弾性表面波フィルタ
【課題】小型で広帯域かつ低損失なフィルタ特性を有する弾性表面波フィルタを提供する。
【解決手段】弾性表面波フィルタは、第1の入力用IDT11及び第1の出力用IDT12を第1の音響軌道上に配置した第1の2端子対共振子1と、第2の入力用IDT21及び第2の出力用IDT22を第2の音響軌道上に配置し、第2の入力用IDT及び第2の出力用IDTの電極ピッチが第1の入力用IDT及び第1の出力用IDTの電極ピッチと異なる第2の2端子対共振子2と、第3の入力用IDT31及び第3の出力用IDT32を第3の音響軌道上に配置し、第3の入力用IDT及び第3の出力用IDTの電極ピッチが第1の入力用IDT及び第1の出力用IDTの電極ピッチと同一の第3の2端子対共振子3とを有する。
【解決手段】弾性表面波フィルタは、第1の入力用IDT11及び第1の出力用IDT12を第1の音響軌道上に配置した第1の2端子対共振子1と、第2の入力用IDT21及び第2の出力用IDT22を第2の音響軌道上に配置し、第2の入力用IDT及び第2の出力用IDTの電極ピッチが第1の入力用IDT及び第1の出力用IDTの電極ピッチと異なる第2の2端子対共振子2と、第3の入力用IDT31及び第3の出力用IDT32を第3の音響軌道上に配置し、第3の入力用IDT及び第3の出力用IDTの電極ピッチが第1の入力用IDT及び第1の出力用IDTの電極ピッチと同一の第3の2端子対共振子3とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波フィルタは、小型で低損失であることから、携帯電話機等の移動無線通信機器に多用されている。従来の弾性表面波フィルタの例としては、図19に示すようなラダー型フィルタ100が挙げられる。図19において、INは信号入力端子、OUTは信号出力端子である。ラダー型フィルタ100は、圧電基板上に共振周波数の異なる直列腕用の1端子対共振子101と並列腕用の1端子対共振子102とを梯子上に接続してフィルタ特性を得るものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
1端子対共振子101,102は、図20に示すように、圧電基板上に1つのIDT(interdigital transducer :すだれ状電極)110を形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器111,112を配置したものである。ラダー型フィルタは、小型・低損失で広帯域な通過特性を有するため、携帯電話機等のRF(Radio Frequency )段間フィルタや分波器(デュプレクサ)の送信用フィルタ及び受信用フィルタに用いられる。
【0004】
従来の弾性表面波フィルタの別の例としては、図21に示す2端子対共振子フィルタ200が挙げられる。2端子対共振子フィルタ200は、図22に示すように、圧電基板上に入力用IDT210と出力用IDT211とを形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器212,213を配置したものである。IDT210,211の非信号端子は接地されている。2端子対共振子フィルタ200は、小型で、急峻性に優れ狭帯域な通過特性を示すことから、IF(Intermediate Frequency)用として主に使用される。
【0005】
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【特許文献1】特許第3194540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のラダー型フィルタは、小型低損失であるが、所望の減衰特性を得たい場合、直列共振子及び並列共振子の組を複数段従属接続する必要があり、移動通信用機器の小型化が進む現在の状況では外形寸法の小型化が不十分という問題点があった。
また、従来の2端子対共振子フィルタは、1段若しくは2段従属接続することにより所望の通過特性を得ることができ、小型化に有利であるが、通過帯域が狭く、RF帯のフィルタとしては適していないという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、小型で広帯域かつ低損失なフィルタ特性を有する弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の弾性表面波フィルタは、第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極を第1の音響軌道上に配置した第1の2端子対共振子と、第2の入力用すだれ状電極及び第2の出力用すだれ状電極を第2の音響軌道上に配置し、前記第2の入力用すだれ状電極及び第2の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと異なる第2の2端子対共振子と、第3の入力用すだれ状電極及び第3の出力用すだれ状電極を第3の音響軌道上に配置し、前記第3の入力用すだれ状電極及び第3の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと略同一の第3の2端子対共振子とを有し、前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子が信号入力端子に接続され、前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子が信号出力端子に接続され、前記第2の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第2の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第2の入力用すだれ状電極の接地端子及び前記第2の出力用すだれ状電極の接地端子が接地され、前記第3の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第3の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第3の入力用すだれ状電極の接地端子と前記第3の出力用すだれ状電極の接地端子とが接続されるようにしたものである。
【0009】
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、さらに、第4の入力用すだれ状電極及び第4の出力用すだれ状電極を第4の音響軌道上に配置し、前記第4の入力用すだれ状電極及び第4の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと異なる第4の2端子対共振子を有し、前記第4の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子に接続され、前記第4の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子に接続され、前記第4の入力用すだれ状電極の接地端子及び前記第4の出力用すだれ状電極の接地端子が接地されるようにしたものである。
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、さらに、前記第1の入力用すだれ状電極と前記第1の出力用すだれ状電極との間に反射器を挿入したものである。
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、さらに、前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子と前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子との間にコンデンサを挿入したものである。
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、さらに、前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子と前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子との間にコンデンサを挿入したものである。
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、さらに、前記信号入力端子と前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子との間に1端子対共振子を挿入したものである。
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、前記第1の入力用すだれ状電極と前記第1の出力用すだれ状電極との間で電極指の対数を異なる値に設定したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の2端子対共振子に第2の2端子対共振子と第3の2端子対共振子とを接続することにより、従来のラダー型フィルタより小型で広帯域かつ低損失なフィルタ特性を有する弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0011】
また、本発明では、さらに第1の2端子対共振子に第4の2端子対共振子を接続することで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0012】
また、本発明では、さらに第1の入力用すだれ状電極と第1の出力用すだれ状電極との間に反射器を挿入することで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0013】
また、本発明では、さらに第1の入力用すだれ状電極の入力端子と第1の出力用すだれ状電極の出力端子との間にコンデンサを挿入することで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0014】
また、本発明では、さらに第1の入力用すだれ状電極の接地端子と第1の出力用すだれ状電極の接地端子との間にコンデンサを挿入することで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0015】
また、本発明では、さらに信号入力端子と第1の入力用すだれ状電極の入力端子との間に1端子対共振子を挿入することで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0016】
また、本発明では、第1の入力用すだれ状電極と第1の出力用すだれ状電極との間で電極指の対数を異なる値にすることで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、2端子対共振子の接続方法を工夫することより、ラダー型フィルタのような広帯域低損失なフィルタ特性を有し、かつ小型であるという2端子対共振子の利点を有した弾性表面波フィルタを提供する。
【0018】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図、図2は、図1の弾性表面波フィルタのチップレイアウトを示す平面図である。本実施の形態の弾性表面波フィルタは、第1の2端子対共振子1の接地端子に第2の2端子対共振子2と第3の2端子対共振子3とを接続するものである。図1、図2において、INは信号入力端子、OUTは信号出力端子、51は第1の音響軌道、52は第2の音響軌道、53は第3の音響軌道である。
【0019】
第1の2端子対共振子1は、圧電基板の第1の音響軌道51上に入力用IDT11と出力用IDT12とを配置し、さらにその両側にそれぞれ反射器13,14を配置したものである。周知のように、IDT11は、金属からなる櫛状の対向する2つの電極部を有し、各電極部は、対向する電極部に向かって交互に突出した複数の電極指を有している。IDT12も同様の構造である。反射器13,14は、それぞれ複数の電極指を備えている。図1、図2において、15,16,17,18はそれぞれ第1の2端子対共振子1の第1の端子(入力端子)、第2の端子(出力端子)、第3の端子(接地端子)、第4の端子(接地端子)である。
【0020】
第2の2端子対共振子2は、第1の2端子対共振子1と同様に、圧電基板の第2の音響軌道52上に入力用IDT21と出力用IDT22とを配置し、さらにその両側にそれぞれ反射器23,24を配置したものである。この第2の2端子対共振子2のIDT21,22の電極指のピッチは、第1の2端子対共振子1のIDT11,12の電極指のピッチより大きい。したがって、第2の2端子対共振子2の電極周期長は、第1の2端子対共振子1の電極周期長よりも長い値に設定されている。
【0021】
図1、図2において、25,26,27,28はそれぞれ第2の2端子対共振子2の第1の端子(入力端子)、第2の端子(出力端子)、第3の端子(接地端子)、第4の端子(接地端子)である。第2の2端子対共振子2の入力端子25は、第1の2端子対共振子1の接地端子17と接続され、出力端子26は、第1の2端子対共振子1の接地端子18と接続されている。また、第2の2端子対共振子2の接地端子27,28は接地されている。
【0022】
第3の2端子対共振子3は、第1の2端子対共振子1と同様に、圧電基板の第3の音響軌道53上に入力用IDT31と出力用IDT32とを配置し、さらにその両側にそれぞれ反射器33,34を配置したものである。この第3の2端子対共振子3のIDT31,32の電極指のピッチは、第1の2端子対共振子1のIDT11,12の電極指のピッチと略同一である。したがって、第3の2端子対共振子3の電極周期長は、第1の2端子対共振子1の電極周期長と略同一の値に設定されている。第3の2端子対共振子3のIDT31,32の電極指のピッチは、第1の2端子対共振子1のIDT11,12の電極指のピッチと必ずしも同一の値でなくても良く、±3%程度は異なっていても良い。
【0023】
図1、図2において、35,36,37,38はそれぞれ第3の2端子対共振子3の第1の端子(入力端子)、第2の端子(出力端子)、第3の端子(接地端子)、第4の端子(接地端子)である。第3の2端子対共振子3の入力端子35は、第1の2端子対共振子1の接地端子17と接続され、出力端子36は、第1の2端子対共振子1の接地端子18と接続されている。また、第3の2端子対共振子3の接地端子37,38は互いに接続され、接地電位から浮いた状態となっている。
このように、本実施の形態では、2端子対共振子を3段接続することで、従来のラダー型より小型で低損失かつ広帯域な弾性表面波フィルタを実現することが可能となる。
【0024】
本実施の形態では、図2に示す構成を39°回転Y板X伝搬LiTaO3 の圧電基板上に形成した。共振子1〜3の電極材料をAl−Cu4%合金とし、この電極材料の膜厚を390nmとした。第1の2端子対共振子1の共振波長λ1を4.62μm、IDT11,12の電極指の対数を100対、電極指の交差幅を92.4μmとし、反射器13,14の電極指のピッチを2.31μm、電極指の本数を70本とした。IDT11と12間の距離は、0.5λ1であり、IDT11と反射器13間の距離及びIDT12と反射器14間の距離は、IDT11,12の電極指のピッチと同じとした。
【0025】
また、第2の2端子対共振子2の共振波長λ2を4.86μm、IDT21,22の電極指の対数を70対、電極指の交差幅を97.2μmとし、反射器23,24の電極指のピッチを2.31μm、電極指の本数を70本とした。IDT21と22間の距離は、0.5λ2であり、IDT21と反射器23間の距離及びIDT22と反射器24間の距離は、IDT21,22の電極指のピッチと同じとした。
【0026】
さらに、第3の2端子対共振子3の共振波長λ3を4.62μm、IDT31,32の電極指の対数を150対、電極指の交差幅を92.4μmとし、反射器33,34の電極指のピッチを2.31μm、電極指の本数を70本とした。IDT31と32間の距離は、0.5λ3であり、IDT31と反射器33間の距離及びIDT32と反射器34間の距離は、IDT31,32の電極指のピッチと同じとした。なお、各IDT及び反射器のメタライズ比は0.6である。
【0027】
図1、図2に示した弾性表面波フィルタの通過特性を図3に示す。本実施の形態によれば、従来の2端子対共振子フィルタと異なり、広帯域かつ低損失なフィルタ特性が得られることが分かる。また、第1の2端子対共振子1のIDT11,12の電極指の対数と、IDT11と12間の距離と、第2の2端子対共振子2のIDT21,22の電極指の対数と、IDT21と22間の距離とを変更すると、図4に示すように、高域側の減衰特性が急峻になり、減衰帯域も広がるため好ましい。
【0028】
次に、本実施の形態の弾性表面波フィルタの動作について説明する。本実施の形態の弾性表面波フィルタは、2端子対共振子が複数接続された構造を有し、電気的及び音響的結合双方によってフィルタ特性が成り立っている。このため、ラダー型に適用される影像パラメータによる解析や2端子対共振子で考慮する音響的な取り扱いでは説明が困難である。よって、すべての2端子対共振子が対称構造であると仮定し、スミスの等価回路によりIDT、反射器及び伝搬路を表現し、これを電気的及び音響的に接続した対称2端子対等価回路について、後に示す手法により映像パラメータ法に帰着させて動作を考察する。
【0029】
一般に、対称2端子対回路は、偶モード励振したときのインピーダンスをZeven、奇モード励振したときのインピーダンスをZoddとすると、図5に示すような対称格子型回路に変形できる。偶モード励振とは、2端子対回路の両端に大きさと位相が同じ電圧を印加することであり、奇モード励振とは、2端子対回路の両端に大きさが同じで位相が反転した電圧を印加することである。
【0030】
偶モードインピーダンスZeven、奇モードインピーダンスZoddは、それぞれの励振モードにおける電圧と流入する電流の比である。また、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddの値は、回路シミュレータにより容易に計算することができる。図5に示した対称格子型回路は、図6のようなT型回路に容易に変形することができる。
【0031】
図6のT型回路について、影像インピーダンスをZ0、伝搬定数をθとすると、次式が成立する。
【0032】
【数1】
【0033】
影像パラメータ理論によれば、θが虚数のときに通過域、実数のときに減衰域になるから、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddが異符号のときに通過域、同符号のときに減衰域となる。また、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddが同じ値のとき減衰極が生じる。偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddの符号を調べるには、インピーダンスのリアクタンス部の符号を調べればよい。本実施の形態の弾性表面波フィルタにおける偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddのリアクタンス特性を図7に示す。また、図7に対応する通過特性を図8に示す。ただし、図7、図8では、2端子対共振子の音響的結合を説明するため、わざと通過特性にリップルを生じさせている。
【0034】
図7、図8によれば、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddとが異符号の周波数帯域がフィルタ特性の通過域となり、同符号の周波数帯域が減衰域となっている。図7に示した偶モードインピーダンスZevenのリアクタンスがゼロとなる周波数P1,P2,P3,P4は主に第2の2端子対共振子2の電極周期長により定まる。周波数P2,P3は、第2の2端子対共振子2のIDT21と22の間の距離によってP1に縮退したり縮退が解けたりする。偶モードインピーダンスZevenのリアクタンスがゼロとなる周波数P5,P6及び奇モードインピーダンスZoddがゼロとなる周波数P7,P8は、主に第1の2端子対共振子1の電極周期長により定まる。周波数P8,P9は、第1の2端子対共振子1のIDT11と12の間の距離によって、その値が変化する。また、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddとが交差する周波数C1,C2,C3において減衰極が生じる。
【0035】
原理的には、本実施の形態の弾性表面波フィルタを設計する場合は、所望の通過域において偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddが反転するように周波数P1,P2,P7,P8を調整し、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddが交わるC4,C5の周波数が減衰域になるよう調整すればよい。また、IDT間の距離により周波数が変化するC1,C2,C3を所望の減衰域に生じるよう設定すればよい。また、第3の2端子対共振子3の電極周期長を変化させると、奇モードインピーダンスZoddがゼロとなる周波数が新たに生じる。より具体的には、第2の2端子対共振子2の電極周期長を第1及び第3の2端子対共振子1,3の電極周期長より大きくすることにより、大まかな通過域及び減衰域が定まり、IDT間距離や、第1及び第3の2端子対共振子1,3の電極周期長を調整し、通過域減衰域を整えればよい。
以上により、2端子対共振子フィルタの特徴を生かし、ラダー型より小型で低損失かつ急峻な減衰特性を有する弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0036】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図9は、本発明の第2の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図、図10は、図9の弾性表面波フィルタのチップレイアウトを示す平面図であり、図1、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の弾性表面波フィルタは、第1の実施の形態の弾性表面波フィルタにおいて、第1の2端子対共振子1の入力端子と出力端子に第4の2端子対共振子4を接続したものである。
【0037】
第4の2端子対共振子4は、第1の2端子対共振子1と同様に、圧電基板の第4の音響軌道54上に入力用IDT41と出力用IDT42とを配置し、さらにその両側にそれぞれ反射器43,44を配置したものである。この第4の2端子対共振子4のIDT41,42の電極指のピッチは、第1の2端子対共振子1のIDT11,12の電極指のピッチより大きい。したがって、第4の2端子対共振子4の共振波長は、第1の2端子対共振子1の共振波長よりも長い値に設定されている。
【0038】
図1、図2において、45,46,47,48はそれぞれ第4の2端子対共振子4の第1の端子(入力端子)、第2の端子(出力端子)、第3の端子(接地端子)、第4の端子(接地端子)である。第4の2端子対共振子4の入力端子45は、第1の2端子対共振子1の入力端子15と接続され、出力端子46は、第1の2端子対共振子1の出力端子16と接続されている。また、第4の2端子対共振子4の接地端子47,48は接地されている。
本実施の形態のように、2端子対共振子を4段接続することにより、第1の実施の形態に比べてより減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することが可能となる。
【0039】
第1の実施の形態と同様に、圧電基板上に2端子対共振子を4つ形成し、図10のように所定の接続を行った。2端子対共振子1〜3の各設計パラメータは第1の実施の形態と同一とした。また、第4の2端子対共振子4の共振波長λ4を4.86μm、IDT41,42の電極指の対数を70対、電極指の交差幅を97.2μmとし、反射器43,44の電極指のピッチを2.43μm、電極指の本数を70本とした。IDT41と42間の距離は、0.5λ4であり、IDT41と反射器43間の距離及びIDT42と反射器44間の距離は、IDT41,42の電極指のピッチと同じとした。
【0040】
図9、図10に示した弾性表面波フィルタの通過特性を図11に示す。図11によれば、第1の実施の形態に比べて減衰域の減衰量が増大していることが分かる。第2の2端子対共振子2のIDT21と22間の距離を0.66λ2とし、第3の2端子対共振子3のIDT31と32間の距離を0.66λ3としたときの弾性表面波フィルタの通過特性を図12に示す。図12によれば、図11の場合に比べて低域側の減衰域の減衰量が大幅に増大していることが分かる。
【0041】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態の弾性表面波フィルタにおいて、第1の2端子対共振子1のIDT11と12の間に電極指が8本の反射器を配置した。本実施の形態の弾性表面波フィルタの通過特性を図13に示す。本実施の形態では、IDT11と12の間に反射器を配置することにより、第1の実施の形態に比べて減衰域の減衰量を増大させることができる。
【0042】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図14は、本発明の第4の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、第1の実施の形態の弾性表面波フィルタにおいて、第1の2端子対共振子1の入力端子15と出力端子16との間にコンデンサ5を挿入したものである。本実施の形態の弾性表面波フィルタの通過特性を図15に示す。図15の例では、コンデンサ5の容量を0.1pFとしている。本実施の形態では、コンデンサ5を追加することにより、高域側の減衰域の減衰量を増大させると共に、急峻に減衰させることができる。
【0043】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図16は、本発明の第5の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、第1の実施の形態の弾性表面波フィルタにおいて、第1の2端子対共振子1の接地端子17と接地端子18との間にコンデンサ6を挿入したものである。本実施の形態の弾性表面波フィルタの通過特性を図17に示す。図17の例では、コンデンサ5の容量を3pFとしている。本実施の形態では、コンデンサ6を追加することにより、低域側及び高域側の減衰域において急峻に減衰させることができる。
なお、第4、第5の実施の形態におけるコンデンサ5,6の実現方法は特に限定されないが、圧電基板上に櫛形電極等のパターンを形成すれば容易に実現できる。
【0044】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図18は、本発明の第6の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、第1の実施の形態の弾性表面波フィルタにおいて、信号入力端子INと第1の2端子対共振子1の入力端子15との間に1端子対共振子7を挿入したものである。図20で説明したように、1端子対共振子7は、圧電基板上に1つのIDTを形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器を配置したものである。本実施の形態では、1端子対共振子7を追加することにより、減衰域の減衰量を更に増大させることができる。
【0045】
なお、第3〜第6の実施の形態では、第1の実施の形態に適用する場合を例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、第2の実施の形態に適用してもよいことは言うまでもない。
【0046】
また、第1〜第6の実施の形態における2端子対共振子1〜4において、入力用IDTと出力用IDTとの間で電極指のピッチや対数、交差幅を変えてもよい。第1〜第6の実施の形態では、入力用IDTと出力用IDTの電極指の対数を同一にしているが、第1の2端子対共振子1において入力用IDT11と出力用IDT12との間で電極指の対数を異なる値にすれば、減衰特性をより急峻にすることができる。例えば第1の実施の形態では、IDT11,12の電極指の対数を100対としたのに対し、IDT11の電極指の対数を100.5対、IDT12の電極指の対数を100対とすればよい。100.5対とは、IDT11の櫛状の対向する2つの電極部のうち、一方の電極部の電極指の本数が101本で、他方の電極部の電極指の本数が100本であることを意味する。
【0047】
また、入力用IDTと出力用IDTとの距離も所望の特性に合わせて変えてよい。また、反射器の電極ピッチ及び電極の本数、反射器とIDTとの距離も適宜設定すればよい。挿入損失の点では反射器を設けた方が有利であるが、場合によっては反射器を省略してもよい。また、弾性表面波フィルタの入出力に、共振子やインダクタやコンデンサを付加しても良い。また、2端子対共振子を接地する場合、ワイヤやパッケージの配線等を用いてインダクタンスを接続してもよい。また、第1〜第6の実施の形態において、使用する圧電基板は種々変更可能である。電極材料も、Al−Cuに限らず種々の合金、多層膜、高配向膜を用いてよく、表面にSiO2 等の保護膜を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば携帯電話機のRF帯のフィルタに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【図2】図1の弾性表面波フィルタのチップレイアウトを示す平面図である。
【図3】図1の弾性表面波フィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図4】図1の弾性表面波フィルタの通過特性の他の例を示す図である。
【図5】対称2端子対回路を変形した対称格子型回路の等価回路図である。
【図6】図5の対称格子型回路を変形したT型回路の等価回路図である。
【図7】図1の弾性表面波フィルタにおける偶モードインピーダンスと奇モードインピーダンスのリアクタンス特性の1例を示す図である。
【図8】図7に対応する通過特性を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【図10】図9の弾性表面波フィルタのチップレイアウトを示す平面図である。
【図11】図9の弾性表面波フィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図12】図9の弾性表面波フィルタの通過特性の他の例を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態となる弾性表面波フィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【図15】図14の弾性表面波フィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【図17】図16の弾性表面波フィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【図19】従来のラダー型フィルタの等価回路図である。
【図20】図19のラダー型フィルタを構成する1端子対共振子の平面図である。
【図21】従来の2端子対共振子フィルタの等価回路図である。
【図22】図21の2端子対共振子フィルタの平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…第1の2端子対共振子、2…第2の2端子対共振子、3…第3の2端子対共振子、4…第4の2端子対共振子5、6…コンデンサ、7…1端子対共振子、11、21、31、41…入力用IDT、12、22、32、42…出力用IDT、13、14、23、24、33、34、43、44…反射器、51…第1の音響軌道、52…第2の音響軌道、53…第3の音響軌道、54…第4の音響軌道。
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波フィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波フィルタは、小型で低損失であることから、携帯電話機等の移動無線通信機器に多用されている。従来の弾性表面波フィルタの例としては、図19に示すようなラダー型フィルタ100が挙げられる。図19において、INは信号入力端子、OUTは信号出力端子である。ラダー型フィルタ100は、圧電基板上に共振周波数の異なる直列腕用の1端子対共振子101と並列腕用の1端子対共振子102とを梯子上に接続してフィルタ特性を得るものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
1端子対共振子101,102は、図20に示すように、圧電基板上に1つのIDT(interdigital transducer :すだれ状電極)110を形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器111,112を配置したものである。ラダー型フィルタは、小型・低損失で広帯域な通過特性を有するため、携帯電話機等のRF(Radio Frequency )段間フィルタや分波器(デュプレクサ)の送信用フィルタ及び受信用フィルタに用いられる。
【0004】
従来の弾性表面波フィルタの別の例としては、図21に示す2端子対共振子フィルタ200が挙げられる。2端子対共振子フィルタ200は、図22に示すように、圧電基板上に入力用IDT210と出力用IDT211とを形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器212,213を配置したものである。IDT210,211の非信号端子は接地されている。2端子対共振子フィルタ200は、小型で、急峻性に優れ狭帯域な通過特性を示すことから、IF(Intermediate Frequency)用として主に使用される。
【0005】
なお、出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【特許文献1】特許第3194540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のラダー型フィルタは、小型低損失であるが、所望の減衰特性を得たい場合、直列共振子及び並列共振子の組を複数段従属接続する必要があり、移動通信用機器の小型化が進む現在の状況では外形寸法の小型化が不十分という問題点があった。
また、従来の2端子対共振子フィルタは、1段若しくは2段従属接続することにより所望の通過特性を得ることができ、小型化に有利であるが、通過帯域が狭く、RF帯のフィルタとしては適していないという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、小型で広帯域かつ低損失なフィルタ特性を有する弾性表面波フィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の弾性表面波フィルタは、第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極を第1の音響軌道上に配置した第1の2端子対共振子と、第2の入力用すだれ状電極及び第2の出力用すだれ状電極を第2の音響軌道上に配置し、前記第2の入力用すだれ状電極及び第2の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと異なる第2の2端子対共振子と、第3の入力用すだれ状電極及び第3の出力用すだれ状電極を第3の音響軌道上に配置し、前記第3の入力用すだれ状電極及び第3の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと略同一の第3の2端子対共振子とを有し、前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子が信号入力端子に接続され、前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子が信号出力端子に接続され、前記第2の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第2の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第2の入力用すだれ状電極の接地端子及び前記第2の出力用すだれ状電極の接地端子が接地され、前記第3の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第3の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第3の入力用すだれ状電極の接地端子と前記第3の出力用すだれ状電極の接地端子とが接続されるようにしたものである。
【0009】
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、さらに、第4の入力用すだれ状電極及び第4の出力用すだれ状電極を第4の音響軌道上に配置し、前記第4の入力用すだれ状電極及び第4の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと異なる第4の2端子対共振子を有し、前記第4の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子に接続され、前記第4の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子に接続され、前記第4の入力用すだれ状電極の接地端子及び前記第4の出力用すだれ状電極の接地端子が接地されるようにしたものである。
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、さらに、前記第1の入力用すだれ状電極と前記第1の出力用すだれ状電極との間に反射器を挿入したものである。
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、さらに、前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子と前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子との間にコンデンサを挿入したものである。
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、さらに、前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子と前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子との間にコンデンサを挿入したものである。
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、さらに、前記信号入力端子と前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子との間に1端子対共振子を挿入したものである。
また、本発明の弾性表面波フィルタの1構成例は、前記第1の入力用すだれ状電極と前記第1の出力用すだれ状電極との間で電極指の対数を異なる値に設定したものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の2端子対共振子に第2の2端子対共振子と第3の2端子対共振子とを接続することにより、従来のラダー型フィルタより小型で広帯域かつ低損失なフィルタ特性を有する弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0011】
また、本発明では、さらに第1の2端子対共振子に第4の2端子対共振子を接続することで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0012】
また、本発明では、さらに第1の入力用すだれ状電極と第1の出力用すだれ状電極との間に反射器を挿入することで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0013】
また、本発明では、さらに第1の入力用すだれ状電極の入力端子と第1の出力用すだれ状電極の出力端子との間にコンデンサを挿入することで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0014】
また、本発明では、さらに第1の入力用すだれ状電極の接地端子と第1の出力用すだれ状電極の接地端子との間にコンデンサを挿入することで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0015】
また、本発明では、さらに信号入力端子と第1の入力用すだれ状電極の入力端子との間に1端子対共振子を挿入することで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0016】
また、本発明では、第1の入力用すだれ状電極と第1の出力用すだれ状電極との間で電極指の対数を異なる値にすることで、より減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、2端子対共振子の接続方法を工夫することより、ラダー型フィルタのような広帯域低損失なフィルタ特性を有し、かつ小型であるという2端子対共振子の利点を有した弾性表面波フィルタを提供する。
【0018】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図、図2は、図1の弾性表面波フィルタのチップレイアウトを示す平面図である。本実施の形態の弾性表面波フィルタは、第1の2端子対共振子1の接地端子に第2の2端子対共振子2と第3の2端子対共振子3とを接続するものである。図1、図2において、INは信号入力端子、OUTは信号出力端子、51は第1の音響軌道、52は第2の音響軌道、53は第3の音響軌道である。
【0019】
第1の2端子対共振子1は、圧電基板の第1の音響軌道51上に入力用IDT11と出力用IDT12とを配置し、さらにその両側にそれぞれ反射器13,14を配置したものである。周知のように、IDT11は、金属からなる櫛状の対向する2つの電極部を有し、各電極部は、対向する電極部に向かって交互に突出した複数の電極指を有している。IDT12も同様の構造である。反射器13,14は、それぞれ複数の電極指を備えている。図1、図2において、15,16,17,18はそれぞれ第1の2端子対共振子1の第1の端子(入力端子)、第2の端子(出力端子)、第3の端子(接地端子)、第4の端子(接地端子)である。
【0020】
第2の2端子対共振子2は、第1の2端子対共振子1と同様に、圧電基板の第2の音響軌道52上に入力用IDT21と出力用IDT22とを配置し、さらにその両側にそれぞれ反射器23,24を配置したものである。この第2の2端子対共振子2のIDT21,22の電極指のピッチは、第1の2端子対共振子1のIDT11,12の電極指のピッチより大きい。したがって、第2の2端子対共振子2の電極周期長は、第1の2端子対共振子1の電極周期長よりも長い値に設定されている。
【0021】
図1、図2において、25,26,27,28はそれぞれ第2の2端子対共振子2の第1の端子(入力端子)、第2の端子(出力端子)、第3の端子(接地端子)、第4の端子(接地端子)である。第2の2端子対共振子2の入力端子25は、第1の2端子対共振子1の接地端子17と接続され、出力端子26は、第1の2端子対共振子1の接地端子18と接続されている。また、第2の2端子対共振子2の接地端子27,28は接地されている。
【0022】
第3の2端子対共振子3は、第1の2端子対共振子1と同様に、圧電基板の第3の音響軌道53上に入力用IDT31と出力用IDT32とを配置し、さらにその両側にそれぞれ反射器33,34を配置したものである。この第3の2端子対共振子3のIDT31,32の電極指のピッチは、第1の2端子対共振子1のIDT11,12の電極指のピッチと略同一である。したがって、第3の2端子対共振子3の電極周期長は、第1の2端子対共振子1の電極周期長と略同一の値に設定されている。第3の2端子対共振子3のIDT31,32の電極指のピッチは、第1の2端子対共振子1のIDT11,12の電極指のピッチと必ずしも同一の値でなくても良く、±3%程度は異なっていても良い。
【0023】
図1、図2において、35,36,37,38はそれぞれ第3の2端子対共振子3の第1の端子(入力端子)、第2の端子(出力端子)、第3の端子(接地端子)、第4の端子(接地端子)である。第3の2端子対共振子3の入力端子35は、第1の2端子対共振子1の接地端子17と接続され、出力端子36は、第1の2端子対共振子1の接地端子18と接続されている。また、第3の2端子対共振子3の接地端子37,38は互いに接続され、接地電位から浮いた状態となっている。
このように、本実施の形態では、2端子対共振子を3段接続することで、従来のラダー型より小型で低損失かつ広帯域な弾性表面波フィルタを実現することが可能となる。
【0024】
本実施の形態では、図2に示す構成を39°回転Y板X伝搬LiTaO3 の圧電基板上に形成した。共振子1〜3の電極材料をAl−Cu4%合金とし、この電極材料の膜厚を390nmとした。第1の2端子対共振子1の共振波長λ1を4.62μm、IDT11,12の電極指の対数を100対、電極指の交差幅を92.4μmとし、反射器13,14の電極指のピッチを2.31μm、電極指の本数を70本とした。IDT11と12間の距離は、0.5λ1であり、IDT11と反射器13間の距離及びIDT12と反射器14間の距離は、IDT11,12の電極指のピッチと同じとした。
【0025】
また、第2の2端子対共振子2の共振波長λ2を4.86μm、IDT21,22の電極指の対数を70対、電極指の交差幅を97.2μmとし、反射器23,24の電極指のピッチを2.31μm、電極指の本数を70本とした。IDT21と22間の距離は、0.5λ2であり、IDT21と反射器23間の距離及びIDT22と反射器24間の距離は、IDT21,22の電極指のピッチと同じとした。
【0026】
さらに、第3の2端子対共振子3の共振波長λ3を4.62μm、IDT31,32の電極指の対数を150対、電極指の交差幅を92.4μmとし、反射器33,34の電極指のピッチを2.31μm、電極指の本数を70本とした。IDT31と32間の距離は、0.5λ3であり、IDT31と反射器33間の距離及びIDT32と反射器34間の距離は、IDT31,32の電極指のピッチと同じとした。なお、各IDT及び反射器のメタライズ比は0.6である。
【0027】
図1、図2に示した弾性表面波フィルタの通過特性を図3に示す。本実施の形態によれば、従来の2端子対共振子フィルタと異なり、広帯域かつ低損失なフィルタ特性が得られることが分かる。また、第1の2端子対共振子1のIDT11,12の電極指の対数と、IDT11と12間の距離と、第2の2端子対共振子2のIDT21,22の電極指の対数と、IDT21と22間の距離とを変更すると、図4に示すように、高域側の減衰特性が急峻になり、減衰帯域も広がるため好ましい。
【0028】
次に、本実施の形態の弾性表面波フィルタの動作について説明する。本実施の形態の弾性表面波フィルタは、2端子対共振子が複数接続された構造を有し、電気的及び音響的結合双方によってフィルタ特性が成り立っている。このため、ラダー型に適用される影像パラメータによる解析や2端子対共振子で考慮する音響的な取り扱いでは説明が困難である。よって、すべての2端子対共振子が対称構造であると仮定し、スミスの等価回路によりIDT、反射器及び伝搬路を表現し、これを電気的及び音響的に接続した対称2端子対等価回路について、後に示す手法により映像パラメータ法に帰着させて動作を考察する。
【0029】
一般に、対称2端子対回路は、偶モード励振したときのインピーダンスをZeven、奇モード励振したときのインピーダンスをZoddとすると、図5に示すような対称格子型回路に変形できる。偶モード励振とは、2端子対回路の両端に大きさと位相が同じ電圧を印加することであり、奇モード励振とは、2端子対回路の両端に大きさが同じで位相が反転した電圧を印加することである。
【0030】
偶モードインピーダンスZeven、奇モードインピーダンスZoddは、それぞれの励振モードにおける電圧と流入する電流の比である。また、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddの値は、回路シミュレータにより容易に計算することができる。図5に示した対称格子型回路は、図6のようなT型回路に容易に変形することができる。
【0031】
図6のT型回路について、影像インピーダンスをZ0、伝搬定数をθとすると、次式が成立する。
【0032】
【数1】
【0033】
影像パラメータ理論によれば、θが虚数のときに通過域、実数のときに減衰域になるから、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddが異符号のときに通過域、同符号のときに減衰域となる。また、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddが同じ値のとき減衰極が生じる。偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddの符号を調べるには、インピーダンスのリアクタンス部の符号を調べればよい。本実施の形態の弾性表面波フィルタにおける偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddのリアクタンス特性を図7に示す。また、図7に対応する通過特性を図8に示す。ただし、図7、図8では、2端子対共振子の音響的結合を説明するため、わざと通過特性にリップルを生じさせている。
【0034】
図7、図8によれば、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddとが異符号の周波数帯域がフィルタ特性の通過域となり、同符号の周波数帯域が減衰域となっている。図7に示した偶モードインピーダンスZevenのリアクタンスがゼロとなる周波数P1,P2,P3,P4は主に第2の2端子対共振子2の電極周期長により定まる。周波数P2,P3は、第2の2端子対共振子2のIDT21と22の間の距離によってP1に縮退したり縮退が解けたりする。偶モードインピーダンスZevenのリアクタンスがゼロとなる周波数P5,P6及び奇モードインピーダンスZoddがゼロとなる周波数P7,P8は、主に第1の2端子対共振子1の電極周期長により定まる。周波数P8,P9は、第1の2端子対共振子1のIDT11と12の間の距離によって、その値が変化する。また、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddとが交差する周波数C1,C2,C3において減衰極が生じる。
【0035】
原理的には、本実施の形態の弾性表面波フィルタを設計する場合は、所望の通過域において偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddが反転するように周波数P1,P2,P7,P8を調整し、偶モードインピーダンスZevenと奇モードインピーダンスZoddが交わるC4,C5の周波数が減衰域になるよう調整すればよい。また、IDT間の距離により周波数が変化するC1,C2,C3を所望の減衰域に生じるよう設定すればよい。また、第3の2端子対共振子3の電極周期長を変化させると、奇モードインピーダンスZoddがゼロとなる周波数が新たに生じる。より具体的には、第2の2端子対共振子2の電極周期長を第1及び第3の2端子対共振子1,3の電極周期長より大きくすることにより、大まかな通過域及び減衰域が定まり、IDT間距離や、第1及び第3の2端子対共振子1,3の電極周期長を調整し、通過域減衰域を整えればよい。
以上により、2端子対共振子フィルタの特徴を生かし、ラダー型より小型で低損失かつ急峻な減衰特性を有する弾性表面波フィルタを実現することができる。
【0036】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図9は、本発明の第2の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図、図10は、図9の弾性表面波フィルタのチップレイアウトを示す平面図であり、図1、図2と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態の弾性表面波フィルタは、第1の実施の形態の弾性表面波フィルタにおいて、第1の2端子対共振子1の入力端子と出力端子に第4の2端子対共振子4を接続したものである。
【0037】
第4の2端子対共振子4は、第1の2端子対共振子1と同様に、圧電基板の第4の音響軌道54上に入力用IDT41と出力用IDT42とを配置し、さらにその両側にそれぞれ反射器43,44を配置したものである。この第4の2端子対共振子4のIDT41,42の電極指のピッチは、第1の2端子対共振子1のIDT11,12の電極指のピッチより大きい。したがって、第4の2端子対共振子4の共振波長は、第1の2端子対共振子1の共振波長よりも長い値に設定されている。
【0038】
図1、図2において、45,46,47,48はそれぞれ第4の2端子対共振子4の第1の端子(入力端子)、第2の端子(出力端子)、第3の端子(接地端子)、第4の端子(接地端子)である。第4の2端子対共振子4の入力端子45は、第1の2端子対共振子1の入力端子15と接続され、出力端子46は、第1の2端子対共振子1の出力端子16と接続されている。また、第4の2端子対共振子4の接地端子47,48は接地されている。
本実施の形態のように、2端子対共振子を4段接続することにより、第1の実施の形態に比べてより減衰特性に優れた弾性表面波フィルタを実現することが可能となる。
【0039】
第1の実施の形態と同様に、圧電基板上に2端子対共振子を4つ形成し、図10のように所定の接続を行った。2端子対共振子1〜3の各設計パラメータは第1の実施の形態と同一とした。また、第4の2端子対共振子4の共振波長λ4を4.86μm、IDT41,42の電極指の対数を70対、電極指の交差幅を97.2μmとし、反射器43,44の電極指のピッチを2.43μm、電極指の本数を70本とした。IDT41と42間の距離は、0.5λ4であり、IDT41と反射器43間の距離及びIDT42と反射器44間の距離は、IDT41,42の電極指のピッチと同じとした。
【0040】
図9、図10に示した弾性表面波フィルタの通過特性を図11に示す。図11によれば、第1の実施の形態に比べて減衰域の減衰量が増大していることが分かる。第2の2端子対共振子2のIDT21と22間の距離を0.66λ2とし、第3の2端子対共振子3のIDT31と32間の距離を0.66λ3としたときの弾性表面波フィルタの通過特性を図12に示す。図12によれば、図11の場合に比べて低域側の減衰域の減衰量が大幅に増大していることが分かる。
【0041】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態では、第1の実施の形態の弾性表面波フィルタにおいて、第1の2端子対共振子1のIDT11と12の間に電極指が8本の反射器を配置した。本実施の形態の弾性表面波フィルタの通過特性を図13に示す。本実施の形態では、IDT11と12の間に反射器を配置することにより、第1の実施の形態に比べて減衰域の減衰量を増大させることができる。
【0042】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図14は、本発明の第4の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、第1の実施の形態の弾性表面波フィルタにおいて、第1の2端子対共振子1の入力端子15と出力端子16との間にコンデンサ5を挿入したものである。本実施の形態の弾性表面波フィルタの通過特性を図15に示す。図15の例では、コンデンサ5の容量を0.1pFとしている。本実施の形態では、コンデンサ5を追加することにより、高域側の減衰域の減衰量を増大させると共に、急峻に減衰させることができる。
【0043】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図16は、本発明の第5の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、第1の実施の形態の弾性表面波フィルタにおいて、第1の2端子対共振子1の接地端子17と接地端子18との間にコンデンサ6を挿入したものである。本実施の形態の弾性表面波フィルタの通過特性を図17に示す。図17の例では、コンデンサ5の容量を3pFとしている。本実施の形態では、コンデンサ6を追加することにより、低域側及び高域側の減衰域において急峻に減衰させることができる。
なお、第4、第5の実施の形態におけるコンデンサ5,6の実現方法は特に限定されないが、圧電基板上に櫛形電極等のパターンを形成すれば容易に実現できる。
【0044】
[第6の実施の形態]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。図18は、本発明の第6の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。本実施の形態は、第1の実施の形態の弾性表面波フィルタにおいて、信号入力端子INと第1の2端子対共振子1の入力端子15との間に1端子対共振子7を挿入したものである。図20で説明したように、1端子対共振子7は、圧電基板上に1つのIDTを形成し、さらにその両側にそれぞれ反射器を配置したものである。本実施の形態では、1端子対共振子7を追加することにより、減衰域の減衰量を更に増大させることができる。
【0045】
なお、第3〜第6の実施の形態では、第1の実施の形態に適用する場合を例に挙げて説明しているが、これに限るものではなく、第2の実施の形態に適用してもよいことは言うまでもない。
【0046】
また、第1〜第6の実施の形態における2端子対共振子1〜4において、入力用IDTと出力用IDTとの間で電極指のピッチや対数、交差幅を変えてもよい。第1〜第6の実施の形態では、入力用IDTと出力用IDTの電極指の対数を同一にしているが、第1の2端子対共振子1において入力用IDT11と出力用IDT12との間で電極指の対数を異なる値にすれば、減衰特性をより急峻にすることができる。例えば第1の実施の形態では、IDT11,12の電極指の対数を100対としたのに対し、IDT11の電極指の対数を100.5対、IDT12の電極指の対数を100対とすればよい。100.5対とは、IDT11の櫛状の対向する2つの電極部のうち、一方の電極部の電極指の本数が101本で、他方の電極部の電極指の本数が100本であることを意味する。
【0047】
また、入力用IDTと出力用IDTとの距離も所望の特性に合わせて変えてよい。また、反射器の電極ピッチ及び電極の本数、反射器とIDTとの距離も適宜設定すればよい。挿入損失の点では反射器を設けた方が有利であるが、場合によっては反射器を省略してもよい。また、弾性表面波フィルタの入出力に、共振子やインダクタやコンデンサを付加しても良い。また、2端子対共振子を接地する場合、ワイヤやパッケージの配線等を用いてインダクタンスを接続してもよい。また、第1〜第6の実施の形態において、使用する圧電基板は種々変更可能である。電極材料も、Al−Cuに限らず種々の合金、多層膜、高配向膜を用いてよく、表面にSiO2 等の保護膜を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、例えば携帯電話機のRF帯のフィルタに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【図2】図1の弾性表面波フィルタのチップレイアウトを示す平面図である。
【図3】図1の弾性表面波フィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図4】図1の弾性表面波フィルタの通過特性の他の例を示す図である。
【図5】対称2端子対回路を変形した対称格子型回路の等価回路図である。
【図6】図5の対称格子型回路を変形したT型回路の等価回路図である。
【図7】図1の弾性表面波フィルタにおける偶モードインピーダンスと奇モードインピーダンスのリアクタンス特性の1例を示す図である。
【図8】図7に対応する通過特性を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【図10】図9の弾性表面波フィルタのチップレイアウトを示す平面図である。
【図11】図9の弾性表面波フィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図12】図9の弾性表面波フィルタの通過特性の他の例を示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態となる弾性表面波フィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【図15】図14の弾性表面波フィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【図17】図16の弾性表面波フィルタの通過特性の1例を示す図である。
【図18】本発明の第6の実施の形態となる弾性表面波フィルタの等価回路図である。
【図19】従来のラダー型フィルタの等価回路図である。
【図20】図19のラダー型フィルタを構成する1端子対共振子の平面図である。
【図21】従来の2端子対共振子フィルタの等価回路図である。
【図22】図21の2端子対共振子フィルタの平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1…第1の2端子対共振子、2…第2の2端子対共振子、3…第3の2端子対共振子、4…第4の2端子対共振子5、6…コンデンサ、7…1端子対共振子、11、21、31、41…入力用IDT、12、22、32、42…出力用IDT、13、14、23、24、33、34、43、44…反射器、51…第1の音響軌道、52…第2の音響軌道、53…第3の音響軌道、54…第4の音響軌道。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極を第1の音響軌道上に配置した第1の2端子対共振子と、
第2の入力用すだれ状電極及び第2の出力用すだれ状電極を第2の音響軌道上に配置し、前記第2の入力用すだれ状電極及び第2の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと異なる第2の2端子対共振子と、
第3の入力用すだれ状電極及び第3の出力用すだれ状電極を第3の音響軌道上に配置し、前記第3の入力用すだれ状電極及び第3の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと略同一の第3の2端子対共振子とを有し、
前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子が信号入力端子に接続され、前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子が信号出力端子に接続され、前記第2の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第2の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第2の入力用すだれ状電極の接地端子及び前記第2の出力用すだれ状電極の接地端子が接地され、前記第3の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第3の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第3の入力用すだれ状電極の接地端子と前記第3の出力用すだれ状電極の接地端子とが接続されることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項2】
請求項1記載の弾性表面波フィルタにおいて、
さらに、第4の入力用すだれ状電極及び第4の出力用すだれ状電極を第4の音響軌道上に配置し、前記第4の入力用すだれ状電極及び第4の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと異なる第4の2端子対共振子を有し、
前記第4の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子に接続され、前記第4の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子に接続され、前記第4の入力用すだれ状電極の接地端子及び前記第4の出力用すだれ状電極の接地端子が接地されることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の弾性表面波フィルタにおいて、
さらに、前記第1の入力用すだれ状電極と前記第1の出力用すだれ状電極との間に反射器を挿入したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項4】
請求項1又は2記載の弾性表面波フィルタにおいて、
さらに、前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子と前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子との間にコンデンサを挿入したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項5】
請求項1又は2記載の弾性表面波フィルタにおいて、
さらに、前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子と前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子との間にコンデンサを挿入したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項6】
請求項1又は2記載の弾性表面波フィルタにおいて、
さらに、前記信号入力端子と前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子との間に1端子対共振子を挿入したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項7】
請求項1又は2記載の弾性表面波フィルタにおいて、
前記第1の入力用すだれ状電極と前記第1の出力用すだれ状電極との間で電極指の対数を異なる値にすることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項1】
第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極を第1の音響軌道上に配置した第1の2端子対共振子と、
第2の入力用すだれ状電極及び第2の出力用すだれ状電極を第2の音響軌道上に配置し、前記第2の入力用すだれ状電極及び第2の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと異なる第2の2端子対共振子と、
第3の入力用すだれ状電極及び第3の出力用すだれ状電極を第3の音響軌道上に配置し、前記第3の入力用すだれ状電極及び第3の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと略同一の第3の2端子対共振子とを有し、
前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子が信号入力端子に接続され、前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子が信号出力端子に接続され、前記第2の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第2の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第2の入力用すだれ状電極の接地端子及び前記第2の出力用すだれ状電極の接地端子が接地され、前記第3の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第3の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子に接続され、前記第3の入力用すだれ状電極の接地端子と前記第3の出力用すだれ状電極の接地端子とが接続されることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項2】
請求項1記載の弾性表面波フィルタにおいて、
さらに、第4の入力用すだれ状電極及び第4の出力用すだれ状電極を第4の音響軌道上に配置し、前記第4の入力用すだれ状電極及び第4の出力用すだれ状電極の電極ピッチが前記第1の入力用すだれ状電極及び第1の出力用すだれ状電極の電極ピッチと異なる第4の2端子対共振子を有し、
前記第4の入力用すだれ状電極の入力端子が前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子に接続され、前記第4の出力用すだれ状電極の出力端子が前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子に接続され、前記第4の入力用すだれ状電極の接地端子及び前記第4の出力用すだれ状電極の接地端子が接地されることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の弾性表面波フィルタにおいて、
さらに、前記第1の入力用すだれ状電極と前記第1の出力用すだれ状電極との間に反射器を挿入したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項4】
請求項1又は2記載の弾性表面波フィルタにおいて、
さらに、前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子と前記第1の出力用すだれ状電極の出力端子との間にコンデンサを挿入したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項5】
請求項1又は2記載の弾性表面波フィルタにおいて、
さらに、前記第1の入力用すだれ状電極の接地端子と前記第1の出力用すだれ状電極の接地端子との間にコンデンサを挿入したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項6】
請求項1又は2記載の弾性表面波フィルタにおいて、
さらに、前記信号入力端子と前記第1の入力用すだれ状電極の入力端子との間に1端子対共振子を挿入したことを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【請求項7】
請求項1又は2記載の弾性表面波フィルタにおいて、
前記第1の入力用すだれ状電極と前記第1の出力用すだれ状電極との間で電極指の対数を異なる値にすることを特徴とする弾性表面波フィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−270179(P2006−270179A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−81541(P2005−81541)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】
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