説明

建築用ボード及びその製造方法

【課題】 人体に悪影響がなく、優れた化学物質吸着能を備える建築用ボード及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 シラスバルーン12及びバインダー13を板状に成形して製造される建築用ボード10であって、竹炭粉11を含む圧縮成形物であり、竹炭粉11、シラスバルーン12、及びバインダー13を混合した後、15〜40kg/cm2 で圧縮して製造する。これにより、建築用ボード10は、異なる化学物質、特に汚染物質を吸着することができる。また、建築用ボード10は、異なる波長の遠赤外線及びマイナスイオンを発生すると共に、調湿効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹炭粉及びシラスバルーンを含む建築用ボード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等の壁、天井、又は床等に使用される建築用ボードとして、石膏ボードや有機系耐火材料を用いたボードが開発されている。石膏ボードは、防火性に優れ、多くの住宅に使用されているが、有機系バインダーや接着紙を含み、安易に焼却処理ができず、管理型産業廃棄物に指定されている。このため、住宅等の解体時に発生する石膏ボードの廃材の処分に多大な費用がかかっている。また、有機系耐火材料、例えば、フルオロカーボン系の材料を含有する建築用ボードは、有機化合物成分が漏出して、人体に蓄積されることによる健康被害が懸念されている。
【0003】
また、無機質であるシラスは、南九州の鹿児島県を中心として、宮崎県及び熊本県に分布する白色砂質の非固結(ガラス質)堆積物であって、更新世(洪積世)後期に火山から噴出した火砕流の堆積物のうち、白く見える非溶結部とその二次的堆積物等を有している。そこで、このシラスの有効利用の一つとして、シラスを電気炉、ロータリーキルン、又は熱風炉等によって高温に加熱する(例えば、特許文献1参照)、又は高温の媒体流動層の中に、ガス分散板の下から流動化空気にシラスを混合して吹き込んで加熱する(例えば、特許文献2参照)等して、850〜1150℃で、10秒〜10分間の熱処理を行って発泡させて製造する微細な中空ガラス球状のシラスバルーンがある。
【0004】
シラスバルーンは、多孔質であり、例えば、平均粒径が30〜300μm、タップ充填かさ密度が0.1〜0.4g/cm3 、粒子密度が0.7〜1.2g/cm3 、熱伝導率0.06〜0.1W/m・K、及び白色度が72〜83となっており、不燃性、高融点、低熱伝導率、無色、低かさ比重、無害、有毒ガスの発生がない、及び低価格であるという特徴がある。
【0005】
このシラスバルーンにバインダーとして水ガラスを添加して混練し、炭酸ガスを注入して硬化させた後、更に高温で加熱して焼成した建築用ボードが開発されている(例えば、特許文献3参照)。この建築用ボードは、シラスバルーンの多孔質性により、軽量で、耐熱性、耐火性、保温性、及び断熱性を備え、しかも、揮発性有機化学物質(VOC)及びアンモニア等の化学物質を吸着することができる。
【0006】
【特許文献1】特公昭48−17645号公報
【特許文献2】特公昭51−22922号公報
【特許文献3】特開平11−12058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3の発明では、建築用ボードは、高温で加熱して焼成しなければならず、製造工程が多くなると共に、コストがかかるという問題があった。また、特許文献3の発明方法によりシラスバルーンで形成した建築用ボードでは、化学物質を広範囲に吸着することができないという問題もあった。
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、製造工程が少なく、優れた化学物質吸着能を備える建築用ボード及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的に沿う本発明に係る建築用ボードは、シラスバルーン及びバインダーを含む建築用ボードであって、該建築用ボードは、更に竹炭粉を含み、かつ圧縮成形物である。
【0010】
竹炭粉の原料である竹は、マダケ、モウソウチク、ハチク、ナリヒラダケ、トウチク、シホウチク、ホウライチク、及びオカメザサ等のいずれも使用できる。近年、人手不足等によって食用とする筍の多くが未採掘となっていると共に、成長した竹の利用(例えば、竹細工等)も少なくなって伐採されず、管理が不十分な竹林が多くなっている。このような管理不十分な竹林では、竹の侵攻が進んで保水力が低下すると共に、竹林に隣接するスギやヒノキ等への被害が起こるという森林破壊が起こっており、その有効な利用方法が望まれていた。
【0011】
そこで、竹を蒸し焼きにして炭化した竹炭が製造されている。竹炭には、1000℃以上で炭化した高温炭、500〜1000℃程度で炭化した中温炭、500℃以下で炭化した低温炭があるが、高温炭が好適に使用される。この竹炭は、多孔質であり、化学物質の吸着効果に優れているので、消臭剤として使用されている。また、竹炭は、優れた調湿効果も有し、更に遠赤外線の放出もみられる。
このような竹炭を平均粒径が5〜30μm程度、好ましくは10μm程度となるように粉砕して製造した竹炭粉はシラスバルーンよりも微細に形成されるので、圧縮形成される際に、隣り合う球形のシラスバルーンの隙間に入り込み、耐熱性に優れるシラスバルーンによって、竹炭粉は受熱されず、着火して燃焼し難くなり建築用ボードに耐火性を付与する。
【0012】
また、シラスバルーンは、南九州の鹿児島県を中心として宮崎県及び熊本県に分布する白色砂質の非固結(ガラス質)堆積物である無機質のシラスを、850〜1150℃で、10秒〜10分間の熱処理を行って発泡させて製造した微細な中空ガラス球状のものであるが、本発明においては、前記した地方で産出するシラス以外に、摩周、北見、十勝、支笏、洞爺、十和田、箱根、飛騨、耶馬渓、九重、又は阿蘇等で産出する非固結堆積物を発泡させたものを使用してもよい。
バインダーは、無機系であるのが好ましい。無機系のバインダーとしては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)、ケイ酸カリウム、又はセメント等がある。なお、合成樹脂等の有機系のバインダーを使用することもできる。
【0013】
本発明に係る建築用ボードにおいて、前記圧縮成形物にはフェライトが添加されてもよい。フェライト(複合フェライト)は、置換M型六方晶系、Mn−Zn系、Ni−Zn−Cu系、超微粒子Ni−Zn系、及びMg−Zn−Cu系等がある。
本発明に係る建築用ボードにおいて、前記圧縮成形物には酸化チタンが添加されてもよい。酸化チタンとしては、ルチル型よりも光触媒能の高い、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。
【0014】
前記目的に沿う本発明に係る建築用ボードの製造方法は、竹炭粉、シラスバルーン、及びバインダーを混合した後、15kg/cm2 以上かつ40kg/cm2 以下、好ましくは20kg/cm2 以上かつ30kg/cm2 以下で圧縮する。15kg/cm2 未満では、板状に形成することが難しく、40kg/cm2 を超えると、シラスバルーンが壊れることがある。
【0015】
本発明に係る建築用ボードの製造方法において、前記竹炭粉は竹を自発炭化させた竹炭を粉砕して作製するのが好ましい。竹の自発炭化は、例えば、竹を充填した炭化室にプロパンガスで短時間、例えば、1〜2分間熱風を送り、竹の一部を熱分解させた後、この熱分解時に発生する熱を炭化室内の竹に伝播させて竹の熱分解を促進し、炭化室内の竹を完全に炭化する。なお、自発炭化では、600℃以上で高温炭が生成する。
このように、従来既存のロータリーキルンによる炭化法、還流法、及び半還流法では、乾留ガス成分を竹炭から取り除くことができず、高性能な竹炭を作成することはできないが、自発炭化では、乾留ガス成分を効果的にほぼ全て竹炭から取り除くことが可能であり、高性能な竹炭を作成することができる。
【0016】
本発明に係る建築用ボードの製造方法において、前記竹には予め酸化チタンゾルが塗布されていてもよい。酸化チタンゾルは、平均粒子径が約10nmの二酸化チタンを、例えば、水、メタノール、又はアセトン等にゾル化させたものであり、チタン成分の90%以上がアナターゼ型に結晶化している。竹に酸化チタンゾルを塗布した後、予備乾燥してもよい。
本発明に係る建築用ボードの製造方法において、前記自発炭化時に還元的雰囲気で前記竹に酸化チタンゾルを吹き付けてもよい。竹に酸化チタンゾルを吹き付けた後、予備乾燥してもよい。
なお、本発明において、シラスとしては、南九州以外、例えば、北海道、東北、関東で産出されるガラス質堆積物も含む。
【発明の効果】
【0017】
請求項1〜4に記載の建築用ボードにおいては、竹炭粉及びシラスバルーンを含むので、竹及びシラスの有効利用ができる。また、竹を使用することにより、竹の侵食による森林破壊を防いで森林保全ができる。更に、竹林を整備等のために多くの雇用が見込まれる。竹炭粉及びシラスバルーンは、サイズの異なる空孔を備えているので、それぞれ異なる化学物質、特に汚染物質を吸着することができ、高い空気清浄効果が認められる。また、含まれる竹炭粉及びシラスバルーンは、異なる波長の遠赤外線を発生し、健康増進効果が増す。更に、竹炭粉及びシラスバルーンにより、水蒸気を吸収及び放出して調湿効果が得られると共に、マイナスイオンを発生することができる。バインダーによって、竹炭粉及びシラスバルーンを圧縮形成した際に強固に結合できる。
【0018】
特に、請求項2記載の建築用ボードにおいては、バインダーが無機系であるので、ボードの原材料を全て無機質で形成することができ、環境に優しい。また、全て無機質の材料で形成することにより、火災時にはシアンガスやフルオロカーボンなどの有毒ガスが発生せず、安全である。従って、火災時に有毒ガスが籠もりやすいトンネル等に好適に使用できる。
請求項3記載の建築用ボードにおいては、フェライトが添加されているので、電磁波を遮断することができる。
請求項4記載の建築用ボードにおいては、酸化チタンが添加されているので、光触媒による有機化合物の分解を行うことができる。従って、トンネル等に使用して、紫外線光源の微量な光で排気ガスを分解することができる。
【0019】
請求項5〜8に記載の建築用ボードの製造方法においては、竹炭粉、シラスバルーン、及びバインダーを混合して、15kg/cm2 以上かつ40kg/cm2 以下で圧縮して成形するので、強固な建築用ボードが形成できる。
特に、請求項6記載の建築用ボードの製造方法において、竹炭粉は竹を自発炭化させた竹炭を粉砕して作製するので、燃料費が低く抑えられ、安価に製造できる。
請求項7記載の建築用ボードの製造方法においては、竹に予め酸化チタンゾルが塗布されているので、竹に簡単に効率よく酸化チタンを付加することができる。
請求項8記載の建築用ボードの製造方法においては、自発炭化時に竹に還元的雰囲気でチタンゾルを散布するので、竹に簡単に酸化チタンを付加することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の第1及び第2の実施の形態に係る建築用ボードの製造方法のフローチャート、図2は本発明の第3の実施の形態に係る建築用ボードの製造方法のフローチャート、図3は同建築用ボードに使用した二酸化チタンを担持した竹炭粉の電子顕微鏡写真である。
【0021】
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る建築用ボード10及びその製造方法について説明する。
建築用ボード10は、竹炭粉11、シラスバルーン12、及びバインダー13を撹拌して均一に混合した後、この混合物14を15kg/cm2 以上かつ40kg/cm2 以下で圧縮した圧縮成形物である。
ここで、シラスバルーン12は、シラス15を加熱して発泡させた平均粒径が30〜300μm(例えば、95μm。豊和直株式会社製)のものを使用した。竹炭粉11は、例えば、モウソウチク(竹の一例)16を、炭化炉(例えば、株式会社豊新製、商品名「エコ炭くん」)17を使用して、約600℃で自発炭化させた竹炭(高温炭)18を、平均粒径が5〜20μm(例えば、10μm)となるように粉砕して作製した。バインダー13は、無機系であるケイ酸カリウムを使用した。なお、バインダーとしては、無機系のケイ酸ナトリウムやセメント、又は有機系の合成樹脂等も使用できる。
【0022】
竹炭粉11、シラスバルーン12、及びバインダー13を、撹拌翼付の混合機19で混合し、成分が均一となるように撹拌して混合物14を得る。ここで、混合物14は、シラスバルーン12の質量を1として、例えば、竹炭粉11の質量が0.1〜2.5程度、またバインダー13の質量が0.05〜0.1程度となるように混合されている。混合物14を、常温で(なお、50〜150℃のホットプレスを用いてもよい)プレス機20によって15〜40kg/cm2 、例えば、20kg/cm2 の圧力をかけて板状に圧縮して建築用ボード10を製造した。
【0023】
また、図1に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る建築用ボード30は、竹炭粉11、シラスバルーン12、及びバインダー13の他に、更にフェライト31を混合した混合物32を使用した点で建築用ボード10と異なっている。ここで、フェライト21は、例えば、置換M型六方晶系を使用し、シラスバルーン12の質量を1として、例えば、質量が0.1〜0.5程度、例えば、0.1混合している。なお、フェライトとして、Mn−Zn系、Ni−Zn−Cu系、超微粒子Ni−Zn系、又はMg−Zn−Cu系も使用できる。
【0024】
図2に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る建築用ボード40では、モウソウチク16の表面に、二酸化チタンゾル(例えば、株式会社鯤(コン)コーポレーション製、商品名「TOsol」)41を、例えば、1cm2 当たり1ml(二酸化チタンゾル1ml中には、実質的に二酸化チタンが0.85質量%含まれる)塗布した後、これを予備乾燥したものを炭化炉17で炭化し、生成した竹炭42を粉砕して竹炭粉43を製造している。これにより、図3に示すように、竹炭粉43の表面には、例えば、1kgの竹炭粉43に対して、10〜100gの二酸化チタンが粒子状に担持される。この竹炭粉43、シラスバルーン12、及びバインダー13を混合して均一に撹拌した混合物45をプレス機20で15〜40kg/cm2 、例えば、20kg/cm2 で板状に圧縮して建築用ボード40を製造した。なお、mlはミリリットルを表す。
【0025】
なお、炭化炉17にモウソウチク16を入れて自発炭化を行う際に、還元的雰囲気となっている炭化炉17内に二酸化チタンゾル41を噴霧し、モウソウチク16に二酸化チタンゾル41を吹き付けて二酸化チタンを担持させることもできる。
【実施例】
【0026】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
実施例1の建築用ボードは、竹炭粉を49kg(49質量%)、シラスバルーンを49kg(49質量%)、及びバインダーを2kg(2質量%)混合し、各成分が均一になるように撹拌した後、90cm角の型枠に入れ、プレス機で20kg/cm2 の圧力 (すなわち、90cm×90cm×20kg/cm2 =162000kg=162トン)をかけて板状に形成した。なお、建築用ボードの厚みは、例えば、2〜3cm(平均2.5cm)であった。
また、比較例の建築用ボードは、シラスバルーンを98kg(98質量%)、及びバインダーを2kg(2質量%)混合し、各成分が均一になるように撹拌した後、プレス機で20kg/cm2 の圧力をかけて板状に形成した。比較例の建築用ボードの厚みは、例えば、1.5〜2.5cm(平均2.0cm)であった。
【0027】
(試験1:化学物質の吸着試験)
実施例1及び比較例の建築用ボードを密閉容器内に入れ、ホルムアルデヒド、アンモニア、クロルピリホスをそれぞれ密閉容器内に添加した後、所定時間毎に密閉容器内の各化学物質の濃度をそれぞれ測定した。この結果、比較例の建築用ボードは、クロルピリホスの吸着があまり行われていないが、実施例1の建築用ボードは、竹炭粉を含んでいるので全ての化学物質を吸着していることが解った。
【0028】
(試験2:遠赤外線放出試験)
遠赤外線の放出量は、実施例1の建築用ボードが5〜24μmで90%以上であり、比較例の建築用ボードが4〜9μm、11〜18μm、及び19〜24μmの3つの範囲で80%以上であった。実施例1の建築用ボードは、シラスバルーンとは異なる波長で遠赤外線を放出する竹炭粉が含まれており、遠赤外線を高率で放出する波長が長いことが解った。実施例1の建築用ボードは、その放出される遠赤外線によって、温熱効果やマッサージ効果が期待できる。
【0029】
(試験3:マイナスイオン放出試験)
実施例1の建築用ボードのマイナスイオンの放出量は、比較例の建築用ボードよりも多いことが解った。このように、竹炭粉が含まれていると、マイナスイオンをより放出する効果があることが解った。なお、現在のところマイナスイオンをより放出する理由は不明であるが、竹炭とシラスバルーンは、細孔径や化学的性質が異なっており、これらの相補的或いは相乗的効果であると解される。
【0030】
(試験4:耐火試験)
実施例1の建築用ボードにガスバーナの火炎を近づける加熱接炎試験を行った。この建築用ボードは、約1000℃の高熱の火炎を接触させても着火しなかった。これは、シラスバルーンの高断熱性によって、シラスバルーン隙間にある竹炭粉が受熱されず、燃焼しなかったと解される。なお、比較例の建築用ボードは、材料が全て無機質で形成されているので燃焼しない。
【0031】
(試験5:調湿試験)
十分に乾燥した実施例1及び比較例の建築用ボードを密閉容器内に入れ、更に密閉容器内に水を噴霧して、密閉容器内の湿度を測定した。実施例1の建築用ボードは、比較例の建築用ボードよりも早く密閉容器内の湿度が一定となった。所定時間経過後、更に水を噴霧しても、実施例1の建築用ボードの方が早く湿度が平衡になった。また、実施例1及び比較例の建築用ボードを水に浸漬した後、乾燥している密閉容器内にそれぞれ入れて、密閉容器内の湿度を測定したところ、実施例1の建築用ボードを入れた密閉容器の湿度がより早く平衡に達した。
【0032】
(試験6:電磁波遮断試験)
竹炭粉を44kg(44質量%)、シラスバルーンを44kg(44質量%)、バインダーを2kg(2質量%)及びフェライトを10kg(10質量%)混合し、各成分が均一になるように撹拌した後、プレス機で20kg/cm2 の圧力をかけて板状に形成した実施例2の建築用ボードを製造した。
実施例1、実施例2、及び比較例の建築用ボードでそれぞれ密閉容器を作製し、内部の電磁波を測定したところ、実施例2の建築用ボードで作製した密閉容器内では、電磁波が検出されず、実施例2の建築用ボードの電磁波遮断効果が優れていることが解った。なお、実施例1の建築用ボードの電磁波遮断効果は、実施例2の建築用ボードよりも低いが、比較例の建築用ボードよりも高いことが解った。
【0033】
(試験7:光触媒反応試験)
二酸化チタンゾルを塗布した竹を炭化して作製した竹炭粉を49kg(49質量%)、シラスバルーンを49kg(49質量%)、及びバインダーを2kg(2質量%)となるように混合し、各成分が均一になるように撹拌した後、プレス機で20kg/cm2 の圧力をかけて板状に形成して、実施例3の建築用ボードを製造した。1kgの竹炭粉中には、およそ20gの二酸化チタンが含有されていた。
実施例3及び比較例の建築用ボードをそれぞれ密閉容器内に入れ、各密閉容器内に揮発性有機化学物質(VOC)を入れて、それぞれの建築用ボードに紫外線を照射し、所定時間毎に濃度を測定した。その結果、実施例3の建築用ボードを入れた密閉容器内のVOC濃度が減少し、二酸化チタンによる光触媒能が高いことが解った。
【0034】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の建築用ボード及びその製造方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態の建築用ボードにおいて、竹炭粉の原料である竹は、モウソウチクに限らず、マダケ、ハチク、ナリヒラダケ、トウチク、シホウチク、ホウライチク、及びオカメザサ等のいずれも使用できる。竹炭粉を自発炭化によって製造したが、どのような製造方法で作製してもよい。また、竹炭粉は、高温炭に限らず、中温炭又は低温炭も使用できる。また、本発明の建築用ボードは、粉砕して池、川、又は海等に浸漬して、水質浄化材としても使用できる。
なお、前記実施の形態の建築用ボードで使用した数値は、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1及び第2の実施の形態に係る建築用ボードの製造方法のフローチャートである。
【図2】本発明の第3の実施の形態に係る建築用ボードの製造方法のフローチャートである。
【図3】同建築用ボードに使用した二酸化チタンを担持した竹炭粉の電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
【0036】
10:建築用ボード、11:竹炭粉、12:シラスバルーン、13:バインダー、14:混合物、15:シラス、16:モウソウチク、17:炭化炉、18:竹炭、19:混合機、20:プレス機、30:建築用ボード、31:フェライト、32:混合物、40:建築用ボード、41:二酸化チタンゾル、42:竹炭、43:竹炭粉、45:混合物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シラスバルーン及びバインダーを含む建築用ボードであって、
該建築用ボードは、更に竹炭粉を含み、かつ圧縮成形物であることを特徴とする建築用ボード。
【請求項2】
請求項1記載の建築用ボードにおいて、前記バインダーが無機系であることを特徴とする建築用ボード。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の建築用ボードにおいて、前記圧縮成形物にはフェライトが添加されていることを特徴とする建築用ボード。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の建築用ボードにおいて、前記圧縮成形物には酸化チタンが添加されていることを特徴とする建築用ボード。
【請求項5】
竹炭粉、シラスバルーン、及びバインダーを混合した後、15kg/cm2 以上かつ40kg/cm2 以下で圧縮したことを特徴とする建築用ボードの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の建築用ボードの製造方法において、前記竹炭粉は竹を自発炭化させた竹炭を粉砕して作製したことを特徴とする建築用ボードの製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の建築用ボードの製造方法において、前記竹には予め酸化チタンゾルが塗布されていることを特徴とする建築用ボードの製造方法。
【請求項8】
請求項6記載の建築用ボードの製造方法において、前記自発炭化時に還元的雰囲気で前記竹に酸化チタンゾルを吹き付けることを特徴とする建築用ボードの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−77717(P2007−77717A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268812(P2005−268812)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(503152185)
【出願人】(505350008)有限会社チャコール豊新 (1)
【Fターム(参考)】