説明

微粒子の製造方法

【課題】均一な粒径を有する品質の高い微粒子を高い生産性で得ることができる酸化物、窒化物、炭化物等の微粒子の製造方法を提供すること。
【解決手段】微粒子製造用材料を熱プラズマ炎24中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、 前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を、可燃性材料中に分散させてスラリーにし、このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。 熱プラズマ炎中に導入する材料の形態としては、粉粒体状,コロイド溶液状,溶液状等も有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱プラズマ法を用いる微粒子の製造方法に関し、詳しくは、微細かつ均一な粒径を有する品質のよい微粒子を製造することが可能な微粒子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸化物微粒子,窒化物微粒子,炭化物微粒子等の微粒子は、半導体基板,プリント基板,各種電気絶縁部品などの電気絶縁材料や、ダイス,軸受などの高硬度高精度の機械工作材料や、粒界コンデンサ,湿度センサなどの機能性材料、精密焼結成形材料などの焼結体の製造や、エンジンバルブなどのような高温耐摩耗性が要求される材料などの溶射部品製造、さらには燃料電池の電極や電解質材料および各種触媒などの分野で用いられている。このような微粒子を用いることにより、焼結体や照射部品などにおける異種セラミックス同士や異種金属同士の接合強度や緻密性、あるいは機能性を向上させている。
【0003】
このような微粒子を製造する方法の一つに、気相法がある。気相法には、各種のガス等を高温で化学反応させる化学的方法と、電子やレーザなどのビームを照射して物質を分解・蒸発させ、微粒子を生成する物理的方法とがある。
【0004】
上記気相法の中の一つとして、熱プラズマ法がある。熱プラズマ法は、熱プラズマ中で原材料を瞬時に蒸発させた後、急冷凝固させ、微粒子を製造する方法であり、また、クリーンで生産性が高く、高温で熱容量が大きいため高融点材料にも対応可能であり、他の気相法に比べて複合化が比較的容易であるといった多くの利点を有する。このため、熱プラズマ法は、微粒子を製造する方法として積極的に利用されている。
【0005】
従来の熱プラズマ法を用いた微粒子の製造方法では、原材料物質を粉末状にし、この粉末状にされた原材料(粉末原材料,粉体)をキャリアガス等と共に、分散させて直接プラズマ中に投入することにより、微粒子を製造している。
【0006】
特許文献1には、粉末状にされた原材料を熱プラズマ炎中に導入する従来技術に関し、金属微粒子と被覆層との両粉末材料を複合化し、原料混合物を不活性又は還元性雰囲気の熱プラズマ炎中に供給して原材料を蒸発させて気相状態の混合物にした後、この混合物を急冷して、酸化物金属被覆微粒子を製造する方法が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開2000−219901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された微粒子の製造方法は、粉末状にされた原材料を直接熱プラズマ炎中に導入する手法を用いたものであり、粉末状にされた原材料は、凝集しやすく、単分散化するのは困難であるため、熱プラズマ炎中で完全に原材料を反応させることができず、生成される微粒子の均一性に悪影響を及ぼし、品質の低下を招く。また、原材料が粉末状であると、熱プラズマ炎中へ常に精確に一定量を供給し続けることが難しく、生成される微粒子も不均一になりやすい。
【0009】
本発明の目的は、前記従来技術に基づく問題点を解消し、本発明者らの先願である特願2003−415560号と同様に、均一な粒径を有する品質の高い微粒子を高い生産性で得ることができる微粒子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る微粒子の製造方法の第1の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を、可燃性材料中に分散させてスラリーにし、このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第2の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を分散媒と可燃性材料とを用いてスラリーにし、このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項2)。
【0012】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第3の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を分散媒中に分散させた後、さらに可燃性材料を加えてスラリーにし、このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項3)。
【0013】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第4の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を分散媒中に懸濁させてコロイド溶液とし、このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項4)。
【0014】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第5の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を可燃性材料中に懸濁させてコロイド溶液とし、このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項5)。
【0015】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第6の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を分散媒と可燃性材料中に懸濁させてコロイド溶液とし、このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項6)。
【0016】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第7の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を分散媒中に懸濁させた後、さらに可燃性材料を加えてコロイド溶液とし、このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項7)。
【0017】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第8の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を溶媒中に溶解させて溶液にし、この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項8)。
【0018】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第9の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を可燃性材料を用いて溶解させて溶液とし、この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項9)。
【0019】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第10の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を溶媒と可燃性材料とを用いて溶解させて溶液とし、この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項10)。
【0020】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第11の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料を溶媒中に溶解させた後、さらに可燃性材料を加えて溶液とし、この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項11)。
【0021】
また、本発明に係る微粒子の製造方法の第12の態様は、微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、前記微粒子製造用材料をキャリアガスと可燃性材料とを用いて分散させ、この分散させた微粒子製造用材料を前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする(請求項12)。
【0022】
本明細書中でいうスラリーとコロイド溶液並びに溶液の定義としては、液体中に普通の光学顕微鏡では認められないが、原子あるいは低分子よりは大きい固体粒子が分散した状態にあるものをコロイド溶液(ゾルとも呼ばれる)、これより大きい粒子、すなわち普通の光学顕微鏡で見える程度の大きさの粒子が分散した状態にあるものをスラリーとし、また、イオン化している状態にあるものを、過飽和状態となって析出物が存在している状態をも含めて溶液と、それぞれ呼んでいる。しかしながら、本発明は、このような分散状態の如何に関わるものではなく、要は、微粒子を形成するための前駆体を含めた微粒子製造用材料またはその分解物が、何らかの状態で気体を含めた分散媒中に分散している状態を出発状態とするものである。
【0023】
ここで、前記可燃性材料は、熱プラズマ炎の温度を上昇させるとともに、熱プラズマを安定させるような作用を有することが好ましい(請求項13)。なお、この可燃性材料としては、液体状または固体状の各種のものが使用可能である。固体状の可燃性材料を使用する場合は、固体状の可燃性材料を溶媒(溶媒として用いられている可燃性材料を含む)中に分散ないし溶解させて用いることが好ましい。
【0024】
また、前記スラリー,コロイド溶液,溶液または分散させた微粒子製造用材料に、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加することが好ましい(請求項14〜17)。
【0025】
また、前記微粒子を構成する成分は、原子番号3〜6,11〜15,19〜34,37〜52,55〜60,62〜79および81〜83の元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体,金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物であることが好ましい(請求項18)。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る微粒子の製造方法によれば、生産性が高く、均一な粒径を有し、品質の高い微粒子を製造することが可能である。
より具体的には、本発明に係る微粒子の製造方法によれば、従来知られている半導体基板,プリント基板,各種電気絶縁部品などの電気絶縁材料等への利用に加えて、燃料電池の電極や電解質材料および各種触媒などの新規な分野への応用が可能な高い機能性を有する微粒子を製造することが可能である。
【0027】
なお、可燃性材料を用いる場合には、分散媒と微粒子製造用材料との総質量に対する可燃性材料の質量を増加させることにより、本発明に係る微粒子の回収量を増加させることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
〔第一の実施形態〕
以下、本発明に係る微粒子の製造方法を実施するための第一の実施形態として、スラリーを用いて微粒子を製造する製造方法および製造装置について、添付の図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態に係る微粒子の製造方法を実施するための微粒子製造装置の全体構成を示す模式的断面図である。本実施形態に係る微粒子製造装置10は、熱プラズマを発生させるプラズマトーチ12と、微粒子製造用材料(以下、原材料という)をプラズマトーチ12内へ供給する原材料供給装置14と、微粒子を生成するチャンバ16と、生成された微粒子18を回収する回収部20とを含んで構成される。また、図2には、プラズマトーチ12付近の部分拡大図が示されている。
【0030】
図2に示すように、プラズマトーチ12は、石英管12aと、その外側を取り巻く高周波発振用コイル12bとで構成される。プラズマトーチ12の上部には、原材料とキャリアガスをプラズマトーチ12内に導入するための導入管12dがその中央部に設けられており、プラズマガス導入口12cがその周辺部に形成されている。
【0031】
プラズマガスは、プラズマガス供給源22からプラズマガス導入口12cに送りこまれる。プラズマガスとしては、例えば、アルゴン、窒素、水素、酸素等が挙げられる。プラズマガス供給源22には、例えば、2種類のプラズマガスが準備されている。プラズマガスは、プラズマガス供給源22からリング状のプラズマガス導入口12cを介して、矢印Pで示されるようにプラズマトーチ12内に送り込まれてくる。そして、高周波発振用コイル12bに高周波電流が供給されて、熱プラズマ炎24が発生する。
【0032】
なお、石英管12aの外側は、同心円状に形成された管(図示せず)で囲まれており、この管と石英管12aとの間に冷却水(図示せず)が循環して、石英管12aを水冷し、プラズマトーチ12内で発生した熱プラズマ炎24により石英管12aが高温になりすぎるのを防止している。
【0033】
原材料をプラズマトーチ12内へ供給する原材料供給装置14は、プラズマトーチ12の上部に設けられた導入管12dへ管26を介して接続されている。本発明の特徴は、原材料供給装置14から供給される原材料として、粉末原材料を可燃性材料としての可燃性溶媒に入れて攪拌しスラリー14aとしたもの、または、粉末原材料を分散媒中に入れて攪拌し、さらに、可燃性溶媒を加え攪拌し、スラリー14aとしたものが用いられることである。このスラリー14aが原材料供給装置14から供給される。
【0034】
原材料供給装置14には、スラリー14aを入れる容器14bと、容器14b中のスラリー14aを攪拌する攪拌機14cと、管26を介してスラリー14aに高圧をかけプラズマトーチ12内に供給するためのポンプ14dと、噴霧ガス供給源14eとが備えられている。押し出し圧力がかけられた噴霧ガスが、噴霧ガス供給源14eからスラリー14aと共に、矢印gで示されるように、導入管12dを介してプラズマトーチ12内へ供給される。これにより、スラリー14aがプラズマトーチ12内に噴霧され、スラリー14aを液滴化させることができる。噴霧ガスには、アルゴン、窒素、水素、酸素、空気等が用いられる。このように、スラリー14aに高圧をかけ、気体である噴霧ガスによりスラリーを噴霧する機構を二流体ノズル機構といい、スラリー14aを液滴化させる一つの方法として用いられる。
【0035】
一方、プラズマトーチ12の下方に隣接して設けられたチャンバ16では、微粒子18が生成される。つまり、原材料供給装置14からプラズマトーチ12内に噴霧された(液滴化された)スラリー14aは、熱プラズマ炎24中で反応して蒸発した気相状態の混合物となり、その直後にチャンバ16内で急冷され、微粒子18が生成される。
【0036】
チャンバ16の側方下部には、生成された微粒子18を回収する回収部20が設けられている。回収部20は回収室20aと、回収室20a内に設けられたフィルター20bと、回収室20a上部に設けられた管20cを介して接続された真空ポンプ(図示せず)とを備える。生成された微粒子18は、真空ポンプ(図示せず)で吸引されることにより、回収室20a内に引き込まれ、フィルター20b表面に留まった状態にされて回収される。
【0037】
次に、上述した微粒子製造装置10の作用を述べつつ、この微粒子製造装置10を用いて、本発明の第一の実施形態に係る、スラリーを用いた微粒子の製造方法について説明する。
【0038】
本実施形態に係る微粒子の製造方法では、まず、粉末状にされた原材料(以下、「粉末原材料」ともいう)を分散媒中に分散させ、この粉末原材料を分散させた分散媒中に、可燃性溶媒を添加・混合してスラリーにする。スラリー中の粉末原材料と分散媒と可燃性溶媒との質量比は、一例として4:3:3(40%:30%:30%)にすることが考えられるが、粉末原材料と分散媒と可燃性溶媒との質量比を適宜変更して、スラリーを作成することが可能である。
【0039】
より具体的には、粉末原材料と分散媒と可燃性溶媒との合計質量を100%として、粉末原材料はその内の1〜80%、また、この残りを100%とした場合に、分散媒はその内の1〜99%、可燃性溶媒はその内の99〜1%の範囲内で、かつ、合計質量が常に100%となる範囲内で適宜変更してもよい。
【0040】
ここで、粉末原材料は、熱プラズマ炎により蒸発させられるものであれば、その種類を問わないが、好ましくは、以下のものがよい。すなわち、原子番号3〜6,11〜15,19〜34,37〜52,55〜60,62〜79および81〜83の元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体,金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物を適宜選択すればよい。
【0041】
なお、単体酸化物とは酸素以外に1種の元素からなる酸化物をいい、複合酸化物とは微粒子が複数種の酸化物から構成されるものをいい、複酸化物とは2種以上の酸化物からできている高次酸化物をいい、酸化物固溶体とは異なる酸化物が互いに均一に溶け合った固体をいう。また、金属とは1種以上の金属元素のみで構成されるものをいい、合金とは2種類以上の金属元素から構成されるものをいい、その組織状態としては、固溶体,共融混合物,金属間化合物あるいはそれらの混合物をなす場合がある。
【0042】
また、水酸化物とは水酸基と1種類以上の金属元素から構成されるものをいい、炭酸化合物とは炭酸基と1種以上の金属元素から構成されるものをいい、ハロゲン化物とはハロゲン元素と1種以上の金属元素から構成されるものをいい、硫化物とは硫黄と1種以上の金属元素から構成されるものをいう。また、窒化物とは窒素と1種以上の金属元素から構成されるものをいい、炭化物とは炭素と1種以上の金属元素から構成されるものをいい、水素化物とは水素と1種類以上の金属元素から構成されるものをいう。また、金属塩は少なくとも1種以上の金属元素を含むイオン性化合物をいい、金属有機化合物とは1種類以上の金属元素と少なくともC,O,N元素のいずれかとの結合を含む有機化合物をいい、金属アルコキシドや有機金属錯体等が挙げられる。
【0043】
例えば、単体酸化物としては、酸化チタン(TiO),酸化ジルコニウム(ZrO),酸化カルシウム(CaO),酸化珪素(SiO),酸化アルミニウム(アルミナ:Al),酸化銀(AgO),酸化鉄、酸化マグネシウム(MgO),酸化マンガン(Mn),酸化イットリウム(Y),酸化セリウム、酸化サマリウム,酸化ベリリウム(BeO),酸化バナジウム(V),酸化クロム(Cr),酸化バリウム(BaO)などを挙げることができる。
【0044】
また、複合酸化物としては、アルミン酸リチウム(LiAlO),バナジウム酸イットリウム,リン酸カルシウム,ジルコン酸カルシウム(CaZrO),ジルコン酸チタン鉛,酸化チタン鉄(FeTiO),酸化チタンコバルト(CoTiO)を、複酸化物としては、錫酸バリウム(BaSnO),(メタ)チタン酸バリウム(BaTiO),チタン酸鉛(PbTiO),チタン酸バリウムに酸化ジルコニウムと酸化カルシウムが固溶した固溶体などを挙げることができる。
さらに、水酸化物としてはZr(OH)、炭酸化合物としてはCaCO、ハロゲン化物としてはMgF、硫化物としてはZnS、窒化物としてはTiN、炭化物としてはSiC、水素化物としてはTiH等を挙げることができる。
【0045】
また、ここで用いる可燃性溶媒は、熱プラズマ炎24を安定させるような作用を有するもので、沸点20℃〜400℃のものであればよい。可燃性溶媒としては、ケロシンやガソリン,オクタン,アルコール類等が用いられる。この可燃性溶媒を粉末原材料が分散されている分散媒中に導入することにより、反応場の温度が上昇し反応が促進されることに加え、可燃性溶媒自身の燃焼により炎が拡大されるため、反応に用いる熱プラズマ炎24が可燃性溶媒を用いない場合より安定し、安定した連続運転を実施することができる。
【0046】
なお、前述の通り、この可燃性材料としては、液体状のみならず、各種の固体状のものも使用可能である。固体状の可燃性材料を使用する場合には、固体状の可燃性材料を溶媒(溶媒として用いられている可燃性材料を含む)中に分散ないし溶解させて用いることが好ましい。
【0047】
さらに、スラリー14aを作成する際に、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加してもよい。界面活性剤としては、例えばノニオン性界面活性剤であるソルビタン脂肪酸エステル、高分子としては、例えばポリアクリル酸アンモニウム、カップリング剤としては、例えばシランカップリング剤等が用いられる。界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物をスラリー14aに添加することにより、粉末原材料が液中で凝集することをより効果的に防いで、スラリー14aを安定化させることができる。なお、スラリー14aの分散媒には、例えば、水,アルコール等の液体が用いられる。
【0048】
上記のようにして作成されたスラリー14aは、図1に示されるように、原材料供給装置14の容器14b内に入れられ、攪拌機14cで攪拌される。これにより、液中の粉末原材料が沈殿することを防止し、粉末原材料が分散された状態のスラリー14aが維持される。
【0049】
次に、液滴化させたスラリー14aを、噴霧ガス供給源14eから供給される噴霧ガスにより熱プラズマ炎24中に導入してスラリー14aを蒸発させ、気相状態の混合物にする。つまり、液滴化されたスラリー14aは、プラズマトーチ12内に供給されることにより、プラズマトーチ12内に発生している熱プラズマ炎24中に導入され、蒸発する結果、気相状態の混合物となる。
【0050】
なお、液滴化されたスラリー14aが熱プラズマ炎24中で気相状態になる必要があるため、熱プラズマ炎24の温度は、熱プラズマ炎24中に導入される液滴化されたスラリーに含まれる原材料の沸点よりも、高いことが必要である。一方、熱プラズマ炎24の温度が高いほど、原材料が容易に気相状態になるので好ましいが、特に温度は限定されず、原材料に応じて温度が適宜選択される。例えば、ガス条件等を変更することにより熱プラズマ炎24の温度を6000℃とすることもできるし、理論上は、10000℃程度に達するものと考えられる。
【0051】
また、プラズマトーチ12内における熱プラズマ炎24の雰囲気は、大気圧以下であることが好ましい。大気圧以下の雰囲気については、特に限定されないが、例えば5Torr〜750Torrとすることが考えられる。
【0052】
熱プラズマ炎24中で反応しスラリー14aを蒸発させた気相状態の混合物をチャンバ16内で急冷することにより、微粒子18が生成される。生成された微粒子18は、真空ポンプ(図示せず)により吸引され、回収部20のフィルター20bで回収される。
【0053】
また、本実施形態に係る微粒子の製造方法においては、粉末原材料を可燃性溶媒中に直接分散させてスラリー14aとしてもよく、必ずしも、粉末原材料を分散させた分散液に、可燃性溶媒を加えてスラリーにする必要はない。
【0054】
また、噴霧ガス(またはキャリアガス)としては、一般には、空気,窒素,アルゴンまたは水素等の使用が考えられるが、生成される微粒子が酸化物粒子の場合には、前記噴霧ガス(またはキャリアガス)として酸素を用いるとよい。
【0055】
本実施形態に係る製造方法により製造される微粒子は、その粒度分布幅が狭い、すなわち均一な粒径を有し、粗大粒子の混入が少なく、具体的には、その平均粒径は、1nmから200nmである。本実施形態に係る微粒子の製造方法では、例えば酸化物微粒子、より詳しくは、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体等の微粒子を製造することができる。また、さらに、金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物等を原材料とする化学変化を伴う微粒子も製造することができる。
【0056】
本実施形態に係る製造方法のように、粉末原材料が分散媒中に分散された状態では、粉末原材料の凝集が解消され、分散媒中で原材料の粒子が分散した状態となっている。このような分散媒中に可燃性溶媒を導入することにより、反応温度が上昇し、熱プラズマ炎発生領域が拡大される。この作用を受けて、反応が促進され、粉末原材料の蒸発量が増加することにより、本実施形態に係る製造方法では、生成される微粒子の回収率が増加する。さらに、可燃性溶媒の燃焼による炎の発生により、熱プラズマ発生領域が拡大し、熱プラズマ炎の安定性が得られるため、安定した連続運転を実施することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る製造方法では、液滴化させたスラリー14aをプラズマトーチ12内に供給するので、粉末原材料を直接供給する従来の方法に比べて、供給量を常に一定に制御することが容易となる。これにより、熱プラズマ炎24中に、常に一定量の液滴化したスラリーを導入して反応させることが可能になり、生成される微粒子は組成制御され、粗大粒子ができにくく、粒径分布が狭く粒径が均一で、品質の良い高純度な微粒子を製造することができる。
【0058】
さらに、粉末原材料はスラリー14aにされるので、微粒子の原材料となる金属塩を溶液に溶解させて溶解液とする場合のように、原材料の溶解度による制限がない。つまり、スラリー14aは、液中に、その溶解度以上の量の粉末原材料を混入させることができる。このため、生成される微粒子の量産性を増大させることができる。
【0059】
さらに、液中に粉末原材料を入れて攪拌するだけでスラリー14aにすることができるので、原材料を調製する等の取り扱いが容易である。
なお、気相状態の混合物をチャンバ16内で効率的に急冷するために、チャンバ16内に冷却用のガスを吹き込むこと、あるいは生成された微粒子がチャンバ16内壁に付着するのを防止するためにチャンバ16の内壁に沿ってガスを吹き込むことが好ましい。
【0060】
〔第二の実施形態〕
次に、本発明の第二の実施形態として、コロイド溶液を用いて微粒子を製造する製造方法について説明する。
【0061】
前述の通り、本明細書中では、スラリーとコロイド溶液の差異は、主として、液体中に分散されている粒子の大きさや形状にあるものとしている。コロイド粒子は、必ずしも一般的な粒子の形状でなくてもよく、非晶質であってもよい。従って、本実施形態に係る微粒子の製造方法に用いる微粒子製造装置は、上述した第一の実施形態で使用した微粒子製造装置(図1参照)と同様の構成をとることができる。そこで、上述した微粒子製造装置を用いる微粒子の製造方法について、以下に説明する。
【0062】
本実施形態に係る微粒子の製造方法におけるコロイド溶液の調製方法としては、例えば、各種の金属アルコキシドを原料として用いるゾル−ゲル法(金属アルコキシド法または単にアルコキシド法と呼ばれる)がある。ここで使用する溶媒としては、アルコール系溶媒(エタノール,プロパノール等)が好適に用い得る。ゾル−ゲル法以外に、共沈法やエマルジョン法など様々な液相合成法で、コロイド溶液を調製することができる。
【0063】
金属アルコキシドとしては、種々の金属を原料とするものが市販されており、例えば、Si、Ti,Zr,Al等、あるいはLa−Al,Mg−Al,Ni−Al,Zr−Al,Ba−Zr(二金属アルコキシド)等を原料とするものが挙げられる。これらの金属アルコキシドは、通常は固体であるが、液体の場合もある。
【0064】
可燃性材料(可燃性溶媒)を用いる場合には、前記実施形態の説明中で説明した各種のものが好適に用い得る。この可燃性材料を上述のコロイド溶液と混合することにより、反応温度が上昇し反応が促進されることに加え、可燃性材料自身の燃焼により炎が拡大されるため、反応に用いる熱プラズマ炎がより安定することにより、安定した連続運転を実施することが可能になる。
【0065】
上述したように、微粒子製造用材料と、溶媒と、可燃性材料とを分散・混合して調製されたコロイド溶液を、図1に示す原材料供給装置14の容器14bに投入し、攪拌機14cで十分に攪拌する。これにより、コロイド溶液中における分散状態が良好に維持される。なお、微粒子製造用材料と、溶媒と、可燃性材料とを容器14bに投入し、上記コロイド溶液を原材料供給装置14で調製するようにしてもよい。
【0066】
以後は、前述の実施形態に示した、粉末原材料をスラリーにして使用した微粒子の製造方法と同様の方法で微粒子を生成する。
本実施形態に係る微粒子の製造方法により製造される微粒子は、その粒度分布幅が狭い、すなわち均一な粒径を有し、粗大粒子の混入が少なく、具体的には、その平均粒径は3〜70nmである。
【0067】
本実施形態に係る微粒子の製造方法によっても、例えば酸化物微粒子、より詳しくは、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体等の微粒子を製造することができる。また、さらに、金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物等を原材料とする化学変化を伴う微粒子も製造することができる。
【0068】
〔第三の実施形態〕
次に、本発明の第三の実施形態として、溶媒に原材料を溶解させた溶液を使用する微粒子の製造方法について説明する。なお、本実施形態において使用する原材料(微粒子製造用原材料)の形態は、固体,液体、その他どのようなものであっても構わない。
本実施形態に係る微粒子の製造方法に用いる微粒子製造装置も、前述した第一の実施形態で使用した微粒子製造装置(図1参照)と同様の構成をとることができる。そこで、上述した微粒子製造装置を用いる微粒子の製造方法について、以下に説明する。
【0069】
本実施形態に係る微粒子の製造方法では、まず、原材料を溶媒中に溶解させて溶液にする。前述の通り、ここでいう溶液とは、イオン化している状態にあるものを、過飽和状態となって析出物が存在している状態をも含めて呼んでいる。ここで使用する溶媒としては、水,酸,アルカリ,アルコール,ケトン,エーテル等が好適に用い得る。また、原材料は、使用する溶媒に溶解するものであるため、使用する溶媒によって制限されるが、硝酸塩,酢酸塩,アンモニウム塩,水酸化物,金属アルコキシド,有機金属錯体等が用い得る。
【0070】
上述のように溶液を調製する場合、その濃度は飽和溶解度、あるいはこれをある程度まで超えた濃度(過飽和状態)まで濃くすることができる。また、この溶液に可燃性材料を添加・混合することができる。原材料と、溶媒並びに可燃性材料の混合比については前述の通りである。
【0071】
なお、原材料として金属塩または金属アルコキシドを用いる場合は、これらを溶媒中に溶解させることで溶液を調製する。
ここで、金属塩としては、原子番号3〜6,11〜15,19〜34,37〜52,55〜60,62〜79および81〜83の元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素を含むイオン性化合物から選択すればよい。具体的には、硝酸アルミニウム,硝酸亜鉛,硝酸イットリウム,硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム,塩化チタン等を挙げることができる。
【0072】
なお、金属アルコキシドを用いる場合は、前述の第二実施形態に示したものの他にも、Li,Na,Cu,Ca,Sr,Ba,Zn,B,Al,Ga,Y,Si,Ge,Pb,P,Sb,V,Ta,W,La,Nd等の種々の金属のアルコキシドを用いることが可能である。
【0073】
また、可燃性材料(可燃性溶媒)については、前記実施形態の説明中で説明した各種のものが好適に用い得る。この可燃性材料と金属塩溶液とを混合することにより、反応温度が上昇し反応が促進されることに加え、可燃性材料自身の燃焼により炎が拡大されるため、反応に用いる熱プラズマ炎がより安定することにより、安定した連続運転を実施することが可能になる。
【0074】
上述したように、微粒子製造用材料である金属塩と、溶媒と、可燃性材料とを混合して調製された溶液を、図1に示す原材料供給装置14の容器14bに投入し、攪拌機14cで十分攪拌する。これにより、上記溶液中で、金属塩と可燃性材料が均一に分散された状態である溶液が維持される。なお、金属塩と、溶媒と、可燃性材料とを容器14bに投入し、上記溶液を原材料供給装置14で調製するようにしてもよい。
【0075】
以後は、前述の実施形態に示した、粉末原材料をスラリーにして使用した微粒子の製造方法と同様の方法で微粒子を生成する。
本実施形態に係る微粒子の製造方法により製造される微粒子は、その粒度分布幅が狭い、すなわち均一な粒径を有し、粗大粒子の混入が少なく、具体的には、その平均粒径は3〜100nmである。
【0076】
本実施形態に係る微粒子の製造方法では、粉末原材料を溶媒中に溶解させた溶液を使用するため、微粒子を製造する際の原料となる金属を容易に分散させることができ、その分散性も非常に高い。従って、より微細でかつ均一な粒径を有する微粒子を生成することができる。
【0077】
〔第四の実施形態〕
次に、本発明の第四の実施形態として、粉末原材料を(溶媒等を用いずに)分散させて熱プラズマ炎中に導入する微粒子の製造方法について説明する。
本実施形態に係る微粒子の製造方法に用いる微粒子製造装置は、前述した第一〜第三の実施形態において使用した微粒子製造装置(図1参照)の原材料供給装置14を、粉末原材料を使用するのに適した装置に変更した微粒子製造装置を使用して、微粒子を製造する。但し、ここでも、上述した第一〜第三の実施形態と同様に、粉末原材料が熱プラズマ炎中に導入される際に、分散されている必要がある。
【0078】
そこで、本実施形態における材料供給装置は、粉末原材料を分散状態(いわゆる、一次粒子の状態)に維持しつつ定量的にプラズマトーチ内部の熱プラズマ炎中に導入することができるものが好ましい。このような機能を有する材料供給装置として、例えば特許第3217415号公報に開示されている粉体分散装置のような装置が利用可能である。
以下、まず、本実施形態に用いる微粒子製造装置について説明する。
【0079】
図3に、微粒子製造用材料として粉末材料(つまり、粉末原材料)を使用する場合の原材料供給装置140の概略構成を示した。図3に示す原材料供給装置140は、主に、粉末原材料を貯蔵する貯蔵槽142と、粉末原材料を定量搬送するスクリューフィーダ160と、このスクリューフィーダ160で搬送された粉末原材料を、最終的に散布される前に一次粒子の状態に分散させる分散部170とから構成されている。
【0080】
上述の貯蔵槽142には、図示されていないが、排気用配管および吸気用配管が設けられている。また、この貯蔵槽142はオイルシール等で密封された圧力容器であり、内部の雰囲気を制御することができるように構成されている。また、貯蔵槽142の上部には粉末原材料を導入する導入口(図示されていない)が設けられており、粉末原材料144がこの導入口から貯蔵槽142内部に投入され、貯蔵される。
【0081】
貯蔵槽142の内部には、貯蔵されている粉末原材料144の凝集を防止するために、攪拌軸146とそれに接続された攪拌羽根148とが設けられている。攪拌軸146は、オイルシール150aと軸受152aによって貯蔵槽142で回転可能に配設されている。また、貯蔵槽142外部にある攪拌軸146の端部は、モータ154aに接続されており、図示されていない制御装置によってその回転が制御される。
【0082】
また、貯蔵槽142の下部には、スクリューフィーダ160が設けられ、粉末原材料144の定量的な搬送を可能にしている。スクリューフィーダ160は、スクリュー162と、スクリュー162の軸164と、ケーシング166と、スクリュー162の回転動力源であるモータ154bとを含んで構成されている。スクリュー162と軸164とは、貯蔵槽142内下部を横切って設けられている。また、軸164は、オイルシール150bと軸受152bとによって貯蔵槽142内で回転可能に配設されている。
【0083】
貯蔵槽142外部にある軸164の端部は、モータ154bに接続されており、図示されていない制御装置によってその回転が制御される。さらに、貯蔵槽142下部の開口部と、後述する分散部170とを接続し、スクリュー162を包む筒状通路であるケーシング166が設けられている。このケーシング166は、分散部170の内部途中まで延設されている。
【0084】
図3に示すように、分散部170は、ケーシング166の一部に外挿固定された外管172と、軸164の先端部に植設された回転ブラシ176を有し、スクリューフィーダ160によって定量搬送された粉末原材料144を一次分散させることができる。
外管172の外挿固定された端部と反対側の端部は、その形状が円錐台形状であり、その内部にも円錐台形状の空間である分散室174を有する。また、その端部には分散部170で分散された粉末原材料を搬送する搬送管182が接続される。
【0085】
ケーシング166は、その先端が開口しており、その開口部を越えて外管172内部の分散室174まで軸164が延設され、軸164の先端には回転ブラシ176が設けられている。外管172の側面には気体供給口178が設けられており、また、ケーシング166の外壁と外管172の内壁とによって設けられる空間は、導入される気体が通過する気体通路180を構成している。
【0086】
回転ブラシ176は、ナイロン等の比較的柔軟な材料、あるいは鋼線等の硬質な材料からなる針状部材で、ケーシング166の先端部近傍の内部から分散室174の内部まで、軸164の径方向に延出して密集植設されて形成されている。ここで、上記針状部材の長さは、ケーシング166内の周壁に針状部材の先端が当接する程度の長さである。
【0087】
分散部170では、分散・搬送用の気体が、図示されていない圧力気体供給源から気体供給口178,気体通路180を通って回転ブラシ176の径方向外側から回転ブラシ176に向けて噴出され、定量的に搬送される粉末原材料144が、回転ブラシ176の針状部材間を通過することで一次粒子に分散される。
【0088】
分散室174の円錐台形の母線と前述のスクリュー162の軸164とのなす角度は、30度程度の角度となるように配設されている。また、この分散室174の容積は小さい方が好ましく、容積が大きいと回転ブラシ176で分散された粉末原材料144が搬送管182に入る前に分散室174の内壁に付着し、これが再飛散するために、供給される分散材料の濃度が一定しなくなるという問題が生じる。
【0089】
搬送管182は、その一端は外管172と接続され、他端はプラズマトーチ12に接続される。また、搬送管182は、その管径の10倍以上の管長を有し、少なくとも途中に分散された材料を含む気体の流速が20m/sec以上になるような管径部分を設けることが好ましい。これにより、分散部170で一次粒子の状態に分散された粉末原材料144の凝集を防止し、この状態を維持したまま、粉末原材料144をプラズマトーチ12内部に散布することができる。
【0090】
本実施形態に係る微粒子製造装置は、上述したような構成を有する原材料供給装置140が、図1,図2に示すプラズマトーチ12に接続されることを除き、第一〜第三の実施形態における装置構成と同様の構成を有するので、これを用いて本実施形態における微粒子の製造方法を実施することができる。
【0091】
次に、本実施形態における微粒子の製造方法について説明する。
微粒子製造用材料として使用する粉末原材料には、自身が燃焼することによって熱プラズマ炎を安定化させる可燃性材料を添加・混合することができる。このとき、粉末原材料と可燃性材料との質量比は適宜選択してよく、例えば、粉末原材料と可燃性材料との質量比を95:5とするとよい。また、ここで、粉末原材料は、熱プラズマ炎中で蒸発させることができるものであり、その粒径が10μm以下程度であることが好ましい。
【0092】
粉末原材料としては、前述の各実施形態において用いたと略同様に、原子番号3〜6,11〜15,19〜34,37〜52,55〜60,62〜79および81〜83の元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体,金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物を適宜選択すればよい。
【0093】
具体的には、例えば、グラファイト,酸化チタン,酸化アルミニウム,アルミニウム,シリカ,シリコン等を挙げることができる。
また、可燃性材料としては、生成される微粒子中に不純物として残らない元素、例えばC,H,O,Nで構成されるものが好適に用い得る。具体的には、例えば、クエン酸,グリセリン,エチレングリコール等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0094】
上述したような粉末原材料と可燃性材料との混合物が均一に混ざるように十分に攪拌し、この混合物を原材料供給装置140の貯蔵槽142に投入する。ここで、粉末原材料と可燃性材料とを貯蔵槽142に投入した後に攪拌してもよい。
上記混合物は、プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に散布される。散布された粉末原材料が、蒸発した気相状態の混合物となり、その後、チャンバ16内で急冷されることにより、上記気相状態の混合物の微粒子が生成される。
【0095】
本実施形態に係る微粒子の製造方法では、粉末原材料を可燃性材料とともに熱プラズマ炎24中に散布するようにしたため、高温度で、微粒子を容易に分散させることができ、より微細でかつ均一な粒径を有する微粒子を生成することができる。
【0096】
以下に、第一〜第四の各実施形態について、具体的実施例を説明する。
【0097】
〔実施例1〕
先に説明した図1に示した微粒子製造装置を用い、原材料としてスラリーを用いる際の実施例を説明する。
【0098】
第一の実施形態に係る微粒子の製造方法により、酸化アルミニウム(Al)の微粒子を製造した。まず、粉末原材料,分散剤(ソルビタン脂肪酸エステル),分散媒としてのアルコールとを混合し、それらと直径0.5mmのジルコニアビーズをビーズミル(寿工業株式会社製)に投入し、この混合溶液を粉砕処理した。このとき、粉末原材料として、酸化チタン,酸化ジルコニウム,酸化カルシウム,酸化珪素,酸化アルミニウム,酸化銀,酸化鉄,酸化マグネシウム,酸化マンガン,酸化イットリウム,酸化セリウム,酸化サマリウム,酸化ベリリウム,酸化バナジウム,酸化クロム,酸化バリウムなどを用い、質量比が粉末原材料:分散剤:アルコール=65:1:34となるように混合したものを用いた。
【0099】
粉砕した粉末原材料と分散剤を含むアルコール混合液に、さらに可燃性材料としてケロシン(和光純薬工業株式会社製、ケロシン(Sp.Gr.0.78〜0.79))を混入させ攪拌し、酸化アルミニウムの原料となるスラリーを作成した。このとき、可燃性溶媒であるケロシンと、上述の粉砕処理した粉末原材料と分散剤を含むアルコール混合液との総質量に対するケロシン量[wt%]を、0[wt%],15[wt%],30[wt%]と変化させてスラリー14aを作成した。
【0100】
また、プラズマトーチ12の高周波発振用コイル12bには、約4MHz、約80kVAの高周波電圧を印加し、プラズマガスとして、アルゴンガス40リットル/分、酸素50リットル/分の混合ガスを用い、プラズマトーチ12内にアルゴン−酸素熱プラズマ炎を発生させた。また、反応温度が、約8000℃になるように制御し、原材料供給装置14の噴霧ガス供給源14eからは、10リットル/分の噴霧ガスを供給した。
【0101】
酸化アルミニウム(Al)のスラリーは、噴霧ガスであるアルゴンガスとともに、プラズマトーチ12内の熱プラズマ炎24中に導入した。
【0102】
上記のようにして生成された微粒子をX線回折装置で測定した結果、酸化アルミニウムであることを確認した。図4に、このときの粉砕処理した粉末原材料と分散剤を含むアルコール混合液との総質量に対するケロシン量[wt%]と、本発明に係る微粒子の回収量[g/hr]との関係を表わしたグラフを示す。
【0103】
図4に示すグラフより、微粒子を製造する場合におけるケロシンの使用が、本発明に係る微粒子の収量を増加させること、さらに、可燃性溶媒であるケロシンと、分散媒であるアルコールと、上述の粉砕した粉末原材料と、分散剤であるソルビタン脂肪酸エステルとの総質量に対するケロシンの量[wt%]を増加させることにより、回収量が増加することは明らかである。
【0104】
なお、上記のようにして生成された酸化アルミニウム微粒子の比表面積(1グラム当たりの表面積)から換算した粒子径は、15nmであった。また、生成された微粒子の収率は、投入した粉末原材料の量に対して約50%であった。
【0105】
〔実施例2〕
先に説明した図1に示した微粒子製造装置を用い、原材料としてコロイド溶液を用いる際の実施例を説明する。
【0106】
本実施例では、第二の実施形態に係る微粒子の製造方法により、酸化アルミニウム(Al)の微粒子を製造した。コロイド溶液の調製には、Alアルコキシドを原料として用い、ゾル−ゲル法を用いた。溶媒としては、エタノールを使用した。また、可燃性材料としては、実施例1で用いたと同じケロシン(和光純薬工業株式会社製、ケロシン(Sp.Gr.0.78〜0.79))を用いた。ケロシンの添加量は、粉末原材料を含むエタノール混合液の総質量に対するケロシン量[wt%]で15[wt%]とした。
【0107】
上記微粒子製造用材料と、溶媒と、可燃性材料とを分散・混合して調製されたコロイド溶液を、図1に示す原材料供給装置14の容器14bに投入し、攪拌機14cで十分に攪拌した。
以後は、実施例1と同様の方法で微粒子を生成させた。また、プラズマトーチの駆動条件等も、実施例1と同様とした。
本実施例において製造される微粒子の平均粒径は、15nmであった。
【0108】
〔実施例3〕
先に説明した図1に示した微粒子製造装置を用い、原材料として溶媒に原材料を溶解させた溶液を用いる際の実施例を説明する。
【0109】
本実施例では、第三の実施形態に係る微粒子の製造方法により、硝酸アルミニウム(Al(NOの微粒子を製造した。まず、金属塩である硝酸アルミニウムを水に溶解させ、20wt%の硝酸アルミニウム水溶液を調製した。なお、金属塩としては、酢酸塩,塩化物,水酸化物,蓚酸塩,炭酸塩,アンモニウム塩なども用い得る。
また、可燃性材料としては、実施例1で用いたと同じケロシン(和光純薬工業株式会社製、ケロシン(Sp.Gr.0.78〜0.79))を用いた。ケロシンの添加量は、粉末原材料を含む水溶液の総質量に対するケロシン量[wt%]で15[wt%]とした。
【0110】
上記微粒子製造用材料水溶液と、可燃性材料とを溶解・混合して調製された溶液を、図1に示す原材料供給装置14の容器14bに投入し、攪拌機14cで十分に攪拌した。
以後は、実施例1と同様の方法で微粒子を生成させた。また、プラズマトーチの駆動条件等も、実施例1と同様とした。
本実施例において製造される微粒子の平均粒径は、15nmであった。
【0111】
〔実施例4〕
先に説明した図1に示した微粒子製造装置において、材料供給装置を図3に示したものに置き換えた装置を用い、原材料として可燃性材料を含む粉末原材料を用いる際の実施例を説明する。
【0112】
本実施例では、第四の実施形態に係る微粒子の製造方法により、複酸化物、すなわち二種類以上の酸化物から構成される高次酸化物微粒子である、チタン酸バリウム(BaTiO)微粒子を製造した。なお、ここでは、チタン酸バリウム(BaTiO)が、熱プラズマ炎中で容易に蒸発するように、粒径が10μm以下の粉末原材料を使用した。
【0113】
また、可燃性材料としては、実施例1で用いたと同じケロシン(和光純薬工業株式会社製、ケロシン(Sp.Gr.0.78〜0.79))を用いた。ケロシンの添加量は、粉末原材料を含む可燃性材料の総質量に対するケロシン量[wt%]で15[wt%]とした。
また、プラズマトーチの駆動条件等も、実施例1と同様とした。
本実施例において製造される微粒子の平均粒径は、15nmであった。
【0114】
以上、本発明の微粒子の製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の微粒子の製造方法を実施するための微粒子の製造装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】プラズマトーチ付近の部分拡大図である。
【図3】粉末原材料をそのまま使用する場合の材料供給装置の概略構成を示す断面図である。
【図4】粉砕処理した粉末原材料と分散剤を含むアルコール混合液との総質量に対するケロシン量[wt%]と、本発明に係る微粒子の回収量[g/hr]との関係を表わしたグラフを示す図である。
【符号の説明】
【0116】
10 微粒子製造装置
12 プラズマトーチ
12a 石英管
12b 高周波発振用コイル
12c プラズマガス導入口
12d 導入管
14 原材料供給装置
14a スラリー
14b 容器
14c 攪拌機
14d ポンプ
14e 噴霧ガス供給源
16 チャンバ
18 微粒子
20 回収部
20a 回収室
20b フィルター
20c 回収室上部に設けられた管
22 プラズマガス供給源
24 熱プラズマ炎
26 管
140 原材料供給装置
142 貯蔵槽
144 粉末原材料
146 攪拌軸
148 攪拌羽根
150a,150b オイルシール
152a,152b 軸受
154a,154b モータ
160 スクリューフィーダ
162 スクリュー
164 (スクリューの)軸
166 ケーシング
170 分散部
172 外管
174 分散室
176 回転ブラシ
178 気体供給口
180 気体通路
182 搬送管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を、可燃性材料中に分散させてスラリーにし、
このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項2】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒と可燃性材料とを用いてスラリーにし、
このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項3】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒中に分散させた後、さらに可燃性材料を加えてスラリーにし、
このスラリーを液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項4】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒中に懸濁させてコロイド溶液とし、
このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項5】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を可燃性材料中に懸濁させてコロイド溶液とし、
このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項6】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒と可燃性材料中に懸濁させてコロイド溶液とし、
このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項7】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を分散媒中に懸濁させた後、さらに可燃性材料を加えてコロイド溶液とし、
このコロイド溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項8】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を溶媒中に溶解させて溶液にし、
この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項9】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を可燃性材料を用いて溶解させて溶液とし、
この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項10】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を溶媒と可燃性材料とを用いて溶解させて溶液とし、
この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項11】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料を溶媒中に溶解させた後、さらに可燃性材料を加えて溶液とし、
この溶液を液滴化させて前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項12】
微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入することにより気相状態の混合物にし、
前記気相状態の混合物を急冷することにより、微粒子を生成することを特徴とする微粒子の製造方法であって、
前記微粒子製造用材料を熱プラズマ炎中に導入する過程が、
前記微粒子製造用材料をキャリアガスと可燃性材料とを用いて分散させ、
この分散させた微粒子製造用材料を前記熱プラズマ炎中に導入するものであることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項13】
前記可燃性材料は、熱プラズマを安定させるような作用を有するものである請求項1〜3,5〜7,9〜12のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項14】
前記スラリーに、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項15】
前記コロイド溶液に、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加することを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項16】
前記溶液に、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加することを特徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項17】
前記分散させた微粒子製造用材料に、界面活性剤,高分子,カップリング剤よりなる群より選ばれる1種または2種以上の混合物を添加することを特徴とする請求項12に記載の微粒子の製造方法。
【請求項18】
前記微粒子を構成する成分は、原子番号3〜6,11〜15,19〜34,37〜52,55〜60,62〜79および81〜83の元素よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む、単体酸化物,複合酸化物,複酸化物,酸化物固溶体,金属,合金,水酸化物,炭酸化合物,ハロゲン化物,硫化物,窒化物,炭化物,水素化物,金属塩または金属有機化合物である請求項1〜17のいずれかに記載の微粒子の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−102737(P2006−102737A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46086(P2005−46086)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【出願人】(000226954)日清エンジニアリング株式会社 (30)
【Fターム(参考)】