説明

建設機械

【課題】負荷掛け時にアクチュエータが動くのを抑制する。
【解決手段】排ガス浄化装置2を再生するためにエンジン1及びポンプ3に負荷を掛けるとき(負荷掛け時)、切換弁21(切換手段)は第2切換位置21b(第2状態)である。このとき、ポンプ3とアクチュエータ制御弁7との間が遮断されるとともに、ポンプ3から吐出された作動油が圧力制御弁9を介して作動油タンク5へ戻ることが可能である。よって、負荷掛け時には、ポンプ3から吐出された作動油はアクチュエータ制御弁7に供給されない。また、このアクチュエータ制御弁7(7A)が動作の制御を行うアクチュエータ8(8A)にも作動油が供給されない。したがって、負荷掛け時にアクチュエータ8が動くことを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス浄化装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エンジンの排気管に排ガス浄化装置を取り付けた建設機械がある。この排ガス浄化装置としてDPF(Diesel Particulate Filter。ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる粒子状物質を捕獲するフィルタ)がある。DPFはそのまま使用すれば捕獲物(粒子状物質)により目詰まりする。そこでエンジン及びポンプの負荷を増大させてDPFを再生する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、エンジンの回転速度を高速化するとともにポンプ吐出量を制限する(絞る)ことでエンジンの負荷を増大させ、エンジンの排気温度を高めてDPFの捕獲物を焼却する技術が開示されている。
特許文献2には、ポンプ吐出量とポンプ吐出圧力を同時に上昇させることでエンジンの負荷を増大させ、排ガス浄化装置に備えられた酸化触媒が活性化する温度まで排気温度を高める技術が開示されている。
【0004】
また、図10に従来の建設機械の油圧回路図を示す。この建設機械800は、エンジン1と、エンジン1の排気管1aに取り付けられた排ガス浄化装置2と、エンジン1により駆動されるポンプ3と、ポンプ3から作動油が供給されるアクチュエータ8と、ポンプ3へ作動油を供給するとともにアクチュエータ8から排出される作動油が戻される作動油タンク5と、ポンプ3とアクチュエータ8との間に設けられるとともにアクチュエータ8の動作の制御を行うアクチュエータ制御弁7と、を備える。さらに、ポンプ3とアクチュエータ制御弁7とを接続する流路31と、流路31と作動油タンク5とを接続する流路33と、流路33上に設けられた圧力制御弁9と、を備える。
この建設機械800では、上述したように、排ガス浄化装置2を再生するためにエンジン1及びポンプ3に負荷を掛ける(以下単に「負荷掛け」などと言う)。この負荷掛け時には、ポンプ3から吐出された作動油は、流路31、流路33、及び圧力制御弁9を通って作動油タンク5へ戻る。また、ポンプ3から吐出された作動油は、流路31を通ってアクチュエータ制御弁7側へも流れる。
【0005】
この負荷掛け時には、オペレーター(建設機械800を操作する者)の意図しない動きをアクチュエータ8がする危険性がある。そこで特許文献2にはアクチュエータ制御弁7が中立位置(切換位置7Ab)にあるときのみ負荷掛けを行う技術が記載されている。なお特許文献1にはこのような危険を回避する具体的な手段は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭63−297722号公報
【特許文献2】特許第3073380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の技術には次の問題がある。
【0008】
まず一つには、アクチュエータ制御弁7での作動油の漏れによりアクチュエータ8が動く問題がある。すなわち、建設機械のアクチュエータ制御弁7のほとんどは通常スプール弁で構成されているが、このスプール弁には相当量の作動油の漏れが存在する。特に負荷掛け時(ポンプ3の吐出圧を昇圧した時)には、作動油の漏れ量は通常時以上に増加する。この漏れにより、アクチュエータ制御弁7が中立位置(切換位置7Ab)のときでもアクチュエータ8に相当な圧力が掛かる。そして、オペレーターの意図しないアクチュエータ8の動きが発生する虞がある。
【0009】
もう一つの問題として、アクチュエータ制御弁7の中立位置(切換位置7Ab)を検知するセンサ(中立検出スイッチ)に異常がある場合に上記の動きが発生する問題がある。すなわち、中立検出スイッチの取り付け位置がずれた場合や、電圧ドロップした場合には、アクチュエータ制御弁7が中立位置(切換位置7Ab)ではないにもかかわらず中立と検知する。そして、オペレーターの意図しないアクチュエータ8の動きが発生する。
【0010】
上記のようにアクチュエータ8が動くと、建設機械800の本体や本体に取り付けられた作業機械等が周囲物と接触し、周囲物を破損させるおそれがある。また、アクチュエータ8の動きが少ないとしても、オペレーターの意図しないアクチュエータ8の動きが発生することで製品(建設機械)への不信感を招くおそれがある。
【0011】
本発明の目的は、負荷掛け時にアクチュエータが動くことを抑制した建設機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明に係る建設機械は、エンジンと、前記エンジンの排気管に取り付けられた排ガス浄化装置と、前記エンジンにより駆動されるポンプと、前記ポンプから作動油が供給されるアクチュエータと、前記ポンプへ作動油を供給するとともに前記アクチュエータから排出される作動油が戻される作動油タンクと、前記ポンプと前記アクチュエータとの間に設けられるとともに前記アクチュエータの動作の制御を行うアクチュエータ制御弁と、前記ポンプと前記アクチュエータ制御弁との間に設けられる切換手段と、を備え、前記切換手段は、前記ポンプから吐出された作動油を前記アクチュエータ制御弁へ供給可能な第1状態と、前記ポンプと前記アクチュエータ制御弁との間が遮断されるとともに、前記ポンプから吐出された作動油が圧力制御弁または流量制御弁を介して前記作動油タンクへ戻ることが可能である第2状態と、に切換可能であり、前記排ガス浄化装置を再生するために前記エンジン及び前記ポンプに負荷を掛けるとき、前記切換手段は前記第2状態である。
【0013】
この建設機械では、排ガス浄化装置を再生するためにエンジン及びポンプに負荷を掛けるとき(負荷掛け時)、切換手段は第2状態である。切換手段が第2状態のとき、ポンプとアクチュエータ制御弁との間が遮断されるとともに、ポンプから吐出された作動油が圧力制御弁または流量制御弁を介して作動油タンクへ戻ることが可能である。よって、負荷掛け時には、ポンプから吐出された作動油はアクチュエータ制御弁に供給されない。また、このアクチュエータ制御弁が動作の制御を行うアクチュエータにも作動油が供給されない。したがって、負荷掛け時にアクチュエータが動くことを抑制できる。
【0014】
第2の発明は第1の発明に係る建設機械であって、前記切換手段が前記第2状態のとき、当該切換手段と前記アクチュエータ制御弁との間の作動油が前記切換手段を介して前記作動油タンクへ戻ることが可能である。
【0015】
この建設機械では、切換手段とアクチュエータ制御弁との間の作動油の圧力は、作動油タンクの圧力となる。よって、作動油タンクの圧力よりも大きい圧力がアクチュエータ制御弁にかかる場合に比べて、アクチュエータ制御弁にかかる作動油の圧力がより小さい。よって、このアクチュエータ制御弁が動作の制御を行うアクチュエータに作動油が供給されない。したがって、負荷掛け時にアクチュエータが動くのをより確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、特に、負荷掛け時にポンプとアクチュエータ制御弁との間が遮断される構成を備える。よって、負荷掛け時にポンプから吐出された作動油がアクチュエータ制御弁に供給されない。したがって、負荷掛け時にアクチュエータが動くのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】建設機械の油圧回路図である。
【図2】負荷掛け時の制御フローを示す図である。
【図3】第2実施形態の図1相当図である。
【図4】第3実施形態の図1相当図である。
【図5】第4実施形態の図1相当図である。
【図6】第5実施形態の図1相当図である。
【図7】第6実施形態の図1相当図である。
【図8】変形例1の切換弁周辺を示す油圧回路図である。
【図9】変形例2の図8相当図である。
【図10】従来の建設機械の油圧回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る建設機械の実施形態について図面を参照して説明する。なお、第1〜第4実施形態はオープンセンターの回路、第5及び第6実施形態はクローズドセンターの回路(それぞれの回路の詳細は後述)である。
【0019】
(第1実施形態)
図1は建設機械の油圧回路図である。図2は負荷掛け時の制御フローを示す図である。以下、図1及び図2を参照して建設機械100の構成について詳細に説明する。なお、図10に示す従来の建設機械800と同一の部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0020】
建設機械100は、具体的には例えば移動式クレーンである。この建設機械100の概略を説明すると、図1に示すように、エンジン1及びポンプ3の負荷を増大させる(負荷掛けを行う)ことでエンジン1の排気温度を上げ、排ガス浄化装置2を再生する機能を備える。そして、ポンプ3とアクチュエータ制御弁7との間を接続する流路31に切換弁21を備える。負荷掛けを行わない場合は、切換弁21が第1切換位置21aに切り換わり、ポンプ3から吐出された作動油はアクチュエータ制御弁7に供給される。負荷掛け時には、切換弁21が第2切換位置21bに切り換わり、ポンプ3とアクチュエータ制御弁7との間は遮断されるとともに、ポンプ3から吐出された作動油は圧力制御弁9を介して作動油タンク5へ戻される。
【0021】
ポンプ3は、エンジン1により駆動される。そして、作動油タンク5からフィルタ4を介して作動油を吸入し、アクチュエータ8等に作動油を供給する。このポンプ3は、傾転角を変化させることで容量が変わる可変容量ポンプである。
【0022】
アクチュエータ8は、ポンプ3から作動油が供給されて動作する。建設機械100は、アクチュエータ8としてモータ8Aとシリンダ8Bとを備える。モータ8Aは、例えば建設機械100のホイール、クローラ、上部旋回体やウインチ(それぞれ図示なし)の回転や旋回に用いられる。シリンダ8Bは、例えば建設機械100のブーム(図示なし)の起伏等に用いられる。
【0023】
アクチュエータ制御弁7は、ポンプ3とアクチュエータ8との間に設けられるとともに、アクチュエータ8の動作を制御する弁である。さらに詳しくは、6ポートを備えるスプール式の3位置切換弁である。建設機械100は、アクチュエータ制御弁7として、モータ8Aの動作を制御するアクチュエータ制御弁7Aと、シリンダ8Bを制御するアクチュエータ制御弁7Bとを備える。なお、アクチュエータ制御弁7Aと7Bとは機能が同一であるため、次にアクチュエータ制御弁7Aについてのみ説明し、アクチュエータ制御弁7Bの説明は省略する。
【0024】
アクチュエータ制御弁7Aは、油圧パイロット弁(図示なし)から供給されるパイロット圧により、切換位置7Aa、7Ab、及び7Acに切り換えられる。
切換位置7Aa及び7Acでは、ポンプ3及び流路31からの作動油はモータ8Aに供給され、モータ8Aが作動する。さらに、モータ8Aの作動に供された作動油はアクチュエータ制御弁7A及び流路32を介して作動油タンク5へ戻る。
切換位置7Abは中立位置であり、ポンプ3及び流路31からの作動油はモータ8Aに供給されない。さらに、この作動油は流路32(ブリード流路)を介して作動油タンク5へ戻る。すなわちオープンセンターである。なお厳密には、流路31からの作動油はモータ8A側に漏れる。
【0025】
圧力制御弁9は、所定の圧力を超えると弁が開くリリーフ弁であり、回路の保護や負荷掛け量の制限を行う。さらに詳しくは、圧力制御弁9は、流路31(の分岐点33a)と作動油タンク5とを接続する流路33上に設けられる。また、圧力制御弁9のバネの強さを調整することで負荷掛け時のポンプ3の仕事(圧力と流量との積)を変えることができる。なお、流路31のうち、ポンプ3と分岐点33aとの間を流路31a、分岐点33aと切換弁21(後述)との間を流路31b、および、切換弁21とアクチュエータ制御弁7との間を流路31cとする。
【0026】
切換弁21(切換手段)は、2ポート2位置切換弁であり、第1切換位置21aと第2切換位置21bとに切換可能である。この切換弁21は、ポンプ3とアクチュエータ制御弁7との間に設けられる。さらに詳しくは、流路31上の分岐点33aよりもアクチュエータ制御弁7側(下流側)に設置される。また、入力ポートには流路31bが接続され、出力ポートには流路31cが接続される。
【0027】
第1切換位置21a(第1状態)では、切換弁21は、ポンプ3から吐出された作動油をアクチュエータ制御弁7へ供給可能である。すなわち、流路31bと流路31cとが連通する。作動油がアクチュエータ制御弁7へ供給されることにより、アクチュエータ8が作動可能となる。
【0028】
第2切換位置21b(第2状態)では、切換弁21は、ポンプ3とアクチュエータ制御弁7との間を遮断する。すなわち流路31bと流路31cとが遮断される。このとき、ポンプ3から吐出された作動油は流路31a、流路33、及び圧力制御弁9を介して作動油タンク5へ戻ることが可能である。
【0029】
次に負荷掛け時の動作を説明する。排ガス浄化装置2に備えられたDPFが捕獲物により目詰まりすると、排ガス浄化装置2の背圧が高くなる。これを圧力センサ(図示なし)が検知するとアラーム(図示なし)を鳴らしてオペレーターに知らせ、オペレーターが操作レバー(図示なし)を中立にする。このときアクチュエータ制御弁7Aは中立位置(切換位置7Ab)に切り換わる。そして、オペレーターが再生制御開始スイッチ(図示なし)を押すことで、上述したエンジン1及びポンプ3への負荷掛けを開始する。
【0030】
図1及び図2に示すように、再生制御が開始されると電磁切換弁22が励磁され、電磁切換弁22は切換位置22aから22bに切り換わる。これによりパイロット圧源40からのパイロット圧が切換弁21にかかり、切換弁21が第1切換位置21aから第2切換位置21bに切り換わる。これにより、ポンプ3とアクチュエータ制御弁7とが遮断される。また、ポンプ3から吐出された作動油は圧力制御弁9を介して作動油タンク5へ戻る。
【0031】
(本実施形態の建設機械の特徴)
本実施形態の建設機械100には以下の特徴がある。
【0032】
図1に示すように、本実施形態の建設機械100では、排ガス浄化装置2を再生するためにエンジン1及びポンプ3に負荷を掛けるとき(負荷掛け時)、切換弁21は第2切換位置21bである。切換弁21が第2切換位置21bのとき、ポンプ3とアクチュエータ制御弁7との間が遮断されるとともに、ポンプ3から吐出された作動油が圧力制御弁9を介して作動油タンク5へ戻ることが可能である。よって、負荷掛け時には、ポンプ3から吐出された作動油はアクチュエータ制御弁7に供給されない。また、このアクチュエータ制御弁7(7A)が動作の制御を行うアクチュエータ8(8A)にも作動油が供給されない。したがって、負荷掛け時にアクチュエータ8が動くことを抑制できる。
【0033】
また、中立(切換位置7Ab)を検知するセンサ(中立検出スイッチ。図示なし)をアクチュエータ制御弁7に取り付け、このセンサに異常があった場合を考える。このとき、アクチュエータ制御弁7が中立からずれた状態で(切換位置7Aaまたは7Acの状態で)負荷掛けを行うことになる。この場合でも、負荷掛け時にはアクチュエータ制御弁7に作動油が供給されないので、アクチュエータ8が動くことが抑制される。
さらに、アクチュエータ制御弁7が中立でなくても負荷掛け時にアクチュエータが動くことが抑制されるため、アクチュエータ制御弁7に中立検出スイッチを付設する必要がない。したがって、中立検出スイッチを付設する場合に比べ部品点数を削減できる。
【0034】
(第2実施形態)
図3に第2実施形態に係る建設機械200の油圧回路を示す。この建設機械200は、圧力制御弁9が流路233に追加されている点で第1実施形態と相違する。なお、その他の構成は第1実施形態と同一であるので、同一符号を付してその説明を省略する。
【0035】
メインリリーフ弁10は、実施形態1の圧力制御弁9(図1参照)と同一の位置に配置され、圧力制御弁9と同一の機能を有する。このメインリリーフ弁10の設定圧力は、次に述べる圧力制御弁9(図3参照)の設定圧力よりも高い。
【0036】
圧力制御弁9は、図3に示すように、切換弁221の出力ポートと作動油タンク5とを接続する流路233上に設けられる。この圧力制御弁9は、メインリリーフ弁10よりも低い圧力で開放するように設定される。
【0037】
切換弁221(切換手段)は3ポート2位置切換弁であり、第1切換位置221aと第2切換位置221bとを備える。入力ポートには流路31bが接続され、出力ポートには流路31c及び流路233が接続される。そして切換弁221は次のように動作する。
【0038】
第1切換位置221a(第1状態)では、ポンプ3から吐出された作動油はアクチュエータ制御弁7へ供給され、圧力制御弁9側には流れない。すなわち、流路31bと31cとが連通するとともに、流路31bと流路233とは遮断される。
【0039】
第2切換位置221b(第2状態)では、ポンプ3から吐出された作動油はアクチュエータ制御弁7へ供給されず、圧力制御弁9を介して作動油タンク5へ戻る。すなわち、流路31bと流路31cとが遮断されるとともに、流路31bと流路233とが連通する。負荷掛け時には、ポンプ3から吐出された作動油は、メインリリーフ弁10よりも設定圧力の低い圧力制御弁9を通る。これにより、メインリリーフ弁10を設けるとともに圧力制御弁9を設けない場合に比べ、ポンプ3や流路31に負荷が掛かりすぎるのが抑制される。
【0040】
(第3実施形態)
図4に第3実施形態に係る建設機械300の油圧回路を示す。この建設機械300は、第2実施形態に係る切換弁221と同じ動作を、切換弁21と切換弁321とで行う点が第2実施形態との主な相違点である。なお、その他の構成は第1、第2実施形態と同様であるので、同一符号を付してその説明を省略する。
【0041】
圧力制御弁9は、図4に示すように、切換弁21よりも上流側に設けられる。さらに詳しくは、流路31b(31aでも良い)上の分岐点333aと作動油タンク5とを接続する流路333上に設けられる。
【0042】
切換弁321(切換手段)は、2ポート2位置の切換弁であり、第1切換位置321aと第2切換位置321bとを備える。また、流路333上に設けられ、分岐点333aと圧力制御弁9との間に設けられる。この切換弁321は次のように動作する。
【0043】
第1状態では、切換弁21は第1切換位置21aに切り換わる。それとともに、切換弁321は第1切換位置321aに切り換わる。これにより流路333は遮断され、ポンプ3から吐出された作動油は切換弁321の下流側の圧力制御弁9に流れない。
【0044】
第2状態では、切換弁21は第2切換位置21bに切り換わる。それとともに、切換弁321は第2切換位置321bに切り換わる。さらに詳しくは、第1実施形態と同様に、電磁切換弁22が切換位置22aから22bへ切り換わるとパイロット圧源40からのパイロット油圧は切換弁21に供給される。このとき、このパイロット油圧は切換弁321にも供給される。そして切換弁321が第2切換位置321bに切り換わる。これにより、ポンプ3から吐出された作動油は流路31a、31b、333、切換弁321、及び圧力制御弁9を介して作動油タンク5へ戻る。
【0045】
(第4実施形態)
図5に第4実施形態に係る建設機械400の油圧回路を示す。この建設機械400は、アクチュエータ制御弁7の上流側の流路31cから切換弁421を介して作動油タンク5へ作動油を戻す流路434を備える点が第2実施形態との主な相違点である。なお、その他の構成は第2実施形態と同様であるので、同一符号を付してその説明を省略する。
【0046】
流路434は、図5に示すように、アクチュエータ制御弁7の上流側の流路31cの作動油を切換弁421を介して作動油タンク5へ戻す流路である。さらに詳しくは、切換弁421と作動油タンク5とを接続する流路である。
【0047】
切換弁421(切換手段)は、4ポート2位置切換弁であり、第1切換位置421aと第2切換位置421bとを備え、次のように動作する。
【0048】
第1切換位置421a(第1状態)では、流路31bと31cとが連通する。それとともに、流路233と434とが連通する。なお、このとき流路233及び434はポンプ3に接続されないので、これらの流路では作動油の流れはない。
【0049】
第2切換位置421b(第2状態)では、切換弁421とアクチュエータ制御弁7との間の作動油が切換弁421を介して作動油タンク5へ戻ることが可能である。さらに詳しくは、第2切換位置421bでは、第2実施形態と同様に流路31bと233とが連通する。それとともに流路31cと434とが連通する。これにより流路31cの圧力、すなわちアクチュエータ制御弁7にかかる圧力は作動油タンク5の圧力に落とされる。
【0050】
(本実施形態の建設機械の特徴)
本実施形態の建設機械400には以下の特徴がある。
【0051】
この建設機械400では、切換弁421とアクチュエータ制御弁7との間(流路31c)の作動油の圧力は、作動油タンク5の圧力となる。よって、作動油タンク5の圧力よりも大きい圧力がアクチュエータ制御弁7にかかる場合に比べて、アクチュエータ制御弁7にかかる作動油の圧力がより小さい。よって、このアクチュエータ制御弁7(7A)が動作の制御を行うアクチュエータ8(8A)に作動油がより供給されない。したがって、負荷掛け時にアクチュエータ8が動くのをより確実に抑制できる。
【0052】
なお、本実施形態の油圧回路はオープンセンターの回路である。すなわち、アクチュエータ制御弁7が中立位置(切換位置7Ab)のとき、流路31cの作動油は流路32(ブリード流路)から作動油タンク5へ戻る。よって原則として流路31cの作動油によりアクチュエータ8が動くことはない。しかしながら、誤った操作等によりアクチュエータ制御弁7が中立位置以外の位置(切換位置7Aa又は7Ac)にある場合、流路31cの作動油がアクチュエータ8へ流れてアクチュエータ8が動くことがある。そこで上記のように流路31cの作動油の圧力を作動油タンク5の圧力に落とすことで、負荷掛け時にアクチュエータが動くのをより確実に抑制できる。
【0053】
(第5実施形態)
図6に第5実施形態に係る建設機械500の油圧回路を示す。第4実施形態に係る建設機械400(図5参照)はオープンセンターの回路を構成するが、建設機械500はクローズドセンターの回路を構成する。また建設機械500は、圧力制御弁としてアンロード弁509を備える点で第4実施形態と相違する。なお、その他の構成については第4実施形態と同様であるので、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
アクチュエータ制御弁507は、図6に示すように、アクチュエータ8の制御を行う切換弁である。アクチュエータ8の作動時(切換位置507Aa及び507Acのとき)は、第4実施形態と同様に、アクチュエータ8の作動に供された作動油は流路532を通って作動油タンク5へ戻る。一方でアクチュエータ8を作動させない時(中立位置、すなわち切換位置507Abのとき)は、流路31cと流路532とは遮断される。これにより流路31cの作動油は流路532からは作動油タンク5へ戻らない。すなわちクローズドセンターである。
【0055】
圧力補償弁523はアクチュエータ制御弁507の上流側に設けられ、アクチュエータ制御弁507に供給される作動油の流量を一定に保つ。なお、この圧力補償弁523は、負荷掛け時にポンプ3とアクチュエータ制御弁7とを遮断する機能を備えない。
【0056】
アンロード弁509(圧力制御弁)は、流路233に設けられる切換弁であり、切換位置509aと切換位置509bとを備える。これらの切換位置については後述する。
【0057】
切換弁521(切換手段)は、4ポート2位置切換弁であり、第1切換位置521aと第2切換位置521bとを備える。
【0058】
第1切換位置521a(第1状態)では、流路31aと31cとが連通する。それとともに、ポンプ3から吐出された作動油はアンロード弁509側へ流れることが可能である。すなわち、流路31aと233とが連通する。
ここで、アクチュエータ制御弁507が切換位置507Ab(中立状態)のとき、アンロード弁509は切換位置509aである。そして、ポンプ3から吐出された作動油は流路31a、切換弁521、流路233、及びアンロード弁509を介して作動油タンク5へ戻る。
また、アクチュエータ制御弁507が切換位置507Aaまたは507Acのとき(オペレーターがレバー操作をしたとき)、アンロード弁509は切換位置509bである。さらに詳しくは、流路31cの作動油は、圧力補償弁523、アクチュエータ制御弁507、及び流路535を介してアンロード弁509へ供給され、アンロード弁509が切換位置509bに切り換わる。これにより流路233は遮断される。そして、ポンプ3から吐出された作動油はアクチュエータ8Aへ供給される。
【0059】
第2切換位置521b(第2状態)では、流路31cと流路434とが連通し、流路31cの作動油が作動油タンク5へ戻る。
ここで、この回路はクローズドセンターである。すなわちアクチュエータ制御弁507が切換位置507Ab(中立状態)のとき、流路31cの作動油は流路532からは作動油タンク5へ戻らない。よって、そのままでは作動油が流路31cに留まり、アクチュエータ8が作動するおそれがある。しかしながら上記のように流路31cの作動油は流路434を通って作動油タンク5に戻るので、アクチュエータ8が動かない。
【0060】
(第6実施形態)
図7に第6実施形態に係る建設機械600の油圧回路を示す。この建設機械600は流路633にアンロード弁509を備える点で第5実施形態と相違する。なお、圧力制御弁9、メインリリーフ弁10、および切換弁421については第5実施形態と相違するが、第4実施形態(図5参照)と同一である。その他の構成は第5実施形態と同様であるので、同一符号を付してその説明を省略する。
【0061】
アンロード弁509は、図7に示すように、流路633に設けられる。この流路633は、流路31cと作動油タンク5とを接続する。さらに詳しくは、流路633は、切換弁421と圧力補償弁523との間の分岐点633aと、作動油タンク5とを接続する。
【0062】
上記の実施形態1〜6では負荷圧力の設定を圧力制御弁で行ったが、負荷圧力の設定は流量制御弁でも行うことができる。
【0063】
(変形例1)
図8に変形例1に係る切換弁221周辺を示す油圧回路を示す。第2実施形態の圧力制御弁9(図3参照)は、絞り709(流量制御弁)に代えることができる。この場合、絞り709の開口面積を調整することで負荷圧力(流路31内の圧力)を制御する。
【0064】
(変形例2)
図9に変形例2に係る切換弁421周辺を示す油圧回路を示す。第4実施形態の圧力制御弁9(図5参照)は、絞り709に代えることもできる。
【0065】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0066】
例えば、図1、3〜9に示すように、上記実施形態では切換手段として1つ又は2つの切換弁を用いることで第1状態と第2状態とを切り換えた。しかしながら、上記実施形態において1つの弁で行った動作を2以上の弁で行う等、弁の数や位置を変更しても本発明を適用し得る。さらに詳しくは例えば、図3に示す切換弁221と同じ動作を、図4に示す切換弁21及び切換弁321の2つの切換弁で行った。これと同様に例えば、図5に示す切換弁421の機能を2つに分け、一方の切換弁を流路233に接続し、他方の切換弁を流路434に接続する構成等にしても良い。
【0067】
また例えば、図1、3〜7に示すように、上記実施形態ではアクチュエータ8としてモータ8Aとシリンダ8Bとを示したが、アクチュエータ8の数は1または3以上でも良い。
また、アクチュエータ8が複数の場合は、少なくとも一つのアクチュエータ制御弁7の上流側に切換手段(図1に示す切換弁21など)があれば発明を適用できる。
さらに詳しくは、例えば走行系によく使われる中立A−B−Tアクチュエータを用いた場合は、アクチュエータ制御弁が中立状態の時にアクチュエータにかかる圧力が強制的に作動油タンク5の圧力に落とされる。このように、建設機械に設けられた複数のアクチュエータの中には、負荷掛け時にアクチュエータが動くことがあまり問題にならないものもある。こういったアクチュエータの上流側には切換弁21を設けず、その他のアクチュエータ8(負荷掛け時に動くことが問題となるアクチュエータ)の上流側にのみ切換弁21を設ける構成としても良い。
【符号の説明】
【0068】
1 エンジン
1a 排気管
2 排ガス浄化装置
3 ポンプ
8 アクチュエータ
5 作動油タンク
7 アクチュエータ制御弁
21、221、321、421、521 切換弁(切換手段)
9 圧力制御弁
10 メインリリーフ弁(圧力制御弁)
509 アンロード弁(圧力制御弁)
709 絞り(流量制御弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンの排気管に取り付けられた排ガス浄化装置と、
前記エンジンにより駆動されるポンプと、
前記ポンプから作動油が供給されるアクチュエータと、
前記ポンプへ作動油を供給するとともに前記アクチュエータから排出される作動油が戻される作動油タンクと、
前記ポンプと前記アクチュエータとの間に設けられるとともに前記アクチュエータの動作の制御を行うアクチュエータ制御弁と、
前記ポンプと前記アクチュエータ制御弁との間に設けられる切換手段と、を備え、
前記切換手段は、
前記ポンプから吐出された作動油を前記アクチュエータ制御弁へ供給可能な第1状態と、
前記ポンプと前記アクチュエータ制御弁との間が遮断されるとともに、前記ポンプから吐出された作動油が圧力制御弁または流量制御弁を介して前記作動油タンクへ戻ることが可能である第2状態と、に切換可能であり、
前記排ガス浄化装置を再生するために前記エンジン及び前記ポンプに負荷を掛けるとき、前記切換手段は前記第2状態である建設機械。
【請求項2】
前記切換手段が前記第2状態のとき、当該切換手段と前記アクチュエータ制御弁との間の作動油が前記切換手段を介して前記作動油タンクへ戻ることが可能である、請求項1に記載の建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−132912(P2011−132912A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−294524(P2009−294524)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(304020362)コベルコクレーン株式会社 (296)
【Fターム(参考)】