説明

建設機械のメインフレームおよびこれを備えた建設機械

【課題】十分な強度を確保しつつ、キャブの大型化にも対応可能な建設機械のメインフレームおよびこれを備えた建設機械を提供する。
【解決手段】ブルドーザ10のメインフレーム40は、ブルドーザ10の骨格部分を構成しており、船底形状を有するハルフレーム41と、ハルフレーム41の両側面にそれぞれ取り付けられる左右一対のフェンダフレーム42a,42bと、フェンダフレーム42a,42bの上部において幅方向に延伸するように鋳物一体成形された延伸部51,51bと、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ブルドーザ等の建設機械のメインフレームおよびこれを備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ブルドーザ等の建設機械では、船底形状のメインフレームに対して、ラジエータガード、トラックフレーム、フェンダおよびキャブ等の各部材が搭載されて構成されている。
例えば、特許文献1には、複数のフレームモジュールを組み合わせて構成されるメインフレームにおいて、荷重を受ける部位のフレームモジュールを鋳物一体化して構成した建設機械のメインフレーム構造が開示されている。
【特許文献1】WO2005/073473号公報(2005年8月11日国際公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の建設機械のメインフレームの構造では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された建設機械のメインフレームでは、作業機や作業機駆動用シリンダから付与される外力によって応力が集中しやすい部位を鋳物一体成形することで、メインフレームとして十分な強度を確保している。しかし、このようなメインフレームの構成では、近年のオペレータの快適性等を考慮したキャブの大型化に対して適切な対応が可能とは言い難い。
【0004】
特に、キャブの大型化に伴って、キャブの四隅を支持するROPSブラケット等の部材は、メインフレームの外側において支持できるように、形状が複雑化してしまうという問題もある。
本発明の課題は、十分な強度を確保しつつ、キャブの大型化にも対応可能な建設機械のメインフレームおよびこれを備えた建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明に係る建設機械のメインフレームは、建設機械の骨格部分を構成するメインフレームであって、第1フレームと、第2フレームと、延伸部と、を備えている。第1フレームは、建設機械の中心部分に配置され、船底形状を有する。第2フレームは、第1フレームの左右側方にそれぞれ配置されており、建設機械の走行装置が取り付けられる側面を構成する。延伸部は、建設機械のフェンダ部分に相当する部分において幅方向に延伸するように、第2フレームとともに鋳物一体成形されている。
【0006】
ここでは、例えば、船底型のハルフレーム(第1フレーム)の左右の側面に取り付けられ、走行装置等を支持する第2フレーム上部のフェンダ部分に、幅方向に延伸させた延伸部を、第2フレームの鋳物成形時に一体化して成形している。
ここで、上記延伸部は、建設機械(メインフレーム)の幅方向において、第2フレームの上部が左右に突出するように延伸している。そして、この延伸部には、建設機械のオペレータが乗降するキャブを下方から支持する土台等として、メインフレームにおける他の部品と比べて十分な強度が要求される。また、第2フレームは、メインフレームの左右の側面を形成するとともに、例えば、トラックフレーム等に連結されるピボットシャフトのような重量物が取り付けられるため、鋳物製品として形成され、メインフレームにおける他の部分と比較して強度的に優れている。なお、上記幅方向とは、建設機械の前進方向に直交する車体の幅方向を意味するものとする。
【0007】
これにより、強度的に優れた第2フレームの上方において幅方向に延伸する延伸部を鋳物として第2フレームと一体成形することで、キャブ等の重量物を支持するためのメインフレームの部分を幅方向に広げることができる。この結果、近年のキャブの大型化に対しても、メインフレーム全体を大型化することなく対応可能となり、かつ、強度的にも優れた延伸部を容易に設けることができる。
【0008】
第2の発明に係る建設機械のメインフレームは、第1の発明に係る建設機械のメインフレームであって、延伸部は、略水平な載置面を有している。
ここでは、上述した鋳物一体化によって成形された延伸部が、メインフレーム上に載置される各部品を支持するための、略水平な載置面を有している。
これにより、延伸部上に配置される、例えば、ROPS(転倒時保護構造(Rollover Protective Structure))ブラケット等の重量物の形状を簡素化することができるとともに、これらの重量物を安定して支持することができる。
【0009】
第3の発明に係る建設機械のメインフレームは、第1または第2の発明に係る建設機械のメインフレームであって、延伸部には、建設機械の燃料タンク、建設機械のキャブの四隅を支持するROPSブラケットが少なくとも配置される。
ここでは、上述した鋳物一体成形された延伸部上に、建設機械の燃料タンクやキャブを下方から支持するROPSブラケット等のような、メインフレーム上に配置される部品の中でも比較的重量が大きい部品を設けている。
これにより、フレームに対して鋳物一体化されて強度的に優れた延伸部上に重量物を載置することで、強度が大きい部分へ重量部を適切に配置することができる。
【0010】
第4の発明に係る建設機械のメインフレームは、第1から第3の発明のいずれか1つに係る建設機械のメインフレームであって、延伸部における幅方向外側に取り付けられた板金部をさらに備えている。
【0011】
ここでは、上述した比較的重量が大きい部品が載置される延伸部の幅方向における外側に、板金部を設けている。
これにより、作動油タンク等のように建設機械のキャブの外側に搭載されるものを、板金部によって支持することができる。この結果、延伸部の外側におけるあまり重量がかからない部分については板金部を用いることで、鋳物一体化の部分である延伸部の大きさを最小限とし、フレームの型枠の大型化を回避することができる。
【0012】
第5の発明に係る建設機械のメインフレームは、第4の発明に係る建設機械のメインフレームであって、板金部の上面には、作動油タンク、バッテリが少なくとも配置される。
ここでは、メインフレーム上に載置される各部品のうち、作動油タンクやバッテリ等の比較的軽量な部品を、延伸部の外側に取り付けられた板金部上に配置している。
これにより、鋳物一体成形された延伸部上には、燃料タンクやROPSブラケット等の重量物を、板金部にはそれよりも軽量な作動油タンクやバッテリ等を、それぞれ適切に載置することができる。
【0013】
第6の発明に係る建設機械のメインフレームは、第1から第5の発明のいずれか1つに係る建設機械のメインフレームであって、延伸部の上面には、建設機械のキャブの四隅を支持するとともに、略四角柱形状のROPSブラケットがそれぞれ配置される。
ここでは、メインフレームの幅方向に延伸するように形成された延伸部の上面に、キャブの四隅を下方から支持するROPS(Rollover Protective Structure)ブラケットを配置している。
これにより、延伸部のない従来のメインフレームに対して取り付けられる複雑な構造のROPSブラケットの構造と比較して、幅方向に延伸した延伸部の上面に略四角柱のROPSブラケットを載せるだけでよい。この結果、ROPSブラケットの構造を略四角柱という簡素な構成にすることができる。
【0014】
第7の発明に係る建設機械のメインフレームは、第1から第6の発明のいずれか1つに係る建設機械のメインフレームであって、第2フレームは、ピボットシャフトを少なくとも支持する。
ここでは、メインフレームにおいて上記延伸部が形成される部分として、ピボットシャフト等を支持する第2フレームを特定している。
【0015】
これにより、延伸部において上方からかかるキャブや燃料タンク等の大きな荷重を支持しつつ、その下方においてもピボットシャフト等の重量物を支持することができる。つまり、ピボットシャフト等を支持するために、元来、頑強な第2フレームの上部に、延伸部を設けている。これにより、元々、強度的に優れた第2フレームの一部に延伸部を設けることで、容易に延伸部の強度を十分確保することができる。
【0016】
第8の発明に係る建設機械は、第1から第7の発明のいずれか1つに係る建設機械のメインフレームを備えている。
これにより、上述したように、メインフレームにおいて十分な強度を確保しつつ、キャブの大型化にも対応可能なフレーム構造を構成することができるという、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る建設機械のメインフレームによれば、十分な強度を確保しつつ、キャブの大型化にも対応可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の一実施形態に係る建設機械のメインフレームを搭載したブルドーザ(建設機械)10について、図1〜図8を用いて説明すれば以下の通りである。なお、以下の説明で用いる「前」、「後」、「幅方向」については、ブルドーザ10の前進側を「前」、後進側を「後」とし、前後方向に直交する方向を「幅方向」と示すものとする。
[ブルドーザ10の全体の構成]
本実施形態のブルドーザ10は、図1〜図3に示すように、キャブ11、前方外装12、左右の走行装置13,14、燃料タンク15、作動油タンク16、作業装置20、バッテリ30(図8参照)およびメインフレーム40(図4参照)を備えている。
【0019】
キャブ11は、ブルドーザ10のオペレータが座るためのシートや各種操作のためのレバー、ペダルおよび計器類が内装されている。そして、キャブ11は、転倒時運転者保護構造(以下、ROPS構造と示す。)を有しており、後述するメインフレーム40(図4参照)上における後方に配置されている。
前方外装12は、内部にエンジンを収納しており、キャブ11の前方に取り付けられている。そして、前方外装12は、エンジンのエアクリーナの吸気口と排気管とが貫通する穴のみを開口させており、密閉構造を形成している。
【0020】
さらに、前方外装12には、その上面から上方へ伸びるように排気管12aが取り付けられている。そして、この排気管12aは、キャブ11内のオペレータから見て、キャブ11を構成するピラーと重なる位置に立設されている。これにより、排気管12aによって、キャブ11内のオペレータからの前方の視認性が低下することを防止している。
走行装置13,14は、後述するメインフレーム40(図4参照)の左右両側に取り付けられており、板状のシューが複数連結されて無端状に形成され、上下の複数の転輪に巻き掛けられた履帯13a,14aを回転させることで不整地における走行を可能としている。
【0021】
燃料タンク15は、カバーの内側において前方外装12の内部に搭載されたエンジンに対して供給される燃料を貯留するタンクであって、キャブ11の後方に取り付けられている。
作動油タンク16は、変速機系統および作業機系統に供給される作業油を貯留するタンクであって、キャブ11の右後方に取り付けられている。
【0022】
作業装置20は、ブレード21および油圧シリンダ22を有しており、油圧シリンダ22が伸縮することでブレード21を所望の方向へ傾けたり、移動させたりする。
バッテリ30は、エンジン始動時に必要な電力をセルモータ等に対して供給するために、後述するメインフレーム40に含まれる板金部材44a上に搭載されている(図8参照)。
【0023】
メインフレーム40は、ブルドーザ10の骨格を形成するベースとなる部材であって、前方に作業装置20、左右両側に走行装置13,14、上部に前方外装12、キャブ11、燃料タンク15および作動油タンク16、バッテリ30等を搭載している。なお、メインフレーム40を含むブルドーザ10のフレーム構造については、後段にて詳述する。
[ブルドーザ10のフレーム構造]
本実施形態のブルドーザ10は、図4に示すように、メインフレーム40に対して、前方外装12、図示しない左右一対のトラックフレーム、燃料タンク15、作動油タンク16およびキャブ11が取り付けられている。なお、トラックフレームについては、説明の便宜上図4には示していないが、メインフレーム40を挟んで左右一対のトラックフレームが設けられているものとする。
【0024】
(メインフレーム40)
メインフレーム40は、図4に示すように、ブルドーザ10の中心に配置された船底形状のフレームであって、その前部にエンジンを搭載している。また、メインフレーム40は、左右両端にピボットシャフト31を有しており、このピボットシャフト31に対して左右のトラックフレームが取り付けられる。
【0025】
さらに、メインフレーム40は、図5および図6に示すように、船底形状のハルフレーム(第1フレーム)41と、フェンダフレーム(第2フレーム)42a,42bと、ROPSブラケット43a,43bと、キャブ11の前部2隅を支持するマウント部43c,43dと、板金部材(板金部)44a,44bと、を備えている。
ハルフレーム41は、図6および図7に示すように、断面形状が略U字形状のフレームであって、メインフレーム40の船底形状を形成する。また、ハルフレーム41は、左右のフェンダフレーム42a,42bによって挟み込まれるようにして、メインフレーム40(ブルドーザ10)の中心部分に配置される。
【0026】
フェンダフレーム42a,42bは、ハルフレーム41の左右両側に取り付けられており、メインフレーム40の側面を構成する。そして、フェンダフレーム42a,42bは、図4に示すように、メインフレーム40の側面となる面に、左右のトラックフレームを連結する左右のピボットシャフト31がそれぞれ取り付けられる。また、フェンダフレーム42a,42bは、図7および図8に示すように、その上部に、幅方向に延伸した延伸部51a,51bを有している。
【0027】
延伸部51a,51bは、フェンダフレーム42a,42bの一部として鋳物一体成形によって形成されている。また、延伸部51a,51bは、その略水平な上面(載置面)(図7および図8参照)において、ROPSブラケット43a,43bや燃料タンク15等のような、重量が大きい部品を支持している。さらに、延伸部51a,51bにおける幅方向外側には、板金によって構成される板金部材44a,44bが取り付けられる。なお、この板金部材44a,44bについては、後段にて詳述する。
【0028】
ROPSブラケット43a,43bは、キャブ11における後方の2隅を支持するために、メインフレーム40上に載置される部品であって、略四角柱の形状を有している。つまり、ROPSブラケット43a,43bは、図5および図6に示すように、フェンダフレーム42a,42bの上部に鋳物一体成形によって形成された延伸部51a,51bの載置面上に載せられた状態で溶接によって固定される。
【0029】
マウント部43c,43dは、キャブ11の前方の2隅が載置されるキャブダンパマウントであって、防振マウントが取り付けられている。このため、ブルドーザ10を走行中に走行装置13,14に加わる衝撃を緩衝してキャブ11内のオペレータに対する振動の伝達が軽減される。
板金部材44a,44bは、板金加工によって形成される複数の板材を組み合わせて構成される部材であって、上述したフェンダフレーム42a,42bの上部に形成された延伸部51a,51bにおける幅方向外側にそれぞれ溶接によって固定される。つまり、フェンダフレーム42a,42bでは、その下端部から延伸部51a,51bにかけて鋳物一体物となっており、その先の板金部材44a,44bだけが別物として溶接によって取付けられている。
【0030】
[ブルドーザ10のメインフレーム40の特徴]
(1)
本実施形態のブルドーザ10のメインフレーム40は、ブルドーザ10の骨格部分を構成しており、図6〜図8に示すように、船底形状を有するハルフレーム41と、ハルフレーム41の両側面にそれぞれ取り付けられる左右一対のフェンダフレーム42a,42bと、フェンダフレーム42a,42bの上部において幅方向に延伸するように鋳物一体成形された延伸部51a,51bと、を備えている。
【0031】
これにより、鋳物一体成形によって強度的に優れた延伸部51a,51bを、フェンダフレーム42a,42bの上部であって、かつ幅方向に向かって広がるように設けることができる。この結果、ブルドーザ10のキャブ11の大型化の要求に対しても、フェンダフレームの外側面間の左右距離を広げることなく、延伸部51a,51bの部分を形成するだけで、大型化されたキャブ11を支持することができる。
【0032】
また、強度的に優れたフェンダフレーム42a,42bの一部として鋳物一体成形されているため、従来のメインフレーム構造と比較して、延伸部51a,51bにおける支持強度を大幅に向上させることができる。この結果、大型化されたキャブ11や燃料タンク15等の重量物を安定して支持することができる。
(2)
本実施形態のブルドーザ10のメインフレーム40では、図7および図8に示すように、フェンダフレーム42a,42bの上部に形成された延伸部51a,51bが、略水平方向に沿った載置面を有している。
【0033】
これにより、キャブ11を支持するROPSブラケット43a,43bや燃料タンク15等の重量物を、安定して支持することができる。また、ROPSブラケット43a,43b等の重量物を略水平な載置面上に置くだけでよいため、重量物側の構成も簡素化することができる。
(3)
本実施形態のブルドーザ10のメインフレーム40では、図7および図8に示すように、フェンダフレーム42a,42bの上部に形成された延伸部51a,51b上に、燃料タンク15やキャブ11を支持するROPSブラケット43a,43bを溶接等によって固定している。
【0034】
これにより、メインフレーム40上に載置される部品のうち、比較的重量が大きい燃料タンク15やROPSブラケット43a,43b等を選択的に強度的に優れた延伸部51a,51b上に載置することで、メインフレーム40の載置物を適切に配置することができる。
(4)
本実施形態のブルドーザ10のメインフレーム40では、図6等に示すように、フェンダフレーム42a,42bの上部に形成された延伸部51a,51bにおける幅方向外側に、板金部材44a,44bを溶接等によって取り付けている。
【0035】
これにより、フェンダフレーム42a,42b上部における幅方向の広がりをさらに持たせることができる。そして、ROPSブラケット43a,43b等の重量物を選択的に延伸部51a,51b上に載置することで、板金部材44a,44b上には比較的軽量物を載置することができる。さらに、鋳物一体成形によって構成されるフェンダフレーム42a,42bおよび延伸部51a,51bについて、成形型の大きさを最小限とし、製造コストの上昇を抑制することができる。
【0036】
(5)
本実施形態のブルドーザ10のメインフレーム40では、図8に示すように、フェンダフレーム42a,42bの上部に形成された延伸部51a,51bの幅方向外側に取り付けられた板金部材44a,44b上に、作動油タンク16やバッテリ30を載置している。
【0037】
これにより、ROPSブラケット43a,43b等の重量物は、強度的に優れた延伸部51a,51b上に、作動油タンク16やバッテリ30等の軽量物は、強度的に劣る板金部材44a,44b上にそれぞれ配置することで、メインフレーム40上に載置される各部品を、支持側の強度面を考慮しつつ最適に配置することができる。
(6)
本実施形態のブルドーザ10のメインフレーム40では、図6および図7に示すように、フェンダフレーム42a,42bの上部に形成された延伸部51a,51b上に溶接等によって固定されるROPSブラケット43a,43bを、略四角柱の形状になるように形成している。
【0038】
これにより、延伸部51a,51bを幅方向へ延ばして載置面を確保することで、大型化されたキャブ11を支持するROPSブラケット43a,43bを幅方向に延伸させる等の形状面での工夫が不要となる。この結果、ROPSブラケット43a,43bの形状および取付作業を簡素化することができる。
(7)
本実施形態のブルドーザ10のメインフレーム40では、図4に示すように、フェンダフレーム42a,42bの外側面に対して、それぞれピボットシャフト31を取り付けている。
【0039】
これにより、ピボットシャフト31等を支持するために、強度的に優れた状態で形成されているフェンダフレーム42a,42bの上部に、鋳物一体成形により延伸部51a,51bを設けることができる。この結果、強度的に優れたフェンダフレーム42a,42bの上部に、ROPSブラケット43a,43bや燃料タンク15等の重量物を選択的に配置することができる。
【0040】
(8)
本実施形態のブルドーザ10は、図1〜図4に示すように、上述したメインフレーム40を、内部に備えている。
これにより、メインフレーム40上に配置される燃料タンク15や作動油タンク16、バッテリ30、ROPSブラケット43a,43b等を、重量が大きいものから選択的に、強度的に優れたフェンダフレーム42a,42b上部の延伸部51a,51b上に配置することができる。この結果、メインフレーム40上における強度バランスを保持しつつ、安定して重量物を支持することができる。
【0041】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、フェンダフレーム42a,42bの上部に形成された延伸部51a,51bの幅方向外側に、それぞれ板金部材44a,44bを取り付けた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
例えば、上記延伸部を板金部材の部分まで延伸させることで、板金部材を削減してもよい。この場合には、鋳物一体成形によって形成され、強度的に優れた延伸部上に、さらに多くの重量物を載せることが可能になる。
ただし、延伸部の部分を延ばすことにより、鋳物成形に使用する型が大型化してしまうという面を考慮すれば、上記実施形態のように、重量物を支持するために必要最小限だけ延伸させた延伸部をフェンダフレームの上部に設けることがより好ましい。
【0043】
(B)
上記実施形態では、フェンダフレーム42a,42bにおいて、ピボットシャフト31が支持される構成を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、フェンダフレームにおいて、ピボットシャフト以外にもファイナルドライブ等を支持するような構成であってもよい。
【0044】
(C)
上記実施形態では、フェンダフレーム42a,42bの上部に形成された延伸部51a,51b上に載置される重量物として、燃料タンク15やROPSブラケット43a,43bだけを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、メインフレーム40上に載置される部品のうち、比較的重量が大きい他の部品を延伸部上に配置するようにしてもよい。
【0045】
(D)
上記実施形態では、フェンダフレーム42a,42bの上部に形成された延伸部51a,51bにおける外側に取り付けられた板金部材44a,44b上に載置される部品として、作動油タンク16やバッテリ30だけを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
例えば、メインフレーム40上に載置される部品のうち、比較的重量が小さい他の部品を板金部材上に配置するようにしてもよい。
(E)
上記実施形態では、本発明にかかるメインフレーム40が搭載される建設機械として、ブルドーザ10を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0047】
例えば、ホイルローダ等のような他の建設機械のメインフレームに対しても、本発明の適用は可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の建設機械のメインフレームは、十分な強度を確保しつつ、キャブの大型化にも対応可能となるという効果を奏することから、キャブを搭載した各種建設機械に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の一実施形態に係るブルドーザの前方斜視図。
【図2】図1に示すブルドーザの側面図。
【図3】図1のブルドーザの後方斜視図。
【図4】図1のブルドーザが備えているフレーム構造を示す斜視分解図。
【図5】図4のフレーム構造に含まれるメインフレーム周辺の構成を示す斜視図。
【図6】図5のメインフレームの後方部分を構成するフレームの構成を示す斜視分解図。
【図7】図5のメインフレーム上に載置されるROPSブラケットの位置関係を示す模式図。
【図8】図5のメインフレーム上に載置される燃料タンクや作動油タンク、バッテリ等の位置関係を示す模式図。
【符号の説明】
【0050】
10 ブルドーザ(建設機械)
11 キャブ
12 前方外装
12a 排気管
13,14 走行装置
13a,14a 履帯
15 燃料タンク
16 作動油タンク
20 作業装置
21 ブレード
22 油圧シリンダ
30 バッテリ
31 ピボットシャフト
40 メインフレーム
41 ハルフレーム(第1フレーム)
42a,42b フェンダフレーム(第2フレーム)
43a,43b ROPSブラケット
43c,43d マウント部
44a,44b 板金部材(板金部)
51a,51b 延伸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の骨格部分を構成するメインフレームであって、
前記建設機械の中心部分に配置され、船底形状を有する第1フレームと、
前記第1フレームの左右側方にそれぞれ配置されており、前記建設機械の走行装置が取り付けられる側面を構成する第2フレームと、
前記建設機械のフェンダ部分に相当する部分において幅方向に延伸するように、前記第2フレームとともに鋳物一体成形された延伸部と、
を備えている建設機械のメインフレーム。
【請求項2】
前記延伸部は、略水平な載置面を有している、
請求項1に記載の建設機械のメインフレーム。
【請求項3】
前記延伸部には、前記建設機械の燃料タンク、前記建設機械のキャブの四隅を支持するROPSブラケットが少なくとも配置される、
請求項1または2に記載の建設機械のメインフレーム。
【請求項4】
前記延伸部における前記幅方向外側に取り付けられた板金部をさらに備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の建設機械のメインフレーム。
【請求項5】
前記板金部の上面には、作動油タンク、バッテリが少なくとも配置される、
請求項4に記載の建設機械のメインフレーム。
【請求項6】
前記延伸部の上面には、前記建設機械のキャブの四隅を支持するとともに、略四角柱形状のROPSブラケットがそれぞれ配置される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の建設機械のメインフレーム。
【請求項7】
前記第2フレームは、ピボットシャフトを少なくとも支持する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の建設機械のメインフレーム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の建設機械のメインフレームを備えている、
建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−35194(P2009−35194A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−202732(P2007−202732)
【出願日】平成19年8月3日(2007.8.3)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】