形状測定装置、その校正方法、及び校正プログラム
【課題】高精度な校正が可能な形状測定装置、その校正方法、及び校正プログラムを提供する。
【解決手段】形状測定装置は、被測定物4を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブル5と、被測定物4に接触可能な測定子24と、測定子24を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する手段と、測定子24のY軸方向の位置を校正するための制御部41とを有する。制御部41は、テーブル5に載置された被測定物4の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定することにより得られた測定値の最小値が得られたテーブル5の回転角度を最小検出角として求める手段と、最小検出角に基づいて測定子24のY軸方向の位置を調整する調整量を算出する手段とを含む。
【解決手段】形状測定装置は、被測定物4を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブル5と、被測定物4に接触可能な測定子24と、測定子24を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する手段と、測定子24のY軸方向の位置を校正するための制御部41とを有する。制御部41は、テーブル5に載置された被測定物4の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定することにより得られた測定値の最小値が得られたテーブル5の回転角度を最小検出角として求める手段と、最小検出角に基づいて測定子24のY軸方向の位置を調整する調整量を算出する手段とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の回転軸を中心として相対的に回転する被測定物の回転角に同期して変位測定する、いわゆる真円度測定機などの形状測定装置、その校正方法、及び校正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物をテーブルに配置し、テーブルを回転させると共に、測定子(例えば、接触子)を被測定物の表面に倣わせる真円度測定機が知られている(特許文献1、2参照)。このような真円度測定機は、テーブルを回転させ、測定子のX軸方向又はZ軸方向の変位を検出する。すなわち、真円度測定機は、測定子をY軸方向に固定したままで測定を行う。したがって、高精度の測定を行うためには、測定子のY軸方向位置の校正が重要である。
【0003】
通常、以下のようにして、測定子のY軸方向位置の校正は行われる。先ず、テーブルの回転中心に基準球を配置し、その基準球に測定子を接触させた状態で検出器ホルダのY軸方向調整ねじを手で回す。そして、レベルメータのX軸及びZ軸方向のピーク(基準球のX軸及びZ軸方向のピーク)が観測される位置で調整ねじを止める。
【0004】
しかしながら、上記校正方法は、人間の感意のみに頼るものなので誤差が発生し易い。Y軸方向の誤差は、被測定物の角度位置、及びX軸位置、並びに測定値に誤差を生じさせ、その誤差は、テーブルの回転中心に近づくほど大きくなる。
【0005】
例えば、Y軸方向に誤差があると、オプチカルフラット(円柱状)に傾斜を付けてその平面度を測定した場合、中心と外側とで異なる傾きが検出され、本来、平面である上面形状が、ねじれた形状として測定される。また、真円度や円筒度を測定する場合、被測定物の径が小さい程、被測定物の0度位置から離れて測定子が接触することになるため、解析計算結果に誤差が生じ、心出しが収束しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−231864号公報
【特許文献2】特許2551698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高精度な校正が可能な形状測定装置、その校正方法、及び校正プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る形状測定装置の校正方法は、被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、前記被測定物に接触可能な測定子と、前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段とを有する形状測定装置における前記測定子のY軸方向の位置を校正する方法であって、前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定して前記テーブルの回転角度毎の測定値を取得する工程と、前記倣い測定で得られた測定値のうち最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求める工程と、前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る形状測定装置は、被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、前記被測定物に接触可能な測定子と、前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段と、前記測定子のY軸方向の位置を校正するための制御部とを有する形状測定装置において、前記制御部は、前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定することにより得られた測定値の最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求める手段と、前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する調整量を算出する手段とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る形状測定機の校正プログラムは、被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、前記被測定物に接触可能な測定子と、前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段とを有する形状測定装置における前記測定子のY軸方向の位置を校正するための校正プログラムであって、前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定することにより測定値を取得するステップと、このステップで取得された測定値のうち最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求めるステップと、前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する調整量を算出するステップとをコンピュータに実行させるように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高精度な校正が可能な形状測定装置、その校正方法、及び校正プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る形状測定装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【図2】同装置における要部の拡大斜視図である。
【図3】演算処理装置本体31の構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS102を示す概略図である。
【図6】図4のステップS103を示す概略図である。
【図7】図4のステップS104を示す概略図である。
【図8】Y軸補正前後の測定値の軌跡を示す図である。
【図9】図4のステップS108を示す概略図である。
【図10】図4のステップS110を示す概略図である。
【図11】図4のステップS111を示す概略図である。
【図12】本発明のその他の実施形態に係る形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
[実施形態]
[実施形態に係る形状測定装置の構成]
先ず、図1を参照して、実施形態に係る形状測定装置の構成を説明する。図1は、実施形態に係る形状測定装置(真円度測定装置)の外観斜視図である。
【0015】
形状測定装置は、回転体からなる被測定物4を所定の回転軸を中心として回転させながら、被測定物4の各回転角における表面の変位を測定する。
【0016】
形状測定装置は、図1に示すように、測定機本体1と、駆動制御装置1aを介して測定機本体1に接続された演算処理装置2とから構成される。
【0017】
測定機本体1は、基台3と、この基台3上に設けられて被測定物4を載置すると共に回転させるテーブル5と、このテーブル5に載置された被測定物4の変位を検出する変位検出装置6と、これらを操作するための操作部7とを備えて構成されている。
【0018】
テーブル5は、円板状の載物台11を、その下側に配置された回転駆動装置12により回転駆動して、載物台11の上に載置された被測定物4を回転させるものである。回転駆動装置12の側面には、調整用つまみ13が、周方向にほぼ90度の間隔で配置されている。これら調整用つまみ13を操作することにより、手動操作で載物台11の心出し及び水平出しが行えるようになっている。すなわち、載物台11は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸方向に調整可能に構成されている。また、載物台11は、後述する制御部41により、心出し及び水平出しが行われるように構成されている。
【0019】
変位検出装置6は、次のように構成されている。即ち、基台3には上方に延びるコラム21が立設されており、このコラム21にスライダ22が上下(Z軸)方向に駆動可能に装着されている。スライダ22には検出器ホルダ23が装着されている。検出器ホルダ23は、水平(X軸)方向に駆動可能に構成されており、その先端には検出器25が設けられている。検出器25の先端には、その先端が被測定物4に接触可能な測定子24が設けられている。コラム21、スライダ22、及び検出器ホルダ23は、測定子駆動手段を構成している。
【0020】
テーブル5を回転させつつ、スライダ22、検出器ホルダ23を移動させ、測定子24で被測定物4の表面をX軸方向又はZ軸方向に走査(トレース)することによって、X軸方向又はZ軸方向の各位置における測定子24の変位量が測定データとして得られるようになっている。
【0021】
また、図2に示ように、検出器ホルダ23は、X軸方向に延びる回転軸28を中心として90°回転可能であり、これにより検出器25及び測定子24が、被測定物4の形状や測定面に合わせて同図(a)に示す垂直姿勢と、同図(b)に示す水平姿勢とを取り得るように構成されている。検出器ホルダ23が垂直姿勢のときの測定子24の先端部のY軸方向の位置は、検出器ホルダ23の測面に設けられた調整ねじ26によって調整することができ、検出器ホルダ23が水平姿勢のときの測定子24の先端部のY軸方向位置は、検出器ホルダ23の端面に設けられた調整ねじ27によって調整することができるようになっている。
【0022】
演算処理装置2は、変位検出装置6で得られた測定データを取り込む。演算処理装置2は、演算処理を実行する演算処理装置本体31、操作部32、及び表示装置33を有する。また、演算処理装置2は、操作部7と同様に測定機本体1の動作を制御可能に構成されている。
【0023】
次に、図3を参照して、演算処理装置本体31の構成について説明する。演算処理装置本体31は、図3に示すように、主に、制御部(CPU:Central Processing Unit)41、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43、HDD(Hard Disk Drive)44、及び表示制御部45を有する。演算処理装置本体31において、操作部32から入力されるコード情報及び位置情報は、I/F46aを介して制御部41に入力される。制御部41は、ROM43に格納されたマクロプログラム及びHDD44からI/F46bを介してRAM42に格納された各種プログラムに従って、各種の処理を実行する。
【0024】
制御部41は、測定実行処理に従って、I/F46cを介して測定機本体1を制御する。HDD44は、各種制御プログラムを格納する記録媒体である。RAM42は、各種プログラムを格納する他、各種処理のワーク領域を提供する。また、制御部41は、表示制御部45を介して表示装置33に測定結果等を表示する。
【0025】
制御部41は、HDD44から各種プログラムを読み出し、そのプログラムを実行することにより、以下の図4に示す動作を実行する。
【0026】
[実施形態に係る形状測定装置の動作]
次に、図4に示すフローチャートを参照して実施形態に係る形状測定装置を使用した測定子位置の校正方法について説明する。なお、図4の前半(ステップS101〜S106)は、検出器ホルダ23が水平姿勢のときのY軸校正手順を示し、図4の後半(ステップS107〜S113)は、検出器ホルダ23が垂直姿勢のときのY軸校正手順を示している。操作者は、以下に示す校正に際して、載置台11に被測定物4としての円柱状のオプチカルフラット4aをセットする。先ず、制御部41は、検出器ホルダ23を水平姿勢にセットする(ステップS101)。次に、制御部41は、セットされたオプチカルフラット4aの上面を測定子24にて倣うように走査して、その測定結果に基づき、オプチカルフラット4aの水平出し処理を実行する(ステップS102)。ここで、水平出し処理は、図5の(a)、(b)に示すように、オプチカルフラット4aの上面をX軸及びY軸にて構成されるXY面に水平に配置する処理を意味する。本実施形態の説明においては、図5に示すように、オプチカルフラット4aの中心Cは、必ずしも載置台11の回転中心Oである必要はない。
【0027】
続いて、制御部41は、図6に示すように、載置台11(オプチカルフラット4a)をY軸を中心として所定角度θ1だけ傾斜させる(ステップS103)。次に、制御部41は、図7の(a)、(b)に示すように、Z軸を中心に載置台11(オプチカルフラット4a)を回転させながら、オプチカルフラット4aの上面に測定子24を倣わせて、回転角φ1に対する測定子24のZ軸方向の変位量Δ1を測定する(ステップS104)。なお、測定子24は、回転中心Oの近傍において倣わせることが望ましい。続いて、制御部41は、変位量Δ1の最小値Δmin1をとる回転角(以下、最小検出角φmin1)を算出する(ステップS105)。
【0028】
測定子24のY軸方向の位置に誤差がある場合(X軸上に位置していない場合)、、回転角φ1に対する測定子24のZ軸方向の変位量Δ1は、例えば、図8の(a)に示す結果となる。すなわち、本測定は、例えば、オプチカルフラット4aをY軸を中心に、回転角φ1が180°の側が高くなるように傾けている。したがって、測定子24がX軸上に位置していれば、回転角φ1が180°の時に変位量Δ1は最大値をとり、回転角φ1が0°の時に変位量Δ1は最小値をとる。しかしながら、上述したように、測定子24の先端位置がY軸方向に原点からずれて位置している場合には、図8の(a)のように、最小検出角φmin1が0°からずれた位置に観測される。図示の例では、最小検出角φmin1が、54°付近に現れている。これは、載置台11の回転角φ1が0°のときに、測定子24の先端は、回転角φ1が306°付近を測定していることになり、測定子24がY軸方向のマイナス側にずれていることを意味している。
【0029】
ステップS105に続いて、制御部41は、最小検出角φmin1に基づき、移動量M1を算出する(ステップS106)。ここで、移動量M1は、最小検出角φmin1が0°となる、Y軸方向の測定子24の移動量である。なお、操作者は、この移動量M1に基づき、手動で調整ねじ27を調整して、水平方向における測定子24のY軸方向の誤差を修正する。
【0030】
続いて、垂直姿勢における測定子24のY軸校正を実行する。操作者は、載置台11に、オプチカルフラット4aに代えて、円筒ワーク4bを配置する。制御部41は、被測定物4の交換が完了したか否かを、操作部32からの入力情報に基づき判断する(ステップS107)。円筒ワーク4bは高精度のもので、オプチカルフラット4aよりも径が小さく形成されている。
【0031】
円筒ワーク4bがセットされたら、制御部41は、図9(a)に示すように、検出器25を90°回転させて測定子24を垂直面測定姿勢にして、セットされた円筒ワーク4bの上下2ヶ所で側面を測定子24にて回転倣い走査して、その測定結果に基づき、円筒ワーク4bの水平出し、及び心出し処理を実行する(ステップS108)。ここで、心出し処理は、図9の(a)、(b)に示すように、円筒ワーク4bの軸心をZ軸に揃えて配置する処理を意味する。次に、制御部41は、検出器ホルダ23を垂直姿勢にセットする(ステップS109)。
【0032】
続いて、制御部41は、被測定物4(円筒ワーク4b)の軸心を回転軸Oからずらすか又は傾けて配置する(ステップS110)。例えば、制御部41は、図10の(a)に示すように、円筒ワーク4bの軸心の位置を、X軸と平行にZ軸からずらす。或いは、制御部41は、図10(b)に示すように、円筒ワーク4bをY軸を中心として傾けることにより、その軸心をZ軸から傾けて配置する。
【0033】
次に、制御部41は、図11の(a)、(b)に示すように、Z軸を中心に載置台11(円筒ワーク4b)を回転させながら、円筒ワーク4bの側面に測定子24を倣わせて、回転角φ2に対する測定子24のX軸方向の変位量Δ2を測定する(ステップS111)。続いて、制御部41は、変位量Δ2の最小値Δmin2をとる回転角(以下、最小検出角φmin2)を算出する(ステップS112)。なお、測定子24のY軸方向の位置に誤差がある場合(X軸上に位置していない場合)、回転角φ2に対する測定子24のX軸方向の変位量Δ2は、上述した図8の(a)と略同様の結果となる。
【0034】
続いて、制御部41は、最小検出角φmin2に基づき、移動量M2を算出する(ステップS113)。ここで、移動量M2は、最小検出角φmin2が0°となる、Y軸方向の測定子24の移動量である。なお、操作者は、この移動量M2に基づき、手動で調整ねじ26を調整して、垂直姿勢における測定子24のY軸方向の誤差を修正する。
【0035】
[実施形態に係る形状測定装置の効果]
実施形態に係る形状測定装置は、上記のように、最小検出角φmin1、φmin2に基づき、Y軸を調整する。すなわち、形状測定装置は、人間の感意のみに頼らないので、高精度にY軸方向の調整することができる。また、実施形態に係る形状測定装置は、被測定物4の全体を測定する必要がなく、短時間で心出しを行うことができる。
【0036】
[その他の実施形態]
以上、形状測定装置の実施形態を説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、追加、置換等が可能である。
【0037】
上記実施形態は、移動量M1、M2に基づき、操作者が測定子24のY軸方向の誤差を手動で調整するものである。しかしながら、図12に示すように、上記ステップS106の後、制御部41が、移動量M1に基づき、調整ねじ27を調整して水平姿勢における測定子24のY軸を自動調整してもよい(ステップS201)。また、ステップS113の後、制御部41が、移動量M2に基づき、調整ねじ26を調整して垂直姿勢における測定子24のY軸を自動調整してもよい(ステップS202)。
【0038】
また、上記実施形態において、円筒ワーク4bの代わりに、球状のワークを配置してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…測定機本体、 2…演算処理装置、 3…基台、 4…被測定物、 5…テーブル、 6…変位検出装置、 7…操作部、 21…コラム、 22…スライダ、 23…検出器ホルダ、 24…測定子、 31…演算処理装置本体、 32…操作部、 33…表示装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の回転軸を中心として相対的に回転する被測定物の回転角に同期して変位測定する、いわゆる真円度測定機などの形状測定装置、その校正方法、及び校正プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定物をテーブルに配置し、テーブルを回転させると共に、測定子(例えば、接触子)を被測定物の表面に倣わせる真円度測定機が知られている(特許文献1、2参照)。このような真円度測定機は、テーブルを回転させ、測定子のX軸方向又はZ軸方向の変位を検出する。すなわち、真円度測定機は、測定子をY軸方向に固定したままで測定を行う。したがって、高精度の測定を行うためには、測定子のY軸方向位置の校正が重要である。
【0003】
通常、以下のようにして、測定子のY軸方向位置の校正は行われる。先ず、テーブルの回転中心に基準球を配置し、その基準球に測定子を接触させた状態で検出器ホルダのY軸方向調整ねじを手で回す。そして、レベルメータのX軸及びZ軸方向のピーク(基準球のX軸及びZ軸方向のピーク)が観測される位置で調整ねじを止める。
【0004】
しかしながら、上記校正方法は、人間の感意のみに頼るものなので誤差が発生し易い。Y軸方向の誤差は、被測定物の角度位置、及びX軸位置、並びに測定値に誤差を生じさせ、その誤差は、テーブルの回転中心に近づくほど大きくなる。
【0005】
例えば、Y軸方向に誤差があると、オプチカルフラット(円柱状)に傾斜を付けてその平面度を測定した場合、中心と外側とで異なる傾きが検出され、本来、平面である上面形状が、ねじれた形状として測定される。また、真円度や円筒度を測定する場合、被測定物の径が小さい程、被測定物の0度位置から離れて測定子が接触することになるため、解析計算結果に誤差が生じ、心出しが収束しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−231864号公報
【特許文献2】特許2551698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高精度な校正が可能な形状測定装置、その校正方法、及び校正プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る形状測定装置の校正方法は、被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、前記被測定物に接触可能な測定子と、前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段とを有する形状測定装置における前記測定子のY軸方向の位置を校正する方法であって、前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定して前記テーブルの回転角度毎の測定値を取得する工程と、前記倣い測定で得られた測定値のうち最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求める工程と、前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る形状測定装置は、被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、前記被測定物に接触可能な測定子と、前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段と、前記測定子のY軸方向の位置を校正するための制御部とを有する形状測定装置において、前記制御部は、前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定することにより得られた測定値の最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求める手段と、前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する調整量を算出する手段とを含むことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る形状測定機の校正プログラムは、被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、前記被測定物に接触可能な測定子と、前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段とを有する形状測定装置における前記測定子のY軸方向の位置を校正するための校正プログラムであって、前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定することにより測定値を取得するステップと、このステップで取得された測定値のうち最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求めるステップと、前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する調整量を算出するステップとをコンピュータに実行させるように構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高精度な校正が可能な形状測定装置、その校正方法、及び校正プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る形状測定装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【図2】同装置における要部の拡大斜視図である。
【図3】演算処理装置本体31の構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係る形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】図4のステップS102を示す概略図である。
【図6】図4のステップS103を示す概略図である。
【図7】図4のステップS104を示す概略図である。
【図8】Y軸補正前後の測定値の軌跡を示す図である。
【図9】図4のステップS108を示す概略図である。
【図10】図4のステップS110を示す概略図である。
【図11】図4のステップS111を示す概略図である。
【図12】本発明のその他の実施形態に係る形状測定装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
[実施形態]
[実施形態に係る形状測定装置の構成]
先ず、図1を参照して、実施形態に係る形状測定装置の構成を説明する。図1は、実施形態に係る形状測定装置(真円度測定装置)の外観斜視図である。
【0015】
形状測定装置は、回転体からなる被測定物4を所定の回転軸を中心として回転させながら、被測定物4の各回転角における表面の変位を測定する。
【0016】
形状測定装置は、図1に示すように、測定機本体1と、駆動制御装置1aを介して測定機本体1に接続された演算処理装置2とから構成される。
【0017】
測定機本体1は、基台3と、この基台3上に設けられて被測定物4を載置すると共に回転させるテーブル5と、このテーブル5に載置された被測定物4の変位を検出する変位検出装置6と、これらを操作するための操作部7とを備えて構成されている。
【0018】
テーブル5は、円板状の載物台11を、その下側に配置された回転駆動装置12により回転駆動して、載物台11の上に載置された被測定物4を回転させるものである。回転駆動装置12の側面には、調整用つまみ13が、周方向にほぼ90度の間隔で配置されている。これら調整用つまみ13を操作することにより、手動操作で載物台11の心出し及び水平出しが行えるようになっている。すなわち、載物台11は、互いに直交するX軸、Y軸、Z軸方向に調整可能に構成されている。また、載物台11は、後述する制御部41により、心出し及び水平出しが行われるように構成されている。
【0019】
変位検出装置6は、次のように構成されている。即ち、基台3には上方に延びるコラム21が立設されており、このコラム21にスライダ22が上下(Z軸)方向に駆動可能に装着されている。スライダ22には検出器ホルダ23が装着されている。検出器ホルダ23は、水平(X軸)方向に駆動可能に構成されており、その先端には検出器25が設けられている。検出器25の先端には、その先端が被測定物4に接触可能な測定子24が設けられている。コラム21、スライダ22、及び検出器ホルダ23は、測定子駆動手段を構成している。
【0020】
テーブル5を回転させつつ、スライダ22、検出器ホルダ23を移動させ、測定子24で被測定物4の表面をX軸方向又はZ軸方向に走査(トレース)することによって、X軸方向又はZ軸方向の各位置における測定子24の変位量が測定データとして得られるようになっている。
【0021】
また、図2に示ように、検出器ホルダ23は、X軸方向に延びる回転軸28を中心として90°回転可能であり、これにより検出器25及び測定子24が、被測定物4の形状や測定面に合わせて同図(a)に示す垂直姿勢と、同図(b)に示す水平姿勢とを取り得るように構成されている。検出器ホルダ23が垂直姿勢のときの測定子24の先端部のY軸方向の位置は、検出器ホルダ23の測面に設けられた調整ねじ26によって調整することができ、検出器ホルダ23が水平姿勢のときの測定子24の先端部のY軸方向位置は、検出器ホルダ23の端面に設けられた調整ねじ27によって調整することができるようになっている。
【0022】
演算処理装置2は、変位検出装置6で得られた測定データを取り込む。演算処理装置2は、演算処理を実行する演算処理装置本体31、操作部32、及び表示装置33を有する。また、演算処理装置2は、操作部7と同様に測定機本体1の動作を制御可能に構成されている。
【0023】
次に、図3を参照して、演算処理装置本体31の構成について説明する。演算処理装置本体31は、図3に示すように、主に、制御部(CPU:Central Processing Unit)41、RAM(Random Access Memory)42、ROM(Read Only Memory)43、HDD(Hard Disk Drive)44、及び表示制御部45を有する。演算処理装置本体31において、操作部32から入力されるコード情報及び位置情報は、I/F46aを介して制御部41に入力される。制御部41は、ROM43に格納されたマクロプログラム及びHDD44からI/F46bを介してRAM42に格納された各種プログラムに従って、各種の処理を実行する。
【0024】
制御部41は、測定実行処理に従って、I/F46cを介して測定機本体1を制御する。HDD44は、各種制御プログラムを格納する記録媒体である。RAM42は、各種プログラムを格納する他、各種処理のワーク領域を提供する。また、制御部41は、表示制御部45を介して表示装置33に測定結果等を表示する。
【0025】
制御部41は、HDD44から各種プログラムを読み出し、そのプログラムを実行することにより、以下の図4に示す動作を実行する。
【0026】
[実施形態に係る形状測定装置の動作]
次に、図4に示すフローチャートを参照して実施形態に係る形状測定装置を使用した測定子位置の校正方法について説明する。なお、図4の前半(ステップS101〜S106)は、検出器ホルダ23が水平姿勢のときのY軸校正手順を示し、図4の後半(ステップS107〜S113)は、検出器ホルダ23が垂直姿勢のときのY軸校正手順を示している。操作者は、以下に示す校正に際して、載置台11に被測定物4としての円柱状のオプチカルフラット4aをセットする。先ず、制御部41は、検出器ホルダ23を水平姿勢にセットする(ステップS101)。次に、制御部41は、セットされたオプチカルフラット4aの上面を測定子24にて倣うように走査して、その測定結果に基づき、オプチカルフラット4aの水平出し処理を実行する(ステップS102)。ここで、水平出し処理は、図5の(a)、(b)に示すように、オプチカルフラット4aの上面をX軸及びY軸にて構成されるXY面に水平に配置する処理を意味する。本実施形態の説明においては、図5に示すように、オプチカルフラット4aの中心Cは、必ずしも載置台11の回転中心Oである必要はない。
【0027】
続いて、制御部41は、図6に示すように、載置台11(オプチカルフラット4a)をY軸を中心として所定角度θ1だけ傾斜させる(ステップS103)。次に、制御部41は、図7の(a)、(b)に示すように、Z軸を中心に載置台11(オプチカルフラット4a)を回転させながら、オプチカルフラット4aの上面に測定子24を倣わせて、回転角φ1に対する測定子24のZ軸方向の変位量Δ1を測定する(ステップS104)。なお、測定子24は、回転中心Oの近傍において倣わせることが望ましい。続いて、制御部41は、変位量Δ1の最小値Δmin1をとる回転角(以下、最小検出角φmin1)を算出する(ステップS105)。
【0028】
測定子24のY軸方向の位置に誤差がある場合(X軸上に位置していない場合)、、回転角φ1に対する測定子24のZ軸方向の変位量Δ1は、例えば、図8の(a)に示す結果となる。すなわち、本測定は、例えば、オプチカルフラット4aをY軸を中心に、回転角φ1が180°の側が高くなるように傾けている。したがって、測定子24がX軸上に位置していれば、回転角φ1が180°の時に変位量Δ1は最大値をとり、回転角φ1が0°の時に変位量Δ1は最小値をとる。しかしながら、上述したように、測定子24の先端位置がY軸方向に原点からずれて位置している場合には、図8の(a)のように、最小検出角φmin1が0°からずれた位置に観測される。図示の例では、最小検出角φmin1が、54°付近に現れている。これは、載置台11の回転角φ1が0°のときに、測定子24の先端は、回転角φ1が306°付近を測定していることになり、測定子24がY軸方向のマイナス側にずれていることを意味している。
【0029】
ステップS105に続いて、制御部41は、最小検出角φmin1に基づき、移動量M1を算出する(ステップS106)。ここで、移動量M1は、最小検出角φmin1が0°となる、Y軸方向の測定子24の移動量である。なお、操作者は、この移動量M1に基づき、手動で調整ねじ27を調整して、水平方向における測定子24のY軸方向の誤差を修正する。
【0030】
続いて、垂直姿勢における測定子24のY軸校正を実行する。操作者は、載置台11に、オプチカルフラット4aに代えて、円筒ワーク4bを配置する。制御部41は、被測定物4の交換が完了したか否かを、操作部32からの入力情報に基づき判断する(ステップS107)。円筒ワーク4bは高精度のもので、オプチカルフラット4aよりも径が小さく形成されている。
【0031】
円筒ワーク4bがセットされたら、制御部41は、図9(a)に示すように、検出器25を90°回転させて測定子24を垂直面測定姿勢にして、セットされた円筒ワーク4bの上下2ヶ所で側面を測定子24にて回転倣い走査して、その測定結果に基づき、円筒ワーク4bの水平出し、及び心出し処理を実行する(ステップS108)。ここで、心出し処理は、図9の(a)、(b)に示すように、円筒ワーク4bの軸心をZ軸に揃えて配置する処理を意味する。次に、制御部41は、検出器ホルダ23を垂直姿勢にセットする(ステップS109)。
【0032】
続いて、制御部41は、被測定物4(円筒ワーク4b)の軸心を回転軸Oからずらすか又は傾けて配置する(ステップS110)。例えば、制御部41は、図10の(a)に示すように、円筒ワーク4bの軸心の位置を、X軸と平行にZ軸からずらす。或いは、制御部41は、図10(b)に示すように、円筒ワーク4bをY軸を中心として傾けることにより、その軸心をZ軸から傾けて配置する。
【0033】
次に、制御部41は、図11の(a)、(b)に示すように、Z軸を中心に載置台11(円筒ワーク4b)を回転させながら、円筒ワーク4bの側面に測定子24を倣わせて、回転角φ2に対する測定子24のX軸方向の変位量Δ2を測定する(ステップS111)。続いて、制御部41は、変位量Δ2の最小値Δmin2をとる回転角(以下、最小検出角φmin2)を算出する(ステップS112)。なお、測定子24のY軸方向の位置に誤差がある場合(X軸上に位置していない場合)、回転角φ2に対する測定子24のX軸方向の変位量Δ2は、上述した図8の(a)と略同様の結果となる。
【0034】
続いて、制御部41は、最小検出角φmin2に基づき、移動量M2を算出する(ステップS113)。ここで、移動量M2は、最小検出角φmin2が0°となる、Y軸方向の測定子24の移動量である。なお、操作者は、この移動量M2に基づき、手動で調整ねじ26を調整して、垂直姿勢における測定子24のY軸方向の誤差を修正する。
【0035】
[実施形態に係る形状測定装置の効果]
実施形態に係る形状測定装置は、上記のように、最小検出角φmin1、φmin2に基づき、Y軸を調整する。すなわち、形状測定装置は、人間の感意のみに頼らないので、高精度にY軸方向の調整することができる。また、実施形態に係る形状測定装置は、被測定物4の全体を測定する必要がなく、短時間で心出しを行うことができる。
【0036】
[その他の実施形態]
以上、形状測定装置の実施形態を説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、追加、置換等が可能である。
【0037】
上記実施形態は、移動量M1、M2に基づき、操作者が測定子24のY軸方向の誤差を手動で調整するものである。しかしながら、図12に示すように、上記ステップS106の後、制御部41が、移動量M1に基づき、調整ねじ27を調整して水平姿勢における測定子24のY軸を自動調整してもよい(ステップS201)。また、ステップS113の後、制御部41が、移動量M2に基づき、調整ねじ26を調整して垂直姿勢における測定子24のY軸を自動調整してもよい(ステップS202)。
【0038】
また、上記実施形態において、円筒ワーク4bの代わりに、球状のワークを配置してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…測定機本体、 2…演算処理装置、 3…基台、 4…被測定物、 5…テーブル、 6…変位検出装置、 7…操作部、 21…コラム、 22…スライダ、 23…検出器ホルダ、 24…測定子、 31…演算処理装置本体、 32…操作部、 33…表示装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、
前記被測定物に接触可能な測定子と、
前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段と
を有する形状測定装置における前記測定子のY軸方向の位置を校正する方法であって、
前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定して前記テーブルの回転角度毎の測定値を取得する工程と、
前記倣い測定で得られた測定値のうち最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求める工程と、
前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する工程と
を有することを特徴とする形状測定装置の校正方法。
【請求項2】
前記測定子駆動手段は、
前記測定子を支持する検出器と、
この検出器を水平姿勢と垂直姿勢の2つの姿勢を取り得るように支持する検出器ホルダと
を有し、
前記検出器が水平姿勢のときに、前記傾斜平面を倣い測定して、水平姿勢における前記測定子のY軸方向の位置を調整する工程と、
前記検出器が垂直姿勢のときに、前記傾斜円筒側面又は偏心円筒側面を倣い測定して、垂直姿勢における前記測定子のY軸方向の位置を調整する工程と
を含むことを特徴とする請求項1記載の形状測定装置の校正方法。
【請求項3】
被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、
前記被測定物に接触可能な測定子と、
前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段と、
前記測定子のY軸方向の位置を校正するための制御部と
を有する形状測定装置において、
前記制御部は、
前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定することにより得られた測定値の最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求める手段と、
前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する調整量を算出する手段と
を含む
ことを特徴とする形状測定装置。
【請求項4】
被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、
前記被測定物に接触可能な測定子と、
前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段と
を有する形状測定装置における前記測定子のY軸方向の位置を校正するための校正プログラムであって、
前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定することにより測定値を取得するステップと、
このステップで取得された測定値のうち最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求めるステップと、
前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する調整量を算出するステップと
をコンピュータに実行させるように構成された形状測定機の校正プログラム。
【請求項1】
被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、
前記被測定物に接触可能な測定子と、
前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段と
を有する形状測定装置における前記測定子のY軸方向の位置を校正する方法であって、
前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定して前記テーブルの回転角度毎の測定値を取得する工程と、
前記倣い測定で得られた測定値のうち最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求める工程と、
前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する工程と
を有することを特徴とする形状測定装置の校正方法。
【請求項2】
前記測定子駆動手段は、
前記測定子を支持する検出器と、
この検出器を水平姿勢と垂直姿勢の2つの姿勢を取り得るように支持する検出器ホルダと
を有し、
前記検出器が水平姿勢のときに、前記傾斜平面を倣い測定して、水平姿勢における前記測定子のY軸方向の位置を調整する工程と、
前記検出器が垂直姿勢のときに、前記傾斜円筒側面又は偏心円筒側面を倣い測定して、垂直姿勢における前記測定子のY軸方向の位置を調整する工程と
を含むことを特徴とする請求項1記載の形状測定装置の校正方法。
【請求項3】
被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、
前記被測定物に接触可能な測定子と、
前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段と、
前記測定子のY軸方向の位置を校正するための制御部と
を有する形状測定装置において、
前記制御部は、
前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定することにより得られた測定値の最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求める手段と、
前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する調整量を算出する手段と
を含む
ことを特徴とする形状測定装置。
【請求項4】
被測定物を載置すると共にZ軸を中心として回転可能なテーブルと、
前記被測定物に接触可能な測定子と、
前記測定子を、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸のうち少なくともX軸及びZ軸方向に駆動する測定子駆動手段と
を有する形状測定装置における前記測定子のY軸方向の位置を校正するための校正プログラムであって、
前記テーブルに載置された被測定物の一部として含むY軸を中心として傾斜した傾斜平面若しくは傾斜円筒側面、又は中心軸がX軸方向にずれた偏心円筒側面を、回転させながら倣い測定することにより測定値を取得するステップと、
このステップで取得された測定値のうち最小値が得られた前記テーブルの回転角度を最小検出角として求めるステップと、
前記最小検出角に基づいて前記測定子のY軸方向の位置を調整する調整量を算出するステップと
をコンピュータに実行させるように構成された形状測定機の校正プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−266413(P2010−266413A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120327(P2009−120327)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]