶剤13を含む廃棄物から有機溶剤13を回収する装置の改良である。
その特徴ある構成は、廃棄物と液体二酸化炭素12とを混合して廃棄物中の有機溶剤13を液体二酸化炭素12に溶解させる混合機14と、有機溶剤13を溶解した液体二酸化炭素12と廃棄物の残渣17とをこれらの比重差により分離する第1分離槽21と、廃棄物の残渣17から分離され有機溶剤13を溶解した液体二酸化炭素12を減圧して気化させる減圧弁18と、減圧弁18により減圧されて気化された二酸化炭素ガスから有機溶剤13を分離する第2分離槽22とを備えたところにある。
この請求項5に記載された廃棄物からの有機溶剤の回収装置では、廃棄物中の有機溶剤13は混合機14で液体二酸化炭素12に溶解するけれども、有機溶剤13が除去された廃棄物の残渣17は混合機14で液体二酸化炭素12に殆ど溶解しない。このため有機溶剤13が溶解した液体二酸化炭素12と廃棄物の残渣17とはこれらの比重差により第1分離槽21で分離される。この有機溶剤13が溶解した液体二酸化炭素12を減圧弁18で減圧して気化すると、第2分離槽22で有機溶剤13が二酸化炭素ガスから分離されて回収される。
【0010】
請求項6に係る発明は、図2に示すように、有機溶剤13を含む廃棄物から有機溶剤13を回収する装置の改良である。
その特徴ある構成は、廃棄物と超臨界二酸化炭素72とを混合して廃棄物中の有機溶剤13を超臨界二酸化炭素72に溶解させる混合機14と、有機溶剤13を溶解した超臨界二酸化炭素72と廃棄物の残渣17とをこれらの比重差により分離する第1分離槽21と、廃棄物の残渣17から分離され有機溶剤13を溶解した超臨界二酸化炭素72を減圧して気化させる減圧弁18と、減圧弁18により減圧されて気化された二酸化炭素ガスから有機溶剤13を分離する第2分離槽22とを備えたところにある。
この請求項6に記載された廃棄物からの有機溶剤の回収装置では、廃棄物中の有機溶剤13は混合機14で高い拡散速度を有する超臨界二酸化炭素72に速やかに溶解するけれども、有機溶剤13が除去された廃棄物の残渣17は混合機14で超臨界二酸化炭素72に殆ど溶解しない。このため有機溶剤13が溶解した超臨界二酸化炭素72と廃棄物の残渣17とはこれらの比重差により第1分離槽21で分離される。この有機溶剤13が溶解した超臨界二酸化炭素72を減圧弁18で減圧して気化することにより、第2分離槽22で有機溶剤13が二酸化炭素ガスから分離されて回収される。
【0011】
請求項7に係る発明は、請求項5に係る発明であって、更に図1に示すように、有機溶剤13を分離した二酸化炭素ガスを圧縮する圧縮機28と、圧縮された二酸化炭素ガスを冷却して液体二酸化炭素12にする冷却器29と、この液体二酸化炭素12を昇圧して再び混合機14に供給するポンプ32とを更に備えたことを特徴とする。
この請求項7に記載された廃棄物からの有機溶剤の回収装置では、有機溶剤13を分離した二酸化炭素ガスを圧縮機28で圧縮し、この圧縮された二酸化炭素ガスを冷却器29で冷却して液体二酸化炭素12にし、この液体二酸化炭素12を再び混合機14にポンプ32で昇圧して供給するので、液体二酸化炭素12を繰返し利用することができ、二酸化炭素の有効利用を図ることができる。
請求項8に係る発明は、請求項6に係る発明であって、更に図2に示すように、有機溶剤13を分離した二酸化炭素ガスを圧縮する圧縮機28と、圧縮された二酸化炭素ガスを冷却して液体二酸化炭素12にする冷却器29と、液体二酸化炭素12を昇圧して再び混合機14に供給するポンプ32と、この液体二酸化炭素12を再び混合機14に供給する前又は混合機14で混合中に加熱して超臨界二酸化炭素72にする加熱手段14fとを更に備えたことを特徴とする。
この請求項8に記載された廃棄物からの有機溶剤の回収装置では、有機溶剤13を分離した二酸化炭素ガスを圧縮機28で圧縮し、この圧縮された二酸化炭素ガスを冷却器29で冷却して液体二酸化炭素12にし、この液体二酸化炭素12をポンプ32で昇圧して再び混合機14に供給する前又は混合機14で混合中に加熱手段14fで加熱して超臨界二酸化炭素72にするので、超臨界二酸化炭素72を繰返し利用することができ、二酸化炭素の有効利用を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、廃棄物と液体二酸化炭素とを混合して廃棄物中の有機溶剤を液体二酸化炭素に溶解させ、有機溶剤を溶解した液体二酸化炭素と廃棄物の残渣とをこれらの比重差により分離し、更に廃棄物の残渣から分離され有機溶剤を溶解した液体二酸化炭素を減圧し気化させて二酸化炭素ガスとすることにより有機溶剤を二酸化炭素ガスから分離するので、有機溶剤を含む廃棄物から有機溶剤を、エネルギ消費量が少なく効率良く回収できる。
また廃棄物と高い拡散速度を有する超臨界二酸化炭素とを混合して廃棄物中の有機溶剤を超臨界二酸化炭素に速やかに溶解させ、有機溶剤を溶解した超臨界二酸化炭素と廃棄物の残渣とをこれらの比重差により分離し、更に廃棄物の残渣から分離され有機溶剤を溶解した超臨界二酸化炭素を減圧し気化させて二酸化炭素ガスとすることにより有機溶剤を二酸化炭素ガスから分離すれば、有機溶剤を含む廃棄物から有機溶剤を、エネルギ消費量が少なく効率良く回収できるとともに、廃棄物と超臨界二酸化炭素との混合時間を短縮できる。
また有機溶剤を分離した二酸化炭素ガスを圧縮し冷却することにより液化して再び有機溶剤を含む廃棄物と混合すれば、液体二酸化炭素を繰返し利用することができ、二酸化炭素の有効利用を図ることができる。
また有機溶剤を分離した二酸化炭素ガスを圧縮し冷却することにより液化し、この液体二酸化炭素をポンプで昇圧し再び有機溶剤を含む廃棄物と混合する前又は混合中に加熱して超臨界二酸化炭素にすれば、超臨界二酸化炭素を繰返し利用することができ、二酸化炭素の有効利用を図ることができる。
【0013】
また有機溶剤を含む廃棄物と液体二酸化炭素とを混合機で混合して、廃棄物中の有機溶剤を液体二酸化炭素に溶解し、この有機溶剤を溶解した液体二酸化炭素と廃棄物の残渣とを第1分離槽でこれらの比重差により分離し、廃棄物の残渣から分離され有機溶剤を溶解した液体二酸化炭素を減圧弁により減圧して気化し、更にこの減圧弁により減圧されて気化された二酸化炭素ガスから有機溶剤を第2分離槽で分離すれば、廃棄物中の有機溶剤は混合機で液体二酸化炭素に溶解するけれども、有機溶剤が除去された廃棄物の残渣は混合機で液体二酸化炭素に殆ど溶解しない。このため有機溶剤が溶解した液体二酸化炭素と廃棄物の残渣とはこれらの比重差により第1分離槽で分離される。この有機溶剤が溶解した液体二酸化炭素を減圧弁で減圧して気化することにより、第2分離槽で有機溶剤が二酸化炭素ガスから分離されて回収される。この結果、有機溶剤を含む廃棄物から有機溶剤を、エネルギ消費量が少なく効率良く回収できる。
【0014】
また有機溶剤を含む廃棄物と高い拡散速度を有する超臨界二酸化炭素とを混合機で混合して、廃棄物中の有機溶剤を超臨界二酸化炭素に速やかに溶解し、この有機溶剤を溶解した超臨界二酸化炭素と廃棄物の残渣とを第1分離槽でこれらの比重差により分離し、廃棄物の残渣から分離され有機溶剤を溶解した超臨界二酸化炭素を減圧弁により減圧して気化し、更にこの減圧弁により減圧されて気化された二酸化炭素ガスから有機溶剤を第2分離槽で分離すれば、廃棄物中の有機溶剤は混合機で超臨界二酸化炭素に溶解するけれども、有機溶剤が除去された廃棄物の残渣は混合機で超臨界二酸化炭素に殆ど溶解しない。このため有機溶剤が溶解した超臨界二酸化炭素と廃棄物の残渣とはこれらの比重差により第1分離槽で分離される。この有機溶剤が溶解した超臨界二酸化炭素を減圧弁で減圧して気化することにより、第2分離槽で有機溶剤が二酸化炭素ガスから分離されて回収される。この結果、有機溶剤を含む廃棄物から有機溶剤を、エネルギ消費量が少なく効率良く回収できるとともに、廃棄物と超臨界二酸化炭素との混合時間を短縮できる。
【0015】
また有機溶剤を分離した二酸化炭素ガスを圧縮機で圧縮し、この圧縮された二酸化炭素ガスを冷却器で冷却して液体二酸化炭素にし、この液体二酸化炭素をポンプで昇圧して再び混合機に供給すれば、液体二酸化炭素を繰返し利用することができ、二酸化炭素の有効利用を図ることができる。
更に有機溶剤を分離した二酸化炭素ガスを圧縮機で圧縮し、この圧縮された二酸化炭素ガスを冷却器で冷却して液体二酸化炭素にし、この液体二酸化炭素をポンプで昇圧して再び混合機に供給するとともに再び混合機に供給する前又は混合機で混合中に加熱手段で加熱して超臨界二酸化炭素にすれば、超臨界二酸化炭素を繰返し利用することができ、二酸化炭素の有効利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、廃棄物からの有機溶剤13の回収装置は、廃棄物と液体二酸化炭素12とを混合して廃棄物中の有機溶剤13を液体二酸化炭素12に溶解させる混合機14と、有機溶剤13を溶解した液体二酸化炭素12と廃棄物の残渣17とをこれらの比重差により分離する第1分離槽21と、廃棄物の残渣17から分離され有機溶剤13を溶解した液体二酸化炭素12を減圧して気化させる減圧弁18と、減圧弁18により減圧されて気化された二酸化炭素ガスから有機溶剤13を分離する第2分離槽22とを備える。廃棄物は、この実施の形態では、塗料工場から排出される廃塗料スラリーである。この廃塗料スラリーは、塗料製造工程における色や品種を変更するために、塗料製造設備を溶剤で洗浄するときに大量に発生し、これらの廃塗料スラリーや廃溶剤には樹脂、顔料、添加剤などが含まれている。また有機溶剤13としては、芳香族炭化水素系のキシレン、トルエン、ソルベントナフサや、エーテル系のエチレングリコールモノエチルエーテルや、ケトン系のアセトン、メチルエチルケトンや、アルコール系のエタノール、ブタノール、イソプロパノールや、脂肪族炭化水素系のミネラルスピリットや、エステル系の酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミンの他に、エチルベンゼンや、アセテートや、スチレン、1,3,5-トリメチルベンゼンなどが挙げられる。なお、この実施の形態では、廃棄物として廃塗料スラリーを挙げたが、廃溶剤又はその他の有機溶剤を含む廃棄物であってもよい。
【0017】
廃塗料スラリーは第1供給ポンプ31によりホッパ19に貯留され、このホッパ19に貯留された廃塗料スラリーは第1供給管41を通って混合機14に供給される。第1供給管41にはこの第1供給管41を開閉する第1開閉弁51が設けられる。混合機14は、この実施の形態では、単軸スクリュー押出し機である。この混合機14は、水平方向に延びて設けられ両端が一対のフランジ14a,14bによりそれぞれ閉止された円筒状のケース14cと、このケース14c内に回転可能に収容されたスクリュー14dと、ケース14cの一端を閉止する一方のフランジ14aに取付けられスクリュー14dの一端に接続されてスクリュー14dを駆動するモータ14eと、ケース14cの他端を閉止する他方のフランジ14bに設けられスクリュー14dの他端を回転可能に保持する保持具(図示せず)とを有する。第1供給管41はケース14cの外周面のうち一方のフランジ14aに接近して接続される。またケース14cの長手方向の中央には、液体二酸化炭素12をケース14c内に供給する第2供給管42の一端が接続され、第2供給管42の他端は第2供給ポンプ32の吐出口に接続される。更に第2供給管42にはこの第2供給管42を開閉する第2開閉弁52が設けられる。なお、この実施の形態では、混合機として単軸スクリュー押出し機を挙げたが、二軸スクリュー噛合い押出し機、三軸スクリュー噛合い押出し機、或いはその他の混合機を用いてもよい。
【0018】
第1分離槽21は鉛直方向に延びかつ両端が閉止された円筒状に形成される。混合機14の保持具には混合機14内に連通する排出孔(図示せず)が形成され、この排出孔は連通管23により第1分離槽21の外周面のうち鉛直方向の中央に接続される。連通管23の途中にはこの連通管23を開閉する第3開閉弁53が設けられる。また第2分離槽22は鉛直方向に延びかつ両端が閉止された円筒状に形成される。第1分離槽21の上端はアッパ連通管24により第2分離槽22の外周面の鉛直方向中央に接続され、このアッパ連通管24には第1分離槽21側から順に温度調節器26と上記減圧弁18とが設けられる。また第2分離槽22の内面にはアッパ連通管24の接続部に対向して逆L字状の当接板22aが固着される。上記温度調節器26及び減圧弁18により第2分離槽22内の温度は5〜30℃、好ましくは5〜20℃に設定され、圧力は0〜5MPa、好ましくは0〜3MPa、更に好ましくは大気圧に設定される。ここで、第2分離槽22内の温度を5〜30℃の範囲内に限定したのは、5℃未満では液体二酸化炭素の気化速度が遅くなり、30℃を越えると二酸化炭素における有機溶剤の気相組成が増えてしまうからである。また第2分離槽22内の圧力を0〜5MPaの範囲内に限定したのは、5MPaを越えると二酸化炭素における有機溶剤の溶解度が大きくなり、有機溶剤が二酸化炭素に同伴され、分離効率が低下するからである。
【0019】
第2分離槽22の上端は戻し管27を通して第2供給ポンプ32の吸入口に接続される。戻し管27には第2分離槽22側から順に圧縮機28及び冷却器29が設けられる。圧縮機28では有機溶剤13を分離した二酸化炭素ガスを圧縮し、冷却器29ではこの圧縮された二酸化炭素ガスを冷却して液体二酸化炭素12にするように構成される。また冷却器29は液体二酸化炭素12の貯留槽としても機能する。第2供給ポンプ32により液体二酸化炭素が昇圧されて混合機14に供給される。この混合機14における二酸化炭素の温度は−10〜30℃、好ましくは−5〜10℃に設定され、圧力は5〜30MPa、好ましくは5〜15MPaに設定される。ここで、上記温度を−10〜30℃の範囲内に限定したのは、−10℃未満では二酸化炭素を冷却するエネルギ消費が大きく、30℃を越えると二酸化炭素が液化しないからである。また上記圧力を5〜30MPaの範囲内に限定したのは、5MPa未満では二酸化炭素の溶解度が低く、30MPaを越えると装置が大型化してしまうからである。
【0020】
一方、混合機14と第1開閉弁51との間の連通管23から分岐管33が分岐し、この分岐管33は混合機14のケース14cの長手方向の中央に接続される。この分岐管33には連通管23側から順に第4開閉弁54及び循環ポンプ34が設けられる。また第1分離槽21の下端にはロア連通管36を通して押出し成型機37が接続される。この押出し成型機37は、上記混合機14と同様の単軸スクリュー押出し機であり、水平方向に延びて設けられ両端が一対のフランジ37a,37bによりそれぞれ閉止された円筒状のケース37cと、このケース37c内に回転可能に収容されたスクリュー37dと、ケース37cの一端を閉止する一方のフランジ37aに取付けられスクリュー37dの一端に接続されてスクリュー37dを駆動するモータ37eと、ケース37cの他端を閉止する他方のフランジ37bに設けられスクリュー37dの他端を回転可能に保持する保持具(図示せず)とを有する。押出し成型機37のケース37cの外周面には、加熱器37fが設けられ、押出し成型機37の他方のフランジ37bには棒材等を成型するための型(図示せず)が設けられる。上記加熱器37fによりケース37c内部が50〜150℃の温度に加熱されるように構成される。更に第2分離槽22の下端には排出管38と通して溶剤貯留槽39が接続され、排出管38にはこの排出管38を開閉する第5開閉弁55が設けられる。
【0021】
このように構成された回収装置を用いて廃塗料スラリーから有機溶剤13を回収する方法を説明する。
予め第4開閉弁54を閉じた状態で第3開閉弁53を開き、混合機14のスクリュー14d及び押出し成型機37のスクリュー37dを回転させておく。先ず廃塗料スラリーを第1供給ポンプ31によりホッパ19に供給する。次いで第1開閉弁51を開いて、ホッパ19内の廃塗料スラリーを混合機14に供給すると同時に、第2開閉弁52を開きかつ第2供給ポンプ32を作動させて冷却器29内の液体二酸化炭素12を昇圧して混合機14に供給する。上記液体二酸化炭素12の供給量は廃塗料スラリーの供給量に対して重量比で1〜100倍、好ましくは5〜50倍に設定される。ここで、液体二酸化炭素12の供給量を廃塗料スラリーの供給量に対して重量比で1〜100倍の範囲内に限定したのは、1倍未満では廃塗料スラリー中の有機溶剤を全て溶解・抽出することができず、溶剤回収率が低く、100倍を越えると第1分離槽21での残渣の分離効率及び第2分離槽22での有機溶剤の分離効率が低下してしまうからである。混合機14内で廃塗料スラリーと液体二酸化炭素12とを混合すると、廃棄物中の有機溶剤13は混合機14で液体二酸化炭素12に溶解するけれども、有機溶剤13が除去された廃棄物の残渣17(固形物)は混合機14で液体二酸化炭素12に殆ど溶解しない。このため液体二酸化炭素12は廃塗料スラリー中の有機溶剤13を抽出して溶解し、これにより廃塗料スラリーから有機溶剤13が除去されて残渣17が析出する。上記有機溶剤13が溶解した液体二酸化炭素12と残渣17との混合物は連通管23を通って第1分離槽21に送られ、第1分離槽21内でこれらの混合物は比重差により有機溶剤13が溶解した液体二酸化炭素12と残渣17とに分離される。即ち、有機溶剤13が溶解した液体二酸化炭素12は第1分離槽21内の上部に移動し、残渣17は第1分離槽21内の下部に移動する。
【0022】
そして有機溶剤13が溶解した液体二酸化炭素12はアッパ連通管24を通り、温度調節器26で所定の温度に調節され、更に減圧弁18で所定の圧力に減圧されて、温度5〜30℃かつ圧力0〜5MPaの二酸化炭素ガスとなって有機溶剤13とともに第2分離槽22に送られる。これらの二酸化炭素ガス及び有機溶剤13は第2分離槽22内で二酸化炭素ガスと有機溶剤13とに気液分離される。二酸化炭素ガスは戻し管27を通り、圧縮機28で所定の圧力に圧縮され、更に冷却器29で所定の温度に冷却されて、温度−10〜30℃かつ圧力5〜10MPaの液体二酸化炭素となり、第2供給ポンプ32により5〜30MPaに昇圧されて混合機14に再び供給される。この結果、廃棄物から有機溶剤13を、エネルギ消費量が少なく効率良く回収できるとともに、液体二酸化炭素12を繰返し利用することにより、二酸化炭素の有効利用を図ることができる。なお、アッパ連通管24から第2分離槽22に二酸化炭素ガス及び有機溶剤が噴射状態で流入するけれども、これらの二酸化炭素ガス及び有機溶剤13は当接板22aに当接するので、有機溶剤13が第2分離槽22内を上昇する二酸化炭素ガスに混入しないようになっている。
【0023】
一方、第2分離槽22の下部に溜った有機溶剤13は第5開閉弁55を開くことにより排出管38を通って溶剤貯留槽39に貯留される。また第1分離槽21の下部に溜った残渣17はロア連通管36を通って押出し成型機37に送られ、ケース37c内で加熱器37fにより50〜150℃に加熱されて溶融した後に、他方のフランジ37bに設けられた型により所定の形状に押出し成型される。なお、混合機14において液体二酸化炭素12により廃塗料スラリーから有機溶剤13を十分に抽出・溶解することができないときには、第1〜第3開閉弁51〜53を閉じるとともに第4開閉弁54を開いて、循環ポンプ34を作動させることにより、廃塗料スラリー及び液体二酸化炭素12の混合物を分岐管33から混合機14に再び戻し、混合機14と分岐管33との間を所定時間だけ循環させてもよい。これにより有機溶剤13の抽出・溶解時間を延長することができるので、液体二酸化炭素12により廃塗料スラリーから有機溶剤13を十分に抽出・溶解できる。
【0024】
<第2の実施の形態>
図2は本発明の第2の実施の形態を示す。図2において図1と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、混合機14のケース14cの外周面に加熱手段14fが設けられる。この加熱手段14fはケース14cの外周面に設けられたジャケット槽や電熱器などにより構成される。加熱手段14fがジャケット槽である場合、このジャケット槽には熱媒体又は水蒸気が流通され、加熱手段14fが電熱器である場合、ヒータ等が用いられる。混合機14のケース14cに供給される液体二酸化炭素12は上記加熱手段14fにより加熱されて超臨界二酸化炭素72となるように構成される。この超臨界二酸化炭素72の温度は30〜230℃、好ましくは30〜60℃に設定され、圧力は7.4〜50MPa、好ましくは15〜30MPaに設定される。ここで、超臨界二酸化炭素72の温度を30〜230℃の範囲内に限定したのは、30℃未満では超臨界二酸化炭素状態にならず、230℃を越えると二酸化炭素の密度が小さくなり過ぎるからである。また超臨界二酸化炭素72の圧力を7.4〜50MPaの範囲内に限定したのは、7.4MPa未満では液体二酸化炭素12が超臨界二酸化炭素72にならず、230MPaを越えると装置が大型化してしまうからである。また温度調節器26及び減圧弁18により第2分離槽22内の温度は5〜30℃、好ましくは5〜20℃に設定され、圧力は0〜5MPa、好ましくは0〜3MPa、更に好ましくは大気圧に設定される。ここで、第2分離槽22内の温度を5〜30℃の範囲内に限定したのは、5℃未満では液体二酸化炭素の気化速度が遅くなり、30℃を越えると二酸化炭素における有機溶剤の気相組成が増えてしまうからである。また第2分離槽22内の圧力を0〜5MPaの範囲内に限定したのは、5MPaを越えると二酸化炭素における有機溶剤の溶解度が大きくなり、有機溶剤と気化した二酸化炭素の分離精度が低下してしまうからである。なお、この実施の形態では、液体二酸化炭素を混合機で混合中に加熱手段により加熱して超臨界二酸化炭素にしたが、液体二酸化炭素を混合機に供給する前に加熱手段で加熱して超臨界二酸化炭素にしてもよい。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0025】
このように構成された回収装置を用いて廃塗料スラリーから有機溶剤13を回収する場合、第1開閉弁51を開いてホッパ19内の廃塗料スラリーを混合機14に供給し、第2開閉弁52を開きかつ第2供給ポンプ32を作動させて冷却器29内の液体二酸化炭素12を第2供給ポンプ32で昇圧して混合機14に供給すると、混合機14内の液体二酸化炭素12は加熱手段14fにより加熱されて超臨界二酸化炭素72になる。この超臨界二酸化炭素72は高い拡散速度を有するので、廃塗料スラリーに含まれる有機溶剤13は速やかに超臨界二酸化炭素72に抽出されて溶解される。この結果、混合機14での混合時間を第1の実施の形態より短くすることができる。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【実施例】
【0026】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
混合機として二軸スクリュー噛合い押出し機(PEX30−10:日本製鋼社製)を用い、押出し成型機として単軸スクリュー押出し機を用いた。混合機の仕様は、軸回転速度が10〜300rpmであり、押出し能力が5〜30kg/時であり、スクリュー口径が32mmであった。押出し成型機の口径は50mmであった。一方、二酸化炭素ガスを圧縮して温度及び圧力がそれぞれ−5℃及び5.5MPaである液体二酸化炭素とし、この液体二酸化炭素を混合機に供給した。また液体二酸化炭素の混合機への供給量は100kg/時に設定し、廃塗料スラリーの混合機への供給量は10kg/時に設定した。塗料としては、市販の関西ペイント株式会社製のアクリル樹脂系塗料と塩化ビニール樹脂系塗料とポリウレタン樹脂塗料とを重量比で3:3:4の割合で混合した混合物を用いた。この塗料には、樹脂主成分としてアクリル樹脂系、塩化ビニール樹脂系、ウレタン樹脂系などが含まれ、添加剤として無機顔料、有機顔料、可塑剤、界面活性剤、凍結防止剤、防錆剤などが含まれた。また有機溶剤としては、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチルなどの混合液を用いた。上記塗料と有機溶剤とを混合して廃塗料スラリーとした。この廃塗料スラリーの溶剤濃度を、トルエン50重量%とキシレン50重量%の混合溶剤を用いて90%に調整した。
【0027】
<実施例2>
混合機に供給する液体二酸化炭素の圧力を6.5MPaとし、廃塗料スラリーの溶剤濃度を、トルエン50重量%とキシレン50重量%の混合溶剤を用いて70%に調整したこと以外は、実施例1と同様に構成した。
<実施例3>
混合機に供給する液体二酸化炭素の圧力を7.0MPaとし、廃塗料スラリーの溶剤濃度を、トルエン50重量%とキシレン50重量%の混合溶剤を用いて50%に調整したこと以外は、実施例1と同様に構成した。
<実施例4>
混合機に供給された液体二酸化炭素を加熱手段により加熱して、温度及び圧力がそれぞれ40℃及び10MPaの超臨界二酸化炭素としたこと以外は、実施例1と同様に構成した。
【0028】
<実施例5>
混合機に供給された液体二酸化炭素を加熱手段により加熱して、温度及び圧力がそれぞれ40℃及び20MPaの超臨界二酸化炭素とし、廃塗料スラリーの溶剤濃度を、トルエン50重量%とキシレン50重量%の混合溶剤を用いて70%に調整したこと以外は、実施例1と同様に構成した。
<実施例6>
混合機に供給された液体二酸化炭素を加熱手段により加熱して、温度及び圧力がそれぞれ40℃及び25MPaの超臨界二酸化炭素とし、廃塗料スラリーの溶剤濃度を、トルエン50重量%とキシレン50重量%の混合溶剤を用いて50%に調整したこと以外は、実施例1と同様に構成した。
<比較例1>
混合機に液体二酸化炭素を供給せずに廃塗料スラリーのみを供給し、混合機内の温度及び圧力をそれぞれ200℃及び100Torrとし、廃塗料スラリーの溶剤濃度を、トルエン50重量%とキシレン50重量%の混合溶剤を用いて70%に調整したこと以外は、実施例1と同様に構成した。
【0029】
<比較試験1及び評価>
実施例1〜6及び比較例1のように設定された装置を用いて、有機溶剤の回収率と、廃塗料スラリーの単位重量当りのエネルギ消費量を測定し、その結果を表1に示す。なお、廃塗料スラリーの単位重量当りのエネルギ消費量は、比較例1のエネルギ消費量を『1.00』としたときの割合で示した。
【0030】
【表1】

表1から明らかなように、有機溶剤の回収率は比較例1及び実施例1〜6で殆ど同じであったけれども、比較例1のエネルギ消費量を1.00としたときに実施例1〜6のエネルギ消費量は比較例1の0.20〜0.45倍と大幅に低下することが分った。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明第1実施形態の有機溶剤の回収装置の構成図である。
【図2】本発明第2実施形態の有機溶剤の回収装置の構成図である。
【符号の説明】
【0032】
12 液体二酸化炭素
13 有機溶剤
14 混合機
14f 加熱手段
17 残渣
18 減圧弁
21 第1分離槽
22 第2分離槽
28 圧縮機
29 冷却器
72 超臨界二酸化炭素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶剤を含む廃棄物から前記有機溶剤を回収する方法において、
前記廃棄物と液体二酸化炭素とを混合して前記廃棄物中の有機溶剤を前記液体二酸化炭素に溶解させる工程と、
前記有機溶剤を溶解した前記液体二酸化炭素と前記廃棄物の残渣とをこれらの比重差により分離する工程と、
前記廃棄物の残渣から分離され前記有機溶剤を溶解した前記液体二酸化炭素を減圧し気化させて二酸化炭素ガスとすることにより前記有機溶剤を前記二酸化炭素ガスから分離する工程と
を含むことを特徴とする廃棄物からの有機溶剤の回収方法。
【請求項2】
有機溶剤を含む廃棄物から前記有機溶剤を回収する方法において、
前記廃棄物と超臨界二酸化炭素とを混合して前記廃棄物中の有機溶剤を前記超臨界二酸化炭素に溶解させる工程と、
前記有機溶剤を溶解した前記超臨界二酸化炭素と前記廃棄物の残渣とをこれらの比重差により分離する工程と、
前記廃棄物の残渣から分離され前記有機溶剤を溶解した前記超臨界二酸化炭素を減圧し気化させて二酸化炭素ガスとすることにより前記有機溶剤を前記二酸化炭素ガスから分離する工程と
を含むことを特徴とする廃棄物からの有機溶剤の回収方法。
【請求項3】
有機溶剤を分離した二酸化炭素ガスを圧縮し冷却することにより液化して再び有機溶剤を含む廃棄物と混合する工程を更に含む請求項1記載の廃棄物からの有機溶剤の回収方法。
【請求項4】
有機溶剤を分離した二酸化炭素ガスを圧縮し冷却することにより液化する工程と、
この液体二酸化炭素をポンプで昇圧し再び有機溶剤を含む廃棄物と混合する前又は混合中に加熱して超臨界二酸化炭素にする工程と
を更に含む請求項2記載の廃棄物からの有機溶剤の回収方法。
【請求項5】
有機溶剤を含む廃棄物から前記有機溶剤を回収する装置において、
前記廃棄物と液体二酸化炭素とを混合して前記廃棄物中の有機溶剤を前記液体二酸化炭素に溶解させる混合機と、
前記有機溶剤を溶解した前記液体二酸化炭素と前記廃棄物の残渣とをこれらの比重差により分離する第1分離槽と、
前記廃棄物の残渣から分離され前記有機溶剤を溶解した前記液体二酸化炭素を減圧して気化させる減圧弁と、
前記減圧弁により減圧されて気化された二酸化炭素ガスから前記有機溶剤を分離する第2分離槽と
を備えたことを特徴とする廃棄物からの有機溶剤の回収装置。
【請求項6】
有機溶剤を含む廃棄物から前記有機溶剤を回収する装置において、
前記廃棄物と超臨界二酸化炭素とを混合して前記廃棄物中の有機溶剤を前記超臨界二酸化炭素に溶解させる混合機と、
前記有機溶剤を溶解した前記超臨界二酸化炭素と前記廃棄物の残渣とをこれらの比重差により分離する第1分離槽と、
前記廃棄物の残渣から分離され前記有機溶剤を溶解した前記超臨界二酸化炭素を減圧して気化させる減圧弁と、
前記減圧弁により減圧されて気化された二酸化炭素ガスから前記有機溶剤を分離する第2分離槽と
を備えたことを特徴とする廃棄物からの有機溶剤の回収装置。
【請求項7】
有機溶剤を分離した二酸化炭素ガスを圧縮する圧縮機と、
前記圧縮された二酸化炭素ガスを冷却して液体二酸化炭素にする冷却器と、
前記液体二酸化炭素を昇圧して再び混合機に供給するポンプと
を更に備えた請求項5記載の廃棄物からの有機溶剤の回収装置。
【請求項8】
有機溶剤を分離した二酸化炭素ガスを圧縮する圧縮機と、
前記圧縮された二酸化炭素ガスを冷却して液体二酸化炭素にする冷却器と、
前記液体二酸化炭素を昇圧して再び混合機に供給するポンプと、
前記液体二酸化炭素を再び混合機に供給する前又は前記混合機で混合中に加熱して超臨界二酸化炭素にする加熱手段と
を更に備えた請求項6記載の廃棄物からの有機溶剤の回収装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−189723(P2008−189723A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23186(P2007−23186)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】