説明

建築用パネルの接続構造

【課題】建築用パネルどうしの接続部に隙間が生じたり、各建築用パネルの端部が直線性を保って全体としての寸法調整を容易に行える接続構造を提供する。
【解決手段】建築用パネルの左右側面部にその長さ方向に沿って、上部エッジ部31と下部エッジ部32とを含む係合用凹溝3を設け、隣接する該建築用パネルのそれぞれの係合用凹溝3を接続部材Cによって接続する構造であって、該接続部材Cは断面略V字形の目地部材2と上フランジ11と下フランジ12とウエブ13とからなる断面略H型ジョイナ1とから構成され、上記上フランジ11は相対向する係合用凹溝3に嵌合し、上記下フランジ12は相対向する下部エッジ部32を支持し、相対向する上部エッジ部31間に断面略V字形の目地部材2を嵌入してなる建築用パネルの接続構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は建築用パネルに関し、さらに詳しくは、建築用パネル本体の側面部に、その長さ方向に設けられる係合用凹溝と、隣接する建築用パネル本体の側面部の長さ方向に設けられる係合用凹溝とを接続する構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、建築用パネルとしては、合板、集成材、中密度繊維板(MDF)、パーティクルボード等、種々の木質基材そのもの、あるいはそれらに突き板を貼着したり、木目模様の化粧紙を接着する等、表面化粧したもの、または、WPB(ウッドプラスチックボード)を表面化粧したもの等、種々の基材が建築用パネルとして広く利用されている。
上記建築用パネルは正方形または長方形に形成され、複数枚の建築用パネルを接続部材を用いて接続し、例えば、フローリング用、間仕切り壁用あるいは外装材用にパネルシステムとして利用されている。通常、上記パネルシステムは、建築用パネルの本体左右側面部に係合用凹溝をその長さ方向に設け、隣接する建築用パネルの係合用凹溝どうしを接続部材で接続して複数の建築用パネルを連結し、例えば、床面のフローリングに用いられる。
【0003】
本願図3は、隣接するフローリング材を断面コ字形の目地部材と断面略H型ジョイナとからなる公知の接続部材Dによって接続した状態を示す説明図である。本願図3に示されているように、従来の角形で直線的な形状を有する定尺の接続部材を用いたとき、フローリング材のカット誤差、あるいは現場の寸法誤差等の理由により、上記断面コ字形の目地部材が所定の幅で納まらず、本願図3に白抜き矢印で示すように隙間が生じることがある。
このように、従来の接続部材で複数枚の建築用パネルを接続して敷設したとき、パネルのカット誤差、現場の施工誤差等により、接続部に上記した隙間が空いたり、各パネルの端部が直線性を保って敷設されず、全体としての寸法調整が困難になるという問題が生じる。
【0004】
一方、特開平9−53280号公報には、建物の外壁部の目地を施工する場合において、目地幅のバラツキが大きくても施工可能な目地材が提案されている。
【0005】
すなわち、上記公報にはその図1に示されているように、断面がU字形あるいはV字形に形成された本体と、該本体の外側に設けられた防水性シーリング材と、前記本体の開口端部間に架橋された架橋部材とよりなり、前記本体と架橋部材のうち少なくとも一方がばね材で形成されていることを特徴とし、防水性シーリング材が、本体および架橋部材のうち少なくとも一方のばね材で、壁面に押圧され目地を確実に密封する目地材が開示されている。そして、目地幅のバラツキが大きくても施工可能であり、シーリング材が壁面に常に押圧されているので常に気密・水密性で保持され、外壁側面が雨水等を吸収してカビが発生したり、漏水したりすることがないとの効果が述べられている。
【特許文献1】特開平9−53280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、上記背景技術に鑑みてなしたものであり、その目的は、建築用パネル、例えば、表面を突き板で化粧した化粧合板を床面に敷設してフローリングを行う場合、化粧合板の寸法誤差や現場の施工誤差等により、化粧合板どうしの接続部に隙間が生じたり、各々の化粧合板の端部が直線性を保って配設されずに全体としての寸法調整が困難であるときに、これらの問題点を解決して簡単に、見映え良く、施工することのできる建築用パネルの接続構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本願請求項1に記載の発明に係る建築用パネルの接続構造は、建築用パネルの左右側面部にその長さ方向に沿って、上部エッジ部と下部エッジ部とを含む係合用凹溝を設け、隣接する該建築用パネルのそれぞれの係合用凹溝を接続部材によって接続する構造であって、該接続部材は断面略V字形の目地部材と上フランジと下フランジ12とウエブ13とからなる断面略H型ジョイナ1とから構成され、上記上フランジは相対向する係合用凹溝に嵌合し、上記下フランジは相対向する下部エッジ部を支持し、相対向する上部エッジ部間に断面略V字形の目地部材を嵌入してなることを特徴としている。
【0008】
本願請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の建築用パネルの接続構造において、上記断面略V字形の目地部材と上フランジと下フランジとウエブとからなる断面略H型ジョイナとから構成される接続部材が弾性を有する材料から形成されてなることを特徴としている。
上記弾性を有する材料としては、例えば、ステンレススティール等の金属、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック材料等をあげることができる。
【0009】
本願請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の建築用パネルの接続構造において、上記断面略V字形の目地部材のV字突出片の上端が直立片部とされていることを特徴としている。
【0010】
本願請求項4に記載の発明は、上記請求項1に記載の建築用パネルの接続構造において、上記断面略V字形の目地部材と断面略H型ジョイナとが一体的に形成されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本願請求項1記載の発明に係る建築用パネルの接続構造においては、隣接する建築用パネルを接続する接続部材が断面略V字形の目地部材と断面略H型ジョイナとからなり、隣接する建築用パネルどうしの接続部に断面略V字形の目地部材を嵌入してなるため、例えば、建築用パネルをフローリング材とした場合に、フローリング材自体の寸法誤差や現場の施工誤差等により、床面に敷設したフローリング材とフローリング材との接続部に隙間が生じることなくV字形の開先部が納まり、見映えよく施工できる。また、全体としての寸法調整を容易に行え、作業性よく施工することができる。
【0012】
本願請求項2記載の発明に係る建築用パネルの接続構造においては、特に、上記断面略V字形の目地部材と断面略H型ジョイナとからなる接続部材とが弾性を有する材料から形成されているため、例えば、フローリング材とフローリング材との接続部が一定の幅でない場合、弾性材料から形成された上記断面略V字形の目地部材は、目地幅に応じて弾性的に変位可能であるため、隙間を埋めるように目地に嵌入されて、外観性よくフローリングの施工を行うことができる。
【0013】
本願請求項3記載の発明に係る建築用パネルの接続構造においては、特に、上記断面略V字形の目地部材のV字突出片の上端を直立片部とすることにより、フローリング材とフローリング材との接続部に嵌入された目地部材のV字突出片が上端の直立片部で面接触するため、さらにぴったりと隙間を生じることなく納まり、見映えよく、かつ、全体としての寸法調整を容易に行うことができる。
【0014】
本願請求項4記載の発明に係る建築用パネルの接続構造においては、特に、上記断面略V字形の目地部材と断面略H型ジョイナとが一体的に形成されているため、フローリング材とフローリング材との接続および目地部材の嵌入という操作を1回の作業で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本願発明に係る建築用パネルの接続構造の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施形態においては、建築用パネルとして、合板に突き板を貼着して木目模様に表面化粧したフローリング材に、本願発明に係る接続構造を適用した場合について述べる。
【0016】
図1は、隣接するフローリング材Aとフローリング材Bとを断面略V字形の目地部材2と断面略H型ジョイナ1とからなる接続部材Cによって接続した状態を示す断面図である。図1に示すように、上記断面略H型ジョイナ1は上フランジ11と下フランジ12と両者を結合するウエブ13とからなるとともに、フローリング材Aとフローリング材Bの本体左右側面部には、各々係合用凹溝3が長さ方向に穿って設けられ、それぞれ上部エッジ部31と下部エッジ部32とを含んで形成されている。
【0017】
上記断面略H型ジョイナ1の上フランジ11は上記フローリング材A、Bの側面部に設けられた相対向する係合用凹溝3に嵌合するとともに、下フランジ12は、フローリング材A、Bの相対向する下部エッジ部32を弾性的に支持固定し、このようにして、フローリング材Aとフローリング材Bとは互いに結合される。
【0018】
一方、フローリング材自体のカット誤差や現場の施工誤差等により、フローリング材Aの上部エッジ部31とフローリング材Bの上部エッジ部31との間、すなわち目地幅は常に一定とはならず多少のバラツキが生じる。ここで、弾性材料から形成された断面略V字形の目地部材2は、上部エッジ部31どうしの接続部の間に嵌入されるが、目地部材2は目地幅に応じて弾性的に変位可能であるため、隙間が生じることなく嵌入され、見映えよくフローリングを施工することができる。
【0019】
図1に示した実施形態では、断面略V字形の目地部材2の基底部21は平坦とされるとともに、該目地部材2は断面略H型ジョイナ1とは別部材とされているが、これらを接着、ビス留め等の手段により一体的に形成してもよい。このとき、フローリング材Aとフローリング材Bとの接続および目地部材の嵌入という操作を1回の作業で行うことができる。
【0020】
図2は、本実施形態の変形例を示す断面図である。図2に示されているように、本変形例においては、接続部材Cを構成する上記断面略V字形の目地部材2のV字突出片の上端が直立片部22とされている。このようにすることにより、直立片部22がフローリング材A、Bの上部エッジ部31に面で接触するため、さらにぴったりと隙間を生じることなく納まり、見映えよく、かつ、全体としての寸法調整をさらに容易に行うことができる。
【0021】
なお、上記実施形態は建築用パネルとして、フローリング材を用いた場合について述べたが、フローリング材のみならず、間仕切り用パネル等についても適用可能である。このように本願発明に係る建築用パネルの接続構造は設計変更自在であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、いずれの場合も本願発明の技術的範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】隣接するフローリング材を断面略V字形の目地部材と断面略H型ジョイナとからなる本願発明に係る接続部材によって接続した状態を示す断面図。
【図2】隣接するフローリング材を断面略V字形の変形目地部材と断面略H型ジョイナとからなる本願発明に係る接続部材によって接続した状態を示す断面図。
【図3】隣接するフローリング材を断面コ字形の目地部材と断面略H型ジョイナとからなる従来の接続部材によって接続した状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0023】
A フローリング材
B フローリング材
C 接続部材
D 公知の接続部材
1 断面略H型ジョイナ
11 上フランジ
12 下フランジ
13 ウエブ
2 目地部材
21 基底部
22 直立片部
3 係合用凹溝
31 上部エッジ部
32 下部エッジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築用パネルの左右側面部にその長さ方向に沿って、上部エッジ部と下部エッジ部とを含む係合用凹溝を設け、隣接する該建築用パネルのそれぞれの係合用凹溝を接続部材によって接続する構造であって、該接続部材は断面略V字形の目地部材と上フランジと下フランジとウエブとからなる断面略H型ジョイナとから構成され、上記上フランジは相対向する係合用凹溝に嵌合し、上記下フランジは相対向する下部エッジ部を支持し、相対向する上部エッジ部間に断面略V字形の目地部材を嵌入してなる建築用パネルの接続構造。
【請求項2】
上記断面略V字形の目地部材と、上フランジと下フランジとウエブとからなる断面略H型ジョイナとから構成される接続部材が弾性を有する材料から形成されたものである請求項1に記載の建築用パネルの接続構造。
【請求項3】
上記断面略V字形の目地部材のV字突出片の上端が直立片部とされてなる請求項1に記載の建築用パネルの接続構造。
【請求項4】
上記断面略V字形の目地部材と断面略H型ジョイナとが一体的に形成されてなる請求項1に記載の建築用パネルの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−24735(P2010−24735A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188508(P2008−188508)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】