説明

情報処理システム、情報処理装置、および情報処理方法

【課題】最先端の高度な演算を実現する環境を常に維持するのは困難である。
【解決手段】情報処理システム100において携帯端末10a、10b、サーバー12、ソフトウェア提供PC14、演算能力提供PC16a、16bはネットワーク8にそれぞれ接続している。演算能力提供PC16a、16bは所有者による通常処理が行われない間、サーバー12に利用可能PCとして登録する。携帯端末10aはサーバー12に問合せを行うことにより代行処理を依頼できる演算能力提供PC16aのアドレスを取得し、代行処理を依頼する。必要に応じてソフトウェア提供PC14から演算能力提供PC16aへソフトウェアを転送し、演算能力提供PC16aは要求された代行処理を行い、その結果を携帯端末10aへ送信する。代行処理においては管理デバイス18a、18c、18dなどが、相互認証、暗号化、復号化などを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理技術に関し、特にネットワークを介して接続した複数の装置によって実現される情報処理システム、そこで用いられる情報処理装置および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のLSI製造技術や情報処理技術の進歩により、情報処理装置は小型化、高性能化を両立させながら発展してきた。その結果として、薄型PC(Personal Computer)や、携帯端末、携帯ゲーム機、携帯オーディオプレーヤーなど多様な小型の情報処理装置が普及してきた。またそのような情報処理装置を取り巻くネットワーク環境も充実化し、サーバーにアクセスすることによって様々なサービスを手近な情報処理装置を介して手軽に享受することが可能となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンピュータをめぐるハードウェア的、ソフトウェア的技術革新は日進月歩である。ユーザの多くは所有する情報処理装置やソフトウェアを常に最先端のものにしたいとの欲求を有するものの、コストなどの面において実現することは難しい。また、携帯端末など小型の情報処理装置において多くの機能が実現されつつある現在であっても、その処理能力や記憶容量などのリソースは、例えば多くのプロセッサや大容量ハードディスクなどを有する大型装置と比較すると限られている。当然、大型の装置と同等の性能を有する小型の装置を所有したいとのニーズが高まってくる。
【0004】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、手近の情報処理装置を操作しながら、より高度な情報処理を行った結果を容易に得ることのできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は情報処理システムに関する。この情報処理システムは、ユーザが操作する情報処理装置であって、ネットワークを介して接続した別の情報処理装置に当該ユーザのための処理を代行させ、その代行処理の結果を前記別の情報処理装置から受信して利用する代行依頼元情報処理装置と、計算資源を提供することにより当該ユーザのための処理を代行し、その代行処理の結果を代行依頼元情報処理装置に送信する代行依頼先情報処理装置とを備え、代行依頼先情報処理装置は、当該ユーザのための処理を代行している間に、当該ユーザのための処理を継続して実行することができない状況になった場合、代行依頼先情報処理装置に代行処理の停止要求信号を発信する停止要求部と、当該代行依頼先情報処理装置とは異なる別の代行依頼先情報処理装置が当該ユーザのための処理を代行することが可能となったことを示す切り替え可能信号を受信した場合に、代行処理を停止する代行処理停止部とを含むことを特徴とする。
【0006】
本発明の別の態様も情報処理システムに関する。この情報処理システムは、ユーザが操作する情報処理装置であって、ネットワークを介して接続した別の情報処理装置に当該ユーザのための処理を代行させ、その代行処理の結果を前記別の情報処理装置から受信して利用する代行依頼元情報処理装置と、保持するソフトウェアを別の情報処理装置にネットワークを介して提供するソフトウェア提供情報処理装置と、計算資源を提供することにより前記ユーザのための処理を代行し、その代行処理の結果を代行依頼元情報処理装置に送信する代行依頼先情報処理装置とを備え、代行依頼元情報処理装置は、ソフトウェア提供情報処理装置に対し代行処理に必要なソフトウェアの提供を依頼する信号を送信するとともに、代行依頼元情報処理装置に代行処理を依頼する信号を送信する依頼信号送信部を含み、ソフトウェア提供情報処理装置は、ソフトウェアの提供を依頼する信号に応じて、必要なソフトウェアを代行依頼先情報処理装置に送信するソフトウェア送信部を含み、代行依頼先情報処理装置は、代行処理を依頼する信号に応じて、ソフトウェア提供情報処理装置から送信された必要なソフトウェアをメモリに読み込み起動し、依頼された代行処理を実行する情報処理部を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明のさらに別の態様は情報処理装置に関する。この情報処理装置は、ネットワークを介して接続した別の情報処理装置に計算資源を提供し当該別の情報処理装置を操作する人のための処理を代行する許可をユーザから受け付け、その代行処理が可能である旨の登録を要求する信号をサーバーへ送信する通信部と、登録の結果、別の情報処理装置から送信された代行処理の要求信号に応じて代行処理を実行する情報処理部と、を備える。通信部は、情報処理部において代行処理を実行している間に、代行処理を継続して実行することができない状況になった場合、サーバーに登録された、代行処理が可能な別の情報処理装置に係る情報を取得して当該情報処理装置へ代行処理の中間データを転送し、情報処理部は、通信部による中間データの転送によって、代行処理が可能な別の情報処理装置が当該代行処理を継続することが可能となったことを示す切り替え可能信号を受信した場合に、代行処理を停止することを特徴とする。
【0008】
本発明のさらに別の態様も情報処理装置に関する。この情報処理装置は、ネットワークを介して別の情報処理装置から送信された、保持するソフトウェアの転送を要求する信号に応じて、別の情報処理装置が指定した、当該ソフトウェアを代行して実行する情報処理装置に、前記ソフトウェアを転送することを特徴とする。
【0009】
本発明のさらに別の態様は情報処理方法に関する。この情報処理方法は、ユーザが操作する情報処理装置とネットワークを介して接続した別の情報処理装置に当該ユーザのための処理を代行させ、その代行処理の結果を別の情報処理装置から受信して利用する情報処理方法であって、ネットワークに接続したサーバーに記憶された代行処理が可能な情報処理装置のリストから選択された第1の代行依頼先情報処理装置のアドレスを取得するステップと、取得したアドレスに基づき、前記第1の代行依頼先情報処理装置に代行処理を依頼する信号を送信するステップと、第1の代行依頼先情報処理装置から代行処理の結果を受信するステップと、第1の代行依頼先情報処理装置からの代行処理の停止を要求する信号を受信した際、代行処理が可能な情報処理装置のリストから選択された第2の代行依頼先情報処理装置のアドレスを取得するステップと、取得したアドレスに基づき、第2の代行依頼先情報処理装置に代行処理を依頼する信号を送信するステップと、第2の代行依頼先情報処理装置において代行処理を継続する準備が完了した旨の信号を受信するステップと、代行処理の結果の受信先を前記第1の代行依頼先情報処理装置から前記第2の代行依頼先情報処理装置へ切り替えるステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、操作している情報処理装置が有する性能より高い性能を用いた情報処理の出力結果を容易に取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は本実施の形態における情報処理システムの全体構成を示している。情報処理システム100は、携帯端末10a、10b、サーバー12、ソフトウェア提供PC14、演算能力提供PC16a、16bがネットワーク8にそれぞれ接続した構成を有する。本実施の形態において携帯端末および演算能力提供PCの数は2つに限るものではないが、同図ではそれぞれ携帯端末10a、10b、演算能力提供PC16a、16bで代表させている。
【0013】
携帯端末10a、10bは携帯端末に限らず一般的なコンピュータでもよい。さらにソフトウェア提供PC14および演算能力提供PC16a、16bはPCに限らず高性能ゲーム機、中型計算機、大型計算機など以下に述べる本実施の形態を実現できる情報処理装置のいずれでもよい。
【0014】
本実施の形態では、ある携帯端末10aを操作するユーザの所望の処理を、演算能力提供PC16a、16bの少なくともいずれかが代行する。代行処理の結果得られた出力データを携帯端末10a側で受け取り出力することにより、携帯端末10aを操作しているにもかかわらず、携帯端末10aに備えたリソースによって可能な範囲を超えた情報処理結果を享受することができる。
【0015】
例えば、演算能力提供PC16aにゲームの演算処理を代行させることにより、携帯端末10aが有するリソースでは実現不可能な高速、高精細な動画像を携帯端末10aに表示させる。あるいは、携帯端末10aをオーディオ再生装置とした場合に、オーディオコーデックの変換を行うアプリケーションなど携帯端末10aにはインストールされていないアプリケーションソフトウェアを、演算能力提供PC16aにおいて起動させてコーデック変換を行わせ、その出力データのみを携帯端末10aで取得し、再生を行うこともできる。
【0016】
処理を代行する演算能力提供PC16aが、当該処理を実現するソフトウェアを有していない場合は、当該ソフトウェアを記憶したソフトウェア提供PC14から処理を代行する演算能力提供PC16aへ、ソフトウェアを転送することによって処理の代行を実現する。代行処理を依頼する携帯端末10aのユーザは、演算能力の提供およびソフトウェアの提供への対価を、演算能力提供PC16aおよびソフトウェア提供PC14の所有者へ電子マネーの形態で支払う。
【0017】
演算能力提供PC16a、16bは、例えば、ネットワーク8に接続され、かつ現在所有者によって使用されていないPCなどである。すなわち普段、一般的な処理を行っているPCを、その所有者の使用時間外に演算能力提供PC16a、16bとする。ある演算能力提供PC16aが携帯端末10aからの依頼によって代行処理を行っている際に、その所有者自らが通常処理を開始したい場合は、当該代行処理を他の演算能力提供PC16bへ切り替える。ここで「通常処理」とは所有者が演算能力提供PC16aなどを直接操作することにより行われる処理である。
【0018】
以上のことから、図1では携帯端末10a、10b、演算能力提供PC16a、16b、ソフトウェア提供PC14をその役割に従い分けて示しているが、実際には1つの情報処理装置が携帯端末10a、ソフトウェア提供PC14、演算能力提供PC16aのいずれにもなり得、通常処理を行うために情報処理システム100から除外される場合もあり得る。
【0019】
携帯端末10a、10b、ソフトウェア提供PC14、演算能力提供PC16a、16bはそれぞれ管理デバイス18a、18b、18c、18d、18eを備える。以後の説明では管理デバイスを総称して管理デバイス18とする場合もある。管理デバイス18は、携帯端末10a、10bと、ソフトウェア提供PC14、演算能力提供PC16a、16bとの相互認証、課金の管理、転送するデータやソフトウェアの暗号化、復号化など、代行処理に必要な手続きに係る処理を主に行うデバイスである。
【0020】
したがって管理デバイス18を有する携帯端末10a、10b、ソフトウェア提供PC14、演算能力提供PC16a、16bのみが情報処理システム100に参加することができる。管理デバイス18は携帯端末10a、10b、ソフトウェア提供PC14、演算能力提供PC16a、16bに接続可能な外部装置、本体に備えられたスロットに挿入できるカード、本体内部に組み込まれた回路などいずれの形態であってもよい。あるいは外部装置と装置内部で起動したソフトウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0021】
サーバー12は、現時点で利用可能なソフトウェア提供PC14や演算能力提供PC16a、16bのアドレスリストを記載した利用可能PCテーブルを記憶する。代行処理の依頼元の携帯端末10aは、まずサーバー12に対し代行処理を行いたい旨の要求を行う。サーバー12は利用可能PCテーブルから、ソフトウェア提供PC14や演算能力提供PC16aなどとして利用可能なPCを選択してそのアドレスを携帯端末10aに返す。これにより携帯端末10aはソフトウェア提供PC14や演算能力提供PC16aなどに対し、適宜処理の依頼を行うことができる。したがって利用可能PCテーブルに記憶されるアドレスは、それに基づき依頼のための信号を送信することが可能な、ネットワーク8において有効なアドレスである。
【0022】
利用可能PCテーブルを携帯端末10a、10bから参照可能な掲示板として構成してもよい。この場合、携帯端末10aなどは自ら当該掲示板を参照することにより依頼先のPCを決定してもよい。いずれにしろ利用可能PCテーブルは、ソフトウェア提供PC14や演算能力提供PC16aなどの所有者の意思を反映して更新される。
【0023】
演算能力提供PC16aの所有者は、例えば直接操作による通常処理を終了した時点で、演算能力提供PC16aに対し所定の指示入力を行うことにより、演算能力の提供の意思を利用可能PCテーブルに反映させる。ソフトウェア提供PC14の所有者は、例えばソフトウェア提供PC14の使用、非使用に関わらず、ソフトウェアを提供したい場合は随時、ソフトウェア提供PC14に対し所定の指示入力を行うことにより利用可能PCテーブルに登録する。したがって利用可能PCテーブルは、演算能力を提供できるPCのリストとソフトウェアを提供できるPCのリストの2種類のリストを含んでいてよい。
【0024】
なおこの状況は一例であり、本実施の形態は、ソフトウェア提供PC14や演算能力提供PC16a、16bが、ソフトウェアや演算能力を提供可能な状況において、適宜利用可能PCテーブルに登録されていればよく、例えばサーバー12において利用可能、不可能を管理していてもよい。以後では、上述した所有者による登録を例に説明する。
【0025】
図2は携帯端末10a、サーバー12、ソフトウェア提供PC14、および演算能力提供PC16aの詳細な構成を示している。図2において様々な処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、ネットワークを介して他の装置との通信を実現するプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。
【0026】
携帯端末10a、ソフトウェア提供PC14、演算能力提供PC16aに含まれる管理デバイス18a、18c、18dはおよそ上述の機能を有するが、詳細は後に述べる。携帯端末10aは管理デバイス18aの他、入力部20、通信部22、および出力部24を含む。入力部20は携帯端末10aを操作するユーザによる、演算処理の代行依頼を行う指示入力や、代行処理の進捗に係る指示入力を受け付ける。具体的には受け付け画面を表示させた表示装置と、画面に表示された所定の領域などを選択するためのポインティングデバイスなどである。
【0027】
通信部22は、ユーザが入力部20において指示した代行処理を実現する依頼先装置を選択するためにサーバー12と通信を行う。さらに、演算能力提供PC16aやソフトウェア提供PC14に対し処理を依頼する信号を送信するとともに、代行処理の結果を演算能力提供PC16aから取得する。出力部24は、演算能力提供PC16aが代行処理を行った結果を出力する。出力部24は代行処理の内容によってその態様は異なる。例えばゲームを代行処理させる場合は表示装置とスピーカー、オーディオコーデックの変換を代行処理させた場合はスピーカーや記憶装置などである。
【0028】
サーバー12はテーブル記憶部26および通信部28を含む。テーブル記憶部26は利用可能PCテーブルを記憶する。通信部28は、携帯端末10aからソフトウェアの提供が可能なPCや代行処理が可能なPCについての問合せの信号を受け付け、返信を行うための通信を行う。さらにソフトウェア提供PC14や演算能力提供PC16aから、利用可能PCテーブルへの登録や登録削除のための信号を受け付ける。
【0029】
ソフトウェア提供PC14は管理デバイス18cの他、ソフトウェア記憶部40および通信部42を含む。ソフトウェア記憶部40は携帯端末10aの依頼により提供できるソフトウェアを記憶する。ソフトウェア記憶部40は一般的なハードディスクなど、ソフトウェア提供PC14が一般的な使用のために備えている記憶装置でもよいし、多様なソフトウェアを提供するために容量を増強した記憶装置でもよい。通信部42は、サーバー12への登録、携帯端末10aからのソフトウェア提供の依頼受け付け、演算能力提供PC16aへのソフトウェアの転送のための通信を行う。
【0030】
演算能力提供PC16aは管理デバイス18dの他、情報処理部30、入力部31、および通信部32を含む。情報処理部30は携帯端末10aから依頼を受けた代行処理を実行する。情報処理部30は具体的には処理の主体であるプロセッサ、処理に用いるデータ、プログラム、処理結果を記憶するメモリなどで実現できる。これらの要素は演算能力提供PC16aが一般的な使用のために備えているモジュールでもよいし、複数の代行処理を可能とするように処理性能を増強したモジュールでもよい。
【0031】
入力部31は演算能力提供PC16aの所有者による、通常処理を開始したい旨の要求を受け付ける。入力部31は電源ボタンなどハードウェアとして実装されたボタンでもよいし、所定の受け付け画面を表示させた表示装置と、受け付け画面内の所定の領域を選択するためのポインティングデバイスなどでもよい。通信部32は、サーバー12への登録、携帯端末10aからの代行処理の依頼受け付け、ソフトウェア提供PC14から転送されたソフトウェアの取得、および携帯端末10aへの処理結果の送信のための通信を行う。
【0032】
図3は管理デバイス18の構成を詳細に示している。情報処理システム100の一態様として、依頼元である携帯端末10aなどと、依頼先であるソフトウェア提供PC14および演算能力提供PC16aなどとを互換とする場合は、管理デバイス18はどの装置においても同様の構成を有していてよい。それ以外の状況、例えばソフトウェア提供PC14はソフトウェアの提供のみを行う場合などは、必要に応じて管理デバイス18の構成を簡略化してもよい。
【0033】
管理デバイス18は、制御部50、残金記憶部52、秘密鍵記憶部54、乱数発生部56、およびタイマー58を含む。制御部50は管理デバイス18全体の動作を制御するとともに、接続した携帯端末10a、10b、ソフトウェア提供PC14、または演算能力提供PC16a、16bなどの情報処理装置と管理デバイス18とのインターフェースとしての役割を担う。例えば、信号の送受信を行う相手の情報処理装置に接続した管理デバイス18の認証や、自らの管理デバイス18に記憶された情報に基づき、接続した情報処理装置が行う処理を許可したり不許可としたりする。また、送受信するデータなどの暗号化、復号化を行う。
【0034】
残金記憶部52は、接続された情報処理装置がソフトウェアや演算能力の提供を受けた場合に減額され、それらを提供した場合に増額される電子マネーの残高を記憶する。例えば管理デバイス18を一般的な電子マネー記録媒体と同様のカードとした場合、ユーザがデータ書込み装置(図示せず)によって管理デバイス18に対しチャージを行うと、残金記憶部52にはチャージした金額が加算されて記憶される。
【0035】
秘密鍵記憶部54は、管理デバイス18の認証に用いる情報を秘密鍵として暗号化して記憶する。秘密鍵は例えば、携帯端末10aから演算能力提供PC16aへ代行処理を依頼する際、当該演算能力提供PC16aに正当な管理デバイス18が接続されているかどうかを確認するために用いられる。乱数発生部56は、セッション鍵として乱数を発生させる。セッション鍵は例えば、携帯端末10aと演算能力提供PC16aとの相互認証において、相手の装置が正当なものであるかどうかを確認するために用いられる。セッション鍵の暗号化、復号化も制御部50が行う。タイマー58は、代行処理の開始などに伴い起動して時間経過を測定し、制御部50が課金のタイミングを取得するのに用いられる。
【0036】
図4はサーバー12のテーブル記憶部26が記憶する利用可能PCテーブルの構成例を示している。利用可能PCテーブル300は、演算能力を提供可能なPCのアドレスを記載したアドレス欄302と、それぞれのPCにインストールされているソフトウェアの名称を記載したソフトウェア欄304を含む。前述したように、ソフトウェア提供PC14として登録されているPCのリストおよび演算能力提供PC16aなどとして登録されているPCのリストをそれぞれ別の利用可能PCテーブル300として記憶させておいてよい。また、代行処理中の演算能力提供PC16aなどの情報は、さらに代行処理の依頼先として選択されないように、代行処理が終了するまで利用可能PCテーブル300から一時退避させたり、別に設けたチェック欄に代行処理中であることを示す情報を記載したりする。
【0037】
この場合、まず演算能力提供PC16aなどとして登録されているPCのリストから選択した一の演算能力提供PC16aに、携帯端末10aが依頼したい代行処理を実行するために必要なソフトウェアがインストールされているか否かをソフトウェア欄304の記載から確認する。演算能力提供PC16aの選択は、利用可能PCテーブル300の上の行から順番に行うなど、所定の順序で行ってもよいし、ソフトウェア欄304に記載されたソフトウェア名を参照して必要なソフトウェアがインストールされているPCを優先させてもよい。
【0038】
選択した演算能力提供PC16aに必要なソフトウェアがインストールされていなければ、ソフトウェア提供PC14として登録されているPCのリストから当該ソフトウェアを提供できるPCをソフトウェア欄304の記載に基づき検出し、ソフトウェア提供PC14とする。携帯端末10aは、そのように選択されたソフトウェア提供PC14および演算能力提供PC16aの、アドレス欄302に記載されたアドレスを取得する。
【0039】
なお、図4で示した利用可能PCテーブルにソフトウェアの提供が可能か否か、演算能力の提供が可能か否かを記載した欄を追加し、当該欄を参照することにより演算能力提供PC16aおよび、必要に応じてソフトウェア提供PC14を選択するようにしてもよい。
【0040】
次に、これまでに述べた構成により実現できる、情報処理システム100の動作について説明する。図5は情報処理システム100が行う全体的な処理手順を示すフローチャートである。まず携帯端末10aにおいてユーザが、代行処理を依頼したい旨の指示入力を行うと(S10)、携帯端末10aはサーバー12に対し問合せを行うか、または利用可能PCテーブル300を参照することにより、利用できるソフトウェア提供PC14および演算能力提供PC16aのアドレスを取得し、さらにそれらのPCに対し正当性の確認処理を行うことによって処理を依頼するPCを決定する(S12)。
【0041】
次に携帯端末10aからソフトウェア提供PC14に、ソフトウェア名と演算能力提供PC16aのアドレスとを含む信号を送信することによりソフトウェア提供の依頼を行い、ソフトウェア提供PC14は演算能力提供PC16aに当該ソフトウェアの転送を行う(S14)。同時に携帯端末10aから演算能力提供PC16aに、処理対象のソフトウェアに係る情報を含む信号を送信することにより演算能力提供の依頼を行い、演算能力提供PC16aは転送されたソフトウェアを起動して代行処理を実施する(S16)。
【0042】
ここで演算能力提供PC16aに処理対象のソフトウェアがインストール済みであった場合は、S14の処理を省略できる。またS16の代行処理には代行処理の結果得られたデータを携帯端末10aに送信する処理も含まれる。さらに代行処理中に携帯端末10aの入力部20が操作され、代行処理に対する入力がなされたときは、当該入力に係る情報が適宜、演算能力提供PC16aに送信され、代行処理に反映される。例えばゲームの画像処理を代行させている場合に、ユーザがゲームに対する操作を携帯端末10aにおいて行うと、当該操作を反映した画像データが生成され、携帯端末10aに送信される。携帯端末10aで当該画像を表示することにより、あたかも携帯端末10aのみでゲームを行っている感覚が得られる。
【0043】
演算能力提供PC16aが、所有者自信からの通常処理を開始したい旨の入力を検出したら(S18のY)、携帯端末10aなどへ代行処理を停止したい旨の信号が送信され、携帯端末10aなどにより利用可能PCテーブル300に登録されている別の演算能力提供PC16bへ代行処理を切り替えるための処理が行われる(S20)。具体的にはサーバー12から提供された別の演算能力提供PC16bのアドレスに基づき、携帯端末10aがS12と同様の正当性確認処理を行ったうえで新たな代行処理の依頼先が決定される。S20ではさらに、それまで代行処理を行ってきた演算能力提供PC16aから、処理の中間結果などのデータを新たな依頼先の演算能力提供PC16bへ転送する。
【0044】
そして新たな依頼先の演算能力提供PC16bによる代行処理が開始される(S22)。最初の依頼先である演算能力提供PC16aの所有者が通常処理を開始しない場合(S18のN)は当然、そのままS16の代行処理が続行される。一方、新たな演算能力提供PC16bの所有者も代行処理の途中で通常処理を開始したいとなった場合は、S18からS22の処理をまた別の演算能力提供PCについて繰り返す。
【0045】
図6は、図5のS12において処理を依頼するPCを決定する際の処理手順をより詳細に示すフローチャートである。まず携帯端末10aは、サーバー12の利用可能PCテーブル300に登録されている演算能力提供PC16aなどから選択された一の演算能力提供PC16aのアドレスを、処理依頼先候補として取得する(S30)。ここで選択された演算能力提供PC16aに所望のプログラムがインストールされていない場合は、上述のとおり一のソフトウェア提供PC14を加えて選択する。
【0046】
次に携帯端末10aは演算能力提供PC16aへアクセスし、演算能力提供PC16aに接続されている管理デバイス18dの正当性を確認する(S32)。ここでは例えば管理デバイス18dに記憶されている秘密鍵について問合せを行う。このとき演算能力提供PC16aは、管理デバイス18dの秘密鍵記憶部54に記憶された秘密鍵を、制御部50において暗号化して携帯端末10aに返す。携帯端末10aの管理デバイス18aに含まれる制御部50は、受信した情報を復号化して得られた秘密鍵が正当なものであるか否かを判定することにより管理デバイス18dの正当性を確認する。
【0047】
管理デバイス18dが正当であれば(S34のY)、演算能力提供PC16aに正当な管理デバイス18dが接続されているものと判断する。さらに携帯端末10aは、演算能力提供PC16a自体の正当性を確認する(S36)。例えば、管理デバイス18aの乱数発生部56によって発生させた乱数を演算能力提供PC16aに送信する。演算能力提供PC16aは受信した値に所定の処理を施した結果得られた値を返信する。返信された値が正当なものであるか否かを判定することにより、演算能力提供PC16aの正当性を確認する。正当性の確認は、上記以外の一般的な認証技術を適用してもよい。演算能力提供PC16aが正当であると確認されたら(S38のY)、当該演算能力提供PC16aを代行処理依頼先のPCとして決定する(S40)。
【0048】
管理デバイス18dの正当性が確認できなかった場合(S34のN)、および演算能力提供PC16aの正当性が確認できなかった場合(S38のN)は、それらが確認できるまで、利用可能PCテーブル300に登録された別の演算能力提供PC16bなどについて同様の確認処理を繰り返す(S30〜S38)。
【0049】
図7は図5の処理手順と並行して行われる、演算能力提供PC16aにおける通常処理と代行処理の切り替えについての処理手順を示すフローチャートである。演算能力提供PC16aは常時、所有者からの通常処理要求を受け付ける(S50)。これは所有者が入力部31に対し行う、通常処理を要求するための入力により発生させた割り込み信号を検出するようにしてもよいし、当該入力の有無を表すフラグなどを定期的に確認するようにしてもよい。
【0050】
なお上述の説明は、通常処理要求のない期間をそのまま代行処理可能期間とした場合であるが、入力部31の構成によって、通常処理を行いたい場合、通常処理と代行処理のいずれも行わない場合、代行処理を行いたい場合、の3通りの要求を許すようにしてもよい。この場合は、所有者が代行処理を行いたい場合のみ、利用可能PCテーブル300への登録を行うようにする。以下の説明では通常処理要求のない状況下では利用可能PCテーブル300への登録を行うものとする。
【0051】
所有者からの通常処理要求がない期間にあって(S50のN)、サーバー12の利用可能PCテーブル300に未登録の場合は(S52のN)、演算能力提供PC16aは、自分のアドレスおよびインストールされているソフトウェアの名称を含む登録要求信号をサーバー12に送信することにより登録処理を行う(S54)。このときサーバー12側では利用可能PCテーブル300に当該演算能力提供PC16aの情報を追加する。演算能力提供PC16aの所有者が通常処理を終了した直後は当然、未登録となっている。登録後、携帯端末10aから代行処理の依頼があり、演算能力提供PC16aが依頼先として決定したら(S56のY)、演算能力提供PC16aは代行処理を開始する(S58)。依頼先として選択されなければ(S56のN)、所有者からの通常処理の要求がない限り登録した状態を維持する(S50のN〜S56のN)。
【0052】
所有者からの通常処理の要求を検出したら(S50のY)、代行処理中であれば(S60のY)、まず所有者に対し代行処理中であることを通知し、代行処理を停止して通常処理への切り替えを行うか否かの確認をする(S61)。所有者が代行処理を優先させ、通常処理への切り替えを中止したら(S61のN)、次の通常処理要求まで代行処理は続行される(S50)。所有者が通常処理への切り替えを希望したら(S61のY)、当該代行処理を他の演算能力提供PC16bへ切り替える処理を行う(S62)。
【0053】
この処理は前述のとおり、サーバー12、依頼元の携帯端末10a、代行処理中の演算能力提供PC16a、および新たな依頼先の演算能力提供PC16bの協働により行われる。切り替え処理、すなわち新たな演算能力提供PC16bの決定、当該演算能力提供PC16bへの中間データの転送処理などが終了するまでは、元の演算能力提供PC16aがそれまで行っていた代行処理を続行する。
【0054】
さらに、演算能力提供PC16aが利用可能PCテーブル300に登録済みであれば(S64のY)、サーバー12に対し登録削除を依頼する信号を送信することにより登録削除処理を行う(S66)。このときサーバー12側では利用可能PCテーブル300から当該演算能力提供PC16aの情報を削除する。S60で代行処理中であった演算能力提供PC16aは当然、利用可能PCテーブル300に登録されているため、S66において登録削除処理を行う。
【0055】
以上の手続きにより演算能力提供PC16aの所有者は通常処理が可能となるため、自らの操作により通常処理を開始する(S68)。そして通常処理が終了したら(S70のY)、通常処理をそれ以上行わない場合は通常処理要求なしとしてS50のNへ、別の通常処理を続行する場合は通常処理要求ありとしてS50のYへ分岐し、以下、上述と同様の処理を行う。これにより演算能力提供PC16aにおいて、通常処理→利用可能PCテーブルへの登録→代行処理→代行処理切り替え→利用可能PCテーブルからの登録削除→通常処理、なるループを実現することができる。
【0056】
なお、S60において演算能力提供PC16aの所有者が通常処理を希望した場合であっても、S61において実行中の代行処理を優先させるかどうかを選択する機会を与えることで、所有者の意思がより反映される演算能力提供体制をとることができる。結果として本来不要であった切り替え処理の実行を回避できるため、携帯端末10aにおけるデータ出力などに影響するような、切り替え処理のためのリスクの発生を軽減できる。
【0057】
図8は図5のS16からS22に示したように代行処理を行うPCを切り替える場合の、演算能力提供PC16a、16b、および携帯端末10aが行う処理の手順を詳細に示すフローチャートである。ここで演算能力提供PC16aは切り替え前に代行処理を行っていたPC、演算能力提供PC16bは切り替え後に代行処理を行うPCとする。まず演算能力提供PC16aは、所有者からの通常処理要求を受け付けるまで代行処理を行っている(S80、S82のN)。その間、携帯端末10aでは代行処理の結果を適宜取得し、出力部24へ出力を行うなどしている(S92、S94のN)。
【0058】
演算能力提供PC16aにて所有者からの通常処理要求を受け付けたら(S82のY)、演算能力提供PC16aは切り替え要求がなされたことを示す信号を携帯端末10aへ送信する(S84)。携帯端末10aでは、切り替え要求の信号を受信したら(S94のY)、新たな代行処理依頼先のPCを決定し、当該PC、すなわち演算能力提供PC16bに対し代行処理依頼の通知を行う(S96)。
【0059】
詳細には携帯端末10aは、サーバー12から新たな依頼先候補である演算能力提供PC16bのアドレスを取得する。そして図6に示したのと同様に、演算能力提供PC16bに接続された管理デバイス18eおよび演算能力提供PC16b自体の正当性を確認して、演算能力提供PC16bを依頼先PCとして決定する。演算能力提供PC16bへの代行処理依頼の通知信号には、これまで代行処理を行ってきた演算能力提供PC16aのアドレス、処理対象のソフトウェアに係る情報を含む。
【0060】
携帯端末10aから送信された代行処理依頼の通知信号を受信したら(S104のY)、演算能力提供PC16bは代行処理を開始するための準備を行う(S106)。具体的には、それまで代行処理を行ってきた演算能力提供PC16aに対し、代行処理の続行に必要な中間データを転送する要求信号を送信することにより、当該データを取得したり、必要に応じてソフトウェアをソフトウェア提供PC14から取得したりする。一方、演算能力提供PC16aは、切り替え要求の信号を送信した後も代行処理を続行し、さらに演算能力提供PC16bからの中間データの要求信号を受信したら当該データを送信するなどの切り替え準備も行う(S86)。
【0061】
そのようにして新たな依頼先である演算能力提供PC16bにおいて代行処理の準備が完了したら、準備完了を報告する信号を携帯端末10aに送信する(S108)。携帯端末10aで準備完了の信号が確認されたら(S98のY)、それまで代行処理をおこなっていた演算能力提供PC16aに対し、処理を通常処理に切り替えてよい旨の信号を発行する(S100)。当該切り替え許可の信号を受信したら(S88のY)、演算能力提供PC16aは代行処理を停止し、所有者が望む通常処理を開始する(S90)。
【0062】
一方、新たな依頼先である演算能力提供PC16bは、S106で得られた中間データやソフトウェアを用いて代行処理を開始する(S110)。携帯端末10aでは、代行処理の結果として得られるデータの取得先を、演算能力提供PC16aから演算能力提供PC16bへ切り替える。このように演算能力提供PC16aの所有者の通常処理開始要求を随時受け付けると共に、新たな代行処理を行う演算能力提供PC16bにおいて代行処理準備が整うまで演算能力提供PC16aの通常処理への切り替えを待つことにより、演算能力提供PC16aの所有者の通常処理の要求および、携帯端末10aのユーザの代行処理の要求の双方を満足させることができる。
【0063】
本実施の形態では、ネットワークを介してソフトウェアの提供、演算能力の提供、およびそれに対する課金を行うため、ネットワークを利用した不正を防止するための認証・監視機構をいくつか導入する。まず図6において説明したとおり、管理デバイス18dおよび演算能力提供PC16aの正当性を確認してから、代行処理依頼を行う。これにより、取り外し可能な管理デバイスを入手し、それを不正な装置に接続して、実際に演算能力を提供していないのに報酬のみを受け取る不正を防止できる。
【0064】
さらに本実施の形態では、代行処理を行っている間も定期的に同様の認証を行う。このとき、上述とは逆に演算能力を提供しているのに依頼元から報酬が支払われない状態をも回避するため、携帯端末10aと演算能力提供PC16aとで相互認証を行う。図9は代行処理中の課金と相互認証に係る処理の手順を示すフローチャートである。まず代行処理が開始したら携帯端末10aと演算能力提供PC16aは接続確認および相互認証を行う(S120、S128)。ここではそれぞれに接続された管理デバイス18a、18dの秘密鍵記憶部54に記憶された秘密鍵や、乱数発生部56にて発生させたセッション鍵を用いて、一般的な手法により認証を行う。
【0065】
S120において接続中であることが確認されたら(S122のY)、携帯端末10aでは接続した管理デバイス18aの残金記憶部52に記憶された残金をあらかじめ定められた単価分減額する(S124)。一方、演算能力提供PC16aでは接続した管理デバイス18dの残金記憶部52に記憶された残金を増額する(S132)。当然、携帯端末10a側で減額した値と演算能力提供PC16a側で増額した値は等しくする。以上の処理を、例えば携帯端末10aに接続された管理デバイス18aのタイマー58で測定した1秒ごとに繰り返す(S126)。
【0066】
これにより携帯端末10a側では、演算能力提供PC16aに正当な管理デバイス18dが接続されていること、演算能力提供PC16a自体が動作していることを確認したうえで支払いを行うことができる。一方、演算能力提供PC16a側では、携帯端末10aに接続された管理デバイス18aが支払いを行っていることを確認することができる。
【0067】
図9は演算能力提供PC16aのみに報酬が支払われる手順を示しているが、携帯端末10aが代行処理中に支払った金額の何割かをソフトウェア提供PC14がソフトウェア提供の対価として得るようにしてもよい。あるいはソフトウェア提供という性質上、ソフトウェア提供PC14が演算能力提供PC16aへソフトウェアを転送するたびに、定額の報酬が携帯端末10aからソフトウェア提供PC14へ渡るようにしてもよい。いずれの場合も、携帯端末10aに接続した管理デバイス18aに記憶された残高を減額し、ソフトウェア提供PC14に接続した管理デバイス18cに記憶された残高を増額することによって報酬の支払いが実現される。同様に、サーバー12や、管理デバイス18を供給する別のサイトに対し、携帯端末10aが支払った金額の何割かが渡るようにしてもよい。
【0068】
また上記説明は課金を不正に行わないための処理であったが、代行処理の結果であるデータやソフトウェアの転送についても同様の不正対策を施す。例えば、代行処理がオーディオコーデック変換であった場合、携帯端末10aから演算能力提供PC16aに送信される元の音声データが不正に流出するのを防ぐ。そのためまず当該オーディオデータは、携帯端末10aの管理デバイス18aにおいて演算能力提供PC16aと共通のセッション鍵によって暗号化して送信される。図9のS120、S128において相互認証がなされ、管理デバイスが正当なPCに接続されていることがわかるため、演算能力提供PC16aの管理デバイス18dにおいてセッション鍵により復号化したオーディオデータは、代行処理を実施する情報処理部30に確実に提供され、コーデック変換が施される。
【0069】
ソフトウェア提供PC14から演算能力提供PC16aへソフトウェアを転送する場合も、管理デバイス18cにより暗号化がなされる。この場合はあらかじめソフトウェア提供PC14と演算能力提供PC16aとの間で相互認証を行いセッション鍵を保持しておく。さらにソフトウェアの不正流出を防止するため、演算能力提供PC16aへのソフトウェア転送後、所定時間が経過したら、または1回の代行処理が終了したら、演算能力提供PC16aのメモリから当該ソフトウェアを削除するようにしてもよい。これはあらかじめプログラムに自己消滅のための関数を記載したり、OSの削除コマンドを呼び出すことにより実現できる。
【0070】
ソフトウェアに有効期限を設定した場合は、演算能力提供PC16aの管理デバイス18dにおいてタイマー58を作動させるなどして転送後の経過時間を計測する。そして有効期限の経過前に、図5のS20の切り替え処理と同様の処理を行うことにより、別の演算能力提供PC16bに代行処理を切り替える。その際、ソフトウェア提供PC14から演算能力提供PC16bへソフトウェアを転送し直す。これにより、ある演算能力提供PC16aにおけるソフトウェアの滞在時間を少なくして不正を防止できる一方で、代行処理はその影響を受けることなく円滑に進捗する。
【0071】
また、ソフトウェア提供PC14には特別なライセンスを与え、当該ライセンスを取得しているPCのみが他のPCにソフトウェアを転送できるようにしてもよい。このライセンスは例えばソフトウェアの販売元、サーバー12のサービス提供元などが与え、管理デバイス18cにその情報を暗号化して記憶させておく。ソフトウェア提供PC14がソフトウェアを演算能力提供PC16aに転送する際は、それに先立ち管理デバイス18cの制御部50が当該ライセンスの有無を確認し、情報が記憶されている場合に限り、管理デバイス18cから暗号化したソフトウェアを転送するようにする。
【0072】
次に情報処理システム100の実現例について説明する。図10は携帯端末10aを携帯ゲーム機とした場合の情報処理システムの構成を示している。情報処理システム200は携帯ゲーム機110および演算能力提供PC116を含み、ネットワーク8を介して代行処理の依頼信号および代行処理の結果となるデータの送受を行っている。なお同図では図1で示したサーバー12およびソフトウェア提供PC14の図示を省略しているが、演算能力提供PC116が携帯ゲーム機110から依頼された代行処理を行うまでには、ネットワーク8に接続したサーバー12およびソフトウェア提供PC14が、これまでに説明した動作と同様の処理を必要に応じて行っているものとする。
【0073】
情報処理システム200は例えば、携帯ゲーム機110の性能を上回る高速、高精細の画像処理を可能とするプロセッサを搭載した演算能力提供PC116に動画像の処理を代行させる。演算能力提供PC116において生成した動画像のフレームデータを符号化し、携帯ゲーム機110で復号して出力することにより、携帯ゲーム機110の演算能力が簡素なものであっても、ユーザは携帯ゲーム機110を窓口として高度なゲームを楽しむことができる。
【0074】
携帯ゲーム機110は、コントローラ120、管理デバイス118a、通信部122、復号部160、および表示部124を含む。コントローラ120は図2に示した携帯端末10aの入力部20に対応し、ゲーム開始時の代行処理依頼に係る指示入力や、ゲーム中の入力を受け付ける。管理デバイス118a、通信部122は図2の携帯端末10aにおける管理デバイス18aおよび通信部22と同様の処理を行う。復号部160は演算能力提供PC116から送信された、符号化された動画像のフレームデータを復号する。表示部124は図2の携帯端末10aの出力部24に対応し、復号部160が復号した動画像のフレームデータを出力したり、ゲーム開始のための指示入力の受け付け画面を表示したりする。
【0075】
コントローラ120においてゲームに対する入力がユーザよりなされると、当該入力に応じた制御パラメータが演算能力提供PC116に送信される。
【0076】
演算能力提供PC116は、情報処理部130、符号化部162、管理デバイス118d、および通信部132を含む。情報処理部130は、図2の演算能力提供PC16aの情報処理部30に対応し、同実現例では携帯ゲーム機110から送信された制御パラメータに基づき画像処理を行い、動画像のフレームデータを生成する。符号化部162は情報処理部130が生成した動画像のフレームデータをフレーム内符号化によって符号化する。フレーム内符号化を用いることにより符号化処理に要する時間を短縮できるため、携帯ゲーム機110における動画像データの出力がより高速に行える。さらに演算能力提供PC116における処理の負荷を軽減できるため、演算能力提供PC116が並列に複数の代行処理を行う場合においてもそれぞれの処理を円滑に行うことができる。
【0077】
管理デバイス118d、通信部132は図2の演算能力提供PC16aにおける管理デバイス18dおよび通信部32と同様の処理を行う。ここで管理デバイス118dは、符号化部162において符号化したデータをセッション鍵などを用いて暗号化して送信する。これによりネットワーク8に接続した別の端末への画像データの流出を防止できる。
【0078】
なお演算能力提供PC116は、携帯ゲーム機110を操作するユーザが自宅において所有しているPCなどでもよい。このとき、図9に示した処理手順のうち少なくとも課金の処理は省略できる。このような場合に対応させるため、管理デバイス118aと管理デバイス118dにはあらかじめ所有者の個人情報を記憶させておいてもよい。そして携帯ゲーム機110と演算能力提供PC116が接続したときはまず、管理デバイス118aと管理デバイス118dに記憶された個人情報をどちらか一方の管理デバイスにおいて比較し、それらが同一であった場合は、双方の管理デバイス118a、118dにおいて課金の処理を省略する。なお個人情報を比較するために一方の管理デバイスから他方の管理デバイスへ個人情報を送信する場合も、その個人情報を暗号化することが望ましい。
【0079】
図10の情報処理システム200と同様の構成によって、様々な代行処理を演算能力提供PC116に行わせることができる。その1つとして、携帯ゲーム機110をテレビ受像機とした場合が考えられる。テレビ受像機においてチャンネルを選択するために一の画面に複数のチャンネルの画像を表示させたい場合、あるいはあるチャンネルの画像上の小窓に別のチャンネルの画像を表示させたい場合、演算能力提供PC116において複数の放送局からの信号の復調、復号処理を行う。
【0080】
この場合も演算能力提供PC116は、表示させたいチャンネルなどの制御データをテレビ受像機から取得して、それに基づき複数の放送局からの信号を復調、復号し、得られた複数の画像を並べて1つの動画像データとする。そしてフレーム内符号化によって符号化してテレビ受像機へ送信する。テレビ受像機では送信されたデータを復号して表示する。これにより、テレビ受像機が複数のチューナーを内蔵していない場合や、演算速度が遅いなど簡素な構成であったとしても、複数のチャンネルを円滑に表示することが可能となる。1つのチャンネルの画像のみを表示させる場合をテレビ受像機の通常処理ととらえれば、図7に示した処理手順と同様に代行処理と通常処理の切り替えを行うことにより、選局のときのみ代行処理による複数チャンネルの画像表示を行うことも可能である。
【0081】
以上述べた本実施の形態によれば、ネットワークに接続し所有者によって使用されていない、または処理に余裕のあるコンピュータをサーバーに登録することにより、演算能力を提供する側、代行処理を依頼する側の双方が容易に相手を見つけ出すことができる。また1つの代行処理の遂行において、容易に別の演算能力を提供するコンピュータへ代行処理を切り替えられるため、当該コンピュータの所有者は複雑な手順を踏まずに通常処理を開始することができる。代行処理の切り替えに際しては、次に演算能力を提供するコンピュータが当該代行処理を行う準備が整うまで、それまでの代行処理が続行される。これにより代行処理が滞る、断続的な処理になるなど切り替えによる出力の不具合を回避できる。
【0082】
結果として、携帯端末など演算能力や記憶容量などのリソースが簡素な端末においても高度な処理による結果を容易かつ円滑に享受することができる。このように演算能力、ソフトウェアを容易かつ安全に賃借できるシステムを実現することにより、例えば簡素な構成の端末を操作していても、高性能の端末を操作しているようにユーザに感じさせることができる。さらに演算能力、ソフトウェアを提供する側も容易かつ安全に利益を得ることができる。
【0083】
また、演算能力を提供するコンピュータにおいて代行処理を遂行するためのソフトウェアがインストールされていなかった場合でも、当該ソフトウェアを提供できるコンピュータをサーバーに登録しておくことにより、容易にインストールが可能となる。これにより、携帯端末などの簡素な構成の端末において所望のソフトウェアを記憶するのに十分な記憶容量が装備されていなかったり、事情によりインストールしていなかった場合などでも、ユーザの多様なニーズに応じた処理を容易に実現することができる。
【0084】
さらに代行処理に係る手続きは、演算能力を提供するコンピュータ、ソフトウェアを提供するコンピュータ、代行処理を依頼する端末のそれぞれに接続した管理デバイスによって一括して行われる。管理デバイスにおいては接続相手の管理デバイスおよびコンピュータなどの認証、送信するデータの暗号化などを行うため、課金、ソフトウェアやデータの送受信などを安全に行うことができ、データの流出、ソフトウェアの盗難などを防止できる。
【0085】
課金を安全に行えることから、演算能力を提供するコンピュータ、ソフトウェアを提供するコンピュータ、サーバーなどが、それぞれに提供する能力への対価を確実に取得することができる。また管理デバイスをカードの形態とすることにより、各装置には当該カードを読み取るスロットを備えるのみで、暗号化した秘密鍵、ライセンス情報や、電子マネーなどの情報を外部で書き込んだカードを用いて容易にデータやソフトウェアの管理を行うことができ、低コストで安全性、利便性を高めることができる。
【0086】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0087】
例えば、本実施の形態では1つの携帯端末が依頼した代行処理を1つの演算能力提供PCが行ったが、これを複数の演算能力提供PCが分担するようにしてもよい。例えば複数のチャンネルの画像を表示させたい場合に、各放送局からの信号の復調、復号処理を複数の演算能力提供PCの1台ずつに割り振る。このとき、割り振り処理や各演算能力提供PCが生成した画像データの統合も、ある演算能力提供PCが行ってよい。そのほか、1つのゲームの音声処理と画像処理を別の演算能力提供PCが行うなど、並列処理が可能であれば同様の処理を行うことができる。これにより、演算能力提供PCが複数のチューナーを有していない場合など、演算能力提供PCの1つ1つは十分な能力を備えていなかったとしても、その能力を集約することにより高度な処理結果の取得が可能となる。
【0088】
さらに、代行処理の結果を携帯端末で出力させるか否かに関わらず代行処理を行わせるようにして代行処理の結果の出力までに要する時間を短縮するようにしてもよい。例えば、多チャンネルの画像を表示させる場合、チャンネル選択時にのみ多チャンネルの画像を表示させる態様であっても、それ以外の期間も複数の信号の復調、復号処理を各演算能力提供PCにやらせておく。そしてチャンネル選択時など必要に応じて、代行処理の結果得られた多チャンネル画像をテレビ受像機にて表示させる。これにより、チャンネル選択時など代行処理の結果を出力したい旨の入力をユーザが行ってから急に代行処理を依頼する場合に比べ、出力の切り替えを即座に行うことができ、ユーザの入力に対する応答性能を向上させることができる。
【0089】
同様に、代行処理を複数の演算能力提供PCに並行して行わせ、結果は1つの演算能力提供PCからのみ取得するようにしてもよい。この場合も、演算能力提供PCを切り替える際、新たな依頼先の決定、中間データの転送などの必要がないため、より容易かつ安全に代行処理が継続される。
【0090】
またソフトウェア提供PCはそれに特化したコンピュータをソフトウェア販売元などが管理する施設内に複数備えた態様としてもよい。これによりソフトウェアの管理、対価の取得を確実かつ安全に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施の形態における情報処理システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態における携帯端末、サーバー、ソフトウェア提供PC、および演算能力提供PCの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態における管理デバイスの構成を示す図である。
【図4】本実施の形態においてサーバーのテーブル記憶部が記憶する利用可能PCテーブルの構成例を示す図である。
【図5】本実施の形態において情報処理システムが行う全体的な処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態において処理を依頼するPCを決定する処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態において演算能力提供PCにおける通常処理と代行処理の切り替えについての処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本実施の形態において代行処理を行うPCの切り替えを含む場合の、演算能力提供PCおよび携帯端末が行う処理の手順を詳細に示すフローチャートである。
【図9】本実施の形態において代行処理中の課金と相互認証に係る処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】携帯ゲーム機および演算能力提供PCを含む情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0092】
10a 携帯端末、 12 サーバー、 14 ソフトウェア提供PC、 16a 演算能力提供PC、 18 管理デバイス、 20 入力部、 22 通信部、 24 出力部、 26 テーブル記憶部、 28 通信部、 30 情報処理部、 31 入力部、 32 通信部、 40 ソフトウェア記憶部、 42 通信部、 50 制御部、 52 残金記憶部、 54 秘密鍵記憶部、 56 乱数発生部、 58 タイマー、 100 情報処理システム、 110 携帯ゲーム機、 116 演算能力提供PC、 160 復号部、 162 符号化部、 200 情報処理システム、 300 利用可能PCテーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが操作する情報処理装置であって、ネットワークを介して接続した別の情報処理装置に当該ユーザのための処理を代行させ、その代行処理の結果を前記別の情報処理装置から受信して利用する代行依頼元情報処理装置と、
計算資源を提供することにより前記ユーザのための処理を代行し、その代行処理の結果を前記代行依頼元情報処理装置に送信する代行依頼先情報処理装置とを備え、
前記代行依頼先情報処理装置は、
前記ユーザのための処理を代行している間に、前記ユーザのための処理を継続して実行することができない状況になった場合、前記代行依頼先情報処理装置に代行処理の停止要求信号を発信する停止要求部と、
当該代行依頼先情報処理装置とは異なる別の代行依頼先情報処理装置が当該ユーザのための処理を代行することが可能となったことを示す切り替え可能信号を受信した場合に、代行処理を停止する代行処理停止部とを含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記代行依頼先情報処理装置は、前記停止要求部が代行処理の停止要求信号を発信する前に、前記代行依頼先情報処理装置を操作する人物に、当該代行依頼先情報処理装置が前記ユーザのための処理を代行中であることを通知し、代行処理の停止の可否に係る入力を受け付ける通知部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
代行処理が可能な情報処理装置からの登録要求信号を受信し、前記代行依頼先情報処理装置の候補としてそのアドレスを記憶するサーバーをさらに備え、
前記代行依頼元情報処理装置は、前記代行依頼先情報処理装置の候補について前記サーバーに問合せを行うことにより取得したアドレスに基づき、前記代行依頼先情報処理装置へ代行処理を依頼する信号を送信する依頼信号送信部を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記代行依頼先情報処理装置は、あらかじめ付与された認証用の情報を記憶した認証情報記憶部をさらに含み、
前記代行依頼元情報処理装置は、
前記代行依頼先情報処理装置に問合せを行うことにより取得した前記認証用の情報に基づき前記代行依頼先情報処理装置の認証処理を行う認証処理部を含み、
前記依頼信号送信部は、前記認証処理部において認証された前記代行依頼先情報処理装置へ前記代行処理を依頼する信号を送信することを特徴とする請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記代行依頼元情報処理装置および前記代行依頼先情報処理装置はいずれも、電子マネーの保持金額の記憶および更新を行うとともに、代行処理が実行されている間、所定の時間間隔で相互の接続確認および認証処理を行う管理デバイスを備え、
前記管理デバイスにおける前記接続確認および認証処理の結果、正常と認められた場合に、前記代行依頼元情報処理装置に備えられた前記管理デバイスは、記憶した前記保持金額を所定の規則により減額し、前記代行依頼先情報処理装置に備えられた前記管理デバイスは、記憶した前記保持金額を所定の規則により増額することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項6】
ユーザが操作する情報処理装置であって、ネットワークを介して接続した別の情報処理装置に当該ユーザのための処理を代行させ、その代行処理の結果を前記別の情報処理装置から受信して利用する代行依頼元情報処理装置と、
保持するソフトウェアを別の情報処理装置にネットワークを介して提供するソフトウェア提供情報処理装置と、
計算資源を提供することにより前記ユーザのための処理を代行し、その代行処理の結果を前記代行依頼元情報処理装置に送信する代行依頼先情報処理装置とを備え、
前記代行依頼元情報処理装置は、前記ソフトウェア提供情報処理装置に対し代行処理に必要なソフトウェアの提供を依頼する信号を送信するとともに、前記代行依頼元情報処理装置に代行処理を依頼する信号を送信する依頼信号送信部を含み、
前記ソフトウェア提供情報処理装置は、前記ソフトウェアの提供を依頼する信号に応じて、前記必要なソフトウェアを前記代行依頼先情報処理装置に送信するソフトウェア送信部を含み、
前記代行依頼先情報処理装置は、前記代行処理を依頼する信号に応じて、前記ソフトウェア提供情報処理装置から送信された前記必要なソフトウェアをメモリに読み込み起動し、依頼された代行処理を実行する情報処理部を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
前記代行依頼元情報処理装置、前記代行依頼先情報処理装置、および前記ソフトウェア提供情報処理装置はいずれも、電子マネーの保持金額の記憶および更新を行う管理デバイスを備え、
代行処理の実行に際して、前記代行依頼元情報処理装置に備えられた管理デバイスは、記憶した保持金額を所定の規則により減額し、前記代行依頼先情報処理装置に備えられた管理デバイスおよび前記ソフトウェア提供情報処理装置に備えられた管理デバイスは、前記代行依頼元情報処理装置に備えられた管理デバイスにおける保持金額の減額分を所定の規則により配分した金額だけ、記憶した保持金額をそれぞれ増額することを特徴とする請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
ネットワークを介して接続した別の情報処理装置に計算資源を提供し当該別の情報処理装置を操作する人のための処理を代行する許可をユーザから受け付け、その代行処理が可能である旨の登録を要求する信号をサーバーへ送信する通信部と、
前記登録の結果、別の情報処理装置から送信された代行処理の要求信号に応じて代行処理を実行する情報処理部と、
を備え、
前記通信部は、前記情報処理部において代行処理を実行している間に、代行処理を継続して実行することができない状況になった場合、前記サーバーに登録された、代行処理が可能な別の情報処理装置に係る情報を取得して当該情報処理装置へ前記代行処理の中間データを転送し、
前記情報処理部は、前記通信部による前記中間データの転送によって、前記代行処理が可能な別の情報処理装置が当該代行処理を継続することが可能となったことを示す切り替え可能信号を受信した場合に、代行処理を停止することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
前記情報処理部は、自分が所有するソフトウェアをネットワークを介して提供するソフトウェア提供情報処理装置から転送された、前記代行処理に必要なソフトウェアをメモリに読み込み起動することにより前記代行処理を実行することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記情報処理部は、前記ソフトウェアが転送されてからの経過時間を計測し、前記経過時間が所定の期限を越えたら、前記メモリから前記ソフトウェアのプログラムを削除することを特徴とする請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記情報処理部が前記代行処理を実行している間、当該代行処理の依頼元の情報処理装置との接続および課金を所定の時間間隔で確認する管理部をさらに備え、
前記情報処理部は、前記管理部によって前記接続および課金が正常に行われていることが確認された場合に、前記代行処理を続行することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記代行処理は動画像フレームデータの生成を含み、
前記情報処理部は、生成した動画像フレームデータをフレーム内符号化し、
前記通信部は、フレーム内符号化されたデータを、前記代行処理の依頼元の情報処理装置に送信することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項13】
ネットワークを介して別の情報処理装置から送信された、保持するソフトウェアの転送を要求する信号に応じて、前記別の情報処理装置が指定した、当該ソフトウェアを代行して実行する情報処理装置に、前記ソフトウェアを転送することを特徴とする情報処理装置。
【請求項14】
ソフトウェアの転送に対するライセンス情報を記憶したライセンス情報記憶部と、
前記別の情報処理装置から転送を要求されたソフトウェアに対するライセンスが前記ライセンス情報記憶部に記憶されている場合に当該ソフトウェアの転送を許可する転送制御部と、
を備えたことを特徴とする請求項13に記載の情報処理装置。
【請求項15】
ユーザが操作する情報処理装置とネットワークを介して接続した別の情報処理装置に当該ユーザのための処理を代行させ、その代行処理の結果を前記別の情報処理装置から受信して利用する情報処理方法であって、
前記ネットワークに接続したサーバーに記憶された代行処理が可能な情報処理装置のリストから選択された第1の代行依頼先情報処理装置のアドレスを取得するステップと、
取得したアドレスに基づき、前記第1の代行依頼先情報処理装置に代行処理を依頼する信号を送信するステップと、
前記第1の代行依頼先情報処理装置から代行処理の結果を受信するステップと、
前記第1の代行依頼先情報処理装置からの代行処理の停止を要求する信号を受信した際、前記代行処理が可能な情報処理装置のリストから選択された第2の代行依頼先情報処理装置のアドレスを取得するステップと、
取得したアドレスに基づき、前記第2の代行依頼先情報処理装置に代行処理を依頼する信号を送信するステップと、
前記第2の代行依頼先情報処理装置において代行処理を継続する準備が完了した旨の信号を受信するステップと、
代行処理の結果の受信先を前記第1の代行依頼先情報処理装置から前記第2の代行依頼先情報処理装置へ切り替えるステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項16】
前記サーバーに記憶された、ソフトウェアの提供が可能な情報処理装置のリストから、前記代行処理に必要なソフトウェアの提供が可能なソフトウェア依頼先情報処理装置のアドレスを取得するステップと、
前記第1の代行依頼先情報処理装置への前記必要なソフトウェアの転送を依頼する信号を、前記ソフトウェア依頼先情報処理装置に送信するステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の情報処理方法。
【請求項17】
ネットワークを介して接続した別の情報処理装置に計算資源を提供し当該別の情報処理装置を操作する人のための処理を代行する許可をユーザから受け付け、その代行処理が可能である旨の登録を要求する信号をサーバーへ送信する機能と、
前記登録の結果、別の情報処理装置から送信された代行処理の要求信号に応じて代行処理を実行する機能と、
代行処理を実行している間に、代行処理を継続して実行することができない状況になった場合、前記サーバーに登録された、代行処理が可能な別の情報処理装置に係る情報を取得して当該情報処理装置へ前記代行処理の中間データを転送する機能と、
前記中間データの転送によって 前記代行処理が可能な別の情報処理装置が当該代行処理を継続することが可能となったことを示す切り替え可能信号を受信した場合に、代行処理を停止する機能と、
をコンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項18】
ユーザが操作するコンピュータとネットワークを介して接続した別の情報処理装置に当該ユーザのための処理を代行させ、その代行処理の結果を前記別の情報処理装置から受信して利用する機能を前記コンピュータに実現させるコンピュータプログラムであって、
前記ネットワークに接続したサーバーに記憶された代行処理が可能な情報処理装置のリストから選択された第1の代行依頼先情報処理装置のアドレスを取得する機能と、
取得したアドレスに基づき、前記第1の代行依頼先情報処理装置に代行処理を依頼する信号を送信する機能と、
前記第1の代行依頼先情報処理装置から代行処理の結果を受信する機能と、
前記第1の代行依頼先情報処理装置からの代行処理の停止を要求する信号を受信した際、前記代行処理が可能な情報処理装置のリストから選択された第2の代行依頼先情報処理装置のアドレスを取得する機能と、
取得したアドレスに基づき、前記第2の代行依頼先情報処理装置に代行処理を依頼する信号を送信する機能と、
前記第2の代行依頼先情報処理装置において代行処理を継続する準備が完了した旨の信号を受信する機能と、
代行処理の結果の受信先を前記第1の代行依頼先情報処理装置から前記第2の代行依頼先情報処理装置へ切り替える機能と、
を前記コンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−123344(P2008−123344A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307882(P2006−307882)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(395015319)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (871)
【Fターム(参考)】