説明

弾球遊技機

【課題】開放された入賞口に入賞しなかった遊技球に対して興味を抱かせるとともに、入賞口が開放されているときから閉止された後にまで興味を持続させることができる弾球遊技機を提供する。
【解決手段】発射口を含む第1領域61と発射口を含まない第2領域62と、第1領域61から第2領域62への遊技球の移動を禁止する境界部材55と、第1領域61と第2領域62とを連通する連通路57と、第1領域61に設けられる第1入賞口58と、第1入賞口58を開閉する第1開閉扉70と、第1開閉扉70の開閉に連動して連通路57を介した第1領域61から第2領域62への遊技球の移動を禁止又は許容する可動部材80とを備える。可動部材80は、第1開閉扉70が閉止状態のときは連通路57を閉止し連通路57を介した遊技球の移動を禁止して遊技球を貯留し、第1開閉扉70が開放状態のときは遊技球の連通路57を介した移動を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ遊技機等の弾球遊技機には、ハンドル操作によって遊技球を発射する発射装置が設けられ、この発射装置によって発射された遊技球が特定入賞口(始動入賞口)を通過するのに応じて、表示装置に表示される特別図柄の変動(電子的な当否抽選)が開始される。そして、当否抽選の結果当選した場合には、表示装置に所定の特別図柄の組み合わせが表示され、遊技者にとって有利な大当たり遊技状態が生起される。大当たり遊技状態では、特別入賞口(大入賞口)が開閉して遊技球を受け入れるので、遊技者は多くの賞球を獲得することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−323867公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記一般的な弾球遊技機では、特別入賞口の開閉時における遊技者の関心は、特別入賞口に遊技球が入賞するか否かに集中し、入賞しなかった遊技球は遊技者の興味の対象になり難い。このため、例えば開閉回数が少なく開放時間が短い場合などのように特別入賞口の開閉の態様によっては、特別入賞口の開閉に遊技者の関心を惹き付けることができず、遊技の単調化を招くおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、入賞口の開閉時の遊技者に対して変化に富んだ遊技を提供することが可能な弾球遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、遊技球を発射して遊技盤の盤面上の発射口から盤面上の遊技領域に進入させて遊技を行う弾球遊技機であって、第1領域と、第2領域と、境界部材と、連通路と、振り分け機構と、第1入賞口と、第1開閉扉とを備える。第1領域は、遊技領域内の領域であって、発射口を含む。第2領域は、遊技領域内の領域であって、発射口を含まない。境界部材は、第1領域から第2領域への遊技球の移動を禁止する。連通路は、第1領域と第2領域とを連通する。振り分け機構は、連通路を介した第1領域から第2領域への遊技球の移動を禁止又は許容する。第1入賞口は、第1領域に設けられる。第1開閉扉は、第1入賞口を開閉する。
【0007】
振り分け機構は、第1開閉扉の開閉に連動する可動部材を有する。
【0008】
可動部材は、第1開閉扉が閉止状態にあるときは、連通路を閉止し連通路を介した遊技球の移動を禁止した状態で遊技球を貯留し、第1開閉扉が開放状態にあるときは、連通路を開放して貯留した遊技球の連通路を介した移動を許容する。
【0009】
上記構成では、第1開閉扉が閉止状態のときには遊技球が貯留され得るとともに、第1開閉扉が開放状態にあるときには、貯留された遊技球の第2領域への移動が許容される。従って、第1入賞口に入賞できない状態である第1開閉扉の閉止状態及び開移動時に遊技者の関心を惹き付けることができる。
【0010】
また、第1開閉扉が開放状態にされることによって、第1入賞口が開放されるとともに、連通路を介した第1領域から第2領域への遊技球の移動が許容される。これにより、第1入賞口が開放されているときに発射した遊技球が、第1入賞口に入賞しなかった場合であっても、遊技球が第1領域から第2領域へ移動する可能性が生じる。従って、第1開閉扉の開放時に遊技者に対して変化に富んだ遊技を提供することができ、第1開閉扉の開閉に遊技者の関心を惹き付けることができる。
【0011】
また、第1開閉扉の開放状態のときに、第1領域から第2領域への遊技球の移動を許容するため、第2領域へ移動した遊技球に対して第1開閉扉が閉止された後に遊技者の興味を持続させることができる。また、第2領域に、入賞口、スルーチャッカー、可動役物などを配置し、第2領域に移動した遊技球の挙動に変化を与えることによって、遊技者の興味を長く持続させることができる。
【0012】
また、上記弾球遊技機は、第1領域から連通路へ遊技球が移動し易い状態と移動し難い状態とに設定される可動片をさら備えてもよい。
【0013】
上記構成では、第1開閉扉が閉止状態のときに、遊技球が移動し易い状態と移動し難い状態とに可動片が設定されることにより、遊技球を貯留し易い状態と貯留し難い状態とに設定される。また、第1開閉扉が開放状態のときに、遊技球が移動し易い状態と移動し難い状態とに可動片が設定されることにより、遊技球が第2領域へ移動し易い状態と移動し難い状態とに設定される。従って、様々な遊技状態が設定されることにより、遊技の単調化を招くことなく、変化に富んだ遊技を提供することができる。
【0014】
また、上記弾球遊技機は、第2入賞口と、第2開閉扉と、制御手段とを備えてもよい。第2入賞口は、第1領域に設けられる。第2開閉扉は、第2入賞口を開閉する。制御手段は、予め定められた所定の条件を契機として電子的な抽選を行い、少なくとも第1の遊技状態と第2の遊技状態とを含む複数の遊技状態の一つを前記抽選の結果に応じて選択的に生起する。制御手段は、第1の遊技状態では第1開閉扉を開閉し、第2の遊技状態では第2開閉扉を開閉する。
【0015】
上記構成では、第2の遊技状態や通常の遊技状態では第2領域への遊技球の移動が禁止され、第1の遊技状態のときに第2領域への遊技球の移動が許容される。従って、例えば、第2の遊技状態で開放される第2開閉扉よりも、第1の遊技状態で開放される第1開閉扉の開放時間を短く設定した場合であっても、第1の遊技状態に対して遊技者の関心を惹き付けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、入賞口の開閉時に遊技者に対して変化に富んだ遊技を提供することが可能な弾球遊技機を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、遊技機設置営業店等の場所に設置され、遊技媒体(例えば、遊技球やメダル等)の供給に基づいて遊技者に遊技を行わせる弾球遊技機(以下、遊技機と称す)の構成及び動作について説明する。
【0018】
なお、本発明にかかる実施形態では、図1に示すような、現金等の対価を支払って遊技機設置営業店から遊技者が購入したプリペイドカードをプリペイドカードユニット(以下、CRユニットと称す)1に読み込ませることにより、遊技に使用する遊技球を借り受ける形態下で遊技者が遊技する遊技機の構成及び動作について説明する。より具体的には、この遊技機は、図6に示すように、借り受けた遊技球が予め定められた特定入賞口(スタートチャッカー、始動入賞口)2に受け入れられ入賞状態になった時に電子的な当否抽選を行い、抽選の結果が当選の場合には、通常の遊技状態から遊技者にとって有利な遊技状態となるように、特別入賞口(大入賞口、第2入賞口)3又は第1入賞口58を遊技球が入賞し易い状態にする遊技機である。
【0019】
[第1実施形態]
[遊技機の構造概略]
図1〜図8に示す第1実施形態の遊技機は、外部的構造として、外枠(木枠)4、本体部材(本体)5、開口枠扉6、遊技盤7、球受皿付き扉8、球受皿9、回動式操作ハンドル(球発射ハンドル)10、球貸し関係操作部11、及び球受皿9用の貯留球排出操作ボタン12等をその前面側に備えている。また、この遊技機は、内部的構造として、主制御装置13、副制御装置14、遊技球払出装置15、球貸信号制御装置16、可動物制御装置17、回収通路部材18、貯留タンク19、遊技球を払い出すときに用いる通路部材(賞球口)20、及びその他、電源供給装置21、発射制御装置22、発射駆動装置23、払出制御装置52等をその後面側に備えている。
【0020】
なお、図7及び図8は、説明開口100の部分が開口しているが、説明のための開口であり、遊技機には説明開口100は設けられていない。
【0021】
以下、第1実施形態の遊技機の構成を、外部的構造、内部的構造、遊技領域の構成、及び電気的構成の順に詳しく説明する。
【0022】
〔外部的構造〕
始めに、本実施形態の遊技機の外部的構造について説明する。
【0023】
前記外枠4は、遊技機設置営業店に設けられた設置場所(島設備等)へと固定させるための縦長方形状から成る木製の枠部材である。
【0024】
前記本体部材5は、外枠4の内部に備えられ、ヒンジ部26を介して外枠4に回動自在に装着された縦長方形状の遊技機基軸体となる部材である。また、本体部材5は、枠状に形成され、内側に空間部を有している。
【0025】
前記開口枠扉6は、ロック機能25付きで且つ開閉自在となるように遊技機の前面側となる本体部材5の前面に対しヒンジ部26を介して装着され、枠状に構成されることでその内側を開口部27とした扉部材である。なお、この開口枠扉6には、開口部27に対向してガラス製又は樹脂製の透明板部材28が設けられ、さらに、開口部27近傍には、電飾29やスピーカ30が取り付けられている。
【0026】
前記遊技盤7は、その盤面に遊技領域31を有し、本体部材5の空間部に臨むように、所定の固定部材を用いて本体部材5に着脱自在に装着されている。なお、遊技領域31は、遊技盤7を本体部材5に装着した後、開口部27から観察することができる。
【0027】
前記球受皿付き扉8は、遊技機前面において本体部材5の下側に対して、ロック機能付きで且つ開閉自在となるように装着された扉部材である。なお、本実施形態では、球受皿付き扉8には以下の部材が取り付けられている。
(1)複数の遊技球が貯留可能で且つ、発射駆動装置23へと遊技球を案内させる通路が設けられた球受皿9。
(2)発射駆動装置23へと案内された遊技球を遊技盤7の盤面に設けられた遊技領域31へと打ち出す操作を行う、遊技球の発射停止ボタン10aを備えた回動式操作ハンドル10。
(3)プリペイドカード読み込み処理関係、及び遊技者が借り受ける遊技球(以下、貸球と称す)の貸し出し処理関係の指示を行うボタンを備えた球貸し関係操作部11。
(4)球受皿9に貯留させた遊技球を遊技者が遊技球収集容器(俗称、ドル箱)へと排出させるための球受皿9用の貯留球排出操作ボタン12。
【0028】
〔内部的構造〕
次に、本実施形態の遊技機の内部的構造について説明する。
【0029】
前記主制御装置13は、本発明にかかる制御手段として機能し、本体部材5若しくは遊技盤7又はこれらに備え付けられる支持部材等を介して設けられている。この主制御装置13は、電気的な遊技制御の処理を行い、主要な処理情報を生成する。
【0030】
前記副制御装置14は、本体部材5若しくは遊技盤7又はこれらに備え付けられる支持部材等を介して設けられ、主制御装置13が生成した処理情報に従って、所定の出力態様処理を実行させる制御を行う装置である。なお、副制御装置14は、図柄制御装置14a、ランプ制御装置14b、及び音声制御装置14cを有する。
【0031】
前記遊技球払出装置15は、予め定められた入賞条件が成立するのに応じて遊技利益として所定数の遊技球を払出す(以下、賞球と称す)駆動源を備えた装置である。
【0032】
前記球貸信号制御装置16は、プリペイドカード読み込み処理関係、及び貸球の貸し出し処理関係の制御を行う装置である。
【0033】
前記可動物制御装置17は、主制御装置13が生成した処理情報に従って、遊技領域31内に配設された複数の可動物(例えば、可動片44、可動扉45、第1開閉扉70、入賞領域振分物、演出用移動物等)を作動状態にするための装置であり、複数の可動物に対応して個別に設けられている。なお、本実施形態の可動物制御装置17は、可動片44を駆動する可動片駆動装置、可動扉45を駆動する可動扉駆動装置、第1開閉扉70を駆動する第1開閉扉駆動装置64、一対の連通路可動片78を駆動する連通路可動片駆動装置66、入賞領域振分駆動装置、及び演出用移動物駆動装置を有する。
【0034】
前記回収通路部材18は、回動式操作ハンドル10によって遊技盤7の盤面に設けられた遊技領域31へと打ち出された遊技球を遊技盤7の裏側へと回収する通路(俗称、集合樋)となる部材である。また、第1開閉扉駆動装置64はモータ65を有し、モータ65は遊技盤7の裏面側に固定されている。また、連通路可動片駆動装置66はソレノイド67を有し、ソレノイド67は遊技盤の裏面側に固定されている。
【0035】
前記遊技球を払い出す時に用いる通路部材20は、球受皿9に賞球又は貸球を案内する通路となる部材である。
【0036】
前記電源供給装置21は、電源が投入されるのに応じて遊技機内の各制御装置に対して電力を供給する装置である。
【0037】
前記発射制御装置22は、回動式操作ハンドル10を介して遊技球を遊技領域31へと打ち出す操作が行われた時に、発射作動間隔(例えば、1分間に遊技球を100球発射させるようにする等)の制御と、回動式操作ハンドル10の回動量に応じた遊技球の発射強度の調整を行う装置である。
【0038】
前記発射駆動装置23は、発射制御装置22による打ち出し制御に応じて、遊技球の打ち出し駆動部を作動させ、遊技球を遊技領域31へと打ち出す装置である。
【0039】
前記払出制御装置52は、主制御装置13が生成した処理情報に従って、遊技球払出装置15により所定数の賞球を払出す制御を行う装置である。また、前記払出制御装置52は、主制御装置13が生成した処理情報に従って、球貸信号制御装置16を介して、CRユニット1に読み込ませたプリペイドカードに格納したデータ情報を参照して、所定数の貸球を払出す制御を行うと共に、貸球の払出し個数を計数して管理をする装置である。
【0040】
〔遊技領域の構成〕
次に、本実施形態の遊技機の遊技領域31の構成について説明する。
【0041】
前記遊技領域31は、遊技球を滑走させるガイドレール32と遊技球規制レール33によって略円形状となるように区画形成され、回動式操作ハンドル10によって打ち出された遊技球の移動範囲を規制する領域である。なお、遊技球規制レール33は前記ガイドレール32に連続的に接続するように構成され、ガイドレール32と遊技球規制レール33は全体として螺旋をなして遊技盤7の盤面に配設されている。
【0042】
また、遊技領域31内には、発射口53、境界部材55、連通路57、可変表示装置(特別図柄表示装置)34、LED(Light Emitting Diode)表示装置35、ステージ36、所定入賞口(一般入賞口)37、一対の連通路可動片78、所定通過口(スルーチャッカー)38,46、アウト口39、遊技釘(図示せず)、風車40、特定保留数表示ランプ41、通過保留数表示ランプ42、演出用表示ランプ43等が設けられている。また、遊技領域31には、本発明の振り分け機構が設けられている。
【0043】
発射口53は、遊技球規制レール33の末端とガイドレール32とによって区画され、回動式操作ハンドル10によって打ち出された遊技球の遊技領域31内部への進入口である。発射口53には、遊技領域31から遊技球規制レール33への遊技球の逆流を防止する逆流防止弁54が設けられている。
【0044】
境界部材55は、上下に開口したU字状断面の透過性樹脂製であり、上下方向に延びた矩形状断面の空間を盤面とともに区画する。
【0045】
連通路区画部材76は、境界部材55と一体形成され、境界部材55の上部に連続して形成された透過性樹脂製の上下に開口したU字状断面部材である。
【0046】
本実施形態の遊技領域31は、境界部材55及び連通路区画部材76によって、発射口53を含む第1領域61と、発射口53を含まない第2領域62と、発射口53を含まない連通路57とに区画される。遊技領域31のうち、境界部材55に区画された領域が第2領域62であり、遊技領域31のうち、連通路区画部材76によって区画された領域が連通路57であり、遊技領域31のうち、第2領域62及び連通路57を除く領域が第1領域61である。
【0047】
連通路57は、第1領域61と第2領域62とを連通する。連通路57は、第1領域61から第2領域62へ遊技球が移動し得る唯一の領域である。
【0048】
また、境界部材55のうち、下方へ開口する下端部56は、第2領域62から第1領域61へ遊技球が移動する唯一の領域である回収領域59を区画する。
【0049】
前記可変表示装置34は、第1領域61に配置され、予め定められた条件が成立(例えば、予め定められた入賞口への遊技球の入賞等)するのに応じて実行される電子的な当否抽選の結果に従って、識別情報としての識別表示情報(例えば、図柄、キャラクタ、背景画像等)を可変表示させた後に停止表示する表示制御装置である。なお、この可変表示装置34には、液晶表示装置(Liquid Crystal Display)、ドラム式表示装置、ドットマトリクス表示装置、7セグ表示装置、EL(ElectroLuminescence)表示装置等の表示装置を適用することができる。
【0050】
前記LED表示装置35は、遊技者への様々な情報をLEDにより表示する装置であり、例えば、予め定められた条件が成立(例えば、予め定められた通過口への遊技球の通過等)するのに応じて実行される電子的な当否抽選の結果に従って、識別情報としての識別点灯情報をLEDにより可変表示させた後に停止表示する。
【0051】
前記ステージ36は、可変表示装置34の下方において遊技球を一時的に滞在状態とし、その後、遊技球の落下を許容する踊り場部を備えた構造物である。
【0052】
前記所定入賞口37は、遊技領域31内における適宜な位置に複数設けられ、落下してくる遊技球を受け入れる開口部を備えた構造物である。なお、特定入賞口2、特別入賞口3及び第1入賞口58もこの所定入賞口37に含まれる。
【0053】
ここで、前記特定入賞口2とは、第1領域61内であって可変表示装置34の下方に配置され、入賞口の開口範囲の拡縮を行わせる電動式の可動片44を備え、遊技球が入賞口に入賞するのに応じて、可変表示装置34に識別表示情報を可変表示させると共に、遊技者に賞球を獲得させる入賞口である。また、前記特別入賞口3とは、第1領域61内であって特定入賞口2の下方に配置され、入賞口を露出させる開口状態と入賞口を閉鎖する閉口状態を生成する電動式の可動扉(第2開閉扉)45を備え、遊技球が入賞口に入賞するのに応じて、他の入賞口と比較して多くの賞球を遊技者に獲得させる入賞口である。第1入賞口58は、第1領域61内であって可変表示装置34の上方に配置され、盤面に形成された開口から遊技球が進入して入賞するのに応じて、多くの賞球を遊技者に獲得させる入賞口である。第1入賞口58は、第1開閉扉70によって、開口を露出させる開放状態と開口を閉鎖する閉止状態とに設定される。本実施形態では、第1入賞口58と特別入賞口3とに入賞した遊技球1つに対する賞球の数は同一であるが、第1入賞口58と特別入賞口3とで入賞に応じた賞球の数が異なる構成にしてもよい。なお、以下では、特定入賞口2、特別入賞口3及び第1入賞口58以外の複数の所定入賞口37をその他入賞口37と称する。
【0054】
第1開閉扉70は、第1入賞口58を開閉する板状部材であり、下端部71と上端部72と外面部73と内面部74とを有する。第1開閉扉70は、第1入賞口58の下端近傍で下端部71が可動軸63に対して固定される。第1開閉扉70は、可動軸63を介して連結された第1開閉扉駆動装置64のモータ65によって、上端部72が下端部71の上方に位置する閉止状態(図7に示す)と、上端部72が下端部71より前方に位置する開放状態(図8に示す)とに設定される。外面部73は、閉止状態のときに盤面とほぼ同一平面になり、開放状態のときに下方に向く。内面部74は、閉止状態のときには露出せず、開放状態のときに上方を向いて露出する。内面部74は、開放状態において盤面にむけて僅かに下方へ傾斜する。開放状態で傾斜された内面部74は、内面部74に落下した遊技球を第1入賞口58へ案内する。
【0055】
可動軸63は、盤面の内側であって第1入賞口58の下端に沿って設けられ、ギア104が固定されている。
【0056】
第1開閉扉駆動装置64のモータ65は、モータ65の駆動軸105を駆動し、駆動軸105に固定されたギア106と、盤面の内側に設けられたギア107と、ギア104とを介して可動軸63を回転駆動する。モータ65は可動軸63を回転駆動し、第1開閉扉70を開放状態と閉止状態とに設定する。モータ65は、通常の遊技状態では第1開閉扉70を閉止状態に設定し、所定の遊技条件が成立したときに第1開閉扉70を開放状態に設定する。
【0057】
本実施形態における振り分け機構である可動部材80は、連通路57と第2領域62との境界に配置され、連通路57を第2領域62に対し開閉する板状部材であり、前端部81と、後端部82と、外面部83と、内面部84とを有する。可動部材80は、連通路57の下端で盤面内側で後端部82が可動軸63に対して固定される。可動部材80は、可動軸63を介して連結された第1開閉扉駆動装置64のモータ65によって、第1開閉扉70に連動して移動される。可動部材80は、前端部81が後端部82より前方に位置する閉止位置(図7に示す)と、前端部81が後端部82の下方に位置する開放位置(図8に示す)とに設定される。外面部83は、開放位置のときに盤面とほぼ同一平面になり、閉止位置のときに上方に向く。内面部84は、開放位置のときには盤面に設けられた収容部75に収容され、閉止位置のときに下方に向く。
【0058】
可動部材80は、第1開閉扉70が閉止状態にあるときは、閉止位置に設定され、連通路57を閉止し、第1開閉扉70が開放状態にあるときは、開放位置に設定され、連通路57を開放する。
【0059】
可動部材80が閉止位置に設定されているときに、第1領域61を落下して連通路57へ進入した遊技球は、可動部材80の外面部83上で貯留される。可動部材80が閉止位置のときに連通路57で貯留された遊技球は、可動部材80が開放位置に設定されたときに第2領域62へ移動する。可動部材80が開放位置に設定されているときに、第1領域61を落下して連通路57へ進入した遊技球は、第2領域62への移動が許容される。
【0060】
第1入賞口58の盤面の開口と連通路57の開口との横方向から視た角度がほぼ90度であり、第1開閉扉70と可動部材80とが横方向から視てほぼ90度の角度で可動軸63に対して固定されているため、可動軸63の駆動によって、第1入賞口58と連通路57とが同時に開放及び閉止される。
【0061】
連通路区画部材76の上端には遊技球が挿通可能な開口部である球進入口77が設けられ、球進入口77の左右には、本発明の可動片を構成する一対の連通路可動片78が設けられている。一対の連通路可動片78は、連通路可動片駆動装置66のソレノイド67によって第1領域61から連通路57へ遊技球が移動し易い状態と移動し難い状態とに設定される。
【0062】
連通路可動片駆動装置66のソレノイド67は、一対の連通路可動片78に対して連結され、一対の連通路可動片78を第1領域61から連通路57へ遊技球が移動し易い状態と、第1領域61から連通路57へ遊技球が移動し難い状態とに設定する。図7及び図8では遊技球が移動し難い状態を示し、遊技球が移動し易い状態は、図7及び図8の状態よりも一対の連通路可動片78の上部が左右へ拡げられた状態である。
【0063】
なお、一対の連通路可動片78による遊技球が移動し難い状態とは、遊技球が移動しない状態をも含む。例えば、図7及び図8に示す遊技球が移動し難い状態の一対の連通路可動片78の間に遊技釘を植設し、遊技球が移動し易い状態に設定されない限り遊技球が移動しない構成にしてもよい。
【0064】
連通路可動片駆動装置66のソレノイド67は、一対の連通路可動片78を、通常の遊技状態では、第1領域61から連通路57へ遊技球が移動し難い状態に設定し、所定の遊技条件が成立したときに、第1領域61から連通路57へ遊技球が移動し易い状態に設定する。
【0065】
前記所定通過口38,46は、遊技領域31内における適宜な位置に所定数設けられ、落下してくる遊技球を通過させるゲートを備えた構造物である。
【0066】
前記アウト口39は、所定入賞口37のいずれにも入ることがなかった遊技球を集束する位置に設けられた遊技球の回収開口部である。第2領域62から第1領域61へ移動する遊技球は、前記回収領域59を経てアウト口39へ進入する。
【0067】
前記遊技釘は、遊技球と接触させることにより遊技球の移動方向を不規則にする、若しくは遊技球の移動方向を規制するために、遊技盤7の盤面の適宜な位置に打ち込まれる複数の棒状部材である。
【0068】
前記風車40は、遊技球の接触によって自転可能な回転部材である。
【0069】
クルーン91は、第2領域62に3段固定され、遊技球が挿通可能な挿通孔92を3つ有する振り分け部材である。クルーン91は、上面で遊技球を転動させ、3つの挿通孔92にいずれかから遊技球を落下させることによって、遊技球の落下速度を抑え、遊技球の移動方向を不規則にする。連通路57を介して第2領域62へ移動した遊技球が、最上段のクルーン91上方へ落下する。遊技球は、3段のクルーン91を1段ずつ、それぞれのいずれかの挿通孔92に挿通して下降する。最下段のクルーン91に落下した遊技球が、所定入賞口37上方の挿通孔92に進入した場合には、所定入賞口37へ入賞し易い。
【0070】
前記特定保留数表示ランプ41は、前記特定入賞口2への入賞後の可変表示開始にかかる保留状態を点灯又は消灯により報知する発光装置である。
【0071】
前記通過保留数表示ランプ42は、前記所定通過口38への通過達成後の可変表示開始にかかる保留状態を点灯又は消灯により報知する発光装置である。
【0072】
前記演出用表示ランプ43は、電源投入後の遊技状態の変化に応じて多彩な点灯態様とする発光装置である。
【0073】
〔電気的構成〕
次に、本実施形態の遊技機の電気的構成について説明する。
【0074】
本実施形態となる遊技機は、電気的構成として、CRユニット1、主制御装置13、副制御装置14、球貸信号制御装置16、可動物制御装置17、電源供給装置21、発射制御装置22、発射駆動装置23、検知センサ47、集中管理装置48、払出制御装置52等を備える。なお、CRユニット1、球貸信号制御装置16、可動物制御装置17、電源供給装置21、発射制御装置22、発射駆動装置23、及び払出制御装置52の構成は上述の通りであるので、以下ではその説明を省略する。
【0075】
前記主制御装置13は、CPU(Central Processing Unit:中央命令処理部)13a、予め定められた制御プログラム(コンピュータプログラム)を格納するROM(Read Only Memory:書換不可記憶部)13b、生成された処理情報の一時記憶及び記憶した情報の削除を行うRAM(Random Access Memory:書換可能記憶部)13c、周期的な信号を発生させる周波数発生回路部13d等により構成され、遊技機内における主要な情報処理を行うと共に、副制御装置14に入力する処理情報を生成する装置である。
【0076】
前記副制御装置14は、図柄制御装置14a、ランプ制御装置14b、及び音声制御装置14cにより構成され、主制御装置13が生成した処理情報に従って所定の出力態様処理を行う。なお、副制御装置14は、出力態様処理毎の装置として構成しても、各出力態様処理を複数組み合わせて構成してもよい。また、副制御装置14を構成する各制御装置は、処理情報に従って独立して処理を実行可能なように、内部にCPU、ROM、RAMを備える。
【0077】
ここで、前記図柄制御装置14aは、主制御装置13が生成した処理情報に従って、ビデオ・ディスプレイ・プロセッサ(VDP)50を介して可変表示装置34、又はLED表示装置35を制御することにより、識別点灯情報又は識別表示情報を変動表示させた後に停止表示する制御を行う装置である。
【0078】
前記ランプ制御装置14bは、主制御装置13が生成した処理情報に従って、開口枠扉6の電飾29(演出報知ランプ、払出ランプ、トラブルランプを含む)や遊技領域31内に設けられた演出用表示ランプ(電飾)43、又は特定保留数表示ランプ41、通過保留数表示ランプ42等を点灯制御する装置である。なお、特定保留数表示ランプ41又は通過保留数表示ランプ42が表す情報は可変表示装置34による識別表示情報として報知してもよい。
【0079】
前記音声制御装置14cは、主制御装置13が生成した処理情報に従ってスピーカ30やサウンドプロセッサ等の音声発生装置51を制御して音声を発生させる装置である。
【0080】
前記検知センサ47は、特定入賞球検知センサ47a、特別入賞球検知センサ47b、入賞特定領域検知センサ47c、通過球検知センサ47d、その他入賞球検知センサ47e、遊技球払出検知センサ47f、及びエラー検知センサ47gにより構成される。そして、各検知センサはそれぞれ、特定入賞口2、特別入賞口3、第1入賞口58、入賞特定領域(例えば、特別入賞口3の略中央部より右側領域)、所定通過口38,46、その他入賞口37、賞球口20、及び球詰まりが発生し易い球通路部材49の球通路49a近傍に設けられ、各場所における遊技球の通過の有無を検知する。また、連通路57に遊技球の有無を検知するセンサを設けてもよい。この場合には、連通路57でセンサが遊技球を検知したときに、ランプ制御装置14bや音声制御装置14cによって報知する処理情報を主制御装置13が生成する。
【0081】
前記集中管理装置48は、主制御装置13が生成した処理情報を遊技機の外部において管理する装置である。
【0082】
[遊技機の動作]
次に、本実施形態の遊技機の動作を主制御装置13、副制御装置14、及び可動物制御装置17の動作に分けて説明する。
【0083】
〔主制御装置の動作〕
始めに、主たる遊技制御を行う主制御装置13の動作について説明する。
【0084】
本実施形態におけるメインルーチン処理は、主制御装置13に備えられたROM13bに予め格納された制御プログラム(コンピュータプログラム)により実行される。そして、主制御装置13のCPU13aは、メインルーチン処理として、乱数更新処理、入力検知受信処理、入力管理処理、異常監視処理、特別図柄制御処理、普通図柄制御処理、ランプ管理処理、準備球払出処理、外部情報管理処理、及び出力管理処理を行う。
【0085】
なお、このメインルーチン処理とは、周波数発生回路部13dが生成する周期的な信号に基づく分周設定により定期的なタイミングパルス(例えば4ミリ秒)を生成し、生成されたタイミングパルスに合わせて、CPU13aが、前記各処理の読み込み更新、又は書き込み記憶、又は該記憶の削除等を含む制御実行処理を繰り返し実行する基本ルーチンのことである。
【0086】
以下、前記メインルーチン処理のうち、入力検知受信処理、入力管理処理、特別図柄制御処理、普通図柄制御処理、及び出力管理処理について詳しく説明する。
【0087】
『入力検知受信処理』
前記入力検知受信処理は、特定入賞球検知センサ47a、特別入賞球検知センサ47b、入賞特定領域検知センサ47c、通過球検知センサ47d、その他入賞球検知センサ47e、遊技球払出検知センサ47f、及びエラー検知センサ47gにより生成された入力情報があるか否かをタイミングパルス(例えば、4ミリ秒)に応じて監視、及びセンサからの入力情報を受信する処理である。
【0088】
『入力管理処理』
前記入力管理処理は、入力検知受信処理により受信した入力情報を解析し、どの検知センサからの入力信号であるか等の解析結果に応じて、例えば、複数の入賞口毎に入賞させた各々の遊技球個数の計数管理や、入賞検知にかかる受信時から該入賞に基づく制御処理が開始されるまでの時間管理等の処理を行い、後述する異常監視処理、特別図柄制御処理、普通図柄制御処理、ランプ管理処理、及び賞球払出処理を行う上で、適宜に該処理結果を使用できるようにする処理である。
【0089】
『特別図柄制御処理』
前記特別図柄制御処理は、特定入賞口2の近傍に設けられた特定入賞球検知センサ47aから入力情報を受信するのに応じて電子的な当否抽選を行い、当選の場合には、通常の遊技状態から遊技者にとって有利な遊技状態(大当たり遊技状態、小当たり遊技状態)となるように特別入賞口3又は第1入賞口58に遊技球が入賞し易くする処理である。また、この特別図柄制御処理では、主制御装置13のCPU13aは、可変表示装置34で識別表示情報(以下、特別図柄と称す)を表示制御することに関係する処理も行う。
【0090】
ここで、特別図柄とは、前記特定入賞口2への遊技球の入賞に基づく前記当否抽選の結果を可変表示する複数の識別情報(例えば、左・中・右の3つの図柄)である。抽選結果が当選の場合には、複数の識別情報が、予め定められた特定の組み合わせで停止した表示態様(例えば、左・中・右の3つの図柄が全て同じ図柄で揃った状態)となり、これにより、遊技者にとって有利な遊技状態(大当たり遊技状態、小当たり遊技状態)に移行したことが報知される。遊技者にとって有利な遊技状態に移行したときには、例えば、大当たり遊技状態と小当たり遊技状態とで異なる図柄で識別情報が揃う表示態様となり、大当たり遊技状態と小当たり遊技状態とに移行したことがそれぞれ異なる態様で報知される。かかる遊技状態では、通常遊技状態と比較して短時間に多くの賞球が獲得可能な状態が連続的に発生する。一方、抽選結果が外れの場合には、複数の識別情報が、予め定められた特定の組み合わせ以外で停止した表示態様(例えば、左・中・右の3つの図柄のうち少なくとも一つが他と異なっている状態)となり、これにより、通常遊技状態が継続していることが報知される。
【0091】
特別図柄制御処理により、特定入賞口2における入賞後に得られる処理情報として、以下の情報が生成される。
(1)当たり又は外れ用の変動パターン番号。
(2)所定の可変表示領域に対し一時的に停止表示(微動表示を含む)をさせる、当たり又は外れ用の複数の特別図柄番号。
(3)該一時的に停止表示をさせる複数の特別図柄に対して停止表示の態様とさせるための確定停止指示番号。
(4)前記当否判定における当たりの場合の大当たり又は小当たり移行指示番号。
【0092】
そして、後述する出力管理処理を介して副制御装置14側へ前記変動パターン番号と複数の特別図柄番号を送信する時に、決定された変動パターンに対応する制御処理実行時間を主制御装置13のCPU13aにて設定し、カウント演算処理を行わせるタイマを更新する。なお、このタイマによる制御処理実行時間の経過に応じたタイミングで確定停止指示番号と前記当否判定における当たりの場合の大当たり又は小当たり移行指示番号が出力管理処理を介して送信される。
【0093】
また、この特別図柄制御処理では、前記有利な遊技状態(大当たり遊技状態又は小当たり遊技状態)に移行させるか否かの当否判定の結果が当たりとなり、この当たり結果を報知するため、前記特別図柄の組み合わせによる予め定められた停止表示の態様を実行する場合において、主制御装置13のCPU13aは、以下のような処理をする。すなわち、主制御装置13のCPU13aは、当たりに対応して、前記有利な遊技状態の大当たり遊技状態に移行させるために、(a)前記特別入賞口3に対して閉口するように備えさせていた可動扉45を開口状態とし、(b)該開口状態が所定時間(例えば、30秒)経過するか、又は該特別入賞口3に対して所定個数(例えば、10個)の遊技球を入賞させるかのいずれかの条件を満たすことを条件に、可動扉45を閉口制御し、さらに、(c)該開口状態中に入賞した遊技球のいずれかが特別入賞口3内に設けられた入賞特定領域を通過して、入賞特定領域検知センサ47cにて検知されたことを条件として、可動扉45を連続的に開口状態とし、(d)前述と同様の条件成立の推移にて可動扉45を開閉することを、所定上限回数(例えば、16回)が達成されるまで繰り返すよう指示する処理情報を生成する。また、主制御装置13のCPU13aは、当たりに対応して、前記有利な遊技状態の小当たり遊技状態に移行させるために、(a)前記第1入賞口58に対して閉止するように備えさせていた第1開閉扉70を開放状態とし、(b)該開放状態が所定時間(例えば、1.8秒)経過することを条件に、第1開閉扉70を閉止制御するよう指示する処理情報を生成する。また、主制御装置13のCPU13aは、当りに対応して前記有利な遊技状態の小当たり遊技状態に移行させるために、(a)第1領域61から連通路57に遊技球が移動し難い状態にされていた一対の連通路可動片78を、第1領域61から連通路57へ遊技球が移動し易い状態にし、(b)該遊技球が移動し易い状態が所定時間(例えば、1.8秒)経過することを条件に、一対の連通路可動片78を第1領域61から連通路57に遊技球が移動し易い状態にするよう指示する処理情報を生成する。
【0094】
さらに、前記当否用の取得乱数と当否用比較数値のテーブルとの照合による当否判定時に、該取得乱数が「予め定められている特殊用数値(例えば、当たり確率上昇変動状態への移行と対応させた数値)」による当たりである、と判定された場合には、主制御装置13のCPU13aは、前記有利な遊技状態の終了後において用いるテーブルを、例えば、当選確率が1/350から1/75となるような当たり発生確率が高いテーブルへと参照テーブルを変更し、その後、前記特定入賞口2への入賞に基づく可変表示の回数が所定回数(例えば、10000回)となるまでか、又は特別図柄制御にかかる当たりと判定される条件が満たされたら、変更前のテーブルに戻すように指示するための処理情報を生成する。このような処理情報で制御される遊技状態を特典遊技状態ということとする。
【0095】
『普通図柄制御処理』
前記普通図柄制御処理は、遊技者にとって有利な遊技状態とする処理であり、所定通過口38近傍に設けられた通過球検知センサ47dからの入力情報を受信するのに応じて電子的な当否抽選を行い、当選の場合に前記特定入賞口2の入口両側に設けた可動片44を拡大して、その開口範囲を拡大させ、打ち出した遊技球を該特定入賞口2に入り易くする処理である。また、この普通図柄制御処理では、LED表示装置35で普通図柄と称される識別情報を表示制御する処理も行う。
【0096】
ここで、普通図柄とは、前記通過球検知センサ47dからの入力情報に応じた当否抽選の結果を可変表示又は点滅表示する所定数の識別情報(例:「○・−」→当選図柄、「−・×」→外れ図柄)である。抽選結果が当選の場合には、所定数の識別情報が予め定められた特定の組み合わせで停止した表示態様(例:「○・−」)となり、これにより、遊技者にとって有利な遊技状態(例えば、普図当たり)に移行したことが報知される。かかる遊技状態では、通常遊技状態と比較して、打ち出した遊技球が入賞し易い状態が単発的又は連続的に発生する。一方、抽選結果が外れの場合には、所定数の識別情報が、予め定められた特定の組み合わせ以外で停止した表示態様(例:「−・×」)となり、これにより、通常遊技状態が継続していることが報知される。なお、本発明においては、識別情報を表示制御するLED表示装置35の代わりに、前記可変表示装置34又はドラム式やドットマトリクス式の表示装置等でもよく、表示方法には拘らない。
【0097】
普通図柄制御処理により、所定通過口38における通過状態達成後に得られる処理情報として、以下の情報が生成される。
(1)当たり又は外れ用の変動パターン番号。
(2)当たり又は外れ用の普通図柄番号。
(3)可変表示又は点滅表示させた普通図柄に対して停止表示の態様とされるための確定停止指示番号。
(4)前記当否判定における当たりの場合の普図当たり移行指示番号。
【0098】
そして、後述する出力管理処理を介して副制御装置14側へと前記変動パターン番号と普通図柄番号を送信する時に、決定された変動パターンに対応して、その変動パターンの変動制御処理実行時間を主制御装置13のCPU13aにて設定し、カウント演算処理を行わせるタイマを更新する。なお、このタイマによる制御処理実行時間の経過に応じたタイミングで、確定停止指示番号と前記当否判定における当たりの場合の普図当たり移行指示番号が、出力管理処理を介して送信される。
【0099】
また、該普通図柄制御処理では、前記遊技者にとって有利な遊技状態とするか否かの当否判定にて当たりとなった場合、この当たり結果を報知する。その報知方法は、普通図柄の点滅表示による予め定められた停止表示の態様を実行することで行われるが、その場合、併せて以下のような処理をする。
【0100】
すなわち、当たりに対応して、前記有利な遊技状態とするために、
(a)前記特定入賞口2に対して開口範囲を縮小するようにさせていた一対の可動片44を作動させて該開口範囲を所定時間(例えば、0.2秒)拡大する(特定入賞口2を開放する)処理をし、
(b)その後に元の状態に戻す、
という処理を所定回数(例えば、1回)行わせる指示をする処理情報を生成する。
【0101】
『出力管理処理』
前記出力管理処理とは、異常監視処理、特別図柄制御処理、普通図柄制御処理、ランプ管理処理、及び準備球払出処理により生成された処理情報を、副制御装置14側へ送信するために、出力データを編集し、該処理情報の出力タイミングを通知するためのストローブ(STB)信号を伴わせて、該出力編集した記憶情報を送信する処理である。
【0102】
〔副制御装置の動作〕
次に、副制御装置14の動作について説明する。
【0103】
前記副制御装置14は、電源投入による起動開始時、初期設定を行い、必要確認事項のチェック処理を行う。そして、チェック処理結果が正常であれば、該副制御装置14におけるメインルーチン処理への移行を許可し、主制御装置13のCPU13aから送信された記憶情報である主制御起動開始情報等を受信する。
【0104】
なお、前記副制御装置14のメインルーチン処理とは、図柄制御装置14a、ランプ制御装置14b、及び音声制御装置14cのそれぞれに備えられたROMに予め格納された主要な制御プログラムを、周波数発生回路部13dで生成した定期的なタイミングパルス(例えば、4ミリ秒)に合わせて、読み込み更新、又は書き込み記憶、又は該記憶の削除等を含む制御実行処理を繰り返し実行する基本ルーチンのことである。以下、前記副制御装置14のメインルーチン処理における基本的な処理の一例について説明する。
【0105】
始めに、副制御装置14は、前記出力管理処理にて送信した処理情報を受信したか否かをタイミングパルスに応じて監視し、受信が行われている場合に記憶手段(例えば、RAM)に記憶する。次に、副制御装置14は、該受信した処理情報の解析処理を行い、どのような遊技状態における異常監視処理、特別図柄制御処理、普通図柄制御処理、ランプ管理処理、及び球払出処理のいずれかの処理情報(先行コマンド)で且つ、どのような出力態様を実行させる処理情報(後続コマンド番号)かの判別を行う。
【0106】
そして、副制御装置14は、該解析処理の結果に応じたフラグの設定、及び出力態様にかかる制御処理実行時間に基づきカウント演算するタイマを設定し、予め定められた制御プログラムを格納する記憶手段(例えば、ROM)から、該解析処理の結果に応じた出力態様用の制御プログラムを読み出して実行する制御処理を行う。
【0107】
〔可動物制御装置の動作〕
次に、可動物制御装置17の動作を、可動片駆動装置、可動扉駆動装置、第1開閉扉駆動装置64、連通路可動片駆動装置66、入賞領域振分駆動装置の動作に分けて説明する。
【0108】
『可動片駆動装置の動作』
主制御装置13による処理において、普通図柄制御用の通常遊技状態における普図当たり移行指示番号を生成するのに応じて、前記可動片駆動装置は、前記特定入賞口2の開口範囲を縮小させていた一対の可動片44を所定時間(例えば、0.2秒)拡大し、その後再び縮小するように、前記可動片駆動装置に設けられたソレノイド等の駆動部に対して所定電圧(例えば、12V)を印加する拡大実行処理を所定回数(例えば、1回)行うよう指示するためのコマンドを生成する。
【0109】
また、主制御装置13による処理において、普通図柄制御用の遊技者にとって有利な遊技状態又は特典遊技状態における普図当たり移行指示番号を生成した場合には、前記可動片駆動装置は、前記特定入賞口2に対して開口範囲を縮小させていた一対の可動片44を0.2秒から1.7秒へと長くして拡大して再び縮小するように、可動片駆動装置に設けられたソレノイド等の駆動部に対して所定電圧を送電し、また、拡大実行処理を例えば1回から2回へと多くして行う指示をするコマンドを生成する。
【0110】
さらに、主制御装置13による処理において、ランプ管理制御又は賞球払出制御等からなる処理情報を生成するのに応じて、前記可動片駆動装置が、前記演出用移動物駆動装置に設けられたソレノイド等の駆動部に対して所定電圧(例えば、12V)を印加し、適宜な変動状態となる演出動作を所定時間行うコマンドを生成する。
【0111】
『可動扉駆動装置の動作』
主制御装置13による処理において、特別図柄制御用の通常遊技状態又は特典遊技状態における大当たり移行指示番号を生成するのに応じて、前記可動扉駆動装置は、前記可動扉駆動装置に設けられたソレノイド等の駆動部に対して所定電圧を送信する。そして、前記可動扉駆動装置は、前記特別入賞口3に対して閉口させていた可動扉45を作動させて開口状態とし、開口となってから所定時間(例えば、30秒)経過するか、又は該特別入賞口3に対して所定個数(例えば、10個)の遊技球を入賞させるかのいずれかの条件を満たしたら、再び閉口状態とする実行処理を行う指示をするコマンドを生成する。
【0112】
さらに、前記開口状態中に入賞させた遊技球のいずれかが特別入賞口3内に設けられた入賞特定領域を通過して、入賞特定領域検知センサ47cにて検知されたことを条件として、前記可動扉駆動装置は、可動扉45を再び閉口状態となるようにし、前記と同様の条件成立時に可動扉45を開閉することを所定上限回数が達成されるまで繰り返すように、ソレノイド等の駆動部に対して所定電圧を印加指示するコマンドを生成する。
【0113】
なお、前記可動扉駆動装置における開閉処理の実行中に、特別図柄制御用の遊技者にとって有利な遊技状態における大当たり移行指示番号が生成された場合には、該開閉処理が終了するまで、大当たり移行指示番号の生成に基づく制御処理は行われずに保留状態とする。
【0114】
『第1開閉扉駆動装置の動作』
主制御装置13による処理において、特別図柄制御用の通常遊技状態又は特典遊技状態における小当たり移行指示番号を生成するのに応じて、前記第1開閉扉駆動装置64は、モータ65に対して所定電圧を印加する。そして、前記第1開閉扉駆動装置64は、前記第1入賞口58を閉止状態にしていた第1開閉扉70を作動させて開放状態とし、開放状態となってから所定時間(例えば、1.8秒)経過する条件を満たしたら、再び閉止状態とする実行処理を行う指示をするコマンドを生成する。
【0115】
なお、前記第1開閉扉駆動装置64における開閉処理の実行中に、特別図柄制御用の遊技者にとって有利な遊技状態における小当たり移行指示番号が生成された場合には、該開閉処理が終了するまで、小当たり移行指示番号の生成に基づく制御処理は行われずに保留状態とする。
【0116】
『連通路可動片駆動装置の動作』
主制御装置13による処理において、特別図柄制御用の通常遊技状態又は特典遊技状態における小当たり移行指示番号を生成するのに応じて、前記連通路可動片駆動装置66は、ソレノイド67に対して所定電圧を印加する。そして、前記連通路可動片駆動装置66は、第1領域61から連通路57へ遊技球が移動し難い状態にしていた一対の連通路可動片78を作動させて、第1領域61から連通路57へ遊技球が移動し易い状態にし、かかる状態となってから所定時間(例えば、1.8秒)経過する条件を満たしたら、再び第1領域61から連通路57へ遊技球が移動し難い状態とする実行処理を行う指示をするコマンドを生成する。
【0117】
なお、前記連通路可動片駆動装置66における駆動処理の実行中に、特別図柄制御用の遊技者にとって有利な遊技状態における小当たり移行指示番号が生成された場合には、該駆動処理が終了するまで、小当たり移行指示番号の生成に基づく制御処理は行われずに保留状態とする。
【0118】
『入賞領域振分駆動装置の動作』
主制御装置13による処理において、前記特別入賞口3を開口状態とするコマンドを生成するのに応じて、入賞領域振分駆動装置は、前記特別入賞口3内にある入賞領域振分物に設けられたソレノイド等の駆動物に対して所定電圧(例えば、12V)を印加し、特定入賞領域振分のシーソー運動となるように該開口状態中において可動させるコマンドを生成する。
【0119】
本実施形態では、第1開閉扉70が閉止状態のときには可動部材80が連通路57の下端を閉止するため第1領域61から連通路57内に進入した遊技球が貯留され、第1開閉扉70が開放状態にあるときには、連通路57内に貯留された遊技球の第2領域62への移動が許容される。従って、第1入賞口58に入賞できない状態である第1開閉扉70の閉止状態及び開移動時に遊技者の関心を惹き付けることができる。
【0120】
また、第1開閉扉70が開放状態にされることによって、第1入賞口58が開放されるとともに、可動部材80が連通路57を介した第1領域61から第2領域62への遊技球の移動が許容される。これにより、第1入賞口58が開放されているときに発射した遊技球が、第1入賞口58に入賞しなかった場合であっても、遊技球が第1領域61から第2領域62へ移動する可能性が生じる。従って、第1開閉扉70の開放時に遊技者に対して変化に富んだ遊技を提供することができ、第1開閉扉70の開閉に遊技者の関心を惹き付けることができる。
【0121】
また、第1開閉扉70の開放状態のときに、第1領域61から第2領域62への遊技球の移動を許容するため、第2領域62へ移動した遊技球に対して第1開閉扉70が閉止された後に遊技者の興味を持続させることができる。上記実施形態では、第2領域62に所定入賞口37を配置するとともに、所定入賞口37の上方に複数のクルーン91を配置しているため、第2領域62へ移動した遊技球がクルーン91で減速されて転動され、所定入賞口37に入賞するか否かに遊技者に興味を持たせることができる。また、第2領域62に、所定入賞口37やクルーン91のほかに、スルーチャッカー、可動役物などを配置し、第2領域62に移動した遊技球の挙動に変化を与えることによって、遊技者の興味を長く持続させることができる。
【0122】
また、第1開閉扉70が開放状態になるタイミングで一対の連通路可動片78が、遊技球が移動し易い状態になるため、第1入賞口58に入賞しなかった遊技球が連通路57を介して第2領域62へ移動し易い。また、一対の連通路可動片78は、上記タイミングに限らず、第1開閉扉70が閉止状態のときに、遊技球が移動し易い状態と移動し難い状態とに設定することにより、遊技球を貯留し易い状態と貯留し難い状態とに設定することができ、また、第1開閉扉70が開放状態のときに、遊技球が移動し易い状態と移動し難い状態とに設定することにより、遊技球が第2領域62へ移動し易い状態と移動し難い状態とに設定することができる。従って、様々な遊技状態が設定されることにより、遊技の単調化を招くことなく、変化に富んだ遊技を提供することができる。
【0123】
ここで、従来、小当り遊技状態など、入賞口の開放時間が短く設定された遊技状態では、遊技球を入賞口に入賞させることが難しいため、遊技者の興味を削いでしまうおそれがあった。
【0124】
しかし本実施形態では、大当たり遊技状態や通常の遊技状態では第2領域62への遊技球の移動が禁止され、小当たり遊技状態のときに第2領域62への遊技球の移動が許容されるため、小当り遊技状態に対しても遊技者の関心を惹き付けることができる。
【0125】
[第2実施形態]
次に、図9〜図11を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の境界部材55に替えて、境界区画部材85が設けられている。また、第1実施形態の振り分け機構を構成した可動部材80に替えて、第2実施形態では、振り分け機構として貯留路形成部86と連通路閉止部95とが設けられている。また、第2実施形態には一対の連通路可動片78と連通路可動片駆動装置66とは設けられていない。また、第2実施形態の第1入賞口58と第1開閉扉70とは、第1実施形態と形状が異なるが同様の機能を有する構成である。
【0126】
第1実施形態と共通する構成については、その詳細な説明を省略する。
【0127】
境界区画部材85は、遊技領域31の中央よりも左に配置され、上下方向に延びて上端が遊技球規制レール33に接触し、遊技領域31を発射口53を含む第1領域61と発射口53を含まない第2領域62とに区画する、境界区画部材85は、第1領域61から第2領域62への遊技球の移動を禁止する。境界区画部材85の下端部56は、第2領域62から第1領域61へ遊技球が移動する唯一の領域である回収領域59を区画する。
【0128】
第2実施形態の連通路57は、境界部材55に設けられた開口部であり、第1領域61と第2領域62とを連通する。連通路57は、第1領域61から第2領域62へ遊技球が移動し得る唯一の領域である。
【0129】
第2実施形態の振り分け機構を構成する貯留路形成部86と、連通路閉止部95とは、第1開閉扉70に設けられる。
【0130】
貯留路形成部86は、透過性樹脂製の球通路部材であり、第1開閉扉70の外面部73上に一体的に設けられ、進入口87と送出口69とを有し、貯留路93を区画する。
【0131】
進入口87は、第1の進入口88と第2の進入口89とを有する。第1の進入口88と第2の進入口89とは連続して形成され、遊技球が挿通可能な単一の開口部である。第1の進入口88は、第1開閉扉70が閉止状態のときに上方に位置する上面部90に形成される。第2の進入口89は、第1開閉扉70に形成され、第1開閉扉70が開放状態のときに露出し、第1開閉扉70が閉止状態のときに露出しない。すなわち、第2の進入口89のうち第1開閉扉70の内面部74側は、第1開閉扉70の開放状態のときに内面部74とともに露出するが、第2の進入口89のうち第1開閉扉70の外面部73側は、貯留路形成部86で覆われているため第1開閉扉70が開放状態と閉止状態とにかかわらず露出しない。第2に進入口89のうち第1開閉扉70の内面部74側は、第1開閉扉70が閉止状態のときには盤面に形成された移動規制部68によって塞がれる。第1の進入口88は第1開閉扉70が閉止状態のときに第1領域61で上方に向けて開口し、第2の進入口89は第1開閉扉70が開放状態のときに第1領域61で上方に向けて開口する。なお、本実施形態では、第1の進入口88よりも第2の進入口89の方が大きく、遊技球が進入し易い。
【0132】
送出口69は、境界区画部材85に対向し、第1開閉扉70の開閉に伴って、境界区画部材85の第1領域61側に沿って移動する開口部である。送出口69は、本実施形態では、第1開閉扉70が閉止状態のときに、境界区画部材85によって閉止され、第1開閉扉70が開放状態のときに、連通路57に対向する。
【0133】
貯留路93は、貯留路形成部86の内部に区画される通路部であり、進入口87と送出口69とを連通し、進入口87から進入した遊技球を送出口69へ案内する。また、貯留路93を区画する貯留路形成部86のうち、第1開閉扉70が開放状態のときに下方に位置する斜面部94は、第1開閉扉70の開放状態において送出口69に向けて下方へ傾斜する。
【0134】
貯留路形成部86は、第1開閉扉70の開閉に伴って連通位置と非連通位置との間を移動する。連通位置は、送出口69が連通路57と連通し、第1領域61から第2領域62への遊技球の移動を許容する位置であり、非連通位置は、第1領域61から第2領域62への遊技球の移動を禁止する位置である。本実施形態では、図10に示す第1開閉扉70が閉止状態のときに、貯留路形成部86が非連通位置に設定され、図11に示す第1開閉扉70が開放状態のときに、貯留路形成部86が連通位置に設定される。
【0135】
連通路閉止部95は、第1開閉扉70に一体的に設けられ、第1開閉扉70の開閉に伴って、境界部材55の第1領域61側に沿って移動する。連通路閉止部95は、第1開閉扉70が開放されたときには、連通路57の一部を第1領域61側で覆い、第1領域61から第2領域62へ遊技球が移動できない状態にし、第1開閉扉70が閉止されたときには、盤面に開口された収容部96に収容される。なお、第1開閉扉70の開放状態のときに、貯留路形成部86が連通路57の一部を覆う構成にしてもよい。また、第1開閉扉70の閉止状態では、図10に示すように、連通路57の一部が連通路閉止部95と貯留路形成部86とに覆われずに第1領域61に開口している。しかし、第1開閉扉70の閉止状態において開口する連通路57の大きさは、遊技球の直径よりも小さいため、遊技球が連通路57を介して第1領域61から第2領域62へ移動することが禁止される。
【0136】
このようにして、本実施形態の振り分け機構である貯留路形成部86と連通路閉止部95とは、第1開閉扉70が閉止状態のときは、連通路57を介した遊技球の移動を禁止し、第1開閉扉70が開放状態のときは、連通路57を介した遊技球の移動を許容する。また、貯留路形成部86と連通路閉止部95とは、貯留路形成部86が連通位置にあるときを除き、第1領域61から連通路57への遊技球の移動を阻止する。
【0137】
本実施形態では、第1開閉扉70が閉止状態のときには、貯留路形成部86と連通路閉止部95とが連通路57を閉止し、第1の進入口88から貯留路93内に進入した遊技球が貯留され、第1開閉扉70が開放状態にあるときには、貯留路93内に貯留された遊技球の第2領域62への移動が許容される。従って、第1入賞口58に入賞できない状態である第1開閉扉70の閉止状態及び開移動時に遊技者の関心を惹き付けることができる。
【0138】
また、第1開閉扉70が開放状態にされることによって、第1入賞口58が開放されるとともに、第2の進入口89及び連通路57を介した第1領域61から第2領域62への遊技球の移動が許容される。これにより、第1入賞口58が開放されているときに発射した遊技球が、第1入賞口58に入賞しなかった場合であっても、遊技球が第1領域61から第2領域62へ移動する可能性が生じる。従って、第1開閉扉70の開放時に遊技者に対して変化に富んだ遊技を提供することができ、第1開閉扉70の開閉に遊技者の関心を惹き付けることができる。
【0139】
また、第1開閉扉70の開放状態のときに、第1領域61から第2領域62への遊技球の移動を許容するため、第2領域62へ移動した遊技球に対して第1開閉扉70が閉止された後に遊技者の興味を持続させることができる。上記実施形態では、第2領域62に所定入賞口37を配置するとともに、所定入賞口37の上方に複数のクルーン91を配置しているため、第2領域62へ移動した遊技球がクルーン91で減速されて転動され、所定入賞口37に入賞するか否かに遊技者に興味を持たせることができる。
【0140】
また、第1開閉扉70が閉止状態のときに上方に向けて開口する第1の進入口88よりも、第1開閉扉70が開放状態のときに上方に向けて開口する第2の進入口89の方が遊技球が進入し易いため、第1入賞口58に入賞しなかった遊技球が連通路57を介して第2領域62へ移動し易い。
【0141】
また、大当たり遊技状態や通常の遊技状態では第2領域62への遊技球の移動が禁止され、小当たり遊技状態のときに第2領域62への遊技球の移動が許容されるため、小当り遊技状態に対しても遊技者の関心を惹き付けることができる。
【0142】
[その他の実施形態]
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【0143】
例えば、本発明の第1開閉扉70及び振り分け機構は、小当り以外の遊技状態に使用してもよい。
【0144】
また、第1開閉扉70の開閉に振り分け機構が連動するためには、上記第1及び第2実施形態のように、同一の駆動源に対して連結される構成のほか、異なる駆動源に対して連結される構成であって制御によって連動するものでもよい。
【0145】
また、連通路57を連通状態と非連通状態にする構成は、上記第1及び第2実施形態のように板状部材のほか、例えば、シート状の部材によって構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】本発明の第1実施形態の遊技機の外観斜視図である。
【図2】図1に示す遊技機の背面斜視図である。
【図3】図1に示す遊技機の背面図である。
【図4】図1に示す遊技機の分解斜視図である。
【図5】図1に示す遊技機の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示す遊技機の遊技盤の正面概略図である。
【図7】図1に示す遊技機の要部斜視図である。
【図8】図1に示す遊技機の要部斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態の遊技機の遊技盤の正面概略図である。
【図10】本発明の第2実施形態の遊技機の要部斜視図である。
【図11】本発明の第2実施形態の遊技機の要部斜視図である。
【符号の説明】
【0147】
3…特別入賞口(大入賞口、第2入賞口)、7…遊技盤、13…主制御装置、31…遊技領域、45…可動扉(第2開閉扉)、53…発射口、55…境界部材、57…連通路、58…第1入賞口、61…第1領域、62…第2領域、70…第1開閉扉、80…可動部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球を発射して遊技盤の盤面上の発射口から該盤面上の遊技領域に進入させて遊技を行う弾球遊技機であって、
前記発射口を含む前記遊技領域内の第1領域と、
前記発射口を含まない前記遊技領域内の第2領域と、
前記第1領域から前記第2領域への遊技球の移動を禁止する境界部材と、
前記第1領域と前記第2領域とを連通する連通路と、
前記連通路を介した前記第1領域から前記第2領域への遊技球の移動を禁止又は許容する振り分け機構と、
前記第1領域に設けられた第1入賞口と、
前記第1入賞口を開閉する第1開閉扉と、を備え、
前記振り分け機構は、前記第1開閉扉の開閉に連動する可動部材を有し、
前記可動部材は、前記第1開閉扉が閉止状態にあるときは、前記連通路を閉止し該連通路を介した遊技球の移動を禁止した状態で遊技球を貯留し、前記第1開閉扉が開放状態にあるときは、前記連通路を開放して前記貯留した遊技球の該連通路を介した移動を許容する
ことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
請求項1に記載の弾球遊技機であって、
前記第1領域から前記連通路へ遊技球が移動し易い状態と移動し難い状態とに設定される可動片をさらに備えた
ことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の弾球遊技機であって、
前記第1領域に設けられた第2入賞口と、
前記第2入賞口を開閉する第2開閉扉と、
予め定められた所定の条件を契機として電子的な抽選を行い、少なくとも第1の遊技状態と第2の遊技状態とを含む複数の遊技状態の一つを前記抽選の結果に応じて選択的に生起する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記第1の遊技状態では前記第1開閉扉を開閉し、前記第2の遊技状態では前記第2開閉扉を開閉する
ことを特徴とする弾球遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−430(P2009−430A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166514(P2007−166514)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】