説明

弾性波フィルタ、及びそれを用いたアンテナ共用器

【課題】国内ディジタル携帯電話システムの1つであるPDCシステムにおいては縦モード型弾性表面波フィルタが受信フィルタとして使用されるが、耐電力性を確保しつつロスの増加を抑制する弾性波フィルタ等を提供することが要求される。
【解決手段】圧電基板108上に形成された少なくとも一つの弾性波共振器25と、縦モード型弾性波フィルタ101とを備え、弾性波共振器25と縦モード型弾性波フィルタ101とは縦続接続され、弾性波共振器25の電極材料と縦モード型弾性波フィルタ101の電極材料とを異なるものとした弾性波フィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波フィルタ、及びそれを用いたアンテナ共用器、通信機器に関する。
【背景技術】
【0002】
図23に国内ディジタル携帯電話システムの1つであるPDCシステムにおける、受信周波数帯域(810〜828MHz)、送信周波数帯域(940〜958MHz)を示す。この構成では、従来の時分割に代わって送信と受信とを同時に行なう方式が採用されており、アンテナ共用器が必要とされる。図25は、このような周波数帯域において使用されるPDCシステムにおいて、受信フィルタとして使用される縦モード型弾性表面波フィルタ101の平面図の一例を示す。
【0003】
図25に示す弾性表面波フィルタ101は、圧電基板108上に、IDT電極103〜105、反射器電極106,107を有する。IDT電極103〜105は、それぞれ複数の電極指を有し、IDT電極103の上部バスバー側は、端子102に接続され、IDT電極104,105の下部バスバー側は、第2の端子109に接続されている。IDT電極103の下部バスバー側、およびIDT電極104,105の上部バスバー側は、接地されている。
【0004】
図24に、このような構成の縦モード型弾性表面波フィルタ101の減衰特性111を示す。また、図24に示す曲線112は、PDCの受信周波数帯域(以下受信周波数帯域という。)における減衰特性を右軸のスケールで拡大したものである。この図24からわかるように、PDCの送信周波数帯域(以下送信周波数帯域という。)における減衰量は−42db程度である。この程度の減衰量では十分ではなく、アンテナ共用器において、送信信号が受信信号に影響を及ぼしてしまう。
【0005】
図26は、弾性表面波フィルタ101の端子102から見たインピーダンス特性を示すスミスチャートである。図26において、113は、送信周波数帯域のうちの950MHzにおけるインピーダンス特性、114、115は、それぞれ受信周波数帯域のうちの810MHz、828MHzにおけるインピーダンス特性を示す。
【0006】
図26からわかるように、受信周波数帯域においては、インピーダンス特性は、ほぼ整合しているが、送信周波数帯域においては、その位相がオープン位置からずれている。このように、送信周波数帯域からその位相がオープン位置からずれていると、アンテナ共用器において、送信信号のロスの原因となる。
【0007】
そこで図27に示すように、弾性表面波共振器116を端子102と弾性表面波フィルタ101の間に縦続接続する。弾性表面波共振器116は、IDT電極117、反射器電極118,119を有する。IDT電極117には、複数の電極指が形成され、上部バスバー側は、端子102に接続され、下部バスバー側は、弾性表面波フィルタ101のIDT電極103の上部バスバー側に接続されている。
【0008】
図28に、弾性表面波共振器116の減衰特性120を示す。なお、図28に示す曲線121は、同減衰特性を右軸のスケールに拡大して示したものである。図28からわかるように、このような弾性表面波共振器116は、送信周波数帯域において、−20dB程度の減衰極を有していることがわかる。また、R1、R2で示す受信周波数帯域においては、−0.7dB程度のロスがあることがわかる。弾性表面波共振器は、通過帯域近傍を
減衰させるのには有利であるが、離れるとロスが大きくなる。すなわち、弾性表面波共振器の共振周波数は、縦モード型弾性表面波フィルタの通過帯域近傍に設定され、反共振周波数は減衰帯域近傍に設定されることが望ましい(例えば、特許文献1を参照)。このような、受信周波数帯域におけるロスは、PDCシステムなどの送信信号周波数帯域と受信信号周波数帯域が離れている通信システムにおいては、増加する。
【0009】
図28に示すような特性を有する弾性表面共振器116と、弾性表面波フィルタ101とを縦続接続してなる弾性表面波フィルタ130の減衰特性を図29に示す。このような弾性表面波フィルタ130によると、送信周波数帯域において、−62dB程度の減衰極を形成することができ、アンテナ共用器において、図25に示す弾性表面波フィルタ101単体からなるフィルタに比べて、送信周波数帯域の送信信号を十分に減衰させることができる。
【0010】
次に、図30に示す弾性表面波フィルタ140は、図27に示す弾性表面波フィルタ130に、さらに弾性波共振器131を縦列接続したものである。弾性表面波共振器131は、弾性表面波共振器116と同様の構成であり、IDT電極132、反射電極133,134を有している。そして、IDT電極132の上部バスバー側には端子102が接続され、IDT電極132の下部バスバー側は弾性表面波共振器116のIDT電極117の上部バスバー側に接続されている。
【0011】
このような弾性表面波フィルタ140の減衰特性を図31に示す。図31からわかるように、送信周波数帯域における減衰量はより大きくなり、図27に示す弾性表面波フィルタ130よりもさらに大きな減衰量が得られることがわかる。
【特許文献1】特開平6−260876号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、図27に示す弾性表面波フィルタ130においては、図29に示すように受信周波数帯域において、大きなリップル200が生じる。また、図30に記載の弾性表面波フィルタ140においては、図31に示すように、受信周波数帯域にさらに大きなリップル210が生じる。
【0013】
このようなリップルが受信周波数帯域に存在すると、その帯域においてロスの増加となる。これは、図28に示すように、弾性表面波共振器116,131の特性において、PDCのように送信周波数帯域と受信周波数帯域が離れている場合、受信周波数帯域におけるロスが大きくなっていることに起因する。
【0014】
本発明は、上記の課題を鑑み、受信周波数と送信周波数が離れている場合でも、送信周波数帯域における減衰量を確保しつつ、受信周波数帯域におけるリップルを低減させる弾性表面波フィルタ、およびそれを用いたアンテナ共用器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、少なくとも一つの圧電基板と、
前記圧電基板上に形成された少なくとも一つの弾性表面波共振器と、
前記圧電基板上に形成された縦モード型弾性表面波フィルタとを備え、
前記弾性表面波共振器と前記縦モード型弾性表面波フィルタとは縦続接続され、
前記弾性表面波共振器は、その一端が接地された少なくとも一つのインダクタとも接続されており、
前記少なくとも一つの弾性表面波共振器の減衰帯域は、前記縦モード型弾性表面波フィルタの通過帯域よりも高周波側に離れている弾性表面波フィルタである。
【0016】
また、第2の本発明は、少なくとも一つの圧電基板と、
前記圧電基板上に形成された少なくとも一つの弾性表面波共振器と、
前記圧電基板上に形成された縦モード型弾性表面波フィルタとを備え、
前記少なくとも一つの弾性表面波共振器の電極材料と前記縦モード型弾性表面波フィルタの電極材料とが異なる弾性表面波フィルタである。
【0017】
また、第3の本発明は、前記少なくとも一つの弾性表面波共振器の電極材料は、前記縦モード型弾性表面波フィルタの電極材料よりも高い耐電性を有する第2の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0018】
また、第4の本発明は、前記少なくとも一つの弾性表面波共振器の電極構成が積層電極構成である第3の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0019】
また、第5の本発明は、前記弾性表面波共振器と前記縦モード型弾性表面波フィルタとは縦続接続され、
前記弾性表面波共振器は、その一端が接地された少なくとも一つのインダクタとも接続されている第2の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0020】
また、第6の本発明は、前記弾性表面波共振器の減衰帯域は前記縦モード型弾性表面波フィルタの通過帯域より高く設定されている第5の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0021】
また、第7の本発明は、前記インダクタの他端は、前記弾性表面波共振器の、前記縦モード型弾性表面波フィルタと反対の側に接続されている第1または第5の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0022】
また、第8の本発明は、前記弾性表面波共振器は縦続接続された複数個であって、
前記弾性表面波共振器の、前記縦モード型弾性表面波フィルタと反対の側とは、前記縦続接続された複数個の前記弾性表面波共振器同士の接続部分を含む第7の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0023】
また、第9の本発明は、前記インダクタの他端は、前記弾性表面波共振器と前記縦モード型弾性表面波フィルタとの接続部分と接続されている第4または第5の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0024】
また、第10の本発明は、前記インダクタは互いに複数個であって、それぞれのインダクタは、互いに異なる接続部分にて前記弾性表面波共振器と接続している第8の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0025】
また、第11の本発明は、前記インダクタは前記減衰帯域の周波数におけるインピーダンスの位相をオープンに近づける第1または第5の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0026】
また、第12の本発明は、前記インダクタは前記通過帯域の周波数におけるインピーダンスを整合させる第11の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0027】
また、第13の本発明は、前記少なくとも一つの弾性表面波共振器の電極膜厚と前記縦モード型弾性表面波フィルタとの電極膜厚とが異なる第1または第2の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0028】
また、第14の本発明は、前記圧電基板は複数枚であって、
前記少なくとも一つの弾性表面波共振器が形成される圧電基板と、前記縦モード型弾性表面波フィルタが形成される圧電基板とは異なる第1または第2の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0029】
また、第15の本発明は、前記少なくとも一つの弾性表面波共振器と前記縦モード型弾性表面波フィルタの少なくとも一方はフェースダウン実装されている第14の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0030】
また、第16の本発明は、前記少なくとも一つの弾性表面波共振器と前記縦モード型弾性表面波フィルタの他方はワイヤー実装されている第15の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0031】
また、第17の本発明は、前記弾性表面波共振器の減衰帯域はPDCシステムにおける送信周波数帯域であり、縦モード型弾性表面波フィルタの通過帯域はPDCシステムにおける受信帯域である第1または第2の本発明の弾性表面波フィルタである。
【0032】
また、第18の本発明は、アンテナ端子と、
前記アンテナ端子に接続される受信フィルタと、
前記アンテナ端子に接続される送信フィルタと、
前記アンテナ端子と前記受信フィルタとの間に設けられた第1の位相回路および/または前記アンテナ端子と前記送信フィルタとの間に設けられた第2の位相回路とを備え、
前記受信フィルタとして、第1または第2の本発明の弾性表面波フィルタを用いたアンテナ共用器である。
【0033】
また、第19の本発明は、前記送信フィルタの全部または一部は、圧電基板上に形成される弾性表面波フィルタで構成される第18の本発明のアンテナ共用器である。
【0034】
また、第20の本発明は、前記送信フィルタは、前記受信フィルタとして用いられる前記弾性表面波フィルタの前記弾性表面波共振器が形成されているのと同一の圧電基板上に形成される第19の本発明のアンテナ共用器である。
【0035】
また、第21の本発明は、前記少なくとも一つの弾性表面波共振器と前記送信フィルタとが同一のパッケージまたは同一の実装基板上に実装され、前記縦モード型弾性表面波フィルタは前記パッケージまたは前記実装基板とは別のパッケージまたは実装基極上に実装される第19の本発明のアンテナ共用器である。
【0036】
また、第22の本発明は、前記受信フィルタとして用いられる前記弾性表面波フィルタの弾性表面波共振器と前記送信フィルタとは異なる圧電基板上に形成され、
前記弾性表面波共振器と前記送信フィルタの少なくとも一方がフェースダウン実装である第19の本発明のアンテナ共用器である。
【0037】
また、第23の本発明は、前記弾性表面波共振器と前記送信フィルタの一方がフェースダウン実装で他方がワイヤー実装である第22の本発明のアンテナ共用器である。
【0038】
また、第24の本発明は、前記受信フィルタとして用いられる前記弾性表面波フィルタの前記弾性表面波共振器と前記送信フィルタとが実装されるパッケージあるいは実装基板における、前記弾性表面波共振器と前記送信フィルタとが実装される部位の境界には障壁が設けられている第19の本発明のアンテナ共用器である。
【0039】
また、第25の本発明は、第19の本発明のアンテナ共用器と、
前記アンテナ共用器に接続されるアンテナと、
前記アンテナ共用器に接続され、前記アンテナを介して信号を送信する送信手段と、
前記アンテナ共用器に接続され、前記アンテナを介して信号を受信する受信手段とを備えた通信機器である。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、送信周波数帯域における減衰量を確保しつつ、受信周波数帯域におけるリップルを低減させる弾性表面波フィルタ等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0042】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタ10の構成について、図1を参照して説明する。図1に記載の弾性表面波フィルタ10において、図27に示す従来の弾性表面波フィルタ130と同一の構成要素には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
実施の形態1の弾性表面波フィルタ10は、弾性表面波フィルタ116の端子102側に、その一端が接地されたインダクタ1を備えた点が、従来の弾性表面波フィルタ130と構成を異にする。
【0044】
図1に示すように、インダクタ1は、その一端がIDT電極117のバスバー側と端子102との間の接続点300に接続され、他端は接地されている。すなわち、縦型モード弾性表面波フィルタ101、および弾性表面波共振器116の接続点の、弾性表面波共振器116に対する反対側であるIDT電極117の上部バスバー側にインダクタ1が接続されている。
【0045】
なお、弾性表面波共振器116は、本発明の弾性表面波共振器の一例であり、縦モード型弾性表面波フィルタ101は、本発明の縦モード型弾性表面波フィルタの一例である。
【0046】
このようなインダクタ1を備えた弾性表面波フィルタ10の減衰特性を図2に示す。図2に示す受信周波数帯域におけるリップル220は、図29に示すリップル210に比べて小さくなっており、受信周波数帯域内におけるロスも改善している。
【0047】
ここで、より低い周波数帯域を通過させ、より高い周波数を減衰させることについて説明する。図28において、減衰極周波数は950MHzであり、これは、弾性表面波共振器の反共振周波数に対応する。また、通過帯域のロスが最小となる周波数はおおよそ920MHzであり、これは弾性表面波共振器の共振周波数に対応する。
【0048】
一般には、縦モード型弾性表面波フィルタと弾性表面波共振器を組み合わせる場合、縦モード型弾性表面波フィルタの通過帯域と弾性表面波共振器の共振周波数すなわちロスが小となる周波数はほぼ一致させる、あるいは近づけるように設計されている。
【0049】
しかしながら、今回の場合、図28に示すように、通過帯域が810MHzから828MHzであるのに対し、減衰極周波数が950MHzと大きく離れており、この場合には、弾性表面波共振器の共振周波数、すなわちロスの小さくなる帯域が、縦モード型弾性表面波フィルタの通過帯域から離れ、縦モード型弾性表面波フィルタの減衰帯域に位置する結果となり、縦モード型弾性表面波フィルタと弾性表面波共振器とを単に組み合わせるだけでは、フィルタ全体として特性を劣化させる。ここでは、減衰極周波数と通過帯域の高い側の周波数は、減衰極周波数で規格化しておおよそ13%離れている。よって、このようなシステムに関しては本構成の効果は十分に得られる。
【0050】
図3は、本実施の形態1の弾性表面波フィルタ10の端子102から見たインピーダンス特性を表すスミスチャートである。図3において、2は、送信周波数帯域のうちの950MHzにおけるインピーダンス特性であり、3、4は、受信周波数帯域のうち、それぞれ810MHz、828MHzにおける、端子102から弾性表面波フィルタ10を見たインピーダンス特性を示す。図3に示すように、送信周波数帯域においてインピーダンスの位相がオープン位置に近づいている一方、受信周波数帯域においてもインピーダンスが整合されている。
【0051】
このように本受信周波数帯域の弾性表面波フィルタ10によれば、インダクタ1の追加により、受信周波数帯域のインピーダンスを整合させ、その結果受信周波数帯域におけるリップルを低減させることができる。
【0052】
図4は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの第1の変形例を示す。図4に示す弾性表面波フィルタ20は、端子102と接続点300との間に伝送線路5を接続した構成である。伝送線路5は例えば基板配線として形成する。伝送線路5は、図3に示す送信周波数帯域における位相特性2をオープン位置にするために必要なインピーダンス特性(この場合は、位相周りで約20°のインピーダンス特性)を有している。
【0053】
このような伝送線路5を設けた結果、インピーダンス特性は、図6に示すようになり、送信周波数帯域における位相特性2をオープン位置とすることができる。また図5は、このような伝送線路5を有する弾性表面波フィルタ20の減衰特性を示す。図5のリップル230からわかるように、伝送線路5の追加によってもリップル特性は良好なまま保たれる。
【0054】
このように、弾性表面波フィルタ10に伝送線路5を直列に追加することにより、送信周波数帯域における位相特性をオープン位置とすることができる。従って、弾性表面波フィルタ20を、例えば、図17(a)に示す共用器において受信フィルタとして利用した場合、アンテナ側から見た受信周波数帯域のインピーダンス特性がオープン位置であるため、送信フィルタにおけるロスの増加を抑えることができ、効率的に送信信号をアンテナに伝達することができる。
【0055】
なお、上記の説明では、インダクタ1をIDT電極117の上部バスバーと端子102との間の接続点300に接続されているものとしたが、インダクタ1は、弾性表面波共振器116と縦モード型弾性表面波フィルタ101との接続点に接続するようにしてもよい。図7に、インダクタ1が弾性表面波共振器106のIDT電極117の下部バスバー側と、縦型弾性表面波フィルタ101のIDT電極103の上部バスバー側との接続点310に接続される場合を示す。
【0056】
図8は、図7に示す弾性表面波フィルタ30の減衰特性を示す。図8に示すリップル240と図29に示すリップル200とを比較してわかるように図7に示す弾性表面波フィルタ30においても受信周波数帯域のリップルを低減させることができる。
【0057】
図9は、図7に示す弾性表面波フィルタ30のインピーダンス特性を示すスミスチャートである。この場合、図9に示すように、送信周波数帯域での位相特性を、オープンに近づけることができる。
【0058】
ここで、弾性表面波共振器とインダクタの接続位置関係について説明する。
【0059】
図10は、図1に示す弾性表面波フィルタ10における、弾性表面波共振器116およびインダクタ1を含む、弾性表面波共振器単体400の構成図である。
【0060】
また、図11は上記の弾性表面波共振器単体400の通過特性を示す。図11と、図28に示す従来の弾性表面波共振器116の通過特性とを比較してわかるように、インダクタ1を接続した共振器においては、インダクタ1を接続していない弾性表面波共振器116単体の場合に比べて、受信周波数帯域におけるロスが低減され、通過特性が改善していることがわかる。
【0061】
弾性表面波共振器単体400の端子102から見たインピーダンス特性をスミスチャートで示したものが図12である。また、同弾性表面波共振器単体400において、端子109から見たインピーダンス特性を図13に示す。
【0062】
図12および図13を比較すると、受信周波数帯域においては、位相特性3,4および位相特性3′、4′の両者ともインピーダンス特性の整合が取れていることがわかる。
【0063】
一方、送信周波数帯域においては、図12に示す送信周波数950MHzでの位相特性2は誘導性であるのに対し、図13に示す送信周波数950MHzでの位相特性2′は、容量性である。従って、図4に示したように伝送線路5を用いて、送信周波数帯域での位相特性をオープンにしようとするとき、インダクタの接続位置を、IDT電極117の下部バスバー側とすると、より長い伝送線路5が必要となる。従ってアンテナから見たインピーダンスをオープンとするためには、インダクタ1は、IDT電極117の上部バスバー側に接続されている方が望ましい。
【0064】
なお、インダクタ1は、受信周波数帯域でのインピーダンス特性を整合させるものであれば、IDT電極117の上部バスバー側である接続点300および下部バスバー側である接続点310の両方に接続してもよい。その場合も上記と同様の効果を得ることができる。また、図11より、減衰極周波数と通過帯域の高い側の周波数が、減衰極周波数で規格化して7%以上離れている場合でも、約880MHzの場合であっても、図28に示す例と比較して、弾性表面波共振器のロスは最小ロスより0.2dB以上低減されており、本発明の構成を適用することで、十分に効果が得られる。すなわち、本発明の構成を適用することで、弾性表面波共振器の共振周波数が縦モード型弾性表面波フィルタの高い周波数側の減衰帯域にある場合は、十分な効果が得られる。
【0065】
(実施の形態2)
図14に本発明の実施の形態2の弾性表面波フィルタ40の平面図を示す。ただし図1と同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。図14に示す弾性表面波フィルタ40は、実施の形態1の弾性表面波フィルタ10の縦モード型弾性表面波フィルタ101に加えて、弾性表面波共振器116にさらに縦続接続された弾性表面波共振器131、弾性表面波共振器116と弾性表面波共振器131との接続点320に、その一端が接地されたインダクタ1、および端子102と弾性表面波共振器131との接続点330に、その一端が接地されたインダクタ11とを備えている。すなわち本実施の形態は、その一端が接地されたインダクタが接続された弾性表面波共振器が、二段に縦列接続されている点が実施の形態1と異なる。
【0066】
図15は、上記の構成を有する弾性表面波フィルタ40の減衰特性を示す。このように弾性表面波フィルタ40によれば、従来技術の弾性表面波フィルタ140に比べて、受信周波数帯域でのリップル250が大幅に低減することができる。また、受信周波数帯域におけるロスも、図31に示す従来技術の弾性表面波フィルタ140の場合に比べて改善している。
【0067】
図16は、本実施の形態の弾性表面波フィルタ40の端子102から見たインピーダンス特性を示す。図16より、受信周波数帯域におけるインピーダンス特性は整合されていることがわかる。また、送信周波数帯域における位相特性も、誘導性側でオープン位置に近くなっているので、図4に示す構成と同様、端子102と弾性表面波共振器133との間に伝送線路5を挿入することで容易に位相特性をオープン位置となるよう調整することができる。
【0068】
なお、本実施の形態では、インダクタ1は弾性表面波共振器116と弾性表面波共振器131との接続点320に、またインダクタ11は端子102と弾性表面波共振器131との接続点330にそれぞれ接続する構成としたが、図7に示す構成と同様に、弾性表面波共振器116と縦モード型弾性表面波フィルタ101との接続点に、その一端が接地された新たなインダクタを接続する構成としてもよい。さらに、必ずしも上記全ての接続点にインダクタを接続せず、一部の接続点にのみインダクタを接続する構成としてもよい。
【0069】
また、本実施の形態の弾性表面波フィルタ40は、その一端が接地されたインダクタが接続された弾性表面波共振器116,133が二段に縦列接続されているものとしたが、三段以上に縦列接続された弾性表面波共振器を備えた構成としてもよい。この場合、インダクタは、各弾性表面波共振器同士の接続点、弾性表面波共振器と縦モード型弾性表面波フィルタの接続点、および端子102と弾性表面波共振器との接続点の少なくともいずれか一カ所に接続すればよい。その場合も上記と同様の効果を得ることができる。
【0070】
また、上記の実施の形態1,2において、接続点300,310,320、330および他の接続点は本発明の接続部分の一例であるが、本発明の接続部分は、各弾性表面波共振器同士、弾性表面波共振器と縦モード型弾性表面波フィルタ、端子102と弾性表面波共振器のそれぞれを接続する電気的通路の任意の部分であってよく、実際の接続点の具体的な位置や大きさによって限定されるものではない。
【0071】
(実施の形態3)
図17(a)は、本発明の実施の形態3の弾性表面波フィルタおよびそれを用いたアンテナ共用器のブロック図を示す。図17(a)において、共振器25は、実施の形態1、実施の形態2における弾性表面波共振器116、または弾性表面波共振器116と弾性表面波共振器131との直列回路であり、共振器25の出力側は、縦モード型弾性表面波フィルタ101に接続されている。共振器25の入力側は、本発明の第1の位相回路の一例である位相回路23の一端に接続され、位相回路23の他端は、アンテナ端子27を介してアンテナ21および本発明の第2の位相回路の一例である位相回路22の一端に接続され、位相回路22の他端は、送信フィルタ24の一端に接続されている。縦モード型弾性表面波フィルタ101の他端には図示しない受信手段が接続され、送信フィルタ24の他端には図示しない送信手段が接続されている。
【0072】
本実施の形態においては、共振器25を構成する各電極部分に耐電力材料を用いた。図17(b)、(c)に、各電極部分が耐電力材料で構成される場合の一例を示す。
【0073】
図17(b)に示すように、共振器25の各電極部分の構成は、圧電基板108の表面に、Tiで構成された電極層31が形成され、電極層31の上部にAl−Sc−Cu等の電極層32が積層されて形成される。
【0074】
あるいは、図17(c)に示すように、電極層31および電極層32がさらに重ねられて例えば4層に形成するようにしてもよい。
【0075】
一方、縦モード弾性表面波フィルタ101の電極33は、図17(d)に示すように耐電力材料でない通常の電極材料であるAl、Al−Cuなどから形成される。
【0076】
このように、共振器25の部分に耐電力材料を用いて電極を形成し、縦モード型弾性表面波フィルタ101の電極材料に通常の電極材料を使用することで、ロスの増加を抑制することができる。その理由を以下に示す。
【0077】
従来より、弾性表面波フィルタは耐電性が弱いため、上述の耐電力材料が広く用いられている。これは図27に示す従来の、縦モード型弾性表面波フィルタ101と弾性表面波共振器116を縦列接続した構成でも同様であり、各部の電極指、バスバーにはいずれも耐電性材料が用いられていた。
【0078】
しかしながら、上記の耐電力材料は、Al、Al−Cuなどの通常の電極材料に比べて抵抗が大きいため、上記のようなアンテナ共用器に用いた場合、受信側における損失が若干大きくなる。
【0079】
これに対し、共振器25の各電極部分に耐電力材料を使用し、縦モード型弾性表面波フィルタ101の各電極材料として通常の電極材料を使用すれば、受信側において送信側からの影響を抑制しつつ、受信電力の損失を最小限に抑制することができる。
【0080】
ここで、図32〜33に、図14に示す構成を基本として、弾性表面波共振器と縦モード弾性表面波フィルタとで電極材料を違えた本実施の形態の構成と、弾性表面波共振器および縦モード弾性表面波フィルタの両方で同一の耐電性の電極材料を用いた従来例の特性を比較して示す。
【0081】
図32は従来例の受信フィルタの通過特性を示す図である。これは位相回路を含む特性である。電極としては積層電極:AI−Sc−Cu(1570Å)/Ti(200Å)/AI−Sc−Cu(1570Å)/Ti(200Å)を用いており、A1−Cu電極換算で3900Åにほぼ相当する質量付加となるようにしている。なお、図示しないが、フィルタのパッケージに関しては、アイソレーション確保のため、端子102とインダクタの各接続点の間にはGNDが配置される端子配置としている。
【0082】
図32より、アイソレーションは確保できているが、ロスは2.5dBと大きくなり、特性が劣化している。図33に示す本実施の形態の耐電性の低いAI−Cu電極での受信フィルタと比較すると、0.7dBロスが大きくなっている。である。この原因に関しては、通過帯域外のインピーダンスはほぼ50Ωにあることから、整合損によるものではなく、電極の抵抗成分に起因する劣化が大きいと考えられる。
【0083】
特に、上記に説明したように、縦モード型弾性表面波フィルタはノッチフィルタとして用いているSAW共振器に比べて、IDT電極の本数も少なく、交差幅も長い設計となっている。すなわち、弾性表面波共振器のIDT電極の電極指対は100対程度であるのに対し、縦モード型弾性表面波フィルタのIDT電極の電極指対の数は15〜20対程度とかなり少なく、また電極指の交差幅も小さい。
【0084】
このことから、このIDT電極の抵抗成分によるロスの増大が劣化の原因と考えられる。また、弾性表面波共振器で十分減衰量を確保すれば、縦モード型弾性表面波フィルタの耐電力性は問題ない。
【0085】
以上のように、本実施の形態の構成では、弾性表面波共振器と縦モード弾性表面波フィルタとで電極材料を異ならせることにより、十分な耐電性を確保しつつ、ロスを抑制する
ことができる。
【0086】
なお、本実施の形態において、耐電力材料として示した材料は、一例であり、縦モード型弾性表面波フィルタ101に用いる電極材料より耐電力性を有するものであれば他の材料を用いてもよく、また通常の電極材料として示した材料も、固有抵抗が充分に低ければ他の電極材料が用いられてもよい(また、耐電力材料を用いた電極は積層電極の構成でなくともよい)。
【0087】
また、共振器25が複数の弾性表面波共振器から構成される場合は、アンテナ端子に近い側の一部の弾性表面波共振器は縦モード型弾性表面波フィルタ101と同様の通常の電極材料にて作成してもよい。図14に示す、弾性表面波共振器131と弾性波共振器116を備えた構成を例に取ると、弾性表面波共振器131の各電極材料を耐電力材料で構成し、弾性表面波共振器116の各電極材料は通常の電極材料で構成する。この場合も上記と同様の効果を得ることができる。なお、複数の弾性表面波共振器を用いる場合は、縦モード型弾性表面波フィルタ101寄りに配置されたものから順に通常の電極材料にて作成したものとすることが望ましい。
【0088】
また、位相回路22,23は、伝送線路であっても、インダクタやコンデンサを組み合わせて構成しても構わない。
【0089】
また、アンテナ端子27は、半導体を用いたスイッチ素子の内部に位置していても構わない。また、積層電極の構成は、図17(b)〜(d)に示す例に限定されない。その材料、積層の層の数、積層させる材料の順によらず、所望の耐電性が得られる構成であればよい。
【0090】
また、本実施の形態の電極材料の構成は、実施の形態1〜2の、インダクタ1,インダクタ11等を備えた弾性表面波フィルタにおいて実現してもよいし、インダクタを有さない図27,図30に示す従来例と同様の構成の弾性表面波フィルタにおいて実現してもよい。
【0091】
(実施の形態4)
図18に、本発明の実施の形態4の弾性表面波フィルタの平面図を示す。ただし図14と同一部または相当部には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0092】
本実施の形態4の弾性表面波フィルタ50は、弾性表面波共振器131、116を一つの圧電基板41上に形成し、縦モード型弾性表面波共振器101を別の圧電基板42に形成した点が、実施の形態2の弾性表面波フィルタ40と相違する。また、図19にこのような弾性表面波フィルタ50を利用したアンテナ共用器60のブロック図を示す。
【0093】
上記のように、弾性表面波共振器131および弾性表面波共振器116を1つの圧電基板41上に設置し、縦モード型弾性表面波フィルタ101を別の1つの圧電基板42に設置することにより、各基板ごとに容易に電極材料を変更することができるので製造工程が簡単になる。例えば、実施の形態3で示したように、弾性表面波共振器131、116の各電極材を耐電力材料を用いて積層構造で構成し、縦モード型弾性表面波フィルタ101の各電極材料を耐電力材料ではない通常の電極材料で形成する場合、両者の製造プロセスは異なるため、同一圧電基板上に設置しようとするとその製造工程が複雑となり、製造コストが高くなる。しかし、上記のように、耐電圧材料を使用する圧電基板41と通常の材料を使用する圧電基板42を別とすることにより、それぞれ単純な製造工程で製造することができ、全体としての製造コストも安くなる。
【0094】
さらに弾性表面波共振器116,131と、縦モード型弾性表面波フィルタ101との電極膜厚を異ならせることにより、それぞれにおいて最適な設計を行なうことができる。
【0095】
なお、上記の説明においては、弾性表面波共振器131、116を一つの圧電基板41上に形成するとしたが、弾性表面波共振器毎に異なる圧電基板上に作成してもよい。この場合、弾性表面波共振器毎に電極材料を互いに異ならせる場合の製造工程がより簡単になるという効果がある。
【0096】
(実施の形態5)
図20に本発明の実施の形態5として、図19に示すアンテナ共用器とは別の構成のアンテナ共用器の一例を示す。図20に示すアンテナ共用器70は、各電極部分が耐電力材料で構成された弾性表面波共振器131、116が設置された圧電基板41上に、さらに送信フィルタ43が設置されていることを特徴とする。送信フィルタ43としては、弾性表面波フィルタが望ましい。
【0097】
このように同一の圧電基板41上に送信フィルタ43を形成することにより、アンテナ共用器70全体の大きさを小型化することができる。また、この場合、送信フィルタ43の各電極も受信側の弾性表面波共振器131、116の各電極と同一の耐電力材料を使用することにより、送信側のフィルタと受信側の構成要素を同一の製造工程で作製することができる。従って、アンテナ共用器70全体の製造工程を単純化す
ることができ、その結果製造コストも安くなる。
【0098】
また、送信側のフィルタである送信フィルタ43と受信側の弾性表面波共振器の構成要素を同一工程で作製することにより、各電極材料のバラツキを抑制することができ、その結果、例えば送信フィルタの通過帯域と受信フィルタの減衰極周波数を厳密に一致させるように製造することが可能になるなど、アンテナ共用器70全体の製造精度が向上する。
【0099】
図21は、本発明の実施の形態5の実装図として、図20に示す実施の形態5のアンテナ共用器の各部が、独立した複数のパッケージ52および53にそれぞれ別れて収納されている構成を示す。
【0100】
パッケージ52には、圧電基板41が収容され、圧電基板41には、受信側の共振器25とともに送信側のフィルタである送信フィルタ43が設置されている。そして、各接続点は、ワイヤ結合などにより外部電極51に接続され、各外部電極51を介してインダクタ1,11、および端子102が接続されている。
【0101】
パッケージ53には、受信側の圧電基板42が収容され、圧電基板42には、受信側の弾性表面波フィルタ101が設置されている。そして、各接続点には、外部電極51を介して、パッケージ53の外部電極51、端子109に接続されている。
【0102】
このように、受信側の共振器25と弾性表面波フィルタ101を別のパッケージとすることにより、互いにアイソレーションを取ることができ、不要な電磁結合を排除することができる。従って、本実施の形態のアンテナ共用器によれば、受信側において、送信周波数帯域における高減衰特性を実現することができ、高精度のアンテナ共用器を実現することができる。
【0103】
なお、パッケージ52内において、共振器25および送信側の送信フィルタ43のうち、少なくとも一方はフェースダウン実装がされる。すなわち、図22(a)の模式断面図に示すように、共振器25と送信フィルタ43の両方がフェースダウン実装されるか、図22(b)の模式断面図に示すように、共振器25または送信フィルタ43のいずれか一
方がフェースダウン実装され、他方がワイヤ実装される。このように、共振器25、および送信側の送信フィルタ43のうちの少なくとも一方がフェースダウン実装されることにより、ワイヤーの空間的結合などによる送信側と受信側とのアイソレーション劣化を抑制することができる。
【0104】
この場合、いずれか一方がフェースダウン実装であり、他方がワイヤー実装である場合は、図22(c)の模式断面図に示すように、共振器25と送信側の送信フィルタ43との間に障壁54が設置されることが望ましい。このような障壁54が設けられることにより、ワイヤ実装の際にワイヤを固定する樹脂などがフェースダウン実装面に流れ込むことを防止することができる。また、その場合、フェースダウン実装から先に行ない、後からワイヤ実装を行なうことが望ましい。
【0105】
また、本実施の形態において、同一の圧電基板41上に受信側の共振器25と、送信側の送信フィルタ43が設置される、として説明したが、共振器25と送信フィルタ43が同一のパッケージ52内において、別の圧電基板上に形成されてもよい。その場合も上記と同様、不要な電磁結合を排除することができ、上記と同様の効果を得ることができる。
【0106】
なお、以上までの説明において、本発明の弾性表面波フィルタ、およびアンテナ共用器は、PDCシステムにおける受信周波数帯域、送信周波数帯域を想定してきたが、PDCシステム以外のシステムにおいて、使用されることも考えられる。また、送信と受信の周波数関係が逆転した場合でも、本発明の弾性表面波フィルタは適用可能である。
【0107】
また、本発明には、以上までに説明したアンテナ共用器と、アンテナ共用器に接続され、送信信号を送信する送信手段と、アンテナ共用器に接続され、受信信号を受信する受信手段とを備える通信機器もその範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明に係る弾性表面波フィルタ等は、送信周波数帯域における減衰量を確保しつつ、受信周波数帯域におけるリップルを低減させる弾性表面波フィルタ等の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの平面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの特性を示す図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの特性を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの変形例を示す平面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの変形例の特性を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの変形例の特性を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの変形例を示す平面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの変形例の特性を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの変形例の特性を示す図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの一部の構成を示す平面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの一部の構成の特性を示す図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの一部の構成の特性を示す図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態1の弾性表面波フィルタの一部の構成の特性を示す図である。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2の弾性表面波フィルタの平面図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態2の弾性表面波フィルタの特性を示す図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態2の弾性表面波フィルタの特性を示す図である。
【図17】図17(a)は、本発明の実施の形態3の弾性表面波フィルタを用いたアンテナ共用器の構成を示すブロック図である。図17(b)は、本発明の実施の形態3の弾性表面波フィルタの共振器25の電極の構成を示す図である。図17(c)は、本発明の実施の形態3の弾性表面波フィルタの共振器25の電極の構成を示す図である。図17(d)は、本発明の実施の形態3の弾性表面波フィルタの共振器25の電極の構成を示す図である。
【図18】図18は、本発明の実施の形態4の弾性表面波フィルタの構成を示す平面図である。
【図19】図19は、本発明の実施の形態4の弾性表面波フィルタをアンテナ共用器として利用した場合のブロック図である。
【図20】図20は、本発明の実施の形態5のアンテナ共用器の構成を示すブロック図である。
【図21】図21は、本発明の実施の形態5のアンテナ共用器の構成を示す平面断面図である。
【図22】図22(a)は、本発明の実施の形態5のアンテナ共用器の構成を示す模式断面図である。図22(b)は、本発明の実施の形態5のアンテナ共用器の構成を示す模式断面図である。図22(c)は、本発明の実施の形態5のアンテナ共用器の構成を示す模式断面図である。
【図23】図23は、PDCの受信周波数帯域および送信周波数帯域を示す図である。
【図24】図24は、従来技術の弾性表面波フィルタの特性を示す図である。
【図25】図25は、従来技術の弾性表面波フィルタの平面図である。
【図26】図26は、従来技術の弾性表面波フィルタの特性を示す図である。
【図27】図27は、従来技術の弾性表面波フィルタの平面図である。
【図28】図28は、従来技術の弾性表面波フィルタの構成の一部の特性を示す図である。
【図29】図29は、従来技術の弾性表面波フィルタの特性を示す図である。
【図30】図30は、従来技術の弾性表面波フィルタの平面図である。
【図31】図31は、従来技術の弾性表面波フィルタの特性を示す図である。
【図32】図32は、従来技術の弾性表面波フィルタの通過特性を示す図である。
【図33】図33は、本発明の実施の形態3の弾性表面波フィルタの通過特性を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板上に形成された少なくとも一つの弾性波共振器と、縦モード型弾性波フィルタとを備え、前記弾性波共振器と前記縦モード型弾性波フィルタとは縦続接続され、前記少なくとも一つの弾性波共振器の電極材料と前記縦モード型弾性波フィルタの電極材料とが異なる弾性波フィルタ。
【請求項2】
前記少なくとも一つの弾性波共振器の電極材料は、前記縦モード型弾性波フィルタの電極材料よりも高い耐電力性を有する材料を用いた請求項1に記載の弾性波フィルタ。
【請求項3】
前記少なくとも一つの弾性波共振器の電極構成が積層電極構成である請求項2に記載の弾性波フィルタ。
【請求項4】
前記縦モード型弾性波フィルタの電極材料の固有抵抗を前記弾性波共振器の電極材料の固有抵抗より小さくした請求項1に記載の弾性波フィルタ。
【請求項5】
前記少なくとも一つの弾性波共振器の電極膜厚と前記縦モード型弾性波フィルタとの電極膜厚とが異なる請求項1に記載の弾性波フィルタ。
【請求項6】
前記圧電基板は複数枚であって、前記少なくとも一つの弾性波共振器が形成される圧電基板と、前記縦モード型弾性波フィルタが形成される圧電基板とは異なる請求項1に記載の弾性波フィルタ。
【請求項7】
アンテナ端子と、
前記アンテナ端子に接続される受信フィルタと、
前記アンテナ端子に接続される送信フィルタとを備え、
前記受信フィルタは、圧電基板上に形成された少なくとも一つの弾性波共振器と、縦モード型弾性波フィルタとを備え、前記弾性波共振器と前記縦モード型弾性波フィルタとは縦続接続され、前記少なくとも一つの弾性波共振器の電極材料と前記縦モード型弾性波フィルタの電極材料とが異なる弾性波フィルタを用いたアンテナ共用器。
【請求項8】
前記少なくとも一つの弾性波共振器の電極材料は、前記縦モード型弾性波フィルタの電極材料よりも高い耐電力性を有する請求項7に記載のアンテナ共用器。
【請求項9】
前記少なくとも一つの弾性波共振器の電極構成が積層電極構成である請求項8に記載のアンテナ共用器。
【請求項10】
前記縦モード型弾性波フィルタの電極材料の固有抵抗を前記弾性波共振器の電極材料の固有抵抗より小さくした請求項8に記載のアンテナ共用器。
【請求項11】
前記送信フィルタの全部または一部は弾性波フィルタで構成され、前記少なくとも一つの弾性波共振器と前記送信フィルタとが同一のパッケージまたは同一の実装基板上に実装され、前記縦モード型弾性波フィルタは前記パッケージまたは前記実装基板とは別のパッケージまたは実装基板上に実装される請求項7に記載のアンテナ共用器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2009−189071(P2009−189071A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131378(P2009−131378)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【分割の表示】特願2003−289263(P2003−289263)の分割
【原出願日】平成15年8月7日(2003.8.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】