説明

弾道電子を用いた発光素子

【課題】従来に比べて高い発光効率でありながら、少ない消費電力で優れた発光特性の発揮を期待することのできる、弾道電子を用いた発光素子の提供する。
【解決手段】一対の電極(陰極10、陽極50)の間に、n−Si基板20、MgO層30(強電界層)、p型半導体層40(発光層)を順次介設する。駆動時には一対の電極10、50間に5V程度の電圧印加を行い、MgO層30内に強電界を形成する。陰極10側から放たれた電子をMgO層30内の電界で加速して弾道電子とし、p型半導体層40に打ち込む。そしてp型半導体層40中でキャリア再結合過程を経ることで発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾道電子を用いた発光素子に関し、特に消費電力の低減と発光効率の向上を図るための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高度に加速した電子(弾道電子)を物体に衝突させ、その際に生じる発光現象を利用する表示装置が開発されている(特許文献1等参照)。
特許文献1に記載された表示装置は、電子放出源である冷陰極(Al電極)の上に、n−Si(n型Si)基板、nc−Si層、p型半導体層を順次積層し、その上に陽極(薄膜Au電極)を積層した構造を有する。nc−Si層は、ナノサイズのSi核をSiO膜で被覆してなる、nc−Si(ナノクリスタルケイ素)粒子を充填して構成され、強電界層(加速部)として用いられる。またp型半導体層は、発光層として利用される。
【0003】
当該表示装置を駆動する際には、上記一対の電極間に電圧印加し、強電界層中に一定の強電界を形成するとともに、電子放出源のAl電極から他方のAu電極に向けて電子を注入する。強電界層に注入された電子は、図11(b)に示すように、電界方向に沿って配列する前記粒子の列の中を順次、量子トンネル効果によって通過する。nc−Si粒子中では、Si核がn型であり導電性を持つため、主としてSiO膜中に強電界が発生している。従って電子は理論的には図11(c)のように、各nc−Si粒子のSiO膜中において断続的に形成されるポテンシャルエネルギーの障壁を超えながら、各nc−Si粒子のSiO膜中の電界により加速されて走行し、放出電子電流(エミッション電流)となってp型半導体層に打ち込まれる。
【0004】
p型半導体層に打ち込まれた弾道電子は、ポテンシャル的にはまずp型半導体層の伝導帯の底部に遷移する。この弾道電子がさらに価電子帯側に遷移し、価電子帯中のホールと結合(キャリア再結合)する。この際に、p型半導体層のバンド構造のエネルギーギャップに応じた波長の発光が発生する。また、弾道電子が有している余剰のエネルギーを価電子帯中の他の電子が受け取り、他の電子が励起及び再結合過程を経ることで、さらなる発光が発生する。なお、キャリア再結合に伴う発光が紫外線光であれば、この紫外線光を外部に取り出して蛍光体に照射させることにより、可視光に変換することができる。
【0005】
弾道電子の電子源としては、上記Al電極の他、Siを陽極酸化処理したものを利用できる。また、蛍光体を用いる代わりに、紫外線をXe等の放電ガスに衝突させて可視光発光させることもできる。さらにp型半導体層の代わりに、量子井戸や量子ドットを用いることもできる。
【0006】
このような弾道電子を用いた表示装置は、例えばスピント型のFED(電界効果電子エミッションディスプレイ)とは異なり、高真空状態で弾道電子を発生させたり、集束電極を設ける必要がない。このため構成が比較的簡単である特徴を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−40725号公報
【特許文献2】特開2009−211987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
弾道電子を用いた発光装置において、発光効率の高効率化を図るためには、少なくとも以下の条件を満たすことが重要である。
第一に、高エネルギーを有する弾道電子を豊富に半導体層に打ち込むことが求められる。半導体層における発光は、キャリア再結合によって生じるため、弾道電子数が発光強度と比例するからである。
【0009】
第二に、半導体に打ち込まれる弾道電子のエネルギー値が揃っていることが重要である。弾道電子のエネルギーがバンドギャップより小さいと、キャリア再結合を行えない。また、弾道電子のエネルギーが過剰すぎても、キャリア再結合を効率よく発生できないためである。
【0010】
そして第三に、駆動電圧が低いことが求められる。表示装置の駆動電圧を低く抑えることで、消費電力の低減効果を狙った表示装置を実現することができる。
しかしながら、従来の弾道電子を用いた表示装置では、上記したいずれの要求の面においても改善の余地が存在する。具体的には、nc−Si粒子を分散させたSiO層を強電界層に用いた場合、当該層中の弾道電子の平均自由工程は1〜2nmに留まる。一般に、電子の加速の度合(高エネルギー化)は、電子が散乱を受けるまでの走行距離(言い換えると電子の平均自由行程)に比例するが、この強電界層では強電界を形成して電子を加速しようとしても、平均自由行程が短いために電子が散乱され易く、十分に加速できない。
【0011】
また、散乱によって弾道電子の走行方向がばらつく(直進性が低い)ため、p型半導体層に対する弾道電子の打ち込み効率が低下するという問題もある。ここで、p型半導体層に対して弾道電子を利用した実用的な発光を得るためには、少なくとも弾道電子が5eV以上のエネルギーを持つことが必要である。しかし、冷陰極から注入された電子のうち、5eV以上のエネルギーを持つ弾道電子がp型半導体層に打ち込まれる量は1%以下に留まり、極めて低いのが現状である。
【0012】
強電界層としては、その他、多孔性Si材料の表面を陽極酸化したものが知られているが、この構成においても上記と同様、材料中の孔の位置がランダムに形成されて特性が揃いにくく、電子散乱が生じ易いために電子の平均自由行程を十分に確保できない。また、電子散乱の発生によって十分なエネルギーを持つ弾道電子を十分に得ることが難しい。
【0013】
このようにp型半導体層において発光に寄与できる弾道電子が少ないため、各弾道電子が有しているエネルギーが相当に不均一になり易くP型半導体層における発光効率の面において改善の余地が存在する。
【0014】
このような問題を解決するためには、たとえばSiOとnc−Si粒子のペアを多数の電気力線で接続し、弾道電子の平均自由行程を伸ばす対策が必要となるが、現実的には非常に困難であると言える。
【0015】
本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、従来に比べて高い発光効率でありながら、少ない消費電力で優れた発光特性の発揮を期待することのできる、弾道電子を用いた発光素子の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記従来の課題を解決するために、本願発明者らが鋭意検討した結果、強電界層としてMgOを用いると、良好な発光効率を持ち、低電圧で駆動することが可能な発光素子を実現できることを見出した。
【0017】
そこで本発明の発光素子として、陰極及び陽極からなる一対の電極間に、前記陰極から前記陽極に向かって、MgO層からなる強電界層と、p型半導体層からなる発光層が介設された積層構造を有するものとした。
【0018】
ここで、前記一対の電極間に沿ったMgO層の膜厚を、当該MgO層中を走行する弾道電子の平均自由行程以下の値に設定することもできる。
また、MgO層の前記膜厚を30nm以上80nm以下に設定することもできる。この場合、さらに45nm以上55nm以下に設定することが好適である。
【0019】
また、MgO層は、少なくとも結晶性のMgOで構成することもできる。この場合、MgO層は、多結晶構造を有することが望ましい。
また、この場合、前記MgO層は、結晶構造中に複数の結晶配向面を有し、当該MgO層についてX線結晶回折測定を行った場合において、20°以上90°以内の範囲に存在する各結晶配向面を示すピークの総面積に対し、50%より広い面積を占めるドミナントピークを示す結晶配向面が存在し、当該ドミナントピークを示す結晶配向面が、前記一対の電極間に形成される電界の方向に沿って配向している構成とすることもできる。
【0020】
また、前記MgO層は、n型Si基板上に成膜されており、前記一対の電極間において、n型Si基板は前記陰極に対向して配されている構成とすることもできる。
また、MgO層と陽極の間において、p型半導体層が前記MgO層の表面と接合されている構成とすることもできる。
【0021】
さらに、前記p型半導体層の前記キャリア再結合に伴う発光波長は350〜700nmである構成とすることもできる。
前記p型半導体層は、ZnO、GaN、ZnMgO、InGaN、GaP、GaAsのうちのいずれかで構成することもできる。
【0022】
また、陰極はAl、Ag、Ti、Znのうちから選ばれた材料で構成することもできる。
一方、陽極についてはAu、W、Pt、Pdのうちから選ばれた材料で構成することもできる。
【0023】
さらに、前記陽極はp型半導体層の表面に対してメッシュ状に配設され、p型半導体層からの発光が前記メッシュの間隙より外部に取り出される構成とすることもできる。
或いは、前記陽極は、p型半導体層の表面に対して平行な主面を持つ平板状に形成され、p型半導体層からの発光が表面プラズモン効果により、当該陽極の表面から外部に取り出される構成とすることもできる。
【0024】
ここで、前記p型半導体層は前記キャリア再結合に伴って紫外線を発光する構成であり、前記陽極の前記一対の電極間と対向する面と反対の面には、蛍光体が配されたフィルターが積層され、駆動時には、p型半導体層の発光が前記フィルターの蛍光体によって可視光に変換される構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0025】
以上の構成を有する本発明の発光素子は、駆動時には一対の電極間に電圧印加されてMgO層内に電界が形成され、陰極側から放たれた電子がMgO層内の電界で加速されて弾道電子となり、p型半導体層に打ち込まれてキャリア再結合過程を経ることで発光する。
【0026】
ここで、本発明ではMgO層を強電界層として用いることにより、少なくとも弾道電子の平均自由行程に相当する距離(同方向に沿ったMgO層の全範囲の厚み)にわたり、弾道電子を十分に加速できる特徴を持つ。これはnc−Si層からなる従来の強電界層(図11(a))に比べ、比較的低い印加電圧値で電子の散乱を抑制しつつ、効率的に弾道電子を加速できる点において飛躍的に有利な特徴である。
【0027】
また、nc−Si層からなる従来の強電界層では、nc−Si粒子に配設されたSiO膜において、断続的にしか弾道電子を加速を行えない欠点があるが、本発明の発光素子では電界方向に沿ったMgO層の厚みの全行程にわたり、損失を極めて低く抑えつつ、弾道電子を連続的に加速できる。このため、それほど高い印加電圧を与えなくても、十分かつ均一なエネルギーを持つ豊富な弾道電子をp型半導体層に打ち込むことが可能である。
【0028】
このように本発明では、十分かつ均一なエネルギーを持つ豊富な弾道電子により、p型半導体層において弾道電子及びこれに励起される他の電子によるキャリア再結合に伴う豊富な発光が得られ、優れた発光効率による発光特性が発揮される。
【0029】
なお、本発明で言う「弾道電子」とは、電界が形成された絶縁層の内部に電子を通過させることで、前記電界により加速された電子を指すものとする。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施の形態1の発光素子の基本構成を示す模式的な断面図である。
【図2】実施の形態1に係る発光素子のエネルギーバンド構造を示す模式図である。
【図3】発光素子中を走行する弾道電子の様子を説明するための模式的な断面図である。
【図4】実施の形態2に係る、発光素子の構成(グリッド透過発光型)を示す斜視図である。
【図5】実施の形態3に係る、発光素子の構成(表面プラズモン発光型)を示す斜視図である。
【図6】電子放出量測定サンプルの構成を示す断面図である。
【図7】各膜厚のMgOの電子放出量と電子エネルギーとの関係を示すグラフである。
【図8】MgOの膜厚と電子放出量との関係を示すグラフである。
【図9】CMA分析によるMgOの電子放出特性を示すグラフである。
【図10】印加電圧と発光効率との関係についてのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図11】従来の弾道電子放出過程と弾道電子加速層の構成、並びに電子の走行距離とポテンシャルの関係を示す図である。
【図12】MgO薄膜について行ったX線回折(XRD)データを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の各実施の形態を添付の図面を参照しながら説明する。
尚、当然ながら本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0032】
<実施の形態1>
(発光素子1の全体構成)
図1は、実施の形態1に係る、弾道電子を利用した発光素子1(以下、単に「発光素子1」と称する。)の構成を示す模式的な断面図である。
【0033】
発光素子1は、陽極(表面電極)10及び陰極(裏面電極)50からなる一対の電極の間に、n−Si基板20と強電界層30、p型半導体層40が配された構成を有する。発光素子1は図中、電界(Z)方向に沿って、陰極10に対し、n−Si基板20、強電界層30、p型半導体層40、陽極50を順次積層して構成されている。
【0034】
(陰極10)
陰極10は冷陰極であって、n−Si基板20と共に弾道電子の放出源として機能する。ここでは一例として陰極10を厚み200nmのAl層で構成しているが、この材料・構成に限定されない。例えばAl、Ag、Ti、Znの中から選ばれた材料で構成することもできる。これらの材料をを単体、若しくはいずれか2以上を積層して用いることが可能である。
【0035】
(n−Si基板20)
n−Si基板20は、Si基板にn型ドーパントを添加してなる基板であって、発光装置1では弾道電子の放出源として用いるとともに、MgO層30を薄膜プロセスで成膜する際の成膜用基板として用いられる。
【0036】
なお、表示素子1においてn−Si基板20は必須の構成ではなく、これを省略することもできるが、MgO層30を良好に薄膜プロセスで成膜する利便性等を考慮して用いることが好ましい。当該n−Si基板20に導入するn型ドーパントとしてはn型半導体の添加物として一般的に使用される元素、例えばAs、P等を用いることができる。
【0037】
(強電界層30)
強電界層(弾道電子加速層)30は、本発明の主たる特徴を持つ構成要素であって、少なくとも結晶構造を有するMgO膜で構成されている。厚みは30nm〜80nmの範囲、より好ましくは45nm以上55nm以下に設定されている。
【0038】
なおMgO層30の結晶構造には、(111)、(110)、(100)等の結晶配向面が存在する。MgOを用いた発光素子において、良好に弾道電子を加速するためには、弾道電子の走行方向を妨げないように、いずれかの主たる結晶配向が弾道電子の走行方向に沿って揃っていることが重要である。
【0039】
(p型半導体層40)
p型半導体層40は、駆動時に強電界層30よりエミッション電流として打ち込まれた弾道電子のエネルギーを用い、キャリア再結合の過程で発光する発光層として機能する。材料としては公知材料、例えばZnO、GaN、ZnMgO、InGaN、GaP、GaAs等のいずれかを用いることができる。p型半導体層40に関する留意点として、良好な発光特性を得るため、バンド構造における伝導帯下端(Ec)と価電子帯上端(Ev)の間のエネルギーギャップ(Ec−Ev)は少なくとも2〜3eV程度存在する材料を用いることが好ましい。このエネルギーギャップの設定により、p型半導体層40で発生する発光の波長を紫外線波長から可視光波長の範囲において、適宜調節することができる。ここで、上記した公知のp型半導体材料を用いると、前記p型半導体層の前記キャリア再結合に伴う発光波長は350〜700nmの範囲で設定することが可能である。
【0040】
なお、MgO層30側からp型半導体層40に良好に弾道電子を打ち込むため、p型半導体層40とMgO層30を隙間なく接合することが望ましい。p型半導体層40とMgO層30の各界面を清浄な状態で接合することで、弾道電子の注入ロスを低減でき、発光特性の向上を期待することができる。
【0041】
(陽極50)
陽極50は発光素子1における表面電極であって、例えばAu、W、Pt、Pdから選ばれた材料を用いることができる。従って、例えば陽極5はAu単体で構成してもよいし、異種同士の金属薄膜を複数積層して構成することもできる。
【0042】
陽極50の厚みとしては、5nm〜10nm程度の厚みに設定することができる。ここで発光素子1においては、陽極50はp型半導体層40の上面に対して一様な薄膜として形成している。通常、陽極50は遮光性があるため、MgO層30における発光は、発光素子1の側面でなされる。しかしながら、陽極50の表面に対し、約50nm程度の周期を持つ微小な凹凸を形成することで、駆動時にはp型半導体層40で発生した光(紫外線等)が、いわゆる表面プラズモン効果によって陽極50の表面に生じる。従って、この場合は陽極50の上面全体を発光面とすることができる。
【0043】
(発光素子1の作用及び効果)
以上の構成を有する発光素子1は、従来の発光素子に比べて飛躍的に高い発光効率を有しており、少ない投入電力で良好な発光特性を発揮できる。以下、このような特性が得られる理由についてエネルギー的観点から説明する。
【0044】
図2は、駆動時における発光素子のエネルギーバンド構造を示す図である。
発光素子1では、陽極50が陰極10よりも高電位となるように、駆動電源(直流電源)より駆動電圧Vb(5V〜10V程度)を印加する。これにより、絶縁体であるMgO層30の内部には強電界(E=Vb/d)によるポテンシャルが形成され、そのエネルギーバンドが陰極側から陽極側に向けて急角度で漸減するように傾斜する。図2では、MgO層30の価電子帯上端(Ec)と伝導帯下端(Ev)がともに陰極30側から陽極50側に向けて傾斜した様子を示している。
【0045】
このような電圧印加に伴い、陰極10及びn−Si板20から電子がMgO層30に注入される。注入の際、電子はn−Si基板20とMgO層30との間のポテンシャル障壁を乗り越えるか、MgO層30内の強電界の形成に伴うバンド構造の傾斜により、薄くなったMgO層30のポテンシャル障壁をトンネル効果で通過するかのいずれかのルートにより、MgO層30内に注入される(図2ではトンネル効果により電子がMgO層の障壁を通過する様子を示す)。n−Si基板20側からMgO層30中に注入された平均的な電子は、強電界によってZ方向に加速を受け、MgO層30注入時のエネルギーレベルとMgO層30の伝導帯下端(Ec)とのギャップ(Eg1)に相当する運動エネルギーを有する弾道電子となる。
【0046】
ここでMgO層30では図3の断面図に示すように、少なくとも弾道電子の平均自由行程に相当する距離(すなわち、電界(Z)方向に沿ったMgO層30の厚みと同等の距離)にわたって弾道電子を十分に加速することができる。これはnc−Si粒子を用いてなる従来の強電界層(図11(a))に比べ、同じ値もしくはそれ以下の印加電圧であっても、電子の散乱を確実に抑制しつつ、効率的に弾道電子を加速できる点において、大きな優位性となる特徴である。また、nc−Si粒子を用いてなる従来の強電界層(nc−Si層)では、図11(c)に示すように、主として電界(Z)方向に並ぶnc−Si粒子に被覆されたSiO膜の膜厚の総和に相当する距離(d1+d2+・・・d11)において、断続的にしか加速を行えないが、発光素子1においては、電界(Z)方向に沿ったMgO層30の厚みに相当する全行程にわたり、損失を極めて低く抑えながら弾道電子を連続的に加速することができる。さらにMgO層30は、電界(Z)方向に沿って、MgOの主要な結晶配向面が配列されているため、MgOの結晶構造の不均一性等による電子散乱の発生も低減されている。このためMgO層30では、それほど高い印加電圧を与えなくても、十分かつ均一なエネルギーを持つ豊富な弾道電子をp型半導体層40に打ち込むことが可能である。具体的に、p型半導体層40に打ち込まれた直後の弾道電子は、MgO層30中で十分に加速されて得た運動エネルギー(Eg1)に加え、MgO層30の陽極側端部の伝導帯下端(Ec)とp型半導体層の伝導帯下端(Ev)のエネルギーギャップ(Eg2)に相当するポテンシャルエネルギー(Eg1+Eg2)を有している。弾道電子はp型半導体層40の伝導帯下端(Ec)の位置から、価電子帯上端(Ev)付近に存在するホールと結合(キャリア再結合)し、その際にp型半導体層40のエネルギーギャップに相当するエネルギー(Eg3)の発光(E=hν)を生じる。そして、余剰のエネルギー(Eg1+Eg2−Eg3)は、その他のp型半導体層40の伝導帯下端(Ec)近傍に存在する電子に与え、エネルギーを得た電子が次々にホールとキャリア再結合を生ずることで、さらなる発光(E=hν)を生じさせることができる。
【0047】
なお、表示素子1では図1に示すように、p型半導体層40では紫外線光(UV)による発光がなされ、陽極50の表面を通じていわゆる表面プラズモン効果により外部に取り出される。或いは紫外線光(UV)は、発光素子1の厚み(Z)方向側面から外部に取り出すこともできる。
【0048】
(MgO層30の結晶配向面について)
本発明の発光素子1に用いる強電界層としてのMgO層30は、上記した効果を得るため、弾道電子の散乱を防止し、十分かつ均一な運動エネルギーを与える観点から少なくとも結晶面(結晶構造)を有する構成とすることが望ましい。さらに、多結晶を有する構造であればなお望ましい。この理由のため、MgO層30には不均一な構造領域(アモルファス領域)はできるだけ少ないことが、弾道電子に対する安定した量子効果を得る上で好適であると言える。
【0049】
またMgO層30における結晶配向面は、一対の電極(陰極10及び陽極50)の間に形成される電界(Z)方向に沿って配列されていることも望ましい。ここで通常、結晶性のMgOの結晶構造には、(100)配向面、(110)配向面、(111)配向面、(211)配向面など、複数の結晶配向面が存在する。理想的には、いずれの結晶配向面も電界方向に沿って配列していることが望ましいが、少なくともMgO層30中において最も豊富に存在する結晶配向面が電界(Z)方向に沿って配列していればよい。
【0050】
たとえば具体的に、MgO層30についてCuKα線を用いたX線回折測定(XRD)を実施した場合には20°以上90°以内の範囲に存在する各結晶配向面を示すピークの総面積に対し、50%より広い(望ましくは80%以上の)面積を占めるドミナント(主要)ピークを示す結晶配向面が存在するとき、当該ドミナントピークを示す結晶配向面が、電界方向(Z方向)に沿って配向していればよい。
【0051】
ここで図12は、実際にMgO薄膜についてCuKα線を用いたX線回折測定(XRD)を実施した測定結果を示す。当図に示すサンプルのデータでは、30°以上80°以内の範囲において、(111)配向面を示すドミナントピークが存在する。図12では20°超30°未満、80°超90°以下の範囲を図示しないが、この(111)配向面を示すドミナントピークは、20°以上90°以内の範囲に存在する各結晶配向面を示すピークの総面積に対し、50%より広い面積を占めるものである。従ってこの場合、(111)配向面が発光素子1における電界(Z)方向に揃っていると、弾道電子が電界(Z)方向に沿って加速される際、MgO層30の不規則な結晶構造等に起因して生じうる電子散乱が極力低減されるため、少なくとも電子の平均自由行程にわたり、良好に電子を加速できると考えられる。
【0052】
なお表示素子1では、MgO層30はn−Si基板20の片側主面上に、気相成長法(VPE)等の薄膜形成法に基づいて成膜されている。或いはこの他、いわゆるエピタキシャル成長法に基づき、n−Si基板20の結晶構造を利用して成膜すれば、弾道電子を効率的に加速可能な結晶配向面を有するMgO層30を得ることができる。具体的にエピタキシャル成長法を利用する場合、予め当該基板20の表面に対して垂直な方向(すなわち、電界(Z)方向)に結晶配向面が揃ったn−Si基板20を用意する。この基板20上にエピタキシャル法に基づいてMgO膜を成膜すれば、結晶配向面が電界(Z)方向に揃ったMgO層30を得ることができる。
【0053】
次に本発明の別の実施の形態について、主な特徴部分を中心に説明する。
<実施の形態2>
図4は、本発明の実施の形態2に係る発光素子1Aの構成を示す、模式的な斜視図である。発光素子1Aは当図に示すように、p型半導体層40の上面に対してグリッド状(メッシュ状)の陽極50を形成している。この構成によれば、p型半導体層40中で生じた光を直接グリッド間隙より外部に取り出す構成にすることもできる。
【0054】
なお、発光素子1Aでは、p型半導体層40において紫外線発光を得るものとし、陽極50の上に蛍光体含有フィルター60を載置している。これにより、前記グリッド間隙によりp型半導体層側から取り出された紫外線光は、蛍光体含有フィルター60中に透過される。この透過する際に、紫外線光は蛍光体によって可視光に変換される。蛍光体としてはRGBいずれかの色の公知の蛍光体を用いることができる。
【0055】
なお、フィルター60としては、例えば公知のエポキシ樹脂、シリコン樹脂等からなる樹脂成分に蛍光体材料を含有させるほか、樹脂部材の表面やガラス基板等に蛍光体材料を塗布して形成することもできる。
【0056】
<実施の形態3>
図5は、本発明の実施の形態3に係る発光素子1Bの構成を示す、模式的な斜視図である。
【0057】
当図に示す発光素子1Bは、発光素子1を基本とし、その陽極50の上面に蛍光体含有フィルター60を載置した構成を持つ。
このような構成の発光素子1Bによれば、p型半導体層40で発生した紫外線光は、表面プラズモン効果によって陽極50を透過し、外部に取り出される。その後、紫外線光は蛍光体含有フィルター60を透過する際に可視光に変換され、可視光発光が実現される。
【0058】
なお、実施の形態2、3では、それぞれ陽極50の上面に直接フィルター60を配設しているが、複数の発光素子1A、1Bを平面上に配列させ、これらの複数の素子1A、1Bに共通してフィルター60を配設することもできる。
【0059】
さらに、複数の素子を平面上に行列方向に配列する場合には、例えばRGBいずれかの発光色、またはこれらのいずれかの発光色を持つ複数主の蛍光体含有フィルターを配設することで、発光色の調整を図ることも可能である。
【0060】
或いは、公知のパッシブマトリクス方式又はアクティブマトリクス方式に基づき、平面上に行列方向に沿ってマトリクス状に表示素子1A,1Bを配設する。そして、行方向にRGB各発光色の蛍光体含有フィルター60を配設し、隣接する3つの表示素子1A、1Bからなる各サブピクセルの組み合わせで1画素(ピクセル)を形成することで、三原色発光に基づくカラー表示が可能な画像表示装置を実現することもできる。
【0061】
<性能確認実験>
本発明の発光素子について行った性能確認実験の実施方法と結果、並びに考察について述べる。
(電子放出量と電子エネルギーの測定及びMgO層の膜厚について)
まず図6のサンプル断面図に示すように、裏面電極(陰極)及び表面電極(陽極)からなる一対の電極の間に、n−Si基板及び膜厚が異なる多結晶構造を持つMgO層(30nm、50nm、80、170nmのいずれか)を順次積層してなる測定用サンプルをそれぞれ作製した。
【0062】
この各サンプルを大気雰囲気下で駆動電圧−10Vで駆動した場合の電子放出量について、50nWの光アシスト照射しながら光電子分光装置を用いて電子放出特性を測定した。
【0063】
この測定結果を図7のグラフに示す。図7では、MgO層を各膜厚値に設定した場合の、光電子エネルギー(放出電子エネルギー)と電子放出量(単位面積当たりの個数;cps)との関係を示している。光電子エネルギーの値は、理論的にはMgO層から放出される電子が有するエネルギーの値(図3のEg1+Eg2に相当する)に対応するものである。
【0064】
当図に示されるように、膜厚が上記したいずれの場合のサンプルも、アシスト光エネルギーが4.5〜5eV付近以上になると、電子放出量が急激に増大する。これは強電界層としてMgO層を用いた各サンプルを10Vで駆動した場合には、弾道電子が豊富に得られることを意味する。なお、図7に示す結果では、光電子エネルギーは5eV以上の範囲ではやや飽和しているが、これは光電子増倍管の測定限界を示す。従って、光エネルギーが5eV以上の範囲では、実際の弾道電子のエネルギーは図7に示すデータよりも高い値になると思われる。
【0065】
次に、図7の実験に供した各サンプルにおけるMgO層の膜厚(縦軸)と、5eVのエネルギーを持つ弾道電子の放出量(横軸)の関係についてのグラフを図8に示す。
各サンプルのうち、膜厚が30nm、50nm、80nmである場合は、4.5〜5eV付近以上のエネルギーを持つ弾道電子の放出量が豊富であり、特に膜厚が50nmの場合に最高の電子放出量が得られている。このような結果が得られた理由として、膜厚50nmのMgO層を強電界層として用いた場合には、MgO層の膜厚が電子の平均自由行程にほぼ近くなるため、強電界による弾道電子の加速を最も効率よく行える設定であると言える。従って、MgO層の膜厚が50nmよりも厚くなると、弾道電子がMgO層中の量子特性によって電子散乱を受ける確率も増大し、MgO層の膜厚が170nmに達すると、電子放出量にもある程度の減少がみられるようになる。一方、MgO層の膜厚が50nmより薄い(たとえば30nm)場合、理論的には膜厚の減少に伴って電子放出量の増大が予想されるが、実際の電子放出量は減少する。この電子放出量の減少は実際の成膜方法の限界によるものであって、成膜するMgOの膜厚が薄すぎると、MgOの結晶性が極端に悪くなるため、量子効果が低下し、電子散乱の発生を招いたためであると考えられる。
【0066】
以上のことから実際に成膜するMgO層の膜厚としては、電子の平均自由行程と弾道電子の加速、ならびに成膜条件のばらつきを考慮すると、50nm±5nmに相当する、45nm〜55nmの範囲が最も適していると言える。
【0067】
(印加電圧と電子放出量の関係について)
次に、MgOからの電子放出量について、CMA分析(Cylindrical Mirror Annalyzer)を用いて調査した。印加電圧(Vb)値として、0V、4.0V、5.0V、5.5Vのそれぞれに設定して測定した。この測定結果を図9に示す。
【0068】
図9(a)〜(d)に順次示すように、印加電圧が5.0V以上になると、明確に電子放出を示す波形が観測される。この時の電子エネルギーの半値幅は、約2eVである。
一方、強電界層としてnc−Si粒子からなる層を用いた従来の構成では、同様の測定を行った場合、最低でも14V以上、好ましくは16V以上の印加電圧が必要である。この場合、観測される電子エネルギーの半値幅は約6eVである。
【0069】
従って、上記従来技術に比べると、本発明のサンプルでは10V程度もの低電圧駆動化が図られている。また、電子エネルギーの半値幅の広がりも1/3程度まで収束されており、放出電子(弾道電子)のエネルギーのばらつきが抑制され、均一化されていることも確認できる。
【0070】
(印加電圧と発光効率の関係について)
次に、発光素子の印加電圧と、これに伴って発光する紫外線の発光効率の関係を示すシミュレーションを行った。
【0071】
このシミュレーションでは、まずMgO層からp型半導体層に打ち込まれる全弾道電子のうち、正孔と再結合して紫外線を放出する電子の確率(遷移確率)を0.5とした。この「0.5」という確率値は、p型半導体層における一般的なキャリア再結合の確率を考慮したものである。
【0072】
また、図1に示す構成の発光素子において、n−Si基板から印加電圧Vbによって励起された電子が、MgO層内で弾道電子となってp型半導体層まで到達する確率をTとした。そして確率Tが10、50、100(%)のそれぞれの場合における発光効率をシミュレーションした。図10に、当該シミュレーション結果を示す。
【0073】
図10に示すように、確率T=10、50、100(%)のいずれのサンプルも、駆動電圧が5V付近である場合において最も発光効率(lm/W)が優れており、駆動電圧の増加に伴って発光効率が低減する傾向がみられる。
【0074】
ここで、強電界層にnc−Si層を用いた従来技術(図11(a)参照)においては、駆動電圧を25Vとした場合、T=1%程度であり、発光効率は1lm/W程度であることが分かっている。
【0075】
これに対して本発明の発光素子では、図10に示すように5eV以上のエネルギーを持つ豊富な弾道電子がMgO層によって得られることを考慮すると、T=50%程度であり、発光効率は20lm/W前後であると考えられる。この発光効率は従来構成の発光効率の10倍以上の値に相当し、本発明が従来技術に比べて相当に優れた発光効率であることを表わしている。
【0076】
なお、本発明の発光素子の確率Tが10%程度まで低いとしても、発光効率は従来技術に対してまだ相当に高い値を維持できる。
以上のシミュレーション結果を考えると、本発明は従来構成に比べて優れた発光効率を有することが考えられる。
【0077】
(実験結果の考察のまとめ)
上記した各実験結果によれば、MgO層からなる強電界層を発光素子に採用することで、従来の発光素子に比べて飛躍的に消費電力の低減を図れるとともに、豊富かつ均一なエネルギーを持つ弾道電子をp型半導体層に打ち込むことができる。これにより、少ない消費電力で良好な発光効率を発揮することが可能な、弾道電子を利用する表示素子を実現できる。
【0078】
<その他の事項>
本発明の発光素子は、単独で使用することにより小型電子機器のシグナルランプや照明装置等として利用できるほか、平面上に行列方向に沿ってマトリクス状に配設し、広い面積にわたり各素子を発光させることで、面発光を行う照明装置や表示装置、画像表示装置として用いることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の弾道電子を利用してなる発光素子は、特に発光手段や、発光素子を平面的に多数配設してなる照明装置、画像表示装置(ディスプレイ)等に利用することが考えられ、その産業上の利用可能性は極めて広い。
【符号の説明】
【0080】
1、1A、1B 弾道電子を利用する発光素子
10 陰極(冷陰極、裏面電極)
20 n−Si基板
30 強電界層(MgO層)
40 p型半導体層
50 陽極(表面電極)
60 蛍光膜付フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極及び陽極からなる一対の電極間に、前記陰極から前記陽極に向かって、MgO層からなる強電界層と、p型半導体層からなる発光層が介設された積層構造を有する、発光素子。
【請求項2】
前記一対の電極間に沿ったMgO層の膜厚が、当該MgO層中を走行する弾道電子の平均自由行程以下の値に設定されている
請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
MgO層の前記膜厚が30nm以上80nm以下に設定されている
請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
MgO層の前記膜厚が、さらに45nm以上55nm以下に設定されている
請求項3に記載の発光素子。
【請求項5】
MgO層は、少なくとも結晶性のMgOで構成されている
請求項1〜4のいずれかに記載の発光素子。
【請求項6】
MgO層は、多結晶構造を有する
請求項5に記載の発光素子。
【請求項7】
前記MgO層は、結晶構造中に複数の結晶配向面を有し、
当該MgO層についてX線結晶回折測定を行った場合において、20°以上90°以内の範囲に存在する各結晶配向面を示すピークの総面積に対し、50%より広い面積を占めるドミナントピークを示す結晶配向面が存在し、
当該ドミナントピークを示す結晶配向面が、前記一対の電極間に形成される電界の方向に沿って配向している
請求項5に記載の発光素子。
【請求項8】
前記MgO層は、n型Si基板上に成膜されており、
前記一対の電極間において、n型Si基板は前記陰極に対向して配されている
請求項1〜7のいずれかに記載の発光素子。
【請求項9】
MgO層と陽極の間において、p型半導体層が前記MgO層の表面と接合されている
請求項1〜8のいずれかに記載の発光素子。
【請求項10】
前記p型半導体層の前記キャリア再結合に伴う発光波長は350〜700nmである
請求項1〜9のいずれかに記載の発光素子。
【請求項11】
前記p型半導体層は、ZnO、GaN、ZnMgO、InGaN、GaP、GaAsのうちのいずれかである
請求項1〜10のいずれかに記載の発光素子。
【請求項12】
陰極はAl、Ag、Ti、Znのうちから選ばれた材料で構成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の発光素子。
【請求項13】
陽極はAu、Pt、Pd、Wのうちから選ばれた材料で構成されている
請求項1〜12のいずれかに記載の発光素子。
【請求項14】
前記陽極はp型半導体層の表面に対してメッシュ状に配設され、p型半導体層からの発光が前記メッシュの間隙より外部に取り出される構成を有する
請求項1〜13のいずれかに記載の発光素子。
【請求項15】
前記陽極は、p型半導体層の表面に対して平行な主面を持つ平板状に形成され、p型半導体層からの発光が表面プラズモン効果により、当該陽極の表面から外部に取り出される構成を有する
請求項1〜13のいずれかに記載の発光素子。
【請求項16】
前記p型半導体層は前記キャリア再結合に伴って紫外線を発光する構成であり、
前記陽極の前記一対の電極間と対向する面と反対の面には、蛍光体が配されたフィルターが積層され、
駆動時には、p型半導体層の発光が前記フィルターの蛍光体によって可視光に変換される構成である
請求項14または15のいずれかに記載の発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−258753(P2011−258753A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132060(P2010−132060)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】