説明

弾性波素子

【課題】携帯電話や無線LAN端末等に用いられる弾性波素子において、IDT電極とインダクタンスを得るための導体パターンとの干渉を抑制する弾性波素子の提供。
【解決手段】弾性波素子12は、圧電基板13と、圧電基板13の上に配置されたIDT電極14と、IDT電極14に接続された内部電極15と、IDT電極14の周囲に設けられた支柱体16と、支柱体16の上にIDT電極14の上の空間17を覆うように設けられた天板18と、支柱体16と天板18とを覆う絶縁保護体19と、絶縁保護体19の上に配置される外部電極20と、絶縁保護体19の上に配置されるインダクタンスを得るための導体パターン21と、絶縁保護体19を貫通するように設けられ、外部電極20と内部電極15とを電気的に接続する接続電極22と、を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話や無線LAN端末等に用いられる弾性波素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、弾性波素子をモジュール化し、種々の製品に搭載する傾向が高まってきている。種々の製品に搭載するモジュールにおいては、小型・低背だけでなく高い信頼性が要望される。しかし、弾性波素子は表面を伝搬する波を利用するため、空間構造を必要とすることが小型化・高信頼性の要となっている。
【0003】
図13は、従来の弾性波素子1の断面模式図である。図13において、弾性波素子1は、圧電基板2と、圧電基板2の上に配置されるIDT電極3と、圧電基板2の上に配置され、IDT電極3に接続される内部電極4と、圧電基板2の上に配置され、IDT電極3の周囲に設けられた支柱体5と、支柱体5の上にIDT電極3の上の空間6を覆うように設けられた天板7と、天板7の上に形成された導体パターン8と、支柱体5と天板7とを覆う絶縁保護体9と、絶縁保護体9の上に配置される外部電極10と、絶縁保護体9を貫通するように設けられ、外部電極9と内部電極4とを電気的に接続する接続電極11とを備えていた。
【0004】
この構成において、従来の弾性波素子1は、天板7の上にインダクタンスを得るための導体パターン8を形成することにより、減衰特性の改善を図っていた。
【0005】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2006/134928号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の弾性波素子1は、天板7の上にインダクタンスを得るための導体パターン8を形成していたので、IDT電極3と導体パターン8によるインダクタンス成分とが干渉し、弾性波素子1の特性を劣化させていた。
【0008】
本発明は、かかる実情に鑑み、IDT電極とインダクタンスを得るための導体パターンとの干渉を抑制した弾性波素子を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の弾性波素子は、圧電基板と、圧電基板上に設けられたIDT電極と、圧電基板上に配置され、IDT電極に接続された内部電極と、圧電基板上に配置され、IDT電極の周囲に設けられた支柱体と、この支柱体の上にIDT電極の上の空間を覆うように設けられた天板と、支柱体と天板とを覆う絶縁保護体9と、絶縁保護体上に配置される外部電極と、絶縁保護体上に配置されるインダクタンスを得るための導体パターンと、絶縁保護体9を貫通するように設けられ、外部電極と内部電極とを電気的に接続する接続電極とを備える。
【0010】
この構成により、IDT電極とインダクタンスを得るための導体パターンとの間に絶縁保護体が介在するので、IDT電極とインダクタンスを得るための導体パターンとの干渉を抑制した弾性波素子とすることができる。
【0011】
好ましくは、接続電極はグランド電極を有し、天板の一部を金属として、このグランド電極と接続する。この構成により、天板がIDT電極へのノイズのシールド層としての役割を果たす。
【0012】
好ましくは、導体パターンと前記天板とを15μm以上離す。この構成により、導体パターンのインダクタンス成分と金属からなる天板のカップリング効果を抑制することができる。
【0013】
好ましくは、導体パターンは、複数のグランド電位を有する接続電極と接続された構成とする。この構成により、他のグランド端子とパッケージ内で共有化することができ、回路基板に実装後の弾性波素子の特性変化を抑制できる。
【0014】
好ましくは、接続電極は、第1〜第3のグランド電極を有し、第1のグランド電極はグランド電位となる内部電極及び導体パターンと接続され、第2のグランド電極はグランド電位となる導体パターン及び天板と接続され、第3のグランド電極は天板と外部電極と接続される。これにより、他のグランド端子とパッケージ内で共有化することができ、回路基板に実装後の弾性波素子の特性変化を抑制できる。
【0015】
好ましくは、インダクタンスを得るための導体パターンを絶縁体からなる保護体で保護する。この構成により、インダクタンスの劣化を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の弾性波素子は、IDT電極とインダクタンスを得るための導体パターンとの干渉を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1における弾性波素子の断面模式図
【図2】実施の形態1における天板の説明図
【図3】(A)(B)実施の形態1における弾性波素子の製造工程を示す図
【図4】(C)(D)実施の形態1における弾性波素子の製造工程を示す図
【図5】(E)(F)実施の形態1における弾性波素子の製造工程を示す図
【図6】(G)(H)実施の形態1における弾性波素子の製造工程を示す図
【図7】(I)(J)実施の形態1における弾性波素子の製造工程を示す図
【図8】実施の形態1における弾性波素子の他の構成の断面模式図
【図9】実施の形態1における弾性波素子におけるインダクタンス成分の特性を示す図
【図10】実施の形態1における弾性波素子の他の構成の上面図と断面模式図
【図11】実施の形態1における弾性波素子の他の構成の上面図と断面模式図
【図12】実施の形態1における弾性波素子の他の構成の断面模式図
【図13】従来の弾性波素子の断面模式図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0019】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における弾性波素子について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は本発明の実施の形態1における弾性波素子12の断面模式図である。
【0021】
図1において、弾性波素子12は、圧電基板13と、この圧電基板13の上面(圧電基板の主面)に配置されたIDT(Inter Digital Transducer)電極14と、を備え、このIDT電極14を外部から保護すべく、IDT電極14を覆うように絶縁保護体19を圧電基板13上に形成するチップサイズパッケージである。
【0022】
この弾性波素子12は、圧電基板13の上に設けられると共にIDT電極14と電気的に接続された内部電極15と、内部電極15の上であってIDT電極14の周囲に設けられた支柱体16と、この支柱体16の上にIDT電極14の上の空間17を覆うように設けられた天板18とを備える。
【0023】
さらに、弾性波素子12は、絶縁保護体19の上部に設けられた外部電極20と、この外部電極20と内部電極15とを電気的に接続する接続電極22と、絶縁保護体19の上にインダクタンス成分を得るための導体パターン21とを備える。
【0024】
以下、弾性波素子12の各構成について詳述する。
【0025】
圧電基板13は、板厚100〜450μm程度の単結晶圧電体からなり、例えば、水晶、タンタル酸リチウム系、ニオブ酸リチウム系、又はニオブ酸カリウム系の基板である。
【0026】
IDT電極14は、膜厚0.1〜0.5μm程度の櫛形電極であり、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、タングステン、白金、クロム、モリブデンの少なくとも一種からなる単体金属、又はこれらを主成分とする合金又はそれらの金属が積層された構成である。
【0027】
内部電極15は、IDT電極14と外部電極20とを電気的に接続する導体であり、例えば、アルミニウム、銅、銀、チタンからなる単体金属、又はこれらを主成分とする合金又はそれらの金属が積層された構成である。
【0028】
支柱体16は、IDT電極14の周囲の少なくとも一部を囲む高さが5〜25μmの支柱体で、例えば、絶縁保護体19からなり、所定の形状に加工することが容易なことから樹脂を用いることが好ましい、さらに、感光性樹脂を用いることで圧電基板13の上に複数個の弾性波素子12を作るための支柱体16を精度良く所望の形状に形成することが可能である。感光性樹脂としては、感光性ポリイミド樹脂、感光性エポキシ樹脂、感光性アクリレート樹脂等、感光性を有する樹脂材料であれば様々な材料を用いることが可能である。感光性ポリイミド樹脂はガラス転移点が高く、高温環境下で信頼性が高いため、支柱体16の材料として特に好ましい。
【0029】
天板18は、図2に示す如く、支柱体16の上に接着層23を形成し、この接着層23の上に蓋体18aを設けている。好ましくは、この蓋体18aの上部に蓋体補強層18bを施す。この構成により、弾性波素子12の耐モールド性の向上を図ることができる。
【0030】
接着層23は、厚みが1〜20μm程度の接着剤からなり、例えば、エポキシ系、ポリフェニレン系、若しくはブタジエン系の樹脂、またはこれらの混合樹脂からなる。この接着層23は、単位面積当たりの絶縁保護体19に対する接着力が側壁より大きい材料で構成される。
【0031】
蓋体18aは、接着層23を介して支柱体16の上部に接着されることにより保持される。この蓋体18aは1〜30μm程度の板状である。この蓋体18aと圧電基板13および支柱体16で形成される空間17にIDT電極14を収容している。この蓋体18aは、金属を用いることにより機械的強度に優れた天板18とすることができる。また、蓋体18aは、導電性を有することにより蓋体18aの電位を制御することが可能となる。さらに、蓋体18aに銅を用いると単結晶の圧電基板13と線膨張係数を略等しくすることができ、製造時における弾性波素子12の反りを抑制することができる。蓋体18aは箔状のものを用いることができ、さらにあらかじめ接着層23を形成していて、その後に支柱体の上部に貼り付ける構成にすると、薄くても強度が高いので、製造上の取り扱いが便利である。
【0032】
蓋体補強層18bは、蓋体18aの上面に電解めっき処理により厚みが20〜40μm程度となるように形成された層であり、その材質としては、銅を用いると機械的強度に優れ、かつ線膨張係数を圧電基板と整合することができるため望ましい。
【0033】
空間17は、圧電基板13、支柱体16および天板18によって囲まれた領域である。この空間17は気密性を有するものであり、その内部にIDT電極14が収容されている。この空間17の内部は通常気圧の空気であっても構わないが、減圧密封されているとIDT電極14の腐食を防止することができる。
【0034】
絶縁保護体19は、圧電基板13の上であって支柱体16の外側面、支柱体16の上面及び天板18の上面に形成される。さらに、この絶縁保護体19は、圧電基板13の主面13aの全体を覆うことにより機械的衝撃や湿気からIDT電極14を保護する機能を有している。この絶縁保護体19の材質としては、熱硬化性樹脂を用いると取り扱い性に優れる点で好ましい。また、エポキシ樹脂を用いると耐熱性及び気密性の点で特に好ましい。さらにエポキシ樹脂中に無機フィラーを含有させることで線膨張係数を低減することができる。無機フィラーとしては、アルミナ粉末、二酸化珪素粉末、酸化マグネシウム粉末等を用いることができる。なお、これらの粉末に限らず様々な無機系材料の使用が可能である。
【0035】
接続電極22の材料としては、銅を用いると機械的強度に優れたものとすることができる。また、接続電極22の線膨張係数を圧電基板13の線膨張係数と整合することができるため好ましい。
【0036】
以上のように構成された実施の形態1における弾性波素子12の製造方法について、以下に説明する。
【0037】
図3は、実施の形態1における弾性波素子12の製造工程を示す図である。
【0038】
まず、図3の(A)に示すように、圧電基板13の表面に、レジストを用いたフォトリソグラフィ技術にて、複数のIDT電極14をスパッタ形成すると共に、内部電極15を蒸着形成する。
【0039】
次に、感光性のポリイミド系樹脂をスポンコート法、ディスペンス法、又はスクリーン印刷法等の膜形成方法によりIDT電極14および内部電極15を覆って圧電基板13の主面の全面に形成する。特にスピンコート法は均一な膜厚を形成する方法として好ましい。
【0040】
そして、この感光性のポリイミド系樹脂からなる膜の上面から露光、現像を行い、そして熱硬化させることにより、図3の(B)に示すように、IDT電極14を囲む支柱体16を形成する。尚、支柱体16を、所定の形状に加工した後、必要に応じて加熱処理を行うことにより材料の硬化を促進させる。
【0041】
さらに、図4の(C)に示す様に、蓋体18aとなる金属箔(好ましくは、銅箔)を、接着層23を介して支柱体16の上面に貼り合せ、その上からレジスト(図示せず)を用いてフォトリソグラフィにより金属箔を所定のパターン形状にエッチングし、レジストを除去すると、図4の(D)に示す様に、隙間24が形成される。その後、接着層23の不要部分と蓋体18aを共にメカニカルピーリングすることで、図5の(E)に示す様に、蓋体18aと接着層23によってIDT電極14の上の空間17を覆う構成を得る。尚、支柱体16の上面の全面に蓋体18aと接着層23を残さないことが望ましい。即ち、上方からみて蓋体18aと接着層23が支柱体16の上面の外縁部より内側に形成されていることが好ましい。これは、上方からみて蓋体18aと接着層23が支柱体16の上面より外側に突出していると、この後の下地層(図示せず)のスパッタ形成の際、支柱体16の外側面に下地層が付着しにくくなるという問題が生じるからである。
【0042】
その次に、圧電基板13の主面上の全面に下地層をスパッタにより形成する。この下地層の内、この支柱体16の外側面に形成された部分と内部電極15の上面に形成された部分が電極下地層となり、蓋体18aの上面に形成された部分が蓋体下地層となる。
【0043】
そして、フォトリソグラフィ技術にてレジスト(図示せず)を電解めっき成長させる部分を残して形成する。具体的には、レジストは、電極下地層となる下地層の上部と、蓋体下地層となる下地層の上部は露出させ、その他の部分を覆うように形成される。そして、1度目の電解めっき処理を施すことにより、電極下地層上に接続電極22の一部を形成し、同時に蓋体補強層18bを形成する。このように、蓋体補強層18bを形成することにより蓋体18aを補強することができ、さらにこの蓋体補強層18bの形成を接続電極22の形成と同時に行うことにより、効率よく蓋体補強層18bを形成することができる。
【0044】
さらに、レジスト(図示せず)を接続電極22の上部に電解めっき成長させる部分を除いて圧電基板13の主面側の全面に形成する。その後、2度目の電解めっき処理を施すことにより、接続電極22を形成したレジストを更に上まで成長させ、レジストを除去する。尚、蓋体18aの強度が十分である場合などで蓋体補強層18bを形成しないときには、1回の電解めっき処理工程のみで接続電極22を形成する。
【0045】
さらに、図5の(F)に示す様に、下地層を介して導通している蓋体補強層18bと接続電極22とを下地層を除去することにより電気的に絶縁状態にする。
【0046】
さらにまた、図6の(G)に示す様に、接続電極22の上面を露出させながら、その他の圧電基板13の主面および主面上の構造物を覆う絶縁保護体19を形成する。この絶縁保護体19の形成方法としては、印刷工法を用いる。尚、絶縁保護体19を接続電極22と全く同じ高さに形成するためには、一度、接続電極22の上面より高く絶縁保護体19を形成し、その後に絶縁保護体19を機械的に削る方法を用いることもできる。この場合において、圧電基板13の主面および接続電極22も含めた主面上の全ての構造物を覆うように絶縁保護体19を形成した後に、機械的に絶縁保護体19を削ってもよい。
【0047】
次に、図6の(H)に示す様に、接続電極22の上面と電気的に接続される外部電極20とインダクタンスの役割を成す導体パターン21を形成する。
【0048】
なお、インダクタンスの役割を成す導体パターン21の保護膜を形成しても良い。これにより、インダクタンスの劣化を防止できる。
【0049】
最後に、図7(J)に示すように、半田印刷を行い、ダイシングにより圧電体および絶縁保護体19を同時に切断することにより、集合基板から個片の弾性波素子を得る。
【0050】
以上のように、図1に示す弾性波素子12を製造することにより、IDT電極14とインダクタンスを得るための導体パターン21との間に絶縁保護膜19を介在させることができる。この構成により、IDT電極14とインダクタンスを得るための導体パターン21との干渉を抑制した弾性波素子とすることができる。
【0051】
図8は、本実施の形態における弾性波素子の他の構成の断面模式図を示している。図8において、天板18における蓋体18a又は蓋体補強層18bとグランド電位を有する接続電極22の少なくとも1つとを接続することでグランド電位を持たせている。この構成により、天板18がIDT電極14へのノイズのシールド層としての役割を果たす。
【0052】
図9のグラフは天板18と導体パターン21との距離によるインダクタンス成分の変化を示している。図9の(A)において、横軸は周波数(GHz)を表し、縦軸はL(nH)を表している。図9の(B)において、横軸は周波数(GHz)を表し、縦軸はQを表している。
【0053】
図9の(A)において、特性25、26、27、28、29、30はそれぞれ、天板18と導体パターン21との距離が5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μmの場合における周波数とLとの関係を示している。例えば、周波数が1GHzの場合におけるL値は、特性25(5μm)は0.37nH、特性26(10μm)は0.47nH、特性27(15μm)は0.53nH、特性28(20μm)は0.56nH、特性29(25μm)は0.57nH、特性30(30μm)は0.57nHであった。このように、天板18と導体パターン21との距離を10μm以下とすると、L値の劣化が著しくなることが分かった。
【0054】
図9の(B)において、特性31、32、33、34、35、36はそれぞれ、天板18と導体パターン21との距離が5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μmの場合における周波数とQとの関係を示している。例えば、周波数が1GHzの場合におけるQ値は、特性31(5μm)は5.5、特性32(10μm)は7.8、特性33(15μm)は10.2、特性34(20μm)は11.2、特性35(25μm)は11.6、特性36(30μm)は11.3であった。このように、天板18と導体パターン21との距離を10μm以下とすると、L値の劣化が著しくなることが分かった。
【0055】
以上より、天板18と導体パターン21との距離を15μm以上とすることにより、インダクタンス成分のL及びQの劣化度合いを抑えることができることが分かった。
【0056】
なお、図9の(A)、(B)において、天板18が30μm(蓋体18aが3.5μm、蓋体補強層18bが26.5μm)であり、接着層23が5μm程度としているが、天板18及び接着層23の厚さを変えても、天板18と導体パターン21との距離を15μm以上とすることにより、L及びQの劣化度合いを抑制できる。
【0057】
図10は、本実施の形態における弾性波素子の他の構成の模式図を示している。図10の(A)は、弾性波素子12の上面図であり、(B)は、弾性波素子12の断面図である。図10の(A)及び(B)示すように、導体パターン21は、複数のグランド電位を有する接続電極22と接続されている。これにより、他のグランド端子とパッケージ内で共有化することができ、回路基板(図示せず)に実装後の弾性波素子12の特性変化を抑制できる。
【0058】
図11は、本実施の形態における弾性波素子の他の構成の模式図を示している。図11の(A)は、弾性波素子12の上面図であり、(B)は、弾性波素子12の断面図である。図11の(A)及び(B)示すように、接続電極22は、第1〜第3のグランド電極22a〜22cを有したときに、第1のグランド電極22aはグランド電位となる内部電極15及び導体パターン21と接続され、第2のグランド電極22bはインダクタンス成分となる導体パターン21及び天板18と接続され、第3のグランド電極22cは天板18と外部電極20と接続されている。これにより、他のグランド端子とパッケージ内で共有化することができ、回路基板に実装後の弾性波素子12の特性変化を抑制できる。
【0059】
図12は、本実施の形態における弾性波素子の他の構成の断面模式図を示している。図12に示すように、導体パターン21を覆うように、保護体37を形成することにより、インダクタンスの劣化を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の弾性波素子は、IDT電極とインダクタンスを得るための導体パターンとの干渉を抑制するし、弾性波共振器のQ値を改善することができるので、携帯電話や無線LAN端末等において有用である。
【符号の説明】
【0061】
1 弾性波素子
2 圧電基板
3 IDT電極
4 内部電極
5 支柱体
6 空間
7 天板
8 導体パターン
9 絶縁保護体
10 外部電極
11 接続電極
12 弾性波素子
13 圧電基板
14 IDT電極
15 内部電極
16 支柱体
17 空間
18 天板
19 絶縁保護体
20 外部電極
21 導体パターン
22 接続電極
23 接着層
24 隙間
25〜36 特性
37 保護体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電基板と、
前記圧電基板上に配置されたIDT電極と、
前記圧電基板上に配置され、前記IDT電極に接続された内部電極と、
前記圧電基板上に配置され、前記IDT電極の周囲に設けられた支柱体と、
前記支柱体の上に前記IDT電極の上の空間を覆うように設けられた天板と、
前記支柱体と前記天板とを覆う絶縁保護体と、
前記絶縁保護体上に配置される外部電極と、
前記絶縁保護体上に配置されるインダクタンスを得るための導体パターンと、
前記絶縁保護体を貫通するように設けられ、前記外部電極と前記内部電極とを電気的に接続する接続電極と、を備えた弾性波素子。
【請求項2】
前記天板の一部を金属からなり、さらに前記接続電極と接続することでグランド電位を持たせた請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項3】
前記導体パターンと前記天板とを15μm以上離した請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項4】
前記導体パターンは、複数のグランド電位を有する前記接続電極と接続された請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項5】
前記接続電極は、第1〜第3のグランド電極を有し、
前記第1のグランド電極はグランド電位となる前記内部電極及び前記導体パターンと接続され、
前記第2のグランド電極は前記グランド電位となる前記導体パターン及び前記天板と接続され、
前記第3のグランド電極は前記天板と前記外部電極と接続された請求項1に記載の弾性波素子。
【請求項6】
前記導体パターンを覆う保護体を有する請求項1に記載の弾性波素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−188255(P2011−188255A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51665(P2010−51665)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】