説明

従来型樹状細胞によるIFN‐ラムダの産生及びその使用

本発明では、マウス及びヒトにおけるCD8+ 従来型樹状細胞(CD8+ cDC)及びそれらの等価物(eCD8+ cDC)が、二本鎖(ds)核酸に応答するIFN‐ラムダ(IFN‐λ)の主要な源として確立された。本発明は、感染症、好ましくはウイルス感染症、又は癌の予防及び/又は治療における、CD8+ 及び/又はeCD8+ cDCを標的とするds核酸類又はそれら類似体の治療的適用に関する。更に、本発明はIFN‐λを産生する、若しくはIFN‐λ産生CD8+又はeCD8+ cDCの集団を生成又は採取するインビトロの方法、並びにCD8+ 及び/又はeCD8+ cDCを検出又はスクリーニングするインビトロの方法に関する。加えて、本発明は感染症又は癌を患う対象においてCD8+及び/又はeCD8+ cDCのレベルを増加するのに使用するFlt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫治療の分野、特に樹状細胞によるインターフェロン(IF)の産生の分野に関する。本発明は、IFN‐ラムダ(IFN‐λ)の産生に関与する特定の樹状細胞タイプ、及びこの産生を調整する方法に関する。特に、本発明は、インビトロ及び生体内におけるIFN‐λの産生のための組成物及び方法に関する。よって、本発明は、対象において、特定の樹状細胞タイプにおいてIFN‐ラムダの産生を誘導することによって、抗感染応答、特に抗ウイルス応答を誘導することができる二本鎖(ds)核酸の治療への適用に関する。特に、本発明は、特にウイルス感染によって引き起こされる感染症又は癌の予防及び/又は治療における、CD8+従来型樹状細胞(CD8+ cDC)を標的とするds核酸及び/又はそれらの等価物(eCD8+ cDC)に関する。更に、本発明は、IFN‐λを産生する、並びに/若しくはIFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCを生成又は採取する方法に関する。また、本発明は、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを検出又はスクリーニングする方法に関する。くわえて、本発明はcDCにおけるIFN‐ラムダの産生を誘導する生体外の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IFN‐ラムダ(IFN‐λ)1、2、3サイトカインファミリーは、それぞれ、IL‐29、IL‐28A、及びIL‐28Bとも呼ばれ、近年になって同定された(Kotenkoら,2003;Sheppardら,2003)。IFN‐ラムダ(IFN‐λ)は、強力な免疫調節及び抗ウイルスサイトカインであり、近年、ヒトにおいてC型肝炎ウイルスの排除に関係があるとされている。IL‐28A(IFN‐λ2とも呼ばれる)、IL‐28B(IFN‐λ3)、及びIL‐29(IFN‐λ1)は、II型サイトカイン受容体リガンドであるIII型インターフェロンである。IFN‐λは、I型IFN(IFN‐I)及びサイトカインのIL‐10ファミリーに関連し、IFN‐λ固有の1つの鎖(IFN‐λR1又はIL‐28Rα)及びIL‐10関連のサイトカインと共通のもう1つの鎖(IL‐10R2)からなるヘテロ二量体受容体を介してシグナル伝達する。IFN‐λは、抗ウイルス、抗腫瘍、及びさまざまな免疫調節機能を有し、いろいろな意味でIFN‐Iの機能に類似している(Liら,2009)。IFN‐I受容体の遍在する発現とは対照的に、IFN‐λ受容体の発現は、例えば上皮細胞及び形質細胞様樹状細胞(pDC)などの限られた細胞タイプに制限される(Ankら,2008;Sommereynsら,2008)。ウイルス若しくはポリIC又はCpG‐オリゴヌクレオチド(ODN)などの核酸の類似体にさらすことは、IFN‐Iの産生を引き起こすことが知られている条件であり、それはまたIFN‐λを誘導し、おしなべて、類似したシグナル伝達構成要素に依存する(Ankら,2008;Osterlundら,2007年;Onoguchiら,2007年)。IFN‐λは、トル様受容体(TLR)により誘導される粘膜のウイルス感染に対する防御において役割を担っており、最近の報告は、IL‐28B遺伝子をC型肝炎感染の除去及び回復する能力に関連づけている(Ankら,2008;Geら,2009)。よって、IFN‐λの細胞起源及びその産生調節を理解することが極度に重要である。
【0003】
例えば単球由来の樹状細胞(DC)及び形質細胞様樹状細胞(pDC)などの幾つかの細胞タイプは、IFN‐λを産生すると記載されてきているが、生体内における二本鎖(ds)核酸により誘導されるIFN‐λの細胞起源は、依然としてとらえどころがない(Cocciaら,2004;Ankら,2008;Osterlundら,2005)。単球由来のDCは、CD8+従来型DC(CD8+ cDC)でもCD8+ cDCの等価物(eCD8+ cDC)でもなく、なぜならeCD8+ cDCは成長に、GM‐CSFではなくFms関連のチロシンキナーゼ3リガンド(Flt3)‐リガンド(FL)を必要とするからである。GM‐CSFは、IL‐4又はTNF‐α(TNF‐α)などの他のサイトカインと組み合わされるかもしれないが、単球由来のDCは、成長に、GM‐CSFに完全に依存する。GM‐CSF依存性のDCは、定常状態のDCの等価物ではなく、なぜならGM‐CSF又はGM‐CSF受容体の欠乏は、リンパ器官における通常のpDC又はcDCサブセットの存在に影響を与えないからである(Naikら,2008)。GM‐CSFとFLとの組み合わせを使って、細胞がインビトロで生成される場合、GM‐CSF DCのみが成長し、pDCもeCD8+ cDCも成長しない(Gillietら,2002)。
【0004】
ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(ポリIC)は、ウイルス感染中に生成されるウイルス二本鎖(ds)RNAの模倣物であり、生体内において、TRIF依存性のTLR3又はCardif(IPS‐1、MAVS、VISAとしても知られている)依存性のRig様ヘリカーゼ(RLH)によって認識される。それは、免疫刺激剤として一般に使用され、DCを標的とするワクチンのモデルにおいて、Th1CD4T細胞応答を誘導するための優れたアジュバントである(Longhiら,2009)。
【0005】
従来型樹状細胞(cDC)は、効果的な抗原提示細胞であるだけでなく、サイトカインの自然の供給源としても知られている。マウスcDCのなかで、CD8ααホモ二量体(CD8+)の発現により定義されるサブセットは、例えば脾臓、リンパ節、胸腺及び肝臓などのさまざまな臓器におけるIL‐12p70の主要な産生源としてと同定された(Reis e Sousaら,1997;Hochreinら,2001;Pillarisettyら,2004)。CD8+ cDCの別の機能的な特徴は、それらの交差提示能力である(Shortmanら,2009)。
【0006】
CD8+ cDCは、明らかに機能的に異なったDCサブセットである。しかしながら、これら機能的属性は、必ずしもCD8の発現に対応しているとは限らないことがある。よって、CD8分子とは別に、表面マーカーの他の組み合わせを、CD8+ cDC又はCD8発現を欠きうるそれらの機能的な等価物(eCD8+)を同定するのに使用することができる。CD11c+ MHCクラスIIが高い細胞の中で、CD205、CD103、Necl2、Clec9a、CD24の高い発現をCD11b及びCD172a陰性又はCD172aの低い発現を伴って、多様な組合せを使用することができる。(Hochrein and O’Keeffe,2008;Shortmanら,2009)。
【0007】
DCサブセットは、骨髄前駆体細胞から、Flt3‐リガンド(FL)であるFLDCの存在下において、インビトロで生成することができる(Braselら,2000)。FLDC cDCは、CD8及びCD4の発現を欠いているが、上記のマーカーを使って、脾臓cDCに類似した、機能的に異なるサブセットに分けることができる。FLDCサブセットの1つは、eCD8+として同定されれているが、それは、成長においてCD8+ cDCと同じ転写制御因子に依存し、Clec9aの高い発現、CD11b及びCD172aの低い発現などの幾つかの特徴的な表面マーカーを発現し、TLRの類似の発現プロフィールを示すからである。機能的に、eCD8+DCは、類似のTLR‐リガンド応答性も、高いIL‐12p70産生及び効率的な交差提示も示す。脾臓における生体内転移及び回復の際、eCD8+DCは、CD8をそれらの表面に発現する(Naikら,2005)。
【0008】
異なる核酸感知システムであるTLR3、TLR7、又はTLR9及びRLHの発現は、DCサブセットによってさまざまである(Hochrein and O’Keeffe,2008)。また、これら受容体の結合後の下流の機能も、異なるDCによって多様である。pDCは、核酸感知にTLR7及びTLR9を主に使用し、IFN‐I及びIFN‐λの高い産生をもたらす。cDCのなかで、CD8+ cDCは、TLR3を高発現するが、TLR7の発現を欠いている(Edwardsら,2003)。更に、CD8 cDCとは対照的に、CD8+ cDCは、RLHをほとんど発現せず、その結果として、一本鎖(ss)RNAウイルスであるセンダイウイルス又はインフルエンザウイルスを検出することができないことがプロテオミクスによって見いだされた(Luberら,2010)。
【0009】
CD8は、ヒトDCで発現されない一方で、CD4は、全てのDCサブセットによって発現され、よって他のマーカーが、ヒトDCサブセットを定義し、可能性としてマウス及びヒトの対応物をアラインメントするのに用いられなければならない。BDCA1‐4と指定される抗体のセットが確立されており、pDC及びcDCサブセット間の識別に使用される(Dzionekら,2000)。ヒトBDCA3陽性のDCは、マウスeCD8+DCと同様、高レベルのClec9a及びNecl2を選択的に発現するが、少量のCD11bのみを発現するため、それらは、ヒトeCD8+DCとして提案されている。(Shortmanら,2009)。全ゲノム転写分析は、ネズミCD8+ cDCのヒトBDCA3+ cDCとの近い関係を実証した(Robbinsら,2008)。マウスeCD8+ cDCと同様に、ヒトBDCA3+ cDCは、例えば血液、脾臓、肺、扁桃腺、リンパ節、結腸及び肝臓などのさまざまな臓器で見いだされている。ヒト胸腺のCD11blowcDCは、マウス胸腺CD11blowDCと、高いIL‐12p70産生で関連するものの、これらヒトとマウスDCサブセット間の機能的な関連は稀である(Vandenabeeleら,2001;Hochreinら,2001)。
【0010】
Miyakeら(2009)は、ポリICはIPS‐1及びTRIFに依存する方法を介してNK細胞を活性化することを記載している。両経路は、NK細胞を介してB16腫瘍抑制に関与した。CD8a+ cDCは、I型IFN(IFN‐α/β)、IL‐6及びIL‐12p40の源として同定され、NK細胞によるIFN‐ガンマ産生を尺度にNK細胞活性化に関与している。
【0011】
Schulzら(2005)は、ウイルス感染した細胞に存在するdsRNAはTLR3を介して樹状細胞により認識されることを記載している。そして、ポリICCD8a+ cDCを活性化する(CD40、CD86、CD80などの表面マーカーの増加が検出され、TNF‐α、IL‐6及びIFN‐α/βの遺伝子活性化、ただし、タンパク質ではIL‐6タンパク質のみが検出されることができた)。TLR3はこの活性化に必要であり、その活性化されたCD8a+ cDCは、交差提示を介してより強いCTL誘導を誘導することが示された。
【0012】
Dieboldら(2009)は、レプリコンプラスミドはCD8a+ cDCによりTLR3依存的な方法で検出されるdsRNA中間体を誘導することを記載している。対照的に、CTLの活性化はTLR3に依存しなかった。
【0013】
国際公開第2006/054177号は、特定の腫瘍がTLR3を発現し、これらの腫瘍はポリAUなどのTLR3‐アゴニストで治療される可能性を記載している。
【0014】
国際公開第2009/088401号は、TLRリガンドと、TLR3アゴニストであるそれらの1つとの組み合わせは、増加した(適応した)免疫応答、特に抗原特異的CD8T細胞応答を誘導するであろうことを記載している。また、請求項はTLR3アゴニスト及び他のTLRアゴニストの組み合わせでの樹状細胞の活性化を含み、例えばT‐細胞により産生されるサイトカインの強化などの強化されたCD8T細胞応答を主張している。
【0015】
国際公開第2004/060319号は、TLRアゴニスト及びTNF/Rアゴニストの組み合わせは抗原特異的免疫応の量を増加することを記載している。これらの抗原に特異的な応答は、ヘルパーT細胞(CD4T細胞)からか又はキラーT細胞(CD8T細胞)からかのいずれかであった。
【0016】
国際公開第94/28391号は、FLT3のリガンドは造血幹細胞又はその他の免疫細胞増殖に使用されることができることを記載している。Flt3‐リガンドの異なる形態が記載されている。
【0017】
国際公開第2008/131926号は、M‐CSFはFlt3‐リガンド又はGM‐CSFから独立して使用され、樹状細胞の生成を誘導できることを記載している。特にpDCの産生はFLから独立しており、cDCの産生はGM‐CSFから独立していた。
【0018】
Ankら(2008)は、多くの異なる細胞タイプがTLRリガンド又はウイルスに対してIFN‐ラムダを産生することを記載している。また、それは、IFN‐ラムダ受容体発現を分析し、生体内ウイルス感染モデルを使用している。ポリIC又はCpG‐ODNの局所的(膣内)適応は、マウスを致死的な膣内HSV‐2抗原投与から防御した。また、その文献は、脾臓からのcDC、pDC、B‐細胞、T‐細胞及びマクロファージはHSV‐2に応答してIFN‐ラムダmRNAを産生したことを記載している。
【0019】
Sheppardら(2003)は、IFN‐ラムダの存在、並びにそれらはIFN‐I及びサイトカインのIL‐10ファミリーに関連することを記載している。その文献は、ポリIC治療後又はEMCV感染後のヒトPBMCのIFN‐ラムダ(IL‐28A、IL‐28B、IL‐29)、IFN‐アルファ及びIFN‐ベータのmRNAを示す。3つのIFN‐ラムダ、及びIFN‐アルファ及びIFN‐ベータのmRNAは、ポリIC又はウイルスのいずれかにさらすと上方制御された。
【0020】
O’Keeffeら(2002)は、さまざまな成長因子に応答するDCサブセットの増加を記載し、例えばflt3‐リガンドに応答するCD8acDCの増加を示している。CpGに応答するIL‐12p40及びIL‐12p70産生が分析され、CD8a+ cDC及びFLの後、ProGP(FLとG‐CSFの融合タンパク質)に対して、CD8aintcDCが、IL‐12p70の主要な産生源であった。
【0021】
しかしながら、上記の引用文献及び特許出願のいずれも、IFN‐ラムダの源である細胞について手掛かりを提供していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】国際公開第2006/054177号
【特許文献2】国際公開第2009/088401号
【特許文献3】国際公開第2004/060319号
【特許文献4】国際公開第94/28391号
【特許文献5】国際公開第2008/131926号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、ds核酸により誘導されたIFN‐λの主要な産生源であるcDCの特定のタイプを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は次の項目を提供する:
[1]CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)におけるIFN‐λ産生の誘導に使用する二本鎖(ds)核酸又はその類似体を含む組成物であって、前記eCD8+ cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現する組成物。好ましくは、前記従来型cDCはヒトcDCである。
[2]CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞におけるIFN‐λ産生を誘導する医薬組成物の調製のための二本鎖(ds)核酸又はその類似体の使用であって、前記eCD8+ cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現する使用。好ましくは、前記従来型cDCはヒトcDCである。
[3]CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞におけるIFN‐λ産生を、それを必要としている対象において誘導する方法であって、前記eCD8+ cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現し、前記対象に二本鎖(ds)核酸又はその類似体を投与する工程を含む方法。好ましくは、前記従来型cDCはヒトcDCである。
[4]IFN‐λ依存性の疾患の予防及び/又は治療の方法において用いられる、項目[1]の組成物、項目[2]の使用、又は項目[3]の方法。
[5]前記二本鎖(ds)核酸又はその類似体が、生体外において、対象から(単離された)CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)に投与される、項目[1]又は[4]の組成物、項目[2]又は[4]の使用、若しくは項目[3]又は[4]の方法。
[6]CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤が、前記二本鎖(ds)核酸又はその類似体の投与前に、前記単離されたcDCに生体外において投与される、項目[5]の組成物、使用、又は方法。
[7]前記ds核酸が、dsRNA又はdsDNAである、項目[1]〜[6]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[8]前記誘導が、MyD88依存的なTLRから独立している、項目[1]〜[7]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[9]前記誘導が、(アダプター分子である)MyD88から独立している、項目[1]〜[8]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[10]前記誘導が、(Rig様ヘリカーゼのアダプター分子である)Cardifから独立している、項目[1]〜[9]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[11]前記誘導が、TRIFから独立している、項目[1]〜[10]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[12]前記誘導が、TLR‐7及び/又はTLR‐9から独立している、項目[1]〜[11]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[13]前記誘導が、TLR‐3によって媒介される、項目[1]〜[12]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[14]前記誘導が、IRF3及び/又はIRF7によって媒介される、項目[1]〜[13]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[15]前記誘導が、IRF8によって媒介される、項目[1]〜[14]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[16]前記誘導が、IFN‐IRによって媒介される、項目[1]〜[15]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[17]前記組成物がCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を更に含む、項目[1]〜[16]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[18]前記CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞のレベルを増加する薬剤が、Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドである、項目[17]の組成物、使用、又は方法。
[19]前記組成物がds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤を更に含む、項目[1]〜[18]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[20]ds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤が、TLR‐リガンド若しくはTNFファミリーの成員であって、前記TLR‐リガンドが、好ましくは、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、又はTLR11リガンドであって、前記TNFファミリーの成員が、好ましくは、CD40‐リガンド又はサイトカインであって、前記サイトカインが、好ましくは、Flt3‐リガンド、M‐CSF受容体リガンド、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、又はIFN‐γである薬剤である、項目[19]の組成物、使用、又は方法。
[21]二本鎖(ds)核酸又はその類似体と組み合わせてCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を含む、IFN‐λ依存性の疾患の予防及び/又は治療の方法に用いる組成物であって、前記eCD8+ cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現し、
(a)対象に、前記CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を投与すること;及び
(b)対象に、二本鎖(ds)核酸又はその類似体を投与して、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞においてIFN‐λ産生を誘導することを含む組成物。
[22]必要としている対象において、IFN‐λ依存性の疾患の予防及び/又は治療のための方法であって、
(a)対象に、前記CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を投与する工程;及び
(b)対象に、二本鎖(ds)核酸又はその類似体を投与して、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞においてIFN‐λ産生を誘導する工程を含む方法。
[23]CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞のレベルを増加する前記薬剤が、Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドである、項目[21]の組成物、又は項目[22]の方法。
[24]前記IFN‐λ依存性の疾患が、感染症又は癌である、項目[1]〜[23]のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[25]前記IFN‐λ依存性の疾患が、血液、脾臓、肺、扁桃腺、リンパ節、結腸又は肝臓の疾患である、項目[24]の組成物、使用、又は方法。
[26]前記感染症が、ウイルス感染症である、項目[24]又は[25]の組成物、使用、又は方法。
[27]前記ウイルス感染症が、dsRNA又はdsDNAを含むウイルスによる感染症である、項目[26]の組成物、使用、又は方法。
[28]前記ウイルス感染が、持続性のウイルス感染症、好ましくは、肝臓のウイルス感染症又はヘルペスウイルス感染症、より好ましくは、肝炎ウイルス感染症である、項目[26]又は[27]の組成物、使用、又は方法。
[29]IFN‐λを産生する、及び/若しくはIFN‐λ産生CD8+又はeCD8+従来型樹状細胞の集団を生成又は採取するインビトロの方法であって、前記eCD8+ cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現し、
(a)CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞を含む細胞の集団を提供する工程;
(b)前記従来型樹状細胞を、前記従来型樹状細胞のレベルを増加する薬剤と接触させる工程であって、前記薬剤が、好ましくは、Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドである工程;及び
(c)前記従来型樹状細胞を、二本鎖(ds)核酸又はその類似体と接触させる工程を含むインビトロの方法。
[30]前記細胞の集団が、IFN‐λ産生のエンハンサーと共に更に培養される、項目[29]の方法。
[31]前記エンハンサーが、TLR‐リガンド若しくはTNFファミリーの成員であって、前記TLR‐リガンドが、好ましくは、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、又はTLR11リガンドであって、前記TNFファミリーの成員が、好ましくは、CD40‐リガンド、又はサイトカインであって、前記サイトカインが、好ましくは、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、又はIFN‐γである、項目[30]の方法。
[32]項目[29]〜[31]のいずれか一項の方法によって入手可能なIFN‐λ産生ヒトCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞の集団、及び、随意に薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
[33]ヒトCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞を検出又はスクリーニングするインビトロの方法であって、
(a)樹状細胞を含む細胞の集団を提供する工程;
(b)BDCA3+樹状細胞を選択する工程;
(c)前記BDCA3+細胞を、二本鎖(ds)核酸又はその類似体と接触させる工程;
(d)IFN‐λの産生を検出する工程;及び
(e)CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞の存在とIFN‐λの産生を関連づける工程を含むインビトロの方法。
[34]生検、好ましくは臓器又は血液の生検において、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞の存在をスクリーニング又は検出する項目[33]の方法。
[35]cDCを二本鎖(ds)核酸又はその類似体と、生体外で接触させることを含む、(ヒト)従来型樹状細胞(cDC)の集団におけるIFN‐λの産生を誘導する方法。
[36]Flt3‐リガンド及び/又はM‐CSF受容体リガンドで前処理されたcDCが、生体外において前記ds核酸と接触させられる項目[35]の方法。
[37]前記ds核酸の類似体が、ポリIC、ポリAU、ポリICLC、ポリdAaTである前述の項目のいずれか一項の組成物、使用、又は方法。
[38]感染症又は癌、好ましくはウイルス感染症の予防及び/又は治療に用いられるCD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的とする二本鎖(ds)核酸又はその類似体含む組成物。
[39]CD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的とするds核酸又はその類似体、並びにds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤を含む配合剤。
[40]ds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤が、TLR‐リガンド若しくはTNFファミリーの成員であって、前記TLR‐リガンドが、好ましくは、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、又はTLR11リガンドであって、前記TNFファミリーの成員が、好ましくは、CD40‐リガンド又はサイトカインであって、前記サイトカインが、好ましくは、Flt3‐リガンド、M‐CSF受容体リガンド、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、又はIFN‐γである薬剤である、項目[39]の配合剤。
[41]感染症又は癌、好ましくはウイルス感染症を患う対象においてCD8+及び/又はeCD8+ cDCのレベルを増加するのに用いるFlt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンド。
[42]前記ウイルス感染が、持続性のウイルス感染症、好ましくは、肝臓のウイルス感染症又はヘルペスウイルス感染症、より好ましくは、肝炎ウイルス感染症である、項目[38]の組成物又は[41]のFlt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンド。
[43]IFN‐λを産生する、並びに/若しくはIFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCの集団を生成又は採取するインビトロの方法であって、
(a)CD8+及び/又はeCD8+ cDCを含む細胞の集団を提供する工程;
(b)cDCをds核酸又はその類似体と接触させる工程の工程を含むインビトロの方法。
[44]前記細胞の集団が、IFN‐λ産生のエンハンサーと共に更に培養される、項目[43]の方法。
[45]前記エンハンサーが、TLR‐リガンド若しくはTNFファミリーの成員であって、前記TLR‐リガンドが、好ましくは、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、又はTLR11リガンドであって、前記TNFファミリーの成員が、好ましくは、CD40‐リガンド、又はサイトカインであって、前記サイトカインが、好ましくは、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、又はIFN‐γである、項目[44]の方法。
[46]項目[43]〜[45]のいずれか一項の方法によって入手可能なIFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCの集団、及び、随意に薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
[47]ヒトCD8+及び/又はeCD8+ cDCを検出又はスクリーニングするインビトロの方法であって、
(a)細胞の集団を提供する工程;
(b)細胞を、CD8+及び/又はeCD8+ cDCにおいてIFN‐ラムダの産生を刺激又は誘導できるds核酸又はその類似体と接触させる工程;
(c)IFN‐λの産生を検出する工程;及び
(d)CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞の存在とIFN‐λの産生を関連づける工程を含むインビトロの方法。
[48]生検、好ましくは臓器又は血液の生検において、CD8+及び/又はeCD8+ cDCの存在をスクリーニング又は検出する項目[47]の方法。
[49]cDCをds核酸又はその類似体と、生体外で接触させることを含む、cDCの集団におけるIFN‐λの産生を誘導する方法。
[50]Flt3‐リガンド及び/又はM‐CSF受容体リガンドで前処理されたcDCが、生体外において前記ds核酸と接触させられる項目[49]の方法。
【0025】
本明細書において使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、内容から判断して明らかにそうでない場合を除いて複数の対照物を含むことを留意しなければいけない。よって、例えば、「1つの薬剤(an agent)」への参照は、1つ以上のそのような異なる試薬を含み、「その方法(the method)」は、本明細書において記載されている方法を変更又は置換できうる当業者に公知の等価な工程及び方法への参照を含む。
【0026】
本開示に引用された全ての刊行物及び特許はそれら全体が参考により組み込まれる。参照により取り込まれた資料が明細書と矛盾する又は不一致である限りにおいては、明細書がいかなるそのような資料に優先する。
【0027】
特に指示がない限り、一連の要素があとに続く「少なくとも」という用語は、列挙されるリストの全ての要素に言及すると理解される。当業者は、本明細書において記載されている本発明の具体的な実施形態の多くの等価物を理解し、日常的な実験以上のことを行わずに確認することができるであろう。そのような等価物は本発明に包含されることを意図する。
【0028】
本明細書及び付随する特許請求の範囲の全体を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む(comprise)」という用語、並びに「含む(comprises)」及び”「含む(comprising」)などの変形は、1つの規定の完全体又は工程若しくは一群の完全体又は工程の包括を示すのであって、その他の完全体又は工程若しくは一群の完全体又は工程の除外を示すのではないと理解されたい。本明細書において使用する場合、「含む(comprising)」という用語は、「含有する(containing)」という用語によって置換可能であり、本明細書において使用する場合、「有する(having)」という用語によって置換可能なことがある。
【0029】
本明細書において使用する場合、「からなる(consisting of)」は、請求項要素で明確に述べられていない、いかなる要素、工程、又は成分も排除する。本明細書において使用する場合、「から本質的になるconsisting essentially of」は、請求項の基本的で新規な特徴に実質的に影響しない材料又は工程を排除しない。
【0030】
本明細書における各例では、「含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting of)」という用語はどれも、他の2つの用語のいずれかと置き換えられうる。
【0031】
本明細書において記載されている、「好ましい実施形態」とは、「本発明の好ましい実施形態」を意味する。同様に、本明細書において記載されているように、「さまざまな実施形態」及び「別の実施例」とは、それぞれ「本発明のさまざまな実施形態」及び「本発明の別の実施形態」を意味する。
【0032】
幾つかの文献が、本明細書の本文の全体を通して引用されている。本明細書において引用されている各文献(例えば全ての特許、特許出願、科学出版物、製造業者の仕様書、取り扱い説明書など)は、上記又は下記を問わず、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書における一切の内容は、本発明が先行発明を理由としてこうした開示に先行する権利を与えられないことを容認するものとは解釈されない。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、CD8+従来型DC(CD8+ cDC)及びCD8+ cDCの等価物(eCD8+ cDC)において、dsRNAはIFN‐λ産生を誘導するという発見に基づいており、一方で、形質細胞様DC(pDC)が異なる機構によるIFN‐λ産生に関与していることは先行技術において公知である。
【0034】
本願の発明者らは、驚くべきことに、dsRNA又はdsDNAとしてのds核酸類も、ポリICなどの合成ds核酸類似体も、CD8+従来型DC(CD8+ cDC)及びCD8+ cDCの等価物(eCD8+ cDC)において、大量のIFN‐λを誘導するが、pDC又はその他のcDCサブセットにおいては誘導しないことを見いだした。CD8+又はeCD8+ cDCをds核酸又はその類似体と接触させることは、IFN‐ラムダの産生を刺激する。
【0035】
形質細胞様DC(pDC)は、大量のIFN‐アルファ(IFN‐α)をも産生する条件の下で、大量のIFN‐λを産生する。pDCを介するこの産生は、トル様レセプター(TLR)アダプター分子であるMyD88の存在に完全に依存している。幾つかのノックアウトマウスを使って、本発明の発明者らは、合成ds核酸類似体に応答するCD8+ cDCのIFN‐λ産生が、MyD88依存的なTLRから独立しており、TLRのアダプター分子であるMyD88から独立しており、Rig様ヘリカーゼのアダプター分子であるCardifから独立しており、トル様受容体の(TLR)の活性化に応答するインターフェロン‐βを誘導するTIR‐ドメインを含有するアダプター(TRIF)であるTRIFから独立しており、TLR‐7から独立しており、及び/又はTLR‐9から独立していることを示すことができた。
【0036】
TLR‐7はssRNAを認識し、TLR‐9はdsDNAを認識し、一方、TLR‐3はdsRNAを認識する。興味深いことに、ヒト従来型樹状細胞(即ちBDCA3+ 細胞)は、TLR‐9を発現せず、ヒト形質細胞様樹状細胞はTLR‐9を発現する。しかしながら、それでもなお、ヒト従来型樹状細胞はdsDNAを認識することができ、よって、付随する実施例に示されているように、誘導されてIFN‐ラムダを産生する(実施例11を参照のこと)。
【0037】
くわえて、更なるノックアウトマウスの使用により、本発明の発明者らは、IFN‐λ産生はTLR‐3(即ちdsRNAを認識するレセプター)により媒介されることを見いだした。更に、本発明の発明者らは、IFN‐λ産生はIRF3及び/又はIRF7、IRF8及び/又はIFN‐RIにより媒介されることを見いだした。
【0038】
IRF3、IRF7及びIRF8は、インターフェロン調節転写因子(IRF)ファミリーの成員であり、一方、IFN‐RIはI型IFN受容体である。
【0039】
具体的には、本発明において、マウスCD8+及びeCD8+ cDCは、インビトロ及び生体内における、ds核酸(dsRNA又はdsDNA)及びポリICなどの合成ds核酸類似体に応答するIFN‐λの主要な産生源として同定された。刺激の性質及びサイトカイン環境がCD8+ cDCがIFN‐λ又はIL‐12p70産生するかどうかを決定した。生体内におけるポリICに対するIFN‐λは、大部分のDCを欠いているマウスにおいて、Fms関連チロシンキナーゼ3リガンドの欠如のため抑止されたが、IFN‐αの産生はそうではなかった。TLR3は生体内におけるポリICにより誘導されるIFN‐λ産生に関与するが、RLHは関与しないことが示された。また、MyD88依存的なI型IFN産生に必要とされるIRF7も、このIFN‐λ産生に関与することが示された。マウスCD8+DCの等価物であると提案されているBDCA3+ ヒトDCは、ポリIC刺激に際し、最も高いIFN‐λ1及びIFN‐λ2産生を示した。マウス及びヒトCD8+ cDC等価物が、ds核酸(dsRNA又はdsDNA)及びポリICなどの合成ds核酸類似体に応答するIFN‐λの主要な源として同定された。
【0040】
試験した全ての種の中では、樹状細胞は、血液、皮膚、及び全リンパ器官中に存在する稀な細胞である。例えば、脾臓において、それらは全脾細胞のわずか約1%を占めるのみである。しかし、これら稀な細胞が正常な免疫応答に非常に重要であることは明らかである。DC枯渇マウスは、ウイルス感染(Ciavarraら,2006)、寄生虫感染(Jungら,2002;Liuら,2006a)、及び細菌感染(Jungら,2002)に対して、欠陥のある免疫応答を示す。
【0041】
大部分のDCサブタイプの広範な研究は、マウス系で実施されている。あらゆるマウスリンパ器官及び血液内では、DCの2つの異なる種類、すなわち従来型DC(cDC)及び形質細胞様DC(pDC)があることが明らかである。同じ状況がヒトを含めてその他の哺乳類種に存在する。したがって、本発明のCD8+及びeCD8+ cDCは、表現型、機能及び起源により更に分けられることができる。ネズミ脾臓内で、3つの主要なcDCサブセットが定義された(表1を参照のこと)。CD8‐アルファ(CD8α)分子及びCD4分子の選択的な発現に基づいて、それらは、CD8+DC(CD8pos、CD4neg)、CD4+ DC(CD8neg、CD4pos)及び二重陰性DN‐DC(CD8neg、CD4neg)と命名されている。
【0042】
表1.脾臓cDCサブセット細胞表面上における選択された分子の差異のある発現
【0043】
【表1】

【0044】
本発明のCD8+及びeCD8+ cDCは、上記の表1に従って選択された分子の差異のある発現によって更に特徴付けることができる。とりわけ、表1がマウス分子を提供するのみである場合、必要ならば当業者は脾臓cDCサブセットの細胞表面上にヒト対応分子を容易に見つけることができ、逆もまた同様であろう。
【0045】
表現型の差異にくわえて、幾つかの機能的な違いが同定されており、例えばCD8+DCは主要な交差提示細胞であり、主要なIL‐12p70産生源であり、TLR3を介してdsRNAに応答することができる。対照的に、それらはssRNA受容体であるTLR7及びRIG‐Iを欠いているため、ssRNAに対して応答することができない。
【0046】
pDCは、CpG‐DNA又はセンダイウイルス(SeV)に応答してIFN‐λを産生することが知られているが、本願の発明者らは、驚くべきことに、CD8+ cDCは、dsRNAに応答するIFN‐λの唯一の産生源であることを見いだした。
【0047】
動物からのDCサブセットの単離以外に、DCサブセットは、Flt3‐リガンド(又はM‐CSF受容体リガンド)を利用して、マウス骨髄前駆体をcDC及びpDCへ進めることによって生成することができる(Braselら,2000;Brawandら,2002;Gillietら,2002;Hochreinら,2002;Fanckeら,2008)。これらの系は多数の未成熟cDC及びpDCを生成し、特にマウスpDCを定義するのに役立っている。
【0048】
Flt3‐リガンド培養中のDCのサブセット:pDC及びcDCサブセットは、表面マーカーを用いて以下のように定義される:
pDC:CD11Cpos、CD11blow、B220high、CD45RAhi、CD24low、Sirp‐αpos
CD8neg DCのcDC等価物(eCD8neg DC):CD11cpos、CD11bhigh、B220neg、CD45RAneg、CD24low、Sirp‐αpos
CD8+DCのcDC等価物(eCD8+DC): CD11cpos、CD11blow、B220neg、CD45RAneg、CD24high、Sirp‐αneg
【0049】
CD8+及びeCD8+ cDCはIFN‐λの主要な産生源であるという発見によって、この特徴を、異なる臓器の異なる混合細胞集団中でCD8+及び/又はeCD8+ cDCを同定するために使用することができる。
それらの混合集団中において、IFN‐λ産生はCD8+及び/又はeCD8+ cDCの存在に対応し、よって、それらが産生するそれら特有のサイトカインを介してeCD8+ cDCの存在を検出することができる。
【0050】
定義
本発明において、IFN‐λは、IFN‐λ1、IFN‐λ2、又はIFN‐λ3であることができ、それらは、それぞれIL‐29、IL‐28A及びIL‐28Bとも称される。
【0051】
本発明において、「ds」という用語は、「二本鎖(double‐strand)」及び「二本鎖(double‐stranded)」という用語にそれぞれ等しく使用される。同様に、「ss」という用語は、「一本鎖(single‐strand」及び「一本鎖(single‐stranded)」という用語に等しく使用される。ds核酸は、dsRNA及びdsDNAの両方を含む。
【0052】
ポリICは、1つの鎖がイノシン酸のポリマーで、もう1つの鎖がシチジル酸のポリマーである、不一致なdsRNAである。ポリICは、合成二本鎖RNAであり、よってdsRNAの合成類似体とすることができる。ポリICは免疫系の科学研究にとって普通の道具である。好ましい実施形態では、本発明によるds核酸又はその類似体はポリICである。しかしながら、TLR3を介してのみ独占的にシグナル伝達する合成dsRNAであるポリアデニル酸‐ポリウリジル酸(ポリAU)のように、更なるds核酸類合成類似体は等しく本発明に好適である(Wangら,2002)。同様に、等しく好適であるのは、カルボキシメチルセルロース及びポリL‐リジンと複合されたポリICであるポリ(ICLC)(Longhiら,2009)、又はリポソームと複合されたポリ(dA‐dT)ポリ(dA:dT)の合成dsDNAであるポリ(dA:dT)(Ishiiら,2006)である。Wangら(2002)、Longhiら(2009)及びIshiiら(2006)に記載されている更なるds核酸類の合成類似体は、本発明に等しく好適なds核酸類合成類似体として、参照により本明細書に組み込まれる。また好適なのは、トランスフェクションする試薬と組み合わせて提供されうる、人工dsオリゴヌクレオチド(センス及びアンチセンス)である。
【0053】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容可能な希釈剤又は担体」という表現は、薬剤の活性化合物と共投与することができ、活性化合物がその示された機能を果たすことができる物質を含むことを意図している。そのような担体の例としては、溶液、溶媒、分散媒質、遅延薬剤、エマルションなどが挙げられる。そのような薬学的活性成分物質のための媒質の使用は、当分野で周知である。本発明に使用に好適なその他の従来の担体は、本発明の範囲に包含される。
【0054】
本発明においては、「有効量」という用語は、所望の効果、特に医学及び/又は生物学的な効果を実現するのに必要又は十分である量を意味する。
【0055】
本発明において、CD8+及び/又はeCD8+ cDCにおいてIFN‐ラムダの産生を刺激又は誘導するds核酸又はその類似体は、好ましくは、その類似体を含むdsDNA又はdsRNAである。好適なdsDNAは、例えばミトコンドリアDNA、プラスミドDNA、ウイルスDNA又は胸腺DNAなどの、原核生物又は真核生物又はウイルス起源でありうるゲノムDNAなどの天然のdsDNAを含みうる。DNAの取り込みを容易にするために、リポソーム、エレクトロポーレーション、ナノ粒子などの強化された取り込みのための方法が用いられうる。
【0056】
1つの実施形態では、本発明によるds核酸又はその類似体は、dsDNAウイルス、dsRNAウイルス又はssRNAウイルスによって提供される。
その類似体を含む本発明によるdsRNA又はdsDNAは、dsDNAウイルス、dsRNAウイルス、ssDNAウイルス、又はプラス鎖ssRNAウイルスによって提供することができる。よって、1つの実施形態では、本発明によるds核酸の類似体は、ds核酸にプロセスされる又はプロセスされることができるss核酸である。ds核酸の更なる類似体は、ポリIC、ポリAU、ポリICLC、ポリdAdTである。これらの類似体は、本発明の組成物、使用、及び方法において適用されることを想定されている。
【0057】
さまざまな実施形態において、ウイルスは、トガウイルス、フラビウイルス、アストロウイルス、ピコルナウイルス、カリチウイルス、ヘペウイルス、ノダウイルス、アルテリウイルス、又はコロナウイルスなどのプラス鎖ssRNAウイルスである。さまざまな実施形態において、ウイルスはレオウイルス又はビルナウイルスなどのdsRNAウイルスである。さまざまな実施形態において、ウイルスはHIV‐1、HIV‐2、又はSIVなどのレトロウイルスである。さまざまな実施形態において、ウイルスは、アスファウイルス、イリドウイルス、ポリオーマウイルス、乳頭腫ウイルス、パポバウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、又はヘパドナウイルスなどのdsDNAウイルスである。好ましい実施形態では、ウイルスはオルソポックスウイルス又はパラポックスウイルスなどのポックスウイルスである。好ましくは、ポックスウイルスは痘瘡ウイルス、牛痘ウイルス、ラクダ痘ウイルス又はワクシニアウイルスである。特に好ましいのはMVAウイルスである。さまざまな実施形態において、ウイルスは、単純ヘルペスウイルス(HSV1又はHSV2)、水痘帯状疱疹ウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、エプスタイン‐バールウイルス、及びカポジ肉腫関連ヘルペスウイルスなどのヘルペスウイルスである。
【0058】
さまざまな実施形態において、CD8+及び/又はeCD8+ cDCにおいてIFN‐λの産生を刺激するds核酸又はその類似体は、dsDNAウイルス又はssRNAウイルスによって産生される。好ましい実施形態では、ウイルスはポックスウイルス、ヘルペスウイルス、トガウイルス、又はコロナウイルスである。
【0059】
さまざまな実施形態において、本発明によるds核酸又はその類似体は、DC上のトル様受容体(TLR)3を介して認識される。
【0060】
本発明によるDCの単離及び特徴付け
本明細書において使用する場合、「cDC」と略されることもある「従来型樹状細胞」又は「CD8+従来型樹状細胞」という用語は、表面マーカー(分子)の発現などの本明細書において記載されている特徴によって特徴付けられるマウスCD8+従来型樹状細胞を包含する(表1を参照のこと)。
【0061】
CD8は、ヒトcDC上には発現されないが、それでもなお、前記用語はヒト従来型樹状細胞(ヒトcDC)も包含する。ヒトcDCは、本明細書において「マウスCD8+DCの等価物」又は「eCD8+従来型樹状細胞」として特徴付けられることがあり、「eCD8+ cDC」と略されることもある。ヒトcDCは、本明細書において記載されている特徴によって特徴付けられ(例えば表1を参照のこと)、特に、BDCA3抗体によって認識されることによって特徴付けられることができる。特に、BDCA1〜4を指定する抗体のセットが開発されてきており、pDC及びcDCサブセットを識別する(Dzionekら,2000)。BDCA3抗体の認識に基づいて、BDCA3陽性のcDCはマウスCD8+ cDCに対するヒト等価物として提案されている。マウスCD8+DCに共通して、BDCA3陽性のcDCは、高いレベルのClec9a及びNecl2、少量のCD11bを選択的に発現する(Shortmanら,2009)。したがって、以下に詳細に記載されるように、ヒトBDCA3+ cDCもClec9a及び/又はNecl2の発現によって特徴付けられることができる。
【0062】
上記のように、本発明によるeCD8+樹状細胞は従来型DCのサブセットを表し、それに応じて本発明によるeCD8+樹状細胞をeCD8+ cDCと命名する。
【0063】
樹状細胞(DC)は、2つの主要な集団、すなわち(1)非リンパ系組織の遊走及びリンパ組織に存在するDC及び(2)形質細胞様DC(pDC)に分けることができる細胞の異種集団である。「古典的」又は「従来型」DC(cDC)という用語は、リンパ器官に存在するDCをpDCに対置するために近年使用されるようになってきた。他方で、非リンパ系器官DCは主として組織DCと呼ばれている。非リンパ系組織DCもpDCと異なり、初期の非リンパ系組織DCは遊走してリンパ節に見いだすことができ、cDCはそうではないが、cDCという用語は、リンパ系組織又は非リンパ系組織に存在しようとしまいが全ての非pDCを指す。
【0064】
本発明の文脈において、CD8+樹状細胞は、その成長が、GM‐CSFに依存しない、従来型、非形質細胞様樹状細胞として定義される。1つの実施形態では、本発明による樹状細胞は、実施例2のように単離される。1つの実施形態では、樹状細胞は実施例5のように単離される。
【0065】
本発明においては、前駆体細胞はインビトロ及び生体内においてCD8+及び/又はeCD8+ cDC形成を強化する薬剤と培養されることができる。好ましい実施形態では、CD8+及び/又はeCD8+ cDC形成を強化する薬剤は、Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドである。Flt3‐リガンドの添加は、CD8+又はeCD8+ cDCの数を30倍以上増加することができる。CD8+又はeCD8+ cDCを増加するためのFlt3‐リガンドの投与は、IFN‐ラムダの産生を増加するためのds核酸又はその類似体を使ったCD8+又はeCD8+ cDCの刺激と組み合わせることができる。
【0066】
更に、本発明によれば、前駆体細胞は、サイトカインと培養されることができる。好ましくは、サイトカインは、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、及びIFN‐γからなるグループから選択される。
【0067】
1つの実施形態では、本発明による樹状細胞はCD8に対する抗体を使用して単離される。1つの実施形態では、樹状細胞はBDCA3に対する抗体を使用して単離される。さまざまな実施形態において、本発明による樹状細胞はClec9A及び/又はNecl2に対する抗体を使用して単離される。さまざまな実施形態において、樹状細胞はClec9A及び/又はNecl2及び/又はCD205に対する抗体を使用して単離される。さまざまな実施形態において、樹状細胞はClec9A及び/又はNecl2及び/又はCD205及び/又はCD11cに対する抗体を使用して単離される。さまざまな実施形態において、樹状細胞はClec9A及び/又はNecl2及び/又はCD205及び/又はCD11c及び/又はCD24に対する抗体を使用して単離される。さまざまな実施形態において、樹状細胞はClec9A及び/又はNecl2及び/又はCD205及び/又はCD11c及び/又はCD24及び/又はCD11bに対する抗体を使用して単離される。さまざまな実施形態において、樹状細胞はClec9A及び/又はNecl2及び/又はCD205及び/又はCD11c及び/又はCD24及び/又はCD11b及び/又はCD172aに対する抗体を使用して単離される。さまざまな実施形態において、樹状細胞はClec9A及び/又はNecl2及び/又はCD205及び/又はCD11c及び/又はCD24及び/又はCD11b及び/又はCD172a及び/又はMHC‐IIに対する抗体を使用して単離される。さまざまな実施形態において、樹状細胞はClec9A及び/又はNecl2及び/又はCD205及び/又はCD11c及び/又はCD24及び/又はCD11b及び/又はCD172a及び/又はMHC‐II及び/又はCD103に対する抗体を使用して単離される。
【0068】
本発明によるcDCの単離は、陰性又は低発現表面抗原と合わせて陽性発現表面抗原に基づくことができる。eCD8+細胞に高発現する表面マーカーは、Clec9A、Necl2、CD8、CD103、CD24、CD205、CD36、CD97、CD162、MHC‐I、MHC‐II、CD11c、及びBDCA3(=CD141)であり、一方で、その他の免疫細胞から同様にDCサブセットを識別するために使用されることができる陰性又は低発現表面抗原は、BDCA1(=CD1c)、BDCA2、BDCA4、CD3、CD11b、CD14、CD19、CD20、CD45R、CD45RA、CD172a、PDCA1、BST2、及びF4/80抗原である。
【0069】
CD8+ cDCは、明らかに機能的に異なったDCサブセットである。しかしながら、これら機能的属性は、必ずしもCD8の発現に対応しているとは限らないことがある。よって、CD8分子とは別に、その他の表面マーカーの組み合わせは、CD8+ cDC又はCD8発現を欠きうるそれらの機能的な等価物(eCD8+)を特徴付けるのに使用されることができる。CD11c+ MHCクラスII highの細胞の中で、陰性又は低発現のCD11b及びCD172aを伴う、高発現のCD205、CD103、Necl2、Clec9a、CD24のさまざまな組合せが、本明細書において前述のように使用されることができる。よって、さまざまな実施形態において、本発明によるCD8+及びeCD8+樹状細胞は、上記のように陰性又は低発現表面抗原と合わせて、陽性発現表面抗原によって特徴付けられる。更に、さまざまな実施形態において、本発明によるCD8+及びeCD8+樹状細胞は、上記のように高発現表面マーカーによって特徴付けられる。好ましい実施形態では、本発明によるCD8+及びeCD8+樹状細胞は高発現のClec9Aを有する。別の好ましい実施形態では、本発明によるCD8+及びeCD8+樹状細胞は高発現のNecl2を有する。更により好ましい実施形態では、本発明によるCD8+及びeCD8+従来型樹状細胞は高発現のClec9A及び/又はNecl2を有する。
【0070】
本発明によるさまざまな実施形態では、本発明によるCD8+及びeCD8+ cDCはヒトBDCA3+樹状細胞である。
【0071】
本発明によるさまざまな実施形態では、CD8+及び/又はeCD8+ cDCは高発現のClec9A及び/又はNecl2を有する。高発現のClec9a及びNecl2は、共に参照により本明細書に組み込まれるHochreinら(2008)及びShortmanら(2009)に記載の通り検出されることができる。
【0072】
治療への適用
第1の態様では、本発明は、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)におけるIFN‐λ産生の誘導に使用する二本鎖(ds)核酸又はその類似体を含む組成物であって、前記eCD8+ cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現する組成物を提供する。
【0073】
第2の態様では、本発明は、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)におけるIFN‐λ産生を誘導する医薬組成物の調製のための二本鎖(ds)核酸又はその類似体の使用であって、前記eCD8+ cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現する使用を提供する。
【0074】
第3の態様では、本発明は、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)におけるIFN‐λ産生を、それを必要としている対象において誘導する方法であって、前記eCD8+ cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現し、前記対象に二本鎖(ds)核酸又はその類似体を投与する工程を含む方法を提供する。
【0075】
IFN‐λは、抗ウイルス、抗腫瘍及びさまざまな免疫調節機能を有する(Liら,2009)。従って、本発明によるIFN‐λを産生するcDCは、潜在的な抗ウイルス、抗腫瘍及び/又は免疫調節機能を有する。これらの機能のいずれも、INF‐λ依存性の疾患、即ち、INF‐λを使った治療が、そのような疾患を患う対象に有益である疾患の予防及び/又は治療に使用されることができる。IFN‐λ依存性の疾患は、感染症又は癌であることができる。
【0076】
幾つかの実施形態では、IFN‐λ依存性の疾患は、血液、脾臓、肺、扁桃腺、リンパ節、結腸又は肝臓の疾患である。本明細書において記載されているように、cDCは、特に血液、脾臓、扁桃腺、リンパ節及び/又は肝臓に存在する。従って、これらの場所において、cDCが感染症の病原体と戦うために抗ウイルス及び/又は免疫調節活性を発揮するようにIFN‐λの産生源を有することは、非常に有益であると考えられる。感染症はウイルス感染症でありうる。ウイルス感染症は、そのゲノムか複製中間体かのいずれかとしてdsRNA又はdsDNAを含むウイルスによって引き起こされうる。
【0077】
幾つかの好ましい実施形態では、ウイルス感染症は、本明細書において記載されているものであり、より好ましくは、持続性のウイルス感染症、更により好ましくは、肝臓のウイルス感染症又はヘルペスウイルス感染症、特に好ましくは、肝炎ウイルス感染症である。上記のように、cDCは肝臓に存在し、よって、IFN‐λの産生を感染症が進行する場所に直接誘導することは好都合である。
【0078】
同様に、IFN‐λは、免疫調節活性を発揮すると仮定され、それによって肝癌細胞などの癌細胞を認識及び攻撃/消滅する免疫細胞を活性化する。
【0079】
前述したことを考慮すると、本発明は、感染症、好ましくはウイルス感染症又は癌の予防及び/又は治療のための方法を提供し、その方法は、それを必要としている対象にCD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的とするds核酸又はその類似体を含む組成物を投与することを含む。言い換えれば、本発明は、感染症、好ましくはウイルス感染症又は癌の予防及び/又は治療のための薬剤の製造における、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的とするds核酸又はその類似体を含む組成物の使用を提供する。
【0080】
また、本発明は、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的とするds核酸又はその類似体、並びにds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤を含む配合剤を提供する。
【0081】
幾つかの好ましい実施形態では、二本鎖(ds)核酸又はその類似体は、対象からのCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)に生体外において投与される。前記dDCは単離される、即ち対象から採取されるのが好ましい。前記対象は、好ましくはIFN‐λ依存性の疾患の予防又は治療を必要としている。前記DCは対象から当該技術分野において一般公知の手段及び方法によって採取される。「生体外で(ex vivo)」という用語は、「インビトロで(in vitro)」という用語と互換性があり、人体から離れて制御された環境において行われる行動を意味する。本明細書及び当該技術分野において使用する場合、この用語は多くの場合「培養で(in culture)」という用語と交換可能に使用される。
【0082】
本発明により提供される組成物及び配合剤は、組成物又は配合剤に含まれるds核酸又はその類似体がCD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的としているという点で特徴付けられる。
CD8+又はeCD8+ cDCを標的とするために、それらの細胞におけるIFN‐λ産生のための刺激、即ちds核酸類又はその類似体は、CD8+及びeCD8+ cDCの1つ以上の表面マーカー結合分子とともに担体と連結又は組み込まれうる。CD8+及びeCD8+ cDCに対する表面マーカー結合分子は、例えばCD1d、CD8a、CD11c、CD24、CD36、CD40、CD49f、CD103、CD135、CD141、CD162、CD205、CD207、Necl2、Clec9a、XCR1、TLR10、TLR11、TLR12、及び/又はTLR13に対する抗体でありうる。よって、好ましい実施形態では、本発明により提供された組成物及び配合剤は、CD8+及びeCD8+ cDCの1つ以上の表面マーカー結合分子とともに担体に連結された又は組み込まれたds核酸又はその類似体を含む。
【0083】
他の可能性としては、CD8+ cDC又はeCD8+ cDCによって発現された表面マーカーに対する天然又は人工リガンド、例えば糖脂質(CD1dに対して)、MHC‐I(CD8に対して)、フィブロネクチン(CD11cに対して)、ラミニン(CD49fに対して)、CD62P(CD24に対して)、酸化された低比重リポタンパク質(CD36に対して)、CD40‐リガンド(CD40に対して)、Eカドヘリン(CD103)、Flt3‐リガンド(CD135に対して)、トロンビン(CD141に対して)、Pセレクチン(CD162に対して)、マンノース、N‐アセチルグルコサミン又はフコース含有分子(DEC207に対して)、クラスI拘束性T細胞関連分子(CRTAM)(Necl2に対して)、死細胞(Clec9aに対して)、XCR1‐リガンド(XCR1に対して)、TLR10‐リガンド(TLR10に対して)、トキソプラズマ抗原又はプロフィリン(TLR11に対して)、TLR12‐リガンド(TLR12に対して)、及び/若しくはTLR13リガンド(TLR13に対して)が挙げられる。よって、更に好ましい実施形態では、本発明により提供された組成物及び配合剤は、CD8+ cDC又はeCD8+ cDCによって発現された表面マーカーに対するそのような天然又は人工リガンドとともに担体に連結された又は組み込まれたds核酸又はその類似体を含む。
【0084】
上記のCD8+ cDCに選択的な結合分子は、例えば共有結合、アダプター分子結合複合体(例えばビオチン‐アビジン複合体)、ミクロスフェア、ナノ粒子、ウイルス様粒子及び/又はリポソームへの結合によって、直接的又は間接的に刺激(ds核酸類又はその類似体)につながれうる。
【0085】
本明細書において使用する場合、「CD8+細胞及び/又はeCD8+従来型樹状細胞を標的とする(又はそのいかなる文法上の形態)」ds核酸又はその類似体は、ds核酸類が特定のTLRを介して認識されることも含む。特に、dsRNAはTLR‐3を介して認識され、dsDNAはTLR‐9を介して認識され、及びssRNAはTLR‐7を介して認識される。換言すれば、「標的とする」は、好ましくは、cDCによるdsRNAの認識がTLR‐3により媒介されることを含む。
【0086】
従って、ヒトcDCの場合、ds核酸の認識、特にdsRNAはTLR‐3により媒介され、即ち、ds核酸、特にdsRNAはTLR‐3を介してcDCに標的される。
【0087】
とりわけ、ヒト及びマウスcDCはTLR‐7を発現せず、ヒトcDCはTLR‐9も発現しない。それでもなお、実施例11に示すようにdsDNAはヒトcDCによって認識される。従って、dsDNAは、TLRから独立して、即ちMyD88に依存的なTLR、特に本明細書において記載されているTLR‐7及び/又はTLR‐9から独立して、ヒトcDCに標的されることができる。
【0088】
ds核酸類はまた、Clec9a及び今まで未知の取り込み受容体を介してCD8+及びeCD8+ cDCによって選択的に認識される死細胞とともに適用されうる。インビトロにおけるウイルス感染の後、死細胞及び死にかかっている細胞は、選択的なCD8+及びeCD8+ cDC刺激とともに、死の前の細胞によって生成されるds核酸類の別の標的となる適用であろう。よって、インビトロにおける細胞のウイルス感染は、感染しているウイルスにより提供されるds核酸が詰まっている死細胞又は死にかかっている細胞を提供する。そのような死細胞又は死にかかっている細胞は、選択的にCD8+及び/又はeCD8+ cDCに捕えられ、感染しているウイルスにより提供されるds核酸での刺激によって前記CD8+及び/又はeCD8+ cDCにおけるIFN‐λ産生を引き出す。インビトロにおけるウイルス感染に使用される細胞は、そのような細胞がウイルスのds核酸が詰まっている死細胞又は死にかかっている細胞が投与される対象にとって免疫原性ではない限り、いかなる細胞でもありうる。
【0089】
好ましい実施形態では、本発明による配合剤は、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的とするds核酸又はその類似体及びds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤を含み、前記強化薬剤は、Flt3‐リガンド、M‐CSF受容体リガンド、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、TLR11リガンド、CD40リガンド、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、又はIFN‐γである。本願の発明者らは、CD8+及びeCD8+ cDCはds核酸類及びその他の刺激の組み合わせにより強化された量のIFN‐λを産生し、後者の刺激(例えば、特定のTLRリガンド(図2Aを参照のこと)又はCD40リガンド)自体はIFN‐λ産生を誘導しないことを見いだしたので、ds核酸はIFN‐λ産生をする強化刺激とともに適用されうる。よって、例えばCD40リガンド及びds核酸の連携は、それぞれCD8+ cDC及びeCD8+ cDCを標的とすること、並びにCD8+及び/又はeCD8+ cDC由来のIFN‐λの産生を強化することの両方を達成する。したがって、好ましい実施形態では、それを必要としている対象にCD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的とするds核酸又はその類似体を含む組成物投与することを含む感染症又は癌の予防及び/又は治療のための上記の方法は、ds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤の投与を更に含む。より好ましくは、前記強化薬剤は、Flt3‐リガンド、M‐CSF受容体リガンド、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、TLR11リガンド、CD40リガンド、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4又はIFN‐γである。
【0090】
別の好ましい実施形態では、組成物又は本発明の方法及び使用に適用される組成物は、ds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤を更に含む。
好ましくは、ds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤は、TLR‐リガンド若しくはTNFファミリーの成員であって、そのTLR‐リガンドは、好ましくは、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、又はTLR11リガンドであって、そのTNFファミリーの成員は、好ましくは、CD40‐リガンド又はサイトカインであって、そのサイトカインは、好ましくは、Flt3‐リガンド、M‐CSF受容体リガンド、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、又はIFN‐γである薬剤である。
【0091】
好ましい実施形態では、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)によるds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する前記薬剤は、生体外においてCD8+及び/又はeCD8+ cDCに投与される。投与前に、前記cDCは対象から単離される。
【0092】
別の好ましい実施形態では、組成物又は本発明の方法及び使用に適用される組成物は、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を更に含む。好ましくは、前記薬剤はFlt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドである。言い換えれば、好ましい実施形態では、本発明は感染症又は癌を患う対象においてCD8+及び/又はeCD8+ cDCのレベルを増加するのに使用するためのFlt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドを提供する。
【0093】
好ましい実施形態では、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する前記薬剤は、生体外においてCD8+及び/又はeCD8+ cDCに投与される。投与前に、前記cDCは対象から単離される。
【0094】
例えば、本発明は、感染症又は癌を患う対象においてCD8+及び/又はeCD8+ cDCのレベルを増加する方法又は使用を提供し、それは、それを必要としている対象にCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞のレベルを増加する薬剤投与することを含む。好ましくは、前記薬剤はFlt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドである。
【0095】
Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドは、対象においてCD8+及び/又はeCD8+ cDCのレベルを増加するのに十分である投与量にて対象に適用されるべきである。好ましい実施形態では、M‐CSF受容体リガンドは、M‐CSF又はIL‐34である。感染症又は癌を患う対象においてCD8+及び/又はeCD8+ cDCのレベルを増加する方法のさまざまな実施形態では、ds核酸又はその類似体は、Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドに付加して、対象に投与されることができる。ds核酸又はその類似体の前記付加的投与は、感染症又は癌を患う対象においてIFN‐λの産生を刺激する。
【0096】
cDCは、対象に豊富に存在しないので、対象においてCD8+及び/又はeCD8+ cDCのレベル増加することは有益だろうということを前提に、本発明は、二本鎖(ds)核酸又はその類似体と組み合わせてCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を含む、IFN‐λ依存性の疾患の予防及び/又は治療の方法に用いる組成物であって、前記eCD8+ cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現し、その方法は、
(a)対象に、前記CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を投与すること;及び
(b)対象に二本鎖(ds)核酸又はその類似体を投与して、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞においてIFN‐λ産生を誘導することを含む組成物に関する。
【0097】
工程(a)及び(b)はそれぞれに引き続き実施されることが想定されている。しかしながら、両工程の実施に間隔があってもよい。例えば、IFN‐λ産生のためにcDCが、ds核酸又はその類似体に接触させられる前に、cDCの数が増加するのを待ってもよい。
【0098】
好ましくは、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベル(即ち、数)を増加する薬剤は、対象においてCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞のレベルを増加するのに十分である量で投与される。増加は、前記薬剤が投与されない対象と比較して、cDCの数により測定される。
【0099】
同様に、二本鎖(ds)核酸又はその類似体を、CD8+及び/又はeCD8+ cDCにおいてIFN‐λ産生を誘導するのに十分である量で投与することが好ましい。
【0100】
上記のように、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベル(即ち、数)を増加する前記薬剤は、Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンド又はその両方である。
【0101】
同様に、本発明は、それを必要としている対象において、IFN‐λ依存性の疾患の予防及び/又は治療のための方法であって、
(a)対象に、前記CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を投与する工程;及び
(b)対象に二本鎖(ds)核酸又はその類似体を投与して、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞においてIFN‐λ産生を誘導する工程を含む方法を提供する。
【0102】
別の方法では、工程(a)及び(b)は生体外において実施されることができ、即ち、cDCは対象から単離され、CD8+及び/又はeCD8+ cDCのレベルを増加する薬剤が投与され、続いて、ds核酸又はその類似体が投与され、前記cDCにおいてIFN‐λ産生を誘導する。
【0103】
上記を所与として、本発明はまた、生体外においてcDCをds核酸又はその類似体と接触させることを含む、cDCの集団においてIFN‐λの産生を誘導する方法を提供する。前述のように、前記cDCは、ds核酸又は類似体と接触させる前に、cDCのレベル(数)を増加する薬剤と接触されることが好ましい。特に、生体外におけるFN‐λの前記産生を誘導するために、cDCが対象から採取される。本発明によるcDCの集団においてIFN‐λの産生を誘導する方法では、cDCが採取される対象は、好ましくは、誘導されたcDCを使って大量のIFN‐λを産生する治療を必要としている対象である。よって、対象は、INF‐λ依存性の疾患、好ましくは感染症、好ましくはウイルス感染症又は癌の予防及び/又は治療を必要としている対象でありうる。より好ましくは、cDCは、好ましくは持続性のウイルス感染症、より好ましくは肝臓のウイルス感染症又はヘルペスウイルス感染症、更により好ましくは肝炎ウイルス感染症を患う対象から採取されうる。cDC及び/若しくはds核酸又はその類似体のレベル(数)を増加する薬剤との生体外における培養に続いて、cDCは採集され、治療のため、即ち細胞が採取された対象に再導入されるための適切な媒質に再懸濁される。よって、本発明によるcDCの集団においてIFN‐λの産生を誘導する方法では、cDCは自己cDCであることが好ましい。それを必要としている対象への再導入は、例えば静注のような多くの一般に公知の方法により実施されうる。更に、IFN‐ラムダの産生に誘導されるcDCの集団は、多様な医薬製剤の状態で再導入されうる。
【0104】
述べたように、cDCをds核酸又はその類似体と生体外において接触させることによってIFN‐ラムダを産生するために誘導されるcDCの集団を、それを必要としている対象に投与することができる。したがって、本発明は、cDCをds核酸又はその類似体と生体外において接触させること、及び感染症又は癌を患う対象に導入することを含む、IFN‐λ依存性の疾患、好ましくは感染症又は癌に対する反応を生体内において誘導する方法を提供する。好ましくは、前記cDCは、cDCの数を増加する薬剤と先に接触させられる。言い換えれば、本発明は、前記対象にcDCの集団におけるIFN‐λの産生を誘導する生体外における方法によって生成されるIFN‐λ産生cDCを投与することを含む、IFN‐λ依存性の疾患、好ましくは感染症又は癌の予防及び/又は治療の方法を提供し、前記方法は、cDCをds核酸又はその類似体と生体外において接触させること含む。好ましくは、前記cDCは、cDCの数を増加する薬剤と先に接触させられる。
【0105】
1つの実施形態では、本発明は、(a)感染症又は癌を患う対象を提供すること;(b)前記対象からcDCを採取すること;(c)生体外において前記cDCをds核酸又はその類似体と接触させ、IFN‐λを産生するcDCの集団を生成すること;及び(d)感染症又は癌に対する治療反応を生体内において誘導するように、前記IFN‐λ産生cDCの集団を前記対象に再導入することを含む、感染症又は癌の予防及び/又は治療のための方法を提供する。
【0106】
好ましくは、工程(c)に、工程(b’)、すなわち前記cDCをcDCの数を増加する薬剤と接触させることが先行する。
【0107】
好ましくは、cDCの集団は、対象に再導入する前に洗浄される。別の好ましい実施形態では、IFN‐λ産生cDCの集団はそれを必要としている対象への投与に適した媒質に再懸濁される。IFN‐λ産生cDCの集団は、例えば静注のような多くの周知の方法によって対象に再導入されうる。
【0108】
上記のように、cDCの集団においてIFN‐ラムダの産生を誘導するためにcDCをds核酸又はその類似体と生体内又は生体外において接触させることに関係する及び/又は含む、本発明による全ての実施形態では、好ましくは、cDCのレベル(数)を増加する薬剤で前処理されるcDCは、生体外又は生体内においてds核酸又はその類似体と接触させられ、前記薬剤は、好ましくはFlt3‐リガンド及び/又はM‐CSF受容体リガンドであることが一般に好ましい。例えば、これは、Flt3‐リガンド及び/又はM‐CSF受容体リガンドが、採取されたcDCをds核酸又はその類似体と生体外において接触させることによってIFN‐ラムダの産生を誘導するために、前記対象からcDCを採取する前に、対象に投与されることを意味する。あるいは、Flt3‐リガンド及び/又はM‐CSF受容体リガンドは、対象から採取されたcDCに投与される。
【0109】
例えば、このFlt3‐リガンド及び/又はM‐CSF受容体リガンドでの前処理は、前記前処理されたcDCをds核酸又はその類似体と生体外において接触させるために、そのような前処理されたcDCを前記対象から採取する前に前記対象においてcCDの形成/レベルを増加させることを提供する。
【0110】
cDCの集団においてIFN‐λの産生を誘導するために、cDCを、cDCの数を増加する薬剤及び/若しくはds核酸又はその類似体と生体外において接触させるために対象からcDCを採取することにおいて、対象からcDCを採取/単離する方法は当業者に周知である。本発明において、「対象からcDCを採取する」及び「対象からcDCを単離する」という用語は、同じ意味を有する。
【0111】
cDCの集団においてIFN‐λの産生を誘導するために、cDCを、cDCの数を増加する薬剤及び/若しくはds核酸又はその類似体と生体外において接触させることに関係する及び/又は含む、本発明によるさまざまな実施形態では、対象から採取/単離されたcDCは、TLR2‐、TLR4‐、TLR9‐、TLR10‐、TLR11‐又はCD40‐リガンドと更に培養されることができる。この培養はIFN‐λの発現を増加する。さまざまな実施形態において、リガンドはPam3Cys、LPS、CpG‐ODN、プロフィリン又はCD40‐リガンドである。さまざまな実施形態において、対象から採取/単離されたcDCは、サイトカインと更に培養されることができ、そのサイトカインは、好ましくはIL‐3、GM‐CSF、IL‐4、又はIFN‐ガンマ(IFN‐γ)である。
【0112】
本発明による治療への適用では、感染症は好ましくはウイルス感染症である。より好ましくは、本発明による治療への応用では、ウイルス感染症は持続性のウイルス感染症である。更により好ましくは、持続性のウイルス感染症は、肝臓のウイルス感染症又はヘルペスウイルス感染症である。特に好ましい実施形態では、前記肝臓のウイルス感染症は肝炎ウイルス感染症である。したがって、感染症又は癌の予防及び/又は治療する方法、並びに感染症又は癌を患う対象においてCD8+及び/又はeCD8+ cDCのレベルを増加する方法では、好ましくは、ウイルス感染症は、持続性のウイルス感染症であり、より好ましくは、肝臓のウイルス感染症又はヘルペスウイルス感染症であり、更により好ましくは、肝炎ウイルス感染症である。本発明において、肝炎ウイルス感染症は、A型肝炎ウイルス感染症、B型肝炎ウイルス感染症、C型肝炎ウイルス感染症、D型肝炎ウイルス感染症及びE型肝炎ウイルス感染症を含み、好ましくは、その肝炎ウイルス感染症はC型肝炎ウイルス感染症である。別の好ましい実施形態では、本発明における持続性のウイルス感染症はレトロウイルス感染症である。
【0113】
本発明による対象は、動物及びヒトを含む。本発明においては、「対象」は、ヒト、又はイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリ、サル、ラット、及びマウスなどの脊椎動物を意味するものとする。本発明によるさまざまな実施形態では、対象は、好ましくはヒトであり、eCD8+ cDCはヒトBDCA3+ cDCである。
【0114】
本発明のさまざまな好ましい実施形態では、癌を患う対象は、腫瘍疾患を患う対象である。好ましくは、腫瘍疾患は、上皮性悪性腫瘍、即ち対象における上皮細胞又は上皮組織の癌又は腫瘍である。好ましくは、上皮性悪性腫瘍は扁平上皮癌又は腺癌である。より好ましくは、上皮性悪性腫瘍は肺扁平上皮癌である。
【0115】
上記組成物、使用及び方法並びに治療への応用では、ds核酸は単独又は1つ以上のその他の抗癌又は抗腫瘍治療的な使用及び方法と組み合わせて使用されることができ、そのような治療的な使用及び方法は、好ましくは抗腫瘍化学療法及び免疫治療から選択される。よって、本発明によるCD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的とする、即ちCD8+又はeCD8+ cDCにおいてIFN‐λ産生を刺激又は誘導することができるds核酸又はその類似体は、化学療法又は免疫治療の投与の前、同時又は後に投与されることができ、次の化学療法又は免疫治療に対する悪性細胞の応答を増加する。
【0116】
また、本発明により提供されるのは、前記対象にCD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的とするds核酸又はその類似体を投与することを含む、対象におけるIFN‐ラムダの産生のための方法である。
【0117】
また、本発明は、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを標的とするds核酸又はその類似体、並びにds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤を含む配合剤を提供する。好ましい実施形態では、ds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤は、Flt3‐リガンド、M‐CSF受容体リガンド、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、TLR11リガンド、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4又はIFN‐γである。
【0118】
好ましい実施形態では、治療への応用に使用されるds核酸又はその類似体はdsDNA又はdsRNAである。より好ましくは、本発明によるds核酸又はその類似体は、dsDNAウイルス、dsRNAウイルス、ssRNAウイルス、又はプラス鎖ssRNAウイルスによって提供される。
よって、1つの実施形態では、ds核酸の類似体は、ds核酸にプロセスされる又はプロセスされることができるss核酸である。
【0119】
IFN‐λを産生する、並びに/若しくはIFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCの集団を生成又は採取する方法
本発明は、IFN‐λを産生する、並びに/若しくはIFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCの集団を生成又は採取する方法であって、(a)CD8+及び/又はeCD8+ cDCを含む細胞の集団を提供する工程;(b)cDCをds核酸又はその類似体と接触させる工程を含む方法を提供する。cDCをds核酸又はその類似体と接触させることは、IFN‐ラムダの産生を刺激する。さまざまな好ましい実施形態では、前記細胞の集団は、IFN‐λ産生のエンハンサーと培養される。より好ましくは、前記エンハンサーは、TLR‐リガンド又はTNFファミリーの成員である。更により好ましくは、TLR‐リガンドは、TLR2‐、TLR4‐、TLR9‐、TLR10‐又はTLR11‐リガンドであり、TNFファミリーの成員はCD40リガンド又はサイトカインである。なお一層好ましくは、サイトカインはIFN‐γである。例えばポリICなどのds核酸又はその類似体と例えばCpG‐1668などの免疫刺激性CpG DNAの組み合わせは、相乗的にCD8+ cDCよる更に大量のIFN‐λを誘導する。
【0120】
上記のIFN‐λを産生する方法、並びに/若しくはIFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCの集団を生成又は採取する方法のさまざまな実施形態では、細胞の集団は、サイトカインと更に培養される。好ましくは、サイトカインは、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、及びIFN‐γからなるグループから選択される。
【0121】
更に別の実施形態では、本発明は、IFN‐λを産生する、及び/若しくはIFN‐λ産生CD8+又はeCD8+従来型樹状細胞の集団を生成又は採取するインビトロの方法であって、前記eCD8+ cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現し、
(a)CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞を含む細胞の集団を提供する工程;
(b)前記従来型樹状細胞を、前記従来型樹状細胞のレベルを増加する薬剤、好ましくは、Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドと接触させる工程;及び
(c)前記従来型樹状細胞を、二本鎖(ds)核酸又はその類似体と接触させる工程を含むインビトロの方法を提供する。
【0122】
前記接触は、例えば、前記従来型樹状細胞のレベルを増加する薬剤、及び/又は二本鎖(ds)核酸又はその類似体で被覆された袋(bag)に、前記cDCを採集するによって達成されうる。あるいは、前記接触は、前記cDCを培養することによって実施されうる。
【0123】
好ましくは、細胞の集団は、IFN‐λ産生のエンハンサーと更に培養される。前記エンハンサーは、好ましくはTLR‐リガンド若しくはTNFファミリーの成員であって、そのTLR‐リガンドは、好ましくは、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、又はTLR11リガンドであって、そのTNFファミリーの成員は、好ましくは、CD40‐リガンド、又はサイトカインであって、そのサイトカインは、好ましくは、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、又はIFN‐γである。
【0124】
さまざまな好ましい実施形態では、上記の方法は、ds核酸により刺激されたcDCによって産生されたIFN‐λを同定及び/又検出する工程を更に含む。さまざまな好ましい実施形態では、上記の方法は、ds核酸によって刺激されたcDCにより産生されたIFN‐λを単離及び/又分離する工程を更に含む。その他の好ましい実施形態では、上記の方法は、IFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCを同定及び/又は単離及び/又は分離する工程を更に含む。
【0125】
CD8+及び/又はeCD8+ cDCによって産生されたIFN‐λは、実施例中のものなどの当該技術分野において周知の技術によって検出及び定量化されることができる。本発明においてcDCによって産生されたIFN‐λは、従来の生化学的技術によって収集、単離、及び精製されることもできる。
【0126】
よって、本発明は、本発明によるcDCの集団においてIFN‐ラムダの産生を誘導する方法によって入手可能なIFN‐λ産生cDCの集団、及び前記IFN‐λ産生cDCの集団を含む医薬組成物を提供する。前記cDCは、好ましくはヒトcDCである。
【0127】
好ましくは、前記IFN‐λ産生cDCの集団は、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%を超えるCD8+及び/又はeCD8+ cDCを含有する。さまざまな好ましい実施形態では、cDCは、好ましくはヒトBDCA3+ cDCである。1つの実施形態では、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを含む細胞の集団は、50%を超えるeCD8+ cDCを含む。別の実施形態では、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを含む細胞の集団は、75%を超えるeCD8+ cDCを含む。更に好ましい実施形態では、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを含む細胞の集団は、85%を超えるeCD8+ cDCを含む。
【0128】
1つの実施形態では、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを含む細胞の集団は、50%を超えるヒトBDCA3+ cDCを含む。別の実施形態では、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを含む細胞の集団は、75%を超えるヒトBDCA3+ cDCを含む。更に好ましい実施形態では、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを含む細胞の集団は、85%を超えるヒトBDCA3+ cDCを含む。
【0129】
上記のように、本発明は、上記のIFN‐λ産生CD8+又はeCD8+ cDCの集団を生成又は採取する方法によって入手可能な、IFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCの集団若しくはIFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCの細胞系を提供する。更に、本発明は、上記のIFN‐λ産生CD8+又heCD8+ cDCの集団を生成又は採取する方法によって入手可能な、IFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCの集団を含む医薬組成物を提供する。さまざまな好ましい実施形態では、前記医薬組成物は、随意に薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を更に含む。
【0130】
CD8+及びeCD8+ cDCを検出又はスクリーニングする方法
例えばポリICなどのds核酸又はその類似体に応答するIFN‐λ産生は、異なる細胞の複雑な混合物中であっても、eCD8+ cDCの量が非常に少ない場合であっても、eCD8+ cDCの存在を検出、診断、スクリーニングするために使用することができる(図3Aを参照のこと)。IFN‐λは、細胞のCD8+及び/又はeCD8+サブセットを見つけるためのマーカーとして使用することができ、よって、例えばCD8+及び/又はeCD8+ cDCの量を増加することが望ましい場合などの特定の状況において標的とすることができる。
【0131】
本発明は、CD8+及び/又はeCD8+ cDCの存在を検出又はスクリーニングする方法を包含する。特に、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを検出する又はスクリーニングするインビトロの方法であって、
(a)細胞の集団を提供する工程;
(b)細胞を、CD8+及び/又はeCD8+ cDCにおいてIFN‐ラムダの産生を刺激又は誘導できるds核酸又はその類似体と接触させる工程;
(c)IFN‐λの産生を検出する工程;及び
(d)CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞の存在とIFN‐λの産生を関連づける工程を含むインビトロの方法を提供する。さまざまな好ましい実施形態では、前記方法は、生検、好ましくは臓器又は血液の生検において、CD8+及び/又はeCD8+ cDCの存在を検出又はスクリーニングする方法である。よって、臓器又は血液の生検は、ds核酸又はその類似体に応答するそれらの特有のIFN‐λ産生を介して、それらの細胞の存在を検査することができる。IFN‐λの産生は、誘導後、極めて一定であるので、例えば対象の体又は細胞培養における特有のCD8+及び/又はeCD8+ cDCの量を定量することができる。よって、CD8+及び/又はeCD8+ cDCの量が増加又は減少する状態を検出/診断及び決定することができる。
【0132】
さまざまな実施形態において、CD8+及び/又はeCD8+ cDCを検出又はスクリーニングする方法は、IFN‐λ産生CD8+及び/又はeCD8+ cDCを分離及び/又は単離する工程を更に含む。方法は、前記分離及び/又は単離されたIFN‐λ産生cDCからのIFN‐λ産生を測定することを更に含みうる。
【0133】
CD8+及び/又はeCD8+ cDCによって産生されたIFN‐λは、実施例にあるものなどの当該技術分野において周知の技術によって検出及び定量化されることができる。本発明において樹状細胞によって産生されたIFN‐λは、従来の生化学的技術によって収集、単離、及び精製することもできる。
【0134】
更なる態様では、本発明は、ヒトCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞を検出又はスクリーニングするインビトロの方法であって、
(a)ヒト樹状細胞を含む細胞の集団を提供する工程;
(b)BDCA3+樹状細胞を選択する工程;
(c)前記BDCA3+細胞を、二本鎖(ds)核酸又はその類似体と接触させる工程;
(d)IFN‐λの産生を検出する工程;及び
(e)CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞の存在とIFN‐λの産生を関連づける工程を含むインビトロの方法に関する。
【0135】
好ましい実施形態では、工程(c)に、(b’)、すなわち前記BDCA3+細胞を前記BDCA3+細胞の数を増加する薬剤と接触させる工程が先行しうる。より多くのIFN‐λを産生することができるより多くのBDCA3+細胞が存在すると思われるので、前記工程(b’)は、IFN‐λ産生の検出を増幅するのに役立ちうる。
【0136】
好ましくは、前記方法は、生検、好ましくは臓器又は血液の生検において、ヒトCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞の存在をスクリーニング又は検出するためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】脾臓のCD8+ cDCがポリICに応答するIFN‐λの主要な産生源であることを示す。高度に精製された脾臓のcDCサブセット、5×10/mLを、例に示されている刺激を使って、IL‐3及びGM‐CSFの存在下において刺激した。18時間後、上清をIFN‐λについて分析した。3回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図2A】CD8+ cDCによるIFN‐λ又はIL‐12p70の産生が、刺激及びサイトカイン条件に依存することを示す。分取した脾臓のCD8+ cDC、5×10/mLを刺激し、18時間後、上清をIFN‐λ及びIL‐12p70について分析した。(A)IL‐3及びGM‐CSFの存在下における、示されている刺激での刺激。(B)ポリIC+CpG‐1668とサイトカインの組み合わせでの刺激。(C)IL‐3+IL‐4+IFN‐γ+GM‐CSFの存在下における、示されている刺激での刺激。少なくとも2回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図2B】CD8+ cDCによるIFN‐λ又はIL‐12p70の産生が、刺激及びサイトカイン条件に依存することを示す。分取した脾臓のCD8+ cDC、5×10/mLを刺激し、18時間後、上清をIFN‐λ及びIL‐12p70について分析した。(A)IL‐3及びGM‐CSFの存在下における、示されている刺激での刺激。(B)ポリIC+CpG‐1668とサイトカインの組み合わせでの刺激。(C)IL‐3+IL‐4+IFN‐γ+GM‐CSFの存在下における、示されている刺激での刺激。少なくとも2回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図2C】CD8+ cDCによるIFN‐λ又はIL‐12p70の産生が、刺激及びサイトカイン条件に依存することを示す。分取した脾臓のCD8+ cDC、5×10/mLを刺激し、18時間後、上清をIFN‐λ及びIL‐12p70について分析した。(A)IL‐3及びGM‐CSFの存在下における、示されている刺激での刺激。(B)ポリIC+CpG‐1668とサイトカインの組み合わせでの刺激。(C)IL‐3+IL‐4+IFN‐γ+GM‐CSFの存在下における、示されている刺激での刺激。少なくとも2回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図3A】FLが生体内においてIFN‐λの産生に関与することを示す。(A)単離した全ての非実質肝細胞、2.5×10/mLを、IL‐3+IL‐4+IFN‐γ+GM‐CSFの存在下において、示されている刺激で刺激した。18時間後、上清をIFN‐λ及びIL‐12p70について分析した。3回の実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。(B)野生型及びFL‐KOマウスに100μgのポリICを静注した。3〜4時間後、血清をIFN‐λ及びIFN‐αについて分析した。丸は個々のマウスの結果を表し、柱はそれらの平均値を表す。
【図3B】FLが生体内においてIFN‐λの産生に関与することを示す。(A)単離した全ての非実質肝細胞、2.5×10/mLを、IL‐3+IL‐4+IFN‐γ+GM‐CSFの存在下において、示されている刺激で刺激した。18時間後、上清をIFN‐λ及びIL‐12p70について分析した。3回の実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。(B)野生型及びFL‐KOマウスに100μgのポリICを静注した。3〜4時間後、血清をIFN‐λ及びIFN‐αについて分析した。丸は個々のマウスの結果を表し、柱はそれらの平均値を表す。
【図4】生体内において、TLR3、IFN‐AR及びIFR7は、ポリICに対するIFN‐λ産生に関与するが、MyD88もCardifもそれに関与しないことを示す。示されている遺伝子型をもつマウスに100μgのポリICを静注した。3〜4時間後、血清をIFN‐λ及びIFN‐αについて分析した。丸は個々のマウスの結果を表し、柱はそれらの平均値を表す。
【図5】ヒトBDCA3+cDCがポリIC刺激に際するIFN‐λの主要な産生源であることを示す。PBMC、BDCA1及び3を枯渇したPBMC、若しくはBDCA1又はBDCA3について選択した細胞を、IL‐3、GM‐CSF、及びIFN‐γの存在下において、(ドナー1)100μg/mLのポリIC+10μg/mLのPam3Cys+10μg/mLのLPS、又は(ドナー2及び3)100μg/mLのポリICで、18〜24時間刺激した。上清をIFN‐λ1及びIFN‐λ2について分析した。各々のドナーに関して実験を示し、データは二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図6】脾臓のCD8+ cDCがDNAウイルスに応答するIFN‐λの主要な産生源であることを示す。高度に精製された脾臓のcDCサブセット、5×10/mLを、示されている刺激を使って、IL‐3及びGM‐CSFの存在下において刺激した。18時間後、上清をIFN‐λについて分析した。3回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図7】脾臓のCD8+ cDCはssRNAウイルスに応答するIFN‐λの主要な産生源であることを示す。高度に精製された脾臓のcDCサブセット、5×10/mLを、示されている刺激を使って、IL‐3及びGM‐CSFの存在下で刺激した。18時間後、上清をIFN‐λについて分析した。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図8】脾臓pDCがCpG‐2216に対して大量のIFN‐λを産生することを示す。高度に精製された脾臓のpDC、5×10/mLを、示されている刺激を使って、IL‐3及びGM‐CSFの存在下において刺激した。18時間後、上清をIFN‐λについて分析した。3回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図9A】分取したFLDCに由来するeCD8+ cDCが、ポリICに対するIFN‐λの主要な産生源であることを示す。分取したFLDCサブセット、2.5×10/mLを18時間刺激し、上清をIFN‐λ及びIL‐12p70について分析した。(A)IL‐4及びIFN‐γの存在下において、示されている刺激で刺激した。(B)ポリIC+CpG‐1668の存在下、サイトカインで刺激した。2回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図9B】分取したFLDCに由来するeCD8+ cDCが、ポリICに対するIFN‐λの主要な産生源であることを示す。分取したFLDCサブセット、2.5×10/mLを18時間刺激し、上清をIFN‐λ及びIL‐12p70について分析した。(A)IL‐4及びIFN‐γの存在下において、示されている刺激で刺激した。(B)ポリIC+CpG‐1668の存在下、サイトカインで刺激した。2回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図10A】TLR3及びIFN‐ARはFLDCに由来するeCD8+ cDCによるポリICに対するIFN‐λ産生に関与するが、MyD88もCardifもそれに関与しないことを示す。示されているマウスから分取したFLDC eCD8+、5×10/mLを、18時間刺激し、上清をIFN‐λについて分析した。(A)IL‐4及びIFN‐γの存在下において、ポリICで刺激した野生型及びMyD88‐KOeCD8+ DC。(B)IL‐3+IL‐4+IFN‐γ+GM‐CSFの存在下において、ポリICで刺激した野生型及びTLR3‐KOeCD8+ DC。(C)IL‐3及びGM‐CSFの存在下において、ポリIC+CpG‐1668で刺激した野生型及びCardif‐KOeCD8+ DC。(D)IL‐3及びGM‐CSFの存在下において、ポリIC+プロフィリンで刺激した野生型及びIFN‐AR‐KOeCD8+ DC。少なくとも2回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図10B】TLR3及びIFN‐ARはFLDCに由来するeCD8+ cDCによるポリICに対するIFN‐λ産生に関与するが、MyD88もCardifもそれに関与しないことを示す。示されているマウスから分取したFLDC eCD8+、5×10/mLを、18時間刺激し、上清をIFN‐λについて分析した。(A)IL‐4及びIFN‐γの存在下において、ポリICで刺激した野生型及びMyD88‐KOeCD8+ DC。(B)IL‐3+IL‐4+IFN‐γ+GM‐CSFの存在下において、ポリICで刺激した野生型及びTLR3‐KOeCD8+ DC。(C)IL‐3及びGM‐CSFの存在下において、ポリIC+CpG‐1668で刺激した野生型及びCardif‐KOeCD8+ DC。(D)IL‐3及びGM‐CSFの存在下において、ポリIC+プロフィリンで刺激した野生型及びIFN‐AR‐KOeCD8+ DC。少なくとも2回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図10C】TLR3及びIFN‐ARはFLDCに由来するeCD8+ cDCによるポリICに対するIFN‐λ産生に関与するが、MyD88もCardifもそれに関与しないことを示す。示されているマウスから分取したFLDC eCD8+、5×10/mLを、18時間刺激し、上清をIFN‐λについて分析した。(A)IL‐4及びIFN‐γの存在下において、ポリICで刺激した野生型及びMyD88‐KOeCD8+ DC。(B)IL‐3+IL‐4+IFN‐γ+GM‐CSFの存在下において、ポリICで刺激した野生型及びTLR3‐KOeCD8+ DC。(C)IL‐3及びGM‐CSFの存在下において、ポリIC+CpG‐1668で刺激した野生型及びCardif‐KOeCD8+ DC。(D)IL‐3及びGM‐CSFの存在下において、ポリIC+プロフィリンで刺激した野生型及びIFN‐AR‐KOeCD8+ DC。少なくとも2回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図10D】TLR3及びIFN‐ARはFLDCに由来するeCD8+ cDCによるポリICに対するIFN‐λ産生に関与するが、MyD88もCardifもそれに関与しないことを示す。示されているマウスから分取したFLDC eCD8+、5×10/mLを、18時間刺激し、上清をIFN‐λについて分析した。(A)IL‐4及びIFN‐γの存在下において、ポリICで刺激した野生型及びMyD88‐KOeCD8+ DC。(B)IL‐3+IL‐4+IFN‐γ+GM‐CSFの存在下において、ポリICで刺激した野生型及びTLR3‐KOeCD8+ DC。(C)IL‐3及びGM‐CSFの存在下において、ポリIC+CpG‐1668で刺激した野生型及びCardif‐KOeCD8+ DC。(D)IL‐3及びGM‐CSFの存在下において、ポリIC+プロフィリンで刺激した野生型及びIFN‐AR‐KOeCD8+ DC。少なくとも2回の独立した実験の代表的な結果を示す。データは、二連のサンプルの平均値±標準偏差を表す。
【図11A】FL又はM‐CSFの処置で、生体内のIFN‐λの産生を増加することができることを示す。FL‐KOマウスを、1日当たり10μgの組み換えFL(A)又はM‐CSF(B)で、7日連続処置した。成長因子処置の翌日、マウスに100μgのポリICを静注した。3〜4時間後、血清をIFN‐λについて分析した。丸は個々のマウスの結果を表し、柱はそれらの平均値を表す。
【図11B】FL又はM‐CSFの処置で、生体内のIFN‐λの産生を増加することができることを示す。FL‐KOマウスを、1日当たり10μgの組み換えFL(A)又はM‐CSF(B)で、7日連続処置した。成長因子処置の翌日、マウスに100μgのポリICを静注した。3〜4時間後、血清をIFN‐λについて分析した。丸は個々のマウスの結果を表し、柱はそれらの平均値を表す。
【図12】生体内において、ポリAUはFN‐λ産生を誘導するが、IFN‐α産生をしないことを示す。マウスにポリIC(100μg)若しくはポリAU(100又は500μg)を静注した。3〜4時間後、血清をIFN‐λ及びIFN‐αについて分析した。丸は個々のマウスの結果を表し、それらの総数(n)をグラフに示す。柱は使用した全てのマウスの平均値を表す。2回の独立した実験を行った。
【図13】生体内FL増殖CD8α+ cDC及びeCD8α cDCは、インビトロにおいて、ポリAUに対してIFN‐λを選択的に産生することを示す。高度に精製した、FLにより増殖し、生体外において単離した脾臓のcDC、5×10/mLを、IL‐3+GM‐CSF+IL‐4+IFN‐γの存在下において、ポリIC(100μg/mL)又はポリAU(100μg/mL)のいずれかで刺激した。18時間後、上清をIFN‐λについて分析した。
【図14】CD40共刺激は、生体内においてポリICにより誘導されたIFN‐λ産生を強化することを示す。マウスにポリIC(100μg)、抗CD40mAb(100μg)又はポリ+抗CD40(各100μg)の組み合わせを静注した。3〜4時間後、血清をIFN‐λ及びIFN‐αについて分析した。丸は個々のマウスの結果を表し、それらの総数(n)をグラフに示す。柱は使用した全てのマウスの平均値を表す。3回(IFN‐λ)又は2回(IFN‐α)の独立した実験を行った。
【図15】生体内におけるポリICに対するIFN‐λ産生は、IRF3及びIRF7に依存することを示す。示されている遺伝子型をもつマウスに100μgのポリICを静注した。3〜4時間後、血清をIFN‐λ及びIFN‐αについて分析した。丸は個々のマウスの結果を表し、それらの総数(n)をグラフに示す。柱は遺伝子型ごとに全てのマウスの平均値を表す。3回の独立した実験を行った。
【図16】生体内におけるポリICに対するIFN‐λ産生は、造血細胞、FL及びIRF8に依存することを示す。示されている遺伝子型をもつマウスに、100μgのポリICを静注し、3〜4時間後、血清をIFN‐λについて分析した。(A)示されているBM再構成マウス;(B)野生型、IL‐15R‐KO及びRAG1‐KO;(C)野生型及びFL‐KO;(D)野生型及びIRF8‐KO。丸は個々のマウスの結果を表し、それらの総数(n)をグラフに示す。柱は遺伝子型ごとに全てのマウスの平均値を表す。(A)1回(BMキメラ)、(B)2回(野生型及びRAG‐KO)又は1回(IL‐15R‐KO)、(C)3回(野生型及びFL‐KO)、及び(D)2回(野生型及びIRF8‐KO)の独立した実験を実施してきた。
【図17】生体内におけるポリIC注入に対するIFN‐λ産生が、CD45R−/CD11c+/CD8α+脾細胞で異なることを示す。 ポリIC静注の1.5〜2時間後、脾臓を摘出し処理した。18時間の生体外培養後、無細胞上清を、IFN‐λについて分析した。(A)5×10細胞/mLの全脾臓細胞又は細胞を、密度遠心分離で軽い密度の細胞又は重い密度の細胞に分離した。(B)野生型又はCD11c‐DTR‐tgマウスの全脾臓細胞25×10細胞/mLを、2日処理し、その後ジフテリア毒素(DT)で処理した。(C)分離前、又は示されている集団に磁気ビーズ分離後の全脾臓細胞。カラムに加えた最初の脾細胞の細胞数は、20×10個であった。更に数えずに、各画分を200μLの培養液/ウェルの入った2つのウェルに分けた。バーは、実験当たり2頭のマウスを使った、2回の独立した実験(A+C)又は1回の実験(B)の平均値±標準偏差を表す。
【図18】CD8α+cDCによるIFN‐λ又はIL‐12p70の産生が、刺激及びサイトカイン条件に依存することを示す。分取りされた脾臓のCD8α+ cDC、5×10/mLを刺激し、18時間後、上清をIFN‐λ及びIL‐12p70について分析した。(A)IL‐3及びGM‐CSFの存在下における、示されている刺激での刺激。(B)示されている刺激及びサイトカイン。バーは、実験当たり少なくとも8頭のマウスのプールを使った、2回の独立した実験の平均値±標準偏差を表す。
【図19】生体内及びインビトロにおけるFLにより生成したCD8α+cDC及びeCD8αcDCは、IFN‐λ及びIL‐12p70の主要な産生源であることを示す。高度に精製された(A)FLにより増殖し、生体外で単離した脾臓の又は(B)FLを使ってBMから生体外において生成したcDCサブセット、5×10/mLをIL‐3+GM‐CSF+IL‐4+IFN‐γの存在下において示されている刺激で刺激した。18時間後、上清をIFN‐λ及びIL‐12p70について分析した。バーは、実験当たり少なくとも2頭のマウスのプールをそれぞれ使った、2回の独立した実験の平均値±標準偏差を表す。
【図20】生体内及びインビトロにおけるFLにより生成したCD8α+cDC、eCD8αcDC、及びpDCが、HSV‐1及びパラポックスウイルスに対するIFN‐λの主要な産生源であることを示す。高度に精製された(A)FL増殖生体外で単離した脾臓の又は(B)FLでBMから生体外で生成したDCサブセット、5×10/mLをIL‐3+GM‐CSF+IL‐4+IFN‐γの存在下において示されている刺激で刺激した。18時間後、上清をIFN‐λについて分析した。バーは、実験当たり少なくとも2頭のマウスのプールをそれぞれ使った、2回の独立した実験の平均値±標準偏差を表す。
【図21】生体内におけるHSV‐1注入に対するIFN‐λ産生は、CD45R+及びCD45R−/CD8α+脾細胞で異なることを示す。 DISC HSV‐1を生体内で注入した1.5時間後、脾臓細胞を抗CD45R及び磁気ビーズを使って陽性及び陰性画分に分けた。更に、CD45R陰性画分を、CD8α陽性又はCD8α陰性細胞に分けた。分けた細胞を、それから18時間インビトロで培養し、無細胞上清をIFN‐λについて分析した。バーは、実験当たり1頭のマウスを使った、2回の独立した実験の平均値±標準偏差を表す。
【実施例】
【0138】
以下の実施例により本発明を更に説明するが、それらの実施例は、更なる限定として解釈されるべきではない。本願の全体を通して引用されている全ての参考文献の全ての内容は、参照により明細書に明示的に組み込まれる。
【0139】
1.マウス
MyD88‐KOマウスは、S.審良(S.Akira)(Adachiら,1998)から、Cardif‐KOマウスは、J.Tschopp(Meylanら,2005)から、TLR3‐KOマウスはジャクソン研究所(Jackson Laboratory)(Alexopoulouら,2001)から、IRF7‐KOマウスは、谷口維紹(Tadatsugu Taniguchi)(Hondaら,2005)から、及びIFN‐AR‐KOマウスは、もともとMichel Aguet(Mullerら,1994)からである。C57BL/6野生型ウスは、Harlan Winkelmannから購入した。
【0140】
2.細胞及びフローサイトメトリー分取
DCサブセットを、記載の通りにプールしたマウス脾臓から分離した(Vremecら,2007)。要約すると、脾臓を細かく切り刻んで、室温にてコラゲナーゼ(ウォージントン バイオケミカル(Worthington Biochemical))及びデオキシリボヌクレアーゼ(ロシュ(Roche))で消化し、EDTAで処理した。低密度細胞を、密度遠心分離により濃縮し、非DC系細胞を、mAb(抗CD3であるKT3‐1.1;抗Thy‐1であるT24/31.7;抗Gr‐1である1A8;抗CD19であるID3;抗赤血球であるTER119及び抗NK細胞であるDX5)で被覆し、抗ネズミIg磁気ビーズ(キアゲン)を使って枯渇した。死細胞を、ヨウ化プロピジウム染色によって除き、cDC集団を、CD11c、CD45RA、CD4、CD8α、及びCD172aの発現に基づいて分取し、pDCをCD11c、CD45RA、及びCD172aの発現に基づいて精製した(全てBDバイオサイエンス(BD Biosciences))。細胞分取は、FACS Aria装置(BDバイオサイエンス(BD Biosciences))で実施した。
【0141】
樹状細胞由来のFL骨髄培養(FLDC)を、記載の通りに調製した(Hochreinら,2004)。 pDC及びeCD8+及びeCD8cDCサブセットを、CD11c、CD45R、CD11b、CD24、及びCD172a又はCD103の発現に基づいて分取した(全てBDバイオサイエンス(BD Biosciences))。
【0142】
3.ポリICを使った生体内における抗原投与
マウス尾部側面静脈に、100μgのポリIC(Axxora)を静注し、抗原投与の3〜4時間後に血清を採取した。血清を、5倍に予め希釈し、記載の通りにIFN‐αをELISAによって分析した(Hochreinら,2004)。IFN‐λを、IFN‐λ3(IL‐28B)ELISA(R&Dシステム)によって決定した。このELISAは、おしなべてIFN‐λ2(IL‐28A)に交差反応し、これら2つのマウスIFN‐λを識別しない。
【0143】
4.インビトロ刺激及びサイトカイン検出
10μg/mLのPam3Cys(インビボジェン(InvivoGen))、100μg/mLのポリIC (Axxora)、10μg/mLのLPS(大腸菌;シグマ‐アルドリッチ(Sigma‐Aldrich)又はAxxora)、10μg/mLのR848(Axxora)、 1μMのCpG‐1668又はCpG‐2216(TIB‐Molbiol)、1μg/mLのトキソプラズマのプロフィリン(Axxora)を含む、TLRアゴニストを、単一又はそれらの組み合わせで、細胞をインビトロにおいて刺激した。組み換えサイトカインであるマウス‐IL‐3、マウス‐IL‐4、ラット‐IFN‐γ(ぺプロテック(PeproTech))及びマウス‐GM‐CSF(Tebu‐Bio) (各10ng/mL)を、表示通りに添加した。IL‐3及びGM‐CSFを添加することは、以前の観察結果(Hochreinら,2000;Hochreinら,2004)を基づき、それは、pDC及びcDCにおいて、GM‐CSFはIL‐12p70の産生を強化し、IL‐3とGM‐CSFの組み合わせはウイルスによって誘導されるIFN‐α産生を増加したというものであった。獣医学的な目的に使用するパラポックスウイルスであるZylexisの調達先として、薬局から購入した。HSV‐1を、disc HSV‐1(HSV‐1d)として知られている複製不全の形態で、記載の通りに使用した(Hochreinら,2004)。上清中のIFN‐λを、ELISAによって分析し、IL‐12p70を、製造業者のプロトコールに従ってFlowCytomixビーズアッセイ(Bender Medsystems)によって決定した。
【0144】
5.ヒトDCの単離及び刺激
PBMCを、非アトピー献血者の末梢血から密度勾配遠心分離によって調製し、BDCA3+ DCを、BDCA3/CD141+樹状細胞単離キット(Miltenyi Biotech)を使って、AutoMACS(商標)分離装置でPBMCから精製した。続いて、BDCA1+ DCをBDCA3枯渇PBMCからBDCA1/CD1c+樹状細胞単離キット(Miltenyi Biotech)を使って精製した。PBMC及びPBMCのDCを豊富に含む画分を使った予備実験は、組み換えヒトサイトカインであるIL‐3、GM‐CSF及びIFN‐γ(全て、ぺプロテック(PeproTech))(各10ng/mL)の添加は、IFN‐λ1及びIFN‐λ2産生を強化することを示し、したがって、全ての示されている刺激にこのサイトカインの組み合わせを加えた。刺激の18〜24時間後、上清を、製造業者(Tebu‐bio)の勧めに従って、IFN‐λ1及びIFN‐λ2についてELISAによって分析した。
【0145】
6.脾臓のCD8+ cDCがポリICに応答するIFN‐λの主要な産生源である
大量のIFN‐Iを誘導するその能力がよく知られているポリICは、IFN‐λの強力な誘導因子(Kotenkoら,2003;Sheppardら,2003)であるとも言われている。pDCは、幾つかのウイルス又はCpG‐ODN刺激に応答するIFN‐λの主要な産生源として同定されたが、ポリICにより誘導されたIFN‐λの細胞源はいまなおとらえどころがないままである(Cocciaら,2004;Ankら,2008)。
【0146】
分画した脾臓細胞をTLRリガンドのパネルを使って刺激することにより、T‐及びB‐リンパ球からなる主要なリンパ球画分は、IFN‐λを生成することができないことが明らかになり、一方、全てのIFN‐λ産生は、DCを豊富に含む調製物に限定された。高度に精製した脾臓のDCサブセットのなかで、以前に報告されているように、pDCがA型ODN CpG‐2216に対するIFN‐λの主要な源であった(図8)。しかしながら、ポリIC刺激に応答しては、CD8+ cDCが主要な産生源であり、pDC及びCD8cDCは、おしなべてIFN‐λ産生に関与することができなかった(図1及び図8)。インビトロにおいて生成したFLDCサブセットも試験した。生体外において単離したpDC及びcDCサブセットに関して、eCD8+は、ポリICに対してIFN‐λを産生したが、CD8 cDCもpDCも産生しなかった(図9A)。よって、CD8+ cDC及びそれらのインビトロ等価物が、ポリIC刺激に応答するIFN‐λの主要な産生源である。
【0147】
7.CD8+ cDCによるIFN‐λ及びIL‐12p70産生は、刺激のタイプ及びサイトカイン条件に依存する
CD8+ cDCは、その非常に優れたIL‐12p70産生能が良く知られている。CD8+ cDCも大量のIFN‐λを産生することが見いだされたため、IFN‐λに影響を与えると思われる条件を、IL‐12p70産生に影響を与える条件と比較した。TLR刺激のパネルを使って、例えばCpG‐ODN又はトキソプラズマのプロフィリン(Hochreinら,2000;Yarovinskyら,2005)などの、それらの高度なIL‐12p70誘導で知られるTLR‐リガンドは、予想通り大量のIL‐12p70を誘導したが、驚くべきことに、これらの条件下において、CD8+ cDCはIFN‐λを少しも産生しないことが見いだされた。対照的に、ポリICは、CD8+ cDCによるIFN‐λ産生を誘導したが、IL‐12p70産生を誘導しなかった(図2A)。それぞれTLR2、TLR4、TLR9、TLR10又はTLR11のリガンドである、Pam3Cys、LPS、CpG‐ODN又はプロフィリンと、ポリICの組み合わせは、IFN‐λ産生を相乗的に増加した(図2A)。TLR7の欠如、及びそれ故のCD8+ cDCのTLR7刺激に対する無応答と合致して、R848はポリICにより誘導されるIFN‐λ産生を支持することができなかった(図2A)。これらのデータは、ミエロイド分化初期応答遺伝子88(MyD88)依存性の刺激と一体になってポリICにより誘導されるIFN‐λが相乗的に増加することを示し、CD8+ cDCによるIL‐12p70産生における記載された相乗効果を裏付ける(図2A)(Napolitaniら,2005)。
【0148】
刺激中のサイトカイン環境は、ネズミ及びヒトDCにおけるIL‐12p70産生に大きく影響し、IL‐4が生理的に活性のあるIL‐12の産生の主要なエンハンサーであることが以前から示されている(Hochreinら,2000;Kalinskiら,2000)。IFN‐λ及びIL‐12p70双方を誘導する組み合わせ刺激(ポリIC+CpG‐1668)を使って、IFN‐γは、IL‐12p70産生にほとんど影響することなくIFN‐λの産生を強化し、一方、IL‐4は、IL‐12p70産生を増加するが、IFN‐λ産生は増加しないことが見いだされた。(図2B)。IL‐12p70及びIFN‐λを強化するサイトカイン(IL‐3+GM‐CSF+IL‐4+IFN‐γ)と単一の刺激(ポリIC又はプロフィリン)との組み合わせることで、CD8+ cDCよる、刺激依存的で相互に排他的なIFN‐λ又はIL‐12p70の産生が保持されることを示した(図2C)。しかしながら、サイトカインと刺激(ポリIC+CpG‐1668又はポリIC+プロフィリン)の組み合わせによって、大量のIFN‐λ及びIL‐12p70の同時産生が可能であった(図2B及び2C)。
【0149】
生体外で単離した脾臓のDCサブセットと比較して、FLDCからFACSで分取したpDC、eCD8+ cDC及びeCD8 cDCは、IFN‐λ産生に関して非常に類似したサブセット特異性、並びに刺激及びサイトカイン依存性を示した(図9)。よって、IL‐12p70産生又は交差提示などのその他の機能的なパラメーターに関して記載されているように、FL培養からのeCD8+ cDCのIFN‐λ産生は、生体外で分離したCD8+ cDCと高い機能的な類似を示す。
【0150】
8.生体内において、FLはポリICに対するIFN‐λ産生に関与する
FLは、定常状態におけるDCの成長に関与する成長因子であり、FLを欠損するマウス(FL‐KO)では、例えばpDC及びCD8+ cDCなどのDCの量が著しく減少する(McKennaら,2000)。脾臓以外の臓器におけるIFN‐λの源としてのDCの役割を定義するために、肝細胞を野生型及びFL‐KOマウスから単離し、それらをサイトカイン条件下において、IFN‐λ及びIL‐12p70誘導の発現のために、ポリIC単独又はプロフィリン単独又はそれらの組み合わせのいずれかを使って刺激した。分取したCD8+又はeCD8+ cDC(図2及び図8B)で見いだされたように、野生型マウスからの肝細胞は、ポリICに対してIFN‐λを、プロフィリンに対してIL‐12p70を産生し、一方、両方の刺激の組み合わせは、IFN‐λ及びIL‐12p70の産生を同時に助けた(図3A)。対照的に、FL‐KOマウスの肝細胞は、この刺激に対してIFN‐λ及びIL‐12p70のおしなべて抑止された産生を見せた(図3A)。非造血細胞及び大部分の非DC集団は、FL‐KOマウスで正常と考えられているため、このことは、DCが産生されたIFN‐λの主要な源であったことを示唆している。CD8+又はeCD8+ cDCは、TLR11を選択的に発現するが、pDCも他のcDCサブセットも発現せず、よって、プロフィリンに選択的に応答し、IL‐12p70を産生することができる(図2及び図9A)(Yarovinskyら,2005)。 FL‐KO肝細胞における、CD8+及びeCD8+ cDCに選択的な刺激に際して、同時に起こるIFN‐λ及びIL‐12p70の抑止は、このcDCサブセットが産生されたIFN‐λの源であることを強く示唆し、生体内における、肝臓でのIFN‐λの主要な源としてのeCD8+ cDCの顕著な役割を提示している。よって、それら選択的な刺激条件下におけるIFN‐λ産生は、異なる細胞タイプの複雑な混合物中でさえ、CD8+ cDCの指標としての役目を果たすかもしれない。
【0151】
これら観察結果を直接的な生体内抗原投与に広げるために、野生型及びFL‐KOマウスのポリIC注入に対する応答を比較した。野生型マウスにおいて、ポリICに対応するIFN‐λの血清レベルは、容易に検出可能であり、IFN‐αのレベルも同様であった。際立って対照的に、FL‐KOマウスにおいては、IFN‐λのレベルはほとんど抑止され、一方、IFN‐αは容易に検出可能なままであった(図3B)。 組み換えFLのFL‐KOマウスへの適用は、それらのIFN‐λ産生能を回復しただけでなく、野生型のレベルを超える増加さえした(図11A)。また、M‐CSFのFL‐KOマウスへの適用も、ポリICに対するIFN‐λ産生を増加することができ、M‐CSFが、ポリICに対するIFN‐λ産生源の数を増加できることを示している(図11B)。それらに沿って、例えばCD8+ cDCなどのDCの数の上昇を見せたFLで治療した野生型マウスは、ポリIC抗原投与に対して全身IFN‐λ応答が大きく増加した。FL依存性は、生体内におけるポリICに対するIFN‐λ産生がおしなべてDCにより媒介されていることを強く示唆している。そのうえ、これらデータは、CD8+及びeCD8+ cDCサブセットが関与していることを示している。
【0152】
9.生体内において、TLR3、IFN‐AR及びIRF7はポリICに対するIFN‐λ産生に関与する
ポリICは、多数の方法によって免疫系により検出され、RLH及びTLR3の役割が記載されている(Alexopoulouら,2001;Gitlinら,2006)。生体内においてポリICにより誘導されるIFN‐λ産生に関与するパターン認識受容体を決定するために、さまざまなパターン認識受容体又はそれらのアダプター分子、特にTLR3、MyD88又はCardifを欠損するマウスに、ポリICを注射し、対応する血清中でIFN‐λ及びIFN‐αを測定した(図4)。野生型マウス及びMyD88‐KOマウスでは、大量のIFN‐λ及びIFN‐αが産生され、MyD88依存性のTLRは関与しないことを示し、IFN産生に関しておしなべてMyD88に依存するpDCは、それらの条件下において、両サイトカインの産生におそらく寄与しないことを示唆している。しかしながら、TLR3の欠損は、IFN‐α産生に影響することなく、抑止されたIFN‐λ産生をもたらした。生体内におけるTLR3の関与は、CD8+及びeCD8+ cDCがIFN‐λの源であることを支持し、なぜなら、このサブセットは、特にそのTLR3の高い発現が知られており、TLR3依存的な方法でポリICを認識することが知られているからである(Edwardsら,2003;Schulzら,2005)。対照的に、Cardif‐欠損は、IFN‐λ産生に影響は無く、以前の報告に一致して、血清IFN‐αが完全に抑止されることを明らかにした(図4;Gitlinら,2006)。よって、野生型マウスにおいて、ポリICは、全身レベルのIFN‐λとIFN‐αの両方を大きく誘導した一方で、TLR3又はCardifの関与は、互いに排他的のようである。対応するKOマウスからインビトロで生成されたeCD8+ cDCを使って、TLR3のIFN‐λ産生への類似した関与を検出することはできたが、Cardifの関与もMyD88の関与も検出することはできなかった(図10A〜C)。これらの結果は、観察されたFLの関与とともに、生体内におけるポリICに対するIFN‐λ産生は、CD8+及びeCD8+サブセットのDCにおしなべて依存することを強く示唆している。
【0153】
生体内における最適なIFN‐I産生は、機能的なIFN‐I受容体(IFN‐AR)の発現を必要とすることが記載されている。また、IFN‐ARの役割は、センダイウイルス又は単純ヘルペスウイルスのいずれかに応答するIFN‐λの産生であると提案されている(Ankら,2008)。ここで、Ankと同僚によるデータと合致して、ポリICに応答するIFN‐λ及びIFN‐αの全身産生は、IFN‐ARの存在におしなべて依存していることが見いだされた(Ankら,2008)。野生型又はIFN‐AR‐KOマウスのいずれかからインビトロで生成したeCD8+を使って、IFN‐ARへの類似した依存性を検出した(図10D)。
【0154】
生体内におけるポリICに対するIFN‐λ産生の調節を更に明らかにするために、IFN調節因子7(IRF7)欠損マウスを分析した。IRF7‐KOマウスでは、IFN‐α産生はほとんど抑止されていた(図4)。pDCによるMyD88依存性のIFN‐α産生のためのIRF7の本質的な役割は以前に示されており、IRF7のDCによるTRIF依存性のIFN‐I産生への関与が提案されている(Hondaら,2005;Tamuraら,2008)。血清中のIFN‐λの産生は、IRF7の不在下において、おしなべて減少することが見いだされ、eCD8+ cDCによるIFN‐λの産生に対するIRF7の顕著な役割を示唆している(図4)。ポリICに応答するIFN‐λの産生に対するIRF7の顕著な役割に関する生体内における結果は、IFN‐α及びIFN‐λの誘導におけるIRF7の役割を提案している以前のプロモーターに基づいた研究と合致している(Osterlundら,2007年)。
【0155】
10.ヒトBDCA3+DCがポリIC刺激に際するIFN‐λの主要な産生源である
マウスでは幾つかのcDCサブセットへの分類は十分に確立され、例えばCD8+ cDCの大量にIL‐12p70を産生する能力、又は抗原を交差提示する能力などのサブセットに特有な表現型や機能と関連づけられている。ヒトにおける類似したcDCサブセット識別のための証拠は近年増加てきたが、これは、主として表現型の類似に基づき、機能的な類似にはほんの少ししか基づいていない。マウスにおけるポリICに応答するIFN‐λ産生は、CD8+ cDCサブセットに特有の特徴であることが見いだされた。この特徴が、ヒトDCサブセットに関連しているかどうかを確立することが望まれていた。Clec9a及びNecl2発現などの表現型の類似に基づいて、BDCA3陽性ヒトDCは有力な候補ヒトeCD8+ cDCとして提案されてきた。PBMC及びDCを豊富に含むPBMC画分において、ポリICがIFN‐λ1(IL‐29)及びIFN‐λ2(IL‐28A)を誘導することが見いだされた。マーカーであるBDCA1又はBDCA3を使ったcDCサブセットの分離は、検証された全てのドナーで、BDCA3陽性の細胞は、IFN‐ラムダ1及びIFN‐ラムダ2の主要な産生源であることを明らかにした(図5)。よって、ポリIC刺激に際してIFN‐λを産生する点で、ヒトBDCA3cDCは、機能的にネズミeCD8+ cDCに類似する。
【0156】
11.脾臓のeCD8+ cDCが、DNAウイルスに応答するIFN‐λの主要な産生源である
ヘルペスウイルス科は、持続性で再発性の感染症を引き起こす、ヘルペスウイルスとも呼ばれる、二本鎖DNAウイルスのファミリーであり、ヒトでは、単純ヘルペスウイルス(HSV)1及び2;水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)及びエプスタイン‐バールウイルス(EBV)などの重要な病原体を含む。HSV‐1はTLR9を介するMyD88に依存的な方法を介して、pDCによって認識されることが以前に見いだされていたが、HSV‐1は、MyD88に独立な今まで未知の認識経路を介してcDCによって見て取られることが見いだされた(Hochreinら,2004)。IFN‐λは、HSVの粘膜感染に対して防御することができ、TLR依存性の防御はおしなべてIFN‐λに依存していた(Ankら,2008)。
【0157】
ポックスウイルスとも呼ばれるポックスウイルス科のファミリーは、オルソポックスウイルス、パラポックスウイルスなどの幾つかの亜科に分けることができる二本鎖DNAウイルスである。ポックスウイルスのなかでは、天然痘、牛痘ウイルス、ラクダ痘の病原体である痘瘡ウイルス及びワクシニアウイルスなどはヒト及び動物にとって重要な病原体である。パラポックスウイルスは、牛及びその他の動物にとって重要な病原体である。オルソポックスウイルス及びパラポックスウイルスは、TLR9に依存的及びTLR9に独立した経路を介してDCによって認識される(Samuelssonら,2008;Siegemundら,2009)。幾つかのポックスウイルスは、IFN‐λ結合タンパク質をコードし、組み換えIFN‐λをコードするポックスウイルスは、高度に減弱され、ポックスウイルス感染に対する防御におけるIFN‐ラムダの役割を提案している(Bartlettら,2005;Bartlettら,2004)。
【0158】
eCD8+ cDCもDNAウイルスに応答するIFN‐λの産生源であるかどうかを決定するために、ヘルペスウイルス及びポックスウイルスのファミリーを代表するHSV‐1及びパラポックスウイルスに対するcDCサブセットの応答を検証した。
【0159】
脾臓から生体外で単離されたcDCのなかで、CD8+ cDCが、HSV‐1又はパラポックスウイルスいずれかに応答するIFN‐λの主要な産生源であることが見いだされた(図6)。インビトロにおいて生成したcDCサブセットを使って、eCD8+ cDCがやはりHSV‐1及びパラポックスウイルスに対するIFN‐λの主要な産生源であることが見いだされた。Cardif、MyD88又はTLR3のいずれかを欠いている変異マウスから生成したeCD8+ cDCは、RLHもTLRもHSV‐1又はパラポックスウイルスに応答するeCD8+ cDCによるIFN‐λの生成に重要ではないことを明らかにした。
【0160】
IFN‐λは、ヘルペスウイルス及びポックスウイルスに対する抗ウイルス活性を誘導すると思われ、IFN‐λの主要な源としてのeCD8+に関する新規の知識に基づいて、これは、FL又はM‐CSF‐Rリガンド(M‐CSF、IL‐34)などの成長因子を使って多数のeCD8+ cDCを誘導することなど、新しい治療のアプローチにつながることができる。ウイルス自身が、抗ウイルスIFN‐λを誘導できるeCD8+ cDCの数の上昇によって認識されることができ、よって、病原性ウイルスの増殖を制限している。あるいは、例えばポリICなどのDNA又はRNAの模倣物などの外部の刺激が、生体内におけるeCD8+ cDCによるIFN‐λ産生を誘導するために使用され得る。
【0161】
12.脾臓のeCD8+ cDCが、RNAウイルスに応答するIFN‐λの主要な産生源である
例えばポリICなどの二本鎖(ds)RNAは、eCD8+ cDCによるIFN‐λを誘導していることが見いだされたので、次に、RNAウイルスもIFN‐ラムダを誘導するであろうかどうかを決定した。dsRNAは、dsRNAウイルス感染の際に存在するだけでなく、一本鎖(ss)RNAウイルス、特にプラス鎖ssRNAウイルスの感染の際にdsRNA中間体が産生されることも知られている。ピコルナウイルス、フラビウイルス科、コロナウイルス科、トガウイルス科などのプラス鎖ssRNAファミリーとしては、西ナイルウイルス、デング熱ウイルス、C型肝炎ウイルス、SARS、風疹ウイルスなどのヒト及び動物の病原体が挙げられる。2つの異なるssRNAウイルスファミリーを代表する異なるプラス鎖ssRNAウイルスを検証するために、トガウイルス科及びコロナウイルス科をそれぞれ代表するセムリキ森林ウイルス(SFV)及びマウス肝炎ウイルス(MHV)を使用した。
【0162】
生体外で単離されたcDCのなかで、SFV及びMHVに対するIFN‐λ応答は、CD8+ cDCサブセットに限られ、CD8 cDC サブセットによるIFN‐ラムダの産生はなかった(図7A)。類似した結果がインビトロで生成したeCD8+ cDCで見いだされた。eCD8+ cDCを使って、SFV及びMHVに対するIFN‐λの産生は、MyD88の不在下においてもなお強いが、それらのウイルスに対するIFN‐λ産生は、TLR3の不在で消滅することが見いだされた。よって、eCD8+ cDCは、ssRNAウイルスに応答するIFN‐λの産生に、おそらくdsRNA中間体を介してTLR3を使用する。
【0163】
C型肝炎ウイルス(HCV)に対する感受性及び治療におけるIFN‐λの重要な役割が、最近になってゲノム分析によって示されている(Geら,2009;Suppiahら,2009;Tanakaら,2009;Thomasら,2009)。
【0164】
eCD8+ cDCは、プラス鎖ssRNA ウイルスに応答してIFN‐λを産生することが見いだされた(図7)。更に、eCD8+ cDCは、肝臓で同定され得ることが見いだされた(図3A)。重要なことに、eCD8+ cDCは、IFN‐λの産生に関して、MyD88にもRLHにも依存しない。HCVは、RLHのシグナル伝達を抑制し、よって、HCVを認識するのにRLHに依存するCD8cDCなどの体細胞のIFN‐α産生を抑制することが知られている(Meylanら,2005)。eCD8+ cDCはポリIC及びプラス鎖ssRNAウイルスの検出にRLHを使用せず、TLR3を使用することが見いだされたので、これは、それでもHCVに対する抗ウイルスサイトカインIFN‐λを産生できるeCD8+ cDCをもたらすことができる一方で、RLHに依存するその他の細胞は抑制される。eCD8+ cDCの量を増加することは、例えばssRNAウイルスなどのウイルスに応答して産生されたIFN‐λの量を劇的に増加することができ、ポリIC又は複製不全DNAウイルス(例えばHSV‐1d)などの外部の刺激の適用によって更に強化されることができる。eCD8+ cDCの適用又は成長因子を介する生体内における強化は、IFN‐I治療などの標準的な治療と組み合わせる又は組み合わせずに、HCV又はヘルペスウイルスなどの持続的なウイルスに対する抗ウイルス応答を増加することができる。
【0165】
ポリICに際するIFN‐λの産生は、eCD8+ cDCの新規の顕著な機能であり、進化的に遠い種のなかで保存されている。IFN‐λの産生は、ポリIC投与の優れたアジュバント効果に寄与するようである。そのうえ、CD8+ cDC及びそれらの等価物は、それらの交差提示及びIL‐12p70の能力がよく知られており、それらのIFN‐λの高産生を通して、TLR3により媒介される抗ウイルス性の応答に対する貢献者であると思われる。これらの新しい発見は、C型肝炎ウイルス感染症などの持続性の感染症の治療に対して強く影響を与えることができる新規の治療方法に移されることができる。
【0166】
13.ポリAUによるIFN‐λの誘導
二本鎖RNA(dsRNA)は、TLR3を介して、又はRig様ヘリカーゼ(RLH)を介して認識される。しかしながら、RNAの長さ、構成又は修飾は、異なるRNA受容体を介する検出に影響を与え得る。ポリイノシン酸:ポリシチジル酸(ポリIC)に応答して、IFN‐λの初期の産生は、TLR3及び特定のDCサブセット(CD8α+及びeCD8α cDC)の存在に完全に依存することが見られた一方で、IFN‐αの全身産生は、TLR3から独立しており、CD8α+ cDCから独立していたが、RLHに完全に依存した(RLHに対する本質的アダプター分子を欠いているCardif‐KOマウスで見られるように)。dsRNAポリアデニル酸:ポリウリジル酸(ポリAU)は、dsRNAの別の形態であり、我々は、ポリAUが生体内においてIFN‐λの誘導に使用できるかどうかを検証した。興味深いことに、ポリAU注入は、マウスの血清においてIFN‐λを誘導したが、全身性のIFN‐λは検出可能ではなかった。よって、刺激の特定の形態を使って、全身性のIFN‐λを誘導することなく、全身性のIFN‐λを誘導することが可能である(図12を参照のこと)。
【0167】
生体内において見られたポリAUに対するIFN‐λ産生が、ポリICに応答する同じ細胞に対応するであろうかどうか見るために、我々はマウスにおいてDCの量をFL処理で強化し、CD8α+ cDC、eCD8α cDC及びCD11b+/CD172a+ cDCを分取した。それらの細胞をポリIC又はポリAUで刺激した。実際に、CD8α+ cDC及びeCD8α cDCのみが、ポリICに対してもポリAUに対しても同様にIFN‐λを産生することができたが、その他のcDC(CD11b+/CD172a+ cDC)は産生できなかった。その結果を図13に示す。
【0168】
14.ポリIC及びCD40刺激を使ったIFN‐λの誘導
樹状細胞(DC)は、TLR‐リガンドなどの病原体関連分子パターン(PAMP)で刺激されることができ、成熟及びサイトカイン産生で応答することができる。PAMPSとは別に、内因性刺激が存在し、最も記載された賦活因子機構の1つはCD40とそのリガンドであるCD40‐リガンドとの相互作用である。DCはCD40を発現し、活性化されたT細胞はCD40‐リガンドを発現し、T‐細胞のDCとの相互作用は、DCを活性化する。この活性化の結果の1つは、例えばIL‐12p70などのサイトカインの産生である。我々は、ポリICとプロフィリン又はCpG‐ODNなどのIL‐12誘導因子の組み合わせは、インビトロにおいてIFN‐λ産生の相乗的増加を誘導することを見いだしたので、ポリICとCD40‐刺激との組み合わせは、生体内においてIFN‐λ産生をもたらであろうかどうかを検証した。CD40の刺激として、生体内において刺激性であると知られている、CD40に対するモノクローナル抗体(mAb)を使用した。その結果を図14に示す。
【0169】
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)におけるIFN‐λ産生の誘導に使用する二本鎖(ds)核酸又はその類似体を含む組成物であって、前記eCD8+cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現する組成物。
【請求項2】
CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)におけるIFN‐λ産生を誘導するための医薬組成物の調製のための二本鎖(ds)核酸又はその類似体の使用であって、そこにおいて、前記eCD8+cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現する使用。
【請求項3】
CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)におけるIFN‐λ産生を、それを必要としている対象において誘導する方法であって、前記eCD8+cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現し、前記対象に二本鎖(ds)核酸又はその類似体を投与する工程を含む方法。
【請求項4】
IFN‐λ依存性の疾患の防止及び/又は治療の方法において用いられる、請求項1の組成物、請求項2の使用、又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記二本鎖(ds)核酸又はその類似体が、生体外において、対象から(単離された)CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)に投与される、請求項1又は4に記載の組成物、請求項2又は4に記載の使用、若しくは請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
生体外において、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤が、前記二本鎖(ds)核酸又はその類似体の投与前に、前記単離されたcDCに投与される、請求項5に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項7】
前記ds核酸が、dsRNA又はdsDNAである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項8】
前記誘導が、MyD88に依存的なTLRから独立している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項9】
前記誘導が、(アダプター分子である)MyD88から独立している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項10】
前記誘導が、(Rig様ヘリカーゼのアダプター分子である)Cardifから独立している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項11】
前記誘導が、TRIFから独立している、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項12】
前記誘導が、TLR‐7及び/又はTLR‐9から独立している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項13】
前記誘導が、TLR‐3によって媒介される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項14】
前記誘導が、IRF3及び/又はIRF7によって媒介される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項15】
前記誘導が、IRF8によって媒介される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項16】
前記誘導が、IFN‐IRによって媒介される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項17】
CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を更に含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項18】
前記CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞のレベルを増加する薬剤が、Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドである、請求項17に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項19】
ds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤を更に含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項20】
ds核酸に基づいたIFN‐λ産生を強化する薬剤が、TLR‐リガンド若しくはTNFファミリーの成員であって、前記TLR‐リガンドが、好ましくは、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、又はTLR11リガンドであって、前記TNFファミリーの成員が、好ましくは、CD40‐リガンド又はサイトカイン、前記サイトカインが、好ましくは、Flt3‐リガンド、M‐CSF受容体リガンド、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、又はIFN‐γである薬剤である、請求項19に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項21】
二本鎖(ds)核酸又はその類似体と組み合わせてCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を含む、IFN‐λ依存性の疾患の予防及び/又は治療の方法に用いる組成物であって、前記eCD8+cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現し、その方法は、
(a)対象に、前記CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を投与すること;及び
(b)対象に二本鎖(ds)核酸又はその類似体を投与して、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞においてIFN‐λ産生を誘導することを含む組成物。
【請求項22】
必要としている対象における、IFN‐λ依存性の疾患の予防及び/又は治療のための方法であって、
(a)対象に、前記CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞(cDC)のレベルを増加する薬剤を投与する工程;及び
(b)対象に二本鎖(ds)核酸又はその類似体を投与して、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞においてIFN‐λ産生を誘導する工程を含む方法。
【請求項23】
CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞のレベルを増加する前記薬剤が、Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドである、請求項21の組成物、又は請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記IFN‐λ依存性の疾患が、感染症又は癌である、請求項1〜23のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項25】
前記IFN‐λ依存性の疾患が、血液、脾臓、肺、扁桃腺、リンパ節、結腸又は肝臓の疾患である、請求項24に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項26】
前記感染症が、ウイルス感染症である、請求項24又は25に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項27】
前記ウイルス感染症が、dsRNA又はdsDNAを含むウイルスによる感染症である、請求項26に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項28】
前記ウイルス感染が、持続性のウイルス感染症、好ましくは、肝臓のウイルス感染症又はヘルペスウイルス感染症、より好ましくは、肝炎ウイルス感染症である、請求項26又は27に記載の組成物、使用、又は方法。
【請求項29】
IFN‐λを産生する、及び/若しくはIFN‐λ産生CD8+又はeCD8+従来型樹状細胞の集団を生成又は採取するインビトロの方法であって、前記eCD8+cDCがClec9a及び/又はNecl2を発現し、
(a)CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞を含む細胞の集団を提供する工程;
(b)前記従来型樹状細胞を、前記従来型樹状細胞のレベルを増加する薬剤、好ましくは、Flt3‐リガンド又はM‐CSF受容体リガンドと接触させる工程;及び
(c)前記従来型樹状細胞を、二本鎖(ds)核酸又はその類似体と接触させる工程を含むインビトロの方法。
【請求項30】
前記細胞の集団が、IFN‐λ産生のエンハンサーと共に更に培養される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記エンハンサーが、TLR‐リガンド若しくはTNFファミリーの成員であって、前記TLR‐リガンドが、好ましくは、TLR2リガンド、TLR4リガンド、TLR9リガンド、TLR10リガンド、又はTLR11リガンドであって、前記TNFファミリーの成員が、好ましくは、CD40‐リガンド、又はサイトカインであって、前記サイトカインが、好ましくは、IL‐3、GM‐CSF、IL‐4、又はIFN‐γである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
請求項6〜8のいずれか一項に記載の方法によって入手可能なIFN‐λ産生ヒトCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞の集団、及び、随意に薬学的に許容可能な担体又は希釈剤を含む医薬組成物。
【請求項33】
ヒトCD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞を検出又はスクリーニングするインビトロの方法であって、
(a)樹状細胞を含む細胞の集団を提供する工程;
(b)BDCA3+樹状細胞を選択する工程;
(c)前記BDCA3+細胞を、二本鎖(ds)核酸又はその類似体と接触させる工程;
(d) IFN‐λの産生を検出する工程;及び
(e) CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞の存在とIFN‐λの産生を関連づける工程を含むインビトロの方法。
【請求項34】
生検、好ましくは臓器又は血液の生検において、CD8+及び/又はeCD8+従来型樹状細胞の存在をスクリーニング又は検出する請求項33に記載の方法。
【請求項35】
cDCを二本鎖(ds)核酸又はその類似体と、生体外で接触させることを含む、(ヒト)従来型樹状細胞(cDC)の集団におけるIFN‐λの産生を誘導する方法。
【請求項36】
Flt3‐リガンド及び/又はM‐CSF受容体リガンドで前処理されたcDCが、生体外で前記ds核酸と接触させられる請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ds核酸の類似体が、ポリIC、ポリAU、ポリICLC、ポリdAaTである請求項1〜36のいずれか一項に記載の組成物、使用、又は方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2013−514062(P2013−514062A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543533(P2012−543533)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007751
【国際公開番号】WO2011/072871
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(509296443)バヴァリアン・ノルディック・アクティーゼルスカブ (9)
【Fターム(参考)】