説明

建具

【課題】 十分な断熱性能および良好な操作性を確保することができる建具を提供すること。
【解決手段】左右の縦枠13の室内外のレール部材133,134間に上部アタッチメント14A、下部アタッチメント14Bおよび気密部材151を上下に連続して取り付け、これらの各部材14A,14B,15が互いに分割されていることで、これらの各部材14A,14B,15と縦枠13との間の熱伝導、および各部材14A,14B,15同士間での熱伝導が抑制され十分な断熱性能を確保することができる。さらに、下部障子30の気密材332Aが上部アタッチメント14Aに当接しないようになっているので、下部障子30を開放する際の操作力を小さくすることができ、操作性を良好にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関し、詳しくは、窓枠と、この窓枠内に支持された一対の障子とを備えた上げ下げ窓等の建具に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の外壁開口部に設けられる窓(サッシ窓)として、室内外一対の障子を備えた上げ下げ窓が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載された上げ下げ窓は、窓枠と、この窓枠の上半分に固定された室外障子(固定障子)と、この固定障子の室内側に沿って上下にスライド開閉自在に設けられた室内障子(可動障子)とを備えて構成されている。この上げ下げ窓の窓縦枠には、可動障子をスライド自在に案内する凹溝状のレール部と、固定障子を支持する凹溝状の支持部とが、室内外に隣接して形成され、つまりレール部の室外側側壁および支持部の室内側側壁を構成する突片が上下に連続して形成されている。そして、可動障子の縦框には、突片に当接して窓の気密性を確保するための気密材が設けられており、この気密材は、可動障子の開閉に伴って突片に摺接するようになっている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−27809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1に記載の上げ下げ窓では、縦枠に形成されて室内外の障子を仕切る突片が上下に連続して設けられているので、障子を閉じた状態において、突片の下側略半分が室外空間に露出し、上側略半分が室内空間に露出することとなる。このため、この突片が熱橋となってしまって窓の断熱性能が十分に確保できず、特に冬季には、室内側に露出した突片が結露してしまうという問題がある。
また、可動障子の開閉に伴って気密材が突片に摺接するため、開閉に要する操作力、特に可動障子を開放するための上方への操作力が大きくなってしまい、操作性が悪くなるという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、十分な断熱性能および良好な操作性を確保することができる建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建具は、上枠、下枠、および左右の縦枠を有する窓枠と、この窓枠内にスライド開閉可能に支持された少なくとも室内外一対の障子とを備え、前記室内外一対の障子のうちの少なくとも一方は、スライド開閉可能に設けられた可動障子であって、前記窓枠の上下左右の枠材のうち、上下一対の枠材または左右一対の枠材には、それぞれ前記室内外の障子を案内する室内外のレール部が設けられるとともに、これら室内外のレール部同士の間に当該枠材に沿った補助枠材が取り付けられ、前記補助枠材は、閉じた状態の前記室内側障子の室外側に沿った室外側補助枠材と、閉じた状態の前記室外側障子の室内側に沿った室内側補助枠材とを有し、これら室内外の補助枠材間には、召合せ部補助部材が介装され、前記室外側補助枠材、室内側補助枠材、および召合せ部補助部材が略一直線状に連続して配置され、前記室内側障子には、前記室外側補助枠材および召合せ部補助部材に当接可能かつ前記室内側補助枠材に当接不能な気密材が設けられ、前記室外側障子には、前記室内側補助枠材および召合せ部補助部材に当接可能かつ前記室外側補助枠材に当接不能な気密材が設けられていることを特徴とする。
【0007】
ここで、建具としては、引違い窓のように障子が左右にスライド開閉自在に設けられたものでもよく、この場合には、上下一対の枠材(上枠および下枠)にレール部および補助枠材が設けられ、また、上げ下げ窓のように障子が上下にスライド開閉可能に設けられたものでもよく、この場合には、左右一対の枠材(左右の縦枠)にレール部および補助枠材が設けられる。
また、障子としては、少なくとも室内外(左右または上下)一対の2枚の障子を備えていればよく、3枚以上の障子から構成されていてもよい。
【0008】
以上の本発明によれば、四周の窓枠のうち室内外の障子を案内する一対の枠材(上枠と下枠、または左右の縦枠)において、レール部間すなわち室内外の障子を仕切る位置に補助枠材を取り付け、この補助枠材に障子の気密材を当接させたことで、障子を閉じた状態での建具の気密性が確保できる。
また、補助枠材を、窓枠と別体の部材から構成して窓枠に取り付けるとともに、室外側補助枠材および室内側補助枠材に分割し、これらの間に召合せ部補助部材を介装したことで、窓枠と補助枠材との間の熱伝導および補助枠材同士間での熱伝導が抑制され、建具の断熱性能を向上させることができる。
さらに、室内側障子の気密材が室内側補助枠材に当接せず、室外側障子の気密材が室外側補助枠材に当接しないようにしたことで、障子を開放するにしたがって気密材と補助枠材との当接長さが徐々に短くなるので、障子の開放操作の操作力を小さくすることができ、操作性を良好にすることができる。特に、建具が上げ下げ窓である場合には、下部障子を持ち上げて開放する際の操作力が小さくできるので、効果的である。
【0009】
この際、本発明の建具では、前記窓枠の上下左右の枠材は、それぞれ前記室内側障子を支持する室内部材と、前記室外側障子を支持する室外部材と、これらの室内部材と室外部材とを連結する断熱部材とを有して構成され、前記補助枠材は、前記互いに対向する一対の枠材における前記室内部材と前記室外部材とに跨り、かつ前記断熱部材の見付け方向内側を覆って取り付けられていることが好ましい。
このような構成によれば、室内部材、室外部材、および断熱部材を有して窓枠が構成された断熱サッシにおいて、断熱部材の見付け方向内側を覆って前述のような補助枠材を取り付けることで、より一層断熱性能を向上させることができるとともに、建具の意匠性も向上させることができる。
【0010】
さらに、本発明の建具では、前記補助枠材は、見付け方向に延びた見付け面部と、この見付け面部の見付け方向内端に連続した傾斜面部とを有して断面略三角形状に形成され、前記室内側補助枠材は、前記見付け面部を室外側に向けかつ前記傾斜面部を室内側に向けて配置され、前記室外側補助枠材は、前記見付け面部を室内側に向けかつ前記傾斜面部を室外側に向けて配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、見付け面部と傾斜面部とを有して断面略三角形状に形成した部材を反転して配置することで、室内側補助枠材および室外側補助枠材を構成し、見付け面部に気密材を当接させ、傾斜面部には気密材を当接させないようにすることができるとともに、部品の共通化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の建具では、前記補助枠材は、室内部材と、室外部材と、これらの室内部材と室外部材とを連結する断熱部材とを有して構成されていることが好ましい。
このような構成によれば、補助枠材自体における室内外の熱伝導も抑制されるので、さらに一層断熱性能を向上させることができる。
【0012】
また、本発明の建具では、前記障子は、上下二段の障子から構成されており、前記補助枠材は、前記左右の縦枠に取り付けられていることが好ましい。
このような構成によれば、前述の効果を有した上げ下げ窓を構成することができる。そして、上げ下げ窓の下部障子においては、開放操作する際の操作力が小さくできることで、操作性が良好にできる、あるいは下部障子を大型化した場合でも、操作性が損なわれないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る建具である上げ下げ窓1を室外側から見た正面図である。図2は、上げ下げ窓1を示す縦断面図である。図3は、上げ下げ窓1を示す横断面図であって、上部障子位置における横断面図である。
図1〜図3において、上げ下げ窓1は、戸建て住宅等の建物の外壁2における開口部3に設けられて建物の室内空間と室外空間とを仕切るもので、下端位置が床面よりも所定寸法(例えば、600mm〜900mm)だけ高い位置に設けられた腰窓である。
【0014】
上げ下げ窓1は、上枠11、下枠12、および左右の縦枠13を四周枠組みした窓枠10と、この窓枠10の内側に開閉自在に支持された上部障子(上側の障子)20および下部障子(下側の障子)30とを備えて構成されている。窓枠10は、開口部3周辺の柱や壁パネル等の建物躯体4に固定されている。上部障子20および下部障子30は、それぞれ上框21,31、下框22,32、および左右の縦框23,33を四周框組みした内部に、ガラスパネル(複層ガラス)24,34を嵌め込んで構成されている。また、窓枠10の室外側には、外部ブラインド40が設けられ、上部障子20の室内側における窓枠10には、網戸50が取り付けられている。
【0015】
上部障子20および下部障子30は、それぞれ窓枠10の縦枠13に案内されて上下にスライド可能に支持されるとともに、上部障子20が下部障子30よりも室外側に設けられている。すなわち、上部障子20によって室外側障子が構成され、下部障子30によって室内側障子が構成されている。そして、上部障子20の下框(外召合せ框)22と下部障子30の上框(内召合せ框)31とが見込み方向に重なって上げ下げ窓1が閉じられるようになっている。上部障子20は、その上框21が上枠11に当接した閉鎖位置から、閉じた状態の下部障子30の上框31に上框21が略重なる開放位置までの間を、開閉移動可能に構成されている。一方、下部障子30は、その下框32が下枠12に当接した閉鎖位置から、その上框31が上枠11に近接する開放位置までの間を、開閉移動可能に構成されている。
【0016】
また、上部障子20の高さ寸法、つまり上框21上端縁から下框22下端縁までの長さ寸法は、下部障子30の高さ寸法よりも小さく形成され、具体的には、上部障子20は、下部障子30の略半分の高さ寸法に設定されている。すなわち、下部障子30が閉鎖位置にある状態で上部障子20を開放位置まで全開した場合には、上部障子20が下部障子30の略上半分室外側に重なった状態となり、これら上下の障子20,30の上方に開口が形成されて上げ下げ窓1が開かれるようになっている。このように、上部障子20を下部障子30の略半分の高さ寸法に設定したことで、上部障子20を全開すれば、この上部障子20の上下框21,22および下部障子30の上框31によって、窓枠10の内部が上下に略三等分された略目の字形の外観(または内観)となり、バランスのよい良好な意匠性が得られる。
一方、上部障子20が閉鎖位置にある状態で下部障子30を開放位置まで全開した場合にも、下部障子30の略上半分が上部障子20および網戸50の室内側に重なった状態となり、下部障子30の下方に開口が形成されて上げ下げ窓1が開かれるようになっている。
【0017】
次に、図4〜図7も参照して上げ下げ窓1の各部詳細について説明する。
図4は、上げ下げ窓1の縦枠13および上部障子20の縦框23を拡大して示す横断面図である。図5は、上げ下げ窓1の縦枠13および下部障子30の縦框33を拡大して示す横断面図である。図6は、縦枠13の召合せ部近傍を拡大して示す斜視図である。図7(A)〜(C)は、縦枠13と障子20,30との気密構造を説明する図である。
【0018】
縦枠13は、図4および図5に示すように、それぞれアルミ押出形材製の室内部材131、室外部材132、室内レール部材(レール部)133、および室外レール部材(レール部)134と、室内部材131と室外部材132とを連結する樹脂製の断熱部材135と、室内レール部材133と室外レール部材134とを連結する樹脂製の断熱部材136とを備えて中空状に形成されている。そして、室外部材132が建物躯体4にビス止め固定され、室内レール部材133が室内部材131に、室外レール部材134が室外部材132に、それぞれビス止め固定されている。室内レール部材133および室外レール部材134は、見付け方向内側に向かって開口した断面略C字形に形成されており、それぞれ上部障子20および下部障子30を上下に案内可能に構成されている。
【0019】
上部障子20の縦框23は、図4に示すように、それぞれアルミ押出形材製の室内部材231および室外部材232と、これらの室内部材231と室外部材232とを連結する樹脂製の断熱部材233とを備えて形成されている。そして、縦框23は、見付け方向内側に開口した溝状に形成されており、室内部材231と室外部材232との間に、断面略コ字形のガスケットを介してガラスパネル24の側端縁が挟持されて支持されている。室内部材231の室内側側面には、上部アタッチメント14A(後述)に当接して気密性を確保する気密材231Aが取り付けられており、室外部材232の見付け方向外側側面には、縦枠13の室外レール部材134に当接して埃等の浸入を防止するモヘヤ232Aが取り付けられている。
【0020】
下部障子30の縦框33は、図5に示すように、それぞれアルミ押出形材製の室内部材331および室外部材332と、これらの室内部材331と室外部材332とを連結する樹脂製の断熱部材333とを備えて形成されている。そして、縦框33は、見付け方向内側に開口した溝状に形成されており、室内部材331と室外部材332との間に、断面略コ字形のガスケットを介してガラスパネル34の側端縁が挟持されて支持されている。室内部材331の見付け方向外側側面には、縦枠13の室内レール部材133に当接して埃等の浸入を防止するモヘヤ331Aが取り付けられており、室外部材332の室外側側面には、下部アタッチメント14B(後述)に当接して気密性を確保する気密材332Aが取り付けられている。
【0021】
また、図示を省略するが、窓枠10の上枠11および下枠12も縦枠13と同様に、それぞれアルミ押出形材製の室内部材および室外部材と、これらを連結する樹脂製の断熱部材とを備えて形成されている。そして、上部障子20および下部障子30の上框21,31および下框22,32も、縦框23,33と同様に、それぞれアルミ押出形材製の室内部材および室外部材と、これらを連結する樹脂製の断熱部材とを備えて形成されている。このように本実施形態の上げ下げ窓1は、窓枠10および上下の障子20,30が断熱性に優れた断熱サッシとなっている。
【0022】
また、上部障子20の縦框23(または上下框21,22)には、室外レール部材134の溝内に挿入されるスライドシュー25が設けられており、これらのスライドシュー25が室外レール部材134に沿って案内されることで、上部障子20が上下にスライド開閉されるようになっている。一方、下部障子30の下框32には、室内レール部材133に挿入されるスライドシュー36が設けられており、下部障子30の上框31には、ラッチ装置(不図示)が設けられており、このラッチ装置から突出した突出片が室内レール部材133に挿入されている。そして、これらのスライドシュー36およびラッチ装置の突出片が室内レール部材133に沿って案内されることで、下部障子30が上下にスライド開閉されるようになっている。
【0023】
以上の窓枠10において、互いに対向する一対の枠材である左右の縦枠13の室内レール部材133と室外レール部材134との間には、室内側補助枠材である上部アタッチメント14Aと、室外側補助枠材である下部アタッチメント14Bと、これら上下のアタッチメント14A,14B間に介装された召合せ部補助部材である気密部材(風止板)15とが、上下に連続して設けられている。そして、上下のアタッチメント14A,14Bおよび気密部材15は、それぞれ縦枠13の断熱部材136の見付け方向内側を覆って、室内レール部材133と室外レール部材134とに係合されて取り付けられている。
【0024】
上部アタッチメント14Aは、閉じた状態の上部障子20の縦框23室内側に沿って設けられ、下部アタッチメント14Bは、閉じた状態の下部障子30の縦框33室外側に沿って設けられている。これらの上部アタッチメント14Aおよび下部アタッチメント14Bは、共通の部材から構成され、互いに反転した状態で配置されている。すなわち、上部アタッチメント14Aおよび下部アタッチメント14Bは、見付け方向に延びた見付け面部141と、この見付け面部141の見付け方向内端に連続した傾斜面部142とを有して断面略三角形状に形成されている。そして、上部アタッチメント14Aは、見付け面部141を室外側に向けかつ傾斜面部142を室内側に向けて配置され、下部アタッチメント14Bは、見付け面部141を室内側に向けかつ傾斜面部142を室外側に向けて配置されている。また、上部アタッチメント14Aおよび下部アタッチメント14Bは、見付け面部141の途中位置から斜めに延びた支持面部143を有し、この支持面部143と傾斜面部142とが縦枠13に当接して設置されることで、見込み方向の荷重に対して抵抗できるようになっている。
【0025】
また、気密部材15は、上部アタッチメント14Aおよび下部アタッチメント14Bと同一断面を有した気密部材151と、この気密部材151に固定された気密部152とを有して形成されている。
以上のような上部アタッチメント14Aの見付け面部141には、閉じた上部障子20の気密材231Aが当接し、下部アタッチメント14Bの見付け面部141には、閉じた下部障子30の気密材332Aが当接するとともに、これらの気密材231Aの下端部と気密材332Aの上端部とが気密部材15の気密部152に当接するようになっている。また、気密部材15の気密部152には、上部障子20の下框22あるいは下部障子30の上框31に設けられた横気密材(不図示)が当接するようになっている。このようにして縦枠13における縦方向の気密ラインが形成され、上げ下げ窓1における気密性が確保されている。
【0026】
さらに、図7(B),(C)に示すように、下部障子30を上方にスライドさせて開放した開放状態において、気密材332Aは、下部アタッチメント14Bの見付け面部141に摺接するものの、上部アタッチメント14Aの傾斜面部142には摺接(当接)しないようになっている。これと同様に、上部障子20を下方にスライドさせて開放した開放状態において、気密材231Aは、上部アタッチメント14Aの見付け面部141に摺接するものの、下部アタッチメント14Bの傾斜面部142には摺接(当接)しないようになっている。
【0027】
このような本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)すなわち、左右の縦枠13の室内外のレール部材133,134間に上部アタッチメント14A、下部アタッチメント14Bおよび気密部材151を上下に連続して取り付け、これらの各部材14A,14B,15に上部障子20および下部障子30の気密材231A,332Aを当接させたことで、障子を閉じた状態での上げ下げ窓1の気密性が確保できる。
【0028】
(2)また、上部アタッチメント14A、下部アタッチメント14Bおよび気密部材151を、縦枠13と別体に形成して取り付けたので、これらの各部材に相当する気密材当接部を縦枠13に一体に形成した場合よりも、これらの各部材14A,14B,15と縦枠13との間の熱伝導が抑制される。ここで、各部材14A,14B,15を、例えば樹脂製とすれば、金属製の場合と比較して熱伝導の抑制効果が大きくなる。また、上部アタッチメント14A、下部アタッチメント14Bおよび気密部材151が互いに分割されていることで、各部材14A,14B,15同士間での熱伝導が抑制される。従って、窓枠10を介しての室内外間の熱伝導を抑制することで、上げ下げ窓1の断熱性能を向上させることができる。
【0029】
(3)さらに、下部障子30の気密材332Aが上部アタッチメント14Aに当接せず、上部障子20の気密材231Aが下部アタッチメント14Bに当接しないようになっているので、障子を開放するにしたがって気密材332A,231Aと上部または下部アタッチメント14A,14Bとの当接長さが徐々に短くなり、障子の開放操作の操作力を小さくすることができ、操作性を良好にすることができる。特に、下部障子30では、持ち上げて開放する際の操作力が小さくできるので、操作力が小さくなることで操作性が向上される、あるいは下部障子30を大型化した場合でも、操作性が損なわれないようにできる。
【0030】
(4)また、窓枠10および上下の障子20,30の框材が室内部材、室外部材、および断熱部材を有して構成された断熱サッシにおいて、縦枠13の断熱部材136の見付け方向内側を覆って上部アタッチメント14A、下部アタッチメント14Bおよび気密部材151が取り付けられているので、より一層断熱性能を向上させることができるとともに、意匠性も向上させることができる。
【0031】
(5)また、上下のアタッチメント14A,14Bが見付け面部141と傾斜面部142とを有して形成された同一部材から構成され、この部材を反転して配置されているので、部品の共通化を図ることができる。
【0032】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
例えば、前記実施形態においては、上げ下げ窓1を例示して説明したが、本発明の建具は、上げ下げ窓1に限らず、引違い窓のように障子が左右にスライド開閉自在に設けられたものでもよい。この際、引違い窓や片引き窓においては、補助枠材を上枠と下枠とに設ければよい。
また、前記実施形態においては、上げ下げ窓1が上下一対の2枚の障子(上部障子20および下部障子30)を有して構成されていたが、これに限らず、3枚以上の障子を有して構成されていてもよい。
【0033】
また、補助枠材(上下のアタッチメント)としては、前記実施形態で説明したものの他に、次の図8に示す形態を有したものであってもよい。なお、図8においては、閉じた下部障子30の室外側に沿って設けられる室外側補助枠材を示している。
図8(A)に示すアタッチメント14Cは、前記実施形態の上下のアタッチメント14A,14Bの傾斜面部142に相当する部分が略円弧状に形成され、かつ前記支持面部143が省略された形態となっている。すなわち、アタッチメント14Cは、見付け方向に延びる見付け面部141と、この見付け面部141の見付け方向内端に連続した曲面部144とを有して断面略扇形状に形成されている。そして、アタッチメント14Cの曲面部144には、上部障子20および下部障子30の気密材231A,332Aが当接不能になっている。
【0034】
一方、図8(B)に示すアタッチメント14Dは、前記実施形態の上下のアタッチメント14A,14Bと略同一の外形を有しているが、第1部材145と、第2部材146と、これらの第1および第2の部材145,146を連結する断熱部材147とを有して構成されている点が相違している。そして、第1部材145が下部障子30の気密材332Aよりも室内側に設けられる室内部材を構成し、第2部材146が気密材332Aよりも室外側に設けられる室外部材を構成するようになっている。なお、アタッチメント14Dを反転させて閉じた上部障子20の室内側に沿って設ける場合には、第1部材145が上部障子20の気密材231Aよりも室外側に設けられる室外部材を構成し、第2部材146が気密材231Aよりも室内側に設けられる室内部材を構成するようになる。
【0035】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態に係る建具を室外側から見た正面図である。
【図2】前記建具を示す縦断面図である。
【図3】前記建具を示す横断面図であり、上部障子位置での横断面図である。
【図4】前記建具における縦枠および上部障子の縦框を拡大して示す横断面図である。
【図5】前記建具における縦枠および下部障子の縦框を拡大して示す横断面図である。
【図6】前記縦枠の召合せ部近傍を拡大して示す斜視図である。
【図7】(A)〜(C)は、前記縦枠と障子との気密構造を説明する図である。
【図8】(A),(B)は、本発明の変形例に係る補助枠材を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0037】
10…窓枠、11…上枠、12…下枠、13…縦枠、14A…室内側補助枠材である上部アタッチメント、14B…室外側補助枠材である下部アタッチメント、14C,14D…補助枠材、15…召合せ部補助部材である気密部材、20…上部障子、30…下部障子、131…室内部材、132…室外部材、133…レール部である室内レール部材、134…レール部である室外レール部材、135,136…断熱部材、141…見付け面部、142…傾斜面部、145…室内部材である第1部材、146…室外部材である第2部材、147…断熱部材、231A,332A…気密材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠、下枠、および左右の縦枠を有する窓枠と、この窓枠内にスライド開閉可能に支持された少なくとも室内外一対の障子とを備え、
前記窓枠の上下左右の枠材のうち、上下一対の枠材または左右一対の枠材には、それぞれ前記室内外の障子を案内する室内外のレール部が設けられるとともに、これら室内外のレール部同士の間に当該枠材に沿った補助枠材が取り付けられ、
前記補助枠材は、閉じた状態の前記室内側障子の室外側に沿った室外側補助枠材と、閉じた状態の前記室外側障子の室内側に沿った室内側補助枠材とを有し、これら室内外の補助枠材間には、召合せ部補助部材が介装され、前記室外側補助枠材、室内側補助枠材、および召合せ部補助部材が略一直線状に連続して配置され、
前記室内側障子には、前記室外側補助枠材および召合せ部補助部材に当接可能かつ前記室内側補助枠材に当接不能な気密材が設けられ、
前記室外側障子には、前記室内側補助枠材および召合せ部補助部材に当接可能かつ前記室外側補助枠材に当接不能な気密材が設けられている建具。
【請求項2】
前記窓枠の上下左右の枠材は、それぞれ前記室内側障子を支持する室内部材と、前記室外側障子を支持する室外部材と、これらの室内部材と室外部材とを連結する断熱部材とを有して構成され、
前記補助枠材は、前記互いに対向する一対の枠材における前記室内部材と前記室外部材とに跨り、かつ前記断熱部材の見付け方向内側を覆って取り付けられている請求項1に記載の建具。
【請求項3】
前記補助枠材は、見付け方向に延びた見付け面部と、この見付け面部の見付け方向内端に連続した傾斜面部とを有して断面略三角形状に形成され、
前記室内側補助枠材は、前記見付け面部を室外側に向けかつ前記傾斜面部を室内側に向けて配置され、前記室外側補助枠材は、前記見付け面部を室内側に向けかつ前記傾斜面部を室外側に向けて配置されている請求項1または請求項2に記載の建具。
【請求項4】
前記補助枠材は、室内部材と、室外部材と、これらの室内部材と室外部材とを連結する断熱部材とを有して構成されている請求項1から請求項3のいずれかに記載の建具。
【請求項5】
前記障子は、上下二段の障子から構成されており、
前記補助枠材は、前記左右の縦枠に取り付けられている請求項1から請求項4のいずれかに記載の建具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−241744(P2006−241744A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56107(P2005−56107)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(390005267)YKK AP株式会社 (776)
【Fターム(参考)】