説明

【課題】常時開位置又は常時閉位置に弁体と弁座との関係を維持するバネを使用しつつも耐食性に優れた弁を提供する。
【解決手段】ケーシング20内を流体が流れる流路20cと、ピストン5を軸方向に移動させる駆動力を作用させる駆動部材移動室37とを完全に隔離し、流体が駆動部材移動室37内に侵入しないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体を弁座に接触させて常時閉位置に維持するか、又は、弁体を弁座から離した常時開位置に維持する弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の弁において、例えば、弁体を弁座に接触させて常時閉位置に維持させる機構としては、薬液の流路内にバネを配置し、そのバネの付勢力により、弁体を弁座に常時押し付けるように付勢するものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
このような構造では、弁体を弁座から離すときには、弁体に連結したピストンに対して、エアー圧又は電磁力又はモータの動力などの駆動力を与えて、弁体を弁座から離すようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−147268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、通常、バネは金属で構成するため、薬液の流路内にバネを配置すると、薬液に対してバネが腐食されてしまうため、何らかの耐腐食手段をバネに施す必要がある。例えば、耐腐食性のある合成樹脂などでバネ自体を全面コーティングするか、又は、バネを耐腐食性のある合成樹脂のチューブで覆うようにしたものがある。
【0006】
しかしながら、バネ自体を全面コーティングする場合には、バネの全面を正確に被覆することができず、被覆されていない部分が腐食されてしまうといった問題がある。また、合成樹脂のチューブでバネ全体覆う場合には、バネの端部をカットしてチューブ内にバネを挿入させるため、端部がカットされることによりバネ全体としては安定性が悪くなるとともに、チューブの端部の密封処理が必要なり、煩雑であるといった問題がある。
【0007】
また、バネを金属ではなく、合成樹脂で構成すれば、前記したような手段は不要となるが、合成樹脂では強度が弱く、樹脂の種類によっては、耐薬品性に問題が生じる場合もある。
【0008】
従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、常時開位置又は常時閉位置に弁体と弁座との関係を維持するバネを使用しつつも耐食性に優れた弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、流体の入口と、前記入口に連通されかつ軸方向と直交する面において複数に分割された分岐流路と、全ての前記分岐流路と連通された出口とを有するケーシングと、
前記ケーシングの前記入口に設けられた弁座と、
前記ケーシング内に収納され、前記ケーシングの前記弁座に接離可能に配置された弁体と、
前記ケーシング内に収納され、前記分岐流路とは独立した可動部材移動室内で軸方向に移動可能に配置され、前記弁体に一端が連結され他端側に駆動力受け部を有するとともに、前記駆動力受け部の外面でかつ互いに隣接する前記分岐流路に対向する部分と前記分岐流路に対向する部分との間の部分に、前記ケーシングの入口側から出口側に向かうに従い前記駆動力受け部の軸芯に近づくように傾斜した複数の傾斜面を有する可動部材と、
前記可動部材の軸方向とは直交する方向に移動可能に、前記分岐流路とは独立した前記ケーシングの駆動部材移動室内に配置され、かつ、前記可動部材の前記傾斜面が摺動する傾斜面を一端に有し、他端側に配置された付勢部材の付勢力により前記一端の前記傾斜面が前記可動部材の前記傾斜面に常時接触する方向に押圧付勢される複数の可動部材駆動部材と、
を備え、
前記付勢部材の前記付勢力により、前記可動部材駆動部材の前記傾斜面が前記可動部材の前記傾斜面に常時接触するとともに、前記可動部材が軸方向に移動して前記弁体が前記弁座に接触して常時閉状態となることを特徴とする弁を提供する。
【0010】
本発明の第2態様によれば、前記ケーシング内の前記可動部材移動室の流体入口側の端部と前記可動部材との間に形成された可動部材駆動室と、
前記可動部材駆動室に連通する可動部材駆動用エア供給通路とをさらに備えて、
前記可動部材駆動用エア供給通路から前記可動部材駆動室にエアが供給されると、前記付勢部材の前記付勢力に抗して前記可動部材が軸方向に移動して前記弁体が前記弁座から離れて、前記流体が前記入口から前記複数の分岐流路に流れ込み、前記複数の分岐流路から前記出口を経て排出される、第1の態様に記載の弁を提供する。
【0011】
本発明の第3態様によれば、流体の入口と、前記入口に連通されかつ軸方向と直交する面において複数に分割された分岐流路と、全ての前記分岐流路と連通された出口とを有するケーシングと、
前記ケーシングの前記入口に設けられた弁座と、
前記ケーシング内に収納され、前記ケーシングの前記弁座に接離可能に配置された弁体と、
前記ケーシング内に収納され、前記分岐流路とは独立した可動部材移動室内で軸方向に移動可能に配置され、前記弁体に一端が連結され他端側に駆動力受け部を有するとともに、前記駆動力受け部の外面でかつ互いに隣接する前記分岐流路に対向する部分と前記分岐流路に対向する部分との間の部分に、前記ケーシングの入口側から出口側に向かうに従い前記駆動力受け部の軸芯から遠ざかるように傾斜した複数の傾斜面を有する可動部材と、
前記可動部材の軸方向とは直交する方向に移動可能に、前記分岐流路とは独立した前記ケーシングの駆動部材移動室内に配置され、かつ、前記可動部材の前記傾斜面が摺動する傾斜面を一端に有し、他端側に配置された付勢部材の付勢力により前記一端の前記傾斜面が前記可動部材の前記傾斜面に常時接触する方向に押圧付勢される複数の可動部材駆動部材と、
を備え、
前記付勢部材の前記付勢力により、前記可動部材駆動部材の前記傾斜面が前記可動部材の前記傾斜面に常時接触するとともに、前記可動部材が軸方向に移動して前記弁体が前記弁座から離れて常時開状態となり、前記流体が前記入口から前記複数の分岐流路に流れ込み、前記複数の分岐流路から前記出口を経て排出されることを特徴とする弁を提供する。
【0012】
本発明の第4態様によれば、前記ケーシング内の前記可動部材移動室の流体入口側の端部と前記可動部材との間に形成された可動部材駆動室と、
前記可動部材駆動室に連通する可動部材駆動用エア供給通路とをさらに備えて、
前記可動部材駆動用エア供給通路から前記可動部材駆動室にエアが供給されると、前記付勢部材の前記付勢力に抗して前記可動部材が軸方向に移動して前記弁体が前記弁座に接触して閉状態となる、第2の態様に記載の弁を提供する。
【0013】
本発明の第5態様によれば、前記ケーシングは、前記可動部材の前記駆動力受け部よりも入口側の部分を覆って前記流路と前記可動部材の前記駆動力受け部よりも前記入口側の部分とを隔離するベロー部を有するとともに、前記ベロー部の先端に前記弁体を一体的に取り付けて、前記ベロー部と前記弁体との間に前記流体が侵入しないようにしている、第1〜4のいずれか1つの態様に記載の弁を提供する。
【0014】
本発明の第6態様によれば、前記可動部材駆動部材の前記傾斜面を有する前記一端の側の部分であって前記ケーシングを摺動する底部に、前記可動部材駆動部材の中間部から前記一端に向かうに従い、流体入口側に傾斜する傾斜面を有する第1の態様に記載の弁を提供する。
【0015】
本発明の第7態様によれば、前記ケーシング内の前記可動部材移動室に連通するエア通路をさらに備えて、
前記可動部材の移動に伴い、前記エア通路を経て、前記可動部材移動室と弁外部との間でエアーの吸い込み及び排出を行う、第1又は3の態様に記載の弁を提供する。
【0016】
本発明の第8態様によれば、前記可動部材駆動部材の前記可動部材の軸方向とは直交する方向の移動を案内するガイド部をさらに備える、第1〜7のいずれか1つの態様に記載の弁を提供する。
【0017】
本発明の第9態様によれば、前記ケーシングと前記可動部材と前記可動部材駆動部材とはフッ素系樹脂で形成されている第1〜8のいずれか1つの態様に記載の弁を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、パッキングなどを使用することなく、ケーシング内を流体が流れる流路と、可動部材(例えばピストン)を軸方向に移動させる駆動力を作用させる駆動部材移動室とを完全に隔離し、流体が駆動部材移動室内に侵入しないようにしているので、可動部材駆動部材の付勢力を発揮させる付勢部材として、例えば、金属のバネを使用しても、金属のバネと流体とが接触することが全く無くなり、耐薬品性を大幅に向上させることができ、耐食性に優れた弁を提供することができる。また、可動部材駆動部材の配置空間内でバネと可動部材駆動部材との間で発塵が生じたとしても、塵は流体に接触しえないので、流路内に入り込むことが全く無い。
【0019】
また、本発明の第5態様の構成によれば、前記ケーシングの前記ベロー部により、前記流路と前記可動部材の前記駆動力受け部よりも前記入口側の部分とを隔離することができて、より確実に、前記ベロー部と前記弁体との間に前記流体が侵入しないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明における第1実施形態を詳細に説明する。
本発明の第1の実施形態にかかる弁は、図1A〜図6Bに示すように、弁座22を有するケーシング20と、弁体4と、可動部材の一例としてのピストン5と、ピストンロッド6と、複数の可動部材駆動部材の一例としてのピストン駆動部材7と、バネケース8と、付勢部材の一例としてのバネ9と、可動部材駆動室の一例としてのピストン駆動室30と、可動部材駆動用エア供給通路の一例としてのピストン駆動用エア供給通路31とを備えて構成している。
【0021】
ケーシング20は、図1Aの上から下に向けて、流体入口側ケーシング部2と、ベローズ付きケーシング本体部1と、流体出口側ケーシング部3との3つの部品で構成されているが、3つの部品に限定されるものではなく、適宜、一体化又は細分化してもよい。流体入口側ケーシング部2とベローズ付きケーシング本体部1との間はOリング14Aで密閉されている。また、ベローズ付きケーシング本体部1と流体出口側ケーシング部3との間はOリング14Bで密閉されている。
【0022】
流体入口側ケーシング部2には、中央に貫通して配置されかつ流体例えば薬液(酸、アルカリ、溶剤などの液体)などの液体の流体入口20aと、入口20aの内端部に配置された弁座22と、前記入口20aに連通された円環状流路20bとが形成されている。弁座22は、前記ケーシング20の前記入口20aの内端部に設けられた環状の円錐面で構成されている。流体入口側ケーシング部2の円環状流路20bが形成されている部分の中央部には、内部でピストン5が軸方向に進退可能な、ケーシング本体部1の大略筒状のベローズ部1bが入り込んでいる。言い換えれば、流体入口側ケーシング部2の流体出口側の端部内にケーシング本体部1のベローズ部1bが入り込んで、円環状流路20bが形成されている。流体入口側ケーシング部2の外側に嵌め込まれている取付用フランジ16は、入口20aに連通させる他の配管を取り付けるためのフランジである。
【0023】
ケーシング本体部1には、中央部に、流体入口側ケーシング部2の流体出口側の端部内まで入り込むように突出しかつ内部でピストン5が軸方向に進退可能な、ケーシング本体部1のベローズ部1bが配置され、その周囲に、流体入口側ケーシング部2の円環状流路20bに連通されて複数に分割された分岐流路20cが間隔を開けて(言い換えれば、ピストン駆動部材配置空間37が形成される部分に対応する部分を避けて)形成されている。ベローズ部1bの先端1aには、ピストン5の軸先端部5aにねじ込まれるなどして固定された大略円錐台形状の弁体4がOリング10を介して連結されており、ベローズ部1bと弁体4とでピストン5を完全に覆って密閉するようにしている。
【0024】
分岐流路20cは、一例として、図1A〜図2では、ケーシング20の軸芯周りに120度間隔で3個に分割されて配置されている。流体入口20aから各分岐流路20c内に入り込んだ液体が各分岐流路20c内を円滑に流れるためには、分割された分岐流路20cの合計の流路面積は、入口20aの開口面積より大きくするのが好ましい。より円滑に液体を流すためには、分割された分岐流路20cの合計の流路面積は、入口20aの開口面積の1.2倍よりも大きくするのが好ましい。ケーシング本体部1は、軸方向と直交する面において、図1C〜図1Eに示すように、隣接する分岐流路20cと分岐流路20cとの間の部分に、後述するピストン駆動部材7が配置されるピストン駆動部材配置空間37を形成している。ケーシング本体部1の中央部には、分岐流路20cとは独立してピストン5が軸方向に移動する第1ピストン移動室20fと第1ピストン移動室20fよりも大径の第2ピストン移動室20gを有するとともに、その第2ピストン移動室20gの流体出口側の端部にピストンロッド6を固定している。第1ピストン移動室20fと第2ピストン移動室20gとは、可動部材移動室の一例として機能する。第2ピストン移動室20gの流体入口側の端部に、ピストン5の後述する駆動力受け部5cとの間に、円環状のピストン駆動室30を形成している。このピストン駆動室30は、ピストン5の中間部5bと第1ピストン移動室20fの内壁との間をOリング11で密封し、駆動力受け部5cと第2ピストン移動室20gの内壁との間をOリング12で密封することにより、ピストン5とケーシング本体部1との間に形成された密閉空間として構成されている。このピストン駆動室30には、ケーシング本体部1を径方向に貫通するピストン駆動用エア供給通路31が連通されており、ピストン駆動用エア供給通路31からエアがピストン駆動室30内に供給されると、エアの圧力で、ケーシング本体部1に対してピストン5が下降するように付勢される。ピストン5は、一例として、円柱部材で構成するが、これに限られるものではなく、角柱部材で構成するようにしてもよい。
【0025】
なお、図1Aの参照符号15は、流体入口側ケーシング部2とケーシング本体部1と流体出口側ケーシング部3とを一体的に固定するための固定用フランジボルトである。
【0026】
流体出口側ケーシング部3には、全ての前記分岐流路20cと連通された流体出口20dが形成されている。流体出口側ケーシング部3の外側に嵌め込まれている取付用フランジ16は、流体出口20dに連通させる他の配管を取り付けるためのフランジである。
【0027】
よって、前記ケーシング20において、液体は、流体入口20aから入り、円環状流路20bを経て、分岐流路20cで分岐したのち、全ての前記分岐流路20cから流体出口20dを経て排出されるようになっている。
【0028】
ピストン5は、軸方向の先端(入口側の端部)に弁体4を固定して、ピストン5の軸方向の移動により、ケーシング20内で、弁体4がケーシング20の弁座22に接離可能となっている。すなわち、ピストン5は、弁体4が固定される小径の軸先端部5aと、軸先端部5aに続き軸先端部5aより大径の円柱状の中間部5bと、中間部5bに続き中間部5bよりも大径の円柱状でかつ120度間隔に傾斜面5eを有する駆動力受け部5cと、駆動力受け部5cに続き駆動力受け部5cよりも小径の円柱状のガイド軸部5dとで構成されている。傾斜面5eは、駆動力受け部5cの外面でかつ互いに隣接する分岐流路20cに対向する部分と分岐流路20cに対向する部分との間の部分に配置されている。中間部5bは、その周囲がケーシング本体部1のベローズ部1bで完全に覆われており、ベローズ部1bでその内部に第1ピストン移動室20fを形成し、第1ピストン移動室20f内で軸方向に自在に中間部5bが移動可能となっている。また、駆動力受け部5cは、ケーシング本体部1の第2ピストン移動室20g内で軸方向に自在に移動可能となっている。
【0029】
ピストンロッド6は、ピストン5の流体出口側に配置されており、ケーシング本体部1の第2ピストン移動室20gの流体出口側の端部にOリング13を介して密閉しつつ固定されている。図4にも示されるように、ピストンロッド6は、軸直交方向沿いに配置された入口側の面6aに、その面6aから軸方向の入口側に突出してピストン駆動部材7の進退移動、すなわち、ピストン駆動部材7の底面及び両側面の移動を摺動自在に案内するピストン駆動部材ガイド部6bを120度間隔で備えているとともに、中央部に、ピストン5のガイド軸部5dが自在に移動するガイド穴6cを有している。ピストン駆動部材ガイド部6bとピストン駆動部材7との位置関係を合わせるため、ピストンロッド6は、ケーシング本体部1に対してその軸回りに回転しないように、溶接などにより固定されている。好ましくは、ピストンロッド6の全周囲とケーシング本体部1とを溶接により固着し(図1Aの符号50の溶接部分を参照)、この固着部分から分岐流路20c又は流体出口20dを流れる流体が全く侵入できないようにするのが好ましい。
【0030】
よって、弁体4とピストン5の中間部5bとの間はOリング10で密閉され、ピストンロッド6とケーシング本体部1との間はOリング13で密閉されているため、第1ピストン移動室20f及び第2ピストン移動室20g内には、液体が入り込まないようになっている。
【0031】
一方、ケーシング本体部1であって、かつ、ピストン5の駆動力受け部5cに対向する部分であってかつピストンロッド6の上方において、弁の中心軸回りに120度間隔を開けて、駆動部材移動室の一例として機能するピストン駆動部材配置空間37に、3個のピストン駆動部材7が配置されている。各ピストン駆動部材配置空間37は、分岐流路20cとは完全に独立しており、薬液が誤って侵入することはないようにしている。その理由は、前記したように、2つのOリング10と13(さらには、溶接部分50をピストンロッド6の全周に設けた場合には、溶接部分50)とにより、第1ピストン移動室20f及び第2ピストン移動室20g内には、液体が入り込まないようになっているため、第2ピストン移動室20gにピストン駆動部材7が入り込んでも、ピストン駆動部材配置空間37、すなわち、後述するピストン駆動部材7及びバネ9及びバネ収納部材8内のピストン駆動部材配置空間37には、薬液が誤って侵入することはない。
【0032】
図5にも示されるように、各ピストン駆動部材7は、前記弁の軸方向と直交する方向に、弁の中心軸に向けて進退移動自在にピストン駆動部材配置空間37内に配置されている。すなわち、ピストン駆動部材7の長手方向の一端部には、流体入口側から流体出口側に向かうに従い弁の中心軸に接近するような傾斜面7eを有して、傾斜面7eがピストン5の傾斜面5eに摺動自在に接触して、ピストン駆動部材7の軸方向と直交する方向の移動による押圧力を、傾斜面7eと傾斜面5eとの摺動により、ピストン5の軸方向の移動力に変換して、ピストン5を軸方向に移動する駆動力として働くようにしている。ピストン5の軸方向の移動量とピストン駆動部材7からピストン5への駆動力の伝達効率などを考慮すると、傾斜面7eと傾斜面5eとの傾斜角度は、一例として60度又は60度程度とするのがよい。
【0033】
ピストン駆動部材7の長手方向の他端部には、その長手方向に沿ってバネ9の先端部を収納する凹部7aを有する。また、ピストン駆動部材7の中間部から基端部の全体及びバネ9の基端部を収納する凹部8aを有するバネ収納部材8を、ケーシング本体部1に120度間隔で備えている。具体的には、バネ収納部材8の外周の雄ねじ部8bがケーシング本体部1のピストン駆動部材配置空間37に形成したネジ穴20h内にねじまれて固定されている。よって、バネ収納部材8とピストン駆動部材7との間にバネ9が縮められて配置され、バネ9の付勢力が、常に、ピストン駆動部材7を弁の中心軸側に押しやる方向に作用するようにしている。この結果、ピストン駆動部材7の傾斜面7eがピストン5の傾斜面5eに摺動自在に常に接触し、ピストン駆動部材7のピストン5に対する押圧力でもって、ピストン5が上昇して、弁体4が弁座22に常時接触することになる一方、前記したように、ピストン駆動用エア供給通路31からエアがピストン駆動室30内に供給されると、エアの圧力で、バネ9の付勢力に抗して、ケーシング本体部1に対してピストン5が下降するように付勢されて、弁体4が弁座22から離れるようにしている。バネ9は、一例として、コイルバネより構成する。付勢部材としては、バネに限定されるものではなく、ゴム、又は、エアダンパーなど、バネ9と同様な機能を発揮することができる部材をバネに代えて使用することができる。
【0034】
なお、ケーシング本体部1のネジ穴20hに対してバネ収納部材8の雄ねじ部8bを取り外す方向に回転させれば、バネ収納部材8をケーシング本体部1から容易に取り外すことができ、ピストン駆動部材配置空間37に配置されたバネ9及びピストン駆動部材7が流体と接触していないことの確認(流体のリークの有無の確認)、又は、バネ9の状態などの各種確認作業を簡単に行うことができる。さらに、確認作業の際に発塵が生じたり、また、バネ9の伸縮動作により発塵が生じたりしても、発生した塵は流体とは接触しないので、流体を汚染することが全くない。
【0035】
前記弁の各部品の材質の一例としては以下のようなものが挙げられる。薬液と接触する可能性のある部分、例えば、流体入口側ケーシング部2と、ベローズ付きケーシング本体部1と、流体出口側ケーシング部3と、弁体4とは、フッ素樹脂、例えば、ポリテトラ・フルオロエチレン(PTFE)で構成されているのが、耐薬品性の点で好ましい。また、ピストン5は、フッ素樹脂、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)で構成されているのが、耐薬品性及び機械的特性の点で好ましい。ピストンロッド6及びピストン駆動部材7は、フッ素樹脂、例えば、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)で構成されているのが、耐薬品性及び機械的特性の点で好ましい。バネ9は、薬液に接触することがないため、通常の汎用されているステンレス鋼などの金属でよい。
【0036】
前記構成にかかる弁は、以下のようにして作用する。
【0037】
まず、常時は、図1A及び図6Aに示すように、3個のバネ9の付勢力により、3個のピストン駆動部材7の傾斜面7eがピストン5の3個の傾斜面5eに接触して、ピストン駆動部材7からの押圧力により、ピストン5が上昇させられて、ピストン5の先端の弁体4が弁座22に常時接触して、閉位置をとるようになっている。この閉位置では、図6Aに示すように、ケーシング本体部1のベローズ部1bが伸びた状態となっている。この閉位置となると、液体の流体入口側ケーシング部2の流体入口20aから円環状流路20b内への流入が停止させられる。
【0038】
一方、図2及び図6Bに示すように、ピストン駆動用エア供給通路31から(図2の矢印(1)参照)エアがピストン駆動室30内に供給されると(図2の矢印(2)参照)、ピストン駆動室30内のエアの圧力が上昇し、エアの圧力でケーシング本体部1に対してピストン5が下降するような押し下げ力が働く(図2の矢印(3)参照)。この押し下げ力により、ピストン5の各傾斜面5eが3個のピストン駆動部材7の傾斜面7eを押圧して(図2の矢印(4)参照)、各ピストン駆動部材7と各バネ収納部材8との間のバネ9を縮めて、ピストン駆動部材7をバネ収納部材8内に後退させる。よって、バネ9の付勢力に抗して、ケーシング本体部1に対してピストン5が下降して(図2の矢印(5)参照)、弁体4が弁座22から離れて開位置となる。この開位置では、図6Bに示すように、ケーシング本体部1のベローズ部1bが縮んだ状態となっている。弁体4が前記弁座22から離れて開位置となると、液体が流体入口側ケーシング部2の流体入口20aから円環状流路20b内に入り、ケーシング本体部1の3個の分岐流路20cを通過し、流体出口側ケーシング部3の流体出口20dから排出される。
【0039】
前記実施形態によれば、液体の流れる流路と、バネ9が動作するピストン駆動部材配置空間37とが完全に分離されて、液体がバネ9が動作する空間内に入り込まないため、バネ9を金属で構成しても腐食することがなく、常時閉位置に弁体4と弁座22との関係を維持するバネ9を使用しつつも耐食性に優れた弁を提供することができる。
【0040】
また、バネ収納部材8をケーシング本体部1にねじで連結しているたけであるため、ねじを緩めれば、バネ収納部材8をケーシング本体部1から容易に取り外すことができ、ピストン駆動部材配置空間37に配置されたバネ9及びピストン駆動部材7が流体と接触していないことの確認(流体のリークの有無の確認)、又は、バネ9の状態などの各種確認作業を簡単に行うことができる。
【0041】
さらに、確認作業の際に発塵が生じたり、又は、バネ9の伸縮動作により発塵が生じても、発生した塵は流体とは接触しないので、流体を汚染することが全くない。
【0042】
これに対して、従来、流路内にバネがある場合には、たとえ、シール部材で流路とバネを収納している空間とを密閉していたとしても、何らかのトラブルが生じたとき、シール部材での密閉を解除して、バネを収納している空間内の流体のリークなどを確認すると、バネの伸縮作用に伴って発生した塵が流路内に誤って入り込んだりしてしまい、汚染が生じてしまうといった課題がある。ところが、本発明によれば、バネ9が収納されているピストン駆動部材配置空間37と流路20cとを完全に隔離して分離しているため、ピストン駆動部材配置空間37をあけて、バネ9を取り出したり、流体のリークを確認するなどの作業をしても、流路20cを全く開くことにならず、バネ9の伸縮作用に伴って発生した塵が流路20c内に誤って入り込む可能性が全く無い。
【0043】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施できる。
【0044】
例えば、前記実施形態では、弁体4とベロー部1bとは別々に設けていたが、図7に示すように、弁体4Aとベロー部1bとを一体成形により形成するようにしてもよい。このようにすれば、弁体4とピストン5との間に設けていたOリング10を不要とすることができる。
【0045】
また、図8に示すように、ピストン駆動部材7の長手方向の傾斜面7eが形成されている先端部側の底部分(可動部材駆動部材の前記傾斜面を有する前記一端の側の部分)が、ピストン駆動部材7の中間部から前記一端に向かうに従い、ピストン駆動部材配置空間37の摺動面よりも流体入口側に傾斜した傾斜面7fを形成して、ピストン駆動部材7がピストンロッド6の上面6a及びケーシング本体部1に対してより円滑に摺動するようにしてもよい。特に、ピストン駆動部材7がバネ収納部材8内に入り込むようにピストン側から後退するときに、傾斜面7fが形成されていることによりピストン5からピストン駆動部材7に作用する押圧力を分散することができて、ピストンロッド6の上面6a及びケーシング本体部1に対してピストン駆動部材7が円滑に摺動することができる。
【0046】
また、図9に示すように、ピストン5のガイド軸部5dを角柱にするとともに、ピストンロッド6のガイド穴6cを角柱のガイド軸部5dが自在に移動する角穴に形成して、ピストン5がピストンロッド6に対して相対的に回転することなく、軸方向にのみ円滑に案内されるようにしてもよい。
【0047】
また、ピストン駆動部材7とバネ9とバネ収納部材8とで構成するピストン駆動機構は、弁の中心軸回りに120度間隔に3個設けるものに限らず、図10に示すように、弁の中心軸回りに90度間隔に4個設けたり、図11に示すように、弁の中心軸回りに180度間隔に2個設けるようにしてもよい。ピストン駆動機構を前記実施形態のように120度間隔に3個設ける場合には、ピストン駆動部材7からの駆動力をピストン5に安定して伝達することができる。ピストン駆動機構を図10のように90度間隔に4個設ける場合には、バネ9の付勢力を、3個の配置する場合よりも小さくすることができる。ピストン駆動機構を図11のように180度間隔に2個設ける場合には、流路20cを大きく形成することができる。なお、ピストン駆動機構を2個設ける場合には、ピストン駆動部材7をより安定して移動させるため、ピストン駆動部材7の先端の傾斜面7eの両側をピストン5に向けて突出ガイド部7gとして突出させ、ピストン5の傾斜面5eの両側に、前記突出ガイド部7gをそれぞれ摺動可能に収納する凹部5gを形成するようにしてもよい。
【0048】
また、図12及び図13に示すように、常時閉型の弁ではなく、チェック弁として使用することもできる。すなわち、流体入口側ケーシング部2の流体入口20a内の流体、例えば液体の圧力が所定圧力以上になると、バネ9の付勢力に抗して、液体の圧力により弁体4が弁座22が離れて弁の流路内に液体が流れて、流体入口側ケーシング部2の流体入口20a内の圧力を下げるようにすることができる。この場合、図1Aのピストン駆動用エア供給通路31の代わりに、ピストン駆動室エア抜き通路39を配置して、液体の圧力により弁体4が弁座22が離れて、ピストン5が下降するとき、弁の外側の空気をピストン駆動室30内に自動的に吸い込む(図13参照)一方、液体の圧力が所定圧力未満となり、バネ9の付勢力により、ピストン5が上昇して弁体4が弁座22に接触するとき、ピストン駆動室30内のエアを自動的に排出することにより(図12参照)、ピストン5がケーシング20内で円滑に移動するようにしている。なお、図12及び図13では、弁体4Aとベロー部1bとを一体成形により形成したタイプの弁となっているが、これに限られるものではなく、図1Aのように弁体4とベロー部1bとは別々に設けるようにしてもよい。
【0049】
なお、図12及び図13に示す弁をインラインとして配置した場合には、チェック弁として使用することができるが、図12及び図13に示す弁をライン外に配置した場合には、リリーフ弁として機能させることもできる。
【0050】
また、図14及び図15に示すように、バネ9の付勢力により、弁体4を弁座22に対して常時閉位置に付勢するのではなく、常時開位置に位置するように付勢させる常時開形式の弁として構成してもよい。この場合、図1A及び図2の常時閉位置に弁体4を弁座22に対して位置させる型式の弁と比較して、ピストン駆動機構をピストン5の駆動力受け部5cの流体出口側の端部ではなく、流体入口側に設けるようにして、バネ9の付勢力により、ピストン5が常時下降するように付勢させるようにしてもよい。このため、傾斜面の傾斜角度が180度異なっている。すなわち、ピストン駆動部材7の長手方向の一端部には、流体入口側から流体出口側に向かうに従い弁の中心軸から遠ざかるような傾斜面7jを有するとともに、ピストン5の駆動力受け部5cの流体入口側の端部に、前記傾斜面7jを摺動する傾斜面5jを形成するようにしてもよい。このとき、第2ピストン移動室20gの流体出口側の端部に、ピストン5の駆動力受け部5cとの間に、ピストン駆動室30と同様な円環状のピストン駆動室30Bを形成している。このピストン駆動室30Bには、ピストン駆動用エア供給通路31と同様に、ケーシング本体部1を径方向に貫通するピストン駆動用エア供給通路31Bが連通している。また、ピストン駆動部材ガイド部6bと同様なピストン駆動部材ガイド部20kを、第1ピストン移動室20fと第2ピストン移動室20gとの境界部分の軸方向と直交する面沿いに形成して、ピストン駆動部材ガイド部6bと同様に、ピストン駆動部材ガイド部20kにより、ピストン駆動部材7の移動を案内するようにしている。
【0051】
前記常時開形式の弁の構成において、まず、常時は、図14に示すように、3個のバネ9の付勢力により、3個のピストン駆動部材7の傾斜面7jがピストン5の3個の傾斜面5jに接触して、ピストン駆動部材7からの押圧力により、ピストン5が下降させられて、ピストン5の先端の弁体4が弁座22から常時離れて、開位置をとるようになっている。この開位置となると、液体が流体入口側ケーシング部2の流体入口20aから円環状流路20b内に入り、ケーシング本体部1の3個の分岐流路20cを通過し、流体出口側ケーシング部3の流体出口20dから排出される。
【0052】
一方、図15に示すように、ピストン駆動用エア供給通路31Bからエアがピストン駆動室30B内に供給されると、ピストン駆動室30B内のエアの圧力が上昇し、エアの圧力でケーシング本体部1に対してピストン5が上昇するような押し上げ力が働く。この押し上げ力により、ピストン5の各傾斜面5jが3個のピストン駆動部材7の傾斜面7jを押圧して、各ピストン駆動部材7と各バネ収納部材8との間のバネ9を縮めて、ピストン駆動部材7をバネ収納部材8内に後退させる。よって、バネ9の付勢力に抗して、ケーシング本体部1に対してピストン5が上昇して、弁体4が弁座22に接触して閉位置となる。この閉位置となると、液体の流体入口側ケーシング部2の流体入口20aから円環状流路20b内への流入が停止させられる。なお、図14及び図15では、弁体4Aとベロー部1bとを一体成形により形成したタイプの弁となっているが、これに限られるものではなく、図1Aのように弁体4とベロー部1bとは別々に設けるようにしてもよい。
【0053】
なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明にかかる弁は、常時開位置又は常時閉位置に弁体と弁座との関係を維持する付勢部材を使用しつつも耐食性に優れた弁であって、例えば、流量制御弁、チェック弁、リリーフ弁などとして有用である。本発明にかかる弁は、特に、耐薬品性に優れているため、薬液用弁としても最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1A】本発明の一実施形態にかかる常時閉形式の弁の閉状態での縦断面図である。
【図1B】図1AのA−A線の横断面図である。
【図1C】図1AのB−B線の横断面図である。
【図1D】図1AのC−C線の横断面図である。
【図1E】図1AのD−D線の横断面図である。
【図1F】図1AのE−E線の横断面図である。
【図2】本発明の前記実施形態にかかる常時閉形式の弁の開状態での縦断面図である。
【図3】本発明の前記実施形態にかかる常時閉形式の弁のピストン駆動部材に関しての図1AのIII−III線の縦断面図である。
【図4】本発明の前記実施形態にかかる常時閉形式の弁のピストンとピストンロッドの部分斜視図である。
【図5】本発明の前記実施形態にかかる常時閉形式の弁のピストン駆動部材の部分斜視図である。
【図6A】本発明の前記実施形態にかかる常時閉形式の弁において閉状態での拡大縦断面図である。
【図6B】本発明の前記実施形態にかかる常時閉形式の弁において開状態での拡大縦断面図である。
【図7】本発明の前記実施形態の変形例にかかる常時閉形式の弁の閉状態での縦断面図である。
【図8】本発明の前記実施形態の変形例にかかる常時閉形式の弁のピストン駆動部材付近の部分縦断面図である。
【図9A】本発明の前記実施形態の変形例にかかる常時閉形式の弁において、図1AのE−E線の横断面図に相当する断面図である。
【図9B】図9Aの本発明の前記実施形態の前記変形例にかかる常時閉形式の弁の部分縦断面図である。
【図10】本発明の前記実施形態の変形例にかかる常時閉形式の弁において、図1AのD−D線の横断面図に相当する断面図である。
【図11】本発明の前記実施形態の変形例にかかる常時閉形式の弁において、図1AのD−D線の横断面図に相当する断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態にかかる常時閉形式のチェック弁の閉状態での縦断面図である。
【図13】図12にかかる本発明の前記実施形態の前記変形例にかかる常時閉形式のチェック弁の開状態での縦断面図である。
【図14】本発明の前記実施形態の変形例にかかる常時開形式の弁の閉状態での縦断面図である。
【図15】図14にかかる本発明の前記実施形態の前記変形例にかかる常時開形式の弁の開状態での縦断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 ケーシング本体部
1a 先端
1b ベローズ部
2 流体入口側ケーシング部
3 流体出口側ケーシング部
4 弁体
5 ピストン
5a 軸先端部
5b 中間部
5c 駆動力受け部
5d ガイド軸部
5e 傾斜面
6 ピストンロッド
6a 入口側の面
6b ピストン駆動部材ガイド部
6c ガイド穴
7 ピストン駆動部材
7a 凹部
7e 傾斜面
7f 傾斜面
7j 傾斜面
8 バネケース
8a 凹部
8b 雄ねじ部
9 バネ
10,11,12,13,14A,14B Oリング
15 固定用フランジボルト
16 取付用フランジ
20 ケーシング
20a 流体入口
20b 円環状流路
20c 分岐流路
20d 流体出口
20f 第1ピストン移動室
20g 第2ピストン移動室
20h ネジ穴
20k ピストン駆動部材ガイド部
22 弁座
30,30B ピストン駆動室
31,31B ピストン駆動用エア供給通路
50 溶接部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の入口(20a)と、前記入口に連通されかつ軸方向と直交する面において複数に分割された分岐流路(20c)と、全ての前記分岐流路と連通された出口(20d)とを有するケーシング(20)と、
前記ケーシングの前記入口に設けられた弁座(22)と、
前記ケーシング内に収納され、前記ケーシングの前記弁座に接離可能に配置された弁体(4)と、
前記ケーシング内に収納され、前記分岐流路とは独立した可動部材移動室(20f,20g)内で軸方向に移動可能に配置され、前記弁体に一端(5a)が連結され他端側に駆動力受け部(5c)を有するとともに、前記駆動力受け部の外面でかつ互いに隣接する前記分岐流路に対向する部分と前記分岐流路に対向する部分との間の部分に、前記ケーシングの入口側から出口側に向かうに従い前記駆動力受け部の軸芯に近づくように傾斜した複数の傾斜面(5e)を有する可動部材(5)と、
前記可動部材の軸方向とは直交する方向に移動可能に、前記分岐流路とは独立した前記ケーシングの駆動部材移動室(37)内に配置され、かつ、前記可動部材の前記傾斜面が摺動する傾斜面(7e)を一端に有し、他端側に配置された付勢部材(9)の付勢力により前記一端の前記傾斜面が前記可動部材の前記傾斜面に常時接触する方向に押圧付勢される複数の可動部材駆動部材(7)と、
を備え、
前記付勢部材の前記付勢力により、前記可動部材駆動部材の前記傾斜面が前記可動部材の前記傾斜面に常時接触するとともに、前記可動部材が軸方向に移動して前記弁体が前記弁座に接触して常時閉状態となることを特徴とする弁。
【請求項2】
前記ケーシング内の前記可動部材移動室の流体入口側の端部と前記可動部材との間に形成された可動部材駆動室(30)と、
前記可動部材駆動室に連通する可動部材駆動用エア供給通路(31)とをさらに備えて、
前記可動部材駆動用エア供給通路から前記可動部材駆動室にエアが供給されると、前記付勢部材の前記付勢力に抗して前記可動部材が軸方向に移動して前記弁体が前記弁座から離れて、前記流体が前記入口から前記複数の分岐流路に流れ込み、前記複数の分岐流路から前記出口を経て排出される、請求項1に記載の弁。
【請求項3】
流体の入口(20a)と、前記入口に連通されかつ軸方向と直交する面において複数に分割された分岐流路(20c)と、全ての前記分岐流路と連通された出口(20d)とを有するケーシング(20)と、
前記ケーシングの前記入口に設けられた弁座(22)と、
前記ケーシング内に収納され、前記ケーシングの前記弁座に接離可能に配置された弁体(4)と、
前記ケーシング内に収納され、前記分岐流路とは独立した可動部材移動室(20f,20g)内で軸方向に移動可能に配置され、前記弁体に一端(5a)が連結され他端側に駆動力受け部(5c)を有するとともに、前記駆動力受け部の外面でかつ互いに隣接する前記分岐流路に対向する部分と前記分岐流路に対向する部分との間の部分に、前記ケーシングの入口側から出口側に向かうに従い前記駆動力受け部の軸芯から遠ざかるように傾斜した複数の傾斜面(5e)を有する可動部材(5)と、
前記可動部材の軸方向とは直交する方向に移動可能に、前記分岐流路とは独立した前記ケーシングの駆動部材移動室(37)内に配置され、かつ、前記可動部材の前記傾斜面が摺動する傾斜面(7e)を一端に有し、他端側に配置された付勢部材(9)の付勢力により前記一端の前記傾斜面が前記可動部材の前記傾斜面に常時接触する方向に押圧付勢される複数の可動部材駆動部材(7)と、
を備え、
前記付勢部材の前記付勢力により、前記可動部材駆動部材の前記傾斜面が前記可動部材の前記傾斜面に常時接触するとともに、前記可動部材が軸方向に移動して前記弁体が前記弁座から離れて常時開状態となり、前記流体が前記入口から前記複数の分岐流路に流れ込み、前記複数の分岐流路から前記出口を経て排出されることを特徴とする弁。
【請求項4】
前記ケーシング内の前記可動部材移動室の流体入口側の端部と前記可動部材との間に形成された可動部材駆動室(30)と、
前記可動部材駆動室に連通する可動部材駆動用エア供給通路(31)とをさらに備えて、
前記可動部材駆動用エア供給通路から前記可動部材駆動室にエアが供給されると、前記付勢部材の前記付勢力に抗して前記可動部材が軸方向に移動して前記弁体が前記弁座に接触して閉状態となる、請求項2に記載の弁。
【請求項5】
前記ケーシングは、前記可動部材の前記駆動力受け部よりも入口側の部分を覆って前記流路と前記可動部材の前記駆動力受け部よりも前記入口側の部分とを隔離するベロー部(1b)を有するとともに、前記ベロー部の先端に前記弁体を一体的に取り付けて、前記ベロー部と前記弁体との間に前記流体が侵入しないようにしている、請求項1〜4のいずれか1つに記載の弁。
【請求項6】
前記可動部材駆動部材の前記傾斜面を有する前記一端の側の部分であって前記ケーシングを摺動する底部に、前記可動部材駆動部材の中間部から前記一端に向かうに従い、流体入口側に傾斜する傾斜面(7f)を有する請求項1に記載の弁。
【請求項7】
前記ケーシング内の前記可動部材移動室に連通するエア通路(31)をさらに備えて、
前記可動部材の移動に伴い、前記エア通路を経て、前記可動部材移動室と弁外部との間でエアーの吸い込み及び排出を行う、請求項1又は3に記載の弁。
【請求項8】
前記可動部材駆動部材の前記可動部材の軸方向とは直交する方向の移動を案内するガイド部(6b,20k)をさらに備える、請求項1〜7のいずれか1つに記載の弁。
【請求項9】
前記ケーシングと前記可動部材と前記可動部材駆動部材とはフッ素系樹脂で形成されている請求項1〜8のいずれか1つに記載の弁。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−138998(P2010−138998A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315948(P2008−315948)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(390005050)東邦化成株式会社 (14)
【Fターム(参考)】