説明

微粒子及びその製造方法、トナー及びその製造方法、並びに現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置

【課題】熱変換効率と生産性の高いトナーを製造することができ、銀塩画像に匹敵する細線再現性及び階調性の優れた電子写真画像を形成することができるトナー及びその製造方法等の提供。
【解決手段】粘性材料をチャンバー内に排出しながら該粘性材料に高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、該チャンバー内に冷却用エアーを流入させて造粒する微粒子の製造方法及び該微粒子の製造方法により製造された微粒子である。少なくとも結着樹脂及び着色剤含有する混合物を、加圧下で混練、又は超臨界流体を注入して混練した後、得られた混練物をチャンバー内に排出しながら高圧ガスで噴霧させて微粒子化し、該チャンバー内に冷却用エアーを流入させて造粒するトナーの製造方法、及び該トナーの製造方法により製造されたトナーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧造粒、又は超臨界流体を用いた噴霧造粒による微粒子及び該微粒子の製造方法、トナー及び該トナーの製造方法、並びに該トナーを用いた現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真法は、デジタル化とネットワークやコンピューターの発達によって、従来の文字原稿のプリント出力に加えて、写真を中心としたグラフィック原稿のプリント出力が増加している。また、電子写真方式による画像については、ますます画質の向上を求められており、その手段としてトナーは小粒径化に向けての改良が進められている。
【0003】
このようなトナーを得るための製造工程として、従来から、(1)少なくとも結着樹脂、着色剤、及び帯電制御剤からなる混合物、(2)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、及びワックスからなる混合物、(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、ワックス、及び磁性剤からなる混合物等のトナーを構成する複数の材料を加熱し、溶融混練した後、粉砕して微粒化する一連の工程からなる、いわゆる粉砕方式が主として用いられている。しかし、この粉砕方式は、粉砕に費やすエネルギーが増加するというエネルギー効率が悪くなる。また、この粉砕によると微粉発生量が増加し、粒子形状が角張ってトナーの平均円形度が低くなるため、流動性、補給性、及び微小ドットの再現性が低下する等の問題がある。この後者の問題を解決し品質を向上させるため、粉砕後に分級工程を加えて、粒径をシャープな分布にすることが行われているが、製品回収量の低下が問題となっている。
【0004】
また、近年、電子写真方式によって得られる画質は、銀塩写真画像に迫るほどに向上し、そのためにトナーに要求される粒度も5〜6μmで分布の狭いものが主流になりつつあり、特にこのような粒径のものは、液体中で造粒処理する化学的方法、例えば重合法トナーによって実用化が進んでいる。しかし、この重合法トナーの製造にあたっては、従来の粉砕方式(混練工程、粉砕工程、分級工程、混合工程、及び篩工程)による場合に比べて、二酸化炭素の発生量は少ないものの、製造過程において大量の水を使用するため、水処理において環境配慮やコスト面に問題がある。また、設備面では巨大プラントが必要となるために、大量生産しなければコストの低減は不可能であり、イニシャルコストが増大するという問題がある。
【0005】
このような問題を解決するため、電子写真トナーの製造技術分野では従来提案が全くなかった噴霧造粒、特に超臨界流体を注入し噴霧することによる噴霧造粒技術の熱変換効率及び造粒回収率の向上工法がある。
例えば、樹脂粉末を製造することを目的として、(1)液状媒体を噴霧させるための超音波ガス噴霧化ノズルを具備する製造装置に関する技術(特許文献1参照)、(2)超音波振動の周波数が調整されたガス噴流によって、溶融金属を霧化させて金属粉末を製造するための、噴霧造粒ノズルを用いる技術(特許文献2参照)、(3)溶融金属中にガスを溶けこませた後、圧縮空気によってガスが溶け込んだ溶融金属を霧化させて、金属又は金属合金の空孔を有する粉末を製造する技術(特許文献3参照)、(4)流体を噴霧化するための音波スプレイノズル(特許文献4参照)などが提案されている。
しかし、これらの噴霧造粒技術は、電子写真トナーのような複数種の材料からなる粒子ではなく、単一材料からなる粒子を製造する目的であるため、そのまま電子写真トナーに適用することはできず、微粒子トナーの製造上の上記問題点、特に、生産性とエネルギー消費の問題を解決できるものではない。
【0006】
また、トナーを構成する複数の材料を溶融混練する際に、更に化学発泡剤を該混練物に添加するか、あるいは予め結着樹脂中に化学発泡剤を内添分散したものを用い、添加後温度をかけ、炭酸ガス又は窒素ガスを発生させて結着樹脂を発泡させ、内部気泡によって割れ界面を形成し、次工程の粉砕効率を向上させる技術が提案されている(特許文献5〜7参照)。化学発泡剤を用いる工法として、化学発泡剤としては、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の炭酸水素塩;水銀、カドミウム等の重金属の炭素水素塩又は炭酸アンモニウム等の無機物;アジド化合物、アゾジカルボンアミド、ジアミノベンゼン、フロン11、フロン12等の有機物などが使用されている。これらの化学発泡剤は、取扱い上危険物となるものがあったり、環境汚染の要因となることがある。また、化学発泡剤を発泡させるために加熱する必要があり、最近注目されている低温定着トナーに熱ストレスがかかり、化学発泡剤自体の性質がトナー物性、定着性、及び帯電性などのトナーの特性に悪影響を与えるといった諸々の問題がある。
【0007】
また、トナーに関するものではないが、熱可塑性樹脂の混練工程における熱劣化による変色、炭化を抑制等して、発泡成形体を成形するための結着樹脂を発泡させる工法として、混練工程中に二酸化炭素の気体を注入分散し内泡させて気泡を形成する技術が提案されている(特許文献8参照)。この技術をトナーの製造に応用した場合に、不活性ガスを使用するために、トナーの各種品質への悪影響はないが、溶融樹脂中への気体の拡散が不均一になり易いために、トナー樹脂中の気泡の割合が高くても60体積%程度にしかならない。また、発泡によって期待される後工程のトナー粉砕性に与える効果はせいぜい中粉砕までであって、製品の微粒径トナーとして要求される5〜6μm程度の粒径までに粉砕するには充分な効果を発揮し得ないものである。
【0008】
また、超臨界流体を利用した、非常に小さなサイズの気泡を有する発泡材料及び発泡製品プラスチックを製造する技術が提案されている(特許文献9参照)。上述した従来の化学発泡剤による発泡方法では、発泡樹脂の軽量化を可能にする代わりに強度低下が伴い、成形部品としては利用範囲が限定されていたが、前記特許文献9に示される米国MITで開発された超臨界流体を利用した微小気泡発泡技術(MCF:Micro Cellular Foaming)は、5μm以下の微小気泡を均一発泡させた成形樹脂の製造が可能となる。しかし、この技術は、具体的には単一のポリマー材料を発泡させて、小さなサイズの気泡を有する発泡材料及び発泡製品を製造することを最終目的としているが、電子写真用トナーは、結着樹脂のみならず着色剤等の他の材料を含むものである。また、トナーを製造する過程で準備される複数材料からなる混練物は、該混練物を更に粉砕して最終目的物であるトナーを製造するために用いられるので、前記特許文献9に示される技術をそのまま電子写真用トナーの製造に適用することは不可能である。またたとえ、前記特許文献9のように、10個/発泡材料cm以上の気泡密度、及び5μm以下の平均気泡サイズの気泡が該混練物に形成されたとしても、粉砕性に大きな改善は見込めず、粉砕時に超微粉の発生が生じて収率を向上させることはできない。
【0009】
また、超臨界流体を用いてトナーを作製する手段として、結着樹脂成分を超臨界中に溶解し、着色剤成分を超臨界中に混合して分散する手段が提案されている(特許文献10参照)。しかし、この提案では、超臨界流体を用いてトナー材料を溶融又は混練し、高圧ガスにより噴霧造粒するものではない。
【0010】
また、熱変換効率及び回収率の向上を図る方法としては、粉体の球形化処理工法とは異なるものとして、特許文献11〜16が提案されている。しかし、これらの提案は、入気エアー量のコントロール又は入気エアーによる騒音に対しては配慮が無く、混練品又は溶融物を用いてトナーを造粒できるには至っていないのが現状である。
【0011】
【特許文献1】国際公開第02/089998号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4575325号明細書
【特許文献3】米国特許第5024695号明細書
【特許文献4】米国特許第3326467号明細書
【特許文献5】特開平1−182856号公報
【特許文献6】特開平9−146299号公報
【特許文献7】特開2000−19775号公報
【特許文献8】特開2003−10666号公報
【特許文献9】特許第2625576号公報
【特許文献10】特開2001−312098号公報
【特許文献11】特開2004−276016号公報
【特許文献12】特開2004−249206号公報
【特許文献13】特開2000−52342号公報
【特許文献14】特開2000−52341号公報
【特許文献15】特開2000−52340号公報
【特許文献16】特開平10−263380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、噴霧造粒、又は超臨界流体を用いた噴霧造粒による微粒子及び該微粒子の製造方法、トナー材料からなる混練物又は溶融物を超臨界状態によって噴霧造粒法、あるいはトナー材料からなる混練物又は溶融物を噴霧造粒法によって微粒化して、熱変換効率と生産性の高いトナーを製造する方法、及び該トナーの製造方法による、銀塩画像に匹敵する細線再現性及び階調性が優れた電子写真画像を形成可能であるトナー、並びに該トナーを用いた現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 粘性材料をチャンバー内に排出しながら該粘性材料に高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、該チャンバー内に冷却用エアーを流入させて造粒することを特徴とする微粒子の製造方法である。
<2> 粘性材料が、樹脂溶融材料及び樹脂溶解材料のいずれかである前記<1>に記載の微粒子の製造方法である。
<3> 粘性材料が樹脂溶融材料及び樹脂溶解材料のいずれかであり、該樹脂溶融材料及び樹脂溶解材料のいずれかを、加圧下で混練した後、又は超臨界流体を注入して混練した後、得られた混練物をチャンバー内に排出しながら高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、該チャンバー内に、該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒する前記<1>から<2>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<4> 粘性材料を加圧下で溶融させる手段と、高圧ガスノズルが設けられたチャンバーとを具備する噴霧造粒装置を用い、
前記粘性材料を溶融又は溶融しながら加圧下で超臨界流体を注入して均一に分散させた後、得られた分散物をチャンバー内に排出しながら前記高圧ガスノズルから高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、
該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒する前記<1>から<2>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<5> 粘性材料が、少なくとも樹脂及び粒子を含有する複合材料である前記<1>から<4>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<6> エアー取入口が、チャンバーの上部、及びチャンバーの上部側面部のいずれかに形成されている前記<3>から<5>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<7> エアー取入口は、旋回流が形成可能である前記<3>から<6>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<8> エアー取入口は、断面積を調整可能なゲートを有する前記<3>から<7>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<9> エアー取入口が防音材で覆われている前記<3>から<8>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<10> チャンバー内部の機内静圧Pが、次式、−0.01MPa≦P≦0.01MPaを満たした状態で造粒する前記<1>から<9>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<11> チャンバー外周面に温度調整可能なジャケットを有する前記<1>から<10>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<12> チャンバー外周面に複数に分割させた断熱機構を有する前記<1>から<11>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<13> チャンバー外周面に防音機構を有する前記<1>から<12>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<14> 超臨界流体を注入及び分散する溶融混練機の内部温度が、粘性材料の融点又は流出開始温度−10℃〜+100℃の範囲及び粘性材料のガラス転移温度+30℃〜+150℃の範囲のいずれかで溶融混練する前記<3>から<13>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<15> 高圧ガスに10〜80kHzの超音波パルスを付与する前記<1>から<14>のいずれかに記載の微粒子の製造方法である。
<16> 前記<1>から<15>のいずれかに記載の微粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする微粒子である。
<17> 下記(1)〜(4)から選択されるいずれかの混合物を、加圧下で混練した後、又は超臨界流体を注入して混練した後、得られた混練物をチャンバー内に排出しながら高圧ガスで噴霧させて微粒子化し、
該チャンバー内に、該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒することを特徴とするトナーの製造方法である。
(1)少なくとも結着樹脂、及び着色剤からなる混合物
(2)少なくとも結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤からなる混合物
(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
(4)少なくとも結着樹脂、磁性剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
<18> 下記(1)〜(4)から選択されるいずれかの混合物を加圧下で溶融する手段と、高圧ガスノズルが設けられたチャンバーとを具備する噴霧造粒装置を用いて、
前記混合物を溶融又は溶融しながら加圧下で超臨界流体を注入して均一に分散させた後、得られた分散物をチャンバー内に排出しながら前記高圧ガスノズルから高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、
前記チャンバー内に、該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒することを特徴とするトナーの製造方法である。
(1)少なくとも結着樹脂、及び着色剤からなる混合物
(2)少なくとも結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤からなる混合物
(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
(4)少なくとも結着樹脂、磁性剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
<19> エアー取入口が、チャンバーの上部、及びチャンバーの上部側面部のいずれかに形成されている前記<17>から<18>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<20> エアー取入口は、旋回流が形成可能である前記<17>から<19>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<21> エアー取入口は、断面積を調整可能なゲートを有する前記<17>から<20>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<22> エアー取入口が防音材で覆われている前記<17>から<21>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<23> チャンバー内部の機内静圧Pが、次式、−0.01MPa≦P≦0.01MPaを満たした状態で造粒する前記<17>から<22>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<24> チャンバー外周面に温度調整可能なジャケットを有する前記<17>から<23>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<25> チャンバー外周面に複数に分割させた断熱機構を有する前記<17>から<24>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<26> チャンバー外周面に防音機構を有する前記<17>から<25>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<27> 超臨界流体を注入及び分散する溶融混練機の内部温度が、トナーの融点又は流出開始温度−10℃〜+100℃の範囲、及びトナーのガラス転移温度+30℃〜+150℃の範囲のいずれかで溶融混練する前記<17>から<26>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<28> 高圧ガスに10〜80kHzの超音波パルスを付与する前記<17>から<27>のいずれかに記載のトナーの製造方法である。
<29> 前記<17>から<28>のいずれかに記載のトナーの製造方法により製造されたことを特徴とするトナーである。
<30> 質量平均粒径が3.0〜10.0μmである前記<29>に記載のトナーである。
<31> 質量平均粒径と個数平均粒径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)が1.03〜1.50である前記<29>から<30>のいずれかに記載のトナーである。
<32> 平均円形度が0.85〜0.99である前記<29>から<31>のいずれかに記載のトナーである。
<33> 粒径2μm以下の微粉の含有量が15個数%以下である前記<29>から<32>のいずれかに記載のトナーである。
<34> 前記<29>から<33>のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤である。
<35> 前記<29>から<33>のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器である。
<36> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を前記<29>から<33>のいずれかに記載のトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有することを特徴とするプロセスカートリッジである。
<37> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を前記<29>から<33>のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法である。
<38> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を前記<29>から<33>のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、従来の混練工法及び粉砕工法と比較して、小粒径の微粒子を効率よく回収することができ、また従来の噴霧造粒方式と比べて熱変換効率が高いためエネルギー消費が低い微粒子及び微粒子の製造方法、銀塩画像に匹敵する細線再現性及び階調性が優れた電子写真画像を形成可能であるトナー及び該トナーの製造方法、並びに該トナーを用いた現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(微粒子及び微粒子の製造方法)
本発明の微粒子の製造方法は、チャンバー内に粘性材料を排出しながら高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、該チャンバー内に冷却用エアーを流入させて造粒する。
本発明の微粒子は、本発明の微粒子の製造方法により製造される。
以下、本発明の微粒子の製造方法の説明を通じて、本発明の微粒子の詳細についても明らかにする。
【0016】
前記粘性材料としては、樹脂溶融材料及び樹脂溶解材料のいずれかが好適である。
前記樹脂溶融材料は、少なくとも樹脂を含有してなり、更に必要に応じてその他成分を含有してなる。
前記樹脂溶解材料は、少なくとも樹脂を含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂が好適である。前記樹脂としては、例えば、スチレンアクリル樹脂(溶融温度170℃、噴霧圧0.4MPa)、ポリアセタール樹脂(溶融温度170℃、噴霧圧0.4MPa)、アクリル樹脂(溶融温度170℃、噴霧圧0.4MPa)、アクリル架橋成形物(溶融温度115℃、噴霧圧0.4MPa)、環状オレフィン共重合体(溶融温度170℃、噴霧圧0.3MPa)、ナイロン11(溶融温度275℃、噴霧圧0.4MPa)、ポリエステル樹脂(溶融温度200℃、噴霧圧0.5MPa)、ポリエチレン樹脂(溶融温度220℃、噴霧圧0.5MPa)、ポリエチレンワックス(溶融温度170℃、噴霧圧0.2MPa)、ポリ乳酸樹脂(溶融温度230℃、噴霧圧0.4MPa)、ポリ塩化ビニル水溶液(噴霧圧0.4MPa)、エポキシポリエステル共重合体、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン12)、ポリオレフィン樹脂、ポリオレフィンワックス、カルナバロウ、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
前記粘性材料は、少なくとも樹脂及び粒子を含有する複合材料であることが好ましく、例えば、スチレンアクリル樹脂とポリエステル樹脂との複合材料、スチレンアクリル樹脂とポリエステル樹脂とカルナバロウとの複合材料などが挙げられる。
【0018】
前記粘性材料が、樹脂溶融材料及び樹脂溶解材料のいずれかであり、該樹脂溶融材料及び樹脂溶解材料のいずれかを、加圧下で混練、又は超臨界流体を注入して混練した後、得られた混練物をチャンバー内に排出しながら高圧ガスで噴霧させて微粒子化し、該チャンバー内に、冷却用エアーを流入させて造粒することが好ましい。
前記粘性材料を加圧下で溶融させる手段と、高圧ガスノズルが設けられたチャンバーとを具備する噴霧造粒装置を用いて、
粘性材料を溶融又は溶融しながら加圧下で超臨界流体を注入して均一に分散させた後、得られた分散物をチャンバー内に排出しながら高圧ガスノズルによって噴霧させて微粒子化し、
該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒することが好ましい。
【0019】
前記チャンバーの上部又は上部側面部に形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入して造粒させることが好ましい。
前記チャンバー内部の機内静圧Pが、次式、−0.01MPa≦P≦0.01MPaを満たした状態で造粒させることが好ましい。
前記エアー取入口は、旋回流が形成可能であることが好ましく、エアー取入口は、断面積を調整可能なゲートが形成されたものであることが好ましく、エアー取入口が防音材で覆われていることが好ましい。なお、エアー取入口の詳細については、後述するトナーの製造方法で説明する。
【0020】
また、チャンバー外周面に温度調整可能なジャケットを有することが好ましく、チャンバー外周面に複数に分割させた断熱機構を有することが好ましく、チャンバー外周面に防音機構を有することが好ましい。
【0021】
また、超臨界流体を注入及び分散する溶融混練機の内部温度が、粘性材料の融点又は流出開始温度−10℃〜+100℃の範囲、及び粘性材料のガラス転移温度+30℃〜+150℃の範囲のいずれかで溶融混練することが好ましく、高圧ガスに10〜80kHzの超音波パルスを付与することが好ましい。
【0022】
前記粘性材料を用いて噴霧造粒する際の条件としては、融解装置(エクストルーダー)の温度は、材料が最低の粘度になる状態、又はその状態に近づく最低温度、そして上限は分解が開始する直前の安全な温度によって管理されている。
前記粘性材料としてポリマー融解物を使用する場合には、例えば非常に分子量の低いポリオレフィンワックスは60℃、ポリアクリルケトンは370℃となる。
これらの材料で十分な伸張性粘度を持つ(通常分岐又は分子量に関連する)ものが入手できた場合、プロセスにおいてこの温度範囲は許容範囲となる。
実際に各種粘性材料を用い、エクストルーダーの温度が60〜250℃の範囲で球状の微粒子を作製している。
【0023】
また、噴霧圧は材料の特性、要求されている粒子のサイズ、最終使用目的によって適宜調整することができる。
プロセスの制限としては、例えば技術的制限や材料によって必要とされる冷却処方、又は設備に応じて適宜選定することができるが、例えば、ガス圧によって管理されている。この理由はガスの圧力が上がることによってガスの速度も高くなり、その結果、冷却時間も短縮される。
また同様に、高い熱保持力を持つような材料や、長い軟化曲線を持つ材料(例えばポリエステル樹脂を含有するトナー等)も何らかの強制的な冷却構造を導入しない限り、実際の噴霧圧に制限がある。該噴霧圧は0.2〜0.6MPa(2〜6気圧)が好ましい。
このような噴霧圧を使用するためには、粘性材料の最低融解粘度は50〜100Pa・sが好ましい。また、粘性材料の分子量は10〜50,000が好ましい。
【0024】
ガスと液体の相互作用が起こる時点の高温ガスの(特定の材料で酸化による劣化が問題になるのであれば、窒素のような不活性雰囲気でも可)温度は、粘性材料の融解温度以上が好ましい。通常、圧力によっても変わるがNTSジェットは圧縮効果を利用しガスの温度を30〜50℃冷却する。そのため、供給されるガスの典型的温度は40〜80℃で融解温度よりも高くなっている。
【0025】
本発明の微粒子の製造方法により製造された微粒子の質量平均粒径は3.0〜10.0μmが好ましく、4.0〜7.0μmがより好ましい。
微粒子の質量平均粒径と個数平均粒径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)は1.03〜1.50が好ましく、1.06〜1.28がより好ましい。
微粒子の平均円形度は、0.85〜0.99が好ましく、0.94〜0.97がより好ましい。
微粒子の粒径2μm以下の微粉の含有量は15個数%以下が好ましく、5個数%以下がより好ましい。
【0026】
前記微粒子は、液状化が可能な材料であれば、いかなる材料でも微粒子化が可能である(例えば樹脂微粒子や金属微粒子が製造可能である)。特に樹脂を含んだ複合材料の造粒に極めて有効である。具体的な応用例としては、トナー、化粧品、インクジェットプリンター用インク、塗料、セラミックス複合材料(セラミックス粉体が分散したポリマー)、などが好適に挙げられるが、これらの中でも、以下に説明するトナーが特に好ましい。
【0027】
(トナー及びその製造方法)
本発明のトナーの製造方法は、第1形態では、下記(1)〜(4)から選択されるいずれかの混合物を、加圧下で混練した後、又は超臨界流体を注入して混練した後、得られた混練物をチャンバー内に排出しながら高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、
該チャンバー内に、該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒する。
(1)少なくとも結着樹脂、及び着色剤からなる混合物
(2)少なくとも結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤からなる混合物
(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
(4)少なくとも結着樹脂、磁性剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
本発明のトナーの製造方法は、第2形態では、下記(1)〜(4)から選択されるいずれかの混合物を加圧下で溶融する手段と、高圧ガスノズルが設けられたチャンバーとを具備する噴霧造粒装置を用いて、
前記混合物を溶融又は溶融しながら加圧下で超臨界流体を注入して均一に分散させた後、得られた分散物をチャンバー内に排出しながら前記高圧ガスノズルからの高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、
該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒する。
(1)少なくとも結着樹脂、及び着色剤からなる混合物
(2)少なくとも結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤からなる混合物
(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
(4)少なくとも結着樹脂、磁性剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
本発明のトナーは、本発明の第1及び第2形態に係るトナーの製造方法により製造される。
以下、本発明のトナーの製造方法の説明を通じて、本発明のトナーの詳細についても明らかにする。
【0028】
次に、本発明のトナーを構成する成分について説明する。前記トナーの構成成分としては、下記(1)〜(4)から選択されるいずれかの混合物が好適である。
(1)少なくとも結着樹脂、及び着色剤からなる混合物
(2)少なくとも結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤からなる混合物
(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
(4)少なくとも結着樹脂、磁性剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
【0029】
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、熱可塑性樹脂が好適である。
前記結着樹脂としては、例えばビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリエステル樹脂、ポリオール樹脂が特に好ましい。
前記ビニル樹脂としては、例えばポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン又はその置換体の単重合体:スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニルなどがある。
【0030】
前記ポリエステル樹脂としては、以下のA群に示したような2価のアルコールと、B群に示したような二塩基酸塩からなるものであり、更にC群に示したような3価以上のアルコールあるいはカルボン酸を第三成分として加えてもよい。
前記A群としては、例えばエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3,3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2,0)−2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどが挙げられる。
前記B群としては、例えばマレイン酸、フマル酸、メサコニン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタール酸、テレフタール酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、リノレイン酸、又はこれらの酸無水物又は低級アルコールのエステルなどが挙げられる。
前記C群としては、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール;トリメリト酸、ピロメリト酸等の3価の以上のカルボン酸などが挙げられる。
【0031】
前記ポリオール樹脂としては、例えばエポキシ樹脂と2価フェノールのアルキレンオキサイド付加物、もしくはそのグリシジルエーテルとエポキシ基と反応する活性水素を分子中に1個有する化合物と、エポキシ樹脂と反応する活性水素を分子中に2個以上有する化合物を反応してなるものなどが挙げられる。
【0032】
その他にも必要に応じて以下の樹脂を混合して使用することもできる。エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ブチラール樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂などが挙げられる。前記エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールAやビスフェノールF等のビスフェノールとエピクロロヒドリンとの重縮合物が代表的である。
【0033】
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、以下のものが用いられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
黒色顔料としては、例えばカーボンブラック、オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、アニリンブラック等のアジン系色素、金属塩アゾ色素、金属酸化物、複合金属酸化物などが挙げられる。
黄色顔料としては、例えばカドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどが挙げられる。
橙色顔料としては、例えばモリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGKなどが挙げられる。
赤色顔料としては、例えばベンガラ、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが挙げられる。
紫色顔料としては、例えばファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどが挙げられる。
青色顔料としては、例えばコバルトブルー、アルカリブルー、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBCなどが挙げられる。
緑色顔料としては、例えばクロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキなどが挙げられる。
【0034】
前記着色剤の含有量は、前記結着樹脂100質量部に対し0.1〜50質量部が好ましく、5〜20質量部がより好ましい。
【0035】
前記ワックスは、トナーに離型性を持たせるために添加され、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば低分子量のポリエチレン、ポリプロピレン等の合成ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、ラノリン等の天然ワックスなどが挙げられる。
前記ワックスの含有量は1〜20質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
【0036】
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、公知のもの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ニグロシン、アセチルアセトン金属錯体、モノアゾ金属錯体、ナフトエ酸、脂肪酸金属塩(サリチル酸の金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩)、トリフェニルメタン系染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又はその化合物、タングステンの単体又はその化合物、フッ素系活性剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記帯電制御剤の含有量は0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
【0037】
前記磁性剤としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えばヘマタイト、鉄粉、マグネタイト、フェライト、などが挙げられる。
前記磁性剤の含有量は5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
【0038】
更に、トナーには、流動性を付与するために、シリカ微粉末、酸化チタン微粉末等の無機微粉末を外添させることできる。
【0039】
本発明の製造方法によって、噴霧造粒品を分級処理して得られるトナーの質量平均粒径としては、画像形成時の階調性を向上させるため、3.0〜10.0μmが好ましく、4.0〜7.0μmがより好ましい。前記質量平均粒径が3.0μm未満であると、トナーの凝集性が強く、画像品質で階調性の低下や地肌汚れが発生することがあり、10.0μmを超えると、シャープネスの低下、ベタ部の白抜け、白斑点が生じることがある。
【0040】
また、本発明の電子写真用噴霧造粒トナーの製造方法において、画像形成時のドット再現性を向上させるため噴霧造粒品を分級処理し、質量平均粒径と個数平均粒径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)は1.03〜1.50が好ましく、1.06〜1.28がより好ましい。前記比が1.03未満であると、画像品質は向上するが生産性が大幅に低下することがあり、1.50を超えると、ボソ付き画像や転写ムラが生じることがある。
【0041】
ここで、前記質量平均粒径、及び、前記質量平均粒子径と個数平均粒子径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)は、例えば、「コールターカウンターマルチサイザー」;ベックマンコールター社製を用いて測定することができる。
【0042】
また、本発明の電子写真用噴霧造粒トナーの製造方法において、画像形成時の転写性を向上させるため、トナーの平均円形度は0.85〜0.99が好ましく、0.94〜0.97がより好ましい。前記平均円形度が0.85未満であると、階調性の低下や地肌汚れが発生することがあり、0.99を超えると、クリーニング性が不良となることがある。
前記平均円形度は、例えば、トナー粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法などにより計測することができ、例えば、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(東亜医用電子株式会社製)等を用いて計測することができる。
【0043】
粒径2μm以下の微粉の含有量は15個数%以下が好ましく、5個数%以下がより好ましい。前記微粉の含有量が15個数%を超えると、階調性の低下や地肌汚れが発生することがある。
前記粒径2μm以下の微粉の含有量は、例えばフロー式粒子像分析装置(Flow Particle Image Analyzer)により測定することができる。
【0044】
ここで、本発明のトナーの製造方法について、従来法(先行技術法)と必要に応じて対比しつつ、図面を用いて詳細に説明する。
図1に示す従来法では、熱交換機8により加温された噴霧用圧縮エアー6−2は溶融機2−1で溶融させたトナーを導き、高圧ガスノズル4から噴霧される。チャンバー3の上部には高圧ガスノズル4に沿うようにコ・フローエアーリングノズル9−1が装着され、チャンバー3の内径に対しリング状に二次エアーを均等に流すことで噴霧トナーを冷却し造粒化させる。また、コ・フローエアーリングノズル9−1から噴出する二次エアーによって、チャンバーの滞留を防止すると同時にチャンバーのボトム(鉛直)方向への流れを発生させる。チャンバー内に噴出されたエアーと噴霧造粒品5はサイクロン7−1を経由し、造粒品は回収容器7−2に回収される。また、噴霧造粒に際し、造粒径を整えるために噴霧用圧縮エアー6−2は噴霧用熱交換機8によって温度調整を行う。この際の温度調整範囲は150〜350℃である。また、チャンバー内の流れと噴霧品の冷却に用いるコ・フローエアー6−1はコ・フロー用熱交換機9−2によって温度調整を行う。この際の温度調整範囲は100〜300℃である。
【0045】
ここで、従来の造粒方法では、下記のような課題がある。
(i)コ・フローエアーリングノズルからの噴出に圧縮エアーを用いることによるエネルギー効率の低下、(ii)コ・フローエアーリングノズルからの噴出に熱交換機を用いることによる熱エネルギー効率の低下、(iii)コ・フローエアーリングノズルを用いることによる冷却時間確保のため噴霧飛翔距離の確保によるチャンバーの拡大、(iv)コ・フローエアーリングノズルからの噴出エアーによる噴霧造粒品速度の上昇とチャンバー内の残存温度(粒子造粒冷却完了後にはチャンバー内ボトム(底)の温度は素早く冷却されるのが望ましい)が高いため造粒品が再び溶融しボトム部に融着し、製品回収量が低下する。
【0046】
また、図2に示される従来法(先行技術法)の1つの(2)「下記(1)、(2)、(3)及び(4)のうちから選択される混合物を加圧下で混練又は超臨界流体を注入して均一に混練した後、(1)少なくとも結着樹脂、及び着色剤からなる混合物、(2)少なくとも結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤からなる混合物、(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物、(4)少なくとも結着樹脂、磁性剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物いずれかをチャンバー内に排出しながら高圧ガスによって噴霧させて微粒子化する電子写真用トナーの製造方法」についても、前記図1の(i)〜(iv)に掲げたのと同様の課題があった。
【0047】
本発明においては、図1に示すコ・フローエアーリングノズル9のリングに代え、図3に示されるチャンバー3の上部のチャンバー上蓋3−Aに上部二次エアー孔3−B、又はチャンバー3の側面に側面二次エアー孔3−Cを設けることで高圧ガスノズル4より噴出するトナーを外気(雰囲気)によって冷却することで上記課題を解消する。
図4はチャンバー上蓋3−Aに上部二次エアー孔3−Bを設け、上部より図示したものである。図5はチャンバー上蓋3−Aに上部二次エアー孔3−Bを設けた立体画像を図示したものである。図6は側面二次エアー孔3−Cを設けた立体画像を図示したものである。図7は、図5及び6に示される機構を組み合わせた立体画像を図示したものである。
【0048】
本発明のトナーの製造方法においては、エアー取入口が、旋回流が形成できるエアー取入口であり、このエアー取入口から冷却用入気エアーを流入して造粒させることが好ましい。
例えば、図8及び9に示す二次エアー孔3−A,3−Bを流入する二次エアーがチャンバー内部で旋回流を生じるようにガイドベーン3−D,3−Eを装着したことを更に特徴とする。旋回流によって噴霧トナーが本発明のトナー製造方法を、更に、冷却され造粒する滞留時間が保持されるものとすることで上記課題を解消する。
【0049】
本発明のトナーの製造方法においては、チャンバーのエアー取入口は、断面積を調整可能なゲートが形成されたものであり、このエアー取入口から冷却用入気エアーを流入して造粒させることが好ましい。
例えば、図8及び9に示す二次エアー孔の開度調整を設けたものとすることで流入する二次エアーがチャンバー内部で旋回流の強弱を調整できるようにガイドベーンを装着したことを特徴とする。旋回流によって噴霧トナーが、本発明のトナー製造方法を、更に、冷却調整され造粒する滞留時間が保持されるものとすることで上記課題を解消する。
【0050】
本発明のトナーの製造方法においては、チャンバーのエアー取入口は防音材で覆われていることが好ましい。
例えば、図3〜9に示すように二次エアー孔に防音材を設け、二次エアーがチャンバー内部に流入する又は旋回流入する際の吸引音を削減したことを特徴とする。防音材によって噴霧造粒時の騒音が減音されことで作業環境が改善される。防音材の材質として、ネオカルム、バイオカルム等のカルム材等で構成されたものが耐久性ならびに取り扱い性に優れているが、上記に限定されるものではない。
【0051】
本発明のトナーの製造方法においては、チャンバー内部の機内静圧Pは、次式、−0.01MPa≦P≦0.01MPaを満たすように、造粒させることが好ましい。
例えば図3〜9に示すようにチャンバーの静圧を噴霧エアー流量ならびに二次エアー吸引量に合わせて、ブロワー12によって吸引し機内静圧Pは下記条件を形成し、造粒させることを特徴とする更に改良が加えられた電子写真用トナーの製造方法である。
【0052】
本発明のトナーの製造方法においては、チャンバー外周面に温度調整ができるジャケットを形成し、造粒させることが好ましい。
例えば、図12に示すチャンバー内面に温度調節するジャケットを形成することを特徴とする。チャンバーの外周面は温度調節用ジャケットを設けることでチャンバー内面の温度コントロールを容易とすることを特徴とする更に改良が加えられた電子写真用トナーの製造方法である。
【0053】
本発明のトナーの製造方法においては、チャンバー外周面に断熱機構を複数に分割させ形成し、造粒させることが好ましい。
例えば、図13に示すチャンバー内面に温度調節するジャケットを形成することを更に特徴とする。ジャケットの外周面は温度調節用ジャケットを1箇所以上複数に分割して設けることでチャンバー内面の温度コントロールを容易とする更に改良された電子写真用トナーの製造方法である。
【0054】
本発明のトナーの製造方法においては、チャンバー外周面に防音機構を形成し、造粒させることが好ましい。
例えば、図14に示す防音材を設け、噴霧造粒時の騒音を削減したことを更に特徴とする。防音材によって、噴霧造粒時の騒音が、これのないものに比べ減音されことで作業環境が改善される。前記防音材の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えばネオカルム、バイオカルム等のカルム材等で構成されたものが耐久性ならびに取り扱い性に優れているので特に好適である。
【0055】
本発明のトナーの製造方法においては、超臨界流体を注入及び分散する溶融又は混練機の内部温度を、トナーの融点又は流出開始温度−10℃〜+100℃の範囲とし、またトナーのガラス転移温度+30℃〜+150℃の範囲にして溶融又は混練し、高圧ガスノズルによって噴霧させることが好ましい。
【0056】
本発明のトナーの製造方法においては、高圧ガスに10〜80kHzの超音波パルスを発生させること又は照射することが好ましい。
【0057】
本発明の噴霧造粒方式によるトナーの製造法には、噴霧造粒されたトナーをチャンバー内に流入させる二次エアーによって熱変換効率が向上し、防音材の装着によって二次エアー吸引時の騒音を解消できる。上述のように、(1)少なくとも結着樹脂及び着色剤からなる混合物、(2)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤からなる混合物、(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物、又は(4)少なくとも結着樹脂、磁性剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物を、例えばエクストルーダー等によって、加圧下超臨界流体を注入して均一に溶融した後、高圧ガスを噴霧して微粒子化させる方法である。図1は、従来法(先行技術法)を示すものであるが、本発明はこの図1の概念図の製造法に図3の二次エアー孔3−A,3−Bを設け改善したものに相当するとも云えるので、重複を避けるため、図1が二次エアー孔3−A,3−Bを有するものと仮定して、本発明の超臨界流体噴霧造粒方式によるトナーの製造法の一例を示す概念を説明する。予め準備しておいた混練物1を溶融機2−1に投入して溶融中に超臨界流体調節装置2−2と融合させ、該溶融機2−1から排出される溶融品をチャンバー3内部に設置された高圧ガスノズル4から排出される圧縮エアー6によって噴霧する際、図3に示すチャンバー上部及び側面から二次エアーを流入すると、噴霧造粒品5が生成される。該噴霧造粒品5は、チャンバー内で拡散中に図7に示す全周方向からの流入エアーの冷却作用を受けて、自己の表面張力によって球形化してトナーが作製される。
【0058】
第二のやり方は、本発明の超臨界流体噴霧造粒方式によるトナーの製造法としては、上述のように、(1)少なくとも結着樹脂及び着色剤からなる混合物、(2)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤からなる混合物、(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物、又は(4)少なくとも結着樹脂、磁性剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物を混練した後、超臨界融合させ突出高圧ガスを噴霧して微粒子化させる方法である。トナー材料の特性あるいは要求品質によって第一のやり方と第二のやり方は使い分けられ、特にトナー材料が分散されやすい場合には第二のやり方が適用されるが、分散されにくい材料の場合には第一のやり方を適用するのが好ましい。
【0059】
図2は、従来法(先行技術の方法)を示す他の一例であるが、本発明は、この図2の概念図の製造法に図3の二次エアー孔3−A,3−Bを設け改善したものにも相当するとも云えるので、重複を避けるため、図2が二次エアー孔3−A,3−Bを有するものと仮定して、本発明の超臨界流体噴霧造粒方式によるトナーの製造法の一例を示す概念を説明する。前記混合物1−2を混練機2−3に投入して混練中に超臨界流体調節装置2−2と融合させ排出される混練品をチャンバー3内部に設置された高圧ガスノズル4によって噴霧する際、図3に示すチャンバー上部及び側面から二次エアーを流入すると、噴霧造粒品5が生成される。
前記噴霧造粒品5は、チャンバー内で拡散中に図7に示す全周方向からの流入エアーの冷却作用を受けて、自己の表面張力によって球形化してトナーが作製される。該混合物1−2は、該混練機2−3(エクストルーダー)内に投入された後、混練による分散とせん断が開始される時点では粘性が高く自己発熱等が発生するが、混練が進むにしたがって次第に自己発熱温度も下がって粘性が低くなり、混練が完了する時点では、第一のやり方の場合と同様な溶融状態になって、高圧ガスノズル4によって噴霧されて噴霧造粒品5が生成される。噴霧造粒品5は、チャンバー内で拡散中に冷却作用を受けて、自己の表面張力によって球形化されてトナーが作製される。
【0060】
また、これらの第1,2のやり方においては、トナーの噴霧造粒条件のうち、粒子特性を安定させるためには、混練又は溶融温度がトナー又は結着樹脂の流出開始温度よりも、低すぎても、高すぎても安定しない。温度が低すぎると、繊維状の粒子になる傾向があり、逆に温度が高すぎると、材料が炭化しトナーの特性を失われやすくなる。前記温度としては、トナーの融点又は流出開始温度−10℃〜+100℃が好ましく、−10℃〜+80℃がより好ましく、−10℃〜+50℃が更に好ましい。
【0061】
また、トナーの超臨界流体の噴霧造粒条件のうち、形状を均一にさせるためには、混練又は溶融温度が、トナー又は結着樹脂のガラス転移温度よりも低すぎても高すぎても最適な造粒ができない。混練又は溶融温度が低すぎると、電子写真用噴霧造粒トナーとして不要な微粉造粒と繊維状の粒子が混在してしまうことが起こり、逆に温度が高すぎると、冷却時の表面張力が低下し粒子の平均円形度が失われてしまう傾向がある。前記適正温度としては、ガラス転移温度の+10℃〜+100℃が好ましく、+20℃〜+80℃がより好ましい。
【0062】
また、トナーの噴霧造粒条件のうち、粒子の均一造粒を行うためには、混練又は溶融時の粘性が低すぎても、高すぎても最適な造粒ができない。粘性が低すぎると、電子写真用噴霧造粒トナーとして不要な微粉造粒となってしまう傾向があり、逆に粘性が高すぎると、粗大粒子の造粒が増加してしまうことがある。前記粘度としては、1〜400Pa・sが好ましく、40〜200Pa・sがより好ましい。
【0063】
また、本発明の電子写真用噴霧造粒トナーの製造に用いられる装置は、噴霧造粒するための噴霧ノズルの数が、混練・溶融物突出ダイに対し4〜20本以下であることが、以下の理由で好ましい。図17に、図1又は図2に示す高圧ガスノズル4の拡大図を示し、図15に高圧ガスノズル4の鉛直方向ABの断面図を示し、図16に水平方向の断面図を示す。高圧ノズル4の中心部には混練・溶融物排出ノズル2aが、またその周囲には高圧ノズルから分配された噴霧ノズル4aが、更にその周囲には分配された噴霧ノズル4bが設置されている。これら噴霧ノズルは、超音速を発生するラバール構造又は高圧を噴霧するストレート構造を形成している。この噴霧ノズルから、混練・溶融物突出ダイから排出させるトナーの混練物・溶融物に対して、超音速エアー又は高圧エアーが噴射される。噴射したエアーは、噴霧ノズル4aが一次交差衝突した後、先端で噴霧ノズル4bが二次交差衝突し、そのせん断作用によって混練物・溶融物は微粒化される。粒子の粘性や目的粒子径によって交際衝突回数を増加させるために、噴霧ノズルの数は4〜20本が好ましく、特に、8〜16本が最適である。
【0064】
また、本発明のトナーの製造方法においては、噴霧ノズルから突出するガスに10〜80kHz以下の超音波パルスを発生させて又は照射して造粒することが、以下の理由により好ましい。図15は、図1及び図2の高圧ノズル4の鉛直方向ABの断面図であり、図17に噴霧ノズルの拡大図を示す。噴霧ノズル4a,4bの内部には、圧縮エアー6の滞留ゾーン10を形成されている。該圧縮エアー6が噴霧ノズル4aを通過し噴射される際、一旦滞留ゾーン13に巻込まれて滞留13aした後、再び主流6aに戻る際、エアー流同士が衝突する際の流れの乱れが超音波パルスとなる。この超音波パルスによって、混練・溶融物が強力なせん断作用を受け微粒化する。この超音波パルスの発生周波数は、10〜80kHzが好ましく、20〜60kHzがより好ましい。このような超音波パルスの発生機構は、例えば、国際公開第02/089998号パンフレットに記載の方法を採用すると、圧力損失が少なく低エネルギーで粒子の微粒化が可能となる。
【0065】
また、本発明のトナーの製造方法においては、噴霧造粒するチャンバー内の圧力を調整して、チャンバー内部の造粒を均一にすることが好ましい。前記チャンバー内の圧力は−0.01〜0.01MPaが好ましく、−0.005〜0.005MPaがより好ましい。図1及び図2に示す例(ただし、二次エアー孔3−A,3−Bを有するもの)では、チャンバー3内部をブロワー吸引12によって圧力調整している。
【0066】
また、本発明のトナーの製造方法においては、噴霧造粒するための高圧エアー温度を調整すると、噴霧造粒を容易に行うことができて好ましい。図1及び図2の例(ただし、二次エアー孔3−A,3−Bを有するもの)は、高圧エアー6−2に熱交換器8を具備したものを示すものであり、排出される混練・溶融物の交差衝突とせん断作用を円滑化して、噴霧造粒を容易に行うことができる。高圧エアー温度としては、50〜200℃が好ましく、70〜200℃がより好ましい。
【0067】
また、本発明のトナーの製造方法においては、図1又は図2(ただし、二次エアー孔3−A,3−Bを有するもの)に例示されるような溶融機2−1又は混練機2−3内における、結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、ワックス等を混練又は溶融させる温度を調整すると、噴霧造粒トナー材料の分散性や熱履歴が材料及ぼすに劣化を防止するに有効であり、混練又は溶融する際の温度としては、50〜200℃が好ましく、70〜180℃がより好ましい。
【0068】
また、本発明のトナーの製造方法においては、噴霧造粒するチャンバー内部の温度を調整すると、噴霧された粒子を球形化するのに効果的である。図1及び図2(ただし、二次エアー孔3−A,3−Bを有するもの)においては、チャンバー3に噴霧された粒子の自己表面張力よって粒子が球形化され、その際、球形化された粒子は粒子同士の衝突により二次凝集を防止するため瞬時に冷却が必要となる。そのために、チャンバー内部の温度を−10〜80℃に調整することが好ましく、20〜50℃がより好ましい。
【0069】
本発明のトナーの製造方法によれば、ドライ噴霧造粒工程において、冷却造粒する際、チャンバー上部、チャンバー側面、又はチャバー上部とチャンバー側面とを併用し二次エアーを吸引することによって、造粒時の熱変換効率が高く、造粒物の回収率が向上する。また二次エアー流入部又はチャンバーの全面に防音材を装着することで、騒音対策が達成され作業環境が向上する。
【0070】
(現像剤)
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを少なくとも含有してなり、キャリア等の適宜選択したその他の成分を含有してなる。該現像剤としては、一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよいが、近年の情報処理速度の向上に対応した高速プリンター等に使用する場合には、寿命向上等の点で前記二成分現像剤が好ましい。
本発明の前記トナーを用いた前記一成分現像剤の場合、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なく、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためのブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像器の長期の使用(撹拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られる。また、本発明の前記トナーを用いた前記二成分現像剤の場合、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なく、現像器における長期の撹拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
【0071】
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、芯材と、該芯材を被覆する樹脂層とを有するものが好ましい。
【0072】
前記芯材の材料としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、50〜90emu/gのマンガン−ストロンチウム(Mn−Sr)系材料、マンガン−マグネシウム(Mn−Mg)系材料などが好ましく、画像濃度の確保の点では、鉄粉(100emu/g以上)、マグネタイト(75〜120emu/g)等の高磁化材料が好ましい。また、トナーが穂立ち状態となっている感光体への当りを弱くでき高画質化に有利である点で、銅−ジンク(Cu−Zn)系(30〜80emu/g)等の弱磁化材料が好ましい。これらは、1種単独で使用してもよい、2種以上を併用してもよい。
【0073】
前記芯材の粒径としては、平均粒径(体積平均粒径(D50))で、10〜200μmが好ましく、40〜100μmがより好ましい。
前記平均粒径(体積平均粒径(D50))が、10μm未満であると、キャリア粒子の分布において、微粉系が多くなり、1粒子当たりの磁化が低くなってキャリア飛散を生じることがあり、200μmを超えると、比表面積が低下し、トナーの飛散が生じることがあり、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪くなることがある。
【0074】
前記樹脂層の材料としては、特に制限はなく、公知の樹脂の中から目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アミノ系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0075】
前記アミノ系樹脂としては、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。前記ポリビニル系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。前記ポリスチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等が挙げられる。前記ハロゲン化オレフィン樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等が挙げられる。
【0076】
前記樹脂層には、必要に応じて導電粉等を含有させてもよく、該導電粉としては、例えば、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、などが挙げられる。これらの導電粉の平均粒子径としては、1μm以下が好ましい。前記平均粒子径が1μmを超えると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
【0077】
前記樹脂層は、例えば、前記シリコーン樹脂等を溶剤に溶解させて塗布溶液を調製した後、該塗布溶液を前記芯材の表面に公知の塗布方法により均一に塗布し、乾燥した後、焼付を行うことにより形成することができる。前記塗布方法としては、例えば、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、などが挙げられる。
前記溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、セルソルブ、ブチルアセテート、などが挙げられる。
前記焼付としては、特に制限はなく、外部加熱方式であってもよいし、内部加熱方式であってもよく、例えば、固定式電気炉、流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉等を用いる方法、マイクロウエーブを用いる方法、などが挙げられる。
【0078】
前記樹脂層の前記キャリアにおける量としては、0.01〜5.0質量%が好ましい。
前記量が、0.01質量%未満であると、前記芯材の表面に均一な前記樹脂層を形成することができないことがあり、5.0質量%を超えると、前記樹脂層が厚くなり過ぎてキャリア同士の造粒が発生し、均一なキャリア粒子が得られないことがある。
【0079】
前記現像剤が前記二成分現像剤である場合、前記キャリアの該二成分現像剤における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、90〜98質量%が好ましく、93〜97質量%がより好ましい。
二成分系現像剤のトナーとキャリアの混合割合は、一般にキャリア100質量部に対しトナー1〜10.0質量部が好ましい。
【0080】
本発明の現像剤は、本発明の前記トナーを含有しているので、感光体フィルムミングの発生を防止でき、画像むらの変動がなく、優れた鮮明な高画質な画像を安定に形成することができる。
本発明の現像剤は、磁性一成分現像方法、非磁性一成分現像方法、二成分現像方法等の公知の各種電子写真法による画像形成に好適に用いることができ、以下の本発明のトナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に特に好適に用いることができる。
【0081】
(トナー入り容器)
本発明のトナー入り容器は、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を容器中に収容してなる。
【0082】
前記トナー入り容器としては、内部にアジテータが設けられた容器、壁がスパイラル構造のプラスチック製容器、あるいはカートリッジタイプの容器等の従来一般的に用いられている容器に充填し収納され、画像形成装置本体とは別途にトナーが収納された容器自体がユーザーに供給される。更に、最近では、ユーザーの手元にある容器にトナーの不足分を供給する販売方式も考えられている。
【0083】
前記容器としては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー容器本体とキャップとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記トナー容器本体としては、その大きさ、形状、構造、材質などについては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、円筒状などが好ましく、内周面にスパイラル状の凹凸が形成され、回転させることにより内容物であるトナーが排出口側に移行可能であり、かつ該スパイラル部の一部又は全部が蛇腹機能を有しているもの、などが特に好ましい。
前記トナー容器本体の材質としては、特に制限はなく、寸法精度がよいものが好ましく、例えば、樹脂が好適に挙げられ、その中でも、例えば、ポリエステル樹脂,ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル酸、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、などが好適に挙げられる。
本発明のトナー入り容器は、保存、搬送等が容易であり、取扱性に優れ、後述する本発明のプロセスカートリッジ、画像形成装置等に、着脱可能に取り付けてトナーの補給に好適に使用することができる。
【0084】
(プロセスカートリッジ)
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持する静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に担持された静電潜像を、トナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを、少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択した、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段などのその他の手段を有してなる。
前記現像手段としては、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を収容する現像剤収容器と、該現像剤収容器内に収容されたトナー乃至現像剤を担持しかつ搬送する現像剤担持体とを、少なくとも有してなり、更に、担持させるトナー層厚を規制するための層厚規制部材等を有していてもよい。
本発明のプロセスカートリッジは、各種電子写真装置、ファクシミリ、プリンターに着脱自在に備えさせることができ、後述する本発明の画像形成装置に着脱自在に備えさせるのが好ましい。
【0085】
ここで、前記プロセスカートリッジは、例えば、図18に示すように、感光体101を内蔵し、帯電手段102、現像手段104、転写手段108、クリーニング手段107を含み、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。図18中、103は露光手段による露光、105は記録媒体をそれぞれ示す。
前記感光体101としては、後述する画像形成装置と同様なものを用いることができる。前記帯電手段102には、任意の帯電部材が用いられる。
次に、図18に示すプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段(図示せず)による露光103により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段104でトナー現像され、該トナー現像は転写手段108により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(図示せず)により除電されて、再び、以上の操作を繰り返すものである。
【0086】
本発明の画像形成装置としては、前記静電潜像担持体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを静電潜像担持体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としてもよい。
【0087】
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、除電工程、クリーニング工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
【0088】
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
【0089】
−静電潜像形成工程及び静電潜像形成手段−
前記静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
前記静電潜像担持体(「電子写真感光体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、その形状としてはドラム状が好適に挙げられ、その材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体、などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコン等が好ましい。
【0090】
前記アモルファスシリコン感光体としては、例えば、支持体を50〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を有する感光体(以下、「a−Si系感光体」と称することがある)を用いることができる。これらの中でも、プラズマCVD法、即ち、原料ガスを直流又は高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適である。
【0091】
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
【0092】
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
【0093】
前記帯電部材の形状としてはローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等、どのような形態をとってもよく、電子写真装置の仕様や形態にあわせて選択可能である。磁気ブラシを用いる場合、磁気ブラシは例えばZn−Cuフェライト等、各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。又はブラシを用いる場合、例えば、ファーブラシの材質としては、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電器とする。
前記帯電器は、上記のような接触式の帯電器に限定されるものではないが、帯電器から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電器を用いることが好ましい。
【0094】
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
【0095】
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、本発明の前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、本発明の前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられ、本発明の前記トナー入り容器を備えた現像器などがより好ましい。
【0096】
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
【0097】
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
【0098】
前記現像器に収容させる現像剤は、本発明の前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。該現像剤に含まれるトナーは、本発明の前記トナーである。
【0099】
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして二色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
【0100】
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
【0101】
−定着工程及び定着手段
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
【0102】
前記除電工程は、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
【0103】
前記クリーニング工程は、前記静電潜像担持体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
【0104】
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。
前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
【0105】
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
【0106】
次に、本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する一の態様について、図19を参照しながら説明する。図19に示す画像形成装置100は、前記静電潜像担持体としての感光体ドラム10(以下「感光体10」という)と、前記帯電手段としての帯電ローラ20と、前記露光手段としての露光装置30と、前記現像手段としての現像器40と、中間転写体50と、クリーニングブレードを有する前記クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、前記除電手段としての除電ランプ70とを備える。
【0107】
中間転写体50は、無端ベルトであり、その内側に配置されこれを張架する3個のローラ51によって、矢印方向に移動可能に設計されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加可能な転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50には、その近傍にクリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されており、また、最終記録媒体としての転写紙95に現像像(トナー画像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加可能な前記転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー画像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、該中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と転写紙95との接触部との間に配置されている。
【0108】
現像器40は、前記現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cとから構成されている。なお、ブラック現像ユニット45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kとを備えており、イエロー現像ユニット45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像ユニット45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mとを備えており、シアン現像ユニット45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cとを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、複数のベルトローラに回転可能に張架され、一部が感光体10と接触している。
【0109】
図19に示す画像形成装置100において、例えば、帯電ローラ20が感光体ドラム10を一様に帯電させる。露光装置30が感光ドラム10上に像様に露光を行い、静電潜像を形成する。感光ドラム10上に形成された静電潜像を、現像器40からトナーを供給して現像してトナー画像を形成する。該トナー画像が、ローラ51から印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に転写紙95上に転写(二次転写)される。その結果、転写紙95上には転写像が形成される。なお、感光体10上の残存トナーは、クリーニング装置60により除去され、感光体10における帯電は除電ランプ70により一旦、除去される。
【0110】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図20を参照しながら説明する。図20に示す画像形成装置100は、図19に示す画像形成装置100において、現像ベルト41を備えてなく、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M及びシアン現像ユニット45Cが直接対向して配置されていること以外は、図19に示す画像形成装置100と同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図20においては、図19におけるものと同じものは同符号で示した。
【0111】
本発明の画像形成装置により本発明の画像形成方法を実施する他の態様について、図21を参照しながら説明する。図21に示すタンデム画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置である。タンデム画像形成装置120は、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置(ADF)400とを備えている。
複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。そして、中間転写体50は、支持ローラ14、15及び16に張架され、図21中、時計回りに回転可能とされている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上の残留トナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14と支持ローラ15とにより張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50における、タンデム型現像器120が配置された側とは反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22においては、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される転写紙と中間転写体50とは互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。
なお、タンデム画像形成装置100においては、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙の両面に画像形成を行うために該転写紙を反転させるためのシート反転装置28が配置されている。
【0112】
次に、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。即ち、先ず、原稿自動搬送装置(ADF)400の原稿台130上に原稿をセットするか、あるいは原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。
【0113】
スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿が搬送されてコンタクトガラス32上へと移動された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により、光源からの光が照射されると共に原稿面からの反射光を第2走行体34におけるミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36で受光されてカラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの画像情報とされる。
【0114】
そして、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各画像情報は、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)にそれぞれ伝達され、各画像形成手段において、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各トナー画像が形成される。即ち、タンデム型現像器120における各画像形成手段18(ブラック用画像形成手段、イエロー用画像形成手段、マゼンタ用画像形成手段及びシアン用画像形成手段)は、図22に示すように、それぞれ、感光体10(ブラック用感光体10K、イエロー用感光体10Y、マゼンタ用感光体10M及びシアン用感光体10C)と、該感光体を一様に帯電させる帯電器60と、各カラー画像情報に基づいて各カラー画像対応画像様に前記感光体を露光(図22中、L)し、該感光体上に各カラー画像に対応する静電潜像を形成する露光器と、該静電潜像を各カラートナー(ブラックトナー、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナー)を用いて現像して各カラートナーによるトナー画像を形成する現像器61と、該トナー画像を中間転写体50上に転写させるための転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64とを備えており、それぞれのカラーの画像情報に基づいて各単色の画像(ブラック画像、イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像)を形成可能である。こうして形成された該ブラック画像、該イエロー画像、該マゼンタ画像及び該シアン画像は、支持ローラ14、15及び16により回転移動される中間転写体50上にそれぞれ、ブラック用感光体10K上に形成されたブラック画像、イエロー用感光体10Y上に形成されたイエロー画像、マゼンタ用感光体10M上に形成されたマゼンタ画像及びシアン用感光体10C上に形成されたシアン画像が、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上に前記ブラック画像、前記イエロー画像、マゼンタ画像及びシアン画像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
【0115】
一方、給紙テーブル200においては、給紙ローラ142の1つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の1つからシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ145で1枚ずつ分離して給紙路146に送出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。あるいは、給紙ローラ142を回転して手差しトレイ54上のシート(記録紙)を繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。なお、レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用されてもよい。そして、中間転写体50上に合成された合成カラー画像(カラー転写像)にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間にシート(記録紙)を送出させ、二次転写装置22により該合成カラー画像(カラー転写像)を該シート(記録紙)上に転写(二次転写)することにより、該シート(記録紙)上にカラー画像が転写され形成される。なお、画像転写後の中間転写体50上の残留トナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
【0116】
カラー画像が転写され形成された前記シート(記録紙)は、二次転写装置22により搬送されて、定着装置25へと送出され、定着装置25において、熱と圧力とにより前記合成カラー画像(カラー転写像)が該シート(記録紙)上に定着される。その後、該シート(記録紙)は、切換爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされ、あるいは、切換爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。
【実施例】
【0117】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。下記実施例及び比較例において、質量平均粒径、質量平均粒径/個数平均粒径、平均円形度、粒径2μm以下の微粉の含有量、騒音の測定方法は以下の通りである。
【0118】
<質量平均粒径及び粒度分布の測定>
前記トナーの質量平均粒径及び粒度分布は、粒度測定器(「コールターカウンターマルチサイザー」;ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径が100μmの条件で質量平均粒径及び個数平均粒径を測定し、これらの結果から(質量平均粒径/個数平均粒径)を算出した。
【0119】
<平均円形度の測定>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」;東亜医用電子株式会社製)を用いて計測した。具体的には、容器中に、予め不純固形物を除去した水100〜150mlに分散剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスフォン酸塩)を0.1〜0.5ml添加し、更に、各トナーを0.1〜0.5g添加して分散させた。得られた分散液を超音波分散器(ホンダエレクトロニクス社製)で約1〜3分間分散処理して、分散液の濃度を3000〜1万個/μlとしてトナーの形状及び分布を測定した。これらの測定結果から平均円形度を算出した。
【0120】
<粒径2μm以下の微粉の含有量の測定>
フロー式粒子像分析装置(「FPIA−2100」;東亜医用電子株式会社製)を用いて計測した。測定結果は、スキャッタグラムとして粒度分布と円形度分布を組合せた粒子状態が二次元グラフとして表示され、かつ粒径のX軸は0.6〜400μmを226分割で表示されている。このX軸は任意で小粒子率、中粒子率、大粒子率の3分割の個数分布で表示できるため小粒子率の範囲を2μm以下に設定することにより0.6μm〜2μmの含有率を求めることができる。
【0121】
<騒音の測定>
噴霧時の騒音測定は、株式会社カスタム製のSOUND LEVEL METER SL−1350を用いた。評価方法としては等価騒音レベル(単位デシベル)で、JIS Z8731「騒音レベル測定方法」に基づき、変動する騒音レベルを一定の時間の範囲内で、これと等しいエネルギーの定常騒音レベルで求めた。なお、騒音と定常音の音圧の差が大きいほどデシベル値が大きくなる。
【0122】
(実施例1)
ポリオール樹脂100.0質量部、キナクリドン系マゼンタ顔料(C.I.Pigment Red122)6.0質量部、及び帯電制御剤としてサルチル酸亜鉛塩2質量部をミキサーで混合し、エクストルーダーで溶融混練した。この混練物を図1に示す噴霧造粒装置(図1に示すコ・フローエアーリングノズル9−1のリングに代え、図3に示されるチャンバー3の上部のチャンバー上蓋3−Aに上部二次エアー孔3−B、又はチャンバー3の側面に側面二次エアー孔3−Cを設けたもの)を用い、溶融粘性が120Pa・sの状態で超臨界状態の二酸化炭素注入量を1.0質量%添加し、溶融粘性を100Pa・sに低下させて噴霧造粒を行った。その際、チャンバー上部より吸引二次エアー量Q1を噴霧造粒高圧ガス噴霧量Qに対しQ1=2/5×Q、チャンバー側面からの吸入量Q2を噴霧造粒高圧ガス噴霧量Qに対しQ2=1/5×Qで流入させて、質量平均粒径5.5μm、質量平均粒径/個数平均粒径=1.18、平均円形度0.97のトナー母体粒子を得た(混練物溶融投入量に対する造粒回収率又は製品回収率は90%であった)。また、粒径2μm以下の微粉の含有量が8個数%であった。
以下、詳細条件を示す。
・溶融機温度:70〜130℃
・噴霧ノズル本数:8本(一次交差衝突ノズル4本、二次交差衝突ノズル4本)
・噴霧圧力:0.5MPa
・圧縮エアー温度:150℃
・チャンバー内部温度:30℃
・チャンバー上部吸引二次エアー量:2/5×Q
・チャンバー側面部吸引二次エアー量:1/5×Q
【0123】
(実施例2)
図2に示す噴霧造粒装置(図2に示すコ・フローエアーリングノズル9−1のリングに代え、図3に示されるチャンバー3の上部のチャンバー上蓋3−Aに上部二次エアー孔3−B、又はチャンバー3の側面に側面二次エアー孔3−Cを設けたもの)を用いて、混練物に超臨界状態の二酸化炭素注入量を1.0質量%添加し、直接噴霧造粒した後、実施例1と同様な材料及び分級手段を経て質量平均粒径5.6μm、質量平均粒径/個数平均粒径=1.20、平均円形度0.96のトナー母体粒子を得た(混練物溶融投入量に対する造粒回収率又は製品回収率は91%であった)。また、粒径2μm以下の微粉の含有量が10個数%であった。
以下、詳細条件を示す。
・混練機温度:50〜150℃
・噴霧ノズル本数:8本(一次交差衝突ノズル4本、二次交差衝突ノズル4本)
・噴霧圧力:0.5MPa
・圧縮エアー温度:150℃
・チャンバー内部温度:30℃
・チャンバー上部吸引二次エアー量:1/5×Q
・チャンバー側面部吸引二次エアー量:2/5×Q
【0124】
(実施例3)
実施例2において、図2に示す噴霧造粒装置に、更にチャンバー上部二次エアー流入孔及び側面二次エアー吸引孔に図10及び図11に示す防音材(ネオカルム(アルミニウム粉末を焼結により成型した板状の吸音材))を装着して噴霧造粒し、質量平均粒径5.6μm、質量平均粒径/個数平均粒径=1.20、平均円形度0.96のトナー母体粒子を得た(混練物溶融投入量に対する造粒回収率又は製品回収率は91%であった)。また、粒径2μm以下の微粉の含有量が10個数%であった。その際、造粒中の騒音は実施例1及び2に比べて、85dBから80dBに低下した。
【0125】
(実施例4)
実施例3において、図2に示す噴霧造粒装置に、更にチャンバー全体を図12に示す防音材(ネオカルム(アルミニウム粉末を焼結により成型した板状の吸音材))で覆い噴霧造粒し、質量平均粒径5.6μm、質量平均粒径/個数平均粒径=1.20、平均円形度0.96のトナー母体粒子を得た(混練物溶融投入量に対する造粒回収率又は製品回収率は91%であった)。また、粒径2μm以下の微粉の含有量が10個数%であった。その際、造粒中の騒音は実施例1及び2に比べて、85dBから78dBに低下した。
【0126】
(比較例1)
実施例1において、図1に示す噴霧造粒装置(コ・フローエアーリングノズル9−1のリングを有するもの)を用い、実施例1の材料と条件を用いてエクストルーダーで溶融後、噴霧造粒を行い。質量平均粒径5.5μm、質量平均粒径/個数平均粒径=1.17、平均円形度0.97のトナー母体粒子を得た(混練物溶融投入量に対する造粒回収率又は製品回収率は75%であった)。また、粒径2μm以下の微粉の含有量が8個数%であった。その際の噴霧造粒騒音は85dBであった。
以下、詳細条件を示す。
・溶融機温度:70〜130℃
・噴霧ノズル本数:8本(一次交差衝突ノズル4本、二次交差衝突ノズル4本)
・噴霧圧力:0.5MPa
・圧縮エアー温度:150℃
・チャンバー内部温度:30℃
・コ・フローエアー噴霧量:4/5×Q
・コ・フローエアー温度100℃
【0127】
(比較例2)
実施例2において、図2に示す噴霧造粒装置(コ・フローエアーリングノズル9−1のリングを有するもの)を用い、実施例1の材料、及び実施例2の条件を用いてエクストルーダーで溶融後、噴霧造粒を行い。質量平均粒径5.5μm、質量平均粒径/個数平均粒径=1.18、平均円形度0.97のトナー母体粒子を得た(混練物溶融投入量に対する造粒回収率又は製品回収率は75%であった)。また、粒径2μm以下の微粉の含有量が10個数%であった。その際の噴霧造粒騒音は83dBであった。
以下、詳細条件を示す。
・溶融機温度:70〜130℃
・噴霧ノズル本数:8本(一次交差衝突ノズル4本、二次交差衝突ノズル4本)
・噴霧圧力:0.5MPa
・圧縮エアー温度:150℃
・チャンバー内部温度:30℃
・コ・フローエアー噴霧量:4/5×Q
・コ・フローエアー温度100℃
【0128】
次に、実施例1〜4及び比較例1〜2の生産性、製品回収量、及び騒音の結果を表1に示す。
【表1】

※生産性項目のエネルギー効率は製品回収率で得られるトナー1kgに費やす動力値を示す。
【0129】
次に、得られた実施例1〜4及び比較例1〜2の各トナーについて、タンデム型カラー画像形成装置(imagio Neo 450、株式会社リコー製)を用いて、複写紙(TYPE 6000<70W>、株式会社リコー製)に画像を形成し、以下のようにして、100枚後、及び50,000枚後のカブリ、解像性、画像濃度、及び粒状度を評価した。結果を表2に示す。
【0130】
<カブリ>
カブリは、非画像部の各トナーによる汚れを観察する。汚れがない良好な場合を○、汚れはあるが使用上問題ない場合を△、使用上問題がある場合を×と判定した。
【0131】
<解像性>
解像性は、白紙紙上の1mm幅に等間隔の黒色細線を引いた原稿を複写し、1mm幅に何本引いたものまで各線が識別できるかを確認した。識別できる線の数の平均値を示した。なお、4.5本以上が実使用可能レベルである。
【0132】
<画像濃度>
画像濃度は、マクベス濃度計で複写画像の黒ベタ部の反射濃度を測定した。
【0133】
<粒状度>
粒状度は、スキャナ(HEIDELBERG社製、Nexscan F4100)で画像濃度を測定し、Dooleyの定義式に従い計算を行った。
【0134】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0135】
本発明のトナーの製造方法により製造されたトナーは、銀塩画像に匹敵する細線再現性及び階調性が優れた電子写真画像を形成することができるので、高品質な電子写真用画像形成に好適に使用される。
本発明のトナーを用いた本発明の現像剤、トナー入り容器、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法は、高品質な画像形成に好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】図1は、従来の噴霧造粒装置を用いた噴霧造粒工程の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、従来の噴霧造粒装置を用いた噴霧造粒工程の他の一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の噴霧造粒装置を用いた噴霧造粒工程の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の噴霧造粒工程に用いられるチャンバーの一例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の噴霧造粒工程に用いられるチャンバーの他の一例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の噴霧造粒工程に用いられるチャンバーの他の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の噴霧造粒工程に用いられるチャンバーの他の一例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の噴霧造粒工程に用いられるチャンバーの他の一例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の噴霧造粒工程に用いられるチャンバーの他の一例を示す図である。
【図10】図10は、チャンバーに用いる防音材の一例を示す図である。
【図11】図11は、チャンバーに用いる防音材の他の一例を示す図である。
【図12】図12は、チャンバーに用いる防音材の他の一例を示す図である。
【図13】図13は、チャンバーに用いる防音材の他の一例を示す図である。
【図14】図14は、チャンバーに用いる防音材の他の一例を示す図である。
【図15】図15は、図1及び2で示す高圧ノズルの鉛直方向の断面図である。
【図16】図16は、図1及び2で示す高圧ノズルの水平方向の断面図である。
【図17】図17は、図1及び2で示す高圧ノズルの鉛直方向の断面図、及び拡大図である。
【図18】図18は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【図19】図19は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図20】図20は、本発明の画像形成装置の他の一例を示す概略図である。
【図21】図21は、本発明のタンデム型の画像形成装置の一例を示す図である。
【図22】図22は、図21の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0137】
1 混練物
1−2 混合物
2a 混練溶融品排出ノズル
2−1 溶融機
2−2 超臨界流体調節装置
2−3 混練機
3 チャンバー
3−A チャンバー上蓋
3−B 上部二次エアー孔
3−C 側部二次エアー孔
3−D ガイドベーン
3−E ガイドベーン
4 高圧ガスノズル
4a 噴霧ノズル
4b 噴霧ノズル
5 噴霧造粒品
5−a 上部二次エアー
5−b 側部二次エアー
5−c 上部側部混合二次エアー
6 圧縮エアー
6a 主流
6−1 コ・フローエアー圧縮エアー
6−2 噴霧用圧縮エアー
7−1 サイクロン
7−2 回収容器
8 噴霧用熱交換機
9−1 コ・フローエアーリングノズル
9−2 コ・フロー用熱交換機
10 感光体(感光体ドラム)
10K ブラック用感光体
10Y イエロー用感光体
10M マゼンタ用感光体
10C シアン用感光体
11−1 バグフィルター
11−2 バグフィルター
12 ブロワー
13 滞留ゾーン
13a 噴霧ノズル
14 支持ローラ
15 支持ローラ
16 支持ローラ
17 中間転写クリーニング装置
18 画像形成手段
20 帯電ローラ
21 露光装置
22 二次転写装置
23 ローラ
24 二次転写ベルト
25 定着装置
26 定着ベルト
27 加圧ローラ
28 シート反転装置
30 露光装置
32 コンタクトガラス
33 第1走行体
34 第2走行体
35 結像レンズ
36 読取りセンサ
40 現像器
41 現像ベルト
42K 現像剤収容部
42Y 現像剤収容部
42M 現像剤収容部
42C 現像剤収容部
43K 現像剤供給ローラ
43Y 現像剤供給ローラ
43M 現像剤供給ローラ
43C 現像剤供給ローラ
44K 現像ローラ
44Y 現像ローラ
44M 現像ローラ
44C 現像ローラ
45K ブラック用現像器
45Y イエロー用現像器
45M マゼンタ用現像器
45C シアン用現像器
49 レジストローラ
50 中間転写体
51 ローラ
52 分離ローラ
53 手差し給紙路
54 手差しトレイ
55 切換爪
56 排出ローラ
57 排出トレイ
58 コロナ帯電器
60 クリーニング装置
61 現像器
62 転写帯電器
63 感光体クリーニング装置
64 除電器
70 除電ランプ
80 転写ローラ
90 クリーニング装置
95 転写紙
100 画像形成装置
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 記録媒体
107 クリーニング手段
108 転写手段
110 ベルト式画像定着装置
120 タンデム型現像器
130 原稿台
142 給紙ローラ
143 ペーパーバンク
144 給紙カセット
145 分離ローラ
146 給紙路
147 搬送ローラ
148 給紙路
150 複写装置本体
200 給紙テーブル
210 画像定着装置
220 加熱ローラ
230 加圧ローラ
300 スキャナ
400 原稿自動搬送装置(ADF)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性材料をチャンバー内に排出しながら該粘性材料に高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、該チャンバー内に冷却用エアーを流入させて造粒することを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項2】
粘性材料が、樹脂溶融材料及び樹脂溶解材料のいずれかである請求項1に記載の微粒子の製造方法。
【請求項3】
粘性材料が樹脂溶融材料及び樹脂溶解材料のいずれかであり、該樹脂溶融材料及び樹脂溶解材料のいずれかを、加圧下で混練した後、又は超臨界流体を注入して混練した後、得られた混練物をチャンバー内に排出しながら高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、該チャンバー内に、該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒する請求項1から2のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項4】
粘性材料を加圧下で溶融させる手段と、高圧ガスノズルが設けられたチャンバーとを具備する噴霧造粒装置を用い、
前記粘性材料を溶融又は溶融しながら加圧下で超臨界流体を注入して均一に分散させた後、得られた分散物をチャンバー内に排出しながら前記高圧ガスノズルから高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、
該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒する請求項1から2のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項5】
粘性材料が、少なくとも樹脂及び粒子を含有する複合材料である請求項1から4のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項6】
エアー取入口が、チャンバーの上部、及びチャンバーの上部側面部のいずれかに形成されている請求項3から5のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項7】
エアー取入口は、旋回流が形成可能である請求項3から6のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項8】
エアー取入口は、断面積を調整可能なゲートを有する請求項3から7のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項9】
エアー取入口が防音材で覆われている請求項3から8のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項10】
チャンバー内部の機内静圧Pが、次式、−0.01MPa≦P≦0.01MPaを満たした状態で造粒する請求項1から9のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項11】
チャンバー外周面に温度調整可能なジャケットを有する請求項1から10のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項12】
チャンバー外周面に複数に分割させた断熱機構を有する請求項1から11のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項13】
チャンバー外周面に防音機構を有する請求項1から12のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項14】
超臨界流体を注入及び分散する溶融混練機の内部温度が、粘性材料の融点又は流出開始温度−10℃〜+100℃の範囲及び粘性材料のガラス転移温度+30℃〜+150℃の範囲のいずれかで溶融混練する請求項3から13のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項15】
高圧ガスに10〜80kHzの超音波パルスを付与する請求項1から14のいずれかに記載の微粒子の製造方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれかに記載の微粒子の製造方法により製造されたことを特徴とする微粒子。
【請求項17】
下記(1)〜(4)から選択されるいずれかの混合物を、加圧下で混練した後、又は超臨界流体を注入して混練した後、得られた混練物をチャンバー内に排出しながら高圧ガスで噴霧させて微粒子化し、
該チャンバー内に、該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒することを特徴とするトナーの製造方法。
(1)少なくとも結着樹脂、及び着色剤からなる混合物
(2)少なくとも結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤からなる混合物
(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
(4)少なくとも結着樹脂、磁性剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
【請求項18】
下記(1)〜(4)から選択されるいずれかの混合物を加圧下で溶融する手段と、高圧ガスノズルが設けられたチャンバーとを具備する噴霧造粒装置を用いて、
前記混合物を溶融又は溶融しながら加圧下で超臨界流体を注入して均一に分散させた後、得られた分散物をチャンバー内に排出しながら前記高圧ガスノズルから高圧ガスを噴霧させて微粒子化し、
前記チャンバー内に、該チャンバーに形成されたエアー取入口から冷却用エアーを流入させて造粒することを特徴とするトナーの製造方法。
(1)少なくとも結着樹脂、及び着色剤からなる混合物
(2)少なくとも結着樹脂、着色剤及び帯電制御剤からなる混合物
(3)少なくとも結着樹脂、着色剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
(4)少なくとも結着樹脂、磁性剤、帯電制御剤及びワックスからなる混合物
【請求項19】
エアー取入口が、チャンバーの上部、及びチャンバーの上部側面部のいずれかに形成されている請求項17から18のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項20】
エアー取入口は、旋回流が形成可能である請求項17から19のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項21】
エアー取入口は、断面積を調整可能なゲートを有する請求項17から20のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項22】
エアー取入口が防音材で覆われている請求項17から21のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項23】
チャンバー内部の機内静圧Pが、次式、−0.01MPa≦P≦0.01MPaを満たした状態で造粒する請求項17から22のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項24】
チャンバー外周面に温度調整可能なジャケットを有する請求項17から23のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項25】
チャンバー外周面に複数に分割させた断熱機構を有する請求項17から24のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項26】
チャンバー外周面に防音機構を有する請求項17から25のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項27】
超臨界流体を注入及び分散する溶融混練機の内部温度が、トナーの融点又は流出開始温度−10℃〜+100℃の範囲、及びトナーのガラス転移温度+30℃〜+150℃の範囲のいずれかで溶融混練する請求項17から26のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項28】
高圧ガスに10〜80kHzの超音波パルスを付与する請求項17から27のいずれかに記載のトナーの製造方法。
【請求項29】
請求項17から28のいずれかに記載のトナーの製造方法により製造されたことを特徴とするトナー。
【請求項30】
質量平均粒径が、3.0〜10.0μmである請求項29に記載のトナー。
【請求項31】
質量平均粒径と個数平均粒径との比(質量平均粒径/個数平均粒径)が1.03〜1.50である請求項29から30のいずれかに記載のトナー。
【請求項32】
平均円形度が、0.85〜0.99である請求項29から31のいずれかに記載のトナー。
【請求項33】
粒径2μm以下の微粉の含有量が15個数%以下である請求項29から32のいずれかに記載のトナー。
【請求項34】
請求項29から33のいずれかに記載のトナーを含むことを特徴とする現像剤。
【請求項35】
請求項29から33のいずれかに記載のトナーが充填されてなることを特徴とするトナー入り容器。
【請求項36】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像を請求項29から33のいずれかに記載のトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段とを少なくとも有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項37】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を請求項29から33のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、前記可視像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項38】
静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記静電潜像を請求項29から33のいずれかに記載のトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置。

【図3】
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【図14】
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【図15】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−307168(P2006−307168A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59089(P2006−59089)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】