説明

【課題】簡易な構成の弁を用いて、弁の閉状態において、流体の流れを的確に遮断する。
【解決手段】流路の中を、開閉部材が直線移動し、開閉部材の移動量により、流体圧力の制御を行う弁において、開閉部材が、球状または半球状の弁体と、円柱状で、かつ、外周に環状の溝が形成された別の弁体と、弁体と別の弁体とは、自在継ぎ手を設けた連結構造を有しているので、弁体を確実に流路の段部に当接させて、流路を確実に閉状態にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧制御等の流体圧力の制御を行うために用いられる弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子制御自動変速機のクラッチ油圧制御などにおいては、ソレノイドコイルへの通電量と制御圧が比例する、いわゆるリニアソレノイド弁が好適に利用されている。そして、このようなリニアソレノイド弁においては、少なくともソレノイドによる推力とソレノイドの推力に抗する抗力とを含む力の釣り合い(バランス)によってプランジャー及びプランジャーに固定されたロッドのストローク位置をコントロールする方式が好適に採用されている。このような従来技術に係るソレノイド弁について図8を参照して説明する。図9は、従来技術に係るソレノイド弁の模式的断面図である。
【0003】
図9において、従来技術に係るソレノイド弁200は、ソレノイド部200Aと弁部200Bとから構成される。ソレノイド部200Aにおいては、電磁力を利用してロッド201の駆動を行っている。ロッド201は弁部200Bにおける弁スリーブ207の内部まで伸びる構成である。このロッド201は、ソレノイド部200A側の大径部201aと、これに隣接する小径部201bと、これに隣接する最も先端側の大径部201cとを備えている。このような構成により、ロッド201の弁部200B側は、大径部201a,201cが弁スリーブ207の内周面に摺動可能に構成されたスプール弁として機能する。
【0004】
そして、ロッド201の先端側には、ロッド201を、ソレノイドの推力が作用する方向(図中左方向)に抗する方向(図中右側)に付勢するスプリング202が設けられている。また、弁部200Bの先端には、スプリング202の端部を固定すると共に、スプリング202の位置を調整するアジャストスクリュ208が設けられている。
【0005】
そして、弁スリーブ207には、先端側から順に、供給ポート204,制御ポート205,ドレンポート206が設けられ、また、アジャストスクリュ208にもドレンポート203が設けられている。入力側となる供給ポート204は、供給圧力Poの流体が供給される開口部であり、出力側となる制御ポート205は、出力側の流体圧力を制御圧力Pcに制御するために、流体を出力側に供給する開口部である。ドレンポート203,206は、余分な流体Drを排出するための開口部である。
【0006】
ところが、上記の通り、スプール弁は、スプールが弁スリーブの内周面を摺動する構成であるため、スプールが好適に摺動するためには、スプールの外周面と弁スリーブの内周面との間にクリアランスが必要となる。したがって、スプール弁の場合には、一般的に閉状態であってもクリアランスの部分から流体が流れてしまうという特性を有する。
【0007】
こうした問題に対応して、供給ポートと制御ポートとの間に、図7に示すようなステンレスまたは鋼材から作られたポペット弁30を設けた弁が知られている(例えば、特許文献1参照。)
【0008】
また、図8に示すように、プランジャーAssy50と、鋼材からなるシートベース41と、弁部とソレノイド部とを連結する磁性材料からなるジョイント61と、磁性材料からなるベースコア66と接合する磁性材料からなるケース64と、ケース内部に設けられたコイル62と、プランジャーAssyが摺動するフィラーリング63と、フィラーリング63からの漏れを防止するOリング65とから構成されている。
【0009】
また、プランジャーAssy50は、磁性材料からなるプランジャー45にカシメられて固定されたステンレス製のホルダ43と、ホルダの先端部に溶接されたボール42と、プランジャー45を付勢するスプリング44とから構成されたソレノイド弁が知られている。
【0010】
このソレノイド弁は、コイルへの非通電状態では、ベースコア66の端面に設けられたスプリング44により、プランジャーAssy50がシートベース41に押しつけられ、ボール42がシートベース41に密着して、弁を閉状態とし、コイル62への通電状態では、プランジャーAssy50が、ベースコア66に吸着され、これにより、ボール42がシートベース41から離れることにより、弁を開状態とする。
【特許文献1】特開2004−251404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、特許文献1に記載の技術においては、ポペット弁を精度よく作成する必要があり、製造コストが高く、しかも、ポペット弁を精度よく作成したとしても、弁内に装着したときに軸ずれを起こすと、流体が流れてしまうという状況を解決できないという問題があった。
【0012】
また、図8に示すソレノイド弁では、ボールをホルダの先端部に精度よく溶接することが難しく、プランジャーとの軸ずれや、ソレノイド弁内にプランジャーAssyを装着したときの軸ずれで流体が流れてしまうという状況を解決できないという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、簡易な構成の弁を用いて、弁の閉状態において、流体の流れを的確に遮断する弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の事項を提案している。
【0015】
(1)本発明は、球状または半球状の弁体(例えば、図1の第1の剛球体8に相当)と、一端に前記弁体が連結され、他端に自在継ぎ手構造を設けた連結部材とからなることを特徴とする弁を提案している。
【0016】
この発明によれば、弁が、少なくとも、球状または半球状の弁体と、一端に前記弁体が連結され、他端に自在継ぎ手構造を設けた連結部材とから構成されている。したがって、連結部材が自在継ぎ手構造を有しているため、この自在継ぎ手構造により、弁体を自由に動かすことができる。
【0017】
(2)本発明は、(1)の弁について、さらに、円柱状で、かつ、外周に環状の溝が形成されるとともに、前記自在継ぎ手構造を介して、前記連結部材に連結される別の弁体(例えば、図1のホルダ6に相当)を備えたことを特徴とする弁を提案している。
【0018】
この発明によれば、さらに、円柱状で、かつ、外周に環状の溝が形成されるとともに、自在継ぎ手構造を介して、連結部材に連結される別の弁体を備えている。つまり、弁が弁体と別の弁体、連結部材の3つの部材からなる簡易な構成となっており、しかも、弁の作成において、高い精度を必要としない。
【0019】
(3)本発明は、(1)または(2)の弁について、前記弁体は、流体の流路(例えば、図1の第1の流路1および第2の流路2に相当)内に配置され、該流路を閉状態とするときに、該流路の一部に当接することを特徴とする弁を提案している。
【0020】
この発明によれば、弁体が、流体の流路内に配置され、流路を閉状態とするときに、該流路の一部に当接する。つまり、弁が、弁体と、別の弁体と、弁体と別の弁体とを連結する連結部材とからなる簡易な構成であり、弁体が、流体の流路内に配置され、流路が閉状態の場合に、球状または半球状からなる弁体の円周部が流路の一部に当接するため、たとえ、弁に軸ずれが発生しても、流路の閉状態時には、連結部材に設けられた自在継ぎ手構造により弁体が、フレキシブルに回転及び振れて、弁体の円周部が、流路の一部に確実に当接することにより、的確に流体の流れを遮断することができる。
【0021】
(4)本発明は、(1)から(3)の弁について、前記別の弁体(例えば、図1のホルダ6に相当)に当接するとともに、前記別の弁体を前記弁体側に摺動させる駆動体と、前記弁体に当接するとともに、前記弁体を前記別の弁体側に付勢するスプリング(例えば、図1のスプリング5に相当)と、を備えたことを特徴とする弁を提案している。
【0022】
この発明によれば、別の弁体に当接するとともに、別の弁体を弁体側に摺動させる駆動体と、弁体に当接するとともに、弁体を別の弁体側に付勢するスプリングと、を備えている。したがって、駆動体が非動作状態のときに、弁体が、駆動体が作用する方向に抗する別の弁体側に付勢をするスプリングにより、球状または半球状からなるその円周部が、流路の一部に当接することから、駆動体の非動作状態に、流路を閉状態として、的確に流体の流れを遮断することができる。
【0023】
(5)本発明は、(1)から(3)の弁について、前記弁体に当接するとともに、前記弁体を前記別の弁体側に摺動させる駆動体と、前記別の弁体に当接するとともに、前記別の弁体を前記弁体側に付勢するスプリング(例えば、図4のスプリング5に相当)と、を備えたことを特徴とする弁を提案している。
【0024】
この発明によれば、弁体に当接するとともに、弁体を別の弁体側に摺動させる駆動体と、別の弁体に当接するとともに、別の弁体を弁体側に付勢するスプリングと、を備えている。したがって、駆動体が非動作状態のときには、弁が開状態となり、駆動体が動作状態のときには、球状または半球状からなる弁体の円周部が流路の一部に当接して、流路を閉状態として、的確に流体の流れを遮断することができる。
【0025】
(6)本発明は、(1)から(5)の弁について、前記流路(例えば、図1の第1の流路1および第2の流路2に相当)が、前記別の弁体側で縮径し、かつ、前記弁体よりも径が小さい段部を形成していることを特徴とする弁を提案している。
【0026】
この発明によれば、流路が、別の弁体側で縮径し、かつ、弁体よりも径が小さい段部を形成していることから、流路が閉状態の場合に、球状または半球状からなる弁体の円周部が段部にしっかりと当接するため、的確に流体の流れを遮断することができる。
【0027】
(7)本発明は、(6)の弁について、前記段部に前記弁体の曲面部分の接線方向と略平行なテーパ(例えば、図3参照)が設けられていることを特徴とする弁を提案している。
【0028】
この発明によれば、段部に弁体の曲面部分の接線方向と略平行なテーパが設けられているため、弁体と段部とが当接したときに、弁体の円周部と段部のテーパがしっかりと密着して、高いシール効果を奏する。
【0029】
(8)本発明は、(1)から(7)の弁について、前記弁体が球状である場合に、前記弁体がベアリングボールからなることを特徴とする弁を提案している。
【0030】
この発明によれば、弁体が球状である場合に、弁体がベアリングボールであることから、低コストで弁を構成できるとともに、球状である弁体の精度を高く維持することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、弁の閉状態において、たとえ、弁体に軸ずれが発生しても、流路の閉状態時には、弁体が連結部材に設けられた自在継ぎ手構造により自在に回転するため、弁体の円周部が、例えば、流路に設けられた段部に確実に当接することにより、的確に流体の流れを遮断することができるという効果がある。また、弁が、弁体、別の弁体、連結部材の3つの部材からなるため、簡易な構成で弁を形成することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態に係る弁について、図面を用いて詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0033】
<第1の実施形態>
図1および図2を用いて、本発明に係る第1の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る弁は、例えば、ソレノイド等の駆動体が非動作状態である場合に、弁を閉状態とするものである。
【0034】
<弁の構成>
本実施形態に係る弁100は、図1に示すように、第1の流路1と、第2の流路2と、スプリング5と、ホルダ6と、ジョイント7と、開閉部材11とから構成されている。
【0035】
第1の流路1及び第2の流路2には、先端側から順に、出力ポート4、図示しないドレンポートおよび入力ポート3が設けられている。第1の流路1は、入力ポート3に連結し、弁の中心部に所定の径を有する円柱状の流路を形成している。また、第1の流路1は、第1の流路1よりも径の大きな円柱状の流路である第2の流路2とともに段部を形成し、出力ポート4と連結されて構成されている。さらに、段部には、図3に示すように、後述する弁体の接線方向と略平行なテーパが設けられている。
【0036】
入力ポート3は、供給圧力Pの流体が供給される開口部であり、出力側となる出力ポート4は、出力側の流体圧力を制御圧力Pに制御するために、流体を出力側に供給する開口部である。また、図示しないドレンポートは、余分な流体Drを排出するための開口部である。
【0037】
スプリング5は、後述する開閉部材11の一部である弁体を構成する第1の剛球体8に当接し、例えば、ソレノイド等の駆動体が作用する方向に抗する方向に開閉部材11を付勢する。
【0038】
ホルダ6は、別の弁体を構成し、さらに、第1の流路1に配置され、例えば、図2に示すように、一端に後述する開閉部材11の一部である第2の剛球体9の半分以上を少なくとも2箇所以上で包み込むように保持する形状を備えた自在継ぎ手構造からなり、他端が、ソレノイド等の駆動体と当接している。ジョイント7は、弁100とソレノイド等の駆動体を結合するための連結部材である。
【0039】
開閉部材11は、弁体をなす第1の剛球体8と、第1の剛球体8と一体化した連結部材10、連結部材10の他端に第2の剛球体9をも一体化して構成されている。また、開閉部材11は、第2の剛球体9を介して、別の弁体をなすホルダ6に連結されており、ホルダ6と開閉部材11の連結部は、自在継ぎ手構造となるように構成されている。ここで、自在継ぎ手構造とは、例えば、第2の剛球体9をホルダ6に組み合わせるとき、開閉部材11が第2の剛球体9を支点として回転及び、振り子のように、振れることができるフレキシブル性を有した構造をいう。
【0040】
この構造は、図1及び図2で示す構成で実現可能である。連結部材10と一体化している第2の剛球体9をホルダ6の凹部に径方向側の隙間を設けつつ挿入する。次に、ホルダ6の挿入箇所周辺をプレス等で加圧することにより、第2の剛球体9の球面部分の半分以上を覆うようにする。このとき、軸方向側にも適正なガタを設けておくことにより、連結部材10が、第2の剛球体9を支点に回転及び、振り子のように振れることができるようになる。
【0041】
こうすることによって、第1の流路1、第1の流路1内を摺動するホルダ6、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部等の寸法精度に関わらず、弁としての機能を有効に発揮することが可能となる。つまり、第1の流路1の内径寸法とホルダ6の外周寸法との間にガタがあったとしても、開閉部材11は、第2の剛球体9を支点として、フレキシブルに回転及び、振り子のように振れることにより、第1の流路1と第2の流路2とで形成されるテーパ部に第1の剛球体8を密着させて高いシール効果を保つことができる。
【0042】
なお、弁体をなす第1の剛球体8および第2の剛球体9には、ベアリングボールを用いてもよい。弁体をなす第1の剛球体8および第2の剛球体9をベアリングボールで構成すれば、低コストで構成できるとともに、弁体の精度を高く維持することができる。
【0043】
<弁の動作>
次に、図1を用いて、本実施形態に係る弁の動作について説明する。
まず、ソレノイド等の駆動体が、非動作状態である場合には、スプリング5の付勢力により、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部に弁体をなす第1の剛球体8の円周部が当接される。
【0044】
ここで、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部は、弁体をなす第1の剛球体8の接線方向と略平行な形状となっているため、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部に弁体をなす第1の剛球体8の円周部が十分に密着した状態になる。したがって、駆動体の非動作状態に、流路を閉状態とし、しかも、弁体をなす第1の剛球体8の円周部と段部のテーパがしっかりと密着して、高いシール効果を奏するため、的確に流体の流れを遮断することができる。また、弁の閉状態において、たとえ、弁体に軸ずれが発生しても、流路の閉状態時には、球体の半分以上をホルダ6に少なくとも2箇所以上で包み込むように保持された第2の剛球体9を支点に回転及び振れることができるため、弁体をなす第1の剛球体8の円周部が段部に確実に当接して、より的確に流体の流れを遮断することができる。
【0045】
一方で、ソレノイド等の駆動体が、動作状態である場合には、開閉部材11およびホルダ6が直線移動し、弁体をなす第1の剛球体8が、段部から離れることにより、流路を開状態とする。したがって、ソレノイド等の駆動体の駆動量を制御することで、出力ポート4における流体圧力Pを制御することができる。
【0046】
<第2の実施形態>
図4を用いて、本発明に係る第2の実施形態について説明する。なお、本実施形態に係る弁は、例えば、ソレノイド等の駆動体が動作状態である場合に、弁を閉状態とするものである。
【0047】
<弁の構成>
本実施形態に係る弁110は、図4に示すように、第1の流路1と、第2の流路2と、スプリング5と、ホルダ6と、ジョイント7と、開閉部材11とから構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同一の機能を有することから、その詳細な説明は省略する。
【0048】
スプリング5は、開閉部材11と自在継ぎ手構造を介して連結するホルダ6に当接し、例えば、ソレノイド等の駆動体が作用する方向に抗する方向にホルダ6を付勢する。
【0049】
ホルダ6は、第1の流路1に配置され、例えば、図2に示すように、一端に後述する開閉部材11の一部である第2の剛球体9の半分以上を少なくとも2箇所以上で包み込むような自在継ぎ手構造を備え、他端が、スプリング5と当接している。また、弁体をなす第1の剛球体8は、例えば、ソレノイド等の駆動体と当接している。
【0050】
<弁の動作>
次に、図4を用いて、本実施形態に係る弁の動作について説明する。
まず、ソレノイド等の駆動体が、非動作状態である場合には、スプリング5の付勢力により、開閉部材11が開いて、流路を開状態とする。
【0051】
一方、ソレノイド等の駆動体が、動作状態である場合には、開閉部材11およびホルダ6が直線移動し、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部に弁体をなす第1の剛球体8の円周部が当接される。
【0052】
ここで、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部は、弁体をなす第1の剛球体8の接線方向と略平行な形状となっているため、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部に弁体をなす第1の剛球体8の円周部が十分に密着した状態になる。したがって、駆動体の動作状態に、流路を閉状態とし、しかも、弁体をなす第1の剛球体8の円周部と段部のテーパがしっかりと密着して、確実に流路を閉状態にすることができる。また、弁の閉状態において、たとえ、開閉部材11に軸ずれが発生しても、第2の剛球体9を支点に回転及び振れることができるため、弁体をなす第1の剛球体8の円周部が段部に確実に当接して、より的確に流路を閉状態とすることができる。
【0053】
<応用例1>
図5を用いて、応用例1について説明する。
【0054】
<構成>
本応用例1は、第1の実施形態に係る弁に駆動体としてソレノイドを用いたソレノイド弁である。本応用例1に係るソレノイド弁は、弁100とソレノイド120とから構成されている。また、ソレノイド120は、ジョイント7により、弁100と連結され、磁性材料からなるケース20と、コイル21と、シャフト22と、磁性材料からなるベースコア23とから構成されている。
【0055】
<動作>
まず、ソレノイド120のコイル21に電流が供給されていない場合、すなわち、ソレノイド120が非動作状態である場合には、スプリング5の付勢力により、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部に弁体をなす第1の剛球体8の円周部が当接される。
【0056】
ここで、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部は、弁体をなす第1の剛球体8の接線方向と略平行な形状となっているため、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部に弁体をなす第1の剛球体8の円周部が十分に密着した状態になる。したがって、駆動体の非動作状態に、流路を閉状態とし、しかも、弁体をなす第1の剛球体8の円周部と段部のテーパがしっかりと密着して、確実に流路を閉状態にすることができる。また、弁の閉状態において、たとえ、開閉部材11に軸ずれが発生しても、第2の剛球体9を支点に回転及び振れることができるため、弁体をなす第1の剛球体8の円周部が段部に確実に当接して、より的確に流路を閉状態とすることができる。
【0057】
一方で、ソレノイド120のコイル21に電流が供給されている場合、すなわち、ソレノイド120が、動作状態である場合には、シャフト22に与えられる推力により開閉部材11およびホルダ6が直線移動し、弁体をなす第1の剛球体8が、段部から離れることにより、流路を開状態とする。したがって、ソレノイドの駆動量を制御することで、出力ポート4における流体圧力Pを制御することができる。
【0058】
<応用例2>
図6を用いて、応用例2について説明する。
【0059】
<構成>
本応用例2は、第2の実施形態に係る弁に駆動体としてソレノイドを用いたソレノイド弁である。本応用例2に係るソレノイド弁は、弁110とソレノイド120とから構成されている。また、ソレノイド120は、ジョイント7により、弁110と連結され、磁性材料からなるケース20と、コイル21と、シャフト22と、磁性材料からなるベースコア23とから構成されている。
【0060】
<動作>
まず、ソレノイド120のコイル21に電流が供給されていない場合、すなわち、ソレノイド120が非動作状態である場合には、スプリング5の付勢力により、開閉部材11が開いて、流路を開状態とする。
【0061】
一方、ソレノイド120のコイル21に電流が供給されている場合、すなわち、ソレノイド120が、動作状態である場合には、シャフト22に与えられる推力により開閉部材11およびホルダ6が直線移動し、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部に弁体をなす第1の剛球体8の円周部が当接される。
【0062】
ここで、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部は、弁体をなす第1の剛球体8の接線方向と略平行な形状となっているため、第1の流路1と第2の流路2とにより形成される段部のテーパ部に弁体をなす第1の剛球体8の円周部が十分に密着した状態になる。したがって、駆動体の動作状態に、流路を閉状態とし、しかも、弁体をなす第1の剛球体8の円周部と段部のテーパがしっかりと密着して、確実に流路を閉状態にすることができる。また、弁の閉状態において、たとえ、開閉部材11に軸ずれが発生しても、第2の剛球体9を支点に回転及び振れることができるため、弁体をなす第1の剛球体8の円周部が段部に確実に当接して、より的確に流路を閉状態とすることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の実施形態に係る弁の断面図である。
【図2】第2の剛球体とホルダとの関係を示した図である。
【図3】第1の剛球体と段部との位置関係を示した図である。
【図4】第2の実施形態に係る弁の断面図である。
【図5】応用例1に係るソレノイド弁の断面図である。
【図6】応用例2に係るソレノイド弁の断面図である。
【図7】従来例に係る弁の断面図である。
【図8】従来例に係るソレノイド弁の断面図である。
【図9】従来例に係るソレノイド弁の断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1・・・第1の流路、2・・・第2の流路、3・・・入力ポート、4・・・出力ポート、5・・・スプリング、6・・・ホルダ、7・・・ジョイント、8・・・第1の剛球体、9・・・第2の剛球体、10・・・連結部材、11・・・弁体、20・・・ケース、21・・・コイル、22・・・シャフト、23・・・ベースコア、100、110・・・弁、120・・・ソレノイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状または半球状の弁体と、一端に前記弁体が連結され、他端に自在継ぎ手構造を設けた連結部材とからなることを特徴とする弁。
【請求項2】
さらに、円柱状で、かつ、外周に環状の溝が形成されるとともに、
前記自在継ぎ手構造を介して、前記連結部材に連結される別の弁体を備えたことを特徴とする請求項1に記載の弁。
【請求項3】
前記弁体は、流体の流路内に配置され、該流路を閉状態とするときに、該流路の一部に当接することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の弁。
【請求項4】
前記別の弁体に当接するとともに、前記別の弁体を前記弁体側に摺動させる駆動体と、
前記弁体に当接するとともに、前記弁体を前記別の弁体側に付勢するスプリングと、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の弁。
【請求項5】
前記弁体に当接するとともに、前記弁体を前記別の弁体側に摺動させる駆動体と、
前記別の弁体に当接するとともに、前記別の弁体を前記弁体側に付勢するスプリングと、
を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の弁。
【請求項6】
前記流路が、前記別の弁体側で縮径し、かつ、前記弁体よりも径が小さい段部を形成していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の弁。
【請求項7】
前記段部に前記弁体の曲面部分の接線方向と略平行なテーパが設けられていることを特徴とする請求項6に記載の弁。
【請求項8】
前記弁体が球状である場合に、前記弁体がベアリングボールからなることを特徴とする請求項1から請求項7に記載の弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−197954(P2009−197954A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−42318(P2008−42318)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(302038741)新電元メカトロニクス株式会社 (38)
【Fターム(参考)】