説明

廃棄物の再生処理方法及び装置

【課題】建築物の解体残さないしミンチ解体残さ又はその混合物、シュレッダーダスト、過去に埋立てられた廃棄物や不法投棄された廃棄物などの処理方法及び装置に関し、残さや廃棄物中に含まれる可燃分を除去して焼成無害化し、成分の均一化を図って再利用可能にする。
【解決手段】上記残さないし廃棄物を前燃焼室に投入し、可燃物の焼却により発生する熱を利用して水分を蒸発させ、その焼却灰を回転キルンに投入し、キルンを回転させながら高温燃焼ガス及び攪拌空気を向流で吹き込む。これにより焼却灰に含まれる可燃分を燃焼すると共に、砂や瓦礫、灰などの不燃物を高温ガスに晒し、攪拌循環することにより焼成する。回転キルン内で焼成された土砂や瓦礫または灰は、可燃物を含まない無菌化された純度の高い焼成物となって回転キルンから排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建築物を解体した後に生ずる建設残さないしミンチ解体残さ、これらの混合物(以下及び特許請求の範囲においてこれらを総称して「建設残さ等の廃棄物」と言う。)、及び、有機分ないし揮発分を含んだシュレッダーダスト、最終処分場に過去に埋め立てられた廃棄物、不法投棄などにより長期間放置された廃棄物等(以下及び特許請求の範囲においてこれらを総称して「シュレッダーダスト等の廃棄物」と言う。)の再生処理方法及び装置に関するもので、特に処理物中に含まれる可燃分を除去して排出物の成分の均一化を図ることにより、処理物を再利用可能にする処理方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建設物を解体した後に生ずる建設残さは、従来はそのまま管理型処分場に埋立処理されていた。しかし、平成14年の建設リサイクル法の完全施行に伴いミンチ解体は禁止され、分別解体が義務付けられた。ここで、ミンチ解体とは、重機による建設物の解体のことで、解体経費が少ないという利点はあるが、解体物は混合物の形になるため最終処分場に埋立処理するしかない。
【0003】
平成12年の調査によると建設解体残さの77%はコンクリート塊やアスファルト塊であり、汚泥が9%、木材が6%程度発生する。残りの8%は建設混合廃棄物と呼ばれるリサイクル不能な廃棄物である(通常、ミンチと呼ばれている)。その性状は水分、有機物や金属分を含み、すでにふく土と共に埋立処分された廃棄物と似ており、埋立地周辺の環境に悪影響を及ぼす恐れがあり、それらから有機分や金属を分別して、残った土砂と瓦礫を無害化し再生利用することが望まれている。
【0004】
この分別処理には、ふるい選別、風力選別、磁力選別などが用いられるが、このような手段で建設残さや過去に埋立てられた廃棄物の分別を行うには、大掛かりな設備が必要で、処理コストがかかり、更に建設残さ及び過去に埋め立てられた廃棄物の大部分を占める土砂や瓦礫の再利用ができないという問題がある。すなわち、慢性的な埋立場不足が社会問題化している実情においては、有害な廃棄物の無害化を図ること、廃棄物の量をできるだけ少なくすること及び廃棄物を再利用できることが必要であり、たとえ有機物や金属を分別したとしても、残さの大部分を占める土砂や瓦礫が埋立処理される現在の処理システムは好ましいものではない。
【0005】
また、社会問題化している不法投棄された廃棄物の処理を行う場合、それらは長期間放置されているために、分別や再利用を図るためには多大な投資が必要であり、従来の焼却による減容に頼るしかなく、リサイクルはほぼ困難な状況である。その様な混合廃棄物も再利用できればそれに越したことはなく、無害化し再生利用することが望まれている。
【0006】
このような問題に鑑み、本願出願人は、下記特許文献1において、建設残土を回転キルンに投入し、キルンを回転させながら高温燃焼ガスを向流で吹き込み、この高温燃焼ガスにより、残土に含まれる可燃分を燃焼すると共に、キルン内を流れる燃焼ガスにより飛灰を搬送除去し、砂や瓦礫などの不燃分を焼成して成分の均一化された再利用可能な排出物を得る、建設残土の再生処理方法及び処理装置を提案している。
【0007】
一方、下記特許文献2には、並流方式のロータリーキルン、すなわち燃焼ガスをキルン内の廃棄物の移動方向と同方向に流すロータリーキルンにおいて、投入シュートからキルン内に投入された廃棄物に燃焼空気を吹き付ける空気ノズル筒を設け、投入直後の廃棄物に燃焼空気を吹き付けることにより、廃棄物を効率良く焼却する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2002−79234号公報
【特許文献2】特開2001−227720号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
処理する建設残土中の水分や有機分が比較的少ないときは、特許文献1で提案した方法及び装置により、効率よく廃棄物の処理を行うことができる。しかし、各種の廃棄物に対する処理試験の結果、建設残さ等の廃棄物の含水率が高いときや、建設残土に比べて有機分や可燃分を多く含んだシュレッダーダスト等の廃棄物は、キルン内での完全な可燃物の燃焼が困難で、処理効率が悪くなるとか、排出物中にオキ(木材などの燃えかす)などの有機分が残って再利用の妨げになるなどの問題が生ずることが判明した。
【0009】
この問題は、特許文献2に記載のように、シュートでキルンに投入された直後の廃棄物に向けて燃焼空気を供給するという手段では解決することができない。
【0010】
この発明は、上記の知見に基づき、建設残さ等の廃棄物や、シュレッダーダスト等の廃棄物から、有害なまたは有害化するおそれのある有機分ないし可燃分を完全に燃焼除去し、不燃物である土砂、瓦礫、灰分、金属などを分別が容易で再利用可能な無機資材として排出する、処理効率が高くかつ処理コストの安い、建設残さ等の再生処理方法及び装置を得ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この出願の発明は、投入された建設残さ等の廃棄物やシュレッダーダスト等の廃棄物を、キルン14の回転によって投入口の反対側に設けた排出口15へと徐々に移送しながら、高温の燃焼ガスを回転キルン14内に向流で吹き込んで、上記廃棄物に含まれる可燃性の有機分を燃焼すると共に不燃分を焼成して排出する、建設残さ等の廃棄物の再生処理方法において、回転キルン14の上記廃棄物の投入側でかつ燃焼ガスの排出側にキルンと連通する前燃焼室7を設け、当該前燃焼室に上記廃棄物を一時滞留させて前燃焼させた後、回転キルン14に投入することにより、上記課題を解決したものである。
【0012】
処理物が建設残さ等の廃棄物であるときは、回転キルン14内での有機分の燃焼の際に発生する飛灰をキルン内のガス流によって搬送排出するのに必要な風量の燃焼ガスを吹き込む。キルン内に燃焼ガスと共に攪拌用空気を吹き込むときは、両者の風量によって飛灰が搬送排出されるようにする。
【0013】
例えば、定量投入装置5によって建設残さ等の廃棄物やシュレッダーダスト等の廃棄物を前燃焼室7内に連続的に投入し、前燃焼室7内に設置した火格子8、10上で上記廃棄物中の可燃分より発生した熱分解ガスの燃焼を行い、焼却に時間がかかるオキ(熾き)を燃焼させるために設けた水冷構造のオキ火格子12に前燃焼室7の壁面及び攪拌空気用パイプより導入される燃焼空気によりオキ火格子12上のオキを空気攪拌しつつ燃焼させる。燃焼したオキは、オキ燃焼火格子12の下部から排出された灰分や無機分をキルン14内に導入し、キルン14の回転によって、上記廃棄物を定量投入装置5、6の反対側に設けた排出口15へと徐々に移送する。
【0014】
なお、前燃焼室7内での可燃分の燃焼は完全に終了する必要はなく、燃焼終了前にキルン14内へ導入しても構わない。また、燃焼用火格子8、10は1段でも多段でも構わない。
【0015】
建設残さ等の廃棄物やシュレッダーダスト等の廃棄物のキルン14内での移送の間に、高温燃焼ガスを回転キルン14内に向流、すなわちキルン内で上記廃棄物の移送方向と向き合う方向に吹き込む。この高温燃焼ガスにより、上記廃棄物中に含まれる未燃カーボンその他の可燃分を燃焼すると共に、砂や瓦礫、灰などの不燃物を高温の燃焼ガスに晒すことにより焼成する。
【0016】
高温燃焼ガスの発生方法は、直接バーナー火炎をキルン14内へ放出する方法、熱風発生炉を設備し発生させた熱風をキルン内へ放出する方法等、どれを用いても構わない。建設残さ等の廃棄物を処理するときは、回転キルン14内を流れる高温燃焼ガスや攪拌用空気の風量を、再生処理する建設残さ等の廃棄物中の有機分の燃焼により生ずる飛灰を搬送するのに必要な程度の風量とする。
【0017】
キルン14の処理物の出口側には、攪拌空気吹込みノズル22を設けるのが好ましい。攪拌空気吹込みノズル22から処理物38に向けて噴射された空気は、未燃物、特に未燃カーボンの燃焼空気の供給、ならびに微細な焼成物を再びキルン中間部分まで処理物38の進行方向とは逆に空気搬送し、焼成を繰り返すことで、微細な焼成物は次第に粒径が大きくなり、再生利用する際に適当な大きさ、概ね建設用の砂の大きさに近づく。
【0018】
このようにすれば、キルン14から排出される焼成物38中に微細な灰分が残らなくなり、純度が高く、再利用用途の広い焼成物が得られる。
【0019】
回転キルン14から排出される800〜1000℃の高温燃焼ガスは、そのまま前燃焼室に導入され、概ねその温度を保持する。ダイオキシン類の再合成(250〜450℃の範囲で合成される)を防止するため、実用的には噴射水の蒸発潜熱で燃焼ガスを冷却する減温器(ガス冷却塔とも呼ばれる)23で急冷する。燃焼ガス中の飛灰の比較的大きなものは減温器23内での重力沈降で分離され、比較的細かいものは減温器の下流に設置したバグフィルター等の高度な集塵機24やマルチサイクロンで分離捕集する。
【0020】
一方、回転キルン14内で高温の燃焼ガスに晒されることによって焼成された土砂や瓦礫は、可燃分を含まない無菌化された純度の高い焼成物となって回転キルンの排出口15から排出されるので、磁力選鉱によって金属を分離し、更に必要によりふるい選別によって粒度を揃える。
【0021】
上記の再生処理に用いるこの出願の発明に係る廃棄物の処理装置は、回転キルン14と、回転キルン14内の処理物を連続的ないし間欠的に供給する投入装置5、6と、可燃物を燃焼する前燃焼室7と、ガスや重油の燃焼による高温加熱空気を向流で回転キルン内に送る燃焼ガス吹込み装置16と、回転キルン14からの処理物の排出側で攪拌用空気を向流で回転キルン内に吹込む攪拌空気吹込み装置22と、回転キルン14から排出される燃焼ガスを急冷する減温器23と、減温器23を通過した排ガスから灰分を除去する集塵機24と、回転キルン14から排出される焼成物の通路に設けられた磁気選鉱機33とを備えている。
【0022】
この発明の方法で建設残さ等の廃棄物の焼成処理をしたときは、回転キルン14内で焼成した焼成物の微細焼成物を燃焼ガス及び攪拌空気に乗せて再焼成し、また極微細な焼成灰は排出して、焼成製品中には微細な焼成物が極力残らないようにすること、すなわち燃焼による可燃物や未燃カーボンの除去と同時に風力選鉱によって焼成により生じた微細焼成物を除去する操作が同時に行われ、有機物やその燃焼灰が残ることによって生ずる焼成製品の純度の低下や冷却過程における有害物質の再合成が回避される。そのため、建設現場の埋め戻しやアスファルト舗装ないしコンクリートの軽量骨材として再利用可能な純度の高い焼成物を得ることができる。
【0023】
またこの出願の発明でシュレッダーダスト等の廃棄物の焼成処理をしたときは、処理物内に残っている可燃分の完全な除去と前燃焼室内で燃焼する際に発生する熱で多量に含んだ水分を除去することにより、燃焼ガスとこれに搬送される飛灰とは、既に確立された減温器23と集塵機24との組合せによる排ガス処理によって、有害物質を排出しない処理を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、この発明を更に説明する。建設残さ等の廃棄物は、ダンプトラック1などにより処理工場に運ばれて、受入ピット2に投入される。この際、既存の処理設備と同一敷地内に本発明の再生処理装置を設置し、ベルトコンベア等で連結する事も可能である。また、その場合、作業の効率を上げるために、受入ピット2を増設し一旦保管しても構わない。
【0025】
受入ピット2内に一時保管された建設残さ等の廃棄物は、投入クレーン4で定量投入装置5に移送され、定量投入装置5から一定量ずつ排出された上記廃棄物は、ベルトコンベア3で投入プッシャー6に移送される。前燃焼室7の運転状況に合わせて上記廃棄物は前燃焼室7に投入される。投入された上記廃棄物は、上火格子8に落下し燃焼が始まり、一部熱分解ガスが発生し、可燃物は徐々に炭化・灰化していく。上火格子8で燃焼している上記廃棄物は、上プッシャー9を押し出すことにより、下火格子10上に落下する。落下の際に上記廃棄物は混合され、より効果的な燃焼を行う。さらに燃焼が進んだ下火格子10上の上記廃棄物は、下プッシャー11を押し出すことにより、上火格子8、下火格子10同様の水冷構造のオキ燃焼火格子12上に落下する。落下の際に、オキ状態の廃棄物は混合され、より効果的な燃焼を行う。水冷構造の火格子はクリンカの発生を防止に効果がある。オキ燃焼火格子12は、空気供給口を備えている。この空気供給口から供給される燃焼空気により酸素濃度が調整されたオキ燃焼火格子12上でほぼ燃焼が終了した上記廃棄物は、移送プッシャー13により回転キルン14内に投入される。回転キルン14は、反投入装置側が若干低くなる方向に傾斜した回転キルンで、反投入装置側下端には、焼成物の排出口15が設けられている。
【0026】
回転キルン14の排出口側には、焼成用バーナー16の燃焼ガスが導かれており、この高温の燃焼ガスは回転キルン14内を処理物の移送方向と反対の方向、すなわち排出口15側から材料投入側へと流れる。焼成用バーナー16には重油タンク17内の重油が重油ポンプ18によって送り込まれ、燃焼用空気を送る押込ファン19の空気によって重油を燃焼して、その高温の燃焼ガスが回転キルン14内に吹き込まれるのである。
【0027】
焼成用バーナーはガンタイプバーナーも使用できるが、一般的には高圧噴霧バーナーが適当であり、その場合にはコンプレッサーで発生させた高圧空気を燃料と共に噴霧する。
【0028】
回転キルン14内では、オキ燃焼火格子12から送り込まれた処理物が、キルンの回転に伴って炉壁に沿ってかき上げられて落下する。このとき処理物は、キルン内を流れる高温の燃焼ガスに晒されて、土砂や瓦礫は焼成され、また、前燃焼室で完全に燃焼しなかった建設残さ中に含まれるプラスチックや木材などの有機物は、燃焼して灰となり、その内、特に微細な飛灰は燃焼ガスによって搬送されて前燃焼室7へと流れる。この前燃焼室には燃焼補助バーナー21が設けられており、可燃物の完全な燃焼が図られている。
【0029】
回転キルン14の排出口15側には、攪拌空気吹込みノズル22が、図3、4に示すように、その先端を若干下向きにして、かつ図4に矢印で示すキルンの回転に引きずられてキルン円筒下部の回転方向下流側に偏在する処理物38に向けて直接空気が噴射されるように、偏倚させて設けられている。攪拌空気吹込みノズル22は水冷等の耐熱構造にすることが好ましい。攪拌空気吹込みファン20により発生させた攪拌用空気を攪拌空気吹込みノズル22でキルン円筒下部の処理物に向けて噴射することにより、処理物38の攪拌を行い、焼成の効率を上げると共に、高温の燃焼ガスにより前燃焼室に移送できない程度の粒度の焼成物を回転キルン14の上流方向すなわち前燃焼室7側に戻す。この動作が繰り返されることにより微細な焼成物はより粒径の大きな焼成物になり、建設土木資材の利用用途を増やす。
【0030】
前燃焼室7を通過した燃焼ガスは、減温器23を通過し、更に集塵機24を通過して、誘引ファン25により煙突26から大気放出される。減温器23では比較的断面積の大きなガス流路27に水噴射ノズル28を設けて、この水噴射ノズルから噴射される水の蒸発潜熱により、高温の燃焼ガスをダイオキシン類の再合成領域である250〜450℃を急速に通過させるように急冷する。燃焼ガス中の飛灰中、大きなものは減温器23内で重力沈降により分別されて、ダスト保管施設29に移送される。減温器23を通過した飛灰は、バグフィルター24によって捕集されて、ダスト保管施設30へと移送される。バグフィルター24はマルチサイクロンであっても構わない。バグフィルター24に投入する前に消石灰等の中和剤を噴霧する消石灰噴霧装置31を排ガスと混合するのが一般的である。バグフィルター24で固形物を除去され、且つ中和剤により酸性ガスを除去された排ガスは、誘引ファン25から煙突を通って大気放出される。
【0031】
回転キルン14内に投入された処理物中の未燃残渣は、回転キルン14内で焼成されて排出側へと移動し、排出口15から排出される。その際には焼成物冷却用のロータリークーラーを設備し、製品温度を下げて排出しても構わない。排出口15の下方には、排出コンベア32が配置されており、この排出コンベアの出口部分に磁力選鉱機33が設けられ、排出固形物中の金属が分別されて金属屑保管施設34に移送される。磁力選鉱機33部分を通過した焼成物は、振動ふるい機37にかけられて、粒度の細かいものが分別されて排出され、ふるい分けられた粒度の粗いものは、破砕機35で粉砕されて排出される。排出焼成物36の粒度は、30mm以下程度とするのが搬送や再利用の点で好ましく、1000℃近い高温で焼成されているため、有機物や無機可燃物の残留がなく、組成の比較的安定した焼成物が得られる。また、磁力選鉱により選別された金属屑は、必要により更に細かく分別されて再利用される。
【0032】
すなわち、図示実施形態の装置では、前燃焼室7で可燃分を燃焼させ回転キルン14内に連続的に投入された建設残さ等の廃棄物が純度の比較的高い金属屑と焼成物とに分離されて排出されると共に、上記廃棄物中の有機分及び無機可燃物は、焼却され、燃焼によって生じた飛灰を分離除去した後、大気放出される。従って、この出願の発明によれば、建設残さ等の廃棄物の有機物により生ずる環境破壊が防止されると共に、残土の大部分を占める土砂や瓦礫がアスファルトやコンクリートの骨材として再利用可能な形で生成されるとともに、上記廃棄物中の金属分の分離も比較的容易に行うことができて、分離された金属に混入する不純物の量も少なく、更に排ガス中における有害物質の合成や混入も有効に防止できる。
【0033】
以上の例は、建設残さ等の廃棄物の処理を示すものであるが、シュレッダーダスト等の廃棄物処理も、同様な装置を用いて同様な方法で行うことができる。異なる点は、建設残さ等の廃棄物の処理においては、残さ中の可燃分の燃焼により生じる灰を飛灰として燃焼ガスとともに排出するのに必要な風速となるように、高温燃焼ガスの風量および攪拌空気の風量を設定するのに対して、シュレッダーダスト等の廃棄物においては、可燃分の含有率が各々大きく異なるために、運転コストが最も低くなるように、高温燃焼ガスの風量を設定する点である。この場合も、得られる焼成物は、可燃分及び有害物質が高温で燃焼除去され、減量化された粒状物となるため、安全性が高く、建設資材などとして利用可能である。
【0034】
表1ないし表3に、本発明方法により解体残さを焼成処理を行った焼成物の分析結果の例を示す。表1は、埋立場から採取した廃棄物の重金属溶出量含有量測定結果、表2は、本発明設備にて処理した焼成物の重金属溶出量含有量測定結果、表3は、本発明設備にて処理した焼成物のダイオキシン類測定結果である。各表に示すとおり、環境基本法に定められた土壌の環境基準と比較しても、その基準値を十分にクリアーしており安全性は高い。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】実施例を示すブロック図
【図2】図1の前燃焼室及び回転キルンの詳細図
【図3】回転キルンの攪拌空気吹込み部の構造を示す縦断面図
【図4】回転キルンの攪拌空気吹込み部分の部の横断面図
【符号の説明】
【0039】
5 定量投入装置
6 投入プッシャー
7 前燃焼室
8 上火格子
9 上プッシャー
10 下火格子
11 下プッシャー
12 オキ(熾き)燃焼火格子
13 移送プッシャー
14 回転キルン
15 排出口
16 焼成用バーナー
22 攪拌空気吹込みノズル
23 減温器
24 集塵機
32 排出コンベア
33 磁力選鉱機
35 破砕機
37 振動ふるい機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定量投入装置によって建設残さ等の廃棄物を前燃焼室内に連続的に投入し、前燃焼室内で一部熱分解ガスを発生させ且つ一部燃焼させた後、回転キルンに投入し、回転キルン内を前燃焼室の反対側に設けた排出口へと徐々に移送しながら、上記廃棄物中の有機分の燃焼により生ずる微細な灰を飛灰として搬送する風量の高温の燃焼ガスを回転キルン内に向流で吹き込んで、上記廃棄物内に含まれる可燃性の有機分を燃焼してその灰を上記燃焼ガスで搬送排出すると共に、上記廃棄物の不燃物を上記燃焼ガスに晒すことにより焼成して排出する、建設残さ等の廃棄物の再生処理方法。
【請求項2】
定量投入装置によってシュレッダーダスト等の廃棄物を前燃焼室内に連続的に投入し、前燃焼室内で一部熱分解ガスを発生させ且つ燃焼させた後、キルンに連続的に投入し、キルンの回転によって投入された焼却物を前燃焼室の反対側に設けた排出口へと徐々に移送しながら、高温の燃焼ガスを回転キルン内に向流で吹き込んで、上記廃棄物に含まれる可燃分を焼却すると共に、上記廃棄物中の不燃物を上記燃焼ガスに晒すことにより焼成して排出する、シュレッダーダスト等の廃棄物の再生処理方法。
【請求項3】
焼成物出口側から回転キルン内に攪拌用空気を供給し、回転キルン内の処理物中に含まれる粒度の小さい灰ないし焼成物を当該キルンないし前燃焼室へと吹き戻して繰返し焼成することにより、当該灰ないし焼成物の粒度を大きくする、請求項1又は2記載の再生処理方法。
【請求項4】
回転キルンと、回転キルンの処理物投入側に連接して設けられた処理物中の可燃分をガス化燃焼させる前燃焼室と、この前燃焼室に処理物を連続的ないし間欠的に供給する定量供給装置と、前燃焼室内で揮発分を揮発し熱分解ガスを発生し且つ予備燃焼した処理物を回転キルン内に移送する移送装置と、ガスや重油の燃焼により生ずる高温燃焼ガスを向流で回転キルン内に送る燃焼ガス吹込み装置とを備え、当該燃焼ガスは前記前燃焼室を経て排出される、建設残さ等の廃棄物ないしシュレッダーダスト等の廃棄物の再生処理装置。
【請求項5】
前燃焼室に燃焼用火格子とオキ(熾き)燃焼火格子とを備え、オキ燃焼火格子は、燃えにくいオキを燃焼させるためのオキ専用の燃焼空気供給口と、クリンカ発生防止のための水冷構造とを備えている、請求項4記載の再生処理装置。
【請求項6】
焼成物出口側に回転キルン内に攪拌用空気を供給する攪拌空気吹込み装置を備えている、請求項4又は5記載の再生処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−297195(P2006−297195A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−118602(P2005−118602)
【出願日】平成17年4月15日(2005.4.15)
【出願人】(392019857)株式会社アクトリー (27)
【Fターム(参考)】