説明

引火性冷媒の火災危険を低減するための組成物および方法

本発明は、引火性冷媒と、火災危険減少剤と、任意選択的に冷凍または空調装置で使用するのに適している潤滑剤とを含む組成物に関する。さらに、本発明は、潤滑剤および火災危険減少剤を含む組成物、ならびに引火性冷媒の引火性を低減する方法、火災危険減少剤を冷凍または空調装置に送達する方法、および非引火性冷媒を引火性冷媒に取り替える方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災危険減少剤(hazard−reducing agent)を含有する冷媒組成物に関する。本発明の組成物は、自動車用空調システムで使用される冷媒を含む、非引火性冷媒組成物の適切な代替品である。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2003年11月13日出願の米国仮特許出願第60/519,689号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
ヒドロフルオロカーボン(HFC)冷媒は、世界中で冷凍および空調装置において広く使用されるようになっている。HFCは、最初のクロロフルオロカーボンとして選り抜きの冷媒となり、現在、ヒドロクロロフルオロカーボンは、オゾン層に悪影響を及ぼすため、段階的に廃止されている。HFC冷媒が中間の代替品として開発されたが、一部は、高い地球温暖化係数(GWP)を有することが分かっている。GWPに関連する新たな規制が採用されており、そのため、この産業は、許容可能なGWPを有する他の冷媒に移行する必要がある。
【0004】
いくつかの種類の分子が高GWP冷媒の代わりに使用されている、または使用されるように提案されている。多くの低GWP代替え冷媒は、毒性または引火性に関連する問題を有する。この産業は、特に家庭および自動車において使用される消費者製品に関する安全因子のために、世界の多くの領域で引火性冷媒の使用が避けられている。
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,185,734号明細書
【特許文献2】米国特許第6,478,979号明細書
【特許文献3】米国特許出願第10/476,312号明細書
【非特許文献1】The Journal of Fluorine Chemistry
【非特許文献2】Chemistry of Organic Fluorine Compounds、Milos Hudlicky編、The MacMillan Company出版、New York,N.Y.、1962年
【非特許文献3】J.Am.Chem.Soc.、第84巻、pp.4285−88、1962年
【非特許文献4】1990 ASHRAE Handbook、Refrigeration Systems and Applications、第8章、タイトル“Lubricants in Refrigeration Systems”、p.8.1−8.21
【非特許文献5】“Synthetic Lubricants and High−Performance Fluids”、R.L.Shubkin、Marcel Dekker編、1993年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、現在使用されている高地球温暖化冷媒の代替品として、その手段によって引火性冷媒を使用することができる手段を特定することである。現在入手可能な引火性冷媒を既存の冷媒の代わりに使用すると、この転換の費用を最小限に抑えることができ、消費者にとって、根本的な節約になるだろう、
【0007】
冷媒ブレンドの多くは、それらが非引火性になるように配合されているCFCまたはHCFCに取って代わるように販売されている。しかしながら、ブレンドのGWPに最も寄与するのはブレンドの非引火性成分であることが多い。分子上のフッ素原子数が多いほど、引火性が低減されるが、GWPが高くなる。HFCの引火性が高いほど、フッ素数は低くなる(したがって、GWPも低くなる)が、それに応じて水素数が多くなり、引火性化合物が生じる。
【0008】
当技術分野では、その非引火性性質のために、冷凍および空調産業において特定の有用性を有する多くの組成物が開示されている。これらの組成物の多くは、公知の非引火性冷媒で引火性成分を希釈することによって、非引火性にされる。
【0009】
本発明は、冷媒組成物全体の引火性に取り組む。多くの場合、大部分の蒸気圧縮冷凍または空調システムで必要とされる潤滑剤は可燃性である。本発明は、現在入手可能な組成物と比較して、冷媒および冷媒/潤滑剤組成物を考慮した場合に、全体的な引火性を低減する組成物を提供することによって、この問題に取り組む。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも1つの引火性冷媒と;少なくとも1つの火災危険減少剤とを含む組成物に関する。この組成物は、冷凍または空調装置で使用するのに適した潤滑剤も含む。
【0011】
本発明はさらに、火災危険減少剤と、冷凍または空調装置で使用するのに適している潤滑剤とを含む組成物に関する。
【0012】
本発明の他の開示内容は、火災危険減少剤を冷凍または空調装置中に供給する方法であって、前記薬剤を冷凍または空調装置での使用に適した冷媒と合わせる工程;または、前記薬剤を冷凍または空調装置での使用に適した潤滑剤と合わせる工程;または、前記薬剤を前記冷凍または空調装置中に導入する工程を含む方法である。
【0013】
冷凍または空調装置中で、またはその付近で火災危険を低減する方法であって、火災減少剤(fire−reducing agent)を引火性冷媒と合わせる工程;または、火災減少剤を潤滑剤と合わせる工程;およびいずれかの混合物を冷凍または空調装置中に導入する工程を含む方法もまた、本明細書において開示されている。
【0014】
冷凍または空調装置において火災危険減少剤を使用する方法であって、冷凍または空調装置での使用に適した引火性冷媒と前記試薬を合わせる工程;または、冷凍または空調装置での使用に適した潤滑剤と前記試薬を合わせる工程;または、前記試薬を冷凍または空調装置中に導入する工程を含む方法もまた、本明細書において開示されている。
【0015】
本発明の他の実施形態は、冷凍または空調装置における非引火性冷媒に取って代わるのに適している組成物であって、引火性冷媒;火災危険減少剤;任意選択的に、潤滑剤;を含む組成物である。
【0016】
本発明の他の実施形態は、冷凍または空調装置において非引火性冷媒を引火性冷媒に取り替える方法であって、前記引火性冷媒に火災危険減少剤を添加する工程を含む方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、冷凍および/または空調システム中で、またはかかるシステムの付近で、冷媒組成物の火災危険を低減するのに有用な組成物および方法に関する。本発明の引火性冷媒は、空気と混合すると、温度、圧力および組成の指定条件下において炎を伝えることが実証することができる化合物を含む。点火源が電気的に活性化された台所用マッチの先であるべきことを除いては、引火性冷媒は、ASTM(米国材料試験協会)E681−85の下でのASHRAE(米国暖房冷凍空調技術者協会)基準34−2001によって指定される条件下で試験することによって、引火性冷媒を同定することができる。かかる引火性試験は、空気中での試験化合物の引火下限(LFL)および引火上限(UFL)を決定するために、種々の濃度にて101kPa(14.7psia)および21℃(70°F)で冷媒を使用して行われる。
【0018】
実際面では、冷媒は、冷凍または空調装置から漏洩し、点火源と接触して発火した場合に引火性であると分類される。このような漏洩時に、本発明の組成物は、火事を起こす確率が低い。
【0019】
本発明の引火性冷媒としては、ヒドロフルオロカーボン(HFC)、フルオロエーテル、炭化水素エーテル、炭化水素、アンモニアおよびその混合物が挙げられる。代表的なHFC冷媒としては、限定されないが:ジフルオロメタン(HFC−32)、フルオロメタン(HFC−41)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、1,1,2−トリフルオロエタン(HFC−143)、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)、フルオロエタン(HFC−161)、1,1,1−トリフルオロプロパン(HFC−263fb)、およびその混合物が挙げられる。HFC冷媒は、本願特許出願人などの多くの供給元から入手可能な製品であり、または米国,32602,フロリダ州ゲーンズビル,私書箱1466号のPCR社(PCR Inc.,P.O.Box 1466,Gainesville,Florida,32602,USA)などの受注生産化学合成会社から入手可能であり、さらに(非特許文献1)または(非特許文献2)などの技術で開示されている合成プロセスによって入手可能である。
【0020】
本発明の引火性冷媒はさらに、少なくとも1つのエーテル基酸素原子も含有する、ヒドロフルオロカーボンに類似のフルオロエーテル化合物を含む。代表的なフルオロエーテル冷媒としては、限定されないが、COC(ミネソタ州セントポール(St.Paul,Minnesota)の3M(商標)社)が挙げられる。
【0021】
本発明の引火性冷媒はさらに、炭化水素冷媒を含む。代表的な炭化水素冷媒としては、限定されないが、プロパン、プロピレン、シクロプロパン、n−ブタン、イソブタン、およびn−ペンタンが挙げられる。炭化水素冷媒は、多くの製造元から容易に入手することができる。
【0022】
本発明の引火性冷媒はさらに、本願特許出願人によって販売されているジメチルエーテル(DME)などの炭化水素エーテルを含む。
【0023】
本発明の引火性冷媒はさらに、複数の供給元から容易に入手することができるアンモニア(NH)を含む。
【0024】
本発明の引火性冷媒はさらに、混合物全体が依然として引火性冷媒であると見なされるような、2種類の引火性冷媒(例えば、2つのHFC、またはHFCと炭化水素)の混合物、または引火性冷媒と非引火性冷媒とを含む混合物などの複数の冷媒の混合物を含む。
【0025】
本発明の他の冷媒と合わせることができる非引火性冷媒の例としては、R−134a、R−23、R−125、R−236fa、R−245fa、およびHCFC−22/HFC−152a/HCFC−124の混合物(ASHRAEの指定によって知られている、R−401A、R−401B、およびR−401C)、HFC−125/HFC−143a/HFC−134aの混合物(ASHRAEの指定によって知られている、R−404A)、HFC−32/HFC−125/HFC−134aの混合物((ASHRAEの指定によって知られている、R−407A、R−407B、およびR−407C)、HCFC−22/HFC−143a/HFC−125の混合物(ASHRAEの指定によって知られている、R−408A)、HCFC−22/HCFC−124/HCFC−142bの混合物(ASHRAEの指定によって知られている:R−409A)、HFC−32/HFC−125(R−410A)、およびHFC−125/HFC−143aの混合物(ASHRAEの指定によって知られている:R−507)および二酸化炭素が挙げられる。
【0026】
複数の引火性冷媒の混合物の例としては、プロパン/イソブタン;HFC−152a/イソブタン、R−32/プロパン;R−32/イソブタン;HFC−32/アンモニア、HFC−125/アンモニアおよびHFC−32/HFC−125/アンモニアおよびHFC/二酸化炭素混合物、例えばHFC−152a/COが挙げられる。
【0027】
火災危険減少剤とは、引火性冷媒または引火性冷媒/潤滑剤組成物に添加すると、本明細書において先に記載の方法および基準によって決定かつ定義される組成物の引火性を低減する添加剤を意味する。実際的な意味では、空調または冷凍システムから漏洩する可能性がある冷媒は、引火性を考慮すると、1つの主要な問題である。冷凍システムで漏洩が起これば、冷媒、およびもしかすると少量の潤滑剤がシステムから放出される可能性がある。この漏洩している物質が点火源と接触すれば、発火が起こる。本発明の火災危険減少剤は、漏洩の発生において火災の確率を低減し、かつ/または生じた炎の温度または大きさを低減することによって火災危険度を低減する。
【0028】
本発明の火災危険減少剤は、塩(例えば、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、水酸化物塩、酸化物塩、モリブデン酸塩、臭化物、臭素酸塩、塩素酸塩、塩化物塩、またはヨウ化物塩)、亜リン酸化合物、例えばリン酸エステル、有機ホスホネート、およびホスホニウム塩、ホウ酸、有機ホウ素化合物、臭素化化合物、塩素化パラフィン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、水とポリアルキレングリコールまたはポリオールエステルとの混合物、過フッ素化潤滑剤、フルオロケトン、フルオロヨード化合物、またはその混合物を含む。
【0029】
この種類の代表的な火災危険減少塩剤(fire−hazard reducing salt agent)としては、限定されないが:酢酸ナトリウム(CHCONa)、酢酸カリウム(CHCOK)、炭酸カリウム(KCO)、炭酸鉄(II)(FeCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)、炭酸アンモニウム((NHCO)、重炭酸ナトリウム(NaHCO)、重炭酸カリウム、(KHCO)、リン酸アンモニウム((NHPO)、硝酸カリウム(KNO)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化コバルト(CoCl)、塩化ルビジウム(RbCl)、塩化チタニウム(TiCl)、臭化ナトリウム(NaBr)、臭化カリウム(KBr)、臭化ルビジウム(RbBr)、ヨウ化カリウム(KI)、ヨウ化ルビジウム(RbI)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、水酸化アルミニウム(Al(OH))、ホウ酸亜鉛(3ZnO:2B)、酸化亜鉛(ZnO)、モリブデン酸亜鉛(ZnMoO)、モリブデン酸カルシウム(CaMoO)、酸化銅(CuOおよびCuO)、および酸化アンチモン、限定されないが、三酸化アンチモン(Sb)および五酸化アンチモン(Sb)等が挙げられる。かかる塩は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ社(Aldrich、Milwaukee,Wisconsin)などの多くの化学製品供給業者から入手可能である。
【0030】
本発明の火災危険減少剤はさらに、リン化合物を含む。かかるリン化合物としては、限定されないが:トリアルキルホスフェート、トリアリールホスフェート、混合アルキル−アリールホスフェート(アルキルジアリール、ジアルキルアリールまたはアルキル化アリール)および環状ホスフェートなどのリン酸エステルが挙げられる。代表的なトリアルキルホスフェートとしては、トリメチルホスフェート((CHPO,Cas登録番号512−56−1);トリエチルホスフェート((CHCHPO,Cas登録番号78−40−0);トリブチルホスフェート((CPO,Cas登録番号126−73−8);トリオクチルホスフェート((C17PO,Cas登録番号1806−54−8);およびトリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート((CHCH(C)(CHPO,Cas登録番号78−42−2)が挙げられる。代表的なトリアリールホスフェートとしては、トリフェニルホスフェート((CO)PO,Cas登録番号115−86−6);トリクレジルホスフェート(TCP,(CHO)PO,Cas登録番号1330−78−5);およびトリキシレニルホスフェート(((CHO)PO,Cas登録番号25155−23−1)が挙げられる。代表的な混合アルキル−アリールホスフェートとしては、イソプロピルフェニルフェニルホスフェート(IPPP,(CO)((CHCHO)PO,Cas登録番号68782−95−6)およびビス(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート(TBPP,(CO)((CHC)PO,Cas登録番号65652−41−7)が挙げられる。かかるリン化合物は、アルドリッチ社(Aldrich)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,Wisconsin));Alfa Aesar社(マサチューセッツ州ウォードヒル(Ward Hill,MA));またはアクゾノベル社(Akzo Nobel)(オランダ,アルンヘム(Arnhem,the Netherlands))などの多数の化学製品供給業者から入手可能である。その他の代表的なリン化合物は、アクゾノベル社(Akzo Nobel)(オランダ,アルンヘム(Arnhem,the Netherlands))から市販のSyn−O−Ad8748、ブチル化トリフェニルホスフェート;グレートレイクスケミカル社(Great Lakes Chemical)(GLCC,インディアナ州ウェストラフィエット)から市販のDurad 620、t−ブチル化トリフェニルホスフェート;およびこれもGLCCから市販のDurad 220および110、イソ−プロピル化トリフェニルホスフェートである。
【0031】
本発明の火災危険減少剤は、有機ホスホネートおよびホスホニウム塩をさらに含む。代表的な有機ホスホネートおよびホスホニウム塩としては、トリスモノクロロプロピルホスフェート(TMCPP,異なる異性体,トリス(2−クロロイソプロピル)ホスフェート,Cas登録番号13674−84−5、およびトリス(2−クロロプロピル)ホスフェート,Cas登録番号6145−73−9);トリス(1,3−ジクロロ−2−プロピル)ホスフェート(TDCPP,P(OCHOH)Cl,Cas登録番号13674−87−8);ジメチルホスフェート(PHO(OCH,Cas登録番号868−85−9);およびテトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド(P(CHOH)Cl,Cas登録番号124−64−1)等が挙げられる。これらのリン化合物は、アルドリッチ社、Alfa Aesar社、またはアクゾノベル社からも入手可能である。
【0032】
本発明の火災危険減少剤はさらに、他のホウ素化合物、例えばホウ酸(HBO,Cas登録番号10043−35−3)、トリフェニルボラン(B(C、Cas登録番号960−71−4)およびホウ酸ナトリウムなどの他のホウ素塩をさらに含む。
【0033】
本発明の火災危険減少剤は、ヘキサブロモシクロドデカン(Cas登録番号25637−99−4)またはデカブロモジフェニルオキシド(Cas登録番号1163−19−5)などの臭素化有機化合物をさらに含む。本発明の臭素化有機化合物はさらに、脂肪族化合物、例えばジブロモネオペンチルグリコール(DBNPG,C(CHBr)(CHOH),Specialchem FR−522,Cas登録番号3296−90−0);トリスブロモネオペンチルホスフェート(Specialchem FR−370/FR−372,(C(CHBr)CHO)PO,Cas登録番号19186−97−1),トリスブロモネオペンチルアルコール(TBNPA,CH(CHBr)OH,Cas登録番号36483−57−5)、およびヘキサブロモシクロドデカン(HBCD,シクロ−(−CHBrCHBrCHCHCHBrCHBrCHCHCHBrCHBrCHCH−),Cas登録番号25637−99−4)を含む。
【0034】
本発明の臭素化有機化合物はさらに、芳香族化合物、例えばデカブロモジフェニルオキシド(DECA,O(CBr,Specialchem FR−1210,Cas登録番号1163−19−5);トリス(トリブロモフェニル)トリアジン(Cas登録番号25713−60−4,Specialchem FR−245);テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)(Specialchem FR−720,Cas登録番号21850−44−2);オクタブロモジフェニルオキシド(オクタ,Cas登録番号32536−52−0,Specialchem FR−1208);テトラブロモビスフェノールA(CHC(CBrOH),Cas登録番号79−94−7,Specialchem FR−1524);および臭素化トリメチルフェニルインダン(Cas登録番号155613−93−7,Specialchem FR−1808)を含む。
【0035】
本発明の臭素化有機化合物はさらに、Specialchem F−2016(オリゴマー,Cas登録番号68928−70−1)などの臭素化エポキシ化合物を含む。上記で示される脂肪族臭素化、芳香族臭素化および臭素化エポキシ化合物は、Specialchem S.A.社(フランス,パリ(Paris,France))から入手可能である。
【0036】
本発明の火災危険減少剤はさらに、炭素原子10〜30個を有し、かつ分子において塩素約35重量%〜約70重量%を有する塩素化パラフィンを含む。本発明の塩素化パラフィンとしては、The Chlorez(登録商標)/Hordaresin(登録商標)難燃添加剤、樹脂状および液状塩素化パラフィンのDoversperse(登録商標)分散液およびエマルジョン、Doverguard(登録商標)臭素化塩素化パラフィン、Paroil(登録商標)およびクロロワックス(Chlorowax)(登録商標)液体塩素化パラフィンが挙げられ、すべて、ドーバー・ケミカル社(Dover Chemical Corporation)(オハイオ州ドーバー(Dover,Ohio))によって製造されている。さらに、本発明の塩素化パラフィンとしては、Cereclor(登録商標)42、42SS、48、70、LCCP44、および46難燃性塩素化パラフィンワックスおよびCereclor(登録商標)S−45、51L、S−52、S−52HV、S−55、S−56、S−56B、およびMCCP 54 C14〜C17塩素化パラフィンが挙げられ、すべてパイオニア社(Pioneer)(テキサス州ヒューストン(Houston,Texas))によって製造されている。
【0037】
本発明の火災危険減少剤はさらに、ポリリン酸アンモニウム(APP)、[NHPOを含む。そのポリリン酸アンモニウムは、直鎖または分枝鎖および架橋分子であり得る。シラン、メラミンまたは他の物質でコーティングされたポリリン酸アンモニウムが入手可能である。本発明は、コーティングされた、またはコーティングされていないポリリン酸アンモニウム配合物を含むことが意図される。これらのAPP配合物の代表的なものは、FR CROS 484(コーティングされていない)、RF CROS 486(表面反応(surface reacted)シランコーティング)、およびFR CROS 484(表面反応メラミンコーティング)であり、すべて、Specialchem S.A.社(フランス,パリ(Paris,France))から入手可能である。
【0038】
本発明の火災危険減少剤はさらに、水と、ポリアルキレングリコール(PAG)またはポリオールエステル(POE)潤滑剤と、任意選択的に腐食防止剤、耐摩耗剤、安定剤および/または潤滑添加剤との混合物を含む。水を含む配合物は、水30重量%、またはさらに、EMKAROX(登録商標)HV 45およびEMKAROX(登録商標)HV 20(オランダ,ゴーダ(Gouda,the Netherlands)のUniqema社からのPAG)を含み得る。記載のPAG/水およびPOE/水が潤滑剤としても機能することから、更なる添加剤は必要ない。代替方法としては、潤滑のために必要な場合には、更なる添加剤をPAG/水またはPOE/水の混合物に添加することができる。
【0039】
本発明の火災危険減少剤はさらに、パーフルオロカーボンまたはパーフルオロポリエーテル潤滑剤を含む。その例としては、限定されないが、クライトックス(Krytox)(登録商標)(本願特許出願人)、フォンブリン(Fomblin)(登録商標)(イタリアのSolvay Solexis社)、およびデムナム(Demnum)(商標)(日本,大阪のダイキン・アメリカ社(Daikin America,Inc.,Osaka,Japan)によって提供されている)が挙げられる。この種類の代表的な潤滑剤は、クライトックス(Krytox)(登録商標)1531XPまたはクライトックス(Krytox)(登録商標)GLPシリーズ、フォンブリン(Fomblin)(登録商標)Z−Dol、Z−Tetraol、AM 2001、またはAM 3001、Demnum(商標)LR−200またはS−65および他のデムナム(Demnum)(商標)オイルである。前記過フッ素化潤滑剤は、潤滑剤としても機能するため、前記過フッ素化火災危険減少剤を含有する組成物中に他の潤滑剤は必要ない。その代わりとして、本明細書に記載の他の潤滑剤に添加剤として、過フッ素化潤滑剤を含有させてもよい。
【0040】
本発明の火災危険減少剤はさらに、メラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン,CAS番号106−78−1)およびメラミンの同族体および誘導体などのメラミンを含む。かかるメラミン同族体としては、多環構造、例えばメラム(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン−n−(4,6−ジアミノ−1,3,5−トリアジン−2−イル)、メレム(2,5,8−トリアミノ−1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレン,CAS番号1502−47−2)、およびメロン(ポリ[8−アミノ−1,3,4,6,7,9,9b−ヘプタアザフェナレン−2,5−ジイル)])が挙げられる。かかるメラミン誘導体としては、メラミンシアヌレートおよびメラミン(モノ/ピロ/ポリ)ホスフェート、例えばMelapur(登録商標)MP(メラミンモノホスフェートおよびMelapur(登録商標)200(メラミンポリホスフェート)が挙げられる。これらのすべてのメラミンは、Specialchem S.A.社(フランス,パリ(Paris,France))から入手可能である。
【0041】
本発明の火災危険減少剤はさらに、フルオロケトンを含む。本発明のフルオロケトンは、フッ素、炭素、少なくとも1つのケトン基酸素、任意選択的に水素を含有する化合物からなる。かかるフルオロケトンは、式RCOR(式中、RおよびRは独立して、直鎖または分枝鎖、飽和または不飽和、脂肪族または脂環式部分または完全フッ素化炭化水素ラジカルから選択される)によって表される。さらに、RおよびRは結合して、環状フルオロケトン環を形成し得る。フルオロケトンは、炭素原子約2〜10個を含有する。好ましいフルオロケトンは、炭素原子4〜8個を含有する。本発明のフルオロケトンはさらに、酸素などのヘテロ原子を含有し、したがって、更なるケトン基、エーテル基、アルデヒド基またはエステル基を形成する。かかるフルオロケトンの例は、1,1,1,2,2,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノンまたはパーフルオロエチルイソプロピルケトン(PEIK,Cas登録番号756−13−8);1,1,1,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−3−(トリフルオロメチル)−2−ブタノンまたはパーフルオロメチルイソプロピルケトン(PMIK,Cas登録番号756−12−7);1,1,1,2,4,5,5,5−オクタフルオロ−2,4−ビス(トリフルオロメチル)−3ペンタノン;1,1,1,2,4,4,5,5−オクタフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノン;1,1,1,2,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−3−ヘキサノン;および1,1,2,2,4,5,5,5−オクタフルオロ−1−(トリフルオロメトキシ)−4−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノンである。PEIKは、(ミネソタ州セントポール(St.Paul,Minnesota)の3M(商標)社)から入手可能であり、記載の他のフルオロケトンは、参照により本明細書に援用される、米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献2)、および(非特許文献3)に記載のように製造することができる。
【0042】
本発明の火災危険減少剤はさらに、ヨウ化トリフルオロメチル(CFI,Cas登録番号2314−97−8)などのフルオロヨード化合物を含む。
【0043】
本発明の組成物中の火災危険減少剤の濃度は、用いられる引火性冷媒、火災危険減少剤および潤滑剤に応じて異なるだろう。本発明の組成物のいずれかにおける火災危険減少剤の濃度は、許容可能なレベルにまで引火性を低減する、または前記組成物の引火性を完全に無くすのに十分な濃度である。引火性冷媒に対する火災危険減少剤の濃度は、引火性冷媒中で約1重量%〜約50重量%である。潤滑剤および火災危険減少剤の組成物において、火災危険減少剤の濃度は、潤滑剤中で約1重量%〜約99重量%である。引火性冷媒と、火災危険減少剤と、潤滑剤とを含有する組成物において、火災危険減少剤の濃度は、完全な組成物に対して、約0.5重量%〜約50重量%である。
【0044】
液体成分を組み込む本発明の組成物は、個々の成分の所望の量を合わせる簡便な方法によって製造される。好ましい方法は、所望の成分の量を計量し、その後に成分を適切な容器中で合わせる方法である。所望の場合には、攪拌を用いることができる。液化された(圧力下で)冷媒が圧力下にてそれに添加されるシリンダーに、火災危険減少剤が装入される。火災危険減少剤と引火性冷媒を混合するために、任意選択的に、シリンダーを「回転」させる。他の混合技術としては、振盪、またはローラー、塗料ミキサー、または成分の混合を達成するであろう適切な装置が挙げられる。
【0045】
本発明の火災危険減少剤は、引火性冷媒または潤滑剤中で溶液またはエマルジョンを形成するか、あるいは前記引火性冷媒または前記潤滑剤中の固体分散液として存在する。固相火災危険減少剤の粒子は、中央粒径約10マイクロメートル以下を有する。その代わりとしては、粒子は、中央粒径約500ナノメートル以下を有する、あるいは粒子は、中央粒径約100ナノメートル以下のナノ粒子である。かかる分散液に含有されるナノサイズの固体粒子が好ましい。
【0046】
冷媒および/または潤滑剤中の火災危険減少剤の固体分散液は、火災危険減少剤を冷媒または潤滑剤と、任意選択的に分散剤と合わせることによって調製される。使用される火災危険減少剤、冷媒および/または潤滑剤に応じて、最初に分散剤を冷媒または潤滑剤と合わせ、続いてその混合物に火災危険減少剤を添加するのが適切である。その混合物は、任意選択的に粉砕媒体を利用して、粒径を低減し、より均一な分散液を生成するために粉砕される。
【0047】
本発明の粉砕装置は、任意選択的に粉砕媒体を利用して、粉砕プロセスを通して粒子のサイズの低減を達成するいずれかの装置または方法を含む。粉砕装置は、アトリターミル、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ビーズミル、水平媒体ミル、垂直媒体ミル、環状媒体ミル、ローターステーターまたは高圧ジェットミル、例えばMicrofluidizer(登録商標)(マサチューセッツ州ニュートン(Newton,MA)のMicrofluidics(商標)社)を使用した装置であることができる。潤滑剤中の固相火災危険減少剤を粉砕するための好ましい粉砕装置は、ボールミル、ビーズミルまたは媒体ミルである。引火性冷媒中の固相火災危険減少剤を粉砕するためには、粉砕装置は、圧縮ガス冷媒の圧力のために、高圧に対して変更を加える必要があるだろう。引火性冷媒を含有する組成物に対して好ましい粉砕装置は、参照により本明細書に援用される、米国特許公報(特許文献3)に開示される高圧媒体である。
【0048】
空気または水の影響を受けやすい固相火災危険減少剤の場合には、本発明の粉砕は、ヒドロフルオロカーボンを粉砕装置に添加する前に粉砕装置からガスを排気する工程、および/またはヒドロフルオロカーボンを前記粉砕装置に添加する前に、粉砕装置を不活性ガスでパージする工程を含む。
【0049】
本発明の粉砕工程では任意選択的に、粉砕媒体を使用し、それは粉砕前に粉砕装置に添加される。粉砕媒体は一般に、粉砕される粒子よりも高い硬度および剛性の材料で構成される。粉砕媒体は、例えば、ジルコニアなどのセラミック;ナイロンおよびポリマー樹脂;金属、およびある範囲の天然物質、例えば砂、シリカ、またはカニの殻から得られるキチンを含む、ほとんどの硬い、強靭な材料でも構成することができる。さらに、粉砕媒体は、強靭かつ弾性である単一の材料から完全になるか、あるいは代替方法では、複数種の材料で構成され、つまり、その上に付着された強靭な弾性材料のコーティングを有するコア部分を含む。さらに、粉砕媒体は、粉砕に適している材料の混合物で構成される。所望の粒径を得るのに適している粉砕媒体のサイズを用いることができる。しかしながら、多くの用途では、粉砕媒体の好ましいサイズ範囲は、ミル中に媒体が保持される連続媒体粉砕に関して、約15ミリメートル〜約200マイクロメートルの範囲であるだろう。ほぼ立方形(つまり、完全な立方体に近い)媒体の使用は公知であるが、ほぼ球形(つまり、完全な球体に近い)媒体が通常使用される。媒体のアスペクト比(高さと幅との比)は一般に、約1に近く、ほとんど約10を超えない。スラリーおよび粉砕媒体がその中で循環される、バッチ媒体粉砕(アトリターにおける)または循環式粉砕に関しては、より小さな粉砕媒体が使用されることが多い。
【0050】
本発明の任意の分散剤は、カチオン性、両性、非イオン性またはアニオン性である。本発明の組成物で使用される分散剤は、異なる組成成分の化学的性質に依存するだろう。
【0051】
潤滑剤中の火災危険減少剤の分散液を調製するのに有用な分散剤は、合成オイルと本発明の微粒子を合わせた場合に、非沈降性分散組成物が生成されることが見出されている、アニオン性または非イオン性分散剤、またはその組み合わせである。両性分散剤などのイオン性またはアニオン性分散剤の特性のいくつかを示す分散剤を使用することもできる。ポリマーまたは非ポリマー分散剤のいずれかを使用することができる。ポリマー分散剤と非ポリマー分散剤との組み合わせが好ましい。
【0052】
非ポリマー分散剤は一般に、2つの機能性を有する分子であり、その1つは、分散剤を粒子に固定する役割を果たし、もう1つは、液体との相溶性を維持する。それらは一般に、1000未満の分子量を有する。いくつかの非ポリマー分散剤は、多数の同一セグメントまたは基を有するが、これらの分子はセグメントを規則的に反復せず(ポリマーなどにおいて)、一般により小さな分子(MW1000未満)である。
【0053】
非イオン性分散剤およびアニオン性分散剤には、一般に疎水性官能基および親水性官能基が存在する。疎水性セグメントの一般的な例としては、アルキル、アリール、アルカリール、シロキサン、ポリシロキサン、フルオロエーテル、およびフルオロアルキル基が挙げられる。アニオン性分散剤において、親水性基は、アニオンの特性を有する。これらのセグメントの例としては、限定されないが:カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、ホスホネート、第4級塩、およびアミンオキシドが挙げられる。非イオン性分散剤中に含まれる他の親水性基としては、限定されないが、エトキシレートまたはアルコキシレートおよびサッカリドなどのヒドロキシレートが挙げられる。
【0054】
使用することができる非イオン性分散剤の例としては、C10−C18N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸および脂肪酸アミド;C12−C18アルキルエトキシレート(「AE」タイプの界面活性剤)、C10−C18グリセロールエーテル、C10−C18アルキルアルコキシカルボキシレート、C10−C18アルキルポリグリコシド、およびC−C12アルキルフェノールアルコキシレートが挙げられる。これらの材料は、様々な供給元によって市販されている。例えば、ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas)から市販されているX−45、X−100、X−114、およびX−102などのトリトン(Triton)「X」シリーズが、様々な構造のアルキルフェノールアルコキシレートの例として挙げられる。
【0055】
使用することができるアニオン性分散剤の例としては、C−C22第1級または第2級アルカンスルホネート、スルホン化ポリカルボン酸、アルキルグリセリルスルホネート、アルキルフェノールエチレンスルフェート、アルキルホスフェート、およびスルホサクシネートが挙げられる。本発明のアニオン性分散剤は市販されている。代表的なスルホサクシネート分散剤は、エアロゾル(Aerosol)OT、(ニュージャージー州ウェストパターソンのサイテック社(Cytec,West Paterson,NJ))、Anionyx 12s(イリノイ州ノースフィールド(Northfield,IL)のStepan社)、Mackanate DOS−100(イリノイ州ユニバーシティーパーク(University Park,IL)のMcIntyre社)、およびMonawet MB−100(デラウェア州ニューキャッスルのユニケマ社(Uniqema,New Castle,DE))である。
【0056】
ポリマー分散剤は反復セグメントを有し、その少なくとも一部は、分散剤を表面に固定する官能基を含有し、一般に約1000を超える分子量を有する。それらは、そのセグメントがすべて同一であるホモポリマーであるか、あるいは、複数種のセグメントが存在するコポリマーである。
【0057】
非イオン性ポリマー分散剤には、一般に、ほとんど疎水性であるいくつかのセグメントがあり、他はほとんど親水性である。ほとんど非極性の溶媒において、分散剤の親水性部分が、分散剤を粒子に固定する。ほとんど極性の溶媒において、分散剤の疎水性部分が、分散剤を粒子に固定する。一般的な親水性セグメントとしては、限定されないが、エトキシレートまたはアルコキシレート、高極性エーテル、およびサッカリドなどのヒドロキシレートが挙げられる。一般的な疎水性セグメントとしては、限定されないが、アルキル基、アルキレン基、アリール基、芳香族基、フルオロカーボン、シリコーン、疎水性エーテル(スチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、およびドデシル(doecyl)グリシジルエーテルなど)およびメチクリレート(methycrylate)エステル、メタクリル酸エステルおよびカプロラクトンなどの疎水性ポリエステルが挙げられる。一部の非イオン性ポリマー分散剤では、水素結合などの他の固定手段を使用し、セグメントをポリマー中に含ませて、分散剤にこの機能性を与える。
【0058】
アニオン性ポリマー分散剤において、非イオン性ポリマー分散剤について上述のように他の疎水性または親水性セグメントに加えて、限定されないがカルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、ホスホネート、第4級塩、およびアミンオキシドを含むアニオン性基がポリマーに組み込まれる。
【0059】
本発明の非イオン性分散剤は、アルコキシル化ポリ芳香族化合物、12−ヒドロキシステアリン酸およびポリヒドロキシステアリン酸であることができる。代表的なアルコキシル化ポリ芳香族化合物はSolsperse27000(英国,マンチェスターのアビシア社(Avecia,Manchester,England))である。
【0060】
引火性冷媒中の火災危険減少剤の分散液を調製するのに有用な分散剤は一般に、親水性部位と疎水性部位を含有するアニオン性またはカチオン性化合物である。これらの分散剤化合物は、アルコールなどの極性基を含有するテール(tail)も有する。分散剤親水性部位は、カチオン性(例えば、脂肪族アンモニウム)、両性(例えば、アミンベタイン)、非イオン性(例えば、オキシアルキレンオリゴマー、糖アルコール(例えば、ソルビトール)、ポリソルベート、ポリサッカリド)またはアニオン性(例えば、カルボキシレート、ホスフェート、スルフェート、スルホネート、スルホサクシネート)基を含む。その他の有用な分散剤としては、本願特許出願人のゾニル(Zonyl)(登録商標)ブランドの界面活性剤およびミネソタ州セントポール(St.Paul,Minnesota)の3M(商標)社によって販売されている同様な化合物などのフッ素系界面活性剤;C12−C15アルコールの誘導体;およびアクゾ社(Akzo)(イリノイ州シカゴ(Chicago,IL))から市販されているPropameen group(アルコキシル化アミン)が挙げられる。代表的な分散剤としては、リン脂質(例えば、大豆レシチン);多糖(例えば、デンプン、グリコーゲン、寒天、カラゲナン);ポリソルベート(polysorbate)80;Span(登録商標)85(トリオレイン酸ソルビタン(ユニケマ社(Uniqema)));プルロニクス(Pluronics)25(登録商標)4;プルロニクス(Pluronics)P104;Phospholan PS 222、C12−C15アルコールホスフェート(アクゾ社);およびSulfopon,C12−C16脂肪アルコールスルフェート(ドイツ,デュッセルドルフのコグニス社(Cognis,Dusseldorf,Germany));テキサポン(Texapon)TB、TEAラウリルスルフェート(コグニス社)、およびテキサポン(Texapon)PNSO−L、ナトリウムC12−C14エーテルスルフェート(コグニス社)が挙げられる。
【0061】
本発明の潤滑剤は、冷凍または空調装置で使用するのに適している潤滑剤を含む。これらの潤滑剤の中には、クロロフルオロカーボン冷媒を用いた圧縮冷凍で従来から使用されている潤滑剤がある。かかる潤滑剤およびその特性は、参照により本明細書に援用される、(非特許文献4)に記述されている。本発明の潤滑剤は、圧縮冷凍潤滑の分野において「鉱油」として一般的に知られている潤滑剤を含む。鉱油は、パラフィン類(つまり、直鎖および分枝鎖炭素鎖、飽和炭化水素)、ナフテン類(つまり、環状パラフィン類)および芳香族(つまり、交互にある二重結合によって特徴付けられる、1つまたは複数の環を含有する不飽和、環状炭化水素)を含む。本発明の潤滑剤はさらに、圧縮冷凍の潤滑の分野において「合成油」として一般的に知られている潤滑剤を含む。合成油は、アルキルアリール(つまり、直鎖状および分枝鎖アルキルアルキルベンゼン類)、合成パラフィン類およびナフテン類、およびポリ−α−オレフィン類)を含む。本発明の従来の代表的な潤滑剤は、市販のBVM 100N(BVA Oils社によって販売されているパラフィン系鉱油)、Suniso(登録商標)3GSおよびSuniso(登録商標)5GS(クロンプトン社(Crompton Co.)によって販売されているナフテン系鉱油)、Sontex(登録商標)372LT(Pennzoil社によって販売されているナフテン系鉱油)、Calumet(登録商標)RO−30(Calument Lubricants社によって販売されているナフテン系鉱油)、Zerol(登録商標)75、Zerol(登録商標)150およびZerol(登録商標)500(Shrieve Chemicals社によって販売されている直鎖状アルキルベンゼン類)およびHAB 22(新日本石油株式会社(Nippon Oil)によって販売されている分枝鎖アルキルベンゼン)である。
【0062】
本発明の潤滑剤はさらに、ヒドロフルオロカーボン冷媒と共に使用されるように設計されており、かつ圧縮冷凍および空調装置動作条件下にて本発明の冷媒と混和性である潤滑剤を含む。かかる潤滑剤およびその特性は、(非特許文献5)に開示されている。かかる潤滑剤としては、限定されないが、カストロール(Castrol)(登録商標)100(英国,カストロール社(Castrol))などのポリオールエステル類(POE)、ダウケミカル社(ミシガン州ミッドランド)から市販のRL−488Aなどのポリアルキレングリコール類(PAG)、およびポリビニルエーテル類(PVE)が挙げられる。
【0063】
本発明の潤滑剤は、所定の圧縮機の要求条件および潤滑剤がさらされる環境を考慮することによって選択される。本発明の潤滑剤は好ましくは、40℃で少なくとも約5cs(センチストークス)の動粘度を有する。
【0064】
潤滑性およびシステムの安定性を高めるために、所望のように、一般に使用されている冷凍システム添加剤が任意選択的に、本発明の組成物に添加される。これらの添加剤は、冷凍圧縮機の潤滑の分野内で一般的に知られており、耐摩耗剤、極圧潤滑剤、腐食防止剤および酸化防止剤、金属表面不活性化剤、ラジカル補足剤、起泡および消泡制御剤、漏洩検出剤等が挙げられる。一般に、これらの添加剤は、潤滑剤組成物全体に対して少量でのみ存在し、一般に、各添加剤約0.1重量%未満から約3重量%もの濃度で使用される。
【0065】
これらの添加剤は、個々のシステムの要求条件に基づいて選択される。かかる添加剤のいくつかの一般的な例としては、限定されないが、潤滑向上添加剤、例えばリン酸およびチオリン酸のアルキルまたはアリールエステルが挙げられる。さらに、金属ジアルキルジチオホスフェート(例えば、亜鉛ジアルキルジチオホスフェートまたはZDDP、ルブリゾール(Lubrizol)1375)および化学物質のこの系統の他のメンバーを本発明の組成物において使用することができる。他の摩耗防止添加剤としては、天然物のオイルおよび非対称ポリヒドロキシル潤滑添加剤、例えばSynergol TMS(国際的潤滑剤)が挙げられる。同様に、酸化防止剤、ラジカル補足剤などの安定剤も使用することができる。使用される火災減少剤が成分として水を含有しない場合には、捕水剤も使用することができる。このカテゴリーの化合物としては、限定されないが、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびエポキシドが挙げられる。
【0066】
本発明はさらに、引火性冷媒の火災危険を低減し、かつ/または冷凍または空調装置に存在する火災危険を低減する方法であって、前記冷凍または空調装置中に本発明の組成物を導入する工程を含む方法を含む。冷凍または空調装置としては、限定されないが、遠心冷却機(centrifugal chiller)、家庭用冷蔵庫/冷凍庫、住宅用空気調和装置、自動車用空気調和装置、冷蔵輸送車、ヒートポンプ、スーパーマーケットの食品クーラーおよびディスプレイケース、および冷蔵倉庫が挙げられる。
【0067】
本発明はさらに、冷凍または空調装置中の、またはその付近の火災危険を低減する方法であって、
(i)火災減少剤を引火性冷媒と合わせる工程;または、
(ii)火災減少剤を潤滑剤と合わせる工程;および前記混合物を冷凍または空調装置中に導入する工程を含む方法を含む。
【0068】
本発明はさらに、組成物を含み、前記組成物は、冷凍または空調装置において非引火性冷媒に取って代わるのに適しており、
(i)引火性冷媒と;
(ii)火災危険減少剤と;
(iii)任意選択的に、潤滑剤とを含む。
【0069】
本発明の組成物は、据え付けまたは移動冷凍または空調装置における冷媒の代替品として適している。かかる代替品は、新たな装置において、いくらかの改造が必要な既存の装置の後付け部品において、または既存の装置(使用するために改造が必要ない)における差し込み式交換部品として使用するのに適している。例えば、引火性冷媒R−32および火災危険減少剤を含有する組成物は、R−410A(R−32 50重量%、R−125 50重量%で構成される非引火性冷媒組成物のASHRAE名称)の代替品としての役割を果たす。さらに、引火性冷媒R−152aおよび火災危険減少剤を含有する組成物は、R−134aの代替品としての役割を果たす。
【0070】
本発明はさらに、冷凍または空調装置において火災危険減少剤を使用する方法であって:
(i)冷凍または空調装置で使用するのに適している引火性冷媒と前記薬剤を合わせる工程;または
(ii)冷凍または空調装置で使用するのに適している潤滑剤と前記薬剤を合わせる工程;または
(iii)前記薬剤を冷凍または空調装置中に導入する工程を含む方法を含む。
【0071】
本発明はさらに、冷凍または空調装置において非引火性冷媒の代わりに引火性冷媒を使用する方法であって、前記引火性冷媒に火災危険減少剤を添加する工程を含む方法を含む。その方法では、前記非引火性冷媒はR−134aであり、前記引火性冷媒はR−152aであることができる。また、前記非引火性冷媒はR−410Aであり、前記引火性冷媒はR−32であることもできる。この方法は、本明細書に記載の火災危険減少剤を使用する工程を含む。
【実施例】
【0072】
以下の実施例は、引火性冷媒および火災危険減少剤を含有する冷媒組成物が冷凍または空調装置から漏洩することから起こる火災の可能性が低減されることを示すものである。装置は、ASTM試験法D 3065−94、エアロゾルの引火性(Standard Test for Flammability of Aerosols)についての標準試験に基づいて、炎の特性の測定を行い、観察できるように構成された。ASTM試験は、試験の安定性および再現性を高めるために、点火源としてガストーチを使用することによって変更された。
【0073】
この試験では、定量放出バルブと、直径0.016インチを有する精密スプレーノズルとを備えた加圧容器に、試験すべき材料を装入した。バルブおよびノズル組立品によって、微細に分散されたエアロゾルミストとしての、容器に装入された混合物の約1.1〜1.2グラム/秒の放出速度が可能となった。
【0074】
各試験において、試験すべき組成物は、ノズルを通り、同じガスバーナーの炎を横切って放出された。漏れるガス混合物の燃焼プルーム(burning plume)の長さ、ならびに炎の色、激しさ、断面形状またはサイズによって決定される炎の質を測定した。
【0075】
以下の実施例において、PEIKは、ミネソタ州セントポール(St.Paul,Minnesota)の3M(商標)社からのパーフルオロエチルイソプロピルケトン(1,1,1,2,2,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノン,Cas登録番号756−13−8)である。Syn−O−Ad 8784は、アクゾノベル社(Akzo Nobel)(オランダ,アルンヘム(Arnhem,the Netherlands))から市販のブチル化トリフェニルホスフェートである。Durad 620は、グレートレイクスケミカル社(Great Lakes Chemical Corporation)(GLCC,インディアナ州ウェストラフィエット)から市販のt−ブチル化トリフェニルホスフェートである。Durad 220および110は、GLCC社から市販のイソプロピル化トリフェニルホスフェートである。ヨウ化トリフルオロメチルは、CFIであり、アルドリッチ社(Aldrich)(ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI)から市販されている。
【0076】
(実施例1)
純粋な引火性冷媒、HFC−152a(本願特許出願人)を点火装置の炎中に放出し、炎の特性を記録することによって、ベースラインの炎特性を確立した。ベースラインの確立に続いて、冷媒と火災危険減少剤との混合物をエアロゾルとして点火装置の炎中に放出した。存在する場合には、得られた炎を観察し、炎の特性を記録した。その結果を以下の表1に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
この結果から、炎の長さおよび強さが低減されることが示されており、ある場合には、火災危険減少剤を冷媒HFC−152aに添加することによって炎が排除される。
【0079】
(実施例2)
冷媒および潤滑剤、HFC−152aおよびUCON(登録商標)RL−488 PAG潤滑剤(ミシガン州ミッドランドのダウケミカル社(Dow Chemical Corporation,Midland,Michigan))との混合物を点火装置の炎中に放出し、炎の特性を記録することによって、ベースラインの炎の特性を確立した。ベースラインの確立に続いて、HFC−152aと、PAGと、火災危険減少剤との混合物をエアロゾルとして点火装置の炎中に放出した。存在する場合には、得られた炎を観察し、炎の特性を記録した。その結果を以下の表2に示す。
【0080】
五酸化アンチモンをPAG潤滑剤中の分散液として試験混合物に導入した。球形セラミック媒体(直径0.4〜0.6mm)を備えたバッフルビーカー(baffled beaker)からなる実験用媒体ミルで五酸化アンチモン(Sb)分散液を調製した。電動機軸を使用して、媒体中にせん断応力を生じさせることによって、撹拌機のブレードを先端速度10メートル/秒で回転させた。バッフル(baffled)媒体ミルにおいて、五酸化アンチモン粉末、Nyacol(登録商標)Corporation(マサチューセッツ州アッシュランド(Ashland,MA))からのA1588LP 30gをRL−488 PAG潤滑剤120gに添加し、そのスラリーを約2時間攪拌した。得られた分散液は、PAG中でSb20重量%(wt%)であった。
【0081】
炭酸鉄もまた、PAG潤滑剤中の分散液として試験混合物に導入した。炭酸鉄(FeCO)分散液は、五酸化アンチモン分散液について上述の同じ手順を使用して調製した。得られた分散液は、PAG中でFeCO16重量%であった。
【0082】
【表2】

【0083】
この結果から、炎の長さおよび強さが低減されることが示されており、2つの場合には、火災危険減少剤をHFC−152aおよびPAG RL−488に添加することによって炎が排除される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1つの引火性冷媒と;
(ii)少なくとも1つの火災危険減少剤と
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記引火性冷媒が、ヒドロフルオロカーボン、フルオロエーテル、炭化水素エーテル、炭化水素、二酸化炭素、アンモニアおよびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記引火性冷媒が混合物であり、前記混合物が少なくとも1つの非引火性冷媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
冷凍または空調装置で使用するのに適している少なくとも1つの潤滑剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
腐食防止剤、耐摩耗剤、安定剤および潤滑添加剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項6】
(i)引火性冷媒と共に使用するのに適している火災危険減少剤と;
(ii)冷凍または空調装置で使用するのに適している潤滑剤と
を含むことを特徴とする組成物。
【請求項7】
前記火災危険減少剤が、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物、モリブデン酸塩、臭化物、臭素酸塩、塩素酸塩、塩化物、ヨウ化物、リン酸エステル、有機ホスホネート、ホスホニウム塩、ホウ酸、有機ホウ素化合物、臭素化化合物、塩素化パラフィン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、水とポリアルキレングリコールまたはポリオールエステルとの混合物、過フッ素化潤滑剤、フルオロケトン、フルオロヨード化合物、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または6に記載の組成物。
【請求項8】
前記火災危険減少剤が、フルオロケトンであることを特徴とする請求項1または6に記載の組成物。
【請求項9】
前記火災危険減少剤が、1,1,1,2,2,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノンであることを特徴とする請求項1または6に記載の組成物。
【請求項10】
前記火災危険減少剤が、アルキル化トリアリールホスフェートであることを特徴とする請求項1または6に記載の組成物。
【請求項11】
前記火災危険減少剤が、ブチル化トリフェニルホスフェートであることを特徴とする請求項1または6に記載の組成物。
【請求項12】
前記火災危険減少剤が、イソプロピル化トリフェニルホスフェートであることを特徴とする請求項1または6に記載の組成物。
【請求項13】
前記火災危険減少剤が、酸化物塩であることを特徴とする請求項1または6に記載の組成物。
【請求項14】
前記火災危険減少剤が、五酸化アンチモンであることを特徴とする請求項1または6に記載の組成物。
【請求項15】
前記火災危険減少剤が、炭酸塩であることを特徴とする請求項1または6に記載の組成物。
【請求項16】
前記火災危険減少剤が、炭酸鉄(II)であることを特徴とする請求項1または6に記載の組成物。
【請求項17】
前記潤滑剤が、鉱油、パラフィン類、ナフテン類、合成パラフィン類、アルキルベンゼン類、ポリ−α−オレフィン類、ポリアルキレングリコール類、ポリビニルエーテル類、ポリオールエステル類およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項4または6に記載の組成物。
【請求項18】
冷凍装置または空調装置における火災危険を低減する方法であって、請求項1、2または6に記載の組成物を前記冷凍装置または空調装置中に導入する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
引火性冷媒における火災危険を低減する方法であって、請求項6に記載の組成物と引火性冷媒を合わせる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
冷凍または空調装置中の、または冷凍または空調装置の付近での火災危険を低減する方法であって:
(i)火災危険減少剤を引火性冷媒と合わせる工程;または
(ii)火災危険減少剤を潤滑剤と合わせ;そして冷凍または空調装置中にいずれかの混合物を導入する工程;または
(iii)冷凍または空調装置中に直接、火災減少剤を導入する工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項21】
前記組成物が、据え付け式または移動冷凍または空調装置における冷媒の代替品として適していることを特徴とする請求項1、2または6に記載の組成物。
【請求項22】
引火性冷媒R−32がR−410Aに取って代わることを特徴とする請求項1、2または6に記載の組成物。
【請求項23】
引火性冷媒R−152aがR−134aに取って代わることを特徴とする請求項1、2または6に記載の組成物。
【請求項24】
移動空調装置において、冷媒R−152aがR−134aに取って代わることを特徴とする請求項1、2または6に記載の組成物。
【請求項25】
冷凍または空調装置において火災危険減少剤を使用する方法であって:
(i)冷凍または空調装置での使用に適した引火性冷媒と、前記薬剤を合わせる工程;または
(ii)冷凍または空調装置での使用に適した潤滑剤と、前記薬剤を合わせる工程;または
(iii)冷凍または空調装置中に前記薬剤を導入する工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
冷凍または空調装置において引火性冷媒を使用する方法であって、引火性冷媒を火災危険減少剤と合わせる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記引火性冷媒がR−152aを含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記引火性冷媒がR−32を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記火災危険減少剤が、酢酸塩、ホウ酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物、モリブデン酸塩、臭化物、臭素酸塩、塩素酸塩、塩化物、ヨウ化物、リン酸エステル、有機ホスホネート、ホスホニウム塩、ホウ酸、有機ホウ素化合物、臭素化化合物、塩素化パラフィン、ポリリン酸アンモニウム、メラミン、水とポリアルキレングリコールまたはポリオールエステルとの混合物、過フッ素化潤滑剤、フルオロケトン、フルオロヨード化合物、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記火災危険減少剤が、フルオロケトンであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記火災危険減少剤が、1,1,1,2,2,4,5,5,5−ノナフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノンであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項32】
前記火災危険減少剤が、アルキル化トリアリールホスフェートであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項33】
前記火災危険減少剤が、ブチル化トリフェニルホスフェートであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項34】
前記火災危険減少剤が、イソプロピル化トリフェニルホスフェートであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項35】
前記火災危険減少剤が、酸化物塩であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項36】
前記火災危険減少剤が、五酸化アンチモンであることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項37】
前記火災危険減少剤が、炭酸塩であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項38】
前記火災危険減少剤が、炭酸鉄(II)であることを特徴とする請求項25に記載の方法。

【公表番号】特表2007−511644(P2007−511644A)
【公表日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539960(P2006−539960)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/038037
【国際公開番号】WO2005/049760
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】