説明

情報再生装置及び情報再生方法

【課題】可搬性記録媒体の記録容量を減らすことなく、読み出し時のエラー箇所における一時的な再生停止を回避し、連続的な再生を行うことができる装置及び方法を提供する。
【解決手段】読み出しエラー箇所に関するバックアップデータがバックアップ領域13に保持されていれば、ドライブ11から出力されるエラー箇所に関する映像・音声ストリームに代えて、バックアップ領域13に保持されているエラー箇所に関するバックアップデータをデコーダ15に入力させ、また、読み出しエラー箇所に関するバックアップデータがバックアップ領域13に保持されていなければ、エラー箇所に関する映像・音声ストリームの読み出しを再実行させ、所定回数以内の再実行の間に、エラー箇所に関する映像・音声ストリームの読み出しができた場合には、エラー箇所から読み出された映像・音声ストリームをバックアップデータとしてバックアップ領域13に保持させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬性記録媒体に記録された映像・音声ストリームを再生する情報再生装置及び情報再生方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
可搬性記録媒体であるDVD(デジタル多用途ディスク)の再生専用規格としてDVD−Videoフォーマットがある。また、高精細映像が収録可能な可搬性記録媒体であるBD(Blu−ray Disc)の再生専用規格としてBDビデオフォーマットがある。これらの可搬性記録媒体には、映像及び/又は音声のストリーム(「映像・音声ストリーム」と記す。)が多重化されて記録されているが、表面に傷が付いたり、汚れが付着したりして、部分的に正常な読み出しができないことがある。その場合、傷又は汚れのある箇所に記録されている映像・音声ストリームを読み出すことができなくなり、一時的な再生停止が発生する。
【0003】
このような不具合の対策として、可搬性記録媒体にバックアップ用のエリア(空きエリア)を設けておき、バックアップデータを可搬性記録媒体のバックアップ用のエリアに記録することによって、一時的な再生停止を防ぐ情報再生方法の提案がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−208223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の情報再生方法においては、バックアップ用のエリアを可搬性記録媒体内に設けることによって映像・音声ストリームの記録に用いることができる可搬性記録媒体のエリアが減るので、可搬性記録媒体の利用可能な記録容量が減少するという問題がある。
【0006】
また、DVD−Videoフォーマットのように規格化されている可搬性記録媒体については、新たに規格を策定しなければ、バックアップ用のエリアを可搬性記録媒体内に設けることはできない。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、映像・音声ストリームの記録に用いることができる可搬性記録媒体の記録容量を減らすことなく、読み出しエラー箇所があっても、連続的な再生を行うことができる情報再生装置及び情報生成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の情報再生装置は、着脱可能な可搬性記録媒体に記録されている映像・音声ストリームを再生する装置であって、前記可搬性記録媒体から映像・音声ストリームを読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段による前記映像・音声ストリームの読み出しが正常になされたか否かを検出するエラー検出手段と、前記可搬性記録媒体に固有の識別情報、前記可搬性記録媒体における前記映像・音声ストリームの読み出しアドレス、及び前記読み出しアドレスに存在する前記映像・音声ストリームを少なくとも含む、バックアップデータを保持する保持手段と、前記読み出し手段によって読み出された前記映像・音声ストリームと前記保持手段に保持されている前記バックアップデータのいずれかを選択的に出力する切り替え手段と、前記切り替え手段から出力された前記映像・音声ストリームをデコードするデコード手段と、制御手段とを有し、前記制御手段は、前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、前記読み出しは正常ではないと判定されたエラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていれば、前記切り替え手段による切り替えを実行させて、前記読み出し手段から出力されるエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームに代えて、前記保持手段に保持されているエラー箇所に関する前記バックアップデータを前記デコード手段に入力させ、前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、エラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていなければ、前記読み出し手段によってエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームの読み出しを再実行させ、所定回数以内の再実行の間に、エラー箇所に関する前記映像・音声ストリームの正常な読み出しができた場合には、正常に読み出された前記映像・音声ストリームを前記バックアップデータとして前記保持手段に保持させることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の他の情報再生装置は、着脱可能な可搬性記録媒体に記録されている映像・音声ストリームを再生する装置であって、前記可搬性記録媒体から映像・音声ストリームを読み出す読み出し手段と、前記読み出し手段による前記映像・音声ストリームの読み出しが正常になされたか否かを検出するエラー検出手段と、前記可搬性記録媒体に固有の識別情報、前記可搬性記録媒体における前記映像・音声ストリームの読み出しアドレス、及び前記読み出しアドレスに存在する前記映像・音声ストリームを少なくとも含む、バックアップデータを保持する保持手段と、前記読み出し手段によって読み出された前記映像・音声ストリームと前記保持手段に保持されている前記バックアップデータのいずれかを選択的に出力する切り替え手段と、前記切り替え手段から出力された前記映像・音声ストリームをデコードするデコード手段と、ネットワークを介して外部サーバとの通信を可能にするネットワーク接続手段と、制御手段とを有し、前記制御手段は、前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、前記読み出しは正常ではないと判定されたエラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていれば、前記切り替え手段による切り替えを実行させて、前記読み出し手段から出力されるエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームに代えて、前記保持手段に保持されているエラー箇所に関する前記バックアップデータを前記デコード手段に入力させ、前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、エラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていなければ、前記ネットワーク接続手段を用いて前記外部サーバからエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームを取得し、前記バックアップデータとして前記保持手段に保持させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、エラー検出手段が読み出しは正常ではないと判定したときに、エラー箇所に関するバックアップデータが保持手段に保持されていれば、読み出し手段から出力されるエラー箇所に関する映像・音声ストリームに代えて、保持手段に保持されているエラー箇所に関するバックアップデータをデコード手段に入力させるので、読み出し手段によって映像・音声ストリームが読み出せないエラー箇所があったとしても、保持手段内に当該エラー箇所の映像・音声ストリームが存在する限りにおいて、再生の中断無しに再生を継続することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る情報再生装置(すなわち、実施の形態1に係る情報再生方法を実施する装置)10の構成を概略的に示すブロック図である。実施の形態1に係る情報再生装置10は、着脱可能な可搬性記録媒体1、例えば、光ディスクに記録されている映像・音声ストリームを再生する装置である。
【0012】
図1に示されるように、情報再生装置10は、可搬性記録媒体1から映像・音声ストリームを読み出す読み出し手段であるドライブ11と、コントローラ12とを有している。ドライブ11は、ドライブ11による映像・音声ストリームの読み出しが正常になされたか否かを検出するエラー検出手段11aを有している。なお、エラー検出手段11aを、コントローラ12内に設けることもでき、また、ドライブ11及びコントローラ12から独立したエラー検出部として設けることもできる。また、コントローラ12は、装置全体の動作を制御する制御手段12aとしての機能を持つ。
【0013】
また、情報再生装置10は、バックアップデータを保持する保持手段であるバックアップ領域13と、ドライブ11によって読み出された映像・音声ストリームとバックアップ領域13に保持されているバックアップデータのいずれかを選択的に出力する切り替え手段であるスイッチ14とを有している。バックアップデータは、可搬性記録媒体1に固有の識別情報(メディアID)、可搬性記録媒体1における映像・音声ストリームの読み出しアドレス(開始アドレス)、及び読み出しアドレスに存在する映像・音声ストリームを少なくとも含んでいる。また、バックアップデータは、可搬性記録媒体1の種別情報(例えば、DVD、又は、大容量光ディスクなどのメディア種別)と、読み出しアドレスに存在する映像・音声ストリームの長さ情報とをさらに含むことができる。可搬性記録媒体1の種別情報は、情報再生装置10が、複数種類の可搬性記録媒体を再生可能な場合には必要になるが、情報再生装置10が1種類の可搬性記録媒体1しか再生できない場合には、バックアップデータに含まれない。また、バックアップデータは、例えば、可搬性記録媒体1の最小読み出しブロックサイズ単位でバックアップ領域13に保持される。
【0014】
バックアップ領域13を構成する記憶媒体には、電源を切っても記憶保持が可能な不揮発性のものが望ましく、バックアップ領域13として、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリなどを用いることができる。ただし、物理的に専用の記憶媒体を必要とするわけではなく、例えば、ハードディスクレコーダの番組記録用の領域の一部をバックアップ領域13に割り当ててもよい。また、取り外し可能な不揮発性記憶媒体をバックアップ領域13として使用すると、機器間をまたいでバックアップ領域13内のデータを共用でき、例えば、機器の買い替えを行った場合などにおいて、それまで蓄積してきたバックアップ領域13内のデータを引き継ぐことが可能となる。ただし、その場合、記憶媒体の挿入及び取り出しを検知する手段と、記憶媒体にアクセスする前に記憶媒体が存在するかどうかのチェックが必要となる。
【0015】
さらに、情報再生装置10は、スイッチ14から出力された映像・音声ストリームをデコードして映像信号及び音声信号をテレビモニタ3に出力するデコード手段であるデコーダ15と、ユーザ操作部であるリモコン2から発信された指令信号を受信してコントローラ12に伝えるリモコン受信部16とを有している。なお、ユーザ操作部は、情報再生装置10の本体に設けられた本体操作部(図示せず)であってもよい。
【0016】
以上の構成を有する情報再生装置10は、リモコン2からユーザーからの再生や停止などの操作を受け付けて、ドライブ11にセットされた可搬性記録媒体1に記録された映像・音声ストリームの再生を行い、再生映像信号及び再生音声信号をテレビモニタ3に出力する。
【0017】
コントローラ12は、ドライブ11による読み出しは正常ではないと判定されたときに、読み出しは正常ではないと判定されたエラー箇所に関するバックアップデータがバックアップ領域13に保持されていれば、スイッチ14による切り替えを実行させて、ドライブ11から出力されるエラー箇所に関する映像・音声ストリームに代えて、バックアップ領域13に保持されているエラー箇所に関するバックアップデータをデコーダ15に入力させる。
【0018】
また、コントローラ12は、ドライブ11による読み出しは正常ではないと判定したときに、エラー箇所に関するバックアップデータがバックアップ領域13に保持されていなければ、ドライブ11よってエラー箇所に関する映像・音声ストリームの読み出しを再実行させ、所定回数以内の再実行の間に、エラー箇所に関する映像・音声ストリームの読み出しができた場合には、エラー箇所から読み出された映像・音声ストリームをバックアップデータとしてバックアップ領域13に保持させる。なお、ドライブ11よってエラー箇所に関する映像・音声ストリームの読み出しを再実行させ、所定回数以内の再実行の間に、エラー箇所に関する映像・音声ストリームの読み出しができなかった場合には、予め決められたエラー処理を行う。
【0019】
次に、実施の形態1に係る情報再生装置10の動作を詳細に説明する。ユーザがリモコン1によってコマンドを入力すると、信号がリモコン受信部16にて受信され、コントローラ12へ通知される。コントローラ12は、入力された操作に応じて、ドライブ11による映像・音声ストリームの読み出し、デコーダ15による映像・音声ストリームの再生の開始及び終了、バックアップ領域13の管理、及びスイッチ14の切り替えなどの各種制御を行う。
【0020】
ドライブ11は、コントローラ12からの指示を受けて、可搬性記録媒体1から映像・音声ストリームを読み出し、スイッチ14及びバックアップ領域13に転送する。エラー検出手段11aは、可搬性記録媒体1からの読み出しが正常に行われたか否か(すなわち、読み出しの成否)の判定結果をコントローラ12に送る。スイッチ14は、ドライブ11から出力される映像・音声ストリーム及びバックアップ領域13から出力される映像・音声ストリームのいずれか一方を選択して、デコーダ15に入力する。スイッチ14の出力を、ドライブ11から出力される映像・音声ストリーム及びバックアップ領域13から出力される映像・音声ストリームのいずれにするかは、コントローラ12が決定する。
【0021】
デコーダ15は、コントローラ12の指示を受けて、スイッチ14から入力される映像・音声ストリームをデコードし、テレビモニタ3へ映像信号及び音声信号を出力する。映像・音声ストリームの再生中に、スイッチ14からのデータ転送が中断してしまう場合、スイッチ14は、コントローラ12から指示を受けて、所定のエラー処理、例えば、最後に表示した絵を表示し続け、音声をミュートする等のエラー処理を行う。
【0022】
図2は、図1に示されるバックアップ領域13に記録されるバックアップ領域テーブル100を示す図である。図2に示されるように、バックアップ領域テーブル100には、バックアップ領域テーブル100の空き容量を示す空き容量サイズ101と、バックアップデータBKDATA#1(符号111)、BKDATA#2(符号112)、BKDATA#3(符号113)、…、BKDATA#k、…が列挙されている。ここで、kは正の整数である。BKDATA#kには、BKDATA#kの通し番号である「BKDAT番号」、DVD又はBDなどの可搬性記録媒体1の種別や未使用状態など表す「メディア種別」、可搬性記録媒体1に振られたIDである「メディアID」、該当する可搬性記録媒体1の最小読み出しブロックサイズ(例えば、DVDであれば32kB、Blu−ray Discであれば64kBなど)を示す「ブロックサイズ」、可搬性記録媒体1における読み出し開始アドレスを示す「開始アドレス」、最後に映像・音声ストリームを格納する「映像・音声ストリーム」を記述するためのフィールドが設けられている。これらの情報を、バックアップ領域テーブル100に登録するときには、これらの情報をセットする。バックアップ領域テーブル100を検索する際には、メディア種別、メディアID、開始アドレスについて、可搬性記録媒体1とバックアップ領域テーブル100内のBKDATA#1を比較することで、所望の映像・音声ストリームが存在するかどうかを判別できる。
【0023】
ここで、可搬性記録媒体1に記録された映像・音声ストリームを正常に読み出すことができた場合の再生の仕組みを説明する。コントローラ12は、スイッチ14をドライブ11からの入力を選択するように設定する。続いて、コントローラ12は、ドライブ11に読み出したいアドレスを指定して、ドライブ11は、可搬性記録媒体1に記録された映像・音声ストリームを読み出す。ドライブ11によって可搬性記録媒体1から映像・音声ストリームが正常に読み出されると、映像・音声ストリームはスイッチ14を通ってデコーダ15に入力される。デコーダ15は、入力された映像・音声ストリームをデコードして得られた映像信号及び音声信号をテレビモニタ3に出力する。
【0024】
図3は、実施の形態1に係る情報再生装置10の動作を示すフローチャートである。可搬性記録媒体1の記録面の傷や汚れなどの影響により、ドライブ11によって映像・音声ストリームを正常に読み出すことができないことがある。そこで、実施の形態1に係る情報再生装置10は、映像・音声ストリームの読み出しに失敗した場合をも考慮した、コントローラ12による、映像・音声ストリーム読み出し手順を採用している。
【0025】
図3に示されるように、映像・音声ストリームの読み出しに際しては、先ず、ドライブ11が、可搬性記録媒体1から指定されたアドレスの映像・音声ストリームを読み出す(ステップS11)。次に、映像・音声ストリームの読み出し結果の評価、すなわち、映像・音声ストリームを正常に読み出すことができたか否かを判定する(ステップS12)。
【0026】
ステップS12において、映像・音声ストリームを正常に読み出すことができた場合には、正常に読み出された映像・音声ストリームをデコーダ15に転送し(ステップS19)、正常に読み出された映像・音声ストリームに基づく映像信号及び音声信号をテレビモニタに送出する。ステップS12において、映像・音声ストリームを正常に読み出すことができなかった場合、すなわち、エラーが検出された場合には、バックアップ領域13に存在するバックアップデータの中に現在読み出そうとしている映像・音声ストリームの該当箇所が存在するか否かのチェックを行う(ステップS13)。このチェックでは、例えば、メディア種別、メディアID、及び開始アドレスをそれぞれ比較し、一致するものが存在するか否かを判定する。
【0027】
ステップS13において、一致するものが存在すれば、スイッチ14をバックアップ領域13の選択に切り替え(ステップS14)、バックアップ領域13からスイッチ14を経由してデコーダ15に映像・音声ストリームを転送させ(ステップS15)、エラー箇所の転送終了後にスイッチ14をドライブ11の選択に切り替えて(ステップS16)、ドライブ11からスイッチ14を通してデコーダ15に映像・音声ストリームを出力する。ステップS13において、一致するものが存在しなければ、ドライブ11によって読み出しが正常にできなかったエラー箇所を再度読み出す処理、すなわち、リトライ処理(図4)を行い(ステップS17)、リトライ処理によってエラー箇所の映像・音声ストリームを正常に読み出すことができたかどうかをチェックする(ステップS18)。
【0028】
ステップS18において、正常に読み出すことができた場合は、リトライ処理によって読み出した映像・音声ストリームをデコーダ15へ転送する(ステップS19)。ステップS18において、正常に読み出すことができなかった場合は、読み出しエラー処理、例えば、最後に表示した絵を表示し続け、音声をミュートする等のエラー処理を行う(ステップS20)。
【0029】
図4は、図3のリトライ処理(ステップS17)の内容を示すフローチャートである。図4に示されるように、リトライ処理においては、先ず、可搬性記録媒体1から指定されたアドレスの映像・音声ストリームを読み出すとともにリトライ回数を1回加算する(ステップS171)。次に、リトライ処理において、可搬性記録媒体1から指定されたアドレスの映像・音声ストリームを正常に読み出すことができたか否かをチェックする(ステップS172)。
【0030】
ステップS172において正常に読み出すことができた場合は、読み出した映像・音声ストリームをバックアップ領域13へ登録するバックアップデータ登録処理(後述する図5)を行い(ステップS175)、その後、読み出し成功が、例えば、ドライブ11からコントローラ12に通知されて(ステップS176)、リトライ処理を終了する。ステップS172において正常に読み出すことができなかった場合は、リトライ回数をチェックし(ステップS173)、現在のリトライ回数が予め設定された回数であるN回未満の場合は、再度ステップS171,S172の処理を繰り返す。ステップS173において、リトライ回数がN回以上の場合は、例えば、ドライブ11からコントローラ12に読み出し失敗を通知し(ステップS174)、リトライ処理を終了する。
【0031】
図5は、図4のバックアップデータ登録処理(ステップS175)の内容を示すフローチャートである。図5に示されるように、バックアップデータ登録処理においては、バックアップ領域テーブル100の空き領域の容量をチェックする(ステップS1751)。具体的には、登録しようとする映像・音声ストリームを書き込むために必要なBKDATAのサイズとバックアップ領域テーブル100の空き領域サイズを比較して、登録しようとする映像・音声ストリームを書き込むために必要なBKDATAのサイズよりもバックアップ領域テーブル100の空き領域サイズが小さくなければ、登録は可能、すなわち、空きがあると判定する。ステップS1751において、バックアップ領域テーブル100に空きがあると判定された場合、処理をステップS1752へ進め、空きが無いと判定された場合はバックアップデータ登録処理を終了する。
【0032】
ステップS1752においては、多重登録を防ぐために、すでに同じメディア種別、同じメディアID、同じ開始アドレスを持つものが登録されていないかどうかを調べ(ステップS1752)、該当するものがあった場合、バックアップデータ登録処理を終了する。ステップS1752において、すでに同じメディア種別、同じメディアID、同じ開始アドレスを持つものが登録されていなければ、バックアップ領域登録テーブルの空き領域に、BKDATAを新規に作成し、BKDATAの要素である、BKDATA番号、メディア種別、メディアID、ブロックサイズ、開始アドレス、映像・音声ストリームを登録し、バックアップデータ登録処理を終了する。
【0033】
また、バックアップ領域13のBKDATA保持期間はできるだけ長いことが望ましいが、バックアップ領域13の容量を大きく取れない場合は、ステップS1751でバックアップ領域テーブル100に空きが見つからなかった時点で、BKDATA番号の小さい順に領域を開放し、BKDATA番号は継続した番号を割り当て(例えば、BKDATA番号が10まで使われている場合、BKDATA番号1のBKDATAの領域を開放して、新たに登録するBKDATAのBKDATA番号は11として登録する)ことにより、古いBKDATAから消去することが可能である。あるいは、登録時の日時や最終読み出し時の日時を設定するフィールドをBKDATAに追加して、これらを用いて領域開放するBKDATAを決定してもよい。
【0034】
以上に説明したように、実施の形態1に係る情報再生装置10及び情報再生方法によれば、映像・音声ストリーム読み出し時に読み出しは正常ではないと判定されたときに、エラー箇所に関するバックアップデータがバックアップ領域13に保持されていれば、ドライブ11から出力されるエラー箇所に関する映像・音声ストリームに代えて、バックアップ領域13に保持されているエラー箇所に関するバックアップデータをデコーダ15に入力させるので、ドライブ11によって映像・音声ストリームが読み出せないエラー箇所があったとしても、バックアップ領域13内に当該エラー箇所の映像・音声ストリームが存在する限りにおいて、中断することなく再生を継続することができる。
【0035】
また、可搬性記録媒体1の記録面の傷や汚れなどで再読み込みが必要になった映像・音声ストリームを最小読み出しブロックサイズ単位でバックアップを行うため、今後、傷や汚れの程度が増加し、再読み込みを行っても読めなくなるほどにまで劣化したとしても、バックアップした映像・音声ストリームを用いて再生を行うことにより、ユーザが認知することなく、再生を継続することができる。
【0036】
さらに、バックアップ領域13に登録したものは、再度読み込みすることなくバックアップ領域から読み出すことができるので、再読み込みを複数回繰り返すことで再生が継続できる程度の傷や汚れについても、複数回の再読み込みによる再生一時停止を防止することができるため、中断することなく再生を継続することができる。
【0037】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る情報再生装置20(すなわち、実施の形態1に係る情報再生方法を実施する装置)の構成を概略的に示すブロック図である。図6において、図5に示される構成と同一又は対応する構成には、同じ符号を付す。実施の形態1では、映像・音声ストリームの読み出しが失敗した際に、何度か読み出しを繰り返して正常に読み出すことができた映像・音声ストリームを保持していたが、実施の形態2では、映像・音声ストリームの読み出しが失敗した際に、ネットワークを介して正常な映像・音声ストリームを取得する。
【0038】
図6に示されるように、実施の形態2に係る情報再生装置20は、ネットワークコントローラ17と、制御手段18aを有するコントローラ18とを有している。ネットワークコントローラ17は、イーサネット(登録商標)などのネットワーク21を介して外部装置であるサーバ22との間で通信可能である。サーバ22は、例えば、DVDコンテンツ制作会社が設置したものであり、自社で発売したDVDコンテンツが格納されている。
【0039】
コントローラ18は、ドライブ11で映像・音声ストリームの読み出し失敗が発生すると、バックアップ領域13のバックアップ領域テーブル100に空きがあることを確認した後、ネットワークコントローラ17に対してメディア種別、メディアID、及び開始アドレスを通知してサーバ22から映像・音声ストリームを取得するように要求を出し、バックアップデータ登録準備をしてネットワークコントローラ17からバックアップ領域13への転送通知を待つ。
【0040】
ネットワークコントローラ17は、サーバ22へ接続要求を出し、接続が確認されると、サーバ22に対してメディア種別、メディアID、及び開始アドレスを送信する。サーバ22は、ネットワークコントローラ17からの要求を受けると、該当する映像・音声ストリームをネットワークコントローラ17に送信する。ネットワークコントローラ17はサーバ22から受信した映像・音声ストリームをバックアップ領域13へ転送し、コントローラ12に転送完了通知を出す。コントローラ12は、ネットワークコントローラ17からバックアップ領域への転送完了通知を受けると、受信した映像・音声ストリームを登録し、スイッチ14を制御して受信した映像・音声ストリームをデコーダ15へ転送する。
【0041】
なお、ネットワークコントローラ17をネットワーク21を介してサーバ22に接続させるための情報を、予め可搬性記録媒体1に記録しておいてもよい。
【0042】
また、ネットワークコントローラ17をネットワーク21を介してサーバ22に接続させるための情報を、サーバ22とは異なる問合せ用のサーバに記憶させておくこともできる。
【0043】
さらに、映像・音声ストリームの読み出しが失敗した際に、直ぐにコントローラ18がネットワークコントローラ17に取得要求を出すのではなく、再読み込みを繰り返して(図3のリトライ処理S17に相当する処理)を行って、全く読み出しできない状態であることを確認してから、ネットワーク21を介してサーバ22から情報を取得するようにしてもよい。
【0044】
さらにまた、サーバ22は、いくつかのコンテンツ制作会社のコンテンツをまとめてサービス提供を行う構成になっていてもよい。
【0045】
以上に説明したように、実施の形態2に係る情報再生装置20及び情報再生方法によれば、上記実施の形態1の効果に加え、可搬性記録媒体1の記録面の傷や汚れなどにより映像・音声ストリームの読み出しができない箇所が最初から生じており、一度も正常に読み出すことができていない場合においても、ネットワーク21を介して外部のサーバ22から該当箇所の映像・音声ストリームを取得することにより、中断なく再生を継続することができる。
【0046】
また、一度外部から映像・音声ストリームを取得した箇所は、バックアップ領域に保存されているため、次回以降の読み出しでは再度接続を行う必要がなく、中断なく再生を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1に係る情報再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】実施の形態1におけるバックアップ領域テーブルの構成を示す図である。
【図3】実施の形態1に係る情報再生方法を示すフローチャートである。
【図4】図3のリトライ処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】図4のバックアップデータ登録処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2に係る情報再生装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0048】
1 可搬性記録媒体、 2 リモコン、 3 テレビモニタ、 10 情報再生装置、 11 ドライブ、 11a エラー検出手段、 12 コントローラ、 12a 制御手段、 13 バックアップ領域、 14 スイッチ、 15 デコーダ、 16 リモコン受信部、 17 ネットワークコントローラ、 18 コントローラ、 18a 制御手段、 21 ネットワーク、 22 サーバ。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱可能な可搬性記録媒体に記録されている映像・音声ストリームを再生する情報再生装置において、
前記可搬性記録媒体から映像・音声ストリームを読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段による前記映像・音声ストリームの読み出しが正常になされたか否かを検出するエラー検出手段と、
前記可搬性記録媒体に固有の識別情報、前記可搬性記録媒体における前記映像・音声ストリームの読み出しアドレス、及び前記読み出しアドレスに存在する前記映像・音声ストリームを少なくとも含む、バックアップデータを保持する保持手段と、
前記読み出し手段によって読み出された前記映像・音声ストリームと前記保持手段に保持されている前記バックアップデータのいずれかを選択的に出力する切り替え手段と、
前記切り替え手段から出力された前記映像・音声ストリームをデコードするデコード手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段は、
前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、前記読み出しは正常ではないと判定されたエラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていれば、前記切り替え手段による切り替えを実行させて、前記読み出し手段から出力されるエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームに代えて、前記保持手段に保持されているエラー箇所に関する前記バックアップデータを前記デコード手段に入力させ、
前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、エラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていなければ、前記読み出し手段によってエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームの読み出しを再実行させ、所定回数以内の再実行の間に、エラー箇所に関する前記映像・音声ストリームの正常な読み出しができた場合には、正常に読み出された前記映像・音声ストリームを前記バックアップデータとして前記保持手段に保持させる
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
着脱可能な可搬性記録媒体に記録されている映像・音声ストリームを再生する情報再生装置において、
前記可搬性記録媒体から映像・音声ストリームを読み出す読み出し手段と、
前記読み出し手段による前記映像・音声ストリームの読み出しが正常になされたか否かを検出するエラー検出手段と、
前記可搬性記録媒体に固有の識別情報、前記可搬性記録媒体における前記映像・音声ストリームの読み出しアドレス、及び前記読み出しアドレスに存在する前記映像・音声ストリームを少なくとも含む、バックアップデータを保持する保持手段と、
前記読み出し手段によって読み出された前記映像・音声ストリームと前記保持手段に保持されている前記バックアップデータのいずれかを選択的に出力する切り替え手段と、
前記切り替え手段から出力された前記映像・音声ストリームをデコードするデコード手段と、
ネットワークを介して外部サーバとの通信を可能にするネットワーク接続手段と、
制御手段とを有し、
前記制御手段は、
前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、前記読み出しは正常ではないと判定されたエラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていれば、前記切り替え手段による切り替えを実行させて、前記読み出し手段から出力されるエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームに代えて、前記保持手段に保持されているエラー箇所に関する前記バックアップデータを前記デコード手段に入力させ、
前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、エラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていなければ、前記ネットワーク接続手段を用いて前記外部サーバからエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームを取得し、前記バックアップデータとして前記保持手段に保持させる
ことを特徴とする情報再生装置。
【請求項3】
ネットワークを介して外部サーバとの通信を可能にするネットワーク接続手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記再実行の間に、エラー箇所に関する前記映像・音声ストリームの読み出しができなかった場合には、前記ネットワーク接続手段を用いて前記外部サーバからエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームを取得し、前記バックアップデータとして前記保持手段に保持させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報再生装置。
【請求項4】
前記バックアップデータは、前記可搬性記録媒体の種別情報と前記読み出しアドレスに存在する前記映像・音声ストリームの長さ情報とをさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報再生装置。
【請求項5】
前記バックアップデータは、前記可搬性記録媒体の最小読み出しブロックサイズ単位で前記保持手段に保持されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報再生装置。
【請求項6】
読み出し手段が、着脱可能な可搬性記録媒体から映像・音声ストリームを読み出すステップと、
エラー検出手段が、前記映像・音声ストリームの読み出しが正常になされたか否かを検出するステップと、
保持手段が、前記可搬性記録媒体に固有の識別情報、前記可搬性記録媒体における前記映像・音声ストリームの読み出しアドレス、及び前記読み出しアドレスに存在する前記映像・音声ストリームを少なくとも含む、バックアップデータを保持するステップと、
切り替え手段が、前記読み出された前記映像・音声ストリームと前記に保持されている前記バックアップデータのいずれかを選択的に出力するステップと、
デコード手段が、前記切り替え手段から出力された前記映像・音声ストリームをデコードするステップとを有し、
前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、前記読み出しは正常ではないと判定されたエラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていれば、前記切り替え手段による切り替えを実行させて、前記読み出し手段から出力されるエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームに代えて、前記保持手段に保持されているエラー箇所に関する前記バックアップデータを前記デコード手段に入力させ、
前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、エラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていなければ、前記読み出し手段によってエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームの読み出しを再実行させ、所定回数以内の再実行の間に、エラー箇所に関する前記映像・音声ストリームの正常な読み出しができた場合には、正常に読み出された前記映像・音声ストリームを前記バックアップデータとして前記保持手段に保持させる
ことを特徴とする情報再生方法。
【請求項7】
読み出し手段が、着脱可能な可搬性記録媒体から映像・音声ストリームを読み出すステップと、
エラー検出手段が、前記映像・音声ストリームの読み出しが正常になされたか否かを検出するステップと、
保持手段が、前記可搬性記録媒体に固有の識別情報、前記可搬性記録媒体における前記映像・音声ストリームの読み出しアドレス、及び前記読み出しアドレスに存在する前記映像・音声ストリームを少なくとも含む、バックアップデータを保持するステップと、
切り替え手段が、前記読み出された前記映像・音声ストリームと前記に保持されている前記バックアップデータのいずれかを選択的に出力するステップと、
デコード手段が、前記切り替え手段から出力された前記映像・音声ストリームをデコードするステップとを有し、
前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、前記読み出しは正常ではないと判定されたエラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていれば、前記切り替え手段による切り替えを実行させて、前記読み出し手段から出力されるエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームに代えて、前記保持手段に保持されているエラー箇所に関する前記バックアップデータを前記デコード手段に入力させ、
前記エラー検出手段が前記読み出しは正常ではないと判定したときに、エラー箇所に関する前記バックアップデータが前記保持手段に保持されていなければ、ネットワーク接続手段を用いて前記外部サーバからエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームを取得し、前記バックアップデータとして前記保持手段に保持させる
ことを特徴とする情報再生方法。
【請求項8】
前記再実行の間に、エラー箇所に関する前記映像・音声ストリームの読み出しができなかった場合には、ネットワーク接続手段を用いて前記外部サーバからエラー箇所に関する前記映像・音声ストリームを取得し、前記バックアップデータとして前記保持手段に保持させるステップをさらに有することを特徴とする請求項6に記載の情報再生方法。
【請求項9】
前記バックアップデータは、前記可搬性記録媒体の種別情報と前記読み出しアドレスに存在する前記映像・音声ストリームの長さ情報とをさらに含むことを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の情報再生方法。
【請求項10】
前記バックアップデータは、前記可搬性記録媒体の最小読み出しブロックサイズ単位で前記保持手段に保持されることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の情報再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−276827(P2008−276827A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116571(P2007−116571)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】