説明

情報入力装置、情報入力方法、及び情報入力プログラム

【課題】健常者と視覚障害者が共に操作可能なタッチパネルにおいて、視覚障害者が必要なアイテムを探す作業を容易にする。
【解決手段】画面上でユーザに指示された情報を入力する情報入力装置であって、前記ユーザから指示された画面上の操作対象を特定する操作対象特定手段と、前記操作対象特定手段によって特定された操作対象の階層位置を特定し、特定した階層位置の下位にある階層構成を変更する階層構成変更手段と、前記階層構成変更手段によって変更された階層構成を、予め設定された通知範囲設定情報に基づき、前記ユーザに通知する通知内容を生成する通知内容生成手段とを有することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報入力装置、情報入力方法、及び情報入力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、タッチパネルとハードキーを用いて機器の操作を行う情報入力装置において、タッチパネルは、機器を操作するための操作内容及び操作手順を画面上に表示し、表示された操作ボタン等のアイテムがユーザによって選択されることによって操作される。しかしながら、目の不自由な視覚障害者にとって、タッチパネル上に表示された内容は視覚によって確認することができないため、タッチパネルは操作しにくいという問題があった。
【0003】
そこで、例えば健常者用と視覚障害者用の別々のユーザインタフェースを用いて、機器を操作させる情報入力装置が知られている。しかしながら、この場合、一つの機器に対して2つの操作方法を提供する必要があるため、開発コストが余分にかかってしまう。
【0004】
そのため、例えば健常者と視覚障害者が共通の操作画面を使えるように、通常のモードとは別に視覚障害者用の画面探索モードを用意して、画面探索モードでは、タッチパネルのユーザの指の下にあるボタンを音声で読み上げる構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来における特許文献1の方法では、例えば設定項目が多く、メニュー階層が深い情報入力装置の場合には、視覚障害者が操作中の画面に目的とするアイテムがなく、画面を閉じて戻った画面で再度アイテムを探すという作業が生じた。そのため、目的のアイテムがあるメニュー階層までたどり着くのに非常に時間がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、健常者と視覚障害者が共に操作可能なタッチパネルにおいて、視覚障害者が必要なアイテムを探す作業を容易にする情報入力装置、情報入力方法、及び情報入力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、画面上でユーザに指示された情報を入力する情報入力装置であって、前記ユーザから指示された画面上の操作対象を特定する操作対象特定手段と、前記操作対象特定手段によって特定された操作対象の階層位置を特定し、特定した階層位置の下位にある階層構成を変更する階層構成変更手段と、前記階層構成変更手段によって変更された階層構成を、予め設定された通知範囲設定情報に基づき、前記ユーザに通知する通知内容を生成する通知内容生成手段とを有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、画面上でユーザに指示された情報を入力する情報入力装置で実行される情報入力方法であって、前記ユーザから指示された画面上の操作対象を特定する操作対象特定手順と、前記操作対象特定手順によって特定された操作対象の階層位置を特定し、特定した階層位置の下位にある所定の階層構成を変更する階層構成変更手順と、前記階層構成変更手順によって変更された階層構成を、予め設定された通知範囲設定情報に基づき、前記ユーザに通知する通知内容を生成する通知内容生成手順とを有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、画面上でユーザに指示された情報を入力する情報入力プログラムであって、コンピュータを、前記ユーザから指示された画面上の操作対象を特定する操作対象特定手段と、前記操作対象特定手段によって特定された操作対象の階層位置を特定し、特定した階層位置の先にある所定の階層構成を変更する階層構成変更手段と、前記階層構成変更手段によって変更された階層構成を、予め設定された通知範囲設定情報に基づき、前記ユーザに通知する通知内容を生成する通知内容生成手段として機能させるための情報入力プログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、健常者と視覚障害者が共に操作可能なタッチパネルにおいて、視覚障害者が必要なアイテムを探す作業を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る情報入力装置の機能構成の一例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る情報入力装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る階層構成変更手段により変更される階層構成を示す図である。
【図4】本実施形態に係る機器設定情報が保持する情報について示す図である。
【図5】本実施形態に係る通知範囲設定情報が保持する情報について示す図である。
【図6】図6は、本実施形態に係るコピー画面から「変倍」ボタンを選択した場合の画面フローの一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るユーザ認証時の通知内容生成処理の流れを示すシーケンス図である。
【図8】本実施形態に係るユーザ認証していない場合の通知内容生成処理の流れを示すシーケンス図である。
【図9】本実施形態に係る階層構成変更処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る通知内容生成処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本実施形態に係るアイテムツリーを形成するアイテムが保持する情報について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
<情報入力装置の機能構成>
図1は、本実施形態に係る情報入力装置の機能構成の一例を示す図である。なお、本実施形態の情報入力装置100は、操作パネル等の操作画面から操作、設定が可能な例えばプリンタ等の画像形成装置に備えられるものであるが、本発明において画像形成装置に限られない。
【0014】
図1に示すように、情報入力装置100は、操作指示位置検出手段10と、操作対象特定手段20と、階層構成変更手段30と、通知内容生成手段40と、通知手段50と、記録手段60とを有するように構成される。また、記録手段60は、機器設定情報61、機器管理情報62、通知範囲設定情報63とを有する。
【0015】
操作指示位置検出手段10は、ユーザが操作画面から情報入力装置100に対して入力を行うユーザの操作指示位置、又はタッチペン等のポインティングデバイスの位置を検出する。
【0016】
操作対象特定手段20は、操作指示位置検出手段10により検出された操作指示位置の情報を取得し、予め操作対象としてのアイテムのレイアウト情報に基づき、ユーザが指示した操作画面上のアイテムを特定する。
【0017】
ここで、アイテムとは、例えば設定画面上に表示され、ユーザによって押下、選択等されることで、対応する他の画面へと遷移する操作ボタン等である。
【0018】
階層構成変更手段30は、操作対象特定手段20により特定された操作対象の情報を取得し、操作対象の階層構成(アイテムツリー)を参照して、特定された操作対象が、階層構成上のどの位置にあるのかを判定する。ここで、階層構成とは、例えば複数のアイテム群に対し、各アイテムがその内容に基づいて連結された上位、中位、又は下位の各階層等により構成された状態をいう。
【0019】
また、階層構成変更手段30は、機器設定情報61から予め設定された利用制限情報等を取得すると共に、機器管理情報62からユーザのログイン情報を取得し、取得した情報に基づいて、特定された操作対象の階層構成を変更する。具体的には、階層構成変更手段30は、特定された操作対象の階層構成において、特定された操作対象の先(下位)に位置する操作対象の通知可否、選択可否等を判定することにより、特定された操作対象の階層構成を変更する。なお、階層構成の変更内容については後述する。
【0020】
通知内容生成手段40は、階層構成変更手段30によって変更された階層構成を、予め設定された通知範囲設定情報等に基づき、ユーザに通知する通知内容を生成する。具体的には、通知内容生成手段40は、機器管理情報62におけるユーザのログイン情報と、通知範囲設定情報63の設定情報とに基づき、変更された階層構成の操作対象の名称等を通知する通知内容を生成する。
【0021】
通知手段50は、通知内容生成手段40によって生成された通知内容を音声、又は点字ディスプレイ等による点字の提示等でユーザに通知する。
【0022】
機器設定情報61は、ユーザ利用制限情報、機器構成制約情報、及び機器設定制約情報等を格納する。なお、機器設定情報61の詳細については後述する。
【0023】
機器管理情報62は、特定のユーザが機器にログインするときにユーザ認証を行うためのユーザ認証情報、又は機器にログイン中のユーザ情報を管理する。
【0024】
通知範囲設定情報63は、特定された操作対象から何階層先(下位)まで通知するか指定する通知階層レベル指定情報、及び操作対象の詳細機能を通知するか否かを指定する詳細通知指定情報を格納する。なお、通知範囲設定情報63が保持する設定情報については後述する。
【0025】
<情報入力装置のハードウェア構成>
図2は、本実施形態に係る情報入力装置のハードウェア構成の一例を示す図である。図2に示すように、情報入力装置100は、それぞれバスBで相互に接続されている操作パネル71、音声出力装置72、ドライブ装置73、補助記憶装置74、メモリ装置75、演算処理装置(CPU)76、インターフェース装置77によって構成される。
【0026】
操作パネル71は、例えばタッチパネル等で構成される操作画面であり、情報入力装置100を操作するユーザの制御命令等の情報が入力される入力部と、情報入力装置100の操作に必要な情報、処理の進捗状況等が表示される表示部とからなる。
【0027】
音声出力装置72は、例えばスピーカー等で構成され、音声を出力する。本実施形態では、例えば通知内容生成手段40が生成した通知内容、又はユーザに入力を促すためのガイダンス情報等を音声によって出力する。
【0028】
インターフェース装置77は、モデム、LANカード等で構成されており、ネットワークに接続する為に用いられる。情報入力装置100は、インターフェース装置77を介してネットワーク上の他の装置との情報の送受信を行う。
【0029】
本発明の情報入力プログラムは、情報入力装置100を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。情報入力プログラムは、例えば記録媒体78の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。
【0030】
情報入力プログラムを記録した記録媒体78は、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。
【0031】
また、情報入力プログラムを記録した記録媒体78がドライブ装置73にセットされると、情報入力プログラムは記録媒体78からドライブ装置73を介して補助記憶装置74にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた情報入力プログラムは、インターフェース装置77を介して補助記憶装置74にインストールされる。
【0032】
補助記憶装置74は、インストールされた情報入力プログラムを格納すると共に、必要なファイル、データ等を格納する。
【0033】
メモリ装置75は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成され、コンピュータの起動時に補助記憶装置74から情報入力プログラムを読み出して格納する。
【0034】
CPU76は、メモリ装置75に格納された情報入力プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0035】
<階層構成変更手段により変更される階層構成について>
ここで、図3を用いて、本実施形態に係る階層構成変更手段30により変更される階層構成について説明する。図3は、本実施形態に係る階層構成変更手段により変更される階層構成を示す図である。
【0036】
図3に示すように、操作対象特定手段20は、ユーザが操作画面上で操作中のアイテムを例えば操作中アイテム31と特定すると、階層構成変更手段30は、アイテム階層情報を参照し、操作中アイテム31が、その属する階層構成(アイテムツリー)のどこに位置しているか判定する。
【0037】
図3に示すように、操作中アイテム31は、アイテムAの階層構成に属しており、操作中アイテム31が位置する階層先(下位)には、アイテム1、アイテム2、アイテム3が存在している。操作中アイテム31から見て、例えばアイテム1及びアイテム2が1階層下位に存在しており、アイテム3が2階層下位に存在している。
【0038】
階層構成変更手段30は、例えば操作中アイテム31から見て2階層下までの階層構成に属する各アイテムについて、機器設定情報61から取得した情報に基づいて、「通知可否」及び「選択可否」を判定し、判定した結果に基づき、階層構成を動的に変更する。
【0039】
例えば図3に示すように、階層構成変更手段30は、操作中アイテム31の1階層下のアイテム1について「利用可」、アイテム2について「操作不可」、2階層下のアイテム3について「利用不可」と判定する。階層構成変更手段30は、例えば、「利用不可」と判定したアイテム3については、「通知不可」として階層構成(ツリー)から削除し、通知する対象から外す。また、「操作不可」と判定したアイテム2については、「選択不可」として表示し、通知する対象とする。
【0040】
<機器設定情報が保持する情報について>
次に、図4を用いて、本実施形態に係る機器設定情報61が保持する情報について説明する。図4は、本実施形態に係る機器設定情報が保持する情報について示す図である。
【0041】
図4に示すように、機器設定情報61は、ユーザ利用制限情報61Aと、機器設定制約情報61Bと、機器構成制約情報61Cとを保持する。
【0042】
ユーザ利用制限情報61Aは、予め登録された「ユーザ」に対して、「コピー」、「プリンタ」、「FAX」、「スキャナ」等の「機能」ごとに、「アプリケーション利用制限」、「利用制限内容」を示す情報を格納する。
【0043】
例えば、図4に示すユーザ利用制限情報61Aには、「ユーザ名」として登録されている「Tom」が、例えば「コピー」、「プリンタ」、「FAX」、「スキャナ」等の「機能」のうち、「コピー」、「プリンタ」、「FAX」が「利用可」であり、「スキャナ」が「利用不可」であることを示す「アプリケーション利用制限」と、「コピー」は「白黒」、「プリンタ」は「カラー」、「FAX」は「制限なし」とする「利用制限内容」とが記録されている。
【0044】
このように、利用制限情報61Aには、登録されているユーザによって各種「機能」が利用可能か否かを示す「アプリケーション利用制限」、各種機能の利用制限を示す「利用制限内容」が設定されている。
【0045】
図4に示す機器設定制約情報61Bは、機器の設定により制約されるアイテム間の制約情報を格納する。例えば「手差し」、「ステープル」、「パンチ」、「強制印刷」等が、ユーザによって操作画面上で設定された場合、各アイテム間において発生する制約情報を格納する。
【0046】
例えば機器設定制約情報61Bには、「手差し」が設定された場合には、「手差し」、「強制印刷」は「可」であるが、「ステープル」、「パンチ」処理は「不可」であり、「ステープル」が設定された場合には、「手差し」、「強制印刷」は「不可」であるが、「ステープル」は「可」であり、パンチは「〜が不可」等を示す制約情報が格納されている。
【0047】
このように、機器設定制約情報61Bには、ユーザによる機器の設定により発生する各アイテム間の制約情報が設定されている。
【0048】
図4に示す機器構成制約情報61Cは、機器の構成により選択不可能なアイテムを判別するための情報が格納されている。例えば「フィニッシャ」、「ADF(Auto Document Feeder)」、「手差しトレイ」等の「機器」の「状態」により選択不可能なアイテムの情報を格納する。
【0049】
例えば機器構成制約情報61Cには、「フィニッシャ」が、「未装着」である場合には、「ステープル/パンチ」を設定するアイテムを非表示とし、「ADF」が「未装着」である場合には、「SADF」を設定するアイテムを非表示とし、「手差しトレイ」が「未装着」である場合には、「手差しトレイ」を設定するアイテムを非表示とする「表示不可項目」の情報が格納されている。
【0050】
このように、機器構成制約情報61Cには、機器の構成により「通知不可」となるアイテムを示す制約情報が設定されている。
【0051】
<通知範囲設定情報について>
次に、図5を用いて、本実施形態に係る通知範囲設定情報63が保持する情報について説明する。図5は、本実施形態に係る通知範囲設定情報が保持する情報について示す図である。
【0052】
図5に示すように、通知範囲設定情報63は、ユーザ毎に通知階層レベルと各階層における詳細通知の有無を設定した設定情報を格納する。
【0053】
例えば通知範囲設定情報63には、予め登録された「ユーザ名」として「Mary」、「Ken」、「Tom」、「Ann」について、それぞれ「Mary」と「Tom」の「通知階層レベル」は「2」、「Ken」と「Ann」の「通知階層レベル」は「1」と指定されている。また、「Mary」は、「階層1の詳細通知」及び「階層2の詳細通知」はそれぞれ「なし」と設定され、「Ken」は、「階層1の詳細通知」は「なし」と指定され、「Tom」は、「階層1の詳細通知」は「あり」、「階層2の詳細通知」は「なし」と指定されている。また「Ann」の場合には、「階層1の詳細通知」は「あり」と指定されている。
【0054】
上述したように、通知範囲設定情報63には、ユーザ毎に通知階層レベルを指定し、指定した階層レベルについてそれぞれ詳細通知の有無を指定した設定情報が格納されている。
【0055】
<コピー画面から「変倍」ボタンを選択した場合の画面フローについて>
次に、図6を用いて、本実施形態に係るコピー画面から「変倍」ボタンを選択した場合の画面フローについて説明する。図6は、本実施形態に係るコピー画面から「変倍」ボタンを選択した場合の画面フローの一例を示す図である。
【0056】
例えばユーザが、機器である情報処理装置100にログインするログインキーを押下すると、ユーザ名を入力する画面81が表示される。画面81には、ユーザ名を入力する領域81Aと、取消ボタン81Bと、OKボタン81Cが表示されている。
【0057】
ユーザによって画面81の領域81Aにユーザ名が入力され、OKボタン81CにおいてOKボタンが押下されたことが確認されると、パスワードを入力する画面82が表示される。画面82には、パスワードを入力する領域82Aと、取消ボタン82Bと、OKボタン82Cが表示されている。
【0058】
次に、ユーザによって画面82の領域82Aにパスワードが入力されると、ユーザ認証が行われる。その後、例えば機器の画面上でコピーキーが押下されると、コピー画面83が表示される。コピー画面83には、「A4」、「B4」、「A3」、「変倍」、「カラー選択」等の操作ボタンが表示される。
【0059】
ここで、コピー画面83から「変倍」ボタンが選択された場合の画面フローについて説明する。通常、ユーザによってコピー画面83の「変倍」ボタンが押下等により指示されると、図6に示すように、変倍画面84が表示され、変倍画面84には「ズーム」、「定形変倍」、「用紙指定変倍」ボタンが表示される。
【0060】
また、変倍画面84の「ズーム」、「定形変倍」、「用紙指定変倍」ボタンがそれぞれ選択されると、ズーム画面85、定形変倍画面86、用紙指定変倍画面87が表示される。このように、コピー画面83に表示された操作ボタンのうち「変倍」ボタンは、ユーザによって選択されると、他の画面に遷移するボタンであり、本実施形態におけるアイテムの一例である。
【0061】
上述したユーザの指位置がコピー画面83上の「変倍」ボタン上にあるとき、例えば本実施形態に係る通知内容生成手段40は、上述したユーザ認証により取得したログイン情報と、通知範囲設定情報63とを参照することにより、例えば異なる3つの通知パターンを生成する。
【0062】
例えば、第1の通知パターンとして、通知範囲設定情報63に「通知階層レベル等が設定なし」と登録されているユーザ、或いは登録されていないユーザの場合には、デフォルト設定により通知階層レベル1のアイテムの名称が通知される。具体的には、「次の画面でズーム/定型変倍/用紙指定変倍の設定ができます。」等の通知階層レベル1の変倍画面84に表示されるアイテムの名称が通知される。
【0063】
また、第2の通知パターンとして、例えば通知範囲設定情報63に「通知階層レベル2、詳細通知無し」と設定されているユーザの場合には、通知階層レベル2のアイテムの名称が通知される。具体的には、「次の画面でズーム/定型変倍/用紙指定変倍の設定ができます。ズームの設定画面ではA、Bの設定、定型変倍の設定画面ではCの設定、用紙指定変倍の設定画面ではDを選択できます。」等の通知階層レベル1の変倍画面84、通知階層レベル2のズーム画面85、定形変倍画面86、及び用紙指定変倍画面87に表示されているアイテムの名称が通知される。
【0064】
また、第3の通知パターンとして、例えば通知範囲設定情報63に「通知階層レベル1、詳細通知有」と設定され、後述する例えばアイテム保持情報において「画面上でテンキー等のボタン入力有り」等とある場合には、通知階層レベル1のアイテムの名称、及び各アイテムにより設定できるアイテム機能の説明が通知される。
【0065】
具体的には、「次の画面でズーム/定型変倍/用紙指定変倍の設定ができます。ズームはテンキーで変倍率を指定できます。定型変倍は原稿用紙と出力用紙サイズにあわせた変倍ができます。用紙指定変倍は指定した用紙の変倍ができます」等の通知階層レベル1の変倍画面84に表示されるアイテムの名称及び、変倍画面84に表示される各アイテムにより設定できるアイテム機能の説明が通知される。
【0066】
なお、このように生成された通知パターンは、通知手段50によって、音声、点字等の手段を用いてユーザに通知される。
【0067】
<ユーザ認証時の通知内容生成処理について>
次に、図7を用いて、本実施形態に係るユーザ認証時の通知内容生成処理について説明する。図7は、本実施形態に係るユーザ認証時の通知内容生成処理の流れを示すシーケンス図である。
【0068】
図7に示すように、ユーザが情報入力装置100にログインすると(S10)、機器管理情報62からログイン結果が通知される(S11)。ここで、例えば機器管理情報62に格納されたログイン情報に基づき、視覚障害者用の画面モードに切り替える。また、例えば操作画面上に視覚障害者用の画面モードに切り替えるボタンを設け、ユーザの切り替えボタンの押下により視覚障害者用の画面モードに切り替えても良い。
【0069】
次に、ユーザが情報入力装置100の操作画面を操作すると(S12)、操作指示位置検出手段10は、ユーザの操作指示位置の座標を検出して、検出した操作指示位置の座標情報を操作対象特定手段20に通知する(S13)。
【0070】
操作対象特定手段20は、ユーザが操作中の画面にあるアイテムのレイアウト情報を参照し、通知された座標情報とアイテムのレイアウト情報とを比較して、ユーザが操作しているアイテムを特定する(S14)。
【0071】
操作対象特定手段20は、S14の処理により特定されたアイテムを階層構成変更手段30に通知する(S15)。階層構成変更手段30は、アイテム階層の各種情報を持ち、操作対象特定手段20から通知されたアイテムについてアイテム階層中の位置を特定する。次に、階層構成変更手段30は、機器管理情報62から、ログイン情報としてログイン中のユーザの有無、ログイン中のユーザ名等を取得すると(S16)、機器設定情報61を参照し(S17)、アイテムの階層構成を変更する(S18)。
【0072】
ここで、階層構成変更手段30が階層構成を変更するための判定条件は、例えば「ユーザ利用制限」、「機器構成制約」、「機器設定制約」の3つの条件である。具体的には、階層構成変更手段30は、機器設定情報61を参照して、「ユーザ利用制限」、「機器設定制約」により使えないアイテムは「選択不可」として画面に表示し、「機器構成制約」により使えないアイテムは、「通知不可」として通知対象から外して画面に表示させないよう階層構成を変更する。
【0073】
階層構成変更手段30は、上述したアイテムの階層構成を変更後、操作対象特定手段20から通知されたアイテムと、例えばその2階層下までのアイテム階層のデータと、ログイン情報とを通知内容生成手段40に通知し、通知内容の生成を依頼する(S19)。
【0074】
通知内容生成手段40は、通知範囲設定情報63を参照し(S20)、階層構成変更手段30から受信したログイン情報に基づいて、例えば「アイテムの詳細機能を通知するか」、「何階層下のアイテムまで通知するか」等を判定して、通知内容を生成する(S21)。
【0075】
なお、通知内容生成手段40は、上述したように、階層構成変更手段30からアイテムの階層構成が変更された後の例えば2階層下までのアイテム階層のデータを取得する。これにより、通知内容生成手段40により生成される通知内容は、例えば階層構成変更手段30によって「通知不可」として階層構成から削除されたアイテムは通知対象とならず、「選択不可」として画面表示されたアイテムは、「選択不可」のアイテムとして通知対象とする。
【0076】
通知内容生成手段40は、生成した通知内容を通知手段50に通知し(S22)、通知手段50は、音声、点字等により通知内容をユーザに通知する。
【0077】
<ユーザ認証していない場合の通知内容生成処理>
図8は、本実施形態に係るユーザ認証していない場合の通知内容生成処理の流れを示すシーケンス図である。図8に示すように、ユーザはログインなしで使用する。なお、この後の流れであるS30〜S40は、図7に示すユーザ認証ありのシーケンス図におけるS12〜S22と同様であるため省略する。なお、S34の処理において非ログイン時でも階層構成変更手段30は、機器管理情報62からログイン情報を取得する。これは、アイテムの階層構成を変更する時に、「ユーザ利用制限」の判定をするか否か決定するためである。
【0078】
<階層構成変更処理について>
図9は、本実施形態に係る階層構成変更処理の流れを示すフローチャートである。図9に示すように、階層構成変更手段30は、ユーザが操作中のアイテムから例えば2階層下位にあるアイテム全てについて、機器設定情報61を参照して、「機器構成制約」により使えるアイテムか否かを判定する(S50)。
【0079】
「機器構成制約」により使えないアイテムと判定した場合(S50において、NO)、ユーザが操作中のアイテム階層上で非表示にする(S51)、「機器構成制約」により使えると判定したアイテムの場合(S50において、YES)、次に、ログイン中のユーザはいるか否か判定し(S52)、ログイン中のユーザがいる場合(S52において、YES)、「ユーザ利用制限」により使えるアイテムか否か判定する(S53)。なお、ログイン中のユーザがいないと判定した場合(S52において、NO)、S54の処理に進む。
【0080】
次に、「ユーザ利用制限」により使えるアイテムと判定した場合(S53において、YES)、「機器設定制約」により使えるアイテムか否か判定する(S54)。なお、「ユーザ利用制限」により使えないと判定した場合(S53において、NO)、S55の処理に進む。
【0081】
「機器設定制約」により使えないと判定したアイテムの場合(S54において、NO)、アイテムを「選択不可」にする(S55)。また、「機器設定制約」により使えると判定した場合(S54において、YES)、S56の処理に進む。
【0082】
次に、ユーザ操作中のアイテムの2階層下にある全てのアイテムについて調べたか否か判定し(S56)、全てのアイテムについて調べた場合には(S56において、YES)、処理を終了し、全てのアイテムについて調べていない場合には(S56において、NO)、S50の処理に戻る。
【0083】
上述したように、階層構成変更手段30により、アイテムの階層構成を変更する場合、機器設定情報61を参照し、「機器構成制約」によりアイテムの選択(使用)が出来ない場合は、階層上でアイテムを非表示にする。これにより、アイテムを「通知不可」として、ユーザへの通知対象から外す。
【0084】
また、「ユーザ利用制限」又は「機器設定制約」によりアイテムの選択(使用)が出来ない場合は、アイテムを「選択不可」状態として階層上でアイテムを表示する。これにより、アイテムを「選択不可」としてユーザに通知する。ユーザへ階層構成変更手段30は、この判定をユーザ操作中のアイテムから例えば2階層下の階層まである全てのアイテムに対して行う。
【0085】
<通知内容生成処理について>
図10は、本実施形態に係る通知内容生成処理の流れを示すフローチャートである。図10に示すように、通知内容生成手段40は、機器管理情報62に格納されたログイン中のユーザ名が通知範囲設定情報63に含まれるか否か判定する(S60)。
【0086】
ログイン中のユーザ名が通知範囲設定情報63に含まれる場合(S60において、YES)、該当ユーザの通知範囲設定内容を読み込む(S62)。次に、通知内容生成手段40は、S62の処理にて読み込んだ通知範囲設定内容に基づき、操作中アイテムの1階層下のアイテムの詳細を通知するか否か判定する(S63)。
【0087】
1階層下のアイテムの詳細を通知すると判定した場合(S63において、YES)、1階層下のアイテムの名称と詳細機能を通知内容に設定し(S64)、次に、通知する階層は、操作中アイテムの1階層下までか否か判定する(S65)。なお、1階層下のアイテムの詳細を通知しないと判定した場合(S63において、NO)、1階層下のアイテムの名称のみ通知内容に設定し(S66)、S65の処理に進む。
【0088】
また、通知する階層が1階層下までではないと判定した場合(S65において、NO)、2階層下のアイテムの詳細を通知するか否か判定する(S67)。なお、通知する階層が1階層下までと判定した場合(S65において、YES)、処理を終了する。
【0089】
また、2階層下のアイテムの詳細を通知すると判定した場合(S67において、YES)、2階層下のアイテムの名称と詳細機能を通知内容に設定し(S68)、処理を終了する。なお、2階層下のアイテムの詳細を通知しないと判定した場合(S67において、NO)、2階層下のアイテムの名称のみ通知内容に設定し(S69)、処理を終了する。
【0090】
また、機器管理情報62に格納されたログイン中ユーザが、通知範囲設定情報63に含まれない場合(S60において、NO)、デフォルトの設定で通知内容を生成し、例えば1階層下のアイテムの名称のみユーザに通知する(S61)。
【0091】
本実施形態では、S61の処理に示すように、ユーザ操作中のアイテムの1階層下のアイテムの名称のみを通知するとなっているが、本発明においてこれに限らず、この設定は任意に変更することができる。
【0092】
上述したように、通知内容生成手段40は、機器管理情報62に格納されたユーザのログイン情報と通知範囲設定情報63に基づき、通知内容を生成する。
【0093】
<アイテムツリーを形成するアイテム保持情報について>
次に、図11を用いて、階層構成(アイテムツリー)を形成するアイテム保持情報について説明する。図11は、本実施形態に係るアイテムツリーを形成するアイテムが保持する情報について示す図である。
【0094】
図11に示すように、本実施形態において各アイテムはそれぞれユーザに通知するための「アイテムの名称」と「アイテムの機能」の情報を持つ。また、画面遷移を引き起こすアイテムである場合に、画面遷移先にあるアイテムの名称とそのアイテムへのリンク情報を持つ。
【0095】
例えば、図11に示すように、「アイテムの名称」である「変倍」は、「アイテムの機能」として「印刷対象データを拡大/縮小して用紙サイズに合わせます」という情報を持つ。また、「変倍」は、対応する他の画面へと画面遷移を引き起こすアイテムであり、画面遷移先にあるアイテムの名称として「ズーム」、「定形変倍」、「用紙指定変倍」の3つのアイテムの名称と、それぞれのアイテムへのリンク情報を保持する。
【0096】
上述したように、ユーザが選択したアイテムが画面遷移を生じさせる場合であっても、そのアイテムの名称を通知するだけでなく画面遷移先にあるアイテムの情報もユーザに通知するため、健常者と視覚障害者が共に操作可能なタッチパネルにおいて、視覚障害者が目的のアイテムがあるメニュー階層までたどり着くのに必要なアイテムを探す作業を容易にすることができる。
【0097】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本
発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲
で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0098】
10 操作指示位置検出手段
20 操作対象特定手段
30 階層構成変更手段
40 通知内容生成手段
50 通知手段
60 記録手段
61 機器設定情報
62 機器管理情報
63 通知範囲設定情報
71 操作パネル
72 音声出力装置
73 ドライブ装置
74 補助記憶装置
75 メモリ装置
76 演算処理装置
77 インターフェース装置
78 記録媒体
100 情報入力装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【特許文献1】特開平11−110107号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面上でユーザに指示された情報を入力する情報入力装置であって、
前記ユーザから指示された画面上の操作対象を特定する操作対象特定手段と、
前記操作対象特定手段によって特定された操作対象の階層位置を特定し、特定した階層位置の下位にある階層構成を変更する階層構成変更手段と、
前記階層構成変更手段によって変更された階層構成を、予め設定された通知範囲設定情報に基づき、前記ユーザに通知する通知内容を生成する通知内容生成手段とを有することを特徴とする情報入力装置。
【請求項2】
前記階層構成変更手段は、
前記ユーザのログイン情報及び予め設定された機器設定情報により前記操作対象の通知可否、及び前記操作対象の選択可否を判定し、判定した結果に基づき、前記階層構成を動的に変更することを特徴とする請求項1に記載の情報入力装置。
【請求項3】
前記通知内容生成手段は、
前記ユーザのログイン情報及び前記通知範囲設定情報に基づき、前記通知内容を動的に生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報入力装置。
【請求項4】
前記通知範囲設定情報は、
前記ユーザに通知する前記階層構成の階層構成レベル指定情報及び前記操作対象の詳細通知指定情報を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の情報入力装置。
【請求項5】
前記詳細通知指定情報は、
前記操作対象の詳細機能情報を含むことを特徴とする請求項4に記載の情報入力装置。
【請求項6】
画面上でユーザに指示された情報を入力する情報入力装置で実行される情報入力方法であって、
前記ユーザから指示された画面上の操作対象を特定する操作対象特定手順と、
前記操作対象特定手順によって特定された操作対象の階層位置を特定し、特定した階層位置の下位にある所定の階層構成を変更する階層構成変更手順と、
前記階層構成変更手順によって変更された階層構成を、予め設定された通知範囲設定情報に基づき、前記ユーザに通知する通知内容を生成する通知内容生成手順とを有することを特徴とする情報入力方法。
【請求項7】
画面上でユーザに指示された情報を入力する情報入力プログラムであって、
コンピュータを、
前記ユーザから指示された画面上の操作対象を特定する操作対象特定手段と、
前記操作対象特定手段によって特定された操作対象の階層位置を特定し、特定した階層位置の先にある所定の階層構成を変更する階層構成変更手段と、
前記階層構成変更手段によって変更された階層構成を、予め設定された通知範囲設定情報に基づき、前記ユーザに通知する通知内容を生成する通知内容生成手段として機能させるための情報入力プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−48767(P2011−48767A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198516(P2009−198516)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】