建物の防蟻構造及び建物の基礎防蟻工法
【課題】 建物基礎の外側面に断熱材などの防蟻性板部材を固定する場合に防蟻シートの使用量を減らしつつ、確実にシロアリの侵入を防ぐことができる建物の防蟻構造及び建物の防蟻工法を提供する。
【解決手段】 建物基礎の外周立上がり部の屋外側面に防蟻性板部材を取付けた建物における建物の防蟻構造であって、前記外周立上がり部の上端面と、前記防蟻性板部材の上端面と、を防蟻性シートで被覆したことを特徴とする建物の防蟻構造。
【解決手段】 建物基礎の外周立上がり部の屋外側面に防蟻性板部材を取付けた建物における建物の防蟻構造であって、前記外周立上がり部の上端面と、前記防蟻性板部材の上端面と、を防蟻性シートで被覆したことを特徴とする建物の防蟻構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布基礎やベタ基礎などの基礎の外周立上がり部の屋外側からのシロアリの侵入を防ぐ建物の防蟻構造及び基礎防蟻工法に関し、詳しくは建物基礎の外周立上がり部と、この外周立上がり部の外側面に設けられる防蟻板部材との間からのシロアリの侵入を防ぐ建物の防蟻構造及び建物の基礎防蟻工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の建物におけるシロアリ防除技術としては、例えば、建物の床下の地面から1メートル程度の範囲の木材や建物の下の土壌に、シロアリを駆除できる薬剤を処理する方法やシロアリに少量の薬剤を含む毒餌を摂食させて根絶するベイト工法などの方法が知られている。しかし、上述の建物の床下に薬剤を処理する方法においては、建物内の環境が化学物質に汚染される点で問題がある。また、ベイト工法においては、コロニー全体の活力を衰退させることにあり、その開始から終了までに少なくとも数ヶ月から2年程度の長期間を要するという問題がある。
【0003】
そこで、上述の問題を解消するために、薬剤を使用せずにシロアリの侵入を物理的に阻止する工法が種々提案されている。このような工法としては、例えば、シロアリの分泌物に耐性を有し、且つ少なくともショアD70高度以上の耐腐食性材料で編まれた網み目シートからなり、この編み目の孔がいずれの方向においても侵入を阻止すべきシロアリの頭部横断面の最大寸法より小径である防蟻シートを、建物基礎に取付けて建物内にシロアリが侵入することを防ぐ防蟻方法が挙げられる(例えば特許文献1)。
【0004】
ところで、建物の布基礎やベタ基礎などの基礎の外周立上がり部の屋外側には、外装材や断熱材などの種々の板部材が固定されることが多い。そして板部材の内部にシロアリが侵入することを防ぐことができるように、これら板部材には防蟻性を有するものも種々提案されている。具体的には例えば、断熱材の原料に防蟻剤を加えて発泡及び硬化させて形成する防蟻断熱材(特許文献2参照)やシロアリに食侵されない硬度及び密度のポリカーボネート系樹脂発泡体からなる防蟻材(特許文献3参照)が提案されている。
【特許文献1】特許第2652902号公報
【特許文献2】特開2006−183267号公報
【特許文献3】特開平11−236736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のような防蟻板部材を建物の布基礎やベタ基礎などの基礎の外周立上がり部の屋外側に取付けた場合には、防蟻板部材自体はシロアリに食侵されないものの、防蟻板部材と基礎の外周立上がり部との間隙を通ってシロアリが建物内部に侵入する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、建物基礎の外側面に外装材や断熱材などの防蟻性板部材を固定する場合に確実にシロアリの侵入を防ぐことができる建物の防蟻構造及び建物の防蟻工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の建物の防蟻構造は、建物基礎の外周立上がり部の屋外側面に防蟻性板部材を取付けた建物の防蟻構造であって、前記防蟻性板部材の上端面と、前記外周立上がり部の上端面と、にまたがって防蟻性シートで被覆することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の建物の防蟻構造は、前記外周立上がり部及び前記防蟻性板部材を貫通する配管の屋内側に突出する外周面を被覆する筒部と、該筒部の端部から広がって形成されて、前記外周立上がり部の屋内側面を被覆する鍔部とを有する配管用防蟻シートをさらに備えることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の建物の防蟻構造は、建物基礎の外周立上がり部と、該外周立上がり部の屋外側に隣接して設けられる付帯設備との間に防蟻性板部材を設置する建物の防蟻構造であって、少なくとも前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の上面とにまたがって、防蟻性シートで被覆することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の建物の防蟻構造は、建物基礎の外周立上がり部と、該外周立上がり部の屋外側に隣接して設けられる付帯設備との間に防蟻性板部材を設置する建物の防蟻構造であって、少なくとも前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の前記付帯設備の上面より上方側における屋外側面とにまたがって、防蟻性シートで被覆することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の建物の防蟻構造は、前記付帯設備の上面から前記防蟻性板部材の上端面を通って前記外周立上がり部の上端面までを、防蟻性シートで被覆することを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の建物の防蟻構造は、前記防蟻性シートは、少なくとも前記外周立上がり部側の端部が下方に折曲されてその下端で水平方向に突出する垂下部を形成するものであって、当該垂下部は、前記外周立上がり部に埋め込まれることを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の建物の防蟻構造は、前記防蟻性シートは、少なくとも前記付帯設備側の端部が下方に折曲されてその下端で水平方向に突出する垂下部を形成するものであって、当該垂下部は、前記付帯設備に埋め込まれることを特徴としている。
【0014】
請求項8に記載の建物の防蟻構造は、前記垂下部は、更に上方に折り返されるとともに、その先端が水平方向に折曲されることを特徴としている。
【0015】
請求項9に記載の建物の防蟻構造は、前記防蟻性板部材は、断熱性を有することを特徴としている。
【0016】
請求項10に記載の建物の防蟻構造は、前記防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であることを特徴としている。
【0017】
請求項11に記載の建物の基礎防蟻工法は、地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、該防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、次いで、前記型枠を取り外して、その後に、前記防蟻性板部材の上端面と、前記外周立上がり部の上端面と、にまたがって、防蟻性シートを被覆し固定することを特徴としている。
【0018】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記該防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、次いで、前記型枠を取り外してから、前記防蟻性板材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置し、その後この型枠と防蟻性板部材との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の上端面とにまたがって、防蟻性シートを被覆し固定することを特徴としている。
【0019】
請求項13に記載の建物の基礎防蟻工法は、地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記型枠の間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、その後、前記型枠を取り外してから、前記防蟻性板材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置し、その後この型枠と防蟻性板部材との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、前記付帯設備の上面から、前記防蟻性板部材の上端面を通って、及び前記外周立上がり部の上端面までを、防蟻性シートで被覆し固定することを特徴としている。
【0020】
請求項14に記載の建物の基礎防蟻工法は、地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、防蟻性シートの一端を該防蟻性板部材の上端面に固定しつつ他端を該防蟻性板部材と屋内側の外周立上がり部用の型枠との間に折曲して垂下部を形成し、次で、前記防蟻性板部材と前記屋内側の外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生してから前記型枠を取り外すことによって、基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性シートの前記垂下部を前記外周立上がり部内に埋め込み、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定することを特徴としている。
【0021】
請求項15に記載の建物の基礎防蟻工法は、地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、防蟻性シートの中間部を前記防蟻性板部材の上端に仮固定して、当該防蟻性シートの一端を前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間に折曲して立上がり部側の垂下部を形成し、次いで、前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成することにより、前記防蟻性シートの一端側に形成された前記立上がり部側垂下部を前記コンクリート内に埋め込むとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、次いで、前記防蟻性板部材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置するとともに、前記防蟻性シートの他端を前記防蟻性板部材と前記付帯設備用型枠との間に折曲して付帯設備側垂下部を形成し、次いで、前記防蟻性板部材と前記付帯設備用型枠との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成することにより、前記付帯設備側垂下部を前記付帯設備内に埋め込むことを特徴としている。
【0022】
請求項16に記載の建物の基礎防蟻工法は、前記防蟻性板部材は、断熱性を有することを特徴としている。
【0023】
請求項17に記載の建物の基礎防蟻工法は、前記防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、建物の防蟻構造は、建物の基礎の外周立上がり部の屋外側に取付けられる板部材が防蟻性のものであるので、シロアリがこの防蟻性板部材を侵食することはできない。したがって、基礎の外周立上がり部と防蟻性板部材との上端面にまたがって防蟻シートを被覆することで、外周立上がり部と防蟻性板部材との間隙から侵入するシロアリの通過を防ぐことができるので、確実に建物基礎を防蟻できるとともに防蟻シートの使用量を少なくすることができる。
【0025】
請求項2の発明によれば、建物の防蟻構造は、基礎の立上がり部及び防蟻性板部材に貫通する配管の外周面に筒部が被覆するとともに、外周立上がり部の屋内側の面に鍔部が被覆するので、立上がり部の貫通孔と配管の外周面との間隙から建物内にシロアリが侵入することを防ぐことができる。
【0026】
請求項3の発明によれは、建物の防蟻構造は、建物の基礎に隣接して設けられる付帯設備の上面と防蟻性板部材の上面とにまたがって防蟻シートで被覆したので、この付帯設備と防蟻性板部材との間を通ってシロアリが建物内に侵入することを防ぐことができる。
【0027】
請求項4の発明によれは、建物の防蟻構造は、建物の基礎に隣接して設けられる付帯設備の上面と防蟻性板部材の屋外側面とにまたがって防蟻シートで被覆したので、この付帯設備と防蟻性板部材との間を通ってシロアリが建物内に侵入することを防ぐことができる。
【0028】
請求項5の発明によれば、建物の防蟻構造は、建物の基礎の外周立上がり部の上面と、この外周立上がり部に隣接して設けられる付帯設備の上面と、これら外周立上がり部及び付帯設備の間に収納される防蟻性板部材と、にまたがって、防蟻シートが被覆されているので、外周立上がり部と防蟻性板部材との間隙、及び付帯設備と防蟻性板部材との間隙のどちらの間隙を通ってシロアリが建物内部に侵入することも防ぐことができる。
【0029】
請求項6の発明によれば、防蟻シートは、外周立上がり部側の端部が少なくとも下方に折曲された垂下部を形成しており、この垂下部は、外周立上がり部に埋め込まれるので、垂下部のアンカー効果により防蟻シートをより確実に外周立上がり部の端部に固定することができ、シロアリの侵入をより確実に防ぐことができる。
【0030】
請求項7の発明によれば、防蟻シートは、付帯設備側の端部が少なくとも下方に折曲された垂下部を形成するものであって、この垂下部は、付帯設備に埋め込まれるので、請求項5の垂下部と同様にアンカー効果により防蟻シートをより確実に付帯設備に固定することができ、シロアリの侵入をより確実に防ぐことができる。
【0031】
請求項8の発明によれば、下方に折曲された垂下部は上方に折り返され、更に水平方向に折曲されるので、垂下部のアンカー効果をより高めることができ、防蟻シートをより確実に外周立上がり部又は付帯設備に固定することができる。さらに、垂下部を上述のような形状とすることで、コンクリートを打設して外周立上がり部又は付帯設備を形成する際に、垂下部の上方に折り返された部分が上方から注入されたコンクリートの重みによりよりやや展開したような場合でも、更に水平方向に折曲されていることで、アンカー効果を失わず確実に固定することができる。
【0032】
請求項9の発明によれば、防蟻性板部材は、断熱性を有するものであるので、外断熱工法に適用することができる。
【0033】
請求項10の発明によれば、防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であるので、例えば接着モルタル等により接着する場合にアンカー効果によってより強固に固定することができ、また、コンクリートに埋設する場合にもアンカー効果によってより強固に固定することができる。
【0034】
請求項11の発明の建物の基礎防蟻工法によると、外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、当該防蟻性板部材と前記外周立上がり部用型枠のうち、屋内側の型枠との間にコンクリートを打設養生することで、基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定するので、防蟻性板部材の表面の細かな凹凸にまでコンクリートが入り込むことで、防蟻性板部材と外周立上がり部との間にシロアリが通過可能な間隙ができにくい。そして、型枠を取り外して、外周立上がり部の上端面と、防蟻性板部材の上端面とに亘って、シロアリの通過を防ぐ防蟻シートを被覆するので、更に確実にシロアリが建物内に侵入することを防ぐことができる。
【0035】
請求項12の発明の建物の基礎防蟻工法によると、外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記型枠の間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定するので、請求項11と同様に、防蟻性板部材の表面の細かな凹凸にまでコンクリートが入り込むことで、防蟻性板部材と外周立上がり部との間にシロアリが通過可能な間隙ができにくい。そして、前記外周立上がり部の外側に付帯設備用型枠を設置し、コンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材とを、防蟻シートで被覆するので、防蟻性板部材と付帯設備との間隙からシロアリが建物内に侵入することも防ぐことができる。
【0036】
請求項13の発明の建物の基礎防蟻工法によると、外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記防蟻性板部材と前記外周立上がり部用の型枠のうち屋内側の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定するので、請求項11及び請求項12の防蟻性工法と同様に、防蟻性板部材の表面の細かな凹凸にまでコンクリートが入り込むことで、防蟻性板部材と外周立上がり部との間にシロアリが通過可能な間隙ができにくい。そして、前記防蟻性板部材の外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用型枠を設置し、コンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材とを、防蟻シートで被覆するので、防蟻性板部材と付帯設備との間隙からシロアリが建物内に侵入することも防ぐことができる。
【0037】
請求項14の発明の建物の基礎防蟻工法によると、外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、防蟻シートの一端を該防蟻性板部材の上端面に固定しつつ他端を前記型枠の間に折曲して形成し、垂下部を次で、前記防蟻性板部材と屋内側の外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻シートの前記垂下部を前記外周立上がり部内に埋め込み、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定するので、防蟻性板部材の表面の細かな凹凸にまでコンクリートが入り込むことで、防蟻性板部材と外周立上がり部との間にシロアリが通過可能な間隙ができにくいとともに、防蟻シートの垂下部が外周立上がり部に埋め込まれるので、より確実に防蟻シートを外周立上がり部に固定することができ、シロアリの通過をより確実に防ぐことができる。
【0038】
請求項15の発明の建物の基礎防蟻工法によると、外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、防蟻シートの一端を前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間に折曲して立上がり部側垂下部を形成し、次いで、前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻シート一端側に形成された前記立上がり部側垂下部を前記コンクリート内に埋め込み、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定しているので、請求項14と同様に確実に防蟻シートを外周立上がり部を固定することができ、より確実に建物へのシロアリの侵入を防ぐことができる。
【0039】
請求項16の発明の建物の基礎防蟻工法によると、防蟻性板部材が断熱性を有しているので、外断熱工法に適用することができる。
【0040】
請求項17の発明の建物の基礎防蟻工法によると、防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であるので、例えば接着モルタル等により接着する場合にアンカー効果によってより強固に固定することができ、また、コンクリートに埋設する場合にもアンカー効果によってより強固に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
〔第1の実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明の建物の防蟻構造1及び基礎防蟻工法の第1の実施形態について説明する。建物の防蟻構造1は、図1及び図2に示すように、例えばベタ基礎2における外周立上がり部3の屋外側面に防蟻性板部材4を取付けた建物において用いられるものである。この外周立上がり部3の上端面と防蟻性板部材4の上端面とにまたがって、シロアリが通過できない防蟻シート10が取付けられており、外周立上がり部3と防蟻性板部材4との間隙を通過してシロアリが建物内部に侵入することを防ぐことができる。なお、本実施形態においては建物の基礎としてベタ基礎2を用いてた例を説明するが、例えば図3に示すように布基礎5を用いるものであっても良い。
【0042】
ベタ基礎2は、建物の床下全面的に設けられた基礎スラブ6と、この基礎スラブ6上の外周部分に立設される外周立上がり部3と、基礎スラブ6上に建物の設計上必要に応じて設けられる柱状又は縦横に延びる立上がり部7からなる。そして、この基礎スラブ6の下方には捨てコンクリート8や割栗石9が施工されている。なお、ベタ基礎2の縦断面形状等は特に限定されるものではなく、従来公知の各種の構成を採用できる。また、割栗石9と捨てコンクリート8の間、又は捨てコンクリート8と基礎スラブ2の間には、必要に応じて図示しない防湿シート等を敷設してもよい。
【0043】
この外周立上がり部3の屋外側面には、防蟻性板部材4が取り付けられる。防蟻性板部材4としては、例えばシロアリに侵食されない強度を有するポリカーボネート発泡体により形成されたものが挙げられる。このような防蟻性板部材4の厚さ、長さ、及び高さは施工性能、断熱性能、防蟻性能の観点から適宜選択できるものであり、例えばその高さは、外周立上がり部3と同じ高さとすることもできるが、本実施形態においては例えば、外周立上がり部3の高さのほぼ半分ほどの高さの防蟻性板部材4を用い、上下に2段重ねて取付けている。
【0044】
なお、防蟻性板部材4はこれに限定されるものではなく、クロルピリホス系、有機リン系やピレスロイド系などの防蟻剤を含有したグラスウール、ロックウール、などの繊維系断熱材、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、無機物高充填樹脂フォーム等のシロアリの侵食を防ぐことができ、且つ断熱性能を有する様々な板状部材を防蟻性板部材4として用いることができる。また、防蟻性板部材4は断熱材に限定されるものではなく、例えば硬質機材(例えば、タイル、セラミック板、あるいはセメント板、炭酸カルシウム板、珪酸カルシウム板、木片セメント板、炭酸マグネシウム板等、もしくはこれらにガラス繊維、ウィスカー、アラミド繊維、スチール繊維、炭素繊維、各種鉱物繊維、各種骨材等を混入したもの、等を押出成形、プレス成形、射出成形、抄造法、等によって成形した窯業系サイディング材、または各種繊維をクロス状、三次元状に織り、これにセメント、粘土等を含浸してパネル状に成形したものを乾燥、蒸気養生、焼成、等したもの)、さらには金属製パネル、金属製サイディング材(金属製表面材の裏面に合成樹脂発泡体等の芯材を積層した建材、金属製表面材と裏面材間に合成樹脂発泡体等の芯材をサンドイッチした建材、等)、合成樹脂板、プレキャストコンクリート材等の様々な防蟻性板部材4を用いることができる。
【0045】
以上のように、防蟻性板部材4が防蟻性を有するとともに断熱性を有する防蟻断熱材で構成されることで、例えば外断熱工法を適用する建物において、建物基礎部分の断熱材として本実施形態の建物の防蟻構造1を用いることができるものであるが、本実施形態の防蟻性板部材4は断熱性を有するものに限定されるものではなく、シロアリに侵食されない強度を有する基礎化粧材等の基礎の外周立上がり部3の外側面に取付けられる様々な防蟻性板部材4を用いることができる。
【0046】
また、防蟻性板部材4は、単一の材質からなるものに限定されるものではなく、例えば表面に防蟻性能を有する部材を設けた多層からなるものであってもよい。具体的にはポリカーボネート発泡板と、グラスウール、ロックウール、などの繊維系断熱材、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、無機物高充填樹脂フォームなどの発泡樹脂系断熱材を、接着剤等を用いて接着させた複合防蟻断熱材として用いることもできる。このようにすると高価なポリカーボネート発泡材料の使用量を減らした上で、従来通りの断熱性能を発揮することができる。
【0047】
また、防蟻性及び断熱性を有する各種の防蟻板部材4に防湿シートなどの防湿材、遮音材、吸音材、防振材、タイル、モルタル等などを複合することもできる。
【0048】
このような防蟻性板部材4を外周立上がり部3へ取付けるに際しては、外周立上がり部3の外側面と防蟻性板部材4とを例えば接着モルタルなどのシロアリに侵食されない接着剤を介して固定させることができる。防蟻性板部材4の接着方法としてはこれに限られるものではなく、例えばコンクリートを打設して外周立上がり部3を形成する前に、外周立上がり部を形成するために用いる型枠のうち屋外側に配置される型枠の内側面に防蟻性板部材を固定して、その後コンクリートを打設養生することで、防蟻性板部材を外周立上がり部に固定することもできる。
【0049】
ここで、シロアリとは、ゴキブリに近縁の社会生活をする不完全変態の昆虫であって、シロアリ目(等翅類)Isopteraの総称である。このシロアリは、非変形性の堅い頭部を有している。このようなシロアリとしては、例えば、ヤマトシロアリやイエシロアリ等の各種のものが挙げられる。
【0050】
また、防蟻シート10としては、例えば、「アリ断(商品名,フクビ化学工業株式会社製)」等の防蟻剤を練り込んだ合成樹脂シート、「シロアリシャッター(商品名,大日本木材防腐工業株式会社製)」等の防蟻剤を塗布したガラス繊維シート等の防蟻性を有する従来公知の各種のシート材や板材等が挙げられるが、シロアリから放出されるギ酸等の分泌物に耐性で、かつ、シロアリが噛み砕くことができない硬さである少なくとも約ショアD70硬度を有し、使用環境下で数十年の耐用年数を有する耐用性の耐腐食性材料からなるものが好ましい。
【0051】
上述のような防蟻シート10としては、例えば、前記耐腐食性材料からなる金属製や合成樹脂製等のシート材や板材等が挙げられるが、図4に示すように、ステンレス鋼ワイヤ11から製織され、いずれの方向においてもシロアリの頭部横断面の最大直線寸法より小さい直線寸法の多数の網目(孔)12を有するステンレスメッシュ〔例えば「ターミメッシュ(TERMI−MESH,商品名)」,ターミメッシュジャパン株式会社製〕等、柔軟性に優れ、かつ、切断、折曲による造形、折曲時の輪郭付け等が容易なメッシュシートが好適である。
【0052】
なお、シロアリバリアー材としてのメッシュシートは、ステンレスメッシュの他、例えば、セラミックス・ガラス・合成樹脂・金属(特にステンレス)等の繊維・フィラメント・ストランド等から製織又は製編等されたワイヤーラス等や不織布、あるいはパンチングメタル、メタルラス等の各種のものを使用できる。要するに、網目12等の多数の孔を有していればよい。この孔の形状は特に限定されるものではなく、矩形状や円状等の適宜の形状とすることができる。
【0053】
このように構成される防蟻シート10は、図1及び図2に示すように、外周立上がり部3の上端と防蟻性板部材4の上端とにまたがって被覆される。この防蟻シート10を取付けるには、外周立上がり部3の上端及び防蟻性板部材4の上端の形状に合わせて防蟻シート10を所定の長さにカットする。そして、この防蟻シート10を防蟻性板部材4の角に合わせて折曲又は成形等した状態で、モルタルに適宜のポリマー等を配合した接着モルタルを塗布することによって外周立上がり部3及び防蟻性板部材4に接着等すればよい。このような接着モルタルによる接着の前には、例えば釘、止めワッシャ付き釘、ステープル等の止着部材で止着しておくのが好ましく、特に、防蟻性板部材4の屋外側の角の形状に合わせて整形され防蟻シート10に設けられた網目12に挿入できる針を複数備えた樹脂材がより好ましい。
【0054】
なお、この防蟻シート10は、外周立上がり部3の全周に亘って、外周立上がり部3の上端と防蟻性板部材4の上端とにまたがって被覆されると、外周立上がり部3と防蟻性板部材4との間からシロアリが建物内部に侵入することを確実に防止できるものであるが、例えば外周立上がり部3と防蟻性板部材4とがシロアリが侵入できない程度に密接に固定されている場合には、相互に隣り合う防蟻性板部材4同士の継ぎ目を覆う部分にのみ、外周立上がり部3の上端と防蟻性板部材4の上端とにまたがって防蟻シートを被覆するものであってもよい。このように構成すると防蟻シートの使用量を減らすことができる。
【0055】
このように、外周立上がり部3の上端と防蟻性板部材4の上端とに亘って防蟻シート10を被覆するので、外周立上がり部3と防蟻性板部材4との間隙をシロアリが通ったとしても、その上端で防蟻シート10が障害となってシロアリが建物内に侵入することを阻止することができる。そのため、建物内の環境を汚染することなく軸組や床組等をシロアリによる食害から確実に保護できるという利点がある。
【0056】
ここで、前記耐腐食性材料からなる防蟻シート10を使用した場合は、シロアリによって食い破られるおそれがないので、シロアリの床下空間6への侵入をより確実に阻止できるという利点がある。また、防蟻シート10としてメッシュシートを使用した場合でも、網目12等の孔の直線寸法をいずれの方向においてもシロアリの頭部横断面の最大直線寸法より小さく形成することで、シロアリがメッシュシートを通り抜けることを防止できる。また、メッシュシートは多数の孔を有しているので、接着モルタルによる接着等の際にアンカー効果によってより強固に取付けできるという利点がある。
【0057】
なお、このように防蟻シート10として用いられるメッシュシートの網目12の寸法は、イエシロアリの職蟻で1.1〜1.25mm程度、ヤマトシロアリの職蟻で1.0〜1.2mm程度であるので、ヤマトシロアリが生息する地域では、孔の直線寸法をいずれの方向においても1.0mm程度以下としておくのが望ましい。また、接着モルタルに含まれる細骨材としては、シロアリが噛み砕くことができない砂等が挙げられるが、塗布した接着モルタルがいずれの部分においてもシロアリによって食い破られないように、孔を通過する大きさのものを使用すると共に、互いの間隔が1.0mmより小さくなるように配合するのが望ましい。
【0058】
また、外周立上がり部3及びこの外周立上がり部3の屋外側面に固定される防蟻性板部材4には建物内部への給排水を行う配管14が貫通しており、この配管14を通して建物内部への給水や建物内部からの排水を行う。この外周立上がり部3の貫通孔及び防蟻性板部材4の貫通孔と配管14の外周面との間に間隙ができると、そこを通過してシロアリが建物内に侵入する虞が生じる。そこで、この配管14と外周立上がり部3との間隙から建物内部にシロアリが侵入することを防ぐために、配管用防蟻シート15を用いる。
【0059】
この配管用防蟻シート15は、図5に示すようにハット形であり、上述の防蟻シート10と同様のステンレスメッシュシート、防蟻剤を練り込んだ合成樹脂シート、防蟻剤を塗布したガラス繊維シート、耐腐食性材料からなる金属製や合成樹脂製等のシート材等の防蟻性を有する各種のシート材を配管14の外周に外挿される大きさの円筒形に加工して筒部16を形成し、更に一端側に上述と同様の防蟻材料で形成されて広がる鍔部17を形成したものである。
【0060】
この配管用防蟻シート15を取り付けるときには、図6に示すように、この配管用防蟻シート15の筒部16を屋内側に突出している配管14に外挿して、その鍔部17を外周立上がり部3の貫通した周辺の屋内側面に当接させる。そして、配管用防蟻シート15を接着モルタル等の接着剤で配管14の外周面及び外周立上がり部3の貫通した周辺の屋内側面に接着する。このようにすると、シロアリが防蟻性板部材4及び外周立上がり部3の貫通孔と、配管14の外周面との間隙を通過して建物内部に侵入しようとしても、この配管用防蟻シート15に阻止されるので、シロアリが建物内部に侵入することを防ぐことができる。
【0061】
次に、以上のように構成される第1の実施形態に係る建物の防蟻構造1を施工する第1の基礎防蟻工法について図7から図12を参照しつつ説明する。
【0062】
第1の基礎防蟻工法は、図7に示すように、まず地面から一定深さの溝を掘り、地盤改良等を行って整地した上で割栗石9を敷き詰め、さらにその上から捨てコンクリート8を流し入れる。そして、建物の外周を囲うように外周型枠18を設置するとともに、その内側に図示しない鉄筋を配置する。そして外周型枠18の屋内側の面に防蟻性板部材4を隙間なく固定する。その後、図8に示すように、外周型枠18に囲まれた内部にコンクリートを打設して、基礎スラブ6を形成する。
【0063】
そして次に、図9に示すように、基礎スラブ6上に外周型枠18と平行に屋内側型枠19を設置するとともに、必要に応じて柱状又は縦横に延びる立上がり部用型枠20を設置する。そして、図10に示すように、外周型枠18と屋内側型枠19の間及び立上がり部用型枠20の内部にコンクリートを打設する。そして、所定時間養生して、基礎スラブ6、外周立上がり部3、及び立上がり部7からなるベタ基礎2を形成する。
【0064】
そして、外周型枠18を取り外してから完成したベタ基礎2の外周を埋め戻し、図11及び図12に示すように、外周立上がり部3の上端と防蟻性板部材4の上端とに架かるように防蟻シート10の一端を外周立上がり部3の上端に配置して、
例えば図示しないが釘、止めワッシャ付き釘、ステープル等の止着部材で仮止し、防蟻シート10の他端を防蟻性板部材4の屋外側面に垂れ下がるように配置する。そして、接着モルタルをその上面から塗布する等して、防蟻シート10を防蟻性板部材4に固定する。
【0065】
〔第2の実施形態〕
次に第2の実施形態に係る建物の防蟻構造1及び建物の基礎防蟻工法について、図13から図15を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と同様に構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
第2の実施形態に係る建物の防蟻構造1は、第1の実施形態と同様に、例えばベタ基礎2における外周立上がり部3の屋外側面に防蟻性板部材4を取付けた建物において用いられるものであり、外周立上がり部3の上端面と防蟻性板部材4の上端面とにまたがってシロアリが通過できない防蟻シート10が取付けられている。この防蟻シート10は図13及び図14に示すように、屋内側の端部が外周立上がり部3の上端面から下方に折曲して外周立上がり部3の内部に埋め込まれ、その下端で水平方向に突出する垂下部21aを形成しており、防蟻シート10の屋外側の端部は防蟻性板部材4の外側面に当接して垂れ下がって形成されている。この防蟻シート10の垂下部21aは下方に垂れ下がるとともに、その下端で水平方向に突出し、更に上方に向けて折り返されるとともに、下方に折り返された後、その先端が水平方向に折曲されており、この防蟻シート10の垂下部21aは外周立上がり部3の内部に埋め込まれている。
【0067】
このように防蟻シート10の屋内側の端部に複雑な形状の垂下部21aが形成され、外周立上がり部3の内部に埋め込まれることで、防蟻シート10の端部は強固に外周立上がり部3に固定されることになり、よりいっそう確実にシロアリが建物の内部に侵入することを防ぐことができる。また、この垂下部21aは、図15(A)に示すように、コンクリートを打設して垂下部21aを外周立ち上がり部3に埋め込む際にコンクリートの重みによって折曲箇所が下方に向かって展開したような場合でも、図15(B)に示すように、その先端が上方に向けて突出する形状であり、そのアンカー効果により強固に外周立ち上がり部3に固定される。
【0068】
以上のように構成される第2の実施形態に係る建物の防蟻構造1を施工する第2の基礎防蟻工法について図16及び図17を参照しつつ説明する。この第2の基礎防蟻工法においては、第1の基礎防蟻工法と同様に、まず地面から一定深さの溝を掘り、地盤改良等を行って整地した上で割栗石9を敷き詰め、さらにその上から捨てコンクリート8を流し入れる。そして、建物の外周を囲うように外周型枠18を設置するとともに、その内側に図示しない鉄筋を配置する。そして外周型枠18の屋内側の面に防蟻性板部材4を隙間なく固定する。その後、外周型枠18に囲まれた内部にコンクリートを打設して、基礎スラブ6を形成する。
【0069】
そして次に、図16に示すように、防蟻性板部材4の上端に防蟻シート10を固定する。このとき、防蟻シート10の屋外側の端部は、折曲して防蟻性板部材4の屋外側面に当接し、防蟻シート10の屋内側の端部は防蟻性板部材4の上端から屋内側にやや間隔を開けて下方に折曲して、その下端で水平方向に突出し、更に上方に向けて折り返されるとともに、その先端が水平方向に折曲されて垂下部21aを形成している。そして次に、図17に示すように、基礎スラブ6上に外周型枠18と平行に屋内側型枠19を設置する。なお、図示しないがこのとき、第1の基礎防蟻工法と同様に、必要に応じて柱状又は縦横に延びる立上がり部用型枠20を設置する。そして、外周型枠18と屋内側型枠19の間及び立上がり部用型枠20の内部にコンクリートを打設する。このようにして、防蟻シート10の垂下部21aを外周立上がり部3内に埋め込み、所定時間養生して、基礎スラブ6、外周立上がり部3、及び立上がり部7からなるベタ基礎2を形成するとともに、防蟻シート10の垂下部21aを外周立上がり部3に固定することで、防蟻性板部材4を外周立上がり部3に固定する。
【0070】
このように垂下部21aは単に下方に垂れ下がって外周立上がり部3に埋め込まれるのではなく、下端から水平方向に突出する部分を設けているので、そのアンカー効果により外周立上がり部3を打設養生した後に上向きの荷重が加わっても防蟻シート10が外周立上がり部3から抜けることが無い。また、垂下部21aの下端は単に水平方向に突出するだけでなく、更に上方に向けて折り返されるとともに、その先端が水平方向に折曲されているので、打設するコンクリートの重みにより垂下部21aの下端が下方にやや展開されたとしても、防蟻シート10はアンカー効果を失うことなく強固に外周立上がり部3に固定される。
【0071】
〔第3の実施形態〕
次に第3の実施形態に係る建物の防蟻構造1及び基礎防蟻工法について、図18を参照しつつ説明する。なお第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態の建物の防蟻構造1は、基礎の外周立上がり部3と、外周立上がり部3の屋外側に隣接して設けられる付帯設備22との間に防蟻性板部材4を収納する建物において用いられるものである。そして、少なくとも付帯設備22の上面と防蟻性板部材4とに架かるように防蟻シート10が固定されており、付帯設備22と防蟻性板部材4との間隙を通過するシロアリが建物内部に侵入することを防ぐことができる。具体的には、防蟻シート10は、付帯設備22の上面と防蟻性板部材4の屋外側の面とに当接するように配置され、例えば接着モルタルなどで固定されている。この実施形態における防蟻シート10の中間部には、付帯設備22の上面及び防蟻性板部材4のいずれにも固定されずに折り曲がって形成されるあそび部分23を有しており、例えば地震や地盤沈下などによる多少の地盤変動があったような場合でも、その変動をこのあそび部分23が吸収することで、防蟻シート10の防蟻性能を維持することができる。
【0072】
ここで、付帯設備22とは、例えば玄関ポーチの床などのように建物から分離して設けられる構造物であり、コンクリート、石材、レンガ、タイル等により構成されている。この付帯設備22としては、シロアリが侵食することができない強度を有するものか、またはシロアリに侵食されないように防蟻剤を含浸させたものであることが好ましい。
【0073】
なお、本実施形態においては、付帯設備22はその上端が外周立上がり部8及び防蟻性板部材4の上端よりもやや下方に位置するように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば図19に示すように、付帯設備22の上端と外周立上がり部8及び防蟻性板部材4の上端とが同一平面状に形成されるものであってもよく、また、付帯設備22の上端側がやや上方に位置するように形成されていてもよい。更にまた、少なくとも防蟻シート10は付帯設備22の上端から防蟻性板部材4にまたがって被覆することで、付帯設備22と防蟻性板部材4との間隙を通過してシロアリが建物内部に侵入することを防止できるが、防蟻シート10が更に外周立上がり部8の上端にまで設けられたものであってもよい。
【0074】
このような第3の実施形態に係る建物の防蟻構造1を施工する第3の基礎防蟻工法は、第1の基礎防蟻工法と同様に、まず地面から一定深さの溝を掘り、地盤改良等を行って整地した上で割栗石9を敷き詰め、さらにその上から捨てコンクリート8を流し入れる。そして、建物の外周を囲うように外周型枠18を設置するとともに、その内側に図示しない鉄筋を配置する。そして外周型枠18の屋内側の面に防蟻性板部材4を隙間なく固定する。その後、外周型枠18に囲まれた内部にコンクリートを打設して、基礎スラブ6を形成する。
【0075】
その後、基礎スラブ6上に外周型枠18と平行に屋内側型枠19を設置するとともに、必要に応じて柱状又は縦横に延びる立上がり部用型枠20を設置する。そして、外周型枠18と屋内側型枠19の間及び立上がり部用型枠20の内部にコンクリートを打設する。そして、所定時間養生して各型枠18、19、20を取り外して、基礎スラブ6、外周立上がり部3、及び立上がり部7からなるベタ基礎2を形成する。
【0076】
そして、次に、外周立上がり部8の外側の所望の位置に付帯設備用型枠24を設置し、この付帯設備用型枠24にコンクリートを打設養生して付帯設備22を形成し、この付帯設備22の上面と防蟻性板部材4とに、防蟻シート10を被覆して、接着モルタルをその上面から塗布する等して、防蟻シート10を防蟻性板部材4に固定する。
【0077】
〔第4の実施形態〕
次に第4の実施形態に係る建物の防蟻構造1及び建物の基礎防蟻工法について、図20から図23を参照しつつ説明する。なお第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。第4の実施形態に係る建物の防蟻構造1は、第3の実施形態に係る建物の防蟻構造1と同様に、基礎の外周立上がり部8と、外周立上がり部8の屋外側に隣接して設けられる付帯設備22との間に防蟻性板部材4を収納する建物において用いられるものである。そして、付帯設備22の上面から防蟻性板部材4の上端を通過して外周立上がり部8の上端にまで防蟻シート10が固定されている。この実施形態においては付帯設備22はコンクリートを打設することによって形成されている。防蟻シート10の両端は、垂れ下がる垂下部21a、21bを形成している。屋外側の垂下部21bは付帯設備22に埋設されており、屋内側の垂下部21aは外周立上がり部8に埋設されている。
【0078】
このようにして付帯設備22及び外周立上がり部に埋設される垂下部21a、21bは、下方に垂れ下がるとともに水平方向に突出し、更に上方に向けて折り返されるとともにその先端が水平方向に折曲されている。このように形成されることで、防蟻シート10の両端は付帯設備22及び外周立上がり部8に強固に固定されるので、付帯設備22と防蟻性板部材4との間隙及び防蟻性板部材4と外周立上がり部8との間隙を通過したシロアリが建物内部に侵入することを防止できる。
【0079】
このように構成される建物の防蟻構造1を施工する第4の基礎防蟻工法は、第1の基礎防蟻工法と同様に、まず地表から一定深度で掘り返し、地盤改良等を行って整地した上で割栗石9を敷き詰め、さらにその上から捨てコンクリート8を流し入れる。そして、建物の外周を囲うように外周型枠18を設置するとともに、その内側に図示しない鉄筋を配置する。そして外周型枠18の屋内側の面に防蟻性板部材4を隙間なく固定する。その後、外周型枠18に囲まれた内部にコンクリートを打設して、基礎スラブ6を形成する。
【0080】
その後、基礎スラブ6上に外周型枠18と平行に屋内側型枠19を設置するとともに、必要に応じて柱状又は縦横に延びる立上がり部用型枠20を設置する。そして、図21に示すように防蟻性板部材4の上端に防蟻シート10の中間部を固定させつつ、防蟻シート10の一端側に形成された垂下部21aを、外周型枠18の内側に垂れ下げる。そして、外周型枠18と屋内側型枠19の間にコンクリートを打設することにより、外周立上がり部3を形成するとともに、防蟻シート10の一端側の垂下部21aを外周立上がり部8に埋設する。そして、所定時間養生して各型枠18、19、20を取り外して、基礎スラブ6、外周立上がり部3、及び立上がり部7からなるベタ基礎2を形成する。
【0081】
そして、次に、図22に示すように、外周立上がり部8の外側の所望の位置に付帯設備用型枠24を設置し、この付帯設備用型枠24の内側に防蟻シート10の他端側に形成された垂下部21bが垂れ下がるように形成する。そして、図23に示すように、付帯設備用型枠24にコンクリートを打設養生して付帯設備22を形成するとともに、垂下部21bを付帯設備22の内部に埋設する。その後、付帯設備用型枠24を取り外して、付帯設備22の一部を埋め戻し基礎工事を完了する。
【0082】
以上のように防蟻シート10の一端は外周立上がり部8に埋設され、防蟻シート10の他端は付帯設備22に埋設されるので、防蟻シート10が確実に固定されシロアリの通過を確実に阻止できる。埋設される垂下部21a、21bは前述のように、下方に垂れ下がるとともに水平方向に突出し、更に上方に向けて折り返されるとともにその先端が水平方向に折曲されているので、より強いアンカー効果を発揮し、より強固に固定される。
【0083】
なお、本発明の実施の形態は、本実施形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明に係る建物の防蟻構造1及び基礎防蟻工法は、例えば外断熱工法を用いる住宅等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1の実施形態に係る建物の防蟻構造の全体構成を示す図。
【図2】第1の実施形態に係る建物の防蟻構造を示す一部省略断面図。
【図3】第1の実施形態に係る建物の防蟻構造であって、建物の基礎が布基礎である例を示す図。
【図4】防蟻シートの一例としてのステンレスメッシュを説明する図。
【図5】配管用防蟻シートの構成を説明する図。
【図6】外周立上がり部を貫通する配管に配管用防蟻シートを取付けた例を示す図。
【図7】第1の基礎防蟻工法を説明する図であって、外周型枠を設置した状態を説明する図。
【図8】第1の基礎防蟻工法を説明する図であって、基礎スラブを形成した状態を示す図。
【図9】第1の基礎防蟻工法を説明する図であって、屋内側型枠及び立上がり部用型枠を設置した状態を説明する図。
【図10】第1の基礎防蟻工法を説明する図であって、外周立上がり部及び立上がり部を形成した状態を説明する図。
【図11】第1の基礎防蟻工法を説明する図であって、防蟻シートを取付ける状態を説明する図。
【図12】第1の基礎防蟻工法において、建物の防蟻構造が完成した状態を説明する図。
【図13】第2の実施形態に係る建物の防蟻構造の構成を示す図。
【図14】図13のA部分を拡大した一部省略拡大図。
【図15】図13のA部分にコンクリートを打設する状態を説明する図。
【図16】第2の基礎防蟻工法を説明する図であって、基礎スラブ上に屋内側型枠を設置した状態を説明する図。
【図17】第2の基礎防蟻工法を説明する図であって、外周立上がり部を打設して垂下部を埋設した状態を説明する図。
【図18】第3の実施形態に係る建物の防蟻構造を示す図。
【図19】第3の実施形態に係る建物の防蟻構造の変形例を示す図。
【図20】第4の実施形態に係る建物の防蟻構造を示す図。
【図21】第4の基礎防蟻工法を説明する図であって、外周立上がり部を打設して、防蟻シートの一端に形成された垂下部を埋設する状態を説明する図。
【図22】第4の基礎防蟻工法を説明する図であって、外周型枠及び屋内側型枠を取り外して、付帯設備用型枠を設置した状態を説明する図。
【図23】第4の基礎防蟻工法を説明する図であって、付帯設備を打設して防蟻シートの他端に形成された垂下部を埋設する状態を説明する図。
【符号の説明】
【0086】
1 防蟻構造
3 外周立上がり部
4 防蟻性板部材
10 防蟻シート
15 配管用防蟻シート
16 筒部
17 鍔部
18 外周型枠(屋外側の外周立上がり部用の型枠)
19 屋内側型枠(屋内側の外周立上がり部用の型枠)
21a、21b 垂下部
22 付帯設備
24 付帯設備用型枠
【技術分野】
【0001】
本発明は、布基礎やベタ基礎などの基礎の外周立上がり部の屋外側からのシロアリの侵入を防ぐ建物の防蟻構造及び基礎防蟻工法に関し、詳しくは建物基礎の外周立上がり部と、この外周立上がり部の外側面に設けられる防蟻板部材との間からのシロアリの侵入を防ぐ建物の防蟻構造及び建物の基礎防蟻工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の建物におけるシロアリ防除技術としては、例えば、建物の床下の地面から1メートル程度の範囲の木材や建物の下の土壌に、シロアリを駆除できる薬剤を処理する方法やシロアリに少量の薬剤を含む毒餌を摂食させて根絶するベイト工法などの方法が知られている。しかし、上述の建物の床下に薬剤を処理する方法においては、建物内の環境が化学物質に汚染される点で問題がある。また、ベイト工法においては、コロニー全体の活力を衰退させることにあり、その開始から終了までに少なくとも数ヶ月から2年程度の長期間を要するという問題がある。
【0003】
そこで、上述の問題を解消するために、薬剤を使用せずにシロアリの侵入を物理的に阻止する工法が種々提案されている。このような工法としては、例えば、シロアリの分泌物に耐性を有し、且つ少なくともショアD70高度以上の耐腐食性材料で編まれた網み目シートからなり、この編み目の孔がいずれの方向においても侵入を阻止すべきシロアリの頭部横断面の最大寸法より小径である防蟻シートを、建物基礎に取付けて建物内にシロアリが侵入することを防ぐ防蟻方法が挙げられる(例えば特許文献1)。
【0004】
ところで、建物の布基礎やベタ基礎などの基礎の外周立上がり部の屋外側には、外装材や断熱材などの種々の板部材が固定されることが多い。そして板部材の内部にシロアリが侵入することを防ぐことができるように、これら板部材には防蟻性を有するものも種々提案されている。具体的には例えば、断熱材の原料に防蟻剤を加えて発泡及び硬化させて形成する防蟻断熱材(特許文献2参照)やシロアリに食侵されない硬度及び密度のポリカーボネート系樹脂発泡体からなる防蟻材(特許文献3参照)が提案されている。
【特許文献1】特許第2652902号公報
【特許文献2】特開2006−183267号公報
【特許文献3】特開平11−236736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のような防蟻板部材を建物の布基礎やベタ基礎などの基礎の外周立上がり部の屋外側に取付けた場合には、防蟻板部材自体はシロアリに食侵されないものの、防蟻板部材と基礎の外周立上がり部との間隙を通ってシロアリが建物内部に侵入する虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、建物基礎の外側面に外装材や断熱材などの防蟻性板部材を固定する場合に確実にシロアリの侵入を防ぐことができる建物の防蟻構造及び建物の防蟻工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の建物の防蟻構造は、建物基礎の外周立上がり部の屋外側面に防蟻性板部材を取付けた建物の防蟻構造であって、前記防蟻性板部材の上端面と、前記外周立上がり部の上端面と、にまたがって防蟻性シートで被覆することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の建物の防蟻構造は、前記外周立上がり部及び前記防蟻性板部材を貫通する配管の屋内側に突出する外周面を被覆する筒部と、該筒部の端部から広がって形成されて、前記外周立上がり部の屋内側面を被覆する鍔部とを有する配管用防蟻シートをさらに備えることを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載の建物の防蟻構造は、建物基礎の外周立上がり部と、該外周立上がり部の屋外側に隣接して設けられる付帯設備との間に防蟻性板部材を設置する建物の防蟻構造であって、少なくとも前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の上面とにまたがって、防蟻性シートで被覆することを特徴としている。
【0010】
請求項4に記載の建物の防蟻構造は、建物基礎の外周立上がり部と、該外周立上がり部の屋外側に隣接して設けられる付帯設備との間に防蟻性板部材を設置する建物の防蟻構造であって、少なくとも前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の前記付帯設備の上面より上方側における屋外側面とにまたがって、防蟻性シートで被覆することを特徴としている。
【0011】
請求項5に記載の建物の防蟻構造は、前記付帯設備の上面から前記防蟻性板部材の上端面を通って前記外周立上がり部の上端面までを、防蟻性シートで被覆することを特徴としている。
【0012】
請求項6に記載の建物の防蟻構造は、前記防蟻性シートは、少なくとも前記外周立上がり部側の端部が下方に折曲されてその下端で水平方向に突出する垂下部を形成するものであって、当該垂下部は、前記外周立上がり部に埋め込まれることを特徴としている。
【0013】
請求項7に記載の建物の防蟻構造は、前記防蟻性シートは、少なくとも前記付帯設備側の端部が下方に折曲されてその下端で水平方向に突出する垂下部を形成するものであって、当該垂下部は、前記付帯設備に埋め込まれることを特徴としている。
【0014】
請求項8に記載の建物の防蟻構造は、前記垂下部は、更に上方に折り返されるとともに、その先端が水平方向に折曲されることを特徴としている。
【0015】
請求項9に記載の建物の防蟻構造は、前記防蟻性板部材は、断熱性を有することを特徴としている。
【0016】
請求項10に記載の建物の防蟻構造は、前記防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であることを特徴としている。
【0017】
請求項11に記載の建物の基礎防蟻工法は、地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、該防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、次いで、前記型枠を取り外して、その後に、前記防蟻性板部材の上端面と、前記外周立上がり部の上端面と、にまたがって、防蟻性シートを被覆し固定することを特徴としている。
【0018】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記該防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、次いで、前記型枠を取り外してから、前記防蟻性板材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置し、その後この型枠と防蟻性板部材との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の上端面とにまたがって、防蟻性シートを被覆し固定することを特徴としている。
【0019】
請求項13に記載の建物の基礎防蟻工法は、地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記型枠の間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、その後、前記型枠を取り外してから、前記防蟻性板材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置し、その後この型枠と防蟻性板部材との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、前記付帯設備の上面から、前記防蟻性板部材の上端面を通って、及び前記外周立上がり部の上端面までを、防蟻性シートで被覆し固定することを特徴としている。
【0020】
請求項14に記載の建物の基礎防蟻工法は、地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、防蟻性シートの一端を該防蟻性板部材の上端面に固定しつつ他端を該防蟻性板部材と屋内側の外周立上がり部用の型枠との間に折曲して垂下部を形成し、次で、前記防蟻性板部材と前記屋内側の外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生してから前記型枠を取り外すことによって、基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性シートの前記垂下部を前記外周立上がり部内に埋め込み、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定することを特徴としている。
【0021】
請求項15に記載の建物の基礎防蟻工法は、地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、防蟻性シートの中間部を前記防蟻性板部材の上端に仮固定して、当該防蟻性シートの一端を前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間に折曲して立上がり部側の垂下部を形成し、次いで、前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成することにより、前記防蟻性シートの一端側に形成された前記立上がり部側垂下部を前記コンクリート内に埋め込むとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、次いで、前記防蟻性板部材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置するとともに、前記防蟻性シートの他端を前記防蟻性板部材と前記付帯設備用型枠との間に折曲して付帯設備側垂下部を形成し、次いで、前記防蟻性板部材と前記付帯設備用型枠との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成することにより、前記付帯設備側垂下部を前記付帯設備内に埋め込むことを特徴としている。
【0022】
請求項16に記載の建物の基礎防蟻工法は、前記防蟻性板部材は、断熱性を有することを特徴としている。
【0023】
請求項17に記載の建物の基礎防蟻工法は、前記防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
請求項1の発明によれば、建物の防蟻構造は、建物の基礎の外周立上がり部の屋外側に取付けられる板部材が防蟻性のものであるので、シロアリがこの防蟻性板部材を侵食することはできない。したがって、基礎の外周立上がり部と防蟻性板部材との上端面にまたがって防蟻シートを被覆することで、外周立上がり部と防蟻性板部材との間隙から侵入するシロアリの通過を防ぐことができるので、確実に建物基礎を防蟻できるとともに防蟻シートの使用量を少なくすることができる。
【0025】
請求項2の発明によれば、建物の防蟻構造は、基礎の立上がり部及び防蟻性板部材に貫通する配管の外周面に筒部が被覆するとともに、外周立上がり部の屋内側の面に鍔部が被覆するので、立上がり部の貫通孔と配管の外周面との間隙から建物内にシロアリが侵入することを防ぐことができる。
【0026】
請求項3の発明によれは、建物の防蟻構造は、建物の基礎に隣接して設けられる付帯設備の上面と防蟻性板部材の上面とにまたがって防蟻シートで被覆したので、この付帯設備と防蟻性板部材との間を通ってシロアリが建物内に侵入することを防ぐことができる。
【0027】
請求項4の発明によれは、建物の防蟻構造は、建物の基礎に隣接して設けられる付帯設備の上面と防蟻性板部材の屋外側面とにまたがって防蟻シートで被覆したので、この付帯設備と防蟻性板部材との間を通ってシロアリが建物内に侵入することを防ぐことができる。
【0028】
請求項5の発明によれば、建物の防蟻構造は、建物の基礎の外周立上がり部の上面と、この外周立上がり部に隣接して設けられる付帯設備の上面と、これら外周立上がり部及び付帯設備の間に収納される防蟻性板部材と、にまたがって、防蟻シートが被覆されているので、外周立上がり部と防蟻性板部材との間隙、及び付帯設備と防蟻性板部材との間隙のどちらの間隙を通ってシロアリが建物内部に侵入することも防ぐことができる。
【0029】
請求項6の発明によれば、防蟻シートは、外周立上がり部側の端部が少なくとも下方に折曲された垂下部を形成しており、この垂下部は、外周立上がり部に埋め込まれるので、垂下部のアンカー効果により防蟻シートをより確実に外周立上がり部の端部に固定することができ、シロアリの侵入をより確実に防ぐことができる。
【0030】
請求項7の発明によれば、防蟻シートは、付帯設備側の端部が少なくとも下方に折曲された垂下部を形成するものであって、この垂下部は、付帯設備に埋め込まれるので、請求項5の垂下部と同様にアンカー効果により防蟻シートをより確実に付帯設備に固定することができ、シロアリの侵入をより確実に防ぐことができる。
【0031】
請求項8の発明によれば、下方に折曲された垂下部は上方に折り返され、更に水平方向に折曲されるので、垂下部のアンカー効果をより高めることができ、防蟻シートをより確実に外周立上がり部又は付帯設備に固定することができる。さらに、垂下部を上述のような形状とすることで、コンクリートを打設して外周立上がり部又は付帯設備を形成する際に、垂下部の上方に折り返された部分が上方から注入されたコンクリートの重みによりよりやや展開したような場合でも、更に水平方向に折曲されていることで、アンカー効果を失わず確実に固定することができる。
【0032】
請求項9の発明によれば、防蟻性板部材は、断熱性を有するものであるので、外断熱工法に適用することができる。
【0033】
請求項10の発明によれば、防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であるので、例えば接着モルタル等により接着する場合にアンカー効果によってより強固に固定することができ、また、コンクリートに埋設する場合にもアンカー効果によってより強固に固定することができる。
【0034】
請求項11の発明の建物の基礎防蟻工法によると、外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、当該防蟻性板部材と前記外周立上がり部用型枠のうち、屋内側の型枠との間にコンクリートを打設養生することで、基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定するので、防蟻性板部材の表面の細かな凹凸にまでコンクリートが入り込むことで、防蟻性板部材と外周立上がり部との間にシロアリが通過可能な間隙ができにくい。そして、型枠を取り外して、外周立上がり部の上端面と、防蟻性板部材の上端面とに亘って、シロアリの通過を防ぐ防蟻シートを被覆するので、更に確実にシロアリが建物内に侵入することを防ぐことができる。
【0035】
請求項12の発明の建物の基礎防蟻工法によると、外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記型枠の間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定するので、請求項11と同様に、防蟻性板部材の表面の細かな凹凸にまでコンクリートが入り込むことで、防蟻性板部材と外周立上がり部との間にシロアリが通過可能な間隙ができにくい。そして、前記外周立上がり部の外側に付帯設備用型枠を設置し、コンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材とを、防蟻シートで被覆するので、防蟻性板部材と付帯設備との間隙からシロアリが建物内に侵入することも防ぐことができる。
【0036】
請求項13の発明の建物の基礎防蟻工法によると、外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記防蟻性板部材と前記外周立上がり部用の型枠のうち屋内側の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定するので、請求項11及び請求項12の防蟻性工法と同様に、防蟻性板部材の表面の細かな凹凸にまでコンクリートが入り込むことで、防蟻性板部材と外周立上がり部との間にシロアリが通過可能な間隙ができにくい。そして、前記防蟻性板部材の外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用型枠を設置し、コンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材とを、防蟻シートで被覆するので、防蟻性板部材と付帯設備との間隙からシロアリが建物内に侵入することも防ぐことができる。
【0037】
請求項14の発明の建物の基礎防蟻工法によると、外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、防蟻シートの一端を該防蟻性板部材の上端面に固定しつつ他端を前記型枠の間に折曲して形成し、垂下部を次で、前記防蟻性板部材と屋内側の外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻シートの前記垂下部を前記外周立上がり部内に埋め込み、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定するので、防蟻性板部材の表面の細かな凹凸にまでコンクリートが入り込むことで、防蟻性板部材と外周立上がり部との間にシロアリが通過可能な間隙ができにくいとともに、防蟻シートの垂下部が外周立上がり部に埋め込まれるので、より確実に防蟻シートを外周立上がり部に固定することができ、シロアリの通過をより確実に防ぐことができる。
【0038】
請求項15の発明の建物の基礎防蟻工法によると、外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、防蟻シートの一端を前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間に折曲して立上がり部側垂下部を形成し、次いで、前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻シート一端側に形成された前記立上がり部側垂下部を前記コンクリート内に埋め込み、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定しているので、請求項14と同様に確実に防蟻シートを外周立上がり部を固定することができ、より確実に建物へのシロアリの侵入を防ぐことができる。
【0039】
請求項16の発明の建物の基礎防蟻工法によると、防蟻性板部材が断熱性を有しているので、外断熱工法に適用することができる。
【0040】
請求項17の発明の建物の基礎防蟻工法によると、防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であるので、例えば接着モルタル等により接着する場合にアンカー効果によってより強固に固定することができ、また、コンクリートに埋設する場合にもアンカー効果によってより強固に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
〔第1の実施形態〕
以下、図面を参照しつつ、本発明の建物の防蟻構造1及び基礎防蟻工法の第1の実施形態について説明する。建物の防蟻構造1は、図1及び図2に示すように、例えばベタ基礎2における外周立上がり部3の屋外側面に防蟻性板部材4を取付けた建物において用いられるものである。この外周立上がり部3の上端面と防蟻性板部材4の上端面とにまたがって、シロアリが通過できない防蟻シート10が取付けられており、外周立上がり部3と防蟻性板部材4との間隙を通過してシロアリが建物内部に侵入することを防ぐことができる。なお、本実施形態においては建物の基礎としてベタ基礎2を用いてた例を説明するが、例えば図3に示すように布基礎5を用いるものであっても良い。
【0042】
ベタ基礎2は、建物の床下全面的に設けられた基礎スラブ6と、この基礎スラブ6上の外周部分に立設される外周立上がり部3と、基礎スラブ6上に建物の設計上必要に応じて設けられる柱状又は縦横に延びる立上がり部7からなる。そして、この基礎スラブ6の下方には捨てコンクリート8や割栗石9が施工されている。なお、ベタ基礎2の縦断面形状等は特に限定されるものではなく、従来公知の各種の構成を採用できる。また、割栗石9と捨てコンクリート8の間、又は捨てコンクリート8と基礎スラブ2の間には、必要に応じて図示しない防湿シート等を敷設してもよい。
【0043】
この外周立上がり部3の屋外側面には、防蟻性板部材4が取り付けられる。防蟻性板部材4としては、例えばシロアリに侵食されない強度を有するポリカーボネート発泡体により形成されたものが挙げられる。このような防蟻性板部材4の厚さ、長さ、及び高さは施工性能、断熱性能、防蟻性能の観点から適宜選択できるものであり、例えばその高さは、外周立上がり部3と同じ高さとすることもできるが、本実施形態においては例えば、外周立上がり部3の高さのほぼ半分ほどの高さの防蟻性板部材4を用い、上下に2段重ねて取付けている。
【0044】
なお、防蟻性板部材4はこれに限定されるものではなく、クロルピリホス系、有機リン系やピレスロイド系などの防蟻剤を含有したグラスウール、ロックウール、などの繊維系断熱材、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、無機物高充填樹脂フォーム等のシロアリの侵食を防ぐことができ、且つ断熱性能を有する様々な板状部材を防蟻性板部材4として用いることができる。また、防蟻性板部材4は断熱材に限定されるものではなく、例えば硬質機材(例えば、タイル、セラミック板、あるいはセメント板、炭酸カルシウム板、珪酸カルシウム板、木片セメント板、炭酸マグネシウム板等、もしくはこれらにガラス繊維、ウィスカー、アラミド繊維、スチール繊維、炭素繊維、各種鉱物繊維、各種骨材等を混入したもの、等を押出成形、プレス成形、射出成形、抄造法、等によって成形した窯業系サイディング材、または各種繊維をクロス状、三次元状に織り、これにセメント、粘土等を含浸してパネル状に成形したものを乾燥、蒸気養生、焼成、等したもの)、さらには金属製パネル、金属製サイディング材(金属製表面材の裏面に合成樹脂発泡体等の芯材を積層した建材、金属製表面材と裏面材間に合成樹脂発泡体等の芯材をサンドイッチした建材、等)、合成樹脂板、プレキャストコンクリート材等の様々な防蟻性板部材4を用いることができる。
【0045】
以上のように、防蟻性板部材4が防蟻性を有するとともに断熱性を有する防蟻断熱材で構成されることで、例えば外断熱工法を適用する建物において、建物基礎部分の断熱材として本実施形態の建物の防蟻構造1を用いることができるものであるが、本実施形態の防蟻性板部材4は断熱性を有するものに限定されるものではなく、シロアリに侵食されない強度を有する基礎化粧材等の基礎の外周立上がり部3の外側面に取付けられる様々な防蟻性板部材4を用いることができる。
【0046】
また、防蟻性板部材4は、単一の材質からなるものに限定されるものではなく、例えば表面に防蟻性能を有する部材を設けた多層からなるものであってもよい。具体的にはポリカーボネート発泡板と、グラスウール、ロックウール、などの繊維系断熱材、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォーム、ポリウレタンフォーム、フェノール樹脂フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、無機物高充填樹脂フォームなどの発泡樹脂系断熱材を、接着剤等を用いて接着させた複合防蟻断熱材として用いることもできる。このようにすると高価なポリカーボネート発泡材料の使用量を減らした上で、従来通りの断熱性能を発揮することができる。
【0047】
また、防蟻性及び断熱性を有する各種の防蟻板部材4に防湿シートなどの防湿材、遮音材、吸音材、防振材、タイル、モルタル等などを複合することもできる。
【0048】
このような防蟻性板部材4を外周立上がり部3へ取付けるに際しては、外周立上がり部3の外側面と防蟻性板部材4とを例えば接着モルタルなどのシロアリに侵食されない接着剤を介して固定させることができる。防蟻性板部材4の接着方法としてはこれに限られるものではなく、例えばコンクリートを打設して外周立上がり部3を形成する前に、外周立上がり部を形成するために用いる型枠のうち屋外側に配置される型枠の内側面に防蟻性板部材を固定して、その後コンクリートを打設養生することで、防蟻性板部材を外周立上がり部に固定することもできる。
【0049】
ここで、シロアリとは、ゴキブリに近縁の社会生活をする不完全変態の昆虫であって、シロアリ目(等翅類)Isopteraの総称である。このシロアリは、非変形性の堅い頭部を有している。このようなシロアリとしては、例えば、ヤマトシロアリやイエシロアリ等の各種のものが挙げられる。
【0050】
また、防蟻シート10としては、例えば、「アリ断(商品名,フクビ化学工業株式会社製)」等の防蟻剤を練り込んだ合成樹脂シート、「シロアリシャッター(商品名,大日本木材防腐工業株式会社製)」等の防蟻剤を塗布したガラス繊維シート等の防蟻性を有する従来公知の各種のシート材や板材等が挙げられるが、シロアリから放出されるギ酸等の分泌物に耐性で、かつ、シロアリが噛み砕くことができない硬さである少なくとも約ショアD70硬度を有し、使用環境下で数十年の耐用年数を有する耐用性の耐腐食性材料からなるものが好ましい。
【0051】
上述のような防蟻シート10としては、例えば、前記耐腐食性材料からなる金属製や合成樹脂製等のシート材や板材等が挙げられるが、図4に示すように、ステンレス鋼ワイヤ11から製織され、いずれの方向においてもシロアリの頭部横断面の最大直線寸法より小さい直線寸法の多数の網目(孔)12を有するステンレスメッシュ〔例えば「ターミメッシュ(TERMI−MESH,商品名)」,ターミメッシュジャパン株式会社製〕等、柔軟性に優れ、かつ、切断、折曲による造形、折曲時の輪郭付け等が容易なメッシュシートが好適である。
【0052】
なお、シロアリバリアー材としてのメッシュシートは、ステンレスメッシュの他、例えば、セラミックス・ガラス・合成樹脂・金属(特にステンレス)等の繊維・フィラメント・ストランド等から製織又は製編等されたワイヤーラス等や不織布、あるいはパンチングメタル、メタルラス等の各種のものを使用できる。要するに、網目12等の多数の孔を有していればよい。この孔の形状は特に限定されるものではなく、矩形状や円状等の適宜の形状とすることができる。
【0053】
このように構成される防蟻シート10は、図1及び図2に示すように、外周立上がり部3の上端と防蟻性板部材4の上端とにまたがって被覆される。この防蟻シート10を取付けるには、外周立上がり部3の上端及び防蟻性板部材4の上端の形状に合わせて防蟻シート10を所定の長さにカットする。そして、この防蟻シート10を防蟻性板部材4の角に合わせて折曲又は成形等した状態で、モルタルに適宜のポリマー等を配合した接着モルタルを塗布することによって外周立上がり部3及び防蟻性板部材4に接着等すればよい。このような接着モルタルによる接着の前には、例えば釘、止めワッシャ付き釘、ステープル等の止着部材で止着しておくのが好ましく、特に、防蟻性板部材4の屋外側の角の形状に合わせて整形され防蟻シート10に設けられた網目12に挿入できる針を複数備えた樹脂材がより好ましい。
【0054】
なお、この防蟻シート10は、外周立上がり部3の全周に亘って、外周立上がり部3の上端と防蟻性板部材4の上端とにまたがって被覆されると、外周立上がり部3と防蟻性板部材4との間からシロアリが建物内部に侵入することを確実に防止できるものであるが、例えば外周立上がり部3と防蟻性板部材4とがシロアリが侵入できない程度に密接に固定されている場合には、相互に隣り合う防蟻性板部材4同士の継ぎ目を覆う部分にのみ、外周立上がり部3の上端と防蟻性板部材4の上端とにまたがって防蟻シートを被覆するものであってもよい。このように構成すると防蟻シートの使用量を減らすことができる。
【0055】
このように、外周立上がり部3の上端と防蟻性板部材4の上端とに亘って防蟻シート10を被覆するので、外周立上がり部3と防蟻性板部材4との間隙をシロアリが通ったとしても、その上端で防蟻シート10が障害となってシロアリが建物内に侵入することを阻止することができる。そのため、建物内の環境を汚染することなく軸組や床組等をシロアリによる食害から確実に保護できるという利点がある。
【0056】
ここで、前記耐腐食性材料からなる防蟻シート10を使用した場合は、シロアリによって食い破られるおそれがないので、シロアリの床下空間6への侵入をより確実に阻止できるという利点がある。また、防蟻シート10としてメッシュシートを使用した場合でも、網目12等の孔の直線寸法をいずれの方向においてもシロアリの頭部横断面の最大直線寸法より小さく形成することで、シロアリがメッシュシートを通り抜けることを防止できる。また、メッシュシートは多数の孔を有しているので、接着モルタルによる接着等の際にアンカー効果によってより強固に取付けできるという利点がある。
【0057】
なお、このように防蟻シート10として用いられるメッシュシートの網目12の寸法は、イエシロアリの職蟻で1.1〜1.25mm程度、ヤマトシロアリの職蟻で1.0〜1.2mm程度であるので、ヤマトシロアリが生息する地域では、孔の直線寸法をいずれの方向においても1.0mm程度以下としておくのが望ましい。また、接着モルタルに含まれる細骨材としては、シロアリが噛み砕くことができない砂等が挙げられるが、塗布した接着モルタルがいずれの部分においてもシロアリによって食い破られないように、孔を通過する大きさのものを使用すると共に、互いの間隔が1.0mmより小さくなるように配合するのが望ましい。
【0058】
また、外周立上がり部3及びこの外周立上がり部3の屋外側面に固定される防蟻性板部材4には建物内部への給排水を行う配管14が貫通しており、この配管14を通して建物内部への給水や建物内部からの排水を行う。この外周立上がり部3の貫通孔及び防蟻性板部材4の貫通孔と配管14の外周面との間に間隙ができると、そこを通過してシロアリが建物内に侵入する虞が生じる。そこで、この配管14と外周立上がり部3との間隙から建物内部にシロアリが侵入することを防ぐために、配管用防蟻シート15を用いる。
【0059】
この配管用防蟻シート15は、図5に示すようにハット形であり、上述の防蟻シート10と同様のステンレスメッシュシート、防蟻剤を練り込んだ合成樹脂シート、防蟻剤を塗布したガラス繊維シート、耐腐食性材料からなる金属製や合成樹脂製等のシート材等の防蟻性を有する各種のシート材を配管14の外周に外挿される大きさの円筒形に加工して筒部16を形成し、更に一端側に上述と同様の防蟻材料で形成されて広がる鍔部17を形成したものである。
【0060】
この配管用防蟻シート15を取り付けるときには、図6に示すように、この配管用防蟻シート15の筒部16を屋内側に突出している配管14に外挿して、その鍔部17を外周立上がり部3の貫通した周辺の屋内側面に当接させる。そして、配管用防蟻シート15を接着モルタル等の接着剤で配管14の外周面及び外周立上がり部3の貫通した周辺の屋内側面に接着する。このようにすると、シロアリが防蟻性板部材4及び外周立上がり部3の貫通孔と、配管14の外周面との間隙を通過して建物内部に侵入しようとしても、この配管用防蟻シート15に阻止されるので、シロアリが建物内部に侵入することを防ぐことができる。
【0061】
次に、以上のように構成される第1の実施形態に係る建物の防蟻構造1を施工する第1の基礎防蟻工法について図7から図12を参照しつつ説明する。
【0062】
第1の基礎防蟻工法は、図7に示すように、まず地面から一定深さの溝を掘り、地盤改良等を行って整地した上で割栗石9を敷き詰め、さらにその上から捨てコンクリート8を流し入れる。そして、建物の外周を囲うように外周型枠18を設置するとともに、その内側に図示しない鉄筋を配置する。そして外周型枠18の屋内側の面に防蟻性板部材4を隙間なく固定する。その後、図8に示すように、外周型枠18に囲まれた内部にコンクリートを打設して、基礎スラブ6を形成する。
【0063】
そして次に、図9に示すように、基礎スラブ6上に外周型枠18と平行に屋内側型枠19を設置するとともに、必要に応じて柱状又は縦横に延びる立上がり部用型枠20を設置する。そして、図10に示すように、外周型枠18と屋内側型枠19の間及び立上がり部用型枠20の内部にコンクリートを打設する。そして、所定時間養生して、基礎スラブ6、外周立上がり部3、及び立上がり部7からなるベタ基礎2を形成する。
【0064】
そして、外周型枠18を取り外してから完成したベタ基礎2の外周を埋め戻し、図11及び図12に示すように、外周立上がり部3の上端と防蟻性板部材4の上端とに架かるように防蟻シート10の一端を外周立上がり部3の上端に配置して、
例えば図示しないが釘、止めワッシャ付き釘、ステープル等の止着部材で仮止し、防蟻シート10の他端を防蟻性板部材4の屋外側面に垂れ下がるように配置する。そして、接着モルタルをその上面から塗布する等して、防蟻シート10を防蟻性板部材4に固定する。
【0065】
〔第2の実施形態〕
次に第2の実施形態に係る建物の防蟻構造1及び建物の基礎防蟻工法について、図13から図15を参照しつつ説明する。なお、第1の実施形態と同様に構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
第2の実施形態に係る建物の防蟻構造1は、第1の実施形態と同様に、例えばベタ基礎2における外周立上がり部3の屋外側面に防蟻性板部材4を取付けた建物において用いられるものであり、外周立上がり部3の上端面と防蟻性板部材4の上端面とにまたがってシロアリが通過できない防蟻シート10が取付けられている。この防蟻シート10は図13及び図14に示すように、屋内側の端部が外周立上がり部3の上端面から下方に折曲して外周立上がり部3の内部に埋め込まれ、その下端で水平方向に突出する垂下部21aを形成しており、防蟻シート10の屋外側の端部は防蟻性板部材4の外側面に当接して垂れ下がって形成されている。この防蟻シート10の垂下部21aは下方に垂れ下がるとともに、その下端で水平方向に突出し、更に上方に向けて折り返されるとともに、下方に折り返された後、その先端が水平方向に折曲されており、この防蟻シート10の垂下部21aは外周立上がり部3の内部に埋め込まれている。
【0067】
このように防蟻シート10の屋内側の端部に複雑な形状の垂下部21aが形成され、外周立上がり部3の内部に埋め込まれることで、防蟻シート10の端部は強固に外周立上がり部3に固定されることになり、よりいっそう確実にシロアリが建物の内部に侵入することを防ぐことができる。また、この垂下部21aは、図15(A)に示すように、コンクリートを打設して垂下部21aを外周立ち上がり部3に埋め込む際にコンクリートの重みによって折曲箇所が下方に向かって展開したような場合でも、図15(B)に示すように、その先端が上方に向けて突出する形状であり、そのアンカー効果により強固に外周立ち上がり部3に固定される。
【0068】
以上のように構成される第2の実施形態に係る建物の防蟻構造1を施工する第2の基礎防蟻工法について図16及び図17を参照しつつ説明する。この第2の基礎防蟻工法においては、第1の基礎防蟻工法と同様に、まず地面から一定深さの溝を掘り、地盤改良等を行って整地した上で割栗石9を敷き詰め、さらにその上から捨てコンクリート8を流し入れる。そして、建物の外周を囲うように外周型枠18を設置するとともに、その内側に図示しない鉄筋を配置する。そして外周型枠18の屋内側の面に防蟻性板部材4を隙間なく固定する。その後、外周型枠18に囲まれた内部にコンクリートを打設して、基礎スラブ6を形成する。
【0069】
そして次に、図16に示すように、防蟻性板部材4の上端に防蟻シート10を固定する。このとき、防蟻シート10の屋外側の端部は、折曲して防蟻性板部材4の屋外側面に当接し、防蟻シート10の屋内側の端部は防蟻性板部材4の上端から屋内側にやや間隔を開けて下方に折曲して、その下端で水平方向に突出し、更に上方に向けて折り返されるとともに、その先端が水平方向に折曲されて垂下部21aを形成している。そして次に、図17に示すように、基礎スラブ6上に外周型枠18と平行に屋内側型枠19を設置する。なお、図示しないがこのとき、第1の基礎防蟻工法と同様に、必要に応じて柱状又は縦横に延びる立上がり部用型枠20を設置する。そして、外周型枠18と屋内側型枠19の間及び立上がり部用型枠20の内部にコンクリートを打設する。このようにして、防蟻シート10の垂下部21aを外周立上がり部3内に埋め込み、所定時間養生して、基礎スラブ6、外周立上がり部3、及び立上がり部7からなるベタ基礎2を形成するとともに、防蟻シート10の垂下部21aを外周立上がり部3に固定することで、防蟻性板部材4を外周立上がり部3に固定する。
【0070】
このように垂下部21aは単に下方に垂れ下がって外周立上がり部3に埋め込まれるのではなく、下端から水平方向に突出する部分を設けているので、そのアンカー効果により外周立上がり部3を打設養生した後に上向きの荷重が加わっても防蟻シート10が外周立上がり部3から抜けることが無い。また、垂下部21aの下端は単に水平方向に突出するだけでなく、更に上方に向けて折り返されるとともに、その先端が水平方向に折曲されているので、打設するコンクリートの重みにより垂下部21aの下端が下方にやや展開されたとしても、防蟻シート10はアンカー効果を失うことなく強固に外周立上がり部3に固定される。
【0071】
〔第3の実施形態〕
次に第3の実施形態に係る建物の防蟻構造1及び基礎防蟻工法について、図18を参照しつつ説明する。なお第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。この実施形態の建物の防蟻構造1は、基礎の外周立上がり部3と、外周立上がり部3の屋外側に隣接して設けられる付帯設備22との間に防蟻性板部材4を収納する建物において用いられるものである。そして、少なくとも付帯設備22の上面と防蟻性板部材4とに架かるように防蟻シート10が固定されており、付帯設備22と防蟻性板部材4との間隙を通過するシロアリが建物内部に侵入することを防ぐことができる。具体的には、防蟻シート10は、付帯設備22の上面と防蟻性板部材4の屋外側の面とに当接するように配置され、例えば接着モルタルなどで固定されている。この実施形態における防蟻シート10の中間部には、付帯設備22の上面及び防蟻性板部材4のいずれにも固定されずに折り曲がって形成されるあそび部分23を有しており、例えば地震や地盤沈下などによる多少の地盤変動があったような場合でも、その変動をこのあそび部分23が吸収することで、防蟻シート10の防蟻性能を維持することができる。
【0072】
ここで、付帯設備22とは、例えば玄関ポーチの床などのように建物から分離して設けられる構造物であり、コンクリート、石材、レンガ、タイル等により構成されている。この付帯設備22としては、シロアリが侵食することができない強度を有するものか、またはシロアリに侵食されないように防蟻剤を含浸させたものであることが好ましい。
【0073】
なお、本実施形態においては、付帯設備22はその上端が外周立上がり部8及び防蟻性板部材4の上端よりもやや下方に位置するように形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば図19に示すように、付帯設備22の上端と外周立上がり部8及び防蟻性板部材4の上端とが同一平面状に形成されるものであってもよく、また、付帯設備22の上端側がやや上方に位置するように形成されていてもよい。更にまた、少なくとも防蟻シート10は付帯設備22の上端から防蟻性板部材4にまたがって被覆することで、付帯設備22と防蟻性板部材4との間隙を通過してシロアリが建物内部に侵入することを防止できるが、防蟻シート10が更に外周立上がり部8の上端にまで設けられたものであってもよい。
【0074】
このような第3の実施形態に係る建物の防蟻構造1を施工する第3の基礎防蟻工法は、第1の基礎防蟻工法と同様に、まず地面から一定深さの溝を掘り、地盤改良等を行って整地した上で割栗石9を敷き詰め、さらにその上から捨てコンクリート8を流し入れる。そして、建物の外周を囲うように外周型枠18を設置するとともに、その内側に図示しない鉄筋を配置する。そして外周型枠18の屋内側の面に防蟻性板部材4を隙間なく固定する。その後、外周型枠18に囲まれた内部にコンクリートを打設して、基礎スラブ6を形成する。
【0075】
その後、基礎スラブ6上に外周型枠18と平行に屋内側型枠19を設置するとともに、必要に応じて柱状又は縦横に延びる立上がり部用型枠20を設置する。そして、外周型枠18と屋内側型枠19の間及び立上がり部用型枠20の内部にコンクリートを打設する。そして、所定時間養生して各型枠18、19、20を取り外して、基礎スラブ6、外周立上がり部3、及び立上がり部7からなるベタ基礎2を形成する。
【0076】
そして、次に、外周立上がり部8の外側の所望の位置に付帯設備用型枠24を設置し、この付帯設備用型枠24にコンクリートを打設養生して付帯設備22を形成し、この付帯設備22の上面と防蟻性板部材4とに、防蟻シート10を被覆して、接着モルタルをその上面から塗布する等して、防蟻シート10を防蟻性板部材4に固定する。
【0077】
〔第4の実施形態〕
次に第4の実施形態に係る建物の防蟻構造1及び建物の基礎防蟻工法について、図20から図23を参照しつつ説明する。なお第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。第4の実施形態に係る建物の防蟻構造1は、第3の実施形態に係る建物の防蟻構造1と同様に、基礎の外周立上がり部8と、外周立上がり部8の屋外側に隣接して設けられる付帯設備22との間に防蟻性板部材4を収納する建物において用いられるものである。そして、付帯設備22の上面から防蟻性板部材4の上端を通過して外周立上がり部8の上端にまで防蟻シート10が固定されている。この実施形態においては付帯設備22はコンクリートを打設することによって形成されている。防蟻シート10の両端は、垂れ下がる垂下部21a、21bを形成している。屋外側の垂下部21bは付帯設備22に埋設されており、屋内側の垂下部21aは外周立上がり部8に埋設されている。
【0078】
このようにして付帯設備22及び外周立上がり部に埋設される垂下部21a、21bは、下方に垂れ下がるとともに水平方向に突出し、更に上方に向けて折り返されるとともにその先端が水平方向に折曲されている。このように形成されることで、防蟻シート10の両端は付帯設備22及び外周立上がり部8に強固に固定されるので、付帯設備22と防蟻性板部材4との間隙及び防蟻性板部材4と外周立上がり部8との間隙を通過したシロアリが建物内部に侵入することを防止できる。
【0079】
このように構成される建物の防蟻構造1を施工する第4の基礎防蟻工法は、第1の基礎防蟻工法と同様に、まず地表から一定深度で掘り返し、地盤改良等を行って整地した上で割栗石9を敷き詰め、さらにその上から捨てコンクリート8を流し入れる。そして、建物の外周を囲うように外周型枠18を設置するとともに、その内側に図示しない鉄筋を配置する。そして外周型枠18の屋内側の面に防蟻性板部材4を隙間なく固定する。その後、外周型枠18に囲まれた内部にコンクリートを打設して、基礎スラブ6を形成する。
【0080】
その後、基礎スラブ6上に外周型枠18と平行に屋内側型枠19を設置するとともに、必要に応じて柱状又は縦横に延びる立上がり部用型枠20を設置する。そして、図21に示すように防蟻性板部材4の上端に防蟻シート10の中間部を固定させつつ、防蟻シート10の一端側に形成された垂下部21aを、外周型枠18の内側に垂れ下げる。そして、外周型枠18と屋内側型枠19の間にコンクリートを打設することにより、外周立上がり部3を形成するとともに、防蟻シート10の一端側の垂下部21aを外周立上がり部8に埋設する。そして、所定時間養生して各型枠18、19、20を取り外して、基礎スラブ6、外周立上がり部3、及び立上がり部7からなるベタ基礎2を形成する。
【0081】
そして、次に、図22に示すように、外周立上がり部8の外側の所望の位置に付帯設備用型枠24を設置し、この付帯設備用型枠24の内側に防蟻シート10の他端側に形成された垂下部21bが垂れ下がるように形成する。そして、図23に示すように、付帯設備用型枠24にコンクリートを打設養生して付帯設備22を形成するとともに、垂下部21bを付帯設備22の内部に埋設する。その後、付帯設備用型枠24を取り外して、付帯設備22の一部を埋め戻し基礎工事を完了する。
【0082】
以上のように防蟻シート10の一端は外周立上がり部8に埋設され、防蟻シート10の他端は付帯設備22に埋設されるので、防蟻シート10が確実に固定されシロアリの通過を確実に阻止できる。埋設される垂下部21a、21bは前述のように、下方に垂れ下がるとともに水平方向に突出し、更に上方に向けて折り返されるとともにその先端が水平方向に折曲されているので、より強いアンカー効果を発揮し、より強固に固定される。
【0083】
なお、本発明の実施の形態は、本実施形態に限ることなく、本発明の思想の範囲を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明に係る建物の防蟻構造1及び基礎防蟻工法は、例えば外断熱工法を用いる住宅等に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1の実施形態に係る建物の防蟻構造の全体構成を示す図。
【図2】第1の実施形態に係る建物の防蟻構造を示す一部省略断面図。
【図3】第1の実施形態に係る建物の防蟻構造であって、建物の基礎が布基礎である例を示す図。
【図4】防蟻シートの一例としてのステンレスメッシュを説明する図。
【図5】配管用防蟻シートの構成を説明する図。
【図6】外周立上がり部を貫通する配管に配管用防蟻シートを取付けた例を示す図。
【図7】第1の基礎防蟻工法を説明する図であって、外周型枠を設置した状態を説明する図。
【図8】第1の基礎防蟻工法を説明する図であって、基礎スラブを形成した状態を示す図。
【図9】第1の基礎防蟻工法を説明する図であって、屋内側型枠及び立上がり部用型枠を設置した状態を説明する図。
【図10】第1の基礎防蟻工法を説明する図であって、外周立上がり部及び立上がり部を形成した状態を説明する図。
【図11】第1の基礎防蟻工法を説明する図であって、防蟻シートを取付ける状態を説明する図。
【図12】第1の基礎防蟻工法において、建物の防蟻構造が完成した状態を説明する図。
【図13】第2の実施形態に係る建物の防蟻構造の構成を示す図。
【図14】図13のA部分を拡大した一部省略拡大図。
【図15】図13のA部分にコンクリートを打設する状態を説明する図。
【図16】第2の基礎防蟻工法を説明する図であって、基礎スラブ上に屋内側型枠を設置した状態を説明する図。
【図17】第2の基礎防蟻工法を説明する図であって、外周立上がり部を打設して垂下部を埋設した状態を説明する図。
【図18】第3の実施形態に係る建物の防蟻構造を示す図。
【図19】第3の実施形態に係る建物の防蟻構造の変形例を示す図。
【図20】第4の実施形態に係る建物の防蟻構造を示す図。
【図21】第4の基礎防蟻工法を説明する図であって、外周立上がり部を打設して、防蟻シートの一端に形成された垂下部を埋設する状態を説明する図。
【図22】第4の基礎防蟻工法を説明する図であって、外周型枠及び屋内側型枠を取り外して、付帯設備用型枠を設置した状態を説明する図。
【図23】第4の基礎防蟻工法を説明する図であって、付帯設備を打設して防蟻シートの他端に形成された垂下部を埋設する状態を説明する図。
【符号の説明】
【0086】
1 防蟻構造
3 外周立上がり部
4 防蟻性板部材
10 防蟻シート
15 配管用防蟻シート
16 筒部
17 鍔部
18 外周型枠(屋外側の外周立上がり部用の型枠)
19 屋内側型枠(屋内側の外周立上がり部用の型枠)
21a、21b 垂下部
22 付帯設備
24 付帯設備用型枠
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物基礎の外周立上がり部の屋外側面に防蟻性板部材を取付けた建物の防蟻構造であって、
前記防蟻性板部材の上端面と、前記外周立上がり部の上端面と、にまたがって防蟻性シートで被覆することを特徴とする建物の防蟻構造。
【請求項2】
前記外周立上がり部及び前記防蟻性板部材を貫通する配管の屋内側に突出する外周面を被覆する筒部と、該筒部の端部から広がって形成されて前記外周立上がり部の屋内側面を被覆する鍔部とを有する配管用防蟻シートをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の建物の防蟻構造。
【請求項3】
建物基礎の外周立上がり部と、該外周立上がり部の屋外側に隣接して設けられる付帯設備との間に防蟻性板部材を設置する建物の防蟻構造であって、
少なくとも前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の上面とにまたがって、防蟻性シートで被覆することを特徴とする建物の防蟻構造。
【請求項4】
建物基礎の外周立上がり部と、該外周立上がり部の屋外側に隣接して設けられる付帯設備との間に防蟻性板部材を設置する建物の防蟻構造であって、
少なくとも前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の前記付帯設備の上面より上方側における屋外側面とにまたがって、防蟻性シートで被覆することを特徴とする建物の防蟻構造。
【請求項5】
前記付帯設備の上面から前記防蟻性板部材の上端面を通って前記外周立上がり部の上端面までを、防蟻性シートで被覆することを特徴とする請求項3に記載の建物の防蟻構造。
【請求項6】
前記防蟻性シートは、少なくとも前記外周立上がり部側の端部が下方に折曲されてその下端で水平方向に突出する垂下部を形成するものであって、
当該垂下部は、前記外周立上がり部に埋め込まれることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4、又は請求項5に記載の建物の防蟻構造。
【請求項7】
前記防蟻性シートは、少なくとも前記付帯設備側の端部が下方に折曲されてその下端で水平方向に突出する垂下部を形成するものであって、
当該垂下部は、前記付帯設備に埋め込まれることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の建物の防蟻構造。
【請求項8】
前記垂下部は、更に上方に折り返されるとともに、その先端が水平方向に折曲されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の建物の防蟻構造。
【請求項9】
前記防蟻性板部材は、断熱性を有することを特徴とする請求項1から請求項8に記載の防蟻構造。
【請求項10】
前記防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の建物の防蟻構造。
【請求項11】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、該防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、次いで、前記型枠を取り外して、その後に、前記防蟻性板部材の上端面と、前記外周立上がり部の上端面と、にまたがって、防蟻性シートを被覆し固定することを特徴とする建物の基礎防蟻工法。
【請求項12】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記該防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、次いで、前記型枠を取り外してから、
前記防蟻性板材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置し、その後この型枠と防蟻性板部材との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、
前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の上端面とにまたがって、防蟻性シートを被覆し固定することを特徴とする建物の基礎防蟻工法。
【請求項13】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記型枠の間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、その後、前記型枠を取り外してから、
前記防蟻性板材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置し、その後この型枠と防蟻性板部材との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、
前記付帯設備の上面から、前記防蟻性板部材の上端面を通って、及び前記外周立上がり部の上端面までを、防蟻性シートで被覆し固定することを特徴とする建物の基礎防蟻工法。
【請求項14】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、防蟻性シートの一端を該防蟻性板部材の上端面に固定しつつ他端を該防蟻性板部材と屋内側の外周立上がり部用の型枠との間に折曲して垂下部を形成し、次で、前記防蟻性板部材と前記屋内側の外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生してから前記型枠を取り外すことによって、基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性シートの前記垂下部を前記外周立上がり部内に埋め込み、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定することを特徴とする建物の基礎防蟻工法。
【請求項15】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、
その後、防蟻性シートの中間部を前記防蟻性板部材の上端に仮固定して、当該防蟻性シートの一端を前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間に折曲して立上がり部側の垂下部を形成し、次いで、前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成することにより、前記防蟻性シートの一端側に形成された前記立上がり部側垂下部を前記コンクリート内に埋め込むとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、
次いで、前記防蟻性板部材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置するとともに、前記防蟻性シートの他端を前記防蟻性板部材と前記付帯設備用型枠との間に折曲して付帯設備側垂下部を形成し、次いで、前記防蟻性板部材と前記付帯設備用型枠との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成することにより、前記付帯設備側垂下部を前記付帯設備内に埋め込むことを特徴とする建物の基礎防蟻工法。
【請求項16】
前記防蟻性板部材は、断熱性を有することを特徴とする請求項11から請求項15に記載の建物の基礎防蟻工法。
【請求項17】
前記防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であることを特徴とする請求項11から請求項16のいずれかに記載の建物の基礎防蟻工法。
【請求項1】
建物基礎の外周立上がり部の屋外側面に防蟻性板部材を取付けた建物の防蟻構造であって、
前記防蟻性板部材の上端面と、前記外周立上がり部の上端面と、にまたがって防蟻性シートで被覆することを特徴とする建物の防蟻構造。
【請求項2】
前記外周立上がり部及び前記防蟻性板部材を貫通する配管の屋内側に突出する外周面を被覆する筒部と、該筒部の端部から広がって形成されて前記外周立上がり部の屋内側面を被覆する鍔部とを有する配管用防蟻シートをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の建物の防蟻構造。
【請求項3】
建物基礎の外周立上がり部と、該外周立上がり部の屋外側に隣接して設けられる付帯設備との間に防蟻性板部材を設置する建物の防蟻構造であって、
少なくとも前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の上面とにまたがって、防蟻性シートで被覆することを特徴とする建物の防蟻構造。
【請求項4】
建物基礎の外周立上がり部と、該外周立上がり部の屋外側に隣接して設けられる付帯設備との間に防蟻性板部材を設置する建物の防蟻構造であって、
少なくとも前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の前記付帯設備の上面より上方側における屋外側面とにまたがって、防蟻性シートで被覆することを特徴とする建物の防蟻構造。
【請求項5】
前記付帯設備の上面から前記防蟻性板部材の上端面を通って前記外周立上がり部の上端面までを、防蟻性シートで被覆することを特徴とする請求項3に記載の建物の防蟻構造。
【請求項6】
前記防蟻性シートは、少なくとも前記外周立上がり部側の端部が下方に折曲されてその下端で水平方向に突出する垂下部を形成するものであって、
当該垂下部は、前記外周立上がり部に埋め込まれることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項4、又は請求項5に記載の建物の防蟻構造。
【請求項7】
前記防蟻性シートは、少なくとも前記付帯設備側の端部が下方に折曲されてその下端で水平方向に突出する垂下部を形成するものであって、
当該垂下部は、前記付帯設備に埋め込まれることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれかに記載の建物の防蟻構造。
【請求項8】
前記垂下部は、更に上方に折り返されるとともに、その先端が水平方向に折曲されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の建物の防蟻構造。
【請求項9】
前記防蟻性板部材は、断熱性を有することを特徴とする請求項1から請求項8に記載の防蟻構造。
【請求項10】
前記防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の建物の防蟻構造。
【請求項11】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、該防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、次いで、前記型枠を取り外して、その後に、前記防蟻性板部材の上端面と、前記外周立上がり部の上端面と、にまたがって、防蟻性シートを被覆し固定することを特徴とする建物の基礎防蟻工法。
【請求項12】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記該防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、次いで、前記型枠を取り外してから、
前記防蟻性板材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置し、その後この型枠と防蟻性板部材との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、
前記付帯設備の上面と前記防蟻性板部材の上端面とにまたがって、防蟻性シートを被覆し固定することを特徴とする建物の基礎防蟻工法。
【請求項13】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、前記型枠の間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、その後、前記型枠を取り外してから、
前記防蟻性板材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置し、その後この型枠と防蟻性板部材との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成し、
前記付帯設備の上面から、前記防蟻性板部材の上端面を通って、及び前記外周立上がり部の上端面までを、防蟻性シートで被覆し固定することを特徴とする建物の基礎防蟻工法。
【請求項14】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、その後、防蟻性シートの一端を該防蟻性板部材の上端面に固定しつつ他端を該防蟻性板部材と屋内側の外周立上がり部用の型枠との間に折曲して垂下部を形成し、次で、前記防蟻性板部材と前記屋内側の外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生してから前記型枠を取り外すことによって、基礎の外周立上がり部を形成するとともに、前記防蟻性シートの前記垂下部を前記外周立上がり部内に埋め込み、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定することを特徴とする建物の基礎防蟻工法。
【請求項15】
地表を整地して所定深度まで掘り下げた後、建物基礎の外周となる部分に外周立上がり部用の型枠を屋内側と屋外側とに平行に配設し、該外周立上がり部用の型枠のうち屋外側の型枠の内側面に防蟻性板部材を設置して、
その後、防蟻性シートの中間部を前記防蟻性板部材の上端に仮固定して、当該防蟻性シートの一端を前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間に折曲して立上がり部側の垂下部を形成し、次いで、前記防蟻性板部材と屋内側の前記外周立上がり部用の型枠との間にコンクリートを打設養生して基礎の外周立上がり部を形成することにより、前記防蟻性シートの一端側に形成された前記立上がり部側垂下部を前記コンクリート内に埋め込むとともに、前記防蟻性板部材を当該外周立上がり部に固定し、
次いで、前記防蟻性板部材の屋外側に必要な間隔距離を開けて付帯設備用の型枠を設置するとともに、前記防蟻性シートの他端を前記防蟻性板部材と前記付帯設備用型枠との間に折曲して付帯設備側垂下部を形成し、次いで、前記防蟻性板部材と前記付帯設備用型枠との間にコンクリートを打設養生して付帯設備を形成することにより、前記付帯設備側垂下部を前記付帯設備内に埋め込むことを特徴とする建物の基礎防蟻工法。
【請求項16】
前記防蟻性板部材は、断熱性を有することを特徴とする請求項11から請求項15に記載の建物の基礎防蟻工法。
【請求項17】
前記防蟻シートが、シロアリの分泌物に対する耐性を有する材料で形成され、且つシロアリが通過できない大きさの孔を有するメッシュ状であることを特徴とする請求項11から請求項16のいずれかに記載の建物の基礎防蟻工法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
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【図17】
【図18】
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【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−84357(P2010−84357A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252571(P2008−252571)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(501439194)ティーエムエー・コーポレイション・プロプライエタリ・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(501439194)ティーエムエー・コーポレイション・プロプライエタリ・リミテッド (3)
【Fターム(参考)】
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