説明

情報処理システム、情報処理装置及び情報処理装置の制御方法

【課題】ジョブ処理装置が生体情報に基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合にジョブを実行する情報処理装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有する印刷装置と、その印刷装置にジョブを送信可能なPCとを含む情報処理システムであって、PCは、印刷装置に記憶されている生体情報を取得し、その取得した生体情報を格納し、印刷装置にジョブを送信する場合に、その格納された生体情報を当該ジョブを実行するために必要な生体情報として送信する。印刷装置は、PCからジョブと生体情報とを受信すると、この印刷装置で入力された生体情報と、PCから受信した生体情報とに基づいて認証を行い、その認証に成功した場合に、その受信したジョブを実行します。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置及び情報処理装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パスワードが入力されるまでジョブの実行を行わず、パスワードが入力されたことに応じてジョブを実行するジョブ処理装置がある。例えば、ジョブ処理装置の一例である印刷装置が、情報処理装置の一例であるPCから受信した印刷ジョブを実行している場合に、印刷する前に操作部を介してパスワードの入力を要求し、正しいパスワードが入力された場合に印刷を開始する印刷方法がある。このような印刷方法はセキュアプリントと呼ばれる。
【0003】
セキュアプリントを実行する場合、PCは、ユーザからパスワードの入力を受付け、受付けたパスワードと画像データとをジョブとして印刷装置に送信する。そして印刷装置は、PCから送信された画像データを保持しておき、当該ジョブに対応するパスワードが入力された場合に、ユーザの認証を行って当該ジョブに対応する画像データの印刷を開始する。また、ユーザを特定する方法としては、パスワードを用いる方法以外に、指紋情報などの個人固有の生体情報を用いてセキュアプリントを実行する方法がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−146665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザの生体情報を用いて、上述したセキュアプリントを実行する場合、例え、印刷装置が生体情報を入力する装置を備えていても、PCが生体情報を入力する装置を備えていなければ、実行することができなかった。また、PCに生体情報を入力する装置を備える場合、コストがかかってしまう。
【0006】
本発明は、上記従来例の問題点を解決するためになされたものである。
【0007】
本発明は、ジョブ処理装置が生体情報に基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合にジョブを実行する情報処理装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る情報処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有するジョブ処理装置と、当該ジョブ処理装置にジョブを送信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、情報処理装置は、ジョブ処理装置の記憶手段に記憶されている生体情報を取得する取得手段と、取得手段によって取得された生体情報を格納手段に格納させる格納制御手段と、ジョブ処理装置にジョブを送信する場合に、格納制御手段によって格納された生体情報を当該ジョブを実行するために必要な生体情報として送信する送信手段とを有し、ジョブ処理装置は、情報処理装置からジョブと生体情報とを受信する受信手段と、ユーザの生体情報を入力する入力手段と、受信手段によってジョブと生体情報とを受信した場合に、入力手段によって入力された生体情報と、受信した前記生体情報とに基づいて認証を行い、当該認証に成功した場合に受信手段によって受信したジョブを実行するよう制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ジョブ処理装置が生体情報に基づいてユーザを認証し、当該認証に成功した場合にジョブを実行する仕組みを、情報処理装置が生体情報を入力する装置を備えていなくても実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る印刷システムの概略構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係るPCの構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態に係る印刷装置101の構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る印刷装置102の構成を示すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る印刷装置103の構成を示すブロック図である。
【図6】本実施形態に係る印刷装置の操作部の外観図である。
【図7】PCのプリンタドライバにより表示される画面の一例を示す図である。
【図8】PCが印刷装置から生体情報を受信するための画面の一例を示す図である。
【図9】PCの表示部に表示されるユーザ認証画面の一例を示す図である。
【図10】PCで表示されるユーザの生体情報の一覧表示の一例を示す図である。
【図11】PCが印刷装置から生体情報を取得して登録する処理を説明するフローチャートである。
【図12】PCから印刷装置に印刷ジョブを送信する処理を説明するフローチャートである。
【図13】PCのプリンタドライバ画面の一例を示す図である。
【図14】PCの表示部に表示されるユーザの認証データの一覧例を示す図である。
【図15】印刷装置がセキュアプリントを実行する際の処理の手順を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システム(印刷システム)の概略構成を示す図である。
【0013】
ネットワーク107には、情報処理装置の一例であるPC105,106及びジョブ処理装置の一例である印刷装置101,102,103及び104が接続されている。PC105,106は、これら印刷装置と通信可能である。例えば、PC105、106は、印刷装置101、102、103及び104のいずれかに印刷を実行するための印刷ジョブを送信可能である。印刷装置101乃至104は、PC105或いはPC106から印刷ジョブを受信して印刷を行う。印刷装置101は指紋認証装置を備え、指紋によるユーザ認証機能を備える。また印刷装置102は指紋認証装置と声紋認証装置を備え、指紋及び声紋といった複数種類の生体情報によってユーザを認証可能な機能を有する。印刷装置103は静脈認証装置を備え、静脈のパターンによるユーザの認証機能を有する。そして印刷装置104は、これら生体情報を取得及び認証するための装置を有していない。PC105はクライアントコンピュータであり、印刷データを作成し、印刷装置101〜104のうちのいずれかに、その印刷データを送信して印刷させる。PC106はサーバコンピュータであり、印刷装置101〜104の機器情報を管理しており、PC105からの機器情報の問合せに対して応答する。ここで、PC105,106はいずれも、ユーザの生体情報を入力するために用いる指紋認証装置、声紋認証装置や静脈認証装置等の装置を有していない。尚、本実施形態では、ジョブが画像データを印刷する印刷ジョブの場合で説明するが、本発明はこれに限定されるものでない。例えば、PCから受けたデータをFAX送信するジョブ、データの通信により外部に送信するジョブ、後述するHDDに格納するジョブなどの場合にも適用できる。
【0014】
図2は、本実施形態に係るPC105の構成を示すブロック図である。尚、PC106もPC105と同様の構成を有している。
【0015】
CPU201は、PC105を統括的に制御している。ROM202は、CPU201によって読み出されて実行されるブートプログラム等を格納する。RAM203は、CPU201の作業領域として用いられる。表示部204は、CRT或いは液晶表示パネルを有し、CPU201からの指示に従って画像を表示する。操作部205はキーボードやポインティングデバイスを含み、ユーザによる操作を受付ける。外部I/F206は、ネットワーク107と接続するためのインタフェースであり、ネットワーク107との間でデータの送受信を制御する。HDD207は、CPU201によって読み出されて実行されるOSやアプリケーションプログラムや画像データを記憶する。CPU201は、HDD207に各種データを格納するための格納制御を行う。このアプリケーションプログラムには、例えば、画像データを作成するための描画ソフトや、プリンタドライバ等がある。そして操作部205からアプリケーションの実行が指示されると、そのプログラムがHDD207から読み出されてRAM203に格納され、CPU201の制御の下に実行される。
【0016】
図3は、本実施形態に係る印刷装置101の構成を示すブロック図である。
【0017】
この印刷装置101は、CPU301、ROM302、RAM303、スキャナ304、プリンタ部305、圧縮伸張部306及び指紋認証部311とを有する。更に、操作部(UI部)307、TEL308、HDD309、外部I/F310を有する。CPU301は、ROM302に格納されたプログラムに従って各種制御を行う。ROM302は、CPU301によって実行されるプログラムを格納している。これには、例えばプリンタ部305に印刷処理を行わせるための印刷プログラムや、操作部307にメッセージや画像を表示させるための表示制御プログラム等が含まれる。RAM303は、SRAM、DRAM等で構成され、CPU301がプログラムを実行する際の変数やデータ等を格納し、主にCPU301の作業用バッファとして利用される。
【0018】
スキャナ304は、CPU301からの指示に基づいて原稿を読み取り、画像データを生成する。またプリンタ部305は、CPU301からの指示により、画像データに基づいてシートに画像を印刷する。スキャナ304やプリンタ部305は、複数のユーザがジョブ処理のために共通に用いるものである。圧縮伸張部306は、画像データの圧縮、伸張処理を実行する。操作部307はキーボード、タッチパネル、LCD、LED等を有し、使用者(ユーザ)が印刷の設定や、印刷ジョブの実行指示等の各種操作を行うのに使用される。またユーザに対して印刷状況や警告等の表示、通知を行う。この操作部307は、UI部、表示部ともいう。詳しくは、図6を参照して後述する。
【0019】
TEL308は、モデム(変復調装置)、NCU(網制御装置)等であり、電話回線を介してFAXの送受信を行う。HDD309は、印刷処理や認証処理に関する種々のデータを記憶する。例えば、スキャナ304で読み取った原稿の画像データや、外部I/F310を介して外部装置から受信した画像データを記憶する。また、ユーザを認証するため、ユーザごとにユーザID、パスワード等を記憶できる。更に、ユーザごとに、ログイン時に表示する初期画面(ジョブ設定画面、印刷設定画面ともいう)を生成するための設定情報を格納する。CPU301は、その設定情報に基づいて、ログイン時の初期画面を操作部307の表示部に表示する。この設定情報は、ユーザごとの初期画面情報として、ユーザごとに異なるものを記憶しておくことができる。詳しくは、後述する。
【0020】
外部I/F310は、ネットワーク107に接続された外部装置、例えば、PC105,106と通信するためのインタフェース制御を行う。この印刷装置101は、外部I/F310を介してPCから印刷データを受付ける。また、この印刷装置101は、外部I/F310を介してHDD309に記憶された画像データを外部装置に送信することができる。指紋認証部311は、ユーザの指紋を読み取り、既に登録されている指紋と照合することによって、ユーザを認証する。
【0021】
図4は、本実施形態に係る印刷装置102の構成を示すブロック図である。
【0022】
尚、図4において、参照番号401〜411で示す部分は、図3のCPU301〜311と同様の構成であるため、それらの説明を省略する。
【0023】
図4の印刷装置102は、指紋認証部411と声紋認証部412の2種類の認証部を備える点が図3の印刷装置101と異なっている。声紋認証部412は、ユーザの声を声紋データとして生成し、その生成した声紋データを、登録されている声紋データと照合し、ユーザを認証する。
【0024】
図5は、本実施形態に係る印刷装置103の構成を示すブロック図である。
【0025】
尚、図5において、参照番号501〜510で示す部分は、図3のCPU301〜外部I/F310と同様の構成であるため、それらの説明を省略する。
【0026】
図5の印刷装置103は、指紋認証部311の代わりに静脈認証部511を備える点が図3の印刷装置101と異なっている。尚、印刷装置104の構成は、図3の構成から指紋認証部311を除いたものである。以上説明した印刷装置101〜103は、ユーザの生体情報を、そのユーザのID(識別情報)やパスワードと対応付けてHDDなどのメモリに不揮発に記憶している。
【0027】
図6は、これら印刷装置の操作部の外観図である。ここでは図3の印刷装置101の操作部307の場合で説明するが、他の印刷装置102,103,104の操作部も同じ構成を有する。
【0028】
この操作部307は、ハードキーによるユーザ操作を受付けるキー入力部602、及び、ソフトキー(表示キー)を表示可能で、そのソフトキーによるユーザ操作を受付けるタッチパネル部601を有する。
【0029】
まず、キー入力部602について説明する。キー入力部602は、電源スイッチ603を備える。この電源スイッチ603がユーザによって押されることに応じて、CPU301は、スタンバイモード(通常動作状態)とスリープモード(消費電力を抑えている状態)を選択的に切換える。CPU301は、この電源スイッチ603のユーザによる操作を、システム全体の電源供給を行う主電源スイッチ(不図示)がオンの状態で受付ける。
【0030】
スタートキー605は、スキャナ304及びプリンタ部305を用いたコピー動作や、HDD309に記憶された画像データを外部I/F310を介して外部装置に送信する動作等の処理を、印刷装置101に開始させるためのキーである。ストップキー604は、受付けたジョブの処理を中断する指示をユーザから受付けるためのキーである。テンキー608は、各種設定の置数の設定をユーザにより実行するためのキーである。クリアキー609は、テンキー608を使用してユーザにより入力された、例えばユーザIDやパスワード等の入力値を削除するためのキーである。リセットキー606は、印刷対象のジョブに対して、ユーザにより設定された各種設定を無効にし、設定値をデフォルト状態に戻す指示をユーザから受付けるためのキーである。ユーザモードキー607は、ユーザごとのシステム設定画面に移行するためのキーである。IDキー610は、ユーザの認証の際に用いられるキーであり、このIDキー610が押されると、CPU301は、タッチパネル部601にログイン画面を表示する。そして、CPU301は、そのログイン画面を介して入力されたユーザIDとパスワードとを用いてユーザの認証を行う。
【0031】
次に、タッチパネル部601について説明する。タッチパネル部601は、液晶表示部と、その表示部上に貼られた透明電極からなるタッチパネルディスプレイを有する。このタッチパネル部601は、ユーザからの各種設定を受付ける機能と、ユーザに情報を提示する機能を有する。例えば、表示部に表示された表示キーに該当する個所がユーザにより押下されたことを検知すると、CPU301は、ROM302に記憶された表示制御プログラムに従って、その表示キーに応じた処理を実行する。尚、タッチパネル部601に表示される画面の詳細については後述する。
【0032】
図7は、本実施形態に係るPC105(106)のプリンタドライバにより表示される画面の一例を示す図である。この画面は、文書作成ソフトや、描画ソフトで画像データを作成した後、それらのソフトの印刷ボタンを指定することによってPC105の表示部204に表示される。尚、以下の説明では、PC105を例にして説明するが、PC106でも同様の操作が可能である。
【0033】
この画面を使用してユーザは、プリンタドライバを介して印刷を実行させたい印刷装置を選択する。図7では、カーソル700により印刷装置102に対応する「Printer 102」が選択されている。尚、「Printer 101」は印刷装置101に、「Printer 103」は印刷装置103に、そして「Printer 104」は印刷装置104にそれぞれ対応している。この画面を使用してユーザは、いずれかの印刷装置を選択可能である。ユーザはいずれかの印刷装置を選択して、OKボタン701を指示する(クリックする)ことによって、その選択した印刷装置を送信先として印刷データを送信して印刷させることができる。702は、印刷装置から認証データである生体情報を取得するように指示するためのボタンである。
【0034】
図8は、本実施形態に係るPCが印刷装置から生体情報を取得するための画面の一例を示す図である。この画面は、図7に示す生体情報取得ボタン702が指示される(クリックされる)ことにより表示部204に表示される。
【0035】
この画面が表示されると、ユーザは、このPC105に登録したい生体情報が格納されている印刷装置をプルダウンメニュー801から選択する。プルダウンメニュー801でプリンタが選択されて選択ボタン803が指示されると、CPU201は、図9に示す認証画面を表示部204に表示する。
【0036】
図9は、本実施形態に係るPCの表示部に表示されるユーザ認証画面の一例を示す図である。
【0037】
図9に示す画面で、ユーザID(ユーザ名)とパスワードが入力されると、このPC105は、選択された印刷装置に格納されているユーザの生体情報のリストを取得するためのリスト取得要求を、その印刷装置に送信する。尚、このときPC105は、そのリスト取得要求にユーザIDとパスワードを付加して送信する。
【0038】
これにより印刷装置は、PC105からその取得要求を受信すると、印刷装置のHDDに予め記憶されているユーザ情報から、ユーザIDによってユーザを特定し、特定されたユーザのパスワードを照合する。こうしてユーザの認証に成功すると、印刷装置は、そのユーザの生体情報をPC105に返信する。こうしてPC105は、その返信を受信すると、図10に示すように、ユーザの生体情報のリストを表示する。
【0039】
図10は、本実施形態に係るPCの表示部に表示されるユーザの生体情報の一覧表示の一例を示す図である。
【0040】
図10では、印刷装置102が有しているユーザ「00xx」の生体情報である指紋情報と声紋情報が表示リスト802に表示されている。
【0041】
ユーザは、この表示リスト802からPC105に登録したい生体情報を選択して、OKボタン804を指示(クリック)する。OKボタン804が指示されると、PC105は、プルダウンメニュー801で選択された印刷装置に、表示リスト802を介して選択された生体情報の取得要求を送信する。印刷装置は、生体情報の取得要求によって特定される生体情報をPC105に送信する。これにより、PC105は、受信した生体情報を、図9の画面を介して入力されたユーザ名に対応付けてHDD207に登録する。
【0042】
このような制御によって、ユーザは、生体情報を用いたセキュアプリントを実行したい場合に、PC105のプリンタドライバを介して、PC105に登録された生体情報を選択し、印刷ジョブとともに印刷装置に送信することができる。そして印刷装置は、受信した印刷ジョブに、その印刷ジョブとともに受信した生体情報を関連付けて保持しておき、その印刷装置で生体情報の入力を受付けた場合にその印刷ジョブを実行する。
【0043】
図11は、本実施形態に係るPC105が印刷装置から生体情報を取得して登録する処理の手順を説明するフローチャートである。図11のフローチャートに示す処理は、CPU201が、HDD207からRAM203にプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0044】
まずステップS1で、CPU201は、図8に示す画面を表示部204に表示する。この画面を使用してユーザが、生体情報を取得する印刷装置を選択する。ここでは印刷装置102が選択されたものとする。図8で印刷装置が選択されてOKボタン804が指示されると、CPU201は、ステップS2に処理を進め、図9に示すような、ユーザ名とパスワードを受付けるための認証画面を表示する。次にステップS3で、CPU201は、図9の画面でユーザ名とパスワードが入力されてOKボタンが指示されたか否かを判定する。ユーザ名とパスワードが入力されてOKボタンが指示されたと判定するとステップS4に進み、CPU201は、ステップS2で入力されたユーザ名とパスワードと生体情報のリスト取得要求を印刷装置に送信する。印刷装置は受信したユーザ名とパスワードと、予め印刷装置に登録されているユーザ名とパスワードとを比較し、一致している場合にPCに認証に成功したことを通知する。一方、印刷装置は、一致していない場合にPCに、認証に失敗したことを通知する。PCは、印刷装置からの通知を受け、ユーザ名とパスワードが正しく、認証に成功したか否かを判定する。ここで認証に失敗した場合、ステップS5に進み、CPU201は、メッセージ「ログインできませんでした」を表示部204に表示して、この処理を終了する。一方、認証に成功すると、CPU201は、ステップS1で選択された印刷装置に、生体情報のリスト取得要求を送信する。
【0045】
印刷装置は、生体情報のリスト取得要求を受信すると、そのユーザの生体情報(認証データDn)を特定し、特定された生体情報のリストをPC105に送信する。
【0046】
こうしてステップS4で、印刷装置での認証に成功するとステップS6に進み、CPU201は、受信した生体情報のリストを例えば図10のように表示する。このとき、まだ生体情報そのものは印刷装置からPC105に送信されていない。このステップS6で、PC105を操作するユーザは、操作部205を用いて、その表示された画面上で、希望する生体情報を選択する。図10の例では、声紋情報が選択されている。こうして図10の画面でOKボタン804が指示されると、PC105は、印刷装置に、ユーザによって選択された生体情報の取得要求を送信される。尚、図10では、複数種類の生体情報(Dn)が選択されても良いものとする。
【0047】
そして、印刷装置は、PC105から生体情報の取得要求を受信すると、当該取得要求によって特定される生体情報をPC105に送信する。
【0048】
これによりPC105のCPU201の処理はステップS7に進み、印刷装置から送信される生体情報を受信(ダウンロード)する。次にステップS8に進み、CPU201は、ダウンロードした生体情報の名称の入力を、操作部205を介して受付ける。この名称は、ユーザが任意に設定できる。こうしてステップS8で、生体情報の名称が入力されるとステップS9に進み、CPU201は、ステップS7で受信した生体情報に、ステップS8で設定された名称を付してHDD207に保存する。
【0049】
このようにして、ユーザの生体情報を入力する装置を備えていないPC105に、そのユーザの生体情報を登録しておくことができる。それによって、ユーザは、生体情報を入力する装置を備えていないPC105であっても、登録された生体情報を用いてセキュアプリントを実行することができる。即ち、ユーザは、PCに登録されている生体情報を選択し、その選択した生体情報とともに印刷ジョブを印刷装置に送信する。そして、印刷装置は、受信した印刷ジョブと生体情報を関連付けて保持しておく。そして、印刷装置は、当該印刷装置が備える認証装置から入力された生体情報と、印刷ジョブに関連付けて保持されている生体情報とが一致すると、その印刷ジョブを実行する。
【0050】
図12は、本実施形態に係るPCから印刷装置に印刷ジョブを送信する場合の処理を説明するフローチャートである。この処理を実行するプログラムはHDD207にインストールされていて、実行時にRAM203にロードされてCPU201の制御の下に実行される。
【0051】
まずステップS11で、ユーザは、図7に示すプリンタドライバを起動し、プリンタドライバの画面を介して、印刷処理の処理対象である印刷装置を選択する。ここで、ユーザは、ユーザの生体情報が格納されていた印刷装置を選択することもできるし、それとは異なる別の印刷装置を選択することもできる。例えば、ユーザは、印刷装置102から指紋情報を取得してPC105に登録しておき、印刷装置102とは異なる印刷装置101を選択してジョブを送信することができる。また、この画面で、ユーザはプロパティボタン703を指示することによって表示される図13に示す画面により、セキュアプリントを指定することができる。
【0052】
図13は、本実施形態に係るPCのプリンタドライバ画面の一例を示す図である。
【0053】
ここでは「出力方法」のプルダウンメニュー1301で「セキュアプリント」1302が選択された状態を示している。
【0054】
こうしてステップS12で、セキュアプリントが指定されると、CPU201は、図14に示す画面を表示部204に表示し、セキュアプリントに用いる情報の選択を受付ける。図14は、CPU201が、HDD207に登録されている生体情報の名称を取得し、表示部204に一覧表示したものである。ユーザは、図14に示す画面を介して、セキュアプリントを実行するための条件として、複数種類の生体情報のうちのいずれかの生体情報、またはパスワードを選択することができる。尚、図12では、セキュアプリントの場合を説明しているので、ステップS12では、セキュアプリントが指示されたかどうかだけを判定しているが、他の処理が選択された場合は、それに応じた処理が実行されることは言うまでもない。
【0055】
次にステップS13で、ユーザにより認証データが選択されて、ステップS14で、OKボタン804が指示されるのを待つ。図14では、ユーザ(00xx)の声紋が認証データとして選択されている。こうしてOKボタン804が指示されると、PC105に登録されている声紋情報の入力を条件に実行されるセキュアプリントジョブを生成する。また、静脈が選択された状態でOKボタン804が指示された場合は、CPU201は、PC105に登録されている静脈情報の入力を条件に実行されるセキュアプリントジョブを生成する。また、「パスワードを入力」が選択された状態でOKボタン804が指示されると、CPU201は、ユーザIDとパスワードの入力を受付けるための画面を表示し、ユーザによって入力されたユーザIDとパスワードを付加したセキュアプリントジョブを生成する。
【0056】
次にステップS15に進み、CPU201は、印刷ジョブの送信指示がなされたか否かを判定する。そしてジョブの送信指示がなされたと判定した場合はステップS16に進み、印刷ジョブの基になるドキュメント及び認証データを確認する。次にステップS17に進み、その選択された認証データ(生体情報)を印刷ジョブに付加して、選択された印刷装置に送信する送信制御を終了する。
【0057】
図15は、本発明の実施形態に係る印刷装置におけるセキュアプリントを実行する際の処理の手順を説明するフローチャートである。尚、この処理を実行するプログラムはROM402に記憶されており、CPU401の制御の下に実行される。尚、ここでは印刷装置102の場合で説明するが、他の印刷装置でも、その印刷装置が有している認証装置に応じて同様にして実行されることは言うまでもない。
【0058】
まずステップS21で、CPU401は、受信して保持している印刷ジョブにセキュアプリントであることを示すデータが付加されているかどうかを判定する。セキュアプリントが指定されている場合はステップS22に進み、その印刷ジョブに認証データとして生体情報が付加されているか否かを判断する。ここで生体情報が付加されていないと判断するとステップS23に進み、パスワードによるセキュアプリントであると判断して、ユーザを特定するための入力画面を操作部407のタッチパネル部601に表示する。次にステップS24で、ユーザ名とパスワードの入力を待ち、これらが入力されるとステップS25に進み、ユーザ名とパスワードが正しいかどうかを判定する。正しい場合はステップS26に進み、その印刷ジョブを実行する。一方、ステップS25で、ユーザ名とパスワードとの整合が取れないときはステップS27に進み、「ユーザ名、パスワードが違います」というメッセージをタッチパネル部601に表示して処理を終了する。
【0059】
一方、ステップS22で、認証データが付加されている場合はステップS28に進み、その受信した印刷ジョブに含まれる生体情報を取得する。次にステップS29に進み、この印刷装置102に設けられている認証装置(図2の例では、指紋認証部411、声紋認証部412)を使用して、その印刷ジョブに含まれる生体情報による認証を行うことを促す画面をタッチパネル部601に表示する。
【0060】
次にステップS30で、ユーザにより指定された認証装置で認証が行われて、生体情報が取得されるとステップS31に進む。ステップS31では、ステップS30で取得した生体情報と、その印刷ジョブに添付された生体情報とが一致するか否かを判定する。ここで一致すると判定するとユーザの認証が成功したことになるためステップS32に進み、その印刷ジョブを実行する。一方、ステップS31で、一致しないと判定した場合は、そのユーザの認証ができなかった旨(「認証できませんでした」)を表示して、この処理を終了する。
【0061】
以上説明したように本実施形態によれば、情報処理装置に生体情報を入力するための特殊な装置を備えなくても、印刷ジョブを生体情報で保護するセキュアプリントを実行できる。
【0062】
また、ユーザの生体情報を取得した装置以外の装置にジョブを送る際にも、その情報を利用したセキュアプリントジョブを指示することができる。例えば、PC105は、印刷装置102に予め登録している指紋情報を取得して登録しておき、ユーザがジョブを送信するときに、当該指紋情報をジョブに付加して、別の印刷装置101に送信することができる。印刷装置101は、受信したジョブを、当該ジョブに付加された生体情報が入力されるまでHDD309に保持し、当該ジョブに付加された生体情報が入力された場合に当該ジョブを実行する。
【0063】
上述した実施形態では、印刷装置がPC105からジョブを受信した後、受信したジョブがセキュアプリントを行うためのジョブであると判定したことに応じて、パスワードまたは生体情報を入力するための画面を表示していた。
【0064】
しかしながら、本発明はこれに限るものではなく、次のように制御してもよい。印刷装置のCPUは、PC105からセキュアプリントジョブを受信した場合に、その時点では、パスワードまたは生体情報を入力するための画面を表示せず、図7に示す標準画面を表示しておく。そして、受信したセキュアプリントジョブ以外のジョブの設定を、当該標準画面を介して受付けることができるようにしておく。ここで受付けたジョブの設定を受付け、操作部を介してジョブの実行指示を受付けた場合、CPUは、セキュアプリントジョブがあり、当該セキュアプリントジョブが実行されていない状態であっても、実行指示を受付けたジョブを先に実行する。それによって、ジョブの実行効率を向上させることができる。
【0065】
その後、ユーザによって、HDD309に記憶されたジョブの状況を示すジョブ状況画面を表示するための指示を受けた場合に、印刷装置のCPUは、操作部にジョブ状況画面を表示する。このジョブ状況画面には、HDD309に記憶されたジョブが複数存在する場合には、複数のジョブを示す情報が表示される。なお、通常のジョブ(実行するためにパスワードの入力を必要としないジョブ)もセキュアプリントジョブも表示される。表示されたジョブの中から、ユーザによって特定のジョブが選択されると、印刷装置のCPUは、当該選択されたジョブがセキュアプリントを行うためのジョブであるか否かを判定する。選択されたジョブがセキュアプリントを行うためのジョブであると判定した場合、印刷装置のCPUは、操作部を介して、選択されたジョブに対応する生体情報の入力をユーザに要求し、ユーザに生体情報を入力させる。そして、ユーザの生体情報が入力されると、入力された生体情報と、当該ジョブに対応する生体情報とを比較し、一致している場合にユーザの認証に成功したと判定し、当該ジョブを実行するよう制御する。一方、一致していない場合に、ユーザの認証に失敗したと判定し、当該ジョブを実行しないよう制御する。このように制御することにより、ユーザは、セキュアプリントジョブを実行する際に、任意のタイミングでパスワードや生体情報を入力し、当該セキュアプリントジョブを実行することができる。
【0066】
また、ユーザの指示により、印刷装置のCPUが操作部にジョブ状況画面を表示する場合に、ユーザID等のユーザ識別情報を入力させ、入力されたユーザIDに対応するジョブのみを表示するようにしてもよい。また、ユーザIDに加えて、生体情報の種類を指定させ、指定された生体情報の入力が、実行の際に必要なジョブのみを抽出して表示するようにしてもよい。あるいは、表示するだけでなく、抽出されたジョブを実行するようにしてもよい。それによって、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0067】
また、上述の実施の形態においては、認証処理に指紋情報、声紋情報、静脈情報を用いる場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、認証処理にあたり、ユーザから顔情報、または虹彩情報、または掌形情報、または網膜情報、または虹彩情報等の生体情報を取得するようにしてもよい。この場合、CPUは、予めHDDに、生体情報を登録しておいて、ユーザから取得した生体情報と比較することによって認証処理を行うように制御すればよい。
【0068】
以上の実施形態の各工程の全部又は一部は、ネットワーク又はコンピュータ読取可能な記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をコンピュータ等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有するジョブ処理装置と、当該ジョブ処理装置にジョブを送信可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
前記ジョブ処理装置の前記記憶手段に記憶されている生体情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された生体情報を格納手段に格納させる格納制御手段と、
前記ジョブ処理装置にジョブを送信する場合に、前記格納制御手段によって格納された生体情報を当該ジョブを実行するために必要な生体情報として送信する送信手段とを有し、
前記ジョブ処理装置は、
前記情報処理装置から前記ジョブと前記生体情報とを受信する受信手段と、
ユーザの生体情報を入力する入力手段と、
前記受信手段によって前記ジョブと前記生体情報とを受信した場合に、前記入力手段によって入力された生体情報と、受信した前記生体情報とに基づいて認証を行い、当該認証に成功した場合に前記受信手段によって受信したジョブを実行するよう制御する制御手段とを有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有するジョブ処理装置にジョブを送信可能な情報処理装置であって、
前記ジョブ処理装置の前記記憶手段に記憶されている生体情報を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された生体情報を格納手段に格納させる格納制御手段と、
前記ジョブ処理装置にジョブを送信する場合に、前記格納制御手段によって格納された生体情報を、当該ジョブを実行するために必要な生体情報として送信する送信手段と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
ユーザ情報を入力する入力手段と、
前記入力手段によって入力されたユーザ情報に基づいてユーザを認証する認証手段と、
前記認証手段による認証に成功した場合に、前記取得手段によって前記ジョブ処理装置の前記記憶手段に記憶されている生体情報を取得し、前記格納制御手段によって前記生体情報を前記格納手段に格納させ、
前記認証手段による認証に成功しなかった場合に、前記生体情報を前記格納制御手段によって格納させないよう制御する制御手段とを更に有することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
複数のジョブ処理装置から、ジョブの送信先を選択する選択手段をさらに備え、
前記選択手段は、前記取得手段によって取得された生体情報を記憶していたジョブ処理装置とは異なるジョブ処理装置を選択可能であり、
前記送信手段は、前記選択手段によって選択されたジョブ処理装置に、前記取得手段によって取得した生体情報を、当該ジョブを実行するために必要な生体情報として送信することを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記生体情報は、ユーザの顔情報、指紋情報、静脈情報、虹彩情報、声紋情報、掌形情報または網膜情報であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ユーザの生体情報を記憶する記憶手段を有するジョブ処理装置にジョブを送信可能な情報処理装置の制御方法であって、
前記ジョブ処理装置の前記記憶手段に記憶されている生体情報を取得する取得工程と、
前記取得工程で取得された生体情報を格納手段に格納させる格納制御工程と、
前記ジョブ処理装置にジョブを送信する場合に、前記格納制御工程で格納された生体情報を、当該ジョブを実行するために必要な生体情報として送信する送信工程と、
を有することを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の情報処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読取可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−218145(P2010−218145A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−63231(P2009−63231)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】