説明

建築システム

石造レプリカ被覆材システムはほぼ長方形の平面パネルを複数含む。各パネルは、背中合わせの第1及び第2の主要対向面と、第1及び第2の主要対向エッジと、一対の対向端部を有する。各平面パネルは、第1の主要エッジに隣接する第1の主要面に第1の凹部を更に有する。第1の凹部は、使用時に凹形モルタル接合部を模するように構成されており、壁被覆材の少なくとも一部分を形成するのに使用される場合、第1の平面パネルの第1の主要エッジは隣接する第2の平面パネルの第2の主要エッジに隣接して配置される。各パネルの対向端部は隣接するパネルの対応する対向端部とほぼ位置合わせされ、平面パネルのほぼ長方形のアレイの各サイドエッジを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建材の分野に関し、詳細には、引込み目地(沈み目地)、特に水平の向きにおいて顕著な引込み目地を有する組積造の外観の複製に使用される建材に関する。
【背景技術】
【0002】
明細書にわたる従来技術のいずれの考察も決して、このような従来技術が周知である、又は当該技術分野の常識の一部を形成することを認めるものとしてみなすべきではない。
【0003】
パネル化された薄い基材の上に施されるセメントの下塗りは、石造のレプリカの被覆材システムの一形態を提供するために用いられている。通常、このようなシステムは、石造の外観をもたらす下塗りの土台及び拘束手段として、パネルの下張りに固定されたある種のメッシュを含む。これらのシステムは設置に比較的時間がかかり、仕上がった壁に申し分のない外観をもたらすには熟練した下塗り業者を必要とする。また、一般に、これらのシステムで施される下塗りの厚さでは、支持メッシュ構造を露わにせずに引込み目地のラインなどの美的な仕上げを含むことはできない。
【0004】
近ごろでは、薄いセラミックタイルを用いることにより、スチールの骨組に固定されるか又は骨組に取り付けられた石造の外観を呈する建築システムを提供する試みがなされている。これらのシステムは、タイルが堅くて曲がらず、骨組の目違いを補償することができないという欠点を有する。更に、これらのシステムは、この特定のシステムを実施可能にするために各製造業者に特有である特殊用途の骨組を必要とする。これらのシステムには、個々のタイルが比較的小さく、よって設置に多くの手作業を要するという更なる欠点がある。
【0005】
商業建築に使用されるものと同様の大きなパネルタイプの被覆材を提供する他のシステムが提案されている。しかし、これらのシステムは特殊な床張り板システムに取り付けられた簡素なパネルを使用しているため、主に水平方向の引込み目地を有する石造システムの複製には向いていない。
【0006】
残る技術上の問題は、高い技術レベルや比較的長い建設時間を必要とせず、材料重量やコストがさほどかからず、従来の組積造技術又は既存の石造レプリカシステムの柔軟性のなさを取り払った、主に水平方向の引込み目地(沈み目地)を含む見た目に美しい組積造の被覆材システムをいかに提供するかということである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点のうち1つ以上を克服するか実質的に改善する、又は少なくとも有用な代替物を提供する石造レプリカ被覆材システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に従って石造レプリカ被覆材システムが提供される。このシステムは、ほぼ長方形の平面パネルを複数含み、各パネルが、背中合わせの第1及び第2の主要面と、第1及び第2の主要対向エッジと、一対の対向端部と、を有し、各平面パネルが、使用時に凹形のモルタル接合部を模する(そっくりになる)ように構成された第1の凹部(窪み)を、第1の主要エッジに隣接する第1の主要面に更に有し、壁被覆材の少なくとも一部分を形成するのに使用される場合、第1の平面パネルの第1の主要エッジは隣接する第2の平面パネルの第2の主要エッジに隣接して配置され、各パネルの対向端部は隣接するパネルの対応する対向端部とほぼ位置合わせされ、平面パネルのほぼ長方形のアレイの各サイドエッジを形成する。
【0009】
文脈上他の意味に解すべき場合を除き、説明及び請求の範囲にわたり、「〜を備える」、「〜を備えた」などの単語は、限定的又は排外的な意味に対立する包括的な意味で、即ち「〜を含むがこれらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【0010】
各平面パネルは細長いことが好ましい。
【0011】
好適な形態では、第1の主要エッジに隣接する第1の主要面に形成された凹部が、模擬(擬似)凹形モルタル接合部の意図される幅を越えた幅を有し、各平面パネルはまた、第2の主要エッジに隣接する第2の主要面に少なくとも1つの第2の凹部(窪み)を含み、壁被覆材の形成に使用される際、第1の平面パネルの第2の主要エッジが第2の平面パネルの第1の主要エッジと少なくとも部分的に重複するよう構成されている。このように、隣接するパネルの重複するエッジにより、設置される各パネルを保持することができる。
【0012】
特に好適な形態では、対応する第1の主要エッジに隣接する各平面パネルの第1の主要面の凹部が、パネルを第1の凹部の内側部分に固定することを容易にするように十分な幅を有し、これにより、使用時に、隣接するパネルの重複する第2の主要エッジによって固定が隠される。
【0013】
各パネルの第1の主要面の第1の凹部が、第2の主要面に形成された第2の凹部の最も内側のエッジの対応する保持構成と内部係合するように構成された第1の保持構成を含み、第1の保持構成は、使用時に隣接するパネルと係合して位置合わせされるように各パネルを位置決めし、保持する機能を果たすことが望ましい。内部係合部分は対応する楔構成の形であることが好ましい。
【0014】
石造レプリカ被覆材システムは、隣接するパネル端部によって形成された各長方形アレイの少なくとも1つのサイドエッジに耐候性の接合を提供する1つ以上の長手方向端部トリム要素を更に含むことが好ましい。1つの形態では、トリム要素は、各パネルの第1の主要面に形成された第1の凹部の深さに綿密に対応する凹部の底面(base)を複製するために、隣接するパネルのアレイの位置合わせされた端部間に延びる隆起した中央部分を有するシート材の比較的薄いストリップを含む。
【0015】
他の実施の形態では、トリム要素は、平面パネルの2つのアレイの横方向配列を容易にするコーナートリム要素である。コーナートリム要素として、入隅トリム要素及び出隅トリム要素のうちの一方を使用することができる。コーナートリム要素を、構造部材に取付可能なほぼL字形の部材とすることができる。平面パネルの第1のアレイのサイドエッジ及び平面パネルの第2の横方向アレイのサイドエッジが留め継ぎされたコーナー(隅角部)を形成できるようにコーナー構成を配置することができる。代わりに、横方向に配列されたアレイのパネルを突き合わせ継手としてもよい。パネルが互いに対してではなくトリムボードに対して突き合わせ継手を形成するように、トリムボードを横方向パネル間に配置してもよい。
【0016】
他の実施の形態では、コーナートリム要素はコーナー構成を有することができ、このコーナー構成に対して平面パネルの第1のアレイのサイドエッジ及び平面パネルの第2の横方向アレイのサイドエッジを位置合わせすることができ、これにより、これら2つのアレイは互いに対して横方向に配置される。所望の美的効果をコーナーにもたらすようにコーナー構成を形成することができる。コーナー構成としては、ボックスコーナーをもたらす正方形管が形成可能である。
【0017】
トリム要素は細長く、アルミニウムなどの金属からなることが好ましい。トリム要素は耐食性の雨押えとして作用することができる。
【0018】
各パネルの各端部はほぼ平面の隣接(当接)表面を画定することが好ましい。平面の隣接表面を関連するパネルの四角い端部とすることができる。代わりに、平面の隣接表面を関連するパネルの留め継ぎ端部としてもよい。使用時、平面パネルのアレイにおける各パネルの位置合わせされた端部の平面の隣接表面は、アレイのエッジ隣接表面を形成するようにほぼそろえられている。エッジ隣接表面はほぼ平面であることが好ましい。
【0019】
本発明の第2の態様によると壁構造物が設けられており、この壁構造物は、壁の基礎構造と、壁の基礎構造に固定された複数のほぼ長方形の平面パネルであって、各パネルが、背中合わせの第1及び第2の主要面と、第1及び第2の主要対向エッジと、一対の対向端部と、を有し、各平面パネルが、使用時に凹形のモルタル接合部を模するように構成された第1の凹部を、第1の主要エッジに隣接する第1の主要面に更に有し、壁被覆材の少なくとも一部分を形成するのに使用される場合、第1の平面パネルの第1の主要エッジは隣接する第2の平面パネルの第2の主要エッジに隣接して配置され、各パネルの対向端部は隣接するパネルの対応する対向端部とほぼ位置合わせされ、平面パネルのほぼ長方形のアレイの各サイドエッジを形成する。
【0020】
本発明の第3の態様によると石造レプリカ被覆壁の組立方法が設けられており、この方法は、壁の基礎構造を立てるステップと、ほぼ長方形の平面パネルのアレイを壁の基礎構造に固定するステップであって、各パネルが、背中合わせの第1及び第2の主要面と、第1及び第2の主要対向エッジと、一対の対向端部と、を有し、各平面パネルが、使用時に凹形のモルタル接合部を模するように構成された第1の凹部を、第1の主要エッジに隣接する第1の主要面に更に有し、壁被覆材の少なくとも一部分を形成するのに使用される場合、第1の平面パネルの第1の主要エッジは隣接する第2の平面パネルの第2の主要エッジに隣接して配置され、各パネルの対向端部は隣接するパネルの対応する対向端部とほぼ位置合わせされ、平面パネルのほぼ長方形のアレイの各サイドエッジを形成する。
【0021】
パネルはほぼ水平の配置で壁の基礎構造に取り付けられることが好ましい。しかし、パネルを壁の部分に対して垂直又は斜めに配置することができ、更に平らであっても傾斜したものであっても天井に使用できることが理解されよう。
【0022】
好適な形態では、壁の基礎構造は木材又はスチール製の壁用骨組である。後者は釘での固定が可能な形態からなり、パネルは骨組に直接取り付けられることが好ましい。他の形態では、基礎構造は、骨組構造、軽量コンクリート構造又はいかなる構造の既存の壁も含むことができ、これにパネル化された基材又はストリップ基材が取り付けられ、これにパネルが取り付けられる。
【0023】
ここで、添付の図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態をほんの一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に従った石造レプリカ被覆材システムを用いて形成された壁構造物の概略斜視図である。
【図2】本発明による平面パネルの第1の実施の形態の端面図である。
【図3】本発明による平面パネルの第2の実施の形態の端面図である。
【図4】隠し打ちを可能にし、次の隣接パネルを保持するように構成された、内部係合する2つの第3の実施の形態のパネルの拡大端面図である。
【図5】図4に示すパネルを更に拡大したものを表す、内部係合する2つの第4の実施の形態のパネルの拡大端面図である。
【図6】本発明による長手方向端部トリム要素の第1の実施の形態の部分斜視図である。
【図7】任意の圧縮性シーリングストリップを示す、図5に示すトリム要素の端面図である。
【図8】被覆材システムの実施の形態を適用した建物のコーナーの概略斜視図である。
【図9】被覆材システムの1つの実施の形態からなる部分を含む複合壁を有する建物の概略正面図である。
【図10】本発明による出隅トリム要素の1つの実施の形態の斜視図である。
【図11】図10の出隅トリム要素の端面図である。
【図12】本発明による入隅トリム要素の実施の形態の斜視図である。
【図13】図12の入隅トリム要素の端面図である。
【図14】壁構造物の出隅における石造レプリカ被覆材システムの部分図であり、コーナーは留め継ぎされている。
【図15】図10の出隅トリム要素を用いた、壁構造物の出隅における石造レプリカ被覆材システムの部分図である。
【図16】壁構造物の入隅における石造レプリカ被覆材システムの部分図であり、コーナーは留め継ぎされている。
【図17】図12の入隅トリム要素を用いた、壁構造物の入隅における石造レプリカ被覆材システムの部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
まず図1を参照すると、本発明による石造レプリカ被覆材システム1を用いた壁構造物の斜視図が示されている。このシステムは複数の細長い長方形の平面パネル2を含み、これらの平面パネル2は、ほぼ長方形のアレイ4を形成するように下部の壁構造物3に固定されている。各長方形アレイはほぼ垂直のサイドエッジ5を有する。1つのアレイが別のアレイに水平に接している場合、垂直の細長い接合ストリップ(片)6が必要に応じて設けられる。パネル2及び接合ストリップ6の種々の形態の詳細な特徴を以下に述べる。
【0026】
図2を参照すると、本発明に従ったほぼ平らなパネルの第1の実施の形態が示されている。パネル2は、第1の外側主要面7と、対向する第2の内側主要面8とを有する。パネルは比較的薄く、1つの好適な形態では14から16mmの厚さである。パネルは、対向する端部9及び10を終端とすることが好ましい。また、各パネルは、両側にある第1及び第2の主要エッジ11及び12をそれぞれ画定している。第1の細長い凹部(窪み部)13が、各パネルの第1の主要エッジに隣接して第1の主要面に設けられており、この凹部13は、使用の際、凹形のモルタル接合部を模する、即ちこれに似せるように構成されている。例示する実施の形態では、パネルの厚さは14mmであり、凹部13の幅は約15mmである。パネルは4.2mの長さで設けられることが好ましいが、この長さは、他の寸法パラメータと同様、特定の骨組レイアウト、スタッドの間隔構成及び他の設計基準に合うように変更してもよいことが理解されよう。
【0027】
使用の際、この第1の実施の形態のパネルが取り付けられ、これによって第1のパネルの第1の主要エッジが隣接するパネルの第2の主要エッジと接した関係で配置され、模擬(擬似)凹形モルタル接合部が第1の凹部13によって形成される。この実施の形態では、シーリングストリップのある種の形態を、細長い突き合わせ継手に沿って適用することができる。
【0028】
ここで、同様の参照番号を用いて対応する特徴を示した図3を参照しながら第2の実施の形態のパネルを説明する。この第2の実施の形態パネルの長さ及び厚さは変わっておらず、主な違いはパネルのエッジにある。この点において、第1の面7に形成された第1の凹部13は、使用時に模擬凹形モルタル接合部の幅を越えた幅を有するように寸法決めされており、例示する実施の形態では35mmの幅となっている。凹部の深さはパネルの厚さの約50%である。また、第2の凹部14が第2の主要面の第2の主要エッジに沿って設けられており、この第2の主要エッジ12は、これらのパネルが壁の被覆材としてアレイ4を形成するのに用いられる際、隣接する細長いパネルの凹形の第1の主要エッジ11に部分的に重複するよう構成されている。第1の凹部13の幅の拡張を、隣接するパネルの第2のエッジ12と有用な程度で重複するよう十分に小さくしてもよいし、第1のエッジに隣接するパネルの隠し打ち、及び/又はこのエッジとこのエッジの上に重なる第2のパネルの第2のエッジとの重複部分での貫通固定による同時固定を可能にするよう更に大きくしてもよい。例示する実施の形態では、第2の凹部14の幅は約20mmであり、これによって、隣接する厚板が位置合わせされると凹部13の約15mmが露わになり、凹形モルタル接合部とそっくりになる。
【0029】
次に図4を参照すると、本発明による第3の実施の形態のパネルが示されている。ここでも、対応する特徴を示すために同様の参照番号が用いられている。この特定の実施の形態は第2の実施の形態と同様であるが、パネル間の位置及び/又は概して16で示すロック構成を更に改良したものを含む。例示する実施の形態では、ロック構成は第1の主要エッジに形成された保持構成17を含み、これは、第2の主要エッジに沿って形成された第2の凹部14の最も内側のエッジに形成された第2の保持構成18と内側で係合するように構成されている。使用の際、このロック構成は、隣接するパネルと係合して位置合わせされるように各パネルを位置決めし、保持する機能を果たす。例示する実施の形態では、第1の凹部13は幅が約40mmであり、第2の凹部の最大幅は約25mmである。双方の凹部の深さは、先と同様にパネル厚さの約50%である。しかし、凹部の深さ及び幅は広範囲に及ぶ所望の美的な外観及び効果をもたらすように変更できることが、当業者によって理解されるであろう。
【0030】
図5は図4のパネルを更に改良したものを示しており、これによって設置時のある程度の位置合わせの調節を更に効果的に行うことができる。この構成は図4に示す実施の形態と非常に類似しているが、図4の楔形の溝18と係合する楔構成17が、対応する溝構成18’と係合する平行な実(さね)構造17’に代わっている。溝構造18’への最下の入口表面に引き込み面(lead−in chamfer)18”を設け、隣接する厚板の配置を促して損傷のリスクを最小にすることができる。実構成17’は、溝構成18の’引き込み面18”を相補う面17”を有する。例示する形態では、第1の凹部の最大幅は43mmであり、第2の凹部の最大幅は28mmである。実17’及び溝18’の双方の長さは約10mmである。この実及び溝の構成は、実及び溝の構成が完全に係合されていない場合でも設置時の厚板の水平化を容易にし、強風にさらされた際の厚板のがたつきを抑えることが理解されよう。
【0031】
次に図6を参照すると、隣接する2つのアレイの中間にあるほぼ垂直の引込み目地(沈み目地)を画定するために用いられる細長い接合ストリップ6の部分斜視図が示されている。ストリップ6は、壁の中の間柱などの構造部材に垂直の向きで固定されるように構成された基部19を含む。接合ストリップの中央には隆起したリブ構成20がある。リブ構成20はパネル2よりも低い隆起の高さを有し、設置されると、リブ20の上面は、パネルの各々に形成された第1の凹部13によって模される引込み目地の深さと綿密に一致する凹形の垂直の石造接合部の外観をもたらす。
【0032】
図6に示す実施の形態では、接合ストリップは長手方向のエッジに沿って形成されたリップ構成22を必要に応じて含み、これは、接合部に入る湿気が横方向に移動して被覆材の後ろの空洞に入るのを防ぐのを助けるように機能する。この特定の接合ストリップは、パネルが設置されると構成22がある程度変形することを意図して、金属又はプラスチック材の薄いシートからなることが好ましい。
【0033】
接合ストリップ6の代わりの形態を図7に示す。ベースパネル19及びリブ構成20の基本的な構造は変わっていない。しかし、この実施の形態ではリップ構成が取り除かれており、接着性の圧縮シーリングストリップ23が代わりのシーリング機構として設けられている。他の実施の形態では、これら2つのシーリング機構を組み合わせることができる。更に他の実施の形態では、パネルが設置される際に従来のシーリング材が接合ストリップに塗布される。
【0034】
図10から図13は、図13から図16に示すようにパネルの長方形アレイを隣接する他のパネルの長方形アレイに対して横方向に配列できるように壁構造物のコーナーに用いられる接合ストリップ6の実施の形態を示している。図13から図16に示す接合ストリップをそれぞれ6a、6b、6c及び6dとして参照する。
【0035】
好適な形態では、コーナー接合ストリップは長手方向のくぼみ30を含み、これらは、くぎ打ちガイドと、水が浸入した場合の毛管状空間(capillary breaks)の双方として作用する。
【0036】
図10及び図11はアルミニウムの出隅(external corner)接合ストリップ6’の形のトリム要素を示しており、これは、壁構造物の骨組のコーナー間柱部材のような構造部材に取り付け可能なほぼL字形の部材である。出隅接合ストリップは、図15に示すようなボックス状のコーナーの外観をもたらすように、好ましくは正方形管21の形のコーナー構成を有する。図11に最もわかりやすく示すように、出隅接合ストリップは、正方形管に隣接するアレイのパネルの端部を覆うように正方形管21から延びるフランジ突起22を有する。
【0037】
図12及び図13は、ほぼL字形の入隅(internal corner)接合ストリップ6の形のトリム要素を示している。「L」の形のコーナーは、2つの表面25及び25’を有するコーナー構成23をもたらすように内方向に段がつけられており、図17に示すように、横方向に配列されたアレイのパネルの端部をこれらの表面に接して位置合わせすることができる。
【0038】
図12に最もわかりやすく示すように、表面25’は表面25よりも幅広である。この幅の違いにより、横方向に配列されたパネルの接する端部が部分的に重複し、整った外観をコーナーにもたらすことができる。横方向に配列されたパネルのコーナーエッジを揃えることは、パネルの製作公差及び/又は建築物のクリープにより不可能ではないにしても困難なことが多いため、このことは有利であることが理解されよう。
【0039】
図14及び図16に示すように、入隅及び出隅接合ストリップを単にコーナー構成のないL字形部材としてもよい。これらの実施の形態では、横方向に隣接するパネルによってパネルの端部を留め継ぎし、留め継ぎされたコーナーを形成することができる。
【0040】
パネル自体は繊維セメントからなることが好ましいが、風雨にさらされても耐久性が許容可能な材料であればいずれの材料からなっていてもよい。殆どの形態では、パネルは長さ対幅の比が4よりも大きく、製品が使用される領域において従来からある多様な骨組間柱の間隔に対応する長さを有する。オーストラリアの市場では、好適な長さは4.2mである。
【0041】
この比較的簡潔なシステムは実質的にどのような建築の壁構造物にも適用可能であるが、木材又は金属からなる骨組の壁構造物にとりわけ適していることが理解されよう。これらの構造物を使用する際、まず、エッジ又は接合ストリップ6が、アレイ4のエッジを定める垂直の間柱部材に固定される。次に、図1に示すように、端部9がリブ20に接した状態で第1の平面パネル2が位置決めされ、一連の隣接する垂直の間柱部材25にほぼ水平の向きで固定される。図3及び図4に示すようなパネルが重複する実施の形態のうちの1つが使用される場合、パネル2は、第1の主要面が外を向き、第1の凹部が最上にある状態で配置される。
【0042】
パネルは、使用する材料によって殆ど決まるいずれかの好適な手段により、その下の構造骨組に固定される。被覆パネルが打ち込み可能な材料からなり、間柱が木材又は打ち込み可能な金属の部分である場合、従来の釘か、好ましくは、隠すのがより容易な無頭釘を使用することができる。凹部13の幅によっては、次のパネルが上に配置されたときに固定箇所が隠れるように、最も外側のエッジに隣接する凹部の部分に沿って固定が行われることが好ましい。パネルの長さに沿った固定の間隔は、間柱の間隔と、製造規約及び/又は関連する建築基準法により推奨される間隔によって決定される。次いで、先と同様に、端部9が接合ストリップ6上でリブ20と位置合わせされた状態で、第2のパネルが下に位置するパネルの上に配置される。各アレイが完成するまでこのプロセスが繰り返される。図8に示すように、壁が窓又はドアなどの開口を含む場合、適合するようにパネル2を必要に応じて切断することができる。
【0043】
被覆材システムを用いて幅広い美的効果が得られることを当業者は理解するであろう。例えば、図8に示す各パネルは端部にコーナーのディテールを含み、コロニアル様式の砂岩建築物のコーナーの外観を複製する人造石ブロック効果を得ている。1つの実施の形態では、コーナーのディテールは、パネルの端部の着色によって2次元の形態でもたらされる。他の実施の形態では、コーナーのディテールは、隅石を置く(quoining)、即ち被覆材の更なる部分をパネルの端部に固定することによって3次元の形態で得られる。被覆材の更なる部分には、着色又は彫刻パターンなど、他の視覚的なディテールによって精細な装飾を施すことができる。被覆材の更なる部分の端部は、図8に示すコーナーの外観をもたらすように留め継ぎにされることが好ましい。
【0044】
ここで図9を参照すると、本発明の実施の形態を用いて得ることのできる更なる美的効果が示されている。この例では、被覆材システムは複合壁システム90の一部として用いられており、このシステムにおいて、複合壁の上部96及び下部98は従来の下塗りされたパネル構造からなり、壁の中央部91は、本発明による石造レプリカ被覆材システム1の実施の形態を用いて形成されている。
【0045】
従って、完成した被覆材システムの一部のみを、石造レプリカ被覆材システムを用いて形成できることが理解されよう。例えば、完成した被覆材システムは、ドア又は窓の周りに嵌まるように切断された数枚のパネルを含み、これらのパネルの端部が他のパネルの端部と揃わなくなるようにすることができる。
【0046】
更に、説明した好適な実施の形態は骨組構造に直接取り付けられるが、骨組に固定されたある種の板又は被覆材を既に含むハウジング構造にもシステムを使用できることが理解されよう。例えば、システムを目板の上に設置したり、石造の壁の上に直接設置したりすることができる。
【0047】
また、内壁及び外壁の双方を被覆するために石造レプリカ被覆材システムを必要に応じて使用できることが理解されよう。
【0048】
具体例を参照しながら本発明を説明したが、本発明を多くの他の形態で具現化できることが当業者によって理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ長方形の平面パネルを複数含み、各パネルが、
背中合わせの第1及び第2の主要面と、
第1及び第2の主要対向エッジと、
一対の対向端部と、
を有し、各平面パネルが、使用時に凹形のモルタル接合部を模するように構成された第1の凹部を、前記第1の主要エッジに隣接する第1の主要面に更に有し、壁被覆材の少なくとも一部分を形成するのに使用される場合、第1の平面パネルの前記第1の主要エッジは隣接する第2の平面パネルの前記第2の主要エッジに隣接して配置され、各パネルの前記対向端部は隣接するパネルの対応する対向端部とほぼ位置合わせされ、平面パネルのほぼ長方形のアレイの各サイドエッジを形成する、
石造レプリカ被覆材システム。
【請求項2】
前記第1の主要エッジに隣接する前記第1の主要面に形成された前記凹部が、前記擬似凹形モルタル接合部の意図される幅を越えた幅を有し、
各平面パネルはまた、前記第2の主要エッジに隣接する第2の主要面に少なくとも1つの第2の凹部を含み、壁被覆材の形成に使用される際、第1の平面パネルの前記第2の主要エッジが第2の平面パネルの前記第1の主要エッジと少なくとも部分的に重複するよう構成されている、請求項1に記載の石造レプリカ被覆材システム。
【請求項3】
対応する前記第1の主要エッジに隣接する各平面パネルの前記第1の主要面の前記凹部が、前記パネルを前記第1の凹部の内側部分に固定することを容易にするように十分な幅を有し、これにより、使用時に、隣接するパネルの重複する前記第2の主要エッジによって前記固定が隠される、請求項2に記載の石造レプリカ被覆材システム。
【請求項4】
各パネルの前記第1の主要面の前記第1の凹部が、前記第2の主要面に形成された前記第2の凹部の最も内側のエッジの対応する保持構成と内部係合するように構成された第1の保持構成を含み、前記第1の保持構成は、使用時に隣接するパネルと係合して位置合わせされるように各パネルを位置決めし、保持する機能を果たす、請求項2又は請求項3に記載の石造レプリカ被覆材システム。
【請求項5】
前記第1の主要エッジ上の係合構成が、前記第1の主要エッジに隣接する前記第2の主要面の輪郭をかたどることによって形成された楔構成を含む、請求項4に記載の石造レプリカ被覆材システム。
【請求項6】
前記隣接するパネル端部によって形成された各長方形アレイの少なくとも1つのサイドエッジに耐候性の接合を提供する少なくとも1つの長手方向端部トリム要素を更に含む、前述の請求項のうちいずれか1項に記載の石造レプリカ被覆材システム。
【請求項7】
各パネルの各端部が平面の当接表面を画定する、前述の請求項のうちいずれか1項に記載の石造レプリカ被覆材システム。
【請求項8】
各パネルの各端部が、前記平面の当接表面を画定するために四角形に又は留め継ぎとされる、請求項7に記載の石造レプリカ被覆材システム。
【請求項9】
各平面パネルが細長い、前述の請求項のうちいずれか1項に記載の石造レプリカ被覆材システム。
【請求項10】
細長い長方形の各平面パネルの主要面の長さ対幅の比が4よりも大きい、前述の請求項のうちいずれか1項に記載の石造レプリカ被覆材システム。
【請求項11】
壁構造物であって、
壁の基礎構造と、
前記壁の基礎構造に固定された複数のほぼ長方形の平面パネルであって、各パネルが、
背中合わせの第1及び第2の主要面と、
第1及び第2の主要対向エッジと、
一対の対向端部と、
を有し、各平面パネルが、使用時に凹形のモルタル接合部を模するように構成された第1の凹部を、前記第1の主要エッジに隣接する第1の主要面に更に有し、壁被覆材の少なくとも一部分を形成するのに使用される場合、第1の平面パネルの前記第1の主要エッジは隣接する第2の平面パネルの前記第2の主要エッジに隣接して配置され、各パネルの前記対向端部は隣接するパネルの対応する対向端部とほぼ位置合わせされ、平面パネルのほぼ長方形のアレイの各サイドエッジを形成する、
壁構造物。
【請求項12】
各平面パネルが細長い、請求項11に記載の壁構造物。
【請求項13】
前記パネルがほぼ水平の配置で前記壁の基礎構造に固定される、請求項11又は請求項12に記載の壁構造物。
【請求項14】
石造レプリカ被覆壁の組立方法であって、
壁の基礎構造を立てるステップと、
ほぼ長方形の平面パネルのアレイを前記壁の基礎構造に固定するステップであって、各パネルが、
背中合わせの第1及び第2の主要面と、
第1及び第2の主要対向エッジと、
一対の対向端部と、
を有し、各平面パネルが、使用時に凹形のモルタル接合部を模するように構成された第1の凹部を、前記第1の主要エッジに隣接する第1の主要面に更に有し、壁被覆材の少なくとも一部分を形成するのに使用される場合、第1の平面パネルの前記第1の主要エッジは隣接する第2の平面パネルの前記第2の主要エッジに隣接して配置され、各パネルの前記対向端部は隣接するパネルの対応する対向端部とほぼ位置合わせされ、平面パネルのほぼ長方形のアレイの各サイドエッジを形成する、
前記方法。
【請求項15】
各平面パネルが細長い、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2010−520388(P2010−520388A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552030(P2009−552030)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/AU2008/000304
【国際公開番号】WO2008/106735
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(507275969)ジェイムズ ハーディー インターナショナル ファイナンス ビー.ブイ. (3)
【Fターム(参考)】