説明

形質転換成長因子(TGF)阻害剤としての新規なピラゾ−ル化合物

式(Ia)の新規なピラゾ−ル誘導体、それらを製造するための中間体、それらを含有する医薬組成物およびそれらの薬剤としての使用について記す。本発明の化合物は、形質転換成長因子(「TGF」)−β信号伝達経路の有効な阻害剤である。それらは様々なTGF−β関連疾患状態、例えば癌および線維症疾患の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、誘導体を含む新規なピラゾ−ル化合物、それらを製造するための中間体、それらを含有する医薬組成物、およびそれらの薬としての使用に関する。本発明の化合物は、形質転換成長因子(「TGF」)−β信号伝達経路の有効な阻害剤である。それらは、例えば癌および線維症疾患を含む、TGF−β関連疾患状態の治療に有用である。
【0002】
TGF−βは抗増殖および腫瘍促進信号伝達カスケードのいずれも活性化する。3種の哺乳動物TGF−β異性形が確認されている(TGF−βI、−βII、および−βIII)。TGF−βの産生は腫瘍の進行を促進させ、一方、その遮断は抗腫瘍活性を高める。TGF−βの遮断は抗腫瘍免疫反応を高め、転移を抑制する。従って、TGF−β信号伝達経路を阻害する化合物がこの分野で求められている。本発明は、以下で説明するように、そのような求めに答えるものである。
発明の概要
本発明は、ここに示す少なくとも1つの置換または非置換2−ピリジル部分および少なくとも1つのR部分で置換されたコアのピラゾ−ル環を含む新規な化合物、並びにその全ての薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、水和物および溶媒和物を提供する。本発明の化合物において、置換または非置換2−ピリジル部分およびR部分は、コアのピラゾ−ル環の1,2−、1,3−または1,4−の関係、好ましくは1,2−すなわちオルト関係にある。
【0003】
本発明は次の式(Ia):
【0004】
【化1】

【0005】
の化合物並びにその全ての薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、水和物および溶媒和物を提供する。式中、R、R、R、Rおよびsはそれぞれ、ここに示すものであり、ただし、Rは少なくとも1つの複素原子を含む。
【0006】
上記式中、
は、N、OおよびSよりなる群から選択される少なくとも1つの複素原子を含んでいてもよい飽和、不飽和、または芳香族C−C20モノ−、ビ−もしくは多環式環であり、
ここで、Rは、カルボニル、ハロ、ハロ(C−C)アルキル、ペルハロ(C−C)アルキル、ペルハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、ヒドロキシ、オキソ、メルカプト、(C−C)アルキルチオ、(C−C)アルコキシ、(C−C10)アリールもしくは(C−C10)ヘテロアリール、(C−C10)アリールオキシもしくは(C−C10)ヘテロアリールオキシ、(C−C10)アル(C−C)アルキルもしくは(C−C10)ヘテロアル(C−C)アルキル、(C−C10)アル(C−C)アルコキシもしくは(C−C10)ヘテロアル(C−C)アルコキシ、HO−(C=O)−、エステル、アミド、エーテル、アミノ、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、(C−C10)複素環(C−C)アルキル、(C−C)アルキル−およびジ(C−C)アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、カルバモイル、(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C10)アリールカルボニル、(C−C10)アリールオキシカルボニル、(C−C)アルキルスルホニル、並びに(C−C10)アリールスルホニルよりなる群から独立して選択される少なくとも1つの部分でさらに独立して置換されていてもよい;
好ましくは、Rは、限定されないが、ハロ(C−C)アルキル、ペルハロ(C−C)アルキル、ペルハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、(C−C10)アル(C−C)アルコキシもしくは(C−C10)ヘテロアル(C−C)アルコキシ、アミノ、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、および(C−C10)複素環(C−C)アルキルよりなる群から独立して選択される0〜2個の部分でさらに独立して置換されていてもよい;
各Rは、水素、ハロ、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、ペルハロ(C−C)アルキル、フェニル、(C−C10)ヘテロアリール、(C−C10)複素環式基、(C−C10)シクロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、ペルハロ(C−C)アルコキシ、フェノキシ、(C−C10)ヘテロアリール−O−、(C−C10)複素環−O−、(C−C10)シクロアルキル−O−、(C−C)アルキル−S−、(C−C)アルキル−SO−、(C−C)アルキル−NH−SO−、ON−、NC−、アミノ、Ph(CH1−6HN−、(C−C)アルキル−HN−、(C−C)アルキルアミノ、[(C−C)アルキル]−アミノ、(C−C)アルキル−SO−NH−、アミノ(C=O)−、アミノOS−、(C−C)アルキル−(C=O)−NH−、(C−C)アルキル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、フェニル−(C=O)−NH−、フェニル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、(C−C)アルキル−(C=O)−、フェニル−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−、(C−C10)複素環−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−、HO−(C=O)−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−、HN(C=O)−、(C−C)アルキル−NH−(C=O)−、[(C−C)アルキル]−N−(C=O)−、フェニル−NH−(C=O)−、フェニル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−NH−(C=O)−、(C−C10)複素環−NH−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−NH−(C=O)−および(C−C)アルキル−(C=O)−O−よりなる群から独立して選択され;好ましくは、Rは、水素または(C−C)アルキルであり;より好ましくは、Rは、水素またはメチルであり;
ここで、Rのアルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ヘテロアリール、複素環式基、シクロアルキル、アルコキシ、フェノキシ、およびアミノは、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、ハロ、HN−、Ph(CH1−6HN−、および(C−C)アルキルHN−から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい;
sは1〜5、好ましくは1〜2、より好ましくは1の整数であり;
は、水素、ハロ、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、ペルハロ(C−C)アルキル、フェニル、(C−C10)ヘテロアリール、(C−C10)複素環式基、(C−C10)シクロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、ペルハロ(C−C)アルコキシ、フェノキシ、(C−C10)ヘテロアリール−O−、(C−C10)複素環−O−、(C−C10)シクロアルキル−O−、(C−C)アルキル−S−、(C−C)アルキル−SO−、(C−C)アルキル−NH−SO−、ON−、NC−、アミノ、Ph(CH1−6NH−、アルキルNH−、(C−C)アルキルアミノ、[(C−C)アルキル]−アミノ、(C−C)アルキル−SO−NH−、アミノ(C=O)−、アミノSO−、(C−C)アルキル−(C=O)−NH−、(C−C)アルキル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、フェニル−(C=O)−NH−、フェニル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、(C−C)アルキル−(C=O)−、フェニル−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−、(C−C10)複素環−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−、HO−(C=O)−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−、HN(C=O)−、(C−C)アルキル−NH−(C=O)−、[(C−C)アルキル]−N−(C=O)−、フェニル−NH−(C=O)−、フェニル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−NH−(C=O)−、(C−C10)複素環−NH−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−NH−(C=O)−および(C−C)アルキル−(C=O)−O−よりなる群から選択され;好ましくは、Rは、水素、(C−C)アルキル、(C−C10)シクロアルキル、アミノ、(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルキル−(C=O)−、または(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−であり、
ここで、Rのアルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ヘテロアリール、複素環式基、シクロアルキル、アルコキシ、フェノキシ、およびアミノは、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、ハロ、HN−、Ph(CH1−6NH−、および(C−C)アルキルNH−よりなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい;
は、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、フェニル、(C−C10)ヘテロアリール、(C−C10)複素環式基、(C−C10)シクロアルキル、(C−C)アルキル−(SO)−、フェニル−(SO)−、HN−(SO)−、(C−C)アルキル−NH−(SO)−、((C−C)アルキル)N−(SO)−、フェニル−NH−(SO)−、(フェニル)−N−(SO)−、(C−C)アルキル−(C=O)−、フェニル−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−、(C−C10)複素環−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−、(C−C10)複素環−O−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−O−(C=O)−、HN(C=O)−、(C−C)アルキル−NH−(C=O)−、フェニル−NH−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−NH−(C=O)−、(C−C10)複素環−NH−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−NH−(C=O)−、((C−C)アルキル)−N−(C=O)−、(フェニル)−N−(C=O)−、フェニル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、(C−C10)複素環−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、および(C−C10)シクロアルキル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−よりなる群から選択され;好ましくは、Rは、水素または(C−C)アルキル、より好ましくは水素またはメチルであり;
ここで、Rのアルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ベンジル、ヘテロアリール、複素環式基、シクロアルキル、アルコキシ、フェノキシ、およびアミノは、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、ペルハロ(C−C)アルキル、(C−C10)シクロアルキル、フェニル、ベンジル、(C−C10)複素環式基、(C−C10)ヘテロアリール、(C−C)アルキル−SO−、ホルミル、NC−、(C−C)アルキル−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−、フェニル−(C=O)−、(C−C10)複素環−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−、HO−(C=O)−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−O−(C=O)−、(C−C10)複素環−O−(C=O)−、(C−C)アルキル−NH−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−NH−(C=O)−、フェニル−NH−(C=O)−、(C−C10)複素環−NH−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−NH−(C=O)−、((C−C)アルキル)−N−(C=O)−、フェニル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、ヒドロキシ−、(C−C)アルコキシ、ペルハロ(C−C)アルコキシ、(C−C10)シクロアルキル−O−、フェノキシ、(C−C10)複素環−O−、(C−C10)ヘテロアリール−O−、(C−C)アルキル−(C=O)−O−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−O−、フェニル−(C=O)−O−、(C−C10)複素環−(C=O)−O−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−O−、ON−、アミノ、(C−C)アルキルアミノ−、((C−C)アルキル)−アミノ、ホルムアミジル、(C−C)アルキル−(C=O)−NH−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−NH−、フェニル−(C=O)−NH−、(C−C10)複素環−(C=O)−NH−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−NH−、(C−C)アルキル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、フェニル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、(C−C)アルキル−SONH−、(C−C10)シクロアルキル−SONH−、フェニル−SONH−、(C−C10)複素環−SONH−、および(C−C10)ヘテロアリール−SONH−よりなる群から独立して選択される少なくとも1つの部分で置換されていてもよく;好ましくは、Rは、(C−C)アルキルおよび(C−C10)シクロアルキルよりなる群から独立して選択される0〜2個の基で置換されている;
ここで、Rのフェニルまたはヘテロアリール部分は、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ペルフルオロ(C−C)アルキル、およびペルフルオロ(C−C)アルコキシよりなる群から独立して選択される少なくとも1つの基でさらに置換されていてもよい;
ただし、Rは少なくとも1つの複素原子を含む。
【0007】
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0008】
【化2】

【0009】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0010】
【化3】

【0011】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0012】
【化4】

【0013】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0014】
【化5】

【0015】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0016】
【化6】

【0017】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0018】
【化7】

【0019】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0020】
【化8】

【0021】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
上記の各Rは、ここに示す通りの少なくとも1つのR2a基でさらに置換されていてもよい。
【0022】
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0023】
【化9】

【0024】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0025】
【化10】

【0026】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0027】
【化11】

【0028】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0029】
【化12】

【0030】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0031】
【化13】

【0032】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0033】
【化14】

【0034】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0035】
【化15】

【0036】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0037】
【化16】

【0038】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0039】
【化17】

【0040】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0041】
【化18】

【0042】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0043】
【化19】

【0044】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0045】
【化20】

【0046】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0047】
【化21】

【0048】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0049】
【化22】

【0050】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0051】
【化23】

【0052】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0053】
【化24】

【0054】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0055】
【化25】

【0056】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0057】
【化26】

【0058】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0059】
【化27】

【0060】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0061】
【化28】

【0062】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0063】
【化29】

【0064】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0065】
【化30】

【0066】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0067】
【化31】

【0068】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0069】
【化32】

【0070】
である。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0071】
【化33】

【0072】
であり、式中、R2aはここに示す通りである。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0073】
【化34】

【0074】
よりなる群から選択される。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0075】
【化35】

【0076】
よりなる群から選択される。
本発明の別の態様では、上記式(Ia)のRは、
【0077】
【化36】

【0078】
よりなる群から選択される。
本発明はまた、本発明の少なくとも1種の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。
【0079】
本発明はさらに、本発明の化合物の製法を提供する。
本発明はさらにまた、少なくとも1種の本発明の化合物を治療に有効な量でTGF関連疾患状態の動物または人に投与する工程を含む、動物または人におけるTGF関連疾患状態の予防または治療法を提供する。
【0080】
本発明はさらにまた、本発明の化合物の、動物または人におけるTGF関連疾患状態の予防または治療用薬剤製造における使用を提供する。
定義
ここで用いるように、名詞はそれが指す対象の単数および複数の両方を意味する。
【0081】
ここで用いるように、「アルキル」並びにここに示す他の基のアルキル部分(例えば、アルコキシ)は、線状のまたは枝分かれした飽和炭化水素(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル)を指す。
【0082】
ここで用いるように、「シクロアルキル」は、単環式または二環式炭素環(例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニルおよびビシクロ[5.2.0]ノナニル)を指す。
【0083】
ここで用いるように、「ハロゲン」または「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモもしくはヨードまたはフッ化物、塩化物、臭化物もしくはヨウ化物を含むことを意味する。
ここで用いるように、「ハロ置換アルキル」または「ハロアルキル」は、1つ以上の上記ハロゲンで置換された上記アルキル基、限定されないが、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、および2,2,2−トリクロロエチルを指す。
【0084】
ここで用いるように、「ペルハロアルキル」は、アルキル基の各水素が上記「ハロゲン」または「ハロ」に入れ代えられている、上記アルキル基を指す。
ここで用いるように、「アルケニル」は、少なくとも2つの炭素原子および少なくとも1つの二重結合を含む線状のまたは枝分かれした炭化水素鎖を指す。その例は、限定されないが、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル(アリル)、イソプロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、および2−ブテニルである。
【0085】
ここで用いるように、「アルキニル」は、少なくとも1つの三重結合を有する線状のまたは枝分かれした炭化水素鎖を指し、その例は、限定されないが、エチニル、プロピニル、およびブチニルである。
【0086】
ここで用いるように、「カルボニル」は、>C=O部分を指す。アルコキシカルボニルアミノ(すなわち、アルコキシ(C=O)−NH−)はアルキルカルバメート基を指す。カルボニル基はまた、ここでは(C=O)と同等に定義される。
【0087】
ここで用いるように、「フェニル−[(アルキル)−N]−(C=O)−」は、式:
【0088】
【化37】

【0089】
のN,N´−二置換アミド基を指す。
ここで用いるように、「アリール」は、芳香族基、例えばフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、およびインダニルを指す。
【0090】
ここで用いるように、「ヘテロアリール」は、O、SおよびNから選択される少なくとも1つの複素原子を含む芳香族基を指す。例えば、ヘテロアリール基には、限定されないが、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピロリル、オキサゾリル(例えば、1,3−オキサゾリル、1,2−オキサゾリル)、チアゾリル(例えば、1,2−チアゾリル、1,3−チアゾリル)、ピラゾリル、テトラゾリル、トリアゾリル(例えば、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル)、オキサジアゾリル(例えば、1,2,3−オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例えば、1,3,4−チアジアゾリル)、キノリル、イソキノリル、ベンゾチエニル、ベンゾフリル、およびインドリルが含まれる。
【0091】
ここで用いるように、「複素環式基」または「複素環」は、N、OおよびSから選択される少なくとも1つの複素原子を含む飽和または不飽和C−C20単環式、二環式または多環式基を指す。複素環式基の例は、限定されないが、アゼチジニル、テトラヒドロフラニル、イミダゾリジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピラゾリジニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチアジニル、テトラヒドロチアジアジニル、モルホリニル、オキセタニル、テトラヒドロジアジニル、オキサジニル、オキシチアジニル、インドリニル、イソインドリニル、キンククリジニル、クロマニル、イソクロマニル、ベンゾカジニル等である。単環式飽和または不飽和環系の例は、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、イミダゾリジン−1−イル、イミダゾリジン−2−イル、イミダゾリジン−4−イル、ピロリジン−1−イル、ピロリジン−2−イル、ピロリジン−3−イル、ピペリジン−1−イル、ピペリジン−2−イル、ピペリジン−3−イル、ピペラジン−1−イル、ピペラジン−2−イル、ピペラジン−3−イル、1,3−オキサゾリジン−3−イル、イソチアゾリジン、1,3−チアゾリジン−3−イル、1,2−ピラゾリジン−2−イル、1,3−ピラゾリジン−1−イル、チオモルホリン−イル、1,2−テトラヒドロチアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロチアジン−3−イル、3−テトラヒドロチアジアジン−イル、モルホリン−イル、1,2−テトラヒドロジアジン−2−イル、1,3−テトラヒドロジアジン−1−イル、1,4−オキサジン−2−イル、および1,2,5−オキサチアジン−4−イルである。
【0092】
ここで用いるように、「薬学的に許容される酸付加塩」は、非毒性酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容される陰イオンから誘導される塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、サッカリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモエート[すなわち、1,1´−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)]塩を指す。
【0093】
ここで用いるように、「薬学的に許容される塩基付加塩」は、非毒性塩基付加塩、すなわち、薬理学的に許容される陽イオンから誘導される塩、例えばアルカリ金属陽イオン(例えば、カリウムおよびナトリウム)およびアルカリ土類金属陽イオン(例えば、カルシウムおよびマグネシウム)、アンモニウムまたは水溶性アミン付加塩、例えばN−メチルグルカミン−(メグルミン)、および低級アルカノールアンモニウム並びに薬学的に許容される有機アミンの他の塩基塩を指す。
【0094】
ここで用いるように、「適した置換基」、「置換基」または「置換された」は、化学的および薬学的に許容される官能基、すなわち、本発明の化合物の阻害および/または治療活性を無効にしない部分を指す。そのような適した置換基は、本技術分野における当業者によっていつものように選択されうる。適した置換基の例は、限定されないが、カルボニル、ハロ、ハロアルキル、ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、オキソ、メルカプト、アルキルチオ、アルコキシ、アリールまたはヘテロアリール、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ、アルアルキルまたはヘテロアルアルキル、アルアルコキシまたはヘテロアルアルコキシ、HO−(C=O)−、エステル、アミド、エーテル、アミノ、アルキル−およびジアルキルアミノ、シアノ、ニトロ、カルバモイル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アリールカルボニル、アリールオキシカルボニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル等である。本技術分野における当業者であれば、多くの置換基が別の置換基で置換されうることは理解するであろう。
【0095】
ここで用いるように、「TGF−関連疾患状態」とは、TGF−βの産生によって仲介される病気の状態を意味する。
ここで用いるように、「Ph」はフェニルを指す。
【0096】
ここで用いるように、「少なくとも1つの複素原子を含んでいてもよい飽和、不飽和または芳香族C−C20単環式、二環式または多環式環は、限定されないが、
【0097】
【化38】

【0098】
を指し、式中、R2aは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C10)シクロアルキル、(C−C10)アリール、(C−C)アルキルアリール、アミノ、カルボニル、カルボキシル、(C−C)酸、(C−C)エステル、(C−C10)ヘテロアリール、(C−C10)複素環式基、(C−C)アルコキシ、ニトロ、ハロ、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ(C−C)エステル、および米国特許出願第10/094,717号、第10/094,760号、および第10/115,952号に記載の基(これらは全て参照することによってここに記載されたものとする)よりなる群から独立して選択され、ここで、R2aのアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アミノ、酸、エステル、ヘテロアリール、複素環式基、、およびアルコキシは、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、ペルハロ(C−C)アルキル、フェニル、(C−C10)シクロアルキル、(C−C10)ヘテロアリール、(C−C10)複素環式基、ホルミル、NC−、(C−C)アルキル−(C=O)−、フェニル−(C=O)−、HO−(C=O)−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−、(C−C)アルキル−NH−(C=O)−、((C−C)アルキル)−N−(C=O)−、フェニル−NH−(C=O)−、フェニル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、ON−、アミノ、(C−C)アルキルアミノ、((C−C)アルキル)−アミノ、(C−C)アルキル−(C=O)−NH−、(C−C)アルキル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、フェニル−(C=O)−NH−、フェニル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、HN−(C=O)−NH−、(C−C)アルキル−HN−(C=O)−NH−、((C−C)アルキル)−N−(C=O)−NH−、(C−C)アルキル−HN−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、((C−C)アルキル)−N−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、フェニル−HN−(C=O)−NH−、(フェニル)−N−(C=O)−NH−、フェニル−HN−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、(フェニル)−N−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−NH−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、フェニル−O−(C=O)−NH−、フェニル−O−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、(C−C)アルキル−SONH−、フェニル−SONH−、(C−C)アルキル−SO−、フェニル−SO−、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、ペルハロ(C−C)アルコキシ、フェノキシ、(C−C)アルキル−(C=O)−O−、(C−C)エステル−(C−C)アルキル−O−、フェニル−(C=O)−O−、HN−(C=O)−O−、(C−C)アルキル−HN−(C=O)−O−、((C−C)アルキル)N−(C=O)−O−、フェニル−HN−(C=O)−O−、(フェニル)N−(C=O)−O−よりなる群から独立して選択される少なくとも1つの部分で置換されていてもよい。
発明の詳細な説明
次の反応スキームで本発明の化合物の製造について説明する。本発明の化合物は、米国特許出願第10/094,717号、第10/094,760号および第10/115,952号、並びにWO02/40476に記載のものと類似の方法で製造しうる。断りがなければ、反応スキームおよび次の記載中のR、R、R、R、R2aおよびsは上記の通りである。
スキーム1
【0099】
【化39】

【0100】
スキーム1は、式Iaの化合物の製造を示す。スキーム1を参照すると、式IIIの化合物は、式IIのアルデヒドから、極性溶媒中、アニリンのような芳香族アミンでまず処理されることによって製造される。適した溶媒には、酢酸エチル、酢酸イソプロピルまたはテトラヒドロフランが含まれ、酢酸イソプロピルが好ましい。得られた反応混合物を約50〜約100℃、好ましくは60℃に加熱し、次いで亜リン酸ジフェニルエステルでゆっくり処理した。反応混合物の温度を約30分〜約3時間、好ましくは約1時間維持し、次に、一晩周囲温度に冷却した。式IIの化合物は以下に示す製造Eにより製造された。
【0101】
式Vの化合物は、式IIIの化合物から、極性溶媒中、カリウムt−ブトキシドのような塩基の存在下、式IVのアルデヒドと反応させることによって製造された。適した溶媒には、酢酸エチル、酢酸イソプロピルまたはテトラヒドロフランが含まれ、テトラヒドロフランと酢酸イソプロピルとの混合物が好ましい。上記反応は約0〜約100℃、好ましくは約22℃(周囲温度)で、約30分〜約5時間、好ましくは約2時間行った。次に、得られた反応混合物を塩酸のような酸で約30分〜約5時間、好ましくは約1時間処理した。
【0102】
式Iaの化合物は、式Vの化合物から、過剰のジメチルホルムアミドジメチルアセタール、DMF−DMAで処理し、そのまま約60分〜約100℃、好ましくは約80℃で、約30〜約4時間、好ましくは約2時間加熱することによって製造された。過剰のジメチルホルムアミドジメチルアセタールの除去後、極性溶媒中の適切なヒドラジン、例えばHNNHRを加えた。上記反応に適した溶媒にはメタノールおよびエタノールが含まれる。上記反応は約0〜約50℃、好ましくは約22℃(周囲温度)で、約1〜約4時間、好ましくは約2時間行った。
【0103】
あるいは、式Vaの化合物は、式Vの化合物から、テトラヒドロフランのような溶媒中、リチウムビス(トリメチルシリル)アミドのような塩基と−78℃で反応させ、その後、酸塩化物またはアシルイミダゾールのような活性化カルボン酸(RCOH)の簡単なエステルを加えることによって製造しうる。式Iaの化合物は、適切なヒドラジン、例えばHNNHRを加えることによって形成される。
【0104】
あるいは、式Iaの化合物は、式Vの化合物をピリジンのような溶媒中、水素化ナトリウムのような塩基で処理し、その後、チオイソシアネート、SCNRを加えることによって製造しうる。式Iaの化合物は、適切なヒドラジン、例えばHNNHRを加えることによってその後形成される。
【0105】
あるいは、式Iaの化合物は、WO00/31063およびWO02/72576に示す手順により製造しうる。
スキーム2
【0106】
【化40】

【0107】
スキーム2は、スキーム1で式Iaの化合物を製造する際の中間体である式Vの化合物の製造を示す。スキーム2を参照すると、式Vの化合物は、式VIの化合物から、約−60℃で約90分間、ブチルリチウムのような塩基で処理し、その後、テトラヒドロフランのような極性中性溶媒中で、商業的に入手しうるあるいはR
【0108】
【化41】

【0109】
によって入れ代えられる下記の製造Cの方法と類似の方法により製造される式VIIのピリジルアミドをゆっくり加えることによって製造した。上記反応は約−78〜約0℃、好ましくは約−20℃で、約1〜約10時間、好ましくは約3時間行った。
【0110】
あるいは、式Vの化合物は、Davies, I. W.;Marcoux, J. F.;Corley E. G.;Journet, M.;Cai, D. W.;Palucki, M.;Wu, J.;Larsen, R. D.;Rossen, K.;Pye, P. J.;DiMichele, L.;Dormer, P.;Reider, P. J.;J. Org. Chem., Vol.65, pp.8415-8420(2000)の方法により製造することができる。
スキーム3
【0111】
【化42】

【0112】
スキーム3は、R
【0113】
【化43】

【0114】
である式Iaの化合物の製造を示す。スキーム3を参照すると、式IXの化合物は、式VIIIの化合物から、下記の製造Aに記載の化合物XIIの化合物IVへの変換手順により製造した。式VIIIの化合物は下記の製造Dにより製造した。スキーム3において、式Iaの化合物は、式IXの化合物から、スキーム1に記載の手順により製造しうる。
スキーム4
【0115】
【化44】

【0116】
スキーム4は、スキーム1で式Iaの化合物を製造する際の中間体である式Vの化合物の製造を示す。スキーム4を参照すると、式Vの化合物は、商業的に入手しうるあるいは下記の製造Bにより製造される式Xの化合物から、テトラヒドロフランのような極性中性溶媒中、酢酸パラジウムII、塩基(例えば、カリウムt−ブトキシドおよびAMPHOS(登録商標)(すなわち、マサチューセッツ州ニューバーリーポートのストレム・ケミカルズ社から商業的に入手しうる2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2´−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル)のような触媒の存在下、式R−Clの化合物と反応させることによって製造された。上記反応は約50〜約100℃、好ましくは約75℃で、約6〜約24時間、好ましくは約18時間行った。
製造A
【0117】
【化45】

【0118】
製造Aは、式Iaの化合物の製造に有用な中間体である式IVの化合物の製造を示す。製造Aでは、Rはメチルまたはエチルのような簡単なアルキル基である。製造Aを参照すると、式XIIの化合物は、Xが塩化物イオンまたは臭化物イオンである式XIの化合物から、アルコキシカルボニル化反応によって製造された。適した条件は、例えば、テトラヒドロフランのような溶媒中、約0℃にて約30分間ブチルリチウムで金属−ハロゲン交換し、次に、エチルクロロホルメートを約0℃で、次いで約2.5時間、約50℃で加えることである。式XIの化合物は商業的に入手しうる。
【0119】
式IVの化合物は、式XIIの化合物から2工程法によって製造された。まず、式XIIの化合物を還元剤で処理した。適した還元剤には硼水素化リチウム、硼水素化ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、およびテトラヒドロフラン中のボランが含まれる。上記反応に適した溶媒には、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、およびジオキサンが含まれる。上記反応は約0〜約100℃、好ましくは約65℃で、約10分〜約1時間、好ましくは約30分間行った。次に、得られた第1アルコールを、酸化剤、例えばN−メチルモルホリンN−オキシド/TPAP、デス−マーチン試薬、PCCまたは塩化オキサリル−DMSO、好ましくは塩化オキサリル−DMSOで処理することによって、式IVの相当するアルデヒドに酸化した。上記反応に適した溶媒には、クロロホルム、テトラヒドロフラン、またはジクロロメタンが含まれる。上記反応は約−78〜約22℃で、約15分〜約3時間、好ましくは約1時間行った。
製造B
【0120】
【化46】

【0121】
製造Bは、式Iaの化合物の製造に有用な中間体である式Xの化合物の製造を示す。製造Bを参照すると、式XIIIの化合物は、式IIの化合物から、テトラヒドロフランとトルエンとの混合物のような極性溶媒中、臭化メチルマグネシウムと反応させることによって製造された。上記反応は約−78〜約0℃、好ましくは約−60℃で、約10分〜約1時間、好ましくは約40分間、その後、約90分間約−10℃で行った。式IIの化合物は下記の製造Eにより製造された。
【0122】
式Xの化合物は、式XIIIの化合物から、酸化剤、例えばN−メチルモルホリンN−オキシド/TPAP、デス−マーチン試薬、PCCまたは塩化オキサリル−DMSO、好ましくは塩化オキサリル−DMSOで処理することによって製造された。上記反応に適した溶媒には、クロロホルム、テトラヒドロフラン、またはジクロロメタンが含まれる。上記反応は約−78〜約22℃で、約15分〜約3時間、好ましくは約1時間行った。
製造C
【0123】
【化47】

【0124】
製造Cは、式Iaの化合物の製造に有用な中間体である式VIIの化合物の製造を示す。製造Cでは、Rはメチルまたはエチルのような簡単なアルキル基である。製造Cを参照すると、式XVの化合物は、製造Aに記載の手順により製造しうるあるいは商業的に入手しうる式XIVの化合物から、極性中性溶媒中、水酸化リチウムのような塩基で処理することによって製造された。上記反応に適した溶媒には、メタノール、エタノール、および水が含まれる。上記反応は約0〜約30℃、好ましくは約22℃(室温)で、約15分〜約3時間、好ましくは約1分間行った。
【0125】
式VIIの化合物は、式XVの化合物から、適した活性化剤および式:
【0126】
【化48】

【0127】
の化合物および塩基との反応によって製造された。適した活性化剤には、塩化チオニル、カルボニルジイミダゾール、EDClおよびDCC、好ましくは塩化オキサリルが含まれる。適した塩基には、トリエチルアミン、ヒューニッヒ塩基、またはDBU、好ましくはトリエチルアミンが含まれる。上記反応に適した溶媒には、塩化メチレン、N,N´−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、およびこれらの混合物、好ましくは塩化メチレンが含まれる。上記反応は約0〜約30℃、好ましくは約22℃(室温)で、約6〜約48時間、好ましくは約12時間行った。
製造D
【0128】
【化49】

【0129】
製造Dは、R
【0130】
【化50】

【0131】
である式Iaの化合物の製造に有用な中間体である式VIIIの化合物の製造を示す。製造Dでは、Rは(C−C)アルキルである。式VIIIの化合物は、式XVIの化合物から、水素化ナトリウムのような塩基の存在下、N,N´−ジメチルホルムアミドのような極性中性溶媒中、ヨウ化メチルのようなアルキルハライドと反応させることによって製造された。式XVIの化合物は商業的に入手しうる。
製造E
【0132】
【化51】

【0133】
製造Eは、式Iaの化合物の製造に有用な中間体である式IIの化合物の製造を示す。製造Eでは、Rは、メチルまたはエチルのような簡単なアルキル基である。製造Eを参照すると、式XVIIIの化合物は、Xが塩化物イオンまたは臭化物イオンである式XVIIのヘテロアリールハライドから、製造Aでの化合物XIIの化合物XIからの製造に記載の手順により製造された。
【0134】
式IIの化合物は、式XVIIIの化合物から、製造Aでの化合物IVの化合物XIIからの製造に記載されている2工程法により製造された。
製造F
【0135】
【化52】

【0136】
製造Fは、式Iaの化合物を製造する際の中間体である式XXIIの化合物の製造を示す。製造Fを参照すると、式XXIIの化合物は、式XXIの化合物から、ホルミル化反応によって製造された。ホルミル化に適した条件には、テトラヒドロフランのような溶媒中、約0℃で約30分間、塩化イソプロピルマグネシウムで金属ハロゲン交換し、その後、約0℃で、次いで約50℃で約2.5時間、N,N−ジメチルホルムアミドを加えることが含まれる。
【0137】
式XXの化合物は、文献(Moran, D. B.;Morton, G. O.;Albright, J. D., J. Heterocycl. Chem., Vol.23, pp.1071-1077(1986)に記載のように、あるいは同じでも異なっていてもよいLおよびL´が塩化物イオン、臭化物イオンまたはヨウ化物イオンである式XIXの化合物から、ヒドラジンとの反応によって製造された。式XXIの化合物は、式XXの化合物から、化合物XXと環化試薬、例えば酸塩化物、酸無水物、トリアルキルオルトアセテートまたはトリアルキルオルトホルメートとの縮合によって製造された。式XIXの化合物は商業的に入手しうる。
【0138】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、水和物および溶媒和物は全て本発明に包含される。
塩基性である本発明の化合物は、各種無機および有機酸と広範囲の様々な塩を形成することができる。そのような塩は動物および人へ投与するために薬学的に許容されるものでなければならないが、実際には、本発明の化合物を反応混合物から薬学的に許容されない塩として初めに単離し、そしてこれをアルカリ性試薬で処理することによって遊離塩基化合物に簡単に変換し、その後、遊離塩基を薬学的に許容される酸付加塩に変換することがしばしば望ましい。本発明の塩基化合物の酸付加塩は、塩基化合物を、水性溶媒媒質中または適した有機溶媒、例えばメタノールまたはエタノール中、実質的に当量の選択された鉱酸または有機酸で処理することによって容易に製造される。溶媒を注意深く蒸発させると、望ましい固体塩が得られる。
【0139】
本発明の塩基化合物の薬学的に許容される酸付加塩の製造に用いうる酸は、非毒性酸付加塩、すなわち、薬理学的に許容される陰イオンを含む塩、例えば塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩または硫酸水素塩、リン酸塩または酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩または酸性クエン酸塩、酒石酸または酒石酸水素塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、サッカリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩およびおよびパモエート[すなわち、1,1´−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)]塩を形成するものである。
【0140】
酸性である、例えば、COOHまたはテトラゾール部分を含む、本発明の化合物は、各種薬理学的に許容される陽イオンと塩基塩を形成することができる。そのような塩は、動物および人へ投与するために薬学的に許容されるものでなければならないが、実際には、本発明の化合物を反応混合物から薬学的に許容されない塩として初めに単離し、そしてこれを酸性試薬で処理することによって遊離酸化合物に簡単に変換し、その後、遊離酸を薬学的に許容される塩基付加塩に変換することがしばしば望ましい。そのような薬学的に許容される塩基付加塩の例は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特に、ナトリウムおよびカリウム塩である。これらの塩は、一般的な技術によって製造することができる。本発明の薬学的に許容される塩基付加塩を製造する試薬として用いうる化学塩基は、ここに記載の本発明の酸性化合物と非毒性塩基塩を形成するものである。これらの非毒性塩基塩には、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウム等のような薬理学的に許容される陽イオンから誘導される塩が含まれる。これらの塩は、相当する酸性化合物を、望ましい薬理学的に許容される陽イオンを含む水溶液で処理し、そして得られた溶液を、好ましくは減圧下で、蒸発させて乾燥することによって容易に製造することができる。あるいは、これらはまた、酸性化合物の低級アルカノール溶液と望ましいアルカリ金属アルコキシドとを共に混合し、そして上記のように得られた溶液を蒸発させて乾燥することによっても製造しうる。いずれの場合でも、化学量論量の試薬を用いて、反応の完了および最高生成物収量が確実となるようにするのが好ましい。
【0141】
本発明は同位体標識化合物も包含する。ここで用いるように、「同位体標識化合物」は、1つ以上の元素が自然界で通常見られる原子質量または原子番号とは異なる原子質量または原子番号を有する原子で入れ代わっている、薬学的塩、プロドラッグを含むここに記載の本発明の化合物を指す。本発明の化合物に組み入れることができる同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれ、H、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、36Clである。
【0142】
本発明の化合物を同位体標識することによって、化合物は薬剤および/または基質組織分布分析に有用なものとなる。トリチウム化(H)および炭素−14(14C)標識化合物は、製造および検出が容易なため特に好ましい。さらに、重水素(H)のようなより重い同位体での置換は、代謝安定性の増大に起因する特定の治療利点、例えば生体内半減期の増加または必要投与量の減少をもたらすことができ、従って、状況によっては好ましいことがある。薬学的塩、それらのプロドラッグを含む本発明の同位体標識化合物は、本技術分野で公知の方法によって製造することができる。
【0143】
本発明の化合物の立体異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)および全ての光学的異性体(例えば、RおよびS光学的対掌体)、並びにラセミ化合物、ジアステレオマーおよびそのような異性体の他の混合物は、本発明に包含される。
【0144】
本発明の化合物、塩、プロドラッグ、互変異性体、水和物、および溶媒和物は、エノールおよびイミン形、ケトおよびエナミン形、幾何学的異性体、並びにこれらの混合物を含むいくつかの互変異性体形で存在することができる。そのような互変異性体形の全ては本発明の範囲に含まれる。互変異性体は溶液中に互変異性体群の混合物として存在する。固体形では、通常1つの互変異性体が優位を占める。1つの互変異性体が記載されていても、本発明には化合物の全ての互変異性体が含まれる。
【0145】
本発明にはまた、本発明のアトロプ異性体も含まれる。アトロプ異性体とは、回転で限定される異性体に分離することができる本発明の化合物を指す。
上記の本発明の化合物は、動物または人におけるTGF関連疾患状態の予防または治療用薬剤の製造に用いることができる。
【0146】
本発明の化合物は形質転換成長因子(「TGF」)−β信号伝達経路の有効な阻害剤であり、それゆえ、治療に用いられるものである。従って、本発明は、本発明の少なくとも1種の化合物を治療に有効な量でTGF関連疾患状態の動物または人に投与する工程を含む、動物または人におけるTGF関連疾患の予防または治療法を提供する。
【0147】
ここで用いるように、「治療に有効な量」とは、TGF−β信号伝達経路を阻害するのに必要な本発明の化合物の量を指す。本技術分野における当業者には明らかなように、「治療に有効な量」は患者ごとに変わり、ケースごとに決定される。考慮すべきファクタには、限定されないが、治療される患者、体重、健康状態、投与される化合物等が含まれる。
【0148】
TGF−β信号伝達経路の阻害によって治療することができる疾患状態はたくさんある。そのような疾患状態には、限定されないが、あらゆるタイプの癌(例えば、乳癌、肺癌、結腸、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、黒色腫、全ての血液学的悪性疾患等)、並びに線維症疾患(例えば、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝線維症、肺線維症、動脈増殖および再狭窄、強皮症、並びに皮膚の瘢痕)が含まれる。
【0149】
本発明はまた、少なくとも1種の本発明の化合物、および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を提供する。薬学的に許容される担体は、、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., (A. R. Gennaro編集、1985)に記載のものを含む本技術分野で公知のどのような担体でもよい。本発明の医薬組成物は、例えば、少なくとも1種の本発明の化合物を薬学的に許容される担体と混合することを含む、本技術分野で公知の一般的な方法によって製造しうる。
【0150】
本発明の医薬組成物は、動物または人における、上記のTGF関連疾患状態の予防または治療に用いうる。従って、本発明の化合物は、経口、口内、鼻内、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)、局所、または直腸投与用の医薬組成物として、あるいは吸入または注入による投与に適した形に配合しうる。
【0151】
経口投与の場合、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えば、予めゲル化したトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微晶質セルロースまたはリン酸カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはナトリウムデンプングリコレート);あるいは湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)のような薬学的に許容される賦形剤と共に一般的な方法によって製造される錠剤またはカプセルの形をとりうる。錠剤は、本技術分野でよく知られた方法で被覆されていてもよい。経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形をとってもよく、あるいはこれらは使用前に水または適当な賦形剤と共に構成するための乾燥製品として提供してもよい。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素添加食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性賦形剤(例えば、アーモンド油、油性エステルまたはエチルアルコール);および防腐剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピル、またはソルビン酸)のような薬学的に許容される添加剤と共に一般的な方法で製造しうる。
【0152】
口内投与の場合、組成物は一般的な方法で配合された錠剤またはロゼンジの形をとりうる。
本発明の化合物はまた、本技術分野における当業者によく知られた方法により持続放出用に配合しうる。そのような配合物の例は、米国特許第3,538,214号、第4,060,598号、第4,173,626号、第3,119,742号、および第3,492,397号に見ることができる。これらは全て参照することによってここに記載されたものとする。
【0153】
本発明の化合物は、一般的なカテーテル法または注入を用いることを含む注射によって非経口投与用に配合しうる。注射のための配合物は、添加防腐剤と共に、単位投与量の形、例えばアンプルの形で、あるいは多数回投与量容器の形で提供しうる。組成物は、油性または水性賦形剤中の懸濁液、溶液またはエマルジョンのような形をとってもよく、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤のような配合剤を含んでいてもよい。あるいは、活性成分は、使用前に適当な賦形剤、例えば殺菌した発熱物質を含有しない水で再構成するための粉末の形でもよい。
【0154】
本発明の化合物はまた、例えば、ココアバターまたは他のグリセリドのような一般的な座薬基剤を含有する、座薬または停留浣腸のような直腸用組成物の形に配合してもよい。
鼻内投与または吸入による投与の場合、本発明の化合物は、適当な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスを用い、患者によって圧搾または押出されるポンプスプレー容器からの溶液または懸濁液の形で、あるいは加圧容器または噴霧器からのエーロゾル噴霧の形として一般に放出される。加圧エーロゾルの場合、投与量単位は、計量された量を放出するバルブを設けることによって決定される。加圧容器または噴霧器は本発明の化合物の溶液または懸濁液を収容しうる。吸入器または注入器内で用いられるカプセルおよびカートリッジ(例えば、ゼラチンでつくられた)は、本発明の化合物と適当な粉末基剤、例えばラクトースまたはデンプンとの粉末混合物を含有させて配合してもよい。
【0155】
TGF関連疾患状態治療のために平均的な成人に経口、非経口または口内投与される本発明の化合物の提案投与量は、単位投与量当たり、活性成分約0.1〜約2000mg、好ましくは約0.1〜約200mgであり、これは1日に1〜4回投与することができる。
【0156】
平均的な成人における上記状態を治療するためのエーロゾル配合物は、エーロゾルの各計量用量または「一吹き」が、約20〜約10,000μg、好ましくは約20〜約1000μgの本発明の化合物を含有するように定めるのが好ましい。エーロゾルでの1日全体の投与量は、約100μg〜約100mg、好ましくは約100μg〜約10mgである。投与は1日に数回、例えば、2、3、4または8回でもよく、各回に例えば1、2または3投与する。
【0157】
平均的な成人における上記状態を治療するためのエーロゾル組み合わせ配合物は、エーロゾルの各計量用量または「一吹き」が、約0.01〜約1000mg、好ましくは約0.01〜約100mg、より好ましくは約1〜約10mgのそのような化合物を含有するように定めるのが好ましい。投与は1日に数回、例えば、2、3、4または8回でもよく、各回に例えば1、2または3投与する。
【0158】
平均的な成人における上記状態を治療するためのエーロゾル配合物は、エーロゾルの各計量用量または「一吹き」が、約0.01〜約20,000mg、好ましくは約0.01〜約2000mg、より好ましくは約1〜約200mgの本発明の化合物を含有するように定めるのが好ましい。投与は1日に数回、例えば、2、3、4または8回でもよく、各回に例えば1、2または3投与する。
【0159】
局所投与の場合、本発明の化合物は軟膏またはクリームとして配合しうる。
本発明はまた、少なくとも1種の本発明化合物のプロドラッグを投与することを含む医薬組成物および治療または予防法も包含する。ここで用いるように、「プロドラッグ」は、活性な薬剤を放出するのに生体内での自然なまたは酵素による生体内変化を必要とする、元の薬剤分子の薬理学的に不活性な誘導体を指す。プロドラッグは、代謝条件下で開裂しうる基を有する本発明の化合物の変形体または誘導体である。プロドラッグは、生理学的条件下で加溶媒分解されるまたは酵素によって分解されるとき、生体内で薬学的に活性な本発明の化合物となる。本発明のプロドラッグ化合物は、生体内で活性な薬剤を放出するのに必要な生体内変化工程の数により、シングル、ダブル、トリプル等と呼ばれ、そして先駆体形に存在する官能基の数を示している。プロドラッグ形は、哺乳動物体内での溶解度、組織適合性、または遅延放出の利点をもたらす(Bundgard, Design of Prodrugs, pp.7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam 1985 and Silverman, The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, pp.352-401, Academic Press, San Diego, Calif., 1992参照)。本技術分野で一般に知られるプロドラッグには、本技術分野における当業者によく知られている酸誘導体、例えば、元の酸と適当なアルコールとの反応により製造されるエステル、あるいは元の酸化合物とアミン、または反応してアシル化塩基誘導体を形成する塩基性基との反応により製造されるアミドが含まれる。さらに、本発明のプロドラッグ誘導体は、生物学的利用能を高めることがここで教示される他の特徴と組み合わせてもよい。例えば、遊離アミノ、アミド、ヒドロキシまたはカルボキシル基を有する本発明の化合物を、プロドラッグに変換しうる。プロドラッグには、アミノ酸残基、またはペプチド結合により共有結合される2つ以上(例えば、2、3もしくは4個)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、本発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシまたはカルボン酸基に結合している化合物が含まれる。アミノ酸残基には、3つの文字記号によって一般に設計される20個の天然由来アミノ酸が含まれ、そしてまた4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、シトルリンホモシステイン、ホモセリン、オルニチンおよびメチオニンスルホンも含まれる。プロドラッグにはまた、カルボネート、カルバメート、アミドおよびアルキルエステルがカルボニル炭素プロドラッグ側鎖により本発明の化合物の上記置換基に共有結合される化合物も含まれる。
【0160】
本発明では、TGF関連疾患状態の治療において、単独のまたは医薬組成物の一部としての上記本発明の化合物を、本発明の別の化合物、および/または他の治療薬と組み合わせてもよい。適した治療薬の例は、限定されないが、標準非ステロイド抗炎症薬(以下、NSAID)(例えば、ピロキシカム、ジクロフェナック)、プロピオン酸(例えば、ナプロキセン、フルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェンおよびイブプロフェン)、フェナメート(例えば、メフェナム酸、インドメタシン、スリンダック、アパゾン)、ピラゾロン(例えば、フェニルブタゾン)、サリシレート(例えば、アスピリン)、COX−2阻害剤(例えば、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブおよびエトリコキシブ)、鎮痛薬および関節内治療薬(例えば、コルチコステロイド)およびヒアルロン酸(例えば、ヒアルガンおよびシンビスク)、抗癌薬(例えば、エンドスタチンおよびアンギオスタチン)、細胞毒性薬剤(例えば、アドリアマイシン、ダウノマイシン、シスプラチナム、タキソール、タキソテレ)、アルカロイド(例えば、ビンクリスチン)、および抗代謝産物(例えば、メトトレキセート)、心臓血管薬(例えば、カルシウムチャンネル遮断薬)、脂質低下薬(例えば、スタチン)、フィブレート、β−遮断薬、Ace阻害剤、アンギオテンシン−2−レセプターアンタゴニストおよび血小板凝集阻害剤、CNS薬(例えば、抗うつ薬(セルトラリンのような))、抗パーキンソン薬(例えば、デプレニル、L−ドーパ、レクイップ、ミラペックス)、MAOB阻害剤(例えば、セレギンおよびラサギリン)、comP阻害剤(例えば、タスマール)、A−2阻害剤、ドパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、ニコチンアゴニスト、ドパミンアゴニストおよびニューロン酸化窒素シンターゼ)、抗アルツハイマー薬(例えば、ドネペジル、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリンまたはメトリフォネート)、骨粗しょう症薬(例えば、ロロキシフェン、ドロロキシフェン、ラソフォキシフェンまたはフォソマックス)、および免疫抑制薬(例えば、FK−506およびラパマイシン)である。
生物学的活性
ここに記載の様々なTGF関連疾患状態に対する本発明の化合物の活性は、次の分析の1つ以上により測定することができる。本発明では、本発明の化合物は約10μM未満の試験管内IC50値を示す。例えば、実施例7の化合物は約51nMのTβRIIC50を示す。
【0161】
本発明の化合物はまた、TβRIIおよびTβRIIIよりもTβRIに対して特異的な活性(すなわち、これに対して選択的な)を有する。選択性は、各分析における阻害のIC50比として標準分析で測定される。
TGF−βタイプIIレセプター(TβRII)キナーゼ分析プロトコル
TβRIIキナーゼによるミエリン塩基性たんぱく質(MBP)のリン酸化を次のように測定した:pH7.2の50mM MOPS、5mM MgCl含有キナーゼ反応バッファー(KRB)に最終濃度3マイクロモルMBPとなるように希釈した80マイクロリッターのMBP(アップステイツ・バイオテクノロジー#13−104)を、ミリポアー96穴マルチスクリーン−DP0.65ミクロン濾過プレート(#MADPNOB50)の各穴に加えた。KRB中で希釈した阻害剤20マイクロリッターを適切な穴に加えて、望ましい最終濃度(100.03マイクロモル)にした。KRB中で希釈したATP(シグマ#A−5394)および33P−ATP(パーキン・エルマー#NEG/602H)の混合物10マイクロリッターを加えて、穴当たり、0.25マイクロモルATPおよび0.02マイクロキューリー33P−ATPの最終濃度にした。KRB中で希釈したGST−TβRII融合たんぱく質(TβRIIの細胞質ドメインのN−末端にあるグルタチオンS−トランスフェラーゼ−AをVに438で変えたアミノ酸193−567)を各穴に加えて、27ナノモルGST−TβRIIの最終濃度にする。プレートを混ぜ、90分間室温でインキュベートした。反応インキュベーションの後、100マイクロリッターの冷20%トリクロロ酢酸(アルドリッチ#25,139−9)を穴ごとに加え、プレートを混ぜ、60分間4℃でインキュベートした。次に、ミリポアー真空マニホールドを用いて、液体を穴から取り出した。プレートを200マイクロリッター/穴の冷10%トリクロロ酢酸で1回洗浄し、次に、100マイクロリッター/穴の冷10%トリクロロ酢酸で2回洗浄した。プレートは一晩、室温で乾燥した。20マイクロリッターのワラック・オプチフェーズ・スーパーミックスシンチレーションカクテルを各穴に加えた。プレートをシールし、ワラック1450マイクロベータ液体シンチレーションカウンターを用いてカウントした。阻害剤の効力は、MBP基質のTβRII仲介リン酸化を減じる能力によって測定した。
ALK−5(TβRI)キナーゼ分析プロトコル
キナーゼ分析は、50mM HEPES、5mM MgCl、1mM CaCl、1mMジチオトレイトール、および3_M ATP中の65nM GST−ALKおよび584nM GST−Smad3で行った。反応は[33P]_ATPの0.5_Ciで3時間30℃にてインキュベートした。リン酸化たんぱく質はP−81ペーパー(ワットマン、英国メイドストーン)上に捕らえ、0.5%リン酸で洗浄し、液体シンチレーションによってカウントした。あるいは、Smad3またはSmad1たんぱく質をフラッシュ・プレート・ステリル・ベイシック・マイクロプレート(パーキン・エルマー・ライフ・サイエンシィーズ、マサチューセッツ州ボストン)に被覆してもよい。キナーゼ分析は、基質としてSmad3を有するALK5のキナーゼドメインまたは基質としてSmad1を有するALK6のキナーゼドメインのいずれかを用いて、同じ分析条件でフラッシュ−プレートで行った。プレートをリン酸塩バッファーで3回洗浄し、トップカウント(パッカード・バイオサイエンス、コネティカット州メリデン)によってカウントした。(Laping, N. J. 等, Molecular Pharmacology 62:58-64 (2002))。
【0162】
次の実施例で本発明の化合物の製造について説明する。融点は未補正である。NMRデータは、百万部当たりの部(d)で記録し、試料溶媒(断りがなければジュウテロクロロホルム)からのジュウテリウムロックシグナルを示す。質量分析データは、ギルソン勾配高性能液体クロマトグラフを備えたマイクロマスZMD APCI質量分析計を用いて得た。分析には次の溶媒および勾配を用いた。溶媒A;98%水/2%アセトニトリル/0.01%ギ酸および溶媒B;0.005%ギ酸含有アセトニトリル。一般に、勾配は約4分間にわたって行い、95%溶媒Aで開始し、100%溶媒Bで終えた。次に、主な溶離成分の質量スペクトルを、165AMUから1100AMUまでの分子量範囲を調べる陽または負イオンモードで得た。特異な回転は、ナトリウムDライン(589nm)を用いて室温で測定した。商業的な試薬をそれ以上精製することなく用いた。THFはテトラヒドロフランを意味する。DMFはN,N−ジメチルホルムアミドを意味する。クロマトグラフィーは、32〜63mmシリカゲルを用いて行い、窒素圧下(フラッシュクロマトグラフィー)条件で行う、カラムクロマトグラフィーを指す。室温または周囲温度は20〜25℃を意味する。全ての非水性反応は便宜上かつ収量を最大にするために窒素雰囲気下で行った。減圧での濃縮は、回転蒸発器を使用したことを意味する。
【0163】
本技術分野における当業者であれば、場合によっては製造中に保護基が必要となることは理解するであろう。目標分子を作った後、保護基は本技術分野における当業者によく知られた方法、例えば、GreeneおよびWuts, 「Protective Groups in Organic Synthesis」(第2版、ジョン・ウイレー&サンズ 1991)に記載の方法で除去することができる。
【0164】
質量分析検出(LSMS)での逆相分析高性能液体クロマトグラフィーはポラリス2×20mmC18カラムを使用して行った。勾配溶離は、3.75分の間に0.01%水性ギ酸中のアセトニトリルの濃度を5%から100%に増加させて行った。質量分析計ミクロマスZMDを分子イオンの識別に使用した。
実施例1
4−[3−(6−メチル−ピリジル−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−キノリンの製造
工程A: [(6−メチル−ピリジル−2−イル)−フェニルアミノ−メチル]−ホスホン酸ジフェニルエステルの製造
2L丸底フラスコに、6−メチル−ピリジン−2−カルブアルデヒド(40g、330mmol)、アニリン(30.1mL、330mmol)、および380mLの酢酸イソプロピルを入れた。反応混合物を60℃に加熱し、ジフェニルホスファイト(112mL、495mmol)を60分にわたって滴加した。混合物を65℃でさらに60分間、次いで室温で一晩攪拌した。真空濃縮するとシロップが得られた。これを1リッターの酢酸エチルに溶解し、そして飽和炭酸水素ナトリウム(3×200mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、シリカゲル上で濃縮した。生成物は10〜20%酢酸エチル/ヘキサン溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、126.5gの純粋な物質を得た。HPLCt=6.68分、LC−MS=431(M+1)。
工程B: 1−(6−メチル−ピリジル−2−イル)−2−キノリン−4−イル−エタノンの製造
2L丸底フラスコに、[(6−メチル−ピリジル−2−イル)−フェニルアミノ−メチル]−ホスホン酸ジフェニルエステル(24.5g、57mmol)、キノリン−4−カルブアルデヒド(11.65g、74.1mmol)、90mLのテトラヒドロフラン、および180mLのイソプロピルアルコールを入れた。反応混合物を25℃に温め、カリウムt−ブトキシド(1.0M、74.1mL、74.1mmol)を90分にわたって滴加した。さらに30分攪拌した後、塩酸(2M、122mL)を加え、混合物を1時間攪拌した。溶液を45℃に加熱し、pHを6M水酸化ナトリウムで5に調整し、さらに1時間攪拌し、真空濃縮した。残留物をクロロホルムに溶解し、シリカゲル上で濃縮した。生成物は0〜10%酢酸エチル/ヘキサン溶媒勾配を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、10.97gの純粋な物質を得た。HPLCt=5.02分、LC−MS=263(M+1)。
工程C: 4−[3−(6−メチル−ピリジル−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4]−イル−キノリンの製造
500mL丸底フラスコに、1−(6−メチル−ピリジル−2−イル)−2−キノリン−4−イル−エタノン(5.0g、19mmol)およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(40.4mL、304mmol)を入れ、80℃に加熱した。2時間後、溶液を真空濃縮し、68mLのエタノール、次いでヒドラジン水和物(6.74mL、108mmol)を加えた。混合物をさらに2時間攪拌し、濃縮乾燥した。20〜60%酢酸エチル/クロロホルムを用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィーによって、3.26gの所望生成物を得た。HPLCt=3.94分、LC−MS=287(M+1)。
実施例2
2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−1H−ピラゾ−ル−3−イル)−6−メチル−ピリジン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=4.38分、LC−MS=280(M+1)。
実施例3
1−メチル−6−[3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−1H−ベンゾトリアゾール
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=3.52分、LC−MS=291(M+1)。
実施例4
4−(3−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾ−ル−4−イル)−キノリン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=3.6分、LC−MS=273(M+1)。
実施例5
2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−1−メチル−1H−ピラゾ−ル−3−イル)−6−メチル−ピリジン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=4.45分、LC−MS=294(M+1)。
実施例6
4−[1−メチル−3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−キノリン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=4.17分、LC−MS=301(M+1)。
実施例7
2−(4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル−1H−ピラゾ−ル−3−イル)−ピリジン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=4.18分、LC−MS=266(M+1)。
実施例8
2−[4−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−6−イル)−1H−ピラゾ−ル−3−イル]−ピリジン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=4.17分、LC−MS=280(M+1)。
実施例9
1−メチル−6−[1−メチル−3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−1H−ベンゾトリアゾール
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=3.79分、LC−MS=305(M+1)。
実施例10
4−(1−メチル−3−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾ−ル−4−イル)−キノリン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=3.73分、LC−MS=287(M+1)。
実施例11
4−(1−メチル−5−ピリジン−2−イル−1H−ピラゾ−ル−4−イル)−キノリン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=3.9分、LC−MS=287(M+1)。
実施例12
6−[3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−2−トリフルオロメチル−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=4.77分、LC−MS=345(M+1)。
実施例13
2−イソプロピル−6−[3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=4.08分、LC−MS=319(M+1)。
実施例14
3−メチル−6−[3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=2.77分、LC−MS=291(M+1)。
実施例15
2−メチル−6−[3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリジン
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=3.38分、LC−MS=291(M+1)。
実施例16
2−メチル−5−[3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−2H−ベンゾトリアゾール
表題化合物は、実施例1に記載の方法と同様にして製造した。HPLCt=3.72分、LC−MS=291(M+1)。
実施例17
4−メトキシ−6−[3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−キノリンの製造
工程A: 2−(4−メトキシ−キノリン−6−イル)−1−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エタノンの製造
20mLねじ込み加圧管に、6−クロロ−4−メトキシ−キノリン(298mg、1.54mmol)、酢酸パラジウム(II)(7mg、0.03mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2´−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(a.k.a.AMPHOS、24mg、0.06mmol)、およびカリウムt−ブトキシド(THF中の1M、3.7mmol)を加えた。この混合物を攪拌し、1−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エタノンを加えた。次に、加圧管をシールし、70℃に加熱した。反応混合物を70℃で18時間攪拌した。LC−MSは生成物であることを示した。次に、反応混合物を冷却し、氷酢酸600μLの水30mL中の溶液に注いだ。表題化合物を3×30mLのクロロホルムで抽出した。有機層を一緒にし、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転蒸発器により濃縮した。残留物は、1%メタノール/クロロホルム溶媒系を用いるフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル)によって精製して、255mgの所望生成物(収率56%)を得た。HPLC=4.39分、LC−MS=293(M+H、mw=292.34)。
工程B: 4−メトキシ−6−[3−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−1H−ピラゾ−ル−4−イル]−キノリンの製造
10mLフラスコに、2−(4−メトキシ−キノリン−6−イル)−1−(6−メチル−ピリジン−2−イル)−エタノン(70mg、0.17mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(1.4mL、10.9mmol)を加えた。この溶液を80℃で2.5時間攪拌し、次に、回転蒸発器により濃縮して完全に乾燥させた。残留物をエタノール(1.5mL)に溶解し、ヒドラジン水和物(63mL、1.02mmol)を加えた。この新しい反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。LC−MSは生成物であることを示した。反応混合物を濃縮して乾燥した。残留物は、0〜40%アセトニトリル/水溶媒勾配(両溶媒中の0.1%ギ酸)を用いるShimodzu分取HPLCによって精製して、28mgの表題化合物(収率51%)を得た。HPLC=3.34分、LC−MS=317(M+H、mw=316.37)。
【0165】
本出願で引用された全ての出版物、例えば、限定されないが、発行された特許、特許出願、および雑誌は、参照することによって全てここに記載されたものとする。
本発明は記載の態様を参考にして説明してきたが、詳しく記載した具体的な実施例が本発明の説明のためのものであることは、本技術分野における当業者であれば容易に理解されるであろう。本発明の精神から逸脱することなく様々な変形が可能なことは無論のことである。従って、本発明は請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia):
【化1】

の化合物またはその薬学的に許容される塩、プロドラッグ、互変異性体、水和物もしくは溶媒和物、ここで、式中、
は、N、OおよびSよりなる群から選択される少なくとも1つの複素原子を含んでいてもよい飽和、不飽和、または芳香族C−C20モノ−、ビ−もしくは多環式環であり、
ここで、Rは、カルボニル、ハロ、ハロ(C−C)アルキル、ペルハロ(C−C)アルキル、ペルハロ(C−C)アルコキシ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、ヒドロキシ、オキソ、メルカプト、(C−C)アルキルチオ、(C−C)アルコキシ、(C−C10)アリールもしくは(C−C10)ヘテロアリール、(C−C10)アリールオキシもしくは(C−C10)ヘテロアリールオキシ、(C−C10)アル(C−C)アルキルもしくは(C−C10)ヘテロアル(C−C)アルキル、(C−C10)アル(C−C)アルコキシもしくは(C−C10)ヘテロアル(C−C)アルコキシ、HO−(C=O)−、エステル、アミド、エーテル、アミノ、アミノ(C−C)アルキル、(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、ジ(C−C)アルキルアミノ(C−C)アルキル、(C−C10)複素環(C−C)アルキル、(C−C)アルキル−およびジ(C−C)アルキルアミノ、シアノ、ニトロ、カルバモイル、(C−C)アルキルカルボニル、(C−C)アルコキシカルボニル、(C−C)アルキルアミノカルボニル、ジ(C−C)アルキルアミノカルボニル、(C−C10)アリールカルボニル、(C−C10)アリールオキシカルボニル、(C−C)アルキルスルホニル、並びに(C−C10)アリールスルホニルよりなる群から独立して選択される少なくとも1つの部分でさらに独立して置換されていてもよい;
各Rは、水素、ハロ、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、ペルハロ(C−C)アルキル、フェニル、(C−C10)ヘテロアリール、(C−C10)複素環式基、(C−C10)シクロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、ペルハロ(C−C)アルコキシ、フェノキシ、(C−C10)ヘテロアリール−O−、(C−C10)複素環−O−、(C−C10)シクロアルキル−O−、(C−C)アルキル−S−、(C−C)アルキル−SO−、(C−C)アルキル−NH−SO−、ON−、NC−、アミノ、Ph(CH1−6HN−、(C−C)アルキル−HN−、(C−C)アルキルアミノ、[(C−C)アルキル]−アミノ、(C−C)アルキル−SO−NH−、アミノ(C=O)−、アミノOS−、(C−C)アルキル−(C=O)−NH−、(C−C)アルキル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、フェニル−(C=O)−NH−、フェニル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、(C−C)アルキル−(C=O)−、フェニル−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−、(C−C10)複素環−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−、HO−(C=O)−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−、HN(C=O)−、(C−C)アルキル−NH−(C=O)−、[(C−C)アルキル]−N−(C=O)−、フェニル−NH−(C=O)−、フェニル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−NH−(C=O)−、(C−C10)複素環−NH−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−NH−(C=O)−および(C−C)アルキル−(C=O)−O−よりなる群から独立して選択され、
ここで、Rのアルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ヘテロアリール、複素環式基、シクロアルキル、アルコキシ、フェノキシ、およびアミノは、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、ハロ、HN−、Ph(CH1−6HN−、および(C−C)アルキルHN−から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい;
sは1〜5の整数であり;
は、水素、ハロ、ハロ(C−C)アルキル、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、ペルハロ(C−C)アルキル、フェニル、(C−C10)ヘテロアリール、(C−C10)複素環式基、(C−C10)シクロアルキル、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、ペルハロ(C−C)アルコキシ、フェノキシ、(C−C10)ヘテロアリール−O−、(C−C10)複素環−O−、(C−C10)シクロアルキル−O−、(C−C)アルキル−S−、(C−C)アルキル−SO−、(C−C)アルキル−NH−SO−、ON−、NC−、アミノ、Ph(CH1−6NH−、アルキルNH−、(C−C)アルキルアミノ、[(C−C)アルキル]−アミノ、(C−C)アルキル−SO−NH−、アミノ(C=O)−、アミノSO−、(C−C)アルキル−(C=O)−NH−、(C−C)アルキル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、フェニル−(C=O)−NH−、フェニル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、(C−C)アルキル−(C=O)−、フェニル−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−、(C−C10)複素環−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−、HO−(C=O)−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−、HN(C=O)−、(C−C)アルキル−NH−(C=O)−、[(C−C)アルキル]−N−(C=O)−、フェニル−NH−(C=O)−、フェニル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−NH−(C=O)−、(C−C10)複素環−NH−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−NH−(C=O)−および(C−C)アルキル−(C=O)−O−よりなる群から選択され、
ここで、Rのアルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ヘテロアリール、複素環式基、シクロアルキル、アルコキシ、フェノキシ、およびアミノは、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ハロ(C−C)アルキル、ハロ、HN−、Ph(CH1−6NH−、および(C−C)アルキルNH−よりなる群から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されていてもよい;
は、水素、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、フェニル、(C−C10)ヘテロアリール、(C−C10)複素環式基、(C−C10)シクロアルキル、(C−C)アルキル−(SO)−、フェニル−(SO)−、HN−(SO)−、(C−C)アルキル−NH−(SO)−、((C−C)アルキル)N−(SO)−、フェニル−NH−(SO)−、(フェニル)−N−(SO)−、(C−C)アルキル−(C=O)−、フェニル−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−、(C−C10)複素環−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−、(C−C10)複素環−O−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−O−(C=O)−、HN(C=O)−、(C−C)アルキル−NH−(C=O)−、フェニル−NH−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−NH−(C=O)−、(C−C10)複素環−NH−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−NH−(C=O)−、((C−C)アルキル)−N−(C=O)−、(フェニル)−N−(C=O)−、フェニル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、(C−C10)複素環−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、および(C−C10)シクロアルキル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−よりなる群から選択され、
ここで、Rのアルキル、アルケニル、アルキニル、フェニル、ベンジル、ヘテロアリール、複素環式基、シクロアルキル、アルコキシ、フェノキシ、およびアミノは、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、ペルハロ(C−C)アルキル、(C−C10)シクロアルキル、フェニル、ベンジル、(C−C10)複素環式基、(C−C10)ヘテロアリール、(C−C)アルキル−SO−、ホルミル、NC−、(C−C)アルキル−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−、フェニル−(C=O)−、(C−C10)複素環−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−、HO−(C=O)−、(C−C)アルキル−O−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−O−(C=O)−、(C−C10)複素環−O−(C=O)−、(C−C)アルキル−NH−(C=O)−、(C−C10)シクロアルキル−NH−(C=O)−、フェニル−NH−(C=O)−、(C−C10)複素環−NH−(C=O)−、(C−C10)ヘテロアリール−NH−(C=O)−、((C−C)アルキル)−N−(C=O)−、フェニル−[((C−C)アルキル)−N]−(C=O)−、ヒドロキシ−、(C−C)アルコキシ、ペルハロ(C−C)アルコキシ、(C−C10)シクロアルキル−O−、フェノキシ、(C−C10)複素環−O−、(C−C10)ヘテロアリール−O−、(C−C)アルキル−(C=O)−O−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−O−、フェニル−(C=O)−O−、(C−C10)複素環−(C=O)−O−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−O−、ON−、アミノ、(C−C)アルキルアミノ−、((C−C)アルキル)−アミノ、ホルムアミジル、(C−C)アルキル−(C=O)−NH−、(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−NH−、フェニル−(C=O)−NH−、(C−C10)複素環−(C=O)−NH−、(C−C10)ヘテロアリール−(C=O)−NH−、(C−C)アルキル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、フェニル−(C=O)−[((C−C)アルキル)−N]−、(C−C)アルキル−SONH−、(C−C10)シクロアルキル−SONH−、フェニル−SONH−、(C−C10)複素環−SONH−、および(C−C10)ヘテロアリール−SONH−よりなる群から独立して選択される少なくとも1つの部分で置換されていてもよい、
ここで、Rのフェニルまたはヘテロアリール部分は、ハロ、(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ、ペルフルオロ(C−C)アルキル、およびペルフルオロ(C−C)アルコキシよりなる群から独立して選択される少なくとも1つの基でさらに置換されていてもよい;
ただし、Rは少なくとも1つの複素原子を含む。
【請求項2】

【化2】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】

【化3】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】

【化4】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】

【化5】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】

【化6】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】

【化7】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】

【化8】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
sが1〜2であり;Rが、水素または(C−C)アルキルであり;Rが、水素、(C−C)アルキル、(C−C10)シクロアルキル、アミノ、(C−C)アルキルアミノ、(C−C)アルキル−(C=O)−、または(C−C10)シクロアルキル−(C=O)−であり;Rが、Hまたは(C−C)アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項11】
治療に有効な量の請求項1に記載の化合物をTGF関連疾患状態の動物または人に投与する工程を含む、動物または人におけるTGF関連疾患状態の予防または治療方法。
【請求項12】
TGF関連疾患状態が、癌、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、肝線維症、肺線維症、内膜増殖および再狭窄、強皮症、並びに皮膚の瘢痕よりなる群から選択される、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2006−507353(P2006−507353A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568904(P2004−568904)
【出願日】平成15年9月8日(2003.9.8)
【国際出願番号】PCT/IB2003/003933
【国際公開番号】WO2004/026306
【国際公開日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【出願人】(397067152)ファイザー・プロダクツ・インク (504)
【Fターム(参考)】