説明

引上げ洗浄装置

【課題】 養殖物や天然物を水中から引上げるときに、それらがスリップせずに確実にかつ容易に引上げられる洗浄装置を提供する。
【解決手段】 被洗浄物を水中から引上げる引上げガイドと、引上げた被洗浄物を搬送しながら洗浄液で洗浄する洗浄機を設け、引上げガイドを洗浄機の入口側手前から船の外まで突設し、引上げガイドは被洗浄物を水中から引上げ可能な回転コンベア式とし、洗浄機は引上げガイドで引上げられた被洗浄物を搬送する搬送体と、搬送中に被洗浄物に洗浄液を噴射する噴射体を備えたものとした。引上げガイドを、被洗浄物を引上げる引上げ駆動体とそれにより水中から引上げられた被洗浄物を洗浄機に案内する非駆動式のスライド台で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、海中で吊下げ養殖や籠養殖する帆立貝、あこや貝、牡蠣などの貝類、天然或いは養殖の海産物、特に昆布のように長い海産物(以下これらをまとめて「被洗浄物」という)に付着した塵芥、海藻、サラボヤ、ムラサキイガイ、海草、海中の生物や塵芥、汚れ等(以下これらを「雑物」という)を洗浄除去するのに使用される引上げ洗浄装置に関するものであり、被洗浄物を海中や養殖池などから引上げながら船上で洗浄するのに特に適するものである。
【背景技術】
【0002】
貝類は、ロープに差込んだ樹脂製の係止ピンやテグスを、貝類に開けた孔に通してロープに係止し、そのロープを海中に吊下げて養殖する吊下げ養殖(帆立貝の養殖では耳吊り養殖といわれている。)という方法で養殖されることがある。籠の中に貝類を入れて籠養殖されることもある。
【0003】
吊下げ養殖では、貝類を数ヶ月も海中に吊しておくと、貝の表面やロープに雑物が大量に付着する。雑物が付着すると貝類の成長に好ましくないため、養殖の途中で貝類を海から引上げて洗浄し、海に戻しているのが現状である。籠養殖の場合も洗浄している。
【0004】
吊下げ養殖中の貝類を洗浄するには、貝付きロープを海中から引上げる。このとき、貝付きロープを船に取付けた回転ドラムの回転により海中から鉛直方向に引上げ、回転ドラムで水平方向に向きを変えて、貝付きロープを洗浄機に引込んで洗浄している。
【0005】
本件出願人は、本願に先立って吊下げ養殖中の貝類を洗浄する洗浄機を特許出願している(特許文献1)。この洗浄機も回転ドラムを備えており、この回転ドラムの回転により吊下げ養殖中の貝付きロープを引上げ、洗浄装置内に引込んで、洗浄装置の洗浄通路を通過する間に貝類とロープの汚れを洗浄除去するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−191041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
貝類を係止して海中に吊下げられた8mm径のロープの場合、その長さと取付ける貝類の枚数にもよるが、例えば、海中に投入後半年程度で貝類及びロープに雑物が大量に付着して、見かけ上100〜200mmの径となり、その重量もロープ1本当たり30〜50kgにもなることがある。このように重くなった貝付きロープを引上げると、貝付きロープが回転体の胴体外周面でスリップしてスムースに引上がらないとか、貝類が回転ドラムと擦れてロープから落下するといった問題があった。このため、場合によっては、作業員が貝付きロープを洗浄装置の出口側に引いてスリップを防止することもある。この場合、ロープを引くために専属の作業員が必要になり、人件費増大の一因になる。
【0008】
本願発明の課題は雑物が大量に付着している貝付きロープやそれに係止されている貝、養殖中の籠やその中の貝、昆布といった被洗浄物を海中から引上げるときに、それらがスリップせずに確実に引上げられる引上げ洗浄装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の引上げ洗浄装置は、被洗浄物を水中から引上げながら洗浄する引上げ洗浄装置において、被洗浄物を水中から引上げる引上げガイドと、引上げた被洗浄物を搬送しながら洗浄液で洗浄する洗浄機を備え、引上げガイドが洗浄機の入口側手前から船の外まで突設され、引上げガイドは被洗浄物を水中から引上げ可能な回転コンベア式であり、洗浄機は引上げガイドで引上げられた被洗浄物を搬送する搬送体と、搬送中に被洗浄物に洗浄液を噴射する噴射体を備えたものである。
【0010】
前記引上げ洗浄装置は、引上げガイドが洗浄機の搬送体の先方に一連に設けられ、又は前記搬送体と別体に構成され、洗浄機又は船体に取付けられて船側から海上に突出させることができる。引上げガイドはベルトコンベアの表面が、引上げる被洗浄物の滑りを防止する滑り止め構造とすることもできる。
【0011】
本願発明の引上げ洗浄装置は、被洗浄物を水中から引上げながら洗浄する引上げ洗浄装置において、被洗浄物を水中から引上げる引上げガイドと、引上げた被洗浄物を搬送しながら洗浄液で洗浄する洗浄機を備え、前記引上げガイドは非駆動式のスライド台であり、前記スライド台は船側から海上側に突出して設けられ、前記スライド台とは別に、水中の被洗浄物をスライド台の上に引上げる引上げ駆動体を備え、前記洗浄機は、前記スライド台の上に引上げられた被洗浄物を搬送しながら洗浄液で洗浄する搬送体と、搬送中に被洗浄物に洗浄液を噴射する噴射体を備えたものである。また、被洗浄物を水中から引上げながら洗浄する引上げ洗浄装置において、被洗浄物を水中から引上げる引上げガイドと、引上げた被洗浄物を搬送しながら洗浄液で洗浄する洗浄機を備え、前記引上げガイドは非駆動式のスライド台であり、前記スライド台は船側から海上側に突出して設けられ、前記洗浄機は、水中の被洗浄物をスライド台の上に引上げて、その被洗浄物を洗浄機内に引込む搬送体と、搬送体で搬送中の被洗浄物に洗浄液を噴射する噴射体を備えたものである。
【0012】
本願発明の引上げ洗浄装置は、スライド台の表面が、被洗浄物が滑り易い滑り面とすることもできる。引上げガイドの下端側が船側に湾曲又は屈曲させることもできる。引上げガイドが、船側から海上に突出している状態から、船まで引上げ可能としてある。引上げガイドが、洗浄機又は船から取外し可能としてある。船上への洗浄機の設置向きが変更可能とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の引上げ洗浄装置は次のような効果がある。
1.引上げガイドが船上の洗浄機の入口手前から船の外まで突設されるので、海中の被洗浄物が引上げガイドに沿ってスムースに引上げることができる。
2.引上げガイドが回転コンベアの場合は、海中の被洗浄物が雑物の付着で太くなったり重くなったりしても引上げが容易且つ確実になり、被洗浄物が貝付きロープの場合は、貝がロープから脱落しにくくなる。
3.引上げガイドが回転コンベアの場合は、その表面を滑り止め構造にすれば、引上げガイドで引上げられる被洗浄物が滑りにくくなり、引上げが確実になる。
4.引上げガイドが回転コンベアの場合は、従来の回転ドラムに比して被洗浄物と引上げガイドの接触面積(長さ)が大きく(長く)なり、従来に比べて被洗浄物と引上げガイドの摩擦力が大きくなるので、被洗浄物がスリップし難くなり、被洗浄物を確実に引上げることができる。
5.引上げガイドの先端側(下端部)を水面近くに又は水中に入れてセットすれば、水中の被洗浄物をより一層スムースに引上げることができ、被洗浄物が貝付きロープの場合に貝類がロープから脱落しにくくなる。
6.引上げガイドが、表面が滑り易いスライド台の場合は、被洗浄物がスライド台の上を引上げられても、貝類がロープから脱落しにくくなる。
7.引上げガイドを非回転式のスライド台とし、洗浄機の搬送体で被洗浄物をスライド台の上に引上げるようにすれば、スライド台の他に引上げ駆動体を設ける場合よりも構成が簡潔になる。
8.引上げガイドの下端側が内側(船側)に湾曲又は屈曲させてあるので、水中から引上げられる被洗浄物が引上げガイドの下端縁に当たりにくくなり、貝付きロープの場合に貝類がロープから脱落しにくくなる、
9.引上げガイドを船上に収容可能とすることにより、引上げガイドが船の走行の邪魔にならない。
10.引上げガイドが洗浄機の搬送体に一連に取付けられている場合は、洗浄機を船上に設置して引上げガイドを船の外に下向きに突出させ易くなり、引上げガイドを海に向けてセットし易く、引上げガイドで引上げられる被洗浄物が洗浄機の搬送体に送り込まれ(引込まれ)易くなる。
11.船上への洗浄機の設置の向きを変更可能とすれば、海の潮の流れに合わせて船を安定する向きに変えた場合でも、洗浄機の入口を海に向けることができるので被洗浄物の引上げ作業を容易且つスムースに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は本願発明の引上げ洗浄装置を船上に搭載した状態を示す縦断側面概要図、(b)は引上げ洗浄装置における引上げ具の下端側を内側(船側)に湾曲させた場合の一例を示す説明図。
【図2】引上げガイドを略鉛直姿勢となるまで回転させて船上に収納させた状態を示す縦断側面概要図。
【図3】引上げガイドの先端側を海中に入れた状態を示す縦断側面概要図。
【図4】洗浄機の下搬送体及び上搬送体、引上げガイドに使用される波状網の一例を示す斜視図。
【図5】引上げガイドを連結した下搬送体と上搬送体と噴射体と貝付きロープ送り出し部分の概要説明図。
【図6】(a)は本願発明の引上げ洗浄装置における洗浄機の一例を示す外観図、(b)は洗浄機を取付ける支持台の一例を示す外観図。
【図7】本願発明の引上げ洗浄装置における洗浄機の下搬送体及び上搬送体、引上げガイドに使用される滑り止めベルトの一例であり、滑り止め突起が多数の小突起の場合の斜視図。
【図8】本願発明の引上げ洗浄装置における洗浄機の下搬送体及び上搬送体、引上げガイドに使用される滑り止めベルトの一例であり、滑り止め突起が凹溝と凸条を交互に備えた場合の斜視図。
【図9】本願発明の引上げ洗浄装置における洗浄機の下搬送体及び上搬送体、引上げガイドに使用されるベルトの一例であり、滑り止め突起がV字状突起の場合の斜視図。
【図10】本願発明の引上げ洗浄装置における洗浄機の下搬送体及び上搬送体、、引上げガイドに使用されるベルトの一例であり、滑り止め突起がL字状突起の場合の斜視図。
【図11】(a)は本願発明の引上げ洗浄装置の他の例を示すもので、引上げガイドを下搬送体と別体にして洗浄機に取付けた状態を示す縦断側面図、(b)は引上げ洗浄装置における引上げ具の下端側を内側(船側)に湾曲させた場合の一例を示す説明図。
【図12】(a)は本願発明の引上げ洗浄装置の他の例を示すもので、引上げガイドを下搬送体と別体にして船に取付けた状態を示す縦断側面図、(b)は引上げ洗浄装置における引上げ具の下端側を内側(船側)に湾曲させた場合の一例を示す説明図。
【図13】図12(a)の引上げガイドを上方に跳ね上げた例を示す縦断側面図。
【図14】(a)は本願発明の引上げ洗浄装置の他の例を示すもので、引上げガイドがスライド台の場合の縦断側面図、(b)はスライド台を船上に跳ね上げた例を示す縦断側面図。
【図15】図14(a)の引上げ洗浄装置のスライド台を回転させて上向きに跳ね上げた場合の縦断側面図。
【図16】図14(a)の引上げ洗浄装置のスライド台及び引上げ駆動体の正面図。
【図17】船上への本願発明の引上げ洗浄装置の取付け位置の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施形態)
本願発明の引上げ洗浄装置は海水(海中)や真水(湖中)等で養殖中の貝類を引上げながら船の上で洗浄するのに適するものであり、その一例として図示したものは、海中で養殖中の貝類1が係止されているロープ(貝付きロープ)2を海中から引上げて、船3の上に設置した洗浄機4で洗浄する場合の一例である。
【0016】
図1(a)の引上げ洗浄装置は、洗浄機4の入口5の先方に、船3の外に斜め下向きに突出する引上げガイド6を備え、その引上げガイド6により海中から引上げた貝付きロープ2を洗浄機4に送り込んで洗浄できるようにした例であり、引上げガイド6が洗浄機4の搬送体7の先に一連に設けられている場合の例である。
【0017】
図1(a)の洗浄機4は海中から引上げられて入口5から搬送体7により引込まれる貝付きロープ2が、洗浄機4内を通過して洗浄機4の出口8から送り出される(引出される)間に、貝付きロープ2に下噴射体9a、上噴射体9bから洗浄液を噴射して洗浄するものである。
【0018】
洗浄機4の搬送体7はコンベア式の下搬送体7aとその上に対向配置されたコンベア式の上搬送体7bを備え、両搬送体7a、7bの間に貝付きロープ2が通過可能な洗浄通路10が形成されている。図1(a)では前記下噴射体9aが下搬送体7a内に設置され、上噴射体9bが上搬送体7a内に設置されているが、図5に示すように下噴射体9aは下搬送体7aの外に、上噴射体9bは上搬送体7aの外に配置することもできる。両噴射体9a、9bは回転式であり、図5に示す矢印方向、又は矢印方向及びそれと反対方向に切り替え回転可能であり、図示されていない加圧機により液体が加圧されて高圧洗浄液が噴射され、洗浄通路10内を通過する貝付きロープ2の貝類及びロープを洗浄できるようにしてある。搬送体7と噴射体9a、9bは図6(a)に示すような筐体12内に収納されており、筐体12は図6(b)に示すように船3の上に設置固定されている支持台13に取付けられている。
【0019】
筐体12の側面には図6(a)のように側面導入口46が開口されており、そこから貝付きロープ2を出し入れ可能として、貝付きロープ2を洗浄通路10内に通すときに、わざわざ、入口5から入れて出口8から引出す面倒がなくなる。側面導入口46にはカーテンやシャッター等の遮蔽具14aが設けられて、下噴射体9a、上噴射体9bから噴射される洗浄液の飛沫が側面導入口46から外に飛散しないようにしてある。遮蔽具14aは樹脂製の線材を簾状に多数本設けたものであるが、遮蔽具14aはこれ以外の素材、形状、構造であってもよく、例えばゴム製の帯を多数本垂らしたカーテン、金属製の開閉扉等とすることもできる。図6(a)に示す簾状の遮蔽具14aやゴム製帯のカーテンの場合はそれらが垂れている状態で貝付きロープ2を出し入れできるので便利である。
【0020】
図1(a)の上搬送体7bは4本の回転体14の外周に無端回転する上走行体15を備え、回転体14のうち少なくとも一つはモータやエンジンなどの駆動源により強制回転させられる駆動回転体であり、残りの回転体14は駆動回転体の回転に伴って自由回転(従動回転)するようにしてある。上走行体15は前記駆動回転14体及び従動回転体14の回転によって貝付きロープ2を洗浄通路10内に引込むように回転(図1(a)では反時計回りに回転)する。また、上搬送体7bの上走行体15の入口側(図の左側部分)は貝付きロープ2が円滑に進入できるように上向き傾斜になっており、その上向き傾斜を確保できるように上走行体15の上向き曲り部の上に押しローラー16(図5)を設け、先端の回転体14から上方に突出している係止片17と、中間の回転体14から上方に突出している支持片18との間にスプリング19を係止して、上搬送体7bの上走行体15の入口側を上方に持ち上げてある。
【0021】
図1(a)の引上げガイド6は下搬送体7aの先端側から筐体12の外まで突出させて、船3の上から海に向けて下り傾斜(前傾)にしてある。図1(a)の引上げガイド6と下搬送体7aは3つの回転体16a、16b、16cとその外周を無端回転する下走行体20を備え、それら回転体16a〜16cの少なくともいずれか一つの回転体は図示されていないモータやエンジン等の駆動源で強制回転させられる駆動回転体であり、その回転により下走行体20が図1(a)の右側方向(時計回り方向)に無端回転し、それに伴って他の回転体(従回転体)が回転するようにしてある。引上げガイド6は洗浄機4の入口5側の回転体16bの部分を屈折部或いは湾曲部として、そこから図2のように上向きに折り曲げ(跳ね上げ、折畳み)可能としてある。図1(a)の引上げガイド6の屈折部の下には、下走行体20が下方に垂れ下がるのを防止すると共に下走行体20にテンションを与えるための支持具21(図5)が配置されている。図5の支持具21は回転ローラーであるが、それ以外の構造、機構、例えば、下搬送体7aの幅方向に長い回転バーであってもよい。支持具21は折畳み時や不要時に取外し可能な着脱構造とすることもできる。下走行体20の下で回転方向中間部には下走行体20の下方への弛みを防止する弛み防止具20a(図5)が配置されている。弛み防止具20aは回転ローラー以外のものであってもよい。
【0022】
図1(a)において下搬送体7aと上搬送体7bの駆動回転体が回転して上走行体15、下走行体20が回転すると、貝付きロープ2が海中から引上げガイド6の上に引上げられ、引上げガイド6に沿って船3の上まで引上げられて洗浄機4の入口5に送り込まれ、洗浄機4の搬送体7により洗浄通路10内に引込まれ、洗浄通路10内を走行中に、貝付きロープ2に下噴射体9a、上噴射体9bから洗浄液が噴射されて貝付きロープ2が洗浄されるようにしてある。このとき、下搬送体7aの下走行体20と上搬送体7bの上走行体15は等速回転して、貝付きロープ2がスムースに洗浄通路10内に引込まれ、貝付きロープ2から貝類1が脱落しないようにするのが望ましいが、貝付きロープ2から貝類1が脱落はしないが貝付きロープ2に付着している汚れや塵芥等は落ちやすくなる程度に、下搬送体7aの下走行体20と上搬送体7bの上走行体15の回転速度を異ならせることはできる。この場合、図1(b)に示すように引上げガイド6の下端側を船3側に湾曲又は屈曲させて、海中から引上げられる貝付きロープ2が引上げガイド6の下端に衝突することなく、引上げガイド6の上面にスムースに引上げられるようにしてある。引上げガイド6の下端側の湾曲又は屈曲を維持(保持)するために、引上げガイド6の下走行体20の湾曲部に内側保持ガイド47、外側保持ガイド48を設けてある。図1(b)に示す内側保持ガイド47と外側保持ガイド48は板状であるが、所望形状に保持可能であればそれ以外のもの、例えばローラー等であってもよい。
【0023】
図1(a)、図5の引上げガイド6及び下搬送体7aの回転体16a〜16c、上搬送体7bの各回転体14はスプロケットとし、下走行体20、上走行体15として図4のような波状網23を使用し、その網目をスプロケットの外周に掛けて、スプロケットが回転すると網目がスプロケットの歯と噛み合ってスリップせずに回転できる網状コンベアとしてある。上搬送体7a、下搬送体7bはこれ以外の構造であってもよく、例えば、引上げガイド6及び下搬送体7aのスプロケットの外周にチェーンベルトを掛け、そのチェーンベルトに波状網23を取付けてチェーンコンベア式の下搬送体7aとし、回転体14のスプロケットの外周にチェーンベルトを掛け、そのチェーンベルトに波状網23を取付けてチェーンコンベア式の上搬送体7bとすることもできるし、前記回転体16a〜16c、14をローラーとし、それらローラーの外周に掛ける下走行体20、上走行体15をベルトとするベルトコンベアとすることもできる。可能であれば回転ローラーを多数並べたローラーコンベアとすることもできる。
【0024】
図1(a)の上搬送体7bの回転体14の回転軸は軸受け等を介して筐体12に回転可能に取付けてある。下搬送体7aの3つの回転体16a〜16cのうち筐体12の出口8側の回転体16cの回転軸も軸受け等を介して筐体12内に回転可能に取付けられ、入口5側の回転体16bの回転軸は筐体12の外に設けた支持具(図示せず)に回転可能に取付けられている。先端の回転体16aは図1(a)に示すように筐体12の入口5の先方に前傾して伸びる剛性の板状の剛性のアーム22(図1(a)(b)、図5)に回転可能に支持されている。アーム22は図1(a)、図5の回転体16a、16bの幅方向両側(図1(a)、図5の手前側と奥側:回転体16a〜16cの回転軸の軸方向両側)に配置され、先端部は回転体16aの回転軸又はその回転軸受けに取付けられ、基端部は回転体16bの回転軸又はその回転軸受けに取付けられている。アーム22の基端部は回転体16bの回転軸又は回転軸受けに取付けるのに代えて筐体12に固定することもできる。いずれにしても、アーム22は回転体16b或いは筐体12の固定位置の回りに回転可能に取付けられて、引上げガイド6が回転体16b(或いは筐体12との固定位置)を回転軸として回転可能として、洗浄作業を行わないときは図2に示すように引上げガイド6を略鉛直姿勢となるまで回転(この場合時計回り)させて、船上(船内)に引上げて収納できるようにしてある。洗浄機4は海側と船内側に横移動可能として船内側に移動させることにより引上げガイド6を船上(船内)に移動させることもできる。引上げガイド6は図3に示すように先端側が海中に入るまで前傾させることもできる。
【0025】
下搬送体7aは引上げガイド6を備えることにより、従来の搬送体よりも長い搬送長となっているため、貝付きロープ2と下搬送体7aの下走行体20の表面との接触面(長さ)が大きく(長く)なり、貝付きロープ2は下走行体20の表面上をスリップすることなく確実に引上げられる。引上げガイド6の表面は滑り止め構造にするのがよい。
【0026】
図4に示す波状網23は細幅板23aをコの字形に曲げて山23bと谷23cのある波状の滑り止め突起とし、山23bと谷23cの内側空間を滑り止め空間24とし、この山23bと谷23cと滑り止め空間24が繰り返し形成された波板を山の高さ方向(谷の深さ方向でもある)に多数列並べて、丸棒状の連結軸25で回転自由に連結されて、波状網23が下搬送体7a、上搬送体7bの曲がり部分でもその曲がりに追随して回転可能となるようにしてある。山23bと谷23cと滑り止め空間24の形状はコの字形に限らず、半円形としたり、三角形としたり、五角形とするなど任意の形状を選択できる。前記細幅板23a及び連結軸25は金属製や樹脂製等とすることができるが、金属製とする場合は海中使用するため防錆加工を施すかステンレス製とすることが望ましい。
【0027】
図4の波状網23は下搬送体7a及び引上げガイド6、上搬送体7bがベルトコンベアの場合にはベルトに表面に取付けることができ、それらがチェーンコンベアの場合にはチェーンベルトに取付けることができ、回転体14、16a〜16cがスプロケットの場合は、それらに直接、噛み合い可能に装着することもできる。
【0028】
波状網23は図4のような波状板ではなく、数cmの短い細幅板を図4のようにコの字状に組み合わせて波の山23bと谷23cと滑り止め空間24が連続する波状にし、それを図4のように網状に連結したものであってもよい。下搬送体7aの下走行体20、上搬送体7bの上走行体15として使用する波状網23は他の形状の金網(市販の各種金網)であってもよい。下搬送体7aは胴体を網製とした回転ドラムとし、上搬送体7bは貝付きロープ2をその回転ドラムの網製の胴体に押し付け可能な形状、構造の押し具とすることもできる。下搬送体7a、上搬送体7bは他の構造でもよい。
【0029】
従来の回転ドラムでの巻上げでは、ザラボヤなどの雑物が大量に付着した貝付きロープは回転ドラムの胴体でスリップして引上げにくいとか、貝付きロープは水中では浮力を受けているが空中に引上げられると浮力を受けなくなって重くなるため、貝付きロープの全重量が回転ドラムにかかって海中から引上げることができない場合があったが、本願発明の引上げガイド6は図4に示すような滑り止め構造の波状網23を図1(a)のように回転体16a〜16cの外周に巻付けてあるため、貝付きロープ2に付着している雑物等がその滑り止め突起に係止し、滑り止め空間24内に入り(落ち込み)、下搬送体7a及び引上げガイド6、上搬送体7bに係止して滑りにくくなり確実に引上げ可能となる。
【0030】
下走行体20、上走行体15の表面の滑り止め構造の他例として図7に示すものは、ベルト26の上に角ブロック状の滑り止め突起26aを千鳥配列で固定したものであり、滑り止め突起26aはビス、釘、接着剤等の止め具でベルト26の表面に固定してある。このベルト26を回転体16a〜16c(図1(a))や回転体14(図1(a))の外周に巻いて回転コンベア式の下搬送体7a及び引上げガイド6、上搬送体7bとすることができる。
【0031】
滑り止め構造は図8に示すようにベルトや薄板27の上面に横長突条27aと横長凹部27bを均一間隔で形成することもできる。この場合は横長突条27aが滑り止め突起となり、横長凹部27bが滑り止め空間となる。このベルトや薄板27を図1(a)の回転体16a〜16cの外周に巻いて回転コンベア式の下搬送体7a及び引上げガイド6(図1(a))とし、回転体14の外周に巻いて上搬送体7b(図1(a))とすることができる。
【0032】
滑り止め構造は図9のようにV字形の滑り止め突起28aが図9のようにベルト28の表面に千鳥配列で取付けられたものであり、そのベルト28を回転体16a〜16cの外周に巻いて回転コンベア式の下搬送体7a及び引上げガイド6とし、回転体14の外周に巻いて上搬送体7bとすることができる。この場合、滑り止め突起28aの開口側28bを下搬送体7a、上搬送体7bの回転方向先方(図9の矢印方向)に向けて取付けて、貝付きロープ2が滑り止め突起28aに係止して滑りにくくなるようにしてある。滑り止め突起28aは裾に取付け片28cを備えており、この取付け片28cをビス、釘、接着剤などの固定具でベルト28の表面に固定することができる。
【0033】
滑り止め構造は図10に示すL字形の滑り止め突起30aをベルト30の表面に取付け、そのベルト30を回転体16a〜16cの外周に巻いて回転コンベア式の下搬送体7a及び引上げガイド6(図1(a))とし、回転体14の外周に巻いて上搬送体7b(図1)とすることができる。この場合、貝付きロープ2が滑り止め突起30aに係止して滑りにくくなる。滑り止め突起30aは裾に取付け片30bを備えており、この取付け片30bをビス、釘、接着剤などの固定具でベルト30の表面に固定することができる。
【0034】
本願発明の引上げ洗浄装置は図11(a)に示すように、引上げガイド6を洗浄機4の下搬送体7aと別体にし、引上げガイド6を洗浄機4の入口5の手前に取付けアーム32で連結し、引上げガイド6と下搬送体7aが別々に回転するようにしてある。引上げガイド6の上端側の回転体16dは連結アーム32によって筐体12に回動可能に支持固定されている。この取付けアーム32と上端側の回転体16dとは、引上げガイド6が上端側の回転体16dの回りで回転可能となるように取付けられている。これによって、引上げガイド6は上端側の回転体16dの軸を回転軸として回転することが可能で、不使用時には、略鉛直姿勢となるまで回転させて船上に収納できるようにしてある。この引上げガイド6も先端側を海中に入れて回転させることもできる。取付けアーム32は洗浄機4の筺体12に回転可能に固定するのではなく、下搬送体7aの入口側の回転体16bとか、取付けアーム32を引上げガイド6の両側面(図11(a)の手前側と奥側)に設置することもできるし、引上げガイド6を支持できれば他の構造とすることもできる。
【0035】
図11(a)に示す引上げガイド6は上端側の回転体16dと下端側の回転体16aも剛性のアーム22で連結されている。上端側の回転体16dと下端側の回転体16aはスプロケットとし、それらの外周を回転走行するガイド走行体33を図4に示すコ字状の波状網23とし、その網目をスプロケットの歯に噛み合わせることにより、スプロケットの回転でガイド走行体33が自動的に回転走行できるようにしてある。前記両回転体16a、16d又はいずれか一方の回転体をモータ等の駆動源で駆動回転させる駆動回転体とし、その駆動回転体の回転によりガイド走行体33が無端回転するようにしてある。図11(a)の引上ガイド6も下搬送体7aと同様に図7〜図10のような構造の滑り止め構造とすることもできる。引上げガイド6はその回転体16a、16dをローラーとし、ガイド走行体33をベルトとするベルトコンベアとすることもできる。引上げガイド6は回転体16a、16dをローラーとし、ガイド走行体33をベルトとするベルトコンベアとすることもできる。この場合も、ガイド走行体33は図1(a)の走行体15、20と同様に滑り止め構造にするのがよい。図11(a)に示す引上げガイド6は図示した前傾姿勢で回転走行し、下搬送体7aは略水平姿勢で走行回転(図では時計回りに回転)し、両者の回転は同方向に等速としてあるが、前記のように引上げる貝付きロープ2から貝類1が脱落しない程度の速度差は設けることもできる。引上げガイド6の上端部は下搬送体7aの先端側端部に接近配置されて、引上げガイド6の上に引上げられた貝付きロープ2が下搬送体7aの上にスムースに引継がれて洗浄通路10内に案内されるようにしてある。この場合、引上げガイド6の上端部と下搬送体7aの先端側端部との間に中継具(図示せず)を配置して、引上げガイド6で引上げられる貝付きロープ2がより一層円滑に下搬送体7aの上に引継がれるようにすることもできる。図11(b)に示すように引上げガイド6の下端側を船3側に湾曲又は屈曲させて、海中から引上げられる貝付きロープ2が引上げガイド6の下端に衝突することなく、引上げガイド6の上面にスムースに引上げられるようにしてある。引上げガイド6の下端側の湾曲又は屈曲を維持(保持)するために、引上げガイド6のガイド走行体33の湾曲部に内側保持ガイド47、外側保持ガイド48を設けてある。図11(b)に示す内側保持ガイド47と外側保持ガイド48は板状であるが、所望形状に保持可能であればそれ以外のもの、例えばローラー等であってもよい。
【0036】
図11(a)の下搬送体7a、上搬送体7b、噴射体9a、9bの構造や作用は図1(a)の引上げ洗浄装置と同じであり、洗浄機4は本件出願人が先に登録した特許第3457242号の洗浄装置と同じものであり、下搬送体7a、上搬送体7bに図4に示すコ字型の波状網23を使用し、その回転により両搬送体7a、7bの間の洗浄通路10に貝付きロープ2を引込んで洗浄できるようにしてある。下搬送体7aは筐体12の入口5の外側に設けた回転体16bと出口8側の回転体16cの外周にコ字状の波状網23を張り、両回転体16b、16cのうちいずれか一方を駆動回転体とし、その回転により上走行体15及び駆動回転体以外の回転体(従動回転体)が回転するようにしてある。入口5側の回転体16bは図示しない支持具で筐体12に回転可能に支持されている。入口5側の回転体16bの支持は他の構造とすることもできる。図11(a)の下搬送体7aと上搬送体7bも共に貝付きロープ2を洗浄通路10内に引込み可能な方向に等速回転する。
【0037】
取付けアーム32と筺体12又は上端側の回転体16dとの固定は、ボルトなどを用いて着脱容易とすることもできる。この場合、取付けアーム32と筺体12又は上端側の回転体16dとの固定を解除することで、引上げガイド6を洗浄機4から容易に取外すことができる。船の走行時などの引上げガイド6の不使用時には引上げガイド6を取外すことによって、船の走行の邪魔にならないようにすることができる。この場合、引上げガイド6の使用時には取付けアーム32と筺体12又は上端側の回転体16dとをボルト締め等で固定して、引上げガイド6を容易に取付けることができる。
【0038】
本願発明の引上げ洗浄装置の一例として図12(a)に示すものは、基本的には図1(a)、図11(a)の引上げ洗浄装置と同じ構成、機能であり、異なるのは、引上げガイド6を洗浄機4の下搬送体7aと別体にして、引上げガイド6と搬送体7が別々に回転するようにし、引上げガイド6を支持具34により船の側壁上面に取付けたことである。この引上げガイド6もそのガイド走行体33を滑り止め構造にしてあり、不使用時には図13のように船3の上に収容できるようにしてある。引上げガイド6の収容方法は図13のような船の上方への折り曲げ(跳ね上げ、折畳み)、船の側面上での船内側への回転、その他の各種手段で行うことができる。図12(b)に示すように引上げガイド6の下端側を船3側に湾曲又は屈曲させて、海中から引上げられる貝付きロープ2が引上げガイド6の下端に衝突することなく、引上げガイド6の上面にスムースに引上げられるようにしてある。引上げガイド6の下端側の湾曲又は屈曲を維持(保持)するために、引上げガイド6のガイド走行体33の湾曲部に内側保持ガイド47、外側保持ガイド48を設けてある。図12(b)に示す内側保持ガイド47と外側保持ガイド48は板状であるが、所望形状に保持可能であればそれ以外のもの、例えばローラー等であってもよい。
【0039】
本願発明の引上げ洗浄装置の実施形態の一例として図14(a)に示すものは、基本的構造、機能において図1(a)、図11(a)、図12(a)の引上げ洗浄装置と同じであり、異なるのは引上げガイド6を回転コンベア式ではなく表面が滑らかな滑り台のような非回転式(非駆動式)のスライド台にしたことである。スライド台は洗浄機4と別体に形成され、引上げガイド6と洗浄機4の入口5との間に引上げ駆動体(モータやエンジン等)35が設けられ、引上げガイド6と引上げ駆動体35が船上に設置され、引上げ駆動体35の回転により海中の貝付きロープ2が図16に示すように引上げガイド6の表面に沿って引上げられて、洗浄機4の洗浄通路10に送り込まれるようにしてある。送り込まれる貝付きロープ2は、洗浄機4の搬送体7によって洗浄機4に引込むこともできる。この貝付きロープ2は洗浄通路10内を通過する間に噴射体9a、9bから噴射される洗浄液により洗浄されて、洗浄機4の出口8から送り出されて海中に戻されるようにしてある。図14(b)に示すように引上げガイド(スライド台)6の下端側を船3側に湾曲又は屈曲させて、海中から引上げられる貝付きロープ2が引上げガイド6の下端に衝突することなく、引上げガイド6の上面にスムースに引上げられるようにしてある。
【0040】
貝付きロープ2を洗浄機4の搬送体7によって洗浄機4に引込み可能であれば、前記引上げ駆動体35は必ずしも必要ではない。場合によっては引上げ駆動体35で引上げ、搬送体7で引込むようにすることもできる。搬送体7による引込みを容易且つ確実にするためには、スライド台の上端部を洗浄機4の入口5側に接近させて配置するのがよい。スライド台は図14(b)のように下端部を内側(船3側)に湾曲させて、海中から引上げる貝付きロープ2がスライド台の上に乗り移り易くなるようにし、貝の脱落が発生しにくくなるようにしてある。この引上げガイド6も図15のように船上に跳ね上げて収容可能である。収容方法はスライド台(引上げガイド6)を取付けた船3の側面上での回転とか、他の各種方法で行うことができる。
【0041】
洗浄機4を搭載する支持台13の一例を図6(b)に示す。この支持台13は洗浄機4を搭載する載せ台36の下に支持脚37が設けられ、載せ台36の四方に同じ向きに細長の長孔38が開口されており、支持脚37は高さ調節機構39で高さ調節可能としてある。支持脚37はチェーンとか金属棒等の連結具40で船体や船体に固定されているパイプ41等に固定可能としてあり、連結具40はターンバックルとか他の長さ調節機構42で長さ調節可能としてある。載せ台36はその底面に突設されている宛板43を船3の側面に宛がうことで位置ずれしないようにしてある。
【0042】
図6(b)の支持台13の上に載せる洗浄機4は、図6(a)に示すように洗浄機4の底面の前面、後面、両側面に突設された取付け板44を設け、それら取付け板44に長孔45が開口されている。
【0043】
図6(b)の支持台13の上に洗浄機4を設置固定するには、載せ台36の上に洗浄機4を載せ、載せ台36の長孔38と洗浄機4の取付け板44の長孔45を位置合わせして、両長孔38、45にボルトを差込んでナットで固定する。
【0044】
洗浄機4及び引上げガイド6の取付け位置は図17のように、船3の幅方向両側縁の前後4箇所のいずれか一以上の箇所とすることができる。洗浄機4が図17のいずれかの箇所に設置された場合、引上げガイド6を船上から海上へ斜め下向きに突出させ、シュータ50(図5、図17)を船上から海上に突出させて、海中で養殖中の貝を引上げガイド6の上に引上げ、洗浄機4で洗浄してシュータ50へ送り出し、海中へ戻すことができるようにしてある。海の潮流の向きが変わると船3の安定確保のために船3の向きを変えることがある。この場合、海上に突出させてある引上げガイド6及び洗浄機4がそのままの向きでは、海中の貝付きロープ2を引上げて洗浄機4に送り込みにくくなる。送り込み易くするためには、引上げガイド6及び洗浄機4の入口5と出口8の向きを変えるのが望ましい。洗浄機4の向きを変えるには、前記ナットの締付けを緩めてから洗浄機4を横方向に回動させてからナットを締付け直して固定する。このようにして洗浄機4の入口5と出口8の向きを変えると、貝付きロープ2を洗浄機4の入口5に送り込み易くなり、出口8に送り出し易くなる。洗浄機4(図1(a))を支持台13の長孔38、取付け板44の長孔45の長手方向にスライドさせて、船上から海上に突出する引上げガイド6(図1(a)、図17)の位置を調節することもできる。
【0045】
(引上げ洗浄装置の使用例1)
1.図1(a)のように洗浄機4を船上に設置した支持台13の上に搭載して固定する。
2.図2のように引上げガイド6を略鉛直姿勢となるまで回転させて船上に収納してある状態で、船3を目的地(帆立貝耳吊り養殖場:圃場)まで走行させる。
3.引上げガイド6を所定の角度となるまで回転体16b回りに回転させて、船3の上から海上に向けて前傾させる。このとき、引上げガイド6の先端を海中まで入れることもできる。
4.貝付きロープ2の上端部を手作業で海中から引上げて引上げガイド6の外周に掛け、貝付きロープ2を洗浄機4の側面導入口46から洗浄通路10内に導入する。
5.前記状態で、モータなどの駆動装置によって、引上げガイド6の先端側の駆動回転体を強制回転させて、引上げガイド6の下走行体20を矢印方向に回転させて、貝付きロープ2を引上げガイド6の傾斜に沿って引上げ、洗浄機4の側面導入口46から搬送体7の洗浄通路10内にセットする。
6.洗浄通路10内で貝付きロープ2が下噴射体9a、上噴射体9bから噴射される洗浄液によって洗浄される。
7.洗浄済みの貝付きロープ2は洗浄機4の出口8からシュータ50(図5、図17)の上に送り出されて海中に戻して吊下げられる。
8.前記5〜7の繰り返しにより、多くの貝付きロープ2を引上げながら洗浄し、洗浄済みの貝付きロープ2を海中に戻して吊下げる。
9.前記洗浄作業中に海の潮の流れの方向が変化した時は、船3が安定するように船3の向きを変える。このとき、支持台13の上に搭載固定してある洗浄機4の入口5及び出口8の向きを船3の向きに合わせて変えて、引上げガイド6から引上げられる貝付きロープ2が洗浄機4の入口5に円滑に送り込まれ(引込まれる)ようにする。
10.貝付きロープ2の洗浄作業が終わると、図2のように、引上げガイド6を略鉛直姿勢に戻し、船内に収納させた状態で帰港する。
【0046】
(引上げ洗浄装置の使用例2)
図11(a)の引上げ洗浄装置の使用方法は基本的に図1(a)の引上げ洗浄装置の使用方法と同じである。異なるのは図11(a)の引上げ洗浄装置のコンベア式の引上げガイド6が搬送体7と別体であるので、船上から海上に斜め下向きに突出させた引上げガイド6を下搬送体7aと別に駆動させることである。
【0047】
(引上げ洗浄装置の使用例3)
図12(a)の引上げ洗浄装置の使用方法は、基本的に図1(a)の引上げ洗浄装置の使用方法と同じである。異なるのは図12(a)の引上げ洗浄装置の引上げガイド6は船3に取付け、それを船上から海上に斜め下向きに突出させて使用することである。
【0048】
(引上げ洗浄装置の使用例4)
1.図14(a)の引上げ洗浄装置は引上げガイド6がスライド台であってコンベア式ではないため、この引上げ洗浄装置の使用に当たっては、海中から手作業で引上げた貝付きロープ2を、滑り台式の引上げガイド6、引上げ駆動体35の上にセットし、更に、洗浄機4の側面に開口されている側面導入口46(図6(a))から引込んで洗浄通路10内にセットする。
2.前記状態で引上げ駆動体35、洗浄機4の搬送体7を回転させて、貝付きロープ2を海中から引上げて、洗浄機4の噴射体9a、9bから噴射される洗浄液で洗浄する。
3.洗浄済みの貝付きロープ2は洗浄機4の出口8からシュータ50(図5、図17)の上に送り出されて海中に戻して吊下げる。
4.前記2、3の繰返しにより、多数本の貝付きロープ2を海中から引上げながら洗浄して、洗浄済みの貝付きロープ2を海中に戻して吊下げる。
5.前記洗浄作業中に海の潮の流れの方向が変化した時は、船3が安定するように船3の向きを変える。このときも支持台13の上に搭載固定してある洗浄機4の入口5(図1(a))と出口8(図1(a))の向きを船の向きに合わせて変えて、引上げガイド6から引上げられる貝付きロープ2が洗浄機4の入口5に円滑に送り込まれ(引込まれる)ようにする。
6.貝付きロープ2の洗浄作業が終わると、図15のように引上げガイド6を略鉛直姿勢に戻し、船内に収納させた状態で帰港する。
7.図14(b)の引上げ駆動体35を設けない場合は、前記1において、海中から手作業で引上げた貝付きロープ2を、スライド台式の引上げガイド6の上にセットし、更に洗浄機4の側面に開口されている側面導入口46(図6(a))から洗浄機4内に引込んで洗浄通路10にセットし、洗浄機4の搬送体7の回転で貝付きロープ2を引込んで洗浄機4の出口8側に送り出すこともできる。
【0049】
前記いずれの使用例も、貝付きロープ2を引上げて洗浄する場合であるが、本願発明の洗浄装置では、籠養殖中の貝入り籠、昆布、その他の海産物等を海中から引き上げながら洗浄することもできる。何れを洗浄する場合であって前記使用例はあくまでも一例であり、前記以外の方法で使用することもできる。前記何れの場合も、引上げガイド6の船上への収容は船3の鉛直方向上方ではなく、可能であれば、船内に収まるように収容することもできる。
【符号の説明】
【0050】
1 貝類
2 貝付きロープ
3 船
4 洗浄機
5 洗浄機の入口(筺体の入口)
6 引上げガイド
7 洗浄機の搬送体
7a 下搬送体
7b 上搬送体
8 洗浄機の出口(筺体の出口)
9a 下噴射体
9b 上噴射体
10 洗浄通路
12 筐体
13 支持台
14 回転体
14a 遮蔽具
15 上走行体
16 押しローラー
16a、16b、16c 回転体
17 係止片
18 支持片
19 スプリング
20 下走行体
20a 弛み防止具
21 支持具
22 アーム
23 波状網
23a 細幅板
23b 山
23c 谷
24 滑り止め空間
25 連結軸
26 ベルト
26a 滑り止め突起(角ブロック状)
27 ベルトや薄板
27a 横長突条
27b 横長凹部
28 ベルト
28a 滑り止め突起(V字形)
28b 滑り止め突起の開口側
28c 滑り止め突起の取付け片
30 ベルト
30a 滑り止め突起(L字形)
30b 滑り止め突起の取付け片
32 取付けアーム
33 ガイド走行体
34 支持具
35 引上げ駆動体(モータやエンジン等)
36 載せ台
37 支持脚
38 長孔
39 高さ調節機構
40 連結具
41 パイプ
42 長さ調節機構
43 宛板
44 取付け板
45 長孔
46 側面導入口
47 内側保持ガイド
48 外側保持ガイド
50 シュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を水中から引上げながら洗浄する引上げ洗浄装置において、
被洗浄物を水中から引上げる引上げガイドと、引上げた被洗浄物を搬送しながら洗浄液で洗浄する洗浄機を備え、
引上げガイドが洗浄機の入口側手前から船の外まで突設され、
引上げガイドは被洗浄物を水中から引上げ可能な回転コンベア式であり、
洗浄機は引上げガイドで引上げられた被洗浄物を搬送する搬送体と、搬送中に被洗浄物に洗浄液を噴射する噴射体を備えたことを特徴とする引上げ洗浄装置。
【請求項2】
請求項1記載の引上げ洗浄装置において、
引上げガイドが洗浄機の搬送体の先方に一連に設けられ、又は前記搬送体と別体に構成され、洗浄機又は船体に取付けられて船側から海上に突出することを特徴とする引上げ洗浄装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の引上げ洗浄装置において、
引上げガイドはベルトコンベアの表面が、引上げる被洗浄物の滑りを防止する滑り止め構造であることを特徴とする引上げ洗浄装置。
【請求項4】
被洗浄物を水中から引上げながら洗浄する引上げ洗浄装置において、
被洗浄物を水中から引上げる引上げガイドと、引上げた被洗浄物を搬送しながら洗浄液で洗浄する洗浄機を備え、
前記引上げガイドは非駆動式のスライド台であり、
前記スライド台は船側から海上側に突出して設けられ、
前記スライド台とは別に、水中の被洗浄物をスライド台の上に引上げる引上げ駆動体を備え、
前記洗浄機は、前記スライド台の上に引上げられた被洗浄物を搬送しながら洗浄液で洗浄する搬送体と、搬送中に被洗浄物に洗浄液を噴射する噴射体を備えたことを特徴とする引上げ洗浄装置。
【請求項5】
被洗浄物を水中から引上げながら洗浄する引上げ洗浄装置において、
被洗浄物を水中から引上げる引上げガイドと、引上げた被洗浄物を搬送しながら洗浄液で洗浄する洗浄機を備え、
前記引上げガイドは非駆動式のスライド台であり、
前記スライド台は船側から海上側に突出して設けられ、
前記洗浄機は、水中の被洗浄物をスライド台の上に引上げて、その被洗浄物を洗浄機内に引込む搬送体と、搬送体で搬送中の被洗浄物に洗浄液を噴射する噴射体を備えたことを特徴とする引上げ洗浄装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の引上げ洗浄装置において、
スライド台の表面が、被洗浄物が滑り易い滑り面であることを特徴とする引上げ洗浄装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の引上げ洗浄装置において、
引上げガイドの下端側が船側に湾曲又は屈曲していることを特徴とする引上げ洗浄装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の引上げ洗浄装置において、
引上げガイドが、船側から海上に突出している状態から、船まで引上げ可能であることを特徴とする引上げ洗浄装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の引上げ洗浄装置において、
引上げガイドが、洗浄機又は船から取外し可能であることを特徴とする引上げ洗浄装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の引上げ洗浄装置において、
船上への洗浄機の設置向きが変更可能であることを特徴とする引上げ洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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