説明

徐放性基材医薬品製剤

本発明は、新規の薬学的化合物の圧縮錠剤および薬学的化合物の錠剤を製する方法を証明する。本発明の圧縮錠剤および錠剤を製する方法では、薬学的化合物を含有する未被覆の顆粒を、前記顆粒および膨潤性ポリマーを含む基材に分散させ、前記基材を圧縮し錠剤を製する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
顆粒を基材中に分散させ、圧縮し、錠剤を製する経口固形剤形は、従来技術において記載されているものである。米国特許第5637320号は、ナプロキセンの顆粒を多層膜で被覆し、ナプロキセンの放出を制御する製剤について記載している。本出願人は、圧縮錠剤基材に膨潤性の薬学的ポリマーを含有させる組成とすることにより、基材中に被覆顆粒を用いることなく、顆粒内に含有する薬物を徐放性とすることが可能であることを発見した。
【0002】
従来技術では、通常、顆粒が、持続性または徐放性の製剤に使用されている。その場合には、持続性または徐放性の製剤を得るために、放出を制御または改変するポリマーで顆粒を被覆する。未被覆の薬物顆粒を、膨潤性または徐放性のポリマーを含む基材と組み合わせると、薬学的化合物の放出が延長されることが発見された。
【0003】
基材中に徐放性ポリマー、好ましくはカルボマーと、薬物を含有する未被覆の顆粒とを組み合わせて用い製した圧縮錠剤によって、薬物および投与頻度によって異なるが、8〜24時間投与に適したゼロ次放出製剤をはじめとする、徐放性製剤を達成することができる。
【特許文献1】米国特許第6354728号
【特許文献2】米国特許第6449869号
【非特許文献1】the Handbook of Pharmaceutical Excipients,4th Ed、Rowe et al.,Pharmaceutical Press(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、新規の、薬学的に活性のある化合物の圧縮錠剤製剤を提供するものであって、前記製剤は、薬学的化合物を含有する未被覆の顆粒を含み、前記顆粒は、基材中に分散させられ、前記基材は、前記顆粒と膨潤性ポリマーとを含み、前記基材は、圧縮されて錠剤を製する。
【0005】
したがって、本発明の目的は、薬学的に活性のある化合物の徐放性製剤を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、薬学的に活性のある化合物の8〜24時間投与を可能とするゼロ次徐放性製剤を提供することである。
【0007】
本発明のこれらおよびその他の目的は、明細書から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書中、「顆粒」という用語は、約1.4を下回る、好ましくは約1.3を下回る、より好ましくは約1.2を下回る、さらにより好ましくは約1.1を下回る、最も好ましくは1.05を下回る縦横比(顆粒の長さを、長さに90度で交わる幅で割った比)を有する実質的に球形の粒子を意味する。
【0009】
「未被覆の顆粒」という用語の定義は、被覆されていない顆粒、または顆粒中に含有する薬学的化合物の放出速度には影響を及ぼすことがない被覆を有する顆粒である。したがって、より好ましい実施形態では、顆粒は被覆されていないか、水溶性の高い被覆または透過性の高い被覆を有する顆粒を使用することもできる。そのような被覆は、水溶性の挙動を示し、顆粒から薬物が放出される速度には影響を及ぼさない。通常、米国薬局方1型装置(バスケット)内において、900mlの脱イオン水中、37℃、50〜100rpmで2時間試験した場合、薬学的化合物の顆粒は、70重量%以上の薬学的化合物を放出するものとする。
【0010】
本発明の未被覆顆粒は、従来の顆粒化方法のいずれを用いても調製することができる。糖からなる球体(例えば、スクロース−デンプンのノンパレル)、微結晶セルロースの球体(例えば、CelletsまたはCephere)などの不活性な核、およびガラスビーズなどの固体の核の上に薬物を重ねる方法、結合剤および/または活性のある薬物を含有する顆粒の押出造粒法、ならびに米国特許第6354728号の方法を用いて、本発明に使用するのに適した顆粒を製することができるであろう。
【0011】
押出造粒法により顆粒を製する工程は、当分野では周知である。高せん断力の混合機中で、薬学的に活性のある化合物および不活性な成分(賦形剤、結合剤等)をあらかじめ混合した後、水で湿らせる。次いで、湿った混合物を押出機に移し、スクリーンまたは押出板から押し出すと、本質的に同じ形状および大きさの固体の円筒形の押出物が形成される。スクリーンまたは押出型の開口部の大きさによって、得られる顆粒の大きさが決まる。押出物を回転盤上に供給する。回転盤は、平滑であっても、(格子縞、溝等の)凹凸があってもよい。押出物は、小さな円筒形物に切断され、それは、時間とともに丸まり、球状の固体となる。続いて、こうして得られた顆粒を、通常、流動層乾燥機内で、所望の残留水分含量まで乾燥する。基準より大きいまたは小さい生成物は、ふるい分けにより除去し、生成した顆粒の大きさを狭い範囲に収める。
【0012】
層形成法によって、活性のある薬物を固体の核の上に重ねる方法は、当分野で周知である。溶液または懸濁液を用いた層形成法では、薬学的に活性のある化合物および不活性な成分(賦形剤、結合剤等)を、水または有機溶媒に溶解または懸濁する。得られた液体を、核となる粒子の外面上に、所望の効果が得られるまで吹き付ける。核となる粒子は、ノンパレルの砂糖粒(糖からなる球体)、微結晶セルロースの顆粒(Celletsまたはセルフィアなど)等であることができる。溶液または懸濁液を用いた層形成法は、広範な各種の手法を用いておこなうことができるが、流動層を用いる方法が好ましく、Wursterボトムスプレー法がより好ましい。所望の効果に達したら、顆粒を所望の残留水分含量まで乾燥する。基準より大きいまたは小さい生成物は、ふるい分けにより除去し、生成した顆粒の大きさを狭い範囲に収める。
【0013】
粉末を用いた層形成法では、乾燥粉末を特定の核となる材料に塗布することになる。粉末は、薬学的化合物のみで構成されていてもよいし、結合剤、滑沢剤、不活性充填剤などの賦形剤を含んでいてもよい。粉末を用いた層形成法は、広範な各種の手法を用いておこなうことができるが、回転式流動層を用いる方法が好ましい。粉末を塗布するかたわら、薬学的に許容できる液体、おそらく水または有機溶媒を、必要であれば、結合剤および/または賦形剤と共に、特定の核となる材料に、所望の効果を得るまで塗布する。所望の効果が得られたら、強度を高めるために顆粒を密封被覆してもよく、その後、所望の水分含量まで乾燥する。基準より大きいまたは小さい生成物は、ふるい分けにより除去し、生成した顆粒の大きさを狭い範囲に収める。
【0014】
顆粒を製するのに適した装置が、米国特許第6354728号に開示されており、これは参照として組み入れられている。本装置は、槽内に位置する回転子を備え、環状のすき間が回転子と槽の内壁との間に存在するようになされている。別途またはそれに加えて、回転子は、ガスが通り抜ける開口部を回転子の表面に含むことができる。
【0015】
回転子の開口部を通り抜けるガスの流れる方向によって、形成過程の顆粒に作用する力が増加したり、減少したりする。例えば、ガスを下方から回転子の開口部に導くことによって、顆粒と回転子表面との相互作用、および顆粒間の相互作用を減らすことができる。これによって、粉末粒子を付着する緻密度が減少する。顆粒層を通り抜けるガスの量および流速によって、顆粒層が著しく流動化するようなことがあってはならない。
【0016】
また、粉末形状の薬学的化合物の緻密度は、形成される顆粒の組成成分によっても影響を受ける。そのような成分のひとつとして、形成される顆粒の液体含量がある。通常、液体含量が高いほど、柔軟性が向上し、緻密化が効率よくおこなわれる。しかし、本発明の方法では、上記したように形成される顆粒が回転運動に曝される場合には、所与の組成について、これらの顆粒のエネルギーの摂取量を調節することによって、緻密度を変化させることができることに注目されたい。
【0017】
本発明に用いるために製する顆粒中の粉末形状の薬学的化合物および賦形剤/結合剤の緻密度は、形成された顆粒または層の絶対間隙率によって決まることがある。間隙率が高いほど、緻密度は低くなり、その逆もあてはまる。
【0018】
間隙率は、顕微鏡、例えば、走査型電子顕微鏡を用いて観察することができる。別法として、水銀圧入法によって測定することも可能である。
【0019】
また、緻密度は、製した顆粒の密度にも反映する。緻密度が高いほど、密度も高くなる。得られた絶対間隙率、すなわち、かさ体積にする全空間の占める割合は、0.5〜30%の間で変動することができる。好ましくは、絶対間隙率の値は、1〜20%、より好ましくは、1〜10%、さらにより好ましくは、2〜10%である。
【0020】
薬学的化合物の顆粒は、半径方向に緻密度の勾配ができるように製してもよいし、あるいは、核内に、または1つもしくは複数の層をなして、緻密化の程度が異なる同心円状の個別の層を各顆粒上に形成するように製してもよい。少なくとも1つの層が出発粉末のかさ密度より低い密度を有するように、緻密度を調節することができる。
【0021】
本発明の薬学的化合物の顆粒は、一般に、0.1〜1.25mmなどの0.01〜2mmの直径を有する。各層は、0.05〜0.75mmなどの0.005〜1.0mmの層の厚みを有する。本発明にしたがって製した顆粒は、大きさが狭い範囲に収まっており、全顆粒の直径の平均から20%を越えてはずれる直径を有する顆粒が、最大でも顆粒の20重量%である。好ましくは、全顆粒の直径の平均から20%を越えてはずれる直径を有する顆粒が、最大でも顆粒の10重量%である。より好ましくは、全顆粒の直径の平均から10重量%を越えてはずれる直径を有する顆粒が、最大でも顆粒の20重量%である。さらにより好ましい顆粒生成物は、全顆粒の直径の平均から10重量%を越えてはずれる直径を有する顆粒が、最大でも顆粒の10重量%である粒子の大きさの分布を有する。重量%は、顆粒の全重量を基準としている。
【0022】
薬学的化合物の顆粒を製する好ましい方法は、以下の(a)〜(d)のステップを備える:
(a)微結晶セルロースなどの結合剤と薬学的化合物とを含む粉末混合物を形成するステップ。
(b)前記粉末混合物を、稼動している装置に供給するステップ。ただし、前記粉末混合物は、必要に応じて、粉末混合物および薬学的に許容できる希釈剤の全重量に関し、0〜60重量%の薬学的に許容できる液体希釈剤であらかじめ湿らされている。前記稼動している装置は、軸方向に延びる円筒形の壁を有する回転子槽と;空気を前記槽に下方から通す手段と;液体を前記槽内に供給するための吹き付け手段と;前記回転槽に取り付けられ、中央に水平面を有し、垂直回転軸上を回転する回転子と;前記回転子の半径の外側から少なくとも3分の1内に、外上部方向の傾斜が10〜80度の円錐形のシェルの形とを備える。前記円錐形のシェルは、回転子の軸に直交する平面上にある円形の上縁部と;前記粉末賦形剤を導入するための供給口と;複数の案内羽根とを有する。前記案内羽根は、前記回転子の前記円錐形のシェルの上縁部と、前記回転子槽内に延びかつ前記回転子槽の前記円筒形の壁に接線方向に固定されている内端部とによって形成された平面上で、前記回転子槽の前記円筒形の壁に静的に固定された外端部を有し;かつ、回転子の軸に対する横断面において、実質的に円またはらせんの弧の形を有する。したがって、運動エネルギーの影響下にある前記回転子による運動エネルギーによって循環する前記粉末生成物は、前記回転子から前記案内羽根の内側へと移動した後、前記回転子上に落ちて行く。
(c)所望の直径を有する固体の顆粒を製するのに十分な時間にわたり、前記回転子槽内に、空気を供給し、薬学的に許容できる液体を吹き付けながら、前記回転子を回転させるステップ。
(d)実質的に乾燥した、自由に流動する不活性な粉末の十分な量を供給するステップ。前記不活性な粉末は、水と接触しても付着性のない表面を形成し、前記顆粒上に、前記の実質的に乾燥した自由に流動する不活性な粉末で形成された層を備える外側の領域を与える。
【0023】
薬学的化合物の顆粒を、米国特許第6354728号の装置で製する。前記特許は、粉末粒子を接線方向に設置された表面上に送る回転装置の使用を記載している。そのような動作により、粉末粒子を、前記の接線方向に設置された表面上で回転させる。この方法によれば、顆粒に制御された密度、例えば、高密度を与えることができる。高濃度の薬学的化合物を、すなわち、顆粒の全重量に関し、1〜95重量%、好ましくは、5〜90重量%で含有させ、残部を適切な薬学的賦形剤および/または結合剤とするように顆粒を製することができる。大がかりな分離のステップを必要とせず、大きさを狭い範囲に収めて、顆粒を製することが可能である。
【0024】
本発明に使われる顆粒は、動いている顆粒に回転運動を与えるように接線方向に設置された内壁に向けて粒子を送る装置を用いて製することができる。装置の稼動中に薬学的化合物の粉末を導入するようになされている米国特許第6449869号に開示されている装置などの装置に液体が供給される。本発明のある実施形態では、本発明の方法として、顆粒を乾燥し、丸め、平滑にする工程に加え、最終ステップとして、顆粒の成長を制御および/または止めるために、粉末を含有する薬学的化合物を導入する工程が含まれる。好ましい装置が、米国特許第6449869号および第6354728号に記載されており、いずれも参照として組み入れられている。
【0025】
糖からなる球体などの核に層を重ねた顆粒を使う場合、糖からなる球体および薬学的化合物の全重量に関し、20〜99重量%、好ましくは30〜80重量%の薬学的化合物を糖からなる球体の上に重ねることができる。必要であれば、層を重ねる工程で、薬学的賦形剤および/または結合剤を、薬学的化合物および賦形剤の全重量に関し、1〜20重量%、好ましく1〜10重量%の量で、使用することができる。
【0026】
輸送可能な薬学的に活性のある化合物として、無機および有機化合物が挙げられ、制限はない。例えば、末梢神経作動薬、アドレナリン受容体作動薬、コリン作動性受容体作動薬、神経系作動薬、骨格筋作動薬、心血管系作動薬、平滑筋作動薬、血液循環系作動薬、シナプス部位作動薬、神経効果器接合部位作動薬、内分泌系作動薬、ホルモン系作動薬、免疫系作動薬、生殖系作動薬、骨格系作動薬、局所ホルモン系作動薬、消化排泄系作動薬、局所ホルモン抑制系作動薬、消化排泄系作動薬、局所ホルモンおよびヒスタミン抑制系作動薬が挙げられる。これらの受容器に作用させるために輸送する活性のある薬物として、抗けいれん薬、鎮痛薬、抗炎症薬、カルシウム拮抗薬、麻酔薬、抗菌薬、抗マラリア薬、駆虫薬、降圧薬、抗ヒスタミン薬、解熱薬、α−アドレナリン作動薬、α−遮断薬、殺生物剤、殺菌剤、気管支拡張薬、β−アドレナリン遮断薬、避妊薬、心血管薬、カルシウムチャンネル阻害薬、抑制薬、診断薬、利尿薬、電解質、睡眠薬、ホルモン、高血糖薬、筋収縮薬、筋弛緩薬、眼科薬、精神賦活薬、副交感神経作動薬、鎮静薬、交感神経作動薬、精神安定薬、泌尿薬、膣薬、ビタミン薬、非ステロイド系抗炎症薬、アンジオテンシン変換酵素、ポリペプチド薬等が挙げられる。
【0027】
水に非常に溶けやすく、本発明の顆粒によって輸送できる薬物の例として、プロクロルペラジン、硫酸第一鉄、アミノカプロン酸、塩化カリウム、塩酸メカミラミン、塩酸プロカインアミド、硫酸アンフェタミン、塩酸アンフェタミン、硫酸イソプロテレノール、塩酸メタンフェタミン、塩酸フェンメトラジン、塩化ベタネコール、塩化メタコリン、塩酸ピロカルピン、硫酸アトロピン、臭化スコポラミン、ヨウ化イソプロパミド、塩化トリジヘキセチル、塩酸フェンホルミン、塩酸メチルフェニデート、塩酸シメチジン、コリンテオフィリン、塩酸セファレキシン、塩化オキシブチニン等が挙げられる。
【0028】
水に難溶で、本発明の顆粒によって輸送できる薬物の例として、ジフェニドール、塩酸メクリジン、オメプラゾール、エソメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、マレイン酸プロクロルペラジン、フェノキシベンザミン、マレイン酸チエチルペラジン、アニシンジオン、ジフェナジオン、四硝酸エリスリチル、ジゴキシン、イソフルロフェート、アセタゾラミド、メタゾラミド、ベンドロフルメチアジド、クロルプロパミド、トラザミド、酢酸クロルマジノン、フェナグリコドール、アロプリノール、アスピリンアルミニウム、メトトレキサート、アセチルスルフイソキサゾール、エリスロマイシン、プロゲスチン、プロゲステロンの(progestational)、コルチコステロイド、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチコステロン、酢酸コルチゾン、トリアムシノロン、メチルテストステロン、17−β−エストラジオール、エチニルエストラジオール、エチニルエストラジオール3−メチルエーテル、プレドニゾロン、17−β−ヒドロキシプロゲステロンアセテート、19−ノルプロゲステロン、ノルプロゲステレル、ノルエチンドロン、ノルエチステロン、ノルエチエドロン(norethiederone)、プロゲステロン、ノルゲステロン、ノルエチノドレル等が挙げられる。
【0029】
本発明によって製することができるその他の薬物の例として、アスピリン、インドメタシン、ナプロキセン、フェノプロフェン、スリンダク、インドプロフェン、ニトログリセリン、二硝酸イソソルビド、チモロール、アテノロール、アルプレノール、シメチジン、クロニジン、イミプラミン、レボドパ、クロルプロマジン、メチルドパ、ジヒドロキシフェニルアラニン、塩酸α−メチルドパのピバロイルオキシエチルエステル、テオフィリン、グルコン酸カルシウム、ケトプロフェン、イブプロフェン、セファレキシン、エリスロマイシン、ハロペリドール、ゾメピラック、乳酸第一鉄、ビンカミン、ジアゼパム、フェノキシベンザミン、ジルチアゼム、ミルリノン、カプトリル、マドール(madol)、塩酸プロプラノロール、クアンベンズ(quanbenz)、ヒドロクロロチアジド、ラニチジン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、フルプロフェン、トルメチン、アロロフェナック(alolofenac)、メフェナム酸、フルフェナム酸、ジフェニナル(difuninal)、ニモジピン、ニトレジピン、ニソルジピン、ニカルジピン、フェロジピン、リドフラジン、チアパミル、ガロパミル、アムロジピン、ミオフラジン、リシノプリル、エナラプリル、カプトプリル、ラミプリル、エンドラプリエート(endlapriate)、ファモチジン、ニザチジン、スクラルファート、エチンチジン、テルタトロール、ミノキシジル、クロルジアゼポキシド、塩酸クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、塩酸アミトリプチリン、塩酸イミプラミン、パモ酸イミプラミン、エニタバス(enitabas)、ブプロピオン等が挙げられる。
【0030】
薬学的化合物のその他の例として、ビタミンB、ビタミンCなどの水溶性ビタミンおよびビタミンA、D、E、Kなどの脂溶性ビタミンが挙げられる。コンドロイチン、グルコサミン、セイヨウオドリギソウ、ノコギリヤシなどの栄養補助食品も、本発明の顆粒に製することができる。
【0031】
顆粒を製する際に使われる薬学的に許容できる液体は、薬学的化合物、結合剤、希釈剤、崩壊剤、滑沢剤、芳香剤、着色剤、界面活性剤、付着防止剤、浸透圧調節剤、基材形成ポリマー、被膜形成ポリマー、放出制御剤、安定剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の成分を、溶解、懸濁または分散状態にして含むことができる。一般に、所与の製剤に望ましい結果を得るために選択された成分のみを用いる。上記の成分のどれを、いつ、どのようにして添加したかによって、製剤が特定される。
【0032】
適切な結合剤として、乾燥状態、または適切な溶媒もしくは液体の希釈剤の存在下で、薬学的化合物に結合力を与える材料が挙げられる。通常、これらの材料として、アルファ化デンプンなどのデンプン類、ゼラチン、およびスクロース、グルコース、デキストロース、糖蜜、ラクトースなどの糖類が挙げられる。天然および合成ゴムとして、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、ヤハズツノマタ抽出物、panwarガム、ガティガム、isapolの外皮から得られたにかわ、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、例えば、米国薬局法K30ポビドンのようなポリビニルピロリドン、ビーガム、カラマツアラボガラクタン(arabogalactan)が挙げられる。結合剤は、安定な粒子を速やかに形成させるために薬学的化合物を十分に結合させる効果を得る量、例えば、液体および結合剤の全量に関して、1〜10重量%で用いる。
【0033】
薬学的化合物の顆粒を製する際に用いる薬学的賦形剤または希釈剤の例として、水溶性および水不溶性の材料を挙げられる。有用な材料の例として、微結晶セルロース、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、アルカリ金属のステアリン酸塩、二酸化ケイ素、炭酸カルシウムが挙げられる。
【0034】
前述したごとく、本発明に用いるのに適した顆粒は、米国特許第6354728号に記載の装置を用いて製することができる。そのような装置は、軸方向に延びる円筒形の壁を有する回転子槽と;空気を前記槽に下方から通す手段と;液体を前記槽内に供給するための吹き付け手段と;前記回転槽に取り付けられ、中央に水平面を有し、垂直回転軸上を回転する回転子と;前記回転子の半径の外側から少なくとも3分の1内に、外上部方向の傾斜が10〜80度の円錐形のシェルの形とを備える。前記円錐形のシェルは、回転子の軸に直交する平面上にある円形の上縁部と;前記粉末賦形剤を導入するための供給口と;複数の案内羽根とを有する。前記案内羽根は、前記回転子の前記円錐形のシェルの上縁部と、前記回転子槽内に延びかつ前記回転子槽の前記円筒形の壁に接線方向に固定されている内端部とによって形成された平面上で、前記回転子槽の前記円筒形の壁に静的に固定された外端部を有し;かつ、回転子の軸に対する横断面において、実質的に円またはらせんの弧の形を有する。したがって、運動エネルギーの影響下にある前記回転子による運動エネルギーによって循環する前記粉末生成物は、前記回転子から前記案内羽根の内側へと移動した後、前記回転子上に落ちて行く。
【0035】
顆粒が、実質的に所望の大きさに達したら、好ましくは、乾燥粉末を装置に供給し、装置を3〜15分間、好ましくは、5〜10分間運転し、顆粒の形成を完了する。
【0036】
また、水分含量が、顆粒の全量に関し、1〜10重量%になるまで、約30〜100℃、好ましくは、約40〜90℃で、さらに乾燥してもよいであろう。
【0037】
基材となる材料は、通常は、8〜24時間である所望の間隔にわたって、薬学的化合物の所望の血漿濃度を得るために必要とする生物学的活性薬物の生体外溶解速度を、狭い範囲内で与える膨潤性の基材形成材料であれば、いずれであってもよい。また、ほとんどの基材形成材料は、pHに依存することなく、薬学的化合物を放出する。好ましくは、基材は、徐放性基材を形成する薬学的に許容できる、水膨潤性ポリマーにより形成される。徐放性基材に含む適切な水膨潤性材料は、0.5〜1%w/v水溶液として、3,000〜60,000mPa sの粘度を有するカルボマー;1%w/w水溶液として、約1000〜7000mPa sの粘度(25℃)を有するヒドロキシプロピルセルロース、2%w/v水溶液として、約1000以上、好ましくは、2,500以上〜最大25,000mPa sの粘度を有する ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースエーテル;20℃で、10%w/v水溶液として、300〜700mPa sの粘度を有するポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマーである。これらの材料の詳細は、参照として組み入れられているthe Handbook of Pharmaceutical Excipients,4th Ed、Rowe et al., Pharmaceutical Press (2003)を参照されたい。これらのポリマーのうち、カルボマーポリマーが好ましい。特に、カルボマーポリマーは、Carbopolが、粉末(Carbopol 971P)または顆粒(Carbopol 71G)の形態で市販されている。粉末のカルボマー(例えば、平均径が約0.2μm)と顆粒のカルボマー(例えば、平均径が約180〜425μm)とを、カルボマーの全量に関し、10〜90重量%から90〜10重量%の割合(顆粒/粉末)、より好ましくは、30〜70重量%から70〜30重量%の割合で混合した混合物が、望ましい製剤を製する。
【0038】
錠剤滑沢剤として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、パルミトステアリン酸グリセリル、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ポロキサマー、1000〜6000の重量平均分子量を有するポリエチレングリコールなどの周知の材料が挙げられる。
【0039】
薬学的化合物の未被覆顆粒と基材形成ポリマーとから、当業者に周知である従来からある、治療用量を与える錠剤を製する方法を使用し、錠剤を製する。
【0040】
本発明の錠剤は、以下のような成分を以下に示す(錠剤の全量に関する)割合
で含むことができる。
通常 好ましくは
薬学的化合物 10〜70重量% 20〜50重量%
膨潤性ポリマー 5〜50重量% 5〜40重量%
薬学的賦形剤 25〜85重量% 30〜70重量%
錠剤滑沢剤 1〜10重量% 2〜5重量%
被膜形成剤 1〜10重量% 2〜5重量%
【実施例1】
【0041】
顆粒形態のカルボマー(Carbopol 71G)を用いて、塩化オキシブチニンの顆粒を、以下のように製する。
方法:混合
オキシブチニンHCl 15.0%
微結晶セルロース 56.7%
第二リン酸カルシウム 28.3%
上記の成分(混合物の全量16kg)を、垂直高せん断力顆粒製造装置に2分間投じる。混合物3.2kgを秤り取り、粉末供給分とする。水4.5kgを、噴霧速度500g/分、噴霧空気圧2.0bar.で吹き付ける。
高せん断力顆粒製造装置から混合物を取り出し、米国特許第6354728号に記載の装置に移す。装置を始動し、水を250g/分で吹き付ける。操作条件を以下に示す。
入口空気温度:17℃
回転子速度:
500rpmではじめ、水1.6kgを吹き付けた後、250rpmまで減速。水7.1kgを吹き付けた後は、粉末を235g/分で供給しはじめる。水8.6kgを吹き付けたら、停止する。
湿った顆粒を取り出し、流動層乾燥機内で乾燥する。最終水分含量1.71%。
【0042】
顆粒をふるい分け、25/35米国標準メッシュ部分、または500〜710ミクロン部分を得る。
【0043】
(表1)
錠剤組成: 量
オキシブチニン顆粒(15%) 455.0g
微結晶セルロース 385.0g
Carbopol 71G 120.0g
ステアリン酸 40.0g

───────────────────────

全量 1000.0g
【0044】
錠剤成分を、8qt.V型混合機内で混合し、6ステーション圧縮打錠機(Korsch、PH106型)で圧縮し、標準的な凹面の丸い9/32″錠剤を製した。
【0045】
これらの(顆粒カルボマー基材と共に塩化オキシブチニンの未被覆顆粒を用いた)錠剤の溶解プロフィールを、米国薬局方2型装置内で、pH6.8のリン酸緩衝液を用い、37℃,50rpmにて測定した。
【0046】
時間(時間) 放出%
0.0 0.0
0.5 0.5
1.0 1.8
2.0 5.2
4.0 16.6
6.0 28.7
8.0 40.6
10.0 52.1
12.0 63.2
14.0 73.8
16.0 83.5
18.0 87.1
20.0 88.4
22.0 88.7
24.0 88.4
【実施例2】
【0047】
プロプラノロールの徐放性錠剤
プロプラノロール顆粒成分
プロプラノロールHCl 60%
微結晶セルロース 40%
【0048】
プロプラノロール顆粒を、実施例1の方法を用いて製した。次の打錠に用いる顆粒の大きさは30/80メッシュ(180〜600ミクロン)である。
【0049】
(表2)
錠剤組成: 量
プロプラノロールHCl顆粒 225.0g
微結晶セルロース 215.0g
Carbopol 971P 40.0g
ステアリン酸 20.0g

───────────────────────

全量 500.0g
【0050】
回転式圧縮打錠機Korsch PH106を用い、錠剤を製した。打錠具は、丸形標準凹面、直径11/32インチである。目標とする錠剤の重量は、296.2mgである。プロプラノロールHCl含量は、錠剤あたり80mgである。
【0051】
(実施例1と同様、粉末カルボマー基材と共にプロプラノロールの未被覆顆粒を用いた)プロプラノロールの徐放性錠剤の溶解プロフィールを、実施例1と同様にして、求めた。
【0052】
時間(時間) 放出%
0.0 0.00
0.5 6.20
1.0 12.80
2.0 21.20
3.0 27.10
4.0 31.80
5.0 36.30
6.0 40.60
8.0 48.70
10.0 56.60
12.0 64.30
14.0 71.50
16.0 79.50
18.0 88.20
18.5 91.10
【0053】
プロプラノロールHClに関して、ゼロ次放出プロフィールが得られた。プロプラノロールHClは、塩化オキシブチニンとは異なる化学的性質および溶解性を有するにもかかわらず、放出プロフィールは、塩化オキシブチニンで得られたゼロ次放出プロフィールに類似する。未被覆プロプラノロールHCl顆粒は、プロプラノロールHClを60%含有する。それに比較して、実施例1の塩化オキシブチニン顆粒では、15%である。また、プロプラノロールHCl除放性錠剤の錠剤寸法も、塩化オキシブチニン除放性錠剤の錠剤寸法とは異なる。
【実施例3】
【0054】
プロプラノロールの徐放性錠剤
プロプラノロール顆粒成分
プロプラノロールHCl 60%
微結晶セルロース 40%
【0055】
プロプラノロールの顆粒を、押出造粒機、WLS Gabler E35T型単スクリュー押出機を用いて製した。プロプラノロールHClおよび微結晶セルロース1000gの混合物を水で湿らせ、大きさ0.8/1.0mmのカートリッジを用いて、スピード目盛りを5に設定して押し出した。回転機中で、造粒および乾燥の後、顆粒をふるい分け、250〜560μm部分を得た。
【0056】
(表3)
錠剤組成: 量
プロプラノロールHCl顆粒 15.0g
微結晶セルロース 14.3g
Carbopol 971P 2.7g
ステアリン酸 1.3g

───────────────────────

全量 33.3.0g
【0057】
回転式圧縮打錠機Korsch PH106を用い、錠剤を製した。打錠具は、丸形標準凹面、直径11/32インチである。目標とする錠剤の重量は、296.2mgである。プロプラノロールHCl含量は、錠剤あたり80mgである。
【0058】
(粉末カルボマー基材と共にプロプラノロールHClの未被覆顆粒を用いた)プロプラノロールHClの徐放性錠剤の溶解プロフィール。
時間(時間) 放出%
0.5 5.2
1.0 10.9
2.0 18.6
4.0 27.7
6.0 34.3
8.0 41.2
10.0 47.8
12.0 56.0
14.0 64.8
16.0 74.8
18.0 83.6
20.0 88.7
22.0 89.8
24.0 92.3
【0059】
プロプラノロールに関して、同様のゼロ次放出プロフィールが得られた。プロプラノロール顆粒は、押出造粒法を用いて製した。本実施例(実施例3)のプロプラノロールの未被覆顆粒は、実施例2のプロプラノロール顆粒を製するのに用いた直接顆粒製造法とは異なる方法で製された。
【実施例4】
【0060】
コハク酸メトプロロールの徐放性錠剤
コハク酸メトプロロールの顆粒を、出発核顆粒として糖からなる球体を用いて製した。付着防止剤として若干量(コハク酸メトプロロールの重量の3.75%)の二酸化ケイ素を加え、30%w/wコハク酸メトプロロール水溶液を、これらの球体の上に重ねた。次の打錠に用いる顆粒の大きさは25/40メッシュ(425〜710ミクロン)であった。
【0061】
メトプロロール顆粒成分
50/70メッシュの糖からなる球体 1.6kg
コハク酸メトプロロール 6.4kg
二酸化ケイ素 0.24kg
【0062】
コハク酸メトプロロールの未被覆顆粒は、即座に放出し、米国薬局方1型装置中、37℃、50rpmで試験したところ、30分後には、75%以上が放出した。
【0063】
(表4)
錠剤組成: 量
コハク酸メトプロロール顆粒 77.7g
微結晶セルロース 144.8g
Carbopol 971P 20.0g
ステアリン酸 7.5g

───────────────────────

全量 250.0g
【0064】
回転式圧縮打錠機Korsch PH106を用い、錠剤を製した。打錠具は、丸形標準凹面、直径7/16インチである。目標とする錠剤の重量は、730.1mgである。コハク酸メトプロロール含量は、錠剤あたり176mgである。
【0065】
(粉末カルボマー基材と共にコハク酸メトプロロールの未被覆顆粒を用いた)コハク酸メトプロロールの徐放性錠剤の溶解プロフィールを、実施例1の記載にしたがって求めた。
【0066】
時間(時間) 放出%
0 0.00
1 10.20
2 18.60
4 31.50
6 42.50
8 53.20
10 66.40
12 79.30
14 88.60
16 95.20
18 99.40
20 101.10
【0067】
コハク酸メトプロロールに関しても、同様のゼロ次放出プロフィールが得られた。コハク酸メトプロロールは、塩化オキシブチニンとは異なる化学的性質および溶解性を有する。コハク酸メトプロロール顆粒は、コハク酸メトプロロールを77.7%含有する。それに比較して、実施例1の塩化オキシブチニン顆粒では、15%である。さらに、コハク酸メトプロロール顆粒は、糖からなる球体上に薬物の層を形成する方法を用いて製した。層形成法は、塩化オキシブチニン顆粒を製するのに用いた直接顆粒製造法とは異なる。また、コハク酸メトプロロール除放性錠剤の錠剤寸法も、塩化オキシブチニン除放性錠剤の錠剤寸法とは異なる。
【実施例5】
【0068】
イブプロフェンの徐放性錠剤
イブプロフェン顆粒成分:
イブプロフェン 90%
微結晶セルロース 10%
【0069】
実施例1に記載の方法と同様にして、顆粒を製した。
【0070】
イブプロフェン顆粒粒子の大きさの分布
ふるい# 保持%
20 3.7
40 19.6
60 38.4
80 10.8
100 9.8
200 10
受け皿 7.6
注)イブプロフェン顆粒粒子の大きさの分布は、その他の実施例に比べ、広範囲にわたっている。
【0071】
(表5)
錠剤組成: 量
イブプロフェン顆粒 226.0g
微結晶セルロース 214.0g
Carbopol 971P 40.0g
ステアリン酸 20.0g

───────────────────────

全量 500.0g
【0072】
回転式圧縮打錠機Korsch PH106を用い、錠剤を製した。打錠具は、丸形標準凹面、直径11/32インチである。目標とする錠剤の重量は、296.2mgである。イブプロフェン含量は、錠剤あたり120mgである。
【0073】
米国薬局方2型装置内で、pH7.2のリン酸緩衝液中で、37℃,50rpmにて測定した(Carbopol基材中に未被覆のイブプロフェン顆粒を有する)イブプロフェンの徐放性錠剤の溶解プロフィール。
時間(時間) 放出%
0.5 0.9
1.0 1.9
2.0 5.2
4.0 17.6
6.0 37.6
8.0 60.4
10.0 78.5
12.0 93.7
14.0 102.3
16.0 110.3
18.0 115.5
20.0 118.0
22.0 119.8
24.0 120.9
【0074】
イブプロフェンに関しても、ゼロ次放出プロフィールが得られ、それは実施例1の塩化オキシブチニンのプロフィールに類似する。イブプロフェンは、塩化オキシブチニンとは異なる化学的性質および溶解性を有する。イブプロフェン顆粒は、イブプロフェンを90%含有する。それに比較して、実施例1の塩化オキシブチニン顆粒では、15%である。イブプロフェン顆粒粒子の大きさの分布は、広い(約75〜425ミクロン)。また、イブプロフェン除放性錠剤の錠剤寸法も、塩化オキシブチニン除放性錠剤の錠剤寸法とは異なる。
【実施例6】
【0075】
マレイン酸クロルフェニラミンの徐放性錠剤
マレイン酸クロルフェニラミン顆粒成分:
マレイン酸クロルフェニラミン 10%
微結晶セルロース 90%
【0076】
マレイン酸クロルフェニラミン顆粒を、実施例1の方法を用いて製した。次の打錠に用いる顆粒の大きさは40/80メッシュ(180〜447ミクロン)である。
【0077】
米国薬局方1型装置内、水中、37℃,100rpmでのマレイン酸クロルフェニラミン顆粒の溶解性。
時間 溶解%
15分 93.0
60分 92.6
∞ 92.1
【0078】
錠剤組成: 量
マレイン酸クロルフェニラミン顆粒 225.0g
微結晶セルロース 215.0g
Carbopol 971P 40.0g
ステアリン酸 20.0g
全量 500.0g
【0079】
米国薬局方2型装置を使用し、0.01N HCl中で、37℃,50rpmにて測定した(粉末カルボマー基材中に未被覆のマレイン酸クロルフェニラミン顆粒を有する)マレイン酸クロルフェニラミンの徐放性錠剤の溶解プロフィール。
時間(時間) 放出%
0.5 30.2
1 53.2
2 73.4
4 91.2
6 97.9
8 99.6
10 100.2
12 101.5
14 102.3
16 101.6
18 103.0
20 102.1
22 102.2
24 103.5
【0080】
米国薬局方1型装置内、水中、37℃,100rpmでの未被覆のマレイン酸クロルフェニラミン顆粒(15分後で、放出93%)と比較すると、マレイン酸クロルフェニラミンの徐放性錠剤には、放出に持続性が認められた。
【0081】
実施例1〜5では、カルボマーを有する基材錠剤内に、カルボマーの錠剤中の最終濃度が8%となるように、様々な顆粒中薬物濃度(10〜90%)で、種々の未被覆薬物錠剤を製した。実施例1〜6の錠剤中の薬物濃度の違いは、それぞれの薬物の治療用量が異なることによる。実施例1〜5では、24時間にわたり、ゼロ次の薬物放出プロフィールが得られた。実施例6では、長期の一次の薬物放出が得られた。
【0082】
基材錠剤中の未被覆オキシブチニン顆粒
実施例1の方法を用い、塩化オキシブチニン顆粒を製した。各実施例(実施例7〜9)の塩化オキシブチニン顆粒製剤は、塩化オキシブチニンを15%含有するが、賦形剤の種類および量が少しずつ異なる。数種類の親水性基材ポリマーについて調べ、塩化オキシブチニンの徐放性錠剤を製した。
【0083】
塩化オキシブチニン顆粒の成分を変えても、基材錠剤中の徐放性ポリマーを変えても、塩化オキシブチニンの徐放性錠剤の溶解プロフィールに影響が出た。
【実施例7】
【0084】
塩化オキシブチニン顆粒を、実施例1の方法にしたがって製した。
【0085】
オキシブチニンHCl 15.0%
微結晶セルロース 56.7%
第二リン酸カルシウム 28.3%
【0086】
pH6.8リン酸緩衝液中での塩化オキシブチニンの溶解性。
時間(分) 放出%
15 48.5
30 55.5
45 60.5
60 64.0
120 74.5
【0087】
錠剤組成: 量
塩化オキシブチニン顆粒 238.6g
微結晶セルロース 178.4g
Carbopol 971P 79.5g
ステアリン酸マグネシウム 3.5g
全量 500.0g
打錠具は、丸形標準凹面、9/32インチである。
【0088】
実施例1の方法に従った塩化オキシブチニンの徐放性錠剤の溶解プロフィール(Carbopol基材中にオキシブチニン顆粒を有する)の溶解プロフィール。
時間(時間) 放出%
0 0.0
0.5 0.7
1 1.1
2 2.6
3 4.5
4 6.3
5 8.9
6 11.5
7 13.9
8 16.3
9 20.5
10 24.6
11 28.0
12 31.3
∞ 74.8
【0089】
塩化オキシブチニンの24時間にわたるゼロ次放出が認められた。カルボマー基材中の未被覆塩化オキシブチニン顆粒は、塩化オキシブチニンを、ゆっくりと一定の割合で放出した。
【実施例8】
【0090】
塩化オキシブチニン顆粒を、実施例1に記載のごとく製した。
【0091】
オキシブチニンHCl 15.0%
微結晶セルロース 28.3%
第二リン酸カルシウム 56.7%
【0092】
米国薬局方2型装置内で、pH6.8のリン酸緩衝液中で、37℃,50rpmで測定した塩化オキシブチニン顆粒の溶解性。
時間(分) 放出%
15 81.8
30 85.7
45 88.4
60 90.5
120 94.2
【0093】
錠剤組成: 量
塩化オキシブチニン顆粒 221.2g
微結晶セルロース 54.8g
メトセルK4M 120.0g
ステアリン酸マグネシウム 4.0g
全量 400.0g
打錠具は、丸形標準凹面、9/32インチである。
【0094】
実施例1の方法を用いた、(メトセルK4M基材中に未被覆オキシブチニン顆粒を有する)塩化オキシブチニンの徐放性錠剤の溶解プロフィールの溶解プロフィール。
時間(時間) 放出%
0 0.0
0.5 8.5
1 12.9
2 20.0
3 24.3
4 28.5
5 32.2
6 35.8
7 38.1
8 42.3
9 44.9
10 47.5
11 49.5
12 51.4
∞ 89.4
【0095】
未被覆の塩化オキシブチニン顆粒を有するMethocel K4Mを用いた場合、約24時間にわたるゼロ次放出が認められた。破砕率は8.1%である。錠剤組成を、若干量の結合剤(錠剤の全量に関し、5重量%のポビドンK30)を加えて改変してもよかろう。
【0096】
未被覆薬物顆粒の組成成分、ならびに放出制御ポリマーの種類および濃度を変化させると、所望の薬物溶解プロフィールを得ることができる。錠剤組成を調整することで、特定の製剤の打錠工程を改善することが可能である。
【0097】
(比較実施例)
同じ用量(15mg/錠)の塩化オキシブチニン粉末を、賦形剤およびCarbopol 971P(組成中8%)と共に混合した。同じ打錠具(9/32インチ、丸形)および同じ目標錠剤重量を用い、溶解結果を比較した。
【0098】
コントロール
錠剤組成: 量
塩化オキシブチニン 35.8g
微結晶セルロース 404.2g
Carbopol 971P 40.0g
ステアリン酸 20.0g
全量 500.0g
【0099】
発明品
錠剤組成: 量
オキシブチニン顆粒(15%) 455.0g
微結晶セルロース 425.0g
Carbopol 971P 80.0g
ステアリン酸 40.0g
全量 1000.0g
+試料はいずれも、組成中にCarbopol 971Pを8%で含有する。
【0100】
実施例1に対応する試験条件:
【0101】
(表6)
時間(時間) 発明品(Carbopol基材中 コントロール(Carbopol基
にオキシブチニン顆粒) 材中にオキシブチニン粉末
放出% )放出%
0.0 0.0 0.0
0.5 1.0 2.6
1.0 2.0 4.0
2.0 4.9 6.3
4.0 13.2 9.5
6.0 22.9 12.5
8.0 34.6 16.4
10.0 43.9 20.5
12.0 58.8 24.5
14.0 70.6 27.9
16.0 82.2 31.4
18.0 89.0 34.8
20.0 95.3 37.5
22.0 97.4 40.3
24.0 98.5 43.2
【0102】
発明品(Carbopol基材中に未被覆塩化オキシブチニン顆粒)の場合には、24時間にわたる塩化オキシブチニンのゼロ次放出を達成した。(顆粒に代えて)塩化オキシブチニンの粉末を、錠剤の賦形剤およびCarbopolと混合した場合には、塩化オキシブチニンのゼロ次放出を認めたが、24時間で放出された塩化オキシブチニンは、43%に留まった。
【0103】
24時間にわたるゼロ次の薬物放出は、1日1回投与に有用である。
【実施例9】
【0104】
本実施例では、顆粒形態のカルボマー(すなわち、Carbopol 71G)の混合物を、粉末形態のカルボマー(Carbopol 971P)と組み合わせて使用する。
【0105】
オキシブチニン顆粒
オキシブチニンHCl 15.0%
微結晶セルロース 70.9%
第二リン酸カルシウム 14.1%
【0106】
錠剤組成: 量
塩化オキシブチニン顆粒(15%) 227.5g
微結晶セルロース 177.5g
Carbopol 71G 50.0g
Carbopol 971P 25.0g
ステアリン酸 20.0g
全量 500.0g
【0107】
(Carbopol 971P(5%)および71G(15%)を組み合わせて含む基材中に未被覆オキシブチニン顆粒を有する)オキシブチニンの徐放性錠剤の溶解プロフィール。放出プロフィールは、実施例1と同様に測定した。
【0108】
時間(時間) 放出%
0 0.0
0.5 0.5
1.0 1.4
2.0 3.5
4.0 10.8
6.0 20.7
8.0 33.4
10.0 45.7
12.0 56.1
14.0 66.0
16.0 75.8
18.0 83.8
20.0 88.7
22.0 90.6
24.0 90.8
【0109】
実施例1と比較して、本実施例では、同じ未被覆の塩化オキシブチニン顆粒を粉末および顆粒のカルボマーからなる基材組成中に使用した。24時間にわたり、同様の塩化オキシブチニンのゼロ次放出が達成された。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】実施例1の塩化オキシブチニンの錠剤の溶解プロフィールを示す図である。
【図2】実施例1の方法により製した顆粒を用いて製した塩酸プロプラノロールの錠剤の溶解プロフィールを示す図である。
【図3】実施例3の塩酸プロプラノロールの錠剤の溶解プロフィールを示す図である。ここでは、顆粒を、押出造粒法によって製した。
【図4】実施例4のコハク酸メトプロロールの徐放性錠剤の溶解プロフィールを示す図である。ここでは、顆粒を、懸濁液を用いた層形成法によって製した。
【図5】実施例5のイブプロフェンの錠剤の溶解プロフィールを示す図である。ここでは、顆粒を、実施例1の方法によって製した。
【図6】実施例6のマレイン酸クロルフェニラミンの錠剤の溶解プロフィールを示す図である。ここでは、顆粒を、実施例1の方法によって製した。
【図7】実施例9の塩化オキシブチニンの錠剤の溶解プロフィールを示す図である。ここでは、顆粒を、実施例1の方法によって製し、Carbopol 971Pおよび71Gを組み合わせて使用した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的化合物を含有する未被覆の顆粒を含む、薬学的化合物の圧縮錠剤であって、前記顆粒を、前記顆粒および膨潤性ポリマーを含む基材中に分散させる圧縮錠剤。
【請求項2】
未被覆の顆粒が薬学的賦形剤を含有する、請求項1に記載の薬学的化合物の圧縮錠剤。
【請求項3】
薬学的賦形剤が、微結晶セルロース、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、二酸化ケイ素、および炭酸カルシウムからなる群から選択される、請求項1に記載の薬学的化合物の圧縮錠剤。
【請求項4】
膨潤性ポリマーが、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンからなる群から選択される、請求項1に記載の薬学的化合物の圧縮錠剤。
【請求項5】
膨潤性ポリマーが、カルボマーである、請求項2に記載の薬学的化合物の圧縮錠剤。
【請求項6】
膨潤性ポリマーが、カルボマーである、請求項4に記載の薬学的化合物の圧縮錠剤。
【請求項7】
薬学的化合物と微結晶セルロースと第二リン酸カルシウムとを含有する未被覆の顆粒を含む薬学的化合物の圧縮錠剤であって、前記顆粒を、前記未被覆の顆粒とカルボマーおよび微結晶セルロースのポリマーとを含む基材中に分散させ、前記基材を圧縮し錠剤とする圧縮錠剤。
【請求項8】
薬学的化合物がイブプロフェンである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項9】
薬学的化合物が塩化オキシブチニンである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項10】
薬学的化合物がコハク酸メトプロロールである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項11】
薬学的化合物が塩酸プロプラノロールである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項12】
薬学的化合物がマレイン酸クロルフェニラミンである、請求項1に記載の圧縮錠剤。
【請求項13】
以下の(a)、(b)および(c)のステップを含む薬学的化合物の錠剤を製する方法:
(a)薬学的化合物を含有する未被覆の顆粒を製するステップ;
(b)前記未被覆の顆粒を、膨潤性ポリマーを含む基材中に分散させるステップ;および
(c)前記基材を圧縮し錠剤となすステップ。
【請求項14】
未被覆の錠剤が薬学的賦形剤を含有する、請求項13に記載の薬学的化合物の錠剤を製する方法。
【請求項15】
薬学的賦形剤が、微結晶セルロース、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、タルク、二酸化ケイ素、および炭酸カルシウムからからなる群から選択される、請求項13に記載の薬学的化合物の錠剤を製する方法。
【請求項16】
膨潤性ポリマーが、カルボマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンからからなる群から選択される、請求項13に記載の薬学的化合物の錠剤を製する方法。
【請求項17】
膨潤性ポリマーがカルボマーである、請求項16に記載の薬学的化合物の錠剤を製する方法。
【請求項18】
膨潤性ポリマーがカルボマーである、請求項14に記載の薬学的化合物の錠剤を製する方法。
【請求項19】
以下の(a)、(b)および(c)のステップを含む薬学的化合物の錠剤を製する方法:
(a)薬学的化合物と微結晶セルロースと第二リン酸カルシウムとを含有する未被覆の顆粒を製するステップ;
(b)前記未被覆の顆粒を、カルボマーと微結晶セルロースとを含む基材中に分散させるステップ;および
(c)前記基材を圧縮し錠剤となすステップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−502727(P2008−502727A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527701(P2007−527701)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/020203
【国際公開番号】WO2005/123045
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(506407268)グラット エアー テクニクス インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】