説明

情報処理システム

【課題】バッテリー駆動しているビデオカメラをPCにUSB接続し、PCとビデオカメラとで映像変換の並列処理を行う際、バッテリー残量がなくなるとビデオカメラ側での処理が停止し全体の処理速度が低下する。
【解決手段】ビデオカメラをバッテリーとUSB経由での電力供給によって動作するようにし、さらにバッテリー残量の有無によるビデオカメラの処理速度を判断した上で、PCとビデオカメラとのデータ処理量を適切に変更する事により全体の処理速度を最適化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、USB(Universal Serial Bus)等の情報通信と電力供給が同時に行える接続方法を用いて接続された機器を用いて情報処理を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像圧縮技術が向上し、例えば、ITU−T H.264(以下、H.264)等の、高画質を維持しながら高い圧縮率が実現できる映像符号化方法が規格化され各種製品で採用されている。
【0003】
H.264を採用している製品の一つとして挙げられるのが、フルハイビジョン(横1920画素、縦1080画素)対応のビデオカメラである。このビデオカメラは、撮影した映像をH.264で符号化して記録する事ができる。
【0004】
一方、撮影した映像を編集する際、ユーザーインターフェース等の優位性から、パーソナルコンピューター(以下、PC)を利用する事がある。しかし、H.264方式で映像を編集するためには、現在普及しているPCでは、CPUの性能が不十分で処理に多大な時間がかかる。そこで、ビデオカメラの持つ映像符号化機能を利用する事を考える。ビデオカメラは、USBデバイスとしてUSBホストであるPCにUSBで接続可能であり、映像情報を含めた任意の情報をPCとやりとりできる。そのため、ビデオカメラを映像を録画する機器としてではなく、PCの映像符号化用USBデバイスとして機能させる事ができる。
【0005】
ここで、ビデオカメラの電源に注目してみる。ビデオカメラは録画時、バッテリーを接続して使用することが主であり、AC電源は主にバッテリーの充電用である。使用者は録画後、PCを使用して録画映像を編集するにあたり、ビデオカメラとPCをUSBで接続するが、その際AC電源を使用するのは煩雑なためバッテリー駆動でビデオカメラを動作させてしまう。
【0006】
しかし、バッテリーで電源を供給できる時間はかぎられており、ビデオカメラを映像符号化用デバイスとして編集処理などを行っていると、バッテリー残量の現象により途中で処理が停止してしまう。この問題に対処するために、特許文献1では、処理中にバッテリーが不足すると現状態を維持し、ACアダプタの接続などで電源状態が復旧した後に処理を再開する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−352424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、使用者がACアダプタを接続するなどの作業を行わない限り、処理が停止したままとなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明による情報処理システムでは、第1の機器と第2の機器とが情報通信方法で接続されており、第1の機器はAC電源によって駆動し、第2の機器はバッテリーおよび第1の機器から前記情報通信方法経由で電源の供給を受けて駆動する情報処理システムにおいて、第1の機器の処理速度を検知する第1の機器処理速度検知手段と、第2の機器のバッテリー残量を検知する第2の機器バッテリー残量検知手段と、第2の機器バッテリー残量検知手段でバッテリー残量が有ると検知された場合には、バッテリーと前記情報通信方法経由の電源との合計電力で動作可能な第1の処理速度を、バッテリー残量が無いと検知された場合には、前記情報通信方法経由の電力のみで動作可能な第2の処理速度に第2の機器の処理速度を設定する第2の機器処理速度設定手段と、処理すべきデータを入力するデータ入力手段と、第1の機器処理速度検知手段から出力される第1の機器の処理速度と第2の機器処理速度設定手段から出力される第2の機器の処理速度とを入力し、両処理速度の比に基づいて、データ入力手段で入力されたデータを第1の機器と第2の機器に分配するデータ分配手段と、データ分配手段によって第1の機器に分配されたデータを処理する第1の機器データ処理手段と、データ分配手段によって第2の機器に分配されたデータを、第2の機器処理速度設定手段から出力される第2の機器の処理速度に従った速度で処理する第2の機器データ処理手段と、第1の機器データ処理手段から出力される第1の処理データと第2の機器データ処理手段から出力される第2の処理データとを結合する処理データ結合手段とを備えることを特徴。
【発明の効果】
【0010】
本発明の情報処理システムによれば、バッテリーの残量が減少した場合であっても、使用者がACアダプタを接続するなどの作業を行わなくとも処理を継続する事ができる。さらに、PCとデジタルカメラで同処理を並列して行い、デジタルカメラでの処理においては、バッテリー残量に基づいて処理速度を変化させる事で、全体の処理速度を最適化するができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例1における情報処理システムの機器およびその接続構成例を示す図
【図2】本発明の実施例1における情報処理システムの構成例を示すブロック図
【図3】本発明の実施例2における情報処理システムの構成例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1における機器の接続構成例の図である。USBホスト機器101はパーソナルコンピュータ(以下、PC)であり、その中にハードウェアもしくはソフトウェアの機能として、H.264の符号化および複合化機能(以下、H.264コーデック)を備えている。USBデバイス102はH.264方式で撮影可能なビデオカメラであり、PCと同等のH.264コーデックを備えてる。USBホスト機器101とUSBデバイス102はUSBで接続されており、USBホスト機器101がAC電源で駆動するのに対し、USBデバイス102はそれ自身に接続されたバッテリー103とUSBホスト機器101からのUSBによる電源供給のみ動作する。
【0014】
図2は、図1の接続構成におけるUSBホスト機器101およびUSBデバイス102の処理のブロック構成図である。第1の機器210がUSBホスト機器101であり、第2の機器220がUSBデバイス102である。以下では、映像編集のため、高ビットレートのH.264で符号化された映像データ(以下、変換前データ)を低ビットレートのH.264の映像データ(以下、変換後データ)に変換する処理を例にとって説明する。
【0015】
第1の機器210には、変換前データから変換後データに変換する処理の速度を検知し、第1の機器処理速度情報として出力する第1の機器処理速度検知手段211がある。この第1の機器処理速度情報の内容は第1の機器210の性能によって決まり、処理中に変化する事は無い。一方、第2の機器220は、バッテリーおよびUSBによる電源供給で駆動しており、バッテリー残量の有無で電力が変化するため、変換処理速度に影響が出る。例えば、バッテリー残量がある場合、バッテリーの電力とUSBから提供される電力とを合わせて利用し、第2の機器の変換処理手段の動作周波数を通常よりも上げることで高速に処理が可能となる。また、別の例としては、第2の機器が2つの変換処理手段を持っている場合、バッテリー残量が無い場合には1つの変換処理手段のみを動作させ、バッテリー残量がある場合には2つの変換処理手段を動作させることで処理を高速化することもできる。
バッテリー残量の有無は、第2の機器バッテリー残量検知手段221で行い、その結果を第2の機器バッテリー残量情報として出力する。第2の機器処理速度設定手段222では、第2の機器バッテリー残量情報を入力すると、その値によって第2の機器の処理速度を決定し、第2の機器処理速度情報として出力する。
【0016】
第1の機器210の処理速度を示す第1の機器処理速度情報と第2の機器220の処理速度を示す第2の機器処理速度情報とは、データ分配手段213に入力される。データ分配手段213はデータ入力手段212から入力されたデータを、第1の機器処理速度情報と第2の機器処理速度情報から得られる処理速度の比に基づいて第1の機器分配データおよび第2の機器分配データとに分配する。このデータの分配比は処理速度の比と同じにする。
【0017】
第1の機器分配データは第1の機器データ処理手段214において変換処理され、第1の処理データとして出力される。第2の機器分配データは第2の機器データ処理手段223において第1の機器データ処理手段214と同じ変換処理がなされ、第2の処理データとして出力される。
【0018】
第1の処理データおよび第2の処理データは、処理データ結合手段215にて1つの処理データに結合される。
【実施例2】
【0019】
以下、本発明の実施例2について図面を参照して説明する。図3は、本発明の実施例2におけるブロック構成図である。
【0020】
実施例1において、例えば、第2の機器の処理速度は非常に速いが、それに比べてUSBホスト機器101とUSBデバイス102との間の通信速度が遅い場合を考える。この場合には通信速度がボトルネックになってUSBホスト機器210から見た第2の機器の処理速度は、第2の機器処理速度設定手段222で設定された第2の処理速度とは異なるものとなる。その結果、データ分配手段213で行われるデータの分配が最適なものではなくなってしまう。
【0021】
この問題を回避するために、実施例2における情報処理システムには、実施例1で説明した図2のブロック構成図に対して、通信速度検知手段301、および、第2の機器処理速度判定手段302が追加されている。
【0022】
通信速度検知手段301は、USBホスト機器101とUSBデバイス102との間の通信速度を検知して通信速度情報を出力する。
【0023】
第2の機器処理速度判定手段302は、通信速度検知手段301から出力される通信速度情報と第2の機器修理速度設定手段222から出力される第2の機器処理速度情報とを入力し、双方のうち速度の遅い方を第2の機器の第2の処理速度情報として出力する。
【0024】
これにより、通信速度が第2の機器の処理速度に比べて遅い場合であっても、データ分配手段213で適切にデータを分配でき、システム全体の処理速度を最適化できる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明にかかる情報処理システムは、AC電源が無く、バッテリーとUSBからの電源供給のみで動作するUSBデバイスにおいて、USBホスト機器と並列処理を行う際に、USBデバイスで利用可能な電力を最大限に利用して全体の処理速度を最適化できるため有用である。
【符号の説明】
【0026】
101 USBホスト機器
102 USBデバイス
103 バッテリー
104 AC電源ケーブル
105 USBケーブル
210 第1の機器
211 第1の機器処理速度検知手段
212 データ入力手段
213 データ分配手段
214 第1の機器データ処理手段
215 データ結合手段
220 第2の機器
221 第2の機器バッテリー残量検知手段
222 第2の機器処理速度設定手段
223 第2の機器データ処理手段
301 通信速度検知定手段
302 第2の機器処理速度判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の機器と第2の機器とが情報通信方法で接続されており、第1の機器はAC電源によって駆動し、第2の機器はバッテリーおよび第1の機器から前記情報通信方法経由で電源の供給を受けて駆動する情報処理システムにおいて、
第1の機器の処理速度を検知する第1の機器処理速度検知手段と、
第2の機器のバッテリー残量を検知する第2の機器バッテリー残量検知手段と、
前記第2の機器バッテリー残量検知手段でバッテリー残量が有ると検知された場合には、バッテリーと前記情報通信方法経由の電源との合計電力で動作可能な第1の処理速度を、バッテリー残量が無いと検知された場合には、前記情報通信方法経由の電力のみで動作可能な第2の処理速度に第2の機器の処理速度を設定する第2の機器処理速度設定手段と、
処理すべきデータを入力するデータ入力手段と、
前記第1の機器処理速度検知手段から出力される第1の機器の処理速度と前記第2の機器処理速度設定手段から出力される第2の機器の処理速度とを入力し、両処理速度の比に基づいて、前記データ入力手段で入力されたデータを第1の機器と第2の機器に分配するデータ分配手段と、
前記データ分配手段によって第1の機器に分配されたデータを処理する第1の機器データ処理手段と、
前記データ分配手段によって第2の機器に分配されたデータを、前記第2の機器処理速度設定手段から出力される第2の機器の処理速度に従った速度で処理する第2の機器データ処理手段と、
前記第1の機器データ処理手段から出力される第1の処理データと前記第2の機器データ処理手段から出力される第2の処理データとを結合する処理データ結合手段と
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
第1の機器と第2の機器との間の前記情報通信における通信速度を検知する通信速度検知手段と
前記第2の機器処理速度設定手段で設定された第2の機器の処理速度と前記通信速度検知手段で検知された通信速度とを入力し、双方の速度のうち遅い方を第2の機器の処理速度に置き換えて出力する第2の機器処理速度判定手段と
を備えることを特徴とする、請求項1に記載の情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−128667(P2011−128667A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283624(P2009−283624)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】