説明

建て入れ工法と位置出し装置

【課題】本発明は、建て入れ位置出し装置に関し、従来の位置出し装置では、基準墨の撮影画像が実際とは逆になってモニタに映るので、調整に作業者の習熟が必要となることが課題であって、それを解決することである。
【解決手段】柱建て入れにおける基準墨とターゲットの位置出しをする位置出し装置において、上下方向における少なくとも下側の基準墨に当該位置出し装置の軸を位置合わせする手段が、レーザー発生器から照射されたレーザー光である建て入れ位置出し装置1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄骨建て入れにおける建て入れ位置出し装置とそれを使用した建て入れ工法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄骨建て方において、建て入れ調整する際には、特許文献1に記載のように、CCDカメラなどを使用した位置出し装置10が用いられている(図3参照、特許文献1の図24、図25参照)。これは、CCDカメラ11,11を背向させその光軸を一致させて、図4に示すように、基準墨aにより位置合わせした後、建て入れする柱12のターゲット13を撮影して、この柱12の傾きを調整装置14でジャッキアップさせて調整するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−82183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の建て入れ調整方法においては、位置出し装置10(鉛直器),制御装置15および調整装置14の構成が、図4(特許文献1(特開平10−82183)の図24)に示すように、それぞれが有線で接続されており、また、図3に示すように、位置出し装置10の背向させたカメラ11,11のうち下向きのカメラで基準墨aを撮像して位置決めしているので、以下のような二つの課題がある。
【0005】
即ち、建て逃げ工法(一部のスパンを最上階まで一気に、または階段状に組み上げ、移動式のクレーンを移動させ、残りの部分の建て方を進めていく工法)では、前記位置出し装置を1階に設置して建て入れ調整を上階で行うので、建て入れ精度の確認を前記制御装置のモニタで行うことから、上階の建て入れ調整する人が直接前記モニタを見ながら調整することができないという課題がある。よって、図5に示すように、1階と上階の人が互いに無線機16などを利用して連絡しながら調整しているので、調整時間が長くなる。
【0006】
また、前記位置出し装置10における位置決め用の下向きカメラ11で基準墨aを撮像しその画像によって確認しているが、この画像は図6に示すように、実際の位置とは逆に前記モニタに映し出されるので、位置決めをするには慣れるまでに時間が掛かり作業者の習熟が必要となる。
【0007】
本発明に係る建て入れ工法と位置出し装置は、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る建て入れ位置出し装置の上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、柱建て入れ用の位置出しをする位置出し装置において、上下方向における少なくとも下側の基準墨に当該位置出し装置の軸を位置合わせする手段が、レーザー発生器から照射されたレーザー光であることである。
【0009】
また、本発明に係る建て入れ調整工法の要旨は、柱建て入れ用の位置出しをする位置出し装置は、上下方向における上方向は撮像カメラで上階で建て入れする柱に固定して突設されているターゲットを撮像し、下方向は基準墨に当該位置出し装置の中心軸を位置合わせするレーザー発生器から照射されたレーザー光で位置合わせするものであり、前記位置出し装置には、前記撮像カメラによるターゲットの画像の電気信号を前記建て入れしている柱の近傍に設置されたワイヤレスモニタに無線で送信する無線装置が設けられ、上階で建て入れ調節する作業者は、前記ワイヤレスモニタの画像を見ながら柱の建て入れ調整ができることである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の建て入れ位置出し装置とその工法によれば、位置出し装置の中心軸を床の基準墨に位置合わせするには、レーザー光を直接前記基準墨に合わせればよいので迅速に行うことができて、時間短縮となって施工能率が向上する。
また、建て入れする柱のターゲットの画像を、上階においてワイヤレスモニタで直接、建て入れ調整している作業者が目視で確認することができる。よって、調整時間を短縮することができる。
更に、ワイヤレスモニタを持ち運ぶことが簡単であり、足場の悪い鉄骨上でも使用することができるので、場所を選ばずに建て入れ作業ができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る建て入れ調整工法の概要を示す概略構成図である。
【図2】同本発明の建て入れ調整に使用される位置出し装置の概略構成縦断面図である。
【図3】従来例に係る位置出し装置10の縦断面図である。
【図4】同従来例に係る位置出し装置10を使用した建て入れ工法の概要を示す概略構成図である。
【図5】同従来例に係る建て入れ工法を説明する構成図である。
【図6】同従来例に係る位置出し装置10による、実際の画像と撮影した画像の相違を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る建て入れ調整工法は、図1に示すように、上階で建て入れ調節する作業者は、位置出し装置1のカメラで捕らえた建て入れする柱2のターゲット3の画像を、無線装置4を介して上階のワイヤレスモニタ5の画像を見ながら柱の建て入れ調整ができるようにするものである。
【0013】
また、図2に示すように、基準墨aとの位置合わせには、直接、レーザー光1dを当てるようにする。目視で位置合わせが簡単に行えるようになるからである。
【実施例1】
【0014】
前記柱建て入れにおける基準墨とターゲットの位置出しをする位置出し装置1は、図2に示すように、上下方向において、上方向には建て入れする柱2のターゲット3を撮影するCCDカメラ1aが上向きに設置され、下方向には、下側の基準墨に当該位置出し装置1の中心軸(光軸)を位置合わせする手段として、レーザー発生器1bが設けられ、反射鏡1cにより、照射されたレーザー光1dが、下方向に照射されるようになっている。
【0015】
前記CCDカメラ1aは、その撮影した画像がデジタル信号となり、電気的に接続される無線装置4により画像データが発信される。前記ワイヤレスモニタ5は受信装置を有しており、リアルタイムで画像が画面に映し出される。
【0016】
このような位置出し装置1を使用して、建て入れ工法につき説明すると、まず1階で位置出し装置1を設置する。そして、レーザー発生器1bからレーザー光1dを鉛直方向の下に照射して、基準墨に位置合わせする。
【0017】
そして、上下方向における上方向はCCDカメラ1aで、上階において建て入れする柱2に固定して水平に突設されているターゲット3を撮像する。前記CCDカメラ1aによるターゲット3の画像のデジタル信号は無線装置4から発振され、前記建て入れしている柱2の近傍に設置されたワイヤレスモニタ5に受信される。
【0018】
上階で建て入れ調節する作業者は、前記ワイヤレスモニタ5の画像を見ながら前記柱2の建て入れを、ジャッキ等の調整装置6により調整をする。前記モニタ5のターゲット3の画像は、リアルタイムなので、迅速な調整が可能となる。こうして、建て逃げ工法においても、建て入れ作業能率を向上させながら行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、建物の鉄骨柱の建て入れにおいて使用するものであるが、その他の位置合わせ等に使用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 位置出し装置、 1a CCDカメラ、
1b レーザー発生器、 1c 反射鏡、
1d レーザー光、
2 柱、
3 ターゲット、
4 無線装置、
5 ワイヤレスモニタ、
6 調整装置、
10 従来の位置出し装置、
11 CCDカメラ、
12 柱、
13 ターゲット、
14 調整装置、
15 制御装置、
16 無線機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱建て入れにおける基準墨とターゲットの位置出しをする位置出し装置において、
上下方向における少なくとも下側の基準墨に当該位置出し装置の軸を位置合わせする手段が、レーザー発生器から照射されたレーザー光であること、
を特徴とする建て入れ位置出し装置。
【請求項2】
柱建て入れ用の位置出しをする位置出し装置は、上下方向における上方向は撮像カメラで上階で建て入れする柱に固定して突設されているターゲットを撮像し、下方向は基準墨に当該位置出し装置の中心軸を位置合わせするレーザー発生器から照射されたレーザー光で位置合わせするものであり、
前記位置出し装置には、前記撮像カメラによるターゲットの画像の電気信号を前記建て入れしている柱の近傍に設置されたワイヤレスモニタに無線で送信する無線装置が設けられ、
上階で建て入れ調節する作業者は、前記ワイヤレスモニタの画像を見ながら柱の建て入れ調整ができること、
を特徴とする建て入れ調整工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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