説明

微生物反応及び酵素反応によってアザイド糖を製造する方法

【課題】クレブジエラ属に属し、ガラクチトールからL-タガトース産生能を有する細菌の提供。
【解決手段】ヘキソースの6位がアザイド化されている、6-アザイド・ヘキシトールを原料とし、2位を酸化し、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する能力を有するクレブジエラ属微生物。さらに、6-アザイド・ケトヘキソースを異性化して、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する能力を有する上記のクレブジエラ属微生物。及び、同微生物が産生する、6-アザイド・ポリオールに作用し、2位をケトースへ酸化することで、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する6-アザイド・ポリオール脱水素酵素。6-アザイド・ケトヘキソースを異性化することによって、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する6-アザイド・アルドース異性化酵素。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、6-アザイド・ヘキシトールから6-アザイド・ケトヘキソースを生成する能力を有するクレブジエラ属微生物、該微生物由来の6-アザイド・ポリオール脱水素酵素または6-アザイド・アルドース異性化酵素、該酵素を用いる、6-アザイドケトヘキソースおよび/または6-アザイド・アルドヘキソースの製造法、ならびに、それらを原料とする各種アザイド糖の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
用語「クリックケミストリー」は、シートベルトのように「カチッ」と音のした瞬間にベルトが結合するたとえ、すなわち簡単かつ短時間に複数の化合物を結合させることのできるシンプルな化学という意味である。
クリックケミストリーの特徴として、あらかじめ結合させたい場所に、例えばアジドおよびアセチレンをそれぞれ有する反応基を合成しておけば、副反応なしにその場所選択的に結合することができる(ここではトリアゾールが生成する)。そのため一度に多種類の化合物を得ることのできる組み合わせ合成への応用も可能であり、多様な化合物への簡便な変換反応と言い換えることができる。またクリックケミストリーは副生成物を出さないため、環境面も考慮した実用的な網羅的化学合成の概念を築くものである。したがって反応全体を通して信頼性が高く、容易な反応であるがゆえに幅広い汎用性が認められるのである。
最近開発されたクリックケミストリーを介したポリマー材料について、銅触媒による1,3−双極性付加環化によって多価アジドおよびアルキンが架橋ポリマー網目構造中に組み込まれる場合に、接着性ポリマーが形成される。金属表面から浸出するか、モノマー混合物に加えられるかのいずれかであるCuイオンによって、この縮合重合が効率的に促進され、複数のトリアゾール結合要素が生成されることによって金属表面との強い相互作用が得られること、この接着性ポリマーは、接着性ポリマーコーティングとして、または接着性ポリマー接合剤として形成することができることが示されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特表2008−507404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アザイド化合物(アジト化合物ともいう)は各種有用な有機化学物質を合成するのに非常に重要な物質であり、クリックケミストリーとして比較的単純な部分構造同士を、高い反応性・選択性を持った炭素−ヘテロ原子結合反応によって結びつけることで、新たな機能性分子を創出することに利用価値の高い物質である。
【0005】
6-アザイト糖は窒素Nを含む化合物の合成に有用であり、一般に化1のような構造で示される。
【化1】

【0006】
本発明においては、Rは単糖であり、ガラクチトール、ガラクトース、タガトースの6位にアザイドが結合したものである。これらの物質は有機合成によっては相互の転換が困難なものが多く、本発明における生産物である6-アザイド L-ガラクトースおよび6-アザイド L-タガトースは有機化学的反応によっては生産することが困難な物質である。
【0007】
本発明は、微生物反応によって、6-アザイド・ケトヘキソースおよび/または6-アザイド・ケトース、さらにはそれらを原料とする各種アザイド糖を提供することを目的とする。
また、本発明は、クレブジエラ属に属し、ガラクチトールからL-タガトース産生能を有する公知の細菌の新規な機能を見いだし、その発見に基づき6-アザイド・ヘキシトールを原料とし、2位を酸化し、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する能力を、さらに6-アザイド・ケトヘキソースを異性化して、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する能力を利用することを目的とする。
すなわち、本発明は、アザイド化されている、6-アザイド・ヘキシトールを原料とし、2位を酸化し、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する能力を有するクレブジエラ属微生物、さらに、6-アザイド・ケトヘキソースを異性化して、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する能力を有するクレブジエラ属微生物を提供することを目的とする。
また、6-アザイド・ポリオールに作用し、2位をケトースへ酸化することで、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する6-アザイド・ポリオール脱水素酵素、およびアザイド・ケトヘキソースを異性化することによって、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する6-アザイド・アルドース異性化酵素を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ヘキソースの6位がアザイド化されている、6-アザイド・ヘキシトールを原料とし、2位を酸化し、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する能力を有するクレブジエラ属微生物を要旨としている。
上記のクレブジエラ属微生物は、さらに、6-アザイド・ケトヘキソースを異性化して、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する能力を有することを特徴としている。
【0009】
上記のクレブジエラ属微生物は、クレブジエラ・ニューモニエに属する微生物であり、好ましくはクレブジエラ・ニューモニエ40BR(寄託番号IFO3317)である。
【0010】
また、本発明は、6-アザイド・ポリオールに作用し、2位をケトースへ酸化することで、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する、上記のいずれかに記載のクレブジエラ属微生物に由来する6-アザイド・ポリオール脱水素酵素を要旨としている。
【0011】
さらにまた、本発明は、6-アザイド・ケトヘキソースを異性化することによって、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する、上記のいずれかに記載のクレブジエラ属微生物に由来する、6-アザイド・アルドース異性化酵素を要旨としている。
【0012】
また,本発明は、上記のいずれかに記載のクレブジエラ属微生物に由来する6-アザイド・ポリオール脱水素酵素および/または6-アザイド・アルドース異性化酵素を用いることを特徴とする6-アザイド・ケトヘキソースおよび/または6-アザイド・アルドヘキソースを製造する方法を要旨としている。
【0013】
さらにまた、本発明は、上記のいずれかに記載のクレブジエラ属微生物に由来する6-アザイド・ポリオール脱水素酵素および/または6-アザイド・アルドース異性化酵素を用いて6-アザイド・ケトヘキソースおよび/または6-アザイド・アルドヘキソースを製造し、それらを原料とすることを特徴とする各種アザイド糖の製造方法を要旨としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、微生物反応によって、6-アザイド・ケトヘキソースおよび/または6-アザイド・ケトース、さらにはそれらを原料とする各種アザイド糖を提供することができる。
【0015】
また、本発明は、クレブジエラ属に属し、ガラクチトールからL-タガトース産生能を有する公知の細菌の新規な機能である6-アザイド・ヘキシトールを原料とし、2位を酸化し、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する能力を、さらに6-アザイド・ケトヘキソースを異性化して、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する能力を利用することができる。
すなわち、本発明により、ザイド化されている、6-アザイド・ヘキシトールを原料とし、2位を酸化し、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する能力を有するクレブジエラ属微生物、さらに、6-アザイド・ケトヘキソースを異性化して、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する能力を有するクレブジエラ属微生物を提供することができる。
【0016】
また、6-アザイド・ポリオールに作用し、2位をケトースへ酸化することで、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する6-アザイド・ポリオール脱水素酵素、およびアザイド・ケトヘキソースを異性化することによって、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する6-アザイド・アルドース異性化酵素を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明者は、6-アザイド・ケトヘキソースおよび/または6-アザイド・アルドヘキソースを製造する酵素の検索を鋭意続けてきた。その結果、従来知られている、クレブジエラ属に属し、ガラクチトールからL-タガトース産生能を有する公知の細菌(特許第特許3194160号)が、ガラクチトールのみならず、ヘキソースの6位がアザイド化されている6-アザイド・ヘキシトールにも作用し、2位を酸化し、6-アザイド・ケトヘキソースを得ることができることを発見し、該酵素(6-アザイド・ポリオール脱水素酵素)を利用した6-アザイド・ケトヘキソースの製造方法を確立した。
公知の該細菌が、さらに、6-アザイド・ケトヘキソースを異性化して、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する能力を有することを見いだし、該酵素(6-アザイド・アルドース異性化酵素)を利用した6-アザイド・ケトヘキソースを異性化することによって、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する6-アザイド・アルドヘキソースの製造方法を確立した。
【0018】
クレブジエラ属に属し、ガラクチトールからL-タガトース産生能を有する公知の細菌について特許第特許3194160号明細書に基づき説明する。
ガラクチトールからL-タガトースを製造するのに使用される細菌は、クレブジエラ属に属し、ガラクチトールからL-タガトース産生能を有する細菌である。その一例としては、クレブジエラ ニューモニエ (KLebsieLLa pneumoniae)IFO 3317または、これの変異株などが有利に利用できる。
クレブジエラ属に属し、ガラクチトールからL-タガトース産生能を有する細菌は、ガラクチトールを含有する水溶液に接触し、ガラクチトールからL-タガトース産生しうる微生物であればよく、例えば、クレブジエラ ニューモニエ IFO 3317、または、この変異株などの細菌が好適であり、通常、これら細菌をキシリトール、D-タリトール、L-アラビノール、グリセロール等炭素源を含有する栄養培地で培養し、望ましくは、振盪、通気撹拌などの好気的条件下で培養し、培養中に、または得られる細菌(生菌体)を用いることができる。
【0019】
培養方法としては、クレブジエラ属に属する細菌が必要とする栄養源、例えば、炭素源、窒素源、無機塩などを含有する培地、望ましくは、微酸性乃至微アルカリ性の液体培地に、ガラクチトールからL-タガトース産生能を有する細菌を植菌し、温度約20乃至35℃で、1乃至10日間好気的条件下で培養すればよい。とりわけ、炭素源として、例えば、キシリトール、D-タリトール、L-アラビトール、およびグリセロールなどの一種または二種以上の炭素源とともに他の各種栄養源を含有する液体培地で好気的に培養するのが望ましい。
この細菌は、培養液から分離された生菌体そのままの状態に限る必要はなく、例えば、生菌体を半透膜製のホローファイバーに封入した細菌、寒天、ゼラチン、アルギン酸塩などで包括し、ビーズ状、シート状などの各種形状に固定化した細菌などとして、繰り返し利用することも好都合である。
【0020】
実施例においては、アザイド・ポリオールのアザイド・ケトースへの酸化と、アザイド・ケトースのアザイド・アルドースへの異性化を同一の微生物を用いて連続的に行った。しかし、両反応を個別に行うことも可能である。微生物反応を用いてまず、アザイド・ケトースを生産し、それを基質として新たにイソメラーゼを用いてさらにアザイド・アルドースへと異性化することも可能である。他のアザイド・ポリオールなど場合には同一の微生物が両酵素系を持っていない場合も考えられるからである。本発明の実施例の方法は、同一の微生物によって、一気に生産できるという非常に優位なものとなっている。
【0021】
[原料の調製]
原料となるヘキソースの6位がアザイド化されている、6-アザイド・ヘキシトールは、図1に示される一般的な製造法を採用することができるが、それに限定されることはない。
実施例においては6-アザイド・D-ガラクチトールを用いた。しかしIzumoringの戦略(例えば特開2008−109933号公報参照)からすると、各種の6-アザイド・ポリオールを酸化し、さらに還元することによって多くの他の6-アザイド・ケトースや6-アザイド・アルドースを生産できることを示している。ケトースは必ずしもヘキソースには限る必要はなく、炭素数5のペントースにおいてもこの反応戦略は有効であることも当然である。本発明は、Izumoringの戦略がアザイド糖へも適用できることの証明であり、今後この手法を用いることで多くのアザイド糖の生産に利用できることが可能となる。
【0022】
以下、実施例により本発明の詳細を述べるが、これらの実施例により、本発明が限定されることはない。
【実施例1】
【0023】
基質である1-アザイド D-ガラクチトールの一般的な製造法は、図1の反応式で示される方法を用いた。8ステップの反応であり収率は27%であった。D-ガラクトースの1位および4位を保護し、2および3位、5及び6位をメチル化した後、1位の保護をはずしてアザイド化することで生産した。精製はクロマトグラフィーによって行った。
【0024】
生産された1-アザイド D-ガラクチトールは、化2で示されるように、180度回転することで、6-アザイド L-ガラクチトールと同一と物質であることが分かる。
【化2】

【0025】
化3で示されるように、この6-アザイドL-ガラクチトールの2位を微生物酸化すると、生産物は6-アザイド L-タガトースであると予想される。この反応をガラクチトールをL-タガトースへ酸化する微生物クレブジエラ ニューモニエを用いて行った。
【化3】

【0026】
微生物はガラクチトールからL-タガトースを生産する能力を有する、クレブジエラ・ニューモニエ40BR(IFO 3317)を用いた。
【0027】
培養条件は1%キシリトール、0.5%酵母エキス、0.5%ポリペプトン、0.5%塩化ナトリウム(pH7.0)前培養は50mL/300mLバッフル付三角フラスコ、30℃、18時間おこなった。本培養は4L/5Lジャーファーメンター、30℃、400rpm、通気量3L/min、24時間とした。菌体を洗浄後、洗浄菌体反応を行った。
【0028】
反応条件は以下のとおりである。
[反応液組成]
8%基質 140mL 終濃度0.5%
1M Tris-HCL pH7.5 112mL 終濃度50mM
40bR (A600=89) 500mL 終濃度A600=20
水 1488mL
全量 2240mL
[反応条件]
反応温度は30℃、400rpmの速度で、ジャーファーメンター中で撹拌しながら、通気量(3L/min)での酸化条件において反応を行った。
【0029】
反応中の組成変化を図2に示した。横軸が反応時間、縦軸がそれぞれの物質の濃度を示している。■が基質である1-アザイドD-ガラクチトール(6-アザイドL-ガラクチトール)、▲がHPLC分析で44.6分に溶出される6-アザイドL-タガトース、◆がHPLC分析で20.4分に溶出される6-アザイドL-ガラクトースである。
【0030】
[生産物の精製]
100時間反応後菌体を回収除去し、上清を反応生産物として回収した。その後、活性炭処理、脱塩(SK1B+IRA411)をした。減圧濃縮後の処理液からの生産物の分離は、DOWEX 50W-X2 (Ca型)カラム(Φ30×470mm)を用いて行った。カラム温度は50℃、サンプル30%溶液7.5mL、流速3mL/min、フラクション7.5mL/tube 分画した。
図3はその溶出パターンを示している。最初のピークが6-アザイド L-ガラクトースであり、二番目のピークが6-アザイド L-タガトースである。
【0031】
[構造の確認]
化4に本反応で予想される反応を示した。
【化4】

【0032】
用いたクレブジエラ・ニューモニエ40BRは、ガラクトースを酸化してL-タガトースを生産する能力を持つことから、第一の反応である6-アザイド L-ガラクチトールの2位を酸化して6-アザイド L-タガトースを生産したと考えられる。さらにこの菌は、L-ガラクトースに作用してL-タガトースを生産するD-アラビノースイソメラーゼを持っていることから、第二の反応である6-アザイド L-ガラクトースを生産したと予想される。
生産物の確認として最も直接的である糖の結晶のエックス線解析によって行った。それは精製した6-アザイド L-ガラクトースと思われるが結晶状に得ることができたので実施した。
【0033】
Nonius KappaCCD diffractometer を用いた6-アザイド L-ガラクトースのエックス線構造解析の結果の図4を下に示す。この構造は6-アザイド-アルファー L-ガラクトースであることを明確にしめしている。
【0034】
この構造確定の結果から、上記のような、6-アザイド L-ガラクチトールから生産された二種類の糖は、6-アザイド L-タガトースおよび6-アザイド L-ガラクトースであることが明らかになった。
【0035】
本発明においては、アザイド・ポリオールのアザイド・ケトースへの酸化と、アザイド・ケトースのアザイド・アルドースへの異性化を同一の微生物を用いて連続的に行った。しかし、両反応を個別に行うことも可能である。微生物反応を用いてまず、アザイド・ケトースを生産し、それを基質として新たにイソメラーゼを用いてさらにアザイド・アルドースへと異性化することも可能である。他のアザイド・ポリオールなど場合には同一の微生物が両酵素系を持っていない場合も考えられるからである。本発明は同一の微生物によって、一気に生産できるという非常に優位なものとなっている。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明においては、6-アザイド L-タガトースおよび6-アザイド L-ガラクトースを、D-ガラクトースから合成される1-アザイド D-ガラクチトールを出発原料として生産できることを明らかにした。これらのアザイド糖は具体的にはノジリマイシン関連物質の合成へ使用できることが容易に期待できるものであり、今後の研究が期待される。
また、これらのアザイド化合物は有機化学的手法では容易には相互変換できないため、これまで生産が困難である物質である。それをこのような微生物反応と酵素反応によって進むことを明らかにできたことは、今回生産法を明らかにした6-アザイド L-タガトースおよび6-アザイト
L-ガラクトースばかりでなく、各種の6-アザイド糖の生産が可能であることを示したこととなる。これは基本的には Izumoring の生産戦略を用いたものであり、各種のアザイド糖の体系的な生産が可能であることも示している。
【0037】
すなわち本発明においては6-アザイド・D-ガラクチトールを用いた。しかしIzumoringの戦略からすると、各種の6-アザイド・ポリオールを酸化し、さらに還元することによって多くの他の6-アザイド・ケトースや6-アザイド・アルドースを生産できることを示している。ケトースは必ずしもヘキソースには限る必要はなく、炭素数5のペントースにおいてもこの反応戦略は有効であることも当然である。この発明は、Izumoringの戦略がアザイド糖へも適用できることの証明であり、今後この手法を用いることで多くのアザイド糖の生産に利用できることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】原料となるヘキソースの6位がアザイド化されている、6-アザイド・ヘキシトールの一般的な製造の反応を示す化学式である。
【図2】実施例1の微生物反応における反応中の組成変化を示す図面(横軸:反応時間、縦軸:物質の濃度)である。■:基質である1-アザイドD-ガラクチトール(6-アザイドL-ガラクチトール)、▲:HPLC分析で44.6分に溶出される6-アザイドL-タガトース、◆:HPLC分析で20.4分に溶出される6-アザイドL-ガラクトース
【図3】実施例1の微生物反応における生産物のクロマトグラフィーによる溶出パターンを示す図面である。最初のピーク:6-アザイド L-ガラクトース、二番目のピーク:6-アザイド L-タガトース
【図4】NoniusKappaCCD diffractometer を用いた6-アザイド L-ガラクトースのエックス線構造解析の結果を示す図面である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘキソースの6位がアザイド化されている、6-アザイド・ヘキシトールを原料とし、2位を酸化し、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する能力を有するクレブジエラ属微生物。
【請求項2】
さらに、6-アザイド・ケトヘキソースを異性化して、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する能力を有する請求項1に記載のクレブジエラ属微生物。
【請求項3】
クレブジエラ・ニューモニエに属する微生物である請求項1または2に記載のクレブジエラ属微生物。
【請求項4】
クレブジエラ・ニューモニエ40BR(寄託番号IFO 3317)である請求項3に記載のクレブジエラ属微生物。
【請求項5】
6-アザイド・ポリオールに作用し、2位をケトースへ酸化することで、6-アザイド・ケトヘキソースを生成する、請求項1ないし4のいずれかに記載のクレブジエラ属微生物に由来する6-アザイド・ポリオール脱水素酵素。
【請求項6】
6-アザイド・ケトヘキソースを異性化することによって、6-アザイド・アルドヘキソースを生産する、請求項1ないし4のいずれかに記載のクレブジエラ属微生物に由来する、6-アザイド・アルドース異性化酵素。
【請求項7】
請求項1ないし4のいずれかに記載のクレブジエラ属微生物に由来する6-アザイド・ポリオール脱水素酵素および/または6-アザイド・アルドース異性化酵素を用いることを特徴とする6-アザイド・ケトヘキソースおよび/または6-アザイド・アルドヘキソースを製造する方法。
【請求項8】
請求項1ないし4のいずれかに記載のクレブジエラ属微生物に由来する6-アザイド・ポリオール脱水素酵素および/または6-アザイド・アルドース異性化酵素を用いて6-アザイド・ケトヘキソースおよび/または6-アザイド・アルドヘキソースを製造し、それらを原料とすることを特徴とする各種アザイド糖の製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−17146(P2010−17146A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−181469(P2008−181469)
【出願日】平成20年7月11日(2008.7.11)
【出願人】(506388060)合同会社希少糖生産技術研究所 (18)
【Fターム(参考)】