説明

後方確認モニタリングシステム、車載用モニタ装置、小型モニタ装置及び自動車

【課題】
本発明は、リアモニタによって車両の後方視界が遮られる場合でも、当該後方視界を十分に確保できるようにする。
【解決手段】
本発明は、車両空間内における後部座席近傍の所定位置に設けられた開閉自在なDVDモニタ部12と、モニタ設置台3の所定位置に取り付けられたCCDカメラ5と、DVDモニタ部12の開閉動作に応じてCCDカメラ5による撮像処理を開始するように制御するCPU10と、CCDカメラ5による撮像結果を伝送する近距離無線インタフェース16とからなるDVD再生機能付リアモニタ4と、伝送された撮像結果を受信して表示するため車両空間内における前部座席近傍の所定位置に取り付けられる小型モニタ兼用リモコン6とを設けるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後方確認モニタリングシステム、車載用モニタ装置、小型モニタ装置及び自動車に関し、例えば車内空間に取り付けられたリアモニターによってバックミラーの後方視界が遮られる場合であっても、後方の視認性を確保する用途に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の後方視界を向上させるものとして、カメラを車両の所定位置に取り付けることにより運転席のモニタを介して後方視界を確保するものがある(特許文献1〜3)。
【0003】
一方、車載用エンターテインメントシステムにおいては、後部座席のユーザのために、車内空間の後部座席近傍の天井部分に開閉式のリアモニターが設置されており、当該リアモニターを介して後部座席のユーザに対して映画等の各種コンテンツを提供し得るようになされている。
【特許文献1】特開2004-1736公報
【特許文献2】特開2002-204446公報
【特許文献3】特開2004-363903公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでかかる構成の車載用エンターテインメントシステムにおいては、車内空間の後部座席近傍の天井部分からリアモニターの表示部を開いて使用するものが多く、また右側後部座席及び左側後部座席のユーザにとって見易い位置を考慮して車両における幅方向のほぼ中央の天井部分に当該リアモニターを設置することが一般的である。
【0005】
このような車載用エンターテインメントシステムにおいては、運転席のドライバーが後方視界を確保するためのバックミラーとほぼ同一直線上にリアモニターの表示部が位置することになるため、バックミラーには当該表示部の背面が写ることになり、ドライバーにとっては後方視界が大幅に遮られてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、後方視界を十分に確保し得る後方確認モニタリングシステム、車載用モニタ装置、小型モニタ装置及び自動車を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するため本発明の後方確認モニタリングシステムにおいては、車両空間内における後部座席近傍の所定位置に設けられた開閉自在な車載用ディスプレイと、車載用ディスプレイの所定位置に取り付けられた車外後方確認用の撮像手段と、車載用ディスプレイの開閉動作に応じて撮像手段による撮像処理を開始するように制御する制御手段と、撮像手段による撮像結果を伝送する伝送手段とからなる車載用モニタ装置と、伝送手段から伝送された撮像結果を受信して表示するため車両空間内における前部座席近傍の所定位置に取り付けられる小型モニタ装置とを設けるようにする。
【0008】
これにより、車載用ディスプレイの開閉動作に応じて撮像された撮像結果を車載用モニタ部から受信して前部座席近傍の小型モニタ装置に表示することができるので、車載用ディスプレイによりバックミラーの後方視界が遮られる場合であっても、小型モニタ装置を介して後方視界を十分に確保することができる。
【0009】
また本発明の車載用モニタ装置においては、車両空間内における後部座席近傍の天井部分に取り付けられるモニタ設置台と、当該モニタ設置台に開閉自在に取り付けられた車載用ディスプレイと、モニタ設置台の所定位置に取り付けられた車外後方確認用の撮像手段と、車載用ディスプレイの開閉動作に応じて撮像手段による撮像処理を開始するように制御する制御手段と、車両空間内における前部座席用の所定位置に設けられた小型モニタ装置に対して、撮像手段による撮像結果を伝送する伝送手段とを設けるようにする。
【0010】
これにより、モニタ設置台から車載用ディスプレイが開閉動作された際に、当該モニタ設置台の所定位置に取り付けられた車外後方確認用の撮像手段により得られた撮像結果を前部座席用の小型モニタ装置に対して表示することができるので、車載用ディスプレイによりバックミラーの後方視界が遮られる場合であっても、小型モニタ装置を介して後方視界を十分に確保することができる。
【0011】
さらに本発明の小型モニタ装置においては、車両空間内における後部座席近傍の天井部分に取り付けられるモニタ設置台に対して開閉自在に取り付けられた車載用ディスプレイと、当該モニタ設置台の所定位置に取り付けられた車外後方確認用の撮像手段とを有する車載用モニタ装置から、車載用ディスプレイの開閉動作に応じて開始された撮像手段による撮像結果を受信する受信手段と、当該受信手段によって受信した撮像結果を表示する表示手段とを設けるようにする。
【0012】
これにより、車両空間内における後部座席近傍の天井部分に取り付けられたモニタ設置台から車載用ディスプレイが開閉動作された際に、当該モニタ設置台の所定位置に取り付けられた車外後方確認用の撮像手段により得られた撮像結果を受信して、両空間内における前部座席用の所定位置に設けられた表示手段に対して表示することができるので、車載用ディスプレイによりバックミラーの後方視界が遮られる場合であっても、表示手段を介して後方視界を十分に確保することができる。
【0013】
さらに本発明の自動車においては、車両空間内における後部座席近傍の所定位置に設けられた着脱自在な車載用ディスプレイと、車載用ディスプレイの所定位置に取り付けられた車外後方確認用の撮像手段と、車載用ディスプレイの開閉動作に応じて撮像手段による撮像処理を開始するように制御する制御手段と、撮像手段による撮像結果を伝送する伝送手段とからなる車載用モニタ装置と、伝送手段から伝送された撮像結果を受信して表示するため車両空間内における前部座席近傍の所定位置に取り付けられる小型モニタ装置とを設けるようにする。
【0014】
これにより、車両空間内における後部座席近傍の天井部分に取り付けられた車載用ディスプレイが開閉動作された際に、車外後方確認用の撮像手段により得られた撮像結果を受信して、車両空間内における前部座席用の表示手段に対して表示することができるので、車載用ディスプレイによりバックミラーの後方視界が遮られる場合であっても、表示手段を介して後方視界を十分に確保することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、車載用ディスプレイの開閉動作に応じて撮像された撮像結果を車載用モニタ装置から受信して前部座席近傍の小型モニタ装置に表示することができるので、車載用ディスプレイによりバックミラーの後方視界が遮られる場合であっても、小型モニタ装置を介して後方視界を十分に確保し得、かくして後方視界を十分に確保し得る後方確認モニタリングシステム、車載用モニタ装置、小型モニタ装置及び自動車を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0017】
(1)後方確認モニタリングシステムの構成
図1及び図2において、1は全体として本発明の一実施の形態における後方確認モニタリングシステム2を搭載した自動車を示している。
【0018】
この後方確認モニタリングシステム2は、車両空間内における後部座席近傍の天井部分に設置されたモニタ設置台3に対して、矢印方向へ開閉自在なDVD(Digital Versatile Disc)再生機能付リアモニタ4が取り付けられており、当該DVD再生機能付リアモニタ4から後部座席のユーザへ各種映像コンテンツを無線通信によって提供し得るようになされている。
【0019】
モニタ設置台3は、車両空間内に配置されたバックミラー7の後方延長線上で、かつ右側後部座席及び左側後部座席のユーザにとってDVD再生機能付リアモニタ4が見易くなる位置を考慮した車両幅方向のほぼ中央の天井部分に設置されている。
【0020】
DVD再生機能付リアモニタ4は、未使用時にはモニタ設置台3に収納され、使用時には天井側から下方へ展開されることにより、後部座席のユーザに対してLCD(Liquid Crystal Display)でなるDVDモニタ部12が視認し易いモニタ角度を確保するようになされている。
【0021】
しかしながら後方確認モニタリングシステム2では、DVD再生機能付リアモニタ4の使用時にDVDモニタ部12の背面がバックミラー7の後方視界を妨げることになる弊害を解消するため、DVD再生機能付リアモニタ4が展開されたときに当該モニタ設置台3の内周側所定位置に取り付けられたCCD(Charge Coupled Device)カメラ5が露出するようになされている。
【0022】
ところで後方確認モニタリングシステム2は、DVD再生機能付リアモニタ4がモニタ設置台3に収納されているときにはCCDカメラ5が当該DVD再生機能付リアモニタ4によって隠されることになるが、そのときはDVDモニタ部12の背面により後方視界が妨げられることがないため、バックミラー7によって後方視界を十分に確保することができる。
【0023】
このCCDカメラ5は、自動車1の後方映像を撮影するためにモニタ設置台3の内周側所定位置に取り付けられており、DVDモニタ部12の背面に妨げられてバックミラー7では十分な後方視界を確保できない場合であっても、バックミラー7に写す後方視界よりも大きな範囲を後方視界映像として撮影し、その後方視界映像を前部座席近傍の所定位置に取り付けられた小型モニタ兼用リモートコントローラ(以下、これを小型モニタ兼用リモコンと呼ぶ)6へ転送し、そのリモコンモニタ部6Aに表示させ得るようになされている。
【0024】
ここで小型モニタ兼用リモコン6は、ハンドル8の左側でシガーライターコネクタを介して電源電力の供給を受け得るように取り付けられているが、当該ハンドル8の右側や速度計の上方等のドライバーにとって見易い位置に取り付けることが可能であると共に、取り外しが容易で、取り外した際にはDVD再生機能付リアモニタ4を操作するリモコンとして用いられるようになされている。
【0025】
このように後方確認モニタリングシステム2は、DVD再生機能付リアモニタ4の未使用時にはバックミラー7によって後方視界を確保し得、DVD再生機能付リアモニタ4の使用時にはモニタ設置台3のCCDカメラ5によって撮影された後方視界映像を小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示することによりバックミラー7以上に十分な後方視界を確保し得るようになされている。
【0026】
因みにCCDカメラ5は、デフォルトの状態で自動車1の真後ろ方法へ向けられているが、小型モニタ兼用リモコン6からの操作に応じて、その方向を左斜め後方や右斜め後方へ向けさせることが可能であり、あたかもバックミラー7の向きを調整するのと同じように用いることが可能である。これによりドライバーは、好みに応じた方向の後方視界をCCDカメラ5により取得できるようになされている。
【0027】
このような後方確認モニタリングシステム2を構成するDVD再生機能付リアモニタ4及び小型モニタ兼用リモコン6の回路構成について、図3を用いて次に説明する。
【0028】
DVD再生機能付リアモニタ4は、DVDプレーヤ11とDVDモニタ部12とが一体化された構成を有し、CPU(Central Processing Unit)10が当該DVD再生機能付リアモニタ4を全体的に統括制御すると共にDVDプレーヤ11による再生結果映像をDVDモニタ部12へ出力するようになされている。
【0029】
DVD再生機能付リアモニタ4は、当該DVD再生機能付リアモニタ4がモニタ設置台3から展開されて未使用時から使用時へ遷移したことを検出したときに検出信号S1をCPU10へ出力するようになされている。これによりCPU10は、検出信号S1に応じてDVDプレーヤ11を起動させると共に、CCDカメラ5を起動させるようになされている。
【0030】
このときCPU10は、内部メモリに予め記憶されたデフォルト値に基づいてCCDカメラ5の光学系5Aの向きを動かすことによりドライバー所望の方向の後方視界映像を撮像可能な状態に設定するようになされている。
【0031】
ところでDVD再生機能付リアモニタ4は、検出信号S1を映像切換スイッチ15にも供給するようになされており、映像切換スイッチ15は検出信号S1に応じてスイッチ18をコントロールしてCCDカメラ5と、例えばIEEE802.11gやブルートゥースモジュール等の近距離無線インタフェース16とを電気的に接続させるようになされている。
【0032】
なお、このとき映像切換スイッチ15は、検出信号S1に応じてCCDカメラ5と近距離無線インタフェース16とを電気的に接続させるものの、DVDプレーヤ10と近距離無線インタフェース16とを電気的に遮断し、後方視界を確認する際にはDVDプレーヤ10の再生結果映像の出力を禁止するようになされている。
【0033】
従って映像切換スイッチ15は、検出信号S1ではなく自動車1のサイドブレーキ検出信号が供給されたことを認識したときには、後方視界を確認する必要のない停止状態であると判断し、このときはCCDカメラ5と近距離無線インタフェース16とを遮断し、DVDプレーヤ10と近距離無線インタフェース16とを電気的に接続させるようになされている。
【0034】
近距離無線インタフェース16は、CCDカメラ5から供給された後方視界映像又はDVDプレーヤ11から供給された再生結果映像を小型モニタ兼用リモコン6の近距離無線インタフェース24へ無線伝送する。
【0035】
これにより小型モニタ兼用リモコン6のCPU21は、近距離無線インタフェース24を介してDVD再生機能付リアモニタ4から受け取った後方視界映像又は再生結果映像をLCDでなるリモコンモニタ部6Aに表示するようになされている。
【0036】
ところで小型モニタ兼用リモコン6のCPU21は、各種操作ボタン郡からなる入力部6Bを介して入力された各種命令をIR(Infrared)送信部25及びDVD再生機能付リアモニタ4のIR受信部17を介してCPU10へ赤外線通信によって送信することにより、当該各種命令をDVD再生機能付リアモニタ4へ伝達するリモコンとして用いることができるようになされている。
【0037】
因みにDVD再生機能付リアモニタ4は、CCDカメラ5によって撮像された後方視界映像をCPU10が取り込み、これをDVDモニタ部12へ転送することにより当該後方視界映像を表示し、後部座席のユーザに目視確認させることもできる。
【0038】
(2)後方確認表示切換処理手順
次に、後方確認モニタリングシステム2における後方確認表示切換処理手順について、図4のフローチャートを用いて説明する。DVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、ルーチンRT1の開始ステップから入ってステップSP1へ移る。
【0039】
ステップSP1においてDVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、モニタ設置台3からDVD再生機能付リアモニタ4が展開されて未使用状態から使用状態に遷移したか否かを判定し、否定結果が得られると再度ステップSP1へ戻って肯定結果が得られるまで上述の判定処理を繰り返すのに対し、肯定結果が得られると次のステップSP2へ移る。
【0040】
ステップSP2においてDVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、DVD再生機能付リアモニタ4が使用状態に遷移したので、CCDカメラ5及びDVDプレーヤ11を起動し、次のステップSP3へ移る。ステップSP3においてDVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、近距離無線インタフェース16及び24を介して起動命令を伝送することにより小型モニタ兼用リモコン6についても起動させ、次のステップSP4へ移る。
【0041】
ステップSP4においてDVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、CCDカメラ5によって撮影した後方視界映像をスイッチ18及び近距離無線インタフェース16を介して小型モニタ兼用リモコン6へ無線通信により転送し、当該小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに当該後方視界映像を表示させ、次のステップSP5へ移る。
【0042】
ステップSP5においてDVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、映像切換スイッチ15が自動車1からサイドブレーキ検出信号の供給を受けたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは自動車1からサイドブレーキ検出信号の供給を受けておらず、すなわちサイドブレーキが非ロック状態にあってドライバーが後方視界を確認する必要があることを表しており、このときCPU10は次のステップSP6へ移る。
【0043】
ステップSP6においてDVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、映像切換スイッチ15によりCCDカメラ5と近距離無線インタフェース16とを電気的に接続したままの状態で当該CCDカメラ5による後方視界映像を小型モニタ兼用リモコン6へ転送し、リモコンモニタ部6Aに表示させた後、再度ステップSP4へ戻る。
【0044】
これに対してステップSP5で肯定結果が得られると、このことは自動車1からサイドブレーキ検出信号の供給を受けており、すなわちサイドブレーキがロック状態にあってドライバーが後方視界を確認する必要がない状態にあることを表しており、このときCPU10は次のステップSP7へ移る。
【0045】
ステップSP7においてDVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、映像切換スイッチ15を制御してスイッチ18の接続状態を切り換えることにより、CCDカメラ5と近距離無線インタフェース16との接続状態からDVDプレーヤ11と近距離無線インタフェース16との接続状態に切り換え、次のステップSP8へ移る。
【0046】
ステップSP8においてDVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、DVDプレーヤ11からの再生結果映像を近距離無線インタフェース16を介して小型モニタ兼用リモコン6へ転送し、当該再生結果映像をリモコンモニタ部6Aに表示させた後、次のステップSP9へ移る。
【0047】
ステップSP9においてDVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、当該DVD再生機能付リアモニタ4がモニタ設置台3に収納されたか否かを判定し、肯定結果が得られるまで判定処理を繰り返し、肯定結果が得られたときは次のステップSP10へ移る。
【0048】
ステップSP10においてDVD再生機能付リアモニタ4のCPU10は、当該DVD再生機能付リアモニタ4がモニタ設置台3に収納されたのでCCDカメラ5が隠蔽された状態になり、後方視界映像を撮影することができない状態にあるため、当該CCDカメラ5の電源をオフし、次のステップSP11へ移って処理を終了する。
【0049】
(3)動作及び効果
以上の構成において、後方確認モニタリングシステム2は、車両空間内における後部座席近傍の天井部分で、バックミラー7の後方延長線上に設置されたモニタ設置台3からDVD再生機能付リアモニタ4が展開された場合に、DVDモニタ部12の背面によってバックミラー7の後方視界が遮られた場合であっても、モニタ設置台3のCCDカメラ5によって撮影された後方視界映像を運転席近傍に取り付けられた小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示することができる。
【0050】
すなわち後方確認モニタリングシステム2では、DVD再生機能付リアモニタ4をモニタ設置台3から展開して未使用状態から使用状態へ遷移させたことを検出した時点で自動的に後方視界映像をCCDカメラ5により撮影し、小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示することができるので、運転席におけるドライバーの操作とは無関係に後部座席のユーザによってDVD再生機能付リアモニタ4が使用状態に遷移されたときであっても、ドライバーに特別な操作を行わせたり、特別な意識を持たせることなく小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aを介して当該CCDカメラ5による後方視界映像を目視確認させることができる。
【0051】
また後方確認モニタリングシステム2は、DVD再生機能付リアモニタ4を使用状態に遷移させた時点からCCDカメラ5によって後方視界映像を撮影し、小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示することができるので、当該DVD再生機能付リアモニタ4におけるDVDモニタ部12の画面サイズに拘らず、またDVDモニタ部12によってバックミラー7による後方視界が完全に遮られた場合であっても、小型モニタ兼用リモコン6を介して十分な後方視界を確保することができる。
【0052】
さらに後方確認モニタリングシステム2は、CCDカメラ5による後方視界映像を表示する小型モニタ兼用リモコン6を所定の取付位置から着脱自在な構成としたことにより、リモコンとして使用している最中であっても後方視界をユーザに目視確認させることができるので、一段と使い勝手を向上させることができる。
【0053】
以上の構成によれば、後方確認モニタリングシステム2では、車両空間内における後部座席近傍の天井部分で、バックミラー7の後方延長線上に設置されたモニタ設置台3から展開されたDVD再生機能付リアモニタ4のDVDモニタ部12によってバックミラー7の後方視界が遮られた場合であっても、モニタ設置台3のCCDカメラ5により撮影された後方視界映像を小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示することにより、ドライバーに対して十分な後方視界を確保することができる。
【0054】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、ステップSP8でDVDプレーヤ11からの再生結果映像を小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示した後に、ステップSP9でDVD再生機能付リアモニタ4がモニタ設置台3に収納されたか否かを判定するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ステップSP8でDVDプレーヤ11からの再生結果映像を小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示した後に再度ステップSP5へ戻ってサイドブレーキ検出信号の供給を受けたか否かを判定し、再度ステップSP6へ移ってCCDカメラ5からの後方視界映像を小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示するようにしても良い。
【0055】
これにより後方確認モニタリングシステム2では、サイドブレーキ検出信号の供給を受けてDVDプレーヤ11からの再生結果映像を小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示した後であっても、サイドブレーキ検出信号の供給を受けなくなったときには再度CCDカメラ5からの後方視界映像を小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示させることができる。
【0056】
また上述の実施の形態においては、撮像手段としてのCCDカメラ5がモニタ設置台3の内周側に取り付けられるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、DVDモニタ部12の画面脇の所定位置に取り付けられるようにしても良い。
【0057】
さらに上述の実施の形態においては、自動車1から供給されるサイドブレーキ検出信号に基づいてCCDカメラ5と近距離無線インタフェース16との接続状態を、DVDプレーヤ11と近距離無線インタフェース16との接続状態に切り換えるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、自動車1から供給される車速センサ出力信号や、ジャイロセンサ出力信号等の当該自動車1の動きを表す信号に基づいて当該接続状態を切り換えるようにしても良い。
【0058】
さらに上述の実施の形態においては、小型モニタ兼用リモコン6がDVD再生機能付リアモニタ4を操作するためのリモコンとして用いられる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、カーナビゲーションシステムを操作するためのリモコンとして用いられるようにしても良い。
【0059】
さらに上述の実施の形態においては、DVD再生機能付リアモニタ4におけるCCDカメラ5の後方視界映像を、小型モニタ部としての小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aに表示するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、フロントコンソール等にカーナビゲーションシステムのディスプレイが取り付けられている場合には、当該カーナビゲーションシステムのディスプレイにデータ転送して後方視界映像を表示させるようにしたり、携帯電話機の表示部にデータ転送して後方視界映像を表示させるようにしても良い。
【0060】
さらに上述の実施の形態においては、車載用モニタ部としてDVD再生機能付リアモニタ4を用いるようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ハードディスク記録再生機能付リアモニタや半導体メモリ記録再生機能付リアモニタ等の種々の映像出力機能を有する車載用モニタ部を用いるようにしても良い。
【0061】
さらに上述の実施の形態においては、CCDカメラ5の後方視界映像を小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aへ伝送手段としての近距離無線インタフェース16及び24を介して無線通信することにより転送するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、DVD再生機能付リアモニタ4と小型モニタ兼用リモコン6のリモコンモニタ部6Aとを有線接続した伝送手段を介して後方視界映像を転送するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の後方確認モニタリングシステム、車載用モニタ装置、小型モニタ装置及び自動車は、例えばバックミラーによる後方視界がリアモニタによって遮られる乗用カート等の種々の車両に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】車両空間に設置された後方確認モニタリングシステムを示す略線図である。
【図2】後方確認モニタリングシステムの配置状態の説明に供する略線図である。
【図3】後方確認モニタリングシステムの回路構成を示す略線的ブロック図である。
【図4】後方確認表示切換処理手順の説明に供するフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1……自動車、2……後方確認モニタリングシステム、3……モニタ設置台、4……DVD再生機能付リアモニタ、5……CCDカメラ、6……小型モニタ兼用リモコン、7……バックミラー、8……ハンドル、10……CPU、11……DVDプレーヤ、12……DVDモニタ部、14……開閉検出回路、15……映像切換スイッチ、16、24……近距離無線インタフェース、17……IR受信部、25……IR送信部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両空間内における後部座席近傍の所定位置に設けられた開閉自在な車載用ディスプレイと、上記車載用ディスプレイの所定位置に取り付けられた車外後方確認用の撮像手段と、上記車載用ディスプレイの開閉動作に応じて上記撮像手段による撮像処理を開始するように制御する制御手段と、上記撮像手段による撮像結果を伝送する伝送手段とからなる車載用モニタ装置と、
上記伝送手段から伝送された上記撮像結果を受信して表示するため上記車両空間内における前部座席近傍の所定位置に取り付けられる小型モニタ装置と
を具えることを特徴とする後方確認モニタリングシステム。
【請求項2】
上記小型モニタ装置は、上記車載用モニタ装置を制御するためのコントローラを兼用する
ことを特徴とする請求項1に記載の後方確認モニタリングシステム。
【請求項3】
上記車載用モニタ装置の上記車載用ディスプレイは、上記車両空間内に配置されたバックミラーの後方延長線上に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の後方確認モニタリングシステム。
【請求項4】
上記制御手段は、上記車載用ディスプレイの開閉動作に応じて上記撮像手段の電源をオンオフ制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の後方確認モニタリングシステム。
【請求項5】
車両空間内における後部座席近傍の天井部分に取り付けられるモニタ設置台と、
上記モニタ設置台に開閉自在に取り付けられた車載用ディスプレイと、
上記モニタ設置台の所定位置に取り付けられた車外後方確認用の撮像手段と、
上記車載用ディスプレイの開閉動作に応じて上記撮像手段による撮像処理を開始するように制御する制御手段と、
上記車両空間内における前部座席用の所定位置に設けられた小型モニタ装置に対して、上記撮像手段による撮像結果を伝送する伝送手段と
を具えることを特徴とする車載用モニタ装置。
【請求項6】
上記車載用ディスプレイは、上記車両空間内に配置されたバックミラーの後方延長線上に配置されている
ことを特徴とする請求項5に記載の車載用モニタ装置。
【請求項7】
車両空間内における後部座席近傍の天井部分に取り付けられるモニタ設置台に対して開閉自在に取り付けられた車載用ディスプレイと、当該モニタ設置台の所定位置に取り付けられた車外後方確認用の撮像手段とを有する車載用モニタ装置から、上記車載用ディスプレイの開閉動作に応じて開始された上記撮像手段による撮像結果を受信する受信手段と、
上記受信手段によって受信した上記撮像結果を表示する表示手段と
を具えることを特徴とする小型モニタ装置。
【請求項8】
上記小型モニタ装置は、
上記車両空間内における前部座席近傍の所定位置に着脱自在に取り付けられる
ことを特徴とする請求項7に記載の小型モニタ装置。
【請求項9】
上記小型モニタ装置は、
上記車載用モニタ装置を制御するためのコントローラを兼用する
ことを特徴とする請求項7に記載の小型モニタ装置。
【請求項10】
車両空間内における後部座席近傍の所定位置に設けられた着脱自在な車載用ディスプレイと、上記車載用ディスプレイの所定位置に取り付けられた車外後方確認用の撮像手段と、上記車載用ディスプレイの開閉動作に応じて上記撮像手段による撮像処理を開始するように制御する制御手段と、上記撮像手段による撮像結果を伝送する伝送手段とからなる車載用モニタ装置と、
上記伝送手段から伝送された上記撮像結果を受信して表示するため上記車両空間内における前部座席近傍の所定位置に取り付けられる小型モニタ装置と
を具えることを特徴とする自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−273255(P2006−273255A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−98930(P2005−98930)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】