説明

急性ヒト骨髄性白血病細胞を死滅させるトロンボポエチン受容体作用薬(TpoRA)

本発明は、トロンボポエチン受容体作用薬(TpoRA)、その誘導体、または変異体を、AMLに罹った個体に投与することによって、ヒト骨髄性白血病細胞成長および増殖を阻害する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
2005年には、米国で約11,920の急性骨髄性白血病(AML;急性骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性顆粒性白血病または急性非リンパ球性白血病としても知られる)の新規症例が診断された(Surveillance,Epidemiology and End Results [SEER]Program,2005)。成人がかかる最も一般的な急性白血病であるAMLは、年齢を問わず起こり得るが、65才以上の成人は、若い人よりも病気を発症する確率が高い。加えて、AMLは小児期の急性白血病の症例の約15〜20パーセントを占める。
【0003】
AMLにおける悪性細胞は、骨髄芽球である。正常な造血において、骨髄芽球は、骨髄性白血球の未熟な前駆体である。しかし、AMLにおいて、1つの骨髄芽球の遺伝子変化が蓄積し、この変化は細胞をその未熟な状態に「凍結」し、分化を阻む。このような突然変異単独では白血病を引き起こさないが、「分化停止」が、増殖を制御する遺伝子を破壊する他の突然変異と組み合わさると、その結果、正常な血球として機能せず、また正常な骨髄細胞の産生を阻止する細胞の未熟なクローン(白血病性芽球)の無制御な成長が起こる。このことは、血液中の、赤血球の欠乏(貧血)、血小板の欠乏(血小板減少症)、および正常な白血球、特に好中球の欠乏(好中球減少症)をもたらし、AMLの臨床症状に至る。
【0004】
ほぼ全てのAML患者は、診断後、できるだけ早く治療が必要である。ほとんどの患者において、治療期間を通じて少なくとも2つの異なる化学療法剤が投与される、強化化学療法(導入療法)が、寛解を達成するために必要である。
【0005】
血球数が徐々に正常値に近づき、血液または骨髄中で白血病細胞を同定できなくなると、寛解が達成される。しかし、寛解において、残存白血病細胞が依然として存在するが、不活性であり、これらは正常な血球発生を妨害しないが、再生し、白血病の再発を引き起こす可能性を有する。このために、自己幹細胞注入もしくは同種幹細胞移植を伴うか、または伴わない追加の化学療法が通常、勧められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
血液中または骨髄検査によって検出できない残存白血病細胞が、寛解期に体内に残存している。したがって、AMLの最適処置は通常、寛解が達成された後に追加の集中治療を必要とする(強化療法)。強化療法の集中的化学療法後でさえも、一部の患者は骨髄中に残存白血病細胞を有し(難治性白血病)、さらに他の患者は寛解を達成した後に再発に苦しむ。
【0007】
AML患者を治療する場合に克服するのが最も困難な問題の1つは、一部の患者の白血病細胞が化学療法薬に対して非感受性であることである。これは、寛解を誘発または維持するための治療の失敗につながり得る。
【0008】
白血病細胞において3つの既知薬剤耐性機構が存在し、これは白血病細胞を化学療法の効果から保護する。第一に、特異遺伝子は、原始細胞を毒素から保護するために進化したタンパク質をコードする(例えば、P−糖タンパク質(多剤耐性タンパク質)、肺抵抗タンパク質、および乳癌耐性タンパク質)。これらのタンパク質などは、急性白血病細胞における化学療法の有効性を減少させ得る。第二に、化学療法は、増強され、加速されたプログラムされた細胞死を誘発することによって、アポトーシス遺伝子経路を活用する。しかし、一部の白血病において、これらの遺伝子は、下方制御されるか、またはさらには阻止されるかのいずれかであり、文字通り、化学療法の結果としての細胞死を阻止する。第三に、特異遺伝子ファミリーは、結果として患者の白血病を再発させる化学療法抵抗性細胞において活性であり得る。今までのところ、これらの経路のいずれかを阻止することに成功した新規の臨床的研究はない。
【0009】
寛解が見られるか、数年間寛解状態にあるか、または実際に治癒したAML患者の割合は、過去30年にわたって増加しているが、AMLは、依然として、治療が最も困難な血液癌の一つである。この問題のために、AMLを治療するための新規療法が必須である。したがって、この深刻な疾患の新規治療法が当該技術分野で長年にわたり、差し迫って必要とされている。本発明はこの要求を満たすものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、急性骨髄性白血病と診断されたヒトを治療する方法を含み、この方法は、血小板新生受容体作用薬(TpoRA)、その誘導体、または変異体を含む組成物をヒトに投与することを含み、さらに、この場合、この組成物はヒトにおける白血病細胞成長および増殖を阻害する。一態様において、組成物を、化学療法剤の投与前、投与中、または投与後に、ヒトに投与する。他の態様で、TpoRA、その誘導体または変異体をヒトに、TroRA、その誘導体または変異体および医薬担体を含む医薬組成物として投与する。他の態様において、医薬組成物をヒトに非経口投与する。さらに別の態様において、トロンボポエチン受容体作用薬は化合物Aである。
【0011】
本発明の他の実施形態は、骨髄異形性症候群と診断されたヒトを治療する方法を含み、この方法は、血小板新生受容体作用薬(TpoRA)、その誘導体、または変異体を含む組成物をヒトに投与することを含み、さらにこの場合、この組成物は、ヒトにおける白血病細胞成長および増殖を阻害する。一態様において、組成物をヒトに、化学療法剤の投与前、投与中、または投与後に投与する。他の態様において、TpoRA、その誘導体または変異体をヒトに、TroRA、誘導体またはその変異体および医薬担体を含む医薬組成物として投与する。他の態様において、医薬組成物を前記ヒトに非経口投与する。さらに他の態様において、トロンボポエチン受容体作用薬は、化合物Aである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明を説明する目的で、図面で本発明のある実施形態を表す。しかし、本発明は、図面に表される実施形態の配置および手段に限定されない。
【図1】図1(図1A〜図1Cを含む)は、巨核球コロニー形成検定法を表す1連のチャートである。図1Aは、トロンボポエチン(TPO)の存在下、フィブリン塊中で成長させたヒトCD34+細胞を表す画像である。図1Bは、化合物Aの存在下、フィブリン塊中で成長させたヒトCD34+細胞を表す画像である。図1Cは、TPOまたは化合物Aでの刺激後の、CD34+細胞から形成されたコロニーの数を表すグラフである。
【図2】図2(図2A〜図2Cを含む)は、TPOまたは化合物Aに暴露したヒト一次白血病細胞の増殖研究を表す成長曲線を表す1連のチャートである。図2Aは、TPO、化合物A(SB)、対照(CTRL)およびDMSOの、2人の急性骨髄性白血病(AML)患者から得られた一次細胞の成長に対する影響を表す1対のチャートである。細胞の合計数をY軸に示し、様々な時点(0、3、および4日)をX軸に示す。図2Bは、TPO、化合物A(SB)、対照(CTRL)およびDMSOの、2人の急性リンパ性白血病(ALL)患者から得られた一次細胞の成長に対する影響を表す1対のチャートである。細胞の合計数をY軸に示し、様々な時点(0、1、3、および5日)をX軸に示す。図2Cは、TPO、化合物A(SB)、対照(CTRL)およびDMSOの、2人の慢性骨髄性白血病(CML)患者から得られた一次細胞の成長に対する影響を表す1対のチャートである。細胞の合計数をY軸に示し、様々な時点(0、3、および6日)をX軸に示す。
【図3】図3(図3A〜図3Fを含む)は、対照、DMSO、2.8μMのTPO、5μMの化合物A(SB)、2.5μMの化合物A(SB)、および1μMの化合物(SB)の、AML患者から得られた一次白血病細胞の成長に対する影響を表す1連のチャートである。図3Aは、1、2.5、および5μMの化合物A(SB)および2.8μMのTPOの、AML857患者から得られた一次白血病細胞の細胞成長に対する影響を表すチャートである。図3Bは、1、2.5、および5μMの化合物A(SB)ならびに2.8μMのTPOの、AML794患者から得られた一次白血病細胞の細胞成長に対する影響を表すチャートである。図3Cは、1、2.5、および5μMの化合物A(SB)ならびに2.8μMのTPOの、AML342患者から得られた一次白血病細胞の細胞成長に対する影響を表すチャートである。図3Dは、1、2.5、および5μMの化合物A(SB)ならびに2.8μMのTPOの、AML332患者から得られた一次白血病細胞の細胞成長に対する影響を表すチャートである。図3Eは、1、2.5、および5μMの化合物A(SB)ならびに2.8μMのTPOの、AML774患者から得られた一次白血病細胞の細胞成長に対する影響を表すチャートである。図3Fは、1、2.5、および5μMの化合物A(SB)ならびに2.8μMのTPOの、AML759患者から得られた一次白血病細胞の細胞成長に対する影響を表すチャートである。細胞を、全ての実験において、3、5および8日目に計数した。
【図4】図4(図4Aおよび図4Bを含む)は、TPOシグナリングに関与するキナーゼのリン酸化のウェスタンブロット分析を表す1連の画像である。図4Aは、ウェスタンブロットUT&−TPO細胞を表す画像である。図4Bは、ヒト前駆細胞CD34+のウェスタンブロットを表す画像である。化合物AはSBと表示される。
【図5】図5(図5A〜図5Fを含む)は、増殖分析の結果を表す1連のチャートである。図5Aは、AML患者857から得られた一次白血病細胞に関して行われた増殖分析の結果を表すチャートである。図5Bは、AML患者794から得られた一次白血病細胞に関して行われた増殖分析の結果を表すチャートである。図5Cは、AML患者342から得られた一次白血病細胞に関して行われた増殖分析の結果を表すチャートである。図5Dは、AML患者332から得られた一次白血病細胞に関して行われた増殖分析の結果を表すチャートである。図5Eは、AML患者774から得られた一次白血病細胞に関して行われた増殖分析の結果を表すチャートである。図5Fは、AML患者759から得られた一次白血病細胞に関して行われた増殖分析の結果を表すチャートである。化合物AはSBと表示される。
【図6】図6は、化合物AおよびrhTPOの両方に暴露されたN2C−TPO細胞におけるERK1/2、p70S6、S6およびSTAT5キナーゼリン酸化のウェスタンブロット分析を表す画像である。化合物AはSBと表示される。
【図7】図7は、様々な時点で、TPO対化合物Aで刺激されたN2C−TPO細胞において、全ての試験された遺伝子の発現における相違を表すヒートマップを表す画像である。化合物Aで刺激された細胞における遺伝子発現の変化を、薄い方の色で示した。
【図8】図8(図8Aおよび図8Bを含む)は、TPO対化合物A刺激に対する応答における遺伝子制御を表す1連の画像である。図8Aは、TPO対化合物Aでの刺激によって上方調節されるN2C−TPO細胞におけるアポトーシス経路に関与する遺伝子を表すヒートマップを表す画像である。図8Bは、TPO対化合物Aでの刺激によって下方調節されるN2C−TPO細胞におけるアポトーシス経路に関与する遺伝子を表すヒートマップを表す画像である。化合物Aで刺激された細胞における遺伝子発現の変化を、薄い方の色で示した。
【図9】図9(図9Aおよび図9Bを含む)は、TPO対化合物Aで刺激されたN2C−TPO細胞における転写因子の調節を示すヒートマップを表す1連の画像である。図9Aは、TPO対化合物Aで刺激されたN2C−TPO細胞において上方調節される転写因子を表すヒートマップを表す画像である。図9Bは、TPO対化合物Aで刺激されたN2C−TPO細胞において下方調節される転写因子を表すヒートマップを表す画像である。化合物Aで刺激された細胞における遺伝子発現の変化を、薄い方の色で表示する。
【図10】図10は、AMLまたはALLのいずれかと診断されたヒト患者から単離された一次細胞に関して行われたアポトーシス分析の結果を表す1連の画像である。上側の3つのパネルは、AML患者774から得られたデータを表し、この場合、単離された一次細胞を、対照(左のパネル)、rhTpo+DMSO(中央のパネル)またはSB559457(右のパネル)に暴露し、次いでアポトーシスについて分析する。下側の3つのパネルは、ALL患者710から得られたデータを表し、この場合、一次細胞を、対照(左のパネル)、rhTpo+DMSO(中央のパネル)またはSB559457(右のパネル)に暴露し、次いでアポトーシスについて分析する。両軸は、ヨウ化プロピジウム(PI;y軸)またはアネキシンV(x軸)のいずれかについて染色された細胞の数を表す。
【図11】図11は、rhTpo(2.86μM)またはSB559457(5μM)で6時間刺激された一次AML細胞におけるGAPDH(上のパネル)およびRedd1(下のパネル)mRNAレベルの定量的RT−PCR分析の比較を表す1連のグラフである。
【図12】図12は、1、3、もしくは5時間、rhTpoまたはSB559457に暴露後の一次AML細胞(AML774、AML794、およびAML971)の3つの異なる試料におけるp70SおよびS6キナーゼリン酸化のウェスタンブロット分析の結果を表す一連の画像である。対照=未刺激細胞;TPO=2.866μMのrhTpo+0.05%のDMSOで刺激した細胞;SB=μMのSB559457で刺激した細胞。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、トロンボポエチン受容体作用薬(TpoRA)、その誘導体または変異体をAMLに罹った個体に投与することによって、ヒト骨髄性白血病細胞成長および増殖を阻害する方法を提供する。一実施形態において、TpoRA、その誘導体、または変異体をAMLに罹った個体に投与する。本発明の他の実施形態においては、TpoRA、その誘導体、または変異体を、化学療法レジメンの一部としてAMLに罹った個体に投与する。
【0014】
定義:
特に別段の定めがない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語および専門用語は、本発明が関連する技術分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書において記載するものと類似または同等の方法および物質を本発明の試験の実施において使用できるが、好ましい物質および方法を本明細書では記載する。本発明を記載し、クレームするにあたって、以下の専門用語を使用する。
【0015】
本明細書において用いられる専門用語はまた、特定の実施形態を記載する目的だけであり、制限することを意図しないと理解される。
冠詞「a」および「an」は本明細書において、この冠詞の文法上の目的語の1つまたはそれ以上(すなわち、少なくとも1つ)について言及するために使用する。例として、「an element」とは、1つの要素または1つより多い要素を意味する。
【0016】
本明細書において用いられる「アミノ酸」とは、天然および合成アミノ酸の両方、ならびにDおよびLアミノ酸の両方を包含することを意味する。「標準的アミノ酸」は、天然に存在するペプチドにおいて一般的に見られる20のL−アミノ酸のいずれかを意味する。「非標準的アミノ酸残基」とは、これが合成によって調製されるか、または天然源由来であるかに関係なく、標準的アミノ酸以外の任意のアミノ酸を意味する。本明細書において用いられる場合、「合成アミノ酸」は、塩、アミノ酸誘導体(たとえばアミド)、および置換などであるが、これらに限定されない化学的に修飾されたアミノ酸も包含する。ペプチド内に、特にカルボキシ末端またはアミノ末端で含まれるアミノ酸は、メチル化、アミド化、アセチル化またはペプチドの活性に悪影響を及ぼすことなくペプチドの循環半減期を変えることができる他の化学基での置換によって修飾することができる。さらに、ジスルフィド結合がペプチド中に存在しても、存在しなくてもよい。
【0017】
本明細書において用いられる「約」は、測定可能な値、たとえば、量、時間などに関する場合、特定の値から、±20%または±10%、さらに好ましくは±5%、一層好ましくは±1%、なお一層好ましくは±0.1%の変動を含むことを意味する。というのもこのような変動は開示された方法を実施するために適切であるからである。
【0018】
「作用薬」および「作用薬の」という用語は、本明細書において用いられる場合、生物活性または受容体活性化を、直接的または間接的に、実質的に誘発、促進、または向上させることができる分子をさすか、かかる分子を表す。
【0019】
「化学療法」という用語は、本明細書において用いられる場合、化学療法剤を癌と診断された個体に投与する治療の過程を意味する。化学療法剤は、癌を治療するために、癌に罹っている個体に有利に投与できる薬物を包含する。化学療法剤は、多くの場合、細胞、たとえば腫瘍細胞においてアポトーシスを誘発するアポトーシス誘発剤を含む。癌細胞をはじめとする細胞は、アポトーシスとしても知られる、プログラムされた細胞死を起こすように誘導することができる。アポトーシスは、DNAが高度に断片化されるようになる比較的小さなフラグメントへの選択的にプログラムされた細胞の分解によって特徴づけられる(すなわち、結果として得られるフラグメントは、典型的には、約200以下の塩基を有する)。アポトーシスの間、細胞収縮およびヌクレオソーム間のDNA切断が起こり、その結果、DNAのフラグメント化が起こる。
【0020】
「誘導体」という用語は、別の化合物から誘導された化合物、特に本発明において記載するような、化合物Aの生物活性を保持する本発明の化合物Aの任意の修飾を含む化合物を定義するために用いられる。
本明細書において用いられる「DNA」という用語は、デオキシリボ核酸として定義される。
【0021】
「有効量」または「治療有効量」は、本明細書では交換可能に用いられ、本明細書において、特定の生物学的結果を達成するために有効であると記載される、化合物、処方、物質、または組成物の量を意味する。このような結果としては、これらに限定されないが、当該技術分野において好適な任意の手段によって決定される、ウイルス感染の阻害が挙げられる。
【0022】
「単離された」とは、天然の状態から変更または取り出されることを意味する。たとえば、生きている動物中に自然に存在する核酸またはペプチドは、「単離され」ていないが、その天然状態の共存する物質から部分的または完全に分離された同じ核酸またはペプチドは、「単離され」ている。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在し得るか、または非天然の環境、たとえば宿主細胞中に存在し得る。
【0023】
「白血球減少症」という用語は、本明細書において用いられる場合、哺乳動物における血液白血球(白血球)の濃度において、正常より低い減少を意味する。
「突然変異」という語句は、本明細書において用いられる場合、遺伝子を表すDNA鎖の一部に対する変化の結果として起こる、遺伝子における変更を意味する。
「生殖細胞突然変異」は、卵または精子において存在し、親から子孫へと伝えられ得る。
【0024】
「体細胞突然変異」は、特定の組織細胞において起こり、その結果、特定の組織細胞が腫瘍へと成長し得る。ほとんどの癌は、体細胞突然変異後に開始する。白血病、リンパ腫または骨髄腫において、原始骨髄またはリンパ節細胞は体細胞突然変異を受け、腫瘍の形成に至る。これらの場合、腫瘍は、通常、検出される場合は広く分布し、これらは通常、多くの骨の骨髄を含むか、いくつかの部位においてリンパ節を含む。
【0025】
「癌遺伝子」という語句は、本明細書において用いられる場合、癌の原因である突然変異した遺伝子を意味する。急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、リンパ腫のいくつかの亜型、およびほとんど全ての慢性骨髄性白血病の症例は、一貫して突然変異した遺伝子(癌遺伝子)を有する。
【0026】
本明細書において用いられる場合、「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は、交換可能に用いられ、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基を含む化合物を意味する。タンパク質またはペプチドは、少なくとも2つのアミノ酸を含むはずであり、タンパク質の配列もしくはペプチドの配列を含み得るアミノ酸の最大数は制約されない。ポリペプチドは、ペプチド結合によって互いに結合した少なくとも2つアミノ酸を含む任意のペプチドもしくはタンパク質を含む。本明細書において用いられる場合、この用語は、例えば、通常、当該技術分野においてペプチド、オリゴペプチドおよびオリゴマーとも称する単鎖、ならびに当該技術分野において一般的にタンパク質と称する長鎖の両方を意味し、多くの種類がある。「ポリペプチド」は、例えば、生物学的に活性なフラグメント、実質的に対応するポリペプチド、オリゴペプチド、ホモ二量体、ヘテロ二量体、ポリペプチドの変異体、修飾ポリペプチド、誘導体、類似体、融合タンパク質を特に包含する。ポリペプチドとしては、天然のペプチド、組換えペプチド、合成ペプチド、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
「医薬的に許容される」とは、薬理学的/毒物学的観点から患者に許容され、また組成物、処方、安定性、患者の承諾、およびバイオアベイラビリティーに関する物理的/化学的観点から、調剤する薬剤師に許容され得る特性および/または物質を意味する。「医薬的に許容される担体」とは、活性成分の生物活性の有効性を妨げず、投与される宿主に対して毒性でない媒体を意味する。
【0028】
「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)」という語句は、本明細書において用いられる場合、微量のDNAもしくはRNAを拡大して、特定の種類のDNAもしくはRNAを研究もしくは測定できるようにする技術を意味する。この技術は、顕微鏡を用いて観察するには少なすぎる、非常に低濃度の残留白血病もしくはリンパ腫細胞を検出するのに有用になってきている。この技術は、500000〜1000000の非白血病細胞のうちの1つの白血病細胞の存在を検出できる。PCRは、白血病細胞もしくはリンパ種様細胞における癌遺伝子などの特定のDNA(もしくはRNA)異常またはマーカーを、残留する異常な細胞を同定するための使用に必要とする。
【0029】
本明細書において用いられる「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドの鎖として定義される。さらに、核酸は、ヌクレオチドのポリマーである。したがって、本明細書において用いられる核酸およびポリヌクレオチドは交換可能である。当業者は、核酸がポリヌクレオチドであり、これを加水分解して「ヌクレオチド」にすることができるという一般的知識を有している。モノマーヌクレオチドを加水分解して、ヌクレオシドにすることができる。本明細書において用いられる場合、ポリヌクレオチドは、これらに限定されないが、組換え手段などであるが、これに限定されない当該技術分野において利用可能な任意の手段によって得ることができる全ての核酸配列を包含する。
【0030】
「難治性(疾患)という語句は、本明細書において用いられる場合、疾患についての標準的治療法を用いた初期治療後に、寛解にならないか、または実質的に改善されない疾患を意味する。
「再発(繰り返し)」という語句は、本明細書において用いられる場合、治療後に寛解期にあった後に疾患が再発することを意味する。
【0031】
「寛解」という語句は、本明細書において用いられる場合、疾患の徴候が、通常は治療の結果として、消失することを意味する。「完全」または「部分的」という用語は、「寛解」という用語を修飾するために用いられる。「完全な寛解」とは、疾患の全ての徴候がなくなることを意味する。部分的寛解とは、疾患が治療によって著しく改善されるが、疾患の残留徴候が存在することを意味する。長期的効果には、特に急性白血病もしくは進行性リンパ腫において、完全な寛解が通常必要とされる。
【0032】
「治療に対する耐性」という語句は、本明細書において用いられる場合、通常、細胞を殺す化学物質に細胞が暴露されるにもかかわらず、この細胞が生存でき、分裂できることを意味する。難治性白血病は、ある割合の悪性細胞が、薬物の損傷効果に抵抗する状況である。細胞には、薬剤耐性を発現するいくつかの方法がある。
「療法」という用語は、本明細書において用いられる場合、治療および/または予防を意味する。治療効果は、肝疾患に関連する病状の抑制、寛解、または根絶によって得られる。
「血小板減少症」という語句は、本明細書において用いられる場合、哺乳動物の血小板の濃度において正常を下回る減少を意味する。
【0033】
「治療」という用語は、本面発明に関連して用いられる場合、疾患の治療的処置ならびに予防的処置、または抑制手段を包含することを意味する。したがって、たとえば治療という用語は、疾患または障害の開始前もしくは開始後に薬剤を投与し、結果として疾患もしくは障害の全ての兆候を予防もしくは除去することを包含する。別の例として、疾患の臨床症状が現れた後の薬剤投与は、疾患の「治療」を含む。
【0034】
「変異体」とは、本明細書において用いられる用語としては、それぞれ参考核酸配列またはペプチド配列と配列が異なるが、参考分子の基本的特性を保持している核酸配列またはペプチド配列を意味する。核酸変異体の配列における変化は、参考核酸によってコードされるペプチドのアミノ酸配列を変更し得ないか、またはアミノ酸置換、付加、欠失、融合および切断をもたらし得る。ペプチド変異体の配列における変化は、典型的には限定されるか、または保存的であり、したがって、参考ペプチドおよび変異体の配列は全体的に非常に類似し、多くの領域では同一である。変異体および参考ペプチドは、任意の組み合わせの1以上の置換、付加、欠失によってアミノ酸配列において異なり得る。核酸またはペプチドの変異体は、天然に存在する対立遺伝子変異体などであり得るか、または天然に存在することが知られていない変異体であり得る。核酸およびペプチドの天然に存在しない変異体は、突然変異誘発技術によるか、または直接合成によって作製することができる。変異体という用語は、その機能を変更しない分子になされる修飾も意味し得る。
【0035】
説明:
本発明は、ヒト骨髄性白血病細胞成長および増殖を阻害するためにトロンボポエチン受容体作用薬を用いる方法を提供する。本発明の方法は、細胞増殖性および/または分化障害、特に急性骨髄性白血病に関連する障害の治療において有用である。
本発明におけるトロンボポエチン受容体作用薬
【0036】
本発明は、AML細胞の成長および増殖を阻害するための血小板新生受容体作用薬(TpoRA)の使用を包含する。「トロンボポエチン受容体作用薬」または「TPO受容体作用薬」(TpoRA)という用語は、本明細書においては交換可能に用いられ、トロンボポエチン受容体mplと結合する性質を有し、mpl作用薬の生物学的性質を有する、任意の医薬化合物、小分子、ペプチドまたは核酸を意味する。本発明において、TPO受容体作用薬の生物学的性質は、AML細胞の成長および増殖の阻害である。
【0037】
本発明の方法において有用な、好ましいTpoRAは、3’−{N’−[1−(3,4−ジメチルフェニル)−3−メチル−5−オキソ−1,5−ジヒドロピラゾール−4−イリデン]ヒドラジン}−5’−フルオロ−2’−ヒドロキシビフェニル−3−カルボン酸(以下、化合物Aと称する)である。化合物Aは、その医薬的に許容される塩、水和物、溶媒和物およびエステルとともに、TPO受容体の作用薬として、特に血小板産生の向上および特に血小板減少症の治療において有用であるとして、国際出願番号PCT/US01/16863(国際公開番号WO01/89457;米国公開番号US2004/0019190A1)(その開示は、参考として本明細書で援用される)で開示され、クレームされている化合物であり、その構造は次のとおりである:
【0038】
【化1】

【0039】
治療法
本発明の方法の一実施形態において、TpoRA、その誘導体または変異体を、AMLと診断された個体に投与する。本発明の一態様において、TpoRA、その誘導体、または変異体をAMLに罹った個体に、化学療法レジメンの一部として投与して、化学療法剤の有効性を増大させる。
【0040】
本発明の方法の別の実施形態において、TpoRA、その誘導体または変異体を、骨髄異形性症候群と診断された個体に投与する。本発明の一態様において、TpoRA、その誘導体、または変異体を、骨髄異形性症候群の個体に、化学療法レジメンの一部として投与して、化学療法剤の有効性を増大させる。
【0041】
「化学療法剤の有効性を増大させる」とは、TpoRA、その誘導体、または変異体を投与することによって、これらに限定されないが、個体の生存期間の延長、個体におけるAMLまたは骨髄異形性症候群の臨床兆候の減少、または化学療法剤の用量もしくは投与頻度または両方を減少させることをはじめとする、有益な臨床転帰をもたらし、その結果、化学療法剤の毒性に関連する望ましくない副作用を減少させ、化学療法レジメンをさらに耐容性にすることを意味する。TpoRA、その誘導体、または変異体を、化学療法剤の投与前、化学療法剤の投与中もしくは化学療法剤の投与後のいずれか、または個体の治療に有効であると見なされる、これらのある組み合わせで個体に投与することができる。化学療法レジメンの一部としてTpoRA、その誘導体、または変異体を投与するための最適のスケジュールを規定することは、当該技術分野の十分可能である。
【0042】
本発明の別の態様において、TpoRA、その誘導体、または変異体を、化学療法の投与前に個体に投与する。理論によって拘束されることを望まないが、TpoRAの化学療法の開始前の個体への投与が、化学療法に対して抵抗性である白血病細胞を標的とし、化学療法剤の有効性を増大させることは、当業者によって理解されるであろう。加えて、TPO受容体を発現する全ての白血病細胞は、TpoRA、その誘導体または変異体の標的である。TpoRA、その誘導体または変異体を、化学療法を開始する前に個体に提供することによって、白血病細胞は化学療法剤に対して感受性が高くなり、その結果、治療がより有効になるであろうことは、当業者には明らかであろう。
【0043】
本発明のさらに別の態様において、TpoRA、その誘導体、または変異体を、個体が化学療法の過程を完了した後に、個体に投与する。理論によって拘束されることを望まないが、検出されていない循環白血病細胞が、化学療法完了後のAML患者における再発の危険性を増大させることは、当業者には理解されるであろう。TpoRA、その誘導体、または変異体の、化学療法を完了した個体への投与は、残存白血病細胞が依然として不活性な状態で、これを標的とし、疾患再発の危険性を減少させる。
【0044】
本発明のさらに別の態様において、TpoRA、その誘導体、または変異体を、AMLの唯一の治療法として、化学療法の代わりに個体に投与する。AMLと診断された多くの個体において、白血病細胞は化学療法に対して難治性であることは、当業者には理解されるであろう。これらの個体をTpoRA、その誘導体、または変異体で治療することは、白血病細胞が化学療法剤を回避することを可能にする機構を迂回する代替療法である。
【0045】
本発明のさらに別の態様において、TpoRA、その誘導体、または変異体を、AMLの唯一の治療法として、化学療法の代わりに個体に投与する。
【0046】
本発明の組成物および方法は、ウイルス増殖抑制剤およびウイルス毒性剤ならびにウイルス毒性剤、抗生剤、抗真菌剤、抗炎症剤、疼痛緩和療法、ならびに併用療法などをはじめとする他の治療レジメンと組み合わせて用いることができる。
【0047】
本発明は、他の治療法、たとえば化学療法、凍結療法、温熱療法、放射線療法などと組み合わせて用いることもできる。
【0048】
療法および製剤
TpoRA、その誘導体、または変異体を、たとえば、静脈内治療プロトコルをはじめとする、当該技術分野において公知の任意の好適な経路を用いて、個体に投与することができる。投与は、急速直接注射または低速注入によるなど一定期間にわたるかのいずれかであり得る。徐放性処方も用いることができる。さらに、TpoRA、その誘導体、または変異体を、ポリマー、たとえばポリエチレングリコールと安定して結合させて、所望の特性、たとえば溶解性、安定性、延長された半減期および他の医薬的に有利な特性をTpoRAに付与することができる(例えば、Burnham,1994,AM.J.Hosp.Pharm.51:210−8を参照)。
【0049】
ホスファターゼ阻害剤およびアクチベータ、ならびにキナーゼ阻害剤およびアクチベータも、TpoRAと結合または共役させて、所望の特性、たとえば溶解性、安定性、延長された半減期および他の医薬的に有利な特性をTpoRAに付与することができる。
【0050】
本発明は、本発明の方法を実施するための医薬組成物の使用、適切な治療化合物および医薬的に許容される担体を含む組成物を包含する。
【0051】
本明細書において用いられる場合、「医薬的に許容される担体」という用語は、治療化合物を組み合わせることができ、組み合わせ後に、適切な治療化合物を哺乳動物に投与するために使用できる化学組成物を意味する。
【0052】
本発明の実施に有用な医薬組成物を投与して、1ng/kg/日〜100mg/kg/日の用量を送達することができる。投与される正確な用量は、これらに限定されないが、動物の種類および治療される病状の種類、動物の年齢および投与経路などの任意の数の因子によって変化するであろう。最大の臨床効果を得るために必要なTpoRA、その誘導体または変異体の最適用量を規定することは、当業者には十分可能である。
【0053】
本発明の方法において有用である医薬組成物を、静脈内処方で全身投与することができる。適切な治療化合物に加えて、かかる医薬組成物は、医薬的に許容される担体および薬物投与を向上させ、促進することが知られている他の成分を含み得る。
【0054】
本発明は、活性成分として本明細書において開示されるAMLの治療に有用な化合物を含む医薬組成物の調製および使用を包含する。このような医薬組成物は、活性成分単独を、対照への投与に適した形態で含むか、または医薬組成物は、活性成分および1以上の医薬的に許容される担体、1以上のさらなる成分、またはこれらの組み合わせを含み得る。活性成分は、当該技術分野において周知の様に、医薬組成物中、生理学的に許容されるエステルまたは塩の形態で、たとえば生理学的に許容されるカチオンもしくはアニオンとの組み合わせで存在し得る。
【0055】
本明細書において用いられる場合、「生理学的に許容される」エステルまたは塩という用語は、医薬組成物の任意の他の成分と適合性である活性成分のエステルまたは塩形態であって、組成物が投与される対象に対して有害でないものを意味する。
本明細書において記載される医薬組成物の処方は、薬理学の分野で既知であるか、または今後開発される任意の方法によって調製することができる。一般的に、このような調製法は、活性成分を、担体または1以上の他の副成分と結合させ、次いで、必要であるかもしくは望ましいならば、生成物を所望の単一投与単位または複数回投与単位に成形または包装する工程を含む。
【0056】
本発明の方法において有用である医薬組成物は、非経口、静脈内または他の投与経路に適した処方で調製、包装、または販売することができる。
【0057】
本発明の医薬組成物は、単一の単位投与量として、または複数の単回単位投与量として、バルクで調製、包装、または販売することができる。本明細書において用いられる場合、「単位投与量」とは、あらかじめ決められた量の活性成分を含む医薬組成物の独立した量である。活性成分の量は、一般的に、対象に投与される活性成分の用量またはかかる用量の都合のよい一部、たとえばかかる用量の二分の一または三分の一と等しい。
【0058】
本発明の医薬組成物中の活性成分、医薬的に許容される担体、および追加の成分の相対的な量は、治療される対象の独自性、サイズ、および状態に応じて変わり、さらには組成物が投与される経路応じて変わる。一例として、組成物は、0.1%〜100%(w/w)の活性成分を含み得る。
活性成分に加えて、本発明の医薬組成物は、1以上の追加の医薬活性剤をさらに含み得る。
【0059】
本発明の医薬組成物の制御放出処方または持続放出処方は、通常の技法を用いて作製することができる。
本明細書において用いられる場合、医薬組成物の「非経口投与」は、対象の組織を物理的に破壊し、医薬組成物を組織の裂け目を通って投与することによって特徴づけられる任意の投与経路を包含する。非経口投与は、したがって、これらに限定されないが、組成物の注射による医薬組成物の投与、外科的切開からの組成物の適用、組織を貫通する非外科的創傷からの組成物の適用などによる医薬組成物の投与を包含する。特に、非経口投与は、これらに限定されないが、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、胸骨内注射、および腎臓透析注入技術を包含することが想定される。
【0060】
非経口投与に適した医薬組成物の処方は、医薬的に許容される担体、たとえば滅菌水または滅菌等張食塩水と組み合わせられた活性成分を含む。このような処方をボーラス投与もしくは連続投与に適した形態で調製、包装、または販売することができる。注射可能な処方を単位投与形態中、例えばアンプルもしくは保存料を含む多剤容器中で調製、包装、または販売することができる。非経口投与の処方としては、これらに限定されないが、懸濁液、溶液、油性もしくは水性ビヒクル中エマルジョン、ペースト、および移植可能な持続放出性または生分解性処方が挙げられる。かかる処方は、これらに限定されないが、沈殿防止剤、安定化剤、または分散剤をはじめとする1以上のさらなる成分をさらに含むことができる。非経口投与用処方の一実施形態において、活性成分を、好適なビヒクル(例えば滅菌脱パイロゲン水)で再構成した後、再構成された組成物を非経口投与するための、乾燥(すなわち、粉末もしくは顆粒)形態で提供する。
【0061】
医薬組成物を、滅菌注射可能な水性もしくは油性懸濁液または溶液の形態で調製、包装、または販売することができる。この懸濁液または溶液は、既知の技術にしたがって処方することができ、活性成分に加えて、追加の成分、たとえば本明細書において記載する分散剤、湿潤剤、または懸濁化剤を含み得る。このような滅菌注射製剤は、無毒な非経口的に許容される希釈剤または溶媒、たとえば水もしくは1,3-ブタンジオールを用いて調製することができる。他の許容される希釈剤および溶媒としては、これらに限定されないが、リンゲル液、等張塩化ナトリウム溶液、および固定油、たとえば合成モノグリセリドもしくはジグリセリドが挙げられる。有用な他の非経口投与可能な処方は、微結晶形態において、リポソーム製剤において、または生分解性ポリマー系の成分として活性成分を含むものを包含する。持続放出または移植用組成物は、医薬的に許容されるポリマー物質または疎水性物質、たとえばエマルジョン、イオン交換樹脂、難溶性ポリマー、または難溶性塩を含み得る。
【0062】
化合物を個体に、毎日数回もの頻度で投与することができるか、またはそれほど頻繁ではなく、例えば1日1回、1週間に1回、2週間ごとに1回、1ヶ月に1回、またはさらに少なく、例えば数ヶ月に1回もしくは1年に1回以下で投与することができる。投与頻度は、当業者には容易に明らかであり、これらに限定されないが、治療される疾患の種類および重篤度、個体の種類および年齢などの任意の数の因子に依存するであろう。
【実施例】
【0063】
本発明を以下の実験例を参照することにより、さらに詳細に説明する。これらの実施例は、説明のみの目的で提示し、特に記載しない限り、限定することを意図しない。したがって、本発明は、以下の実施例に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、本明細書において提供される教唆の結果として明らかになるあらゆる変形を包含すると解釈されるべきである。」
本明細書において開示する実験において用いる物質および方法を説明する。
【0064】
化合物
化合物Aは、Glaxo SmithKline Pharmaceuticals(ペンシルベニア州カレッジビル)から入手した。化合物を100%のDMSO中に溶解させて、10mMのストック溶液を調製し、次いでIMDM(Iscoves Modified Dulbecco’s Medium、カリフォルニア州カールズバッドのInvitrogen)中で希釈して、1mMの希釈標準溶液を得た。完全長組換えヒトトロンボポエチン(rhTPO)をR&D Systems(ミネソタ州ミネアポリス)から入手し、IMDM培地中に最終濃度5ng/mlで溶解させた。
【0065】
細胞培養
N2C−TPO細胞は、巨核芽球細胞系をrhTpo中で10週間培養することによって誘導され、Glaxo SmithKline Pharmaceuticals(ペンシルベニア州カレッジビル)より入手した。N2C−TPO細胞を、10%のAnimal Serum Complex−Fetalplex(カリフォルニア州ウェスト・サクラメントのGemini Bio−Products)、0.5%のペニシリン/ストレプトマイシン(カリフォルニア州カールズバッドのInvitrogen)および20ng/mlのrhTPOを添加したRPMI(カリフォルニア州カールズバッドのInvitrogen)培地中で培養した。
【0066】
Mo7e細胞を、10%のFetalplex、0.5%のペニシリン/ストレプトマイシン、およびGM−CSF(10ng/ml)(ミネソタ州ミネアポリスのR&D Systems)を添加したDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle培地;カリフォルニア州カールズバッドのInvitrogen)中で培養した。両細胞系由来の細胞を各実験前24時間欠乏させた。
【0067】
ヒト一次白血病細胞を、ペンシルベニア大学のStem Cell and Leukemia Coreから入手した。細胞をEGM−2(Endothelial Cell Medium−2、ニュージャージー州イースト・ラザフォードのCambrex)中で培養した。全ての細胞を、加湿インキュベータ中、37℃および5%COで培養した。
【0068】
巨核球コロニー形成検定法
正常なヒト前駆細胞を、フィブリノゲン凝塊中に1mlあたり5000個のCD34+細胞の密度で播種した。フィブリノゲン凝塊を次のようにして調製した:細胞を、重炭酸ナトリウム(3mg/ml);3−メルカプト−1−プロパンジオール(0.002%);トランスフェリン(300μg/ml);CaCl2(37μg/ml);脂肪酸を含まない脱イオンBSA(10%);インスリン(20μg/ml);コレステロール(5.6μg/ml)サイトカイン:IL−3(10ng/ml)、SCF(10ng/ml)およびrhTPO(100ng/ml=2.8μM)または化合物A(5μM)を添加したIMDM培地中に再懸濁させた。次いで、フィブリノゲン(0.2%)およびトロンビン(0.2u/ml)を含む凝塊ミックスを35mm培養皿上に播種し、加湿インキュベータ中、37℃および5%COで培養した。10日後、コロニーを固定し、巨核球マーカーCD41aについて蛍光標識した抗体で染色した。巨核球コロニーを、倒立蛍光顕微鏡を用いて計数した。
【0069】
キナーゼリン酸化のウェスタンブロット分析
対照およびrhTPOまたは化合物Aで刺激した細胞をPBS中で2回洗浄し、次いでペレット化した。ペレットを、50mMのTRIS、150mMのNaCl、0.02%のアジ化ナトリウム、0.1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および1%のIgepal(ミズーリ州、セントルイスのSigma)を含むトリプル溶解(triple−lysis)緩衝液中に溶解させ、次いで10分ごとにボルテックスしながら氷上で30分間インキュベートした。溶解物を次いで、微小遠心機中、最高速度、4℃で10分間回転させた。抽出された細胞上清をウェスタンブロット分析に使用した。
【0070】
タンパク質濃度を、ブラッドフォードタンパク質分析(カリフォルニア州ハーキュリーズのBio−Rad)によって測定した。合計150μgのタンパク質抽出物を10%のポリアクリルアミドゲル上で分割し(150V、60分)、次いで、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜上に移した(25V、60分)。コンデンスミルク(5%)をブロッキング溶液として使用した。膜を一夜、4℃で一次抗体とともに1:1000希釈度でインキュベートした。インキュベーション後、膜をTBS−T緩衝液中で3回洗浄し、二次HRP共役抗体(ニュージャージー州ピスカタウェイのAmersham Biosciences)(1:1000の希釈度)を用いて2時間、室温で検査した。すべての抗体は、Cell Signaling Technology(マサチューセッツ州ダンバーズ)から購入した。
【0071】
マイクロアレイ分析
N2C−TPO細胞(10%のFBSを加えたRPMI培地1mlあたり1×10個の細胞)を、2.8uMのTPOまたは5uMの化合物Aで30分間、1時間および3時間刺激した。次いで、細胞をPBS中で2回洗浄し、QiagenのRNaesyキット(カリフォルニア州バレンシア)を用いてRNAを単離した。各条件を3連で行った。RNAをPenn Microarray Facility(ペンシルベニア州フィラデルフィアのペンシルベニア大学)に提出した。分析は、Affymetrix GeneChip U133A vs 2を用いて実施した。統計データ分析を、Penn Bioinformatics Core(ペンシルベニア州フィラデルフィアのペンシルベニア大学)において、GCRMAアルゴリズムおよびArray Assistlite3.4プログラムを用いて実施した。遺伝子特性の可視化を、Spotfireソフトウェアを用いて行った。
【0072】
実験例1:組換えヒトTPOと比較した、化合物A分子の細胞培養評価
化合物Aが、トロンボポエチン受容体(TpoR)作用薬として機能する能力ならびにヒト巨核球の増殖および分化を刺激する能力を有するかどうかを決定するために、Tpo依存性細胞系(N2C−TPO)ならびに正常なヒトCD34+細胞を用いて多くの細胞培養実験をおこなった。化合物AがTPO依存性細胞系N2C−TPOの増殖を刺激する能力は、1〜10uMで細胞増殖の用量に依存した増加を示し、5〜10μMで最大効果が得られることが判明した。したがって、rhTPO対化合物Aの特性を直接比較する他の実験では5μMの用量を使用した。
【0073】
正常なヒト前駆細胞(CD34+)を使用して、化合物Aが巨核球の増殖および分化を刺激する能力を評価した。CD34+細胞をフィブリン塊中に播種し、10日間培養し、その後、コロニーを固定し、巨核球細胞マーカーCD41に対して特異的な抗体で染色した。化合物Aで刺激した細胞から得られる巨核球コロニーの数は、rhTPOで刺激した細胞から得られる巨核球コロニーの数と比較した場合、若干少なかったが、コロニーのサイズまたは形状において差はなかった(図1)。これらの結果は、ヒト前駆細胞の液体培養によっても確認された。CD34+細胞を、rhTPOまたは化合物Aとともにサイトカイン中、7〜10日の期間インキュベートし、その後、培養物中の細胞を、倍数体化の程度、および巨核球系マーカーCD41およびCD61の発現について調べた。14%の化合物A中で成長させた細胞は、rhTPO中の8%と比較して、高い4N DNA含量を示した。これらの同じ細胞は、35%の細胞上で巨核球マーカーCD41およびCD61を発現し、これはrhTPOを用いた結果に匹敵した。
【0074】
実験例2:一次白血病細胞に対する化合物Aの差次的効果
試料は、18人の急性骨髄性白血病(AML)患者、7人の急性リンパ球性白血病(ALL)患者および3人の慢性骨髄性白血病(CML)患者から入手した。18の試験したAML試料のうちの17において、化合物Aは、未処理対照またはrhTPOとともに培養した細胞と比較した場合、細胞増殖を70〜90%阻害した(図2A)。ALLおよびCML患者試料からの一次細胞において、化合物の顕著な効果は観察されなかった(図2BおよびC)。
【0075】
さらに、様々な用量の化合物A(1μM、2.5μMおよび5μM)の、AML試料に対する影響を調べた。この実験は、6の異なる試料に関して実施した。3の試料において、1および2.5μMの用量の化合物Aが、細胞増殖に対して影響を及ぼした。試料857および332において、1および2.5μMの用量の化合物Aによる細胞増殖の阻害は、5μMの用量を用いて達成される阻害と類似していた(図3)。残りの3つの試料において、1μMおよび2.5μMの用量の化合物Aは、細胞増殖および生存に対して影響を及ぼさなかった。これらの場合、5μMの化合物Aだけが、白血病細胞成長および増殖を阻害した。細胞成長および生存能に関する顕著な影響は、ALLまたはCML患者試料において観察されなかった。
【0076】
実験例3:rhTPOおよび化合物Aによって刺激されるシグナリング経路の比較
化合物AがAML細胞の細胞死を引き起こす機構を理解するために、rhTPOおよび化合物Aによって刺激される細胞内シグナリング経路を比較した。造血前駆細胞(CD34+)ならびにTpoRを発現するように操作され、細胞増殖がTpoによる刺激によって制御されている巨核芽球細胞系N2C−TPOに関して、これらの研究を実施した。
【0077】
Tpoシグナリング経路において重要であることが知られているキナーゼのリン酸化に対する化合物Aの影響を調べた。評価したキナーゼとしては、STAT5、ERK、p70S6、およびリボソームキナーゼS6が挙げられる。rhTPOで10または30分間刺激したN2C−TPO細胞は、前記キナーゼ全ての高いリン酸化レベルを示した。しかし、細胞を化合物Aに10または30分間暴露した場合、これらのキナーゼはどれも活性化されなかった(図4A)。同じ実験を、化合物Aによって刺激されて巨核球に分化するヒト前駆細胞CD34+に関して実施した。N2C−TPO細胞と対照的に、CD34+細胞は、rhTPO(2.8μM)または化合物A(5μM)のいずれかに暴露された後、ERK、p70S6およびS6リボソームタンパク質リン酸化の活性化を示した。しかし、rhTPOに暴露された細胞だけが、AML細胞において過剰リン酸化されるキナーゼであるSTAT5のリン酸化を刺激した(図4B)。
【0078】
実験例4:rhTPO刺激は、AML細胞に対する化合物Aの影響をブロックすることができるか
増殖分析を、6人のAML患者から得られた細胞に関して実施した。一部の実験において、細胞をまず、化合物Aに暴露し、次いでrhTPOで5分後に刺激した。全ての受容体が化合物Aによって占められ、したがってrhTPOが結合するのが阻まれる可能性を回避するために、他の実験は、細胞をrhTPOでまず刺激し、続いて5分後に化合物Aに暴露した。6つの試料のうち4つ(857、774、759、342)において、AML細胞生存は、化合物Aでの刺激後にrhTPOを添加することによって、またはまず細胞をrhTPOで刺激したのち、化合物Aに暴露することによってのいずれかで救済されなかった。しかし、試料794および332において、rhTPOの添加は、化合物Aの影響を弱めなかった(図5)。これらの結果は、多くの可能性、すなわち、第1に、化合物AはrhTPOよりもTpoRについて遙かに強力な親和性を有し得ること、第2に、KrhTPOは遙かに低く、したがって、化合物Aは受容体からrhTPOを置換できること;または、第3に、化合物Aは、AML細胞の細胞死を引き起こす他の経路を刺激することを示唆する。
【0079】
これらの可能性に対処するために、類似の救済実験をN2C−TPO細胞に対して行い、同時に、TPO経路に関与するキナーゼのリン酸化を評価した。両実験セット(rhTPOをまず添加し、次いで化合物Aを添加するか、または化合物Aをまず添加し、次いでrhTPOを添加するかのいずれか)において、STAT5、ERKp70S6キナーゼおよびS6リボソームタンパク質のリン酸化の救済を観察し、これらは化合物A単独で刺激した後にリン酸化されなかった(図6)。これらのデータは、化合物Aが、AML細胞の死に至る別の経路を活性化することを示唆する。
【0080】
実験例5:TPO対化合物Aで刺激された細胞における遺伝子発現の差のマイクロアレイ分析
化合物Aシグナリングに関与する機構をさらに理解するためにTpoまたは化合物Aで刺激された細胞に対して、Affymetrix GeneChipsを用いてマイクロアレイ分析を実施した。第1の実験セットにおいて、N2C−TPO細胞系を調べて、一次AML細胞を用いてさらに分析するために、最適な時点を規定した。
細胞をTPO(2.8μM)または化合物A(5μM)のいずれかで30分間、1時間または3時間刺激した。RNAを次に細胞から単離し、アレイ実験のために使用した。Tpo対化合物Aで刺激した後に、遺伝子発現の有意な差はなかった。刺激の30分後に、200の遺伝子が差次的に発現され、刺激の1時間後に、約400の遺伝子が差次的に発現され、3時間後に、2000を越える遺伝子が、TPOによって刺激された試料と比較して、化合物Aにおいて上方調節されるか、または上方調節されるかのいずれかであった(図7)。
【0081】
これらの遺伝子のうち、アポトーシス経路に関与する多くの遺伝子の発現における差が、転写因子(図9)と同様に観察された(図8)。最も下方調節された遺伝子(50〜200倍の変化)は、初期成長因子応答遺伝子1〜4のファミリー(細胞外シグナルの核エフェクターとして作用するタンパク質をコードする)、サイトカインシグナリング3のサプレッサー、およびほとんどの細胞シグナリング経路に関与するサイトカイン誘発性SH2含有タンパク質を含んでいた。
【0082】
実験例6:ヒト癌患者からの単離された一次細胞のアポトーシス分析
アネキシンVは、ホスファチジルセリン(PS)に対して高い親和性を有するリン脂質結合タンパク質である。アネキシンVは、正常な無傷細胞と結合しないが、壊死細胞胞は十分漏出性であるので、アネキシンVが内膜PSに接近できる。ヨウ化プロピジウムはDNAを染色する。この分析は、したがって、アポトーシスを起こしている細胞を同定する。
一次細胞を、AML(患者774;上列)またはALL(患者710;下列)患者のいずれかから単離した。細胞を次いで、対照溶液(左のパネル対)、rhTpo+DMSO(中央のパネル対)、またはSB559457(右のパネル対)のいずれかに72時間暴露した。図10は、対照細胞(上、左のパネル)およびTpo+DMSOで刺激した細胞(上、中央のパネル)と比較して、SB55945に72時間暴露したAML試料(上、右のパネル)での、アネキシンVおよびPI陽性細胞における増加を表す。ALL患者から単離された一次細胞で、細胞アポトーシスにおける有意な増加は観察できなかった。このことは、SB559457がAML細胞においてアポトーシスを誘発することを示唆する。
【0083】
実験例7:AML細胞における差次的シグナリングの分子結果
アフィメトリクス遺伝子チップ分析を、5つの異なる一次AML細胞試料(AML患者332、342、774、および794)に関して実施した。一次細胞を、TpoまたはSB559457のいずれかで6時間刺激した。発現において統計的に有意な差は、チップ上に現れた22000遺伝子のうちの2つ(36%未満の誤差発見率を示す)、すなわちグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)およびDNA損傷誘発性転写物4(Redd1としても知られる)にしか見られなかった。これらの結果を、定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)を用いて確認した。一次AML試料において、SB559457で処理した細胞におけるGAPDHの発現は、rhTpoで同じ時間(6時間)処理した細胞におけるよりも少なくとも2倍高かった。同様に、Redd1遺伝子の発現は、rhTpoとともにインキュベートされた対照細胞においてよりも、SB559457とともにインキュベートした細胞において約3〜4倍高かった(図11)。
【0084】
細胞シグナリングとアレイデータとの間の相関関係を確立するために、一次白血病細胞におけるTPOシグナリングに関与するキナーゼのリン酸化経路を調べた。リボソームS6およびp70S6キナーゼのリン酸化を、3つの一次AML試料において、SB559457(5μM)およびTpo(2,86μM)で1、3および5時間刺激した細胞で比較した。両AML試料において、SB559457で3時間刺激された細胞は、Thr421/Ser424およびリボソームキナーゼS6でp70S6キナーゼの高いリン酸化を示し、一方、非刺激対照細胞およびTpoで刺激された細胞においては、これらのキナーゼのリン酸化は全くまたはごくわずかしか検出されなかった(図12)。
【0085】
本明細書において言及される全ての特許、特許出願、および刊行物の開示は、その全体を参考として本明細書において援用する。本発明を特定の実施形態を参照して開示したが、本発明の他の実施形態および変法は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく当業者が考案できることは明らかである。添付の請求の範囲は、このような実施形態および同等物をすべて包含すると解釈されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性骨髄性白血病と診断されたヒトを治療する方法であって、血小板新生受容体作用薬(TpoRA)、その誘導体、または変異体を含む組成物を、前記ヒトに投与することを含み、さらに、前記組成物が、前記ヒトにおける白血病細胞成長および増殖を抑制する、方法。
【請求項2】
前記組成物を前記ヒトに、化学療法剤の投与前、投与中、または投与後に投与する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
TpoRA、その誘導体または変異体を前記ヒトに、TroRA、誘導体またはその変異体および医薬担体を含む医薬組成物として投与する、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記医薬組成物を前記ヒトに非経口投与する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記トロンボポエチン受容体作用薬が化合物Aである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
骨髄異形性症候群と診断されたヒトを治療する方法であって、血小板新生受容体作用薬(TpoRA)、誘導体、またはその変異体を含む組成物を、前記ヒトに投与することを含み、さらに、前記組成物が前記ヒトにおける白血病細胞成長および増殖を抑制する、方法。
【請求項7】
前記組成物を前記ヒトに、化学療法剤の投与前、投与中、または投与後に投与する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
TpoRA、その誘導体または変異体を前記ヒトに、TroRA、誘導体またはその変異体および医薬担体を含む医薬組成物として投与する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記医薬組成物を前記ヒトに非経口投与する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記トロンボポエチン受容体作用薬が化合物Aである、請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8A−1】
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【図8A−2】
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【図8B−1】
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【図8B−2】
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【図9A】
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【図9B−1】
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【図9B−2】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−500580(P2011−500580A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−529002(P2010−529002)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/079205
【国際公開番号】WO2009/048953
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】