説明

弾性ローラ及びその製造方法。

【課題】弾性ローラ上端部のハネ量を低減させ、廃棄材料の削減が可能で寸法精度の高い安価な弾性ローラ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】内側に開口した環状スリットを有する塗工ヘッドを軸芯体に対し相対的に重力方向に移動させつつ軸芯体外周面上にスリットから未硬化の弾性層材料を吐出して塗工する塗工工程と塗工された未硬化の弾性材料を硬化させる硬化工程とを有する弾性ローラの製造方法において、塗工工程の前にリング状部材をその最大外直径部がスリットの開口部の塗工ヘッド移動方向後方側の端部より後方に配し、塗工工程にてヘッドによって軸芯体外周面上に未硬化の弾性層材料をリング状部材に接触するように吐出して塗工し、硬化工程にてリング状部材を取り外さずに弾性層材料を硬化し、未硬化の弾性層材料の粘度(25℃)10〜5000Pa・sである。この方法で製造された弾性ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンター、複写機等の画像形成装置および電子写真プロセスカートリッジなどに用いられる弾性ローラ及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真装置について以下に説明する。この装置の本体内部には画像形成部が設置され、クリーニング、帯電、潜像、現像、転写、定着のプロセスを経て画像が形成される。画像形成部は像担持体である感光ドラムを備えており、クリーニング部、帯電部、潜像形成部、現像部および転写部を備えている。この画像形成部で形成された感光ドラム上の画像は転写部材によって、記録材(転写材)に転写され、搬送された後、定着部において加熱、加圧され、定着された記録画像として、出力される。
【0003】
次に、クリーニング、帯電、潜像、現像、転写、定着のプロセスの内、帯電、潜像形成、現像、転写プロセスについて説明する。
【0004】
帯電部材は、感光ドラムの表面に対し、所定の極性で、電位が一様になるよう、一次帯電処理を行う。帯電部材により均一に帯電処理された後、目的画像情報の露光を受けて、感光ドラム表面に目的画像に対応した静電潜像が形成される。この静電潜像は現像装置により、現像剤画像として可視像化される。この可視像化された現像剤画像は、感光ドラム下で転写手段により記録材の裏面から電圧を印加することにより記録材に転写される。その後、記録材は定着部へ搬送され、像定着を受け、画像形成物として出力される。
【0005】
以上に示した電子写真装置等の画像形成装置における現像装置においては、感光ドラムに接することが良好であることから、帯電部材、潜像を可視化するための現像部材、転写手段等にゴム材料等の弾性体を有する弾性ローラが用いられている。
【0006】
これら画像形成装置に用いられる弾性ローラの形状には非常に高い寸法精度が求められる。これらの寸法精度が悪いと、たとえば現像部材では感光ドラムに供給する現像剤の量が不均一となり濃度ムラや抵抗ムラなどの弊害を生じることがある。また帯電部材においては、感光ドラムを均一に帯電処理することが出来ず、その結果画像に悪影響を及ぼすなどの弊害を生じることがある。
【0007】
この高い寸法精度の要求に応えるため、各種弾性ローラの製造方法として、金型を用いた成型や押し出しによる成型などさまざまな成型方法が検討されてきた。また、軸芯体に直接液状の材料を塗布する方法として、スプレー塗工法、浸漬塗工法、ロール塗工法、ブレード塗工法等の種々の方法が検討されているが、これらの手法は塗工厚みとして数ミリメートルを要するローラ等に応用する場合には、様々な問題がある。
【0008】
例えば、スプレー塗工では塗料の粘度が高いと一様に霧化することが困難となるため、塗料の粘度を低く抑える必要がある。また、前記ブレード塗工法およびロール塗工法は、例えば、塗布される円筒体の軸線方向にブレードもしくはロールを配置し、その円筒体を回転させながらブレードまたはロールによって塗布液を塗布する。円筒体を1〜数回転だけ回転させた後、ブレードまたはロールを後退させて塗布を終了する。この塗布終了時のブレードもしくはロールの後退の際、塗布液の粘性によって円筒体上の塗膜の一部に他の部分より厚い部分が発生し、特に塗布液の粘度が高い場合にはこの厚い部分が直接画像に表れてしまう場合がある。
【0009】
そうした中、高粘度の材料を直接塗布する方法として円筒状の塗工ヘッドを用いた塗布方法が開示されている(特許文献1参照)。この文献には、円筒体の中心線が水平方向と平行となった状態で塗布液を前記円筒体の表面に塗工する方法が開示されている。この文献によれば。この方法を用いることで、塗布液の粘度や塗布膜の膜厚による塗工工程の制限を除去し、より容易な装置で円筒体の表面に塗布液を直接塗布して良好かつ均一な塗工膜を形成することのできる塗工方法を提供する、としている。
【0010】
上記技術を用いることによって高粘度の材料を直接軸芯体に塗布することが出来る。しかし、円筒状の塗工ヘッドを用いた塗布方法では被覆する材料の塗り始め(ローラ端部)では、時間経過と共に弾性層材料上端部の自重によって弾性層材料が周方向に広がり、端部のハネを生じる場合がある。端部ハネを生じた弾性ローラを使用した場合、相手部材との当接状態に偏りが生じ、弾性ローラ端部において局所的な応力集中が発生することで、弾性ローラもしくは相手部材のストレスが大きな部分の磨耗や劣化を早める原因となる場合がある。また、電荷や現像剤の供給バランスがくずれることにより抵抗ムラや画像弊害、特には濃度ムラなどが生じる原因となる場合がある。この問題を回避するために弾性ローラの端部を切除する手段もあるが、これでは廃棄材料が増加してしまう。
【0011】
上記課題を解決する方法として、マスキング用部材を用いる方法が開示されている(特許文献2参照)。これは軸芯体の少なくとも一方にマスキング用キャップを装着することで、軸芯体への材料の付着を阻止するとともに、弾性層材料の両端縁に材料の盛り上がり部が形成されるのを阻止する方法である。しかしながら、この技術はあらかじめ弾性層材料を塗工した弾性ローラに、導電性塗料を浸漬塗工する場合に関し、軸芯体に弾性層材料を塗工する工程や円筒状の塗工ヘッドを用いた塗布方法に関して言及されていない。
【特許文献1】特開2003−190870号公報
【特許文献2】特開2001−179144号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の通り、端部ハネを生じた弾性ローラを使用した場合、相手部材との当接状態に偏りが生じ、弾性ローラ端部において局所的な応力集中が発生することで、ストレスが大きな部分の磨耗や劣化が早まることがある。また、電荷や現像剤の供給バランスがくずれることにより抵抗ムラや画像弊害、特には濃度ムラなどが生じる原因となる場合がある。
【0013】
これまで、弾性ローラの製造時において端部形状を整える場合、その弾性層材料を高粘度に制御することで、被覆した後の弾性層材料の端部での垂れ等を防ぎ、また、軸芯体への弾性層材料の塗工速度を調整することで、端部形状精度を向上させようとしてきた。しかし、材料粘度調整と塗工速度調整では被覆した後の端部形状精度との完全な相関は取れず、高精度な端部形状を有したローラを製造することは容易とは言えない。
【0014】
本発明の目的は、内側に開口した環状スリットを有する塗工ヘッドを用いて、塗工ヘッドを軸芯体に対し相対的に重力方向に移動させ、軸芯体外周面上に環状スリットから未硬化の弾性層材料を吐出塗工した後、未硬化の弾性材料を硬化させる弾性ローラの製造方法において、塗工終了時の弾性ローラ上端部のハネ量を低減させ、廃棄材料の削減が可能となる、寸法精度の高い、ローコストな弾性ローラおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らはこの課題を解決するために鋭意検討を行った結果、塗工開始時において、軸芯体にリング状部材を装着し、被覆する弾性層材料の端部をリング状部材に接触させ、リング状部材を装着したままで未硬化の弾性層材料を硬化し弾性層を形成する工程を経ることで、非常に優れた端部形状精度を有するローラを作成できることを見出した。
【0016】
本発明により、内側に開口した環状スリットを有する塗工ヘッドを軸芯体に対し相対的に重力方向に移動させつつ該軸芯体外周面上に該環状スリットから未硬化の弾性層材料を吐出して塗工する塗工工程と、該塗工工程の後、軸芯体外周面上に塗工された未硬化の弾性材料を硬化させる硬化工程とを有する、軸芯体の外周面に弾性層を有する弾性ローラの製造方法において、
該塗工工程の前に、リング状部材を配するリング状部材配置工程を有し、
該リング状部材配置工程において、前記リング状部材の最大外直径部を、前記環状スリットの開口部の塗工ヘッド移動方向後方側の端部より、塗工ヘッド移動方向後方に位置させ、
該塗工工程において、該塗工ヘッドによって該軸芯体外周面上に未硬化の弾性層材料を該リング状部材に接触するように吐出して塗工し、
該硬化工程において、該リング状部材を取り外さずに該未硬化の弾性層材料を硬化して弾性層を形成し、
かつ該未硬化の弾性層材料の25℃における粘度が10Pa・s以上5000Pa・s以下である
弾性ローラの製造方法が提供される。
【0017】
また本発明により上記方法により製造された弾性ローラが提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内側に開口した環状スリットを有する塗工ヘッドを用いて、塗工ヘッドを軸芯体に対し相対的に重力方向に移動させ、軸芯体外周面上に環状スリットから未硬化の弾性層材料を吐出塗工した後、未硬化の弾性材料を硬化させる弾性ローラの製造方法において、塗工終了時の弾性ローラ上端部のハネ量を低減させ、廃棄材料の削減が可能となる、寸法精度の高い、ローコストな弾性ローラおよびその製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の形態を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0020】
本発明において弾性ローラを製造する一連の基本的な流れは次のとおりである。すなわち、内側に開口した環状スリットを有する塗工ヘッドを用いて、塗工ヘッドを軸芯体に対し相対的に重力方向に移動させ、軸芯体外周上に環状スリットから未硬化の弾性層材料を吐出塗工した後、未硬化の弾性材料を硬化させる。そしてこの方法において、塗工の前に塗工ヘッドの環状スリットより進行方向(塗工ヘッド移動方向)後方にリング状部材を装着する。この後に、塗工ヘッドによって軸芯体外周上に未硬化の弾性層材料を吐出塗工する。そして、このリング状部材を装着したままで未硬化の弾性層材料を硬化し弾性層を形成する。このとき、未硬化の弾性層材料上端がリング状部材に接触したまま熱処理等による硬化工程を経ることで、端部のハネ量を抑えた弾性ローラを得ることができる。
【0021】
図1は、本発明に好適に用いることのできる塗工ヘッドの例の概略断面図である。塗工ヘッド308は、図1に示すように第一環状部材101および第二環状部材102が、供給口311を有する環状部材保持部材105により保持され構成される。第一環状部材101および第二環状部材102を有する塗工ヘッド308は、内側に開口した環状スリット103を有する。環状スリット103は、第一環状部材101および第二環状部材102により、制御される。すなわち第一環状部材101および第二環状部材102は、環状スリットの面(図1中A面およびB面)を構成するものである。第一環状部材101は環状スリットA面を、第二環状部材102は環状スリットB面を有する。第一環状部材の内側の最小径部を形成する円筒面と、第二環状部材の内側の最小径部を形成する円筒面とは直径(この直径が塗工ヘッドの内直径L)および中心軸が同じで、両円筒面の間に弾性層材料吐出口104が存在する。
【0022】
第一環状部材101は、絞り段差部107を有しており、環状部材保持部材105との間で液分配室106が構成される。したがって、環状スリット103は弾性層材料が通過する液分配室106に繋がっていて、さらに液分配室106の下側に弾性層材料を供給する供給口311に繋がっていている。液分配室106には、弾性層材料が通過する絞り段差部107が施されていることになる。供給口311より供給する弾性層材料の流路を一旦絞って供給口311側の液分配室106の内圧を上げることで、弾性層材料吐出口104側の環状スリット103に弾性層材料が均一に流入する。これにより、弾性層材料吐出口104から弾性層材料を均一に吐出する。
【0023】
上記塗工ヘッド308は、第一環状部材101、第二環状部材102および環状部材保持部材105の三つの部材により構成されている。しかし、塗工ヘッド308は、一体成形型であっても良いし、二つあるいはそれ以上の部材から構成されても良い。なお、塗工ヘッド308の内直径Lおよび環状スリット103の幅は、軸芯体の周囲に塗工する弾性層材料の膜厚や粘度、固形分、塗工速度などにより適宜選ばれる。
【0024】
図2(a)に示すように軸芯体の外周面上に弾性層材料吐出口から弾性層材料の吐出塗工を開始する前に、塗工ヘッドの弾性層材料吐出口104より進行方向(図2において矢印Aで示す方向)前方の部分に、脱着可能なリング状部材401が装着される。以下、このリング状部材401をストップリングと呼ぶ。これにより、塗工開始時に弾性層材料吐出口から吐出した弾性層材料が軸芯体に対する塗工ヘッドの相対的な進行方向(矢印A方向)へ漏洩することが防止され、軸芯体外周面に高い寸法精度で弾性層材料を塗工できる。
【0025】
また、ストップリングを装着するとともに、塗工ヘッドの弾性層材料吐出口104より進行後方に、脱着可能なリング状部材501を装着する。これにより、塗工開始時に弾性層材料吐出口から吐出した弾性層材料がリング状部材に接触することで、軸芯体外周面上に塗工された弾性層材料の端部のふくらみを抑制し、安定した端部形状を得ることができる。
【0026】
次に、ストップリング401およびリング状部材501を上記のように装着した状態で、塗工ヘッドで粘度10Pa・s以上5000Pa・s以下の未硬化の弾性層材料をリング状部材501に接触するように軸芯体外周面上に塗工する。粘度は25℃における値である(以下同じ)。弾性層材料の粘度を10Pa・s以上とすることにより、リング状部材501によって軸芯体外周面上に塗工された弾性層材料の端部形状の不安定化を防止することができる。また、軸芯体外周面とストップリング内周面との隙間から弾性層材料が漏洩することを防止することができる。これにより、後工程の加熱硬化後、端部ハネ量の増加によって相手部材との当接状態が悪化するといった状況や、弾性ローラの弾性層層厚に対する外直径差が大きくなり、弾性ローラが使用に耐えられないといった状況を防止できる。弾性ローラとして好ましく使用できる端部ハネ量は、30μm未満である。端部ハネ量を30μm以内とすることで相手部材との当接状態に偏りが出ず、弾性ローラ端部における局所的な応力集中を抑え、ストレスが大きな部分の磨耗や劣化を早める原因となることを防止できる。また、抵抗値のムラの増大による電荷や現像剤の供給バランスがくずれることによる画像弊害、特には濃度ムラなどが生じる原因となることを防止できる。また、弾性層材料の粘度を5000Pa・s以下とすることにより、材料供給における配管内のせん断速度において、弾性層材料粘度が高いために装置に高負荷がかかり安定した材料供給に困難が生じることを防止することができる。
【0027】
軸芯体外周面上への弾性層材料の塗工中に未硬化の弾性層材料にリング状部材501が付着する。そして図2(b)に示すように、塗工ヘッドの弾性層材料吐出口104より進行方向(矢印A方向)後方から、塗工ヘッドが進行方向(矢印A方向)へ移動することにより取り外される。このとき、リング状部材501は軸芯体外周上に塗工された未硬化の弾性層材料状部に接触していることが好ましい。これにより、塗工終了時において、未硬化の弾性層材料上端部の自重による周方向への広がりを防止できる。さらに、安定した端部形状を得られることで廃棄材料の削減が可能となり、塗工される弾性層材料の使用量を極力抑え、使用材料のコストアップを優れて防止することができる。また、同様にして軸芯体外周面上への弾性層材料の塗工終了後に、ストップリングが塗工ヘッドの弾性層材料吐出口104より進行方向(矢印A方向)後方から取り外される。すなわち、ストップリングは、環状スリットの開口すなわち弾性層材料吐出口を通過する。これにより、塗工終了後の弾性層材料吐出口からの弾性層材料離れを良くし、環状スリットの弾性層材料吐出口に残留した弾性層材料の除去が行われる。また同時に、塗工ヘッド内周面の弾性層材料付着をなくすことができる。このように塗工ヘッドのクリーニングを簡易に行うことができ、生産設備のコストアップを優れて防止することができる。上記効果を得るため、ストップリングの全外周面が塗工ヘッド内周面に接触可能であることが好ましい。そのため、塗工ヘッドの環状スリットを構成する第一環状部材と第二環状部材の内周面を同一面に揃えていることが望ましい。
【0028】
次に、リング状部材501を装着したままで未硬化の弾性層材料を硬化し弾性層を形成する工程を経る。リング状部材を未硬化の弾性層材料から取り外した場合、未硬化の弾性層材料の粘着性のため、安定した端部形状を保持することが困難となる。そのため、リング状部材501を装着したままで未硬化の弾性層材料を硬化し弾性層を形成することが好ましい。このために、リング状部材の融点が160℃以上であることが好ましい。リング状部材501の融点を160℃以上とすることにより、リング状部材を装着したままで未硬化の弾性層材料を硬化し弾性層を形成する工程において、リング状部材の融解や、熱応力によるリング状部材の変形を防止することができる。これにより、弾性ローラの端部形状が不安定となり、端部ハネ量の増加によって相手部材との当接状態が悪化するといった状況を防止できる。
【0029】
上述の理由から、リング状部材501の材質は耐熱性を持ち、かつ弾性層材料により侵されないことが好ましい。さらに、塗工ヘッドを傷つけないため、合成樹脂が好適である。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂等が合成樹脂として挙げられる。その中でも融点が160℃以上の材質としてポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂や、ポリカーボネートがより好ましく用いられる。
【0030】
リング状部材501の形状は、弾性層材料がリング状部材の最大外直径部(最大外直径を持つ部分)の下面に接触することが好ましく、最大外直径より小さい直径を有する部分を有していることが好ましい。また、軸芯体の形状が円柱形や中心部を空洞化した円筒形が好ましいので、例えば図5(a)に示すT字型中空円筒形状が好ましい。つまり、2つの円環状底面の外直径が異なり、内直径が同径で、2つの円環状底面が同心で、側面が2つの曲面(円筒面)である、下に(塗工ヘッドに装着した際)凸状の立体である。
【0031】
リング状部材の稜部分に面取り加工を行った形状でも良い。図5(b)、(c)および(d)にC面取りリング状部材を、図5(e)、(f)および(g)にR面取りリング状部材の例をそれぞれ示す。
【0032】
リング状部材501の形状および寸法は、使用する弾性層材料の物性にもよるが、弾性層材料とリング状部材との密着性向上、軸芯体外周面上に塗工された弾性層材料の端部形状の精度向上に鑑み、設定することができる。また、上記効果を得るために、リング状部材501は単独で用いても良く、複数個同時に用いてもよい。
【0033】
リング状部材の最大外直径をDmax(mm)、最小外直径をDmin(mm)、内直径をr(mm)、W1(mm)をW1=(Dmax−r)/2、W2(mm)をW2=(Dmin−r)/2としたとき、0<W2/W1≦0.5であることが好ましい。リング状部材501の最大外直径Dmax、最小外直径Dmin、内直径rは、塗工ヘッドの内直径L、軸芯体外直径dに対応して決めることができる。
【0034】
図10は、リング状部材501およびストップリング401の装着時(塗工工程前)の配置を説明するための模式的断面図である。図10に示すように、W1は最大外直径部の外側端から内周面までの距離であり、W1は端部形状の安定化に対して支配的な値である。W1を極端に大きい値に設定した場合、リング状部材501の最大外直径Dmaxが大きくなり、塗工ヘッドの第一環状部材の内側の最小径部を形成する円筒面との干渉が生じることがある。その結果弾性層材料の塗工中の円滑な摺動が行われず、安定した端部形状の形成が困難となる場合がある。ここで、軸芯体外直径dは、適宜決めることができるが、通常4mm〜30mmの範囲である。また、塗工ヘッド内直径Lも適宜決めることができるが、通常5mm〜40mmの範囲である。上記理由から、リング状部材501のW1、W2が0<W2/W1≦0.5の範囲であることが好ましい。また、より好ましくはW1、W2が0.1<W2/W1<0.4の範囲であることが望まれる。W2/W1が0.1より大きいならば、W1に対しW2をある程度確保でき、リング状部材501の安定した直立が可能となる。また、W2/W1が0.4よりも小さいならば、W1の大きさをある程度確保でき、未硬化の弾性層材料とリング上部材501の接触面積が大きくなるため、端部形状に対して優れたローラを製造することが可能となる。
【0035】
リング状部材501を塗工ヘッドに装着する際、リング状部材501の最大外直径部が、塗工ヘッドの環状スリットの開口部の進行方向後方側の端部より、塗工ヘッドの進行方向後方に位置していることが好ましい。
【0036】
塗工ヘッドの環状スリットの最大開口幅をsmax(mm)、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離をh(mm)とする。このとき、smaxおよびhが1.0≦h/smax≦3.0を満足することが好ましい。また、より好ましくはhが1.5≦h/smax≦2.0の範囲であることが望まれる。
【0037】
塗工ヘッドの環状スリットの最大開口幅(スリット幅)smaxは、軸芯体の周囲に塗工する弾性層材料の膜厚や粘度、固形分、塗工速度などにより適宜選ばれる。smaxは、通常0.1mm以上5.0mm以下、より好ましくは、0.5mm以上2.0mm以下に設定される。ここでいう最大開口幅(スリット幅)smaxとは、図10に示すように、第一環状部材101の進行方向(矢印A方向)後方側の端部と、第二環状部材102の進行方向前方側の端部との距離である。
【0038】
hはリング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離である。このhはスリット幅の設定に応じて選ぶことができるが、好ましくは0.1mm〜15.0mm、より好ましくは0.5mm〜7.0mmに設定される。ここでいうリング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hとは、リング状部材501の装着時における、図10に記号hで示す部分である。
【0039】
h/smaxが1.0以上の場合、リング状部材501の最大外直径を有する面が弾性層材料を吐出するスリット位置に接することがなく、弾性層材料の吐出を阻害することがない。これにより、軸芯体外周面の弾性層材料の寸法精度が低下することが防止でき、良好な弾性ローラを製造することが容易となる。また、h/smaxが3.0以下であるとリング状部材501のW1を有する面の下面に弾性層材料が接触しないまま軸芯体外周面に弾性層材料を塗工することを防止でき、端部形状に優れたローラを製造することが容易となる。
【0040】
リング状部材501の内直径rは、軸芯体の外直径をd(mm)とした時、d+0.02(mm)<r<d+0.40(mm)の範囲であることが好ましい。
【0041】
リング状部材501の内直径rがd+0.02(mm)より大きく、d+0.40(mm)未満であると軸芯体外周面とリング状部材501内周面との間に、未硬化の弾性層材料の滲入を防止することができる。このことより、リング状部材501の挙動を安定化することができ、軸芯体外周面の弾性層材料端部の形状を整えることができる。
【0042】
リング状部材501の内直径rがd+0.02より大きいと、リング状部材501および軸芯体の寸法誤差により、塗工途中で軸芯体外周面とリング状部材501内周面が接触し干渉することを防止できる。その結果、塗工中、リング状部材501が動き、軸芯体外周面の弾性層材料端部の形状が悪くなることを防止できる。また、リング状部材501の内直径rがd+0.40未満であると、リング状部材501のW1が小さくなって軸芯体外周面の弾性層材料端部との接触面積が小さくなることを防止でき、端部形状に対して優れたローラを製造することが容易となる。
【0043】
あるいは、リング状部材501の内直径rをd−0.02(mm)<r<dとすれば、リング状部材501を軸芯体に圧入して使用することもできる。リング状部材501の内直径rがd−0.02(mm)を超える場合、軸芯体へのリング状部材501の装着が困難となることを防止できる。
【0044】
また、図5(d)に示すように、リング状部材501の内周面は二段以上の不連続面であってもよい。このとき、リング状部材501の内直径には最大内直径rmax(mm)と最小内直径rmin(mm)が存在する。リング状部材501の内周面が軸芯体に向かって凸状であった場合、W1(mm)はW1=(Dmax−rmax)/2、W2(mm)はW2=(Dmin−rmin)/2と表される。また、リング状部材501の内周面が外周面に向かって凸状であった場合、W1(mm)はW1=(Dmax−rmin)/2、W2(mm)はW2=(Dmin−rmaxmin)/2と表される。いずれの場合においても、リング状部材501の最小内直径rminは、軸芯体の外直径をd(mm)とした時、d+0.02(mm)<rmin<d+0.40(mm)の範囲であることが好ましい。リング状部材を圧入して使用する際には、リング状部材の内直径rminがd−0.02(mm)<rmin<dの範囲であることが好ましい。
【0045】
図3は本発明の製造方法を実施するのに好適な装置の例を示す模式図である。この塗工装置では、図3に示すように架台301に上に略垂直にコラム302が取り付けられ、さらに架台301とコラム302の上部に精密ボールネジ303が略垂直に取り付けられている。LMガイド304はリニアガイド314と精密ボールネジ303とを連結し、サーボモータ305よりプーリ306を介して回転運動が伝達され昇降できるようになっている。コラム302には軸芯体61の外周上に環状スリットに成っている弾性層材料吐出口から未硬化の弾性層材料を吐出塗工する塗工ヘッド308が取り付けられている。さらにLMガイド304にはブラケット307が取り付けられ、ブラケット307には軸芯体102を保持し固定する軸芯体下保持軸309が略垂直に取り付けられている。また、逆側のローラの軸芯体102を保持する軸芯体上保持軸310の中心軸がブラケット307の上部に取り付けられ、軸芯体上保持軸310は軸芯体下保持軸309に対向して略同芯になるように配置して軸芯体を保持している。さらに塗工ヘッド308の中心軸は軸芯体下保持軸309と軸芯体上保持軸310の移動方向と平行となるようにそれぞれに支持されている。また、軸芯体下保持軸309および軸芯体上保持軸310の移動時において、塗工ヘッド308の内側に開口した環状スリットに成っている弾性層材料吐出口の中心軸と軸芯体下保持軸309および軸芯体上保持軸310の中心軸が略同芯になるように調節してある。このような構成により塗工ヘッド308の環状スリットに成っている弾性層材料吐出口の中心軸を軸芯体の中心軸に略同芯に合わせることができ、塗工ヘッドの内周面と前記軸芯体61の外周面との間に均一な隙間が形成される。
【0046】
弾性層材料の供給口311は、弾性層材料搬送用の配管312を介して材料供給弁313に接続されている。材料供給弁313の手前に混合ミキサー、材料供給ポンプ、材料定量吐出装置、材料タンク等(不図示)が備わり、供給口311から定量(単位時間あたりの量が一定)の弾性層材料を吐出可能としている。弾性層材料は材料タンクから、材料定量吐出装置により一定量計量され、混合ミキサーで混合される。その後、材料供給ポンプより混合された弾性層材料は、材料供給弁313から配管312を経由して、供給口311に送られる。
【0047】
弾性層材料の層厚を一定にさせるために、弾性層材料吐出口からの吐出量と材料供給ポンプからの供給量を一定にして、軸芯体保持軸を軸芯体の中心軸方向(特には、鉛直方向)に移動させる。これにより、軸芯体外周面上に弾性層材料からなる円筒形状(ロール形状)の未硬化物の層が形成される。この場合、塗工ヘッド308は固定で、軸芯体61が軸方向に移動している。これに対し、軸芯体61が固定で、塗工ヘッドを軸芯体の中心軸方向に移動させることもできる。つまり、塗工ヘッドを軸芯体に対し、相対的に移動させることで、軸芯体外周面上に弾性層材料からなる円筒形状(ロール形状)の未硬化物の層が形成される。
【0048】
次に、軸芯体の外周面に形成された未硬化の弾性層材料は、硬化され弾性層となり、弾性ローラが製造される。この際、円筒形状(ロール形状)の未硬化の弾性層材料は、粘着性を有しているため、熱処理する方法としては非接触の熱処理方法で行うことが好ましい。
【0049】
その熱処理方法としては、赤外線加熱方法、熱風加熱方法、ニクロム熱加熱方法等が挙げられる。特に、装置が簡易で、未硬化物の層を軸方向に均一に熱処理できる赤外線加熱が好ましい。この時、赤外線加熱装置を固定し、円筒形状(ロール形状)の未硬化物層を設けた軸芯体を周方向に回転させることにより、周方向に均一に熱処理を行うことができる。弾性層材料表面の熱処理温度としては、使用する材質にもよるが、硬化反応が開始する100〜250℃が好ましい。例えば、赤外線加熱を行う場合には材料の特性(熱伝導率、比熱等)に応じて赤外線加熱装置と未硬化の弾性層材料の層との距離、出力等を調整すれば良い。また、熱風加熱を行う場合には熱風の温度や向きを調節すれば良い。
【0050】
ここで、弾性層の硬化後の物性安定化、弾性層中の反応残渣および未反応低分子分を除去する等を目的として、硬化させて形成した弾性層に更に熱処理等を行う二次硬化を行わせても良い。
【0051】
本発明の弾性ローラは現像ローラとして使用することができる。その一例の概略図を図6に示す。図6(A)はこの現像ローラの長手方向に平行な断面を表したものであり、同6(B)は長手方向に垂直な断面を表したものである。
【0052】
本発明の現像ローラの軸芯体61の材料としては、導電性の材料から適宜選ぶことができ、炭素鋼、合金鋼及び鋳鉄、導電性樹脂などの中から、適宜選択して用いることが出来る。ここで、合金鋼としては、例えばステンレス鋼、ニッケルクロム鋼、ニッケルクロムモリブテン鋼、クロム鋼、クロムモリブテン鋼、Al、Cr、Mo及びVを添加した窒化用鋼などが挙げられるが強度の観点から、金属製のものが望ましい。さらに防錆対策として軸芯体材料にめっき、酸化処理を施すことができる。めっきの種類としては電気めっき、無電解めっきなどいずれも使用することが出来るが、寸法安定性の観点から無電解めっきが好ましい。ここで使用される無電解めっきの種類としては、ニッケルめっき、銅めっき、金めっき、カニゼンめっき、その他各種合金めっきなどがある。ニッケルめっきの種類としては、Ni−P、Ni−B、Ni−W−P、Ni−P−PTFE複合めっきなどがある。めっきの膜厚みはそれぞれ0.05μm以上であれば望ましいが、より好ましくは0.1μm〜30μmである。
【0053】
また、現像ローラは感光ドラム、現像ブレード、トナー等と常に圧接している。このため、これらの部材に与えるダメージを小さくするために硬度が小さく、圧縮永久歪みが小さい材料で構成されることが、良好な画像を得るためには重要である。また、現像ローラは表面が耐磨耗性などを有し、耐久性が高いことが望ましい。このため、現像ローラは軸芯体61の周囲に弾性層62を有した構成となっている。
【0054】
このとき、弾性層62の硬度は上記の理由からAsker C硬度10〜80度であることが望ましい。弾性層の硬度が10度以上であると感光ドラムへの汚染の発生を防止することができる。また、弾性層の硬度が80度以下であれば、トナーと接触する際にトナーにダメージを与えることを抑制でき、出力画像の画質が悪くなることを防止できる。また、弾性層62は1層である必要はなく、多層になっていても構わない。
【0055】
弾性層62に用いられる材料としては、エポキシゴム、ジアリルフタレートゴム、ポリカーボネートゴム、フッ素ゴム、ポリプロピレンゴム、ユリアゴム、メラミンゴム、珪素ゴム、ポリエステルゴム、スチロール系ゴム、酢酸ビニルゴム、フェノールゴム、ポリアミドゴム、繊維素系ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルウレタンゴム、水系ゴムなどが挙げられる。これらの材料は単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。さらに、これらの材料の発泡体を弾性層に用いても良い。
【0056】
弾性層に導電性を付与するために、イオン導電機構による導電付与剤や電子導電機構による導電付与剤を弾性層に含ませることができる。
【0057】
イオン導電機構による導電付与剤の例としては、LiCF3SO3、NaClO4、LaClO4、LiAsF6、LiBF4、NaSCN、KSCN、NaCl等の周期律表第1族金属の塩、NH4Cl、(NH42SO4、NH4NO3等のアンモニウム塩、Ca(ClO42、Ba(ClO42等の周期律表第2族金属の塩、これらの塩と1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールやそれらの誘導体との錯体、これらの塩とエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体、第4級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、脂肪族スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤、ベタイン等の両性界面活性剤を挙げることができる。
【0058】
また、電子導電機構による導電付与剤の例としては、カーボンブラック、グラファイト等の炭素系物質、アルミニウム、銀、金、錫−鉛合金、銅―ニッケル合金等の金属或いは合金、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化銀等の金属酸化物、各種フィラーに銅、ニッケル、銀等の導電性金属めっきを施した物質等を挙げることが出来る。これらイオン導電機構、電子導電機構による導電付与剤は粉末状や繊維状の形態で、単独または2種類以上を混合して使用することが出来る。この中でも、カーボンブラックは導電性の制御が容易であり、また経済的であるなどの観点から好ましい。
【0059】
また、耐磨耗性などを高めるために、弾性層62の外周上に表面層63が形成される場合もある。表面層も弾性層と同様に1層である必要はなく、多層になっていても構わない。
【0060】
次に表面層63について説明する。弾性層62の周りにローラ表面適正化のため、表面層63を形成する場合がある。
【0061】
表面層63に用いられる材料としてはエポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、珪素樹脂、ポリエステル樹脂、スチロール系樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、繊維素系樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、アクリルウレタン樹脂、水系樹脂などがある。また、これらを2種類以上組み合わせて使用することも可能である。この中でも特に含窒素化合物、例えばウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂等を用いることがトナーを安定して帯電させられることから望ましい。
【0062】
ここで使用するウレタン樹脂はイソシアネート化合物とポリオールとから得ることができる。
【0063】
イソシアネート化合物として、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、カルボジイミド変性MDI、キシリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートなどを用いることができる。また、これらの混合物を用いることもでき、その混合割合はいかなる割合でもよい。
【0064】
また、ここで用いるポリオールとしては、2価のポリオール(ジオール)として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、トリエチレングリコールなどをあげることができ、また、3価以上のポリオールとして、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどをあげることができる。さらに、ジオール、トリオールなどに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを付加した高分子量のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド‐プロピレンオキサイドブロックグリコールなどのポリオールも使用可能である。また、これらの材料も混合させて用いることもでき、その混合割合はいかなる割合でもよい。
【0065】
また、表面層63を塗布する方法としては、リングコート法、ディッピング法、ロール塗工法およびスプレー塗工法など一般に知られている塗工法を用いることが出来るが、表面層63の厚みを制御しやすいなどの理由からディッピング法を用いることが多い。ディッピング法では粘度5cps(0.005Pa・s)〜50cps(0.05Pa・s)の材料を用いるのが好ましい。粘度が5cps以上であると、材料を硬化させて安定させるまでに形状が崩れることを防止でき、現像ローラとしてのスペックが良好に満たされうる。また、材料の粘度が50cps以下であると、弾性層62の表面に均一に表面層63を形成することが容易となる。
【0066】
さらに、これらの表面層63に導電性を付与して使用することが出来る。導電性を付与する手法としては上記弾性層の導電化と同様の手法を用いることが可能である。
【0067】
さらに、表面層63の厚みとしては、1μm〜500μmが好ましい。より好ましくは表面層63の厚みは1μm〜50μmであることが望まれる。表面層63が1μm以上であると、画像を繰り返して出力した場合に磨耗等による劣化により表面層の役目を果たさなくなることを防止できる。また、表面層63が500μm以下であると、ローラ表面の硬度が高くなってトナー劣化の促進およびトナー融着の原因となることを防止できる。
【0068】
また、現像ローラ全体の電気的な抵抗ムラが小さい方が、均一な電荷が付加されたトナーを現像ローラから感光ドラムに送ることが出来るので、トナーの転写性などが安定するため、良好な画像を得ることが出来る。ここで現像ローラの抵抗ムラとは「1−(現像ローラの最小抵抗値/現像ローラの最大抵抗値)」で得られる値を指す。現像ローラ内の抵抗ムラは少なくとも0.7未満(ゼロを含む)であることが好ましい。より好ましくは抵抗ムラが0.3未満(ゼロを含む)に抑えられていることが望ましい。この抵抗ムラの測定については後に具体的に説明する。
【0069】
さらに現像ローラに求められる特性として形状が挙げられる。例えば現像ローラの周方向振れが大きい場合、現像ローラ一周において、現像ローラと感光ドラムとのニップ幅の変動が大きくなる。このようにニップ幅の変動が大きいと、ドラムへのトナー搬送力にムラが出来てしまい、画像上に濃淡が生じる場合がある。これを防ぐ目的から現像ローラの周方向振れは小さいほど良い。具体的には現像ローラ一周における、軸芯体中心から現像ローラ表面までの距離の(最大値)と(最小値)の差(最大値)−(最小値)の値が0〜50μmであれば、画像上の濃淡を押さえることが可能である。さらには(最大値)−(最小値)の値が0〜30μmであれば画像上の濃度はほぼ均一となり、優良な画質を出力できることからこの範囲内にあることがより好ましい。
【0070】
現像ローラ表面上の粗さはトナーの搬送力に大きく影響する。そのため、JIS B 0601:1994表面粗さの規格における現像ローラ表面のRaが0.5μm〜3.0μmであることが望ましい。Raが0.5μm以上であるとトナーの搬送力が小さくなることを防止でき、良好な画像濃度を得ることができる。3.0μm以下であると、トナーの搬送力が大きくなって多量にトナーを搬送してしまい感光ドラム上にトナーが残留して画像が悪化することを防止することができる。また、現像ローラ一周において、粗さムラが小さい方が均一にトナーを搬送でき、均一濃度の画像を出力することが可能となる。そのため、現像ローラ内の粗さムラは0〜0.6であることが望ましい。より好ましくは粗さムラが0〜0.3の範囲にあることが望まれる。ここで粗さムラとは現像ローラ内での最大粗さから最小粗さを引いた値を指す。
【0071】
本発明の弾性ローラは帯電ローラとして使用することができる。その一例の概略図を図7に示す。図7(A)はこの現像ローラの長手方向に平行な断面を表したものであり、同7(B)は長手方向に垂直な断面を表したものである。
【0072】
帯電ローラは、感光ドラムに対する良好な均一密着性を確保するために、適度な弾性を有することが望ましい。そのため、帯電ローラは現像ローラと同様に軸芯体71の周囲に弾性層72を有した構成となっている。帯電ローラに用いられる弾性層72の硬度は密着性を確保する目的からAsker C硬度20〜40度であることが望ましい。この際、現像ローラと同様に弾性層72は1層である必要はなく、多層になっていても構わない。また、現像ローラと同様に弾性層72に導電性を付与する際には、カーボンブラック等の導電剤を添加することにより、弾性層72の導電性は調整される。
【0073】
また、帯電ローラ表面の滑り性や平滑性を維持するために、弾性層72の表面に表面層73を設けても良い。この表面層73も弾性層と同様に1層である必要はなく、多層構造になっていても構わない。
【0074】
帯電ローラに用いられる弾性層72の具体的な材料としては、例えば、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンメチレンゴム(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、シリコーンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、ニトリル−ブタジエンゴム(NBR)及びクロロプレンゴム(CR)等の合成ゴム、さらにはポリアミドゴム及びフッ素ゴムなども挙げられる。これらの材料が単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、これらの材料の発泡体を弾性層に用いても良い。
【0075】
また、表面層73に用いる材料としては、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂およびシリコーン樹脂等の樹脂、さらにはエピクロルヒドリン樹脂、クロロプレン樹脂およびアクリロニトリル樹脂等が挙げられる。これらの材料が単独で又は複数種を組み合わせて用いることができる。表面層材料の塗工方法としては、現像ローラと同様にリングコート法、ディッピング法、ロール塗工法およびスプレー塗工法などの一般に知られている塗工方法を用いることが出来る。
【0076】
帯電ローラは感光ドラムとの関係が接触、非接触に関わらず帯電ローラの表面が粗いと、その凹凸によって微妙な帯電ムラが生じる。その結果、画像不良が生じる場合がある。したがって、帯電ローラの表面はより滑らかな方が好ましく、JIS B 0601表面粗さの規格におけるRzが0〜30μmであることが望ましい。特には15μm以下であることが望ましい。
【0077】
また、表面層の厚さは1μm〜500μmであることが望ましい。表面層の厚さが1μm以上であると、感光ドラムとの摩擦に耐え得る表面層を容易に得ることができる。また、表面層の厚さが500μm以下であると、弾性層の機能を十分に生かすことができる。
【0078】
また、帯電ローラ全体の電気的な抵抗ムラが小さい方が、感光ドラムを均一に帯電させることが出来るために、良好な画像を得ることが出来る。
【0079】
また、帯電ローラの周方向振れが大きい場合、帯電ローラ一周内の帯電ローラと感光ドラムとのニップ幅の変動が大きくなることから感光ドラムに均一に帯電できない場合がある。これを防ぐ目的から帯電ローラの周方向振れは小さいほど良い。具体的には帯電ローラ一周における、軸芯体中心から帯電ローラ表面までの距離の(最大値)と(最小値)の差(最大値)−(最小値)の値が0〜30μmであれば感光ドラムをほぼ均一に帯電できることからこの範囲内であることが好ましい。
【0080】
また、本発明の製造方法で得られたローラを帯電ローラとして用いる場合、電極として機能することが重要であり、弾性を持たせ十分な接触状態を得ると同時に、移動する被帯電体を充電するに十分低い抵抗を有する必要がある。しかし、一方では被帯電体にピンホールなどの欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。よって、被帯電体として電子写真用感光ドラムを用いた場合、十分な帯電性と耐リーク性を得るには、弾性層の抵抗値として1×103〜1×109Ω・cmの抵抗を有することが望ましい。
【0081】
本発明によれば、ローコストで軸芯体外周面に高粘度材料からなる円筒形状(ロール形状)の硬化物の層である弾性層が寸法精度良く設けられ、その弾性層端部の形状が安定した弾性ローラを得ることができる。
【0082】
本発明の現像ローラを搭載したプロセスカートリッジおよび電子写真装置の一例を図8に模式図として示した。この図8により以下説明する。
【0083】
尚、本画像形成装置では、それぞれイエロー、シアン、マゼンダおよびブラックの画像を形成する4個の画像形成ユニット8a〜8dが、タンデム方式で設けられている。そして、感光体1、帯電装置2、画像露光装置3(図では書き込みビーム)、現像装置4、クリーニング装置5、画像転写装置6(図では転写ローラ)等の仕様が各色トナー特性に応じて少し調整に差異があるものの、基本的構成においてこれら4個の画像形成ユニット8a〜8dは同じである。また、感光体1、帯電装置2、現像装置4およびクリーニング装置5が一体となり、プロセスカートリッジを形成している。
【0084】
現像装置4には、一成分トナー9を収容した現像容器10と、現像容器10内の長手方向に延在する開口部に位置し、感光体1と対向設置された現像ローラ60とを備え、感光体1上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。さらに、現像ローラ60に一成分トナー9を供給すると共に現像に使用されずに現像ローラ60に担持されている一成分トナー9を現像ローラ60から掻き取るトナー供給ローラ11が設けられている。またび現像ローラ60上の一成分トナー9の担持量を規制すると共に摩擦帯電する現像ブレード12が設けられている。
【0085】
感光体1の表面が帯電装置2により所定の極性・電位に一様に帯電され、画像情報が画像露光装置3からビームとして、帯電された感光体1の表面層に照射され、静電潜像が形成される。次いで、形成された静電潜像上に本発明の現像ローラ60を有する現像装置4から一成分トナーが供給され、感光体1の表面にトナー像が形成される。このトナー像は感光体1の回転に伴って、画像転写装置6に対向する部所に来たときに回転と同期して供給されてきた紙などの転写材(紙)7に転写される。
【0086】
なお、本図では4つの画像形成ユニット8a〜8dが一連に連動して所定の色画像を1つの転写材7に重ねて形成されている。したがって、転写材7をそれぞれの画像形成ユニットの画像形成と同期させる。つまり、画像形性が転写材7の挿入と同期している。そのために、転写材7を輸送するための転写搬送ベルト13が感光体1と画像転写装置6との間に挟まれるように、転写搬送ベルト13の駆動ローラ14、テンションローラ15および従動ローラ16に架けまわされる。そして、転写材7は転写搬送ベルト13に吸着ローラ17の働きにより静電気的に吸着された形で搬送されている。なお、18は転写材7を供給するための供給ローラである。
【0087】
画像が形成された転写材7は、転写搬送ベルト13から剥離装置19の働きにより剥がされ、定着装置20に送られ、トナー像は転写材7に定着されて、印刷が完了する。一方、トナー像の転写材8への転写が終わった感光体1はさらに回転して、クリーニング装置5により感光体1表面がクリーニングされ、必要により除電装置(不図示)によって除電される。その後、感光体1は次の画像形成に供される。なお、図において、21、22はそれぞれ吸着ローラ17、画像転写装置6へのバイアス電源を示す。
【0088】
なお、ここでは、タンデム型の転写材へ直接各色のトナー像を転写する装置で説明したが、本発明の弾性ローラは、電子写真方式の画像形成装置に適宜現像ローラ(あるいは帯電ローラ)として利用できる。本発明の弾性ローラを利用できる画像形成装置の例として、白黒の単色画像形成装置、転写ローラや転写ベルトに一旦各色のトナー像を重ねてカラー画像を形成し、それを転写部材へ一括して転写する画像形成層置を挙げることができる。また、各色の現像ユニットがロータ上に配置されたり、感光体に並列して配置されたりした画像形成装置等が挙げられる。また、プロセスカートリッジではなく、感光体、帯電装置、現像装置等が直接画像形成装置に組み込まれていても構わない。
【実施例】
【0089】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。まず、実施例において行った各種評価および測定方法について説明する。
【0090】
(画像評価(濃度ムラ))
電子写真プロセスカートリッジ(公称寿命6000枚、A4サイズ、5%印字率、プリントカートリッジブラック・シアン・マゼンタ・イエロー、ヒューレットパッカード社製、商品名:プリントカートリッジ黒・プリントカートリッジシアン・プリントカートリッジマゼンタ・プリントカートリッジイエロー)を用意した。このプロセスカートリッジに、各例において作成したローラを角色それぞれについて現像ローラとして組み込んだ。このプロセスカートリッジは、次の各手段が一体的にカートリッジ化されたものである。像担持体である感光ドラムを一様に帯電させる手段、感光ドラムへの選択的な露光によって潜像を形成する手段、潜像を現像材であるトナーで顕在化する手段、トナー像を転写材に転写する手段、転写後の感光ドラム上の残トナーをクリーニングする手段である。
【0091】
次にこの電子写真プロセスカートリッジを電子写真方式の画像形成装置(商品名:Color LaserJet 3700、ヒューレットパッカード社製)に組み込んだ。そして、この画像形成装置を用いて、画像(ベタ画像、ハーフトーン画像)を出力し、濃度ムラ(ローラピッチ)を次のように評価した。
◎:目視にて全画像において良好な場合。
○:ベタ、ハーフトーンにて濃度ムラが若干確認されるが、実用上問題ない場合。
△:全画像において濃度ムラが確認された場合。
【0092】
(弾性ローラの端部ハネ量の測定と評価)
弾性ローラの端部ハネ量は、軸芯体の中心軸を回転軸として弾性ローラを回転させ、回転軸と垂直に配置した非接触レーザー測長器(キーエンス製、商品名:LS−5000)で平均外直径を測定し求めた。ここでいう平均外直径は、弾性ローラを2°ずつ回転させて測定した180点の弾性層部の外直径の平均値である。弾性層の両端部より長手方向に1mmピッチで40点の平均外直径の値をそれぞれ求め、その値の中で最大の値を弾性ローラの端部ハネ量の値とする。次のように評価した。
◎:弾性ローラの端部ハネ量(最大平均外直径)の値が30μm未満のもの。
○:弾性ローラの端部ハネ量(最大平均外直径)の値が30μm以上100μm未満のもの。
△:弾性ローラの端部ハネ量(最大平均外直径)の値が100μm以上のもの。
【0093】
(弾性ローラの抵抗ムラの測定と評価)
図9にて、詳細を説明する。弾性ローラ(図では現像ローラ60だが、帯電ローラ70でもよい)の軸芯体の両端にそれぞれ500g(4.9N)の荷重をかけて、60rpmで回転する金属製ドラム92に押し当てる。そして、金属製ドラム92と弾性ローラ60の軸体間に100Vの電圧を印加し、弾性ローラと直列につないでいる10kΩの抵抗に流れる電流の値から弾性ローラの抵抗値の計算を行う。一周中での弾性ローラ抵抗の最大値と最小値の平均値をその弾性ローラの抵抗値とする。また、弾性ローラ(弾性層)を長手方向に20に分割した測定点の抵抗値の最大・最小の値をとり、「1−(抵抗最小値/抵抗最大値)」の値をその弾性ローラの抵抗ムラとする。
【0094】
抵抗ムラが0以上、0.3未満の場合は◎、
抵抗ムラが0.3以上、0.7未満の場合は○、
抵抗ムラが0.7以上、1.0以下の場合は△として、評価を行った。
【0095】
(未硬化の弾性層材料の粘度測定)
粘度測定にはHaake社製RheoStress600(商品名)を用いた。
【0096】
未硬化の状態の弾性層材料を約1g採取し試料台の上にのせ、コーンプレート(直径35mm、傾斜角1°)を徐々に近づけ、試料台から約50μmの位置で測定ギャップを設定した。そのとき、周りに押し出された弾性層材料を測定に影響が出ないよう除去した。試料温度が25℃になるように試料台の温度は設定され、試料をセットしてから10分間放置後に測定を開始した。試料にかけるせん断速度を0.1s−1からスタートし10までの範囲を、0.2 s−1ずつ変化させ、せん断速度1s−1のせん断応力をせん断速度1 s−1で割った値を粘度とした。
【0097】
(リング状部材の融点測定)
リング状部材の融点の測定方法を以下に説明する。融点とは、下記方法で測定された流出開始温度をいう。測定はフローテスターCFT−500D型(商品名。島津製作所製)を使用して、次のように行った。ダイ(ノズル)の直径1mm、厚み1mmとして10kg(98N)の押出荷重を加え、初期設定温度50℃で予熱時間420秒の後、4℃/分の速度で試料を等速昇温する。試料としては、リング状部材と同じ材料を必要に応じ1〜3gに粉砕した粉末を用い、プランジャー断面積は1.0cm2とした。
【0098】
等速昇温するに従い、試料は徐々に加熱され流出が開始される。さらに昇温すると溶融状態となった試料は大きく流出し、プランジャー降下が停止して終了する。この際、試料の流出が開始される温度を流出開始温度とした。
【0099】
測定方法は以上に示した通りだが、各測定条件は材料の種類によって本例の条件を基に変更することもできる。
【0100】
〔実施例1〕
弾性ローラを製造するにあたり、軸芯体としては外直径6mmの丸棒状鉄製軸芯体にニッケルメッキを施し、さらに厚み約1μmのプライマーDY35−051(商品名:東レダウコーニング社製)を塗布、150 ℃、30分間焼き付けしたものを用いた。塗工装置としては、図3に示した構造を有する塗工装置を用いた。
【0101】
付加反応架橋型液状シリコーンゴム(商品名:DY35−1265、東レダウコーニング社製)のA液およびB液の各液100質量部に、それぞれカーボンブラック(商品名:MA11、三菱化学社製)8質量部を加え、プラネタリーミキサーで30分間脱泡した。その後、カーボンブラックを配合したA液およびB液を、それぞれ塗工装置付随の原料タンクにセットし、圧送ポンプを使用してスタティックミキサーに送り出し、A液およびB液を質量基準で1:1で混合し、このシリコーンゴム混合液を弾性層材料とした。その粘度は545Pa・sであった。
【0102】
塗工装置の軸芯体上保持軸および軸芯体下保持軸で軸芯体をクランプし、これら軸芯体保持軸を下から上に垂直に10mm/sの速度で上昇させ軸芯体を移動させた。これと同時に、シリコーンゴム混合液を、図2に示した形態の塗工ヘッドの環状スリットから840mm3/sで吐出し、軸芯体の外周面に未硬化の弾性層材料を円筒形状(ロール形状)に形成した。
【0103】
塗工ヘッドの内直径(L)は12.1mmとした(第一環状部材101および第二環状部材102の内周面は互いに同一面を形成する)。環状スリット(弾性層材料吐出口)の幅は1.0mmで一様とした。従ってsmaxは1.0mmである。
【0104】
塗工の前に、塗工ヘッドにストップリング401を装着した。ストップリングは図4に示すように中空円筒形状のリング状である。このとき、ストップリングは、塗工ヘッドの環状スリットより進行方向(矢印A方向)前方に位置させた。
【0105】
また、塗工の前に、塗工ヘッドにアッパーリングと呼ばれるリング状部材501(図5(a)に示す形状を有する)を装着した。このときリング状部材501の最大外直径部を、塗工ヘッドの環状スリットより進行方向後方に位置させた。
【0106】
このリング状部材501の内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.46mmである。最大外直径と内直径から計算されるW1はW1=2.95mmであり、最小外直径と内直径から計算されるW2はW2=1.18mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。このリング状部材の材質は、ポリカーボネートである。また、このように軸芯体外直径より大きい内直径rを持つリング状部材を装着する方法を「隙間嵌」と呼称する(以下同じ)。
【0107】
次に、この未硬化の弾性層に赤外線加熱を施した。赤外線加熱ランプ(商品名:ハイベック製、商品名:HYL25)を熱処理温度(被加熱体の表面温度。以降、熱処理温度とは被加熱体の表面温度を指す)200℃とし、ランプと未硬化物の層表面との距離が60mmとなるように配置した。そして、未硬化物の層を設けた軸芯体を周方向に60rpmで回転させながら4分間過熱し未硬化の弾性層材料を硬化し弾性層とした。
【0108】
その後、シリコーンゴム弾性層の硬化後の物性を安定させ、シリコーンゴム弾性層中の反応残滓および未反応低分子分を除去する等を目的として、電気炉で200℃、4時間の二次硬化を行った。
【0109】
このようにして、軸芯体の外周上に弾性層を有する弾性ローラを製造した。
【0110】
その後、この弾性ローラに表面層を設けた。表面層の材料処方を示す。
ポリウレタンポリオールプレポリマー100質量部(商品名:タケラックTE5060、三井武田ケミカル社製)。
イソシアネート77質量部(商品名:コロネート2521、日本ポリウレタン株式会社製)。
カーボンブラック24質量部(商品名:MA100、三菱化学社製)。
【0111】
上記材料にMEK(メチルエチルケトン)を加え横型分散機NVM−03(商品名、アイメックス社製)で周速7m/s、流量1cc/min、分散液温度15℃の条件下で1時間分散した。分散後さらにMEKを加え固形分25質量%で(膜厚が20μmとなるように)調整したものを表面層の原料液とした。次にこの表面層原材料を液流速250cc/min、液温23℃で循環させた直径32のシリンダー中に浸入速度100mm/sで前記弾性ローラ外周に浸漬させ、10秒間停止させた後に、初速400mm/s、終速200mm/sの条件で引き上げた。これを、10分間自然乾燥させた。次いで、140℃にて60分間加熱処理することで表面層の原料の硬化を行い、表面層を設けた弾性ローラを得た。
【0112】
表面層を設けた弾性ローラを現像ローラとして、電子写真プロセスカートリッジに組み込んだ。画像出力して濃度ムラを調べた結果を表1に示す。
【0113】
なお、表1において、「h/s」は「h/smax」を意味するものである。
【0114】
〔実施例2〕
付加反応架橋型液状シリコーンゴムのA液およびB液として次のものを用いた。
【0115】
シリコーンベースポリマー(重量平均分子量Mw=100000、東レダウコーニング社製。)100質量部、カーボンブラック(商品名:MA77、三菱化学社製)3質量部をプラネタリーミキサーで30分間混合脱泡し、シリコーンゴムベース材料を得た。このベース材料100質量部に対して、塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液(白金含有量3質量%)0.02質量部を加え、混合したものをA液とした。また、上記シリコーンベース材料100質量部に対して、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(粘度10mPa・s、SiH含有量1質量%、東レダウコーニング社製。)1.5質量部を加え、混合したものをB液とした。
【0116】
上記A液およびB液を混合したシリコーンゴム混合液を、弾性層材料として用いた。この材料の粘度は10Pa・sであった。
【0117】
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0118】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0119】
〔実施例3〕
付加反応架橋型液状シリコーンゴム(商品名:DY35−1265、東レダウコーニング社製)のA液およびB液の各液100質量部に、それぞれカーボンブラック(MA11、三菱化学社製)16質量部を加えた。
【0120】
上記A液およびB液を混合したシリコーンゴム混合液を、弾性層材料として用いた。この材料の粘度は5000Pa・sであった。
【0121】
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0122】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0123】
〔実施例4〕
リング状部材501として、図5(b)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmである。このリング状部材は、厚み1.95mmの内周面から外周面に向かって凸状テーパー加工(テーパー角度20°)した円筒形状である。W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0124】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0125】
〔実施例5〕
リング状部材501として、図5(c)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。このリング状部材は、W1を有する面の下端からW2を有する面に向かってテーパー加工(テーパー角度20°)されている。また、リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0126】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0127】
〔実施例6〕
リング状部材501として、図5(d)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で最小内直径rminはrmin=6.1mmであり、最大内直径rmaxは、rmax=6.2mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.9mmであり、W2=1.0mmである。このリング状部材はW1を有する面の下端からW2を有する面に向かってテーパー加工(テーパー角度20°)し、厚み0.5mmの外周面から内周面に向かって凸状テーパー加工(テーパー角度75°)した円筒形状である。
【0128】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0129】
〔実施例7〕
リング状部材501として、図5(e)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。このリング状部材はW1を有する面の下端からW2を有する面に向かって凸状にアール加工されている。また、リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0130】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0131】
〔実施例8〕
リング状部材501として、図5(f)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。このリング状部材はW1を有する面の下端からW2を有する面に向かって凹状にアール加工されている。また、リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0132】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0133】
〔実施例9〕
リング状部材501として、図5(g)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で最小内直径rminはrmin=6.1mmであり、最大内直径rmaxは、rmax=6.2mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.9mmであり、W2=1.0mmである。このリング状部材はW1を有する面の下端からW2を有する面に向かって凹状にアール加工されている。また、リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0134】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0135】
〔実施例10〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリアセタール製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0136】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0137】
〔実施例11〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリエチレンテレフタレート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0138】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0139】
〔実施例12〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリテトラフルオロチエン製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0140】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0141】
〔実施例13〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=6.16mmである。W1=2.95mmであり、W2=0.03mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0142】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0143】
〔実施例14〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=6.7mmである。W1=2.95mmであり、W2=0.3mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0144】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0145】
〔実施例15〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=7.3mmである。W1=2.95mmであり、W2=0.6mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0146】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0147】
〔実施例16〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.46mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.18mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0148】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0149】
〔実施例17〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=9.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.5mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0150】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0151】
〔実施例18〕
リング状部材501として、図5(h)に示す形状のものを芯金(軸芯体)に圧入して用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で、内直径rはr=5.98mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmである。
【0152】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0153】
〔実施例19〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=0.1mmである。
【0154】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0155】
〔実施例20〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.5mmである。
【0156】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0157】
〔実施例21〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=2.0mmである。
【0158】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0159】
〔実施例22〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=3.0mmである。
【0160】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0161】
〔実施例23〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=5.0mmである。
【0162】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0163】
〔実施例24〕
リング状部材501として、図5(a)に示す形状のものを用いた。このリング状部材はポリカーボネート製で内直径rはr=6.1mmであり、最大外直径DmaxはDmax=12.0mmであり、最小外直径DminはDmin=8.1mmである。W1=2.95mmであり、W2=1.0mmである。リング状部材501の最大外径部から、リング状部材501の最大外直径部からの鉛直線が、塗工ヘッドの環状スリット開口部の進行方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離hはh=1.0mmである。
【0164】
上記以外は実施例1と同様だが、表面層を付けずに弾性ローラを作成し、各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0165】
〔実施例25〕
実施例1と同様にして弾性ローラを得た。この弾性ローラの端部ハネ量の測定を行った後、実施例1と同様にして表面層を設けた。表面層を設けた弾性ローラを帯電ローラとして電子写真プロセスカートリッジに組み込み画像評価を行った(現像ローラは電子写真プロセスカートリッジにもともと付属していたものを使用した)。
【0166】
〔比較例1〕
リング状部材501を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0167】
〔比較例2〕
付加反応架橋型液状シリコーンゴムのA液およびB液として次のものを用いた。
【0168】
シリコーンベースポリマー(重量平均分子量Mw=100000、東レダウコーニング社製。)100質量部、カーボンブラック(商品名:MA77、三菱化学社製)1質量部、をプラネタリーミキサーで、30分間混合脱泡した。これを、シリコーンゴムベース材料とした。このベース材料100質量部に対して、塩化白金酸のイソプロピルアルコール溶液(白金含有量3質量%)0.02質量部を加え、混合したものをA液とした。また、上記シリコーンベース材料100質量部に対して、オルガノハイドロジェンポリシロキサン(粘度10mPa・s、SiH含有量1質量%、東レダウコーニング社製。)1.5質量部を加え、混合したものをB液とした。
【0169】
上記A液およびB液を混合したシリコーンゴム混合液を、弾性層材料として用いた。この材料の粘度は、8Pa・sであった。
【0170】
上記以外は、実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0171】
〔比較例3〕
付加反応架橋型液状シリコーンゴム(商品名:DY35−1265、東レダウコーニング社製)のA液およびB液の各液100質量部に、それぞれカーボンブラック(商品名:MA11、三菱化学社製)20質量部を加えた。
【0172】
上記A液およびB液を混合したシリコーンゴム混合液を、弾性層材料として用いた。この材料の粘度は、6520Pa・sであった。
【0173】
上記以外は実施例1と同様にして表面層付きの弾性ローラを作成し、また各種評価を行った。結果を表1に示す。
【0174】
【表1】

【0175】
なお、表1において、PCはポリカーボネート、POMはポリアセタール、PETはポリエチレンテレフタレート、PTFEはポリテトラフルオロエチレン、PEはポリエチレンを表す。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】本発明に用いることのできる塗工ヘッドの例を示す模式図である。
【図2】塗工ヘッドによる塗工方法を説明するための模式図であり、(a)は塗工開始前、(b)は塗工終了時の状態を示す。
【図3】本発明に用いることのできる塗工装置の例を示す模式図である。
【図4】本発明に用いることのできるストップリングの例を示す模式的断面図である。
【図5】(a)〜(h)はそれぞれ本発明に用いることのできるリング状部材の例を示す模式的断面図である。
【図6】現像ローラを示す断面図であり、(A)は現像ローラ長手方向断面図、(B)現像ローラ軸に垂直な面における断面図である。
【図7】本発明の帯電ローラを示す断面図であり、(A)帯電ローラ長手方向断面図、(B)帯電ローラ軸に垂直な面における断面図である。
【図8】画像形成装置の例を説明するための模式的断面図である。
【図9】弾性ローラの抵抗を測定する装置の概略図である。
【図10】ストップリング、リング状部材、軸芯体を塗工ヘッドに装着した段階の模式的断面図である。
【符号の説明】
【0177】
1 感光体
2 帯電装置
3 画像露光装置(書き込みビーム)
4 現像装置
5 クリーニング装置
6 画像転写装置
7 転写材(紙)
8a〜d 画像形成ユニット
9 一成分トナー
10 現像容器
11 トナー供給ローラ
12 現像ブレ−ド
13 転写搬送ベルト
14 駆動ローラ
15 テンションローラ
16 従動ローラ
17 吸着ローラ
18 供給ローラ
19 剥離装置
20 定着装置
21 吸着ローラバイアス電源
22 画像転写装置バイアス電源
60 現像ローラ
61 軸芯体(現像ローラ)
62 弾性層(現像ローラ)
63 表面層(現像ローラ)
70 帯電ローラ
71 軸芯体(帯電ローラ)
72 弾性層(帯電ローラ)
73 表面層(帯電ローラ)
92 金属製ドラム
101 第一環状部材
102 第二環状部材
103 環状スリット
104 弾性層材料吐出口
105 環状部材保持部材
106 液分配室
107 絞り段差部
301 架台
302 コラム
303 ボールネジ
304 LMガイド
305 サーボモータ
306 プーリ
307 ブラケット
308 塗工ヘッド
309 軸芯体下保持軸
310 軸芯体上保持軸
311 供給口
312 配管
313 材料供給弁
314 リニアガイド
401 塗工ヘッドの環状スリットより進行方向前方に配するリング状部材(ストップリング)
501 塗工ヘッドの環状スリットより進行方向後方に配するリング状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側に開口した環状スリットを有する塗工ヘッドを軸芯体に対し相対的に重力方向に移動させつつ該軸芯体外周面上に該環状スリットから未硬化の弾性層材料を吐出して塗工する塗工工程と、該塗工工程の後、軸芯体外周面上に塗工された未硬化の弾性材料を硬化させる硬化工程とを有する、軸芯体の外周面に弾性層を有する弾性ローラの製造方法において、
該塗工工程の前に、リング状部材を配するリング状部材配置工程を有し、
該リング状部材配置工程において、前記リング状部材の最大外直径部を、前記環状スリットの開口部の塗工ヘッド移動方向後方側の端部より、塗工ヘッド移動方向後方に位置させ、
該塗工工程において、該塗工ヘッドによって該軸芯体外周面上に未硬化の弾性層材料を該リング状部材に接触するように吐出して塗工し、
該硬化工程において、該リング状部材を取り外さずに該未硬化の弾性層材料を硬化して弾性層を形成し、
かつ該未硬化の弾性層材料の25℃における粘度が10Pa・s以上5000Pa・s以下である
弾性ローラの製造方法。
【請求項2】
前記リング状部材の融点が160℃以上である請求項1記載の弾性ローラの製造方法。
【請求項3】
前記リング状部材の材質が、合成樹脂である請求項1または2記載の弾性ローラの製造方法。
【請求項4】
前記リング状部材の最大外直径をDmax(mm)、最小外直径をDmin(mm)、内直径をr(mm)としたとき、式1で表されるW1(mm)と、式2で表されるW2(mm)とが、式3を満足する請求項1から3のいずれか一項記載の弾性ローラの製造方法。
【数1】

【請求項5】
前記環状スリットの最大開口幅をsmax(mm)とし、前記リング状部材の最大外直径部から、該最大外直径部からの鉛直線が該環状スリット開口部の塗工ヘッド移動方向前方側の端部からの水平線と交わる点までの最短距離をh(mm)としたとき、該smaxおよびhが式4を満足する請求項1から4のいずれか一項記載の弾性ローラの製造方法。
【数2】

【請求項6】
前記弾性層がシリコーンゴムからなる請求項1から5のいずれか一項記載の弾性ローラの製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項記載の弾性ローラの製造方法により製造された弾性ローラ。
【請求項8】
電子写真装置に用いられる現像ローラおよび帯電ローラのいずれか一つである請求項7記載の弾性ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−36572(P2008−36572A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−216654(P2006−216654)
【出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】